JPWO2008143011A1 - 薄膜センサ、薄膜センサモジュールおよび薄膜センサの製造方法 - Google Patents

薄膜センサ、薄膜センサモジュールおよび薄膜センサの製造方法 Download PDF

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Abstract

[課題]複雑な製造工程を経ることなく、基板と白金製感温抵抗体との密着性に優れ、該感温抵抗体の抵抗温度係数が大きい薄膜センサを提供すること。[解決手段]酸化アルミニウム類の単結晶からなる基板と、該基板に積層された、白金結晶からなる感温抵抗体とを有することを特徴とする薄膜センサ。

Description

本発明は、薄膜センサ、該薄膜センサを有する薄膜センサモジュールおよび該薄膜センサの製造方法に関し、より詳しくは感温抵抗体を利用した薄膜センサ、該薄膜センサを有する薄膜センサモジュールおよび該薄膜センサの製造方法に関する。
従来、各種物体又は流体の温度を測定する温度センサ機能等の発揮のために用いられている薄膜センサモジュールとしては、熱量を電気信号に変換して温度を検出する感温抵抗体を利用したものが広く使用されている。なかでも、感度の点で、抵抗温度係数の絶対値が大きい白金族元素を利用した薄膜センサモジュールが広く用いられている。
薄膜センサモジュールには、従来、基板(例えばガラスや焼結アルミナ)や表面に酸化シリコン膜を形成したシリコン基板の表面に、ニッケル、白金または銅などからなる感温抵抗体を形成してなる薄膜センサが用いられている。しかしながら、基板と感温抵抗体とは材質が異なるために熱膨張係数が異なるので、温度変化により両者の間に熱膨張係数差に基づく応力が発生し、基板と感温抵抗体との間にクラックが発生したり感温抵抗体が基板から剥離したりするという問題があった。
このような問題を解決し、基板と感温抵抗体との密着力を向上させるための技術として、特開平11−354302号公報(特許文献1)および特開2001−291607号公報(特許文献2)には、基板と白金薄膜との間にチタン層などを介在させることでアルミナ基板に対する白金薄膜の密着性を向上できることが記載されている。
一方、α−Al23単結晶の表面に単結晶に近い状態で白金膜を形成できることが従来知られている。たとえば、強誘電体薄膜をセンサとして利用した半導体センサ(半導体単結晶基板、γ−Al23単結晶膜、Pt薄膜および強誘電体薄膜がこの順序で積層されなる半導体センサ)を開示する特開2004−281742号公報(特許文献3)には、「α−Al23(サファイア)のR面上に同様の条件においてPtをスパッタした場合、(001)配向の膜は得られず、(111)配向となった。(段落[0047])」、「前述したようなプロセスを用いてサファイア(10−12)面上にPtを堆積した場合は、図8に示すような(111)配向のPt膜しか得られない。(段落[0049])」と記載されている。
特開平11−354302号公報 特開2001−291607号公報 特開2004−281742号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載の薄膜センサにおいては、基板と感温抵抗体との密着性の点では優れるものの、チタン層などを設ける必要があるため、製造工程の簡略化の観点からは、さらなる改善の余地があった。また、この感温抵抗体中へ前記チタンが拡散して感温抵抗体の抵抗温度係数が低下してしまうため、さらに抵抗温度係数を大きくするという観点からも、さらなる改善の余地があった。
なお特許文献3には、Pt膜を感温抵抗体として利用する薄膜センサに関する記載はない。
本発明は、上述のような従来技術に鑑みてなされたものであって、複雑な製造工程を経ることなく、基板と白金製感温抵抗体との密着性に優れ、該感温抵抗体の抵抗温度係数が大きい薄膜センサ、該薄膜センサを有する薄膜センサモジュール、および該薄膜センサの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の薄膜センサは、酸化アルミニウム類の単結晶からなる基板と、該基板に積層された、白金結晶からなる感温抵抗体とを有することを特徴としている。
