上述したように、特許文献2の排気装置では、排気ガス導入管と第1の排気ガス導出管の間の隙間を排気ガスが通るか否かによって、排気装置から排気ガスが大気中へ排出される際に通る通路の断面積が変化する。従って、この排気装置では、製品毎の性能差を小さくするために、排気ガス導入管と第1の排気ガス導出管の間隔を正確に管理する必要がある。
ところが、特許文献2に開示された排気装置において、排気ガス導入管は外筒の一端部に固定される一方、第1の排気ガス導出管は外筒の他端部に固定されている。このため、この排気装置では、外筒の一端部に接合された排気ガス導入管の先端と、外筒の他端部に接合された第1の排気ガス導出管の基端との位置関係を正確に設定するのが困難であり、製品毎の性能のバラツキを低く抑えるのが困難であるという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、弁などの機械的な手段を用いずに排気ガスの流通抵抗を調節可能な排気装置について、製品毎の性能差を小さくしてその信頼性を向上させることにある。
第1の発明は、内燃機関の排気装置に関するものである。そして、円管状に形成されて基端側から内燃機関の排気ガスが流入する外側排気管(21,41,61)と、外径が上記外側排気管の内径よりも小さい円管状に形成されて上記外側排気管(21,41,61)の先端へ挿入される内側排気管(22,42,62)と、上記外側排気管(21,41,61)の内周面と上記内側排気管(22,42,62)の外周面の間隔を全周に亘って一定とするために上記外側排気管(21,41,61)と上記内側排気管(22,42,62)の間に設けられる間隔保持用部材(30,50,70)と、上記外側排気管(21,41,61)の内周面と上記内側排気管(22,42,62)の外周面の間に形成された筒状隙間(23,43,63)を上記外側排気管(21,41,61)の外部と連通させるための連通用開口(24,44,64)とを備えるものである。
第1の発明では、外側排気管(21,41,61)の先端に内側排気管(22,42,62)の基端が挿入され、外側排気管(21,41,61)の内周面と内側排気管(22,42,62)の外周面との間に筒状隙間(23,43,63)が形成される。この筒状隙間(23,43,63)は、連通用開口(24,44,64)を介して外側排気管(21,41,61)の外側の空間と連通している。外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間には間隔保持用部材(30,50,70)が設けられており、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間隔が間隔保持用部材(30,50,70)によって一定に保たれる。このため、筒状隙間(23,43,63)の幅(即ち、その径方向における厚み)は、外側排気管(21,41,61)及び内側排気管(22,42,62)の全周に亘って実質的に一定となる。
第1の発明の排気装置(10)では、内側排気管(22,42,62)の先端と連通用開口(24,44,64)の一方から排気ガスが流出する状態と、内側排気管(22,42,62)の先端と連通用開口(24,44,64)の両方から排気ガスが流出する状態とが、外側排気管(21,41,61)の基端へ流れ込む排気ガスの流量に応じて切り換わる。つまり、この排気装置(10)において、排気ガスの流量が比較的少ない場合は、内側排気管(22,42,62)の先端と連通用開口(24,44,64)の一方から排気ガスが流出する一方、排気ガスの流量が比較的多い場合は、内側排気管(22,42,62)の先端と連通用開口(24,44,64)の両方から排気ガスが流出する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記間隔保持用部材(30,50,70)は、上記筒状隙間(23,43,63)へ挿入されて上記外側排気管(21,41,61)の内周面と上記内側排気管(22,42,62)の外周面の両方と接するものである。
第2の発明では、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ挿入された間隔保持用部材(30,50,70)が、外側排気管(21,41,61)の内周面と内側排気管(22,42,62)の外周面の両方と接している。つまり、この発明の排気装置(10)において、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間隔は、両者の間へ挿入された間隔保持用部材(30,50,70)の厚さと実質的に等しくなる。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記間隔保持用部材(30,50,70)は、上記外側排気管(21,41,61)の先端側から上記筒状隙間(23,43,63)へ挿入されるものである。
第3の発明において、間隔保持用部材(30,50,70)は、外側排気管(21,41,61)に対してその先端側から差し込まれ、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の両方に接する。つまり、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成された筒状隙間(23,43,63)へは、外側排気管(21,41,61)の先端側から間隔保持用部材(30,50,70)が挿入される。
第4の発明は、上記第3の発明において、上記間隔保持用部材(30,50,70)は、外径が上記外側排気管(21,41,61)の内径と等しくて内径が上記内側排気管(22,42,62)の外径と等しい円管状に形成されて上記筒状隙間(23,43,63)へ挿入される円管部(31,51,71)を備える一方、上記外側排気管(21,41,61)では、該外側排気管(21,41,61)へ挿入された上記内側排気管(22,42,62)と重なる部分に上記筒状隙間(23,43,63)と連通する貫通孔が形成されており、上記貫通孔が上記連通用開口(24,44,64)を構成しているものである。
第4の発明では、間隔保持用部材(30,50,70)に円管部(31,51,71)が設けられる。この円管部(31,51,71)は、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ外側排気管(21,41,61)の先端側から挿入される。円管部(31,51,71)は、その外周面が外側排気管(21,41,61)の内周面と接し、その内周面が内側排気管(22,42,62)の外周面と接する。このため、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成された筒状隙間(23,43,63)は、外側排気管(21,41,61)の先端付近の部分が円管部(31,51,71)によって塞がれる。
第4の発明の外側排気管では、その外側排気管(21,41,61)へ挿入された内側排気管(22,42,62)と重なり合った部分に、貫通孔が形成されている。円管部によって塞がれた筒状隙間(23,43,63)は、この貫通孔を介して外側排気管(21,41,61)の外側と連通する。つまり、この発明の排気装置(10)では、外側排気管(21,41,61)に形成された貫通孔が連通用開口(24,44,64)となっている。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記間隔保持用部材(30,50,70)では、外径が上記外側排気管(21,41,61)の内径よりも大きい円環状に形成された環状突起部(32,52,72)が、上記円管部(31,51,71)の先端部に連続して形成されており、上記環状突起部(32,52,72)が上記外側排気管(21,41,61)の先端面に当接するものである。
第5の発明では、間隔保持用部材(30,50,70)に円管部(31,51,71)と環状突起部(32,52,72)とが設けられる。環状突起部(32,52,72)は、円管部(31,51,71)の先端部に連続して形成されると共に、その外径が外側排気管(21,41,61)の内径よりも大きくなっている。間隔保持用部材(30,50,70)の円管部(31,51,71)を外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ挿入した状態において、間隔保持用部材(30,50,70)の環状突起部(32,52,72)は、外側排気管(21,41,61)の外部に露出し、外側排気管(21,41,61)の先端面に当接する。
第6の発明は、上記第3の発明において、上記間隔保持用部材(30,50,70)は、外径が上記外側排気管(21,41,61)の内径と等しくて内径が上記内側排気管(22,42,62)の外径と等しい円管状に形成される一方、上記間隔保持用部材(30,50,70)には、該間隔保持用部材(30,50,70)の基端から該間隔保持用部材(30,50,70)の軸方向へ延びる切り欠き(33,53,73)が形成されており、上記間隔保持用部材(30,50,70)は、上記切り欠き(33,53,73)の一部分だけが上記外側排気管(21,41,61)に覆われるように、該間隔保持用部材(30,50,70)の基端側から上記筒状隙間(23,43,63)へ挿入されており、上記切り欠き(33,53,73)のうち上記外側排気管(21,41,61)に覆われていない部分が上記連通用開口(24,44,64)を構成するものである。
第6の発明では、円管状に形成された間隔保持用部材(30,50,70)に切り欠き(33,53,73)が形成される。この間隔保持用部材(30,50,70)には、切り欠き(33,53,73)が形成されている。この切り欠き(33,53,73)は、間隔保持用部材(30,50,70)の周方向の一部分を、間隔保持用部材(30,50,70)の基端からその軸方向へ所定の長さに亘って切除することによって形成されている。間隔保持用部材(30,50,70)は、その外径が外側排気管(21,41,61)の内径と等しく、その内径が内側排気管(22,42,62)の外径と等しい。このため、間隔保持用部材(30,50,70)の基端側の部分のうち切除されずに残っている非切除部分(35,55,75)は、その外側面の曲率半径が外側排気管(21,41,61)の内径の半分と等しく、その内側面の曲率半径が内側排気管(22,42,62)の外径の半分と等しい。外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間には、間隔保持用部材(30,50,70)の非切除部分(35,55,75)が外側排気管(21,41,61)の先端側から挿入される。間隔保持用部材(30,50,70)は、非切除部分(35,55,75)の外側面が外側排気管(21,41,61)の内周面と接し、非切除部分(35,55,75)の内側面が内側排気管(22,42,62)の外周面と接する。
第6の発明において、間隔保持用部材(30,50,70)に形成された切り欠き(33,53,73)は、その一部分が外側排気管(21,41,61)に覆われ、残りの部分が外側排気管(21,41,61)の外部に露出している。このため、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成された筒状隙間(23,43,63)は、間隔保持用部材(30,50,70)に形成された切り欠き(33,53,73)を介して、外側排気管(21,41,61)の外部に連通する。つまり、この発明の排気装置(10)では、間隔保持用部材(30,50,70)に形成された切り欠き(33,53,73)のうち外側排気管(21,41,61)に覆われていない部分が、連通用開口(24,44,64)となっている。
第7の発明は、上記第1から第6までの何れか一つの発明において、管状に形成されて内側面が上記外側排気管(21,41,61)の外周面と間隔をおいて対面する管状部材(18)を備えるものである。
第7の発明では、排気装置(10)に管状部材(18)が設けられる。管状部材(18)の内側面は、外側排気管(21,41,61)の外周面と向かい合っている。また、管状部材(18)の内側面と外側排気管(21,41,61)の外周面とは互いに離れており、両者の間には空間が形成される。つまり、この発明の排気装置(10)では、外側排気管(21,41,61)の周囲が管状部材(18)によって囲われている。そして、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成された筒状隙間(23,43,63)へ流入した排気ガスは、管状部材(18)の内側の空間へ、連通用開口(24,44,64)を通って流出する。
第8の発明は、上記第7の発明において、上記外側排気管(21,41)のうち上記連通用開口(24,44)よりも該外側排気管(21,41)の基端寄りの部分と上記管状部材(18)との間を塞ぐ閉塞用部材(218)を備えるものである。
第8の発明では、管状部材(18)と共に閉塞用部材(218)が排気装置(10)に設けられる。閉塞用部材(218)は、外側排気管(21,41)のうち連通用開口(24,44)よりも外側排気管(21,41)の基端寄りの部分と管状部材(18)との間を塞いでいる。つまり、管状部材(18)の内側の空間は、連通用開口(24,44)よりも外側排気管(21,41)の基端寄りの位置で閉塞用部材(218)によって塞がれている。管状部材(18)の閉塞用部材(218)とは反対側の端部は、開口端となっている。
第9の発明は、上記第1から第6までの何れか一つの発明において、それぞれが一つずつの上記外側排気管(21,41,61)と上記内側排気管(22,42,62)と上記間隔保持用部材(30,50,70)とで構成され、且つそれぞれが上記連通用開口(24,44,64)を有する複数の排気管ユニット(20,40,60)を備え、複数の上記排気管ユニット(20,40,60)は、それぞれの外側排気管(21,41,61)及び内側排気管(22,42,62)が同軸上に位置するように一列に配置されるものである。
