JPWO2009057611A1 - 含水有機溶媒を用いる還元型補酵素q10の製造方法 - Google Patents

含水有機溶媒を用いる還元型補酵素q10の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等として有用な、還元型補酵素Q10を還元型補酵素Q10の製造方法を提供することを目的とする。本発明は、酸化型補酵素Q10を、還元剤にアスコルビン酸類を用いて含水有機溶媒中、pH5以下で還元することを特徴とする、還元型補酵素Q10の製造方法である。当該方法により、塩基性物質等を添加せずとも、反応時間を最短化でき、かつ、好ましくない副反応を最小化できるため、高品質な還元型補酵素Q10を製造することができる。

Description

本発明は、還元型補酵素Q10の製造方法に関する。還元型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10と比較して高い経口吸収性を示し、優れた、食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、動物薬、飲料、飼料、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬、ペットフード等として有用な化合物である。
広く生物界に分布するベンゾキノン誘導体である酸化型補酵素Q10は、そのビタミン様の機能からビタミンQとも呼ばれており、弱った細胞活性を健康な状態に戻す栄養源として身体を若返らせる成分である。一方、還元型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10の2電子還元体であり、酸化型補酵素Q10が橙色結晶であるのに対し、還元型補酵素Q10は白色結晶である。還元型補酵素Q10及び酸化型補酵素Q10は、ミトコンドリア、リソゾーム、ゴルジ体、ミクロソーム、ペルオキシソーム、或いは細胞膜などに局在し、電子伝達系の構成成分としてATP産生賦活、生体内での抗酸化作用、膜安定化に関与している事が知られている生体の機能維持に必要不可欠な物質である。
還元型補酵素Q10の製造方法としては、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により補酵素Q10を得た後、クロマトグラフィーにより流出液中の還元型補酵素Q10区分を濃縮する方法等により得られることが知られている(特許文献1:特開平10−109933号公報)。この場合には、上記還元型補酵素Q10中に含まれる酸化型補酵素Q10を、水素化ホウ素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム(次亜硫酸ナトリウム)等の還元剤を用いて還元した後、クロマトグラフィーによる濃縮を行っても良いこと、また、還元型補酵素Q10は、既存の高純度補酵素Q10に上記還元剤を作用させる方法によっても得られることも、該特許公報中に記載されている。
また、アスコルビン酸類を用いた酸化型補酵素Q10の還元型補酵素Q10への還元方法についても知られている(非特許文献1:J. Am. Chem. Soc., 1990, 116, 9440-9447)。該文献中においては、酸化型補酵素Q10を、水酸化ナトリウム存在下、エタノール/水の混合溶媒を用いて還元反応を行っている。
一方、本発明者らも、アスコルビン酸類を還元剤に用いた酸化型補酵素Q10の還元反応についていくつかの特許出願を行っており(例えば、特許文献2〜4:WO03/006408号公報、WO03/006409号公報、WO03/032967号公報)、該特許文献中には、アスコルビン酸類を用いて、酸化型補酵素Q10を還元できること、溶媒として、水溶性有機溶媒や水を用いてもよいこと、反応促進剤として、塩基性物質や亜硫酸水素塩を添加することが記載されている。
しかしながら、これら還元反応における出発物質である酸化型補酵素Q10と、生成物質である還元型補酵素Q10は、いずれも水に溶解しないため、還元反応時に水を使用する場合には、通常2相系での反応となり、多量の水が必要となるが、容積効率等の観点から有利になるとは言い難い。また上述したように、アスコルビン酸類を用いた還元反応においては、反応時間を短縮させるために、塩基性物質や亜硫酸水素塩等の反応促進剤を添加することが一般的に提唱されているが、このような反応促進剤を使用した場合、還元型補酵素Q10を取得する前に上記反応促進剤の除去工程を別途組み込むことも考慮する必要がある。
特開平10−109933号公報 WO03/006408号公報 WO03/006409号公報 WO03/032967号公報 J. Am. Chem. Soc., 1990, 116, 9440-9447
上述したとおり、アスコルビン酸類を還元剤として使用する一般的な還元反応において、塩基性物質の存在下に反応を行うことで反応時間が短縮できるという報告はあるが、本発明者らがその方法を酸化型補酵素Q10の還元反応に予備的に検討した結果、例えば上記非特許文献1に記載されている条件では、酸化型補酵素Q10の還元反応は途中までは進行するものの、完全には進行せず、純度の高い還元型補酵素Q10を得ることができないことが判明した。
本発明は上記に鑑み、アスコルビン酸類の他に、ことさら他の添加剤を使用することなく、反応時間を最短化させ、高純度の還元型補酵素Q10を得ることを目的とする。
本発明者らが検討した結果、少量の水を混合させた含水有機溶媒を反応溶媒として使用し、かつ、反応溶液のpHを5以下にすることにより、上述した反応促進剤を使用せずとも、反応時間を大幅に短縮でき、かつ、純度の高い還元型補酵素Q10を製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、酸化型補酵素Q10を、アスコルビン酸類を用いて還元することによって還元型補酵素Q10を製造する方法において、反応溶媒として含水有機溶媒を用い、かつ、pHが5以下の条件下で還元反応を実施することを特徴とする還元型補酵素Q10の製造方法に関する。
さらに本発明は、好ましくは、(1)還元反応後、反応液から還元型補酵素Q10を晶析し、固液分離して、還元型補酵素Q10結晶を取得する上記製造方法、(2)還元反応後、反応液に、有機溶媒及び/又は水を添加して、還元型補酵素Q10を含有する有機層と水層とに分離させて有機層を取得し、該有機層より還元型補酵素Q10の晶析を行い、固液分離して還元型補酵素Q10結晶を取得する上記製造方法、または、(3)還元反応後、反応液に、有機溶媒及び/又は水を添加して、還元型補酵素Q10を含有する有機層と水層とに分離させて有機層を取得し、該有機層より溶媒を留去して、還元型補酵素Q10の油状物もしくは固形物を取得する上記製造方法、に関する。