前記酸化アルミニウム類の単結晶としては、α−Al23単結晶が好ましい。
前記薄膜センサは、前記α−Al23単結晶のC面上に前記感温抵抗体が積層されていることが好ましい。
前記前記感温抵抗体の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、50nm以下であることが好ましい。
前記前記感温抵抗体の表面粗さRz(十点平均粗さ)は、200nm以下であることが好ましい。
前記前記感温抵抗体の抵抗温度係数は、通常3,300ppm/K以上である。
前記薄膜センサとしては、温度センサ、流量センサ、比熱センサ、熱伝導性センサ、濃度センサ、液種識別センサ、歪センサ、応力センサおよび湿度センサからなる群から選択されたセンサが挙げられる。
本発明の薄膜センサモジュールは、前記薄膜センサを有することを特徴としている。
本発明の薄膜センサの製造方法は、酸化アルミニウム類の単結晶からなる基板の上に、白金結晶からなる感温抵抗体を形成する感温抵抗体形成工程を含むことを特徴としている。
前記薄膜センサの製造方法は、前記感温抵抗体形成工程の後、さらに、前記基板と該基板上に形成された前記感温抵抗体とを熱処理する工程を含んでいてもよい。
本発明によれば、複雑な製造工程を経ることなく、基板と白金製感温抵抗体との密着性に優れ、感温抵抗体の抵抗温度係数が大きい薄膜センサ、該薄膜センサを有する薄膜センサモジュール、および該薄膜センサの製造方法が提供される。
本発明の薄膜センサ(薄膜チップ)の模式断面図である。 本発明の薄膜センサ(薄膜チップ)の一態様の概略図である。 本発明の薄膜センサモジュールを例示した概略図である。 本発明の薄膜センサモジュールを例示した概略断面図であって、(A)は、平面縦断面図であり、(B)は、側方縦断面図である。
符号の説明
10 薄膜センサ(薄膜チップ)
11 基板
12 感温抵抗体(Pt膜)
13 保護膜
14 ボンディングパッド
20 薄膜センサモジュール
22 ハウジング
24 フィンプレート
26 出力端子
32 ボンディングワイヤ
34 第1大径部
36 第2大径部
38 切欠部
以下、本発明について図面を参照しながらさらに具体的に説明する。
なお、本発明においては、基板から感温抵抗体に向かう方向を、便宜上「上」と称することがある。
<薄膜センサ>
図1は、本発明の薄膜センサ(薄膜チップ)の模式断面図であり、図2は、本発明の薄膜センサ(薄膜チップ)の一態様の概略図である。
本発明の薄膜センサ10は、酸化アルミニウム類の単結晶からなる基板11と、該基板に積層された、白金結晶からなる感温抵抗体(以下「Pt膜」ともいう。)12とを有する。したがって本発明の薄膜センサにおいては、白金中にチタン等が拡散することがないため感温抵抗体12の抵抗温度係数が大きく、また基板11に対する感温抵抗体12の密着力も強い。
前記酸化アルミニウム類としては、α−Al23、γ−Al23が挙げられ、これらには、本発明の効果が損なわれない範囲で不純物(鉄、クロムなどの遷移金属等)が含まれていてもよい。これらの中でも、Pt膜12との密着力および熱的安定性が特に優れる点でα−Al23が好ましい。
さらに、Pt膜を感温抵抗体として機能させるためには、Pt膜を構成するPt結晶の(111)面がPt膜の面垂直方向に配向していることが望ましく、α−Al23単結晶のC面((0001)面)を基板11の平面として用いると、このような配向のPt膜を形成することができ、また、基板とPt膜との密着力も極めて強い。これは、α−Al23単結晶のC面((0001)面)の格子定数と、白金結晶の(111)面の格子定数との面内不整合率(in-plane lattice mismatch)が僅か0.9%であるためである。
