JPWO2008129675A1 - スピンドルモータおよびキャリッジアセンブリ並びに記憶媒体駆動装置 - Google Patents
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Abstract
スピンドルモータ(15)では環状体(37)および固定子(27)の間に環状体(37)の全周にわたって隙間(58)が形成される。スピンドルモータ(15)が例えば純水に浸されると、隙間(58)から円柱空間(35)に向かって純水が進入する。隙間(58)は、環状体(37)の全周にわたって円柱空間(35)から遠ざかるにつれて徐々に狭まる。その結果、環状体(37)の全周にわたって円柱空間(35)の気圧と水圧とが釣り合う。隙間(58)の外端および内端の間で純水に表面張力が生成される。こうして隙間(58)内で純水はメニスカス形状を確立する。円柱空間(35)内に純水の進入は回避される。スピンドルモータ(15)の組立後にスピンドルモータ(15)の外面の洗浄処理は許容される。外面から塵埃は取り除かれる。
Description
本発明は、例えばハードディスク駆動装置といった記憶媒体駆動装置に組み込まれるスピンドルモータおよびキャリッジアセンブリに関する。
例えばハードディスク駆動装置(HDD)の筐体には磁気ディスクが組み込まれる。磁気ディスクはスピンドルモータに装着される。磁気ディスクの回転に基づき生成される気流の働きで磁気ディスクの表面には所定の浮上高さで浮上ヘッドスライダが向き合わせられる。浮上ヘッドスライダはキャリッジアセンブリの先端に支持される。キャリッジアセンブリの揺動に基づき浮上ヘッドスライダは磁気ディスク上で所定の移動経路を辿りつつ磁気情報の書き込みや読み出しを実施する。
HDDの製造にあたってスピンドルモータやキャリッジアセンブリが組み立てられる。組み立てに先立って、スピンドルモータやキャリッジアセンブリを構成する各部品には洗浄処理が施される。洗浄処理後、各部品が組み立てられる。組み立ては例えばクリーンルーム内で実施される。こうしてスピンドルモータやキャリッジアセンブリは製造される。その後、製造されたスピンドルモータやキャリッジアセンブリは筐体に組み込まれる。こうしてHDDは製造される。
日本国特表平10−503832号公報
日本国特開平8−243336号公報
組み立て時に各部品同士の接触は避けられない。接触に基づき微細な塵埃が発生する。塵埃はスピンドルモータやキャリッジアセンブリに付着する。例えばスピンドルモータやキャリッジアセンブリの軸受けには潤滑油やグリースが利用される。したがって、組み立て後のスピンドルモータやキャリッジアセンブリの洗浄処理は空気清浄処理による洗浄方法に限定される。その結果、HDD内の塵埃は完全に除去されることができない。こうした塵埃が磁気ディスクや浮上ヘッドスライダに吸着したり浮上ヘッドスライダに衝突したりすると、ヘッドクラッシュが引き起こされる。したがって、塵埃はHDDを故障させてしまう。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、組み立て後の洗浄処理を可能にするスピンドルモータおよびキャリッジアセンブリを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1発明によれば、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画する円筒体、および、円筒体の一端に接続されて円柱空間の開口を区画する環状体を含む回転子と、回転自在に回転子を支持しつつ開口を塞ぎ、環状体の全周にわたって環状体との間に円柱空間から遠ざかるにつれて徐々に狭まる隙間を形成する固定子とを備えることを特徴とするスピンドルモータが提供される。
こうしたスピンドルモータでは環状体および固定子の間に隙間が形成される。スピンドルモータが例えば純水に浸されると、隙間から円柱空間に向かって純水が進入する。隙間は、環状体の全周にわたって円柱空間から遠ざかるにつれて徐々に狭まる。その結果、隙間内の所定の位置で環状体の全周にわたって円柱空間の気圧と水圧とが釣り合う。隙間内で純水には大きな表面張力が生成される。こうして隙間内で純水はメニスカス形状を確立する。気圧、水圧および表面張力のバランスに基づき円柱空間内に純水の進入は回避される。したがって、スピンドルモータの組立後にスピンドルモータの外面の洗浄処理は許容される。スピンドルモータの外面から塵埃は取り除かれる。
