JPWO2008133208A1 - ペプチド免疫応答増強方法 - Google Patents

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Abstract

安全かつ効果的な免疫応答増強方法および当該免疫応答増強が可能なアミロイドβペプチドを用いたアルツハイマー病の予防・治療薬の提供を課題とする。システインを付加または挿入したアミロイドβペプチドまたはその一部、および当該ペプチドを用いた免疫応答増強方法、または当該ペプチドにアジュバントを添加する免疫応答増強方法。当該免疫応答増強アミロイドβペプチドまたはその一部を用いた、アルツハイマー病の予防・治療薬。同様の効果が期待される、システインが付加または挿入された当該免疫応答増強アミロイドβペプチドまたはその一部をコードする遺伝子を含むDNAワクチン。

Description

本発明は、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβ(以下、「Aβ」ともいう)に由来するペプチドまたはその一部にシステインを付加または挿入することにより免疫応答誘導能が増強した免疫原性ペプチド、および当該ペプチドを有効成分として含有することを特徴とするアルツハイマー病の予防・治療薬に関する。本発明により免疫応答の増強した免疫原性ペプチドは、アジュバントを使用せずとも単独で十分な免疫応答を惹起することができるため、アジュバント使用に伴う副作用を回避した安全な予防・治療薬として利用できる。
免疫は、細菌やウイルスなどの体内に侵入した異物から自己を守る生体防御機構の一つで、白血球などの食作用による自然免疫と特定の抗原・病原体に対する獲得免疫からなる。ワクチンは病原体に対する獲得免疫を安全に誘導する薬剤で、近年では予防のみならず治療目的にも用いられている。
ワクチンには生ワクチン、不活化ワクチン、コンポーネントワクチンなどがある。生ワクチンは免疫原性が高く、免疫作用が長期間持続する一方で、病原性が残るまたは復帰するといった危険性を有する。不活化ワクチンはウイルスをホルマリンなどで処理し病原性を消失させたもので、生ワクチンと比べて安全性は高いが、得られた免疫が長期に持続しないという短所を有する。
コンポーネントワクチンとは、病原体からワクチン効果を発揮する抗原蛋白質のみを抽出・精製するか、遺伝子工学的手法や化学的な手法で人工的に作り出した抗原蛋白質を主成分とするワクチンであり、不用な蛋白質の混入がなく安全性に優れたワクチンである。近年、コンポーネントワクチンの一つであるペプチドワクチンの研究が多くなされている。ペプチドとは、アミノ酸がペプチド結合により結合した分子のことで、一般には、構成するアミノ酸の数が10個以下のものをオリゴペプチド、100個未満のものをポリペプチド(本特許明細書中においては、両者を併せて単に「ペプチド」と称する)、100個以上のものを蛋白質と呼ぶ。
近年では種々の蛋白質やウイルス抗原蛋白質のアミノ酸配列が明らかとなり、それらの配列を人工的に合成したペプチドをワクチンとして用いたものをペプチドワクチンと呼ぶ。ペプチドをワクチンとして用いる利点としては、病原微生物を取り扱うことなく、人工的に純度の高い抗原を得ることが可能であることである。その反面、ペプチドは分子量が小さいため、免疫を行っても、そのペプチドが体内で異物として認識されず、十分な免疫効果を得るのが困難である。そのため、ペプチドにキャリア蛋白と呼ばれる巨大な蛋白質を結合させることによって異物として認識させたり、アジュバント(免疫賦活剤)と共にペプチドを投与することによって免疫効果を上げたりすることが試みられている。しかし、このような処理を行うと、キャリア蛋白自身に対する抗体が産生されたり、アジュバントによる予期せぬ副作用などが生じたりする可能性がある。また、アジュバントは研究レベルではその有効性が示されているものの、現在ヒトに対しての使用が許可されているものは、国内では水酸化アルミニウムゲルのみである。
一方、ペプチドワクチンは、アルツハイマー病等の疾患の予防・治療用ワクチンとしての試みがなされている。アルツハイマー病とは、認知機能低下、人格の変化を主な症状とする痴呆性疾患の一種である。急速な高齢化社会の進行とともに患者が増加しており、社会的にも問題となってきている。アルツハイマー病の病理学的所見としては、神経細胞の萎縮・脱落、Aβの凝集・沈着による老人斑の形成、さらに異常タウ蛋白からなる神経原線維変化の3つが大きな特徴として挙げられる。アルツハイマー病の発症は、まずAβペプチドの沈着によって始まり(老人斑の形成)、そのAβ沈着が増えるとともに神経細胞の変性脱落が起こる。このAβペプチドの沈着が引き金となって、遅れてタウ蛋白質が沈着し、神経原線維変化が起こってくるという経過をたどる。Aβペプチドは脳や体に持っているアミロイド前駆体(APP)からできる。通常の過程ではAPPの中央部でα−セクレターゼが切断して、そのあとC末側をγ−セクレターゼが切断するのでP3というペプチドになり、これは後に分解され、何も残らない。Aβペプチドが沈着する場合は、先にβ−セクレターゼがAPPを切断し、C末側はγ−セクレターゼが切断することで40個または42個のアミノ酸からなるAβペプチド(Aβ40、Aβ42)ができる。このうち、特にAβ42は凝集・沈着しやすく、細胞外に分泌され不溶化し、凝集、沈着し、やがて老人斑が形成される。Aβ42の産生と蓄積が増加すると、シナプスの部分にも影響を与える。また凝集してきたAβペプチドの周りにミクログリア、アストロサイトが集積する。さらにシナプスと神経突起障害の進行が起こり、神経細胞が変性、そして細胞死を起こして痴呆が起こってくると考えられている。
現在、Aβペプチドを標的として、これをいかに少なくするかという治療法が考えられている。例えば、Aβペプチドを産生するセクレターゼの作用を抑えようとする治療法、産生されたAβペプチドを分解できるAβ分解酵素を用いる治療法、細胞の外に分泌されたものや凝集して固まったものを取り除くことを目的としたワクチン・抗体を用いた治療法などが現在考えられている。
アルツハイマー病のワクチンによる治療法は、シェンクらによって最初に報告された(非特許文献1)。これは、Aβ42のペプチドをアジュバントとともに筋肉注射することによって、このAβに対する抗体を産生させて、蓄積したAβペプチドを除去するものである。このワクチンの臨床試験は、Aβ42のペプチドと精製サポニンをアジュバントとして加えたものからなる薬剤を筋肉内投与することによって行われた。その結果、アルツハイマー病患者へのワクチン投与によりAβペプチドに特異的な抗体ができ、またAβペプチドに特異的な抗体ができると、アルツハイマー病患者の認知障害の進行を遅らせることができることが明らかとなり(非特許文献2)、また老人斑の消失も確認された(非特許文献3)。しかしながら、重篤な髄膜脳炎が被験者に認められ、本臨床試験は中止となった。この副作用の原因の一つとして、本ワクチンに使用されたアジュバントによるものではないかと推測されている。従って、ペプチドワクチンでは、有効性に優れ、かつ安全な剤型の開発が強く望まれている。
Schenk D, Barbour R, Dunn W, Gordon G, Grajeda H, Guido T, et al., Immunization with amyloid-beta attenuates Alzheimer-disease-like pathology in the PDAPP mouse. Nature 1999; 400: p.173-177 Fox NC, Black RS, Gilman S, Rossor MN, Griffith SG, Jenkins L, et al. Effects of Abeta immunization (AN1792) on MRI measures of cerebral volume in Alzheimer disease. Neurology 2005; 64: p.1563-1572 Nicoll JA, Wilkinson D, Holmes C, Steart P, Markham H, Weller RO. Neuropathology of human Alzheimer disease after immunization with amyloid-beta peptide: a case report. Nat Med 2003; 9: p.448-452
以上述べたように、現在知られているアジュバント作用を持つ物質にはその効果と相反して副作用の出現が懸念される。したがって、本発明の目的は、既に生体に対して安全性の確保された物質を用いた新規な免疫応答増強方法、および当該免疫応答増強方法に用いる免疫応答の増強した免疫原性ペプチドを提供することにある。
本発明者らは、生体に安全であり、しかも有効で安価な免疫方法・免疫賦活方法について鋭意検討を行った結果、天然蛋白質の構成アミノ酸であるシステイン分子を目的とするペプチドに付加または挿入させることで当該ペプチドの免疫応答誘導能が増強されることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