引張り応力を有する薄膜は剥離しやすいことが、一般的に知られている。したがって、本発明においても、α−Al23単結晶(サファイア)等の酸化アルミニウム類の単結晶からなる基板に積層された感温抵抗体(Pt膜)の膜応力は、引張り応力ではなく、圧縮応力であることが望ましい。後述する実施例に示すように、α−Al23単結晶のC面((0001)面)を基板11の平面として用いると、Pt膜を構成するPt結晶の(111)面がPt膜の面垂直方向に配向し、かつPt膜の膜応力が圧縮応力である薄膜センサを製造することができる。
基板11の形状は、種々の形状とすることができ、例えば、図2に示すように矩形であってもよく、楕円形、円形であってもよい。また基板11のサイズは特に限定されないが、円形の基板11を使用する場合を例に挙げれば、その直径はたとえば25〜300mm程度であり、その厚さはたとえば0.05〜2.0mm程度である。
Pt膜12は、好ましくは粒径が0.2μm以上の結晶から構成され、さらに好ましくはPt膜全体が1つの単結晶から構成される。なお、この「結晶粒径」の値は、後述する実施例の欄に記載の方法により求められる値である。前記結晶粒径は、たとえばPt成膜時の基板温度を上げる、薄膜センサに対してアニーリングを行う、などの方法により大きくすることができる。
前記感温抵抗体12の表面粗さRa(算術平均粗さ)は、好ましくは50nm以下、さらに好ましくは25nm以下、特に好ましくは5nm以下であり、その下限値は、特に制限はされないが、0.01nm程度である。
また、前記感温抵抗体12の表面粗さRz(十点平均粗さ)は、好ましくは200nm以下、さらに好ましくは50nm以下、特に好ましくは20nm以下であり、その下限値は、特に制限はされないが、1nm程度である。
表面粗さは、たとえば薄膜センサに対してアニーリングを行うことにより小さくすることができ、たとえば成膜時の電力を高めることにより大きくすることができる。
このように前記感温抵抗体12の表面粗さが小さいと、感温抵抗体のパターン精度および感温抵抗体上に形成される膜のカバレージの点で好ましい。
感温抵抗体(Pt膜)12は、所望の膜厚や、所望のパターンに成形されればよく、膜厚は、たとえば0.1〜1μm程度である。
前記感温抵抗体の抵抗温度係数は、熱処理(アニーリング)を経ていなくても通常3,300ppm/K以上、さらに好ましくは3,700ppm/K以上であり、その上限値は3,900ppm/K程度である。この抵抗温度係数は、たとえば薄膜センサに熱処理(アニーリング)を行うことで高めることができる。
本発明においては、Pt膜12の面垂直方向(ND方向)から10°以内に配向している結晶(すなわち、前記Pt膜を構成する結晶)粒が(111)面を示す割合(以下、この割合を「配向性」という。)が99%以上であることが好ましい。なお、この「配向性」の値は、後述する実施例の欄に記載の方法により求められる値である。
なお、本発明において、結晶の配向性の評価は、EBSD(後方散乱電子回折パターン;Electron Backscatter Diffraction Pattern)法を用いて行った。無機材料の結晶配構成の評価としては、X線回折装置(XRD)が一般的に用いられているが、この装置では、結晶構造全体の平均的な情報しか得ることが出来ず、結晶構造を構成する個々の結晶粒の存在形態を評価することは出来ない。一方、個々の結晶粒の配向を評価するには、従来、透過型電子顕微鏡(TEM)が一般的に用いられているが、結晶構造に含まれる結晶粒について統計的な評価を行うことは、現実的に不可能である。
一方、EBSD評価装置を用いれば、個々の結晶粒の存在形態に係る評価を迅速に行うことができ、結晶粒径や粒度分布、結晶の配向性や歪計算などの評価が可能である。
本発明の薄膜センサには、物理的な損傷を防ぐことを目的として、保護膜13が設けられていてもよい。保護膜13の材料としては、この目的を達成し得る材料であれば特に制約はなく、例えば、樹脂やガラス等が挙げられる。また、保護膜13の膜厚は、約1μm程度であってもよい。
本発明の薄膜センサは、電気的に接続されたボンディングパッド14を有してもよい。ボンディングパッド14の材料としては、良好な導電性を有するものであれば特に制約はなく、例えば、金(Au)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。また、ボンディングパッド14は、適用される形態に応じて種々の形状であってもよく、たとえば、縦横0.2×0.15mm、厚み0.1μm程度の形状であってもよい。
