JPWO2009090937A1 - 毛髪改質剤組成物および毛髪の改質方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、毛髪自体のセット保持力を向上させるための毛髪改質剤組成物であって、アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなることを特徴とする毛髪改質剤組成物に関する。本発明はまた毛髪の改質方法に関する。本発明によれば、簡便な処理操作で、毛髪に不自然な触感を付与したり、毛髪を損傷したりすることなしに、毛髪自体のセット保持力を向上させることができ、それによって、洗髪後も繰り返しセット保持効果を得ることができ、セットされた形状は洗髪により容易にもとに戻すことができる。
Description
本願は、先行する日本国特許出願である特願2008−008225号(出願日:2008年1月17日)に基づくものであって、その優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体は参照することによりここに組み込まれる。
発明の分野
本発明は毛髪改質剤組成物および毛髪の改質方法に関する。詳しくは、本発明は、毛髪自体のセット保持力を向上させることができる毛髪改質剤組成物および毛髪の改質方法に関する。
本発明は毛髪改質剤組成物および毛髪の改質方法に関する。詳しくは、本発明は、毛髪自体のセット保持力を向上させることができる毛髪改質剤組成物および毛髪の改質方法に関する。
背景技術
ヘアスタイルは人の外見を左右する重要な要素であり、スタイリング(整髪)に関する技術について、パーマネントウェーブ処理やブロー処理など様々な提案がなされてきた。
ヘアスタイルは人の外見を左右する重要な要素であり、スタイリング(整髪)に関する技術について、パーマネントウェーブ処理やブロー処理など様々な提案がなされてきた。
パーマネントウェーブ処理は、毛髪に長期間持続する変形を付与する処理である。これは、毛髪を構成する主要なタンパク質であるケラチンの分子間および分子内のジスルフィド結合を還元剤により切断し、形状を整えた後、酸化剤によりジスルフィド結合を再形成させるものである。パーマネントウェーブ処理は、一旦施すとヘアスタイルが崩れにくく、洗髪後もウェーブなどの変形を維持できる反面、専門的な施術を要し、ウェーブからストレートといったヘアスタイルの変更が難しい。
ブロー処理は、毛髪に一時的な変形を付与する処理である。これは、毛髪内部の分子間、特にケラチン分子間の水素結合やイオン結合を、水などの極性溶媒により切断し、形状を整えた後、ドライヤーの熱などで極性溶媒を取り除くことにより、水素結合やイオン結合を再形成させるものである。ブロー処理は、施術が簡便である上、極性溶媒と再度接触させることにより形状を可逆的に戻すことができるため、ヘアスタイルを頻繁に変更することができる。しかしながら、ブロー処理だけではヘアスタイルが短時間で崩れてしまい、ヘアスタイルを長時間維持することは困難である。この傾向は、損傷や加齢などにより弱体化し、セット保持力が低下した毛髪において顕著であった。
そこで、一般的には、ブロー処理によるスタイリングにおいて、セット保持効果を有するスタイリング剤(整髪料)、いわゆるセット剤を別途使用して、ヘアスタイルをできるだけ長時間維持することが行われている。通常、セット剤は、皮膜性高分子化合物を、水、低級アルコール、またはそれらの混合溶媒に溶解したものである。これにより、該化合物が毛髪表面を被覆して皮膜を形成し、毛髪同士をくっつけて固め、その結果、セット保持効果を発揮することが期待される。
しかしながら、セット剤を使用すると、皮膜性高分子化合物に起因するごわつき感やべたつき感が生じ、セット剤の毛髪への付着感を払拭し難かった。また、皮膜性高分子化合物は洗髪により除去されてしまうため、洗髪後にスタイリングしようとすると、再度セット剤を使用する必要があった(例えば、特開2004−189636号公報および特開平8−113517号公報)。このため、従来のセット剤による効果は一時的なものにすぎなかった。
そこで、このような従来のセット剤を使用するのではなく、他の特定の化合物を用いて毛髪を処理することにより、毛髪自体に直接働きかけて、そのセット保持力を改善する試みが報告されている。
例えば、特開2003−261428号公報には、特定のフェニルアミノナフタレンスルホン酸誘導体および特定のヒドロキシカルボン酸誘導体からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有する毛髪セット剤が開示されている。特開2005−179274号公報には、イソオキサゾリウム化合物およびカルボキシル基含有化合物を含有する毛髪変形剤が開示されている。これら文献には、記載されている化合物を用いて毛髪を処理することによって、毛髪に良好なセット保持力を付与できるとともに、セットされた形状を洗髪により容易にもとに戻すことができ、しかも洗髪後も繰り返しセット保持効果が得られることが記載されている。
しかしながら、これら文献に記載されている毛髪改質剤であっても、セット保持力は必ずしも満足できるものではなく、また、毛髪に不自然な感触を付与するものであった。
しかしながら、これら文献に記載されている毛髪改質剤であっても、セット保持力は必ずしも満足できるものではなく、また、毛髪に不自然な感触を付与するものであった。
パーマネントウェーブ処理による毛髪の損傷を防止したり、毛髪に良好な触感や艶を付与したり、またはウェーブ形成能を向上させたりすることを目的に、パーマネントウェーブ剤にタンパク質加水分解物を含有させることが従来行われている(例えば、特開2003−55172号公報および特開2003−81785号公報)。しかしながら、パーマネントウェーブ剤として毛髪に十分なウェーブを形成するには、還元力の強いチオグリコール酸塩を使用したり、還元剤を多量に使用したりすることが必要である。このため、毛髪の損傷が激しく、これに伴う様々な弊害、例えば触感の悪化や艶の低下を引き起こすものであった。
特開2007−91739号公報には、タンパク質と還元剤とを含んでなる毛髪処理剤が開示されている。ここでは、タンパク質を毛髪内部に浸透させることにより、毛髪の太さを増大させることが開示されている。ここで使用され得るタンパク質の一例として、加水分解セリシンが挙げられている。
しかしながら、ここに開示されている毛髪処理剤は、薄毛現象の改善を目的とするものであり、これを、毛髪の太さ自体を増大させることで実現しようとするものである。この目的のための十分な効果を得るためには、上記パーマネントウェーブ剤の場合と同様に、還元力の強いチオグリコール酸塩を使用したり、還元剤を多量に使用したりすることが必要であった。一方で、毛髪自体のセット保持力とその持続性を向上させることによって、スタイリング(整髪)しやすくすることは、毛髪の太さ自体を増大させて、薄毛現象を改善することとは異質な技術的課題に関するものである。このため、この文献には、毛髪自体のセット保持力の付与とセット保持の持続性の向上については、何ら記載も示唆もされていない。
したがって、毛髪にジスルフィド結合の組み換えによるウェーブを形成させることなく、毛髪内部の分子間水素結合の強度を高めることによって、毛髪自体のセット保持力を高めると共に、セット保持の持続性の向上を狙った毛髪改質剤組成物は、本発明者等の知る限り、これまで報告されていない。