本発明によれば、還元反応における容積効率の低下を最小化し、後工程で除去が必要な反応促進剤を使用せずとも、還元反応時間を短縮することができるため、簡便に高純度の還元型補酵素Q10を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、補酵素Q10とのみ記載した場合は、酸化型、還元型を問わず、両者が混在する場合には混合物全体を表すものである。
本発明の製造方法は、還元剤にアスコルビン酸類を、反応溶媒に含水有機溶媒を使用し、かつ、pHが5以下の条件で、酸化型補酵素Q10の還元反応を実施し、還元型補酵素Q10を製造することを特徴とする。
本発明の製造方法において、原料として用いる酸化型補酵素Q10は、合成、発酵、天然物からの抽出等により調製したものであってもよく、一般に市販されている既存の高純度補酵素Q10であってもよい。また、酸化型補酵素Q10のみを含有するものであってもよく、酸化型補酵素Q10と還元型補酵素Q10の混合物であってもよい。
本発明の製造方法では、還元反応を行う際の反応溶媒として含水有機溶媒を使用することが必要である。この場合の含水有機溶媒は、水を含有する有機溶媒、すなわち水と有機溶媒の混合溶媒であれば特に限定されないが、水と有機溶媒が相溶状態、つまり均一に混合された状態であるのが好ましい。そのような観点から、上記還元反応において反応溶媒として使用される含水有機溶媒中の有機溶媒は、任意あるいは特定の混合比率下において水と溶解する水溶性の有機溶媒が好ましい。そのような有機溶媒としては特に制限されないが、例えば、アルコール類、ケトン類、ニトリル類、エーテル類等を挙げることができる。
上記アルコール類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。例えば、炭素数1〜5、特に炭素数1〜4、とりわけ炭素数1〜3、なかでも炭素数2〜3の1価アルコール、炭素数2〜5の2価アルコール、又は、炭素数3の3価アルコールが好ましい。
1価のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール等を挙げることができる。
好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコールであり、より好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールであり、さらに好ましくは、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールであり、最も好ましくは、エタノールである。
2価のアルコールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等を挙げることができる。好ましくは、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールであり、最も好ましくは、1,2−エタンジオールである。
3価のアルコールとしてはグリセリン等を好適に用いることができる。
上記ケトン類としては、特に制限されず、普通炭素数3〜6のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等を挙げることができ、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトンであり、最も好ましくは、アセトンである。
上記ニトリル類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数2〜8、特に炭素数2〜6、とりわけ炭素数2〜4のものが好適に用いられる。
具体例としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、マロノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプチルシアニド、クロロアセトニトリル、ブロモアセトニトリル、クロロプロピオニトリル、ブロモプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、クロロベンゾニトリル、ブロモベンゾニトリル等を挙げることができる。
好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチルであり、より好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリルであり、最も好ましくは、アセトニトリルである。
上記エーテル類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。又、普通、炭素数3〜12、特に炭素数4〜8、とりわけ炭素数4〜8のものが好適に用いられる。
具体例としては、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等を挙げることができる。
好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルであり、より好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルであり、さらに好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等であり、最も好ましくは、ジオキサン、テトラヒドロフランである。
言うまでもなく、上記有機溶媒は複数を併用しても良い。
上記有機溶媒の中でも、沸点、粘性等の性質を考慮して選定するのが好ましい。具体的には、溶解度や反応速度を高めるための適度な加温ができ、且つ、湿体からの溶媒の乾燥除去や晶析濾液等からの溶媒回収を行いやすいという観点から、例えば、1気圧下の沸点が約30〜150℃の範囲であること、室温での取り扱い時及び室温以下に冷却した時も固化しにくいという観点から、例えば、約20℃以下、好ましくは約10℃以下、より好ましくは約0℃以下の融点を有していること、また、例えば、20℃において約10cp以下の低い粘性を有していること等が挙げられる。特に、工業的な作業上の観点から、常温で揮発し難いものが好ましく、一般に、例えば、沸点が約50℃以上、更には約55℃以上のものが好ましい。
上記性質、及び価格の点やリサイクルまたは入手のしやすさの観点、そして食品や医薬品用途で使用を考慮した場合、還元反応に使用される有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトンが好ましく、メタノール、エタノール、2−プロパノールがより好ましく、エタノールがもっとも好ましい。