第9の発明において、隣り合った二つの上記排気管ユニット(20,40)では、下流側の排気管ユニット(40)を構成する内側排気管(42)の内径が、上流側の排気管ユニット(20)の内側排気管(22)の内径よりも小さくなり、下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)の内径が、上流側の排気管ユニット(20)の内側排気管(22)の外径と等しくなり、上流側の排気管ユニット(20)を構成する内側排気管(22)の先端が、下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)の基端へ挿入され、下流側の排気管ユニット(40)の内側排気管(42)の基端と上流側の排気管ユニット(20)の内側排気管(22)の先端との間に隙間が形成される。
第10の発明は、上記第4又は第6の発明において、それぞれが一つずつの上記外側排気管(21,41,61)と上記内側排気管(22,42,62)と上記間隔保持用部材(30,50,70)とで構成され、且つそれぞれが上記連通用開口(24,44,64)を有する複数の排気管ユニット(20,40,60)を備え、複数の上記排気管ユニット(20,40,60)は、それぞれの外側排気管(21,41,61)及び内側排気管(22,42,62)が同軸上に位置するように一列に配置されるものである。
第10の発明において、隣り合った二つの上記排気管ユニット(20,40)では、下流側の排気管ユニット(40)を構成する内側排気管(42)の内径が、上流側の排気管ユニット(20)を構成する内側排気管(22)の内径よりも小さくなり、下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)の内径が、上流側の排気管ユニット(20)の外側排気管(21)の内径よりも小さく且つ上流側の排気管ユニット(20)の内側排気管(22)の内径よりも大きくなり、上流側の排気管ユニット(20)を構成する内側排気管(22)の先端が、下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)の基端へ挿入され、下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)と内側排気管(42)の間に形成された筒状隙間(43)が、上流側の排気管ユニット(20)を構成する内側排気管(22)の内側の空間と連通している。
また、第10の発明において、隣り合った二つの上記排気管ユニット(20,40)では、下流側の排気管ユニット(40)の外側排気管(41)と上流側の排気管ユニット(20)の間隔保持用部材(30)とが一体に形成される。
第9,第10の各発明では、排気装置(10)に複数の排気管ユニット(20,40,60)が設けられる。各排気管ユニット(20,40,60)は、一つずつの外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)と間隔保持用部材(30,50,70)とによって構成されている。また、各排気管ユニット(20,40,60)には、連通用開口(24,44,64)が設けられている。複数の排気管ユニット(20,40,60)は、それぞれの外側排気管(21,41,61)及び内側排気管(22,42,62)が同軸上に位置するように一列に並べられる。
第9の発明において、隣り合った二つの排気管ユニット(20,40)では、下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)の内径が、上流側の排気管ユニット(20)を構成する内側排気管(22)の外径と等しくなっている。上流側の排気管ユニット(20)では、内側排気管(22)の外径が外側排気管(21)の内径よりも小さくなっている。従って、下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)の内径は、上流側の排気管ユニット(20)を構成する外側排気管(21)の内径よりも小さくなっている。つまり、この発明では、排気ガスの流れの下流側に配置された排気管ユニット(40,60)ほど、外側排気管(41,61)及び内側排気管(42,62)の内径が小さくなっている。
また、第9の発明において、下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)の基端には、上流側の排気管ユニット(20)を構成する内側排気管(22)の先端が挿入される。下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)の内側では、上流側の排気管ユニット(20)を構成する内側排気管(22)の先端と、下流側の排気管ユニット(40)を構成する内側排気管(42)の基端とが向かい合い、両者の間に隙間が形成される。
第10の発明では、排気ガスの流れの下流側に配置された排気管ユニット(40,60)ほど、外側排気管(41,61)及び内側排気管(42,62)の内径が小さくなっている。この発明において、隣り合った二つの排気管ユニット(20,40)では、下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)の内径が、上流側の排気管ユニット(20)の外側排気管(21)の内径よりも小さく、しかも上流側の排気管ユニット(20)の内側排気管(22)の内径よりも大きくなっている。
また、第10の発明において、隣り合った二つの排気管ユニット(20,40)では、下流側の排気管ユニット(40)を構成する外側排気管(41)の基端に、上流側の排気管ユニット(20)を構成する内側排気管(22)の先端が挿入される。下流側の排気管ユニット(40)では、外側排気管(41)と内側排気管(42)の間に筒状隙間(43)が形成される。この下流側の排気管ユニット(40)に形成された筒状隙間(43)は、上流側の排気管ユニット(20)を構成する内側排気管(22)の内側の空間と連通する。このため、上流側の排気管ユニット(20)の内側排気管(22)を通過した排気ガスは、下流側の排気管ユニット(40)に形成された筒状隙間(43)へ流入し得る。
更に、第10の発明では、上流側の排気管ユニット(20)の間隔保持用部材(30)が、下流側の排気管ユニット(40)の外側排気管(41)と一体に形成されている。つまり、隣り合った二つの排気管ユニット(20,40)において、上流側の排気管ユニット(20)の間隔保持用部材(30)と、下流側の排気管ユニット(40)の外側排気管(41)とは、互いに一体不可分な一つの部材によって構成されている。
第11の発明は、上記第1から第6までの何れか一つの発明において、それぞれが一つずつの上記外側排気管(21,41,61)と上記内側排気管(22,42,62)と上記間隔保持用部材(30,50,70)とで構成され、且つそれぞれが上記連通用開口(24,44,64)を有する複数の排気管ユニット(20,40,60)を備え、複数の上記排気管ユニット(20,40,60)は、それぞれの外側排気管(21,41,61)及び内側排気管(22,42,62)が同軸上に位置するように一列に配置される一方、管状に形成されて内側面が全ての上記外側排気管(21,41,61)の外周面と間隔をおいて対面する管状部材(18)を備えるものである。
第11の発明では、排気装置(10)に複数の排気管ユニット(20,40,60)が設けられる。各排気管ユニット(20,40,60)は、一つずつの外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)と間隔保持用部材(30,50,70)とによって構成されている。また、各排気管ユニットには、連通用開口(24,44,64)が設けられている。複数の排気管ユニット(20,40,60)は、それぞれの外側排気管(21,41,61)及び内側排気管(22,42,62)が同軸上に位置するように一列に並べられる。
第11の発明では、排気装置(10)に管状部材(18)が設けられる。管状部材(18)の内側面は、全ての外側排気管(21,41,61)の外周面と向かい合っている。また、管状部材(18)の内側面と各外側排気管(21,41,61)の外周面とは互いに離れており、両者の間には空間が形成される。つまり、この発明の排気装置(10)では、全ての排気管ユニット(20,40,60)の周囲が管状部材(18)によって囲われている。そして、排気管ユニット(20,40,60)において、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成された筒状隙間(23,43,63)へ流入した排気ガスは、連通用開口(24,44,64)を通って管状部材(18)の内側の空間へ流出する。
本発明の排気装置(10)では、内側排気管(22,42,62)の先端と連通用開口(24,44,64)の一方から排気ガスが流出する状態と、内側排気管(22,42,62)の先端と連通用開口(24,44,64)の両方から排気ガスが流出する状態とが、外側排気管(21,41,61)の基端へ流れ込む排気ガスの流量に応じて切り換わる。このため、本発明によれば、弁などの機械的な手段を用いずに、排気ガスが排気装置(10)から流出する際に通る通路の断面積を調節することができる。その結果、排気装置(10)における排気ガスの流通抵抗を排気ガスの流量に応じた適正な値に設定することが可能となり、排気ガスの排出に伴う内燃機関の損失を削減することができる。
更に、本発明の排気装置(10)では、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に設けられた間隔保持用部材(30,50,70)によって、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間隔が全周に亘って一定に保たれている。このため、本発明によれば、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間隔を容易に且つ確実に一定に保つことができ、製品毎の性能差を小さくして排気装置(10)の信頼性を向上させることができる。
上記第2の発明では、間隔保持用部材(30,50,70)が外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ挿入されており、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間隔が間隔保持用部材(30,50,70)の厚さと実質的に等しくなる。このため、この発明の排気装置(10)では、その厚さが一定となるように間隔保持用部材(30,50,70)の寸法精度を管理することによって、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成される筒状隙間(23,43,63)の厚みを管理することができる。従って、この発明によれば、製品毎における筒状隙間(23,43,63)の厚みの差を容易に且つ確実に抑えることができ、製品毎の性能差を容易に且つ確実に小さくすることができる。
上記第3の発明において、間隔保持用部材(30,50,70)は、外側排気管(21,41,61)に対してその先端側から挿入される。つまり、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成された筒状隙間(23,43,63)へは、外側排気管(21,41,61)の先端側から間隔保持用部材(30,50,70)が挿入される。従って、この発明では、外側排気管(21,41,61)の基端側から筒状隙間(23,43,63)へ流入する排気ガスの流れを阻害することなく、間隔保持用部材(30,50,70)によって外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間隔を保持できる。
上記第4の発明では、間隔保持用部材(30,50,70)の円管部(31,51,71)が、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ挿入されている。そして、円管部(31,51,71)は円管状に形成されているため、円管部(31,51,71)の外周面が全周に亘って外側排気管(21,41,61)の内周面と接し、円管部(31,51,71)の内周面が全周に亘って内側排気管(22,42,62)の外周面と接する。従って、この発明によれば、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間隔を円管部(31,51,71)によって確実に一定に保つことができ、筒状隙間(23,43,63)の厚みを容易に且つ確実に一定に保つことができる。
上記第5の発明では、間隔保持用部材(30,50,70)に円管部(31,51,71)と環状突起部(32,52,72)とが設けられる。そして、円管部(31,51,71)が外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ挿入された状態では、環状突起部(32,52,72)が外側排気管(21,41,61)の先端面に当接する。つまり、この発明の排気装置(10)を組み立てる場合には、環状突起部(32,52,72)が外側排気管(21,41,61)の先端面に当たるまで円管部(31,51,71)を筒状隙間(23,43,63)へ差し込めば、外側排気管(21,41,61)と間隔保持用部材(30,50,70)の相対的な位置関係が一義的に定まることになる。従って、この発明によれば、外側排気管(21,41,61)に対する間隔保持用部材(30,50,70)の位置決めを容易に且つ確実に行うことが可能となり、排気装置(10)の組み立てに要する労力や時間を削減できる。
