JPWO2009054378A1 - 改質燃料油及びその製造法並びにその製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
1 連通パイプ
2 圧送ポンプ
3 吸気管
4 給油部
11〜11E 流体改質器
24 改質ユニット
24a 隙間状の開口(流出口)
25 改質流路
26 集合流路
30 第1改質エレメント
31 流入口
40 第2改質エレメント
35a,41a 角部(分流部、合流部)
52 ガイド体
60 導出側エレメント
63 放出口
80 回転式流体改質器
100 スペーサー
102 錯流生起体
図1は、本発明に係る改質燃料油製造装置(以下、「本装置」と称する。)Aの概念図である。本装置Aは、図1に示すように、予備的に燃料油を均一に撹拌しながら改質処理する一次改質処理部としての回転式流体改質器80と、同回転式流体改質器80にて改質処理された一次処理液をさらに改質処理する二次改質処理部としての静止型流体改質器11とを具備している。そして、両改質器80,11は、連通部としての連通パイプ1を介して連通連結して、同連通パイプ1の中途部に設けた圧送ポンプ2により回転式流体改質器80から静止型流体改質器11に所定量の一次処理液を圧送するようにしている。この圧送ポンプ2の吸入口側(直上流側)に位置する連通パイプ1の中途部には、微量の空気を取り入れる微量空気取り入れ部(微量空気供給部)としての吸気管3の基端部を連通連結し、同吸気管3の先端部に開口量調整弁(図示せず)を開口量調整自在に取り付けて、同先端部を適宜開口量だけ大気に開口させることができるようにしている。なお、逆止弁や開閉弁等の弁部は連通パイプ1の適宜箇所に配設することができる。また、圧送ポンプ2はその他にも連通パイプ1の適宜箇所に配設することができる。
次に、上記した本装置A(一次改質処理部として後述する回転式流体改質器80を使用し、二次改質処理部として後述する静止型流体改質器11Bを使用した。)によりA重油の改質燃料油を製造した。そして、燃料装置(コロナ株式会社製のメカニカルガンバーナMGHA−161を使用した。)の燃焼効率を、製造した改質燃料油と比較例としてのA重油(未改質)とで比較した。ここで、空気(改質処理液であるA重油の体積の1%前後)を取り込んだA重油の改質燃料油を第1改質燃料油とし、空気を取り込んでいないA重油の改質燃料油を第2改質燃料油とした。また、改質処理は、改質処理液を回転式流体改質器80と静止型流体改質器11に15分間だけ循環的に繰り返し送り込んで行った。
図2は、第1改質燃料油と第2改質燃料油とA重油(未改質)を、それぞれ燃料装置(バーナー)に供給して燃焼させた際の経時的な燃焼温度の変化を示すグラフである。グラフG1は、第1改質燃料油の燃焼温度の変化を実線で示している。グラフG2は、第2改質燃料油の燃焼温度の変化を一点鎖線で示している。グラフG3は、A重油(未改質)の燃焼温度の変化を鎖線で示している。グラフG1とグラフG3とは、略同一形状の温度変化グラフとなり、35分経過後の温度に殆ど差はなかった。グラフG2はこれらのグラフG1,G2と相似形状の温度変化グラフとなり、35分経過後の温度に約50度の温度差があった。
図3は、第1改質燃料油と第2改質燃料油とA重油(未改質)の経時的な燃料消費量を示す棒グラフである。35分経過後におけるそれぞれの燃料消費量は、第1改質燃料油が7.67L、第2改質燃料油が8.29L、A重油(未改質)が8.79Lであった。その結果、A重油(未改質)に対する第1改質燃料油の削減率は12.7%、そして、A重油(未改質)に対する第2改質燃料油の削減率は5.6%であることが分かった。
次に、前記第1実験と同様の実験を行った。ただし、第1改質燃料油に取り込む空気量は、改質処理液であるA重油の体積の2%とし、循環的に繰り返し行う改質処理は20分間行った。この際、第1改質燃料油には所定の空気量を圧入して供給した。
図4は、第1改質燃料油と第2改質燃料油とA重油(未改質)を、それぞれ燃料装置(バーナー)に供給して燃焼させた際の経時的な燃焼温度の変化を示すグラフ(時間−燃焼温度特性グラフ)である。グラフG1は、第1改質燃料油の燃焼温度の変化を実線で示している。グラフG2は、第2改質燃料油の燃焼温度の変化を一点鎖線で示している。グラフG3は、A重油(未改質)の燃焼温度の変化を鎖線で示している。燃焼時間は45分間である。第1改質燃料油と第2改質燃料油とA重油(未改質)の燃焼時間30分〜45分における燃焼温度がほぼ同じとなるように設定(その結果、グラフG1〜グラフG3の燃焼時間30分〜45分における燃焼温度は、略同一形状の温度変化グラフとなっている。)して、それぞれの燃料消費量を比較した。