本発明者等は今般、アセチルシステインとセリシン加水分解物とを組み合わせて使用し、さらにそれらをそれぞれ特定の量使用することによって、簡便な処理操作で、しかも、毛髪に不自然な触感を付与したり、毛髪を損傷したりすることなく、毛髪自体に良好なセット保持力を付与して、セット保持の持続性を大幅に高めることに成功した。処理された毛髪は、洗髪後も繰り返しセット保持効果を得ることができるとともに、セットされた形状は洗髪により容易にもとに戻すことができた。このように、特定の還元剤アセチルシステインをセリシン加水分解物と選択的に組合せて、それも特定の範囲の量で使用することによって、毛髪に悪影響を及ぼすことなく、毛髪自体のセット保持の持続性を大幅に向上させることができたことは、予想外のことであった。本発明はかかる知見に基づくものである。
よって本発明は、簡便な処理操作によって、毛髪に不自然な触感を付与したり、毛髪を損傷したりすることなく、毛髪自体のセット保持力を向上させて、洗髪後も繰り返しセット保持効果を得ることができるとともに、セットされた形状は洗髪により容易にもとに戻すことができる毛髪改質剤組成物、および毛髪の改質方法の提供をその目的とする。
本発明による毛髪改質剤組成物は、毛髪自体のセット保持力を向上させるための毛髪改質剤組成物であって、
アセチルシステイン0.1〜10重量%と、
セリシン加水分解物0.01〜15重量%
とを含んでなることを特徴とするものである。
アセチルシステイン0.1〜10重量%と、
セリシン加水分解物0.01〜15重量%
とを含んでなることを特徴とするものである。
本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明による毛髪改質剤組成物は、ケラチン加水分解物0.1〜10重量%をさらに含んでなる。
本発明の別の一つの好ましい態様によれば、本発明による毛髪改質剤組成物は、pHが7〜10の範囲である。
また本発明によれば、毛髪自体のセット保持力を向上させるための2剤型毛髪改質剤であって、
アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなる、第1剤と、
酸化剤1〜10重量%を含んでなる、第2剤
との組み合わせからなることを特徴とするものが提供される。
好ましくはここで、酸化剤は、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、臭素酸、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウムおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなる、第1剤と、
酸化剤1〜10重量%を含んでなる、第2剤
との組み合わせからなることを特徴とするものが提供される。
好ましくはここで、酸化剤は、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、臭素酸、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウムおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
さらに本発明によれば、毛髪自体のセット保持力を向上させるための毛髪の改質方法であって、
(1) アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなる組成物を、毛髪に適用して、毛髪の還元処理とセリシン加水分解物の毛髪内部への浸透に十分な時間、毛髪を放置し、
(2) 必要に応じて、工程(1)で使用した組成物を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素または酸化剤によって、毛髪を酸化処理する
工程を含んでなることを特徴とするものが提供される。
(1) アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなる組成物を、毛髪に適用して、毛髪の還元処理とセリシン加水分解物の毛髪内部への浸透に十分な時間、毛髪を放置し、
(2) 必要に応じて、工程(1)で使用した組成物を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素または酸化剤によって、毛髪を酸化処理する
工程を含んでなることを特徴とするものが提供される。
本発明の一つの好ましい態様によれば、前記方法において、工程(2)は、下記工程:
(2−1) 工程(1)で使用した組成物を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素との接触条件下にて、毛髪の酸化処理に十分な時間、毛髪を放置する工程、または、
(2−2) 工程(1)で得られた毛髪に、酸化剤1〜10重量%を含んでなる組成物を適用して、毛髪の酸化処理に十分な時間、毛髪を放置する工程
のいずれかである。
(2−1) 工程(1)で使用した組成物を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素との接触条件下にて、毛髪の酸化処理に十分な時間、毛髪を放置する工程、または、
(2−2) 工程(1)で得られた毛髪に、酸化剤1〜10重量%を含んでなる組成物を適用して、毛髪の酸化処理に十分な時間、毛髪を放置する工程
のいずれかである。
また本発明の一つのより好ましい態様によれば、前記方法において、酸化剤は、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、臭素酸、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウムおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
本発明によれば、簡便な処理操作によって、毛髪自体にセット保持力を付与し、そのセット保持の持続性を大幅に高めて、洗髪後も繰り返しセット保持効果を得ることができる。本発明による毛髪改質剤組成物は、毛髪にジスルフィド結合の組み換えによりウェーブを形成させることを意図しないものであるため、セットされた形状は洗髪により容易にもとに戻すことができ、ヘアスタイルの変更が自在となる。また本発明の毛髪改質剤組成物は、従来の皮膜性高分子化合物を含むセット剤に見られるごわつき感やべたつき感といった不自然な触感が付与されることがない。本発明の毛髪改質剤組成物で処理された毛髪は、しっとり感、滑らかさ、しなやかさ、ハリコシ感のような本来の自然な触感や、艶が維持または改善されているばかりか、まとまり感が大幅に向上し、ヘアスタイルを長時間維持することができる。本発明の毛髪改質剤組成物で処理された毛髪は、損傷をほとんど受けることがなく、健康な毛髪の状態を維持する上でも有用である。
さらに、本発明の毛髪改質剤組成物は、健康な毛髪は当然として、損傷した毛髪に対しても有用である。すなわち、様々な理由による損傷によってセット保持力が低下した毛髪に対して、本発明の組成物を使用すると、セット保持力の向上効果を奏すると同時に、しっとり感、滑らかさ、しなやかさ、ハリコシ感のような毛髪の触感や、毛髪の艶を維持または改善することができ、さらには、損傷前の毛髪本来の状態に回復させる効果が期待できる。
毛髪改質剤組成物
