JPWO2009050783A1 - 汚液の濾過方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚液の撹拌状態を利用して濾過作業を連続して行うことにより、迅速且つ効率的に汚液の濾過作業を行うことができる汚液の濾過方法及びその装置を得る。【解決手段】減圧導入槽6,24を汚液収納部1に複数セット接続し、汚液2の濾過手段10を各々配置する。一つの減圧導入槽6を減圧した後、汚液収納部1と減圧導入槽6とを連通し、負圧を利用して汚液2を減圧導入槽6内に導入する。濾過手段10により汚液2を濾過し、この濾過した汚液2を汚液収納部1に環流する。この環流した汚液2を、前記減圧導入槽6とは異なる他の減圧導入槽24に導入して濾過を行い、この濾過した汚液2を汚液収納部1に環流する。この作業を複数回繰り返すことにより、汚液2の濾過作業を行う。
Description
本発明は、被洗浄物の洗浄に用いる洗浄液、メッキ液、切削若しくは圧延等に用いる処理液、表面処理工程に使用する処理液、その他の汚液中から、堆積物を除去する濾過方法及びその装置に係るものである。
従来、被洗浄物の洗浄に用いる洗浄液その他の汚液中から、堆積物を除去するための濾過方法及びその装置として、特許文献1に示す如きものが公知となっている。この従来技術は、減圧機構に接続して減圧可能な減圧導入槽を開閉弁を介して汚液収納部に1セット接続し、この減圧導入槽と汚液収納部との間の流路中には、汚液の濾過手段を配置している。そして、汚液収納部との連通を開閉弁を介して遮断した状態で減圧導入槽を減圧した後、開閉弁を開放して減圧導入槽と汚液収納部を連通し、減圧導入槽の減圧による負圧を利用して汚液を減圧導入槽内に導入し前記濾過手段により汚液の濾過を行うものである。このように減圧導入槽の減圧による負圧を利用して汚液収納部から減圧導入槽内に汚液を導入することにより、汚液を減圧導入槽内に急激に導入し、汚液中に含まれる小さな粒子は勿論、大きな粒子、切り粉等の堆積物も確実に減圧導入槽に移送して迅速に濾過することを目的としている。
特許第3539680号公報
しかしながら、特許文献1の濾過方法及びその装置は、上述の如く濾過手段を設けた減圧導入槽を1セットしか設けておらず、この1セットの減圧導入槽を減圧する作業と、減圧した減圧導入槽内に汚液を導入して濾過し、汚液収納部に環流する作業を交互に行うものである。そのため、汚液の濾過作業は減圧作業を挟んで断続的にしか行うことができず、連続的に行うことができないため、濾過作業を迅速に行うことが出来なかった。
また、上記特許文献1の濾過方法及びその装置に於ては、濾過手段による濾過を完了した汚液を汚液収納部内に環流すると、この環流による勢いで汚液収納部内の汚液が攪拌されて、堆積していた堆積物が汚液中に浮遊し、一時的に堆積物を回収しやすい状態となる。しかし、特許文献1の濾過手段及びその装置は、減圧導入槽を1セットしか設けていないため、上述の如く、汚液を汚液収納部に環流した後、減圧導入槽を減圧する作業を挟まなければ減圧導入槽内に汚液を導入することができない。そして、上記減圧作業中に上述の如き汚液の攪拌状態が解除されるため、減圧作業が完了して減圧導入槽への汚液の導入を開始する時には、堆積物が堆積状態に復元してしまうこととなる。このように、特許文献1に於ては、汚液の攪拌状態を利用して堆積物を効率的に回収することができず、汚液の濾過作業が非効率的なものとなっていた。
また、減圧した減圧導入槽に汚液を導入する場合、導入力が強いのは短時間であり、この初期の時間を経過すると濾過目的の堆積物の吸引力は急速に低下し液体のみ吸引が可能となる。そのため濾過作業を効率的なものとすることができなかった。
そこで、本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、迅速且つ効率的に汚液の濾過作業を行うことができる汚液の濾過方法及びその装置を得ようとするものである。
本願発明は、前述の如き従来技術の課題を解決するため、減圧機構に接続し一定の減圧度まで減圧可能とする減圧導入槽を形成し、この減圧導入槽を汚液収納部に開閉弁を介して複数セット接続している。また、この汚液収納部より減圧導入槽への汚液の導入側から、減圧導入槽より汚液収納部への排出側に到る複数の流路中には、汚液の濾過手段を各々配置している。
また、汚液収納部に接続した一つの減圧導入槽を汚液収納部との連通を開閉弁を介して遮断した状態で一定の減圧度まで減圧した後、開閉弁を開放して汚液収納部と減圧導入槽とを連通し、この減圧導入槽の減圧による負圧を利用して汚液を減圧導入槽内に導入する。そして、前記濾過手段により汚液の濾過を行った後に、この濾過した汚液を汚液収納部に環流する。また、この環流した汚液を、前記減圧導入槽とは異なる他の減圧導入槽に、前記減圧導入槽に汚液を導入したのと同一の手段により導入して濾過を行い、この濾過した汚液を汚液収納部に環流する。そして、この一つの減圧導入槽への汚液の導入、濾過及び汚液収納部への環流と、他の減圧導入槽への汚液の導入、濾過及び汚液収納部への環流を複数回繰り返すものである。
このように、減圧導入槽を複数セット汚液収納部に接続することにより、短時間の強い導入力を、連続的にまたは短い間隔で発生させることができるから、堆積物を効率良く減圧導入槽に導入して濾過作業を短時間で終了させることが可能となる。また、一つの減圧導入槽が汚液の導入濾過を行っている時に、他の減圧導入槽内部の減圧を行い、一つの減圧導入槽が濾過した汚液を汚液収納部に環流して堆積物を攪拌した時に他の減圧導入槽がこれを吸入導入することができる。そのため、この複数セットの減圧導入槽により、汚液の導入、濾過及び汚液収納部への環流を連続して行うことができ、汚液収納部を一セットしか設けていない従来例の汚液の濾過方法及びその装置と比較して、汚液の濾過作業を迅速に行うことが可能となる。