本発明は、アルツハイマー病の原因物質であるAβに由来するペプチドまたはその一部からなるペプチドの免疫応答誘導能を増強させる方法、詳細にはAβペプチドまたはその一部にシステインを付加または挿入することを特徴とするもので、下記の発明を含むものである。
(1)アミロイドβペプチドまたはその一部に、システインが付加もしくは挿入またはシステインを含むペプチドが付加されていることを特徴とする免疫応答の増強した免疫原性ペプチド。
(2)システインがアミロイドβペプチドまたはその一部のN末端、C末端またはその両方に付加されていることを特徴とする上記1に記載の免疫原性ペプチド。
(3)システインがアミロイドβペプチドまたはその一部のC末端に付加されていることを特徴とする上記1または2に記載の免疫原性ペプチド。
(4)付加されるシステインが1または2分子である上記1から3のいずれかに記載の免疫原性ペプチド。
(5)システインを含むペプチドがアミロイドβペプチドまたはその一部のC末端に付加されていることを特徴とする上記1に記載の免疫原性ペプチド。
(6)アミロイドβペプチドまたはその一部に、システインが挿入されていることを特徴とする上記1に記載の免疫原性ペプチド。
(7)アミロイドβペプチドまたはその一部のN末端から、18番目と19番目の間、25番目と26番目の間、または28番目と29番目の間のいずれかにシステインが挿入されていることを特徴とする上記6に記載の免疫原性ペプチド。
(8)当該アミロイドβペプチドまたはその一部が、配列番号34のアミノ酸配列からなるペプチドまたはその一部である上記1から7のいずれかに記載の免疫原性ペプチド。
(9)当該ペプチドが、配列番号6、配列番号8、配列番号12、配列番号21、配列番号23、配列番号29、配列番号32、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54または配列番号56からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドである、上記1から8のいずれかに記載の免疫原性ペプチド。
(10)上記1から9のいずれかに記載の免疫原性ペプチドを有効成分として含有することを特徴とするアルツハイマー病の予防または治療薬。
(11)上記1から9のいずれかに記載の免疫原性ペプチドを有効成分とし、さらにアジュバントを添加することを特徴とするアルツハイマー病の予防または治療薬。
(12)上記1から9のいずれかに記載の免疫原性ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子断片を含有することを特徴とするアルツハイマー病の予防または治療に有効なDNAワクチン。
(13)アミロイドβペプチドまたはその一部にシステインが付加もしくは挿入またはシステインを含むペプチドが付加されてなる免疫応答の増強した免疫原性ペプチドを使用することを特徴とする免疫応答増強方法。
(14)アミロイドβペプチドまたはその一部にシステインが付加もしくは挿入またはシステインを含むペプチドが付加されてなる免疫応答の増強した免疫原性ペプチドにアジュバントを添加して使用することを特徴とする免疫応答増強方法。
(15)アミロイドβペプチドまたはその一部にシステインが付加もしくは挿入またはシステインを含むペプチドが付加されてなる免疫応答の増強した免疫原性ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子断片を含有するベクターをDNAワクチンとして用いることを特徴とする免疫応答増強方法。
本発明はアジュバントなしで単独で使用しても十分な免疫応答を得ることが可能な免疫応答の増強した免疫原性ペプチドを提供する。本発明に従えば、アミロイドβペプチドまたはその一部にシステイン分子を付加または挿入するだけで免疫原性ペプチドによる抗体産生誘導を増強することができる。従って、従来のアジュバントを添加することによる制約も受けないため、製剤設計も行い易くなる。
また、本発明による免疫応答の増強した免疫原性ペプチドの生体への投与により、血中において当該ペプチドに対する特異的抗体を早期かつ多量に誘導することができる。システインの毒性は知られておらず、むしろ生体内ではシステインおよびその関連物質は抗毒的な作用をもつことが知られているため、本発明による免疫応答の増強した免疫原性ペプチドは生体において極めて安全に使用することができる。
本発明による免疫応答の増強した免疫原性ペプチドは、ペプチドワクチンとして利用した場合、システインが付加または挿入された免疫原性ペプチドのみを有効成分とする最も単純なワクチンとなる。このようなシステインが付加または挿入された免疫原性ペプチドは化学合成による非生物的な方法で得ることができ、従来のコンポーネントワクチンと比較して安定して均一なものを製造することが可能である。また、混入物質による毒性、感染性、品質低下の危険性が最も低く、安全なワクチンを提供することができる。
本発明による免疫応答の増強した免疫原性ペプチドを含有するペプチド製剤は、皮下、筋肉内投与といった注射による投与のみならず、経口、経鼻、経皮などの投与方法も可能である。これらの方法によれば注射によるストレスや医療事故も防ぐことが可能である。
本発明による免疫応答の増強した免疫原性ペプチドを調製するには、Aβペプチドまたはその一部に直接システイン分子を付加または挿入するか、またはDNA、RNA配列にシステインをコードする配列を付加または挿入したうえで発現させる。Aβペプチドまたはその一部からなるペプチド中でシステインを付加または挿入する位置としては、例えば、付加の場合はペプチドのN末端、C末端またはN末端とC末端の両方、挿入の場合はペプチド内部のいずれかの部位が挙げられる。特にペプチドのC末端に付加するのが好ましく、その場合、1または2分子のシステインを付加してよい。ただし、免疫応答増強効果が得られる限り、付加および挿入の位置およびシステイン分子数に特に制限はない。さらに、本発明の別の態様として、システインの代わりに、システインを含むペプチドを当該ペプチドのC末端に付加することもできる。
Aβペプチドは、42アミノ酸残基からなり(Aβ42)、以下のアミノ酸配列を有する:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA(配列番号34)。このAβペプチドまたはその一部にシステイン(Cys)を付加または挿入することにより、本発明の免疫応答の増強した免疫原性ペプチドを得ることができる。この場合、Aβペプチドの一部としては、上記Aβ42のアミノ酸配列の少なくとも1番目〜28番目までのアミノ酸配列からなるものが挙げられる。また、システインを含むペプチドをAβペプチドまたはAβペプチドの一部に付加することもできる。こうして得られた免疫応答の増強した免疫原性ペプチドは、アルツハイマー病の予防または治療に有効である。
具体的には、例えば下記のようなシステインを付加または挿入したAβペプチドが本発明による免疫応答の増強した免疫原性ペプチドの好ましい例として挙げることができる(付加または挿入したシステイン残基には下線を付してある)。
(1)C末端1分子付加したペプチド:
28AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号6)
29AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGC(配列番号8)
30AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAC(配列番号10)
31AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIC(配列番号12)
35AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMC(配列番号21)
36AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVC(配列番号23)
37AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGC(配列番号25)
38AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGC(配列番号27)
39AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVC(配列番号29)
40AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVC(配列番号32)
42AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIAC(配列番号36)
(2)C末端2分子付加したペプチド:
28AACysCys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKCC(配列番号38)
