JPWO2009113129A1 - 中継システム及び無線通信システム - Google Patents

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Abstract

柔軟に構築可能な中継システム、及び、この中継システムを備えてより安定的な通信を可能とする無線通信システム。中継システムを構成するマスタ端末である移動局(200)は同期信号を送信し、スレーブ端末である移動局(300)は同期信号を受信し、移動局(200)及び移動局(300)は、基地局装置(100)から送信されたデータを、同期信号に基づいて互いに送信タイミングを合わせて無線LAN端末(400)に送信する。こうすることにより、複数の移動局で柔軟に中継システムが構築されるので、従来のように中継端末のRFリソースの数、及びその使用状況によって通信ができない状況を回避できる可能性を高くすることができる。よって、この中継システムを備えることにより、より安定的な通信を可能とする無線通信システムが実現される。

Description

本発明は、中継システム及び無線通信システムに関する。
基地局やアクセスポイントを必要とせず、無線で接続できる無線端末(パソコン、PDA、携帯電話等)のみで構成された自立分散型の無線ネットワークであるアドホックネットワークに関して、様々な場所で検討されてきている。アドホックネットワークは、アクセスポイント等のインフラ(Infrastructure)が存在しない場所でも簡易にネットワークを構築することができる。
また、無線通信の高速化を実現する技術として、MIMO(Multiple Input Multiple Output)通信がある。MIMOは、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用いる空間多重伝送技術であり、複数のデータを複数のアンテナから同じ周波数で同時に送信する。MIMOでは、同時に送受信できるチャネルが増えるので、単位時間あたりの通信量が増加し、通信速度を向上させることができる。
上記アドホックネットワークにMIMO通信方式を適用させた無線通信システムが、例えば、特許文献1に開示されている。この無線通信システムでは、MIMO送受信機の余剰のアンテナリソースを効率よく活用して、MIMO通信方式のマルチホップ・ネットワークを実現している。
この無線通信システムにおける通信について、複数のアンテナを具備する端末A、B、C、Dが存在する場合を例にとり図1を参照して説明する。同図において、端末Aと端末Dとの間では、両端末が同一の通信エリア内に存在しているため、MIMO伝送が可能である一方で、端末Bと端末Cとの間では、両端末の通信エリアが異なるため、直接にMIMO伝送できない。そのため、端末B及び端末Cとの通信可能範囲にある端末Dに対する中継の依頼が行なわれる。端末Dは2つのアンテナをMIMO通信に使用しているので、残り1つのアンテナリソースを用いて中継可能である旨の了解応答を端末B及び端末Cに送信する。そして、端末Bを送信元、送信宛先を端末Cとするパケットが、端末Dを介して伝送される。
特開2006−148388号公報
しかしながら、上記した従来の無線通信システムにおいては、次のような場合には通信ができない。図2に示されるような状況において、端末Eが端末Dを経由して端末Fと通信を行おうとする場合、両端末E及びFとの通信可能範囲にある端末Dは、すでに他の端末と通信を行っており空きRFリソースがないため、端末Dを経由する通信が不可能となる。これは、中継点である端末を端末D以外の端末に変更しても同様に起こりうる。すなわち、従来の無線端末システムでは、中継端末のRFリソースの数、及びその使用状況に依存して通信の可否が決定されてしまう。
本発明の目的は、柔軟に構築可能な中継システム、及び、この中継システムを備えてより安定的な通信を可能とする無線通信システムを提供することである。
本発明の中継システムは、第1の無線通信システムに対応するインタフェースと第2の無線通信システムに対応する無線インタフェースとを備える無線端末群から構成され、前記第1の無線通信システムと第2の無線通信システムとの間のデータ伝送を中継する中継システムであって、招集信号を送信し、前記招集信号に対する参加表明信号の送信元無線端末の中からスレーブ無線端末を選択し、当該スレーブ無線端末に同期信号を送信する中継マスタ無線端末と、前記招集信号に対応して前記参加表明信号を送信し、前記同期信号を受信する中継スレーブ無線端末と、を具備し、前記中継マスタ無線端末及び前記中継スレーブ無線端末は、前記第1の無線通信システムの送信元通信装置から送信されたデータを、前記同期信号に基づいて互いに送信タイミングを合わせて前記第2の無線通信システムの送信先通信装置に送信する構成を採る。
本発明の無線通信システムは、MIMO通信可能な無線LAN端末と、インターネット回線へのパスを提供する移動通信システムの基地局装置であって、前記無線LAN端末宛の送信データを複数の部分送信データに分割し、前記複数の部分送信データを前記移動通信システムの通信方式で分割多重送信する基地局装置と、前記移動通信システムの通信インタフェースと前記無線LANとの通信インタフェースを有し、受信データから互いに異なる部分送信データを抽出すると共に、前記抽出された部分送信データを無線LANの形式に変換した上で前記無線LAN端末へ同期して送信する無線端末群からなる中継システムと、を具備する構成を採る。
本発明によれば、任意の場所に柔軟に通信容量を増加できる無線LANアクセスポイントを構築可能な中継システム、及び、この中継システムを備えてより安定的な通信を可能とする無線通信システムを提供することができる。
アドホックネットワークにMIMO通信方式を適用させた従来の無線通信システムの説明に供する図 アドホックネットワークにMIMO通信方式を適用させた従来の無線通信システムの説明に供する他の図 本発明の実施の形態1に係る基地局装置の構成を示すブロック図 実施の形態1に係る移動局(中継マスタ端末)の構成を示すブロック図 実施の形態1に係る移動局(中継スレーブ端末)の構成を示すブロック図 実施の形態1に係る無線LAN端末の構成を示すブロック図 実施の形態1に係る無線通信システムの動作(下り伝送)説明に供する図 実施の形態1に係る無線通信システムの動作(上り伝送)説明に供する図 実施の形態2に係る無線通信システムの動作(上り伝送)説明に供する図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図3に示す本実施の形態に係る基地局装置100は、第1の通信方式で後述する移動局200及び移動局300と通信を行う。ここでは、第1の通信方式として、IMT−2000で定められているWCDMA方式が適用される場合について説明するが、これに限定されるものではない。
図3に示すように本実施の形態に係る基地局装置(BS)100は、送信データ生成部110と、データ変調部120と、分割多重部130と、RF部140と、分離部150と、データ復調部160とを有する。
送信データ生成部110は、送信データ系列を生成する。さらに送信データ生成部110は、後述する移動局200から送信された中継システム情報に基づいて、中継システム情報中継局として選択された移動局の数と同数の部分送信データ系列に送信データ系列を分割する。得られた部分送信データ系列は、データ変調部120に送出される。
データ変調部120は、送信データ生成部110にて生成された部分送信データ系列に対して、予め定められた変調方式(例えば、BPSK、QPSKなど)で変調処理を行う。