図5は、第1改質燃料油と第2改質燃料油とA重油(未改質)の経時的な燃料消費量を示す棒グラフである。45分経過後におけるそれぞれの燃料消費量は、第1改質燃料油が7.23L、第2改質燃料油が7.8L、A重油(未改質)が8.37Lであった。その結果、A重油(未改質)に対する第1改質燃料油の削減率は13.6%、そして、A重油(未改質)に対する第2改質燃料油の削減率は6.8%であることが分かった。
次に、前記第2実験と同様の実験を行った。ただし、第1改質燃料油に取り込む空気量は、改質処理液であるA重油の体積の1%(第1−1改質燃料油)、2%(第1−2改質燃料油)、3%(第1−3改質燃料油)の3パターンとし、循環的に繰り返し行う改質処理は20分間行った。この際、第1改質燃料油には所定の空気量を圧入して供給した。
そして、燃料装置(バーナー)の燃焼スタート後、30分〜45分における燃焼温度の平均値を計測した。その結果は、図6にそれぞれを棒グラフで示すように、A重油(未改質)が872℃、第2改質燃料油が912℃、第1−1改質燃料油が919℃、第1−2改質燃料油が956℃、第1−3改質燃料油が861℃であった。
また、A重油(未改質)に対する改質燃料油それぞれの燃料消費量の削減率(45分経過後)は、第1−1改質燃料油が7.5%、第1−2改質燃料油が13.6%、第1−3改質燃料油が1.8%、第2改質燃料油が6.8%であった。
そこで、第1−2改質燃料油における気泡や微粒夾雑物の粒径分布測定を、株式会社セイシン企業製のSKレーザーマイクロンサイザーLMS−2000e(商品名)で行った。ここで、試料として第1−2改質燃料油をn−ヘキサン(分散媒)で5倍に希釈させて測定した。
その結果を、図7に粒径サイズ分布(棒グラフ)として示す。図7に示すように、粒子サイズの頻度は、1.783μm〜2.000μmの区分において、最大値である14.85%であった。また、ふるい下(体積)74.98%が、粒子サイズで3.991μm以下であった。
図8は、第1−2改質燃料油を光学顕微鏡((株)島津理化製の「デジタルマイクロスコープ DMBA 200」(商品名))で1500倍に拡大して写した写真である。
図7及び図8より、第1−2改質燃料油における気泡や微粒夾雑物は、大部分が超微細(1μm前後〜4μm未満)な粒子に均一化(改質処理)されていることが分かった。
図9は、回転式流体改質器80の主要部である改質器本体81の側面図である。基本的に、回転式流体改質器80は、改質する被処理流体(本発明ではA重油やC重油等の燃料油)を収容する収容槽(図示せず)と、同収容槽内に配置して被改質物を改質して改質液となす上記改質器本体81と、同改質器本体81を回転駆動させる駆動源としての電動モータ(図示せず)を具備している。なお、収容槽の上部には、前記給油部4の先端部を連通連結すると共に、同収容槽の下部には、前記連通パイプ1の基端部を連通連結している。
以下に、気体と液体(気−液),液体と液体(液−液)等の被処理流体(以下、単に流体と称することがある)を改質する静止型流体改質器(以下、「流体改質器」と称する。)としての第1実施形態〜第4実施形態の流体改質器11〜11Eについて説明する。
第1実施形態の流体改質器11について図15〜図21を参照しながら説明する。すなわち、流体改質器11は、図15に示されるように、両端が開口している円筒形状のケーシング本体21を有する。ケーシング本体21の両端の各開口部にはフランジ21a,21bが形成されており、各フランジ21a,21bにケーシング本体21の蓋体22,23が着脱自在に取り付けられている。各蓋体22,23には、流体改質器11の流体Rの出入口である開口22a,23aが形成されている。本実施形態では、図15において左側に位置する蓋体22の開口を流体導入口22aとして用い一方、右側に位置する蓋体23の開口を流体導出口23aとして用いている。
次に、第2実施形態の流体改質器11Aについて、図22〜図27を参照しながら説明する。すなわち、流体改質器11Aは、第1実施形態の改質ユニット24と異なり、改質ユニット24Aの流出路24aから流出した流体が流れる集合流路26にガイド体52を備えている(図24参照)。なお、上記第1実施形態の流体改質器11と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、第3実施形態の流体改質器11Bについて図28〜図31を参照しながら説明する。なお、上記第2実施形態の流体改質器11Aと同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、第4実施形態の流体改質器11Cについて図32〜図34を参照しながら説明する。なお、上記第3実施形態の流体改質器11Bと同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図35は、集合流路形成エレメント50の変用例であり、エレメント本体51の下流側面51bに、多数の錯流生起手段としての錯流生起体102を一体成形して突設し、隣接する錯流生起体102間に集合流路26を形成している。
