本発明は、移動体通信において、屋内など劣悪な電波環境下における無線通信を可能とする中継装置およびその送信制御方法に関する。
中継装置は、リピータ、またはブースタともいわれ、電波不感帯エリアを簡易に無線通信可能エリア(以下、「カバーエリア」という)にするために、基地局装置から送信された信号を受信、および増幅してカバーエリア内に送信するとともに、カバーエリア内に位置する通信端末装置から送信された信号を受信、および増幅して基地局装置に送信する装置である(特許文献1、特許文献2参照)。
ここで、中継装置から基地局装置に送信される上り回線の信号には、通信端末装置から送信された信号(以下、「端末信号」という)のみならず、ノイズも含まれる。また、通信端末装置が間欠的に信号を送信するため、上り回線の信号に端末信号が含まれないこともある。
特開2001−69091号公報
特開2003−78463号公報
しかしながら、従来の中継装置は、常に上り回線の信号を増幅して送信するため、上り回線の信号に端末信号が含まれない場合、干渉となるノイズのみが増幅されて基地局装置に受信されることとなる。基地局装置におけるノイズの増加は、基地局セル内で収容可能な通信端末装置の台数の減少を招いてしまう。特に、近年、中継装置の数が増加していることから、今後、中継装置から送信されるノイズを低減することが重要な課題となると考えられる。
本発明の目的は、基地局装置に受信されるノイズを低減することができる中継装置およびその送信制御方法を提供することである。
本発明の中継装置は、基地局装置から送信された第1信号を受信、および増幅して下り回線で通信端末装置に送信し、前記通信端末装置から送信された第2信号を受信、および増幅して上り回線で前記基地局装置に送信する中継装置であって、上り回線の信号のレベルと閾値との大小関係に基づいて前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれているか否かを判断するデータ解析手段と、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれている場合には前記上り回線の信号を前記基地局装置に送信し、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれていない場合には前記上り回線の信号の送信を停止する無線制御手段と、を具備する構成を採る。
本発明の送信制御方法は、基地局装置から送信された第1信号を受信、および増幅して下り回線で通信端末装置に送信し、前記通信端末装置から送信された第2信号を受信、および増幅して上り回線で前記基地局装置に送信する中継装置の送信制御方法であって、上り回線の信号のレベルと閾値との大小関係に基づいて前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれているか否かを判断するデータ解析工程と、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれている場合には前記上り回線の信号を前記基地局装置に送信し、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれていない場合には前記上り回線の信号の送信を停止する無線制御工程と、を具備する方法を採る。
本発明によれば、上り回線の信号に端末信号が含まれない場合、上り回線の信号の送信を停止することができるので、基地局装置における干渉を低減することができる。
本発明の実施の形態1に係る中継装置を含む移動体通信システムの全体構成を示す図
本発明の実施の形態1に係る中継装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1に係る中継装置の送信制御方法の流れを示すフロー図
本発明の実施の形態1に係る中継装置の効果を説明する図
本発明の実施の形態2に係る中継装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態3に係る中継装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態4に係る中継装置を含む移動体通信システムの全体構成を示す図
本発明の実施の形態4に係る中継装置の子機の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態4に係る中継装置の子機から出力される信号のフレーム構成を示す図
本発明の実施の形態5に係る中継装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態5に係る中継装置を含む移動通信システムの全体構成を示す図
本発明の実施の形態5においてノイズ(熱雑音)および電力レベル検出閾値に対する通信端末装置からの送信された信号の受信電力の大きさを説明するための図
本発明の実施の形態6に係る中継装置の親機の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態6に係る中継装置の子機の構成を示すブロック図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る中継装置を含む移動体通信システムの全体構成を示す図である。図1に示す移動体通信システムは、地下店舗、事務所等の小規模閉空間不感帯エリアである屋内に設置される中継装置100、屋内で使用される携帯電話機などの通信端末装置200、屋外に設置される基地局装置400と、を有する。
中継装置100は、対通信端末装置用の屋内アンテナ310を介して通信端末装置200と無線通信を行い、RF同軸ケーブル320、屋外アンテナ330を介して基地局装置400と無線通信を行う。具体的には、中継装置100は、通信端末装置200から送信され、アンテナ310で受信された無線信号を増幅し、RF同軸ケーブル320、屋外アンテナ330を介して基地局装置400に再放射することで基地局装置400の受信電力値を補う。また、中継装置100は、基地局装置400から送信され、屋外アンテナ330、RF同軸ケーブル320で受信された無線信号を増幅し、屋内アンテナ310を介して通信端末装置200に再放射することで通信端末装置200の受信電力値を補う。
図2は、中継装置100の構成を示すブロック図である。図2において、中継装置100は、屋外側アンテナ端子101と、屋内側アンテナ端子102と、共用器103と、共用器104と、下り信号無線部110と、上り信号無線部120と、データ解析部131と、無線制御部132と、アンテナスイッチ133と、終端部134と、を備える。下り信号無線部110は、低雑音増幅器111、アナログディジタル変換器(ADC)112、ディジタルフィルタ113、ディジタルアナログ変換器(DAC)114及び増幅器115を備え、上り信号無線部120は、低雑音増幅器121、アナログディジタル変換器(ADC)122、ディジタルフィルタ123、遅延器124、ディジタルアナログ変換器(DAC)125及び増幅器126を備える。
屋外側アンテナ端子101は、屋外に設置される基地局装置400との間で信号の送受信を行う屋外アンテナ330のRF同軸ケーブル320を接続する。屋内側アンテナ端子102は、屋内で使用される通信端末装置200との間で信号の送受信を行う屋内アンテナ310を接続する。
共用器103は、屋外側アンテナ端子101から入力された下り回線の信号を下り信号無線部110へ出力するとともに、上り信号無線部120によって増幅された上り回線の信号を屋外側アンテナ端子101へ出力する。共用器104は、屋内側アンテナ端子102から出力された上り回線の信号を上り信号無線部120へ出力するとともに、下り信号無線部110によって増幅された下り回線の信号を屋内側アンテナ端子102へ出力する。
下り信号無線部110は、共用器103から出力された下り回線の信号を増幅し、共用器104へ出力する。低雑音増幅器111は、共用器103から出力された下り回線の信号を、規定の増幅率により増幅する。アナログディジタル変換器112は、低雑音増幅器111から出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。ディジタルフィルタ113は、アナログディジタル変換器112から出力されたディジタル信号の所定の帯域成分のみを通過させる。ディジタルアナログ変換器114は、ディジタルフィルタ113から出力されたディジタル信号をアナログ信号に変換する。増幅器115は、ディジタルアナログ変換器114から出力された信号を、規定の増幅率により増幅する。