上記第6の発明では、切り欠き(33,53,73)の形成された間隔保持用部材(30,50,70)が、切り欠き(33,53,73)の一部が外側排気管(21,41,61)から露出するように、その基端側から外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ挿入されている。そのため、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成された筒状隙間(23,43,63)は、間隔保持用部材(30,50,70)に形成された切り欠き(33,53,73)を介して外側排気管(21,41,61)の外部と連通する。このように、この発明によれば、間隔保持用部材(30,50,70)のうち切り欠き(33,53,73)が形成された部分を外側排気管(21,41,61)へ挿入することによって、筒状隙間(23,43,63)を外側排気管(21,41,61)の外部と連通させることができる。
ところで、本発明の排気装置(10)において、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成された筒状隙間(23,43,63)へ流れ込んだ排気ガスは、連通用開口(24,44,64)から吹き出される。このため、連通用開口(24,44,64)の付近に空気の流れが存在すると、連通用開口(24,44,64)から吹き出す排気ガスの流れが空気の流れによって阻害され、排気装置(10)の性能に悪影響が及ぶ可能性がある。特に、本発明の排気装置(10)が内燃機関と共に自動車に搭載されている場合は、自動車の走行に伴って連通用開口(24,44,64)の付近に空気の流れが生じるため、それに起因する排気装置(10)の性能低下を招く可能性が高い。
それに対し、上記第7,第8,及び第11の各発明の排気装置(10)では、外側排気管(21,41,61)の周囲が管状部材(18)によって囲われており、連通用開口(24,44,64)の付近に空気の流れが生じにくくなっている。従って、これらの発明によれば、連通用開口(24,44,64)を通過する排気ガスの流れが連通用開口(24,44,64)の付近に存在する空気の流れから受ける影響を削減でき、連通用開口(24,44,64)付近での空気の流れに起因する排気装置(10)の性能低下を抑えることができる。
特に、上記第8の発明において、管状部材(18)は、その基端側の端部が閉塞用部材(218)によって塞がれ、その先端側の端部だけが開口端となっている。従って、この発明によれば、連通用開口(24,44,64)の付近における空気の流れを確実に抑えることができ、連通用開口(24,44,64)付近での空気の流れに起因する排気装置(10)の性能低下を一層小さく抑えることができる。
上記第9,第10,及び第11の発明の排気装置(10)では、複数の排気管ユニット(20,40,60)が一列に接続されている。従って、これらの発明によれば、排気ガスが排気装置(10)から大気中へ排出される際に通過する通路の断面積を、多段階に変化させることができる。
この点について、排気装置(10)に3つの排気管ユニット(20,40,60)が設けられている場合を例に説明する。この場合、排気装置(10)において排気ガスが流出可能な箇所は、最上流に設けられた排気管ユニット(20)の連通用開口(24)と、中間に設けられた排気管ユニット(40)の連通用開口(44)と、最下流に設けられた排気管ユニット(60)の連通用開口(64)と、最下流に設けられた排気管ユニット(60)の内側排気管(62)の先端の四箇所である。そして、この場合の排気装置(10)では、排気ガスの流量が少ない時は上記四箇所のうちの一箇所だけから排気ガスが流出し、排気ガスの流量が増えるにつれて排気ガスの流出する箇所が増えてゆき、最終的には上記四箇所の全てから排気ガスが流出する状態となる。つまり、この場合の排気装置(10)では、排気ガスが排気装置(10)から大気中へ排出される際に通過する通路の断面積が、四段階に変化する。
このように、上記第9,第10,及び第11の各発明によれば、排気ガスが排気装置(10)から大気中へ排出される際に通過する通路の断面積を、排気管ユニット(20,40,60)の数に「1」を足した段階だけ変化させることができる。従って、これらの発明によれば、排気ガスが排気装置(10)から排出される際の流通抵抗を、排気ガスの流量に応じてきめ細かく調節することができる。
また、上記第10の発明では、上流側の排気管ユニット(20)の間隔保持用部材(30)が、下流側の排気管ユニット(40)の外側排気管(41)と一体に形成されている。このため、排気装置(10)を構成する部品の数を削減することができ、排気装置(10)の構造を簡素化することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態の排気装置(10)は、乗用車用のものである。また、この排気装置(10)は、排気量が2000cc程度のレシプロエンジン(内燃機関)を対象としたものである。
図1に示すように、本実施形態の排気装置(10)は、消音器(211)と、背圧調節器(15)とを備えている。この排気装置(10)は、エンジンから延びる排気管の終端に接続されている。
〈消音器の構造〉
消音器(211)について、図1を参照しながら説明する。消音器(211)は、両端が閉塞された筒状の外筒(215)と、外筒(215)の内部空間に収容された内管(220)とを備えている。外筒(215)の材質と内管(220)の材質は、何れもステンレス鋼である。
外筒(215)は、本体筒(216)と、入口側閉塞部材(217)と、出口側閉塞部材(218)とによって構成されている。本体筒(216)は、両端が開口した円筒状の部材である。この外筒(215)は、その外径が180mm程度となっており、その長さが400mm程度となっている。入口側閉塞部材(217)は、平坦な円板状に形成されており、その外径が本体筒(216)の外径と等しくなっている。出口側閉塞部材(218)は、本体筒(216)の前端側から後端側(図1における左端側から右端側)へ向かって直径が拡大する円錐状に形成されている。本体筒(216)には、その前端(図1における左端)を塞ぐように入口側閉塞部材(217)が溶接され、その後端(同図における右端)を塞ぐように出口側閉塞部材(218)が溶接される。入口側閉塞部材(217)と出口側閉塞部材(218)は、それぞれの軸心が本体筒(216)の軸心と実質的に一致している。
内管(220)は、真っ直ぐな円管である。内管(220)では、その内側の空間が内管(220)の一端から他端に亘って連続する一つの通路となっており、この通路内を排気ガスが流れる。本実施形態の内管(220)は、その内径が約40mmとなっている。内管(220)の内径は、内管(220)の全長に亘って一定である。
内管(220)は、その軸心が外筒(215)の軸心と実質的に一致する姿勢で外筒(215)内に設けられている。内管(220)の入口端は、外筒(215)の入口側閉塞部材(217)を貫通して外筒(215)の外部へ延出している。一方、内管(220)の出口端は、出口側閉塞部材(218)の中央部に形成された貫通孔に嵌り込み、出口側閉塞部材(218)に接合している。この内管(220)は、第1排気管ユニット(20)の第1外側排気管(21)と一体に形成されている。この第1外側排気管(21)は、内管(220)の出口端に連続するように形成されている。なお、排気管ユニット(20,40,60)の詳細については、後述する。
内管(220)の側面には、多数の側面貫通孔(231〜234)が開口している。具体的に、内管(220)では、第1穿孔領域(221)と、第2穿孔領域(222)と、第3穿孔領域(223)と、第4穿孔領域(224)とが、内管(220)の入口端(図1における左端)から出口端(同図における右端)へ向かって順に一列に並んで形成されている。各穿孔領域(221〜224)の長さは、互いに同じ値になっている。
各穿孔領域(221〜224)では、内管(220)の側面(即ち、外周面)に多数の側面貫通孔(231〜234)が規則的に開口している。具体的に、各穿孔領域(221〜224)では、複数の側面貫通孔(231〜234)が、内管(220)の周方向と軸方向へ規則的に形成されている。各穿孔領域(221〜224)における側面貫通孔(231〜234)の配置は、隣接する二つの側面貫通孔(231〜234)の中心間距離が一定となる千鳥配列になっている。
内管(220)では、各穿孔領域(221〜224)に開口する側面貫通孔(231〜234)の直径が互いに相違している。この内管(220)では、その出口端に近い穿孔領域(221〜224)ほど、そこに開口する側面貫通孔(231〜234)の直径が小さくなっている。また、この内管(220)では、その出口端に近い穿孔領域(221〜224)ほど、隣接する二つの側面貫通孔(231〜234)の中心間距離(即ち、側面貫通孔(231〜234)のピッチ)が狭くなっている。
内管(220)において、第1穿孔領域(221)よりも内管(220)の入口端寄り(図1の左端寄り)の領域は、複数の連通孔(235)が規則的に形成された連通用領域(225)となっている。この連通孔(235)は、内管(220)を貫通する円形の孔である。
内管(220)の入口端には、継手部材(246)が挿入されている。この継手部材(246)は、比較的短い真っ直ぐな円管であって、その外径が内管(220)の内径と実質的に等しくなっている。また、継手部材(246)の一端(図1における左端部)は、他の部分に比べて外径と内径が拡大した拡径部(247)となっている。図示しないが、この拡径部(247)には、エンジンから延びる排気管が接続される。
内管(220)には、三つの円錐板(241〜243)が取り付けられている。各円錐板(241〜243)の形状は、外筒(215)の出口側閉塞部材(218)の形状と実質的に同じである。具体的に、各円錐板(241〜243)は、内管(220)の入口端側から出口端側(図1における左端側から右端側)へ向かって直径が拡大する円錐状に形成されており、内管(220)と同軸に配置されている。各円錐板(241〜243)では、小径側の端部(同図における左端部)の内径が内管(220)の外径と実質的に等しくなっており、この小径側の端部が内管(220)に溶接されている。また、各円錐板(241〜243)では、大径側の端部(同図における右端部)の外径が外筒(215)の本体筒(216)の内径と実質的に等しくなっており、この大径側の端部が本体筒(216)の内周面と接している。
三つの円錐板(241〜243)は、内管(220)の軸方向に互いに等間隔で配置されている。第1円錐板(241)の小径側の端部は、第1穿孔領域(221)と連通用領域(225)の境界付近に接合されている。第2円錐板(242)の小径側の端部は、第2穿孔領域(222)の途中の部分に接合されている。第3円錐板(243)の小径側の端部は、第3穿孔領域(223)の途中の部分に接合されている。
消音器(211)では、外筒(215)の内部空間のうち内管(220)の外側の空間(212)は、内部に何も充填されていない空虚な空間(即ち、空洞)となっている。つまり、この消音器(211)では、外筒(215)と内管(220)の間に形成された空間(212)にグラスウール等の吸音材は充填されていない。また、消音器(211)では、外筒(215)内の空間(212)が三つの円錐板(241〜243)によって仕切られている。
〈背圧調節器の構造〉
背圧調節器(15)について、図2,図3を参照しながら説明する。背圧調節器(15)は、三つの排気管ユニット(20,40,60)を備えている。また、背圧調節器(15)には、管状部材である遮風管(18)が設けられている。
三つの排気管ユニット(20,40,60)は、一直線上に配置されている。具体的に、背圧調節器(15)では、排気ガスの流れの上流側から下流側へ向かって順に、第1排気管ユニット(20)と、第2排気管ユニット(40)と、第3排気管ユニット(60)とが設けられている。各排気管ユニット(20,40,60)は、外側排気管(21,41,61)と、内側排気管(22,42,62)と、間隔保持用部材であるスペーサー部材(30,50,70)とによって構成されている。外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)は、それぞれが真っ直ぐな円管状に形成されている。一方、スペーサー部材(30,50,70)は、リング状あるいは短い円管状に形成されている。外側排気管(21,41,61)、内側排気管(22,42,62)、及びスペーサー部材(30,50,70)の材質は、何れもステンレス鋼である。
各排気管ユニット(20,40,60)を構成する外側排気管(21,41,61)、内側排気管(22,42,62)、及びスペーサー部材(30,50,70)は、それら全てが同軸上に配置されている。また、後述するように、各排気管ユニット(20,40,60)に設けられた外側排気管(21,41,61)及び内側排気管(22,42,62)の内径は、排気ガスの流れの下流側に配置されたものほど小さくなっている。
各スペーサー部材(30,50,70)は、円管部(31,51,71)と環状突起部(32,52,72)とを備えている。円管部(31,51,71)は、比較的短い円管状に形成されている。環状突起部(32,52,72)は、円管部(31,51,71)の先端部(図3における右端部)に連続して形成されている。この環状突起部(32,52,72)は、円管部(31,51,71)の全周に亘って形成されており、円管部(31,51,71)の先端部の側面から外側へ突出している。つまり、環状突起部(32,52,72)の外径は、円管部(31,51,71)の外径よりも大きくなっている。
