JPWO2009014032A1 - 薬剤容器および多層フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、易剥離シール性、ガスバリア性、耐汚染性、耐熱性、耐ブロッキング性、および透明性に優れた薬剤容器と、それを作るための多層フィルムとを提供することを目的とする。この目的を達成するための薬剤容器は、例えば、第1層1が密度0.930〜0.950g/cm3の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体からなり、第2層2および第4層4が、密度0.860〜0.920g/cm3の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.930〜0.950g/cm3の直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とを95:5〜40:60の重量割合で含有する混合物からなり、第3層3がポリ環状オレフィンからなり、かつ、第5層5がポリエチレンとポリプロピレンとの混合物からなる多層フィルムを用いて、第5層5が最内層となるように形成される。

Description

本発明は、薬剤容器および薬剤容器を作るための多層フィルムに関する。
従来、輸液バッグなどの薬剤容器の形成には、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂からなる多層フィルムが広く用いられている。また、近年、特に医療容器の分野においては、複数の薬剤の分離収容や使用時における容器内での混合処理が可能な複室容器が広く用いられている。
上記複室容器では、互いに隣接する収容部間を隔離する弱シール部の易剥離シール性を適度に調整することが重要である。また、上記複室容器は、薬剤を安定して収容するという観点より、ガスバリア性に優れたフィルムで形成されることが求められている。さらに、複室容器を形成する多層フィルムには、易剥離シール性だけでなく、透明性、機械的強度、滅菌処理に対する耐熱性、耐ブロッキング性などの諸特性や、多層フィルムから容器内部への添加剤の溶出防止(耐汚染性)などの観点も重要であり、これらの諸特性を適宜調整する観点より、多層フィルムの層構成が設計されている。
特許文献1には、最外層の第1層と最内層の第5層とが、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体からなり、第2層と第4層とが、メタロセン触媒を用いて製造された密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状超低密度エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmの高密度ポリエチレンとの混合樹脂からなり、第3層が、環状オレフィン共重合体からなる5層フィルムと、この5層フィルムを用いた容器と、が記載されている。
特許文献2には、熱可塑性ノルボルネン系ポリマーとポリエチレンとからなる樹脂組成物層(A)と、前記樹脂組成物層(A)の両面に接合した、密度が880〜930kg/mで、かつ重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)が1.5〜4.0のエチレン・α−オレフィン共重合体を含有する組成物からなる被覆層(B)と、前記被覆層(B)に接合した、高密度ポリエチレンからなるポリエチレン層(C)と、を備えるフィルムからなる医療用容器が記載されている。
特許文献3には、密度0.935〜0.950g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなる厚さ10〜50μmの表層と、密度0.860〜0.930g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなる厚さ100〜200μmの柔軟層と、ポリ環状オレフィン60〜95重量%と密度0.900〜0.965g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体5〜40重量%とを含む混合樹脂を用いてなる厚さ10〜80μmのバリア層と、密度0.910〜0.950g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体を用いてなる厚さ5〜80μmのシール層と、を備える4層フィルムと、この4層フィルムを用いた容器と、が記載されている。
また、特許文献4には、プロピレン・α−オレフィンランダムコポリマーと、ポリプロピレンホモポリマーとの混合物からなるシール層と、前記シール層の表面に形成され、プロピレン・α−オレフィンランダムコポリマーなどとエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーとの混合物からなる第1柔軟層と、前記第1柔軟層の表面に形成され、ポリ環状オレフィンなどからなる補強層と、前記補強層の表面に形成され、プロピレン・α−オレフィン共重合体エラストマーなどとエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーとの混合物からなる第2柔軟層と、前記第2柔軟層の表面に形成され、ポリプロピレン・α−オレフィンランダムコポリマーなどからなる最外層と、を備える可撓性プラスチックフィルムと、この可撓性プラスチックフィルムを用いた容器と、が記載されている。
特開2002−301796号公報 特開2004−121824号公報 特表2005−525952号公報 特開2006−21504号公報
上記特許文献1〜4に記載のフィルムから形成される薬剤容器によれば、これら容器を形成する多層フィルムがポリ環状オレフィンを含む層を備えていることから、ガスバリア性が良好である。
しかしながら、近年、薬剤、とりわけ抗生物質を収容する薬剤容器においては、薬剤容器外部の汚染物質の薬剤容器内への溶出を抑制すること、すなわち、耐汚染性に優れていることが求められている。また、ポリ環状オレフィンは、ポリオレフィンとの接着性が十分でないことから、例えば、滅菌処理に対する耐熱性が必ずしも十分ではない。さらに、薬剤容器内を視認しやすくするために、滅菌処理後における多層フィルムの透明性について、より一層優れたものとすることが求められている。