また、濾過を完了した汚液を一つの減圧導入槽から汚液収納部内に環流し、この環流による勢いで汚液収納部内の汚液を攪拌し、堆積物を汚液中に浮遊させた状態で、他の減圧導入槽への汚液の導入を行うことが可能となる。そのため、汚液中に浮遊させた堆積物が、汚液とともに確実に減圧導入槽に回収されるものとなり、常に堆積物が堆積した状態で濾過作業を行う従来例の濾過方法及びその装置と比較して、汚液の濾過作業を効率的に行うことが可能となる。
また、本願発明に於て用いる減圧導入槽は、汚液の導入濾過後に圧力気体を導入可能とし、濾過した汚液を圧力気体の圧力により汚液収納部へ排出可能としたものであっても良い。このように圧力気体を用いることにより、減圧導入槽内の汚液を汚液収納部に迅速に環流することが可能となるとともに、この環流時に汚液収納部の汚液を強く攪拌することが可能となり、他のセットの減圧導入槽が汚液を導入する際に堆積物の吸入が容易となる。
また、本願発明に於て用いる減圧導入槽又は複数の流路は、残留した堆積物の減圧乾燥を可能としたものであっても良い。このように流路内に残留した堆積物を減圧状態で乾燥することにより、堆積物に付着した汚液の沸点を低下させて速やかに揮発させ、堆積物を確実に乾燥させることが可能となり、堆積物の処理を容易なものとすることが可能となる。
また、複数の流路は、両端をフレキシブルホースにて形成し、このフレキシブルホースを汚液収納部内に挿入可能とすることにより、汚液の導入及び排出を可能としたものであっても良い。このように形成することにより、汚液収納部と減圧導入槽を一体的に形成する必要がなくなり、専用の容器でなくても汚液収納部として使用することが可能となるため、本発明の汚液の濾過方法及びその装置を幅広い用途に使用することが可能となる。
本願発明は前述の如く、汚液収納部に接続して減圧導入槽を複数セット設けているため、一つの減圧導入槽が汚液の導入濾過を行っている時に、他の減圧導入槽内部の減圧を行い、一つの減圧導入槽が濾過した汚液を汚液収納部に環流して堆積物を攪拌した時に、他の減圧導入槽がこれを吸入導入することができる。そのため、この複数セットの減圧導入槽により、汚液の導入、濾過及び汚液収納部への環流を連続して行うことができ、汚液収納部を一セットしか設けていない従来例の汚液の濾過方法及びその装置と比較して、汚液の濾過作業を迅速に行うことが可能となる。
また、減圧導入槽を複数セット汚液収納部に接続することにより、短時間の強い導入力を、連続的にまたは短い間隔で発生させることができるから、堆積物を効率良く減圧導入槽に導入して濾過作業を短時間で終了させることが可能となる。
また、濾過を完了した汚液を一つの減圧導入槽から汚液収納部内に環流し、この環流による勢いで汚液収納部内の汚液を攪拌し、堆積していた堆積物を汚液中に浮遊させた状態で、他の減圧導入槽への汚液の導入を行うことが可能となる。そのため、汚液中に浮遊させた堆積物が、汚液とともに確実に減圧導入槽に回収されるものとなり、常に堆積物が堆積した状態で濾過作業を行う従来例の濾過方法及びその装置と比較して、汚液の濾過作業を効率的に行うことが可能となる。
1汚液収納部
2汚液
4開閉弁
6、24減圧導入槽
7減圧機構
10濾過手段
2汚液
4開閉弁
6、24減圧導入槽
7減圧機構
10濾過手段
以下、本発明の実施例1を図1〜図4に於て説明すれば、(1)は汚液(2)を収納する汚液収納部であって、他の場所で発生した汚液(2)を収納する槽により形成したものでも良いし、汚液(2)の発生源であっても良い。また、上記汚液(2)は被洗浄物の洗浄液、切削油、メッキに使用するメッキ液等の工業上の処理に使用する液体であって、図1は、汚液(2)中に粒子、切り粉等の堆積物(3)が堆積している状態を示している。
また、上記汚液収納部(1)の下端で堆積物(3)の堆積部に、図1に示す如く、第1開閉弁(4)を設けた第1導入管(5)を介して第1減圧導入槽(6)を接続している。この第1減圧導入槽(6)は、後述の如く真空ポンプ、エゼクター機構等により形成した減圧機構(7)と接続して減圧可能とするとともに、圧力計(8)により内部の圧力を計測可能としており、汚液収納部(1)から導入した汚液(2)を濾過するための濾過手段(10)を内設している。この濾過手段(10)は任意のものを用いることが出来るが、一例として、第1減圧導入槽(6)の内周にフィルター、スクリーン等を配置して濾過手段(10)とすることができる。
また、上記第1減圧導入槽(6)は、第2開閉弁(11)を設けた第1排出管(12)を介して汚液収納部(1)と接続しており、濾過手段(10)により濾過を完了した汚液(2)を汚液収納部(1)に環流可能としている。また、上記第1排出管(12)には、精密フィルター(13)を設けている。このように、第1減圧導入槽(6)内に設けた濾過手段(10)に加えて精密フィルター(13)を設けることにより、濾過作業の精度を高めることが可能となる。
また、本実施例に於いては、図1に示す如く、第1排出管(12)に於いて第2開閉弁(11)と第1減圧導入槽(6)の間に精密フィルター(13)を設けている。このように形成することにより、精密フィルター(13)により精密に濾過した汚液(2)が、第2開閉弁(11)を通過することとなるため、汚液(2)の通過による第2開閉弁(11)の汚染やそれに伴う目詰まりを抑制することができる。また、汚液収納部(1)に収納された汚液(2)が、第2排出管(12)内を図1に矢印で示す方向とは逆方向に逆流した場合であっても、第2開閉弁(11)により汚液(2)の逆流を遮断することが可能となり、精密フィルター(13)が逆流した汚液(2)により汚染されるのを防止することができる。