上り信号無線部120は、共用器104から出力された上り回線の信号を増幅し、共用器103へ出力する。低雑音増幅器121は、共用器104から出力された上り回線の信号を、規定の増幅率により増幅する。アナログディジタル変換器122は、低雑音増幅器121から出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。ディジタルフィルタ123は、アナログディジタル変換器122から出力されたディジタル信号の所定の帯域成分のみを通過させる。
アンテナスイッチ133の制御タイミングを上り回線の信号の送信タイミングに合わせるため、遅延器124は、データ解析部131および無線制御部132の処理に必要な時間だけ、ディジタルフィルタ123から出力されたディジタル信号を遅延させる。
ディジタルアナログ変換器125は、遅延器124から出力されたディジタル信号をアナログ信号に変換する。増幅器126は、ディジタルアナログ変換器125から出力された信号を、規定の増幅率により増幅する。
データ解析部131は、所定の間隔でディジタルフィルタ123の出力を解析し、この出力に端末信号が含まれているか否かを判断する。具体的には、データ解析部131は、ディジタルフィルタ123の出力レベルを測定し、測定した出力レベルと所定の閾値とを比較し、出力レベルが閾値以上であれば端末信号が含まれていると判断し、出力レベルが閾値未満であれば端末信号が含まれず、ノイズのみであると判断する。
無線制御部132は、データ解析部131の解析結果に基づいてアンテナスイッチ133を制御する。具体的には、データ解析部131がディジタルフィルタ123の出力に端末信号が含まれていると判断した場合、無線制御部132は、上り信号無線部120と共用器103を接続するようにアンテナスイッチ133を制御する。一方、データ解析部131がディジタルフィルタ123の出力に端末信号が含まれていないと判断した場合、無線制御部132は、上り信号無線部120と終端部134を接続するようにアンテナスイッチ133を制御する。
アンテナスイッチ133は、無線制御部132の制御に基づいて、上り信号無線部120の出力信号を共用器103あるいは終端部134に出力する。終端部134は、アンテナスイッチ133からの出力を終端する。
図3は、本実施の形態に係る中継装置の送信制御方法の流れを示すフロー図である。
まず、データ解析部131が、所定の間隔で上り回線の信号(ディジタルフィルタ123の出力)を検出し、検出することができた場合には(ST301;YES)、上り回線の信号レベルを測定し(ST302)、信号レベルと所定の閾値とを比較する(ST303)。
そして、信号レベルが閾値以上である場合(ST303;YES)、無線制御部132が、上り信号無線部120と共用器103を接続するようにアンテナスイッチ133を制御し(ST304)、一定時間、上り回線の信号を屋外アンテナ330から送信させる(ST305)。
一方、信号レベルが閾値未満である場合(ST303;NO)、無線制御部132が、上り信号無線部120と共用器103を切断するようにアンテナスイッチ133を制御し(ST306)、一定時間、上り回線の信号の送信を停止させる(ST307)。
図4は、本実施の形態に係る中継装置の効果を説明する図である。なお、図4Bおよび図4CのX軸は周波数、Y軸は受信レベルを表す。図4Aでは、基地局装置400が、3台の中継装置100−1、100−2、100−3と無線通信を行っている例を示す。また、図4Aにおいて、中継装置100−1から送信される上り回線の信号には端末信号が含まれ、中継装置100−2、100−3から送信される上り回線の信号には端末信号が含まれないものとする。
従来では、各中継装置100−1、100−2、100−3が、常に上り回線の信号を増幅して送信するため、図4Bに示すように、基地局装置400には、中継装置100−1から送信された希望波S100−1およびノイズN100−1、中継装置100−2から送信されたノイズN100−2、中継装置100−3から送信されたノイズN100−3が受信される。
ここで、基地局装置400は、所望の受信品質を維持するために、SIR(Signal to Noise Ratio)の低下を防がなければならない。従って、基地局装置400は、ノイズレベルが増加すれば、中継装置100−1に送信電力を上げさせ、希望波の受信レベルを高くしなければならない。
この結果、基地局装置400の総受信電力値は所定の値に決まっていることから、従来の通信システムでは、基地局セル内で収容可能な通信端末装置の台数が減少してしまうことになる。
これに対し、本実施の形態では、端末信号を送信しない中継装置100−2、100−3が、上り回線の信号の送信を停止するため、図4Cに示すように、基地局装置400には、中継装置100−1から送信された希望波S100−1およびノイズN100−1のみが受信される。
この結果、本実施の形態では、従来に比べて、基地局装置400における希望波の受信レベルが低くても所望の受信品質を得ることができるので、基地局セル内で収容可能な通信端末装置の台数を増加させることができる。
このように、本実施の形態によれば、端末信号を送信しない中継装置が上り回線の信号の送信を停止することができるので、基地局装置におけるノイズレベルを抑え、基地局セル内で収容可能な通信端末装置の台数を増加させることができる。
また、ディジタル信号は保存しておくことができることから、本実施の形態のように、アナログディジタル変換器122にてアナログ信号をディジタル信号に変換することにより、遅延器124でディジタル信号を遅延させることは容易である。したがって、本実施の形態によれば、アンテナスイッチ133の制御タイミングを上り回線の信号の送信タイミングに合わせることができ、上り回線の信号を、アンテナスイッチ133を切断状態から接続状態に切り換える際に欠落させることなく基地局装置400に送信することができる。
なお、本実施の形態では、アンテナスイッチ133を制御して上り信号無線部120と共用器103を切断する場合について説明したが、本発明は、上り回線の信号の送信を停止させる方法に制限はなく、例えば、ディジタル部で上り回線の信号をミュートして熱雑音レベルまで下げる方法や、アッテネータ(減衰器)において上り回線の信号の利得を最小値にする方法を用いても良い。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る中継装置100Aの構成を示すブロック図である。なお、図5に示す中継装置100Aにおいて、図2に示した中継装置100と共通する構成部分については、図2と同一符号を付し、その説明を省略する。
図5に示す中継装置100Aでは、データ解析部131Aの作用が、図2のデータ解析部131と異なる。また、図5に示す中継装置100Aは、図2に示した中継装置100と比較して、遅延器124を削除し、ディジタルフィルタ123の出力をディジタルアナログ変換器125に入力させる構成を採る。これは、データ解析部131Aおよび無線制御部132の処理遅延に対して、ディジタルフィルタ123の処理遅延を利用することにより、アンテナスイッチ133の制御タイミングを上り回線の信号の送信タイミングに合わせることができるためである。
データ解析部131Aは、所定の間隔でアナログディジタル変換器122の出力を解析し、この出力に端末信号が含まれているか否かを判断する。具体的には、データ解析部131Aは、アナログディジタル変換器122の出力レベルを測定し、測定した出力レベルと所定の閾値とを比較し、出力レベルが閾値以上であれば端末信号が含まれていると判断し、出力レベルが閾値未満であれば端末信号が含まれず、ノイズのみであると判断する。
ここで、データ解析部131Aに入力される信号は、ディジタルフィルタ123により帯域制限されていないため、帯域外の不要な信号を含んでいる可能性が高い。従って、データ解析部131Aは、単純にアナログディジタル変換器122の出力レベルと所定の閾値との比較を行うと、判断を誤るおそれがある。
そこで、データ解析部131Aでは、入力信号に対してフーリエ解析を行い、端末信号の帯域の出力レベルについて閾値との比較を行う。これにより、データ解析部131Aは、アナログディジタル変換器122の出力に端末信号が含まれているか否かを精度良く判断することができる。
なお、データ解析部131Aは、入力信号に対して逆拡散処理を行い、ピーク電力レベルについて閾値との比較を行っても良い。