(3)N末端1分子付加したペプチド:
Cys28AA:CDAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNK(配列番号40)
(4)C末端およびN末端各1分子付加したペプチド:
Cys28AACys:CDAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号42)
(5)1分子挿入したペプチド:
28AA18Cys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVCFFAEDVGSNK(配列番号46)
28AA25Cys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGCSNK(配列番号48)
33AA28Cys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKCGAIIG(配列番号50)
35AA28Cys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKCGAIIGLM(配列番号52)
(6)C末端1分子付加+外来ペプチド付加したペプチド(外来性ペプチド部分は、付加したシステイン残基のC末端側の配列である):
28AACysTTD:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKCTTD(配列番号54)
28AACysEIFEFTTD:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKCEIFEFTTD(配列番号56)
上記のシステインを付加または挿入したAβペプチドのうち、システイン付加28アミノ酸Aβペプチド(28AACys:配列番号6)、システイン付加29アミノ酸Aβペプチド(29AACys:配列番号8)、システイン付加31アミノ酸Aβペプチド(31AACys:配列番号12)、システイン付加35アミノ酸Aβペプチド(35AACys:配列番号21)、システイン付加36アミノ酸Aβペプチド(36AACys:配列番号23)、システイン付加39アミノ酸Aβペプチド(39AACys:配列番号29)、システイン付加40アミノ酸Aβペプチド(40AACys:配列番号32)、システイン付加42アミノ酸Aβペプチド(42AACys:配列番号36)、システインC末端2分子付加28アミノ酸Aβペプチド(28AACysCys:配列番号38)および18番目と19番目の間にシステインが挿入された28アミノ酸Aβペプチド(28AA18Cys:配列番号46)が特に免疫応答が増強しており、アルツハイマー病の予防または治療に有効に用いることができる。
本発明によれば、Aβペプチドまたはその一部のN末端、C末端、またはN末端とC末端との両者にシステインを付加、またはペプチド内部にシステインを挿入することで免疫応答の増強したペプチドを調製することが可能であるが、システインを付加または挿入後に得られたペプチドが免疫応答増強効果を有するか否かは得られたペプチドを用いて、常法に従ってマウス等を免疫した後、血中の抗AβIgG抗体価を測定することによって確認することができる。従って、本発明はさらに、Aβペプチドまたはその一部のN末端、C末端、またはN末端とC末端との両者に1またはそれ以上のシステインを付加するか、および/またはペプチド内部に1またはそれ以上のシステインを挿入し、得られたペプチドで動物を免疫し、ついで当該動物の血中の抗AβIgG抗体価を測定することを特徴とする、免疫応答の増強した免疫原性ペプチドの調製方法をも提供する。
本発明による免疫応答誘導能の増強した免疫原性ペプチドを含有するペプチド製剤は、皮下、皮内、筋注、経口、経鼻等のいずれの方法でも投与可能である。
本発明による免疫応答の増強した免疫原性ペプチドは、アジュバントなしで単独で投与しても十分な免疫賦与効果を与えることができるが、アジュバントを添加するとさらに大きな免疫賦与効果を得ることが可能である。従って、免疫賦与効果を重視したアジュバントのみならず、安全性を重視したアジュバントなど、より多種のアジュバントとの組み合わせを選択することが可能となる。
また、上記で具体的に列挙した、本発明によるAβペプチドまたはその一部にシステインを付加または挿入して得られる免疫応答の増強した各免疫原性ペプチドをコードする遺伝子断片を含有するベクターは、アルツハイマー病の予防や治療に有効なDNAワクチンとして利用することができる。システインをコードする塩基配列としては例えば、tgtが挙げられるが、システインをコードする配列である限り特に制限はない。上記42アミノ酸残基からなるAβペプチド(Aβ42)のアミノ酸配列(配列番号34)をコードする遺伝子断片は下記の通りである。ただし、以下に示した配列は代表的なAβペプチドの遺伝子配列であり、同じアミノ酸をコードする限りその遺伝子配列に特に制限はない。
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcattggac tcatggtggg cggtgttgtc
atagcg(配列番号35)
上記Aβペプチドまたはその一部にシステインを付加または挿入して得られる本発明による免疫応答の増強した各免疫原性ペプチドをコードする遺伝子断片の例としては下記のものが挙げられる。ただし、以下に示した配列は上記ペプチドをコードする代表的な遺伝子配列を示しており、同じアミノ酸をコードする限りその遺伝子配列に特に制限はない。
26AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcatgt(配列番号2)
27AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa ctgt(配列番号4)
28AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaatgt(配列番号7)
29AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggttgt(配列番号9)
30AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca tgt(配列番号11)
31AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atctgt(配列番号13)
32AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcatttgt(配列番号15)
33AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcattggat gt(配列番号17)
34AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcattggac tctgt(配列番号19)
35AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcattggac tcatgtgt(配列番号22)
36AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcattggac tcatggtgtg t(配列番号24)
37AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcattggac tcatggtggg ctgt(配列番号26)
38AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcattggac tcatggtggg cggttgt(配列番号28)
39AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcattggac tcatggtggg cggtgtttgt(配列番号30)
40AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcattggac tcatggtggg cggtgttgtc
tgt(配列番号33)
42AACysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaaggtgca atcattggac tcatggtggg cggtgttgtc
atagcgtgt(配列番号37)
28AACysCysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaatgttgt(配列番号39)
Cys28AAをコードする遺伝子断片:
tgtgatgcag aattccgaca tgactcagga tatgaagttc atcatcaaaa attggtgttc
tttgcagaag atgtgggttc aaacaaa(配列番号41)
Cys28AACysをコードする遺伝子断片:
tgtgatgcag aattccgaca tgactcaggatat gaagttc atcatcaaaa attggtgttc
tttgcagaag atgtgggttc aaacaaatgt(配列番号43)
28AA18Cysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgtgtttc
tttgcagaag atgtgggttc aaacaaa(配列番号47)
28AA25Cysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttgttcaaa caaa(配列番号49)
33AA28Cysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaatgtggt gcaatcattg ga(配列番号51)
35AA28Cysをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaatgtggt gcaatcattg gactcatg(配列番号53)
28AACysTTDをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaatgtact actgac(配列番号55)
28AACysEIFEFTTDをコードする遺伝子断片:
gatgcagaat tccgacatga ctcaggatat gaagttcatc atcaaaaatt ggtgttcttt
gcagaagatg tgggttcaaa caaatgtgaa atcttcgaat tcactactga c(配列番号57)
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
《システイン付加Aβペプチドとシステイン非付加Aβペプチドの抗体誘導能の比較》
(1)システインを付加したAβペプチドの調製
28AA:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNK(配列番号5)
28AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号6)
35AA:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLM(配列番号20)
35AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMC(配列番号21)
上記のペプチドを合成し(北海道システム・サイエンス社)、生理食塩液で5mg/mLに調製しこれを原液とし、原液100μLに生理食塩液900μLを加え0.5mg/mLの濃度とし1.5mLチューブに分注した(免疫物)。使用時まで−80℃以下で保存した。
(2)投与マウス
雄のC57BL/6(7週齢、SPF)を日本チャールスリバー社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(3)免疫群構成
16匹のマウスを4匹ずつ4群に分け、第1群:28AA投与群、第2群:28AACys投与群、第3群:35AA投与群、第4群:35AACys投与群とした。
(4)免疫方法およびスケジュール
各免疫物をマウス1匹あたり200μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)を用いた腹部皮内もしくは皮下内に投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。マウスへの免疫は2週間隔で3回の免疫を行った。
(5)採血
2回目免疫の7日目に、尾静脈より50〜150μLの採血を行った。また、3回目の最終免疫から7日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブ2本に分注し、測定まで−80℃にて保存した。
(6)抗AβIgG抗体の測定
Aβペプチド(1-40のアミノ酸配列:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVV(配列番号31)、北海道システム・サイエンス社合成)を0.1Mカルボネートバッファー、pH9.6で10μg/mLに希釈し8ウェルストリップス(ナルジェ ヌンク社、イモビライザーアミノ)に100μL/ウェル加え、4℃で一夜静置して固相化した。翌日、各ウェルを300μLの0.05%Tween20含有PBS(PBST)で3回洗浄し、10mM エタノールアミンを300μL/ウェルずつ添加して、室温で1時間静置した。
1時間後、10mMエタノールアミンを十分に除き、PBSTで検体を50倍〜10000倍に希釈して100μL/ウェルにて添加した。室温で1時間の反応の後、添加した各希釈血清を捨て300μL/ウェルのPBSTで3回洗浄した。洗浄後、ウェル内の洗浄液を十分に除き、検体希釈液を用いて2000倍希釈したHRP標識抗マウスIgGヤギ抗体(アメリカン クアレックス社、A131PS)を100μL/ウェルにて添加し、室温で1時間反応した。反応後、標識抗体希釈液を捨て300μL/ウェルのPBSTで2回、同量の蒸留水で2回洗浄し、発色基質液TMB+(ダコ社)を100μL/ウェル添加して遮光下、室温で30分間反応した。その後、1N硫酸を100μL/ウェル添加して発色を停止し、450nmの吸光度(OD450値)を測定した。
市販のAβに対するモノクローナル抗体(ケミコン社 MAB1560)を標準血清として用いた。標準血清をPBSTにて0.156、0.3125、0.625、1.25、2.5、5、10ng/mLとなるように希釈し、抗体価測定時のスタンダードを調製した。各被検マウス血清の抗AβIgG抗体測定と同時に、各希釈検体のOD450値を測定した。得られたスタンダードの単位とOD450値の標準直線より各被検マウス血清の抗AβIgG抗体価を算出した。
算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価を表1に示した。表1に示すように、システインを付加していないAβペプチド断片(28AA、35AA)で免疫した場合より、システインを付加したAβペプチド断片(28AACys、35AACys)で免疫した場合がAβに対する高い抗体価を示した。28AAにシステインを付加した場合で約39倍、35AAにシステインを付加した場合で約26倍の抗体価の上昇が認められた。
Figure 2008133208
《システイン付加Aβペプチドとキャリア結合Aβペプチド(アジュバント添加・非添加)の抗体誘導能の比較》
(1)システインを付加したAβペプチドおよびキャリア結合Aβペプチドの調製
28AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号6)
28AA-KLH:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNK-C-KLH
上記のペプチドを合成し(北山ラベス株式会社)、生理食塩液で1mg/mLに調製しこれを原液とし、使用時まで−80℃以下で保存した。なお、KLH(スカシ貝ヘモシアニン)は約60kDaのキャリア蛋白で、28AA-KLH中のCysは28AAペプチドとKLHとの連結のためのリンカーとして用いたものであり、免疫応答増強効果を意図するものではない。また、このキャリア蛋白をCysで免疫原性ペプチドに連結する方法はペプチド免疫を行う際の一般的な手法である。
(2)アジュバント
アジュバントとして市販のフロイント完全アジュバント(FREUND'S COMPLRTE ADJUVANT(以下「FCA」と略す))、フロイント不完全アジュバント(FREUND'S INCOMPLRTE ADJUVANT(以下「FICA」と略す))、ゲルブ社、#1841、#1842)、ゲルブ アジュバント MM(GERBU、ゲルブ社、#3001.0106)およびアルハイドロゲル '85' 2%(ALHYDROGEL '85' 2%、ブレンタッグ社)を用いた。
(3)投与マウス
雄のC57BL/6(9週齢、SPF)を日本チャールスリバー社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(4)免疫群構成
25匹のマウスを5匹ずつ5群に分け、第1群:28AACys投与群、第2群:28AA-KLH投与群、第3群:28AA-KLH+FCA/FICA投与群、第4群:28AA-KLH+ ゲルブ アジュバント MM投与群、第5群:28AA-KLH+ アルハイドロゲル '85' 2%投与群とした。
(5)用量および投与物調製