また、前記第1導入管(5)には、第1開閉弁(4)と第1減圧導入槽(6)との間に第1圧力管(14)を接続し、この第1圧力管(14)は、第3開閉弁(15)を介して真空ポンプ、エゼクター機構等の減圧機構(7)と接続している。そのため、第1開閉弁(4)を閉止した状態で第3開閉弁(15)を開放し、減圧機構(7)を作動することにより、第1減圧導入槽(6)内を減圧することができる。
また、上記第1圧力管(14)には、第4開閉弁(16)を設けた第2圧力管(17)を接続し、この第2圧力管(17)を第3圧力管(18)と接続している。また、この第3圧力管(18)は、圧力調整弁(20)、第5開閉弁(21)を介して圧力気体の移送手段(図示せず)と接続している。そのため、圧力調整弁(20)及び第4開閉弁(16)、第5開閉弁(21)を開放することにより、移送手段から圧力気体を第1減圧導入槽(6)内に導入可能としている。
また、前記汚液収納部(1)は、図1に示す如く、第6開閉弁(22)を設けた第2導入管(23)を介して第2減圧導入槽(24)に接続している。この第2減圧導入槽(24)は、前記第1減圧導入槽(6)と同様に、減圧機構(7)及び圧力計(8)と接続するとともに、濾過手段(10)を内設している。また、第7開閉弁(25)を設けた第2排出管(19)を介して汚液収納部(1)と接続しており、上記第2排出管(19)には、第2減圧導入槽(24)と第7開閉弁(25)の間に、精密フィルター(13)を設けている。
また、前記第2導入管(23)には、図1に示す如く、上記第6開閉弁(22)と第2減圧導入槽(24)との間に第4圧力管(29)を接続し、この第4圧力管(29)は、第8開閉弁(26)を介して前記減圧機構(7)と接続している。また、上記第4圧力管(29)は、前記第2圧力管(17)の第4開閉弁(16)非形成側と接続しており、上記第2圧力管(17)に設けた第9開閉弁(27)を介して、第3圧力管(18)と接続している。
上述の如く構成したものに於て、第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)を用いて汚液収納部(1)に収納されている汚液(2)の濾過を行うには、まず、第1開閉弁(4)、第2開閉弁(11)、第4開閉弁(16)、第5開閉弁(21)、第6開閉弁(22)、第7開閉弁(25)、第8開閉弁(26)、第9開閉弁(27)を閉止した後、第3開閉弁(15)を開放し、減圧機構(7)を作動する。この減圧機構(7)の作動により第1減圧導入槽(6)内は減圧される。そして、第1減圧導入槽(6)内が一定の減圧状態となった時に、減圧機構(7)を停止して第3開閉弁(15)を閉止し、第1開閉弁(4)を開放する。そして、汚液収納部(1)内の汚液(2)を第1減圧導入槽(6)内の負圧により、第1導入管(5)を介して、図2に示す如く、第1減圧導入槽(6)内に急激に導入する。このように、減圧による負圧を利用して汚液収納部(1)から第1減圧導入槽(6)内に汚液(2)を導入することにより、汚液(2)を第1減圧導入槽(6)内に急激に導入し、汚液(2)中に含まれる堆積層の小さな粒子は勿論、大きな粒子、切り粉等の堆積物(3)も確実に第1減圧導入槽(6)内に移送することが可能となる。但し、この移送は短時間であって長時間持続することはなく、堆積物(3)の全部を第1減圧導入槽(6)に導入するのは困難な場合が多い。
また、この汚液(2)の導入後、第1減圧導入槽(6)内の濾過手段(10)によって汚液(2)を濾過する。そして、この濾過作業を完了した汚液(2)を汚液収納部(1)に移送する。この汚液収納部(1)への汚液(2)の移送を行うには、第1開閉弁(4)を閉止し、第4開閉弁(16)、第5開閉弁(21)を開放する事によって、圧力気体の移送手段から圧力気体を第1減圧導入槽(6)内に導入し、第2開閉弁(11)を開放する。そして、圧力気体の圧力によって、第1減圧導入槽(6)内の汚液(2)を第1排出管(12)に排出し、精密フィルター(13)により再度濾過した後、汚液収納部(1)に環流する。このように圧力気体を用いることにより、第1減圧導入槽(6)内の汚液(2)を汚液収納部(1)に迅速に環流することが可能となるとともに、この環流時に汚液収納部(1)の汚液(2)を強く攪拌することが可能となり、他のセットの減圧導入槽が汚液(2)を導入する際に堆積物(3)の吸入が容易となる。
なお、本実施例に於ては、上述の如く、第1減圧導入槽(6)から汚液収納部(1)への汚液(2)の移送を、圧力気体の圧力を用いて行っているが、汚液(2)の排出手段はこれに限られるものではなく、例えば、第1減圧導入槽(6)を汚液収納部(1)より高い位置に設置し、汚液(2)の自重により第1減圧導入槽(6)から汚液収納部(1)に移送しても良い。この場合には、圧力気体を用いる場合と比較して、簡易な方法で汚液(2)の移送を行うことができるが、汚液(2)の移送速度は遅くなる。また、第1排出管(12)にポンプを設けて、このポンプにより濾過した汚液(2)を圧送することも可能である。
また、前記第1減圧導入槽(6)への汚液(2)の導入作業中に、第8開閉弁(26)を開放するとともに減圧機構(7)を稼働して、第2減圧導入槽(24)の減圧作業を開始する。そして、上記第1減圧導入槽(6)が濾過した汚液(2)を汚液収納部(1)に環流したら直ちに、前記第2減圧導入槽(24)による濾過作業を行う。この濾過作業の手順は上記の第1減圧導入槽(6)による汚液(2)の濾過の場合と実質的に同様である。上述の如く汚液収納部(1)内に汚液(2)を環流すると、図3に示す如く、この環流による勢いで汚液収納部(1)内の汚液(2)が攪拌されて、堆積していた堆積物(3)が汚液(2)中に浮遊する。この堆積物(3)の浮遊中に、第6開閉弁(22)を開放して、汚液収納部(1)内の汚液(2)を第2減圧導入槽(24)内の負圧により、図3に示す如く、第2導入管(23)を介して、第2減圧導入槽(24)内に導入する。そして、第2減圧導入槽(24)内に設けた濾過手段(10)により汚液(2)の濾過作業を行う。