本発明による毛髪改質剤組成物は、前記したように、毛髪自体のセット保持力を向上させるための毛髪改質剤組成物であって、アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなることを特徴とするものである。ここで重量%は、毛髪改質剤組成物全量に対する量を意味する。
本発明による毛髪改質剤組成物は、前記したように、毛髪自体のセット保持力を向上させるための毛髪改質剤組成物であって、アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなることを特徴とするものである。ここで重量%は、毛髪改質剤組成物全量に対する量を意味する。
ここで毛髪の改質とは、毛髪自体のセット保持力を向上させること、または高めることを意味する。
また「毛髪自体のセット保持」とは、毛髪を皮膜性高分子化合物によりコーティングして、ヘアスタイルなどのセットを保持するのではなく、毛髪自体にブロー処理などを施すことによって、毛髪内部の分子間水素結合の強度を高めて、毛髪自体に直接働きかけてセットを保持させることをいう。
また「毛髪自体のセット保持」とは、毛髪を皮膜性高分子化合物によりコーティングして、ヘアスタイルなどのセットを保持するのではなく、毛髪自体にブロー処理などを施すことによって、毛髪内部の分子間水素結合の強度を高めて、毛髪自体に直接働きかけてセットを保持させることをいう。
「セット保持力の向上」とは、毛髪自体にセットされた形状を所望の状態に維持し保とうとする力学的な保持力を付与し、高めることに加えて、付与された保持力をできるだけ長時間維持し、かつ洗髪後も繰り返しセット保持効果を発揮できるように、セット保持の持続性を向上させることも包含する意味である。
本発明の毛髪改質剤組成物は、アセチルシステインとセリシン加水分解物との組合せを必須成分として含有するものである。
毛髪のセット保持力は、主として、毛髪内部の分子間、特にケラチン分子間の水素結合やイオン結合の強度によって決定される。絹タンパク質セリシンを部分加水分解して得られるセリシン加水分解物は、セリン、スレオニンなど、親水性官能基を有するアミノ酸を豊富に含み、その結果、毛髪を構成するケラチンとの間で強固で安定な水素結合を形成することができると考えられる。アセチルシステインは、毛髪を構成するケラチンのジスルフィド結合を切断して、毛髪を膨潤させることができると考えられる。このため本発明では、これらを共存させることによって、膨潤した毛髪内部へのセリシン加水分解物の浸透が飛躍的に高められ、ケラチンとの間で水素結合を形成する結果、毛髪内部の分子間結合の強度が高められ、毛髪自体のセット保持力を有効に高め、かつセット保持の持続性を向上させることができていると考えられる。そして、このようなアセチルシステインとセリシン加水分解物との共存による効果は、互いの成分が特定の量の範囲内にある場合に極めて有効であると考えられる。なおこれら説明は本発明者等が今回見出した知見に基づく理論または推定であって、本発明を限定するものではない。
毛髪のセット保持力は、主として、毛髪内部の分子間、特にケラチン分子間の水素結合やイオン結合の強度によって決定される。絹タンパク質セリシンを部分加水分解して得られるセリシン加水分解物は、セリン、スレオニンなど、親水性官能基を有するアミノ酸を豊富に含み、その結果、毛髪を構成するケラチンとの間で強固で安定な水素結合を形成することができると考えられる。アセチルシステインは、毛髪を構成するケラチンのジスルフィド結合を切断して、毛髪を膨潤させることができると考えられる。このため本発明では、これらを共存させることによって、膨潤した毛髪内部へのセリシン加水分解物の浸透が飛躍的に高められ、ケラチンとの間で水素結合を形成する結果、毛髪内部の分子間結合の強度が高められ、毛髪自体のセット保持力を有効に高め、かつセット保持の持続性を向上させることができていると考えられる。そして、このようなアセチルシステインとセリシン加水分解物との共存による効果は、互いの成分が特定の量の範囲内にある場合に極めて有効であると考えられる。なおこれら説明は本発明者等が今回見出した知見に基づく理論または推定であって、本発明を限定するものではない。
(a) アセチルシステイン
本発明において用いられるアセチルシステインは、システインの誘導体であり、食品、化粧品、医薬品などに広く用いられている安全性の高い還元剤である。パーマネントウェーブ剤用の還元剤として多用されるチオグリコール酸塩と比較して分子量が大きいため、毛髪内部への浸透が緩やかで、毛髪に対して過剰な還元作用を与えないと考えられる。したがって、毛髪に対するダメージが少なく、毛髪の損傷を極めて低いレベルに抑えることができる。
本発明において用いられるアセチルシステインは、システインの誘導体であり、食品、化粧品、医薬品などに広く用いられている安全性の高い還元剤である。パーマネントウェーブ剤用の還元剤として多用されるチオグリコール酸塩と比較して分子量が大きいため、毛髪内部への浸透が緩やかで、毛髪に対して過剰な還元作用を与えないと考えられる。したがって、毛髪に対するダメージが少なく、毛髪の損傷を極めて低いレベルに抑えることができる。
より具体的に説明すると、チオグリコール酸アンモニウムは、アセチルシステインと比較して分子量が小さいため、毛髪内部に浸透し易く、ジスルフィド結合を還元する作用が強い。毛髪の太さの増大を期待してチオグリコール酸塩などの還元剤を使用する従来の技術(例えば、特開2007−91739号公報)は、強固な毛髪組織を可能な限り膨潤させ、従来は不可能であった比較的高分子量のタンパク質加水分解物を毛髪内部に多く浸透させるものである。しかしながら、チオグリコール酸塩などの強力な還元剤を用いて毛髪組織を膨潤させると、毛髪内部のアミノ酸やペプチド、および色素成分などの分子量が比較的小さな毛髪成分が毛髪内部から流出してしまうため、毛髪の触感や艶が損なわれる可能性があった。
本発明において用いられるアセチルシステインは、チオグリコール酸塩と比較して毛髪内部への浸透が緩やかで、毛髪に対して過剰な還元作用を与えない。したがって、タンパク質加水分解物を毛髪内部に緩やかに浸透させつつ、毛髪内部のアミノ酸やペプチド、および色素成分などの流出を極めて低いレベルに抑えることができる。その結果、毛髪の触感や艶を損なうことなく、毛髪自体のセット保持力の持続性を高めることができる。このような本発明の効果は、毛髪の太さの増大を期待してチオグリコール酸塩等の還元剤を使用する、従来の技術には認められないものである。
また、毛髪の太さの増大を希望する従来の技術は、薄毛現象の改善を目的としていたのに対して、本発明の組成物は、毛髪自体のセット保持力を向上させることによって、スタイリング(整髪)をしやすくすることを目的としており、用途目的や対象ユーザーが全く異なっている。
毛髪改質剤組成物におけるアセチルシステインの含有量は、0.1〜10重量%であり、1〜8重量%であることが好ましく、1〜4重量%であることがより好ましい。含有量が0.1重量%未満であると、毛髪に対する効果、具体的には、毛髪を膨潤させて、セリシン加水分解物の毛髪内部への浸透を高める効果が十分に得られないことがある。含有量が10重量%を超えると、毛髪に対するダメージが大きく、毛髪が許容不可能なまでに損傷を受けてしまうことがある。
(b) セリシン加水分解物
