本発明は、基地局装置、車載機、無線通信システム、情報送信方法および情報受信方法に関し、特に、道路側に設置された路側装置と車に搭載された車載機との間の路車間通信に関する。
従来より、交差点において、渋滞緩和、円滑な交通および歩行者の安全確保を実現するために、道路から交差点に進入する車両と道路を管轄するために配置された無線基地局装置との間で、例えば、DSRC(Dedicated Short Range Communication)方式によって狭域通信する無線通信システムが実現されようとしている。すなわち、無線基地局装置は、道路から交差点に進入する車両を対象として、交差点周囲の情報をDSRC規格により定められた帯域のチャネルに変調させた無線信号を送信している。ここで、DSRC規格により使用できる帯域のチャネル数は、7チャネルであるが、そのうち2チャネルが既にETC(Electronic Toll Collection System)に割り当てられているため、実質的には5チャネルが使用可能となっている。
ところで、このような狭域通信を用いた無線通信システムの例としては、他にも車両と車両との通信が挙げられる。具体的には、例えば、車両に搭載された通信装置が、GPS受信機を用いて、自車両の走行方位を検知し、この走行方位に基づいて、通信チャネルを決定して、他の車両に搭載された通信装置と通信することがある(例えば特許文献1)。また、緊急車両と他の車両との通信を行う無線通信システムとして、DSRC規格による無線通信によって緊急車両から他の車両へ緊急車両の接近を通知する技術が開示されている(特許文献2)。
特開2004−062381号公報
特開2004−355272号公報
しかしながら、従来の狭域通信を用いた無線通信システムでは、交差点において使用されるチャネル数が不足するおそれがあるという問題があった。
具体的な例として、交差点において使用されるチャネルに関する問題を、図17、図18、図19および図20を用いて説明する。図17、図18、図19および図20は、無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。図17、図18、図19および図20に示すように、道路と道路が交差する角に無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)が配置され、各無線基地局装置は、指向性を持って情報を送信する。
まず、図17では、各無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)は、交差点を挟んで自無線基地局装置の反対側から交差点に接続する道路の方向に、交差点周囲の情報を同一チャネルchAに変調させた無線信号を送信する。例えば、無線基地局装置A´は、車両Aのいる道路に対して、交差点周囲の情報αをチャネルchAに変調させた無線信号を送信する。車両Aは、交差点に進入したとき、送信された情報αを受信する。
この場合は、各無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)から同一チャネルchAによって情報が送信される領域が重複するため、重複した箇所では、無線信号が干渉し合い、道路から交差点に進入する車両は、正常な情報を受信することができない。
次に、図18では、各無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)は、自無線基地局装置が接する道路の方向に、他の無線基地局装置が送信する領域と重複しないように、交差点周囲の情報を同一チャネルchAに変調させた無線信号を送信する。
この場合は、各無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)から同一チャネルchAによって情報が送信される領域が重複しないが、交差点内には情報が送信されないため、道路から交差点に進入する車両は、最新且つ的確な情報を取得することできない。
また、図19では、各無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)は、交差点を挟んだ道路の交差点付近に、交差点周囲の情報を互いに異なるチャネル(chA、chB、chC、chD)に変調させた無線信号を送信する。この場合は、各無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)は、交差点に接続される各道路から交差点に進入するすべての車両(A、B、C、D)に対して、確実に情報を伝達することができる。ところが、前述したとおり、DSRC規格により使用可能なチャネル数は、ETCに割り当てられたチャネルを除外して5チャネルであるため、交差点で4チャネルを使用すると、残りは1チャネルとなる。このとき、隣接する交差点でさらに4チャネルを使用したい場合、交差点間距離が近いと各チャネルの伝播強度を最小限にしても、通信が干渉し合うため、同じチャネルは使えず、チャネルが不足してしまう。すなわち、交差点において使用されるチャネル数が不足するおそれがあるという問題がある。
図20に示すように2つの交差点が近接している場合、一方の交差点では、図19と同様、各無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)は、交差点を挟んだ道路の交差点付近に、交差点周囲の情報を互いに異なるチャネル(chA、chB、chC、chD)に変調させた無線信号を送信する。他方の近接する交差点では、各無線基地局装置(E´、F´、G´、H´)は、交差点を挟んだ道路の交差点付近に、交差点周囲の情報を互いに異なるチャネル(chA、chB、chC、chE)に変調させた無線信号を送信する。すると、一方の交差点の無線基地局装置B´からチャネルchBによって情報γが送信された領域と、他方の近接する交差点の無線基地局装置F´からチャネルchBによって情報κが送信された領域とが重複した箇所に進入する車両Gは、無線信号の干渉により、正常な情報を受信することができない。
さらに、図17〜図20では、交差点を十字路としたが、六叉路以上とすると、交差点で無線基地局装置によって使用されるチャネル数は6チャネル以上となり、DSRC規格により使用可能なチャネル数は、ETCに割り当てられたチャネルを除外して5チャネルであるため、チャネル数が不足する。特に、特許文献1および特許文献2などに記載された車両間の無線通信システムにもチャネルを割り当てると、さらに、チャネル数が不足することになる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、交差点における無線通信に使用されるチャネル数を減少させることができる基地局装置、車載機、無線通信システム、情報送信方法および情報受信方法を提供することを目的とする。