こうしたスピンドルモータでは、固定子は、隙間の外端で規定される最小間隔で回転子に向き合わせられればよい。同様に、円柱空間は開口でのみ開放されればよい。隙間の内端で回転子および固定子には撥水剤が塗布されればよい。洗浄処理にあたって、隙間から円柱区間に進入する純水は撥水剤の外縁で一層大きな表面張力を生成する。その結果、円柱空間内に純水の進入は回避される。スピンドルモータの組立後にスピンドルモータの外面の洗浄処理は許容される。以上のようなスピンドルモータは記憶媒体駆動装置に組み込まれることができる。
第2発明によれば、回転軸上に中心軸を有する円柱状の支軸と、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画し、円柱空間で支軸を受け入れる円筒体と、円柱空間内に配置されて支軸および円筒体を相対移動自在に連結する軸受けと、支軸回りで円柱空間を仕切り、支軸の全周にわたって支軸および円筒体の間に外端に向かうにつれて徐々に狭まる隙間を区画する環状体とを備えることを特徴とするスピンドルモータが提供される。
こうしたスピンドルモータでは環状体は支軸回りで円柱空間を仕切る。環状体は支軸および円筒体の間に隙間を形成する。スピンドルモータが例えば純水に浸されると、隙間から円柱空間に向かって純水が進入する。隙間は、支軸の全周にわたって外端に向かうにつれて徐々に狭まる。その結果、隙間内の所定の位置で環状体の全周にわたって円柱空間の気圧と水圧とが釣り合う。隙間の外端および内端の間で純水に大きな表面張力が生成される。隙間内で純水はメニスカス形状を確立する。気圧、水圧および表面張力のバランスに基づき円柱空間内に純水の進入は回避される。したがって、スピンドルモータの組立後にスピンドルモータの外面の洗浄処理は許容される。スピンドルモータの外面から塵埃は取り除かれる。こういったスピンドルモータでは隙間の外端で最小間隔が規定されればよい。以上のようなスピンドルモータは記憶媒体駆動装置に組み込まれることができる。
第3発明によれば、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画する円筒体、および、円筒体の一端に接続されて円柱空間の開口を区画する環状体を含む回転子と、回転自在に回転子を支持しつつ開口を塞ぎ、環状体の全周にわたって環状体との間に隙間を形成する固定子と、隙間の内端で回転子および固定子に塗布される撥水剤とを備えることを特徴とするスピンドルモータが提供される。
こうしたスピンドルモータでは、洗浄処理にあたって、隙間から円柱区間に進入する純水は撥水剤の外縁で一層大きな表面張力を生成する。その結果、円柱空間内に純水の進入は回避される。したがって、スピンドルモータの組立後にスピンドルモータの外面の洗浄処理は許容される。こういったスピンドルモータでは、円柱空間は開口でのみ開放されればよい。以上のようなスピンドルモータは記憶媒体駆動装置に組み込まれることができる。
第4発明によれば、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画する円筒体、および、円筒体の一端に接続されて円柱空間の開口を区画する環状体を含む回転子と、回転自在に回転子を支持しつつ開口を塞ぎ、環状体の全周にわたって環状体との間に隙間を形成するベースを含む固定子と、回転子周りでベースに形成される円筒部と、円筒部に嵌め込まれてベースとの間に回転子を収容するキャップと、円筒部およびキャップの間に挟み込まれる弾性体とを備えることを特徴とするスピンドルモータユニットが提供される。
こうしたスピンドルモータユニットでは、ベースには回転子周りで円筒部が形成される。円筒部にはキャップが嵌め込まれる。キャップはベースとの間に回転子を収容する。円筒部およびキャップの間に挟み込まれる弾性体の働きでキャップの収容空間は密閉される。スピンドルモータユニットが純水に浸されても、キャップの収容空間に純水の進入は防止される。したがって、スピンドルモータの組立後にベースの外面の洗浄処理は許容される。ベースの外面から塵埃は取り除かれる。
第5発明によれば、回転軸上に中心軸を有する円柱状の支軸と、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画し、円柱空間で支軸を受け入れるキャリッジブロック本体と、キャリッジブロック本体から延びるキャリッジアームと、円柱空間内に配置されて支軸およびキャリッジブロック本体を相対移動自在に連結する軸受けと、支軸回りで円柱空間を仕切り、支軸の全周にわたって支軸およびキャリッジブロック本体の間に外端に向かうにつれて徐々に狭まる隙間を区画する環状体とを備えることを特徴とするキャリッジアセンブリが提供される。