本発明において用いられるセリシン加水分解物は、繭糸に含まれる天然の絹タンパク質セリシンに由来するもので、蚕繭、生糸などの原料を、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などを使用した酸加水分解法、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを使用したアルカリ加水分解法、または、微生物や植物由来のプロテアーゼを使用した酵素分解法に付すことにより、原料中のセリシンを部分加水分解して溶出し、得ることができる。これを公知のタンパク質分離精製手法に従って精製することによって、高純度のセリシン加水分解物の水溶液を得ことができる。さらに、熱風乾燥、減圧乾燥、または凍結乾燥などの処理に付して乾燥させ、固体としてもよい。
本発明において用いられるセリシン加水分解物は、繭糸に含まれる天然の絹タンパク質セリシンに由来するもので、蚕繭、生糸などの原料を、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などを使用した酸加水分解法、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを使用したアルカリ加水分解法、または、微生物や植物由来のプロテアーゼを使用した酵素分解法に付すことにより、原料中のセリシンを部分加水分解して溶出し、得ることができる。これを公知のタンパク質分離精製手法に従って精製することによって、高純度のセリシン加水分解物の水溶液を得ことができる。さらに、熱風乾燥、減圧乾燥、または凍結乾燥などの処理に付して乾燥させ、固体としてもよい。
セリシン加水分解物の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは3,000〜50,000であり、さらに好ましくは5,000〜40,000である。重量平均分子量が1,000未満であると、ペプチド鎖が短いために分子間の相互作用が弱く、毛髪を構成するケラチンとの間の水素結合の強度が低くなり、毛髪に対する効果、具体的には、毛髪自体のセット保持力を高める効果が十分に得られず、かつその持続性も不十分となることがある。重量平均分子量が100,000を超えると、水溶性が低下するため製剤化した際の安定性が低下したり、毛髪内部への浸透が阻害されるため十分な効果が得られなかったりすることがある。
セリシン加水分解物はさらに、アミノ酸組成としてセリン、スレオニンなど、親水性官能基を有するアミノ酸の割合が20モル%以上であることが好ましい。親水性官能基を有するアミノ酸の割合が20モル%未満であると、水素結合を形成する能力が低下し、毛髪に対する効果が十分に得られないことがある。
毛髪改質剤組成物におけるセリシン加水分解物の含有量は、0.01〜15重量%であり、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることがより好ましい。含有量が0.01重量%未満であると、ペプチド分子間の相互作用が弱く、毛髪に対する効果が十分に得られないことがある。含有量が15重量%を超えると、過剰なセリシン加水分解物がアセチルシステインの還元作用を妨害するため、毛髪に対する還元作用が十分に発揮されず、毛髪に対する効果が十分に得られないことがある。さらには、毛髪に塗布した際に、ごわつき感やべたつき感などの好ましくない不自然な触感を与えてしまうことがある。
(c) 他の成分
本発明による毛髪改質剤組成物は、以上に説明したアセチルシステインとセリシン加水分解物とに加えて、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常の化粧料などに用いられる他の成分、例えば、シリコーン類、カチオン性高分子、ペプチド類、pH調整剤、キレート剤、増粘剤、界面活性剤、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤などを含有することができる。
本発明による毛髪改質剤組成物は、以上に説明したアセチルシステインとセリシン加水分解物とに加えて、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常の化粧料などに用いられる他の成分、例えば、シリコーン類、カチオン性高分子、ペプチド類、pH調整剤、キレート剤、増粘剤、界面活性剤、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤などを含有することができる。
なかでも、ペプチド類が他の成分として好ましく使用できる。ペプチド類を含有させると、毛髪にしっとり感や滑らかさなどの良好な触感を付与することができる。このようなペプチド類のタンパク源としては、ケラチン、フィブロイン、コラーゲン(変性物であるゼラチンを含む)、カゼイン、卵白由来タンパク質、トウモロコシ由来タンパク質、大豆由来タンパク質、小麦由来タンパク質などを挙げることができる。これらは、2種以上組み合わせて用いることができる。
このようなペプチド類のなかでも、ケラチンを部分分解して得られるケラチン分解物が好ましい。ケラチン分解物は、含硫アミノ酸を豊富に含み、硫黄原子を介して毛髪を構成するケラチンとの間で強固なジスルフィド結合を形成することで、毛髪内部の分子間結合の強度を高め、毛髪自体のセット保持力を高める効果が期待できる。
ケラチン分解物の原料としては、毛(獣毛、羽毛、毛髪など)、角、爪、蹄などを挙げることができ、なかでも、入手が容易な羊毛が好ましい。また、ケラチン分解物は、加水分解物、酸化分解物、還元分解物などであることができ、これらは公知の方法により調製することができる。
本発明において使用可能なケラチン分解物の重量平均分子量は、好ましくは300〜3,000であり、より好ましくは500〜1,500である。またケラチン分解物は、アミノ酸組成としてシスチンを5モル%以上含有するものであることが好ましい。このようなケラチン分解物として、例えばプロモイスWK−HP(商品名)(株式会社成和化成製)などの市販品を用いることができる。
毛髪改質剤組成物におけるケラチン分解物の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜5重量%である。この範囲内でケラチン分解物を含有させることにより、毛髪自体のセット保持力をより一層高めることができる。
アセチルシステインによる還元反応を促進するため、毛髪改質剤組成物のpHは、中性〜アルカリ性、具体的には7〜10であることが好ましく、8〜9.6であることがより好ましい。pHが7に満たず酸性側であると、毛髪に対する効果、具体的には、毛髪を膨潤させて、セリシン加水分解物の毛髪内部への浸透を高める効果が十分に得られないことがある。pHが10を超えてアルカリ性側であると、毛髪を構成するケラチンが加水分解されやすくなり、毛髪が損傷を受けることがある。
毛髪改質剤組成物のpHを前記範囲に調整するためのpH調整剤としては、例えば、アンモニア水、エタノールアミン、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどのアルカリ剤を挙げることができる。これらは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明による毛髪改質剤組成物の剤型は、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状など、毛髪に適用できる性状のものである限り特に限定されない。また、専用の容器に収容することで、ミスト状、泡状として毛髪に適用してもよい。したがって、本発明による毛髪改質剤組成物は、その剤型に応じた担体をさらに含んでなることができる。