このように、濾過を完了した汚液(2)を第1減圧導入槽(6)から汚液収納部(1)内に環流し、この環流による勢いで汚液収納部(1)内の汚液(2)を攪拌し、堆積していた堆積物(3)を汚液(2)中に浮遊させた状態で、第2減圧導入槽(24)への汚液(2)の導入を行うことにより、汚液(2)中に浮遊させた堆積物(3)が、汚液(2)とともに確実に第2減圧導入槽(24)に回収されるものとなる。そのため、常に堆積物が堆積した状態で濾過作業を行う従来例の濾過方法と比較して、汚液(2)の濾過作業を効率的に行うことが可能となる。また、第1減圧導入槽(6)の汚液(2)が汚液収納部(1)に環流して直ちに第2減圧導入槽(24)の減圧導入を行うため、短時間の強い導入力を、連続的にまたは短い間隔で発生させることができるから、堆積物(3)を効率良く第2減圧導入槽(24)に導入して濾過作業を短時間で終了させることが可能となる。
また、この濾過作業の完了後は、第6開閉弁(22)を閉止して第5開閉弁(21)、第9開閉弁(27)を開放し、圧力気体の移送手段から圧力気体を第2減圧導入槽(24)内に導入して、第7開閉弁(25)を開放する。そして、この圧力気体の圧力によって、第2減圧導入槽(24)内の汚液(2)を第2排出管(19)に排出し、精密フィルター(13)により再度濾過した後、汚液収納部(1)に環流する。
また、上述の如く第2減圧導入槽(24)による汚液(2)の導入濾過を行っている時に、第4開閉弁(16)、第8開閉弁(26)を閉止して、第3開閉弁(15)を開放するとともに減圧機構(7)を稼働して、第1減圧導入槽(6)内を減圧しておく。そして、上述の如く第2減圧導入槽(24)から汚液収納部(1)に汚液(2)を環流し、この環流による勢いで汚液収納部(1)内の汚液(2)を攪拌した状態で、図4に示す如く、再度第1減圧導入槽(6)内に汚液(2)を導入し、濾過作業を行う。
そして、このように一つの減圧導入槽が汚液(2)の導入濾過を行っている時に、他の減圧導入槽内の減圧を行い、一つの減圧導入槽から汚液(2)を汚液収納部(1)に環流して攪拌し、この攪拌した汚液(2)を他の減圧導入槽が導入して濾過するという作業を連続して複数回行う。このように、本実施例の濾過方法及びその装置に於ては、2セット設けた減圧導入槽により汚液(2)の導入、濾過及び汚液収納部(1)への環流を連続して行うことができ、減圧導入槽を一セットしか設けていない従来例の汚液(2)の濾過方法及びその装置と比較して、汚液(2)の濾過作業を迅速に行うことが可能となる。
また、上記汚液(2)の濾過作業の完了後には、第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)内に残留した堆積物(3)の乾燥作業を行う。この堆積物(3)の乾燥は、第1開閉弁(4)、第2開閉弁(11)、第4開閉弁(16)、第5開閉弁(21)、第6開閉弁(22)、第7開閉弁(25)、第9開閉弁(27)及び圧力調整弁(20)を閉止した後、第3開閉弁(15)、第8開閉弁(26)を開放して減圧機構(7)を稼働し、第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)内を減圧した状態で行う。このように第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)内に残留した堆積物(3)を減圧状態で乾燥することにより、堆積物(3)に付着した汚液(2)の沸点を低下させて速やかに揮発させ、堆積物(3)を確実に乾燥させることが可能となり、堆積物(3)の処理を容易なものとすることが可能となる。
また、上記実施例1では、図1〜図4に示す如く、第1導入管(5)、第2導入管(23)及び第1排出管(12)、第2排出管(19)の一端を汚液収納部(1)に固定接続しているが、本発明の実施例2では、図5に示す如く、第1導入管(5)、第2導入管(23)及び第1排出管(12)、第2排出管(19)の汚液収納部(1)側をフレキシブルホース(28)により形成し、このフレキシブルホース(28)の先端を汚液(2)中に挿入して、第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)による汚液(2)の導入排出を行っている。
このように、フレキシブルホース(28)を用いて汚液(2)の導入排出を行うことにより、汚液収納部(1)と第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)を一体的に形成する必要がなくなり、専用の容器でなくても汚液収納部(1)として使用することが可能となるため、本発明の汚液(2)の濾過方法及びその装置を幅広い用途に使用することが可能となる。
なお、上記各実施例に於ては、減圧導入槽を2個設けて濾過作業を行っているが、他の異なる実施例に於ては、3個又は4個以上を適宜選んで使用することができる。そして、減圧導入槽の数を増やすことにより、上記汚液(2)の濾過作業の連続性を高めるとともに堆積物(3)の減圧導入槽への導入を常に強力に行うことができるものとなり、濾過作業を一層迅速且つ効率的に行うことができる。
本発明は、被洗浄物の洗浄に用いる洗浄液、メッキ液、切削若しくは圧延等に用いる処理液、表面処理工程に使用する処理液、その他の汚液中から、堆積物を除去する濾過方法及びその装置に係るものである。
