JPWO2008142729A1 - 価格の見積もりを支援するためのプログラム、装置、および方法 - Google Patents

価格の見積もりを支援するためのプログラム、装置、および方法 Download PDF

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Abstract

本発明によるプログラムは、設計された部品の価格の見積もりをコンピュータに支援させる。該プログラムは、部品の属性値を含む部品設計情報を設計情報格納手段から読み出すステップと、部品の価格の見積もりに必要な項目を一つ以上含むテンプレートをテンプレート格納手段から読み出すステップと、表示手段に部品と属性値を含む図およびテンプレートを表示するステップと、図中の属性値と、項目のうちの一つである第一の項目とを対応づける指示を入力手段から受け取るステップと、属性値を部品設計情報から読み取り、読み取った属性値に基づいて、第一の項目の値を設定するステップと、設定された第一の項目の値に基づいて部品の前記価格を算出するステップと、をコンピュータに実行させる。

Description

本発明は、設計された部品の価格の見積もりを支援する技術に関する。
製品として社会に流通している各種の装置は、一般的に、企画・開発・設計・製造という段階を経て製造される。また、企画段階で装置の製造目標価格を決めてから開発段階に移ることが一般的である。一方で、製品の製造原価は、正式には設計図面が完成した後で査定される。その査定は、実際の製造を開始した後に、設計者以外のコスト査定の専任者によってなされるのが一般的である。
査定で得られた査定価格が製造目標価格よりも高額の場合、価格の再検討などの作業が必要となる。しかし、価格の再検討が必要だと判明した時点で既に最初の企画段階からはかなり時間が経ってしまっている。
一般には、最終的に価格が査定される前の設計段階でも、製造原価は見積もられている。しかし、その見積もりは正式な査定ではなく、概算である。また、概算の精度が悪く、概算した見積価格が、正式な査定価格と乖離してしまうことがある。例えば、製造する製品が複数の部品からなる装置の場合、個々の部品の価格の誤差が累積されて、製品全体の見積価格が正式な査定価格と大きく乖離することがある。このように概算した見積価格に大きな誤差が含まれていると、設計者は製造目標価格に近い価格で設計したつもりでも、実際には査定価格が製造目標価格を大きく上回ってしまうことがある。
ところが、上記のとおり、価格の再検討を行おうとしても、正式の査定価格が算出された時点では、企画段階から既にかなりの時間がかかっているため、出荷の日程が決められている製品などでは、価格の再検討や再設計などを行う時間的な余裕がない場合が多い。つまり、出荷工程の日程を守ることを優先すると、査定価格を企画・開発・設計段階にフィードバックして、より低コストの設計に変更するのが困難なことが多い。その結果、査定価格が製造目標価格を上回ってしまった場合の現実的な対策は、製造工程や出荷工程などの後段の工程においてコストダウンを図ることが主となる。当然、そのような対策には限度がある。そのため、最終的に製造目標価格を達成することができない、つまり、製造目標価格よりも高い製造原価となってしまう、という事態が多発している。
そこで、設計段階でより正確な製品製造原価の見積もりができるようにすることが望まれている。設計段階での正確な見積もりが可能となれば、正式に価格が査定される前に価格に関する制約を設計にフィードバックし、必要に応じて設計を変更することが可能となる。その結果、製造原価を製造目標価格以下に抑えられる場合も増え、そのような製造原価を実現する設計がより短期間で可能となると期待される。
近年では、多くの製品がCAD(Computer Aided Design;コンピュータ支援設計)システムにより設計されている。そこで、CADシステムにより作成されたCADデータを利用して、設計段階で製造原価の見積もりを行うことが試みられている。特許文献1から特許文献3はそのような試みの例である。
特許文献1の設計支援装置は、「基準板生成」などの設計操作と、その設計操作に応じた加工を行うのに必要なコストのデータとを対応づけて記憶しており、設計操作が行なわれるたびに、設計操作ごとのコストの見積の総和を算出する。
この設計支援装置により、設計の進行にともなって頻繁にコストが見積もられるので、コストの目標値にあわせて設計を修正することが容易となる。しかし、設計のための操作と実際の加工とが必ずしも対応するとは限らない。例えば、CADシステム上では複数の形状を結合させる操作によって製品の形状が設計され、実際にはその製品がモールド加工により一体成形されるかもしれない。
特許文献2の見積業務支援システムは、CADシステムで作成した図面データから、電気素子の回路記号などのシンボルデータを抽出し、シンボルデータに対応する単価などのデータを検索し、検索結果と見積条件とに基づいて見積原票を作成する。
この見積業務支援システムにより、見積業務と設計業務が連携される。しかし、新規に設計する部品を含む製品の設計と見積においては、その新規の部品の単価自体を見積もる必要がある。当然ながら、その新規の部品の単価などのデータはデータベースに登録されていないので、見積原票のうち新規の部品に対応する部分は空白となる。
特許文献3の自動見積装置は、データベースから購入コストデータと加工コストデータを取得し、製品の設計図面に含まれる、部材の質量や寸法などの物理量データと加工種別データに基づいて、製品の製作コストを算出する。
この自動見積装置により、部材の物理量データと加工種別データに応じて変化する製造コストが自動的に算出される。しかし、CADシステムを使った設計業務と見積業務との連携においては、手作業で入力すべき因子を完全に排除することは難しい。そのような手作業で入力すべき因子も含めて、効率的に設計業務と見積業務を連携する方法が求められている。
特開平8‐161378号公報 特開平11‐213043号公報 特開2003‐196344号公報
本発明の目的は、加工工程や価格の見積業務についての設計者の知識量によらず、どの設計者でも簡単に、部品を設計しながら当該部品の価格を精度よく見積もることができるように支援することである。
本発明によるプログラムは、設計された部品の価格の見積もりをコンピュータに支援させるプログラムである。該プログラムは、前記部品の属性値を含む部品設計情報を設計情報格納手段から読み出すステップと、前記部品の前記価格の見積もりに必要な項目を一つ以上含むテンプレートをテンプレート格納手段から読み出すステップと、表示手段に前記部品と前記属性値を含む図および前記テンプレートを表示するステップと、前記図中の前記属性値と、前記項目のうちの一つである第一の項目とを対応づける指示を入力手段から受け取るステップと、前記属性値を前記部品設計情報から読み取り、読み取った該属性値に基づいて、前記第一の項目の値を設定するステップと、設定された前記第一の項目の前記値に基づいて前記部品の前記価格を算出するステップと、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
上記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記憶媒体に記憶されていてもよい。また、本発明は、上記プログラムにしたがって動作する情報処理装置、および設計された部品の価格の見積もりを上記プログラムにしたがってコンピュータが支援する方法も提供する。
本発明によれば、価格の見積もりに必要な項目はテンプレートに含まれている。よって、設計者が、表示手段に表示された部品と属性値を含む図を見ながら、入力手段を介して属性値とテンプレートの項目の対応づけを指示するだけで、部品の価格が自動的に算出される。
テンプレートがあるため、加工工程や価格の見積業務についての知識が貧弱な設計者であっても、本発明による支援を受けることで精度よく価格を見積もることができる。また、対応づけの指示は、設計図面を見ながら行うことができる操作であって、直感的に理解しやすい簡単な操作である。したがって、本発明によれば、再設計が必要な場合は設計段階で設計者が気づくことができ、製造原価を製造目標価格以下に抑える設計が、従来よりも短い時間で実現される。
本発明の一実施形態における表示画面の例である。 設計部品と購買部品を含む製品の価格の見積もりを支援するシステムにおけるデータベースとコンピュータの接続関係の例を示す図である。 設計部品と購買部品を含む製品の価格の見積もりを支援するシステムの構成例を示す機能的なブロック図である。 製品ツリーの例を表す図である。 本発明の一実施形態による価格の見積もりの支援を含む、設計段階の処理の流れを示すフローチャートである。 購買データベースの例を示す図である。 モールド加工によって製造されるべき設計部品に対応するテンプレートの例である。 プレス加工によって製造されるべき設計部品に対応するテンプレートの例である。 切削加工によって製造されるべき設計部品に対応するテンプレートの例である。 購買部品の価格の見積もりを変形した実施形態を説明する図である。 企画価格と算出価格を比較するために表示される製品リストの例である。 製品リストに関する処理の流れを説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、設計された部品の価格の見積もりの支援方法の概要を、図1の例を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態において、コンピュータが備えるCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやLCD(Liquid Crystal Display)などの表示部に表示される表示画面の例である。この実施形態における前提は、コンピュータが備えるCAD設計機能を利用して設計者が部品101を設計しており、部品101の各部分の長さなどの属性値を含む部品101の設計情報がCADデータとしてメモリあるいはハードディスクなどの格納部に格納されている、ということである。
図1の例では、部品101の設計図面と、部品101の価格の見積もりに必要な項目を含むテンプレート104が画面に表示されている。部品101の設計図面は、部品101そのものと、部品101の幅102および高さ103を含む図である。
幅102と高さ103は部品101の属性を表す属性値の一例である。図1では、幅102が「w」と表され、高さ103が「h」と表されているが、「w」や「h」の部分には、実際には数値が表示される。つまり、この「w」や「h」という値が属性値としてCADデータに含まれており、設計図面はCADデータにしたがって画面に表示される。
図1の実施形態では、部品を製造するのに必要な加工の種別によって部品の種別が規定されており、部品の種別に応じてテンプレート104の項目が定められている。例えば、モールド加工で製造すべき部品には、モールド加工に対応して定められた項目を含むテンプレートが使われ、プレス加工で製造すべき部品には、プレス加工に対応して定められた項目を含むテンプレートが使われる。また、各テンプレートに対しては、項目の表示順などを定めた書式も定義されている。部品101はプレス加工により製造される部品の例なので、テンプレート104はプレス加工に対応して定められた項目を含む。
