JP3732280B2 - 燃料油処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンに燃料油を供給する燃料油供給系統に設けられる燃料油処理装置に関し、特に燃料油の精密濾過技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば船舶の主機関である推進用の大型ディーゼルエンジンに用いられる燃料油は、近年では、アルミナやシリカ等の触媒を用いる接触分解方式や熱分解方式による減圧蒸留によって原油を精製し、ガソリンや軽油等の上質分を抽出した残りの残渣油を主体として製造されていて、スラッジのみならず、アルミナ、シリカ等の硬質固形分をかなり含んでいる。又、原油中に含まれているワックスやアスファルテン等は、単独に、又は前記固形分を核としてその周囲を取り巻いて存在し、いわゆるウェットスラッジを形成している。
【0003】
このようなウェットスラッジは、比重が小さいため、油清浄機で遠心分離しても効果的に除去されない。そして、スラッジやアルミナ等の硬質固形分を含んだ燃料油がエンジンに供給されると、エンジンの性能を低下させたり、エンジンの摺動部分等に付着して異常磨耗を発生させたり、潤滑油中に混入する等の不具合を発生させる。
【0004】
このため、硬質固形分を除去するべくエンジンの直前にファインフィルタを設けることが多い。しかしながら、このようなファインフィルタによれば、固形分を除去できるが、フィルタエレメントがウェットスラッジによって目詰まりし、その寿命が短くなるという問題がある。そして、ファインフィルタのメッシュを細かくすればする程目詰まりが激しくなり、その寿命が短くなる。更に、ウェットスラッジの周縁部分を構成しているワックス等は、可燃性のもので燃料として利用できるものであり、ファインフィルタによってこれらも一緒に除去してしまえば、燃料の有効利用が図れない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術に於ける上記問題を解決し、微細な硬質固形分まで除去できると共に、フィルターエレメントの寿命を長くし、更に燃料油を改質してその利用増進を図ることができる燃料油処理装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ディーゼルエンジンに燃料油を供給する燃料油供給系統に設けられる燃料油処理装置において、
円筒状の本体ケーシングと前記燃料油が高速で反転を繰り返しつつ通過するように案内する案内部材であって長方形の板が180°捩じられて90°位相を変えて接続するように前記本体ケーシングの中に固定された複数の案内部材とを備えたスタティックミキサからなる前処理部と、該前処理部の後流側に設けられ燃料油中の微細粒子が除去される濾過体を備えていて前記前処理部が外部又は内部のうちの何れかの部分に一体的に形成されている精密漉し器と、該精密漉し器の外面及び前記前処理部が前記外部に形成されているときに前記前処理部の前記本体ケーシングの外面に巻き付けられた保温用の加熱体と、を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、ディーゼルエンジンに燃料油を供給する燃料油供給系統に設けられる燃料油処理装置において、
円筒状の本体ケーシングと前記燃料油が高速で反転を繰り返しつつ通過するように案内する案内部材であって前記円筒状の半径方向に2段に穴をずらせて設けられたハニカム状の内エレメント及び外エレメントと前記内エレメントの内側の両端に設けられた蓋とを備えたスタティックミキサからなる前処理部と、該前処理部の後流側に設けられ燃料油中の微細粒子が除去される濾過体を備えていて前記前処理部が外部又は内部のうちの何れかの部分に一体的に形成されている精密漉し器と、該精密漉し器の外面及び前記前処理部が前記外部に形成されているときに前記前処理部の前記本体ケーシングの外面に巻き付けられた保温用の加熱体と、を有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の燃料油処理装置を適用した燃料油供給系統の一例を示す。
燃料油処理装置は、ディーゼルエンジンである船舶の推進用の主機関1に燃料油を供給する燃料油供給系統に設けられ、前処理部の一例であるスタティックミキサ2と、その後流側に設けられる精密漉し器としてのファインフィルタ3とを有する。燃料油は、通常残渣油を主体としたC重油であるが、A重油又はA/Cブレンド重油等であってもよい。
【0009】