図36に示されるように、流体改質器11Dは、第1実施形態の改質ユニット24を構成するエレメントのうち、処理流体に接する部分の角部に、丸みをつけて滑らかな面にした改変例である。例えば、図36の部分拡大図に示すように、第1改質エレメント30の凹み部34に形成した凹部35の開口端の角部に丸みをつけて滑らかにしている。
図37に示されるように、流体改質器11Eは、流体改質器11に温度制御ユニット70を設置して構成している。温度制御ユニット70は、流体改質器11Eのケーシング本体21の外周を覆うジャケット部71と、当該ジャケット部71内に温度制御用の流体(ここでは水)を供給する図示しない給水ポンプに接続された給水管72と、ジャケット部71から水を導出するための排水管73とを備えている。
上記のように構成した流体改質器の基本的構成に係る効果は、以下の通りである。
[0001]
本発明は、改質燃料油と、同改質燃料油を連続的に製造する方法と、同改質燃料油を連続的に製造する装置に関する。
背景技術
[0002]
改質燃料油製造装置の一形態として、網目状の連続多孔体よりなる円柱状の遠赤外線放射性セラミックス体と、それを貫挿した内部が中空の形状を備えた遠赤外線放射性円筒体セラミックスとから構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
かかる改質燃料油製造装置は、流体燃料が遠赤外線の放射を受けることにより活性化されて、燃焼効率が向上することを図っているものである。
特許文献1:特開平11−106762号公報
発明の開示
発明が解決しようとする課題
[0004]
しかしながら、上記した改質燃料油製造装置は、燃焼効率の向上は図られるものの、満足できる効果を得るまでには到っていないのが現状である。
課題を解決するための手段
[0005]
前記課題を解決するため、請求項1,2に係る本発明では、以下のような改質燃料油を提供するものである。
[0006]
(1)請求項1記載の本発明は、燃料油を遠心力により流動させると共に、この流動する方向と交差する方向に分流と合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させる一次改質処理と、この一次改質処理された燃料油を圧送力により流動させると共に、この流動する方向と交差する方向に分流と合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させる流体改質器で改質処理する二次改質処理とを行ったことを特徴とする改質燃料油であって、前記流体改質器は、中央部に流体の流入口を形成した円板状の第1改質エレメントに、円板状の第2改質エレメントを対向させて配置すると共に、両改質エレメントの間に上記流入口から流入した流体を放射線方向に流動させて改質する改質流路を形成した改質ユニットを構成し、上記改質ユニットを円筒状に形成したケーシング本体内にその軸線方向に間隔を開けて複数配置して、隣接する改質ユニットとケーシング本体とで流路成形用空間を形成し、同流路形成用空間内には、円板状の集合流路形成エレメントを配置して、前記改質流路を通過した流体が、リング状に開口する流出口の全周から略均等に流出して、ケーシング本体の軸芯側に流動して集合する集合流路が形成されるようにして、前記集合流路形成エレメントにはエレメント本体の一側面に流路断面積を安定させる膨出状のガイド体を形成すると共に、同ガイド体は、エレメント本体の外周縁と同一曲率の円弧面に形成した外周円弧面と、同外周円弧面の両端からエレメント本体の中心側へ伸延させて接続した一対の側面と、エレメント本体と平行する平面となした当接面とから略扇型平板形状に形成し、しかも、前記ガイド体は、エレメント本体の円周部にその円周方向に同一間隔を開けて複数配置して、各ガイド体の外周円弧面が集合流路形成エレメントの外周端面及び第2改質エレメントの外周端面と面一で、かつ、隣接するガイド体の相対向する側面同士が円周方向で相互に平行になるように形成して、隣接するガイド体の側面とエレメント本体の背面とで形成される溝部の溝部幅を、集合流路形成エレメントの円周側から中心側に向けて略同一幅となしていることを特徴とする改質燃料油である。
[0007]
(2)請求項2記載の本発明は、請求項1記載の改質燃料油であって、一次改質処理された燃料油に微量の空気を加えて二次改質処理したことを特徴とする改質燃料油である。
[0008]