このように、本実施の形態によれば、中継装置に遅延器を設けることなく、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係る中継装置100Bの構成を示すブロック図である。なお、図6に示す中継装置100Bにおいて、図2に示した中継装置100と共通する構成部分については、図2と同一符号を付し、その説明を省略する。
図6に示す中継装置100Bは、図2に示した中継装置100に対して、分配器105、伝搬損失算出部141、端末送信電力推定部142、および閾値設定部143を追加する構成を採る。これらの追加構成は、上り回線の信号をON/OFFさせるための閾値の決定に際して、WCDMA及びCDMA2000方式のランダムアクセスチャネルの送信電力制御として採用されている開ループ制御方式を取り入れ、閾値設定をより精度良く行うことができるようにするためのものである。
分配部105は、共用器103から出力された下り回線の信号を、下り信号無線部110および伝搬損失算出部141に出力する。
伝搬損失算出部141は、分配器105から出力された基地局装置の送信信号に含まれる報知情報から、基地局装置400の送信電力値Tx_Power(BS)及び受信電力値RSCPを示す情報を抽出し、送信電力値Tx_Power(BS)及び受信電力値RSCPに基づいて、以下の式(1)により、基地局装置400との無線区間の伝搬損失値PathLoss(1)を算出する。なお、送信電力値Tx_Power(BS)及び受信電力値RSCPは、「3GPP規格 TS 25.215」に規定されている。
PathLoss(1) = Tx_Power(BS) -RSCP …(1)
端末送信電力推定部142は、伝搬損失算出部141で算出された伝搬損失値PathLoss(1)、上り基地局干渉波レベルUL interferenceに基づいて、以下の式(2)により、通信端末装置200の送信電力値Tx_Power(MS)を算出する。なお、以下の式(2)において、Constant Valueは定数である。式(2)は、3GPP規格 TS 25.331に規定されている。
Tx_Power(MS) = PathLoss(1) + UL interference + Constant Value …(2)
閾値設定部143は、端末送信電力推定部142で算出された通信端末装置200の送信電力値Tx_Power(MS)および下り信号無線部110の増幅率αに基づいて、以下の式(3)により閾値MSthを設定する。
MSth = Tx_Power(MS) - α …(3)
データ解析部131は、ディジタルフィルタ123の出力レベルと閾値設定部143で設定された閾値との比較を行う。
このように、本実施の形態によれば、通信端末装置200の送信電力値Tx_Power(MS)に基づいて閾値を適応的に変化させることができるので、さらに精度良く、上り回線の信号に端末信号が含まれているか否かを判断することができる。
なお、本実施の形態は、実施の形態2と組み合わせ、図5に示した中継装置100Aに対して、分配器105、伝搬損失算出部141、端末送信電力推定部142、および閾値設定部143を追加することもできる。
また、本実施の形態は、上記式(1)の代わりに、受信電力値RSCPと定数βに基づいて、以下の式(4)により、伝搬損失値PathLoss(1)を算出しても良い。
PathLoss(1) = RSCP + β …(4)
(実施の形態4)
中継装置を含む通信システムの一形態として、図7に示すように、1台の親機100C−1と複数台の子機100C−2とからなる中継装置100Cと、複数の通信端末装置200と、基地局装置400と、からなる通信システムがある(携帯電話の不感地帯を解消するROFリモート基地局;東芝レビュー Vol. 59 No.11 (2004) P43-46、参照)。
この通信システムでは、親機100C−1と各子機100C−2とが光ファイバーにより有線接続し、親機100C−1と基地局装置400とが同軸ケーブルにより有線接続し、子機100C−2と複数の通信端末装置200とが無線接続する。
実施の形態4では、この通信システムに本発明を適用する場合について説明する。図8は、図7に示した子機100C−2の構成を示すブロック図である。なお、図8に示す子機100C−2において、図2に示した中継装置100と共通する構成部分については、図2と同一符号を付し、その説明を省略する。
図8に示す子機100C−2は、図2に示した中継装置100に対して、屋外側アンテナ端子101、共用器103、低雑音増幅器111、アナログディジタル変換器112、ディジタルアナログ変換器125、増幅器126、アンテナスイッチ133、および終端部134を削除し、光/電気変換器(O/E)116、フレーマ117、データ切替部127、フレーマ128、電気/光変換器(E/O)129、ゼロデータ生成部151を追加する構成を採る。
光/電気変換器(O/E)116は、光ファイバーを経由して親機100C−1から入力した光信号を電気信号に変換する。フレーマ117は、光/電気変換器(O/E)116から出力されたフレーム構造の電気信号からデータ部の信号を取り出し、ディジタルフィルタ113に出力する。ディジタルフィルタ113は、フレーマ117から出力されたディジタル信号の所定の帯域成分のみを通過させる。
無線制御部132は、データ解析部131の解析結果に基づいてデータ切替部127およびゼロデータ生成部151を制御する。具体的には、データ解析部131がディジタルフィルタ123の出力に端末信号が含まれていると判断した場合、無線制御部132は、遅延器124の出力信号をフレーマ128に出力するようにデータ切替部127を制御する。一方、データ解析部131がディジタルフィルタ123の出力に端末信号が含まれていないと判断した場合、無線制御部132は、ゼロデータを生成するようにゼロデータ生成部151を制御し、ゼロデータ生成部151が生成したゼロデータをフレーマ128に出力するようにデータ切替部127を制御する。
ゼロデータ生成部151は、無線制御部132の制御に基づいてゼロデータを生成し、データ切替部127に出力する。データ切替部127は、無線制御部132の制御に基づいて、遅延器124の出力信号あるいはゼロデータ生成部151が生成したゼロデータをフレーマ128に出力する。
フレーマ128は、データ切替部127から出力されたデータ信号に、フラグ(F)、アドレス(A)、コマンド(C)、フレームチェックシーケンス(FCS)等の制御信号を時間多重して、図9に示すフレームを構成する。電気/光変換器(E/O)129は、フレーマ128から出力されたフレーム構造の電気信号を光信号に変換し、光ファイバーを経由して親機100C−1に出力する。
このように、本実施の形態によれば、親機100C−1と子機100C−2とが光ファイバーで接続される中継装置100Cにおいて、上り回線信号に端末信号が含まれていない場合、子機100C−2が親機100C−1にゼロデータを出力することにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態は、実施の形態2と組み合わせ、図8に示した子機100C−2のデータ解析部131の代わりにデータ解析部131Aを追加し、遅延器124を削除し、ディジタルフィルタ123の出力をデータ切替部127に入力させる構成を採ることもできる。また、本実施の形態は、実施の形態3と組み合わせ、図8に示した子機100C−2に対して、分配器105、伝搬損失算出部141、端末送信電力推定部142、および閾値設定部143を追加することもできる。
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5に係る中継装置100Dの構成を示すブロック図である。また、図11は、中継装置100Dを含む移動通信システムの全体構成を示す図である。
図10に示す中継装置100Dは、図6に示した中継装置100Bに対して、可変アッテネータ(可変ATT)170、可変アッテネータ(可変ATT)171、および利得制御部172をさらに追加した構成を採り、自動利得設定機能を有する。
利得制御部172は、伝播損失値Pathloss(2)に応じて、可変アッテネータ170、171の利得を設定する。すなわち、基地局装置400と中継装置100Dとの間の距離が近いほど伝播損失値Pathloss(2)が小さくなるので、利得制御部172は、低い利得を設定する。一方、基地局装置400と中継装置100Dとの間の距離が遠いほど、伝播損失値Pathloss(2)が大きくなるので、利得制御部172は、高い利得を設定する。可変アッテネータ170は、利得制御部172で設定された利得に基づいて分配器105の出力信号を増幅/減衰し、低雑音増幅器111に出力する。可変アッテネータ171は、利得制御部172で設定された利得に基づいて増幅器126の出力信号を増幅/減衰し、アンテナスイッチ133に出力する。