本発明の製造方法において、還元反応時の反応溶媒である含水有機溶媒中の水の含有量、言い換えれば、含水有機溶媒中の有機溶媒と水との重量比は、反応時間に大きな影響を与える。含水有機溶媒中の有機溶媒と水との重量比は、使用する有機溶媒の種類に影響されるため、一概に規定できないが、有機溶媒に対する水の重量比が小さい場合には、反応時間の短縮効果も小さい。一方、水の重量比が高すぎる場合には、相対的に有機溶媒の重量比が低くなるため、例えば酸化型補酵素Q10及び/又は還元型補酵素Q10を含有する層と、水を含有する層が分離し、むしろ反応時間が遅延する傾向が見られる。この2層の分離を抑制するために、含水有機溶媒自体の使用量を増加させることも考えられるが、これは反応時の容積効率等の観点から好ましくない。
このような観点から、含水有機溶媒中の水の含有量の上限は、好ましくは約15重量%、より好ましくは約13重量%、さらに好ましくは約10重量%であり、その下限は好ましくは約1重量%、より好ましくは約3重量%、さらに好ましくは約5重量%である。すなわち、含水有機溶媒中の有機溶媒と水との重量比として、好ましくは約99/1〜85/15、より好ましくは約97/3〜87/13、さらに好ましくは約95/5〜90/10の範囲である。このような割合の含水有機溶媒を調製する方法としては特に限定されず、含水有機溶媒中の水は外部添加されたものであってもそうでなくともかまわない。
本発明の製造方法において、還元剤として使用するアスコルビン酸類としては、特に制限されず、例えば、アスコルビン酸のみならず、rhamno−アスコルビン酸、arabo−アスコルビン酸、gluco−アスコルビン酸、fuco−アスコルビン酸、glucohepto−アスコルビン酸、xylo−アスコルビン酸、galacto−アスコルビン酸、gulo−アスコルビン酸、allo−アスコルビン酸、erythro−アスコルビン酸、6−デスオキシアスコルビン酸等のアスコルビン酸に類するものを含み、更に、それらのエステル体や塩であってもかまわない。
これらは、L体、D体、或いは、ラセミ体であっても良い。具体的には、例えば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸パルミテート、L−アスコルビン酸ステアレート、D−arabo−アスコルビン酸等を挙げることができる。本発明の製造方法において、還元剤としては、上記アスコルビン酸類をいずれも好適に使用できるが、生成した還元型補酵素Q10との分離のしやすさ等を考慮すると、上記のアスコルビン酸類のうち、特に水溶性のもの、具体的には、上記アスコルビン酸類のうち、フリー体や塩が好適に用いられ、最も好ましくは、入手容易性、価格等の観点から、L−アスコルビン酸、D−arabo−アスコルビン酸等のフリー体である。
上記のアスコルビン酸類の使用量は、特に制限されず、原料である酸化型補酵素Q10をすべて(あるいはほとんど)還元型補酵素Q10に変換しうる有効量であればよい。一般的に、酸化型補酵素Q10をすべて還元型補酵素Q10に変換しうるアスコルビン酸類の有効量は、酸化型補酵素Q10に対して、1倍モル量以上、好ましくは1.2倍モル量以上である。上限は特に制限されないが、経済性も考慮して、普通10倍モル量、好ましくは5倍モル量、より好ましくは3倍モル量である。
本発明の製造方法において、酸化型補酵素Q10の還元反応は、pHが5以下、好ましくはpHが4以下、より好ましくはpH2〜4の条件で実施される。ここでいうpHの値は、還元反応における、反応混合物全体のpH値である。本発明において、少なくとも反応開始時のpHが上記範囲となる必要があるが、還元反応中のすべての期間におけるpH値が上記範囲内となるのが好ましい。本発明において上記pH値を調整する方法としては特に限定されず、酸や塩基を用いてpH値を調整してもよいが、特段のpH調整手段を必要としない場合もある。
pH調整に使用できる酸としては、特に限定されないが、硫酸、塩化水素(塩酸も含む)、燐酸等の無機酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸やトリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等のカルボン酸やクエン酸、リンゴ酸等の有機酸などを挙げることができる。なかでも、硫酸、塩化水素、燐酸等の無機酸が好ましい。
pH調整に使用できる塩基としては、特に制限されないが、例えば、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩、アンモニア、トリエチルアミン等のアミン等を挙げることができる。これらの中でも、pHの調整を容易にするという観点から、金属(好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属等)の炭酸塩、炭酸水素塩、アンモニア、アミン等といった弱塩基が好ましい。
本発明の製造方法において、還元反応は、強制流動下に実施するのが好ましい。具体的には、単位容積当たりの撹拌所要動力として、通常約0.01kW/m以上、好ましくは約0.1kW/m以上、より好ましくは約0.3kW/m以上の流動が好ましい。上記の強制流動は、通常、撹拌翼の回転により与えられるが、上記流動が得られれば必ずしも撹拌翼を用いる必要はなく、例えば、液の循環による方法などを利用しても良い。
本発明の製造方法において、還元反応は、普通30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上で実施される。還元反応温度の上限は系の沸点以下である。通常、30〜150℃程度、好ましくは40〜120℃程度、より好ましくは50〜100℃程度で好適に還元反応は実施できる。
本発明の製造方法において、還元反応を実施する際の反応溶媒に対する酸化型補酵素Q10の初期濃度は、特に制限はないが、一般に、含水有機溶媒100重量部に対する酸化型補酵素Q10の重量として、普通約1重量部以上、好ましくは3重量部以上、より好ましくは5重量部以上、とりわけ10重量部以上である。上限は、特に制限されないが、普通約60重量部以下、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下、とりわけ30重量部以下である。一般に、含水有機溶媒100重量部に対する酸化型補酵素Q10の重量として約1〜30重量部、好ましくは約5〜30重量部、より好ましくは約10〜30重量部で好適に実施できる。
本発明の製造方法において、還元反応は、使用するアスコルビン酸類の種類や量によって異なり、一律に規定できないが、通常、24時間以内、好ましくは20時間以内、より好ましくは15時間以内、とりわけ10時間以内に完了させることができる。還元反応終了後の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は、97/3以上、好ましくは98/2以上、より好ましくは99/1以上が期待できる。
本発明の製造方法においては、上記還元反応を行った後、引き続き、反応液から還元型補酵素Q10を単離するのが好ましい。反応液からの還元型補酵素Q10の単離方法としては、特に制限されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。