初回投与用量はAβペプチドを1個体当たり100μg、2回目、3回目投与用量は1個体当たり50μgとした。すなわち、28AACys投与群の初回投与分は28AACys 0.5mLに生理食塩液0.5mLを混合することで調製し、2回目、3回目投与分は28AACys 0.25mLに生理食塩液0.75mLを混合することで調製した。28AA-KLH投与群の初回投与分は28AA-KLH 0.5mLに生理食塩液0.5mLを混合することで調製し、2回目、3回目投与分は28AA-KLH 0.25mLに生理食塩液0.75mLを混合することで調製した。28AA-KLH+FCA/FICA投与群の初回投与分は28AA-KLH 0.5mLにFCAを0.5mL混合しエマルジョン化したものを調製し、2回目、3回目投与分は28AA-KLH 0.25mLに生理食塩液0.25mL、FICAを0.5mL混合しエマルジョン化したものを調製した。28AA-KLH+ ゲルブ アジュバント MM投与群の初回投与分は28AA-KLH 0.5mLに生理食塩液0.4mL、ゲルブ アジュバント MM 0.1mLを混合することで調製し、2回目、3回目投与分は28AA-KLH 0.25mLに生理食塩液0.65mL、ゲルブ アジュバント MM 0.1mLを混合することで調製した。28AA-KLH+ アルハイドロゲル '85' 2%投与群の初回投与分は28AA-KLH 0.5mLにアルハイドロゲル '85' 2% 0.5mLを混合することで調製し、2回目、3回目投与分は28AA-KLH 0.25mLに生理食塩液0.25mL、アルハイドロゲル '85' 2% 0.5mLを混合することで調製した。
(6)免疫方法およびスケジュール
各免疫物をマウス1匹あたり200μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)を用いた腹部皮内もしくは皮下内に投与した。マウスへの免疫は2週間隔で3回の免疫を行った。
(7)採血
3回目の最終免疫から7日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブ2本に分注し、測定まで−80℃にて保存した。
(8)抗AβIgG抗体の測定
抗AβIgG抗体の測定は既述と同様に実施した。算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価を表2に示した。表2に示すように、Aβペプチド断片にキャリアのKLHを付加しアジュバントとしてフロイント完全/不完全アジュバントと混合したものが、Aβに対する最も高い抗体価を示した。システインを付加したAβペプチド断片は次に高い抗体価を示し、アジュバントとしてゲルブ アジュバントMM(GERBU)やアルハイドロゲル(ALHYDROGEL) '85' 2%を用いたものや、Aβペプチド断片にキャリアのKLH付加したものより明らかに高い抗体価を示した。
Figure 2008133208
《システインを付加した26から40アミノ酸配列長のAβペプチドによる抗体誘導能の比較》
(1)システインを付加したAβペプチドの調製
26AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSC(配列番号1)
27AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNC(配列番号3)
28AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号6)
29AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGC(配列番号8)
30AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAC(配列番号10)
31AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIC(配列番号12)
32AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIC(配列番号14)
33AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGC(配列番号16)
34AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLC(配列番号18)
35AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMC(配列番号21)
36AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVC(配列番号23)
37AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGC(配列番号25)
38AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGC(配列番号27)
39AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVC(配列番号29)
40AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVC(配列番号32)
上記のペプチドを合成し(北海道システム・サイエンス社)、生理食塩液で5mg/mLに調製しこれを原液とし、原液100μLに生理食塩液900μLを加え0.5mg/mLの濃度とし1.5mLチューブに分注した(免疫物)。使用時まで−80℃以下で保存した。
(2)投与マウス
雄のC57BL/6(7週齢、SPF)を日本チャールスリバー社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(3)免疫群構成
60匹のマウスを4匹ずつ15群に分け、第1群:26AACys投与群、第2群:27AACys投与群、第3群:28AACys投与群、第4群:29AACys投与群、第5群:30AACys投与群、第6群:31AACys投与群、第7群:32AACys投与群、第8群:33AACys、第9群:34AACys投与群、第10群:35AACys投与群、第11群:36AACys投与群、第12群:37AACys投与群 、第13群:38AACys投与群、第14群:39AACys投与群、第15群:40AACys投与群とした。
(4)免疫方法およびスケジュール
各免疫物をマウス1匹あたり200μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)を用いた腹部皮内もしくは皮下内に投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。マウスへの免疫は2週間隔で3回の免疫を行った。
(5)採血
3回目の最終免疫から7日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブ2本に分注し、測定まで−80℃にて保存した。
(6)抗AβIgG抗体の測定
抗AβIgG抗体の測定は既述と同様に実施した。算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価を表3に示した。表3に示すように、システインを付加した26から40アミノ酸配列長のAβペプチド投与群において、28アミノ酸配列長以上においてAβに対する抗体誘導能が認められ、特に28AACys、29AACys、31AACys、35AACys、36AACys、39AACys、40AACysが高い抗体価を示した。
Figure 2008133208
《Aβペプチドへのシステイン非付加、1分子付加および2分子付加による抗体誘導能の比較》
(1)システイン非付加およびシステイン付加Aβペプチドの調製
28AA:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNK(配列番号5)
28AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号6)
28AACysCys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKCC(配列番号38)
上記のペプチドを合成し(北海道システム・サイエンス)、生理食塩液で5mg/mLに調製しこれを原液とし、使用時まで-80℃以下で保存した。
(2)投与マウス
雄のC57BL/6(7週齢、SPF)を日本チャールスリバー社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(3)免疫群構成
12匹のマウスを4匹ずつ3群に分け、第1群:28AA投与群、第2群:28AACys投与群および第3群:28AACysCys投与群とした。
(4)免疫方法およびスケジュール
各免疫物をマウス1匹あたり200μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)を用いた腹部皮内もしくは皮下内に投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。マウスへの免疫は2週間隔で3回の免疫を行った。
(5)採血
4回目の最終免疫から7日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブに分注し、測定まで-80℃にて保存した。
(6)抗AβIgG抗体の測定