燃料供給系統は、燃料油常用タンク4、一次漉し器5、燃料油供給ポンプ6、燃料油加熱器7、二次漉し器8、前記スタティックミキサ2、前記ファインフィルタ3、前記主機関1、圧力調整弁9、燃料油の戻りを滞留させて空気を分離して再び供給するためのエアーセパレータ10、等によって構成されている。スタティックミキサ2及びファインフィルタ3は主機関1にできるだけ近い位置に設けられることが望ましい。燃料油常用タンク4には、燃料油澄ましタンク11から燃料油清浄機12で処理された燃料油が供給される。主機関1では、それぞれのシリンダ用の図示しない燃料噴射ポンプにより、シリンダ内に高圧で燃料油が噴射される。
【0010】
図2はスタティックミキサ2の一例を示す。
スタティックミキサ2は、両端にフランジ21を持つ本体ケーシング22と、燃料油が高速で反転を繰り返しつつ通過するように案内する案内部材としての混合エレメント23とによって構成されている。混合エレメント23は、長方形の板を180°捩じった形状になっていて、その捩じれの方向により、通過する燃料油が右回転する右エレメント23aと左回転する左エレメント23bとに別れていて、これらが交互に90°位相をずらせて組み合わせられ、溶接等によって本体ケーシング22に固定されている。
【0011】
図3はファインフィルタの一例を示す。
ファインフィルタ3は、上部にフランジ31を備えた胴体32、カバー33、燃料油中の微細粒子が除去される濾過体としてのフィルタエレメント34、燃料油入口、出口管35、36、一次ドレン管37、二次ドレン管38、空気抜き管39、40、据付け脚41等を備えている。入口管35は、導入される燃料油が胴体32に沿って旋回流になるように、胴体32の内部まで内管として延設されている。本例のファインフィルタ3には、支持ブラケット42を介して図2に示すスタティックミキサ2が一体的に取り付けられている。符号43は拡管ピースである。
【0012】
なお、スタティックミキサ2とファインフィルタ3とを離して取り付ける場合には、それらの間で温度降下をできるだけ少なくするように、十分な保温措置が採られることが望ましい。又、スタティックミキサ2とファインフィルタ3とを一体的に形成する場合でも、これらを主機関のできるだけ近くに設置することが望ましい。そのようにすれば、後述するように、一度細分化したウェットスラッジの再生をより確実に防止することができる。
【0013】
ファインフィルタの胴体32回りやスタティックミキサ2を含む入口/出口管35、43/36等の表面には、一部分のみを二点鎖線で図示しているように保温用の加熱体44が巻き付けられていて、その上は保温材45で覆われている。加熱体としては、蒸気管や温水等の熱媒体管を使用することができるが、本例では、どのような船舶でも必ず得ることができる電気を用いて、少ない電力消費で簡易且つ確実に保温効果を維持できるように、120°C程度の温度に自己温度制御されるヒートケーブルを用いている。
【0014】
フィルタエレメント34は、カートリッジ式使い捨て型の公称濾過精度5μmのもので、円筒面34aが濾過面になっていて、上下の両端には、4個の通油穴34b−1の明けられた胴体中間蓋34b、同様の通油穴を備えた開口板34c及び盲板34dが設けられている。フィルタエレメントとしては、濾過精度2〜10μm程度のもの若しくはもう少し粗いものでもよく、又ファインフィルタの形式としては、金網式、ノッチワイヤー式等の連続逆洗再使用型のものであってもよい。
【0015】
ファインフィルタの通油量は、これが使用される対象となる主機関の大きさによって当然異なるが、例えば1m3 /hである。このとき、燃料油の入口、出口管35、36には、口径32mm程度の管が用いられる。一方、スタティックミキサ2の内径は、流速を十分速くするために、その1/2以下のサイズになっている。その結果、スタティックミキサ内では、通常の管内の流速の5〜6倍程度の速い流速で油が流れる。
【0016】
以上のような燃料油供給系統及び燃料油処理装置は次のように使用される。
船内の図示しない燃料油タンクから燃料油澄ましタンク11に積み込まれ適当な温度に維持されているC重油は、比重差によってスラッジ等をある程度分離された後、燃料油清浄機12で処理されて燃料油常用タンク4に貯蔵される。燃料油清浄機では、C重油中の相当量のスラッジや水が除去される。
しかし、C重油は、微細なスラッジや精製過程で加えられたアルミナ、シリカ等の触媒粒子からなる硬質固形分、ワックスやアスファルテンのような軟質固形分、これらが結合して結合体としては比重が小さいウェットスラッジ等を含んでいて、これらは燃料油清浄機において効果的に除去されず、多くは燃料油中に残留する。
【0017】
