本発明は、電子機器の筐体内のファンユニット取付部にファンユニットを取り付けるためのファンユニットの取付構造に関する。
液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置などの電子機器においては、筐体内に配置される発熱部品の発熱による温度上昇を抑えるために、筐体内を通気するファンを有するファンユニットが取り付けられている。
従来、この種のファンユニットの取付構造としては、例えば、特許文献1(特開平8−172287号公報)に開示されたファンユニットの取付構造がある。
図14Aに示すように、特許文献1のファンユニット100は、複数の回転羽根を有するファン101と、ファン101を回転自在に内蔵するファンハウジング102と、ファンハウジング102を抱持する断面略U字状のバンド金具103とを備えている。
図14Bに示すように、バンド金具103の両端部には、電子機器の筐体内に配置されるファンユニット取付部104に設けられたビス孔104a,104aに対応するようにビス止め用孔103a,103aが設けられている。ビス止め用孔103a,103aを通じてファンユニット取付部104のビス孔104a,104aにビス105が取り付けられることで、ファンユニット100はファンユニット取付部104に取り付けられる。
一方、前記のようにファンユニット100をビス105により取り付ける場合には、ファン101の駆動(回転)により生ずるファンユニット100の振動がビス105を介してファンユニット取付部104に伝達され、騒音が発生する問題点がある。
このため、特許文献1のファンユニット100においては、ファンハウジング102とバンド金具103との間の3箇所に弾性板体106(図14A参照)を設けるとともに、ファンハウジング102とファンユニット取付部104との間に弾性板体107(図14B参照)を設けている。これらの弾性板体106及び107により、ファンユニット100の振動がファンユニット取付部104に伝達されることを抑えている。
また、前記振動の伝達を抑えたファンユニットの取付構造としては、特許文献1の他にも、例えば特許文献2(特開2001−313483号公報)に開示された取付構造のものがある。
特許文献2のファンユニットの取付構造は、ファンハウジングの四隅にそれぞれ、凹部を有する弾性体を嵌合させ、当該ファンユニットを電子機器の筐体の受け入れ部に挿入することで、ファンユニットを取り付けている。この場合、4つの弾性体を介してファンユニットが筐体(ファンユニット取付部)に接触するため、各弾性体により前記振動の伝達を抑えることができる。
しかしながら、前記各ファンユニットの取付構造においては、ビス及び弾性体が固定箇所毎(通常4箇所)に必要であるため、部品点数が多い。すなわち、特許文献1の取付構造においては、少なくともバンド金具と、4つの弾性体と、2つのビスとが必要である。また、特許文献2の取付構造においては、少なくとも4つの弾性体と、受け入れ部とが必要である。このため、組立工数も必然的に多くなる。
また、特許文献1及び2で用いられる弾性体は、ファンユニットに対して相対的に部品サイズが小さく、防振性を持たせるために硬度を低く(柔らかく)設定(例えば硬度40°未満)する必要があるので、僅かな外力でも変形する。このため、弾性体に関連する取付作業は、難度が高く、多大な作業時間を要する。さらに、弾性体の破損及び位置ズレが生じやすく、品質不良を起こす可能性が高い。
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、ファンの駆動による振動がファンユニット取付部に伝達されること抑えて騒音を抑えるとともに、ファンユニットの取付作業を容易に行うことができるファンユニットの取付構造を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、電子機器の筐体内のファンユニット取付部にファンユニットを取り付けるためのファンユニットの取付構造であって、
前記ファンユニットが有するファンの回転軸に対して略平行に延在し且つ前記ファンユニット取付部に一体的に設けられた複数のファンユニット取付用突起部のそれぞれに、ベルト状弾性体を架設するとともに、前記ファンユニットの外周部の複数箇所に前記ベルト状弾性体を接触させて、当該ベルト状弾性体の挟持力により、前記ファンの回転軸方向における前記ファンユニットと前記ファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で前記ファンユニットを保持するようにした、ファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第2態様によれば、前記ファンユニット取付用突起部は、前記ファンユニット取付部に一体的に固定されるファンユニット取付用金具に設けられている、第1態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第3態様によれば、前記ベルト状弾性体と前記ファンユニットの外周面との複数の接触部分と、前記ベルト状弾性体と前記それぞれのファンユニット取付用突起部との複数の接触部分とはそれぞれ、互いに離れて位置する、第2態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第4態様によれば、前記ファンユニットは、外周面に複数のフランジ部を有し、
前記ベルト状弾性体は、前記それぞれのフランジ部に対応する位置に複数の穴部を有し、
前記それぞれのファンユニット取付用突起部に前記ベルト状弾性体を架設するとともに、前記ファンユニットの前記それぞれのフランジ部を前記ベルト状弾性体の前記それぞれの穴部に挿入して、当該ベルト状弾性体の挟持力により、前記ファンの回転軸方向における前記ファンユニットと前記ファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で前記ファンユニットを保持するようにした、第3態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第5態様によれば、前記ベルト状弾性体は、(JIS K6301Aに基づく)硬度が40°〜50°である、第3態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第6態様によれば、前記ベルト状弾性体は、シリコンゴム又はクロロプレンゴムで形成される、第3態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第7態様によれば、前記ベルト状弾性体の両端部を連結固定してリング状弾性体を形成し、
前記それぞれのファンユニット取付用突起部に前記リング状弾性体を引っ掛けるとともに、前記ファンユニットの外周部の複数箇所に前記リング状弾性体を接触させて、当該リング状弾性体の挟持力により、前記ファンの回転軸方向における前記ファンユニットと前記ファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で前記ファンユニットを保持するようにした、第3態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第8態様によれば、前記リング状弾性体は、前記ファンユニットを保持する部分から、前記筐体に設けられた吐出口に向けて延在するように設けられて、吐出用の風洞部を形成する、第7態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第9態様によれば、前記リング状弾性体は、前記ファンユニットを保持する部分から、前記筐体内に配置された発熱部品に向けて延在するように設けられて、吸込用の風洞部を形成する、第7態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第10態様によれば、前記リング状弾性体の前記風洞部を形成する部分の厚みが、前記ファンユニットを保持する部分の厚みよりも小さい、第8態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第11態様によれば、前記ファンユニットは、外周部の一部に送風口を有し、
前記筐体内に配置された発熱部品に向けて前記送風口から風が送られるように、前記リング状弾性体が前記ファンユニットと前記発熱部品とを包含するよう配置されている、第7態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第1態様によれば、ファンユニット取付部(例えば筐体又は筐体内に配置される機器本体)に一体的に設けられた複数のファンユニット取付用突起部のそれぞれにベルト状弾性体を架設するように構成されている。さらに、本発明の第1態様によれば、ファンユニットの外周部の複数箇所にベルト状弾性体を接触させて、ベルト状弾性体の挟持力により、ファンの回転軸方向におけるファンユニットとファンユニット取付部との間に隙間を有する状態でファンユニットを保持するように構成されている。
すなわち、ファンユニットは、ベルト状弾性体に挟持されて、ファンの回転軸方向にファンユニット取付部から浮いた状態で保持されている。このため、ファンの駆動により振動が発生したとしても、当該振動はベルト状弾性体により吸収され、当該振動のファンユニット取付部への伝達は抑えられる。
より具体的には、ファンの回転軸と直交する方向に生じる振動は、ベルト状弾性体がファンユニットを挟持した状態で当該直交方向に撓むことにより吸収される。これにより、ファンユニット取付部に一体的に設けられるファンユニット取付用突起部に、ファンの回転軸と直交方向に生じる振動が伝達されることを抑えることができる。
また、ファンの回転軸方向に生じる振動は、ベルト状弾性体がファンユニットを挟持した状態で当該回転軸方向に撓むことにより吸収される。これにより、ファンユニット取付部に一体的に設けられるファンユニット取付用突起部に、ファンの回転軸方向に生じる振動が伝達されることを抑えることができる。また、このとき、ファンユニットはファンの回転軸方向にファンユニット取付部から浮いた状態で保持されているので、ベルト状弾性体の撓みによりファンの回転軸方向に移動したとしても、ファンユニットとファンユニット取付部との接触を抑えることができる。したがって、ファンの駆動による振動がファンユニット取付部に伝達されることを抑えて騒音を抑えることができる。
また、ベルト状弾性体は、特許文献1又は2に用いる弾性体に比べて明らかに部品サイズが大きいので、僅かな外力では変形し難く、取り扱い易い。したがって、弾性体に関連する取付作業が容易になるので、ファンユニットの取付作業を容易に行うことができる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施の形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1Aは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニットにファンユニット取付用金具とベルト状弾性体とが取り付けられた状態を示す平面図であり、