第1排気管ユニット(20)は、第1外側排気管(21)と、第1内側排気管(22)と、第1スペーサー部材(30)とを一つずつ備えている。
第1外側排気管(21)は、その内径が消音器(211)の内管(220)の内径よりも小さくなり、その外径が内管(220)の外径よりも小さくなっている。第1外側排気管(21)は、消音器(211)の内管(220)と同軸上に配置されている。また、第1外側排気管(21)の基端(図3における左端)は、内管(220)の出口端(同図における右端)に連続している。
第1内側排気管(22)は、その内径が第1外側排気管(21)の内径よりも小さくなり、その外径が第1外側排気管(21)の外径よりも小さくなっている。第1内側排気管(22)は、第1外側排気管(21)と同軸上に配置されている。また、第1内側排気管(22)の基端(図3における左端)は、第1外側排気管(21)の内側へ、第1外側排気管(21)の先端側から挿入されている。第1内側排気管(22)は、その基端が第1外側排気管(21)の軸方向の中央付近に位置し、その先端(同図における右端)が第1外側排気管(21)の先端から突出している。
第1内側排気管(22)のうち第1外側排気管(21)へ挿入された部分の外周面と第1外側排気管(21)の内周面との間には、円筒状の第1筒状隙間(23)が形成されている。第1筒状隙間(23)の幅(即ち、第1内側排気管(22)の外周面と第1外側排気管(21)の内周面の距離)は、その全長に亘って一定となると共に、第1内側排気管(22)及び第1外側排気管(21)の全周に亘って一定となっている。
第1スペーサー部材(30)の円管部(31)は、その内径が第1内側排気管(22)の外径と等しくなり、その外径が第1外側排気管(21)の内径と等しくなっている。また、第1スペーサー部材(30)の環状突起部(32)は、その外径が第1外側排気管(21)の内径よりも大きくなっている。第1スペーサー部材(30)は、その円管部(31)が第1筒状隙間(23)へ第1外側排気管(21)の先端側から挿入されている。この状態において、第1スペーサー部材(30)の円管部(31)は、その内周面が全周に亘って第1内側排気管(22)の外周面と接し、その外周面が全周に亘って第1外側排気管(21)の内周面と接する。従って、第1筒状隙間(23)は、その先端側(図3における右端側)の部分が円管部(31)によって閉塞される。また、この状態において、第1スペーサー部材(30)の環状突起部(32)は、第1外側排気管(21)の先端から露出しており、その端面が第1外側排気管(21)の先端面に当接している。
第1外側排気管(21)には、第1連通用開口(24)が形成されている。第1連通用開口(24)は、第1外側排気管(21)の先端寄りの部分に形成された円形の貫通孔である。この第1外側排気管(21)では、複数の第1連通用開口(24)が、第1外側排気管(21)の周方向に一列に並んで形成されている。複数の第1連通用開口(24)は、第1外側排気管(21)の周方向へ等間隔に配置されている。第1外側排気管(21)において、第1連通用開口(24)は、第1スペーサー部材(30)の円管部(31)の基端(図3における左端)よりも僅かに第1外側排気管(21)の基端寄りに設けられている。つまり、第1連通用開口(24)は、第1外側排気管(21)のうち第1内側排気管(22)と重なり合う部分に形成され、第1筒状隙間(23)の先端(同図における右端)付近に連通している。
第2排気管ユニット(40)は、第2外側排気管(41)と、第2内側排気管(42)と、第2スペーサー部材(50)とを一つずつ備えている。
第2外側排気管(41)は、その内径が第1内側排気管(22)の外径と等しくなり、その外径が第1外側排気管(21)の外径よりも小さくなっている。第2外側排気管(41)は、第1外側排気管(21)及び第1内側排気管(22)と同軸上に配置されている。この第2外側排気管(41)には、その基端側(図3における左端側)から第1内側排気管(22)の先端部が挿入されている。第2外側排気管(41)の基端は、第1スペーサー部材(30)の先端面に当接している。
第2内側排気管(42)は、その内径が第1内側排気管(22)の内径よりも小さくなり、その外径が第2外側排気管(41)の内径よりも小さくなっている。また、第2内側排気管(42)の外径は、第1内側排気管(22)の内径と等しくなっている。第2内側排気管(42)は、第2外側排気管(41)と同軸上に配置されている。第2内側排気管(42)の基端(図3における左端)は、第2外側排気管(41)の内側へ、第2外側排気管(41)の先端側から挿入されている。第2内側排気管(42)の基端は、第2外側排気管(41)の軸方向の中央よりもやや基端(同図における左端)寄りに位置している。第2内側排気管(42)の基端面は、第1内側排気管(22)の先端面から所定の距離だけ離れている。第2内側排気管(42)の先端(同図における右端)は、第2外側排気管(41)の先端から突出している。
第2内側排気管(42)のうち第2外側排気管(41)へ挿入された部分の外周面と第2外側排気管(41)の内周面との間には、円筒状の第2筒状隙間(43)が形成されている。第2筒状隙間(43)の幅(即ち、第2内側排気管(42)の外周面と第2外側排気管(41)の内周面の距離)は、その全長に亘って一定となると共に、第2内側排気管(42)及び第2外側排気管(41)の全周に亘って一定となっている。上述したように、第1内側排気管(22)の先端面(図3における右端面)と第2内側排気管(42)の基端面(同図における左端面)との間には、隙間が設けられている。このため、第2筒状隙間(43)は、第1内側排気管(22)の内側の空間に連通している。
第2スペーサー部材(50)の円管部(51)は、その内径が第2内側排気管(42)の外径と等しくなり、その外径が第2外側排気管(41)の内径と等しくなっている。また、第2スペーサー部材(50)の環状突起部(52)は、その外径が第2外側排気管(41)の内径よりも大きくなっている。第2スペーサー部材(50)は、その円管部(51)が第2筒状隙間(43)へ第2外側排気管(41)の先端側から挿入されている。この状態において、第2スペーサー部材(50)の円管部(51)は、その内周面が全周に亘って第2内側排気管(42)の外周面と接し、その外周面が全周に亘って第2外側排気管(41)の内周面と接する。従って、第2筒状隙間(43)は、その先端側(図3における右端側)の部分が円管部(51)によって閉塞される。また、この状態において、第2スペーサー部材(50)の環状突起部(52)は、第2外側排気管(41)の先端から露出しており、その端面が第2外側排気管(41)の先端面に当接している。
第2外側排気管(41)には、第2連通用開口(44)が形成されている。第2連通用開口(44)は、第2外側排気管(41)の先端寄りの部分に形成された円形の貫通孔である。この第2外側排気管(41)では、複数の第2連通用開口(44)が、第2外側排気管(41)の周方向に一列に並んで形成されている。複数の第2連通用開口(44)は、第2外側排気管(41)の周方向へ等間隔に配置されている。第2外側排気管(41)において、第2連通用開口(44)は、第2スペーサー部材(50)の円管部(51)の基端(図3における左端)よりも僅かに第2外側排気管(41)の基端寄りに設けられている。つまり、第2連通用開口(44)は、第2外側排気管(41)のうち第2内側排気管(42)と重なり合う部分に形成され、第2筒状隙間(43)の先端(同図における右端)付近に連通している。
第3排気管ユニット(60)は、第3外側排気管(61)と、第3内側排気管(62)と、第3スペーサー部材(70)とを一つずつ備えている。
第3外側排気管(61)は、その内径が第2内側排気管(42)の外径と等しくなり、その外径が第2外側排気管(41)の外径よりも小さくなっている。第3外側排気管(61)は、第2外側排気管(41)及び第2内側排気管(42)と同軸上に配置されている。具体的に、第3外側排気管(61)は、第2内側排気管(42)のうち第2外側排気管(41)の先端から突出した部分に取り付けられている。つまり、第3外側排気管(61)には、その基端側(図3における左端側)から第2内側排気管(42)の先端部が挿入されている。また、第3外側排気管(61)は、その基端面が第2スペーサー部材(50)の先端面に当接している。
第3内側排気管(62)は、その内径が第2内側排気管(42)の内径よりも小さくなり、その外径が第3外側排気管(61)の内径よりも小さくなっている。また、第3内側排気管(62)の外径は、第2内側排気管(42)の内径と等しくなっている。第3内側排気管(62)は、第3外側排気管(61)と同軸上に配置されている。第3内側排気管(62)の基端(図3における左端)は、第3外側排気管(61)の内側へ、第3外側排気管(61)の先端側から挿入されている。第3内側排気管(62)の基端は、第3外側排気管(61)の軸方向の中央よりもやや基端(同図における左端)寄りに位置している。第3内側排気管(62)の基端面は、第2内側排気管(42)の先端面から所定の距離だけ離れている。第3内側排気管(62)の基端面と第2内側排気管(42)の先端面の間隔は、第2内側排気管(42)の基端面と第1内側排気管(22)の先端面の間隔と等しくなっている。第3内側排気管(62)の先端(同図における右端)は、第2外側排気管(41)の先端から突出している。
第3内側排気管(62)のうち第3外側排気管(61)へ挿入された部分の外周面と第3外側排気管(61)の内周面との間には、円筒状の第3筒状隙間(63)が形成されている。第3筒状隙間(63)の幅(即ち、第3内側排気管(62)の外周面と第3外側排気管(61)の内周面の距離)は、その全長に亘って一定となると共に、第3内側排気管(62)及び第3外側排気管(61)の全周に亘って一定となっている。上述したように、第2内側排気管(42)の先端面(図3における右端面)と第3内側排気管(62)の基端面(同図における左端面)との間には、隙間が設けられている。このため、第3筒状隙間(63)は、第2内側排気管(42)の内側の空間に連通している。
第3スペーサー部材(70)の円管部(71)は、その内径が第3内側排気管(62)の外径と等しくなり、その外径が第3外側排気管(61)の内径と等しくなっている。また、第3スペーサー部材(70)の環状突起部(72)は、その外径が第3外側排気管(61)の内径よりも大きくなっている。第3スペーサー部材(70)は、その円管部(71)が第3筒状隙間(63)へ第3外側排気管(61)の先端側から挿入されている。この状態において、第3スペーサー部材(70)の円管部(71)は、その内周面が全周に亘って第3内側排気管(62)の外周面と接し、その外周面が全周に亘って第3外側排気管(61)の内周面と接する。従って、第3筒状隙間(63)は、その先端側(図3における右端側)の部分が円管部(71)によって閉塞される。また、この状態において、第3スペーサー部材(70)の環状突起部(72)は、第3外側排気管(61)の先端から露出しており、その端面が第3外側排気管(61)の先端面に当接している。
第3外側排気管(61)には、第3連通用開口(64)が形成されている。第3連通用開口(64)は、第3外側排気管(61)の先端寄りの部分に形成された円形の貫通孔である。この第3外側排気管(61)では、複数の第3連通用開口(64)が、第3外側排気管(61)の周方向に一列に並んで形成されている。複数の第3連通用開口(64)は、第3外側排気管(61)の周方向へ等間隔に配置されている。第3外側排気管(61)において、第3連通用開口(64)は、第3スペーサー部材(70)の円管部(71)の基端(図3における左端)よりも僅かに第3外側排気管(61)の基端寄りに設けられている。つまり、第3連通用開口(64)は、第3外側排気管(61)のうち第3内側排気管(62)と重なり合う部分に形成され、第3筒状隙間(63)の先端(同図における右端)付近に連通している。
遮風管(18)は、ステンレス鋼製の真っ直ぐな円管である。遮風管(18)は、全ての排気管ユニット(20,40,60)の周囲を囲むように設けられている。具体的に、遮風管(18)の軸心は、各排気管ユニット(20,40,60)を構成する外側排気管(21,41,61)及び内側排気管(22,42,62)の軸心と概ね一致している。また、この遮風管(18)は、その基端(図3における左端)が出口側閉塞部材(218)に接合されている。
遮風管(18)の内径は、第1外側排気管(21)の外径よりも大きくなっている。第1外側排気管(21)は、三つの外側排気管(21,41,61)のうちで最も大径である。従って、遮風管(18)の内周面(即ち、その内側面)は、全ての外側排気管(21,41,61)の外周面と、所定の間隔をおいて対面している。つまり、遮風管(18)の内周面は、全ての外側排気管(21,41,61)に形成された連通用開口(24,44,64)と向かい合っている。
更に、遮風管(18)の内径は、遮風管(18)の内周面と各外側排気管(21,41,61)の外周面との距離が充分に確保されるように、第1外側排気管(21)の外径よりもある程度大きな値に設定されている。遮風管(18)の内径をこのような値に設定するのは、各連通用開口(24,44,64)から流出する排気ガスの流れが遮風管(18)によって阻害されるのを防ぐ必要があるからである。
遮風管(18)の長さは、全ての排気管ユニット(20,40,60)の全体が遮風管(18)によって覆われるような値に設定されている。このため、図3において、遮風管(18)の右端(先端)は、第3内側排気管(62)の右端(先端)よりも更に右側に位置している。