そこで、本発明の目的は、易剥離シール性、ガスバリア性、耐汚染性、耐熱性、耐ブロッキング性、および透明性に優れた薬剤容器と、それを作るための多層フィルムとを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の薬剤容器は、表面側フィルムと、この表面側フィルムに重ね合わされる裏面側フィルムとを有し、前記表面側フィルムおよび裏面側フィルムが強シール部で仕切られた薬剤収容領域を備え、前記薬剤収容領域は、粉剤を収容するための粉剤収容部と、前記粉剤の溶解液を収容するための溶解液収容部とを含む複数の収容部を含み、前記各収容部間は、前記収容部内の圧力が高くなると開封する弱シール部で仕切られている薬剤容器であって、前記表面側フィルムと前記裏面側フィルムとは、いずれも外側から内側に向かって、第1層と、前記第1層に積層される第2層と、前記第2層に積層される第3層と、前記第3層に積層される第4層と、前記第4層に積層され、前記表面側フィルムと裏面側フィルムとのシール面を形成する第5層とを備え、前記第1層が、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体からなるか、または、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを70:30〜90:10の重量割合で含有する混合物からなり、前記第2層および第4層が、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とを95:5〜40:60の重量割合で含有する混合物からなるか、または、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを95:5〜80:20の重量割合で含有する混合物からなり、前記第3層が、ポリ環状オレフィンからなるか、または、ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合物からなり、前記第5層が、ポリエチレンとポリプロピレンとを90:10〜10:90の重量割合で含有する混合物からなることを特徴としている。
この薬剤容器によれば、多層フィルムの第3層により、多層フィルムにガスバリア性や耐汚染性を付与することができる。また、第5層により、多層フィルムに易剥離シール性を付与することができ、さらに、滅菌処理時などでのブロッキングの発生を防止する効果(耐ブロッキング性)を付与することができる。また、第2層および第4層により、第1層と第3層との接着性、および第3層と第5層との接着性をそれぞれ維持することができる。その結果、多層フィルム全体としての耐熱性を良好なものとすることができ、滅菌処理後の透明性を維持することができ、しかも、ガスバリア性や耐衝撃性を損なうことなく、多層フィルム全体に柔軟性を付与することができる。また、第1層により、薬剤容器のシール部形成時における金型離型性を良好なものとすることができる。
それゆえ、上記薬剤容器は、例えば、複数の薬剤を分離収容する複室容器として好適である。また、耐汚染性にも優れていることから、例えば、抗生物質を収容する薬剤容器として好適である。
本発明の薬剤容器は、好ましくは、
(a) 前記表面側フィルムと前記裏面側フィルムとにおける前記第2層の厚みが、前記第4層の厚みの2倍以上であるか、または、
(b) 前記表面側フィルムと前記裏面側フィルムとにおける前記第2層の厚みと前記第4層の厚みとが同じである。
上記(a)の場合、多層フィルム全体の柔軟性を維持しつつ、第4層を形成する樹脂から薬剤容器の内部へと添加剤が溶出するおそれをより一層軽減することができる。
一方、上記(b)の場合、多層フィルムの製造が容易となり、製造コストの低減を図ることができる。
本発明の薬剤容器は、好ましくは、前記表面側フィルムと前記裏面側フィルムとにおける前記第3層が、ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合物からなり、前記ポリエチレンの含有割合が、前記ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合物の総量に対し、30重量%以下である。
この場合、第3層と、第2層および第4層との接着性をより一層高めることができる。
本発明の薬剤容器は、好ましくは、前記表面側フィルムと前記裏面側フィルムとにおける前記第5層の厚みが、前記表面側フィルム全体の厚み、および前記裏面側フィルム全体の厚みに対し、それぞれ15〜20%である。
この場合、他の層による発揮される作用効果を損なうことなく、多層フィルムの耐ブロッキング性をより一層高めることができる。
本発明の多層フィルムは、第1層と、前記第1層に積層される第2層と、前記第2層に積層される第3層と、前記第3層に積層される第4層と、前記第4層に積層される第5層とを備え、前記第1層が、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体からなるか、または、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを70:30〜90:10の重量割合で含有する混合物からなり、前記第2層および第4層が、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とを95:5〜40:60の重量割合で含有する混合物からなるか、または、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを95:5〜80:20の重量割合で含有する混合物からなり、前記第3層が、ポリ環状オレフィンからなるか、または、ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合物からなり、前記第5層が、ポリエチレンとポリプロピレンとを90:10〜10:90の重量割合で含有する混合物からなることを特徴とする。
この多層フィルムは、上記薬剤容器を形成するための表面側フィルムおよび裏面側フィルムに相当するものであって、この多層フィルムの第5層同士を重ね合わせて、シール面を形成することにより、易剥離シール性、ガスバリア性、耐汚染性、耐熱性、耐ブロッキング性、および透明性に優れた薬剤容器を提供することができる。
本発明によれば、易剥離シール性、ガスバリア性、耐汚染性、耐熱性、耐ブロッキング性、および透明性に優れた薬剤容器と、それを作るための多層フィルムとを提供することができる。それゆえ、本発明は、特に、複数の薬剤を分離収容するための複室容器や、抗生物質を収容するための薬剤容器、およびそれらの形成材料として好適である。
図1は、本発明の多層フィルムの層構成を示す概略構成図である。 図2は、本発明の薬剤容器の一実施形態を示す正面図である。 図3は、図2に示す薬剤容器のA−A断面図である。
符号の説明
1:第1層(最外層)、 2:第2層、 3:第3層(中間層)、 4:第4層、 5:第5層(最内層)、 6:薬剤容器、 7:表面側フィルム(多層フィルム)、 8:裏面側フィルム(多層フィルム)、 9:強シール部、 10:第1弱シール部、 11:第2弱シール部、 12:第1収容部(溶解液収容部)、 13:第2収容部(粉剤収容部)、 14:第3収容部(空収容部)。
発明の実施形態
図1を参照して、この多層フィルムは、一方側表面を形成する第1層1と、第1層1に積層される第2層2と、第2層2に積層される第3層3と、第3層3に積層される第4層4と、第4層4に積層されて他方側表面を形成する第5層5と、を備えている。
第1層1は、薬剤容器の最外層を形成する。このため、第1層1には、機械的強度(とりわけ、引張強度)と、耐熱性とに優れていることが求められる。また、第1層1は、透明性や柔軟性に優れていることが好ましい。
この第1層1は、
(A) 密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体、および、
(B) 密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを、70:30〜90:10の重量割合で含有する混合物、
のいずれかで形成される。