分割多重部130は、IMTで指定された通信方式(FDMA、TDMA、CDMAなど)に応じて、部分送信データ系列を分割多重する。すなわち、各部分送信データ系列は異なる中継局で中継されるので、CDMA方式が採用される場合には、分割多重部130各部分送信データ系列を各中継局に割り当てられた互いに異なる拡散符号で拡散処理することにより、多重信号を生成する。
RF部140は、分割多重部130にて生成された多重信号に所定の無線処理を施して、得られた無線信号をアンテナを介して送信する。また、RF部140は、中継局から送信された無線信号に対し所定の無線受信処理を施して、得られた受信信号を分離部150に送出する。
分離部150は、RF部140にて得られた受信信号が多重信号(各中継局から送信された信号が分割多重された信号)であるため、受信信号を送信元中継局毎の信号に分離する。
データ復調部160は、分離された信号毎に復調処理を施すことにより受信データを得る。
図4に示す本実施の形態に係る中継局としての移動局(MS)200は、上記した第1の通信方式の他に、第2の通信方式で通信することができるように構成されている。ここでは、第2の通信方式として無線LAN方式が適用される場合について説明する。
図4に示すように移動局(MS)200は、WCDMA方式で基地局装置100と通信を行う第1通信処理部210と、無線LAN方式で後述する無線LAN端末400と通信を行う第2通信処理部220と、中継システム構築処理部230と、フレーム同期タイミング生成部240とを有する。
第1通信処理部210は、アンテナを介して受信した無線信号(基地局装置100から送信された下り回線の無線信号)に無線受信処理を施して、得られた受信信号を第2通信処理部220に出力する。第1通信処理部210は、送信信号(上り回線の送信信号)に所定の無線送信処理を施して、得られる無線信号をアンテナを介して送信する。
第1通信処理部210は、WCDMA方式で基地局装置100との間の送受信無線処理を行うRF部212と、変復調部214と、MAC部216と、IP処理部218とを有する。
第2通信処理部220は、アンテナを介して受信した無線信号(後述する無線LAN端末400から送信された上り回線の無線信号)に、フレーム同期タイミング信号に基づくタイミングで無線受信処理を施して、得られた受信信号を第1通信処理部210に出力する。第2通信処理部220は、自局の近傍に存在する移動局300から送信される参加表明信号(その移動局300のIPアドレス、未使用アンテナ数などを含む)を中継システム構築処理部230に出力する。第2通信処理部220は、IPアドレス付与制御信号、中継システム構築処理部230から受け取る招集信号及び機器番号通知信号、並びに、フレーム同期タイミング信号に所定の無線送信処理をフレーム同期タイミング信号に基づくタイミングで施して、得られる無線信号をアンテナを介して送信する。
第2通信処理部220は、第1通信処理部210から受け取る下り回線の受信信号をMIMO通信用のフレームに変換する。第2通信処理部220は、MIMO通信用のフレームに、自機の機器番号(ここでは、ゼロ)に応じたパイロット信号を付加する。第2通信処理部220は、得られたフレームに所定の無線送信処理をフレーム同期タイミング信号に基づくタイミングで施して、得られる無線信号をアンテナを介して送信する。
第2通信処理部220は、無線LAN方式で無線LAN端末400との間の送受信無線処理を行うRF部222と、変復調部224と、MAC部226と、MIMOフレーム生成部228とを有する。IP処理部218は、第2通信処理部220の一部としても機能する。なお、上り通信の際には、MIMOフレーム生成部228は、特に処理を行わない。
中継システム構築処理部230は、IPアドレス付与制御信号を生成し、当該IPアドレス付与制御信号を無線LAN通信方式を用いて送信する。IPアドレス付与制御信号は、移動局200に対して割り当てられているESSID(Extended Service Set Identifier)、移動局200のIPアドレス、及び、MACアドレスにブロードキャスト値を含む。このIPアドレス付与制御信号が送信されることによって、中継システム構築処理部230は、無線LANで同じESSIDが割り当てられている移動局300からそれのBSSID(Basic Service Set Identifier)を含む応答信号であるIP付与要求信号を受け取ることができる。
中継システム構築処理部230は、IP付与要求信号を送信してきた移動局300に対してIPアドレスを割り当てると共に、その移動局300のBSSIDと、割り当てたIPアドレスとを含めたIP通知信号を生成する。中継システム構築処理部230は、生成したIP通知信号を無線LAN通信方式を用いて送信する。このIP通知信号が送信されることにより、これ以降、移動局200と移動局300とのIPアドレスを用いた通信が可能となる。
中継システム構築処理部230は、IPアドレスを割り当てたすべての移動局300(つまり、IP通知信号を送信したすべての移動局300)に対して、招集信号を送信すると共に、その招集信号に応答して送信されてくる参加表明信号を受け取る。招集信号には、宛先アドレスとして移動局300のIPアドレス、及び、送信元アドレスとして移動局200のIPアドレスが含まれる。
中継システム構築処理部230は、参加表明信号に基づいて自局がマスタ端末として機能する中継システムを構成するスレーブ端末を決定する。中継システム構築処理部230は、移動局200の機器番号をゼロとし、スレーブ端末に対して、参加表明信号を受け取った順番で連番の機器番号を順次付与する。中継システム構築処理部230は、各スレーブ端末に対して、機器番号及び中継システムを構築する全移動局の数(つまり、移動局200と全スレーブ端末の数)を含めた機器番号通知信号を送信する。
中継システム構築処理部230は、自局及び中継システムを構成するスレーブ端末に関する中継システム情報を第1通信処理部210を介して基地局装置100に送信する。
具体的には、中継システム構築処理部230は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)処理部232と、招集信号発信部234と、参加表明信号受信部236と、機器番号生成部238とを有する。
DHCP処理部232は、IPアドレス付与制御信号を生成し、当該IPアドレス付与制御信号を無線LAN通信方式を用いて送信する。DHCP処理部232は、IP付与要求信号を送信してきた移動局300に対してIPアドレスを割り当てると共に、その移動局300のBSSIDと、割り当てたIPアドレスとを含めたIP通知信号を生成する。
招集信号発信部234は、IPアドレスを割り当てたすべての移動局300に対して、招集信号を第2通信処理部220を介して送信する。
参加表明信号受信部236は、招集信号に対する応答として移動局300から送信されてくる参加表明信号を第2通信処理部220を介して受け取る。
機器番号生成部238は、参加表明信号受信部236から複数の参加表明信号を受け取り、複数の参加表明信号に対応する複数の移動局300の中から、中継システムを構成するスレーブ端末を決定すると共に、各スレーブ端末に対して機器番号を付与する。機器番号生成部238は、各スレーブ端末に対して機器番号通知信号を第2通信処理部220を介して送信する。
フレーム同期タイミング生成部240は、フレーム同期タイミング信号を生成し、第2通信処理部220に出力する。
図5に示す本実施の形態に係る中継局としての移動局(MS)300は、移動局200と同様に、第1の通信方式及び第2の通信方式で通信することができるように構成されている。