本発明による毛髪改質剤組成物は、常法に従い調製することができる。この場合、当業者であれば、剤型や、加えられる他の成分の種類などを考慮して、適宜調製方法を変更、改変することができる。なお、調製方法の具体例としては、後述する実施例に記載の方法が挙げられる。
さらに本発明によれば、1剤型の毛髪改質剤のほか、2剤型の毛髪改質剤も提供される。ここで、1剤型の毛髪改質剤は、上記した本発明による毛髪改質剤組成物を意味する。また2剤型毛髪改質剤とは、
アセチルシステインと、セリシン加水分解物とを含んでなる、第1剤と、
酸化剤を含んでなる、第2剤
との組み合わせからなることを特徴とするものである。
アセチルシステインと、セリシン加水分解物とを含んでなる、第1剤と、
酸化剤を含んでなる、第2剤
との組み合わせからなることを特徴とするものである。
ここで第1剤は、好ましくは、アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなるものであり、これは、前記した本発明による毛髪改質剤組成物であることができる。
第2剤は、「酸化処理剤組成物」と言い換えることもでき、酸化剤を含んでなるものであり、好ましくは、酸化剤を1〜10重量%含んでなるものである。
ここで使用可能な酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムなどの過酸化物;臭素酸、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウムなどの臭素酸塩などを挙げることができる。これらは2種以上組み合わせて用いることができる。
酸化処理剤組成物(第2剤)には、酸化剤の他、通常の化粧料などに用いられる他の成分を適宜含有させてもよい。また、酸化処理剤組成物の剤型や、毛髪への適用方法は特に限定されない。
毛髪の改質方法
本発明はまた、毛髪改質剤組成物を用いて毛髪を処理し、毛髪自体のセット保持力を向上させる方法、すなわち毛髪の改質方法も提供する。すなわち、本発明によれば、前記したように、毛髪自体のセット保持力を向上させるための毛髪の改質方法であって、
(1) アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなる組成物を、毛髪に適用して、毛髪の還元処理とセリシン加水分解物の毛髪内部への浸透に十分な時間、毛髪を放置し、
(2) 必要に応じて、工程(1)で使用した組成物を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素または酸化剤によって、毛髪を酸化処理する
工程を含んでなることを特徴とする方法が提供される。
本発明はまた、毛髪改質剤組成物を用いて毛髪を処理し、毛髪自体のセット保持力を向上させる方法、すなわち毛髪の改質方法も提供する。すなわち、本発明によれば、前記したように、毛髪自体のセット保持力を向上させるための毛髪の改質方法であって、
(1) アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなる組成物を、毛髪に適用して、毛髪の還元処理とセリシン加水分解物の毛髪内部への浸透に十分な時間、毛髪を放置し、
(2) 必要に応じて、工程(1)で使用した組成物を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素または酸化剤によって、毛髪を酸化処理する
工程を含んでなることを特徴とする方法が提供される。
本発明による毛髪の改質方法は、このように、基本的に、還元処理工程と酸化処理工程とからなる。
(i) 還元処理工程
還元処理工程は、アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなる組成物を、毛髪に適用して、毛髪の還元処理とセリシン加水分解物の毛髪内部への浸透に十分な時間、毛髪を放置することによって、毛髪を構成するケラチンのジスルフィド結合を還元的に切断し、毛髪を膨潤させるとともに、セリシン加水分解物を毛髪内部に浸透させる工程である。
還元処理工程は、アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなる組成物を、毛髪に適用して、毛髪の還元処理とセリシン加水分解物の毛髪内部への浸透に十分な時間、毛髪を放置することによって、毛髪を構成するケラチンのジスルフィド結合を還元的に切断し、毛髪を膨潤させるとともに、セリシン加水分解物を毛髪内部に浸透させる工程である。
ここで使用する組成物は、毛髪改質剤組成物であり、前述の2剤型毛髪改質剤における第1剤であることができ、あるいは、1剤型の本発明による毛髪改質剤組成物であることができる。
処理する毛髪は、乾燥した状態でも、洗髪などにより湿った状態でもよい。
還元処理工程において使用する毛髪改質剤組成物の毛髪への適用方法は特に限定されるものでなく、組成物の剤型に応じて適宜選択すればよい。すなわち、毛髪改質剤組成物に毛髪を浸漬させてもよいし、毛髪改質剤組成物を毛髪に噴霧、塗布などしてもよい。また、毛髪改質剤組成物は直接毛髪に適用してもよいし、手や塗布具に一度付着させてから適用してもよい。そして、毛髪に適用した毛髪改質剤組成物を、手や塗布具、ブラシなどで毛髪全体に延ばすことにより、毛髪改質剤組成物を毛髪全体に馴染ませることができる。
毛髪に適用する毛髪改質剤組成物の量は特に限定されるものでなく、組成物の剤型や処理すべき毛髪の量に応じて適宜調整すればよい。例えば、毛髪改質剤組成物が液状である場合には、20cm程度の長さの全頭の毛髪に対し、10〜100mlであることが好ましく、20〜80mlであることがより好ましい。
放置時間は所定の時間であり、毛髪の還元処理とセリシン加水分解物の毛髪内部への浸透に十分な時間である。したがって、放置時間は、毛髪の還元処理とセリシン加水分解物の毛髪内部への浸透が十分に行うことができるのであれば、特に制限はなく、毛髪の状態等を確認することによって適宜設定することができる。本発明においては、放置時間は、好ましくは3〜30分であり、より好ましくは5〜15分である。
還元処理工程においては、還元反応を促進させる目的で、毛髪改質剤組成物、毛髪、またはその双方を、室温以上、好ましくは25〜80℃、より好ましくは30〜60℃に加温してもよい。毛髪改質剤組成物や毛髪は、あらかじめ加温しておいてもよいし、毛髪改質剤組成物を毛髪に適用後に加温してもよい。加温方法は特に限定されるものでなく、例えば、超音波、赤外線、電磁波などを照射したり、電子レンジ、オーブン、アイロン、ドライヤー、コテなどの加熱機能を備える電気器具や、蛍光灯、白熱灯などの照明器具、温熱シート、発熱ジェルなどの発熱体を用いたりする方法を挙げることができる。また、毛髪にヘアキャップを被せるだけでも加温効果が得られる。
(ii) 酸化処理工程
酸化処理工程は、必要に応じて、前記工程で使用した組成物(毛髪改質剤組成物)を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素または酸化剤によって、毛髪を酸化処理する工程であり、毛髪におけるジスルフィド結合を酸化的に再形成させる工程である。
すなわち、還元処理工程の後、必要に応じて、毛髪改質剤組成物を水ですすいで毛髪から洗い流す。この洗浄処理は任意であり、次いで行われる酸化処理において酸化剤を用いる場合には、水による洗浄処理を省略してもよい。