上記(A)の物質、または上記(B)の混合物を構成する、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体について、その密度(ASTM D1505による測定値)は、上記範囲のなかでも特に、0.935〜0.945g/cmが好ましく、0.940g/cm程度がさらに好ましい。なお、本発明において、多層フィルムを構成する物質における密度の値は、いずれもASTM D1505による測定値である。
また、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の融点は、ASTM D2117による測定値で、120〜130℃が好ましく、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238による測定値(温度190℃、荷重2.16kg)は、1.5〜2.5g/10分が好ましい。なお、以下の記載において、多層フィルムを構成する物質における融点の値は、いずれもASTM D2117による測定値である。また、多層フィルムを構成する物質におけるMFRの値は、いずれもASTM D1238による測定値(温度190℃、荷重2.16kg)である。
密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1などの、炭素数3〜12のα−オレフィンが挙げられる。なかでも好ましくは、ブテン−1が挙げられる。
密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体としては、市販品を用いることができる。具体的には、例えば、株式会社プライムポリマー製の直鎖状ポリエチレン(直鎖状エチレン・ブテン−1共重合体、商品名「ウルトゼックス(登録商標)」シリーズ)、例えば、住友化学株式会社製の商品名「スミカセン」シリーズ、出光石油化学株式会社製の商品名「モアテック」シリーズなどが挙げられる。
上記(B)の混合物を構成する密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンについて、その密度は、上記範囲の中でも特に、0.965g/cm程度がさらに好ましい。
密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとしては、市販品を用いることができる。具体的には、例えば、株式会社プライムポリマー製の高密度ポリエチレン(商品名「ネオゼックス(登録商標)」シリーズ)、例えば、旭化成株式会社製の商品名「サンテック」シリーズ、昭和電工株式会社製の商品名「ショウレックス」シリーズ、日本石油化学株式会社製の商品名「スタフレン」シリーズなどが挙げられる。
第1層1を構成する物質が、上記(B)の混合物である場合において、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンは、第1層1の耐熱性や、ヒートシール時の金型離型性を、より一層高める目的で配合される。
また、第1層1を構成する物質が、上記(B)の混合物である場合において、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとの混合割合は、重量割合で、好ましくは、70:30〜90:10であり、さらに好ましくは、75:25〜85:15である。密度0.955〜0.970g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体(ここでは、単に「高密度ポリエチレン」という。)の混合割合が上記範囲を上回ると、多層フィルムの透明性や柔軟性が低下する。一方、高密度ポリエチレンの混合割合が上記範囲を下回ると、第1層1の耐熱性をより一層向上させる効果や、ヒートシール時の金型離型性をより一層向上させる効果といった、高密度ポリエチレンの混合に伴って得られる効果が十分に発揮されなくなるおそれがある。
第1層1の厚みは、特に限定されないが、多層フィルムの総厚みに対し、好ましくは、5〜20%であり、さらに好ましくは、5〜15%である。第1層1の厚みの割合が上記範囲を下回ると、多層フィルムや薬剤容器の機械的強度や耐熱性が不十分になるおそれがある。一方、第1層1の厚みの割合が上記範囲を上回っても、機械的強度や耐熱性に大きな変化はなく、逆に、多層フィルムの柔軟性が低下するおそれがある。
第2層2には、第1層(最外層)1と第3層3との接着を良好なものとし、かつ、多層フィルムのガスバリア性や耐衝撃性を損なうことなく、多層フィルム全体に柔軟性を付与することが求められる。
この第2層2は、
(C) 密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とを、95:5〜40:60の重量割合で含有する混合物、および、
(D) 密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを、95:5〜80:20の重量割合で含有する混合物、
のいずれかで形成される。
上記(C)の混合物または上記(D)の混合物を構成する、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、直鎖状の超低密度ポリエチレンであって、例えば、チーグラー系触媒や、メタロセン系触媒を用いて製造される。
また、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体について、その密度は、上記範囲のなかでも、特に、0.890〜0.915g/cmが好ましい。
密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンとしては、炭素数3〜12のα−オレフィンが挙げられる。なかでも好ましくは、ブテン−1、ヘキセン−1が挙げられる。
密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体としては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、株式会社プライムポリマー製の直鎖状超低密度ポリエチレン(直鎖状超低密度エチレン・ブテン−1共重合体、商品名「タフマー(登録商標)」AまたはPシリーズ)、株式会社プライムポリマー製の直鎖状超低密度ポリエチレン(直鎖状超低密度エチレン・ヘキセン−1共重合体、商品名「エボリュー(登録商標)」シリーズ)などが挙げられる。
上記(C)の混合物を構成する、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体としては、第1層に用いられるものと同じものが挙げられる。また、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体について、その密度は、上記範囲のなかでも特に、0.935〜0.945g/cmが好ましく、0.940g/cm程度がさらに好ましい。密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンとしては、炭素数3〜12のα−オレフィンが挙げられる。なかでも好ましくは、ブテン−1、ヘキセン−1が挙げられ、さらに好ましくは、ブテン−1が挙げられる。
上記(C)の混合物において、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体との混合割合は、重量割合で、好ましくは、95:5〜40:60であり、さらに好ましくは、95:5〜45:55である。密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の混合割合が上記範囲を下回ると、第1層1と第3層3との接着強度(層間強度)が低下する。一方、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の混合割合が上記範囲を下回ると、多層フィルムの機械的強度や、衝撃に対する強度(耐衝撃性)が低下する。