以下、自動利得設定機能について、図11を用いて説明する。自動利得設定機能とは、中継装置が、以下の式(5)により、伝播損失値Pathloss(2)に応じて自動的に自局の利得GAIN_reを設定するものである。
GAIN_re = Pathloss(2) - α …(5)
ここで、上記式(1)と同様に、伝播損失値Pathloss(2)は、以下の式(6)により算出される。
PathLoss(2) = Tx_Power(BS) -RSCP(2) …(6)
また、中継装置の送信電力Tx_Power(re)は、以下の式(7)により算出される。
Tx_Power(re) = RSCP(2) + GAIN_re …(7)
したがって、上記式(5)、(6)、(7)より、中継装置の送信電力Tx_Power(re)は、以下の式(8)に示すものとなり、Tx_Power(BS)およびαは定数であるため、自動利得設定機能を持つ中継装置の送信電力Tx_Power(re)は一定となる。
Tx_Power(re) = Tx_Power(BS) - α …(8)
すなわち、自動利得設定機能を用いて中継装置100Dの利得を最適値に設定することによって、基地局装置400と中継装置100Dとの間の距離の変動、すなわち伝播損失値Pathloss(2)の変動を補償することができる。
また、Tx_Power(re)の値がほぼ一定値であれば、通信端末装置200の送信電力Tx_Power(MS)の変動要因は、上記式(2)より、Pathloss(1)だけとなり、中継装置において、通信端末装置200から送信された信号の受信電力Rx_Power(MS)は、送信電力Tx_Power(MS)から伝搬損失Pathloss(1)を除いたものとなるので、受信電力Rx_Power(MS)は、以下の式(10)に示すものとなり、UL interferenceおよびConstant Valueが定数であるため、受信電力Rx_Power(MS)も一定となる。
Rx_Power(MS) = UL interference + Constant Value …(10)
このように、中継装置100Dにおける通信端末装置200から送信された信号の受信電力Rx_Power(MS)がほぼ一定値になるので、中継装置100Dの端末送信電力推定部142はこの受信電力Rx_Power(MS)を容易に推定することができる。
さらに、中継装置100Dは、この受信電力Rx_Power(MS)を容易に推定することができるため、中継装置100D内で設定する閾値MSthを適切に設定することができる。
図12は、ノイズ(熱雑音)および電力レベル検出閾値MSthに対する通信端末装置からの送信された信号の受信電力Rx_Power(MS)の大きさを説明するための図であり、図12Aは従来例を示し、図12Bは本実施の形態の場合を示す。
図12Aに示すように、利得が一定値に固定されている中継装置では、下り回線の送信電力Tx_Power(re)が一定にならないため、中継装置が通信端末装置200から受信する電力レベルRx_Power(MS)が変動し、熱雑音以下になる、あるいは設定された閾値MSth以下になることがある。この場合、中継装置は、上り回線の信号に端末信号が含まれているか否かを正確に検出することが困難になってしまう。
これに対して、本実施の形態によれば、中継装置100Dは、この受信電力Rx_Power(MS)を予め高い精度で推定することができるので、閾値MSth以下の値にならないように設定することができ、上り回線の信号に端末信号が含まれているかを高い精度で判断することができる。
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の形態6に係る中継装置100Eの親機100E−1の構成を示すブロック図であり、図14は、本発明の実施の形態6に係る中継装置100Eの子機100E−2の構成を示すブロック図である。なお、図13に示す親機100E−1、図14に示す子機100E−2において、図6に示した中継装置100Bおよび図8に示した子機100C−2と共通する構成部分については、図2及び図6と同一符号を付し、その説明を省略する。ただし、フレーマ、E/O、O/Eに関しては、図8と同一番号を付していないが、その機能は同一であるので説明を省略する。
伝搬損失算出部141は利得GAIN_reを決定し、端末送信電力推定部142は閾値MSthを決定する。データ送信部150は、利得GAIN_reおよび閾値MSthをフレーマ117に出力する。この結果、利得GAIN_reおよび閾値MSthは、子機100E−2に送られる。
子機100E−2では、利得GAIN_reおよび閾値MSthが、フレーマ117を介して、コマンド受信部160に送られる。コマンド受信部160は、閾値MSthを無線制御部132に送り、利得GAIN_reを利得設定部161に送る。利得設定部161は、下り信号無線部110内の増幅部115の利得を設定する。
このように、親機100E−1は、伝搬損失算出部141を有するので、基地局装置との間のケーブルの伝搬損失値を算出することができ、子機100E−2は、この伝搬損失値の大きさに応じて利得を最適値に設定することができる。
子機100E−2の利得を最適値に設定することができれば、子機100E−2は通信端末装置200へ送信する信号の送信電力Tx_Power(re)、および、通信端末装置200から送信された信号の受信電力Rx_Power(MS)を容易に推定することができる。
なお、親機100E−1における基地局装置400に送信する信号の送信電力は、基地局装置400と親機100E−1とが同軸ケーブル(有線)で結ばれ、親機と子機とが光ファイバー(有線)で結ばれているので、ほぼ一定値である。
したがって、子機100E−2における通信端末装置200へ送信する信号の送信電力および子機100E−2における通信端末装置200から送信された信号の受信電力を推定することができれば、中継装置100Eは、実施の形態5と同様に、通信端末装置200からの受信電力Rx_Power(MS)を閾値MSth以下の値にならないように設定することができるので、上り回線の信号に端末信号が含まれているかをより高い精度で判断することができる。また、中継装置100Eは、受信電力Rx_Power(MS)を予め高い精度で推定することができるので、熱雑音のレベルを考慮して、閾値MSthを熱雑音のレベルから十分に離れた適切な値に設定することができる。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。本発明は、無線中継するシステムであればどのような場合にも適用することができる。
また、上記各実施の形態では、中継装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、リピータ、ブースタ等でもよい。
2007年3月30日出願のPCT/JP2007/057214の国際出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
本発明は、基地局装置から送信された信号を受信、および増幅して通信端末装置に送信するとともに、通信端末装置から送信された信号を受信、および増幅して基地局装置に送信する中継装置に用いるに好適である。
本発明は、移動体通信において、屋内など劣悪な電波環境下における無線通信を可能とする中継装置およびその送信制御方法に関する。
中継装置は、リピータ、またはブースタともいわれ、電波不感帯エリアを簡易に無線通信可能エリア(以下、「カバーエリア」という)にするために、基地局装置から送信された信号を受信、および増幅してカバーエリア内に送信するとともに、カバーエリア内に位置する通信端末装置から送信された信号を受信、および増幅して基地局装置に送信する装置である(特許文献1、特許文献2参照)。
ここで、中継装置から基地局装置に送信される上り回線の信号には、通信端末装置から送信された信号(以下、「端末信号」という)のみならず、ノイズも含まれる。また、通信端末装置が間欠的に信号を送信するため、上り回線の信号に端末信号が含まれないこともある。
特開2001−69091号公報
特開2003−78463号公報