方法1:反応液から直接還元型補酵素Q10を晶析し、固液分離して、還元型補酵素Q10結晶を取得する方法、
方法2:反応液に、有機溶媒及び/又は水を添加して、還元型補酵素Q10を有機層に移行させ、還元型補酵素Q10を含有する有機層と水層とに分離させて有機層を取得し、必要に応じて有機層の水洗・溶媒置換を行った後、該有機層より還元型補酵素Q10の晶析を行い、固液分離して、還元型補酵素Q10結晶を取得する方法、
方法3:反応液に、有機溶媒及び/又は水を添加して、還元型補酵素Q10を有機層に移行させ、還元型補酵素Q10を含有する有機層と水層とに分離させて有機層を取得し、必要に応じて有機層の水洗・溶媒置換を行った後、該有機層より溶媒を留去して、還元型補酵素Q10の油状物もしくは固形物を取得する方法。
以下に、上記方法1〜3について説明する。
上記方法1においては還元反応を行った後、引き続き、反応液から還元型補酵素Q10の晶析(結晶化)を行う。言うまでもなく、還元型補酵素Q10を含有する反応液に含有される不純物の除去も兼ねて精製晶析するのが特に効果的である。これにより、共存する不純物、特に、通常除去するのが必ずしも容易ではない構造の類似した類縁化合物(例えば、還元型補酵素Q、還元型補酵素Q、還元型補酵素Q等)を除去することができる。
方法1における還元型補酵素Q10の晶析は、冷却、濃縮、溶媒置換、貧溶媒の使用等の一般的な晶析操作を、単独で用いて、又は、適宜組み合わせて、実施することができる。特に、冷却操作を用いる又は併用する冷却晶析が好ましい。
還元型補酵素Q10の晶析は、強制流動下に実施するのが好ましい。過飽和の形成を抑制し、スムースに核化・結晶成長を行うために、或いは、高品質化の観点から、単位容積当たりの撹拌所要動力として、通常約0.01kW/m以上、好ましくは約0.1kW/m以上、より好ましくは約0.3kW/m以上の流動が好ましい。上記の強制流動は、通常、撹拌翼の回転により与えられるが、上記流動が得られれば必ずしも撹拌翼を用いる必要はなく、例えば、液の循環による方法などを利用しても良い。
晶析に際しては、過飽和の形成を抑制し、スムースに核化・結晶成長を行うために、種晶を添加するのが好ましい。
還元型補酵素Q10の晶析温度(晶析時の冷却温度)は、晶析溶媒の種類や晶析方法にもより異なるので、一律に規定できないが、例えば、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、とりわけ15℃以下、なかんずく10℃以下である。下限は、系の固化温度である。通常、0〜25℃程度で好適に実施できる。
得られる還元型補酵素Q10中への各種不純物の混入を最小化する、又は良好な性状のスラリーを得る目的で、晶析時の単位時間当たりの結晶の晶出量を制御することができる。好ましい単位時間当たりの晶出量は、例えば、単位時間当たり全晶出量の約50%量が晶出する速度以下(即ち、最大で50%量/時間)であり、好ましくは、単位時間当たり全晶出量の約25%量が晶出する速度以下(即ち、最大で25%量/時間)である。尚、冷却晶析における冷却速度は、普通、約40℃/時間以下であり、好ましくは約20℃/時間以下である。
このようにして得られる還元型補酵素Q10の結晶は、例えば、遠心分離、加圧濾過、減圧濾過等による固液分離を行い、更に、必要に応じてケーキ洗浄を行って、湿体として取得することができる。また、更に内部を不活性ガスに置換した減圧乾燥器(真空乾燥器)に該湿体を仕込み、減圧下、乾燥することで、還元型補酵素Q10の結晶を乾体として取得することができるし、乾体として取得するのが好ましい。
方法1においては、所望の濃度あるいは性状等で晶析を行うために、必要に応じ、溶媒を追加しても良い。このとき、追加する溶媒としては、特に制限されないが、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類、水等を挙げることができる。そのなかでも特に、1価又は2価のアルコール及び/又はケトン類、好ましくは1価又は2価のアルコール及び/又は水溶性のケトン類、具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等、より好ましくはエタノール、アセトン等の有機溶媒を追加するのが好ましい。該有機溶媒存在下で晶析を行うことにより、スラリー性状や結晶性状の良い還元型補酵素Q10の結晶を取得することができ好ましい。
一方、操作の簡便性等からは、還元反応時に反応溶媒として使用した有機溶媒及び/又は水を追加するのが好ましいことから、従って、方法1においては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等、好ましくはエタノール、アセトン等の有機溶媒と水の混合溶媒である含水有機溶媒中で還元反応を行い、引き続き晶析を行うのが特に好ましい。
晶析時の溶媒中の還元型補酵素Q10濃度は特に制限されないが、溶媒中での還元型補酵素Q10の酸化防護効果は、還元型補酵素Q10の高濃度溶液において更に高まる傾向もあるので、溶媒100重量部に対する還元型補酵素Q10含有量として通常1重量部以上、好ましくは2重量部以上の濃度で晶析させるとより効果的である。
上記方法2においては、還元反応終了後の反応液に、還元型補酵素Q10を含有する有機層と水層が2層に分離するように、有機溶媒及び/又は水を添加して、還元型補酵素Q10を有機層に移行させ、還元型補酵素Q10を含有する有機層を取得し、必要に応じ、有機層の水洗・溶媒置換を行った後、該有機層より還元型補酵素Q10の晶析を行い、固液分離の後に還元型補酵素Q10結晶を取得する。
方法2においては、還元反応に使用したアスコルビン酸類や、デヒドロアスコルビン酸類等の反応時に生じる副生成物を水層に移行させるのが好ましく、また、得られた有機層は水洗して、残存する上記成分をさらに除去するのがより好ましい。
上記還元型補酵素Q10を含有する有機層と水層とを2層に分離するために添加する有機溶媒としては、還元反応終了後の反応液に、該有機溶媒、または該有機溶媒と水とを添加したときに水層と還元型補酵素Q10を含有する有機層とが分層する性質を有しているものであれば、特に制限されない。また、このとき添加する有機溶媒は、還元反応時に反応溶媒として使用した含水有機溶媒中の有機溶媒と同じであってもよく、異なっていてもよい。