上記(D)の混合物を構成する、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとしては、第1層に用いられるものと同じものが挙げられる。また、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンについて、その密度は、上記範囲のなかでも特に、0.965g/cm程度がさらに好ましい。
上記(D)の混合物において、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとの混合割合は、重量割合で、好ましくは、95:5〜80:20であり、さらに好ましくは、95:5〜85:15である。密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体の混合割合が上記範囲を下回ると、第1層1と第3層3との接着強度(層間強度)が低下する。一方、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンの混合割合が上記範囲を下回ると、多層フィルムの機械的強度や、衝撃に対する強度(耐衝撃性)が低下する。
第2層の形成材料として、上記(C)の混合物、または上記(D)の混合物を用いることにより、強度および透明性が向上した薬剤容器を得ることができる。
第2層2の厚みは、特に限定されないが、多層フィルムの総厚みに対し、好ましくは、30〜60%であり、より好ましくは、40〜50%である。
第2層2の厚みは、多層フィルムの機械的強度を維持しつつ、第4層4の厚みを小さくして、薬剤容器の内部への添加剤の溶出を抑制するという観点より、後述する第4層4より大きくすることができ、例えば、第2層2の厚みを、第4層4の厚みの2倍以上とすることができる。
一方、多層フィルムの製造を容易にして、製造コストを低減する観点より、第2層2の厚みは、後述する第4層4と同じ厚みとしてもよい。
薬剤容器の中間層を形成する第3層には、ガスバリア性や耐汚染性に優れていることが求められる。
この第3層3は、
(E)ポリ環状オレフィン、または、
(F)ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合物
で形成される。
これにより、多層フィルムのガスバリア性や耐汚染性が優れたものとなり、さらには、多層フィルムを通じた水分(特に、水蒸気)の透過を抑制することができる。特に、第3層3が、上記(F)の混合物で形成されるときは、第2層2や第4層4との間の接着強度(層間強度)や、多層フィルム自体の機械的強度がより一層良好となり、薬剤容器における衝撃に対する強度などの機械的強度をより一層向上させることができる。
ポリ環状オレフィンは、環状オレフィンを含むポリマーであって、環状オレフィンポリマー(COP)と、環状オレフィンコポリマー(COC)とが挙げられる。ポリ環状オレフィンは、COPとCOCとから選択される1種の(コ)ポリマーを単独で用いてもよく、例えば、融点、メルトフローレート、密度などが異なる2種以上の(コ)ポリマーを混合して用いてもよい。
COPとしては、例えば、シクロペンタジエン系化合物の開環重合体、ジシクロペンタジエン系化合物の開環重合体、ノルボルネン系化合物の開環重合体、およびこれらの水素添加物などが挙げられる。
COPを構成するシクロペンタジエン系化合物としては、例えば、シクロペンタジエンなどが挙げられる。ジシクロペンタジエン系化合物としては、例えば、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
ノルボルネン系化合物としては、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
また、COCとしては、例えば、2種以上のシクロペンタジエン系化合物の開環共重合体、2種以上のジシクロペンタジエン系化合物の開環共重合体、2種以上のノルボルネン系化合物の開環共重合体、およびこれらの水素添加物、例えば、シクロペンタジエン系化合物、ジシクロペンタジエン系化合物、およびノルボルネン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも2種の環状オレフィンの開環共重合体、およびこの水素添加物、例えば、シクロペンタジエン系化合物、ジシクロペンタジエン系化合物、およびノルボルネン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンと、鎖状オレフィンとの共重合体、およびこの水素添加物、などが挙げられる。
COCを構成するシクロペンタジエン系化合物、ジシクロペンタジエン系化合物、およびノルボルネン系化合物としては、COPに用いられるものと同じものが挙げられる。
COCを構成する鎖状オレフィンとしては、例えば、エチレンと、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1などの炭素数3〜12のα−オレフィンが挙げられ、なかでも、エチレンが好ましい。また、これら鎖状オレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリ環状オレフィンの物性については、特に限定されないが、例えば、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121による測定値で、好ましくは、70℃以上であり、より好ましくは、80〜150℃である。分子量は、シクロヘキサンを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析により測定した数平均分子量(Mn)として、好ましくは、1万〜10万、より好ましくは、2万〜5万である。水素添加率(水添率)は、好ましくは、90%以上、より好ましくは、95%以上、さらに好ましくは、99〜100%である。なお、以下の記載において、ポリ環状オレフィンにおけるガラス転移温度の値は、いずれもJIS K 7121による測定値である。
ポリ環状オレフィンは、市販品を用いることができる。具体的には、例えば、三井化学株式会社製の商品名「アペル(登録商標)」シリーズ、例えば、日本ゼオン株式会社製の商品名「ゼオノア(登録商標)」シリーズ、例えば、ティコナGmbH製の商品名「トパス」シリーズなどが挙げられる。
第3層3が、上記(F)の混合物で形成される場合において、ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられる。なかでも好ましくは、多層フィルム全体の透明性の観点より、直鎖状のポリエチレンが挙げられ、さらに好ましくは、密度0.930〜0.965g/cmの直鎖状ポリエチレンが挙げられる。また、ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であってもよい。この場合において、エチレン・α−オレフィン共重合体としては、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体や、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体などが挙げられ、なかでも好ましくは、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。