酸化処理工程は、必要に応じて、前記工程で使用した組成物(毛髪改質剤組成物)を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素または酸化剤によって、毛髪を酸化処理する工程であり、毛髪におけるジスルフィド結合を酸化的に再形成させる工程である。
すなわち、還元処理工程の後、必要に応じて、毛髪改質剤組成物を水ですすいで毛髪から洗い流す。この洗浄処理は任意であり、次いで行われる酸化処理において酸化剤を用いる場合には、水による洗浄処理を省略してもよい。
酸化処理工程では、具体的には、毛髪改質剤組成物を洗い流した後、所定時間放置するか、または、酸化剤を毛髪に適用して所定時間放置することにより、ジスルフィド結合を酸化的に再形成させる。毛髪改質剤組成物を洗い流した後、所定時間放置するとは、すなわち、空気中の酸素により自然酸化させることを意味する。このとき、必要に応じてドライヤーなどで乾燥させてから、放置してもよい。ジスルフィド結合の再形成を短時間かつ確実に行うことができるという点では、酸化剤を用いて強制酸化させることが好ましい。このとき、酸化剤は、酸化剤を含有する組成物(酸化処理剤組成物)として使用することができ、該酸化処理剤組成物は、前述した2剤型毛髪改質剤の第2剤において示した通りである。酸化処理剤組成物の剤型や、毛髪への適用方法は特に限定されない。
酸化剤を使用する場合、毛髪から毛髪改質剤組成物を洗い流すことなく、酸化処理剤組成物を適用してもよいことは前記の通りである。
酸化剤を使用する場合、毛髪から毛髪改質剤組成物を洗い流すことなく、酸化処理剤組成物を適用してもよいことは前記の通りである。
よって本発明の一つの好ましい態様によれば、前記したように、酸化処理工程は、下記工程:
(2−1) 還元処理工程で使用した組成物を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素との接触条件下にて、毛髪の酸化処理に十分な時間、毛髪を放置する工程、または、
(2−2) 還元処理工程で得られた毛髪に、酸化剤1〜10重量%を含んでなる組成物を適用して、毛髪の酸化処理に十分な時間、毛髪を放置する工程
のいずれかである。
(2−1) 還元処理工程で使用した組成物を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素との接触条件下にて、毛髪の酸化処理に十分な時間、毛髪を放置する工程、または、
(2−2) 還元処理工程で得られた毛髪に、酸化剤1〜10重量%を含んでなる組成物を適用して、毛髪の酸化処理に十分な時間、毛髪を放置する工程
のいずれかである。
毛髪に適用する酸化処理剤組成物の量は特に限定されるものでなく、例えば、酸化処理剤組成物が液状である場合には、20cm程度の長さの全頭の毛髪に対し10〜100mlであることが好ましく、20〜60mlであることがより好ましい。
放置時間は所定の時間であり、毛髪の酸化処理に十分な時間である。したがって、放置時間は、毛髪の酸化処理が十分に行うことができるのであれば、特に制限はなく、毛髪の状態等を確認したり、酸化手段に応じて適宜設定したりすることができる。本発明においては、放置時間は、好ましくは3〜30分であり、より好ましくは5〜15分である。
酸化処理工程においては、酸化反応を促進させる目的で、酸化処理剤組成物、毛髪、またはその双方を、室温以上、好ましくは25〜80℃、より好ましくは30〜60℃に加温してもよい。
その後、酸化処理剤組成物を使用した場合には、水ですすいで酸化処理剤組成物を洗い流す。さらに、必要に応じてドライヤーなどで乾燥させてもよい。
その後、酸化処理剤組成物を使用した場合には、水ですすいで酸化処理剤組成物を洗い流す。さらに、必要に応じてドライヤーなどで乾燥させてもよい。
以上の工程を経て処理された毛髪は、毛髪自体のセット保持力が有効に高められているため、ブロー処理だけでも、ヘアスタイルを長時間維持することができる。また、セットされた形状は洗髪により、または、単に水を含ませるだけで、容易に解除してもとに戻すことができ、ヘアスタイルの変更が自在である。さらに、洗髪後も繰り返しセット保持効果を得ることができる。しかも処理された毛髪は、毛髪本来の自然な触感が維持または改善されているばかりか、まとまり感が大幅に向上し、ヘアスタイルの維持により一層効果を発揮する。
本発明のさらに別の態様によれば、毛髪改質剤組成物におけるアセチルシステインの含有量を例えば1〜4重量%として低い濃度に抑えて、還元処理工程、酸化処理工程という一連の処理を複数回繰り返してもよい。これにより毛髪の損傷のさらなる低減が期待できる。
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1) 毛髪改質剤組成物の調製
表1に示す、実施例1〜4および比較例1〜5の各組成の液状毛髪改質剤組成物を調製した。
表1中のモノエタノールアミンの含有量を示す適量とは、組成物のpHを9.1に調整するために必要な量であり、精製水の含有量を示す残量とは、合計を100重量%とするために必要な量である。
表1に示す、実施例1〜4および比較例1〜5の各組成の液状毛髪改質剤組成物を調製した。
表1中のモノエタノールアミンの含有量を示す適量とは、組成物のpHを9.1に調整するために必要な量であり、精製水の含有量を示す残量とは、合計を100重量%とするために必要な量である。
使用したセリシン加水分解物の調製は、以下の通りに行った。
すなわち、生糸からなる絹織物を、0.2重量%炭酸ナトリウム水溶液(pH11〜12)に浸漬して95℃にて2時間処理し、セリシンを部分加水分解して抽出した。得られた抽出液を平均孔径0.2μmのフィルターで濾過し、凝集物を除去した後、濾液を透析膜(分画分子量5,000)(フナコシ株式会社より入手可能、スペクトラ/ポア透析用チューブ)により脱塩し、濃度0.2重量%のセリシン加水分解物精製液を得た。この精製液を、エバポレーターを用いて濃度約2重量%まで濃縮した後、凍結乾燥して、セリシン加水分解物の粉末を得た。得られたセリシン加水分解物の分子量分布は5,000〜70,000、重量平均分子量は30,000で、アミノ酸組成としてセリンを35モル%含有していた。
すなわち、生糸からなる絹織物を、0.2重量%炭酸ナトリウム水溶液(pH11〜12)に浸漬して95℃にて2時間処理し、セリシンを部分加水分解して抽出した。得られた抽出液を平均孔径0.2μmのフィルターで濾過し、凝集物を除去した後、濾液を透析膜(分画分子量5,000)(フナコシ株式会社より入手可能、スペクトラ/ポア透析用チューブ)により脱塩し、濃度0.2重量%のセリシン加水分解物精製液を得た。この精製液を、エバポレーターを用いて濃度約2重量%まで濃縮した後、凍結乾燥して、セリシン加水分解物の粉末を得た。得られたセリシン加水分解物の分子量分布は5,000〜70,000、重量平均分子量は30,000で、アミノ酸組成としてセリンを35モル%含有していた。
なおここで、セリシン加水分解物の分子量分布および重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフCLASS−LC10(株式会社島津製作所製)を用いたGPC分析によって得た。GPC分析用カラムには、Superdex75 10/300GL(GE Healthcare社製)を用いた。さらにアミノ酸組成は、セリシン分解物を塩酸で加水分解処理した後、高速液体クロマトグラフアミノ酸分析システムLC−10(株式会社島津製作所)を用い、ポストカラム誘導体化−蛍光検出法にてアミノ酸を測定して得た。
