JPWO2009020085A1 - ノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液、反応射出成形体の製造方法及び反応射出成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
このようにして得られるノルボルネン系重合体は、機械的強度、耐熱性及び寸法安定性に優れており、その成形体は、自動車、農業機器、建設機器等の部材や、電気機器、電子機器等のハウジング等に賞用されている。
ノルボルネン系モノマーを用いる反応射出成形法は、メタセシス触媒系を使用した開環重合反応であるため、酸素や水分の混入により、重合反応が阻害され、硬化不良を起こし、成形体の外観を損なうばかりか、未反応モノマーの残存による臭気が問題となる。従って、反応射出成形に際して、金型内の空気を排出することは重要である。
また、金型の形状を忠実に再現するためには、重合性組成物が金型内の全部分に隙間なく充填されることが必要である。このためには、金型内の空気をできる限り完全に排気することが必要である。
金型内の空気を排出するための具体的な方法としては、重合性組成物の充填量を多くしてバリを出すことによって金型内の排気を行なう方法、金型内の空気を不活性ガスで置換してから重合性組成物を射出する方法、重合性組成物を金型内の下方から射出することにより、金型内の空気を上部に押し上げて外部へ排気させる方法等が知られている。
これらの方法は、それなりの効果を与えるものであるが、必ずしも十分な効果が得られる方法であるとはいい難い。
このような場合に、ボスやリブの部分では、空気の排気が難しいため硬化不良が生じやすく、また、ボスやリブの部分への配合液の完全な充填が行なわれないために、所望の形状を有する成形体を得ることが困難である。
また、熱膨張性マイクロカプセルの殻としては、シクロオレフィンモノマーに不溶で軟化温度が180℃以下の熱可塑性合成樹脂が好ましいとされ、この熱可塑性合成樹脂を得るためのモノマーとして、具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロライド、p−t−ブチルスチレン等のアルケニル芳香族モノマー;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー;ビニルクロライド、ビニリデンクロライド、ビニルブロマイド等のハロゲン化ビニリデンモノマー;アクリロニトリル;ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルステアレート、ビニルラウレート、ビニルミリステート、ビニルプロピオネート等のビニルエステルモノマーが例示されている。実施例では、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体が用いられている。
この対策としては、混合する配合液の比率を厳密に制御することや粘度を低下させることが考えられるが、配合液の混合比率のある程度のばらつきは避けられず、また、粘度低下は、気泡を巻き込むことによりボイドが増加するという問題を引き起こし、また、ボスやリブ部分への充填性を悪化させる恐れがあることから、これらの方法に頼らない、配合液の均一混合性改良が求められている。
本発明の他の目的は、上記ノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液を用いる反応射出成形体の製造方法を提供することにある。
また、本発明の更に他の目的は、上記反応射出成形体の製造方法によって得られる反応射出成形体を提供することにある。
本発明のノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液において、酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体がα,β−エチレン性不飽和酸誘導体単量体から誘導される単位を50重量%以上含有するものであることが好ましい。
また、本発明のノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液において、酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体が酸基含有α,β−エチレン性不飽和ニトリル共重合体であることが好ましい。
また、本発明のノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液において、酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体における酸基含有単量体単位の量が50重量%以下であることが好ましい。
また、本発明のノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液において、酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体が、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を74重量%以上、その他のα,β−エチレン性不飽和酸誘導体単量体単位を20重量%以下、酸基含有単量体単位を0.3〜5重量%、及び架橋性単量体単位を0.1〜1重量%含有するものであることが好ましい。