図1Bは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニットにファンユニット取付用金具とベルト状弾性体とが取り付けられた状態を示す側面図であり、
図2Aは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニットの平面図であり、
図2Bは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニットの側面図であり、
図3Aは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニット取付用金具の平面図であり、
図3Bは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニット取付用金具の側面図であり、
図4は、本発明の第1実施形態にかかるベルト状弾性体の平面図であり、
図5は、ベルト状弾性体の硬度とファンの駆動により生じる騒音値との関係を示すグラフであり、
図6は、本発明の第2実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側面図であり、
図7は、本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側断面図であり、
図8は、本発明の第3実施形態にかかるベルト状弾性体の一部拡大断面図であり、
図9は、本発明の第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側断面図であり、
図10は、ベルト状弾性体の変形例を示す斜視図であり、
図11Aは、本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図であり、
図11Bは、本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側面図であり、
図12は、本発明の第6実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図であり、
図13Aは、本発明の第7実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図であり、
図13Bは、本発明の第7実施形態にかかるファンユニットの他の取付構造を示す平面図であり、
図14Aは、従来のファンユニットの分解斜視図であり、
図14Bは、従来のファンユニットの組立後の斜視図である。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態にかかるファンユニットの取付構造について、図1A、図1B、図2A、図2B、図3A、図3B、及び図4を用いて説明する。図1Aは本発明の第1実施形態にかかるファンユニットにファンユニット取付用金具とベルト状弾性体とが取り付けられた状態を示す平面図であり、図1Bは側面図である。図2Aは本発明の第1実施形態にかかるファンユニットの平面図であり、図2Bは側面図である。図3Aは本発明の第1実施形態にかかるファンユニット取付用金具の平面図であり、図3Bは側面図である。図4は本発明の第1実施形態にかかるベルト状弾性体の平面図である。
本発明の第1実施形態にかかるファンユニット1は、電子機器の筐体内のファンユニット取付部に取り付けられるものであり、特に駆動音の静かさが求められる電子機器(例えば液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、プロジェクションテレビジョン装置、又はパーソナルコンピュータなどの映像機器等)に取り付けられるものである。
本発明の第1実施形態においては、ファンユニット取付用金具2とベルト状弾性体3とにより、ファンユニット1をファンユニット取付部に取り付ける取付構造になっている。ここで、ファンユニット取付部とは、例えば、電子機器の筐体の内面、又は当該筐体内に配置される発熱機器を備える機器本体などに配置される、ファンユニット1を取り付けるための部分をいう。
図2Aにおいて、ファンユニット1は、複数(図2Aでは一例として4つ)の回転羽根を有するファン11と、ファン11を回転自在に内蔵するファンハウジング12とを備えている。
ファン11は、例えば、電子機器の筐体内を通気して冷却する冷却ファンである。ファン11には図示しない駆動用モータが取り付けられ、当該駆動用モータが駆動することにより回転軸11aを中心に回転する。ファン11の回転軸11aは、図示しない連結部材により、ファンハウジング12と連結されている。
ファンハウジング12は、概ね筒状に形成され、外周部12aの下部(図2Bでは右側部分)に複数(図2Aでは一例として4つ)のフランジ部12bを有している。それぞれのフランジ部12bは、図2Aに示すように、ファン11の回転軸11aから離れる方向に外周部12aから放射状に突出している。ファンユニット1をファン11の回転軸11aと直交する平面(つまり図2A)から見た輪郭は、それぞれのフランジ部12bにより略正方形状になっている。
図3A及び図3Bにおいて、ファンユニット取付用金具2は、矩形環状の平板である金具本体21と、金具本体21の外周側のいずれかの辺部分から、金具本体21で形成される面に対して交差方向(例えば直交方向)に突出し、先端部が外方に向けてそれぞれ折れ曲がっている、引掛け用フック部22、ビス止め及び引掛け用フック部23、及び2つのビス止め用フック部24,25とを有している。
引掛け用フック部22とビス止め及び引掛け用フック部23とは、互いに対向するように配置され、2つのビス止め用フック部24,25は互いに対向するように配置されている。ビス止め及び引掛け用フック部23の立ち上がり部分にはビス孔(図示せず)が空けられている。また、ビス止め及び引掛け用フック部23と2つのビス止め用フック部24,25の外方に折れ曲がっているそれぞれの先端部には、ビス止め用孔23a,24a,25aが設けられている。これらのビス止め用孔23a,24a,25aは、ファンユニット取付部に設けられた3つのビス孔(図示せず)に対応して設けられている。なお、ビス止め用孔23a,24a,25aに対応して、ファンユニット取付部に3つのビス孔が設けられてもよい。ビス止め用孔23a,24a,25aを通じて前記各ビス孔にビスが取り付けられることで、ファンユニット取付用金具2は、ファンユニット取付部に一体的に固定される。
なお、本第1実施形態においては、引掛け用フック部22と、ビス止め及び引掛け用フック部23とがそれぞれ、ファンユニット取付用突起部の一例を構成している。
図4において、ベルト状弾性体3は、ゴムなどの弾性体で形成されたベルト状の部材である。ベルト状弾性体3には、ファンハウジング12の4つのフランジ部12bの位置及び大きさに対応して一定の間隔で空けられた複数の穴部の一例である4つのスリット状孔31と、両端部の近傍部分に空けられたビス止め用孔32a,32bとが設けられている。
次に、図1A及び図1Bを参照しつつ、ベルト状弾性体3を用いてファンユニット1をファンユニット取付用金具2に取り付ける取付手順の一例について説明する。
まず、ビス止め及び引掛け用フック部23の立ち上がり部分に空けられたビス孔(図示せず)と、ベルト状弾性体3の一端部に空けられたビス止め用孔32aとを位置合わせする。
前記位置合わせ状態を維持しながら、ファンユニット1の外周部をベルト状弾性体3で巻き込むように、ベルト状弾性体3の各スリット状孔31にファンユニット1の各フランジ部12bを挿入していく。この過程において、図1A及び図1Bに示すようにベルト状弾性体3の中央部分を引掛けフック部22に引っ掛ける。
各スリット状孔31への各フランジ部12bの挿入が完了すると、ベルト状弾性体3の他端部に空けられたビス止め用孔32bと、前記位置合わせしたビス孔(図示せず)及びビス止め用孔32aとを重ね合わせて位置合わせする。この後、それら3つの孔を通じてビス(図示せず)を取り付ける。
これにより、ファンユニット1が、ベルト状弾性体3の挟持力により、図1Bに示すように金具本体21で形成される面に対して隙間を有する状態で保持される。ここで、金具本体21がファンユニット取付部に取り付いたときには、金具本体21で形成される面はファンユニット取付部とほぼ一致する。すなわち、金具本体21がファンユニット取付部に取り付いたときには、ファンユニット1は、ベルト状弾性体3によりファン11の回転軸11aの方向にファンユニット取付部から浮いた状態で保持されることとなる。
なお、ファンユニット1のファンユニット取付部への取付は、ファンユニット取付金具2のみを先に取り付けてから行ってもよいし、ファンユニット取付金具2にベルト状弾性体3によりファンユニット1を取り付けたのちに行ってもよい。
前記のようにベルト状弾性体3により保持されるファンユニット1に、ファン11の駆動によりファン11の回転軸11aと直交する方向に振動が生じたときには、ベルト状弾性体3がファンユニット1を挟持した状態で当該直交方向に撓み、前記振動を吸収する。これにより、ファンユニット取付部に一体的に固定されるファンユニット取付用金具2への振動の伝達を抑えることができるので、騒音を抑えることができる。
また、前記のようにベルト状弾性体3により保持されるファンユニット1に、ファン11の駆動によりファン11の回転軸方向に振動が生じたときには、ベルト状弾性体3がファンユニット1を挟持した状態で当該回転軸方向に撓み、ファン11の回転軸方向の振動を吸収する。これにより、ファンユニット取付部に一体的に固定されるファンユニット取付用金具2への振動の伝達を抑えることができる。また、このとき、ファンユニット1はファン11の回転軸方向にファンユニット取付部から浮いた状態で保持されているので、ベルト状弾性体3がファン11の回転軸方向に撓むことにより、ファンユニット1が回転軸方向に移動したとしても、ファンユニット1とファンユニット取付部との接触を抑えることができる。したがって、ファン11の駆動による振動がファンユニット取付部に伝達されることを抑えて、騒音を抑えることができる。
なお、ベルト状弾性体3とファンユニット1の外周面12aとの複数の接触部分(スリット状孔31とフランジ部12bとの嵌合部分)と、ベルト状弾性体3と複数のファンユニット取付用突起部(引掛け用フック部22,ビス止め及び引掛け用フック部23)との接触部分とは、それぞれ互いに離れて位置させることが好ましい。さらに好ましくは、それらの接触部分の位置を均等に分散させるものとする。これにより、ベルト状弾性体3は、ファンユニット1に均等に弾性力(挟持力)を加えてファンユニット1とファンユニット取付部との隙間を一定に保つことができる。