このような有機溶媒としては、例えば、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、ケトン類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類等を挙げることができる。また、還元反応後の反応液(含水有機溶媒溶液)に、さらに水を添加することにより、水層と還元型補酵素Q10を含有する有機層とに分離するのであれば、有機溶媒を必ずしも使用する必要はない。言うまでもなく、有機溶媒と水の両者を添加しても良い。還元型補酵素Q10の有機層への移行時、あるいは、該有機層の水洗時において、還元型補酵素Q10を分子酸素による酸化から防護するという観点から、添加する有機溶媒として、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、ニトリル類のうち、少なくとも一種を用いるのが好ましく、最も好ましくは炭化水素類である。
炭化水素類としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。特に、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素が好ましく、とりわけ、脂肪族炭化水素が好ましい。
上記脂肪族炭化水素としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、通常、炭素数3〜20、好ましくは、炭素数5〜12のものが用いられる。
具体例としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2−メチルブタン、シクロペンタン、2−ペンテン、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、1−ヘキセン、シクロヘキセン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2、3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、メチルシクロヘキサン、1−ヘプテン、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、1−ノネン、デカン、1−デセン、p−メンタン、ウンデカン、ドデカン等を挙げることができる。
中でも、炭素数5〜8の飽和脂肪族炭化水素が好ましく、ペンタン、2−メチルブタン、シクロペンタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、メチルシクロヘキサン、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、エチルシクロヘキサン、及びこれらの混合物が好ましく用いられる。
上記芳香族炭化水素としては、特に制限されないが、普通、炭素数6〜20、特に炭素数6〜12、とりわけ炭素数7〜10のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼン、スチレン等を挙げることができる。好ましくは、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼンであり、より好ましくは、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クメン、テトラリンであり、最も好ましくは、クメンである。
上記ハロゲン化炭化水素としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、非環状のものが好ましく用いられる。普通、塩素化炭化水素、フッ素化炭化水素が好ましく、特に塩素化炭化水素が好ましい。炭素数1〜6、特に炭素数1〜4、とりわけ炭素数1〜2のものが好適に用いられる。
具体例としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロロプロパン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン等を挙げることができる。
好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンであり、より好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンである。
上記脂肪酸エステル類としては、例えば、プロピオン酸エステル、酢酸エステル、ギ酸エステル等を挙げることができる。特に、酢酸エステル、ギ酸エステルが好ましく、とりわけ、酢酸エステルが好ましい。特に制限されないが、一般に、エステル基としては、炭素数1〜8のアルキルエステル又はアラルキルエステル、好ましくは炭素数1〜6のアルキルエステル、より好ましくは炭素数1〜4のアルキルエステルが好ましく用いられる。
プロピオン酸エステルとしては、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチルを挙げることができる。
酢酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル等を挙げることができる。好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸シクロヘキシルであり、より好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルであり、最も好ましくは、酢酸エチルである。
ギ酸エステルとしては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec−ブチル、ギ酸ペンチル等を挙げることができる。好ましくは、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチルであり、最も好ましくは、ギ酸エチルである。
エーテル類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数3〜20、特に炭素数4〜12、とりわけ炭素数4〜8のものが好適に用いられる。
具体例としては、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等を挙げることができる。
好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルであり、より好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルであり、さらに好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン等であり、最も好ましくは、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフランである。