従来、被洗浄物の洗浄に用いる洗浄液その他の汚液中から、堆積物を除去するための濾過方法及びその装置として、特許文献1に示す如きものが公知となっている。この従来技術は、減圧機構に接続して減圧可能な減圧導入槽を開閉弁を介して汚液収納部に1セット接続し、この減圧導入槽と汚液収納部との間の流路中には、汚液の濾過手段を配置している。そして、汚液収納部との連通を開閉弁を介して遮断した状態で減圧導入槽を減圧した後、開閉弁を開放して減圧導入槽と汚液収納部を連通し、減圧導入槽の減圧による負圧を利用して汚液を減圧導入槽内に導入し前記濾過手段により汚液の濾過を行うものである。このように減圧導入槽の減圧による負圧を利用して汚液収納部から減圧導入槽内に汚液を導入することにより、汚液を減圧導入槽内に急激に導入し、汚液中に含まれる小さな粒子は勿論、大きな粒子、切り粉等の堆積物も確実に減圧導入槽に移送して迅速に濾過することを目的としている。
しかしながら、特許文献1の濾過方法及びその装置は、上述の如く濾過手段を設けた減圧導入槽を1セットしか設けておらず、この1セットの減圧導入槽を減圧する作業と、減圧した減圧導入槽内に汚液を導入して濾過し、汚液収納部に環流する作業を交互に行うものである。そのため、汚液の濾過作業は減圧作業を挟んで断続的にしか行うことができず、連続的に行うことができないため、濾過作業を迅速に行うことが出来なかった。
また、上記特許文献1の濾過方法及びその装置に於ては、濾過手段による濾過を完了した汚液を汚液収納部内に環流すると、この環流による勢いで汚液収納部内の汚液が攪拌されて、堆積していた堆積物が汚液中に浮遊し、一時的に堆積物を回収しやすい状態となる。しかし、特許文献1の濾過手段及びその装置は、減圧導入槽を1セットしか設けていないため、上述の如く、汚液を汚液収納部に環流した後、減圧導入槽を減圧する作業を挟まなければ減圧導入槽内に汚液を導入することができない。そして、上記減圧作業中に上述の如き汚液の攪拌状態が解除されるため、減圧作業が完了して減圧導入槽への汚液の導入を開始する時には、堆積物が堆積状態に復元してしまうこととなる。このように、特許文献1に於ては、汚液の攪拌状態を利用して堆積物を効率的に回収することができず、汚液の濾過作業が非効率的なものとなっていた。
また、減圧した減圧導入槽に汚液を導入する場合、導入力が強いのは短時間であり、この初期の時間を経過すると濾過目的の堆積物の吸引力は急速に低下し液体のみ吸引が可能となる。そのため濾過作業を効率的なものとすることができなかった。
そこで、本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、迅速且つ効率的に汚液の濾過作業を行うことができる汚液の濾過方法及びその装置を得ようとするものである。
本願発明は、前述の如き従来技術の課題を解決するため、減圧機構に接続し一定の減圧度まで減圧可能とする減圧導入槽を形成し、この減圧導入槽を汚液収納部に開閉弁を介して複数セット接続している。また、この汚液収納部より減圧導入槽への汚液の導入側から、減圧導入槽より汚液収納部への環流側に到る複数の流路中には、汚液の濾過手段を各々配置している。
また、汚液収納部に接続した一つの減圧導入槽を汚液収納部との連通を開閉弁を介して遮断した状態で一定の減圧度まで減圧した後、開閉弁を開放して汚液収納部と減圧導入槽とを連通し、この減圧導入槽の減圧による負圧を利用して汚液を減圧導入槽内に導入する。そして、前記濾過手段により汚液の濾過を行った後に、上記減圧導入槽に圧力気体を導入し、濾過した汚液を上記圧力気体の圧力により汚液収納部に加圧して環流するとともに、この加圧した環流汚液の勢いにより汚液収納部内の汚液を攪拌して、汚液中の堆積物を汚液中に浮遊させた状態で、この汚液を、前記減圧導入槽とは異なる他の減圧導入槽に、前記減圧導入槽に汚液を導入したのと同一の手段により導入して濾過を行い、この濾過した汚液を汚液収納部に環流する。そして、この一つの減圧導入槽への汚液の導入、濾過及び汚液収納部への環流と、他の減圧導入槽への汚液の導入、濾過及び汚液収納部への環流を複数回繰り返すものである。
このように、減圧導入槽を複数セット汚液収納部に接続することにより、短時間の強い導入力を、連続的にまたは短い間隔で発生させることができるから、堆積物を効率良く減圧導入槽に導入して濾過作業を短時間で終了させることが可能となる。また、一つの減圧導入槽が汚液の導入濾過を行っている時に、他の減圧導入槽内部の減圧を行い、一つの減圧導入槽が濾過した汚液を汚液収納部に環流して堆積物を攪拌した時に他の減圧導入槽がこれを吸入導入することができる。そのため、この複数セットの減圧導入槽により、汚液の導入、濾過及び汚液収納部への環流を連続して行うことができ、汚液収納部を一セットしか設けていない従来例の汚液の濾過方法及びその装置と比較して、汚液の濾過作業を迅速に行うことが可能となる。
また、濾過を完了した汚液を一つの減圧導入槽から汚液収納部内に環流し、この環流による勢いで汚液収納部内の汚液を攪拌し、堆積物を汚液中に浮遊させた状態で、他の減圧導入槽への汚液の導入を行うことが可能となる。そのため、汚液中に浮遊させた堆積物が、汚液とともに確実に減圧導入槽に回収されるものとなり、常に堆積物が堆積した状態で濾過作業を行う従来例の濾過方法及びその装置と比較して、汚液の濾過作業を効率的に行うことが可能となる。
また、減圧導入槽は、汚液の導入濾過後に圧力気体を導入可能とし、濾過した汚液を圧力気体の圧力により汚液収納部へ排出可能としている。このように圧力気体を用いることにより、減圧導入槽内の汚液を汚液収納部に迅速に環流することが可能となるとともに、この環流時に汚液収納部の汚液を強く攪拌することが可能となり、他のセットの減圧導入槽が汚液を導入する際に堆積物の吸入が容易となる。
また、本願発明に於て用いる減圧導入槽又は複数の流路は、残留した堆積物の減圧乾燥を可能としたものであっても良い。このように流路内に残留した堆積物を減圧状態で乾燥することにより、堆積物に付着した汚液の沸点を低下させて速やかに揮発させ、堆積物を確実に乾燥させることが可能となり、堆積物の処理を容易なものとすることが可能となる。