なお、本発明の第1実施形態においてファンユニット1は、ベルト状弾性体3にのみ接触するようにしているので、騒音の大きさは、ベルト状弾性体3の硬度に依存する。ベルト状弾性体3の硬度を低く設定すれば、防振作用を大きくすることができるが、ファンユニット1の保持(挟持)力は低下する。一方、ベルト状弾性体3の硬度を高く設定すれば、ファンユニット1の保持(挟持)力を高くすることができるが、防振作用は小さくなる。逆に言えば、ファンユニット1の大きさ・重量・振動特性と耐衝撃保持性とのバランスを取って、ベルト状弾性体3の硬度を適切に選択すれば、騒音の抑制作用をより高めることができる。
このことについて、図5を用いて以下に説明する。図5は、本発明の第1実施形態にかかるベルト状弾性体3の硬度とファン11の駆動により生じる騒音値との関係を示すグラフである。図5に示される硬度のデータは、JIS K6301Aに基づくものである。ファン1の駆動による騒音の測定条件としては、以下のように設定した。
ファン:日本電産製ファンモータ、型番D08A−12BL01B、80mm角25mm厚を使用
ファン駆動電圧:12V
測定位置:筐体に取り付けたファンより1m離れた位置(障害物無し)
図5に示されるように、ベルト状弾性体3の硬度が40°であるとき、騒音値は39.1dB(デシベル)であり、ベルト状弾性体3の硬度55°であるとき、騒音値は39.6dB(デシベル)であり、ベルト状弾性体3の硬度65°であるとき、騒音値は39.7dB(デシベル)であった。一方、ビスによりファンユニット取付部に固定する従来のファンユニットの取付構造100Aにおいて同様の条件で測定したときには、騒音値は40.5dBで一定であった。
これにより、ベルト状弾性体3の硬度を、測定した範囲(35°〜70°)のどの硬度に設定した場合においても、従来のファンユニットの取付構造100Aよりも騒音値が減少することがわかる。
一方、ベルト状弾性体3の硬度が40°未満のとき(図5の矢印Aで示す領域)、ベルト状弾性体3によるファンユニット1の保持(挟持)力が不足し、ファンユニット1を保持できないときがあった。また、ベルト状弾性体3の硬度が50°より大きいとき(図5の矢印Cで示す領域)、騒音が体感的に僅かに大きく感じられた。
これにより、ベルト状弾性体3の硬度は、40°以上に設定されることが好ましく、40°〜50°の範囲(図5の矢印Bで示す領域)内で設定されることがさらに好ましいものと思われる。
なお、図示していないが、前記ファンに代えて、一般に民生用電気機器の用いられる冷却ファン:40〜120mm、回転数:数百〜数千RPMを使用し、ベルト状弾性体3の厚さを2〜3mm、幅10mmとした場合においても同様に、ベルト状弾性体3の硬度は40°以上に設定されることが好ましく、40°〜50°の範囲内で設定されることがさらに好ましいことを確認している。
以上のように、本発明の第1実施形態にかかるファンユニット1の取付構造によれば、ベルト状弾性体の挟持力により、ファン11の回転軸方向におけるファンユニット1と筐体との間に隙間を有する状態でファンユニット1を保持するようにしたので、ファンの駆動による振動がファンユニット取付部に伝達されることを抑えて、騒音を抑えることができる。
また、ベルト状弾性体3は、特許文献1又は2に用いる弾性体に比べて明らかに部品サイズが大きいので、僅かな外力では変形し難く、取り扱い易い。また、ファンユニット1の保持力を持たせるためにベルト状弾性体3の硬度を40°以上に設定した場合には、さらに、変形し難く、取り扱いが容易になる。したがって、ベルト状弾性体3に関連する取付作業が容易になるので、ファンユニットの取付作業を容易に行うことができる。
なお、電子機器の筐体内は、高温(例えば50℃)になるため、ベルト状弾性体3に用いる材質としては、高温環境下においても、その寿命中に防振及び強度特性が安定で劣化しない材質、例えばシリコンゴム、クロロプレンゴムなどが選定されることが好ましい。なお、ベルト状弾性体3にそれらの材質を選定した場合においては、想定される使用環境及び想定される使用期間(平均周囲温度50℃、最大温度80℃、伸長率10%、24000時間)では、ほとんど物性が劣化しないことを加速環境試験により確認している。
《第2実施形態》
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2実施形態にかかるファンユニットの取付構造を、図6に示す。図6は、本発明の第2実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側面図である。
前記第1実施形態においては、ファンユニット取付用金具2の引掛け用フック部22とビス止め及び引掛け用フック部23とでそれぞれ、ファンユニット取付用突起部の一例を構成した。本第2実施形態にかかるファンユニットの取付構造では、これらに代えて、電子機器の筐体内に配置される機器本体4に直接、複数のファンユニット取付用突起部41を設けている。それ以外の点については、前記第1実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
本第2実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、ファンユニット取付用金具2、及びこれを取り付けるビス等の取付部品が不要となり、さらなる部品点数の削減、及びコストダウンを図ることができる。また、これにより、ファンユニット1の取付作業がさらに容易になる。
《第3実施形態》
図7を用いて、本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造を説明する。図7は、本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側断面図である。
一般に、ファン11の駆動による振動が電子機器の外郭を形成する筐体5に伝達され騒音が発生するのを避けるために、ファンユニット1と筐体5とは所定の隙間(例えば数mm以上)を空けて配設される。このため、当該隙間により、ファンユニット1の吐き出し風が筐体5に形成された吐出口51(一般に開口率30〜60%程度)に導かれず、風量が減少し、冷却効率が低下することがある。
このため、本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造では、ベルト状弾性体3(図6参照)に代えて、図7に示すように、ファンユニット1を保持する部分から吐出口51に向けて延在するように(例えば吐出口51の周囲の部分に接触するように)形成されたベルト状弾性体3Aを設けている。言い換えれば、本発明の第3実施形態では、ベルト状弾性体3の吐出口51側の部分を吐出口51に向けて延長したベルト状弾性体3Aを用いている。ベルト状弾性体3Aは、両端部を連結固定されてリング状の弾性体を形成し、内側に吐出用の風洞部を形成している。この風洞部により、ファンユニット1の吐き出し風が吐出口51に導かれるようになっている。それ以外の点については、前記第2実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、ベルト状弾性体3Aにより吐出用の風洞部を形成して、ファンユニット1の吐き出し風が吐出口51に導かれるようにしているので、冷却効率の低下を抑えることができる。
一方、前記風洞部を樹脂又は金属で形成した場合には、ファンユニット1の振動が当該風洞部の形成部分を介して伝達され騒音が発生する恐れがある。
これに対して、本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、前記風洞部をベルト状弾性体3Aで構成しているので、ファンユニット1の振動を吸収して、騒音の発生を抑えることができる。また、ファンユニット1の保持と前記風洞部の形成とを、1つのベルト状弾性体3Aにより実現できるので、従来よりも大幅に部品点数を少なくすることができる。したがって、組立工数を大幅に低減して、ファンユニット1の取付作業を容易にすることができる。
なお、図8に示すように、風洞部34を形成する風洞部形成部分35の厚みL2は、ファンユニット1の振動を筐体5に極力伝達しないようにするために、ファンユニット1の保持部分33の厚みL1よりも小さく設定されることが好ましい。より好ましくは、風洞部形成部分35の厚みは保持部分33の厚みの半分以下(例えば、保持部分33の厚みが3.0mmのとき、風洞部形成部分35の厚みを1.5mm以下)とする。
なお、保持部分33と風洞部形成部分35の厚みを異ならせることは、例えばゴム押出し成型で製造することなどによって容易に実現できる。
なお、図8では、保持部分33と風洞形成部分35とのつなぎ目に段差が生じるように示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、保持部分33と風洞形成部分35とのつなぎ目は、緩やかな直線で接続されるように構成されてもよい。すなわち、テーパ状に形成されてもよい。
《第4実施形態》
図9を用いて、本発明の第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造を説明する。図9は、本発明の第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側断面図である。
本第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造では、機器本体4に複数のファンユニット取付用突起部41(図7参照)を設けることに代えて、図9に示すように、筐体5Aに複数のファンユニット取付用突起部52Aを設けている。すなわち、ファンユニット取付部を筐体5側に配置している。この場合、ファンユニット1と機器本体4に配置される発熱部品42との距離が離れて、冷却効率が低下する恐れがある。
このため、本第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造では、さらに、ベルト状弾性体3A(図7参照)に代えて、図9に示すように、ファンユニット1を保持する部分から、機器本体4に配置された発熱部品42に向けて延在するように(例えば発熱部品42の周囲を覆うように)形成されたベルト状弾性体3Bを設けている。ベルト状弾性体3Bは、両端部を連結固定されてリング状の弾性体を形成し、内側に吸込用の風洞部を形成している。この風洞部により、発熱部品42により温められた空気がファンユニット1に導かれるようになっている。それ以外の点については、前記第3実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
本発明の第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、ベルト状弾性体3Bにより吸込用の風洞部を形成して、発熱部品42により温められた空気がファンユニット1に導かれるようにしているので、冷却効率の低下を抑えることができる。