本発明の薄膜センサは、流量など、抵抗値に影響を与える指標を測定する装置に用いることが可能である。より具体的には、前記薄膜センサを有する本発明の薄膜センサは、Pt膜の抵抗値に影響を与える指標を測定する装置に用いることが可能であって、その例としては、温度センサ、流量センサ、比熱センサ、熱伝導性センサ、濃度センサ、液種識別センサ、歪センサ、応力センサ、湿度センサ等が挙げられる。
<薄膜センサの製造方法>
本発明の薄膜センサは、酸化アルミニウム類の単結晶からなる基板11の上に、白金結晶からなる感温抵抗体(Pt膜)12を形成することにより製造できる。
感温抵抗体を形成するための手段としては、スパッタリングなどの成膜手段が挙げられる。
スパッタリングの際の導入ガスとしては、酸化アルミニウム類および白金に対して不活性なガス、たとえばアルゴンが用いられる。このガスの純度は高いことが望ましく、たとえば99.9999%以上であることが望ましい。
Pt膜12は、たとえば以下のような条件で基板11表面に成膜することができる。
成膜手段:スパッタリング法
装置:マグネトロンスパッタリング装置
到達真空度:6.0×10-5Pa以下
成膜圧力:0.01〜1.0Pa
ガス流量:10〜180SCCM
成膜電力:10〜1,400W
基板温度:室温〜1000℃。
本発明の薄膜センサは、上述したように抵抗温度係数が通常3,300ppm/K以上と高いが、熱処理(アニーリング)を行うと、さらにこの抵抗温度係数を高めることができる。従来の薄膜センサに対してアニーリングを行うと、抵抗温度係数が高くなる一方で感温抵抗体の表面粗さが増大してしまったが、本発明の薄膜センサに対してアニーリングを行うと、感温抵抗体の表面粗さはむしろ減少する。この理由としては、基板11と感温抵抗体(Pt膜)12との間に、特許文献1,2に記載されているようなチタン層が設けられていないことが考えられる。
アニール温度は、好ましくは600℃〜1100℃、さらに好ましくは900℃〜1000℃であり、アニール時間は、好ましくは4〜8時間である。このような条件でアニーリングを行うと、薄膜センサの抵抗温度係数を高め、しかも感温抵抗体の表面粗さを減少させることができる。
またこのアニーリングの際の雰囲気としては、たとえば、空気雰囲気、不活性ガス雰囲気等が挙げられる。
Pt膜は、エッチング等の手段により、種々のパターンに成形されてもよい。例えば、エッチング法などにより、Pt膜を、幅が例えば5〜25μmで、全長が例えば4〜23cmの蛇行パターン形状に加工してもよい。
<薄膜センサモジュール>
次に、本発明の薄膜センサモジュールについて説明する。本発明の薄膜センサモジュールは、測定対象となる物体や流体と熱的に接続される部材と、この部材と熱的に接続された上述の薄膜センサと、この薄膜センサと電気的に接続された部材とを有する。この構成を図3及び図4に例示する。
図3は、本発明の薄膜センサモジュールを例示した概略図であり、図4は、本発明の薄膜センサモジュールを例示した概略断面図であって、(a)は、平面縦断面図であり、(b)は、側方縦断面図である。本発明の薄膜センサモジュール20は、ハウジング22の内部に、フィンプレート24と出力端子26とが固着された薄膜センサ10を有する。
ハウジング22の材料としては、熱伝導性の低い材料であれば種々の材料を使用し得る。また、測定対象である物体や流体等に応じて、耐薬品性や耐油性を付与された材料も使用し得る。これらの特性を有する例としては、例えば、エポキシ樹脂やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等が挙げられる。また、薄膜センサモジュールの形状は、薄膜センサモジュールを適用する態様に応じて、種々の形態とすればよい。例えば、ハウジング22は、図3及び図4(B)のように、出力端子26が突出する第1大径部34と、第1大径部34と間隔を置いて下方に位置する第2大径部36とを有し、第1大径部34と第2大径部36との間には、断熱用の空隙を形成するための切欠部38を有していてもよい。なお、ハウジング22は、この形態に限定されるものではない。