上述した問題を解決し、目的を達成するために、基地局装置は、送信対象となる道路上の領域に位置する車両が当該道路と他の道路との交差点への進入を許可されているか否かを示す進入可否情報を、路側装置から受信する受信部と、前記受信部によって受信された進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示しているか否かを判定する判定部と、前記判定部によって進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示していると判定されたとき、交差点への進入が許可された送信対象の道路上の車両の車載機へ、当該車両の進行方向にある道路の道路安全情報を無線送信する送信部と、を備えた構成を採る。
かかる構成によれば、基地局装置は、進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示しているときに交差点への進入が許可された車両へ情報を送信するため、進入可否情報が進入不許可のとき情報を送信しないと仮定したとき、進入可否情報が進入不許可であるとき自基地局装置と同一チャネルを他の基地局装置に割り当てることができることとなり、交差点で使用するチャネル数を減少させることができる。
本明細書に開示された基地局装置、車載機、無線通信システム、情報送信方法および情報受信方法は、交差点における無線通信に使用されるチャネル数を減少させることができるという効果を奏する。
図1は、実施例1に係る無線通信システムの全体構成の一例を示す図である。
図2は、実施例1に係る無線基地局装置のブロック図を示す図である。
図3は、実施例1に係る車載装置のブロック図を示す図である。
図4は、実施例1に係る無線基地局装置の処理概要を示すフローチャートである。
図5は、実施例1に係る車載装置の処理概要を示すフローチャートである。
図6は、実施例1に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。
図7は、実施例2に係る無線通信システムの全体構成の一例を示す図である。
図8は、実施例2に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。
図9は、実施例2に係る無線基地局装置の処理概要を示すフローチャートである。
図10は、実施例3に係る無線通信システムの全体構成の一例を示す図である。
図11は、実施例3に係る無線基地局装置のブロック図を示す図である。
図12は、実施例3に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。
図13は、実施例3に係る無線基地局装置の処理概要を示すフローチャートである。
図14は、実施例4に係る無線通信システムの全体構成の一例を示す図である。
図15は、実施例4に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。
図16は、実施例4に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。
図17は、従来技術に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。
図18は、従来技術に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。
図19は、従来技術に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。
図20は、従来技術に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。
符号の説明
110 交差点情報収集装置
120 信号情報収集装置
140 無線基地局装置
150 車載装置
210 交差点情報受信部
220 交差点情報記憶部
230 信号情報受信部
240 信号情報解析部
250 チャネル設定部
260 無線送信判断部
270 無線送信部
以下に、本発明にかかる基地局装置、車載機、無線通信システム、情報送信方法および情報受信方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例では、交差点におけるDSRC方式によって狭域通信する無線通信システムおよび基地局装置に本発明を適用した場合を説明するが、実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本実施例1に係る無線通信システムの全体構成の一例を示す図である。同図に示すように、無線通信システムは、信号機100−1〜4と、交差点情報収集装置110と、信号情報収集装置120と、光ビーコン130−1〜4と、無線基地局装置140−1〜4と、車載装置150−1〜4と、を備えて構成される。
信号機100−1〜4は、交差点に配置される信号機であり、道路の側にある路側装置の一種である。信号機100−1〜4は、車両の交差点への進入許可を示す「青」と「黄」および進入不許可を示す「赤」の信号状態をリアルタイムに信号情報収集装置120に出力する。なお、本実施例では、交差点を、十字路とするため、信号機を交差点の4箇所に配置するものとする。また、通常、信号機に表される「黄」の信号状態は、車両に交差点へ進入する際の注意を促すものであるが、本実施例では、進入許可に含まれるものとする。
交差点情報収集装置110は、車両の安全確保のため交差点周囲の状況、例えば、カメラなどのセンサを用いて、交差点に接続された道路の交差点付近の渋滞情報を収集する。
信号情報収集装置120は、各信号機100−1〜4から出力された信号状態を取得し、各無線基地局装置140−1〜4に出力する。このとき、信号情報収集装置120は、例えば、各信号機100−1〜4を一意に表す番号と信号状態とを対にして出力する。
光ビーコン130−1〜4は、道路の車線ごとに設置され、道路の側にある路側装置の一種である。光ビーコン130−1〜4は、無線基地局装置140−1〜4によって送信される道路安全情報を変調させるチャネルに対応する番号および道路安全情報のうち受信可能なサービス番号を送信する。なお、光ビーコン130−1〜4は、DSRC電波ビーコンに置き換えられても良い。