また、複数の流路は、両端をフレキシブルホースにて形成し、このフレキシブルホースを汚液収納部内に挿入可能とすることにより、汚液の導入及び環流を可能としたものであっても良い。このように形成することにより、汚液収納部と減圧導入槽を一体的に形成する必要がなくなり、専用の容器でなくても汚液収納部として使用することが可能となるため、本発明の汚液の濾過方法及びその装置を幅広い用途に使用することが可能となる。
本願発明は前述の如く、汚液収納部に接続して減圧導入槽を複数セット設けているため、一つの減圧導入槽が汚液の導入濾過を行っている時に、他の減圧導入槽内部の減圧を行い、一つの減圧導入槽が濾過した汚液を汚液収納部に環流して堆積物を攪拌した時に、他の減圧導入槽がこれを吸入導入することができる。そのため、この複数セットの減圧導入槽により、汚液の導入、濾過及び汚液収納部への環流を連続して行うことができ、汚液収納部を一セットしか設けていない従来例の汚液の濾過方法及びその装置と比較して、汚液の濾過作業を迅速に行うことが可能となる。
また、減圧導入槽を複数セット汚液収納部に接続することにより、短時間の強い導入力を、連続的にまたは短い間隔で発生させることができるから、堆積物を効率良く減圧導入槽に導入して濾過作業を短時間で終了させることが可能となる。
また、濾過を完了した汚液を一つの減圧導入槽から汚液収納部内に圧力気体の圧力により加圧して環流し、この環流による勢いで汚液収納部内の汚液を攪拌し、堆積していた堆積物を汚液中に浮遊させた状態で、他の減圧導入槽への汚液の導入を行うことが可能となる。そのため、汚液中に浮遊させた堆積物が、汚液とともに確実に減圧導入槽に回収されるものとなり、常に堆積物が堆積した状態で濾過作業を行う従来例の濾過方法及びその装置と比較して、汚液の濾過作業を効率的に行うことが可能となる。
以下、本発明の実施例1を図1〜図4に於て説明すれば、(1)は汚液(2)を収納する汚液収納部であって、他の場所で発生した汚液(2)を収納する槽により形成したものでも良いし、汚液(2)の発生源であっても良い。また、上記汚液(2)は被洗浄物の洗浄液、切削油、メッキに使用するメッキ液等の工業上の処理に使用する液体であって、図1は、汚液(2)中に粒子、切り粉等の堆積物(3)が堆積している状態を示している。
また、上記汚液収納部(1)の下端で堆積物(3)の堆積部に、図1に示す如く、第1開閉弁(4)を設けた第1導入管(5)を介して第1減圧導入槽(6)を接続している。この第1減圧導入槽(6)は、後述の如く真空ポンプ、エゼクター機構等により形成した減圧機構(7)と接続して減圧可能とするとともに、圧力計(8)により内部の圧力を計測可能としており、汚液収納部(1)から導入した汚液(2)を濾過するための濾過手段(10)を内設している。この濾過手段(10)は任意のものを用いることが出来るが、一例として、第1減圧導入槽(6)の内周にフィルター、スクリーン等を配置して濾過手段(10)とすることができる。
また、上記第1減圧導入槽(6)は、第2開閉弁(11)を設けた第1環流管(12)を介して汚液収納部(1)と接続しており、濾過手段(10)により濾過を完了した汚液(2)を汚液収納部(1)に環流可能としている。また、上記第1環流管(12)には、精密フィルター(13)を設けている。このように、第1減圧導入槽(6)内に設けた濾過手段(10)に加えて精密フィルター(13)を設けることにより、濾過作業の精度を高めることが可能となる。
また、本実施例に於いては、図1に示す如く、第1環流管(12)に於いて第2開閉弁(11)と第1減圧導入槽(6)の間に精密フィルター(13)を設けている。このように形成することにより、精密フィルター(13)により精密に濾過した汚液(2)が、第2開閉弁(11)を通過することとなるため、汚液(2)の通過による第2開閉弁(11)の汚染やそれに伴う目詰まりを抑制することができる。また、汚液収納部(1)に収納された汚液(2)が、第2環流管(12)内を図1に矢印で示す方向とは逆方向に逆流した場合であっても、第2開閉弁(11)により汚液(2)の逆流を遮断することが可能となり、精密フィルター(13)が逆流した汚液(2)により汚染されるのを防止することができる。
また、前記第1導入管(5)には、第1開閉弁(4)と第1減圧導入槽(6)との間に第1圧力管(14)を接続し、この第1圧力管(14)は、第3開閉弁(15)を介して真空ポンプ、エゼクター機構等の減圧機構(7)と接続している。そのため、第1開閉弁(4)を閉止した状態で第3開閉弁(15)を開放し、減圧機構(7)を作動することにより、第1減圧導入槽(6)内を減圧することができる。
また、上記第1圧力管(14)には、第4開閉弁(16)を設けた第2圧力管(17)を接続し、この第2圧力管(17)を第3圧力管(18)と接続している。また、この第3圧力管(18)は、圧力調整弁(20)、第5開閉弁(21)を介して圧力気体の移送手段(図示せず)と接続している。そのため、圧力調整弁(20)及び第4開閉弁(16)、第5開閉弁(21)を開放することにより、移送手段から圧力気体を第1減圧導入槽(6)内に導入可能としている。
また、前記汚液収納部(1)は、図1に示す如く、第6開閉弁(22)を設けた第2導入管(23)を介して第2減圧導入槽(24)に接続している。この第2減圧導入槽(24)は、前記第1減圧導入槽(6)と同様に、減圧機構(7)及び圧力計(8)と接続するとともに、濾過手段(10)を内設している。また、第7開閉弁(25)を設けた第2環流管(19)を介して汚液収納部(1)と接続しており、上記第2環流管(19)には、第2減圧導入槽(24)と第7開閉弁(25)の間に、精密フィルター(13)を設けている。