また、本発明の第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、前記風洞部をベルト状弾性体3Bで構成しているので、ファンユニット1の振動を吸収して、騒音の発生を抑えることができる。また、ファンユニット1の保持と前記風洞部の形成とを、1つのベルト状弾性体3Bにより実現できるので、従来よりも大幅に部品点数を少なくすることができる。したがって、組立工数を大幅に低減して、ファンユニット1の取付作業を容易にすることができる。
なお、前記各実施形態においては、ベルト状弾性体の両端部を連結固定することでリング状の弾性体を形成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、最初からリング状(輪ゴム形状)に形成されたリング状弾性体3Cで構成されてもよい。
なお、リング状弾性体3Cの取付は、例えば、以下のように行えばよい。
まず、リング状弾性体3Cを外力により径が大きくなる方向に伸長させる。
この後、伸長させたリング状弾性体3Cの内側にファンユニット1を配置し、ファンユニット1の複数のフランジ部12bを、それらに対応するスリット状孔31に嵌め込む。これにより、ファンユニット1の外周部12aにリング状弾性体3Cが取り付けられる。
この後、各スリット状孔31の間に位置するリング状弾性体3Cの部分を摘んで伸長させ、ファンユニット取付用突起部に引っ掛ける。これにより、ファンユニット1とファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で、リング状弾性体3Cはファンユニット1を保持することができる。
リング状弾性体3Cによりファンユニット1を保持するように構成することで、ビス止め用孔32a,32b、及びこれらに取り付けるビスは不要になる。
なお、このリング状弾性体3Cの作製は、例えば、以下のようにして行えばよい。
まず、ゴム押出し成型により円筒状の弾性体を形成する。この後、円筒状の弾性体の内側同士を接触させて二重にし、プレス加工により一定間隔でスリット状孔31を空ける。この後、当該円筒状の弾性体を任意の幅に裁断して、リング状弾性体3Cを作製する。
これにより、リング状弾性体3Cを、安価で容易に作製することができる。
《第5実施形態》
図11A及び図11Bを用いて、本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造を説明する。図11Aは本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図であり、図11Bはその側面図である。
本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造においては、複数(例えば4つ)のファンユニット取付用突起部41の間に、複数(例えば3つ)のファンユニット1が配置され、それらを包含するようにベルト状弾性体3Dが設けられている。ベルト状弾性体3Dには、図11Bに示すように複数(ファンユニット1の個数の2倍以上)のスリット状孔31が設けられている。これらのスリット状孔31に各ファンユニット1の少なくとも対角線上の2つのフランジ部12bが挿入されるとともに、ベルト状弾性体3dが各ファンユニット取付用突起部41に引っ掛けられる(又はビス止めされる)ことで、各ファンユニット1はベルト状弾性体3Dに保持される。より詳しくは、ベルト状弾性体3Dの挟持力により、各ファンユニット1は、ファンユニット取付部(ここでは機器本体4上に位置する)との間に隙間を有する状態で保持される。それ以外の点については、前記第2実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、一本のベルト状弾性体3Dにより、複数のファンユニット1を保持するよう構成されている。したがって、さらに部品点数を少なくして組立工数を低減したので、ファンユニット1の取付作業をさらに容易にすることができる。
《第6実施形態》
図12を用いて、本発明の第6実施形態にかかるファンユニットの取付構造を説明する。図12は、本発明の第6実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図である。
本発明の第6実施形態にかかるファンユニットの取付構造においては、ベルト状弾性体3Dに代えて、図12に示すように、ベルト状弾性体3D(図11A参照)の半分以下の長さを有する2つのベルト状弾性体3E,3Eを、それぞれ別々の1組のファンユニット取付用突起部41Aの間に架設している。ベルト状弾性体3Eは、ファンユニット取付用突起部41Aに例えばボルトにより固定されている。互いに対向するベルト状弾性体3E,3Eの間には複数(例えば3つ)のファンユニット1が並列されている。各ベルト状弾性体3E,3Eに設けられた複数のスリット状孔(図示せず)に、各ファンユニット1の少なくとも対角線上の2つのフランジ部12bが挿入されることで、各ファンユニット1はベルト状弾性体3E,3Eに保持される。より詳しくは、各ベルト状弾性体3E,3Eの挟持力により、各ファンユニット1は、ファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で保持される。それ以外の点については、前記第5実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
本発明の第6実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、2本のベルト状弾性体3E,3Eにより、複数のファンユニット1を保持するよう構成されている。すなわち、前記各実施形態のようにベルト状弾性体の両端部を連結固定することなしに、ファンユニット1を保持するように構成されている。このように構成されることでも、ファンユニット1とファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で、ファンユニットを保持することが可能である。
なお、前記では2本のベルト状弾性体3E,3Eによりファンユニット1を保持するようにしたが、本発明はこれに限定されず、2本より多くのベルト状弾性体によりファンユニット1を保持するようにしてもよい。
《第7実施形態》
図13A及び図13Bを用いて、本発明の第7実施形態にかかるファンユニットの取付構造を説明する。図13A及び図13Bは、本発明の第7実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図である。
図13A及び図13Bでは、前記した回転軸11aの方向に送風する軸流タイプのファンユニット1の取付構造ではなく、回転軸方向(図13Aの奥行き方向)から空気を取り込み、送風口13Aから風を吐出すシロッコタイプのファンユニット1Aの取付構造について示している。
ファンユニット1Aの外周部12aには、ファンユニット1と同様に複数(例えば3つ)のフランジ部12bが設けられている。また、ファンユニット1Aの外周部12aの一部には送風口13Aが形成されている。
ここで、機器本体4に配置される発熱部品42(図9参照)は、その位置又は発熱量が機器毎に微妙に異なる場合がある。例えば、発熱部品42が位置42A(図13A参照)に位置するときと、位置42B(図13B参照)に位置するときがある。このような場合、ファンユニット1Aの送風口13Aから送られる風が発熱部品42に的確に供給されず、冷却効率が低下する恐れがある。
このため、本発明の第7実施形態では、発熱部品42(図9参照)が位置42Aに位置するとき、図13Aに示すように、複数のファンユニット取付用突起部41にベルト状弾性体3Fを引っ掛けるとともに、ベルト状弾性体3Fの複数のスリット状孔(図示せず)に各フランジ部12bを嵌め込むことで、送風口13Aが位置42Aに向くようにファンユニット1Aを保持するように構成している。このとき、ファンユニット1Aと発熱部品42とを包含するようにベルト状弾性体3Fが配置されるので、ベルト状弾性体3Fは送風口13Aからの風を的確に発熱部品42に導くことができる。これにより、冷却効率を高めることができる。
また、発熱部品42(図9参照)が位置42Bに位置するとき、図13Bに示すように、複数のファンユニット取付用突起部41にベルト状弾性体3Fが引っ掛けるとともに、ベルト状弾性体3Fの複数のスリット状孔(図示せず)に各フランジ部12bを嵌め込むことで、送風口13Aが位置42Bに向くようにファンユニット1Aを保持するように構成している。このとき、ファンユニット1Aと発熱部品42とを包含するようにベルト状弾性体3Fが配置されるので、ベルト状弾性体3Fは送風口13Aからの風を的確に発熱部品42に導くことができる。これにより、冷却効率を高めることができる。
したがって、本発明の第7実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、発熱部品42の位置又は発熱量が機器毎に微妙に異なる場合であっても、それに応じて複数のファンユニット取付用突起部41の引掛け位置を選択することで、送風口13Aからの風を的確に発熱部品42に導くことができる。また、ベルト状弾性体3Fの引掛け位置を選択するだけで冷却効率の低下を抑えることができるので、低コストである。
なお、前記各実施形態では、ベルト状弾性体にスリット状穴31を設け、当該スリット状孔31にフランジ部12bを挿入することで、ベルト状弾性体がファンユニットを接触保持するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ベルト状弾性体の弾性力のみでファンユニットを保持するようにしてもよい。また、ベルト状弾性体とファンユニットとをビスにより固定してもよい。この場合、ベルト状弾性体がファン1の駆動による振動を吸収できるように、ビス止め箇所は極力少なく(例えば1箇所)することが好ましい。また、ファンユニット取付用突起部22,23,41,52Aは、ファンユニット1,1Aの外周部12aに広い面積で接触できるように、ファンユニット1(1A)の外周部12a又はファン11の回転軸11aに対して略平行に延在するように設けられることが好ましい。
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
2007年4月16日に出願された日本国特許出願No.2007−106840号の明細書、図面、および特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。
本発明にかかるファンユニットの取付構造は、ファンの駆動による振動がファンユニット取付部に伝達されることを抑えて騒音を抑えるとともに、ファンユニットの取付作業を容易に行うことができるので、駆動音の静かさが求められる電子機器、特に液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置などの映像機器に有用である。