テンプレート104は、「図番」と「品名」という部品101を識別するための項目と、「材質」、「厚み」、「縦」、および「横」という部品101の物理的特性を表す項目と、「ブランク」、「ピアス」、「面押し」、「ベント」、「セパレート」、「皿もみ」、「脱脂」、および「タップ」という部品101の加工に関する項目とを含む。部品101を製造するためのプレス加工の工程は、より細かい複数の工程からなり、それら複数の工程が「ブランク」から「タップ」の各項目に対応する。
また、テンプレート104には、見積もった価格を設定し、表示すべき「原価」なる項目も含まれる。なお、以下では特に断らない限り、見積もる対象の価格は製造原価であり、製造原価は、コストに利益等を上乗せしない価格、すなわち原材料費や加工費等の直接費用と管理費等の間接費用からなる価格である。しかし、利益等を上乗せした後のコストを、見積もる対象としてもよいことは明らかである。
図1は、「材質」、「厚み」、「縦」、および「横」の項目の値に応じて、部品101の製造にかかるコストが変化する場合の例である。つまり、部品101の価格を見積もるには、材質、厚み、縦、および横の値が必要である。図1の例では、このうち材質と厚みは一定であると仮定している。すなわち、図1の例では、1種類の素材からプレス加工により製造すべき部品として部品101が設計されるとともに、厚みが部品101全体で均一となるように部品101が設計されている、と仮定している。そのため、部品101に対して、材質と厚みはそれぞれ一意に値が定まる。よって、コンピュータは、材質と厚みの値を部品101のCADデータから自動的に読み出し、読み出した値をそれぞれの項目に設定して、材質と厚みの項目に値が設定された状態のテンプレート104を画面に表示する。
なお、算出した部品101の価格の管理等に利用するため、テンプレート104は「図番」と「品名」という項目を含むが、この二つの項目も、部品101のCADデータから一意に値が特定されるので、部品101のCADデータから自動的に値が読み出されて、画面に表示される。
一方、テンプレート104のうち「縦」と「横」の項目は、最初は値が設定されておらず、空欄の状態で表示される。そこで、設計者は、幅102が「横」という項目に対応し、高さ103が「縦」という項目に対応するという対応づけを指示する。
対応づけの指示は、例えばマウスを使ったドラッグアンドドロップ操作によって行われる。つまり、設計者は、幅102の「w」なる値が書かれた部分にマウスポインタを合わせてマウスボタンを押し、そのままテンプレート104の「横」という項目の位置までドラッグして、そこでマウスボタンを離すことにより、幅102と「横」という項目の対応づけを指示する。図1中の矢印は、ドラッグ操作によるマウスポインタの軌跡を表している。
このようにして設計者が幅102と「横」という項目との対応づけを指示すると、コンピュータは、幅102の「w」という値を「横」という項目に展開する。すなわち、コンピュータは、幅102の「w」という値を部品101のCADデータから読み出し、読み出した値を「横」という項目に設定して画面に表示する。
高さ103と「縦」という項目の対応づけも同様の操作により設計者が指示し、「縦」の項目には「h」という値が展開される。それにより、部品101の価格の算出に必要な材質、厚み、縦、および横の値が定まった状態となる。よって、コンピュータは、テンプレート104に対応して予め決められている算出方法で、材質、厚み、縦、および横の値にしたがって、部品101の価格を算出し、算出した価格を「原価」という項目に設定して画面に表示する。
上記のとおり、テンプレート104は、「ブランク」から「タップ」の各項目に対応する工程からなるプレス加工に対応する。部品101の価格は、材料費と加工費を含む。そのうちの加工費は、「ブランク」から「タップ」の各項目の値に基づいて算出される。「ブランク」から「タップ」の各項目の値は、その項目に対応する工程の加工費である。これらの項目の値は、予め決められた定数でもよく、材質、厚み、縦、あるいは横の項目の値と、予め決められた定数とから計算される値でもよい。
以上のように、設計者に要求されているのは、対応づけの指示操作のみであり、見積業務や加工工程に関する詳細な知識等は要求されていない。また、その指示操作も、設計図面を見ながら行うことができるので直感的に理解しやすく、簡単な操作である。よって、設計者の知識量によらず、どの設計者でも簡単に、かつ同じ精度で部品101の製造原価を見積もることが可能である。よって、どの設計者でも、設計段階において部品101の設計図面を見ながら、テンプレート104の「原価」という項目に表示された価格を見て、自分の行った設計が製造目標価格に適合するか否かを判断することができる。したがって、設計者が設計段階において必要に応じて設計を修正することが可能となる。
また、本実施形態を従来のCADシステムと組み合わせることにより、CADシステムの画面として図1のような画面を表示することが可能となる。したがって、設計者は、CADシステムを使って設計しながら、他のアプリケーションに切り替える必要もなく、テンプレート104を使って部品101の価格を見積もることが可能である。このように、設計と見積もりを同じ画面内で行うことができることは、操作性および作業効率の観点から好ましい。また、設計者は、ドラッグアンドドロップ操作などによって対応づけを指示するだけであり、属性値を入力する必要はないので、設計者の負担は小さい。
また、本実施形態によれば、設計段階で簡易な方法により従来よりも正確に価格を知ることが可能となるため、企画の見直しが必要な場合でも、従来よりも早い段階で企画部門に見直しの必要性をフィードバックすることが可能である。また、再設計が必要な場合でも、従来よりも早い段階で再設計を開始することが可能である。その結果、製造目標価格を大きく上回るコストがかかる設計のまま製造段階に進まざるをえない、などの事態を防ぐことも可能となる。また、より短い開発期間で製造目標価格を満たす製品を設計し、予定どおりの利益率を確保することも可能となる。
なお、設計者が属性値と項目の対応づけの指示を行うことには、次のような二つの利点もある。
第一の利点は、手作業で入力すべき因子があっても見積もりが可能な点である。例えば、人間が設計図面を見れば、部品101のどこの長さが「縦」に該当し、どこの長さが「横」に該当するのかということを容易に判断することができるのに、CADデータからはそのことを自動的に判別することができない場合がある。また、CADデータには含まれない情報が見積もりには必要であり、しかもその情報は利用可能な形態のデータになっていない場合もある。本実施形態では、人間からの指示を受け付け、その指示によって属性値と項目が対応づけられるため、これらの場合も、適切に価格を見積もることができる。
第二の利点は、設計者のスキルアップが可能な点である。上記のように、対応づけの指示は簡単な操作ではあるが、多少の知識は必要である。例えば、図1の例では、加工方法の種別に対応して複数の種別のテンプレートが存在しており、部品101はプレス加工で製造すべき部品である。よって、設計者はプレス加工に対応するテンプレート104を選択する必要がある。つまり、設計者は少なくとも、自分が設計している部品101はプレス加工により製造するのが適切であるということを知っている必要がある。
また、部品101がプレス加工により製造すべき部品であることを知っているが、プレス加工の詳細は知らない設計者も存在するかもしれない。そのような設計者は、図1の画面に表示されたテンプレート104を見て、プレス加工は「ブランク」等の工程から構成されるという新たな知識を得ることができる。あるいは、見積業務の詳細を知らない設計者もいるであろう。そのような設計者は、例えば後述する図7のテンプレートを見ることにより、「材料管理費比率」などの項目が価格の見積には必要だといった新たな知識を得ることができる。つまり、本実施形態を利用することにより、設計者は、加工工程や見積業務に関する知識を自然に吸収することができるので、本実施形態は設計者のスキル向上にも役立つ。
ところで、一つの部品だけではなく、複数の部品を含む製品を設計・製造することも一般的である。そこで、以下では主に、上記で説明した部品の価格の見積もりを支援する方法により、複数の部品を含む製品の価格の見積もりを支援する実施形態について説明する。また、複数の部品を含む製品には、図1の部品101のように設計して製造する部品と、購買して入手する部品という二種類の部品が利用されることが多い。以下ではこの二種類の部品をそれぞれ「設計部品」と「購買部品」と呼び、両者を含む製品に関する実施形態を主に説明する。なお、以下では、複数の部品を含む製品を単に「製品」と表すことがあり、「部品」と「製品」という語を区別して用いる。
図2と図3は、設計部品と購買部品を含む製品の価格の見積もりを支援するシステムの構成例を示す図である。図2はデータベースとコンピュータの接続関係の一例を示す図であり、図3はコンピュータが備える機能を機能ブロックにより示す図である。
図2において、CAD端末201は、CADデータベース203と設計部品見積テンプレートデータベース204と購買データベース205とに接続されており、購買端末202は購買データベース205に接続されている。
CAD端末201は、設計者が部品や製品を設計するためのコンピュータである。以下では、CAD端末201自体に組み込まれたプログラムによりCAD設計機能が設計者に提供されるという想定のもとで説明するが、不図示のサーバからクライアントとしてのCAD端末201を介してCAD設計機能が提供されるのでもよい。いずれにしろ、設計者はCAD端末201を介してCAD設計機能により部品や製品の設計を行うことができる。
CADデータベース203は、CAD設計機能で利用される、部品や製品の設計に関するデータを格納している。そのデータを以下では「CADデータ」と呼ぶ。CAD端末201は、CAD設計機能によって、CADデータベース203から既存のCADデータを読み出すこともでき、CADデータを作成あるいは更新してCADデータベース203に格納することもできる。
CADデータは、部品や製品の、品名や図番などの識別情報と、属性値とを含む。識別情報は、設計部品見積テンプレートデータベース204や購買データベース205の検索においても利用される。機械的な部品の属性値の例は、縦、横、高さなどの長さ、面積、体積、形状、材質などである。電気的な部品の属性値の例は、抵抗値、静電容量、インダクタンスなどである。図1において、部品101を含む設計図面はCADデータに基づいて描画されたものであり、設計図面中の幅102と高さ103の値はCADデータから読み出されて表示されたものである。
設計部品見積テンプレートデータベース204は、設計部品の価格の見積もりに関する各種のデータを格納している。すなわち、価格の見積もりに利用される、コストや利益率などを表す定数や、図1のテンプレート104のようなテンプレートや、図1で説明したようにしてテンプレートの各項目に設定された値や、設定された値から算出された価格などを、設計部品見積テンプレートデータベース204は格納している。