無線基地局装置140−1〜4は、交差点に接続された道路と道路とが交差する角に配置され、道路の側にある路側装置の一種である。無線基地局装置140−1〜4は、交差点と交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域に対して、交差点に進入する車両の進行方向にある道路の道路安全情報を送信する。具体的には、無線基地局装置140−1は、信号情報収集装置120によって出力された信号状態を受信する。そして、無線基地局装置140−1は、交差点情報収集装置110によって出力された車両の進行方向にある道路の道路安全情報を受信する。そして、無線基地局装置140−1は、送信領域にある道路の信号状態が「青」を示しているとき、交差点と交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域に、道路の道路安全情報を送信する。なお、無線基地局装置140−2〜4も、無線基地局装置140−1と同様な処理を行うため、説明を省略する。
車載装置150−1〜4は、車両に搭載され、無線基地局装置140−1〜4から送信された車両の進行方向に位置する道路の道路安全情報を受信する。具体的には、車載装置150−1は、交差点に接続する道路を走行中に、道路に設置された光ビーコン130−1から無線基地局装置140−1によって送信される道路安全情報を変調させるチャネルに対応する番号および道路安全情報のうち当該チャネルによって受信すべきサービス番号を受信する。そして、車載装置150−1は、走行中の道路の信号状態が「青」を示しているとき、交差点に進入し、無線基地局装置140−1によって送信される道路安全情報の中から受信可能なサービス番号に対応するサービス情報を受信可能なチャネルを用いて受信する。これによって、車載装置150−1を搭載した車両は、例えば、交差点を右折した際、車両の進行方向にある道路の道路安全情報を知ることができる。なお、車載装置150−2〜4も、車載装置150−1と同様な処理を行うため、説明を省略する。
次に、図2は、本実施例1に係る無線基地局装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、無線基地局装置140は、交差点情報収集装置110および信号情報収集装置120と接続される。そして、無線基地局装置140は、交差点情報受信部210と、交差点情報記憶部220と、信号情報受信部230と、信号情報解析部240と、チャネル設定部250と、無線送信判断部260と、無線送信部270と、を備えて構成される。
交差点情報受信部210は、交差点情報収集装置110から車両の進行方向にある交差点に接続された道路の道路安全情報をリアルタイムに受信する。例えば、交差点情報受信部210は、交差点を右折または左折した車両の進行方向の道路の渋滞情報を受信する。ただし、以降、交差点情報受信部210は、交差点を右折した車両の進行方向の道路の渋滞情報を受信するものとして説明を行う。
交差点情報記憶部220は、交差点情報受信部210によって受信された道路の道路安全情報を記憶する。
信号情報受信部230は、信号情報収集装置120から各信号機100−1〜4の信号状態をリアルタイムに受信する。具体的には、信号情報受信部230は、各信号機100−1〜4を一意に表す番号と信号状態とを対にして受信する。
信号情報解析部240は、送信領域にある道路の信号状態を解析する。具体的には、信号情報解析部240は、自無線基地局装置140が管轄する道路に位置する信号機の信号状態が車両の進入許可を示す「青」と「黄」および、進入不許可を示す「赤」のいずれかであるかを解析する。
チャネル設定部250は、自無線基地局装置140が情報を送信する際に使用するチャネルを設定する。具体的には、チャネル設定部250は、自無線基地局装置140の送信領域に情報を送信するとき、情報の送信周波数を同一時間帯に他の無線基地局装置が使用するチャネルと重複しないチャネルに設定する。
無線送信判断部260は、信号情報解析部240によって解析された信号情報が進入許可を示す「青」または「黄」であるか否かを判定する。
無線送信部270は、無線送信判断部260によって信号情報が進入許可を示す「青」または「黄」であるとき、無線基地局装置140の送信領域に、交差点情報記憶部220によって記憶された道路の道路安全情報をチャネル設定部250によって設定されたチャネルに変調させた無線信号を送信する。すると、車両に搭載された車載装置150は、無線基地局装置140が送信した領域に進入したとき、送信された道路の道路安全情報を受信する。これにより、無線基地局装置140は、他の無線基地局装置が使用するチャネルと重複しないチャネルによって道路の道路安全情報を送信するため、車載装置150は、交差点に進入したとき、無線信号が干渉しない正常な道路安全情報を受信することができる。なお、ここでは、無線送信部270は、信号情報が進入許可を示すとき道路安全情報を送信するものとしているが、道路安全情報を常に送信するようにしても良い。この場合には、車載装置150が信号機100−1〜4の信号情報を受信し、信号情報が進入許可を示しているか否かを判定し、進入許可を示しているときにのみ道路安全情報を受信すれば良い。
次に、図3は、本実施例1に係る車載装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、車載装置150は、事前情報受信部310と、チャネル設定部320と、交差点情報受信部330と、交差点情報抽出部340と、交差点情報出力部350と、を備えて構成される。なお、車載装置150は、車両に搭載されているものとする。
事前情報受信部310は、道路に設置されている光ビーコン130−1〜4から無線基地局装置140−1〜4によって送信される道路安全情報を変調させるチャネルに対応する番号および道路安全情報のうち受信可能なサービス番号を受信する。なお、事前情報受信部310は、自車両が走行している道路に対応する光ビーコン130−1〜4から情報を受信する。
チャネル設定部320は、受信周波数を事前情報受信部310によって受信されたチャネル番号に対応するチャネルに設定する。
交差点情報受信部330は、無線基地局装置140−1〜4から道路の道路安全情報を受信する。なお、交差点情報受信部330は、自車両が走行する領域を送信領域とする無線基地局装置140−1〜4から情報を受信する。
交差点情報抽出部340は、交差点情報受信部330によって受信された道路の道路安全情報から、受信可能なサービス番号に該当するサービス情報を抽出する。交差点情報抽出部340は、例えば、交差点を右折した際の進行方向にある道路の渋滞情報を抽出する。