本発明は、電子機器の筐体内のファンユニット取付部にファンユニットを取り付けるためのファンユニットの取付構造に関する。
液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置などの電子機器においては、筐体内に配置される発熱部品の発熱による温度上昇を抑えるために、筐体内を通気するファンを有するファンユニットが取り付けられている。
従来、この種のファンユニットの取付構造としては、例えば、特許文献1(特開平8−172287号公報)に開示されたファンユニットの取付構造がある。
図14Aに示すように、特許文献1のファンユニット100は、複数の回転羽根を有するファン101と、ファン101を回転自在に内蔵するファンハウジング102と、ファンハウジング102を抱持する断面略U字状のバンド金具103とを備えている。
図14Bに示すように、バンド金具103の両端部には、電子機器の筐体内に配置されるファンユニット取付部104に設けられたビス孔104a,104aに対応するようにビス止め用孔103a,103aが設けられている。ビス止め用孔103a,103aを通じてファンユニット取付部104のビス孔104a,104aにビス105が取り付けられることで、ファンユニット100はファンユニット取付部104に取り付けられる。
一方、前記のようにファンユニット100をビス105により取り付ける場合には、ファン101の駆動(回転)により生ずるファンユニット100の振動がビス105を介してファンユニット取付部104に伝達され、騒音が発生する問題点がある。
このため、特許文献1のファンユニット100においては、ファンハウジング102とバンド金具103との間の3箇所に弾性板体106(図14A参照)を設けるとともに、ファンハウジング102とファンユニット取付部104との間に弾性板体107(図14B参照)を設けている。これらの弾性板体106及び107により、ファンユニット100の振動がファンユニット取付部104に伝達されることを抑えている。
また、前記振動の伝達を抑えたファンユニットの取付構造としては、特許文献1の他にも、例えば特許文献2(特開2001−313483号公報)に開示された取付構造のものがある。
特許文献2のファンユニットの取付構造は、ファンハウジングの四隅にそれぞれ、凹部を有する弾性体を嵌合させ、当該ファンユニットを電子機器の筐体の受け入れ部に挿入することで、ファンユニットを取り付けている。この場合、4つの弾性体を介してファンユニットが筐体(ファンユニット取付部)に接触するため、各弾性体により前記振動の伝達を抑えることができる。
しかしながら、前記各ファンユニットの取付構造においては、ビス及び弾性体が固定箇所毎(通常4箇所)に必要であるため、部品点数が多い。すなわち、特許文献1の取付構造においては、少なくともバンド金具と、4つの弾性体と、2つのビスとが必要である。また、特許文献2の取付構造においては、少なくとも4つの弾性体と、受け入れ部とが必要である。このため、組立工数も必然的に多くなる。
また、特許文献1及び2で用いられる弾性体は、ファンユニットに対して相対的に部品サイズが小さく、防振性を持たせるために硬度を低く(柔らかく)設定(例えば硬度40°未満)する必要があるので、僅かな外力でも変形する。このため、弾性体に関連する取付作業は、難度が高く、多大な作業時間を要する。さらに、弾性体の破損及び位置ズレが生じやすく、品質不良を起こす可能性が高い。
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、ファンの駆動による振動がファンユニット取付部に伝達されること抑えて騒音を抑えるとともに、ファンユニットの取付作業を容易に行うことができるファンユニットの取付構造を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、電子機器の筐体内のファンユニット取付部にファンユニットを取り付けるためのファンユニットの取付構造であって、
前記ファンユニットが有するファンの回転軸に対して略平行に延在し且つ前記ファンユニット取付部に一体的に設けられた複数のファンユニット取付用突起部のそれぞれに、ベルト状弾性体を架設するとともに、前記ファンユニットの外周部の複数箇所に前記ベルト状弾性体を接触させて、当該ベルト状弾性体の挟持力により、前記ファンの回転軸方向における前記ファンユニットと前記ファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で前記ファンユニットを保持するようにした、ファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第2態様によれば、前記ファンユニット取付用突起部は、前記ファンユニット取付部に一体的に固定されるファンユニット取付用金具に設けられている、第1態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第3態様によれば、前記ベルト状弾性体と前記ファンユニットの外周面との複数の接触部分と、前記ベルト状弾性体と前記それぞれのファンユニット取付用突起部との複数の接触部分とはそれぞれ、互いに離れて位置する、第2態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第4態様によれば、前記ファンユニットは、外周面に複数のフランジ部を有し、
前記ベルト状弾性体は、前記それぞれのフランジ部に対応する位置に複数の穴部を有し、
前記それぞれのファンユニット取付用突起部に前記ベルト状弾性体を架設するとともに、前記ファンユニットの前記それぞれのフランジ部を前記ベルト状弾性体の前記それぞれの穴部に挿入して、当該ベルト状弾性体の挟持力により、前記ファンの回転軸方向における前記ファンユニットと前記ファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で前記ファンユニットを保持するようにした、第3態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第5態様によれば、前記ベルト状弾性体は、(JIS K6301Aに基づく)硬度が40°〜50°である、第3態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第6態様によれば、前記ベルト状弾性体は、シリコンゴム又はクロロプレンゴムで形成される、第3態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第7態様によれば、前記ベルト状弾性体の両端部を連結固定してリング状弾性体を形成し、
前記それぞれのファンユニット取付用突起部に前記リング状弾性体を引っ掛けるとともに、前記ファンユニットの外周部の複数箇所に前記リング状弾性体を接触させて、当該リング状弾性体の挟持力により、前記ファンの回転軸方向における前記ファンユニットと前記ファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で前記ファンユニットを保持するようにした、第3態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第8態様によれば、前記リング状弾性体は、前記ファンユニットを保持する部分から、前記筐体に設けられた吐出口に向けて延在するように設けられて、吐出用の風洞部を形成する、第7態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第9態様によれば、前記リング状弾性体は、前記ファンユニットを保持する部分から、前記筐体内に配置された発熱部品に向けて延在するように設けられて、吸込用の風洞部を形成する、第7態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第10態様によれば、前記リング状弾性体の前記風洞部を形成する部分の厚みが、前記ファンユニットを保持する部分の厚みよりも小さい、第8態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第11態様によれば、前記ファンユニットは、外周部の一部に送風口を有し、
前記筐体内に配置された発熱部品に向けて前記送風口から風が送られるように、前記リング状弾性体が前記ファンユニットと前記発熱部品とを包含するよう配置されている、第7態様に記載のファンユニットの取付構造を提供する。
本発明の第1態様によれば、ファンユニット取付部(例えば筐体又は筐体内に配置される機器本体)に一体的に設けられた複数のファンユニット取付用突起部のそれぞれにベルト状弾性体を架設するように構成されている。さらに、本発明の第1態様によれば、ファンユニットの外周部の複数箇所にベルト状弾性体を接触させて、ベルト状弾性体の挟持力により、ファンの回転軸方向におけるファンユニットとファンユニット取付部との間に隙間を有する状態でファンユニットを保持するように構成されている。
すなわち、ファンユニットは、ベルト状弾性体に挟持されて、ファンの回転軸方向にファンユニット取付部から浮いた状態で保持されている。このため、ファンの駆動により振動が発生したとしても、当該振動はベルト状弾性体により吸収され、当該振動のファンユニット取付部への伝達は抑えられる。
より具体的には、ファンの回転軸と直交する方向に生じる振動は、ベルト状弾性体がファンユニットを挟持した状態で当該直交方向に撓むことにより吸収される。これにより、ファンユニット取付部に一体的に設けられるファンユニット取付用突起部に、ファンの回転軸と直交方向に生じる振動が伝達されることを抑えることができる。
また、ファンの回転軸方向に生じる振動は、ベルト状弾性体がファンユニットを挟持した状態で当該回転軸方向に撓むことにより吸収される。これにより、ファンユニット取付部に一体的に設けられるファンユニット取付用突起部に、ファンの回転軸方向に生じる振動が伝達されることを抑えることができる。また、このとき、ファンユニットはファンの回転軸方向にファンユニット取付部から浮いた状態で保持されているので、ベルト状弾性体の撓みによりファンの回転軸方向に移動したとしても、ファンユニットとファンユニット取付部との接触を抑えることができる。したがって、ファンの駆動による振動がファンユニット取付部に伝達されることを抑えて騒音を抑えることができる。
また、ベルト状弾性体は、特許文献1又は2に用いる弾性体に比べて明らかに部品サイズが大きいので、僅かな外力では変形し難く、取り扱い易い。したがって、弾性体に関連する取付作業が容易になるので、ファンユニットの取付作業を容易に行うことができる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施の形態に関連した次の記述から明らかになる。