一般的には、部品あるいは製品の製造にかかるコストは製造者によって異なる。よって、コストを表す定数は、製造者ごとにそれぞれ定義され、それぞれ設計部品見積テンプレートデータベース204に格納されている。図2は、コストを表す定数のデータとして、「A社」および「B社」なる製造者に関してそれぞれ、工数、材料費、および加工費に関するデータが管理されている例を示している。当然、不図示のC社やD社に関するデータがさらに設計部品見積テンプレートデータベース204に格納されていてもよい。また、例えば、プレス加工に関してはA社とB社のみのデータが存在し、モールド加工に関してはA社とC社とD社のみのデータが存在するなど、加工方法によって異なる製造者のデータが設計部品見積テンプレートデータベース204に格納されていてもよい。
ただし、製造者が企画から製造まですべて自社で行う場合など、製造者が一つに限られる場合もある。その場合は、コストを表す定数を製造者別に管理しなくてもよい。また、上記のように見積もるべき価格には、利益の上乗せ分などを含んでもよいが、利益率や管理費に関する定数は、製造者とは関係なく一律に定義される定数であってもよい。
また、上記のようにテンプレートは部品の種別に応じて異なり、設計部品見積テンプレートデータベース204は複数の種別のテンプレートを格納している。
購買データベース205は購買部品の購買に関するデータを格納している。そのデータを以下では「購買データ」と呼ぶ。購買データの具体例は図6および図10とあわせて後述するが、価格などの情報が購買データに含まれる。購買データは、購買部門の端末コンピュータである購買端末202を介して、随時、作成および更新される。CAD端末201からは、購買部品の品名あるいは図番を検索キーとして、購買データベース205から最新の購買データを呼び出すことが可能である。
なお、図2では、CAD端末201の外部にCADデータベース203と設計部品見積テンプレートデータベース204があるように図示されているが、CAD端末201が備えるハードディスク等の記憶装置にこれらのデータベースの一方または双方が記憶されていてもよい。あるいは、CAD端末201と購買端末202が物理的に1台の同じコンピュータであり、図2の三つのデータベースすべてがそのコンピュータのハードディスクに記憶されていてもよい。また、これら三つのデータベースはいずれも、一つの記憶装置に記憶されていてもよく、複数の記憶装置に分散されて記憶されていてもよい。
図3は、設計部品と購買部品を含む製品の見積もりを支援するシステムの構成を、図2とは異なる観点、すなわち機能の観点から図示したものである。
図3には、設計部品や複数の部品を含む製品の価格の見積もりを支援する情報処理装置301と、情報処理装置301と設計者とのインターフェイスとしての入出力機器と、設計および価格の見積もりのために管理される各種データを格納したデータ格納部321と、他のシステムによってデータが管理される他のデータベース331とに分けて、システムの構成要素を示した。
図3の情報処理装置301は、図2のCAD端末201に相当する。情報処理装置301は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)、ROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)、RAM(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)、通信インターフェイス、およびハードディスクなどの記憶装置を備え、これらがバスで接続された、一般的なコンピュータである。図3において情報処理装置301の内部に示された各構成要素は機能的なブロックであり、CPUがプログラムを実行することにより実現される各種機能を表す。
なお、そのプログラムは予めROMまたはハードディスクに格納されていてもよく、ネットワークと通信インターフェイスを介して提供されてもよい。あるいは、本発明によるプログラムが、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、光磁気ディスクなどのコンピュータ読み取り可能な可搬型記憶媒体に格納され、その記憶媒体が記憶媒体の駆動装置にセットされ、プログラムがRAMにロードされてもよい。
また、情報処理装置301には出力機器であるCRTディスプレイ311と、入力機器であるキーボード/マウス312およびペン313が接続されている。なお、「キーボード/マウス」という表記は、キーボードとマウスの一方または両方を表す。CRTディスプレイ311は、図1に例示したような画面を表示する。設計者はその画面を見て、キーボード/マウス312あるいはペン313を使って、設計部品の属性値とテンプレートの項目を対応づける指示を入力する。CRTディスプレイ311のかわりにLCDを利用してもよく、出力機器としてさらにプリンタを利用してもよい。
データ格納部321は、例えば情報処理装置301と接続された外部ハードディスクなどの記憶装置である。あるいは、図3ではデータ格納部321が情報処理装置301の外部に図示されているが、例えば情報処理装置301が備えるハードディスクによりデータ格納部321を実現してもよい。図2では、格納するデータの内容に基づいて、CADデータベース203と設計部品見積テンプレートデータベース204を分けて示した。しかし、一つの記憶装置がこの二つのデータベースをともに格納していてもよい。図3は、そのような構成の例である。
データ格納部321には、CADデータベース203に対応するCADデータ322と、設計部品見積テンプレートデータベース204に対応するコスト定数データ323、テンプレート324、および算出価格325が格納されている。CADデータ322は部品や製品の識別情報および属性値を含むデータであり、コスト定数データ323は価格の見積もりに利用されるコストに関する定数のデータである。テンプレート324は、設計部品の種別に応じて定められた項目を含み、項目の表示順など書式の定義も含む。算出価格325は、テンプレート324に基づいて算出された部品あるいは製品の価格である。なお、図3では省略されているが、算出価格325の算出過程において利用された値、すなわちテンプレート324に設定された値もデータ格納部321に記憶されている。
コスト定数データ323は、テンプレート324に含まれる項目に関連づけられている。また、種類によっては、部品の材質あるいは製造者にさらに関連づけられたコスト定数データ323もある。
情報処理装置301は、データ格納部321のデータを読み書きすることができるだけではなく、通信インターフェイスおよび通信回線を介して接続された他のデータベース331も参照することができるように構成されている。他のデータベース331の具体例は、購買データベース205である。
以上のように入出力機器とデータベースに接続された情報処理装置301は、入出力インターフェイス部302、CAD設計部303、テンプレート呼び出し部304、算出部305、購買データ呼び出し部306、製品ツリー呼び出し部307、コスト定数呼び出し部308、および画面切替部309を備えている。
入出力インターフェイス部302は、情報処理装置301の処理結果をCRTディスプレイ311に表示させ、キーボード/マウス312やペン313からの入力を受け取るインターフェイス機能を実現する。
CAD設計部303は、CAD設計機能を実現する。設計者は、CAD設計機能を使って、例えば図1の部品101を設計することができる。CAD設計部303は、設計者の入力にしたがってCADデータ322を作成・更新してデータ格納部321に格納する。また、CAD設計部303は、CADデータ322をデータ格納部321から読み出し、それに基づいて、CRTディスプレイ311に、例えば幅102と高さ103の数値を含む部品101の設計図面を表示する。
テンプレート呼び出し部304は、設計部品および製品の価格の見積もりに関する中心的な役割を果たし、テンプレート324の呼び出しおよびテンプレート324中の各項目への値の設定を行う。テンプレート324中の各項目への値の設定は、値をデータ格納部321に格納することと、データ格納部321に格納された値をCRTディスプレイ311に表示することを含む。換言すれば、テンプレート呼び出し部304は、テンプレート324をデータ格納部321から呼び出し、テンプレート324の各項目に対応する値やそこから算出された算出価格325をデータ格納部321に格納し、それらの値をCRTディスプレイ311に表示している。
また、テンプレート324中の各項目へ設定すべき値は、テンプレート呼び出し部304が、CAD設計部303、算出部305、およびコスト定数呼び出し部308と協働することにより得られる。また、算出部305は設計部品に関して、価格や価格の算出に必要なその他の値を算出するだけでなく、製品全体の価格の算出も行う。製品全体の価格の算出には、製品ツリー呼び出し部307と購買データ呼び出し部306も関与する。
テンプレート324の呼び出しおよびテンプレート324中の各項目への値の設定をより詳細に説明すると、以下のとおりである。まず、テンプレート呼び出し部304は、データ格納部321から、価格を見積もる対象の設計部品の種別に対応するテンプレート324を読み出し、CRTディスプレイ311に表示する。データ格納部321には設計部品の種別に対応して複数の種別のテンプレート324が格納されているが、表示すべきテンプレート324の種別は、例えば、設計者によりキーボード/マウス312などを介して指定される。
そして、テンプレート呼び出し部304は、読み出したテンプレート324の各項目に値を設定する。それらの項目の中の一つは、見積もるべき価格である。項目によって、具体的な設定の方法が異なることは図1に関して説明したとおりである。
例えば、図1の「図番」なる項目に関して、テンプレート呼び出し部304は、CAD設計部303に、CADデータ322に含まれる図番の値をデータ格納部321から読み出させる。そして、テンプレート呼び出し部304は、CAD設計部303から図番の値を受け取り、受け取った値を図1のテンプレート104の「図番」の項目に設定する。
一方、図1の「縦」なる項目に関して、テンプレート呼び出し部304は、キーボード/マウス312あるいはペン313を介して設計者から与えられる指示にしたがって、設計対象部品の高さ103との対応づけを認識する。そして、その認識にしたがい、テンプレート呼び出し部304は、CAD設計部303に、CADデータ322に含まれる高さ103の値をデータ格納部321から読み出させる。そして、テンプレート呼び出し部304は、CAD設計部303から高さ103の値を受け取り、受け取った値を図1のテンプレート104の「縦」の項目に設定する。
また、図1の「ブランク」なる項目に関して、テンプレート呼び出し部304は、コスト定数呼び出し部308に、コスト定数データ323をデータ格納部321から読み出させ、読み出されたコスト定数データ323をコスト定数呼び出し部308から受け取る。「ブランク」という項目が、コスト定数データ323の値そのものを設定すべき項目として定められている場合、テンプレート呼び出し部304は、コスト定数データ323の値そのものを「ブランク」の値として設定する。あるいは、「ブランク」という項目が、コスト定数データ323の値と、他の項目の値とに基づく計算の結果を設定すべき項目として定められている場合、テンプレート呼び出し部304は、その計算を算出部305に行わせ、その計算の結果を算出部305から受け取って「ブランク」の項目に設定する。