図5に示すように移動局(MS)300は、WCDMA方式で基地局装置100と通信を行う第1通信処理部310と、無線LAN方式で後述する無線LAN端末400と通信を行う第2通信処理部320と、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)クライアント処理部330と、招集信号受信部340と、参加表明信号生成部350と、フレーム同期信号受信部360と、機器番号受信部370とを有する。
第1通信処理部310は、アンテナを介して受信した無線信号(基地局装置100から送信された下り回線の無線信号)に無線受信処理を施して、得られた受信信号を第2通信処理部320に出力する。第1通信処理部310は、送信信号(上り回線の送信信号)に所定の無線送信処理を施して、得られる無線信号をアンテナを介して送信する。
第1通信処理部310は、WCDMA方式で基地局装置100との間の送受信無線処理を行うRF部312と、変復調部314と、MAC部316と、IP処理部318とを有する。
第2通信処理部320は、移動局200から送信されたIPアドレス付与制御信号を受信し、DHCPクライアント処理部330に出力する。第2通信処理部320は、DHCPクライアント処理部330から受け取るIP付与要求信号を移動局200に送信する。
第2通信処理部320は、移動局200から送信されたIP通知信号を受信し、DHCPクライアント処理部330に出力する。
第2通信処理部320は、移動局200から送信された招集信号を受信し、招集信号受信部340に出力する。第2通信処理部320は、参加表明信号生成部350で生成された参加表明信号を受け取り、移動局200に送信する。第2通信処理部320は、移動局200から送信された機器番号通知信号を受信し、機器番号受信部370に出力する。
第2通信処理部320は、移動局200から送信されたフレーム同期タイミング信号を受信し、フレーム同期信号受信部360に出力する。
第2通信処理部320は、アンテナを介して受信した無線信号(後述する無線LAN端末400から送信された上り回線の無線信号)に、タイミング信号に基づくタイミングで無線受信処理を施す。そして、第2通信処理部320は、得られた受信パケットのうち特定のパケットについてIP処理(IPパケットの送信元アドレスを、移動局200から割り当てられたIPアドレスに置き換える処理を含む)を行った後、そのパケットを第1通信処理部310に渡す。ここで特定のパケットは次のように選択される。パケット番号と、機器番号通知信号に含まれている移動局の数とのモジュロ演算(剰余演算)が行なわれ、解が自身の機器番号と一致するIPパケットが選択される。
第2通信処理部320は、第1通信処理部310から受け取る下り回線の受信信号をMIMO通信用のフレームに変換する。第2通信処理部320は、MIMO通信用のフレームに、機器番号受信部370から受け取る機器番号に応じたパイロット信号(つまり、機器番号ごとにパイロット信号の信号系列が異なる)を付加する。第2通信処理部320は、得られたフレームに所定の無線送信処理をフレーム同期タイミング信号に基づくタイミングで施して、得られる無線信号をアンテナを介して送信する。
第2通信処理部320は、無線LAN方式で無線LAN端末400との間の送受信無線処理を行うRF部322と、変復調部324と、MAC部326と、MIMOフレーム生成部328とを有する。IP処理部318は、第2通信処理部320の一部としても機能する。なお、上り通信の際には、MIMOフレーム生成部328は、特に処理を行わない。
招集信号受信部340は、第2通信処理部320から招集信号を受け取り、参加表明信号生成部350に出力する。
参加表明信号生成部350は、招集信号を受け取ると参加表明信号を生成し、第2通信処理部320を介して移動局200に送信する。
フレーム同期信号受信部360は、フレーム同期タイミング信号を受け取り、この信号に応じたタイミング信号を第2通信処理部320に出力する。
機器番号受信部370は、機器番号通知信号を受け取り、機器番号通知信号に含まれる機器番号及び移動局の数を第2通信処理部320に出力する。
図6に示すように本実施の形態に係る無線LAN端末400は、RF部410と、ストリーム信号分離部420と、データ復調部430と、送信データ生成部440と、データ変調部450と、チャネル行列推定部460とを有する。
RF部410は、アンテナを介して受信した下り受信信号に無線受信処理を施して、ストリーム信号分離部420及びチャネル行列推定部460に出力する。
チャネル行列推定部460は、上記した中継システムを構成する移動局から送信されるパイロット信号(直交符号)に基づいてチャネル推定し、得られたチャネル推定行列を、ストリーム信号分離部420に出力すると共に、送信データ生成部440、データ変調部450、及びRF部410を介して送信する。
ストリーム信号分離部420は、チャネル行列推定部460で得られたチャネル推定行列を用いて、中継システムによってMIMO送信された信号を分離する。分離された信号は、それぞれ基地局装置100にて形成された部分送信データ系列に対応しており、データ復調部430に出力される。
データ復調部430は、ストリーム信号分離部420から受け取る分離信号をそれぞれ復調処理して複数のデータ系列を得ると共に、この複数のデータ系列を連結(送信データ生成部110における分割処理と逆の処理)してデータ系列を得る。
送信データ生成部440は、上り送信データ系列を生成してデータ変調部450に出力する。
データ変調部450は、上り送信データ系列に変調処理を施して、RF部410に出力する。
以上のように構成される基地局装置100、移動局200、300、及び無線LAN端末400から成る無線通信システムの動作について図7及び図8を参照して説明する。ここでは、中継システムを構築する移動局が4つの場合を例にとり説明する。
[中継システム構築の前処理]
マスタ端末である移動局200は、無線LAN通信を利用して、同じESSIDを持つ移動局300に対してIPアドレスを付与する。
すなわち、移動局200は、IPアドレス付与制御信号を送信し、このIPアドレス付与制御信号の応答信号としてIP付与要求信号を送信してきた移動局300に対してIPアドレスを付与する。付与されたIPアドレスは、IP通知信号によって移動局300に通知される。
こうして移動局200と移動局300とは、互いのIPアドレスを持ち合うことができ、これ以降、IPアドレスを用いて互いに通信することができる。
[中継システム構築処理]
マスタ端末である移動局200は、まず、IPアドレスを割り当てたすべての移動局300に対して、招集信号を送信する。そして、移動局200は、移動局300−1〜3が送信する参加表明信号を受信する。移動局200にて受信された参加表明信号の送信元移動局が、自局と共に中継システムを構築するスレーブ端末の候補(ここでは、移動局300−1〜3)となる。
ここで移動局300から移動局200への参加表明信号の送信は、無線LAN回線を通じて行われる。例えば、参加表明信号の送信は、CSCD(Carrier Sense Collision Detection:キャリアセンス衝突検出)方式によって行われる。通常、移動局200に近い移動端末300から順番に招集信号が受信されるので、参加表明信号の送信もその順番で行われる。このため、通常、この順番で機器番号も付与されることになる。
そして移動局200は、スレーブ端末候補の中からスレーブ端末(ここでは、移動局300−1〜3)を決定し、自局及びスレーブ端末に関する情報、すなわち中継システム情報を基地局装置100に送信する。こうして複数の移動局から柔軟に中継システムを構築することができるので、1つの移動局のみを中継局として選択する従来のシステムに比べて、安定的な通信を可能とする無線通信システムを実現することができる。