交差点情報出力部350は、交差点情報抽出部340によって抽出されたサービス情報を、例えば、車載装置150に接続されたモニターに出力する。
次に、本実施例1に係る無線基地局装置140の処理手順について、図4を参照して説明する。図4は、実施例1に係る無線基地局装置140の処理概要を示すフローチャートである。
まず、交差点情報収集装置110は、無線基地局装置140の送信領域を走行する車両の進行方向に位置し且つ交差点に接続された道路の情報を、無線基地局装置140に送信する。また、信号情報収集装置120は、各信号機100−1〜4から出力された信号状態を、無線基地局装置140に送信する。
次に、交差点の情報、例えば、無線基地局装置140の送信領域を走行する車両の進行方向に位置し且つ交差点に接続された道路の情報が、交差点情報受信部210によって受信される(S110)。
そして、交差点情報受信部210によって受信された交差点の情報が、交差点情報記憶部220によって、記憶媒体に記憶される(S120)。記憶媒体は、例えば、RAM(Randam Access Memory)または磁気ディスク装置であれば良く、他の記憶媒体でも良い。
次に、各信号機100−1〜4の信号状態が、信号情報受信部230によって受信される(S130)。具体的には、信号情報受信部230は、各信号機100−1〜4を一意に表す番号と信号状態とを対にして受信する。
そして、送信領域にある道路の信号状態が、信号情報解析部240によって解析される(S140)。具体的には、信号情報解析部240は、送信領域にある道路に位置する信号機の信号状態が車両の進入許可を示す「青」または「黄」であるか、もしくは進入不許可を示す「赤」であるかを解析する。
そして、信号情報解析部240によって解析された信号状態が進入許可を示す「青」または「黄」であるとき、チャネル設定部250は、送信周波数を、同一時間帯に他の無線基地局装置が使用するチャネルと重複しないチャネルに設定する(S150)。
次に、無線送信判断部260は、車両との通信の確立がされているか否か判定する(S160)。
そして、通信の確立がされていないとき(S160:No)、送信不可能であるため、処理は終了される。
一方、通信の確立がされているとき(S160:Yes)、信号情報解析部240によって解析された信号状態が進入不許可を示す「赤」以外であるか否かが、無線送信判断部260によって判定される(S170)。
無線送信判断部260による判断の結果、信号情報解析部240によって解析された信号状態が、進入不許可を示す「赤」以外であるとき(S170:Yes)、送信方向が、無線送信部270によって決定される(S180)。具体的には、無線送信部270は、自無線基地局装置140の送信領域に送信方向を決定する。
そして、無線送信部270は、決定された送信方向に、交差点情報記憶部220によって記憶された交差点の情報を、チャネル設定部250によって設定されたチャネルに変調させた無線信号を送信する(S190)。
一方、信号情報解析部240によって解析された信号状態が、進入不許可を示す「赤」であるとき(S170:No)、停止中の車両からは目視により交差点の安全確認をすることができるため、無線信号は送信されず、処理は終了する。
次に、本実施例1に係る車載装置150の処理手順について、図5を参照して説明する。図5は、実施例1に係る車載装置150の処理概要を示すフローチャートである。なお、車載装置150を搭載した車両が、道路からその道路に接続する交差点に進入するものとする。
まず、車両が走行している道路に設置された例えば光ビーコン130−1から送信された受信チャネル番号および受信可能なサービス番号が、事前情報受信部310によって受信される(S210)。具体的には、事前情報受信部310は、無線基地局装置140−1〜4によって送信される交差点の情報を変調させるチャネルに対応する番号および交差点の情報のうち受信可能なサービス番号を受信する。
次に、チャネル設定部320は、受信周波数を、事前情報受信部310によって受信されたチャネル番号に対応するチャネルに設定する(S220)。
そして、無線基地局装置140の送信領域に車両が進入したとき、無線基地局装置140から送信された交差点の情報が、交差点情報受信部330によって受信される(S230)。
そして、交差点情報受信部330によって受信された交差点の情報から、事前情報受信部310によって受信されたサービス番号に該当するサービス情報が、交差点情報抽出部340によって抽出される(S240)。
そして、交差点情報抽出部340によって抽出されたサービス情報が、交差点情報出力部350によって、例えば車載装置150に接続されたモニターに出力される(S250)。
次に、実施例1に係る無線基地局装置から車両へ道路安全情報を送信する処理について、図6を参照して説明する。図6は、実施例1に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。図6に示すように、道路と道路が交差する角に無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)が配置され、各無線基地局装置は、指向性を持って情報を送信する。
各無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)は、交差点と交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域にある道路の信号状態が「青」であるとき、各無線基地局装置(A´、B´、C´、D´)に接する道路の情報を互いに異なるチャネルに変調させた無線信号を送信する。例えば、無線基地局装置A´は、交差点を挟んだ道路から交差点に進入が許可された車両Aに、その道路の信号状態が「青」であるとき、交差点周囲の情報αをチャネルchAに変調させた無線信号を送信する。また、無線基地局装置B´は、交差点を挟んだ道路から交差点に進入が許可された車両Bに、その道路の信号状態が「青」であるとき、交差点周囲の情報βをチャネルchBに変調させた無線信号を送信する。
一方、無線基地局装置A´および無線基地局装置B´は、それぞれの送信領域にある道路の信号状態が「赤」であるため、交差点周囲の情報を送信しない。このとき、信号状態が「青」となった道路を送信領域とする無線基地局装置C´および無線基地局装置D´は、互いに異なるチャネルであって、同一時間帯に送信がされない無線基地局装置A´および無線基地局装置B´と同一のチャネルchAおよびchBに、それぞれの交差点周囲の情報δおよびγを変調させた無線信号を送信する。