ニトリル類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数2〜20、特に炭素数3〜12、とりわけ炭素数3〜8のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、マロノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプチルシアニド、オクチルシアニド、ウンデカンニトリル、ドデカンニトリル、トリデカンニトリル、ペンタデカンニトリル、ステアロニトリル、クロロアセトニトリル、ブロモアセトニトリル、クロロプロピオニトリル、ブロモプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、トルニトリル、ベンゾニトリル、クロロベンゾニトリル、ブロモベンゾニトリル、シアノ安息香酸、ニトロベンゾニトリル、アニソニトリル、フタロニトリル、ブロモトルニトリル、メチルシアノベンゾエート、メトキシベンゾニトリル、アセチルベンゾニトリル、ナフトニトリル、ビフェニルカルボニトリル、フェニルプロピオニトリル、フェニルブチロニトリル、メチルフェニルアセトニトリル、ジフェニルアセトニトリル、ナフチルアセトニトリル、ニトロフェニルアセトニトリル、クロロベンジルシアニド、シクロプロパンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、シクロヘプタンカルボニトリル、フェニルシクロヘキサンカルボニトリル、トリルシクロヘキサンカルボニトリル等を挙げることができる。
好ましくは、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、ベンゾニトリル、トルニトリル、クロロプロピオニトリルであり、より好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリルである。
アルコール類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、一般に、飽和のものが好ましく用いられる。普通、炭素数1〜20、特に炭素数4〜12、とりわけ炭素数4〜6の1価アルコールが好ましい。
1価のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール等を挙げることができる。
好ましくは、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノールであり、より好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコールであり、さらに好ましくは、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコールである。
2価のアルコールとしては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等を挙げることができる。
3価のアルコールとしてはグリセリン等を挙げることができる。
ケトン類としては、特に制限されず、普通炭素数3〜6のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等を挙げることができ、好ましくは、メチルエチルケトンである。
窒素化合物類としては、例えば、ニトロメタン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙げることができる。
方法2において添加される水として、アスコルビン酸類やその他の副生成物等を効率よく水層に移行させる、水層と有機層との混合による乳濁液の生成を回避する、等の観点から、食塩水等の水溶液を用いても良い。また、還元反応終了後の反応液に、上記水との相溶性の低い溶媒を添加するだけで水層と有機層に分離する場合は、必ずしも水を添加しなくともよい。
方法2においては、反応液に有機溶媒及び/又は水を添加することで水層と分離して得られた還元型補酵素Q10を含有する有機層を、必要に応じて水洗した後、そのまま晶析することもできる。この場合、還元反応時に使用する有機溶媒や上記反応後に添加する有機溶媒として、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、ニトリル類のうち、少なくとも一種を用いるのが、晶析時の還元型補酵素Q10を分子酸素による酸化から防護するという観点から好ましい。
言うまでもなく、上記反応後に添加する有機溶媒として、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、ケトン類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類等を用いて還元型補酵素Q10を含有する有機層を取得した後、他の溶媒に溶媒置換し、その後、晶析を行っても良い。特に、1価又は2価のアルコールあるいはケトン、好ましくは1価又は2価のアルコールあるいは水溶性のケトン(具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等、好ましくはエタノール、アセトン等)と水との混合溶媒を用いて晶析を行った場合には、スラリー性状や結晶性状の良い還元型補酵素Q10の結晶を取得することができる。この観点からは、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、アルコール類、脂肪酸類、ケトン類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類、水等の溶媒を添加して、好ましくは、還元型補酵素Q10の酸化防護の観点、及び、還元剤として使用したアスコルビン酸類の除去性の観点から炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、ニトリル類のうち、少なくとも一種の溶媒と水とを添加して、還元型補酵素Q10を含有する有機層を取得し、必要に応じて水洗した後、1価又は2価のアルコールあるいはケトン類に溶媒置換し、晶析するのも好ましい態様である。
上記、溶媒置換の方法としては特に制限されないが、溶媒置換の操作を最短化し、還元型補酵素Q10の酸化型補酵素Q10への酸化を抑制するという観点から、好ましくは還元型補酵素Q10の融解温度以上で溶媒を留去し、その後、所望の別の溶媒を添加するのが好ましい。
方法2における、上記有機層からの晶析方法やその後の処理は、上記方法1と同様の方法により行うことができる。
上記方法3においても、上記方法2と同様、還元反応に使用したアスコルビン酸類及びデヒドロアスコルビン酸類等の反応時に生じる副生成物を水層に移行させるのが好ましく、取得した有機層を水洗して、残存する上記成分をさらに除去するのがより好ましい。その他、添加する有機溶媒及び/又は水の種類や添加方法、還元型補酵素Q10の有機層への移行、取得した有機層の水洗、溶媒置換等の方法として、上記方法2と同様のものや手法を取ることができる。