また、ケラチン分解物としては、プロモイスWK−HP(株式会社成和化成製)を用いた。重量平均分子量は1000で、アミノ酸組成としてシスチンを10モル%含有する、羊毛由来ケラチン加水分解物の粉末であった。
2) 評価試験
得られた毛髪改質剤組成物について、下記に従って評価試験を行った。
試験で用いたセット保持力の低い毛髪サンプルおよび酸化処理剤組成物は、下記のようにして調製した。
得られた毛髪改質剤組成物について、下記に従って評価試験を行った。
試験で用いたセット保持力の低い毛髪サンプルおよび酸化処理剤組成物は、下記のようにして調製した。
(A) セット保持力の低い毛髪サンプルの調製
下記の組成iおよび組成iiの溶液をそれぞれ調製した。組成iiの水酸化ナトリウムの含有量を示す適量とは、pHを3.0に調整するために必要な量であり、組成iおよび組成iiの精製水の含有量を示す残量とは、合計を100重量%とするために必要な量である。組成iおよび組成iiの溶液を、使用直前にそれぞれ2:3の割合で混合し、ブリーチ用処理剤組成物とした。
下記の組成iおよび組成iiの溶液をそれぞれ調製した。組成iiの水酸化ナトリウムの含有量を示す適量とは、pHを3.0に調整するために必要な量であり、組成iおよび組成iiの精製水の含有量を示す残量とは、合計を100重量%とするために必要な量である。組成iおよび組成iiの溶液を、使用直前にそれぞれ2:3の割合で混合し、ブリーチ用処理剤組成物とした。
化学的に処理されていない毛髪(人毛)を用いて、重さ10g、長さ20cmの毛束を作製した。
次いで、ブリーチ用処理剤組成物10mlを毛束に塗布して、60℃の恒温器中に20分間放置した。その後、精製水で1分間すすぎ、室温(約25℃)に20時間放置し自然乾燥させることにより、セット保持力の低い毛髪サンプルを調製した。
次いで、ブリーチ用処理剤組成物10mlを毛束に塗布して、60℃の恒温器中に20分間放置した。その後、精製水で1分間すすぎ、室温(約25℃)に20時間放置し自然乾燥させることにより、セット保持力の低い毛髪サンプルを調製した。
(B) 酸化処理剤組成物の調製
下記の組成iiiの酸化処理剤組成物を調製した。組成iiiの水酸化カリウムの含有量を示す適量とは、pHを5.4にするために必要な量であり、精製水の含有量を示す残量とは、合計を100重量%とするために必要な量である。
下記の組成iiiの酸化処理剤組成物を調製した。組成iiiの水酸化カリウムの含有量を示す適量とは、pHを5.4にするために必要な量であり、精製水の含有量を示す残量とは、合計を100重量%とするために必要な量である。
(C) 使用試験
セット保持力の低い毛髪サンプルを用いて、重さ1g、長さ20cmの毛束を作製した。この毛束に実施例1および2または比較例1〜5の毛髪改質剤組成物を十分量(10ml)塗布し、45℃の恒温器中に15分間放置した。次いで、酸化処理剤組成物を毛束に十分量(10ml)塗布し、45℃の恒温器中に15分間放置した。
その後、精製水で2分間すすぎ、室温(約25℃)に20時間放置し自然乾燥させて、試験サンプルとした。
セット保持力の低い毛髪サンプルを用いて、重さ1g、長さ20cmの毛束を作製した。この毛束に実施例1および2または比較例1〜5の毛髪改質剤組成物を十分量(10ml)塗布し、45℃の恒温器中に15分間放置した。次いで、酸化処理剤組成物を毛束に十分量(10ml)塗布し、45℃の恒温器中に15分間放置した。
その後、精製水で2分間すすぎ、室温(約25℃)に20時間放置し自然乾燥させて、試験サンプルとした。
また、毛髪改質剤のかわりに精製水を用いて同様の処理を行うことにより、対照サンプルを調製した。
得られた試験サンプルおよび対照サンプルについて、下記に従ってセット保持力、まとまり感、および毛髪の損傷状態をそれぞれ評価した。
さらに、試験サンプルおよび対照サンプルに対して、シャンプーによる洗髪、ドライヤーによる乾燥、という一連の操作を5回繰り返した場合についても、同様の評価を行った。
なお、比較例の毛髪改質剤組成物で処理した試験サンプルについては、一連の操作を5回繰り返した場合については評価しなかった。これは、処理直後の評価において、実施例の毛髪改質剤組成物で処理した試験サンプルとの差が明確であったためであった。
なお、比較例の毛髪改質剤組成物で処理した試験サンプルについては、一連の操作を5回繰り返した場合については評価しなかった。これは、処理直後の評価において、実施例の毛髪改質剤組成物で処理した試験サンプルとの差が明確であったためであった。
試験a) セット保持力
試験サンプルおよび対照サンプルを用いて、重さ0.1g、長さ20cmの毛束を作製した。この毛束を精製水100mlに1分間浸漬した後、直径20mmのパーマネントウェーブ用ロッド(米正株式会社より入手可能、ニューエバーロッドF型)に巻き付け、60℃の恒温器中に20分間放置して乾燥させた。室温(約25℃)に戻した後、ロッドから毛束をゆっくりとはずし、コイル状にまとまった毛束を得た。
試験サンプルおよび対照サンプルを用いて、重さ0.1g、長さ20cmの毛束を作製した。この毛束を精製水100mlに1分間浸漬した後、直径20mmのパーマネントウェーブ用ロッド(米正株式会社より入手可能、ニューエバーロッドF型)に巻き付け、60℃の恒温器中に20分間放置して乾燥させた。室温(約25℃)に戻した後、ロッドから毛束をゆっくりとはずし、コイル状にまとまった毛束を得た。
コイル状の毛束の一端を保持して垂直に吊り下げ、25℃、30%RHの恒温恒湿器中に30分間放置後の見かけの長さL(cm)を測定し、下記の式によりセット保持力を求めた。
なお、吊り下げた直後の見かけの長さはいずれも2〜3cmであり、有意差は認められなかった。
セット保持力(%)={(20−L)/20}×100
なお、吊り下げた直後の見かけの長さはいずれも2〜3cmであり、有意差は認められなかった。
セット保持力(%)={(20−L)/20}×100
得られた値を以下の基準に従って評価した。
評価基準:
AA: セット保持力60%以上
A : セット保持力50%以上、60%未満
B : セット保持力40%以上、50%未満
C : セット保持力40%未満
評価基準:
AA: セット保持力60%以上
A : セット保持力50%以上、60%未満
B : セット保持力40%以上、50%未満
C : セット保持力40%未満
結果は表2に示される通りであった。
試験b) まとまり感
セット保持力を評価した試験サンプルおよび対照サンプルについて、「まとまり感」についても評価した。
すなわち、恒温恒湿器中に30分間放置後の試験サンプルについて、同様の対照サンプルと比較し、見た目のまとまり感を、5名の専門パネラーにより下記基準に従って官能評価し、その平均を求めた。
評価基準:
AA: 対照サンプルと比較してとてもまとまり感がある
A : 対照サンプルと比較してまとまり感がある
B : 対照サンプルと同程度である
C : 対照サンプルと比較してまとまり感がない
セット保持力を評価した試験サンプルおよび対照サンプルについて、「まとまり感」についても評価した。
すなわち、恒温恒湿器中に30分間放置後の試験サンプルについて、同様の対照サンプルと比較し、見た目のまとまり感を、5名の専門パネラーにより下記基準に従って官能評価し、その平均を求めた。
評価基準:
AA: 対照サンプルと比較してとてもまとまり感がある
A : 対照サンプルと比較してまとまり感がある
B : 対照サンプルと同程度である