算出部305は、既にテンプレート呼び出し部304により設定された各項目の値に基づいて、部品の価格を算出する。また、上記のとおり算出部305は、価格の算出に必要な他の項目の値の算出も行う。例えば、図1の例では、価格の算出に必要な「ブランク」などの項目が「他の項目」に相当する。例えば、算出部305は、テンプレート104に設定済みの「厚み」の値、および「ブランク」なる項目に対応する定数に基づいて、テンプレート104に対応して予め定められた方法によって「ブランク」なる項目の値を算出する。そして、算出部305は、「縦」や「横」の値のほかにも算出した「ブランク」などの項目の値を使って、部品101の価格を算出する。価格の算出に必要な他の項目の値の算出は、既にテンプレート呼び出し部304により設定された他の項目の値に基づいて行われる。算出された算出価格325はCRTディスプレイ311に表示されるので、設計者はCRTディスプレイ311を見て部品の価格を知ることができる。
また、算出部305は、価格を見積もる対象の製品が複数の部品を含む場合、複数の部品が組み合わされた製品全体の価格も算出する。複数の部品を含む製品の価格を算出しようとするとき、算出部305は、まず、製品ツリー呼び出し部307に製品ツリーを呼び出させて、価格を算出する対象の製品に含まれる部品の識別情報を取得させる。
「製品ツリー」とは、複数の部品を含む製品の構造を表すツリー構造であり、本実施形態ではCADデータ322に含まれる。製品ツリーの例は図4のとおりである。図4に示すように、製品ツリーのルートノードが製品全体に対応し、それ以外のノードは、製品を構成する部品に対応する。ノードには、例えば図番や品名などの、部品の識別情報が含まれる。また、ノードにはさらに、部品の種別に関する情報が含まれていてもよい。部品の種別は、例えば、部品が設計部品と購買部品のいずれであるか、設計部品の場合は加工方法の種別が何か、ということを表す。このような部品の種別に関する情報がノードに含まれている場合、その種別に対応するテンプレート324をテンプレート呼び出し部304が自動的に選択することも可能である。
図4の例では、各ノードの1行目に部品の種別に関する情報が含まれ、2行目に識別情報が書かれている。すなわち、製品全体にあたるルートノードは種別が「本体」、識別情報が「all1」である。「本体」は、図4に示した八つの部品と図4では省略されている他の部品から構成される。図4には、製品に含まれる六つの設計部品と二つの購買部品に対応するノードのみが示されている。
図4に示した設計部品には、プレス加工により製造すべき二つの部品と、モールド加工により製造すべき二つの部品と、切削加工により製造すべき二つの部品がある。これらの部品の種別は、図4では「プレス」、「モールド」、「切削」なる文字列で表現されている。また、これらの設計部品のノードには、それぞれ、「p‐123」、「p‐12n」、「m‐231」、「m‐23n」、「s‐345」、「s‐34n」なる識別情報が含まれる。
図4に示した購買部品は二つあり、「購入」なる文字列が購買部品であるという種別を表している。また、これらの購買部品のノードには、それぞれ、「k‐456」と「k‐45n」なる識別情報が含まれる。
ここで図3の説明に戻ると、算出部305は、価格を算出する対象の製品に含まれる部品の識別情報を製品ツリー呼び出し部307から受け取り、識別情報に基づいて各部品の価格を取得する。設計部品の価格を取得すべき場合、算出部305は、既に見積もられてデータ格納部321に算出価格325として格納されている各部品の価格を、設計部品の識別情報をキーにして検索し、データ格納部321から読み出す。購買部品の価格を取得すべき場合、算出部305は、価格取得対象となる購買部品の識別情報を指定して、購買データ呼び出し部306に購買データベース205を検索させ、検索された購買部品の価格を読み出させる。算出部305は、購買データ呼び出し部306から、購買データベース205より読み出された価格のデータを受け取る。
価格を算出する対象の製品に含まれる複数の部品それぞれの価格を以上のようにして取得すると、算出部305は、各部品の価格を加算して製品全体の価格を算出する。算出された製品の価格はCRTディスプレイ311に表示されてもよく、その表示例は図11とあわせて後述する。
画面切替部309は、設計者がキーボード/マウス312あるいはペン313から入力する指示にしたがって、適宜CRTディスプレイ311に表示すべき画面を切り替える。
例えば、画面切替部309は、設計部品の設計時に画面上に価格の見積もりのためのテンプレートを表示するか否かを切り替えたり、設計部品を含む製品の設計時に製品全体の設計図と個々の設計部品の設計図とを切り替えたり、製品全体の設計図とともに製品全体の価格の算出結果を表示するか否かを切り替えたりする。
次に、図5のフローチャートを参照して、本発明の一実施形態による価格の見積もりの支援を含む、設計段階の処理の流れを説明する。図5は、設計部品と購買部品の双方を含む製品の設計段階の処理の例である。
図5の処理の概要は次のとおりである。まず、設計部品に対してはステップS101からステップS103が実行され、購買部品に対してはステップS104が実行される。次に、部品の価格に関してステップS105とステップS106が実行される。その後、製品全体の価格に関してステップS107からステップS110が実行される。
ステップS101では、価格を見積もるべき設計部品に対応するテンプレート324をテンプレート呼び出し部304がデータ格納部321から呼び出し、CRTディスプレイ311に表示する。テンプレート呼び出し部304は、テンプレート324の項目のうち、図番など、CADデータ322から一意に値が定まる項目については、自動的に値を設定してCRTディスプレイ311に表示する。なお、この時点でCRTディスプレイ311は、テンプレート324の他に、設計部品の高さや幅などの属性値を含む、設計部品の設計図面を表示している。設計図面はCADデータ322に基づいて表示される。
続いて、ステップS102で、キーボード/マウス312またはペン313から設計者によりなされた価格の見積もりに必要な入力を、入出力インターフェイス部302を介してテンプレート呼び出し部304が受け付ける。ステップS102で入力される項目の例は、図示したように、各設計部品を構成する材料の大きさ、材料の種別、材料の量、作業の種別とその作業の回数などである。ステップS102における入力操作には、属性値と入力項目との対応づけの指示のための操作と、対応づけるべき属性値がCADデータ322に存在しない場合の手作業による入力操作の二種類がある。前者の例は、図1で説明したドラッグアンドドロップ操作である。
例えば、CRTディスプレイ311に表示された設計部品の大きさに関する属性値と、テンプレート324の大きさに関する項目とを対応づける設計者からの指示が、キーボード/マウス312またはペン313から入力され、テンプレート呼び出し部304がその入力を受け付ける。入力すべき項目がすでにCADデータ322に属性値として含まれており、その属性値がステップS101でCRTディスプレイ311に表示されていれば、材料の種別や量、あるいは作業の種別や回数も、同様の対応づけにより入力される。
しかし、例えば作業の種別や回数を示す属性値がCADデータ322に含まれていない場合もある。その場合、属性値と項目の対応づけによって項目の値を指定することはできない。そこで、テンプレート呼び出し部304は、ステップS102で、テンプレート324の作業の種別や回数の項目に設定すべき値として、キーボード/マウス312から設計者の手作業により入力された値を受け付ける。
このようにして、属性値と項目を対応づける指示、あるいは項目の値そのものが入力され、その入力をテンプレート呼び出し部304が受け付けると、処理は次のステップS103に進む。ステップS103では、コスト定数呼び出し部308がコスト定数データ323をデータ格納部321から読み込み、テンプレート呼び出し部304に送る。コスト定数データ323は、図示したように、製造者各社の製造に関わる係数であり、その具体例は、材料の単価や作業の工数などである。テンプレート呼び出し部304は受け取ったコスト定数データ323に基づいて、適宜テンプレート324の項目に値を設定する。
ステップS103ではさらに、算出部305が、設定されたテンプレート324の項目の値に基づいて、必要なら他の項目の値を算出してから、最終的には設計部品の価格を算出する。
なお、複数の製造者に関するコスト定数データ323がデータ格納部321に格納されている場合のステップS103の動作は次のとおりである。例えば、価格を見積もる対象の設計部品がプレス加工により製造すべき部品の場合、ステップS103では、プレス加工に関するコスト定数データ323のうち、最も安価な価格となるコスト定数データ323が登録されている製造者が選択される。そして、選択された製造者のコスト定数データ323に基づいて、テンプレート324の項目に値が設定される。
例えば、データ格納部321には、A社、B社、C社、D社の製造に関する係数がコスト定数データ323として格納されており、プレス加工に関する係数が格納されているのはA社とB社のみであるとする。この場合、プレス加工が可能な製造者として登録されているのはA社とB社のみである。ステップS103で算出すべき設計部品の価格は、A社が製造する場合の価格とB社が製造する場合の価格のうち、安い方の価格である。
一方、コスト定数データ323は、単一の定数ではなく、複数の定数が組み合わされたものであってもよい。したがって、例えば、材料費に関する定数はA社の方が安いが、加工費に関する定数はB社の方が安いという場合もある。
そこで、本実施形態では、複数の製造者に関するコスト定数データ323が存在する場合は、テンプレート呼び出し部304は各製造者についてのコスト定数データ323を一時的にテンプレート324の各項目に設定する。算出部305は、一時的にテンプレートに設定されたコスト定数データに基づいて設計部品の価格を製造者毎に算出する。なお、一時的な設定において設定された値はCRTディスプレイ311に表示されない。そして、テンプレート呼び出し部304は、各製造者に対応して算出された価格を比較し、最も安価な価格が算出された製造者のコスト定数データ323を最終的にテンプレート324の各項目に設定する。すなわち、最終的には、最も安価な製造を実現する製造者によって製造された場合の価格が、算出価格325として格納される。
設計部品の価格は、以上のステップS101〜S103により見積もられる。一方、購買部品の価格は、ステップS104で見積もられる。すなわち、製品ツリーに含まれる購買部品の識別情報をキーとして、購買データ呼び出し部306が購買データベース205を検索し、検索された購買部品の購入価格に関するデータを呼び出す。なお、同じ購買部品が異なる条件で購買された場合、同じ購買部品に対して異なる購入価格のデータが得られることがある。その場合は、本実施形態では、最も安価な購入価格が購買データ呼び出し部306により選択される。
図6は、購買データベース205の一例を示す図面である。図6の購買データベース205の例では、同じ部品「ユニット112」が二つの異なる条件で購入されており、それぞれの条件における購入価格は1000円と1010円である。この場合、ステップS104では、最も安価な価格である1000円が選択される。