図1Aは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニットにファンユニット取付用金具とベルト状弾性体とが取り付けられた状態を示す平面図である。
図1Bは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニットにファンユニット取付用金具とベルト状弾性体とが取り付けられた状態を示す側面図である。
図2Aは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニットの平面図である。
図2Bは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニットの側面図である。
図3Aは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニット取付用金具の平面図である。
図3Bは、本発明の第1実施形態にかかるファンユニット取付用金具の側面図である。
図4は、本発明の第1実施形態にかかるベルト状弾性体の平面図である。
図5は、ベルト状弾性体の硬度とファンの駆動により生じる騒音値との関係を示すグラフである。
図6は、本発明の第2実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側面図である。
図7は、本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側断面図である。
図8は、本発明の第3実施形態にかかるベルト状弾性体の一部拡大断面図である。
図9は、本発明の第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側断面図である。
図10は、ベルト状弾性体の変形例を示す斜視図である。
図11Aは、本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図である。
図11Bは、本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側面図である。
図12は、本発明の第6実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図である。
図13Aは、本発明の第7実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図である。
図13Bは、本発明の第7実施形態にかかるファンユニットの他の取付構造を示す平面図である。
図14Aは、従来のファンユニットの分解斜視図である。
図14Bは、従来のファンユニットの組立後の斜視図である。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態にかかるファンユニットの取付構造について、図1A、図1B、図2A、図2B、図3A、図3B、及び図4を用いて説明する。図1Aは本発明の第1実施形態にかかるファンユニットにファンユニット取付用金具とベルト状弾性体とが取り付けられた状態を示す平面図であり、図1Bは側面図である。図2Aは本発明の第1実施形態にかかるファンユニットの平面図であり、図2Bは側面図である。図3Aは本発明の第1実施形態にかかるファンユニット取付用金具の平面図であり、図3Bは側面図である。図4は本発明の第1実施形態にかかるベルト状弾性体の平面図である。
本発明の第1実施形態にかかるファンユニット1は、電子機器の筐体内のファンユニット取付部に取り付けられるものであり、特に駆動音の静かさが求められる電子機器(例えば液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、プロジェクションテレビジョン装置、又はパーソナルコンピュータなどの映像機器等)に取り付けられるものである。
本発明の第1実施形態においては、ファンユニット取付用金具2とベルト状弾性体3とにより、ファンユニット1をファンユニット取付部に取り付ける取付構造になっている。ここで、ファンユニット取付部とは、例えば、電子機器の筐体の内面、又は当該筐体内に配置される発熱機器を備える機器本体などに配置される、ファンユニット1を取り付けるための部分をいう。
図2Aにおいて、ファンユニット1は、複数(図2Aでは一例として4つ)の回転羽根を有するファン11と、ファン11を回転自在に内蔵するファンハウジング12とを備えている。
ファン11は、例えば、電子機器の筐体内を通気して冷却する冷却ファンである。ファン11には図示しない駆動用モータが取り付けられ、当該駆動用モータが駆動することにより回転軸11aを中心に回転する。ファン11の回転軸11aは、図示しない連結部材により、ファンハウジング12と連結されている。
ファンハウジング12は、概ね筒状に形成され、外周部12aの下部(図2Bでは右側部分)に複数(図2Aでは一例として4つ)のフランジ部12bを有している。それぞれのフランジ部12bは、図2Aに示すように、ファン11の回転軸11aから離れる方向に外周部12aから放射状に突出している。ファンユニット1をファン11の回転軸11aと直交する平面(つまり図2A)から見た輪郭は、それぞれのフランジ部12bにより略正方形状になっている。
図3A及び図3Bにおいて、ファンユニット取付用金具2は、矩形環状の平板である金具本体21と、金具本体21の外周側のいずれかの辺部分から、金具本体21で形成される面に対して交差方向(例えば直交方向)に突出し、先端部が外方に向けてそれぞれ折れ曲がっている、引掛け用フック部22、ビス止め及び引掛け用フック部23、及び2つのビス止め用フック部24,25とを有している。
引掛け用フック部22とビス止め及び引掛け用フック部23とは、互いに対向するように配置され、2つのビス止め用フック部24,25は互いに対向するように配置されている。ビス止め及び引掛け用フック部23の立ち上がり部分にはビス孔(図示せず)が空けられている。また、ビス止め及び引掛け用フック部23と2つのビス止め用フック部24,25の外方に折れ曲がっているそれぞれの先端部には、ビス止め用孔23a,24a,25aが設けられている。これらのビス止め用孔23a,24a,25aは、ファンユニット取付部に設けられた3つのビス孔(図示せず)に対応して設けられている。なお、ビス止め用孔23a,24a,25aに対応して、ファンユニット取付部に3つのビス孔が設けられてもよい。ビス止め用孔23a,24a,25aを通じて前記各ビス孔にビスが取り付けられることで、ファンユニット取付用金具2は、ファンユニット取付部に一体的に固定される。
なお、本第1実施形態においては、引掛け用フック部22と、ビス止め及び引掛け用フック部23とがそれぞれ、ファンユニット取付用突起部の一例を構成している。
図4において、ベルト状弾性体3は、ゴムなどの弾性体で形成されたベルト状の部材である。ベルト状弾性体3には、ファンハウジング12の4つのフランジ部12bの位置及び大きさに対応して一定の間隔で空けられた複数の穴部の一例である4つのスリット状孔31と、両端部の近傍部分に空けられたビス止め用孔32a,32bとが設けられている。
次に、図1A及び図1Bを参照しつつ、ベルト状弾性体3を用いてファンユニット1をファンユニット取付用金具2に取り付ける取付手順の一例について説明する。
まず、ビス止め及び引掛け用フック部23の立ち上がり部分に空けられたビス孔(図示せず)と、ベルト状弾性体3の一端部に空けられたビス止め用孔32aとを位置合わせする。
前記位置合わせ状態を維持しながら、ファンユニット1の外周部をベルト状弾性体3で巻き込むように、ベルト状弾性体3の各スリット状孔31にファンユニット1の各フランジ部12bを挿入していく。この過程において、図1A及び図1Bに示すようにベルト状弾性体3の中央部分を引掛けフック部22に引っ掛ける。
各スリット状孔31への各フランジ部12bの挿入が完了すると、ベルト状弾性体3の他端部に空けられたビス止め用孔32bと、前記位置合わせしたビス孔(図示せず)及びビス止め用孔32aとを重ね合わせて位置合わせする。この後、それら3つの孔を通じてビス(図示せず)を取り付ける。
これにより、ファンユニット1が、ベルト状弾性体3の挟持力により、図1Bに示すように金具本体21で形成される面に対して隙間を有する状態で保持される。ここで、金具本体21がファンユニット取付部に取り付いたときには、金具本体21で形成される面はファンユニット取付部とほぼ一致する。すなわち、金具本体21がファンユニット取付部に取り付いたときには、ファンユニット1は、ベルト状弾性体3によりファン11の回転軸11aの方向にファンユニット取付部から浮いた状態で保持されることとなる。
なお、ファンユニット1のファンユニット取付部への取付は、ファンユニット取付金具2のみを先に取り付けてから行ってもよいし、ファンユニット取付金具2にベルト状弾性体3によりファンユニット1を取り付けたのちに行ってもよい。
前記のようにベルト状弾性体3により保持されるファンユニット1に、ファン11の駆動によりファン11の回転軸11aと直交する方向に振動が生じたときには、ベルト状弾性体3がファンユニット1を挟持した状態で当該直交方向に撓み、前記振動を吸収する。これにより、ファンユニット取付部に一体的に固定されるファンユニット取付用金具2への振動の伝達を抑えることができるので、騒音を抑えることができる。
また、前記のようにベルト状弾性体3により保持されるファンユニット1に、ファン11の駆動によりファン11の回転軸方向に振動が生じたときには、ベルト状弾性体3がファンユニット1を挟持した状態で当該回転軸方向に撓み、ファン11の回転軸方向の振動を吸収する。これにより、ファンユニット取付部に一体的に固定されるファンユニット取付用金具2への振動の伝達を抑えることができる。また、このとき、ファンユニット1はファン11の回転軸方向にファンユニット取付部から浮いた状態で保持されているので、ベルト状弾性体3がファン11の回転軸方向に撓むことにより、ファンユニット1が回転軸方向に移動したとしても、ファンユニット1とファンユニット取付部との接触を抑えることができる。したがって、ファン11の駆動による振動がファンユニット取付部に伝達されることを抑えて、騒音を抑えることができる。
なお、ベルト状弾性体3とファンユニット1の外周面12aとの複数の接触部分(スリット状孔31とフランジ部12bとの嵌合部分)と、ベルト状弾性体3と複数のファンユニット取付用突起部(引掛け用フック部22,ビス止め及び引掛け用フック部23)との接触部分とは、それぞれ互いに離れて位置させることが好ましい。さらに好ましくは、それらの接触部分の位置を均等に分散させるものとする。これにより、ベルト状弾性体3は、ファンユニット1に均等に弾性力(挟持力)を加えてファンユニット1とファンユニット取付部との隙間を一定に保つことができる。