フィンプレート24は、熱伝導性の良好な材料からなれば特に制約はなく、例えば、銅、アルミニウム、タングステン、ジュラルミン、銅−タングステン合金等からなる。また、フィンプレート24は、薄膜センサモジュールの適用に応じて、適宜種々の形状とすればよく、例えば、厚さ200μm程度の薄板であってもよい。なお、フィンプレート24と薄膜センサ10との固着用の材料としては、熱導電性を有する材料であればいかなる材料をも用いることができ、例えば、銀ペーストが挙げられる。
出力端子26は、導電性を有する材料からなるものであれば特に制約はなく、この材料としては、銅、アルミニウム等が挙げられる。出力端子26は、ボンディングワイヤ32を介して薄膜センサ10と電気的に接続される。出力端子26の形状は、図3では、樹脂ハウジング2の外部に、直線状に一列に並置されて突出し、かつ、前記直線状の列の一端から他端に向かって、樹脂ハウジング22からの突出長さが漸増(漸減)しているように示されるが、適用される形態に応じて種々の形状に成形されたものであればよい。なお、図3の形状を有することにより、薄膜センサモジュール20を上から押えるセンサ押圧板や、出力端子26と接続されて回路を形成する流量検出回路基板の装着を、容易に行なうことができる。また、これらセンサ押圧板や流量検出回路基板の装着の際に薄膜センサモジュール20を痛めるおそれも小さくなる。
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、係る実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
基板として、C面((0001)面)を平面とする市販のα−Al23単結晶基板(直径100mm、厚さ0.7mm)を用い、このC面((0001)面)上に、白金(純度99.9%)をターゲットとして、以下の条件でスパッタリングを行い、膜厚400nmのPt膜を形成させた。
装置:マグネトロンスパッタリング装置
到達真空度:2.0×10-5Pa未満
成膜圧力:0.06Pa
ガス流量:20SCCM[精製Arガス]
成膜電力:50W(DC)
基板温度:400℃。
なおアルゴンガスとしては、アルゴンガスを精製して得られた、標準状態でアルゴン純度99.9999%以上、酸素分圧0.1ppm未満の精製アルゴンガスを使用した。
このようにして製造された薄膜センサ1について、下述の抵抗温度係数(TCR)、結晶粒径、配向性、Ra、Rzおよび密着性の測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
上記の薄膜センサ1を、空気雰囲気下で、900℃で4時間、熱処理し、薄膜センサ2を得た。この薄膜センサ2について、下述の抵抗温度係数(TCR)、結晶粒径、配向性、Ra、Rzおよび密着性の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
焼結アルミナ基板(寸法:直径100mmの円盤、厚み:385μm)上に、金属チタン(純度99.99%)をターゲットとして、以下の条件でスパッタリングを行い、膜厚30nmのチタン層を形成させた。
装置:マグネトロンスパッタリング装置
到達真空度:6.0×10-5Pa未満
成膜圧力:0.86Pa
ガス流量:180SCCM[Ar:O2=10:0(標準状態での体積比)]
成膜電力:1,000W(DC)
基板温度:250℃。
次に、このようにして形成されたチタン層上に、白金(純度99.9%)をターゲットとして、以下の条件でスパッタリングを行い、膜厚400nmの感温抵抗体を形成させた。
装置:マグネトロンスパッタリング装置
到達真空度:6.0×10-5Pa未満
成膜圧力:0.18Pa
ガス流量:10SCCM[Ar:O2=9:1(標準状態での体積比)]
成膜電力:500W(RF)
基板温度:250℃。