これにより、同時に信号状態が「青」となる道路を送信領域とする無線基地局装置A´および無線基地局装置B´または無線基地局装置C´および無線基地局装置D´は、互いに異なるチャネルを用いているため、送信する無線信号は干渉せず、受信する車両(A、B)または車両(C、D)は正常の情報を受信することができる。また、無線基地局装置A´および無線基地局装置B´と無線基地局装置C´および無線基地局装置D´とは、同時に情報を送信しないため、重複するチャネルchAおよびchBを用いることができ、交差点で使用するチャネル数を減少させることができる。
以上のように本実施例1によれば、無線基地局装置140は、道路上に位置する車両が当該道路に接続する交差点への進入を許可されているか否かを示す進入可否情報を受信し、受信された進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示しているか否かを判定し、判定された進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示しているとき、車両が交差点への進入を許可された道路の方向に車両の進行方向に位置する道路の道路安全情報を送信する。
このようにして、無線基地局装置140は、進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示しているとき、車両が交差点への進入を許可された道路の方向に車両の進行方向に位置する道路の情報を送信することによって、進入不許可を示しているときは情報を送信しないものと仮定すると、その間、自無線基地局装置140と同一チャネルを他の無線基地局装置に割り当てることができるため、交差点で使用するチャネル数を減少させることができる。
次に、本実施例2に係る無線通信システムの全体構成について図7を参照しながら説明する。図7は、実施例2に係る無線通信システムの全体構成の一例を示す図である。同図に示すように、本実施例2に係る無線通信システムは、本実施例1に係る無線通信システム(図1)から無線基地局装置が2台削除されている。図7の無線基地局装置400−1〜2以外の機能は、図1と同様であるため、その説明を省略する。
無線基地局装置400−1〜2は、交差点に接続される道路と道路とが交差する角のうち対角線上の2角に配置される。また、無線基地局装置400−1〜2は、交差点と交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域と、その道路と交差し自無線基地局装置400−1〜2に接する道路を対象とした送信領域と、に対して、交差点に進入する車両の進行方向にある道路の道路安全情報を送信する。具体的には、無線基地局装置400−1は、信号情報収集装置120によって出力された信号状態を受信する。そして、無線基地局装置400−1は、交差点情報収集装置110によって出力された車両の進行方向にある道路の道路安全情報を受信する。そして、無線基地局装置400−1は、二つの送信領域の道路のいずれか一方の信号状態が「青」または「黄」を示しているとき、交差点とその道路の交差点付近を含む送信領域に、道路の道路安全情報を送信する。なお、無線基地局装置400−2も、無線基地局装置400−1と同様な処理を行うため、説明を省略する。
また、無線基地局装置400−1〜2の構成は、実施例1と同様であるため、省略する。ただし、信号情報解析部240、無線送信判断部260および無線送信部270は、自無線基地局装置400が交差点と交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域およびその道路と交差し自無線基地局装置400に接する道路を対象とした送信領域にある二つの道路の信号状態を対象とした処理を行うものとする。
次に、実施例2に係る無線基地局装置から車両へ道路安全情報を送信する処理について、図8を参照して説明する。図8は、実施例2に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。図8に示すように、道路と道路が交差する角のうち対角線上に無線基地局装置(A´、B´)が配置され、各無線基地局装置は、指向性を持って情報を送信する。
各無線基地局装置(A´、B´)は、交差点と交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域にある道路の信号状態が「青」であるとき、各無線基地局装置(A´、B´)に接する道路の情報を互いに異なるチャネルに変調させた無線信号を送信する。例えば、無線基地局装置A´は、交差点を挟んで自無線基地局装置A´の反対側の道路から交差点に進入が許可された車両Aに、その道路の信号状態が「青」であるとき、交差点周囲の情報αをチャネルchAに変調させた無線信号を送信する。また、無線基地局装置B´は、無線基地局装置A´の送信領域である道路の信号状態と同時に「青」となり、そのとき、交差点を挟んで自無線基地局装置B´の反対側の道路から交差点に進入が許可された車両Bに、交差点周囲の情報βをチャネルchBに変調させた無線信号を送信する。
一方、無線基地局装置A´および無線基地局装置B´は、それぞれの送信領域の道路の信号状態が「赤」であるとき、交差点周囲の情報を送信しない。
そして、各無線基地局装置(A´、B´)は、交差点と交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域に、その道路の信号状態が「青」であるとき、各無線基地局装置(A´、B´)に接する道路の情報を互いに異なるチャネルに変調させた無線信号を送信する。このとき、各無線基地局装置(A´、B´)は、それぞれ交差点を挟んだ道路の交差点付近の送信領域の送信に使用するチャネルchAおよびchBと重複したチャネルを用いる。
これにより、同時に信号状態が「青」となる道路を送信領域とする無線基地局装置A´および無線基地局装置B´は、互いに異なるチャネルを用いているため、送信する無線信号は干渉せず、受信する車両(A、B、C、D)は正常の情報を受信することができる。また、無線基地局装置A´および無線基地局装置B´は、異なるチャネルを用いて、交差する二つの道路への送信を送信領域としているため、交差点で使用するチャネル数を減少させることができる。
次に、本実施例2に係る無線基地局装置400の処理手順について、図9を参照して説明する。図9は、実施例2に係る無線基地局装置400の処理概要を示すフローチャートである。なお、図9において、図4と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を簡単にする。