遮風管(18)は、その先端(同図における右端)だけが開口端となっており、その基端は出口側閉塞部材(218)によって塞がれている。つまり、本実施形態では、消音器(211)の外筒(215)を構成する出口側閉塞部材(218)が、遮風管(18)の基端を塞ぐための閉塞用部材を兼ねている。
−消音器の騒音低減作用−
消音器(211)の騒音低減作用について、図1を参照しながら説明する。
エンジンから排出された排気ガスは、排気管(80)を通って消音器(211)へ流入する。排気管(80)から消音器(211)へ流入した排気ガスは、内管(220)の内側の空間へ流入する。内管(220)内へ流入した排気ガスは、連通用領域(225)と、第1穿孔領域(221)と、第2穿孔領域(222)と、第3穿孔領域(223)と、第4穿孔領域(224)とを順に通過し、その間に消音される。
連通用領域(225)や各穿孔領域(221〜224)では、そこを流れる排気ガスの圧力変動が連通孔(235)や側面貫通孔(231〜234)を通って内管(220)の外部へ伝わる。排気ガスの一部は連通孔(235)や側面貫通孔(231〜234)を通って内管(220)の外側の空間(212)へ流入する際に膨張するため、それによって排気ガスの圧力変動が減衰する。
上述したように、内管(220)に形成された各穿孔領域(221〜224)では、排気ガスの流れの下流側に位置するものほど、そこに形成された側面貫通孔(231〜234)の直径が小さくなっている。一方、側面貫通孔(231〜234)を通過できる音波の周波数は、側面貫通孔(231〜234)が大きくなるほど低くなる。このため、排気ガスが内管(220)内を通過する過程において、排気ガスの圧力変動は、そのうち周波数の低い成分から順に減衰させられてゆく。
更に、本実施形態の消音器(211)では、外筒(215)と内管(220)の間の空間(212)に円錐板(241〜243)が設けられている。そして、円錐板(241〜243)の作用によって、外筒(215)と内管(220)の間の空間(212)へ伝わった排気ガスの圧力変動の減衰が促進される。
つまり、側面貫通孔(231〜234)を通過して内管(220)の外側へ出た音波は、円錐板(241〜243)の内周面に当たって反射され、その進行方向が変更される。このため、内管(220)の外側へ出た音波は、側面貫通孔(231〜234)を通って再び内管(220)の内側へ戻りにくくなる。更に、内管(220)の外側の空間(212)では、音波が円錐板(241〜243)に当たって反射するため、様々な方向へ進む音波が存在することになる。このため、内管(220)の外側の空間(212)では、互いに進行方向の異なる音波同士が干渉して打ち消し合うことによっても音波が減衰される。
−背圧調節器の背圧調節作用−
背圧調節器(15)の背圧調節作用について、図4〜図7を参照しながら説明する。
図4は、エンジンがアイドリング状態(エンジンの回転数が毎分600回転前後の状態)の場合における背圧調節器(15)での排気ガスの流れを示したものである。つまり、同図に示す排気ガスの流れは、エンジンから排出される排気ガスの流量が最も低い状態におけるものである。
図4に示すように、排気ガスの流量が実質的に最も少ない状態では、第1排気管ユニット(20)に形成された第1連通用開口(24)だけから排気ガスが流出する。つまり、消音器(211)の内管(220)から第1外側排気管(21)へ流入した排気ガスは、第1筒状隙間(23)へ流れ込み、第1連通用開口(24)を通って大気中へ放出される。
また、この状態では、各内側排気管(22,42,62)の内側の空間と、第2筒状隙間(43)及び第3筒状隙間(63)とが、負圧状態(即ち、大気圧よりも圧力が低い状態)となる。このため、背圧調節器(15)では、第3内側排気管(62)の先端、第3連通用開口(64)、及び第2連通用開口(44)へ空気が吸い込まれる。
第3内側排気管(62)の先端へ吸い込まれた空気は、第3内側排気管(62)の先端から基端側へ向かって流れ、第2内側排気管(42)へ流入する。第3連通用開口(64)へ吸い込まれた空気は、第3筒状隙間(63)を通って第2内側排気管(42)へ流入する。第2内側排気管(42)へ流入した空気は、第2内側排気管(42)の先端から基端側へ向かって流れ、第1内側排気管(22)へ流入する。第2連通用開口(44)へ吸い込まれた空気は、第2筒状隙間(43)を通って第1内側排気管(22)へ流入する。第1内側排気管(22)へ流入した空気は、第1内側排気管(22)の先端から基端側へ向かって流れ、その後に排気ガスと合流して第1筒状隙間(23)へ流入し、第1連通用開口(24)を通って第1外側排気管(21)の外部へ流出してゆく。
図4に示す状態では、エンジンの回転数が上昇して排気ガスの流量が次第に増えてゆくのにつれて、第1連通用開口(24)から流出する排気ガスの流量が次第に増えると同時に、第2連通用開口(44)へ吸い込まれる空気の流量が次第に減少してゆく。そして、排気ガスの流量がある程度以上に達すると、図5に示すように、第1連通用開口(24)と第2連通用開口(44)の両方から排気ガスが流出する状態となる。
図5に示す状態において、消音器(211)の内管(220)から第1外側排気管(21)へ流入した排気ガスは、その一部が第1筒状隙間(23)を通って第1連通用開口(24)から大気中へ放出され、残りが第1内側排気管(22)を通過後に第2筒状隙間(43)を通って第2連通用開口(44)から大気中へ放出される。
この状態においても、第2内側排気管(42)及び第3内側排気管(62)の内側の空間と、第3筒状隙間(63)とは、依然として負圧状態となる。このため、背圧調節器(15)では、第3内側排気管(62)の先端及び第3連通用開口(64)へ空気が吸い込まれる。
第3内側排気管(62)の先端へ吸い込まれた空気と、第3連通用開口(64)へ吸い込まれた空気とは、それぞれ図4に示す状態と同様に流れて第2内側排気管(42)へ流入する。第2内側排気管(42)へ流入した空気は、第2内側排気管(42)の先端から基端側へ向かって流れ、第1内側排気管(22)を通過した排気ガスと合流して第2筒状隙間(43)へ流入し、第2連通用開口(44)を通って第2外側排気管(41)の外部へ流出してゆく。
図5に示す状態では、エンジンの回転数が上昇して排気ガスの流量が次第に増えてゆくのにつれて、第1連通用開口(24)及び第2連通用開口(44)から流出する排気ガスの流量が次第に増えると同時に、第3連通用開口(64)へ吸い込まれる空気の流量が次第に減少してゆく。そして、排気ガスの流量がある程度以上に達すると、図6に示すように、第1連通用開口(24)と第2連通用開口(44)だけでなく第3連通用開口(64)からも排気ガスが流出する状態となる。
この図6に示す状態において、消音器(211)の内管(220)から第1外側排気管(21)へ流入した排気ガスは、その一部が第1筒状隙間(23)を通って第1連通用開口(24)から大気中へ放出され、残りが第1内側排気管(22)へ流れ込む。第1内側排気管(22)を通過した排気ガスは、その一部が第2筒状隙間(43)を通って第2連通用開口(44)から大気中へ放出され、残りが第2内側排気管(42)を通過後に第3筒状隙間(63)を通って第3連通用開口(64)から大気中へ放出される。
この状態においても、第3内側排気管(62)の内側の空間は、依然として負圧状態となる。このため、背圧調節器(15)では、第3内側排気管(62)の先端へ空気が吸い込まれる。
第3内側排気管(62)の先端へ吸い込まれた空気は、第3内側排気管(62)の先端から基端側へ向かって流れ、第2内側排気管(42)を通過した排気ガスと合流して第3筒状隙間(63)へ流入し、第3連通用開口(64)を通って第2外側排気管(41)の外部へ流出してゆく。
図6に示す状態では、エンジンの回転数が上昇して排気ガスの流量が次第に増えてゆくのにつれて、第1連通用開口(24)、第2連通用開口(44)、及び第3連通用開口(64)から流出する排気ガスの流量が次第に増えると同時に、第3内側排気管(62)の先端へ吸い込まれる空気の流量が次第に減少してゆく。そして、排気ガスの流量がある程度以上に達すると、図7に示すように、第1連通用開口(24)、第2連通用開口(44)、第3連通用開口(64)、及び第3内側排気管(62)の先端から排気ガスが流出する状態となる。
この図7に示す状態において、消音器(211)の内管(220)から第1外側排気管(21)へ流入した排気ガスは、その一部が第1筒状隙間(23)を通って第1連通用開口(24)から大気中へ放出され、残りが第1内側排気管(22)へ流入する。第1内側排気管(22)を通過した排気ガスは、その一部が第2筒状隙間(43)を通って第2連通用開口(44)から大気中へ放出され、残りが第2内側排気管(42)へ流れ込む。第2内側排気管(42)へ流入した排気ガスは、その一部が第3筒状隙間(63)を通って第3連通用開口(64)から大気中へ放出され、残りが第3内側排気管(62)を通過して第3内側排気管(62)の先端から大気中へ放出される。
このように、本実施形態の背圧調節器(15)において、排気ガスが大気中へ放出され得る箇所は、第1連通用開口(24)、第2連通用開口(44)、第3連通用開口(64)、及び第3内側排気管(62)の先端の四箇所である。そして、この背圧調節器(15)では、消音器(211)から第1外側排気管(21)へ送り込まれる排気ガスの流量が増えるに従って、排気ガスが大気中へ放出される箇所が増えてゆく。つまり、この背圧調節器(15)では、背圧調節器(15)へ流入する排気ガスの流量が多くなるほど、背圧調節器(15)から排気ガスが大気中へ放出される際に通過する通路の断面積が大きくなる。
このため、本実施形態の背圧調節器(15)では、排気ガスの流量が変化しても、そこを排気ガスが通過する際の流通抵抗はそれ程変化しない。従って、この背圧調節器(15)を排気管に接続すれば、エンジンの回転数に拘わらず(即ち、排気ガスの流量に拘わらず)エンジンの背圧が概ね一定に保たれる。
−実施形態1の効果−
上述したように、本実施形態の排気装置(10)には背圧調節器(15)が設けられており、背圧調節器(15)には三つの排気管ユニット(20,40,60)が設けられている。そして、この背圧調節器(15)では、第1連通用開口(24)だけから排気ガスが流出する状態(図4に示す状態)と、第1連通用開口(24)と第2連通用開口(44)の二箇所から排気ガスが流出する状態(図5に示す状態)と、第1連通用開口(24)と第2連通用開口(44)と第3連通用開口(64)の三箇所から排気ガスが流出する状態(図6に示す状態)と、第1連通用開口(24)と第2連通用開口(44)と第3連通用開口(64)と第3内側排気管(62)の先端の四箇所から排気ガスが流出する状態(図7に示す状態)とが、背圧調節器(15)へ流入する排気ガスの流量に応じて自動的に切り換わる。
このように、本実施形態の背圧調節器(15)によれば、排気ガスが背圧調節器(15)から大気中へ放出される際に通る通路の断面積を、弁などの機械的な手段を用いることなく、排気ガスの流量に応じて増減させることができる。このため、本実施形態の背圧調節器(15)によれば、背圧調節器(15)における排気ガスの流通抵抗を排気ガスの流量に応じた適正な値に設定することが可能となる。その結果、エンジンの回転数が変化して排気ガスの流量が変化しても、エンジンの背圧を概ね一定に保つことができ、排気ガスの排出に伴うエンジンの損失を削減することができる。
また、本実施形態の背圧調節器(15)に設けられた各排気管ユニット(20,40,60)では、スペーサー部材(30,50,70)の円管部(31,51,71)を外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ挿入することによって、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の相対的な位置決めが行われる。そして、各排気管ユニット(20,40,60)では、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間隔が、スペーサー部材(30,50,70)の円管部(31,51,71)の厚さと実質的に等しくなる。
このため、本実施形態の背圧調節器(15)では、スペーサー部材(30,50,70)の円管部(31,51,71)の寸法精度を管理することによって、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成される筒状隙間(23,43,63)の厚みを管理することができる。従って、本実施形態によれば、製品毎における筒状隙間(23,43,63)の厚みのバラツキを容易に且つ確実に抑えることができ、製品毎の性能差を確実に低減することができる。
また、本実施形態の各排気管ユニット(20,40,60)において、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ挿入されるスペーサー部材(30,50,70)の円管部(31,51,71)は、円管状に形成されており、その軸方向へある程度の長さを有している。つまり、各排気管ユニット(20,40,60)では、軸方向へある程度の長さを有する円管部(31,51,71)が、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ差し込まれている。従って、本実施形態によれば、外側排気管(21,41,61)の軸心と内側排気管(22,42,62)の軸心との“ずれ”を容易に且つ確実に低減することができる。
また、本実施形態の各排気管ユニット(20,40,60)において、スペーサー部材(30,50,70)は、筒状隙間(23,43,63)に対して、外側排気管(21,41,61)の先端側から挿入されている。従って、本実施形態によれば、外側排気管(21,41,61)の基端側から筒状隙間(23,43,63)へ流入する排気ガスの流れを阻害することなく、スペーサー部材(30,50,70)によって外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間隔を保持できる。