このようにして製造された薄膜センサ3について、下述の抵抗温度係数(TCR)、結晶粒径、配向性、Ra、Rzおよび密着性の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
上記の薄膜センサ3を、空気雰囲気下で、1000℃で4時間、熱処理し、薄膜センサ4を得た。この薄膜センサ4について、下述の抵抗温度係数(TCR)、結晶粒径、配向性、Ra、Rzおよび密着性の測定を行った。結果を表1に示す。
<結晶粒径>
各薄膜センサの縦断面を研磨及び集束イオンビーム(FIB)を用いて平滑にした。この平滑にされた縦断面について、EBSD評価装置(OIM Analysis、株式会社TSLソリューションズ製)を搭載したFE銃型の走査型電子顕微鏡(SUPRA 55VP、カールツァイス株式会社製)および付属のEBSD解析装置を用いて、EBSD法に準じて、Pt膜の結晶状態のパターンの画像データを得た。この画像データについて、EBSD解析プログラム(OIM Analysis、株式会社TSLソリューションズ製)の分析メニュー「Grain Size」を選択し、結晶回転角が5°以上の結晶粒を観察し、結晶粒径(μm)を算出した。なお、結晶粒径については、双晶粒界を示すΣ3粒界を粒内欠陥と考慮して算出した。
<抵抗温度係数(TCR)の測定>
各薄膜センサについて、比電気抵抗ρ−T特性の測定から、感温抵抗体の抵抗温度係数TCRを測定した。
なお、本発明において、抵抗温度係数とは、以下の(式1)で示される値を言う。
(式1):α=(1/R)×(dR/dT)×106
α:抵抗温度係数(ppm/℃)
T:任意の絶対温度(K)
R:T(K)におけるゼロ負荷抵抗値(Ω)。
<配向性>
各薄膜センサの縦断面を、研磨及び集束イオンビーム(FIB)を用いて平滑にした。EBSD評価装置(OIM Analysis、株式会社TSLソリューションズ製)を搭載したFE銃型の走査型電子顕微鏡(SUPRA 55VP、カールツァイス株式会社製)および付属のEBSD解析装置を用いて、この平滑にされた縦断面について、EBSD法に準じて、Pt膜の結晶状態のパターンの画像データを得た。この画像データを、EBSD解析プログラム(OIM Analysis、株式会社TSLソリューションズ製)の分析メニュー「Crystal Direction」を選択し、薄膜センサの「ND方向」と、Pt膜の白金結晶の(111)面方位とのずれが10°以内にある結晶粒の全結晶粒に対する割合を算出する条件で解析し、この割合を、「配向性」とした。なお、粒回転角が5°以上にあるものを結晶粒界とし、5°以内である集合体をひとつの結晶粒として認定した。
<表面粗さRa及びRzの測定>
各薄膜センサの感温抵抗体の表面を、光干渉式三次元構造解析顕微鏡(New View5032、Zygo社製)にて測定した。測定には、白色光を用いて100倍ミラウレンズを使用し、54×72μmの範囲を測定した。このようにして得た三次元測定面から、表面粗さRa及びRzを得た。
<密着性>
各薄膜センサについて、以下のワイヤープルテスト方法により、基板とPt膜との密着性を評価した。
*ワイヤープルテスト方法
薄膜チップ(薄膜センサ)の金電極パッド(14)上に、金線(25μmφ)を接合(ボンディング)させた。その後、室温にて、薄膜チップの垂直方向に10g重程度の力で金線を引っ張った。評価基準は以下のとおりである。
AA・・・金電極パッドおよびPt膜は金線から剥離せず、金線が破断した。
CC・・・金電極パッドおよびPt膜は金線から剥離した。
Figure 2008143011
[実施例3]
基板として、C面((0001)面)を平面とする市販のα−Al23単結晶基板(直径100mm、厚さ0.70mm)を用い、このC面((0001)面)上に、白金(純度99.9%)をターゲットとして、以下の条件でスパッタリングを行い、膜厚400nmのPt膜を形成させた。
装置:マグネトロンスパッタリング装置
到達真空度:2.0×10-5Pa未満
成膜圧力:0.2Pa
ガス流量:120SCCM[精製Arガス]
ターゲットと基板との距離:210mm
成膜電力:230W(DC)
基板温度:500℃