なお、図6中の「項目1」から「項目n」は、購買部品の長さ、重さ、容量、直径など、規格を表す項目でもよく、購入日や代金支払方法など、購買活動に関わる項目でもよい。
以上により、ステップS101〜S103またはステップS104において部品の価格が見積もられると、見積もられた部品価格がステップS105で当該部品の企画価格すなわち企画段階で設定された製造目標価格と比較される。この比較は、情報処理装置301が行ってもよく、設計者が行ってもよい。なお、本実施形態では、複数の部品からなる製品の企画においては、各部品について企画価格が設定されていると仮定している。
ステップS101乃至S104で見積もられた価格が企画価格以下の価格ならば、価格が見積もられた部品は価格に関する目標を達成しているので、処理はステップS107に進む。逆に見積もられた価格が企画価格よりも高ければ、その部品は目標を達成していないとみなされ、処理はステップS106に進む。ステップS106では、部品の製造者もしくは販売者との価格交渉、設計部品の再設計、または、購入部品をより安価な部品に代替することなど、部品の価格を企画価格以下に抑えるための作業が行われる。なお、本実施形態では、ステップS106における作業の後、その結果によらずステップS107に進む。なぜなら、ある部品の価格が企画価格より高かったとしても、同じ製品を構成する他の部品の価格が企画価格より安ければ、製品全体としては企画価格以下の価格を実現することが可能な場合があるためである。よって、ステップS106で仮にある部品の価格を企画価格以下に抑えられなくても、ステップS107以降の処理が実行される。
ステップS107以降は、設計段階から製造段階への移行に関する処理である。ステップS107では、製品を構成する設計部品および購買部品の価格に基づいて製品全体の価格が算出部305により算出され、算出された製品価格が製品自体の企画価格と比較される。この比較も、情報処理装置301が行ってもよく、設計者が行ってもよい。算出された製品の価格が企画価格以下の価格ならば、価格に関する目標を達成しているので、ステップS109に示すように製造段階に移行し、現状の設計に基づいた製品の製造が開始される。
一方、ステップS107で、算出された製品の価格が企画価格よりも高いと判断されれば、価格に関する目標が達成されていない。上記のように、ステップS106では、個々の部品の価格が企画価格以下になる保証はない。よって、算出された製品の価格が企画価格よりも高い場合もありうる。この場合、現状の設計に基づいて製造を開始してしまうと、目標とする利益が得られないので、ステップS107からステップS108に進み、価格に関する目標を達成するための対策が可能であるか否かが判断される。この判断は、例えば、設計者、正式なコスト査定の責任者、あるいは企画責任者など、適切な者により行われる。ステップS108で検討される対策は、例えば、製品全体の再設計である。
ステップS108を実行した結果、製品の価格を企画価格以下に抑えるための可能な対策が見つかればステップS109に移行し、製品の製造が開始される。一方、そのような対策が見つからなければ、ステップS110に示すように、製品の製造中止が決定される。
以上のとおり、図5の処理によって設計段階で設計部品と購買部品と製品の価格が見積もられ、必要に応じて再設計がなされる。したがって、価格を考慮しながら設計を進めることが可能である。また、設計部品あるいは製品の見積もられた価格が企画価格を超えた場合も、従来よりも早い段階で設計にフィードバックして適宜再設計をすることができる。
次に、図7から図9を参照して、より具体的なテンプレートの例を説明する。
図7は、モールド加工、より具体的には射出成形によって製造されるべき設計部品に対応するテンプレートの例である。このテンプレートは表形式で表されており、空行を挟んで上下二つの表からなっている。上の表が概要を、下の表が詳細を、それぞれ表している。
また、図7において、左側から1列目と2列目は、項目の内容を表す見出しの列であり、3列目は各項目の値を表示するための列である。この3列が、CRTディスプレイ311の画面上にテンプレートとして表示される。図7の右端に示された項目は各項目の値が本実施形態でどのようにして取得されるか、を説明するために図示されており、CRTディスプレイ311に表示される必要はない。
図7の上の表の各行を上から順に説明すると、図番と品名は、テンプレート呼び出し部304とCAD設計部303の協働によりCADデータ322から自動的に読み込まれて設定される。材料費と加工費は算出部305により計算されてテンプレート呼び出し部304により設定されたものである。検査、梱包、輸送にかかる付帯作業費の欄は、現在空欄なので0円として扱われ、試算単価は算出部305により、
30.49+13.86=44.35円
と計算されて、テンプレート呼び出し部304により設定される。なお、付帯作業費は、設計部品の大きさ、重さ、輸送距離などから算出されて値が設定されてもよく、付帯作業費が算出済みの場合は、試算単価に付帯作業費が加算される。
図7の下の表には、上記の材料費と加工費の算出根拠となる詳細な項目が並んでいる。これらの項目は、左から1列目の見出しに示すように、材料に関する項目、係数に関する項目、および射出成形に関する項目にグループ分けされている。
材料に関する項目のうち、材料名、投影寸法(縦)、投影寸法(横)、製品高さ、基本厚、および製品体積には、CADデータ322からCAD設計部303により属性値が読み取られて、読み取られた属性値がテンプレート呼び出し部304により設定される。このうち、材料名、基本厚、および製品体積の値は、CADデータ322から読み込まれて、テンプレート呼び出し部304により設定される。一方、投影寸法(縦)、投影寸法(横)、および製品高さの各項目は、設計者による属性値と項目の対応づけの指示にしたがって、CADデータ322に含まれる属性値がテンプレート呼び出し部304により設定される。もちろん、材料名などが属性値と項目の対応づけの指示にしたがって設定されることもある。
材料比重の1.04という値は、設定された「ABS UL94HB」という材料名に基づいて取得される。すなわち、図7のようなテンプレートを使う実施形態では、コスト定数データ323が、比重の定数を含んでおり、コスト定数呼び出し部308は、材料名をキーにして比重の定数をデータ格納部321から読み出すように構成されている。
製品重量は、製品体積と材料比重に基づき、算出部305により、
61.6×1.04=64.06
と計算される。材料重量は、製品重量を1.10倍して得られる値である。この「1.10」なる値は射出成形において最終的な製品体積の1.10倍の材料が使われるということを表しており、コスト定数データ323に予め含まれる定数である。図7の例では、材料重量は算出部305により
64.06×1.10≒70.47
と算出される。
材料単価、材料管理費比率、材料利益率の値は、コスト定数呼び出し部308によりコスト定数データ323から読み出され、テンプレート呼び出し部304によって設定される。
そして、算出部305は、上記のようにして設定された項目の値を用いて、次の式により材料費を算出する。
400/1000×70.47×(1+0.03)×(1+0.05)=30.49
そして、テンプレート呼び出し部304は、算出されたこの値を材料費の項目に設定する。
係数に関する項目はすべて、コスト定数呼び出し部308により読み出されたコスト定数データ323の値が、テンプレート呼び出し部304により設定される。
射出成形に関する項目のうち、取数と成形機サイズは、設計者が手作業でキーボード/マウス312などを介して入力し、テンプレート呼び出し部304が入力を受け取って設定する項目である。ここでは、取数と成形機サイズはそれぞれ2と350という値が入力されている。サイクルタイムと加工賃率なる項目には、コスト定数データ323から読み出された定数が設定される。そして、算出部305は、上記のようにして設定された項目の値を用いて、次の式により部品一つ当たりの成形費を算出する。
30×0.704/2×(1+0.25)×(1+0.05)=13.86
テンプレート呼び出し部304は、算出された値を成形費の項目に設定する。
算出部305は、以上のようにして設定された30.49円という材料費の値と、13.86円という成形費の値とを加算して、44.35円なる試算単価を得る。この値がテンプレート呼び出し部304により試算単価の項目に設定される。その結果、設計者は画面を見て、部品の価格が44.35円と見積もられたことを知る。また、算出された44.35円という価格は、図5のステップS105で企画価格と比較される。
図8は、プレス加工によって製造されるべき設計部品に対応するテンプレートの例であり、図7と同様に表形式で表されている。
図7と図8は、加工方法の違いに応じて、具体的な項目名および具体的な値の計算方法が異なり、詳細を示す下の表の列数も異なる。しかし、値が一意であるために指示を必要とせずにCADデータ322から読み出された値、または設計者から受け取った対応づけの指示に基づいてCADデータ322から読み出された値と、コスト定数データ323から読み出された値と、手作業で入力された値とに基づいて、部品の「試算単価」が算出部305により算出され、テンプレート呼び出し部304により設定されるという点は、図7と図8で同様である。
図8の例では、一部の項目の値の表示を省略しているが、加工費は次のようにして算出される。すなわち、ブランク、ピアス、面押し、ベント、およびセパレータという五つの工程それぞれの加工費が算出される。プレス加工費の算出には、使用機械トン数、レート、加工工数、段取り、および工数合計という項目の値が利用される。同様に、二次加工に相当する、皿もみ、脱脂、タップ、およびプラズマ溶接という四つの工程それぞれの加工費が算出される。二次加工費の算出には、加工内容を示す「内容」という項目の値が利用される。こうして算出されたプレス加工費と二次加工費の和が加工費として算出される。
図9は、切削加工によって製造されるべき設計部品に対応するテンプレートの例である。図7と図8では、テンプレートが概要を示す表と詳細を示す表に分かれていたが、図9ではやや異なる形式を採用している。すなわち、図9のテンプレートには、上から順に加工対象部品を識別する識別情報、加工対象部品の材料費、加工費、および管理費のグループが並んでいる。各グループには複数の項目が含まれている。そして、材料費および加工費の各グループの小計がそれぞれ500円と861円と算出されて、値がテンプレート上に設定されている。材料費と加工費の小計と管理費との合計が、最後に計算されて、1396円なる値が合計金額の項目に設定されている。
以上のように、テンプレートの項目の並び順などの形式は任意である。また、モールド、プレス、切削の他に、例えば、研磨、溶接、圧延、熱処理、組み立て、塗装、鍍金などに対応するテンプレートがあってもよい。
次に、購買部品の価格の見積もりに関する図5のステップS104を変形した実施形態について、図10を参照して説明する。図10の例によれば、図5のステップS105で企画価格よりも高いと判断されたときの、ステップS106における作業の負担を軽減することが可能である。