油清浄機にかけられたC重油は、固化防止や粘度低下のために燃料油常用タンク4内で適当な温度まに加熱されつつ貯蔵され、一次漉し器5を介して燃料油供給ポンプ6で吸引されて吐出され、主機関1の燃料噴射ポンプで噴射に適した粘度になるように、燃料油加熱器7で例えば120°C程度まで加熱され、二次漉し器8、本発明の燃料油処理装置を形成するスタティックミキサ2及びファインフィルタ3を経由して、主機関の燃料噴射ポンプに供給される。
【0018】
一次漉し器5は、ポンプ6の保護等を目的とした通常100メッシュ程度の粗い網目のものである。二次漉し器8は、ファインフィルタ3を設ける場合にはその目詰まり防止等のため、又、これを設けない場合には直接主機関の燃料噴射ポンプ保護のため、数10μm程度のものが用いられる。燃料油供給系統として二次漉し器8までの装置のみを装備する場合には、主機関内への微細なスラッジや触媒粒子の混入が多くなり、粗悪C重油を使用する場合には主機関の性能低下等を招くことになる。
【0019】
一方、二次漉し器8の濾過精度を上げようとすれば、前記のウェットスラッジ等による目詰まりが多くなる。又、二次漉し器とファインフィルタとを単に並設することにより、順次濾過精度を上げるようにしても、それぞれの漉し器へのウェットスラッジ等の詰まりを効果的に防止できない。本発明では、スタティックミキサ2とファインフィルタ3とをこの順に直列に並設しているので、ファインフィルタの詰まりを防止しつつ微細な固形物を十分除去できる。
【0020】
図4は図2を部分的に拡大した図で、スタティックミキサ2内の燃料油の通過状態を示す。
燃料油加熱器7で加熱されたC重油がスタティックミキサ2内に入ってくると、その入口部の口径は配管口径の1/2以下になっているから、油は通常の流速の5〜6倍程度の流速になる。スタティックミキサ2内では、油は、混合エレメント23の中の右エレメント23aの最初のもの23a−1において、エレメントの縦向きの先端23a−11により手前側の実線及び奥側の点線で示すように二分され、捩じられたり反転しながら高速でそのエレメントの後端23a−12に至る。
【0021】
次の左エレメント23b−1では、その入口部で横向きの先端23b−11によって手前側及び奥側の油はそれぞれ上下に二分され、混合、捩じれ、反転等の作用を受け、更にエレメントを通過する間にも捩じれや反転作用を受ける。左エレメント23b−1の後端23b−12では、上下に分割された油がそれぞれ次の右エレメント23a−2の先端23a−21で二分され、そのエレメントを通過する際に同様に混合、捩じれ、反転等の作用を受ける。23b−2以下のエレメントにおいても、油は同様の作用を受けながら流れる。
【0022】
このように、油は高速で分割/混合、捩じれ、反転等の作用を受けると共に、C重油では当然に燃料加熱器7で加熱されて粘度低下の効果が加わるので、粘性の高いC重油であっても流れに激しい乱れが生じ、微細なスラッジや添加物を核としたウェットスラッジやワックス等の軟質固形物はあらゆる方向に力や加速度を受け、油清浄機における一様な遠心力では分割されなかった固まりが細断されたり、核となっているアルミナやシリカがワックス等と分離して単独に油中に放出される。
【0023】
その結果、ウェットスラッジや軟質固形物が分散消滅し、硬質固形分はフィルタで捕捉され、軟質固形分は適当に変形してフィルタを通過する。そして、フィルタエレメントを目詰まりさせることなく、燃料油中から微細スラッジや触媒粒子を除去することができる。なお、高速でスタティックミキサを通過させると圧力損失が生ずるが、その値は1kgf/cm2 以下(本例では0.8kgf/cm2 )であり、問題になる程ではない。
【0024】
図5は、図3に示す本発明の燃料油処理装置であるスタティックミキサ2を入口部分に備えたファインフィルタ3を用いて、その拡管ピース43からRWNO.1粘度1500秒のC重油を入れて処理試験をした結果を示す。この結果によれば、処理油中には10μm以上の粒子は殆ど存在しなくなり、原料油中に存在したウェットスラッジ等の粒状物がスタティックミキサで細断され、微細な硬質固形分もファインフィルタで十分捕捉されていることが分かる。
【0025】
図6は、上記の燃料油処理装置を実際の船舶に搭載してファインフィルタの目詰まりの状態を試験した結果を示す。
本例の主機関は1800PSのディーゼルエンジンで、燃料油としては上記と同じC重油を用いている。実験では、フィルタの目詰まりの指標であるファインフィルタ3の入口/出口間の差圧を測定している。前の曲線イは同じ濾過精度(公称5μm)のファインフィルタのみを設けた場合を示し、後の曲線ロは、運転時間2340時間の時からスタティックミキサ2を装着した図3に示す本発明の燃料油処理装置の場合を示す。両曲線の上端で差圧が1.8kgf/cm2 になるとフィルタエレメントを交換している。