まず、交差点情報収集装置110は、無線基地局装置140の送信領域を走行する車両の進行方向に位置し且つ交差点に接続された道路の情報を、無線基地局装置140に送信する。また、信号情報収集装置120は、各信号機100−1〜4から出力された信号状態を、無線基地局装置400−1に送信する。
次に、交差点の情報、例えば、無線基地局装置400−1の送信領域を走行する車両の進行方向に位置し且つ交差点に接続された道路の情報が、交差点情報受信部210によって受信される(S110)。
そして、交差点情報受信部210によって受信された交差点の情報が、交差点情報記憶部220によって、記憶媒体に記憶される(S120)。
次に、各信号機100−1〜4の信号状態が、信号情報受信部230によって受信される(S130)。
そして、信号情報解析部240によって、送信領域である二つの道路の信号状態が、解析される(S140)。具体的には、信号情報解析部240は、送信領域である二つの道路に位置する信号機の信号状態が車両の進入許可を示す「青」または「黄」であるか、もしくは進入不許可を示す「赤」であるかを解析する。
そして、信号情報解析部240によって解析された信号状態が進入許可を示す「青」または「黄」であるとき、チャネル設定部250は、送信周波数を、同一時間帯に他の無線基地局装置が使用するチャネルと重複しないチャネルに設定する(S150)。
次に、無線送信判断部260は、車両との通信の確立がされているか否か判定する(S320)。
そして、通信の確立がされていないとき(S320:No)、送信不可能であるため、処理は終了される。
一方、通信の確立がされているとき(S320:Yes)、信号情報解析部240によって解析された二つのいずれかの信号状態が進入不許可を示す「赤」以外であるか否かが、無線送信判断部260によって判定される(S330)。
無線送信判断部260による判断の結果、信号情報解析部240によって解析された二つの送信領域のいずれか一つにある道路の信号状態が、進入不許可を示す「赤」以外であるとき(S330:Yes)、送信方向が、無線送信部270によって、決定される(S340)。具体的には、無線送信部270は、道路の信号状態が「赤」以外である送信領域に送信方向を決定する。
そして、無線送信部270は、決定された送信方向に、交差点情報記憶部220によって記憶された交差点の情報をチャネル設定部250によって設定されたチャネルに変調させた無線信号を送信する(S350)。
一方、信号情報解析部240によって解析された二つの送信領域にある道路の信号状態が、どちらも進入不許可を示す「赤」であるとき(S330:No)、停止中の車両からは目視により交差点の安全確認をすることができるため、無線信号は送信されず、処理は終了する。
以上のように本実施例2によれば、無線基地局装置400−1〜2は、交差点に接続する複数の道路からその交差点への進入許可が示される進入可否情報および進入不許可が示される進入可否情報を同時に受信し、受信されたそれぞれの進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示しているか否かを判定し、進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示された車両へ当該車両の進行方向にある道路の道路安全情報を送信する。
このようにして、無線基地局装置400−1〜2は、同一時間帯に、交差点への進入を許可された進入可否情報と交差点への進入を不許可とされた進入可否情報を受信し、進入許可が示される車両へ道路安全情報を送信するため、無線基地局装置1台が2つの送信領域を管轄することができ、1交差点では無線基地局装置を2台にすることができる。
次に、本実施例3に係る無線通信システムの全体構成について図10を参照しながら説明する。図10は、実施例3に係る無線通信システムの全体構成の一例を示す図である。同図に示すように、本実施例3に係る無線通信システムは、本実施例1に係る無線通信システム(図1)から無線基地局装置が2台削除されている。図10の無線基地局装置500−1〜2以外の機能は、図1と同様であるため、その説明を省略する。
無線基地局装置500−1〜2は、交差点に接続された道路と道路とが交差する角のうち対角線上の2角に配置される。また、無線基地局装置500−1〜2は、交差点と交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域とその道路と交差し自無線基地局装置500−1〜2に接する道路を対象とした送信領域に対して、道路の道路安全情報を同時に送信する。具体的には、無線基地局装置500−1は、信号情報収集装置120によって出力された信号状態を受信する。そして、無線基地局装置500−1は、交差点情報収集装置110によって出力された車両の進行方向にある道路の道路安全情報を受信する。そして、無線基地局装置500−1は、交差点と交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域およびその道路と交差し自無線基地局装置500−1に接する道路を対象とした送信領域にある道路のいずれか一方の信号状態が進入許可された車両に、その車両の進行方向にある道路の道路安全情報の詳細情報を送信する。このとき、無線基地局装置500−1は、他方の信号状態が進入不許可とされた車両に、その車両の進行方向にある道路の道路安全情報の要約情報を送信する。ここで、道路安全情報の詳細情報とは、例えば、車両の右折方向または左折方向の渋滞状況の画像を含む道路の安全情報であっても良い。また、道路安全情報の要約情報とは、例えば、車両の右折方向または左折方向の渋滞状況を文字で示すものとしても良い。
次に、本実施例3に係る無線基地局装置の構成について図11を参照しながら説明する。図11は、実施例3に係る無線基地局装置のブロック図である。同図に示すように、本実施例3に係る無線基地局装置500は、本実施例1に係る無線基地局装置140に送信データ生成部510が追加されている。図11の送信データ生成部510において、図2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。ただし、信号情報解析部240、無線送信判断部260および無線送信部270は、交差点を挟んだ道路の交差点付近の送信領域およびその道路と交差し自無線基地局装置に接する道路を対象とした送信領域にある二つの道路の信号状態を対象とした処理を行うものとする。