しかしながら、従来の中継装置は、常に上り回線の信号を増幅して送信するため、上り回線の信号に端末信号が含まれない場合、干渉となるノイズのみが増幅されて基地局装置に受信されることとなる。基地局装置におけるノイズの増加は、基地局セル内で収容可能な通信端末装置の台数の減少を招いてしまう。特に、近年、中継装置の数が増加していることから、今後、中継装置から送信されるノイズを低減することが重要な課題となると考えられる。
本発明の目的は、基地局装置に受信されるノイズを低減することができる中継装置およびその送信制御方法を提供することである。
本発明の中継装置は、基地局装置から送信された第1信号を受信、および増幅して下り回線で通信端末装置に送信し、前記通信端末装置から送信された第2信号を受信、および増幅して上り回線で前記基地局装置に送信する中継装置であって、上り回線の信号のレベルと閾値との大小関係に基づいて前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれているか否かを判断するデータ解析手段と、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれている場合には前記上り回線の信号を前記基地局装置に送信し、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれていない場合には前記上り回線の信号の送信を停止する無線制御手段と、を具備する構成を採る。
本発明の送信制御方法は、基地局装置から送信された第1信号を受信、および増幅して下り回線で通信端末装置に送信し、前記通信端末装置から送信された第2信号を受信、および増幅して上り回線で前記基地局装置に送信する中継装置の送信制御方法であって、上り回線の信号のレベルと閾値との大小関係に基づいて前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれているか否かを判断するデータ解析工程と、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれている場合には前記上り回線の信号を前記基地局装置に送信し、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれていない場合には前記上り回線の信号の送信を停止する無線制御工程と、を具備する方法を採る。
本発明によれば、上り回線の信号に端末信号が含まれない場合、上り回線の信号の送信を停止することができるので、基地局装置における干渉を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る中継装置を含む移動体通信システムの全体構成を示す図である。図1に示す移動体通信システムは、地下店舗、事務所等の小規模閉空間不感帯エリアである屋内に設置される中継装置100、屋内で使用される携帯電話機などの通信端末装置200、屋外に設置される基地局装置400と、を有する。
中継装置100は、対通信端末装置用の屋内アンテナ310を介して通信端末装置200と無線通信を行い、RF同軸ケーブル320、屋外アンテナ330を介して基地局装置400と無線通信を行う。具体的には、中継装置100は、通信端末装置200から送信され、アンテナ310で受信された無線信号を増幅し、RF同軸ケーブル320、屋外アンテナ330を介して基地局装置400に再放射することで基地局装置400の受信電力値を補う。また、中継装置100は、基地局装置400から送信され、屋外アンテナ330、RF同軸ケーブル320で受信された無線信号を増幅し、屋内アンテナ310を介して通信端末装置200に再放射することで通信端末装置200の受信電力値を補う。
図2は、中継装置100の構成を示すブロック図である。図2において、中継装置100は、屋外側アンテナ端子101と、屋内側アンテナ端子102と、共用器103と、共用器104と、下り信号無線部110と、上り信号無線部120と、データ解析部131と、無線制御部132と、アンテナスイッチ133と、終端部134と、を備える。下り信号無線部110は、低雑音増幅器111、アナログディジタル変換器(ADC)112、ディジタルフィルタ113、ディジタルアナログ変換器(DAC)114及び増幅器115を備え、上り信号無線部120は、低雑音増幅器121、アナログディジタル変換器(ADC)122、ディジタルフィルタ123、遅延器124、ディジタルアナログ変換器(DAC)125及び増幅器126を備える。
屋外側アンテナ端子101は、屋外に設置される基地局装置400との間で信号の送受信を行う屋外アンテナ330のRF同軸ケーブル320を接続する。屋内側アンテナ端子102は、屋内で使用される通信端末装置200との間で信号の送受信を行う屋内アンテナ310を接続する。
共用器103は、屋外側アンテナ端子101から入力された下り回線の信号を下り信号無線部110へ出力するとともに、上り信号無線部120によって増幅された上り回線の信号を屋外側アンテナ端子101へ出力する。共用器104は、屋内側アンテナ端子102から出力された上り回線の信号を上り信号無線部120へ出力するとともに、下り信号無線部110によって増幅された下り回線の信号を屋内側アンテナ端子102へ出力する。
下り信号無線部110は、共用器103から出力された下り回線の信号を増幅し、共用器104へ出力する。低雑音増幅器111は、共用器103から出力された下り回線の信号を、規定の増幅率により増幅する。アナログディジタル変換器112は、低雑音増幅器111から出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。ディジタルフィルタ113は、アナログディジタル変換器112から出力されたディジタル信号の所定の帯域成分のみを通過させる。ディジタルアナログ変換器114は、ディジタルフィルタ113から出力されたディジタル信号をアナログ信号に変換する。増幅器115は、ディジタルアナログ変換器114から出力された信号を、規定の増幅率により増幅する。
上り信号無線部120は、共用器104から出力された上り回線の信号を増幅し、共用器103へ出力する。低雑音増幅器121は、共用器104から出力された上り回線の信号を、規定の増幅率により増幅する。アナログディジタル変換器122は、低雑音増幅器121から出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。ディジタルフィルタ123は、アナログディジタル変換器122から出力されたディジタル信号の所定の帯域成分のみを通過させる。
アンテナスイッチ133の制御タイミングを上り回線の信号の送信タイミングに合わせるため、遅延器124は、データ解析部131および無線制御部132の処理に必要な時間だけ、ディジタルフィルタ123から出力されたディジタル信号を遅延させる。
ディジタルアナログ変換器125は、遅延器124から出力されたディジタル信号をアナログ信号に変換する。増幅器126は、ディジタルアナログ変換器125から出力された信号を、規定の増幅率により増幅する。
データ解析部131は、所定の間隔でディジタルフィルタ123の出力を解析し、この出力に端末信号が含まれているか否かを判断する。具体的には、データ解析部131は、ディジタルフィルタ123の出力レベルを測定し、測定した出力レベルと所定の閾値とを比較し、出力レベルが閾値以上であれば端末信号が含まれていると判断し、出力レベルが閾値未満であれば端末信号が含まれず、ノイズのみであると判断する。
無線制御部132は、データ解析部131の解析結果に基づいてアンテナスイッチ133を制御する。具体的には、データ解析部131がディジタルフィルタ123の出力に端末信号が含まれていると判断した場合、無線制御部132は、上り信号無線部120と共用器103を接続するようにアンテナスイッチ133を制御する。一方、データ解析部131がディジタルフィルタ123の出力に端末信号が含まれていないと判断した場合、無線制御部132は、上り信号無線部120と終端部134を接続するようにアンテナスイッチ133を制御する。
アンテナスイッチ133は、無線制御部132の制御に基づいて、上り信号無線部120の出力信号を共用器103あるいは終端部134に出力する。終端部134は、アンテナスイッチ133からの出力を終端する。
図3は、本実施の形態に係る中継装置の送信制御方法の流れを示すフロー図である。
まず、データ解析部131が、所定の間隔で上り回線の信号(ディジタルフィルタ123の出力)を検出し、検出することができた場合には(ST301;YES)、上り回線の信号レベルを測定し(ST302)、信号レベルと所定の閾値とを比較する(ST303)。