前記課題を解決するため、請求項3,4に係る本発明では、以下のような改質燃料油製造法を提供するものである。
[0009]
(3)請求項3記載の本発明は、燃料油を遠心力によりせん断状の分流と圧縮状の合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させて改質処理する一次改質処理行程と、同一次改質処理行程で一次改質処理された燃料油を圧送力によりせん断状の分流と圧縮状の合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させて改質処理する請求項1記載の流体改質器による二次改質処理行程とを有することを特徴とする改質燃料油製造法である。
[0010]
(4)請求項4記載の本発明は、請求項3記載の改質燃料油製造法であって、二次改質処理行程の前には、微量の空気を供給する微量空気供給行程を設けていることを特徴とする改質燃料油製造法である。
[0011]
前記課題を解決するため、請求項5,6に係る本発明では、以下のような改質燃料油製造装置を提供するものである。
[0012]
(5)請求項5記載の本発明は、燃料油を遠心力により流動させると共に、この流動する方向と交差する方向にせん断状の分流と圧縮状の合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させて改質処理する一次改質処理部と、同一次改質処理部で一次改質処理された燃料油を圧送力により流動させると共に、この流動する方向と交差する方向にせん断状の分流と圧縮状の合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させて改質処理する請求項1記載の流体改質器である二次改質処理部とを備えていることを特徴とする改質燃料油製造装置である。
[0013]
(6)請求項6記載の本発明は、請求項5記載の改質燃料油製造装置であって、一次改質処理部と二次改質処理部との間には、微量空気供給部を備えていることを特徴とする改質燃料油製造装置である。
発明の効果
[0014]
本発明では、燃料油中の微粒夾雑物を微細化する一次改質処理と、同燃料油中の微粒夾雑物をさらに超微細化する二次改質処理とにより、少なくとも二段階で均一に改質しているため、燃料油を完全燃焼化させることができて、所要の燃焼温度に要する燃料油の消費量を削減することができる。その結果、燃焼効率を向上させることができる。ここで、燃料油としては、ガソリン、航空タービン用燃料油(ジェット機燃料
Claims (6)
- 燃料油を遠心力により流動させると共に、この流動する方向と交差する方向に分流と合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させる一次改質処理と、この一次改質処理された燃料油を圧送力により流動させると共に、この流動する方向と交差する方向に分流と合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させる二次改質処理とを行ったことを特徴とする改質燃料油。
- 一次改質処理された燃料油に微量の空気を加えて二次改質処理したことを特徴とする請求項1記載の改質燃料油。
- 燃料油を遠心力によりせん断状の分流と圧縮状の合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させて改質処理する一次改質処理行程と、同一次改質処理行程で一次改質処理された燃料油を圧送力によりせん断状の分流と圧縮状の合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させて改質処理する二次改質処理行程とを有することを特徴とする改質燃料油製造法。
- 二次改質処理行程の前には、微量の空気を供給する微量空気供給行程を設けていることを特徴とする請求項3記載の改質燃料油製造法。
- 燃料油を遠心力により流動させると共に、この流動する方向と交差する方向にせん断状の分流と圧縮状の合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させて改質処理する一次改質処理部と、同一次改質処理部で一次改質処理された燃料油を圧送力により流動させると共に、この流動する方向と交差する方向にせん断状の分流と圧縮状の合流を繰り返しながら蛇行状態に流動させて改質処理する二次改質処理部とを備えていることを特徴とする改質燃料油製造装置。
- 一次改質処理部と二次改質処理部との間には、微量空気供給部を備えていることを特徴とする請求項5記載の改質燃料油製造装置。
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