抗AβIgG抗体の測定は既述と同様に実施した。算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価を表4に示した。表4に示すように、28AACys投与群および28AACysCys投与群にほぼ同様な抗体誘導能が認められた。
Figure 2008133208
《AβペプチドのC末端、N末端および両末端へのシステイン付加による抗体誘導能の比較》
(1)システインを付加したAβペプチドの調製
28AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号6)
Cys28AA:CDAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNK(配列番号40)
Cys28AACys:CDAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号42)
上記のペプチドを合成し(北海道システム・サイエンス)、生理食塩液で5mg/mLに調製しこれを原液とし、使用時まで-80℃以下で保存した。
(2)投与マウス
雄のC57BL/6(7週齢、SPF)を日本チャールスリバー社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(3)免疫群構成
12匹のマウスを4匹ずつ3群に分け、第1群:28AACys投与群、第2群:Cys28AA投与群および第3群:Cys28AACys投与群とした。
(4)免疫方法およびスケジュール
各免疫物をマウス1匹あたり200μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)を用いた腹部皮内もしくは皮下内に投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。マウスへの免疫は2週間隔で3回の免疫を行った。
(5)採血
4回目の最終免疫から7日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血して殺処分した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブに分注し、測定まで-80℃にて保存した。
(6)抗AβIgG抗体の測定
抗AβIgG抗体の測定は既述と同様に実施した。算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価を表5に示した。表5に示すように、Cys付加位置に関係なく、全群に抗体誘導能が認められた。
Figure 2008133208
《Aβペプチド配列中へのシステイン挿入による抗体誘導能の比較》
(1)システインを挿入したAβペプチドの調製
28AA7Cys:DAEFRHDCSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNK(配列番号44)
28AA10Cys:DAEFRHDSGYCEVHHQKLVFFAEDVGSNK(配列番号45)
28AA18Cys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVCFFAEDVGSNK(配列番号46)
28AA25Cys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGCSNK(配列番号48)
33AA28Cys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKCGAIIG(配列番号50)
35AA28Cys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKCGAIIGLM(配列番号52)
28AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号6)
上記のペプチドを合成し(シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社)、生理食塩液で5mg/mLに調製しこれを原液とし、使用時まで-80℃以下で保存した。
(2)投与マウス
雄のC57BL/6(7週齢、SPF)を日本チャールスリバー社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(3)免疫群構成
28匹のマウスを4匹ずつ7群に分け、第1群:28AA7Cys投与群、第2群:28AA10Cys投与群、第3群:28AA18Cys投与群、第4群:28AA25Cys投与群、第5群:33AA28Cys投与群、第6群:35AA28Cys投与群および第7群:28AACys投与群とした。
(4)免疫方法およびスケジュール
各免疫物をマウス1匹あたり200μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)を用いた腹部皮内もしくは皮下内に投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。マウスへの免疫は2週間隔で3回の免疫を行った。
(5)採血
4回目の最終免疫から7日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブに分注し、測定まで-80℃にて保存した。
(6)抗AβIgG抗体の測定
抗AβIgG抗体の測定は既述と同様に実施した。算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価を表6に示した。表6に示すように、28AA18Cys投与群、28AA25Cys投与群、33AA28Cys投与群、35AA28Cys投与群および28AACys投与群に抗体誘導能が認められた。特に28アミノ酸Aβペプチドの18番目と19番目の間にシステイン挿入したペプチドの28AA18Cys投与群はC末端にシステインを付加した28アミノ酸Aβペプチドの28AACys投与群と比較しても高い抗体誘導能が認められた。
Figure 2008133208
《システイン付加Aβペプチドへの外来アミノ酸配列(Aβペプチドに由来しない)付加による抗体誘導能の検討》
(1)システイン非付加およびシステイン付加Aβペプチドの調製
28AA:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNK(配列番号5)
28AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号6)
28AACysTTD:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKCTTD(配列番号54)
28AACysEIFEFTTD:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKCEIFEFTTD(配列番号56)
上記のペプチドを合成し(北海道システム・サイエンス)、生理食塩液で5mg/mLに調製しこれを原液とし、使用時まで-80℃以下で保存した。
(2)投与マウス
雄のC57BL/6(7週齢、SPF)を日本チャールスリバー社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(3)免疫群構成
16匹のマウスを4匹ずつ4群に分け、第1群:28AA投与群、第2群:28AACys投与群、第3群:28AACysTTD投与群および第4群:28AACysTTD投与群とした。
(4)免疫方法およびスケジュール
各免疫物をマウス1匹あたり200μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)を用いた腹部皮内もしくは皮下内に投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。マウスへの免疫は2週間隔で3回の免疫を行った。
(5)採血
4回目の最終免疫から7日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブに分注し、測定まで-80℃にて保存した。
(6)抗AβIgG抗体の測定
抗AβIgG抗体の測定は既述と同様に実施した。算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価を表7に示した。表7に示すように、28AACys投与群、28AACysTTD投与群および28AACysEIFEFTTD投与群に抗体誘導能が認められた。よって、Aβ配列にCysを付けることで抗体誘導能を付加したものに、さらに外来のペプチド配列をつないでも、その抗体誘導能は保持できることが分かった。
Figure 2008133208
《システイン付加Aβペプチドの経鼻、経皮、経口投与》
(1)システインを付加したAβペプチドの調製
35AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMC(配列番号21)