また、本実施形態の各排気管ユニット(20,40,60)では、スペーサー部材(30,50,70)に環状突起部(32,52,72)が形成されており、この環状突起部(32,52,72)が外側排気管(21,41,61)の先端面に当接する。つまり、本実施形態の背圧調節器(15)を組み立てる場合には、環状突起部(32,52,72)が外側排気管(21,41,61)の先端面に当たるまで円管部(31,51,71)を筒状隙間(23,43,63)へ差し込めば、外側排気管(21,41,61)とスペーサー部材(30,50,70)の相対的な位置関係が一義的に定まることになる。従って、本実施形態によれば、外側排気管(21,41,61)に対するスペーサー部材(30,50,70)の位置決めを容易に且つ確実に行うことが可能となり、背圧調節器(15)の組み立てに要する労力や時間を削減できる。
ところで、本実施形態の背圧調節器(15)において、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間の筒状隙間(23,43,63)へ流れ込んだ排気ガスは、連通用開口(24,44,64)から外側排気管(21,41,61)及び内側排気管(22,42,62)の側方へ向かって吹き出される。このため、連通用開口(24,44,64)の付近に空気の流れが存在すると、連通用開口(24,44,64)から吹き出す排気ガスの流れが空気の流れによって阻害され、背圧調節器(15)の性能に悪影響が及ぶ可能性がある。特に、本実施形態の排気装置(10)は自動車に搭載されるものであり、自動車の走行に伴って連通用開口(24,44,64)の付近に空気の流れが生じるため、それに起因する背圧調節器(15)の性能低下を招く可能性が高い。
それに対し、本実施形態の背圧調節器(15)では、全ての排気管ユニット(40,60)の周囲が遮風管(18)によって囲われており、連通用開口(24,44,64)の付近に空気の流れが生じにくくなっている。更に、本実施形態の背圧調節器(15)では、遮風管(18)の基端が消音器(211)の出口側閉塞部材(218)によって塞がれている。つまり、本実施形態の背圧調節器(15)では、遮風管(18)の先端だけが開口端となっている。従って、本実施形態によれば、連通用開口(24,44,64)の付近における空気の流れを遮風管(18)によって確実に抑えることができ、連通用開口(24,44,64)付近での空気の流れに起因する背圧調節器(15)の性能低下を確実に抑えることができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
図8に示すように、本実施形態の排気装置(10)は、上記実施形態1の背圧調節器(15)の構造を変更したものである。本実施形態の背圧調節器(15)は、各排気管ユニット(20,40,60)の構造が上記実施形態1と異なっている。ここでは、本実施形態の背圧調節器(15)について、上記実施形態1の背圧調節器(15)と異なる点を説明する。
図9,図10に示すように、本実施形態の各排気管ユニット(20,40,60)では、排気ガスの流れの下流側に配置された排気管ユニット(40,60)の外側排気管(41,61)が、その上流側に配置された排気管ユニット(20,40)のスペーサー部材(30,50)を兼ねている。つまり、本実施形態の各排気管ユニット(20,40,60)では、排気ガスの流れの上流側に配置された排気管ユニット(20,40)のスペーサー部材(30,50)が、その下流側に配置された排気管ユニット(40,60)の外側排気管(41,61)と一体に形成されている。
第2排気管ユニット(40)の第2外側排気管(41)は、実施形態1のものに比べて、その基端側(図10における左側)へ延長されている。この第2外側排気管(41)は、その基端寄りの部分が、第1排気管ユニット(20)の第1スペーサー部材(30)を構成している。
第2外側排気管(41)には、複数の切り欠き(33)が形成されている。この切り欠き(33)は、第2外側排気管(41)の一部分を、第2外側排気管(41)の基端からその先端へ向かって所定の長さに亘って切除することによって形成されている。各切り欠き(33)は、それぞれの長さが互いに等しく、それぞれの幅も互いに等しくなっている。
第2外側排気管(41)において、複数の切り欠き(33)は、第2外側排気管(41)の周方向において等間隔に形成されている。つまり、第2外側排気管(41)の基端寄りの部分では、第2外側排気管(41)の周方向において、切り欠き(33)と、切除されずに残った突起部(35)とが交互に配置されている。また、第2外側排気管(41)の基端寄りの部分では、突起部(35)の根元から第2外側排気管(41)の軸方向へ所定幅に亘る部分が、第1スペーサー部材(30)の基部(34)を構成している。
このように、第2外側排気管(41)と一体に形成された第1スペーサー部材(30)は、比較的短い円管状に形成された一つの基部(34)と、基部(34)の基端(図10における左端)から突出した細長い複数の突起部(35)とによって構成されている。第1スペーサー部材(30)の各突起部(35)は、その内側面の曲率半径が第2外側排気管(41)の内周面の曲率半径(即ち、内径の半分)と等しくなり、その外側面の曲率半径が第2外側排気管(41)の外周面の曲率半径(即ち、外径の半分)と等しくなっている。
第2外側排気管(41)の基端寄りの部分で構成された第1スペーサー部材(30)は、第1外側排気管(21)と第1内側排気管(22)の間へ、第1外側排気管(21)の先端側から挿入されている。具体的に、第1外側排気管(21)と第1内側排気管(22)の間に形成された第1筒状隙間(23)には、第1スペーサー部材(30)の突起部(35)が、その突端側から差し込まれる。その際、第1スペーサー部材(30)の突起部(35)は、その長さ方向の中央よりもやや根元寄りの部分までが第1筒状隙間(23)へ挿入される。つまり、この突起部(35)は、その一部分だけが第1筒状隙間(23)へ挿入される。このため、第1スペーサー部材(30)の切り欠き(33)は、その長さ方向の一部分だけが第1外側排気管(21)によって覆われ、残りの部分は第1外側排気管(21)の先端から露出した状態となる。
このように、本実施形態の第1排気管ユニット(20)では、第1スペーサー部材(30)の切り欠き(33)の一部が第1外側排気管(21)の先端から露出している。このため、第1筒状隙間(23)は、切り欠き(33)のうち第1外側排気管(21)から露出した部分を介して、第1外側排気管(21)の外部と連通している。つまり、この第1排気管ユニット(20)では、第1スペーサー部材(30)の切り欠き(33)のうち第1外側排気管(21)から露出した部分が、第1連通用開口(24)となっている。
第3排気管ユニット(60)の第3外側排気管(61)は、実施形態1のものに比べて、その基端側(図10における左側)へ延長されている。この第3外側排気管(61)は、その基端寄りの部分が、第2排気管ユニット(40)の第2スペーサー部材(50)を構成している。
第3外側排気管(61)には、複数の切り欠き(53)が形成されている。この切り欠き(53)は、第3外側排気管(61)の一部分を、第3外側排気管(61)の基端からその先端へ向かって所定の長さに亘って切除することによって形成されている。各切り欠き(53)は、それぞれの長さが互いに等しく、それぞれの幅も互いに等しくなっている。
第3外側排気管(61)において、複数の切り欠き(53)は、第3外側排気管(61)の周方向において等間隔に形成されている。つまり、第3外側排気管(61)の基端寄りの部分では、第3外側排気管(61)の周方向において、切り欠き(53)と、切除されずに残った突起部(55)とが交互に配置されている。また、第3外側排気管(61)の基端寄りの部分では、突起部(55)の根元から第3外側排気管(61)の軸方向へ所定幅に亘る部分が、第2スペーサー部材(50)の基部(54)を構成している。
このように、第3外側排気管(61)と一体に形成された第2スペーサー部材(50)は、比較的短い円管状に形成された一つの基部(54)と、基部(54)の基端(図10における左端)から突出した細長い複数の突起部(55)とによって構成されている。第2スペーサー部材(50)の各突起部(55)は、その内側面の曲率半径が第3外側排気管(61)の内周面の曲率半径(即ち、内径の半分)と等しくなり、その外側面の曲率半径が第3外側排気管(61)の外周面の曲率半径(即ち、外径の半分)と等しくなっている。
第3外側排気管(61)の基端寄りの部分で構成された第2スペーサー部材(50)は、第2外側排気管(41)と第2内側排気管(42)の間へ、第2外側排気管(41)の先端側から挿入されている。具体的に、第2外側排気管(41)と第2内側排気管(42)の間に形成された第2筒状隙間(43)には、第2スペーサー部材(50)の突起部(55)が、その突端側から差し込まれる。その際、第2スペーサー部材(50)の突起部(55)は、その長さ方向の中央よりもやや根元寄りの部分までが第2筒状隙間(43)へ挿入される。つまり、この突起部(55)は、その一部分だけが第2筒状隙間(43)へ挿入される。このため、第2スペーサー部材(50)の切り欠き(53)は、その長さ方向の一部分だけが第2外側排気管(41)によって覆われ、残りの部分は第2外側排気管(41)の先端から露出した状態となる。
このように、本実施形態の第2排気管ユニット(40)では、第2スペーサー部材(50)の切り欠き(53)の一部が第2外側排気管(41)の先端から露出している。このため、第2筒状隙間(43)は、切り欠き(53)のうち第2外側排気管(41)から露出した部分を介して、第2外側排気管(41)の外部と連通している。つまり、この第2排気管ユニット(40)では、第2スペーサー部材(50)の切り欠き(53)のうち第2外側排気管(41)から露出した部分が、第2連通用開口(44)となっている。
第3排気管ユニット(60)の第3スペーサー部材(70)は、円管状に形成されている。この第3スペーサー部材(70)は、その内径が第3内側排気管(62)の外径と等しく、その外径が第3外側排気管(61)の内径と等しくなっている。
第3スペーサー部材(70)には、複数の切り欠き(73)が形成されている。この切り欠き(73)は、第3スペーサー部材(70)の一部分を、第3スペーサー部材(70)の基端からその先端へ向かって所定の長さに亘って切除することによって形成されている。各切り欠き(73)は、それぞれの長さが互いに等しく、それぞれの幅も互いに等しくなっている。
第3スペーサー部材(70)において、複数の切り欠き(73)は、第3スペーサー部材(70)の周方向において等間隔に形成されている。つまり、第3スペーサー部材(70)では、第3スペーサー部材(70)の周方向において、切り欠き(73)と、切除されずに残った突起部(75)とが交互に配置されている。また、第3スペーサー部材(70)では、その先端部(図10における右端部)が基部(74)となっている。
このように、第3スペーサー部材(70)は、比較的短い円管状に形成された一つの基部(74)と、基部(74)の基端(図10における左端)から突出した細長い複数の突起部(75)とによって構成されている。第3スペーサー部材(70)の各突起部(75)は、その内側面の曲率半径が第3内側排気管(62)の外周面の曲率半径(即ち、外径の半分)と等しくなり、その外側面の曲率半径が第2外側排気管(41)の内周面の曲率半径(即ち、内径の半分)と等しくなっている。
第3内側排気管(62)は、第3外側排気管(61)と第3内側排気管(62)の間へ、第3外側排気管(61)の先端側から挿入されている。具体的に、第3外側排気管(61)と第3内側排気管(62)の間に形成された第3筒状隙間(63)には、第3スペーサー部材(70)の突起部(75)が、その突端側から差し込まれる。その際、第3スペーサー部材(70)の突起部(75)は、その長さ方向の中央よりもやや根元寄りの部分までが第3筒状隙間(63)へ挿入される。つまり、この突起部(75)は、その一部分だけが第3筒状隙間(63)へ挿入される。このため、第3スペーサー部材(70)の切り欠き(73)は、その長さ方向の一部分だけが第3外側排気管(61)によって覆われ、残りの部分は第3外側排気管(61)の先端から露出した状態となる。
このように、本実施形態の第3排気管ユニット(60)では、第3スペーサー部材(70)の切り欠き(73)の一部が第3外側排気管(61)の先端から露出している。このため、第3筒状隙間(63)は、切り欠き(73)のうち第3外側排気管(61)から露出した部分を介して、第3外側排気管(61)の外部と連通している。つまり、この第3排気管ユニット(60)では、第3スペーサー部材(70)の切り欠き(73)のうち第3外側排気管(61)から露出した部分が、第3連通用開口(64)となっている。
本実施形態の背圧調節器(15)の背圧調節作用は、上記実施形態1のものと同様である。つまり、本実施形態の背圧調節器(15)では、第1連通用開口(24)だけから排気ガスが流出する状態(図4に示す状態と同様の状態)と、第1連通用開口(24)と第2連通用開口(44)の二箇所から排気ガスが流出する状態(図5に示す状態と同様の状態)と、第1連通用開口(24)と第2連通用開口(44)と第3連通用開口(64)の三箇所から排気ガスが流出する状態(図6に示す状態と同様の状態)と、第1連通用開口(24)と第2連通用開口(44)と第3連通用開口(64)と第3内側排気管(62)の先端の四箇所から排気ガスが流出する状態(図7に示す状態と同様の状態)とが、背圧調節器(15)へ流入する排気ガスの流量に応じて自動的に切り換わる。