なお、本発明の第1実施形態においてファンユニット1は、ベルト状弾性体3にのみ接触するようにしているので、騒音の大きさは、ベルト状弾性体3の硬度に依存する。ベルト状弾性体3の硬度を低く設定すれば、防振作用を大きくすることができるが、ファンユニット1の保持(挟持)力は低下する。一方、ベルト状弾性体3の硬度を高く設定すれば、ファンユニット1の保持(挟持)力を高くすることができるが、防振作用は小さくなる。逆に言えば、ファンユニット1の大きさ・重量・振動特性と耐衝撃保持性とのバランスを取って、ベルト状弾性体3の硬度を適切に選択すれば、騒音の抑制作用をより高めることができる。
このことについて、図5を用いて以下に説明する。図5は、本発明の第1実施形態にかかるベルト状弾性体3の硬度とファン11の駆動により生じる騒音値との関係を示すグラフである。図5に示される硬度のデータは、JIS K6301Aに基づくものである。ファン1の駆動による騒音の測定条件としては、以下のように設定した。
ファン:日本電産製ファンモータ、型番D08A−12BL01B、80mm角25mm厚を使用
ファン駆動電圧:12V
測定位置:筐体に取り付けたファンより1m離れた位置(障害物無し)
図5に示されるように、ベルト状弾性体3の硬度が40°であるとき、騒音値は39.1dB(デシベル)であり、ベルト状弾性体3の硬度55°であるとき、騒音値は39.6dB(デシベル)であり、ベルト状弾性体3の硬度65°であるとき、騒音値は39.7dB(デシベル)であった。一方、ビスによりファンユニット取付部に固定する従来のファンユニットの取付構造100Aにおいて同様の条件で測定したときには、騒音値は40.5dBで一定であった。
これにより、ベルト状弾性体3の硬度を、測定した範囲(35°〜70°)のどの硬度に設定した場合においても、従来のファンユニットの取付構造100Aよりも騒音値が減少することがわかる。
一方、ベルト状弾性体3の硬度が40°未満のとき(図5の矢印Aで示す領域)、ベルト状弾性体3によるファンユニット1の保持(挟持)力が不足し、ファンユニット1を保持できないときがあった。また、ベルト状弾性体3の硬度が50°より大きいとき(図5の矢印Cで示す領域)、騒音が体感的に僅かに大きく感じられた。
これにより、ベルト状弾性体3の硬度は、40°以上に設定されることが好ましく、40°〜50°の範囲(図5の矢印Bで示す領域)内で設定されることがさらに好ましいものと思われる。
なお、図示していないが、前記ファンに代えて、一般に民生用電気機器の用いられる冷却ファン:40〜120mm、回転数:数百〜数千RPMを使用し、ベルト状弾性体3の厚さを2〜3mm、幅10mmとした場合においても同様に、ベルト状弾性体3の硬度は40°以上に設定されることが好ましく、40°〜50°の範囲内で設定されることがさらに好ましいことを確認している。
以上のように、本発明の第1実施形態にかかるファンユニット1の取付構造によれば、ベルト状弾性体の挟持力により、ファン11の回転軸方向におけるファンユニット1と筐体との間に隙間を有する状態でファンユニット1を保持するようにしたので、ファンの駆動による振動がファンユニット取付部に伝達されることを抑えて、騒音を抑えることができる。
また、ベルト状弾性体3は、特許文献1又は2に用いる弾性体に比べて明らかに部品サイズが大きいので、僅かな外力では変形し難く、取り扱い易い。また、ファンユニット1の保持力を持たせるためにベルト状弾性体3の硬度を40°以上に設定した場合には、さらに、変形し難く、取り扱いが容易になる。したがって、ベルト状弾性体3に関連する取付作業が容易になるので、ファンユニットの取付作業を容易に行うことができる。
なお、電子機器の筐体内は、高温(例えば50℃)になるため、ベルト状弾性体3に用いる材質としては、高温環境下においても、その寿命中に防振及び強度特性が安定で劣化しない材質、例えばシリコンゴム、クロロプレンゴムなどが選定されることが好ましい。なお、ベルト状弾性体3にそれらの材質を選定した場合においては、想定される使用環境及び想定される使用期間(平均周囲温度50℃、最大温度80℃、伸長率10%、24000時間)では、ほとんど物性が劣化しないことを加速環境試験により確認している。
《第2実施形態》
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2実施形態にかかるファンユニットの取付構造を、図6に示す。図6は、本発明の第2実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側面図である。
前記第1実施形態においては、ファンユニット取付用金具2の引掛け用フック部22とビス止め及び引掛け用フック部23とでそれぞれ、ファンユニット取付用突起部の一例を構成した。本第2実施形態にかかるファンユニットの取付構造では、これらに代えて、電子機器の筐体内に配置される機器本体4に直接、複数のファンユニット取付用突起部41を設けている。それ以外の点については、前記第1実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
本第2実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、ファンユニット取付用金具2、及びこれを取り付けるビス等の取付部品が不要となり、さらなる部品点数の削減、及びコストダウンを図ることができる。また、これにより、ファンユニット1の取付作業がさらに容易になる。
《第3実施形態》
図7を用いて、本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造を説明する。図7は、本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側断面図である。
一般に、ファン11の駆動による振動が電子機器の外郭を形成する筐体5に伝達され騒音が発生するのを避けるために、ファンユニット1と筐体5とは所定の隙間(例えば数mm以上)を空けて配設される。このため、当該隙間により、ファンユニット1の吐き出し風が筐体5に形成された吐出口51(一般に開口率30〜60%程度)に導かれず、風量が減少し、冷却効率が低下することがある。
このため、本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造では、ベルト状弾性体3(図6参照)に代えて、図7に示すように、ファンユニット1を保持する部分から吐出口51に向けて延在するように(例えば吐出口51の周囲の部分に接触するように)形成されたベルト状弾性体3Aを設けている。言い換えれば、本発明の第3実施形態では、ベルト状弾性体3の吐出口51側の部分を吐出口51に向けて延長したベルト状弾性体3Aを用いている。ベルト状弾性体3Aは、両端部を連結固定されてリング状の弾性体を形成し、内側に吐出用の風洞部を形成している。この風洞部により、ファンユニット1の吐き出し風が吐出口51に導かれるようになっている。それ以外の点については、前記第2実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、ベルト状弾性体3Aにより吐出用の風洞部を形成して、ファンユニット1の吐き出し風が吐出口51に導かれるようにしているので、冷却効率の低下を抑えることができる。
一方、前記風洞部を樹脂又は金属で形成した場合には、ファンユニット1の振動が当該風洞部の形成部分を介して伝達され騒音が発生する恐れがある。
これに対して、本発明の第3実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、前記風洞部をベルト状弾性体3Aで構成しているので、ファンユニット1の振動を吸収して、騒音の発生を抑えることができる。また、ファンユニット1の保持と前記風洞部の形成とを、1つのベルト状弾性体3Aにより実現できるので、従来よりも大幅に部品点数を少なくすることができる。したがって、組立工数を大幅に低減して、ファンユニット1の取付作業を容易にすることができる。
なお、図8に示すように、風洞部34を形成する風洞部形成部分35の厚みL2は、ファンユニット1の振動を筐体5に極力伝達しないようにするために、ファンユニット1の保持部分33の厚みL1よりも小さく設定されることが好ましい。より好ましくは、風洞部形成部分35の厚みは保持部分33の厚みの半分以下(例えば、保持部分33の厚みが3.0mmのとき、風洞部形成部分35の厚みを1.5mm以下)とする。
なお、保持部分33と風洞部形成部分35の厚みを異ならせることは、例えばゴム押出し成型で製造することなどによって容易に実現できる。
なお、図8では、保持部分33と風洞形成部分35とのつなぎ目に段差が生じるように示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、保持部分33と風洞形成部分35とのつなぎ目は、緩やかな直線で接続されるように構成されてもよい。すなわち、テーパ状に形成されてもよい。
《第4実施形態》
図9を用いて、本発明の第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造を説明する。図9は、本発明の第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す側断面図である。
本第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造では、機器本体4に複数のファンユニット取付用突起部41(図7参照)を設けることに代えて、図9に示すように、筐体5Aに複数のファンユニット取付用突起部52Aを設けている。すなわち、ファンユニット取付部を筐体5側に配置している。この場合、ファンユニット1と機器本体4に配置される発熱部品42との距離が離れて、冷却効率が低下する恐れがある。
このため、本第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造では、さらに、ベルト状弾性体3A(図7参照)に代えて、図9に示すように、ファンユニット1を保持する部分から、機器本体4に配置された発熱部品42に向けて延在するように(例えば発熱部品42の周囲を覆うように)形成されたベルト状弾性体3Bを設けている。ベルト状弾性体3Bは、両端部を連結固定されてリング状の弾性体を形成し、内側に吸込用の風洞部を形成している。この風洞部により、発熱部品42により温められた空気がファンユニット1に導かれるようになっている。それ以外の点については、前記第3実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
本発明の第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、ベルト状弾性体3Bにより吸込用の風洞部を形成して、発熱部品42により温められた空気がファンユニット1に導かれるようにしているので、冷却効率の低下を抑えることができる。