上記(F)の混合物を構成するポリエチレンのMFRは、0.5〜20g/10分(190℃)が好ましく、1〜10g/10分(190℃)がより好ましい。また、上記(F)の混合物を構成するポリエチレンの融点(Tm)は、120〜135℃が好ましく、122〜131℃がより好ましい。
ポリエチレンとしては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、株式会社プライムポリマー製の商品名「ウルトゼックス(登録商標)4020B」などのウルトゼックス(登録商標)シリーズ、同社製の商品名「ネオゼックス(登録商標)65150」などのネオゼックス(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
第3層3が、上記(F)の混合物で形成される場合において、ポリ環状オレフィンと、ポリエチレンとの混合割合は、例えば、多層フィルムのガスバリア性、水蒸気バリア性、耐汚染性(添加剤の溶出抑制効果)、第2層や第4層との間の接着強度(層間強度)、多層フィルム自体の機械的強度などの観点から適宜設定される。それゆえ、これに限定されないが、上記(F)の混合物におけるポリエチレンの混合割合は、30重量%以下が好ましく、10〜30重量%がさらに好ましい。
第3層3の厚みは、特に限定されないが、多層フィルムの総厚みに対し、好ましくは、5〜15%であり、より好ましくは、6〜12%である。
第4層4には、第3層3と第5層(最内層)5との接着を良好なものとし、かつ、多層フィルムのガスバリア性や耐衝撃性を損なうことなく、多層フィルム全体に柔軟性を付与することが求められる。
この第4層4は、第2層2と同様の物質、すなわち、
(C) 密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とを、95:5〜40:60の重量割合で含有する混合物、および、
(D) 密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを、95:5〜80:20の重量割合で含有する混合物、
のいずれかで形成される。
第4層4の厚みは、特に限定されないが、多層フィルムの総厚みに対し、好ましくは、30〜60%であり、より好ましくは、40〜50%である。
また、第4層4の厚みは、多層フィルムの機械的強度を維持しつつ、第4層4から薬剤容器の内部への添加剤の溶出を抑制するという観点より、第2層2より小さくすることができ、例えば、第4層4の厚みを、第2層2の厚みの半分以下とすることができる。
一方、多層フィルムの製造を容易にして、製造コストを低減する観点より、第4層の厚みは、第2層2の厚みと同じ厚みとしてもよい。
第5層5は、薬剤容器の最内層を形成する。このため、第5層5は、ヒートシール性、易剥離シール性、耐ブロッキング性に優れていることが好ましい。
この第5層5は、ポリエチレンとポリプロピレンとを90:10〜10:90の重量割合で含有する混合物で形成される。このように、第5層5に、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物が用いられることから、両者の融点差を利用することで、易剥離性に優れた弱シール部を形成することができる。
第5層5を構成するポリエチレンとしては、例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体、ポリエチレンホモポリマーなどが挙げられ、なかでも好ましくは、エチレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体や、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体などが挙げられ、なかでも好ましくは、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体が挙げられる。
第5層5を構成するポリエチレンのMFRは、0.5〜20g/10分(190℃)が好ましく、1〜10g/10分(190℃)がより好ましい。また、第5層5を構成するポリエチレンの融点(Tm)は、120〜135℃が好ましく、122〜131℃がより好ましい。
ポリエチレンとしては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、株式会社プライムポリマー製の商品名「ウルトゼックス(登録商標)」シリーズ、同社製の商品名「ネオゼックス(登録商標)」シリーズなどが挙げられる。
第5層5を構成するポリプロピレンとしては、ポリプロピレンホモポリマーなどが挙げられ、なかでも好ましくは、ポリプロピレンホモポリマーが挙げられる。
ポリエチレンとポリプロピレンホモポリマーとの混合割合は、例えば、弱シール部に要求される易剥離性に合わせて、適宜設定される。具体的に、ポリエチレンとポリプロピレンホモポリマーとの混合割合は、重量割合で、好ましくは、90:10〜10:90であり、さらに好ましくは、80:20〜20:80であり、特に好ましくは、65:35〜25:75である。
また、第5層5は、ポリエチレン、およびポリプロピレンとともに、例えば、α−オレフィンエラストマーなどの他のポリマーを混合することができる。第5層5中でのα−オレフィンエラストマーの含有割合は、特に限定されないが、第5層5を構成する物質の総量に対し、30重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
第5層5の厚みは、特に限定されないが、多層フィルムの総厚みに対し、好ましくは、5〜20%であり、さらに好ましくは、10〜20%である。第5層5の厚みを上記範囲で設定することにより、他の層による発揮される作用効果を損なうことなく、多層フィルムの耐ブロッキング性をより一層高めることができる。
多層フィルムの総厚みは、多層フィルムの用途、使用目的に合わせて適宜設定されるものであり、特に限定されないが、輸液バッグ(例えば、内容量が500mL程度までのもの)、血液バッグ、経腸栄養用バッグ、流動食用バッグなどの医療用容器に使用するものとしては、一般に、100〜300μmであり、好ましくは、100〜220μmであり、より好ましくは、160〜200μmである。
多層フィルムの製造方法としては、特に限定されず、例えば、水冷式または空冷式共押出しインフレーション法、共押出しTダイ法、ドライラミネーション法、押出しラミネーション法などが挙げられる。なかでも、多層フィルムの特性、とりわけ、透明性や、多層フィルム製造時の経済性、多層フィルムの衛生性などの観点から、好ましくは、水冷共押出しインフレーション法および共押出しTダイ法が挙げられる。
上記のいずれの方法においても、多層フィルムの製造は、各層を形成する樹脂が溶融する温度で実施する必要があるが、製造温度が高過ぎると、樹脂の一部が熱分解して、分解生成物による性能の低下を生じるおそれがある。それゆえ、上記多層フィルムの製造温度は、これに限定されないが、好ましくは、150〜250℃、より好ましくは、170〜200℃である。また、各層を構成する樹脂は、多層フィルムの透明性を維持するために、MFRの差ができるだけ小さいことが好ましい。