−実施形態2の効果−
本実施形態の背圧調節器(15)では、切り欠き(33,53,73)の形成されたスペーサー部材(30,50,70)が、切り欠き(33,53,73)の一部が外側排気管(21,41,61)から露出するように、その突起部(35,55,75)の突端側から外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間へ挿入されている。そのため、外側排気管(21,41,61)と内側排気管(22,42,62)の間に形成された筒状隙間(23,43,63)は、スペーサー部材(30,50,70)に形成された切り欠き(33,53,73)を介して外側排気管(21,41,61)の外部と連通する。つまり、本実施形態によれば、スペーサー部材(30,50,70)を筒状隙間(23,43,63)へ挿入することによって、筒状隙間(23,43,63)を外側排気管(21,41,61)の外部と連通させることができる。
また、本実施形態の背圧調節器(15)では、第2排気管ユニット(40)の第2外側排気管(41)が第1排気管ユニット(20)の第1スペーサー部材(30)を兼ねており、第3排気管ユニット(60)の第3外側排気管(61)が第2排気管ユニット(40)の第2スペーサー部材(50)を兼ねている。従って、本実施形態によれば、背圧調節器(15)を構成する部品の数を削減することができ、排気装置(10)の構造を簡素化することができる。
−実施形態2の変形例−
本実施形態の背圧調節器(15)では、図11に示すように、第1スペーサー部材(30)が第2外側排気管(41)と別体に形成されていてもよい。また、本実施形態の背圧調節器(15)では、同図に示すように、第2スペーサー部材(50)が第3外側排気管(61)と別体に形成されていてもよい。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3について説明する。
図12に示すように、本実施形態の排気装置(10)は、上記実施形態1の背圧調節器(15)の構造を変更したものである。本実施形態の背圧調節器(15)は、排気管ユニット(20,40,60,80,100,120)の数と、各排気管ユニット(20,40,60,80,100,120)の構造の点で、上記実施形態1と異なっている。ここでは、本実施形態の背圧調節器(15)について、上記実施形態1の背圧調節器(15)と異なる点を説明する。
図13,図14に示すように、本実施形態の背圧調節器(15)には、六つの排気管ユニット(20,40,60,80,100,120)と、一つの接続用排気管(140)とが設けられている。また、各排気管ユニット(20,40,60,80,100,120)では、排気ガスの流れの下流側に配置された排気管ユニット(40,60,80,100,120)の外側排気管(41,61,81,101,121)が、その上流側に配置された排気管ユニット(20,40,60,80,100)のスペーサー部材(30,50,70,90,110)を兼ねている。つまり、本実施形態の各排気管ユニット(20,40,60,80,100,120)では、排気ガスの流れの上流側に配置された排気管ユニット(20,40,60,80,100)のスペーサー部材(30,50,70,90,110)が、その下流側に配置された排気管ユニット(40,60,80,100,120)の外側排気管(41,61,81,101,121)と一体に形成されている。上記実施形態1と同様に、各排気管ユニット(20,40,60,80,100,120)のスペーサー部材(30,50,70,90,110,130)は、間隔保持用部材を構成している。
本実施形態の背圧調節器(15)では、接続用排気管(140)が消音器(211)の内管(220)に接続されている。この接続用排気管(140)は、その内径が消音器(211)の内管(220)の内径よりも小さく、その外径が内管(220)の外径よりも小さくなっている。接続用排気管(140)の軸心は、内管(220)の軸心と実質的に一致している。また、接続用排気管(140)の基端(図14における左端)は、内管(220)の出口端(同図における右端)に連続している。
上記実施形態1と同様に、第1排気管ユニット(20)は、第1外側排気管(21)と、第1内側排気管(22)と、第1スペーサー部材(30)とを一つずつ備えている。ただし、本実施形態の背圧調節器(15)において、第1スペーサー部材(30)は、後述する第2外側排気管(41)と一体に形成されている。
第1外側排気管(21)は、その内径が接続用排気管(140)の外径と等しくなっている。第1外側排気管(21)は、接続用排気管(140)と同軸に設けられている。第1外側排気管(21)の基端部(図14における左端部)には、接続用排気管(140)の先端部(同図における右端部)が挿入されている。
第1内側排気管(22)は、その外径が第1外側排気管(21)の内径よりも小さくなり、その内径が接続用排気管(140)の内径よりも小さくなっている。また、第1内側排気管(22)の外径は、接続用排気管(140)の内径と等しくなっている。第1内側排気管(22)の長さは、第1外側排気管(21)の長さよりも短くなっている。
第1内側排気管(22)は、第1外側排気管(21)と同軸に設けられている。第1外側排気管(21)の軸方向において、第1内側排気管(22)の先端(図14における右端)の位置は、第1外側排気管(21)の先端(同図における右端)の位置と一致している。また、第1内側排気管(22)の基端(同図における左端)と、接続用排気管(140)の先端(同図における右端)とは、所定の距離だけ離れている。
第1内側排気管(22)の外周面と第1外側排気管(21)の内周面との間には、円筒状の第1筒状隙間(23)が形成されている。第1筒状隙間(23)の幅(即ち、第1内側排気管(22)の外周面と第1外側排気管(21)の内周面の距離)は、その全長に亘って一定となると共に、第1内側排気管(22)及び第1外側排気管(21)の全周に亘って一定となっている。
第1筒状隙間(23)には、第1外側排気管(21)の先端側(図14における右端側)から、後述する第2外側排気管(41)の基端部(同図における左端部)が挿入されている。本実施形態の背圧調節器(15)では、第2外側排気管(41)のうち第1筒状隙間(23)へ挿入された部分が、第1スペーサー部材(30)を構成している。第1スペーサー部材(30)は、その内径が第1内側排気管(22)の外径と等しくなり、その外径が第1外側排気管(21)の内径と等しくなっている。つまり、この第1スペーサー部材(30)は、その全体が円管部(31)となっている。
上記実施形態1と同様に、第1外側排気管(21)の先端寄りの部分には、円形の貫通孔である第1連通用開口(24)が複数形成されている。複数の第1連通用開口(24)は、第1外側排気管(21)の周方向へ等間隔で一列に配置されている。そして、第1連通用開口(24)は、第1外側排気管(21)のうち第1内側排気管(22)と重なり合う部分に開口し、第1筒状隙間(23)を第1外側排気管(21)の外部と連通させる。
上記実施形態1と同様に、第2排気管ユニット(40)は、第2外側排気管(41)と、第2内側排気管(42)と、第2スペーサー部材(50)とを一つずつ備えている。ただし、本実施形態の背圧調節器(15)において、第2スペーサー部材(50)は、後述する第3外側排気管(61)と一体に形成されている。
第2外側排気管(41)は、その内径が第1内側排気管(22)の外径と等しく、その外径が第1外側排気管(21)の内径と等しくなっている。第2外側排気管(41)は、第1内側排気管(22)と同軸に設けられている。第2外側排気管(41)の基端部(図14における左端部)には、第1内側排気管(22)の先端部(同図における右端部)が挿入されている。上述したように、第2外側排気管(41)の基端部は、第1筒状隙間(23)へ挿入される第1スペーサー部材(30)を構成している。
第2内側排気管(42)は、その外径が第2外側排気管(41)の内径よりも小さくなり、その内径が第1内側排気管(22)の内径よりも小さくなっている。また、第2内側排気管(42)の外径は、第1内側排気管(22)の内径と等しくなっている。第2内側排気管(42)の長さは、第2外側排気管(41)の長さよりも短くなっている。
第2内側排気管(42)は、第2外側排気管(41)と同軸に設けられている。第2外側排気管(41)の軸方向において、第2内側排気管(42)の先端(図14における右端)の位置は、第2外側排気管(41)の先端(同図における右端)の位置と一致している。また、第2内側排気管(42)の基端(同図における左端)と、第1内側排気管(22)の先端(同図における右端)とは、所定の距離だけ離れている。
第2内側排気管(42)の外周面と第2外側排気管(41)の内周面との間には、円筒状の第2筒状隙間(43)が形成されている。第2筒状隙間(43)の幅(即ち、第2内側排気管(42)の外周面と第2外側排気管(41)の内周面の距離)は、その全長に亘って一定となると共に、第2内側排気管(42)及び第2外側排気管(41)の全周に亘って一定となっている。
第2筒状隙間(43)には、第2外側排気管(41)の先端側(図14における右端側)から、後述する第3外側排気管(61)の基端部(同図における左端部)が挿入されている。本実施形態の背圧調節器(15)では、第3外側排気管(61)のうち第2筒状隙間(43)へ挿入された部分が、第2スペーサー部材(50)を構成している。第2スペーサー部材(50)は、その内径が第2内側排気管(42)の外径と等しくなり、その外径が第2外側排気管(41)の内径と等しくなっている。つまり、この第2スペーサー部材(50)は、その全体が円管部(51)となっている。
上記実施形態1と同様に、第2外側排気管(41)の先端寄りの部分には、円形の貫通孔である第2連通用開口(44)が複数形成されている。複数の第2連通用開口(44)は、第2外側排気管(41)の周方向へ等間隔で一列に配置されている。そして、第2連通用開口(44)は、第2外側排気管(41)のうち第2内側排気管(42)と重なり合う部分に開口し、第2筒状隙間(43)を第2外側排気管(41)の外部と連通させる。
上記実施形態1と同様に、第3排気管ユニット(60)は、第3外側排気管(61)と、第3内側排気管(62)と、第3スペーサー部材(70)とを一つずつ備えている。ただし、本実施形態の背圧調節器(15)において、第3スペーサー部材(70)は、後述する第4外側排気管(81)と一体に形成されている。
第3外側排気管(61)は、その内径が第2内側排気管(42)の外径と等しく、その外径が第2外側排気管(41)の内径と等しくなっている。第3外側排気管(61)は、第2内側排気管(42)と同軸に設けられている。第3外側排気管(61)の基端部(図14における左端部)には、第2内側排気管(42)の先端部(同図における右端部)が挿入されている。上述したように、第3外側排気管(61)の基端部は、第2筒状隙間(43)へ挿入される第2スペーサー部材(50)を構成している。
第3内側排気管(62)は、その外径が第3外側排気管(61)の内径よりも小さくなり、その内径が第2内側排気管(42)の内径よりも小さくなっている。また、第3内側排気管(62)の外径は、第2内側排気管(42)の内径と等しくなっている。第3内側排気管(62)の長さは、第3外側排気管(61)の長さよりも短くなっている。
第3内側排気管(62)は、第3外側排気管(61)と同軸に設けられている。第3外側排気管(61)の軸方向において、第3内側排気管(62)の先端(図14における右端)の位置は、第3外側排気管(61)の先端(同図における右端)の位置と一致している。また、第3内側排気管(62)の基端(同図における左端)と、第2内側排気管(42)の先端(同図における右端)とは、所定の距離だけ離れている。
第3内側排気管(62)の外周面と第3外側排気管(61)の内周面との間には、円筒状の第3筒状隙間(63)が形成されている。第3筒状隙間(63)の幅(即ち、第3内側排気管(62)の外周面と第3外側排気管(61)の内周面の距離)は、その全長に亘って一定となると共に、第3内側排気管(62)及び第3外側排気管(61)の全周に亘って一定となっている。
第3筒状隙間(63)には、第3外側排気管(61)の先端側(図14における右端側)から、後述する第4外側排気管(81)の基端部(同図における左端部)が挿入されている。本実施形態の背圧調節器(15)では、第4外側排気管(81)のうち第3筒状隙間(63)へ挿入された部分が、第3スペーサー部材(70)を構成している。第3スペーサー部材(70)は、その内径が第3内側排気管(62)の外径と等しくなり、その外径が第3外側排気管(61)の内径と等しくなっている。つまり、この第3スペーサー部材(70)は、その全体が円管部(71)となっている。
上記実施形態1と同様に、第3外側排気管(61)の先端寄りの部分には、円形の貫通孔である第3連通用開口(64)が複数形成されている。複数の第3連通用開口(64)は、第3外側排気管(61)の周方向へ等間隔で一列に配置されている。そして、第3連通用開口(64)は、第3外側排気管(61)のうち第3内側排気管(62)と重なり合う部分に開口し、第3筒状隙間(63)を第3外側排気管(61)の外部と連通させる。
第4排気管ユニット(80)は、第4外側排気管(81)と、第4内側排気管(82)と、第4スペーサー部材(90)とを一つずつ備えている。本実施形態の背圧調節器(15)において、第4スペーサー部材(90)は、後述する第5外側排気管(101)と一体に形成されている。