さらに、移動局200は、スレーブ端末(ここでは、移動局300−1〜3)に対してフレーム同期タイミング信号を送信する。スレーブ端末である移動局300が移動局200の送信タイミングに合わせて信号送信することにより、マスタ端末及びスレーブ端末の全体で下りMIMO送信を行うことができる。
[下り無線通信処理]
基地局装置100では、1つの送信データ系列から、中継システムを構成する移動局の数と同数の部分送信データ系列が形成され、部分送信データ系列から形成される並列な変調信号が多重される。各並列変調信号は、図7では、パケット1〜4として示されている。各並列変調信号は、互いに異なる移動局(ここでは、移動局200及び移動局300−1〜3)によって中継されて無線LAN端末400に伝送される。そのため、移動局が対応する変調信号を抽出できるように、基地局装置100は、複数の並列変調信号を分割多重(TDMA、FDMA、CDMAなど)する。また、基地局装置100と中継システムとの間の通信は、中継システムと無線LAN端末400との間の通信方式と異なる方式で行われる。
中継システムでは、移動局200、及び移動局300−1〜3のそれぞれが所望のパケットを受信処理し、さらにMIMO通信用のフレームに変換する。そして、移動局200、及び移動局300−1〜3は、互いにタイミングを合わせて、MIMO通信用のフレームを送信する。こうして中継システムによる下りMIMO送信が行われる。
無線LAN端末400では、中継システムから下りMIMO送信された信号を信号分離した後に、復調処理及び連結処理することにより受信データを得る。
こうして、複数の移動局でMIMO伝送を行う中継アクセスポイントを構築することができ、下り回線の通信速度を高速化することができる。一般にMIMO伝送では異なる送信アンテナ間の電力変動相関が低い程、高スループットを期待できる。本実施の形態によれば、MIMO伝送にかかるアンテナは基本的に異なる移動端末に設けられているため、各アンテナ間の距離は通信に利用するキャリアの波長より十分に長いことが予想される。従って、アンテナ間の電力変動相関は低くなるため、MIMO伝送を効率よく実現することができる。
[上り無線通信処理]
図8に示すように無線LAN端末400では、上り送信データ(同図では、パケット1〜4から成るストリーム1)が中継システムを構成する移動局200、及び移動局300−1〜3のすべてに対して送信される(SISO伝送)。
移動局200、移動局300−1〜3のそれぞれは、互いに異なるパケットを抽出して、抽出パケットを同期信号に基づくタイミングで、すなわち同期して送信する。ここで抽出パケットの選択は、上記したように、パケット番号と、機器番号通知信号に含まれている移動局の数とのモジュロ演算(剰余演算)が行なわれ、解が自身の機器番号と一致するIPパケットが選択される。
なお、移動局200及び移動局300−1〜3と、基地局装置100との間の通信にFDMA方式が適用される場合には、移動局200、移動局300−1〜3は、それぞれ異なる周波数でパケットを基地局装置100に対して送信する。また、CDMA方式が適用される場合には、移動局200、移動局300−1〜3は、それぞれ異なる拡散符号でパケットを拡散した後に、基地局装置100に対して送信する。
ところで、無線通信の特性上、IPパケットは、その一部が欠落する、又は、重複が発生する可能性がある。また、IPパケット番号と機器番号との照合ができないなどの理由により、IPパケットの一部が欠落する、又は、IPパケットが重複する可能性もある。この場合、UDPやTCPなどの通信プロトコル機能に依存する。この通信プロトコル機能によって、多くの場合、欠落したパケットに対しては再送処理が行われ、また、重複したパケットに対しては切り捨て処理が行われるので、上記した中継機能は保たれる。
一般的に無線LAN環境での通信スループットは移動通信網に比べて高いため、複数の移動通信端末にトラヒックを分散することで、より高速で安定した通信が可能となる。
このように本実施の形態によれば、中継システムを構成するマスタ端末である移動局(200)は同期信号を送信し、スレーブ端末である移動局(300)は同期信号を受信し、移動局(200)及び移動局(300)は、基地局装置(100)から送信されたデータを、同期信号に基づいて互いに送信タイミングを合わせて無線LAN端末(400)に送信する。こうすることにより、複数の移動局で柔軟に中継システムが構築されるので、従来の無線通信システムにて生じていた中継端末のRFリソースの数、及びその使用状況によって通信ができない状況を回避できる可能性を高くすることができる。よって、この中継システムを備えることにより、より安定的な通信を可能とする無線通信システムが実現される。
(実施の形態2)
本実施の形態では、中継システムを構成する移動局のすべてが無線LAN端末から送信されたストリームをそのまま基地局装置に同期して転送し、基地局装置が受信ストリームを最大比合成する。
図9に示すように無線LAN端末400では、上り送信データ(同図では、パケット1〜4から成るストリーム1)が中継システムを構成する移動局200、及び移動局300−1〜3のすべてに対して送信される(SISO伝送)。
移動局200、移動局300−1〜3のそれぞれは、受信ストリームを同期信号に基づくタイミングで、すなわち同期して送信する。なお、CDMA方式が適用される場合には、移動局200、及び移動局300−1〜3は、それぞれ異なる拡散符号でパケットを拡散した後に、基地局装置100に対して送信する。
基地局装置100では、受信ストリームを復調した後、最大比合成を行う。こうして、基地局装置100は最大比合成ダイバーシチを行うので、信号電力対雑音電力比(SNR)を大きくすることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、中継システムを構成する移動局のすべてが無線LAN端末から送信されたストリームをそのまま基地局装置に非同期で転送し、基地局装置が受信ストリームのうち最も品質の良いものを選択する。選択された受信ストリームは、基地局装置100と移動局200及び移動局300との間で用いられる通信方式における、上位層に受け渡され、その他の受信ストリームは廃棄される。
図9に示すように無線LAN端末400では、上り送信データ(同図では、パケット1〜4から成るストリーム1)が中継システムを構成する移動局200、及び移動局300−1〜3のすべてに対して送信される(SISO伝送)。
移動局200及び移動局300−1〜3のそれぞれは、受信ストリームを非同期で送信する。なお、移動局200及び移動局300−1〜3と、基地局装置100との間の通信にFDMA方式が適用される場合には、移動局200及び移動局300−1〜3は、それぞれ異なる周波数でパケットを基地局装置100に対して送信する。CDMA方式が適用される場合には、移動局200及び移動局300−1〜3は、それぞれ異なる拡散符号でパケットを拡散した後に、基地局装置100に対して送信する。
基地局装置100では、受信ストリームのうち最も品質の良いものが選択され、選択された受信ストリームが上位層で優先的に使用される。
本発明の中継システム及び無線通信システムは、より安定的な通信を可能とするものとして有用である。
本発明は、中継システム及び無線通信システムに関する。
基地局やアクセスポイントを必要とせず、無線で接続できる無線端末(パソコン、PDA、携帯電話等)のみで構成された自立分散型の無線ネットワークであるアドホックネットワークに関して、様々な場所で検討されてきている。アドホックネットワークは、アクセスポイント等のインフラ(Infrastructure)が存在しない場所でも簡易にネットワークを構築することができる。