上記のペプチドを合成し(北海道システム・サイエンス)、生理食塩液で5mg/mLに調製しこれを原液とし、使用時まで−80℃以下で保存した。
(2)投与マウス
雄のC57BL/6(7週齢、SPF)を日本チャールスリバー社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(3)免疫群構成
9匹のマウスを3匹ずつ3群に分け、第1群:経鼻投与群、第2群:経皮投与群、第3群:経口投与群とした。
(4)免疫方法およびスケジュール
《初回免疫》
各群共通に、まず原液200μLに生理食塩液1800μLを加え0.5mg/mLの濃度とし、マウス1匹あたり200μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)を用いた腹部皮内もしくは皮下内に投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。2回目、3回目、4回目(最終)免疫に関しては、各群において初回免疫後1週間間隔で、下記に示すようにそれぞれマウスへの免疫を行った。
《第1群:経鼻投与群》
原液をマウス1匹あたり20μLずつピペットマンP-20(ギルソン社)を用いて鼻腔より投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。
《第2群:経皮投与群》
投与前日にマウスの背部を剃毛した。イソフルラン麻酔下、投与前に70%アルコールで剃毛部を消毒し乾燥した後に、原液をマウス1匹あたり20μLずつピペットマンP-20(ギルソン社)を用いて滴下投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。
《第3群:経口投与群》
2回目および3回目免疫は、原液200μLに生理食塩液2300μLを加え0.2mg/mLの濃度とし、マウス1匹あたり500μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)に経口ゾンテ針(夏目製作所、KN-348、マウス用)を装着し胃内に投与した(1個体あたりの投与量:200μg)。4回目(最終)免疫は、原液100μLに生理食塩液2400μLを加え0.2mg/mLの濃度とし、マウス1匹あたり500μLずつ1mLツベルクリン用注射器に経口ゾンテ針を装着し胃内に投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。
(5)採血
1回目免疫の6日目、2回目免疫の6日目、3回目免疫の6日目に尾静脈より50〜150μLの採血を行った。また、4回目の最終免疫から7日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブ2本に分注し、測定まで−80℃にて保存した。
(6)抗AβIgG抗体の測定
抗AβIgG抗体の測定は既述と同様に実施した。算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価を表8に示した。表8に示すように、システインを付加したAβペプチド断片は経鼻、経皮、経口投与共に、Aβに対する抗体誘導能が認められた。
Figure 2008133208
《経皮投与におけるシステイン付加/非付加Aβペプチドによる抗体誘導能の比較》
(1)システイン非付加およびシステイン付加Aβペプチドの調製
35AA:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLM(配列番号20)
35AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMC(配列番号21)
上記のペプチドを合成し(北海道システム・サイエンス)、生理食塩液で5mg/mLに調製しこれを原液とし、使用時まで-80℃以下で保存した。
(2)投与マウス
雄のC57BL/6(7週齢、SPF)を日本チャールスリバー社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(3)免疫群構成
10匹のマウスを5匹ずつ2群に分け、第1群:システイン付加35アミノ酸Aβペプチド群、第2群:システイン非付加35アミノ酸Aβペプチド群とした。
(4)免疫方法およびスケジュール
実施例8と同様の方法で初回免疫を行い、2回目、3回目、4回目(最終)免疫に関しては、初回免疫後1週間間隔で、以下のように行った。投与前日にマウスの背部を剃毛した。イソフルラン麻酔下、投与前に70%アルコールで剃毛部を消毒しサジカールテープ(ニチバン)の貼り/剥しを10回繰り返すことで表皮角質層を除去した後、原液をマウス1匹あたり20μLずつピペットマンP-20(ギルソン社)を用いて滴下投与した。(1個体あたりの投与量:100μg)。
(5)採血
4回目の最終免疫から7日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブに分注し、測定まで-80℃にて保存した。
(6)抗AβIgG抗体の測定
抗AβIgG抗体の測定は既述と同様に実施した。算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価を表9に示した。表9に示すように、システインを付加したAβペプチド断片はシステインを付加しないものに対して10倍以上の抗体誘導能が認められた。
Figure 2008133208
《システイン付加Aβペプチドおよびシステイン非付加Aβペプチドへのアジュバント添加、非添加の比較》
(1)システイン付加および非付加Aβペプチドの調製
28AA:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNK(配列番号5)
28AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKC(配列番号6)
上記のペプチドを合成し(北海道システム・サイエンス社)、生理食塩液で5mg/mLに調製しこれを原液とし、原液100μLに生理食塩液900μLを加え0.5mg/mLの濃度とし1.5mLチューブに分注した(免疫物)。使用時まで−80℃以下で保存した。
(2)アジュバント
アジュバントとして市販のQuil-A (アキュレート ケミカル&サイエンティフィック コーポレーション)およびMPL+TDM エマルジョン(コリクサ社)を用いた。Quil-Aは生理食塩液に5mg/mLの濃度で溶解したものを原液とした。またMPL+TDMエマルジョンは1バイアルを1mLの生理食塩液に溶解したものを原液とし使用時まで4℃に保存した。
(3)投与マウス
雄のC57BL/6(9週齢、SPF)を日本チャールスリバー社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(4)免疫群構成
24匹のマウスを4匹ずつ6群に分け、第1群:28AA投与群、第2群:28AA + Quil-A投与群、第3群:28AA + MPL+TDMエマルジョン投与群、第4群:28AACys投与群、第5群:28AACys+ Quil-A投与群、第6群:28AACys + MPL+TDMエマルジョン投与群とした。
(5)用量および投与物調製
Aβペプチドの投与用量は1個体当たり100μgとし、500μg/mL濃度の投与物を0.2mL投与した。28AA投与群および28AACys投与群は各原液20μLに生理食塩液180μLを混合することで調製し投与時まで−80℃に保存した。28AA + Quil-A投与群および28AACys + Quil-A投与群は、各原液20μLに5mg/mLのQuil-Aの原液を10μL(1個体あたり50μg)および生理食塩液170μLを混合することで調製し投与時まで−80℃に保存した。28AA + MPL+TDMエマルジョン投与群および28AACys + MPL+TDMエマルジョン投与群は、各原液90μLに生理食塩液660μLを混合したものを投与前の原液として−80℃に保存し、投与直前にMPL+TDMエマルジョン原液を0.5mL加え懸濁させることで調製した(4.5個体分)。
(6)免疫方法およびスケジュール
各免疫物をマウス1匹あたり200μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)を用いた腹部皮内もしくは皮下内に投与した。マウスへの免疫は2週間隔で3回の免疫を行った。
(7)採血
3回目の最終免疫から7日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブ2本に分注し、測定まで−80℃にて保存した。
(8)抗AβIgG抗体の測定
抗AβIgG抗体の測定は既述と同様に実施した。算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価を表10に示した。表10に示すように、28AAにQuil-Aを加えてもAβに対する抗体誘導はほとんど認められなかったが、MPL+TDMエマルジョン(Emulsion)を加えた場合、抗体誘導が認められた。28AACysにおいてはQuil-AおよびMPL+TDMエマルジョン共に高い抗体価を示した。また28AACys単独の抗体誘導は28AAにMPL+TDMエマルジョンを加えた場合と同程度であった。