【0026】
この実験において、従来の装置の場合の曲線イと本発明の装置の場合の曲線ロとを、差圧が上昇を始めてからフィルタエレメントの交換に至るまでの時間で比較すれば、曲線イでは145時間(1815時間−1670時間)であるのに対して、曲線ロでは650時間(3090時間−2440時間)であり、本発明の装置により、フィルタエレメント交換時間を従来の装置の場合の4.5倍に延長することができた。
【0027】
図7はスタティックミキサの他の例を示し、そのなかで(c)は内外エレメント24、25の接続部分を平面に展開し、これを外エレメント25側から見た図である。
本例のスタティックミキサは、フランジ部21を備えた胴体22内において、半径方向に2段にハニカム状の内エレメント24及び外エレメント25を備えている。内エレメント24の内側の両端には蓋26、27が取り付けられ、中心部分28には油が流れないようになっている。
【0028】
このスタティックミキサでは、同図(c)に示す如く、例えば矢印A方向から流れて来た油は、矢印B方向から流れてきた油と合体して右回転しながら内エレメント24の1つの内セル241(下側で図では紙面の奥側)に流入し、その旋回エネルギーによって内セル241内では点線の矢印で示す如く左旋回流が発生する。
【0029】
内セル241は外エレメント25の外セル251及び252と導通しているので、内セル241内の左旋回エネルギーを持った油がこれらの外セルに入ると、その内壁に案内されて実線の矢印の如く右旋回流を発生させる。このような現象が内外セル間を点線及び実線の矢印に示す如く順次伝達される。この間に、油は分離/集合、方向反転、旋回、逆旋回等の作用を受け、図2に示すエレメント23の場合と同様に、その中のウェットスラッジが細断され、触媒粒子等の硬質固形分が単独で油中に放出される。
【0030】
図8は燃料油処理装置の他の構成例を示す。
図3の例では、スタティックミキサ2をファインフィルタ3の油入口管35に取り付けることによってこれらを一体化しているが、本例では、直管状又は胴体32の形状に沿わせた曲管状のスタティックミキサ2をファインフィルタ3の内部(図示の例では底部)に配置している。スタティックミキサ2は、溶接、ネジ止め又はフランジ等によって胴体32又は入口管35と結合され、胴体から支持ブラケット42で支持される。このようにすれば、スタティックミキサ2で前処理された燃料油がそのままファインフィルタ3のフィルタエレメント34を通過するので、ウェットスラッジの再生を完全に防止でき、硬質固形物の分離性能及びフィルタエレメントの耐久性を一層向上させることができる。又、可燃分をより多く通過させることにより燃料油の改質を促進し、更にファインフィルタの外形構造の簡素化を図ることができる。
【0031】
以上では、前処理部がスタティックミキサである場合について説明した。即ち、比重が軽く固形状を成し極めて粘性の大きいウェットスラッジの場合には、油清浄機のように強い遠心力を加えても、一様な力ではこれを細断して核となっている硬質固形物を取り出すことはできないが、燃料油の温度を上げて高速で繰り返し反転させれば、流れに大きな乱れが生じ、ウェットスラッジを破壊できる可能性があること、そしてスタティックミキサがこのような目的に即応できることから、これを用いた実証する試験を行ない、図5、図6に示すような良好な結果を得ることができた。
【0032】
しかし、スタティックミキサは本来異種流体を混合する目的のものであり、船舶用としては、例えばA重油とC重油とを混合してブレンド油を製造する目的に使用されている。本発明では、スタティックミキサの付随的作用である流れを乱す作用に着目し、これを利用したものである。従って、前処理部が、燃料油を高速で繰り返し反転させつつ通過させるように案内する案内部材を備えていれば、上記のような作用効果を発生させることができるので、本発明の前処理部は、所謂スタティックミキサと総称されている装置には限られない。
【0033】
【発明の効果】
以上の如く請求項1及び2の発明によれば、先ず、燃料油が高速で反転を繰り返しつつ通過するように案内する案内部材を備えた前処理部を設けるので、燃料油の流れが大幅に乱され、軟質固形分や触媒粒子等の硬質固形分を核としたウェットスラッジがあらゆる方向から力を受けて揺さぶられ、固形分が細かく分断されると共に、核となっているスラッジやアルミナ、シリカ等の粒子が油中に洗い出される。
【0034】