また、無線通信の高速化を実現する技術として、MIMO(Multiple Input Multiple Output)通信がある。MIMOは、送信および受信にそれぞれ複数のアンテナを用いる空間多重伝送技術であり、複数のデータを複数のアンテナから同じ周波数で同時に送信する。MIMOでは、同時に送受信できるチャネルが増えるので、単位時間あたりの通信量が増加し、通信速度を向上させることができる。
上記アドホックネットワークにMIMO通信方式を適用させた無線通信システムが、例えば、特許文献1に開示されている。この無線通信システムでは、MIMO送受信機の余剰のアンテナリソースを効率よく活用して、MIMO通信方式のマルチホップ・ネットワークを実現している。
この無線通信システムにおける通信について、複数のアンテナを具備する端末A、B、C、Dが存在する場合を例にとり図1を参照して説明する。同図において、端末Aと端末Dとの間では、両端末が同一の通信エリア内に存在しているため、MIMO伝送が可能である一方で、端末Bと端末Cとの間では、両端末の通信エリアが異なるため、直接にMIMO伝送できない。そのため、端末B及び端末Cとの通信可能範囲にある端末Dに対する中継の依頼が行なわれる。端末Dは2つのアンテナをMIMO通信に使用しているので、残り1つのアンテナリソースを用いて中継可能である旨の了解応答を端末B及び端末Cに送信する。そして、端末Bを送信元、送信宛先を端末Cとするパケットが、端末Dを介して伝送される。
特開2006−148388号公報
しかしながら、上記した従来の無線通信システムにおいては、次のような場合には通信ができない。図2に示されるような状況において、端末Eが端末Dを経由して端末Fと通信を行おうとする場合、両端末E及びFとの通信可能範囲にある端末Dは、すでに他の端末と通信を行っており空きRFリソースがないため、端末Dを経由する通信が不可能となる。これは、中継点である端末を端末D以外の端末に変更しても同様に起こりうる。すなわち、従来の無線端末システムでは、中継端末のRFリソースの数、及びその使用状況に依存して通信の可否が決定されてしまう。
本発明の目的は、柔軟に構築可能な中継システム、及び、この中継システムを備えてより安定的な通信を可能とする無線通信システムを提供することである。
本発明の中継システムは、第1の無線通信システムに対応するインタフェースと第2の
無線通信システムに対応する無線インタフェースとを備える無線端末群から構成され、前記第1の無線通信システムと第2の無線通信システムとの間のデータ伝送を中継する中継システムであって、招集信号を送信し、前記招集信号に対する参加表明信号の送信元無線端末の中からスレーブ無線端末を選択し、当該スレーブ無線端末に同期信号を送信する中継マスタ無線端末と、前記招集信号に対応して前記参加表明信号を送信し、前記同期信号を受信する中継スレーブ無線端末と、を具備し、前記中継マスタ無線端末及び前記中継スレーブ無線端末は、前記第1の無線通信システムの送信元通信装置から送信されたデータを、前記同期信号に基づいて互いに送信タイミングを合わせて前記第2の無線通信システムの送信先通信装置に送信する構成を採る。
本発明の無線通信システムは、MIMO通信可能な無線LAN端末と、インターネット回線へのパスを提供する移動通信システムの基地局装置であって、前記無線LAN端末宛の送信データを複数の部分送信データに分割し、前記複数の部分送信データを前記移動通信システムの通信方式で分割多重送信する基地局装置と、前記移動通信システムの通信インタフェースと前記無線LANとの通信インタフェースを有し、受信データから互いに異なる部分送信データを抽出すると共に、前記抽出された部分送信データを無線LANの形式に変換した上で前記無線LAN端末へ同期して送信する無線端末群からなる中継システムと、を具備する構成を採る。
本発明によれば、任意の場所に柔軟に通信容量を増加できる無線LANアクセスポイントを構築可能な中継システム、及び、この中継システムを備えてより安定的な通信を可能とする無線通信システムを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図3に示す本実施の形態に係る基地局装置100は、第1の通信方式で後述する移動局200及び移動局300と通信を行う。ここでは、第1の通信方式として、IMT−2000で定められているWCDMA方式が適用される場合について説明するが、これに限定されるものではない。
図3に示すように本実施の形態に係る基地局装置(BS)100は、送信データ生成部110と、データ変調部120と、分割多重部130と、RF部140と、分離部150と、データ復調部160とを有する。
送信データ生成部110は、送信データ系列を生成する。さらに送信データ生成部110は、後述する移動局200から送信された中継システム情報に基づいて、中継システム情報中継局として選択された移動局の数と同数の部分送信データ系列に送信データ系列を分割する。得られた部分送信データ系列は、データ変調部120に送出される。
データ変調部120は、送信データ生成部110にて生成された部分送信データ系列に対して、予め定められた変調方式(例えば、BPSK、QPSKなど)で変調処理を行う。
分割多重部130は、IMTで指定された通信方式(FDMA、TDMA、CDMAなど)に応じて、部分送信データ系列を分割多重する。すなわち、各部分送信データ系列は異なる中継局で中継されるので、CDMA方式が採用される場合には、分割多重部130各部分送信データ系列を各中継局に割り当てられた互いに異なる拡散符号で拡散処理することにより、多重信号を生成する。
RF部140は、分割多重部130にて生成された多重信号に所定の無線処理を施して、得られた無線信号をアンテナを介して送信する。また、RF部140は、中継局から送信された無線信号に対し所定の無線受信処理を施して、得られた受信信号を分離部150に送出する。
分離部150は、RF部140にて得られた受信信号が多重信号(各中継局から送信された信号が分割多重された信号)であるため、受信信号を送信元中継局毎の信号に分離する。
データ復調部160は、分離された信号毎に復調処理を施すことにより受信データを得る。
図4に示す本実施の形態に係る中継局としての移動局(MS)200は、上記した第1の通信方式の他に、第2の通信方式で通信することができるように構成されている。ここでは、第2の通信方式として無線LAN方式が適用される場合について説明する。
図4に示すように移動局(MS)200は、WCDMA方式で基地局装置100と通信を行う第1通信処理部210と、無線LAN方式で後述する無線LAN端末400と通信を行う第2通信処理部220と、中継システム構築処理部230と、フレーム同期タイミング生成部240とを有する。
第1通信処理部210は、アンテナを介して受信した無線信号(基地局装置100から送信された下り回線の無線信号)に無線受信処理を施して、得られた受信信号を第2通信処理部220に出力する。第1通信処理部210は、送信信号(上り回線の送信信号)に所定の無線送信処理を施して、得られる無線信号をアンテナを介して送信する。
第1通信処理部210は、WCDMA方式で基地局装置100との間の送受信無線処理を行うRF部212と、変復調部214と、MAC部216と、IP処理部218とを有する。
第2通信処理部220は、アンテナを介して受信した無線信号(後述する無線LAN端末400から送信された上り回線の無線信号)に、フレーム同期タイミング信号に基づくタイミングで無線受信処理を施して、得られた受信信号を第1通信処理部210に出力する。第2通信処理部220は、自局の近傍に存在する移動局300から送信される参加表明信号(その移動局300のIPアドレス、未使用アンテナ数などを含む)を中継システ