上記多層フィルムは、優れた易剥離シール性、透明性、機械的強度、滅菌処理に対する耐熱性、第5層(最内層)と接触する薬液などに対する耐汚染性(添加剤の溶出抑制効果)を有している。それゆえ、上記多層フィルムは、例えば、輸液バッグなどの医療用容器の形成材料として好適である。
図2および図3を参照して、薬剤容器6は、図1に示す多層フィルムからなる表面側フィルム7と裏面側フィルム8とを備え、これら表面側フィルム7および裏面側フィルム8の各第5層5を、互いに対向するように重ね合わせて形成されている。すなわち、薬剤容器6は、表面側フィルム7および裏面側フィルム8の各第1層1が最外層であり、各第5層5が最内層である。
また、薬剤容器6は、表面側フィルム7および裏面側フィルム8の周縁を溶着して形成される強シール部9を備えている。なお、この強シール部9は、例えば、図1に示す多層フィルムを、その第5層5が内側となるように、インフレーション法によって袋状またはチューブ状に形成し、こうして得られた袋状またはチューブ状の多層フィルムの周縁部を溶着することによっても、形成できる。
薬剤容器6の表面側フィルム7と、裏面側フィルム8と、強シール部9とにより仕切られる薬剤収容領域は、易剥離性を有する第1弱シール部10と第2弱シール部11とによって、第1収容部12と、第2収容部13と、第3収容部14と、の3つの収容部に分離されている。
強シール部9を形成する際のヒートシール温度は、特に限定されないが、一般に、120〜160℃である。また、多層フィルムの厚みが、例えば、180μm程度である場合において、強シール部9は、上記の温度範囲で、シール時間を0.5〜5秒に設定することにより形成される。
2つの弱シール部10、11は、表面側フィルム7と裏面側フィルム8との各第5層5同士を溶着することにより形成されており、そのシール強さは、弱シール部を挟んで互いに隣接する2つの収容部(例えば、第1弱シール部10を挟んで互いに隣接する第1収容部12と第2収容部13)の一方(例えば、第1収容部12)を押圧して、その収容部内の圧力を高くしたときに、容易に開裂される程度に設定される。
2つの弱シール部10、11を形成する際のヒートシール温度は、特に限定されないが、一般に、110〜130℃である。また、表面側フィルム7および裏面側フィルム8の厚みが、例えば、180μm程度である場合において、2つの弱シール部10、11は、上記の温度範囲で、シール時間を0.5〜5秒に設定することにより形成される。
薬剤容器6の薬剤収容領域は、上記のとおり、2つの弱シール部10、11によって、仕切られる第1収容部12と、第2収容部13と、第3収容部14と、の3つの収容部に分離されている。これら3つの収容部12、13、14の用途については、特に限定されないが、例えば、第1収容部12を、粉剤の溶解液を収容するための溶解液収容部とし、第2収容部13を、粉剤を収容するための粉剤収容部とし、第3収容部14を、空収容部とすることが好ましい。
第3収容部14は、後述する筒部材15に接している領域である。このため、上記薬剤収容領域に粉剤が収容される場合において、この第3収容部14に粉剤を収容すると、粉剤が筒部材15内に入り込み、溶解液による溶解処理が不十分になるという事態を招くおそれがある。それゆえ、第3収容部14は、空収容部とすることが好適である。また、薬剤容器6に粉剤とその溶解液とを収容する場合において、第1収容部12と第2収容部13とのうち、筒部材15に接している第3収容部14に近い方の第2収容部13に、粉剤を収容し、他方の第1収容部12に、粉剤の溶解液を収容することが好ましい。この場合、粉剤と溶解液とを混合していない状態で、溶解液のみを誤って薬剤容器6から排出するといった誤操作の発生を防止できる。
強シール部9の一部には、薬剤収容領域と薬剤容器6の外部との間で薬液などを流出入させるための筒部材15が、表面側フィルム7と裏面側フィルム8とにより挟み込まれた状態で溶着されている。
筒部材15は、特に限定されず、公知の筒部材を適用できる。例えば、この筒部材15は、薬剤容器6の薬剤収容領域(第1の収容部12、第2の収容部13、および第3の収容部14)内に収容されている薬液を、薬剤容器6の外部へ流出させ、または、薬剤容器6の外部から薬剤収容領域内へと薬液を流入させるための部材であって、通常、その内部に、筒部材15を封止するための、中空針などにより穿刺可能な封止体(例えば、ゴム栓など。)が配置されている。
薬剤容器6の第2の収容部13において、例えば、抗生物質などの光、ガスなどによる劣化が生じやすい薬剤(粉剤)を収容する場合には、第2の収容部13の外表面に、この第2の収容部13を被覆し、光線やガスなどの侵入を防止するためのバリアフィルム16を設けてもよい。バリアフィルム16としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム箔などの金属製フィルム、例えば、シリカ、アルミナなどの蒸着膜を備えるガスバリアフィルム、などが挙げられる。
上記薬剤容器によれば、本発明の多層フィルムの第1層を最外層とし、かつ第5層を最内層として形成されていることから、優れた易剥離シール性、透明性、機械的強度、滅菌処理に対する耐熱性、耐ブロッキング性、第5層(最内層)と接触する薬液などに対する耐汚染性(添加剤の溶出抑制効果)を有している。それゆえ、上記の薬剤容器は、例えば、輸液バッグなどの医療用容器として好適であり、特に、抗生物質を収容する薬剤容器として好適である。
次に、実施例を挙げて本発明を説明する。
多層フィルムの製造に用いられる樹脂をその略号で示し、その物性および製造者名を以下に示す。
<密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体>
・PE−L:直鎖状ポリエチレン(直鎖状エチレン・ブテン−1共重合体)、密度0.940g/cm、MFR 2.1g/10分(190℃)、商品名「ウルトゼックス(登録商標)4020BS」、株式会社プライムポリマー製
<密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレン>
・PE−HD:高密度ポリエチレン、密度0.965g/cm、MFR 15g/10分(190℃)、商品名「ネオゼックス(登録商標)65150B」、株式会社プライムポリマー製
<密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体>
・PE−LVLD(1):直鎖状超低密度ポリエチレン(直鎖状超低密度エチレン・ブテン−1共重合体)、密度0.885g/cm、分子量分布の分散度(Mw/Mn)2.0、MFR 0.5g/10分(190℃)、商品名「タフマー(登録商標)A0585XS」、株式会社プライムポリマー製
・PE−LVLD(2):メタロセン系触媒で製造された直鎖状超低密度ポリエチレン(直鎖状超低密度エチレン・ヘキセン−1共重合体)、密度0.903g/cm、分子量分布の分散度(Mw/Mn)2.5、MFR 1.3g/10分(190℃)、商品名「エボリュー(登録商標)SP0510B」、株式会社プライムポリマー製
<ポリ環状オレフィン>
・COP:ポリ環状オレフィン、比重(ASTM D792)1.01、MFR 20g/10分(190℃)ガラス転移温度105℃、商品名「ゼオノア(登録商標)1020R」、日本ゼオン株式会社製