図10には、図2の構成のうち、購買データベース205ならびに、購買データベース205と接続されたCAD端末201と購買端末202を抜粋して示した。また、図10には、購買データベース205を検索した結果得られるレコード集合の例も示した。図10の例では、購買部門の職員が購買端末202を介して、購買部品に関する新しいデータを随時購買データベース205に入力する。購買データベース205には、各購買部品の品名、価格、図番、購入可能な数量、購買部品の製造メーカなどの項目が含まれる。
図10の実施形態は、コンデンサを含む製品の設計に関する例であり、特にコンデンサに関する購買データベースの内容が図示されている。図10ではコンデンサが価格を見積もる対象の部品であり、またコンデンサは設計・製造の対象ではなく、購買部品である。そこで、価格見積もりを行う際には、CAD端末201から購買データベース205が検索される。以上の点は、図5のステップS104と同様である。
図5のステップS104と図10が異なるのは、具体的な購買部品に関する情報検索の方法である。ステップS104では、購買データ呼び出し部306による購買部品情報の検索の際、購買部品の識別情報がキーとして指定される。しかし、図10の実施形態では、より緩やかな検索条件が指定される。それにより、現状の設計において指定されている購買部品そのものの価格だけではなく、その購買部品と類似する他の部品の価格も得られる。CAD端末201のCRTディスプレイ311が、検索により得られた他の部品の価格もあわせて表示することにより、設計者は、現状の設計において指定されている購買部品の価格を、類似の他の部品の価格と比較することができる。よって、現状の設計において指定されている購買部品をより安価な他の部品で代替するなどの設計の代替案を設計者が検討することが容易となり、それによって低コストの製品の設計がより短時間で行えるようになる。
具体的には、図10は、「A123」なる図番のコンデンサを利用する製品が設計されている場合の例である。すなわち、「A123」なる図番を含むノードが製品ツリーに含まれている。図10の例では、「A123」なる図番をキーにしてCAD端末201内の購買データ呼び出し部(図3の購買データ呼び出し部306に相当するが図10には不図示)が購買データベース205を検索し、「A123」なる図番のコンデンサの容量「20」なる値を取得する。次に、「A123」以外のコンデンサの価格も取得するために、購買データ呼び出し部306は、「コンデンサ」という品名と、「20」という容量を検索条件として指定し、購買データベース205を検索する。品名に加えて容量が検索条件に指定されるのは、コンデンサの仕様を表す最も重要な項目が容量であるためである。容量が同じコンデンサは互いに似た特性を有し、互いに代替可能である場合が多いと期待される。当然ながら、図番を「A123」に限定する検索条件よりも、品名が「コンデンサ」かつ容量が「20」という検索条件の方が緩い条件である。
図10の例では、検索の結果得られるレコードの数は4である。検索結果によれば、「A123」なる図番のコンデンサは1000円のものと1010円のものがある。また、容量が「20」の他のコンデンサには、図番が「A159」のものと「A253」のものがあり、それぞれの価格は970円と1000円である。
CAD端末201は、コンデンサに関する検索結果を画面に表示する。すると設計者は、現状の設計が含む「A123」なる図番のコンデンサと類似の規格のコンデンサが存在することを知る。また、設計者はそのうち図番が「A159」のものは、図番が「A123」のものより価格が安いことを知ることができる。その結果、設計者は、価格を下げるために、現状の設計において指定されている「A123」のコンデンサを「A159」のコンデンサで代替すべきか否かを検討する機会を得る。
図10の実施形態によれば、代替部品の候補が検索されて表示されるから、設計者にとって有益な支援が実現される。なお、「コンデンサの場合は検索条件に容量を指定する」というような、品名と検索に用いる項目との対応関係は、予め決められており、例えばデータ格納部321に格納されている。
また、上記の例では、現状のCADデータ322に含まれる「A123」のコンデンサとまったく同じ容量のコンデンサのみを検索した。しかし、「A123」のコンデンサの容量の値である「20」を中心とする所定の範囲に、容量の値が含まれるコンデンサを検索してもよい。コンデンサ検索条件の範囲は、例えば、予めデータ格納部321に格納されたコンデンサ容量を示す定数c1を使って、
(20−c1)以上 かつ (20+c1)以下
のように定めてもよい。
次に、図11を参照して、製品を構成する個々の部品および製品全体のそれぞれについて、企画価格と算出価格を比較するための画面表示例を説明する。なお、図11では、算出されて設計部品見積テンプレートデータベース204に格納されている設計部品の価格と、購買データベース205に格納されている購買部品の価格の総称として「算出価格」という語を用いている。図11の左側が画面に表示される製品リスト401の例であり、右側は製品リスト401の表示処理と特に関係するシステムの部分を図2から抜粋して示した図である。
製品リスト401は表形式で示されており、左の列に製品を構成する項目すなわち製品を構成する部品が、真ん中の列に企画価格が、右の列に算出価格が、それぞれ表示されている。左の列の「項目」の表示には、例えば各部品の品名や図番などの識別情報が使われる。図11の例において、製品リスト401中の「設計ユニット1」などは図番を表す。図11の例では、設計対象の製品は、設計ユニット1、設計ユニット2、設計部品1、および設計部品2という四つの設計部品と、購入品1および購入品2という二つの購入部品からなる。
製品がこれらの六つの部品からなることは、製品ツリーに表現されている。よって、CAD端末201は、製品ツリーのノードに含まれる部品の識別情報をキーにして設計部品見積テンプレートデータベース204と購買データベース205を検索することにより、製品リスト401中の算出価格を取得する。また、図11の実施形態では、企画価格も設計部品見積テンプレートデータベース204に格納されており、これもCAD端末201により取得される。よって、CAD端末201は、取得した部品の識別情報、算出価格、および企画価格を製品リスト401の形式に整えて画面に表示する。
図11中の「項目(図番)を入力すると価格が表示される」という吹き出しは、上記の検索と表示を表す。つまり、検索キーとして設計部品見積テンプレートデータベース204または購買データベース205に図番等の識別情報が入力されると、検索結果として算出価格がCAD端末201に出力される。そして、CAD端末201は、検索キーである図番を「項目」の列に含み、検索されて出力された算出価格を「算出価格」の列に含む製品リスト401を表示する。
図11の例では、四つの設計部品と二つの購入部品の企画価格はいずれも1000円である。したがって、製品全体の企画価格は、製品リスト401の最下行に示すとおり、6000円である。
一方、これらの部品のうち設計ユニット2の算出価格は1200円であり、企画価格よりも高い。また、設計部品1の算出価格は900円であり、企画価格よりも安い。他の部品の算出価格は企画価格どおりである。したがって、製品全体の算出価格は、企画価格よりも100円高い6100円である。設計者はこのような算出価格と企画価格のずれを、CAD端末201の画面を見て簡単に知ることができる。
例えば、図5のステップS107で製品リスト401が表示されてもよく、その場合、設計者はそれを見て価格を検討することができる。
次に、図12を参照して、図11の製品リスト401に関する処理の流れの例を説明する。図12のフローチャートは、図5のフローチャートのステップS105以降の部分に関する変形例である。図12のうち図5と同様の部分については、適宜説明を省略する。
ステップS201は図5のステップS105と類似のステップである。ステップS201において図11の製品リスト401がCAD端末201のCRTディスプレイ311に表示されるため、設計者は各部品の企画価格と算出価格をCRTディスプレイ311上で比較することができる。また、CAD端末201も取得した企画価格と算出価格を比較することができる。
その結果、企画価格よりも算出価格が高い部品があれば、ステップS201の判断は「NG」となってステップS202に進む。逆に、どの部品も算出価格が企画価格以下であれば、ステップS201の判断は「OK」となってステップS203に進む。
図11の例の場合、設計者がステップS202で設計ユニット2を再設計し、あるいは部品購入元との価格交渉を行うことで、より低コストで製造可能なようにする。そして、ステップS203に進む。ただし、図5のステップS106と同様、ステップS202でも、必ずしも設計ユニット2の価格が企画価格の1000円以下に抑えられるとは限らない。
ステップS203では、算出部305が各部品の算出価格を合計して製品全体の価格を算出し、製品リスト401の算出価格の「合計」行に表示する。合計の算出に使われる各部品の算出価格は、ステップS202で再設計等が行われた場合は、それにより更新された算出価格である。
ステップS203で得られた製品全体の算出価格は、ステップS204で製品全体の企画価格と比較される。ステップS204では、設計者が製品リスト401を見て、製品全体の企画価格と製造原価を比較することもできる。もちろん、この比較はCAD端末201が自動的に行ってもよい。製品全体の算出価格が企画価格以下なら、ステップS208に進んで、製品の製造を開始する。そうでなければ、ステップS205に進む。
ステップS205では、製品全体の企画価格と算出価格の差が大きいか小さいかが判断される。この判断は、例えば、算出部305が企画価格と算出価格の比を所定の閾値と比較することによって行ってもよい。ステップS205における「差が大きい」という判断は、「差をなくすことが現実的には難しいため、製造を中止すべきである」ということを意味する。よって、ステップS205で差が大きいと判断されるとステップS207のとおり、製品の製造中止が決定される。
一方、ステップS205で差が小さいと判断されると、ステップS206に進む。すなわち、図12の例では、「企画価格と算出価格の差が小さいことは、何らかの対策によって差をなくせる蓋然性が高いことを意味する」という暗黙の前提がある。そこで、ステップS206では、そのような対策が検討される。具体的には、設計部品あるいは製品全体の再設計や、購買部品に関する価格交渉などがステップS206で行われる。ステップS206における再設計の過程においても、設計者は、設計に変更を加えるたびに、その変更を反映した製品リスト401をCAD端末201の画面上で見ることができる。
そして、ステップS206で製品全体の算出価格を企画価格以下に抑えられれば、処理はステップS208に移行して製品の製造が開始され、そうでなければ、処理はステップS207に移行して製品の製造中止が決定される。
例えば、図11の場合、設計ユニット2の算出価格が企画価格よりも200円高く、これが製品全体の価格に影響を与えている。設計ユニット2を別の設計に変更することが困難であれば、他の部品の価格を下げることによって、製品全体の算出価格を企画価格以下に抑えるようにしてもよい。例えば、ステップS206で、設計ユニット2以外の設計部品を設計者が再設計し、その設計部品をより低コストで製造可能なようにしてもよく、購買部門の職員が購買部品の価格を部品販売者と交渉し、より低価格で調達可能なようにしてもよい。あるいは、ステップS206では企画価格自体を見直してもよい。