また、本発明のノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液において、熱膨張性マイクロカプセルが160〜220℃の発泡開始温度を有するものであることが好ましい。
また、本発明によれば、上記本発明のノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液を型内で塊状重合させて反応射出成形する反応射出成形体の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、上記反応射出成形体の製造方法によって得られる反応射出成形体が提供される。
従って、本発明の配合液及び反応射出成形体の製造方法は、バンパーやエアデフレクター等の自動車用途、ホイルローダーやパワーショベル等の建設・産業機械用途、ゴルフカートやゲーム機等のレジャー用途、医療機器等の医療用途、大型パネルや椅子等の産業用途、シャワーパンや洗面ボウル等の住宅設備用途、等において好適である。
B:ボス
これらのノルボルネン系モノマーは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜8のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜8のアルケニル基;エチリデン基等の炭素数2〜8のアルキリデン基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基等の置換基を有していてもよい。
更に、これらのノルボルネン系モノマーは、エステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン原子等の極性基を有していてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーのうち、入手が容易であり、反応性に優れ、得られる成形体の耐熱性に優れる点から、三環体、四環体又は五環体のノルボルネン系モノマーが好ましい。
本発明の配合液に用いる重合触媒としては、メタセシス重合触媒が好ましい。
メタセシス重合触媒は、ノルボルネン系モノマーを開環重合することができる触媒であればよく、特に限定されない。
メタセシス重合触媒は、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体である。遷移金属原子としては、第5、6及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、第5族の原子としては、例えばタンタルが挙げられ、第6族の原子としては、例えばモリブデンやタングステンが挙げられ、第8族の原子としては、例えばルテニウムやオスミウムが挙げられる。
これらの中では、オキシ有機タングステンハライド及び有機モリブデン酸アンモニウム塩が好ましい。
以上のメタセシス重合触媒を用いる場合には、重合活性を制御する目的で、活性剤(共触媒)として有機アルミニウム化合物(例えば、トリエチルアルミニウム)、有機亜鉛化合物、又は有機スズ化合物を併用することが好ましい。
ルテニウムカルベン錯体の中では、少なくとも2つのカルベン炭素がルテニウム金属原子に結合しており、該カルベン炭素のうち少なくとも一つにはヘテロ原子を含む基が結合しているルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。
なお、ヘテロ原子とは、周期表第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、Se原子等を挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P及びS原子が好ましく、N原子が特に好ましい。
このようなヘテロ原子含有カルベン化合物としては、以下の式(3)又は(4)で示される化合物が好ましい。
活性剤は、モノマーに溶解して用いるが、反応射出成形法による成形体の性質を本質的に損なわない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させた上でモノマーと混合することにより、析出しにくくしたり溶解性を高めたりして、用いてもよい。
なお、活性剤は、メタセシス重合触媒を含有する配合液には添加せず、ノルボルネン系モノマー及び活性剤を含有する別個の配合液とするのが好ましい。
かかる活性調節剤としては、エーテル、エステル、ニトリル等のルイス塩基、アセチレン類及びα−オレフィン類が好適に使用される。具体的には、ルイス塩基としては、ブチルエーテル、安息香酸エチル、ジグライム等を例示することができる。また、アセチレン類としてはフェニルアセチレン等を、α−オレフィンとしてはビニルノルボルネン等を例示することができる。また、一方で共重合モノマーとして、極性基含有モノマーを用いる場合には、それ自体がルイス塩基であることがあり、調節剤としての作用を兼ね備えていることもある。また、活性調節剤としては、アルコール類も好適に用いることができる。
活性調節剤は、活性剤を含む配合液に添加するのが好ましい。
更に、モノマーの重合転化率を向上させるため、重合促進剤を添加することが好ましい。重合促進剤としては、塩素原子含有化合物が好ましく、中でも有機塩素化合物及び塩素化ケイ素化合物が好ましい。その具体例としては、2,4−ジクロロベンゾトリクロリド、ヘキサクロロ−p−キシレン、2,4−ジクロロ−トリクロロトルエン、四塩化ケイ素等を挙げることができる。