そして、信号レベルが閾値以上である場合(ST303;YES)、無線制御部132が、上り信号無線部120と共用器103を接続するようにアンテナスイッチ133を制御し(ST304)、一定時間、上り回線の信号を屋外アンテナ330から送信させる(ST305)。
一方、信号レベルが閾値未満である場合(ST303;NO)、無線制御部132が、上り信号無線部120と共用器103を切断するようにアンテナスイッチ133を制御し(ST306)、一定時間、上り回線の信号の送信を停止させる(ST307)。
図4は、本実施の形態に係る中継装置の効果を説明する図である。なお、図4Bおよび図4CのX軸は周波数、Y軸は受信レベルを表す。図4Aでは、基地局装置400が、3台の中継装置100−1、100−2、100−3と無線通信を行っている例を示す。また、図4Aにおいて、中継装置100−1から送信される上り回線の信号には端末信号が含まれ、中継装置100−2、100−3から送信される上り回線の信号には端末信号が含まれないものとする。
従来では、各中継装置100−1、100−2、100−3が、常に上り回線の信号を増幅して送信するため、図4Bに示すように、基地局装置400には、中継装置100−1から送信された希望波S100−1およびノイズN100−1、中継装置100−2から送信されたノイズN100−2、中継装置100−3から送信されたノイズN100−3が受信される。
ここで、基地局装置400は、所望の受信品質を維持するために、SIR(Signal to Noise Ratio)の低下を防がなければならない。従って、基地局装置400は、ノイズレベルが増加すれば、中継装置100−1に送信電力を上げさせ、希望波の受信レベルを高くしなければならない。
この結果、基地局装置400の総受信電力値は所定の値に決まっていることから、従来の通信システムでは、基地局セル内で収容可能な通信端末装置の台数が減少してしまうことになる。
これに対し、本実施の形態では、端末信号を送信しない中継装置100−2、100−3が、上り回線の信号の送信を停止するため、図4Cに示すように、基地局装置400には、中継装置100−1から送信された希望波S100−1およびノイズN100−1のみが受信される。
この結果、本実施の形態では、従来に比べて、基地局装置400における希望波の受信レベルが低くても所望の受信品質を得ることができるので、基地局セル内で収容可能な通信端末装置の台数を増加させることができる。
このように、本実施の形態によれば、端末信号を送信しない中継装置が上り回線の信号の送信を停止することができるので、基地局装置におけるノイズレベルを抑え、基地局セル内で収容可能な通信端末装置の台数を増加させることができる。
また、ディジタル信号は保存しておくことができることから、本実施の形態のように、アナログディジタル変換器122にてアナログ信号をディジタル信号に変換することにより、遅延器124でディジタル信号を遅延させることは容易である。したがって、本実施の形態によれば、アンテナスイッチ133の制御タイミングを上り回線の信号の送信タイミングに合わせることができ、上り回線の信号を、アンテナスイッチ133を切断状態から接続状態に切り換える際に欠落させることなく基地局装置400に送信することができる。
なお、本実施の形態では、アンテナスイッチ133を制御して上り信号無線部120と共用器103を切断する場合について説明したが、本発明は、上り回線の信号の送信を停止させる方法に制限はなく、例えば、ディジタル部で上り回線の信号をミュートして熱雑音レベルまで下げる方法や、アッテネータ(減衰器)において上り回線の信号の利得を最小値にする方法を用いても良い。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る中継装置100Aの構成を示すブロック図である。なお、図5に示す中継装置100Aにおいて、図2に示した中継装置100と共通する構成部分については、図2と同一符号を付し、その説明を省略する。
図5に示す中継装置100Aでは、データ解析部131Aの作用が、図2のデータ解析部131と異なる。また、図5に示す中継装置100Aは、図2に示した中継装置100と比較して、遅延器124を削除し、ディジタルフィルタ123の出力をディジタルアナログ変換器125に入力させる構成を採る。これは、データ解析部131Aおよび無線制御部132の処理遅延に対して、ディジタルフィルタ123の処理遅延を利用することにより、アンテナスイッチ133の制御タイミングを上り回線の信号の送信タイミングに合わせることができるためである。
データ解析部131Aは、所定の間隔でアナログディジタル変換器122の出力を解析し、この出力に端末信号が含まれているか否かを判断する。具体的には、データ解析部131Aは、アナログディジタル変換器122の出力レベルを測定し、測定した出力レベルと所定の閾値とを比較し、出力レベルが閾値以上であれば端末信号が含まれていると判断し、出力レベルが閾値未満であれば端末信号が含まれず、ノイズのみであると判断する。
ここで、データ解析部131Aに入力される信号は、ディジタルフィルタ123により帯域制限されていないため、帯域外の不要な信号を含んでいる可能性が高い。従って、データ解析部131Aは、単純にアナログディジタル変換器122の出力レベルと所定の閾値との比較を行うと、判断を誤るおそれがある。
そこで、データ解析部131Aでは、入力信号に対してフーリエ解析を行い、端末信号の帯域の出力レベルについて閾値との比較を行う。これにより、データ解析部131Aは、アナログディジタル変換器122の出力に端末信号が含まれているか否かを精度良く判断することができる。
なお、データ解析部131Aは、入力信号に対して逆拡散処理を行い、ピーク電力レベルについて閾値との比較を行っても良い。
このように、本実施の形態によれば、中継装置に遅延器を設けることなく、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係る中継装置100Bの構成を示すブロック図である。なお、図6に示す中継装置100Bにおいて、図2に示した中継装置100と共通する構成部分については、図2と同一符号を付し、その説明を省略する。
図6に示す中継装置100Bは、図2に示した中継装置100に対して、分配器105、伝搬損失算出部141、端末送信電力推定部142、および閾値設定部143を追加する構成を採る。これらの追加構成は、上り回線の信号をON/OFFさせるための閾値の決定に際して、WCDMA及びCDMA2000方式のランダムアクセスチャネルの送信電力制御として採用されている開ループ制御方式を取り入れ、閾値設定をより精度良く行うことができるようにするためのものである。
分配部105は、共用器103から出力された下り回線の信号を、下り信号無線部110および伝搬損失算出部141に出力する。
伝搬損失算出部141は、分配器105から出力された基地局装置の送信信号に含まれる報知情報から、基地局装置400の送信電力値Tx_Power(BS)及び受信電力値RSCPを示す情報を抽出し、送信電力値Tx_Power(BS)及び受信電力値RSCPに基づいて、以下の式(1)により、基地局装置400との無線区間の伝搬損失値PathLoss(1)を算出する。なお、送信電力値Tx_Power(BS)及び受信電力値RSCPは、「3GPP規格 TS 25.215」に規定されている。
PathLoss(1) = Tx_Power(BS)-RSCP …(1)
端末送信電力推定部142は、伝搬損失算出部141で算出された伝搬損失値PathLoss(1)、上り基地局干渉波レベルUL interferenceに基づいて、以下の式(2)により、通信端末装置200の送信電力値Tx_Power(MS)を算出する。なお、以下の式(2)において、Constant Valueは定数である。式(2)は、3GPP規格 TS 25.331に規定されている。
Tx_Power(MS) = PathLoss(1) + UL interference + Constant Value …(2)
閾値設定部143は、端末送信電力推定部142で算出された通信端末装置200の送信電力値Tx_Power(MS)および下り信号無線部110の増幅率αに基づいて、以下の式(3)により閾値MSthを設定する。
MSth = Tx_Power(MS) - α …(3)
データ解析部131は、ディジタルフィルタ123の出力レベルと閾値設定部143で設定された閾値との比較を行う。
このように、本実施の形態によれば、通信端末装置200の送信電力値Tx_Power(MS)に基づいて閾値を適応的に変化させることができるので、さらに精度良く、上り回線の信号に端末信号が含まれているか否かを判断することができる。