なお、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、様々に変形可能である。以下にその例をいくつか述べる。
図5のステップS110や図12のステップS207では、製品の製造中止が決定されている。しかし、製造中止を決定するかわりに、製品を構成する部品のうち一部の部品をオプションにして、オプション部品を備えない基準構成の製品ならば当初の企画価格以下の価格にすることができるか否かを検討してもよい。
また、ある実施形態では、購買データベース205に格納されている価格に関するデータは、既に購買して在庫として保有している部品の実際の価格ではなく、販売者が供給することが可能な条件を示すデータである。つまり、購買データベース205には、過去の実際の価格ではなく、「もしA社から部品Pを購入するならば、価格Xで購入することが可能である」という仮定のデータが格納されている。
しかし、このデータが購買データベース205に登録された後、例えば経済情勢の変化により、A社は部品Pを価格Y>Xなる価格Yで販売するようになるかもしれない。また、このような価格の変更に応じて購買データベース205がタイムリーに更新されるか否かは、設計部門の関与しない問題である。しかし、購買データベース205が適切に更新されていなければ、購買部品を含む製品の価格を正確に見積もることができない。
そこで、購買データベース205から購買データを呼び出した後さらに、その購買データが登録された日付をチェックし、その日付が古いか否かを判断し、古ければ警告を発するように購買データ呼び出し部306を構成してもよい。例えば、予め設定された閾値Tに基づいて、購買データが呼び出された日付と登録された日付との差がT日以上ならば「古い」と判断するよう、購買データ呼び出し部306が構成されていてもよい。
なお、購買データが古い場合の警告の形態は任意である。警告の好ましい一例は、CAD端末201から、購買データベース205を管理する不図示のサーバまたは購買端末202に対して、ネットワークを介して送られる警告メッセージである。購買部門では、この警告メッセージの受信を契機として、購買データベース205が適宜更新される。
さらに、設計者に対して、CRTディスプレイ311上に視覚的な警告が表示されてもよく、CAD端末201が備える不図示のスピーカかから聴覚的な警告が発せられてもよい。例えば、図11の製品リスト401の購入品1の算出価格が「古い」と判断されたデータである場合、設計者は、画面に表示された警告から購入品1の算出価格の信頼性が低いことを知り、購買部門に最新の価格を問い合わせるなどの適切な行動をとることができる。
本発明では、CADデータ322に含まれる属性値とテンプレート324に含まれる項目との対応づけを利用しているが、この対応づけのための入力操作の具体的な方法は、実施形態に応じて様々である。図1ではマウスを使ったドラッグアンドドロップ操作を例示したが、それ以外の入力操作を利用してもよい。例えば、属性値の表示された部分をクリックし、テンプレートの目的の項目の位置にドラッグせずにマウスポインタを移動させて、目的の項目の位置で再度クリックする一連の操作を、対応づけの指示として取り決めてもよい。
あるいは、図1の矢印とは逆方向の操作により対応づけを指示する実施形態も可能である。例えば、図1において「縦」という項目の見出しの部分でマウスボタンを押下し、そのまま高さ103の表示された部分までドラッグし、そこでマウスボタンを離すというドラッグアンドドロップ操作により、対応づけを指示してもよい。
また、対応づけの指示に用いるための入力機器は任意であり、マウス、トラックパッド、タッチペンなどのポインティングデバイスでもよく、キーボードでもよく、両者の組み合わせでもよい。例えば、キーボード入力にしたがってテンプレート内でカーソルが項目間を移動するように入出力インターフェイス部302を構成するとともに、マウスを使ってクリックされた属性値を、カーソルの位置する項目と対応づけるようにテンプレート呼び出し部304を構成してもよい。また、音声認識を利用して対応づけの指示を受け付けるようにテンプレート呼び出し部304を構成してもよく、その場合の入力機器には、例えば、情報処理装置301の不図示の内蔵マイクが含まれる。
上記のいくつかの実施形態で説明した各種のデータ構造は例示であり、上記の例示とは異なる構造のデータを用いて本発明を実施することも可能である。
例えば、ある実施形態では、購買データベース205に格納される購買データは、購買部品の使用頻度に関するデータを含む。使用頻度に関するデータは、例えば、図5のステップS104で表示されてもよく、図12のステップS204で図11の製品リスト401に表示されてもよい。
一般に、使用頻度の高さは、高品質あるいは低価格などの利点があるためだと推測される。また、仮に部品に不具合が発生しても、使用頻度の高い部品の場合は修理方法などが既知であることが多い。そこで、設計者は、価格だけではなく表示された使用頻度も参考にして、現状の設計どおりの購入部品を使用すべきか否かを検討する。この実施形態によれば、使用頻度という観点からの設計の検討も、設計が完全に終了する前の段階で行うことができ、有益である。また、図10のような類似の部品の検索の検索結果を画面に表示する際に、さらに使用頻度に関するデータを表示してもよく、その検索の際に、使用頻度に関する条件で絞り込みを行ってもよい。
また、図4の例では、製品ツリーは2層からなるツリー構造を有するが、3層以上からなるツリー構造の製品ツリーにより、複数の部品からなるユニットを含む製品を表現してもよい。その場合、ツリー構造の各階層のノードに対応して、そのノードが表す部品、ユニット、あるいは製品の価格を算出し、画面に表示してもよい。また、製品を構成する部品を表すのに、ツリー構造以外のデータ構造を利用してもよいことは当然である。
また、上記で設計部品の例示として用いたのは主に機械部品である。そのため、設計部品の属性値の例として、図1の幅102や高さ103などの長さを挙げた。しかし、設計部品が回路素子であってもよく、その場合、幅や高さよりむしろ、抵抗値や静電容量などの電磁気的特性を表す値が属性値として利用される。すなわち、本発明では、設計対象の設計部品に応じて、形状、長さ、面積、体積、材料、質量、電磁気的特性もしくはその他の物理的特性、化学的特性など、任意の属性値を利用することができる。
また、図7から図9の例では、設計部品の種別が加工方法の種別により規定されているので、加工方法の種別ごとに異なる形式のテンプレートが設計部品見積テンプレートデータベース204に用意されていた。しかし、設計部品の種別が加工方法の種別により規定されていなくてもよい。必要なことは、テンプレートが何らかの種別に分類されていることのみである。それにより、設計者がテンプレートの種別を選択することによって容易に設計部品とテンプレートとを対応づけられる。
一つの部品が、複数の種類の加工により製造されるべきものであってもよい。例えば、プレス加工の後、塗装される部品については、プレス加工と塗装の双方に関する項目を含む一つのテンプレートを使ってもよく、プレス加工に対応するテンプレートと塗装に関するテンプレートの双方を設計者が指定してそれぞれ呼び出すようにしてもよい。前者の場合、テンプレートの種別として「プレス加工と塗装の組み合わせ」という種別があることを意味する。
以上、本発明の様々な実施形態について説明したが、本発明によれば、設計者が設計図面を見て設計しながら、価格を簡単かつ正確に見積もることができ、目標の価格以下で製造可能な部品あるいは製品を従来よりも短時間で設計することが可能となる。
以上、本発明の様々な実施形態について説明したが、本発明によれば、設計者が設計図面を見て設計しながら、価格を簡単かつ正確に見積もることができ、目標の価格以下で製造可能な部品あるいは製品を従来よりも短時間で設計することが可能となる。
(付記1)
設計された第一の部品の価格の見積もりをコンピュータに支援させるプログラムであって、
前記第一の部品の属性値を含む部品設計情報を設計情報格納手段から読み出す部品設計情報読み出しステップと、
前記第一の部品の前記価格の見積もりに必要な項目を一つ以上含むテンプレートをテンプレート格納手段から読み出すテンプレート読み出しステップと、
表示手段に前記第一の部品と前記属性値を含む図および前記テンプレートを表示する表示ステップと、
前記図中の前記属性値と、前記項目のうちの一つである第一の項目とを対応づける指示を入力手段から受け取る入力受け取りステップと、
前記属性値を前記部品設計情報から読み取り、読み取った該属性値に基づいて、前記第一の項目の値を設定する第一の設定ステップと、
設定された前記第一の項目の前記値に基づいて前記第一の部品の前記価格を算出する部品価格算出ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
(付記2)
算出した前記第一の部品の前記価格に基づいて、前記第一の部品を含む製品の価格を算出する製品価格算出ステップをさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記1に記載のプログラム。
(付記3)
前記製品はさらに、購買すべき第二の部品を含み、
前記第二の部品の購買に関する購買情報に含まれる、前記第二の部品の価格を表す価格情報を、購買情報格納手段から読み出す購買情報読み出しステップをさらに前記コンピュータに実行させ、
前記製品価格算出ステップでは、さらに前記価格情報にも基づいて前記製品の前記価格が算出される、
ことを特徴とする付記2に記載のプログラム。
(付記4)
前記第二の部品が異なる複数の条件で購買され、
該複数の条件に対応する複数組の前記購買情報が前記購買情報格納手段に格納され、
前記複数組の前記購買情報のうち、最も安価な価格を表す前記価格情報を含むものが、前記購買情報読み出しステップで読み出される、
ことを特徴とする付記3に記載のプログラム。
(付記5)
前記購買情報読み出しステップで読み出した前記購買情報が更新された日付が、予め決められた日付よりも古ければ警告を発する警告ステップをさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記3に記載のプログラム。
(付記6)
前記購買情報は、部品の規格を表す規格情報を含み、
前記購買情報格納手段は、複数の部品に関する購買情報を格納しており、
前記規格情報に基づく検索を行って、前記第二の部品と同一または類似の規格の第三の部品の前記購買情報を前記購買情報格納手段から読み出し、該第三の部品の該購買情報に含まれる前記規格情報と前記価格情報を前記表示手段に表示する代替部品表示ステップをさらに前記コンピュータに実行させる、
ことを特徴とする付記3に記載のプログラム。
(付記7)
前記購買情報は、部品の使用頻度に関する頻度情報を含み、
前記代替部品表示ステップでは、前記頻度情報も前記表示手段に表示される、
ことを特徴とする付記6に記載のプログラム。
(付記8)
前記部品設計情報に含まれる前記属性値は、前記第一の部品に関わる形状、長さ、面積、体積、材料、質量、電磁気的特性もしくはその他の物理的特性、化学的特性のうち少なくとも一つを表す値である、
ことを特徴とする付記1に記載のプログラム。
(付記9)