第4外側排気管(81)は、その内径が第3内側排気管(62)の外径と等しく、その外径が第3外側排気管(61)の内径と等しくなっている。第4外側排気管(81)は、第3内側排気管(62)と同軸に設けられている。第4外側排気管(81)の基端部(図14における左端部)には、第3内側排気管(62)の先端部(同図における右端部)が挿入されている。上述したように、第4外側排気管(81)の基端部は、第3筒状隙間(63)へ挿入される第3スペーサー部材(70)を構成している。
第4内側排気管(82)は、その外径が第4外側排気管(81)の内径よりも小さくなり、その内径が第3内側排気管(62)の内径よりも小さくなっている。また、第4内側排気管(82)の外径は、第3内側排気管(62)の内径と等しくなっている。第4内側排気管(82)の長さは、第4外側排気管(81)の長さよりも短くなっている。
第4内側排気管(82)は、第4外側排気管(81)と同軸に設けられている。第4外側排気管(81)の軸方向において、第4内側排気管(82)の先端(図14における右端)の位置は、第4外側排気管(81)の先端(同図における右端)の位置と一致している。また、第4内側排気管(82)の基端(同図における左端)と、第3内側排気管(62)の先端(同図における右端)とは、所定の距離だけ離れている。
第4内側排気管(82)の外周面と第4外側排気管(81)の内周面との間には、円筒状の第4筒状隙間(83)が形成されている。第4筒状隙間(83)の幅(即ち、第4内側排気管(82)の外周面と第4外側排気管(81)の内周面の距離)は、その全長に亘って一定となると共に、第4内側排気管(82)及び第4外側排気管(81)の全周に亘って一定となっている。
第4筒状隙間(83)には、第4外側排気管(81)の先端側(図14における右端側)から、後述する第5外側排気管(101)の基端部(同図における左端部)が挿入されている。本実施形態の背圧調節器(15)では、第5外側排気管(101)のうち第4筒状隙間(83)へ挿入された部分が、第4スペーサー部材(90)を構成している。第4スペーサー部材(90)は、その内径が第4内側排気管(82)の外径と等しくなり、その外径が第4外側排気管(81)の内径と等しくなっている。つまり、この第4スペーサー部材(90)は、その全体が円管部(91)となっている。
第4外側排気管(81)の先端寄りの部分には、円形の貫通孔である第4連通用開口(84)が複数形成されている。複数の第4連通用開口(84)は、第4外側排気管(81)の周方向へ等間隔で一列に配置されている。そして、第4連通用開口(84)は、第4外側排気管(81)のうち第4内側排気管(82)と重なり合う部分に開口し、第4筒状隙間(83)を第4外側排気管(81)の外部と連通させる。
第5排気管ユニット(100)は、第5外側排気管(101)と、第5内側排気管(102)と、第5スペーサー部材(110)とを一つずつ備えている。本実施形態の背圧調節器(15)において、第5スペーサー部材(110)は、後述する第6外側排気管(121)と一体に形成されている。
第5外側排気管(101)は、その内径が第4内側排気管(82)の外径と等しく、その外径が第4外側排気管(81)の内径と等しくなっている。第5外側排気管(101)は、第4内側排気管(82)と同軸に設けられている。第5外側排気管(101)の基端部(図14における左端部)には、第4内側排気管(82)の先端部(同図における右端部)が挿入されている。上述したように、第5外側排気管(101)の基端部は、第4筒状隙間(83)へ挿入される第4スペーサー部材(90)を構成している。
第5内側排気管(102)は、その外径が第5外側排気管(101)の内径よりも小さくなり、その内径が第4内側排気管(82)の内径よりも小さくなっている。また、第5内側排気管(102)の外径は、第4内側排気管(82)の内径と等しくなっている。第5内側排気管(102)の長さは、第5外側排気管(101)の長さよりも短くなっている。
第5内側排気管(102)は、第5外側排気管(101)と同軸に設けられている。第5外側排気管(101)の軸方向において、第5内側排気管(102)の先端(図14における右端)の位置は、第5外側排気管(101)の先端(同図における右端)の位置と一致している。また、第5内側排気管(102)の基端(同図における左端)と、第4内側排気管(82)の先端(同図における右端)とは、所定の距離だけ離れている。
第5内側排気管(102)の外周面と第5外側排気管(101)の内周面との間には、円筒状の第5筒状隙間(103)が形成されている。第5筒状隙間(103)の幅(即ち、第5内側排気管(102)の外周面と第5外側排気管(101)の内周面の距離)は、その全長に亘って一定となると共に、第5内側排気管(102)及び第5外側排気管(101)の全周に亘って一定となっている。
第5筒状隙間(103)には、第5外側排気管(101)の先端側(図14における右端側)から、後述する第6外側排気管(121)の基端部(同図における左端部)が挿入されている。本実施形態の背圧調節器(15)では、第6外側排気管(121)のうち第5筒状隙間(103)へ挿入された部分が、第5スペーサー部材(110)を構成している。第5スペーサー部材(110)は、その内径が第5内側排気管(102)の外径と等しくなり、その外径が第5外側排気管(101)の内径と等しくなっている。つまり、この第5スペーサー部材(110)は、その全体が円管部(111)となっている。
第5外側排気管(101)の先端寄りの部分には、円形の貫通孔である第5連通用開口(104)が複数形成されている。複数の第5連通用開口(104)は、第5外側排気管(101)の周方向へ等間隔で一列に配置されている。そして、第5連通用開口(104)は、第5外側排気管(101)のうち第5内側排気管(102)と重なり合う部分に開口し、第5筒状隙間(103)を第5外側排気管(101)の外部と連通させる。
第6排気管ユニット(120)は、第6外側排気管(121)と、第6内側排気管(122)と、第6スペーサー部材(130)とを一つずつ備えている。
第6外側排気管(121)は、その内径が第5内側排気管(102)の外径と等しく、その外径が第5外側排気管(101)の内径と等しくなっている。第6外側排気管(121)は、第5内側排気管(102)と同軸に設けられている。第6外側排気管(121)の基端部(図14における左端部)には、第5内側排気管(102)の先端部(同図における右端部)が挿入されている。上述したように、第6外側排気管(121)の基端部は、第5筒状隙間(103)へ挿入される第5スペーサー部材(110)を構成している。
第6内側排気管(122)は、その外径が第6外側排気管(121)の内径よりも小さくなり、その内径が第5内側排気管(102)の内径よりも小さくなっている。また、第6内側排気管(122)の外径は、第5内側排気管(102)の内径と等しくなっている。第6内側排気管(122)の長さは、第6外側排気管(121)の長さよりも短くなっている。
第6内側排気管(122)は、第6外側排気管(121)と同軸に設けられている。第6外側排気管(121)の軸方向において、第6内側排気管(122)の先端(図14における右端)の位置は、第6外側排気管(121)の先端(同図における右端)の位置と一致している。また、第6内側排気管(122)の基端(同図における左端)と、第5内側排気管(102)の先端(同図における右端)とは、所定の距離だけ離れている。
第6内側排気管(122)の外周面と第6外側排気管(121)の内周面との間には、円筒状の第6筒状隙間(123)が形成されている。第6筒状隙間(123)の幅(即ち、第6内側排気管(122)の外周面と第6外側排気管(121)の内周面の距離)は、その全長に亘って一定となると共に、第6内側排気管(122)及び第6外側排気管(121)の全周に亘って一定となっている。
第6筒状隙間(123)には、第6外側排気管(121)の先端側(図14における右端側)から、第6スペーサー部材(130)が挿入されている。第6スペーサー部材(130)は、比較的短い円管状の部材であって、その内径が第6内側排気管(122)の外径と等しく、その外径が第6外側排気管(121)の内径と等しくなっている。つまり、この第6スペーサー部材(130)は、その全体が円管部(131)となっている。
第6外側排気管(121)の先端寄りの部分には、円形の貫通孔である第6連通用開口(124)が複数形成されている。複数の第6連通用開口(124)は、第6外側排気管(121)の周方向へ等間隔で一列に配置されている。そして、第6連通用開口(124)は、第6外側排気管(121)のうち第6内側排気管(122)と重なり合う部分に開口し、第6筒状隙間(123)を第6外側排気管(121)の外部と連通させる。
−背圧調節器の背圧調節作用−
本実施形態の背圧調節器(15)の背圧調節作用は、上記実施形態1のものと同様である。ただし、この背圧調節器(15)には、六つの排気管ユニット(20,40,60,80,100,120)が設けられている。従って、この背圧調節器(15)では、排気ガスが流出する部分の面積が、排気ガスの流量に応じて七段階に変化する。
具体的に、本実施形態の背圧調節器(15)において、排気ガスの流量が最も少ない状態では、第1連通用開口(24)だけから排気ガスが放出される。その状態では、第2〜第6の各連通用開口(44,64,84,104,124)と第6内側排気管(122)の先端へ、空気が吸い込まれる。
この状態から排気ガスの流量が増えてゆくと、第1連通用開口(24)だけでなく第2連通用開口(44)からも排気ガスが放出され始める。その状態では、第3〜第6の各連通用開口(64,84,104,124)と第6内側排気管(122)の先端へ、空気が吸い込まれる。
この状態から排気ガスの流量が更に増えると、第1連通用開口(24)及び第2連通用開口(44)だけでなく第3連通用開口(64)からも排気ガスが放出され始める。その状態では、第4〜第6の各連通用開口(84,104,124)と第6内側排気管(122)の先端へ、空気が吸い込まれる。
この状態から排気ガスの流量が更に増えると、第1〜第3の各連通用開口(24,44,64)だけでなく第4連通用開口(84)からも排気ガスが放出され始める。その状態では、第5〜第6の各連通用開口(104,124)と第6内側排気管(122)の先端へ、空気が吸い込まれる。
この状態から排気ガスの流量が更に増えると、第1〜第4の各連通用開口(24,44,64,84)だけでなく第5連通用開口(104)からも排気ガスが放出され始める。その状態では、第6連通用開口(124)と第6内側排気管(122)の先端へ、空気が吸い込まれる。
この状態から排気ガスの流量が更に増えると、第1〜第5の各連通用開口(24,44,64,84,104)だけでなく第6連通用開口(124)からも排気ガスが放出され始める。その状態では、第6内側排気管(122)の先端へ、空気が吸い込まれる。
そして、この状態から排気ガスの流量が更に増えると、第1〜第6の各連通用開口(24,44,64,84,104,124)だけでなく第6内側排気管(122)の先端からも排気ガスが放出され始める。つまり、この状態では、第1〜第6の各連通用開口(24,44,64,84,104,124)と第6内側排気管(122)の先端の七箇所全てから排気ガスが放出される。
−実施形態3の効果−
本実施形態の背圧調節器(15)では、排気ガスの流れの上流側に配置された排気管ユニット(20,40,60,80,100)のスペーサー部材(30,50,70,90,110)が、その下流側に配置された排気管ユニット(40,60,80,100,120)の外側排気管(41,61,81,101,121)と一体になっている。つまり、この背圧調節器(15)では、排気ガスの流れの下流側に配置された排気管ユニット(40,60,80,100,120)の外側排気管(41,61,81,101,121)が、その上流側に配置された排気管ユニット(20,40,60,80,100)のスペーサー部材(30,50,70,90,110)を兼ねている。従って、本実施形態によれば、背圧調節器(15)を構成する部品の数を削減することができ、その結果、排気装置(10)の構造を簡素化することができると共に、排気装置(10)の組み立てに要する工数を削減することができる。
《その他の実施形態》
−第1変形例−
上記実施形態1,2の排気装置(10)では、背圧調節器(15)に三つの排気管ユニット(20,40,60)を設けている。また、上記実施形態3の排気装置(10)では、背圧調節器(15)に六つの排気管ユニット(20,40,60,80,100,120)を設けている。これら実施形態の背圧調節器(15)における排気管ユニット(20,40,…)の数は、単なる一例である。背圧調節器(15)に設けられる排気管ユニット(20,40,60)の数は、エンジンの用途等に応じて適宜定められるものである。
例えば、図15に示すように、背圧調節器(15)に排気管ユニット(20)を一つだけ設けてもよい。この場合は、排気ガスが背圧調節器(15)から大気中へ放出される際に通過する通路の断面積が、排気ガスの流量に応じて二段階に変化する。背圧調節器(15)が接続されるエンジンが、運転中における回転数の変動幅が小さいものである場合は、排気管ユニット(20)を一つだけ備える背圧調節器(15)によっても、充分な効果が得られる。
図15は、上記実施形態2の排気装置(10)において、背圧調節器(15)に排気管ユニット(20)を一つだけ設けたものを示している。この背圧調節器(15)において、排気ガスの流量が少ない状態では、連通用開口(24)だけから排気ガスが放出され、内側排気管(22)の先端へ空気が吸い込まれる。この状態から排気ガスの流量が増えると、連通用開口(24)だけでなく内側排気管(22)の先端からも排気ガスが放出され始める。
−第2変形例−
上記の各実施形態では、消音器(211)と背圧調節器(15)によって排気装置(10)を構成しているが、背圧調節器(15)単独で排気装置(10)を構成してもよい。