方法3において、還元型補酵素Q10を含有する有機層より溶媒を留去する方法としては、溶媒が除去された還元型補酵素Q10が取得できれば、特に制限されず、還元型補酵素Q10を油状物として取得しても良いし、固形物として取得しても良い。しかしながら、操作を最短化し、還元型補酵素Q10の酸化型補酵素Q10への酸化を抑制するという観点、及び、濃縮缶からの払い出し性等の観点からは、還元型補酵素Q10又は還元型補酵素Q10を主成分とする濃縮物の融解温度以上(融解温度に幅がある場合は、融解開始温度以上)で溶媒を留去し、還元型補酵素Q10の油状物として取得するのが好ましい。言うまでもなく、還元型補酵素Q10を油状物として取得した後に、該油状物を冷却し、固形物とするのも好ましい態様である。
上記方法1〜3の中でも、取得した還元型補酵素Q10の取り扱いやすさ等から、上記方法1または方法2のように結晶として取得するのが好ましく、操作の簡便性等から、上記方法1が特に好ましい。
尚、本発明の製造方法は、脱酸素雰囲気下で実施することが、還元型補酵素Q10を酸化から防護する上で効果的である。脱酸素雰囲気は、不活性ガスによる置換、減圧、沸騰やこれらを組み合わせることにより達成できる。少なくとも、不活性ガスによる置換、即ち、不活性ガス雰囲気を用いるのが好適である。上記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、水素ガス、炭酸ガス等を挙げることができ、好ましくは窒素ガスである。
本発明の製造方法では、酸化型補酵素Q10を還元型補酵素Q10へと還元するに際し、反応時間を大幅に短縮することができ、高品質の還元型補酵素Q10を作業性、経済性良く得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお本実施例において、pHはpHメーターD51(株式会社堀場製作社製)を用いて測定した。また、実施例中の還元型補酵素Q10の純度、還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比等は、下記HPLC分析により求めたが、本発明における純度の限界値を規定するものではなく、その上限値を規定するものでもない。
(HPLC分析条件)
カラム;SYMMETRY C18(Waters製),250mm(長さ),4.6mm(内径)、移動相;COH:CHOH=4:3(v:v)、検出波長;210nm、流速;1ml/min、還元型補酵素Q10の保持時間;9.1min、酸化型補酵素Q10の保持時間;13.3min。
(実施例1〜3、比較例1)
表1に示す割合でエタノール(コニシ株式会社製、試薬特級)と水とを混合した165gの含水エタノール中に、10gの酸化型補酵素Q10、6gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、還元反応を行った。還元反応開始時の溶液のpHと、還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比が99.5/0.5に到達するのに要した反応時間を表1に示す。尚、比較のため、水を添加していないエタノールを同条件で用いた時の結果も併せて示す。
Figure 2009057611
(実施例4、比較例2)
表2に示すとおり、2−プロパノール(ナカライテスク株式会社製、特級)と水とを重量比で90/10の割合で混合した165gの含水2−プロパノール中に、10gの酸化型補酵素Q10、6gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、還元反応を行った。還元反応開始時の溶液のpHと、還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比が99.5/0.5に到達するのに要した反応時間を表2に示す。尚、比較のため、含水2−プロパノールの代わりに水を添加していない2−プロパノールを用いた時の結果も併せて示す。
Figure 2009057611
(実施例5、比較例3)
表3に示すとおり、アセトン(サンライズケミカル株式会社製)と水とを重量比で85/15の割合で混合した100gの含水アセトン中に、10gの酸化型補酵素Q10、6gのL−アスコルビン酸を加え、55℃にて攪拌し、還元反応を行った。還元反応開始時の溶液のpHと、24時間経過後の反応液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を表3に示す。尚、比較のため、含水アセトンの代わりに水を添加していないアセトンを用いた時の結果も併せて示す。
Figure 2009057611
(実施例6)
165gの含水エタノール(エタノール/水重量比=94/6)に、10gの還元型補酵素Q10、6gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、pH3.5で還元反応を行った。13時間後、このエタノール溶液を攪拌しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を含冷エタノール(エタノール/水重量比=94/6)にて洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶9.8gを得た(収率98モル%)。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.4%であった。
(実施例7)
165gの含水エタノール(エタノール/水重量比=90/10)に、10gの還元型補酵素Q10、6gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、pH3.5で還元反応を行った。13時間後、このエタノール溶液を50℃まで冷却し、さらにヘキサン100g、水100gを添加して攪拌したのち静置して、2層に分離させた。水層を除去した後、得られた有機層を攪拌しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を含冷エタノール(エタノール/水重量比=94/6)にて洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶9.5gを得た(収率95モル%)。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.4%であった。
(実施例8)
165gの含水エタノール(エタノール/水重量比=90/10)に、10gの還元型補酵素Q10、6gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、pH3.5で還元反応を行った。13時間後、このエタノール溶液を50℃まで冷却し、さらにヘキサン100g、水100gを添加して攪拌したのち静置して、2層に分離させた。水層を除去した後、得られた有機層を、減圧下、攪拌しながら、内温50℃にて溶媒留去を行い,無色透明の油状物9.9gを得た(収率99モル%)。なお、減圧操作を除くすべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた油状物の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。