前記第一の項目は、前記第一の部品に関わる形状、長さ、面積、体積、材料、質量、電磁気的特性もしくはその他の物理的特性、化学的特性のいずれかに関する項目であることを特徴とする、付記1に記載のプログラム。
(付記10)
前記第一の部品の種別に応じて、前記テンプレートが含むべき前記項目が定められていることを特徴とする、付記1に記載のプログラム。
(付記11)
前記第一の部品を製造するための加工方法の種別に応じて、前記テンプレートが含むべき前記項目が定められていることを特徴とする、付記1に記載のプログラム。
(付記12)
前記加工方法の前記種別は、モールド、プレス、切削、研磨、溶接、圧延、熱処理、組み立て、塗装、鍍金のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする付記11に記載のプログラム。
(付記13)
前記テンプレートは、材料費または加工費の少なくとも一方に関する第二の項目を含み、
予め前記テンプレート格納手段に格納されている値を前記第二の項目に設定する第二の設定ステップをさらに前記コンピュータに実行させ、
前記部品価格算出ステップでは、前記第二の項目の前記値にも基づいて、前記第一の部品の前記価格が算出される、
ことを特徴とする付記1に記載のプログラム。
(付記14)
部品を製造する複数の製造者ごとに、前記第二の項目の前記値が前記テンプレート格納手段に格納されており、
複数の前記製造者に対応する、前記第二の項目の複数の値のうち、最小のものが選択されて前記第二の設定ステップで設定される、
ことを特徴とする付記13に記載のプログラム。
(付記15)
前記第一の設定ステップでは、前記部品設計情報から読み取られた前記属性値と、前記第一の項目に対応して予め定められた値とに基づく計算が行われ、該計算の結果が、前記第一の項目の前記値として設定される、
ことを特徴とする付記1に記載のプログラム。
(付記16)
設計された部品の価格の見積もりを支援する情報処理装置であって、
前記部品の属性値を含む部品設計情報を格納する設計情報格納手段と、
前記部品の前記価格の見積もりに必要な項目を一つ以上含むテンプレートを格納するテンプレート格納手段と、
前記部品設計情報に基づいて前記部品と前記属性値を含む図を表示するとともに、前記テンプレートを表示する表示手段と、
前記図中の前記属性値と、前記項目のうちの一つである第一の項目との対応づけを指示する入力手段と、
前記属性値を前記部品設計情報から読み取り、読み取った該属性値に基づいて、前記第一の項目の値を設定する設定手段と、
設定された前記第一の項目の前記値に基づいて前記部品の前記価格を算出する部品価格算出手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
(付記17)
設計された部品の価格の見積もりをコンピュータが支援する支援方法であって、該コンピュータが、
前記部品の属性値を含む部品設計情報を設計情報格納手段から読み出し、
前記部品の前記価格の見積もりに必要な項目を一つ以上含むテンプレートをテンプレート格納手段から読み出し、
表示手段に前記部品と前記属性値を含む図および前記テンプレートを表示し、
前記図中の前記属性値と、前記項目のうちの一つである第一の項目とを対応づける指示を入力手段から受け取り、
前記属性値を前記部品設計情報から読み取り、読み取った該属性値に基づいて、前記第一の項目の値を設定し、
設定された前記第一の項目の前記値に基づいて前記部品の前記価格を算出する、
ことを特徴とする支援方法。

Claims (17)

  1. 設計された第一の部品の価格の見積もりをコンピュータに支援させるプログラムであって、
    前記第一の部品の属性値を含む部品設計情報を設計情報格納手段から読み出す部品設計情報読み出しステップと、
    前記第一の部品の前記価格の見積もりに必要な項目を一つ以上含むテンプレートをテンプレート格納手段から読み出すテンプレート読み出しステップと、
    表示手段に前記第一の部品と前記属性値を含む図および前記テンプレートを表示する表示ステップと、
    前記図中の前記属性値と、前記項目のうちの一つである第一の項目とを対応づける指示を入力手段から受け取る入力受け取りステップと、
    前記属性値を前記部品設計情報から読み取り、読み取った該属性値に基づいて、前記第一の項目の値を設定する第一の設定ステップと、
    設定された前記第一の項目の前記値に基づいて前記第一の部品の前記価格を算出する部品価格算出ステップと、
    を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  2. 算出した前記第一の部品の前記価格に基づいて、前記第一の部品を含む製品の価格を算出する製品価格算出ステップをさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  3. 前記製品はさらに、購買すべき第二の部品を含み、
    前記第二の部品の購買に関する購買情報に含まれる、前記第二の部品の価格を表す価格情報を、購買情報格納手段から読み出す購買情報読み出しステップをさらに前記コンピュータに実行させ、
    前記製品価格算出ステップでは、さらに前記価格情報にも基づいて前記製品の前記価格が算出される、
    ことを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
  4. 前記第二の部品が異なる複数の条件で購買され、
    該複数の条件に対応する複数組の前記購買情報が前記購買情報格納手段に格納され、
    前記複数組の前記購買情報のうち、最も安価な価格を表す前記価格情報を含むものが、前記購買情報読み出しステップで読み出される、
    ことを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
  5. 前記購買情報読み出しステップで読み出した前記購買情報が更新された日付が、予め決められた日付よりも古ければ警告を発する警告ステップをさらに前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
  6. 前記購買情報は、部品の規格を表す規格情報を含み、
    前記購買情報格納手段は、複数の部品に関する購買情報を格納しており、
    前記規格情報に基づく検索を行って、前記第二の部品と同一または類似の規格の第三の部品の前記購買情報を前記購買情報格納手段から読み出し、該第三の部品の該購買情報に含まれる前記規格情報と前記価格情報を前記表示手段に表示する代替部品表示ステップをさらに前記コンピュータに実行させる、
    ことを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
  7. 前記購買情報は、部品の使用頻度に関する頻度情報を含み、
    前記代替部品表示ステップでは、前記頻度情報も前記表示手段に表示される、
    ことを特徴とする請求項6に記載のプログラム。
  8. 前記部品設計情報に含まれる前記属性値は、前記第一の部品に関わる形状、長さ、面積、体積、材料、質量、電磁気的特性もしくはその他の物理的特性、化学的特性のうち少なくとも一つを表す値である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  9. 前記第一の項目は、前記第一の部品に関わる形状、長さ、面積、体積、材料、質量、電磁気的特性もしくはその他の物理的特性、化学的特性のいずれかに関する項目であることを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
  10. 前記第一の部品の種別に応じて、前記テンプレートが含むべき前記項目が定められていることを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
  11. 前記第一の部品を製造するための加工方法の種別に応じて、前記テンプレートが含むべき前記項目が定められていることを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
  12. 前記加工方法の前記種別は、モールド、プレス、切削、研磨、溶接、圧延、熱処理、組み立て、塗装、鍍金のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
  13. 前記テンプレートは、材料費または加工費の少なくとも一方に関する第二の項目を含み、
    予め前記テンプレート格納手段に格納されている値を前記第二の項目に設定する第二の設定ステップをさらに前記コンピュータに実行させ、
    前記部品価格算出ステップでは、前記第二の項目の前記値にも基づいて、前記第一の部品の前記価格が算出される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  14. 部品を製造する複数の製造者ごとに、前記第二の項目の前記値が前記テンプレート格納手段に格納されており、
    複数の前記製造者に対応する、前記第二の項目の複数の値のうち、最小のものが選択されて前記第二の設定ステップで設定される、
    ことを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
  15. 前記第一の設定ステップでは、前記部品設計情報から読み取られた前記属性値と、前記第一の項目に対応して予め定められた値とに基づく計算が行われ、該計算の結果が、前記第一の項目の前記値として設定される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
  16. 設計された部品の価格の見積もりを支援する情報処理装置であって、
    前記部品の属性値を含む部品設計情報を格納する設計情報格納手段と、
    前記部品の前記価格の見積もりに必要な項目を一つ以上含むテンプレートを格納するテンプレート格納手段と、
    前記部品設計情報に基づいて前記部品と前記属性値を含む図を表示するとともに、前記テンプレートを表示する表示手段と、
    前記図中の前記属性値と、前記項目のうちの一つである第一の項目との対応づけを指示する入力手段と、
    前記属性値を前記部品設計情報から読み取り、読み取った該属性値に基づいて、前記第一の項目の値を設定する設定手段と、
    設定された前記第一の項目の前記値に基づいて前記部品の前記価格を算出する部品価格算出手段と、
    を備えることを特徴とする情報処理装置。
  17. 設計された部品の価格の見積もりをコンピュータが支援する支援方法であって、該コンピュータが、
    前記部品の属性値を含む部品設計情報を設計情報格納手段から読み出し、
    前記部品の前記価格の見積もりに必要な項目を一つ以上含むテンプレートをテンプレート格納手段から読み出し、
    表示手段に前記部品と前記属性値を含む図および前記テンプレートを表示し、
    前記図中の前記属性値と、前記項目のうちの一つである第一の項目とを対応づける指示を入力手段から受け取り、
    前記属性値を前記部品設計情報から読み取り、読み取った該属性値に基づいて、前記第一の項目の値を設定し、
    設定された前記第一の項目の前記値に基づいて前記部品の前記価格を算出する、
    ことを特徴とする支援方法。
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