ム構築処理部230に出力する。第2通信処理部220は、IPアドレス付与制御信号、中継システム構築処理部230から受け取る招集信号及び機器番号通知信号、並びに、フレーム同期タイミング信号に所定の無線送信処理をフレーム同期タイミング信号に基づくタイミングで施して、得られる無線信号をアンテナを介して送信する。
第2通信処理部220は、第1通信処理部210から受け取る下り回線の受信信号をMIMO通信用のフレームに変換する。第2通信処理部220は、MIMO通信用のフレームに、自機の機器番号(ここでは、ゼロ)に応じたパイロット信号を付加する。第2通信処理部220は、得られたフレームに所定の無線送信処理をフレーム同期タイミング信号に基づくタイミングで施して、得られる無線信号をアンテナを介して送信する。
第2通信処理部220は、無線LAN方式で無線LAN端末400との間の送受信無線処理を行うRF部222と、変復調部224と、MAC部226と、MIMOフレーム生成部228とを有する。IP処理部218は、第2通信処理部220の一部としても機能する。なお、上り通信の際には、MIMOフレーム生成部228は、特に処理を行わない。
中継システム構築処理部230は、IPアドレス付与制御信号を生成し、当該IPアドレス付与制御信号を無線LAN通信方式を用いて送信する。IPアドレス付与制御信号は、移動局200に対して割り当てられているESSID(Extended Service Set Identifier)、移動局200のIPアドレス、及び、MACアドレスにブロードキャスト値を含む。このIPアドレス付与制御信号が送信されることによって、中継システム構築処理部230は、無線LANで同じESSIDが割り当てられている移動局300からそれのBSSID(Basic Service Set Identifier)を含む応答信号であるIP付与要求信号を受け取ることができる。
中継システム構築処理部230は、IP付与要求信号を送信してきた移動局300に対してIPアドレスを割り当てると共に、その移動局300のBSSIDと、割り当てたIPアドレスとを含めたIP通知信号を生成する。中継システム構築処理部230は、生成したIP通知信号を無線LAN通信方式を用いて送信する。このIP通知信号が送信されることにより、これ以降、移動局200と移動局300とのIPアドレスを用いた通信が可能となる。
中継システム構築処理部230は、IPアドレスを割り当てたすべての移動局300(つまり、IP通知信号を送信したすべての移動局300)に対して、招集信号を送信すると共に、その招集信号に応答して送信されてくる参加表明信号を受け取る。招集信号には、宛先アドレスとして移動局300のIPアドレス、及び、送信元アドレスとして移動局200のIPアドレスが含まれる。
中継システム構築処理部230は、参加表明信号に基づいて自局がマスタ端末として機能する中継システムを構成するスレーブ端末を決定する。中継システム構築処理部230は、移動局200の機器番号をゼロとし、スレーブ端末に対して、参加表明信号を受け取った順番で連番の機器番号を順次付与する。中継システム構築処理部230は、各スレーブ端末に対して、機器番号及び中継システムを構築する全移動局の数(つまり、移動局200と全スレーブ端末の数)を含めた機器番号通知信号を送信する。
中継システム構築処理部230は、自局及び中継システムを構成するスレーブ端末に関する中継システム情報を第1通信処理部210を介して基地局装置100に送信する。
具体的には、中継システム構築処理部230は、DHCP(Dynamic Host Configurati
on Protocol)処理部232と、招集信号発信部234と、参加表明信号受信部236と、機器番号生成部238とを有する。
DHCP処理部232は、IPアドレス付与制御信号を生成し、当該IPアドレス付与制御信号を無線LAN通信方式を用いて送信する。DHCP処理部232は、IP付与要求信号を送信してきた移動局300に対してIPアドレスを割り当てると共に、その移動局300のBSSIDと、割り当てたIPアドレスとを含めたIP通知信号を生成する。
招集信号発信部234は、IPアドレスを割り当てたすべての移動局300に対して、招集信号を第2通信処理部220を介して送信する。
参加表明信号受信部236は、招集信号に対する応答として移動局300から送信されてくる参加表明信号を第2通信処理部220を介して受け取る。
機器番号生成部238は、参加表明信号受信部236から複数の参加表明信号を受け取り、複数の参加表明信号に対応する複数の移動局300の中から、中継システムを構成するスレーブ端末を決定すると共に、各スレーブ端末に対して機器番号を付与する。機器番号生成部238は、各スレーブ端末に対して機器番号通知信号を第2通信処理部220を介して送信する。
フレーム同期タイミング生成部240は、フレーム同期タイミング信号を生成し、第2通信処理部220に出力する。
図5に示す本実施の形態に係る中継局としての移動局(MS)300は、移動局200と同様に、第1の通信方式及び第2の通信方式で通信することができるように構成されている。
図5に示すように移動局(MS)300は、WCDMA方式で基地局装置100と通信を行う第1通信処理部310と、無線LAN方式で後述する無線LAN端末400と通信を行う第2通信処理部320と、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)クライアント処理部330と、招集信号受信部340と、参加表明信号生成部350と、フレーム同期信号受信部360と、機器番号受信部370とを有する。
第1通信処理部310は、アンテナを介して受信した無線信号(基地局装置100から送信された下り回線の無線信号)に無線受信処理を施して、得られた受信信号を第2通信処理部320に出力する。第1通信処理部310は、送信信号(上り回線の送信信号)に所定の無線送信処理を施して、得られる無線信号をアンテナを介して送信する。
第1通信処理部310は、WCDMA方式で基地局装置100との間の送受信無線処理を行うRF部312と、変復調部314と、MAC部316と、IP処理部318とを有する。
第2通信処理部320は、移動局200から送信されたIPアドレス付与制御信号を受信し、DHCPクライアント処理部330に出力する。第2通信処理部320は、DHCPクライアント処理部330から受け取るIP付与要求信号を移動局200に送信する。
第2通信処理部320は、移動局200から送信されたIP通知信号を受信し、DHCPクライアント処理部330に出力する。
第2通信処理部320は、移動局200から送信された招集信号を受信し、招集信号受
信部340に出力する。第2通信処理部320は、参加表明信号生成部350で生成された参加表明信号を受け取り、移動局200に送信する。第2通信処理部320は、移動局200から送信された機器番号通知信号を受信し、機器番号受信部370に出力する。
第2通信処理部320は、移動局200から送信されたフレーム同期タイミング信号を受信し、フレーム同期信号受信部360に出力する。
第2通信処理部320は、アンテナを介して受信した無線信号(後述する無線LAN端末400から送信された上り回線の無線信号)に、タイミング信号に基づくタイミングで無線受信処理を施す。そして、第2通信処理部320は、得られた受信パケットのうち特定のパケットについてIP処理(IPパケットの送信元アドレスを、移動局200から割り当てられたIPアドレスに置き換える処理を含む)を行った後、そのパケットを第1通信処理部310に渡す。ここで特定のパケットは次のように選択される。パケット番号と、機器番号通知信号に含まれている移動局の数とのモジュロ演算(剰余演算)が行なわれ、解が自身の機器番号と一致するIPパケットが選択される。