Figure 2008133208
《アルツハイマー病モデルマウスを用いたシステイン付加Aβペプチドの薬効評価》
(1)システインを付加したAβペプチドの調製
35AACys:DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMC(配列番号21)
上記のペプチドを合成し(北海道システム・サイエンス社)、生理食塩液で5mg/mLに調製しこれを原液とし、原液100μLに生理食塩液900μLを加え0.5mg/mLの濃度とし1.5mLチューブに分注した(免疫物)。使用時まで−80℃以下で保存した。
(2)投与マウス
ヒトのAβ前駆体蛋白質を発現させることにより、脳内にヒトAβが蓄積したアルツハイマー様病態を示すトランスジェニックマウス(TG2576、雌、11週齢、SPF)をタコニック社より購入し、SPF環境下で飼育した。
(3)免疫群構成
6匹のマウスを3匹ずつ2群に分け、第1群:35AACys投与群、第2群:無投与群(コントロール)とした。
(4)免疫方法およびスケジュール
各免疫物をマウス1匹あたり200μLずつ1mLツベルクリン用注射器(テルモ、SS-01T2613S)を用いた腹部皮内もしくは皮下内に投与した(1個体あたりの投与量:100μg)。マウスへの免疫は18週齢目より2週間間隔で4回投与し、その後は1ヶ月間隔で合計11回の免疫を行った。
(5)採血
最終免疫から13日目にすべてのマウスをペントバルビタールナトリウム(共立製薬、ソムノペンチル)麻酔下腹部大静脈より採血した。採取した血液はマイクロティナ(ベクトン ディッキンソン社)に移し、室温にて十分に凝固させた後、5,000回転、10分間遠心分離した。分離した血清は各々0.5mLチューブ2本に分注し、測定まで−80℃にて保存した。
(6)脳内沈着ヒトAβの抽出
採血後、開頭し大脳を摘出した。前頭葉部の一部を切り出して、重量を測定しプロテネース インヒビター(ロッシュ、コンプリート プロテアーゼ インヒビター カクテル セット、50mL溶液に1錠)を含んだTBS(20mM Tris、137mM NaCl、pH7.6;以下、CP/TBSと呼ぶ)を150mg(脳の湿重量)/mLになるように加え、テフロン(登録商標)製のホモジナイザーでホモジナイズした。その後、12,000g、4℃で10分間遠心し、上清を捨て、1%TritonX-100/CP/TBSに再懸濁(上述のCP/TBS添加と同量)してボルテックスで1分間処理した。再び12,000g、4℃で10分間遠心し、上清を捨て、2%SDS/CP/TBSに再懸濁(上述のCP/TBS添加と同量)してボルテックスで1分間処理した。さらに12,000g、4℃で10分間遠心し、得られた上清を脳内沈着ヒトAβを含む試料分画として測定に用いた。
(7)抗AβIgG抗体の測定
抗AβIgG抗体の測定は既述と同様に実施した。
(8)脳内沈着ヒトAβの測定
測定はヒトβアミロイド(1-42)ELISAキットワコー(ワコー、コード番号 296-64401)を用いて行った。ヒトAβに対する抗体(BAN50)が固相化されたマイクロプレートに、50倍希釈したヒトAβを含む試料を100μL/wellにて添加した。4℃で一晩反応後、添加した各希釈試料を捨て350μL/wellの洗浄液(キットに付属)で5回洗浄した。各ウェルにHRP標識抗体(BC05)溶液を100μLずつ加え、4℃で1時間反応させた。反応後、標識抗体溶液を捨て350μL/wellの洗浄液で5回洗浄した。各ウェルにTMB溶液(発色剤)を100μLずつ加え、室温暗所で30分間反応させた。その後、停止液を100μL/well添加して酵素反応を停止させ、450nmの吸光度(OD450値)を測定した。標準曲線は付属のスタンダード溶液(ヒトβアミロイド(1-42)、20pmoL/L)を用いて作製した。試料測定時に、スタンダード希釈液で0.156、0.3125、0.625、1.25、2.5、5、10pmol/mLとなるように希釈し調製した。各試料の測定と同時に、各希釈検体のOD450値を測定した。得られたスタンダードの単位とOD450値の標準直線より各試料のヒトAβ濃度を算出した。
算出した各免疫群におけるマウス血清中の抗Aβ抗体価および脳内沈着ヒトAβ濃度を表11および12に示した。表11に示すように、35AACysで免疫したアルツハイマーモデルマウスでは、Aβに対する抗体産生が認められ、さらに表12に示すように、脳内沈着ヒトAβ(hAβ)は非投与群のアルツハイマーモデルマウスに対して低い濃度であった。以上より、Cys付加Aβペプチドは予防薬(ペプチドワクチン)としてのみならず、治療薬としても効果があることが示された。
Figure 2008133208
Figure 2008133208
本発明による、Aβペプチドまたはその一部にシステインが付加もしくは挿入またはシステインを含むペプチドが付加されていることを特徴とする免疫応答の増強した免疫原性ペプチド、および当該ペプチドをコードする遺伝子断片は、ペプチドワクチンやDNAワクチン等において安全かつ簡便な免疫賦活手段として利用することができる。また、本発明の免疫応答増強方法によって提供される免疫応答の増強したAβペプチドまたはその一部は、アルツハイマー病の予防または治療薬として有効である。

Claims (15)

  1. アミロイドβペプチドまたはその一部に、システインが付加もしくは挿入またはシステインを含むペプチドが付加されていることを特徴とする免疫応答の増強した免疫原性ペプチド。
  2. システインがアミロイドβペプチドまたはその一部のN末端、C末端またはその両方に付加されていることを特徴とする請求項1に記載の免疫原性ペプチド。
  3. システインがアミロイドβペプチドまたはその一部のC末端に付加されていることを特徴とする請求項1または2に記載の免疫原性ペプチド。
  4. 付加されるシステインが1または2分子である請求項1から3のいずれかに記載の免疫原性ペプチド。
  5. システインを含むペプチドがアミロイドβペプチドまたはその一部のC末端に付加されていることを特徴とする請求項1に記載の免疫原性ペプチド。
  6. アミロイドβペプチドまたはその一部に、システインが挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の免疫原性ペプチド。
  7. アミロイドβペプチドまたはその一部のN末端から、18番目と19番目の間、25番目と26番目の間、または28番目と29番目の間のいずれかにシステインが挿入されていることを特徴とする請求項6に記載の免疫原性ペプチド。
  8. 当該アミロイドβペプチドまたはその一部が、配列番号34のアミノ酸配列からなるペプチドまたはその一部である請求項1から7のいずれかに記載の免疫原性ペプチド。
  9. 当該ペプチドが、配列番号6、配列番号8、配列番号12、配列番号21、配列番号23、配列番号29、配列番号32、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54または配列番号56からなる群より選択されるアミノ酸配列からなるペプチドである、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性ペプチド。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の免疫原性ペプチドを有効成分として含有することを特徴とするアルツハイマー病の予防または治療薬。
  11. 請求項1から9のいずれかに記載の免疫原性ペプチドを有効成分とし、さらにアジュバントを添加することを特徴とするアルツハイマー病の予防または治療薬。
  12. 請求項1から9のいずれかに記載の免疫原性ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子断片を含有することを特徴とするアルツハイマー病の予防または治療に有効なDNAワクチン。
  13. アミロイドβペプチドまたはその一部にシステインが付加もしくは挿入またはシステインを含むペプチドが付加されてなる免疫応答の増強した免疫原性ペプチドを使用することを特徴とする免疫応答増強方法。
  14. アミロイドβペプチドまたはその一部にシステインが付加もしくは挿入またはシステインを含むペプチドが付加されてなる免疫応答の増強した免疫原性ペプチドにアジュバントを添加して使用することを特徴とする免疫応答増強方法。
  15. アミロイドβペプチドまたはその一部にシステインが付加もしくは挿入またはシステインを含むペプチドが付加されてなる免疫応答の増強した免疫原性ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子断片を含有するベクターをDNAワクチンとして用いることを特徴とする免疫応答増強方法。
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