なおアルゴンガスとしては、アルゴンガスを精製して得られた、標準状態でアルゴン純度99.9999%以上、酸素分圧0.1ppm未満の精製アルゴンガスを使用した。
このようにして製造された薄膜センサCについて、上述のRaおよびRzの測定、ならびに下述のようにPt膜の配向面および膜応力の測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例4]
基板として、A面((11−20)面)を平面とする市販のα−Al23単結晶基板(直径100mm、厚さ0.70mm)を用い、このA面((11−20)面)上に、白金(純度99.9%)をターゲットとして、実施例3と同様の条件でスパッタリングを行い、膜厚400nmのPt膜を形成することにより、薄膜センサAを製造した。この薄膜センサAについて、実施例3と同様の測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
基板として、R面((1−102)面)を平面とする市販のα−Al23単結晶基板(直径100mm、厚さ0.70mm)を用い、このR面((1−102)面)上に、白金(純度99.9%)をターゲットとして、実施例3と同様の条件でスパッタリングを行い、膜厚400nmのPt膜を形成することにより、薄膜センサRを製造した。この薄膜センサRについて、実施例3と同様の測定を行った。結果を表2に示す。
<配向面>
X線回折装置(スペクトリス(株)パナリティカル事業部製 X’Pert PRO MPD)を使用してX線回折分析を行い、Pt膜の配向面を確認した。
<膜応力>
X線回折装置(スペクトリス(株)パナリティカル事業部製 X’Pert PRO MPD)を使用して、残留応力測定法により、Pt膜の膜応力を測定した。
Figure 2008143011

Claims (10)

  1. 酸化アルミニウム類の単結晶からなる基板と、該基板に積層された、白金結晶からなる感温抵抗体とを有することを特徴とする薄膜センサ。
  2. 前記酸化アルミニウム類の単結晶が、α−Al23単結晶であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜センサ。
  3. 前記α−Al23単結晶のC面上に前記感温抵抗体が積層されていることを特徴とする請求項2に記載の薄膜センサ。
  4. 前記前記感温抵抗体の表面粗さRa(算術平均粗さ)が、50nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜センサ。
  5. 前記前記感温抵抗体の表面粗さRz(十点平均粗さ)が、200nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜センサ。
  6. 前記前記感温抵抗体の抵抗温度係数が3,300ppm/K以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜センサ。
  7. 温度センサ、流量センサ、比熱センサ、熱伝導性センサ、濃度センサ、液種識別センサ、歪センサ、応力センサおよび湿度センサからなる群から選択されるセンサであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜センサ。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜センサを有することを特徴とする薄膜センサモジュール。
  9. 酸化アルミニウム類の単結晶からなる基板の表面に、白金結晶からなる感温抵抗体を形成する感温抵抗体形成工程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜センサの製造方法。
  10. 前記感温抵抗体形成工程の後、さらに、前記基板と該基板上に形成された前記感温抵抗体とを熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の薄膜センサの製造方法。
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