第2通信処理部320は、第1通信処理部310から受け取る下り回線の受信信号をMIMO通信用のフレームに変換する。第2通信処理部320は、MIMO通信用のフレームに、機器番号受信部370から受け取る機器番号に応じたパイロット信号(つまり、機器番号ごとにパイロット信号の信号系列が異なる)を付加する。第2通信処理部320は、得られたフレームに所定の無線送信処理をフレーム同期タイミング信号に基づくタイミングで施して、得られる無線信号をアンテナを介して送信する。
第2通信処理部320は、無線LAN方式で無線LAN端末400との間の送受信無線処理を行うRF部322と、変復調部324と、MAC部326と、MIMOフレーム生成部328とを有する。IP処理部318は、第2通信処理部320の一部としても機能する。なお、上り通信の際には、MIMOフレーム生成部328は、特に処理を行わない。
招集信号受信部340は、第2通信処理部320から招集信号を受け取り、参加表明信号生成部350に出力する。
参加表明信号生成部350は、招集信号を受け取ると参加表明信号を生成し、第2通信処理部320を介して移動局200に送信する。
フレーム同期信号受信部360は、フレーム同期タイミング信号を受け取り、この信号に応じたタイミング信号を第2通信処理部320に出力する。
機器番号受信部370は、機器番号通知信号を受け取り、機器番号通知信号に含まれる機器番号及び移動局の数を第2通信処理部320に出力する。
図6に示すように本実施の形態に係る無線LAN端末400は、RF部410と、ストリーム信号分離部420と、データ復調部430と、送信データ生成部440と、データ変調部450と、チャネル行列推定部460とを有する。
RF部410は、アンテナを介して受信した下り受信信号に無線受信処理を施して、ストリーム信号分離部420及びチャネル行列推定部460に出力する。
チャネル行列推定部460は、上記した中継システムを構成する移動局から送信されるパイロット信号(直交符号)に基づいてチャネル推定し、得られたチャネル推定行列を、
ストリーム信号分離部420に出力すると共に、送信データ生成部440、データ変調部450、及びRF部410を介して送信する。
ストリーム信号分離部420は、チャネル行列推定部460で得られたチャネル推定行列を用いて、中継システムによってMIMO送信された信号を分離する。分離された信号は、それぞれ基地局装置100にて形成された部分送信データ系列に対応しており、データ復調部430に出力される。
データ復調部430は、ストリーム信号分離部420から受け取る分離信号をそれぞれ復調処理して複数のデータ系列を得ると共に、この複数のデータ系列を連結(送信データ生成部110における分割処理と逆の処理)してデータ系列を得る。
送信データ生成部440は、上り送信データ系列を生成してデータ変調部450に出力する。
データ変調部450は、上り送信データ系列に変調処理を施して、RF部410に出力する。
以上のように構成される基地局装置100、移動局200、300、及び無線LAN端末400から成る無線通信システムの動作について図7及び図8を参照して説明する。ここでは、中継システムを構築する移動局が4つの場合を例にとり説明する。
[中継システム構築の前処理]
マスタ端末である移動局200は、無線LAN通信を利用して、同じESSIDを持つ移動局300に対してIPアドレスを付与する。
すなわち、移動局200は、IPアドレス付与制御信号を送信し、このIPアドレス付与制御信号の応答信号としてIP付与要求信号を送信してきた移動局300に対してIPアドレスを付与する。付与されたIPアドレスは、IP通知信号によって移動局300に通知される。
こうして移動局200と移動局300とは、互いのIPアドレスを持ち合うことができ、これ以降、IPアドレスを用いて互いに通信することができる。
[中継システム構築処理]
マスタ端末である移動局200は、まず、IPアドレスを割り当てたすべての移動局300に対して、招集信号を送信する。そして、移動局200は、移動局300−1〜3が送信する参加表明信号を受信する。移動局200にて受信された参加表明信号の送信元移動局が、自局と共に中継システムを構築するスレーブ端末の候補(ここでは、移動局300−1〜3)となる。
ここで移動局300から移動局200への参加表明信号の送信は、無線LAN回線を通じて行われる。例えば、参加表明信号の送信は、CSCD(Carrier Sense Collision Detection:キャリアセンス衝突検出)方式によって行われる。通常、移動局200に近い移動端末300から順番に招集信号が受信されるので、参加表明信号の送信もその順番で行われる。このため、通常、この順番で機器番号も付与されることになる。
そして移動局200は、スレーブ端末候補の中からスレーブ端末(ここでは、移動局300−1〜3)を決定し、自局及びスレーブ端末に関する情報、すなわち中継システム情報を基地局装置100に送信する。こうして複数の移動局から柔軟に中継システムを構築
することができるので、1つの移動局のみを中継局として選択する従来のシステムに比べて、安定的な通信を可能とする無線通信システムを実現することができる。
さらに、移動局200は、スレーブ端末(ここでは、移動局300−1〜3)に対してフレーム同期タイミング信号を送信する。スレーブ端末である移動局300が移動局200の送信タイミングに合わせて信号送信することにより、マスタ端末及びスレーブ端末の全体で下りMIMO送信を行うことができる。
[下り無線通信処理]
基地局装置100では、1つの送信データ系列から、中継システムを構成する移動局の数と同数の部分送信データ系列が形成され、部分送信データ系列から形成される並列な変調信号が多重される。各並列変調信号は、図7では、パケット1〜4として示されている。各並列変調信号は、互いに異なる移動局(ここでは、移動局200及び移動局300−1〜3)によって中継されて無線LAN端末400に伝送される。そのため、移動局が対応する変調信号を抽出できるように、基地局装置100は、複数の並列変調信号を分割多重(TDMA、FDMA、CDMAなど)する。また、基地局装置100と中継システムとの間の通信は、中継システムと無線LAN端末400との間の通信方式と異なる方式で行われる。
中継システムでは、移動局200、及び移動局300−1〜3のそれぞれが所望のパケットを受信処理し、さらにMIMO通信用のフレームに変換する。そして、移動局200、及び移動局300−1〜3は、互いにタイミングを合わせて、MIMO通信用のフレームを送信する。こうして中継システムによる下りMIMO送信が行われる。
無線LAN端末400では、中継システムから下りMIMO送信された信号を信号分離した後に、復調処理及び連結処理することにより受信データを得る。
こうして、複数の移動局でMIMO伝送を行う中継アクセスポイントを構築することができ、下り回線の通信速度を高速化することができる。一般にMIMO伝送では異なる送信アンテナ間の電力変動相関が低い程、高スループットを期待できる。本実施の形態によれば、MIMO伝送にかかるアンテナは基本的に異なる移動端末に設けられているため、各アンテナ間の距離は通信に利用するキャリアの波長より十分に長いことが予想される。従って、アンテナ間の電力変動相関は低くなるため、MIMO伝送を効率よく実現することができる。
[上り無線通信処理]
図8に示すように無線LAN端末400では、上り送信データ(同図では、パケット1〜4から成るストリーム1)が中継システムを構成する移動局200、及び移動局300−1〜3のすべてに対して送信される(SISO伝送)。