上記活性調節剤及び重合促進剤の添加量は、特に限定されないが、重合性組成物(反応射出成形時における配合液の混合物であって、ノルボルネン系モノマー及び重合触媒のほか、オレフィン系エラストマー、活性剤等の所要の成分を含有するものをいう。)の重量の概ね10重量ppm〜10重量%である。
配合液が熱膨張性マイクロカプセルを含有することにより、配合液の均一混合性が向上し、ボス部分やリブ部分等における充填性が向上し、得られる成形体の外観や機械的強度が向上し、ボス部分やリブ部分の形状が所望の形状となる。
ここで、酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体とは、α,β−エチレン性不飽和酸誘導体の重合体(以下、「α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体」という。)であって、酸基を有するものである。
酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体は、例えば、酸基を有する単量体とα,β−エチレン性不飽和酸誘導体単量体とを共重合する方法又はα,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体へ酸基を導入する方法によって得ることができる。
これらの中でも、α,β−エチレン性不飽和酸のエステル、α,β−エチレン性不飽和ニトリル及びα,β−エチレン性不飽和酸アミドが好ましく、とりわけ、α,β−エチレン性不飽和ニトリルが好ましい。
即ち、酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体は、酸基含有α,β−エチレン性不飽和ニトリル共重合体であることが好ましい。当該共重合体は、酸基を有する単量体とα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体とを共重合する方法又はα,β−エチレン性不飽和ニトリル共重合体へ酸基を導入する方法のいずれかの方法によって得ることができる。
これらのα,β−エチレン性不飽和酸の中でも、入手の容易性や重合性等の観点から、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、とりわけ、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステルは、エステル基(エステルのアルコール由来部分)にハロゲン原子、水酸基等の官能基を有していてもよい。
α,β−エチレン性不飽和酸アミドは、特に限定されないが、その具体例として、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミドを挙げることができる。
酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体における酸基を有する単量体から誘導される単位(酸基含有単量体単位)の量は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは0.3〜30重量%である。
酸基含有単量体を使用することにより、熱膨張性マイクロカプセルのガスバリアー性(内包する液状発泡体の封止性)を良好にすることができる。なお、この酸基含有単量体の量が多すぎると、マイクロカプセルを得ることができない。
酸基を有する単量体及びα,β−エチレン性不飽和酸誘導体単量体以外の単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン等の芳香族ビニル化合物;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)等の共役ジエン;プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィン;等を挙げることができる。
酸基を有する単量体及びα,β−エチレン性不飽和酸誘導体単量体以外の単量体の共重合割合は、全重合体の30重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
架橋性単量体の具体例としては、ジビニルベンゼン;ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、ジ(メタ)アクリル酸1,4−ブチレングリコール等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸の不飽和アルコールエステル;トリアリルイソシアネート;トリアクリルホルマール;等が例示される。これらのうち、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリルホルマール等の三官能性架橋性単量体が特に好ましい。架橋性単量体の共重合割合は、全重合体の0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.5重量%である。
架橋性単量体の使用により、マイクロカプセルの殻壁に、弾性を与えることができる。得られる重合体における架橋構造が弾性の発現に寄与するものと思われる。
有機溶媒は、特に限定されないが、無極性の炭化水素溶媒であることが好ましい。