また、前記第2導入管(23)には、図1に示す如く、上記第6開閉弁(22)と第2減圧導入槽(24)との間に第4圧力管(29)を接続し、この第4圧力管(29)は、第8開閉弁(26)を介して前記減圧機構(7)と接続している。また、上記第4圧力管(29)は、前記第2圧力管(17)の第4開閉弁(16)非形成側と接続しており、上記第2圧力管(17)に設けた第9開閉弁(27)を介して、第3圧力管(18)と接続している。
上述の如く構成したものに於て、第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)を用いて汚液収納部(1)に収納されている汚液(2)の濾過を行うには、まず、第1開閉弁(4)、第2開閉弁(11)、第4開閉弁(16)、第5開閉弁(21)、第6開閉弁(22)、第7開閉弁(25)、第8開閉弁(26)、第9開閉弁(27)を閉止した後、第3開閉弁(15)を開放し、減圧機構(7)を作動する。この減圧機構(7)の作動により第1減圧導入槽(6)内は減圧される。そして、第1減圧導入槽(6)内が一定の減圧状態となった時に、減圧機構(7)を停止して第3開閉弁(15)を閉止し、第1開閉弁(4)を開放する。そして、汚液収納部(1)内の汚液(2)を第1減圧導入槽(6)内の負圧により、第1導入管(5)を介して、図2に示す如く、第1減圧導入槽(6)内に急激に導入する。このように、減圧による負圧を利用して汚液収納部(1)から第1減圧導入槽(6)内に汚液(2)を導入することにより、汚液(2)を第1減圧導入槽(6)内に急激に導入し、汚液(2)中に含まれる堆積層の小さな粒子は勿論、大きな粒子、切り粉等の堆積物(3)も確実に第1減圧導入槽(6)内に移送することが可能となる。但し、この移送は短時間であって長時間持続することはなく、堆積物(3)の全部を第1減圧導入槽(6)に導入するのは困難な場合が多い。
また、この汚液(2)の導入後、第1減圧導入槽(6)内の濾過手段(10)によって汚液(2)を濾過する。そして、この濾過作業を完了した汚液(2)を汚液収納部(1)に移送する。この汚液収納部(1)への汚液(2)の移送を行うには、第1開閉弁(4)を閉止し、第4開閉弁(16)、第5開閉弁(21)を開放する事によって、圧力気体の移送手段から圧力気体を第1減圧導入槽(6)内に導入し、第2開閉弁(11)を開放する。そして、圧力気体の圧力によって、第1減圧導入槽(6)内の汚液(2)を第1環流管(12)に環流し、精密フィルター(13)により再度濾過した後、汚液収納部(1)に環流する。このように圧力気体を用いることにより、第1減圧導入槽(6)内の汚液(2)を汚液収納部(1)に迅速に環流することが可能となるとともに、この環流時に汚液収納部(1)の汚液(2)を強く攪拌することが可能となり、他のセットの減圧導入槽が汚液(2)を導入する際に堆積物(3)の吸入が容易となる。
また、前記第1減圧導入槽(6)への汚液(2)の導入作業中に、第8開閉弁(26)を開放するとともに減圧機構(7)を稼働して、第2減圧導入槽(24)の減圧作業を開始する。そして、上記第1減圧導入槽(6)が濾過した汚液(2)を汚液収納部(1)に環流したら直ちに、前記第2減圧導入槽(24)による濾過作業を行う。この濾過作業の手順は上記の第1減圧導入槽(6)による汚液(2)の濾過の場合と実質的に同様である。上述の如く汚液収納部(1)内に汚液(2)を環流すると、図3に示す如く、この環流による勢いで汚液収納部(1)内の汚液(2)が攪拌されて、堆積していた堆積物(3)が汚液(2)中に浮遊する。この堆積物(3)の浮遊中に、第6開閉弁(22)を開放して、汚液収納部(1)内の汚液(2)を第2減圧導入槽(24)内の負圧により、図3に示す如く、第2導入管(23)を介して、第2減圧導入槽(24)内に導入する。そして、第2減圧導入槽(24)内に設けた濾過手段(10)により汚液(2)の濾過作業を行う。
このように、濾過を完了した汚液(2)を第1減圧導入槽(6)から汚液収納部(1)内に環流し、この環流による勢いで汚液収納部(1)内の汚液(2)を攪拌し、堆積していた堆積物(3)を汚液(2)中に浮遊させた状態で、第2減圧導入槽(24)への汚液(2)の導入を行うことにより、汚液(2)中に浮遊させた堆積物(3)が、汚液(2)とともに確実に第2減圧導入槽(24)に回収されるものとなる。そのため、常に堆積物が堆積した状態で濾過作業を行う従来例の濾過方法と比較して、汚液(2)の濾過作業を効率的に行うことが可能となる。また、第1減圧導入槽(6)の汚液(2)が汚液収納部(1)に環流して直ちに第2減圧導入槽(24)の減圧導入を行うため、短時間の強い導入力を、連続的にまたは短い間隔で発生させることができるから、堆積物(3)を効率良く第2減圧導入槽(24)に導入して濾過作業を短時間で終了させることが可能となる。
また、この濾過作業の完了後は、第6開閉弁(22)を閉止して第5開閉弁(21)、第9開閉弁(27)を開放し、圧力気体の移送手段から圧力気体を第2減圧導入槽(24)内に導入して、第7開閉弁(25)を開放する。そして、この圧力気体の圧力によって、第2減圧導入槽(24)内の汚液(2)を第2環流管(19)に環流し、精密フィルター(13)により再度濾過した後、汚液収納部(1)に環流する。
また、上述の如く第2減圧導入槽(24)による汚液(2)の導入濾過を行っている時に、第4開閉弁(16)、第8開閉弁(26)を閉止して、第3開閉弁(15)を開放するとともに減圧機構(7)を稼働して、第1減圧導入槽(6)内を減圧しておく。そして、上述の如く第2減圧導入槽(24)から汚液収納部(1)に汚液(2)を環流し、この環流による勢いで汚液収納部(1)内の汚液(2)を攪拌した状態で、図4に示す如く、再度第1減圧導入槽(6)内に汚液(2)を導入し、濾過作業を行う。