また、本発明の第4実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、前記風洞部をベルト状弾性体3Bで構成しているので、ファンユニット1の振動を吸収して、騒音の発生を抑えることができる。また、ファンユニット1の保持と前記風洞部の形成とを、1つのベルト状弾性体3Bにより実現できるので、従来よりも大幅に部品点数を少なくすることができる。したがって、組立工数を大幅に低減して、ファンユニット1の取付作業を容易にすることができる。
なお、前記各実施形態においては、ベルト状弾性体の両端部を連結固定することでリング状の弾性体を形成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、最初からリング状(輪ゴム形状)に形成されたリング状弾性体3Cで構成されてもよい。
なお、リング状弾性体3Cの取付は、例えば、以下のように行えばよい。
まず、リング状弾性体3Cを外力により径が大きくなる方向に伸長させる。
この後、伸長させたリング状弾性体3Cの内側にファンユニット1を配置し、ファンユニット1の複数のフランジ部12bを、それらに対応するスリット状孔31に嵌め込む。これにより、ファンユニット1の外周部12aにリング状弾性体3Cが取り付けられる。
この後、各スリット状孔31の間に位置するリング状弾性体3Cの部分を摘んで伸長させ、ファンユニット取付用突起部に引っ掛ける。これにより、ファンユニット1とファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で、リング状弾性体3Cはファンユニット1を保持することができる。
リング状弾性体3Cによりファンユニット1を保持するように構成することで、ビス止め用孔32a,32b、及びこれらに取り付けるビスは不要になる。
なお、このリング状弾性体3Cの作製は、例えば、以下のようにして行えばよい。
まず、ゴム押出し成型により円筒状の弾性体を形成する。この後、円筒状の弾性体の内側同士を接触させて二重にし、プレス加工により一定間隔でスリット状孔31を空ける。この後、当該円筒状の弾性体を任意の幅に裁断して、リング状弾性体3Cを作製する。
これにより、リング状弾性体3Cを、安価で容易に作製することができる。
《第5実施形態》
図11A及び図11Bを用いて、本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造を説明する。図11Aは本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図であり、図11Bはその側面図である。
本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造においては、複数(例えば4つ)のファンユニット取付用突起部41の間に、複数(例えば3つ)のファンユニット1が配置され、それらを包含するようにベルト状弾性体3Dが設けられている。ベルト状弾性体3Dには、図11Bに示すように複数(ファンユニット1の個数の2倍以上)のスリット状孔31が設けられている。これらのスリット状孔31に各ファンユニット1の少なくとも対角線上の2つのフランジ部12bが挿入されるとともに、ベルト状弾性体3dが各ファンユニット取付用突起部41に引っ掛けられる(又はビス止めされる)ことで、各ファンユニット1はベルト状弾性体3Dに保持される。より詳しくは、ベルト状弾性体3Dの挟持力により、各ファンユニット1は、ファンユニット取付部(ここでは機器本体4上に位置する)との間に隙間を有する状態で保持される。それ以外の点については、前記第2実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
本発明の第5実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、一本のベルト状弾性体3Dにより、複数のファンユニット1を保持するよう構成されている。したがって、さらに部品点数を少なくして組立工数を低減したので、ファンユニット1の取付作業をさらに容易にすることができる。
《第6実施形態》
図12を用いて、本発明の第6実施形態にかかるファンユニットの取付構造を説明する。図12は、本発明の第6実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図である。
本発明の第6実施形態にかかるファンユニットの取付構造においては、ベルト状弾性体3Dに代えて、図12に示すように、ベルト状弾性体3D(図11A参照)の半分以下の長さを有する2つのベルト状弾性体3E,3Eを、それぞれ別々の1組のファンユニット取付用突起部41Aの間に架設している。ベルト状弾性体3Eは、ファンユニット取付用突起部41Aに例えばボルトにより固定されている。互いに対向するベルト状弾性体3E,3Eの間には複数(例えば3つ)のファンユニット1が並列されている。各ベルト状弾性体3E,3Eに設けられた複数のスリット状孔(図示せず)に、各ファンユニット1の少なくとも対角線上の2つのフランジ部12bが挿入されることで、各ファンユニット1はベルト状弾性体3E,3Eに保持される。より詳しくは、各ベルト状弾性体3E,3Eの挟持力により、各ファンユニット1は、ファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で保持される。それ以外の点については、前記第5実施形態と同様であるので重複する説明は省略する。
本発明の第6実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、2本のベルト状弾性体3E,3Eにより、複数のファンユニット1を保持するよう構成されている。すなわち、前記各実施形態のようにベルト状弾性体の両端部を連結固定することなしに、ファンユニット1を保持するように構成されている。このように構成されることでも、ファンユニット1とファンユニット取付部との間に隙間を有する状態で、ファンユニットを保持することが可能である。
なお、前記では2本のベルト状弾性体3E,3Eによりファンユニット1を保持するようにしたが、本発明はこれに限定されず、2本より多くのベルト状弾性体によりファンユニット1を保持するようにしてもよい。
《第7実施形態》
図13A及び図13Bを用いて、本発明の第7実施形態にかかるファンユニットの取付構造を説明する。図13A及び図13Bは、本発明の第7実施形態にかかるファンユニットの取付構造を示す平面図である。
図13A及び図13Bでは、前記した回転軸11aの方向に送風する軸流タイプのファンユニット1の取付構造ではなく、回転軸方向(図13Aの奥行き方向)から空気を取り込み、送風口13Aから風を吐出すシロッコタイプのファンユニット1Aの取付構造について示している。
ファンユニット1Aの外周部12aには、ファンユニット1と同様に複数(例えば3つ)のフランジ部12bが設けられている。また、ファンユニット1Aの外周部12aの一部には送風口13Aが形成されている。
ここで、機器本体4に配置される発熱部品42(図9参照)は、その位置又は発熱量が機器毎に微妙に異なる場合がある。例えば、発熱部品42が位置42A(図13A参照)に位置するときと、位置42B(図13B参照)に位置するときがある。このような場合、ファンユニット1Aの送風口13Aから送られる風が発熱部品42に的確に供給されず、冷却効率が低下する恐れがある。
このため、本発明の第7実施形態では、発熱部品42(図9参照)が位置42Aに位置するとき、図13Aに示すように、複数のファンユニット取付用突起部41にベルト状弾性体3Fを引っ掛けるとともに、ベルト状弾性体3Fの複数のスリット状孔(図示せず)に各フランジ部12bを嵌め込むことで、送風口13Aが位置42Aに向くようにファンユニット1Aを保持するように構成している。このとき、ファンユニット1Aと発熱部品42とを包含するようにベルト状弾性体3Fが配置されるので、ベルト状弾性体3Fは送風口13Aからの風を的確に発熱部品42に導くことができる。これにより、冷却効率を高めることができる。
また、発熱部品42(図9参照)が位置42Bに位置するとき、図13Bに示すように、複数のファンユニット取付用突起部41にベルト状弾性体3Fが引っ掛けるとともに、ベルト状弾性体3Fの複数のスリット状孔(図示せず)に各フランジ部12bを嵌め込むことで、送風口13Aが位置42Bに向くようにファンユニット1Aを保持するように構成している。このとき、ファンユニット1Aと発熱部品42とを包含するようにベルト状弾性体3Fが配置されるので、ベルト状弾性体3Fは送風口13Aからの風を的確に発熱部品42に導くことができる。これにより、冷却効率を高めることができる。
したがって、本発明の第7実施形態にかかるファンユニットの取付構造によれば、発熱部品42の位置又は発熱量が機器毎に微妙に異なる場合であっても、それに応じて複数のファンユニット取付用突起部41の引掛け位置を選択することで、送風口13Aからの風を的確に発熱部品42に導くことができる。また、ベルト状弾性体3Fの引掛け位置を選択するだけで冷却効率の低下を抑えることができるので、低コストである。
なお、前記各実施形態では、ベルト状弾性体にスリット状穴31を設け、当該スリット状孔31にフランジ部12bを挿入することで、ベルト状弾性体がファンユニットを接触保持するようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ベルト状弾性体の弾性力のみでファンユニットを保持するようにしてもよい。また、ベルト状弾性体とファンユニットとをビスにより固定してもよい。この場合、ベルト状弾性体がファン1の駆動による振動を吸収できるように、ビス止め箇所は極力少なく(例えば1箇所)することが好ましい。また、ファンユニット取付用突起部22,23,41,52Aは、ファンユニット1,1Aの外周部12aに広い面積で接触できるように、ファンユニット1(1A)の外周部12a又はファン11の回転軸11aに対して略平行に延在するように設けられることが好ましい。
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
2007年4月16日に出願された日本国特許出願No.2007−106840号の明細書、図面、および特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。
本発明にかかるファンユニットの取付構造は、ファンの駆動による振動がファンユニット取付部に伝達されることを抑えて騒音を抑えるとともに、ファンユニットの取付作業を容易に行うことができるので、駆動音の静かさが求められる電子機器、特に液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置などの映像機器に有用である。