次に、このように前処理された燃料油中の微細粒子を除去できる濾過体を備えた精密漉し器を設けるので、スラッジや触媒粒子等の硬質固形分を捕捉することができる。その結果、これらの除去された燃料油を主機関に送り、その性能低下や異常磨耗の発生等を防止することができる。
【0035】
一方、ウェットスラッジを形成していて細かく分断されたアスファルテンやワックス等の軟質物は、変形容易であるため殆ど濾過体を通過する。その結果、濾過体の目詰まりを大幅に低減でき、その寿命を延長することができる。この濾過体が逆洗式のものであれば、逆洗時間を長くし、逆洗のための燃料油の損失を低減することができる。
【0036】
又、上記のような軟質固形分は相当の発熱量を持った可燃性物質であるため、主機関に送られれば燃料の一部分となって燃料と同様に燃焼される。従って、従来ではファインフィルタで除去していたものを燃料として使用することができる。即ち、燃料を、元の同じ重量に対して発熱量の大きくなった良質のものに改質することができる。
【0037】
以上から、請求項1の発明によれば、簡単な構成で極めて大きな種々の作用効果を得ることができる。
【0038】
又、上記に加えて、前処理部と精密漉し器とを一体的に形成しているので、前処理部で処理した燃料油を温度降下させることなく精密漉し器に導入することができる。ウェットスラッジは、一度細分化されても温度が低くなると容易に結合し、再生され易いが、これを防止して確実に上記諸作用効果を得ることができる。又、両者の一体化により、船内等における現場工事が少なくなり、装置の生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した燃料油処理装置を含む燃料油供給系統の説明図である。
【図2】スタティックミキサの一例を示す断面図である。
【図3】ファインフィルタの構造例を示す断面図である。
【図4】スタティックミキサ内の油の流れ状態を示す説明図である。
【図5】スタティックミキサを装着したファインフィルタの性能試験結果を示す曲線図である。
【図6】従来のファインフィルタのみを装着した燃料油処理装置とスタティックミキサ及びファインフィルタを一体的に形成した本発明の燃料油処理装置とのフィルタエレメントの目詰まり状態を比較した実験結果を示す曲線図である。
【図7】本発明の前処理部に適用できるスタティックミキサの他の例を示し、(a)は側面図、(b)は斜視図、(c)は内外エレメントを平面状に展開して示した説明図である。
【図8】スタティックミキサを内蔵したファインフィルタの構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 主機関(ディーゼルエンジン)
2 スタティックミキサ(前処理部)
3 ファインフィルタ(精密漉し器)
23 混合エレメント(案内部材)
23a 右エレメント(案内部材)
23b 左エレメント(案内部材)
24 内エレメント(案内部材)
25 外エレメント(案内部材)
Claims (2)
- ディーゼルエンジンに燃料油を供給する燃料油供給系統に設けられる燃料油処理装置において、
円筒状の本体ケーシングと前記燃料油が高速で反転を繰り返しつつ通過するように案内する案内部材であって長方形の板が180°捩じられて90°位相を変えて接続するように前記本体ケーシングの中に固定された複数の案内部材とを備えたスタティックミキサからなる前処理部と、該前処理部の後流側に設けられ燃料油中の微細粒子が除去される濾過体を備えていて前記前処理部が外部又は内部のうちの何れかの部分に一体的に形成されている精密漉し器と、該精密漉し器の外面及び前記前処理部が前記外部に形成されているときに前記前処理部の前記本体ケーシングの外面に巻き付けられた保温用の加熱体と、を有することを特徴とする燃料油処理装置。 - ディーゼルエンジンに燃料油を供給する燃料油供給系統に設けられる燃料油処理装置において、
円筒状の本体ケーシングと前記燃料油が高速で反転を繰り返しつつ通過するように案内する案内部材であって前記円筒状の半径方向に2段に穴をずらせて設けられたハニカム状の内エレメント及び外エレメントと前記内エレメントの内側の両端に設けられた蓋とを備えたスタティックミキサからなる前処理部と、該前処理部の後流側に設けられ燃料油中の微細粒子が除去される濾過体を備えていて前記前処理部が外部又は内部のうちの何れかの部分に一体的に形成されている精密漉し器と、該精密漉し器の外面及び前記前処理部が前記外部に形成されているときに前記前処理部の前記本体ケーシングの外面に巻き付けられた保温用の加熱体と、を有することを特徴とする燃料油処理装置。
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