そして、このように一つの減圧導入槽が汚液(2)の導入濾過を行っている時に、他の減圧導入槽内の減圧を行い、一つの減圧導入槽から汚液(2)を汚液収納部(1)に環流して攪拌し、この攪拌した汚液(2)を他の減圧導入槽が導入して濾過するという作業を連続して複数回行う。このように、本実施例の濾過方法及びその装置に於ては、2セット設けた減圧導入槽により汚液(2)の導入、濾過及び汚液収納部(1)への環流を連続して行うことができ、減圧導入槽を一セットしか設けていない従来例の汚液(2)の濾過方法及びその装置と比較して、汚液(2)の濾過作業を迅速に行うことが可能となる。
また、上記汚液(2)の濾過作業の完了後には、第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)内に残留した堆積物(3)の乾燥作業を行う。この堆積物(3)の乾燥は、第1開閉弁(4)、第2開閉弁(11)、第4開閉弁(16)、第5開閉弁(21)、第6開閉弁(22)、第7開閉弁(25)、第9開閉弁(27)及び圧力調整弁(20)を閉止した後、第3開閉弁(15)、第8開閉弁(26)を開放して減圧機構(7)を稼働し、第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)内を減圧した状態で行う。このように第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)内に残留した堆積物(3)を減圧状態で乾燥することにより、堆積物(3)に付着した汚液(2)の沸点を低下させて速やかに揮発させ、堆積物(3)を確実に乾燥させることが可能となり、堆積物(3)の処理を容易なものとすることが可能となる。
また、上記実施例1では、図1〜図4に示す如く、第1導入管(5)、第2導入管(23)及び第1環流管(12)、第2環流管(19)の一端を汚液収納部(1)に固定接続しているが、本発明の実施例2では、図5に示す如く、第1導入管(5)、第2導入管(23)及び第1環流管(12)、第2環流管(19)の汚液収納部(1)側をフレキシブルホース(28)により形成し、このフレキシブルホース(28)の先端を汚液(2)中に挿入して、第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)による汚液(2)の導入環流を行っている。
このように、フレキシブルホース(28)を用いて汚液(2)の導入環流を行うことにより、汚液収納部(1)と第1減圧導入槽(6)、第2減圧導入槽(24)を一体的に形成する必要がなくなり、専用の容器でなくても汚液収納部(1)として使用することが可能となるため、本発明の汚液(2)の濾過方法及びその装置を幅広い用途に使用することが可能となる。
なお、上記各実施例に於ては、減圧導入槽を2個設けて濾過作業を行っているが、他の異なる実施例に於ては、3個又は4個以上を適宜選んで使用することができる。そして、減圧導入槽の数を増やすことにより、上記汚液(2)の濾過作業の連続性を高めるとともに堆積物(3)の減圧導入槽への導入を常に強力に行うことができるものとなり、濾過作業を一層迅速且つ効率的に行うことができる。
1汚液収納部
2汚液
4開閉弁
6、24減圧導入槽
7減圧機構
10濾過手段
2汚液
4開閉弁
6、24減圧導入槽
7減圧機構
10濾過手段
Claims (8)
- 減圧機構に接続し一定の減圧度まで減圧可能とする減圧導入槽を形成し、この減圧導入槽を汚液収納部に開閉弁を介して複数セット接続するとともに、この汚液収納部より減圧導入槽への汚液の導入側から、減圧導入槽より汚液収納部への排出側に到る複数の流路中に汚液の濾過手段を各々配置し、汚液収納部に接続した一つの減圧導入槽を汚液収納部との連通を開閉弁を介して遮断した状態で一定の減圧度まで減圧した後、開閉弁を開放して汚液収納部と減圧導入槽とを連通し、この減圧導入槽の減圧による負圧を利用して汚液を減圧導入槽内に導入し前記濾過手段により汚液の濾過を行った後に、この濾過した汚液を汚液収納部に環流し、この環流した汚液を、前記減圧導入槽とは異なる他の減圧導入槽に、前記減圧導入槽に汚液を導入したのと同一の手段により導入して濾過を行い、この濾過した汚液を汚液収納部に環流することを複数回繰返すことにより行うことを特徴とする汚液の濾過方法。
- 汚液を収納した汚液収納部と、この汚液収納部と開閉弁を介して連通するとともに減圧機構に接続し、開閉弁の閉止による汚液収納部との連通遮断時に減圧機構で一定の減圧度まで内部を減圧した後に、開閉弁を開放し負圧を利用して汚液を導入するとともに導入後に汚液の汚液収納部への排出が可能で、この汚液収納部に複数セット接続した減圧導入槽と、汚液収納部より減圧導入槽への汚液の導入側から減圧導入槽より汚液収納部に至る流路中に配置した濾過手段とから成る汚液の濾過装置。
- 減圧導入槽は、汚液の導入濾過後に圧力気体を導入可能とし、濾過した汚液を圧力気体の圧力により汚液収納部へ排出可能とした事を特徴とする請求項1の汚液の濾過方法。
- 減圧導入槽は、汚液の導入濾過後に圧力気体を導入可能とし、濾過した汚液を圧力気体の圧力により汚液収納部へ排出可能とした事を特徴とする請求項2の汚液の濾過装置。
- 減圧導入槽又は複数の流路は、残留した堆積物の減圧乾燥を可能とした事を特徴とする請求項1、または3の汚液の濾過方法。
- 減圧導入槽又は複数の流路は、残留した堆積物の減圧乾燥を可能とした事を特徴とする請求項2、または4の汚液の濾過装置。
- 複数の流路は、両端をフレキシブルホースにて形成し、このフレキシブルホースを汚液収納部内に挿入可能とすることにより、汚液の導入及び排出を可能としたことを特徴とする請求項1、3または5の汚液の濾過方法。
- 複数の流路は、両端をフレキシブルホースにて形成し、このフレキシブルホースを汚液収納部内に挿入可能とすることにより、汚液の導入及び排出を可能としたことを特徴とする請求項2、4または6の汚液の濾過装置。
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