送信データ生成部510は、2つの送信領域にある各道路の信号状態のうち、進入許可とされた道路を走行する車両の進行方向にある道路の道路安全情報の詳細情報を生成する。このとき、送信データ生成部510は、他方の信号状態が進入不許可とされた停止中の車両の進行方向にある道路の道路安全情報の要約情報を生成する。
次に、実施例3に係る無線基地局装置から車両へ道路の道路安全情報を送信する処理について、図12を参照して説明する。図12は、実施例3に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。図12に示すように、道路と道路が交差する角のうち対角線上に無線基地局装置(A´、B´)が配置され、各無線基地局装置(A´、B´)は、指向性を持って情報を送信する。
各無線基地局装置(A´、B´)は、交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域にある道路の信号状態が「青」であるとき、各無線基地局装置(A´、B´)に接する道路の道路安全情報の詳細情報を、走行中の車両(A、B)に、互いに異なるチャネル(chA、chB)に変調させた無線信号を送信する。このとき、交差点を挟んだ道路と交差する道路の信号状態は「赤」となっており、各無線基地局装置(A´、B´)は、各無線基地局装置(A´、B´)に接する道路の道路安全情報の要約情報を、停止中の車両(C、D)に、互いに異なるチャネルに変調させた無線信号を送信する。
そして、各無線基地局装置(A´、B´)は、交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域にある道路の信号状態が「赤」であるとき、各無線基地局装置(A´、B´)に接する道路の道路安全情報の要約情報を、停止中の車両(A、B)に、互いに異なるチャネル(chA、chB)に変調させた無線信号を送信する。このとき、交差点を挟んだ道路と交差する道路の信号状態は「青」となっており、各無線基地局装置(A´、B´)は、各無線基地局装置(A´、B´)に接する道路の道路安全情報の詳細情報を、停止中の車両(C、D)に、互いに異なるチャネルに変調させた無線信号を送信する。
これにより、無線基地局装置A´または無線基地局装置B´は、同時に信号状態が「青」および「赤」となる異なる方向に対して同一チャネルを用いて情報を送信しても、受信する車両は、正常の情報を受信することができる。なお、各無線基地局装置(A´、B´)は、同時に信号状態が「青」および「赤」となる異なる方向に対して同一チャネルを用いて情報を送信しているが、例えば同時に信号状態が「青」および「赤」となる方向が近接する場合には、周波数帯域を変更しても良い。
次に、本実施例3に係る無線基地局装置500の処理手順について、図13を参照して説明する。図13は、実施例3に係る無線基地局装置500の処理概要を示すフローチャートである。なお、図13において、図4または図9と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を簡単にする。
まず、交差点情報収集装置110は、無線基地局装置500の管轄する領域を走行する車両の進行方向に位置し且つ交差点に接続された複数の道路の情報を、無線基地局装置500に送信する。また、信号情報収集装置120は、各信号機100−1〜4から出力された信号状態を、無線基地局装置500に送信する。
次に、交差点の情報、例えば、無線基地局装置500の送信領域を走行する車両の進行方向に位置し且つ交差点に接続された複数の道路の情報が、交差点情報受信部210によって受信される(S110)。
そして、交差点情報受信部210によって受信された交差点の情報が、記憶媒体に記憶される(S120)。
次に、各信号機100−1〜4の信号状態が、信号情報収集装置120から、信号情報受信部230によって受信される(S130)。
そして、送信領域である二つの道路の信号状態が、信号情報解析部240によって解析される(S140)。具体的には、信号情報解析部240は、送信領域である二つの道路に位置する信号機の信号状態が車両の進入許可を示す「青」または「黄」であるか、もしくは進入不許可を示す「赤」であるかを解析する。
そして、チャネル設定部250は、送信周波数を、同一時間帯に他の無線基地局装置が使用するチャネルと重複しないチャネルに設定する(S150)。
チャネル設定部250によって送信周波数を設定した後、送信データ生成部510は、信号情報解析部240によって解析された一の信号状態が進入許可を示す「青」または「黄」とされた車両の進行方向にある道路の交差点の詳細情報を生成する。このとき、送信データ生成部510は、信号情報解析部240によって解析された他の信号状態が進入不許可を示す「赤」とされた車両の進行方向にある道路の交差点の要約情報を生成する(S410)。
次に、無線送信判断部260は、車両との通信の確立がされているか否か判定する(S420)。
そして、通信の確立がされていないとき(S420:No)、送信不可能であるため、処理は終了する。
一方、通信の確立がされているとき(S420:Yes)、無線送信部270は、信号情報解析部240によって解析された信号状態が進入許可とされた方向に、送信方向を決定する。このとき、無線送信部270は、信号情報解析部240によって解析された信号状態が進入不許可とされた方向に、さらに送信方向を決定する(S430)。
そして、無線送信部270は、信号状態が進入許可とされた方向に、送信データ生成部510によって生成された交差点の詳細情報をチャネル設定部250によって設定されたチャネルに変調させた無線信号を送信する。このとき、無線送信部270は、信号状態が進入不許可とされた方向に、送信データ生成部510によって生成された交差点の要約情報をチャネル設定部250によって設定されたチャネルに変調させた無線信号を送信する(S440)。
以上のように本実施例3によれば、無線基地局装置500は、交差点に接続する複数の道路からその交差点への進入許可が示される進入可否情報および進入不許可が示される進入可否情報を同時に受信し、受信されたそれぞれの進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示しているか否かを判定する。そして、無線基地局装置500は、判定された進入可否情報が進入許可とされた車両の進行方向にある道路の道路安全情報の詳細情報を生成し、判定された進入可否情報が進入不許可とされた車両の進行方向にある道路の道路安全情報の要約情報を生成する。そして、無線基地局装置500は、生成された道路安全情報の詳細情報を交差点への進入を許可された車両に送信し、生成された道路安全情報の要約情報を交差点への進入を停止された車両に送信する。