従って、本発明において好適に用い得る液状発泡剤の具体例としては、n−ペンタン(沸点35−36℃。以下、同じ)、イソペンタン(30℃)、シクロペンタン(47−49℃)、n−ヘキサン(65−70℃)、イソヘキサン(63−65℃)、2,3−ジメチルブタン(49−50℃)、シクロヘキサン(80−81℃)、n−ヘプタン(97−99℃)、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン;98−99℃)、及び石油エーテル(40−60℃)を挙げることができる。これらの中でもイソペンタン、イソオクタン等の炭素数5以上のものが好ましく、イソオクタン等の炭素数6以上のものが特に好ましい。炭素数5以上の液状発泡剤を配合し、低温での発泡を抑えることにより無駄な発泡を抑制し、効率良く充填性を向上させることができる。なお、液状発泡剤としては、本発明の効果がより一層顕著になることから、炭素数10以下のものが好ましく、炭素数8以下のものがより好ましく、イソオクタンを含有することが特に好ましい。
また、熱膨張性マイクロカプセルに内包させるべき液状発泡剤中の、炭素数5以上の液状発泡剤含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは100重量%である。
また、本発明で用いる熱膨張性マイクロカプセルは、その水分含有量が1,000重量ppm以下であることが好ましく、300重量ppm以下であることがより好ましい。水分含有量がこの範囲内にあると、重合触媒又は活性剤の活性低下がなく、良好に重合が進行するので好ましい。
本発明で用いる熱膨張性マイクロカプセルの発泡開始温度は、160〜220℃であることが好ましい。発泡開始温度が上記範囲にある場合に、リブ及びボス部分への充填性がより良好なものとなる。なお、発泡開始温度とは、熱膨張性マイクロカプセルを加熱し、該カプセルの膨張が始まった時点の温度をいう。熱膨張性マイクロカプセルは市販品を入手可能であり、当該市販品の表示から発泡開始温度を容易に知ることもできる。
熱膨張性マイクロカプセルの製造方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよく、典型的な例として、重合性単量体を液状発泡体及び重合開始剤と混合し、得られた混合物を乳化分散剤を含有する水性媒体中で懸濁重合させる方法を挙げることができる。
なお、配合液の剪断速度は、特願2006−352047に記載の方法で測定することができる。
エラストマーのムーニー粘度が上記範囲よりも高い場合、反応射出成形機を配合液が循環する間にエラストマーの分子鎖が切断されて、得られる成形品の物性が低下し、またムーニー粘度が上記範囲よりも低い場合、エラストマーが成形品に完全相溶して耐衝撃性が劣るだけでなく、耐熱性も低下する不具合を発生する恐れがある。
配合量が上記範囲内にあるときに、重合性組成物の流動性がよく、ヒケが少ない成形体が得られる。
充填材は、特に限定されないが、アスペクト比が5〜100の繊維状充填材及びアスペクト比が1〜2の粒子状充填材からなる無機充填材であることが好ましい。
なお、本発明において、充填材のアスペクト比とは、充填材の平均長軸径と50%体積累積径との比をいう。ここで、平均長軸径は、光学顕微鏡写真で無作為に選んだ100個の充填材の長軸径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均長軸径である。
また、50%体積累積径は、X線透過法で粒度分布を測定することにより求められる値である。
この比率が上記範囲内にあることにより、剛性及び寸法安定性に優れた成形体を得ることが、より容易に可能になる。
繊維状充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μmである。50%体積累積径が小さすぎると、これを用いて得られる成形体の剛性や寸法安定性が不十分になる場合がある。逆に、50%体積累積径が大きすぎると、重合性組成物を金型内に注入する際に、重合反応液がタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。
中でも、塊状重合を阻害せず、得られる成形体の剛性を少ない使用量で高めることができるウォラストナイト及びウィスカー状炭酸カルシウムが好ましい。
また、粒子状充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μm、特に好ましくは1〜10μmである。50%体積累積径が小さすぎると、これを用いて得られる成形体の剛性や寸法安定性が不十分になる場合がある。逆に、50%体積累積径が大きすぎると、重合反応液を金型内に注入する際に、重合反応液がタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。
中でも、塊状重合反応を阻害しないので、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムが好ましい。
疎水化処理に用いられる処理剤としては、ビニルシラン等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ステアリン酸等の脂肪酸、油脂、界面活性剤、ワックス等を挙げることができる。
充填材の疎水化処理は、ノルボルネン系モノマー、重合触媒及び充填材を含有してなる重合性組成物を調製する際に、疎水化処理剤を同時に混合することによっても可能であるが、予め疎水化処理を行なった充填材を用いて重合性組成物の調製を行なうのが好ましい。