C : 対照サンプルと比較してまとまり感がない
結果は表2に示される通りであった。
実施例による試験サンプルでは、毛髪自体のセット保持力が向上するとともに、まとまり感もよく、へアルタイルの維持に有効であることが明らかとなった。ケラチン加水分解物をさらに含む実施例1による試験サンプルでは、しっとり感や滑らかさといった触感や艶の点でも優れていた。これらの効果は、洗髪を5回繰り返した後にも確認された。
一方、比較例による試験サンプルでは、セット保持力やまとまり感の向上は認められなかった。例えば、セリシン加水分解物の含有量が本発明の範囲を超える比較例4では、所望の効果が得られず、ごわつき感やべたつき感を呈するものであった。また、アセチルシステインの含有量が本発明の範囲を超える比較例5は、毛髪の損傷が引き起こされ、毛髪成分が流出した結果、触感の悪化と艶の低下につながり、所望の効果が得られなかった。還元剤としてチオグリコール酸アンモニウムを用いた比較例3も同様であった。
試験c) 毛髪の損傷状態
前述の実施例1および比較例3による試験サンプル、ならびに対照サンプルについて、毛髪の損傷状態を評価した。
すなわち、各毛髪サンプル0.3gをそれぞれ蓋付サンプル瓶に入れ、精製水3mlを加えた後、37℃、24時間、180rpmの条件で振とうして、精製水中に毛髪成分を流出させた。得られた水溶液をフィルターろ過(平均孔径0.2μm)し、凝集物を除去した後、適宜希釈し、可視光領域(波長350nm〜700nm)における吸収スペクトルを測定した。
前述の実施例1および比較例3による試験サンプル、ならびに対照サンプルについて、毛髪の損傷状態を評価した。
すなわち、各毛髪サンプル0.3gをそれぞれ蓋付サンプル瓶に入れ、精製水3mlを加えた後、37℃、24時間、180rpmの条件で振とうして、精製水中に毛髪成分を流出させた。得られた水溶液をフィルターろ過(平均孔径0.2μm)し、凝集物を除去した後、適宜希釈し、可視光領域(波長350nm〜700nm)における吸収スペクトルを測定した。
次いで、吸収スペクトルの測定結果を基に、可視光領域における吸光度の積算値(積算吸光度値)を求めた。毛髪から流出する色素成分は可視光領域に吸収をもつため、積算吸光度値と色素成分量には相関関係がある。したがって、積算吸光度値が大きいほど、流出した色素成分の量が多いと評価できる。損傷毛髪では色素成分が流出しやすいことが知られていることから、積算吸光度値を指標として毛髪の損傷状態を評価することができる。
なお、吸光度の測定には、紫外可視分光光度計(UV−2450)(株式会社島津製作所製)を用いた。
なお、吸光度の測定には、紫外可視分光光度計(UV−2450)(株式会社島津製作所製)を用いた。
結果は表3に示される通りであった。
還元剤としてアセチルシステインを含有する実施例1による試験サンプルは、還元剤としてチオグリコール酸アンモニウムを含有する比較例3による試験サンプルと比較して、積算吸光度値が有意に小さく、色素成分の流出量が少ないことが明らかとなった。このことから、実施例1による試験サンプルは比較例3による試験サンプルと比較して、毛髪の損傷が大幅に抑制されていることが確認された。
試験d)
セット保持力の低い毛髪サンプルからなる、重さ1g、長さ20cmの毛束に対し、前記使用試験と同様の方法にて、実施例3および4毛髪改質剤組成物を用いる還元処理工程、および、酸化処理剤組成物による酸化処理工程という一連の処理を4回繰り返し、試験サンプルおよび対照サンプルを得た。
ここで、処理温度および時間は、還元処理工程および酸化処理工程のいずれも室温(約25℃)で20分間とした。また、酸化処理工程後の乾燥にはドライヤーを用いた。
得られた試験サンプルおよび対照サンプルについて、前記同様の方法により、セット保持力およびまとまり感を評価した(洗髪5回後の評価を含む)。
セット保持力の低い毛髪サンプルからなる、重さ1g、長さ20cmの毛束に対し、前記使用試験と同様の方法にて、実施例3および4毛髪改質剤組成物を用いる還元処理工程、および、酸化処理剤組成物による酸化処理工程という一連の処理を4回繰り返し、試験サンプルおよび対照サンプルを得た。
ここで、処理温度および時間は、還元処理工程および酸化処理工程のいずれも室温(約25℃)で20分間とした。また、酸化処理工程後の乾燥にはドライヤーを用いた。
得られた試験サンプルおよび対照サンプルについて、前記同様の方法により、セット保持力およびまとまり感を評価した(洗髪5回後の評価を含む)。
結果は表4に示される通りであった。
毛髪改質剤組成物の処方例
本発明の毛髪改質剤組成物の他の処方例を以下に示した。
本発明の毛髪改質剤組成物の他の処方例を以下に示した。
Claims (8)
- 毛髪自体のセット保持力を向上させるための毛髪改質剤組成物であって、
アセチルシステイン0.1〜10重量%と、
セリシン加水分解物0.01〜15重量%
とを含んでなることを特徴とする、毛髪改質剤組成物。 - ケラチン加水分解物0.1〜10重量%をさらに含んでなる、請求項1に記載の毛髪改質剤組成物。
- pHが7〜10の範囲である、請求項1または2に記載の毛髪改質剤組成物。
- 毛髪自体のセット保持力を向上させるための2剤型毛髪改質剤であって、
アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなる、第1剤と、
酸化剤1〜10重量%を含んでなる、第2剤
との組み合わせからなることを特徴とする、2剤型毛髪改質剤。 - 酸化剤が、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、臭素酸、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウムおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項4に記載の2剤型毛髪改質剤。
- 毛髪自体のセット保持力を向上させるための毛髪の改質方法であって、
(1) アセチルシステイン0.1〜10重量%と、セリシン加水分解物0.01〜15重量%とを含んでなる組成物を、毛髪に適用して、毛髪の還元処理とセリシン加水分解物の毛髪内部への浸透に十分な時間、毛髪を放置し、
(2) 必要に応じて、工程(1)で使用した組成物を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素または酸化剤によって、毛髪を酸化処理する
工程を含んでなることを特徴とする、方法。 - 工程(2)が、下記工程:
(2−1) 工程(1)で使用した組成物を毛髪から洗い流した後に、空気中の酸素との接触条件下に、毛髪の酸化処理に十分な時間、毛髪を放置する工程、または、
(2−2) 工程(1)で得られた毛髪に、酸化剤1〜10重量%を含んでなる組成物を適用して、毛髪の酸化処理に十分な時間、毛髪を放置する工程
のいずれかである、請求項6に記載の方法。 - 酸化剤が、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、臭素酸、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウムおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項6または7に記載の方法。
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