なお、本実施の形態は、実施の形態2と組み合わせ、図5に示した中継装置100Aに対して、分配器105、伝搬損失算出部141、端末送信電力推定部142、および閾値設定部143を追加することもできる。
また、本実施の形態は、上記式(1)の代わりに、受信電力値RSCPと定数βに基づいて、以下の式(4)により、伝搬損失値PathLoss(1)を算出しても良い。
PathLoss(1) = RSCP + β …(4)
(実施の形態4)
中継装置を含む通信システムの一形態として、図7に示すように、1台の親機100C−1と複数台の子機100C−2とからなる中継装置100Cと、複数の通信端末装置200と、基地局装置400と、からなる通信システムがある(携帯電話の不感地帯を解消するROFリモート基地局;東芝レビュー Vol. 59 No.11 (2004) P43-46、参照)。
この通信システムでは、親機100C−1と各子機100C−2とが光ファイバーにより有線接続し、親機100C−1と基地局装置400とが同軸ケーブルにより有線接続し、子機100C−2と複数の通信端末装置200とが無線接続する。
実施の形態4では、この通信システムに本発明を適用する場合について説明する。図8は、図7に示した子機100C−2の構成を示すブロック図である。なお、図8に示す子機100C−2において、図2に示した中継装置100と共通する構成部分については、図2と同一符号を付し、その説明を省略する。
図8に示す子機100C−2は、図2に示した中継装置100に対して、屋外側アンテナ端子101、共用器103、低雑音増幅器111、アナログディジタル変換器112、ディジタルアナログ変換器125、増幅器126、アンテナスイッチ133、および終端部134を削除し、光/電気変換器(O/E)116、フレーマ117、データ切替部127、フレーマ128、電気/光変換器(E/O)129、ゼロデータ生成部151を追加する構成を採る。
光/電気変換器(O/E)116は、光ファイバーを経由して親機100C−1から入力した光信号を電気信号に変換する。フレーマ117は、光/電気変換器(O/E)116から出力されたフレーム構造の電気信号からデータ部の信号を取り出し、ディジタルフィルタ113に出力する。ディジタルフィルタ113は、フレーマ117から出力されたディジタル信号の所定の帯域成分のみを通過させる。
無線制御部132は、データ解析部131の解析結果に基づいてデータ切替部127およびゼロデータ生成部151を制御する。具体的には、データ解析部131がディジタルフィルタ123の出力に端末信号が含まれていると判断した場合、無線制御部132は、遅延器124の出力信号をフレーマ128に出力するようにデータ切替部127を制御する。一方、データ解析部131がディジタルフィルタ123の出力に端末信号が含まれていないと判断した場合、無線制御部132は、ゼロデータを生成するようにゼロデータ生成部151を制御し、ゼロデータ生成部151が生成したゼロデータをフレーマ128に出力するようにデータ切替部127を制御する。
ゼロデータ生成部151は、無線制御部132の制御に基づいてゼロデータを生成し、データ切替部127に出力する。データ切替部127は、無線制御部132の制御に基づいて、遅延器124の出力信号あるいはゼロデータ生成部151が生成したゼロデータをフレーマ128に出力する。
フレーマ128は、データ切替部127から出力されたデータ信号に、フラグ(F)、アドレス(A)、コマンド(C)、フレームチェックシーケンス(FCS)等の制御信号を時間多重して、図9に示すフレームを構成する。電気/光変換器(E/O)129は、フレーマ128から出力されたフレーム構造の電気信号を光信号に変換し、光ファイバーを経由して親機100C−1に出力する。
このように、本実施の形態によれば、親機100C−1と子機100C−2とが光ファイバーで接続される中継装置100Cにおいて、上り回線信号に端末信号が含まれていない場合、子機100C−2が親機100C−1にゼロデータを出力することにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態は、実施の形態2と組み合わせ、図8に示した子機100C−2のデータ解析部131の代わりにデータ解析部131Aを追加し、遅延器124を削除し、ディジタルフィルタ123の出力をデータ切替部127に入力させる構成を採ることもできる。また、本実施の形態は、実施の形態3と組み合わせ、図8に示した子機100C−2に対して、分配器105、伝搬損失算出部141、端末送信電力推定部142、および閾値設定部143を追加することもできる。
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5に係る中継装置100Dの構成を示すブロック図である。また、図11は、中継装置100Dを含む移動通信システムの全体構成を示す図である。
図10に示す中継装置100Dは、図6に示した中継装置100Bに対して、可変アッテネータ(可変ATT)170、可変アッテネータ(可変ATT)171、および利得制御部172をさらに追加した構成を採り、自動利得設定機能を有する。
利得制御部172は、伝播損失値Pathloss(2)に応じて、可変アッテネータ170、171の利得を設定する。すなわち、基地局装置400と中継装置100Dとの間の距離が近いほど伝播損失値Pathloss(2)が小さくなるので、利得制御部172は、低い利得を設定する。一方、基地局装置400と中継装置100Dとの間の距離が遠いほど、伝播損失値Pathloss(2)が大きくなるので、利得制御部172は、高い利得を設定する。可変アッテネータ170は、利得制御部172で設定された利得に基づいて分配器105の出力信号を増幅/減衰し、低雑音増幅器111に出力する。可変アッテネータ171は、利得制御部172で設定された利得に基づいて増幅器126の出力信号を増幅/減衰し、アンテナスイッチ133に出力する。
以下、自動利得設定機能について、図11を用いて説明する。自動利得設定機能とは、中継装置が、以下の式(5)により、伝播損失値Pathloss(2)に応じて自動的に自局の利得GAIN_reを設定するものである。
GAIN_re = Pathloss(2) - α …(5)
ここで、上記式(1)と同様に、伝播損失値Pathloss(2)は、以下の式(6)により算出される。
PathLoss(2) = Tx_Power(BS) -RSCP(2) …(6)
また、中継装置の送信電力Tx_Power(re)は、以下の式(7)により算出される。
Tx_Power(re) = RSCP(2) + GAIN_re …(7)
したがって、上記式(5)、(6)、(7)より、中継装置の送信電力Tx_Power(re)は、以下の式(8)に示すものとなり、Tx_Power(BS)およびαは定数であるため、自動利得設定機能を持つ中継装置の送信電力Tx_Power(re)は一定となる。
Tx_Power(re) = Tx_Power(BS) - α …(8)
すなわち、自動利得設定機能を用いて中継装置100Dの利得を最適値に設定することによって、基地局装置400と中継装置100Dとの間の距離の変動、すなわち伝播損失値Pathloss(2)の変動を補償することができる。
また、Tx_Power(re)の値がほぼ一定値であれば、通信端末装置200の送信電力Tx_Power(MS)の変動要因は、上記式(2)より、Pathloss(1)だけとなり、中継装置において、通信端末装置200から送信された信号の受信電力Rx_Power(MS)は、送信電力Tx_Power(MS)から伝搬損失Pathloss(1)を除いたものとなるので、受信電力Rx_Power(MS)は、以下の式(10)に示すものとなり、UL interferenceおよびConstant Valueが定数であるため、受信電力Rx_Power(MS)も一定となる。
Rx_Power(MS) = UL interference + Constant Value …(10)
このように、中継装置100Dにおける通信端末装置200から送信された信号の受信電力Rx_Power(MS)がほぼ一定値になるので、中継装置100Dの端末送信電力推定部142はこの受信電力Rx_Power(MS)を容易に推定することができる。
さらに、中継装置100Dは、この受信電力Rx_Power(MS)を容易に推定することができるため、中継装置100D内で設定する閾値MSthを適切に設定することができる。