充填材量が多すぎると、反応液を金型内に注入する際にタンクや配管内で沈降したり、注入ノズルが詰まったりする場合がある。逆に、少なすぎると、得られる成形体の剛性や寸法安定性が不十分な場合がある。
重合性組成物の調製方法は、特に限定されないが、典型的には、重合触媒が活性剤を必要とするか否かによって、以下の二方法を示すことができる。
即ち、重合触媒が活性剤を必要としない場合には、ノルボルネン系モノマー及び熱膨張性カプセルを含有する配合液(i)と、重合触媒を少量の不活性溶媒に溶解又は分散して調製した配合液(ii)とを混合すればよい。
このとき、熱膨張性マイクロカプセルは、「A液」〜「C液」のいずれの配合液に配合してもよい。
繊維状充填材と粒子状充填材とは、それぞれ別個の配合液に配合しても、両者を同一の配合液に配合してもよいが、後者の配合方法の方が好ましく、これにより、充填材の沈降が抑制され、配合液の保存安定性が良好になる。
この衝突混合装置に、二種以上の配合液(「A液」、「B液」及び「C液」、又は、配合液(i)及び配合液(ii))を、それぞれ別個に導入して、ミキシングヘッドで瞬間的に混合させ、得られる重合性組成物を金型内に注入して、この金型内で塊状重合させることにより、反応射出成形体を得ることができる。
なお、衝突混合装置に代えて、ダイナミックミキサーやスタティックミキサー等の低圧注入機を使用することも可能である。
なお、反応射出成形に供する前の配合液の温度は、好ましくは10〜60℃であり、粘度は、例えば30℃において、通常、5〜3,000mPa・s、好ましくは50〜1,000mPa・s程度である。
金型の材質は、特に限定されず、スチール、アルミニウム、亜鉛合金、ニッケル、銅、クロム等の金属及び樹脂を示すことができる。また、これらの金型は、鋳造、鍛造、溶射、電鋳等のいずれの方法で製造されたものでもよく、また、メッキされたものであってもよい。
型の構造は型に混合液及び被覆剤を注入する際の圧力を勘案して決めるとよい。また、金型の型締め圧力は、ゲージ圧で0.1〜9.8MPaである。
成形時間は、ノルボルネン系モノマー、重合触媒及び活性剤の種類、これらの組成比、金型温度等によって変化するので、一様ではないが、一般的には5秒〜6分、好ましくは10秒〜5分である。
T1−T2は、下限が好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、上限が好ましくは60℃以下である。T1は、上限が好ましくは110℃以下、より好ましくは95℃以下であり、下限が好ましくは50℃以上である。T2は、上限が好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下であり、下限が好ましくは30℃以上である。
金型温度を調整する方法としては、例えば、ヒータによる金型温度の調整;金型内部に埋設した配管中に循環させる、温調水、油等の熱媒体の温度調整;等が挙げられる。
即ち、配合液が、より高温側の意匠面側金型に先ず接触して、金型に接触した部分で一部の熱膨張性マイクロカプセルが膨張する。高温側の意匠面側金型近くにある熱膨張性マイクロカプセルが膨張することによって低温側の意匠面に対応する側の金型の方向に進む力が生ずる。通常、ボスやリブは低温側の金型に設置されているため、この効果により充填が促進される。更に、配合液の充填が完了した後、反応熱により、残りのマイクロカプセルが膨張し、未硬化の樹脂を押し上げることにより、ボス部分やリブ部分への充填が促進される。
また、各特性は、下記に示す方法により測定した。
分解能10μm以下の精度を有するノギスを用い、基材からボスの頂点までの高さを測定する。この高さをhとし、ボスの元となる金型の深さをLとする。これらの値を用い、
次式によって充填率を求める。
充填率(%)={h(mm)/L(mm)}×100
(2)均一混合性
成形品の意匠面に対応する側を目視し、混合不良による色むら及びウェルドラインの有無により混合性を判断する。
(A液調製)
ジシクロペンタジエン92部及びエチリデンノルボルネン8部からなる混合モノマーに、プロピレン単位88重量%及びエチレン単位12重量%からなる剪断速度係数1.52の共重合体(I)(Dupont Dow Elastomer社製、商品名「Versify2300」)を3.5部溶解させた。次いで活性剤としてトリエチルアルミニウムを14ミリモル/kg濃度となるよう添加して混合分散し、配合液(A液)を得た。
六塩化タングステン17部を窒素気流下で乾燥トルエン44部に添加し、次いでt−ブタノール1部をトルエン1部に溶解した溶液を加え、30時間撹拌し、次にドデシルフェノール14部及びトルエン14部からなる溶液を添加して、窒素パージ下に、20時間、撹拌し、更にアセチルアセトン9部を加え副生する塩化水素ガスを追い出しながら窒素パージ下に、24時間、撹拌を継続し、重合用触媒溶液を調製した。
次いで、ジシクロペンタジエン92部及びエチリデンノルボルネン8部からなる混合モノマーに、共重合体(I)を3.5部溶解させ、次いでフェノール系酸化防止剤を0.6部溶解させた。更に、上記重合触媒を6ミリモル/kg濃度となるよう添加して混合分散し、次いでジエチレングリコールジメチルエーテルを0.2部添加して混合分散した。