このようにして、無線基地局装置500は、同一時間帯に、交差点への進入を許可された進入可否情報と交差点への進入を停止された進入可否情報を受信し、双方の車両へ同時に道路安全情報を送信するため、効率的に道路安全情報を送信することができる。
次に、本実施例4に係る無線通信システムの全体構成について図14を参照しながら説明する。図14は、実施例4に係る無線通信システムの全体構成の一例を示す図である。同図に示すように、本実施例4に係る無線通信システムは、本実施例1に係る無線通信システム(図1)から信号機100−1〜4、交差点情報収集装置110、信号情報収集装置120、3台の無線基地局装置が削除され、新たに信号情報/交差点情報収集装置600が追加されている。図14の信号情報/交差点情報収集装置600および無線基地局装置610以外の機能は、図1と同様であるため、その説明を省略する。なお、実施例4は、信号機100−1〜4が信号状態を信号情報収集装置120に出力する機能を持っていない場合に使用されるものとしても良い。
信号情報/交差点情報収集装置600は、交差点中央に設置された全周囲カメラを用いて交差点に配置される信号機に表される信号状態および交差点に接続された道路ごとの道路安全情報を収集する。そして、信号情報/交差点情報収集装置600は、無線基地局装置610に収集された信号情報および道路安全情報を送信する。なお、全周囲カメラは、道路の側にある路側装置の一種である。
無線基地局装置610は、交差点に接続された道路と道路とが交差する角に配置される。また、無線基地局装置610は、交差点と交差点を挟んだ全道路の交差点付近を含む送信領域に対して、道路の道路安全情報をマルチキャスト送信する。道路安全情報は、例えば、車両の進行方向にある交差点に接続された道路ごとに設定されたサービス情報の束であり、サービス情報ごとにサービス番号が対応付けられているものとしても良い。
また、無線基地局装置610の構成は、実施例1と同様であるため、省略する。ただし、信号情報解析部240、無線送信判断部260および無線送信部270は、交差点に接続されるすべての道路の信号状態を対象とした処理を行うものとする。
次に、実施例4に係る無線基地局装置から車両へ道路の道路安全情報を送信する処理について、図15を参照して説明する。図15は、実施例4に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。図15に示すように、道路と道路が交差する角に無線基地局装置A´は配置され、指向性を持って情報を送信する。
無線基地局装置A´は、信号情報/交差点情報収集装置Sから交差点に配置される信号機に表される信号状態および交差点に接続された道路ごとの道路安全情報を受信する。そして、無線基地局装置A´は、交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域に、道路安全情報をチャネルchAに変調させた無線信号をマルチキャスト送信する。このとき、車両(A,B、C、D)は、あらかじめ道路に設置された光ビーコン(OA、CB、OC、CD)から無線基地局装置A´によって送信される道路安全情報を変調するチャネルchAに対応する番号および道路安全情報のうち受信可能なサービス番号を受信する。そして、車両は、走行中の道路の信号状態が「青」を示しているとき、交差点に進入し、無線基地局装置A´によって送信される道路安全情報から受信可能なサービス番号に対応するサービス情報を受信可能なチャネルchAを用いて受信する。
これにより、無線基地局装置A´は、同時に信号状態が「青」となる方向に対して同一チャネルを用いて情報を送信することができるため、無線基地局装置1台について4方向の送信領域を管轄することができ、1交差点では無線基地局装置を1台にすることができる。
また、実施例4に係る無線基地局装置から車両へ道路の道路安全情報を送信する処理について、図16を参照して説明する。図16は、実施例4に係る無線基地局装置から車両への情報の送信を示す図である。図16に示すように、道路と道路が交差する角に無線基地局装置A´は配置され、指向性を持って情報を送信する。
無線基地局装置A´は、例えば、信号情報/交差点情報収集装置600から交差点に配置される信号機に表される信号状態および交差点に接続された道路ごとの道路安全情報を受信する。そして、無線基地局装置A´は、交差点と交差点を挟んだ道路の交差点付近を含む送信領域に、道路安全情報をチャネルchAに変調させた無線信号をマルチキャスト送信する。このとき、緊急車両が交差点に向かって走行するとき、無線基地局装置A´は、緊急車両から送信される進行方向を知らせる緊急情報を受信し、受信された緊急情報を道路安全情報とともに送信する。
これにより、無線基地局装置A´は、緊急車両との通信で1つのチャネルを使用しても、交差点で行う道路安全情報の通信で1つのチャネルしか使用しないので、DSRC規格により定められた帯域のチャネルを効率的に使用することができる。また、無線基地局装置A´は、緊急車両が交差点に向かって走行するとき、緊急情報を道路安全情報とともに送信することができるため、交差点での渋滞緩和および円滑な交通を図ることができる。
以上のように本実施例4によれば、無線基地局装置610は、交差点に設置されるカメラに撮影された信号機に表される進入可否情報を受信し、受信された進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示しているか否かを判定し、判定によって進入可否情報が車両の交差点への進入許可を示していると判定されたとき、交差点への進入が許可された車両へ当該車両の進行方向にある道路の道路安全情報を送信する。
このようにして、無線基地局装置610は、交差点へ接続される全道路の進入可否情報を受信し、4方向の送信領域を管轄するため、1交差点では無線基地局装置を1台にすることができる。
なお、上記各実施例においては、信号機、光ビーコン、無線基地局装置およびカメラを路側装置の例として挙げたが、これに限定されず、例えば、道路標識なども路側装置の一種である。
また、無線基地局装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)(またはMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)などのマイクロ・コンピュータ)および当該CPU(またはMPU、MCUなどのマイクロ・コンピュータ)にて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されても良い。