(比較例4)
1Lのエタノール(コニシ株式会社製、試薬特級)に10gの酸化型補酵素Q10、4gのL−アスコルビン酸を加え、50℃にて攪拌し、酸化型補酵素Q10及びL−アスコルビン酸を溶解させた。溶解後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液100mLと水150mLを加え、同温にて攪拌し、還元反応を行った。このときの反応液のpHは6.3であった。反応開始から5時間後の反応液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は95.8/4.2に達したが、さらに3時間後の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は95.9/4.1とほとんど変化なかった。78℃に昇温した後、さらに3時間反応させたが、反応液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は96.1/3.9とほとんど変化なかった。
(実施例6)
165gの含水エタノール(エタノール/水重量比=94/6)に、10gの酸化型補酵素Q10、6gのL-アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、pH3.5で還元反応を行った。13時間後、このエタノール溶液を攪拌しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を含冷エタノール(エタノール/水重量比=94/6)にて洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶9.8gを得た(収率98モル%)。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.4%であった。
(実施例7)
165gの含水エタノール(エタノール/水重量比=90/10)に、10gの酸化型補酵素Q10、6gのL-アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、pH3.5で還元反応を行った。13時間後、このエタノール溶液を50℃まで冷却し、さらにヘキサン100g、水100gを添加して攪拌したのち静置して、2層に分離させた。水層を除去した後、得られた有機層を攪拌しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を含冷エタノール(エタノール/水重量比=94/6)にて洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶9.5gを得た(収率95モル%)。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.4%であった。
(実施例8)
165gの含水エタノール(エタノール/水重量比=90/10)に、10gの酸化型補酵素Q10、6gのL-アスコルビン酸を加え、78℃にて攪拌し、pH3.5で還元反応を行った。13時間後、このエタノール溶液を50℃まで冷却し、さらにヘキサン100g、水100gを添加して攪拌したのち静置して、2層に分離させた。水層を除去した後、得られた有機層を、減圧下、攪拌しながら、内温50℃にて溶媒留去を行い,無色透明の油状物9.9gを得た(収率99モル%)。なお、減圧操作を除くすべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた油状物の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。

Claims (11)

  1. 酸化型補酵素Q10を、アスコルビン酸類を用いて還元することによって還元型補酵素Q10を製造する方法において、反応溶媒として含水有機溶媒を用い、かつ、pHが5以下の条件下で還元反応を実施することを特徴とする還元型補酵素Q10の製造方法。
  2. 含水有機溶媒が、アルコール類、ケトン類、ニトリル類及びエーテル類からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒と水との混合溶媒である請求項1記載の製造方法。
  3. アルコール類が、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の製造方法。
  4. ケトン類がアセトンである請求項2記載の製造方法。
  5. 含水有機溶媒中の有機溶媒と水の重量比が、99/1〜85/15の範囲内である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. アスコルビン酸類が、アスコルビン酸、 rhamno−アスコルビン酸、arabo−アスコルビン酸、gluco−アスコルビン酸、fuco−アスコルビン酸、glucohepto−アスコルビン酸、xylo−アスコルビン酸、galacto−アスコルビン酸、gulo−アスコルビン酸、allo−アスコルビン酸、erythro−アスコルビン酸、6−デスオキシアスコルビン酸、それらのエステル及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 還元反応におけるアスコルビン酸類の使用量は、酸化型補酵素Q10を還元型補酵素Q10に変換しうる有効量である請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. アスコルビン酸類の使用量が、使用する酸化型補酵素Q10に対して、1倍モル量以上である請求項7記載の製造方法。
  9. 還元反応後、反応液から還元型補酵素Q10を晶析し、固液分離して、還元型補酵素Q10結晶を取得する請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 還元反応後、反応液に、有機溶媒及び/又は水を添加して、還元型補酵素Q10を含有する有機層と水層とに分離させて有機層を取得し、該有機層より還元型補酵素Q10の晶析を行い、固液分離して還元型補酵素Q10結晶を取得する請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 還元反応後、反応液に、有機溶媒及び/又は水を添加して、還元型補酵素Q10を含有する有機層と水層とに分離させて有機層を取得し、該有機層より溶媒を留去して、還元型補酵素Q10の油状物もしくは固形物を取得する請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
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