<ポリプロピレン>
・PP:ポリプロピレンホモポリマー、密度0.910g/cm、MFR 8.0g/10分(230℃)、商品名「プライムポリプロ(登録商標)J102WA」、株式会社プライムポリマー製
上記樹脂の表示において、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とは、いずれもゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)による測定値(標準ポリスチレン換算値)である。また、分子量分布の分散度(Mw/Mn)は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比率であって、分子量分布の広狭の程度を示す指標である。
実施例1
PE−Lからなる厚さ20μmの第1層1と、PE−LVLD(1)とPE−Lとを50:50の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ80μmの第2層2と、COPからなる厚さ10μmの第3層3と、PE−LVLD(1)とPE−Lとを50:50の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ40μmの第4層4と、PE−LとPPとを60:40の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ30μmの第5層5と、を備える総厚み180μmの多層フィルム(図1参照)を、水冷共押出しインフレーション法により製造した。
次いで、得られた多層フィルム2枚を表面側フィルム7と裏面側フィルム8とし、それぞれの第5層5が対向するように重ね合わせ、表面側フィルム7と裏面側フィルム8との周縁を185℃で3秒間シールすることにより、強シール部9を形成した。次に、表面側フィルム7と、裏面側フィルム8と、強シール部9とにより仕切られる薬剤収容領域に、易剥離性を有する第1弱シール部10と第2弱シール部11とを形成した。第1弱シール部10および第2弱シール部11のシール条件は、いずれも146℃、3秒間とした。
こうして、図2および図3に示す、3つの収容室(12,13,14)を有する薬剤容器6を得た。なお、薬剤容器6の第1収容部12は、最大収容量を約200mLとし、後述する物性評価のために100mLの蒸留水を充填した。また、第2収容部13は、最大収容量を約100mLとし、後述する物性評価のために50mLの蒸留水を充填した。第3収容部14は、空収容部とした。
実施例2
第1層にPE−LとPE−HDとを80:20の重量割合で含有する混合樹脂を用い、第3層3にCOPとPE−Lとを75:25の重量割合で含有する混合樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、多層フィルムを製造した。
そして、こうして得られた多層フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、薬剤容器6を製造した。
実施例3
第2層2と第4層4との厚さをそれぞれ60μmとし、第3層3にCOPとPE−Lとを75:25の重量割合で含有する混合樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、多層フィルムを製造した。
そして、こうして得られた多層フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、薬剤容器6を製造した。
実施例4
PE−Lからなる厚さ20μmの第1層1と、PE−LVLD(2)とPE−Lとを90:10の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ80μmの第2層2と、COPからなる厚さ10μmの第3層3と、PE−LVLD(2)とPE−Lとを90:10の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ40μmの第4層4と、PE−LとPPとを60:40の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ30μmの第5層5と、を備える総厚み180μmの多層フィルム(図1参照)を、水冷共押出しインフレーション法により製造した。
そして、得られた多層フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、薬剤容器6を製造した。
実施例5
第1層にPE−LとPE−HDとを80:20の重量割合で含有する混合樹脂を用い、第3層3にCOPとPE−Lとを75:25の重量割合で含有する混合樹脂を用いたこと以外は実施例4と同様にして、多層フィルムを製造した。
そして、こうして得られた多層フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、薬剤容器6を製造した。
実施例6
第5層5にPE−LとPPとを40:60の重量割合で含有する混合樹脂を用いたこと以外は実施例4と同様にして、多層フィルムを製造した。
そして、こうして得られた多層フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、薬剤容器6を製造した。
実施例7
第5層5にPE−LとPPとを30:70の重量割合で含有する混合樹脂を用いたこと以外は実施例4と同様にして、多層フィルムを製造した。
そして、こうして得られた多層フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、薬剤容器6を製造した。
実施例8
PE−LとPE−HDとを80:20の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ20μmの第1層と、PE−LVLD(2)とPE−HDとを90:10の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ80μmの第2層2と、COPとPE−Lとを75:25の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ10μmの第3層3と、PE−LVLD(2)とPE−HDとを90:10の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ40μmの第4層4と、PE−LとPPとを60:40の重量割合で含有する混合樹脂からなる厚さ30μmの第5層5と、を備える総厚み180μmの多層フィルム(図1参照)を、水冷共押出しインフレーション法により製造した。
そして、こうして得られた多層フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、薬剤容器6を製造した。
実施例1〜8で得られた多層フィルムの層構成を、表1および2に示す。
Figure 2009014032
Figure 2009014032
表1および2中、第1層から第5層の各欄の上段は、該当する層を形成する樹脂の略号である。混合樹脂は、混合する樹脂成分の略号を“+”で繋いで示している。上段のカッコ内の値は、樹脂の密度(g/cm)である。中段は、混合樹脂の場合の各樹脂成分の重量割合である。下段は、該当する層の厚み(μm)である。
物性評価