次いで、アクリル酸とメタクリロニトリルの共重合体からなる殻壁を有し、イソペンタンとイソオクタンの混合液を内包する熱膨張性マイクロカプセル(I)(松本油脂製薬社製、商品名「F−190D」。(粒径:10〜30μm、発泡開始温度:160〜170℃))を3.0部分散させ配合液(B液)を得た。
内部に縦500mm×横500mm×厚さ4mmの空間を有する鋳鋼にメッキをかけた雌型と、これと対をなす鍛造アルミニウム製雄型からなる平板成形品反応射出成形用金型(図1参照)を準備し、雌型を75℃、雄型を40℃に加温した。
なお、この反応射出成形用金型は、側面中央部に重合性組成物注入孔Aを有する構造となっている。また、金型は、雄型面内に、図2に示すボスBを有する。
A液50部及びB液50部をミキシングヘッド内で混合圧力5.0Mpaで衝突混合させ、注入速度0.5kg/秒で前記重合性組成物注入孔(A)より反応射出成形用金型(M)内に注入し、塊状重合反応を90秒間行なった。
その後、金型から成形体を取り出し、成形体1を得た。
この操作を3回繰返して行なって得た3個の成形体1について、充填率を平均したところ、76%であった。また、これらの均一混合性を評価したところ色むらやウェルドラインは見られず、均一な成形体を得ることができた。
熱膨張性マイクロカプセル(I)に代えて、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルの共重合体からなる殻壁を有し、イソペンタンとノルマルペンタン、ノルマルヘキサンの混合液を内包する熱膨張性マイクロカプセル(II)(松本油脂製薬社製、商品名「F−85D」。(粒径:15〜25μm、発泡開始温度:150〜155℃))を使用するほかは、実施例1と同様にして、A液及びB液を得、実施例1と同様にして成形体2を得た。
この操作を3回繰返して行なって得た3個の成形体2について、充填率を平均したところ、59%であった。また、これらの均一混合性を評価したところ、若干の色むらが観察された。
ノルボルネン系モノマーと、酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体からなる殻壁を有し液状発泡剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルとを、含有してなるノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液は均一混合性に優れ、これを用いることにより、ボスやリブ部への充填性に優れた成形体を得ることができる。これに対して、熱膨張性マイクロカプセルとして酸基を有しない重合体を殻壁とする熱膨張性マイクロカプセルを含有する配合液を用いた場合は、ボスやリブ部への充填性に劣る。
Claims (10)
- ノルボルネン系モノマーを型内で塊状重合させて反応射出成形するための配合液であって、ノルボルネン系モノマーと、酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体からなる殻壁を有し液状発泡剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルとを、含有してなることを特徴とするノルボルネン系モノマー含有反応射出成形用配合液。
- 酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体がα,β−エチレン性不飽和酸誘導体単量体から誘導される単位を50重量%以上含有するものである請求の範囲第1項に記載の配合液。
- 酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体が酸基含有α,β−エチレン性不飽和ニトリル共重合体である請求の範囲第1項又は第2項に記載の配合液。
- 酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体における酸基含有単量体単位の量が50重量%以下である請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載の配合液。
- 酸基含有α,β−エチレン性不飽和酸誘導体重合体が、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を74重量%以上、その他のα,β−エチレン性不飽和酸誘導体単量体単位を20重量%以下、酸基含有単量体単位を0.3〜5重量%、及び架橋性単量体単位を0.1〜1重量%含有するものである請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載の配合液。
- 液状発泡剤が炭素数5以上、10以下の無極性炭化水素である請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の配合液。
- 液状発泡剤がイソオクタンである請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の配合液。
- 熱膨張性マイクロカプセルが160〜220℃の発泡開始温度を有するものである請求の範囲第1項〜第7項のいずれか1項に記載の配合液。
- 請求の範囲第1項〜第8項のいずれか1項に記載の配合液を型内で塊状重合させて反応射出成形する反応射出成形体の製造方法。
- 請求の範囲第9項の製造方法によって得られる反応射出成形体。
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