図12は、ノイズ(熱雑音)および電力レベル検出閾値MSthに対する通信端末装置からの送信された信号の受信電力Rx_Power(MS)の大きさを説明するための図であり、図12Aは従来例を示し、図12Bは本実施の形態の場合を示す。
図12Aに示すように、利得が一定値に固定されている中継装置では、下り回線の送信電力Tx_Power(re)が一定にならないため、中継装置が通信端末装置200から受信する電力レベルRx_Power(MS)が変動し、熱雑音以下になる、あるいは設定された閾値MSth以下になることがある。この場合、中継装置は、上り回線の信号に端末信号が含まれているか否かを正確に検出することが困難になってしまう。
これに対して、本実施の形態によれば、中継装置100Dは、この受信電力Rx_Power(MS)を予め高い精度で推定することができるので、閾値MSth以下の値にならないように設定することができ、上り回線の信号に端末信号が含まれているかを高い精度で判断することができる。
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の形態6に係る中継装置100Eの親機100E−1の構成を示すブロック図であり、図14は、本発明の実施の形態6に係る中継装置100Eの子機100E−2の構成を示すブロック図である。なお、図13に示す親機100E−1、図14に示す子機100E−2において、図6に示した中継装置100Bおよび図8に示した子機100C−2と共通する構成部分については、図2及び図6と同一符号を付し、その説明を省略する。ただし、フレーマ、E/O、O/Eに関しては、図8と同一番号を付していないが、その機能は同一であるので説明を省略する。
伝搬損失算出部141は利得GAIN_reを決定し、端末送信電力推定部142は閾値MSthを決定する。データ送信部150は、利得GAIN_reおよび閾値MSthをフレーマ117に出力する。この結果、利得GAIN_reおよび閾値MSthは、子機100E−2に送られる。
子機100E−2では、利得GAIN_reおよび閾値MSthが、フレーマ117を介して、コマンド受信部160に送られる。コマンド受信部160は、閾値MSthを無線制御部132に送り、利得GAIN_reを利得設定部161に送る。利得設定部161は、下り信号無線部110内の増幅部115の利得を設定する。
このように、親機100E−1は、伝搬損失算出部141を有するので、基地局装置との間のケーブルの伝搬損失値を算出することができ、子機100E−2は、この伝搬損失値の大きさに応じて利得を最適値に設定することができる。
子機100E−2の利得を最適値に設定することができれば、子機100E−2は通信端末装置200へ送信する信号の送信電力Tx_Power(re)、および、通信端末装置200から送信された信号の受信電力Rx_Power(MS)を容易に推定することができる。
なお、親機100E−1における基地局装置400に送信する信号の送信電力は、基地局装置400と親機100E−1とが同軸ケーブル(有線)で結ばれ、親機と子機とが光ファイバー(有線)で結ばれているので、ほぼ一定値である。
したがって、子機100E−2における通信端末装置200へ送信する信号の送信電力および子機100E−2における通信端末装置200から送信された信号の受信電力を推定することができれば、中継装置100Eは、実施の形態5と同様に、通信端末装置200からの受信電力Rx_Power(MS)を閾値MSth以下の値にならないように設定することができるので、上り回線の信号に端末信号が含まれているかをより高い精度で判断することができる。また、中継装置100Eは、受信電力Rx_Power(MS)を予め高い精度で推定することができるので、熱雑音のレベルを考慮して、閾値MSthを熱雑音のレベルから十分に離れた適切な値に設定することができる。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。本発明は、無線中継するシステムであればどのような場合にも適用することができる。
また、上記各実施の形態では、中継装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、リピータ、ブースタ等でもよい。
本発明は、基地局装置から送信された信号を受信、および増幅して通信端末装置に送信するとともに、通信端末装置から送信された信号を受信、および増幅して基地局装置に送信する中継装置に用いるに好適である。
本発明の実施の形態1に係る中継装置を含む移動体通信システムの全体構成を示す図
本発明の実施の形態1に係る中継装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態1に係る中継装置の送信制御方法の流れを示すフロー図
本発明の実施の形態1に係る中継装置の効果を説明する図
本発明の実施の形態2に係る中継装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態3に係る中継装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態4に係る中継装置を含む移動体通信システムの全体構成を示す図
本発明の実施の形態4に係る中継装置の子機の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態4に係る中継装置の子機から出力される信号のフレーム構成を示す図
本発明の実施の形態5に係る中継装置の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態5に係る中継装置を含む移動通信システムの全体構成を示す図
本発明の実施の形態5においてノイズ(熱雑音)および電力レベル検出閾値に対する通信端末装置からの送信された信号の受信電力の大きさを説明するための図
本発明の実施の形態6に係る中継装置の親機の構成を示すブロック図
本発明の実施の形態6に係る中継装置の子機の構成を示すブロック図
本発明の中継装置は、基地局装置から送信された第1信号を受信、および増幅して下り回線で通信端末装置に送信し、前記通信端末装置から送信された第2信号を受信、および増幅して上り回線で前記基地局装置に送信する中継装置であって、前記通信端末装置の送信電力値および前記通信端末装置との無線区間の伝搬損失値に基づいて閾値を設定する閾値設定手段と、前記上り回線の信号のレベルが前記閾値を上回る場合、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれると判断し、前記上り回線の信号のレベルが前記閾値を下回る場合、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれないと判断するデータ解析手段と、前記データ解析手段により前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれていると判断した場合には前記上り回線の信号を前記基地局装置に送信し、前記データ解析手段により前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれていないと判断した場合には前記上り回線の信号の送信を停止する無線制御手段と、を具備する構成を採る。
本発明の送信制御方法は、基地局装置から送信された第1信号を受信、および増幅して下り回線で通信端末装置に送信し、前記通信端末装置から送信された第2信号を受信、および増幅して上り回線で前記基地局装置に送信する中継装置の送信制御方法であって、前記通信端末装置の送信電力値および前記通信端末装置との無線区間の伝搬損失値に基づいて閾値を設定する閾値設定工程と、前記上り回線の信号のレベルが前記閾値を上回る場合、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれると判断し、前記上り回線の信号のレベルが前記閾値を下回る場合、前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれないと判断するデータ解析工程と、前記データ解析工程により前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれていると判断した場合には前記上り回線の信号を前記基地局装置に送信し、前記データ解析工程により前記上り回線の信号に前記第2信号が含まれていないと判断した場合には前記上り回線の信号の送信を停止する無線制御工程と、を具備する方法を採る。