実施例1〜8で得られた薬剤容器6について、下記の特性を評価した。
透明性
薬剤容器6を形成する多層フィルムを切り取り、測定用サンプルとした。この測定用サンプルについて、110℃、40分間の蒸気滅菌処理を施す前と、施した後の2回にわたり、波長450nmにおける水中での光透過率を測定した。
光透過率は、蒸気滅菌処理前において、85%以上であることが好ましい(○)。なお、蒸気滅菌処理前には、85%未満であると、透明性が不良であると評価した。
また、蒸気滅菌処理後において、75%以上であることが好ましい(○)。なお、蒸気滅菌処理後には、75%未満であると、透明性が不良であると評価した。
易剥離性
薬剤容器6の製造に際し、第1および第2弱シール部10、11のヒートシール温度を、145〜147℃の範囲で、1℃ごとに変更した。次いで、得られた薬剤容器6(第1収容部12と、第2収容部13とに、それぞれ所定量の蒸留水を充填したもの)の第1および第2弱シール部10、11を開裂させて、弱シール部の易剥離性を評価した。その結果、第1および第2弱シール部10、11のヒートシール温度が145〜147℃である場合全てにおいて、易剥離性が良好である場合を○とし、易剥離性に支障を生じるシール温度があった場合を×として、易剥離性を評価した。つまり、ヒートシール温度が変化しても易剥離性が良好であったものを○とした。
耐熱性
第1収容部12および第2収容部13にそれぞれ蒸留水を充填した薬剤容器6について、110℃、40分間の蒸気滅菌処理を施した。次いで、蒸気滅菌処理後における、薬剤容器6の変形、破袋およびシール漏れの有無を目視観察し、その結果に基づき、下記の基準により、多層フィルムの耐熱性を評価した。
○:変形、破袋およびシール漏れが全く観察されず、または、変形を受けた跡がわずかに観察されたものの、破袋およびシール漏れは、全く観察されなかった。いずれの場合も、耐熱性が良好であった。
×:変形を受けた跡が観察され、破袋やシール漏れも観察された。
上記評価項目についての評価結果を、表3に示す。
Figure 2009014032
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。上記発明の属する技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれるものである。
本発明の多層フィルムは、例えば、輸液バッグなどの医療用容器の形成材料として好適である。また、本発明の薬剤容器は、例えば、輸液バッグなどの医療用容器として好適であり、特に、抗生物質を収容する薬剤容器として好適である。

Claims (6)

  1. 表面側フィルムと、この表面側フィルムに重ね合わされる裏面側フィルムとを有し、前記表面側フィルムおよび裏面側フィルムが強シール部で仕切られた薬剤収容領域を備え、前記薬剤収容領域は、粉剤を収容するための粉剤収容部と、前記粉剤の溶解液を収容するための溶解液収容部とを含む複数の収容部を含み、前記各収容部間は、前記収容部内の圧力が高くなると開封する弱シール部で仕切られている薬剤容器であって、
    前記表面側フィルムと前記裏面側フィルムとは、いずれも外側から内側に向かって、第1層と、前記第1層に積層される第2層と、前記第2層に積層される第3層と、前記第3層に積層される第4層と、前記第4層に積層され、前記表面側フィルムと裏面側フィルムとのシール面を形成する第5層とを備え、
    前記第1層が、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体からなるか、または、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを70:30〜90:10の重量割合で含有する混合物からなり、
    前記第2層および第4層が、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とを95:5〜40:60の重量割合で含有する混合物からなるか、または、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを95:5〜80:20の重量割合で含有する混合物からなり、
    前記第3層が、ポリ環状オレフィンからなるか、または、ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合物からなり、
    前記第5層が、ポリエチレンとポリプロピレンとを90:10〜10:90の重量割合で含有する混合物からなることを特徴とする、薬剤容器。
  2. 前記第2層の厚みが、前記第4層の厚みの2倍以上であることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤容器。
  3. 前記第2層の厚みと前記第4層の厚みとが同じであることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤容器。
  4. 前記第3層が、ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合物からなり、前記ポリエチレンの含有割合が、前記ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合物の総量に対し、30重量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤容器。
  5. 前記第5層の厚みが、前記表面側フィルム全体の厚み、および前記裏面側フィルム全体の厚みに対し、それぞれ15〜20%であることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤容器。
  6. 第1層と、前記第1層に積層される第2層と、前記第2層に積層される第3層と、前記第3層に積層される第4層と、前記第4層に積層される第5層とを備え、
    前記第1層が、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体からなるか、または、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを70:30〜90:10の重量割合で含有する混合物からなり、
    前記第2層および第4層が、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.930〜0.950g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体とを95:5〜40:60の重量割合で含有する混合物からなるか、または、密度0.860〜0.920g/cmの直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体と、密度0.955〜0.970g/cmのポリエチレンとを95:5〜80:20の重量割合で含有する混合物からなり、
    前記第3層が、ポリ環状オレフィンからなるか、または、ポリ環状オレフィンとポリエチレンとの混合物からなり、
    前記第5層が、ポリエチレンとポリプロピレンとを90:10〜10:90の重量割合で含有する混合物からなることを特徴とする、多層フィルム。
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