移動局200、移動局300−1〜3のそれぞれは、互いに異なるパケットを抽出して、抽出パケットを同期信号に基づくタイミングで、すなわち同期して送信する。ここで抽出パケットの選択は、上記したように、パケット番号と、機器番号通知信号に含まれている移動局の数とのモジュロ演算(剰余演算)が行なわれ、解が自身の機器番号と一致するIPパケットが選択される。
なお、移動局200及び移動局300−1〜3と、基地局装置100との間の通信にFDMA方式が適用される場合には、移動局200、移動局300−1〜3は、それぞれ異なる周波数でパケットを基地局装置100に対して送信する。また、CDMA方式が適用される場合には、移動局200、移動局300−1〜3は、それぞれ異なる拡散符号でパ
ケットを拡散した後に、基地局装置100に対して送信する。
ところで、無線通信の特性上、IPパケットは、その一部が欠落する、又は、重複が発生する可能性がある。また、IPパケット番号と機器番号との照合ができないなどの理由により、IPパケットの一部が欠落する、又は、IPパケットが重複する可能性もある。この場合、UDPやTCPなどの通信プロトコル機能に依存する。この通信プロトコル機能によって、多くの場合、欠落したパケットに対しては再送処理が行われ、また、重複したパケットに対しては切り捨て処理が行われるので、上記した中継機能は保たれる。
一般的に無線LAN環境での通信スループットは移動通信網に比べて高いため、複数の移動通信端末にトラヒックを分散することで、より高速で安定した通信が可能となる。
このように本実施の形態によれば、中継システムを構成するマスタ端末である移動局(200)は同期信号を送信し、スレーブ端末である移動局(300)は同期信号を受信し、移動局(200)及び移動局(300)は、基地局装置(100)から送信されたデータを、同期信号に基づいて互いに送信タイミングを合わせて無線LAN端末(400)に送信する。こうすることにより、複数の移動局で柔軟に中継システムが構築されるので、従来の無線通信システムにて生じていた中継端末のRFリソースの数、及びその使用状況によって通信ができない状況を回避できる可能性を高くすることができる。よって、この中継システムを備えることにより、より安定的な通信を可能とする無線通信システムが実現される。
(実施の形態2)
本実施の形態では、中継システムを構成する移動局のすべてが無線LAN端末から送信されたストリームをそのまま基地局装置に同期して転送し、基地局装置が受信ストリームを最大比合成する。
図9に示すように無線LAN端末400では、上り送信データ(同図では、パケット1〜4から成るストリーム1)が中継システムを構成する移動局200、及び移動局300−1〜3のすべてに対して送信される(SISO伝送)。
移動局200、移動局300−1〜3のそれぞれは、受信ストリームを同期信号に基づくタイミングで、すなわち同期して送信する。なお、CDMA方式が適用される場合には、移動局200、及び移動局300−1〜3は、それぞれ異なる拡散符号でパケットを拡散した後に、基地局装置100に対して送信する。
基地局装置100では、受信ストリームを復調した後、最大比合成を行う。こうして、基地局装置100は最大比合成ダイバーシチを行うので、信号電力対雑音電力比(SNR)を大きくすることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、中継システムを構成する移動局のすべてが無線LAN端末から送信されたストリームをそのまま基地局装置に非同期で転送し、基地局装置が受信ストリームのうち最も品質の良いものを選択する。選択された受信ストリームは、基地局装置100と移動局200及び移動局300との間で用いられる通信方式における、上位層に受け渡され、その他の受信ストリームは廃棄される。
図9に示すように無線LAN端末400では、上り送信データ(同図では、パケット1〜4から成るストリーム1)が中継システムを構成する移動局200、及び移動局300−1〜3のすべてに対して送信される(SISO伝送)。
移動局200及び移動局300−1〜3のそれぞれは、受信ストリームを非同期で送信する。なお、移動局200及び移動局300−1〜3と、基地局装置100との間の通信にFDMA方式が適用される場合には、移動局200及び移動局300−1〜3は、それぞれ異なる周波数でパケットを基地局装置100に対して送信する。CDMA方式が適用される場合には、移動局200及び移動局300−1〜3は、それぞれ異なる拡散符号でパケットを拡散した後に、基地局装置100に対して送信する。
基地局装置100では、受信ストリームのうち最も品質の良いものが選択され、選択された受信ストリームが上位層で優先的に使用される。
本発明の中継システム及び無線通信システムは、より安定的な通信を可能とするものとして有用である。
アドホックネットワークにMIMO通信方式を適用させた従来の無線通信システムの説明に供する図 アドホックネットワークにMIMO通信方式を適用させた従来の無線通信システムの説明に供する他の図 本発明の実施の形態1に係る基地局装置の構成を示すブロック図 実施の形態1に係る移動局(中継マスタ端末)の構成を示すブロック図 実施の形態1に係る移動局(中継スレーブ端末)の構成を示すブロック図 実施の形態1に係る無線LAN端末の構成を示すブロック図 実施の形態1に係る無線通信システムの動作(下り伝送)説明に供する図 実施の形態1に係る無線通信システムの動作(上り伝送)説明に供する図 実施の形態2に係る無線通信システムの動作(上り伝送)説明に供する図

Claims (3)

  1. MIMO通信可能な無線LAN端末と、
    インターネット回線へのパスを提供する移動通信システムの基地局装置であって、前記無線LAN端末宛の送信データを複数の部分送信データに分割し、前記複数の部分送信データを前記移動通信システムの通信方式で分割多重送信する基地局装置と、
    前記移動通信システムの通信インタフェースと前記無線LANとの通信インタフェースを有し、受信データから互いに異なる部分送信データを抽出すると共に、前記抽出された部分送信データを無線LANの形式に変換した上で前記無線LAN端末へ同期して送信する無線端末群からなる中継システムと、
    を具備する無線通信システム。
  2. 前記中継システムは、1つの中継マスタ無線端末と、それ以外の中継スレーブ無線端末とからなり、前記中継マスタ無線端末が前記中継スレーブ無線端末に同期信号を送信することにより、送信タイミングを合わせる、請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 第1の無線通信システムに対応するインタフェースと第2の無線通信システムに対応する無線インタフェースとを備える無線端末群から構成され、前記第1の無線通信システムと第2の無線通信システムとの間のデータ伝送を中継する中継システムであって、
    招集信号を送信し、前記招集信号に対する参加表明信号の送信元無線端末の中からスレーブ無線端末を選択し、当該スレーブ無線端末に同期信号を送信する中継マスタ無線端末と、
    前記招集信号に対応して前記参加表明信号を送信し、前記同期信号を受信する中継スレーブ無線端末と、を具備し、
    前記中継マスタ無線端末及び前記中継スレーブ無線端末は、前記第1の無線通信システムの送信元通信装置から送信されたデータを、前記同期信号に基づいて互いに送信タイミングを合わせて前記第2の無線通信システムの送信先通信装置に送信する、中継システム。
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