こうしたキャリッジアセンブリでは、環状体は支軸回りで円柱空間を仕切る。環状体は支軸および円筒体の間に隙間を形成する。キャリッジアセンブリが例えば純水に浸されると、隙間から円柱空間に向かって純水が進入する。隙間は、支軸の全周にわたって外端に向かうにつれて徐々に狭まる。その結果、隙間内の所定の位置で環状体の全周にわたって円柱空間の気圧と水圧とが釣り合う。隙間の外端および内端の間で純水に大きな表面張力が生成される。隙間内で純水はメニスカス形状を確立する。気圧、水圧および表面張力のバランスに基づき円柱空間内に純水の進入は回避される。したがって、キャリッジアセンブリの組立後にキャリッジアセンブリの外面の洗浄処理は許容される。キャリッジアセンブリの外面から塵埃は取り除かれる。以上のようなキャリッジアセンブリは記憶媒体駆動装置に組み込まれることができる。
第6発明によれば、回転軸上に中心軸を有する円柱状の支軸と、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画し、円柱空間で支軸を受け入れるキャリッジブロック本体と、キャリッジブロック本体から延びるキャリッジアームと、円柱空間内に配置されて支軸およびキャリッジブロック本体を相対移動自在に連結する軸受けと、キャリッジブロック本体に嵌め込まれて、円柱空間を密閉するキャップと、キャリッジブロック本体およびキャップの間に挟み込まれる弾性体とを備えることを特徴とするキャリッジアセンブリユニットが提供される。
こうしたキャリッジアセンブリユニットではキャリッジブロック本体にキャップが嵌め込まれる。キャリッジブロック本体およびキャップの間に挟み込まれる弾性体の働きで円柱空間は密閉される。キャリッジアセンブリユニットが純水に浸されても、円柱空間に純水の進入は防止される。したがって、キャリッジアセンブリの組立後にキャリッジアセンブリの外面の洗浄処理は許容される。キャリッジアセンブリの外面から塵埃は取り除かれる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明に係る記憶媒体駆動装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)11の内部構造を概略的に示す。このHDD11は筐体すなわちハウジング12を備える。ハウジング12は箱形のベース13およびカバー(図示されず)から構成される。ベース13は例えば平たい直方体の内部空間すなわち収容空間を区画する。ベース13は例えばアルミニウムといった金属材料から鋳造に基づき成形されればよい。カバーはベース13の開口に結合される。カバーとベース13との間で収容空間は密閉される。カバーは例えばプレス加工に基づき1枚の板材から成形されればよい。
収容空間には、記憶媒体としての1枚以上の磁気ディスク14が収容される。ここでは、例えば4枚の磁気ディスク14が組み込まれる。磁気ディスク14はスピンドルモータ15に装着される。スピンドルモータ15は例えば3600rpmや4200rpm、5400rpm、7200rpm、10000rpm、15000rpmといった高速度で磁気ディスク14を回転させることができる。スピンドルモータ15の詳細は後述される。
収容空間にはキャリッジアセンブリ16がさらに収容される。キャリッジアセンブリ16はキャリッジブロック17を備える。キャリッジブロック17は、垂直方向に延びる支軸18に回転自在に連結されるキャリッジブロック本体17aを備える。キャリッジブロック本体17aには、支軸18から水平方向に延びる複数のキャリッジアーム19が一体化される。キャリッジブロック17は例えば押し出し成型に基づきアルミニウムから成型されればよい。
個々のキャリッジアーム19の先端にはヘッドサスペンション21が取り付けられる。ヘッドサスペンション21はキャリッジアーム19の先端から前方に延びる。ヘッドサスペンション21の前端にはフレキシャが貼り付けられる。フレキシャ上には浮上ヘッドスライダ22が支持される。フレキシャに基づき浮上ヘッドスライダ22はヘッドサスペンション21に対して姿勢を変化させることができる。浮上ヘッドスライダ22には磁気ヘッドすなわち電磁変換素子が搭載される。
磁気ディスク14の回転に基づき磁気ディスク14の表面で気流が生成されると、気流の働きで浮上ヘッドスライダ22には正圧すなわち浮力および負圧が作用する。浮力および負圧とヘッドサスペンション21の押し付け力とが釣り合うことで磁気ディスク14の回転中に比較的に高い剛性で浮上ヘッドスライダ22は浮上し続けることができる。
こういった浮上ヘッドスライダ22の浮上中にキャリッジアセンブリ16が支軸18回りで回転すると、浮上ヘッドスライダ22は磁気ディスク14の半径線に沿って移動することができる。その結果、浮上ヘッドスライダ22上の電磁変換素子は最内周記録トラックと最外周記録トラックとの間でデータゾーンを横切ることができる。こうして浮上ヘッドスライダ22上の電磁変換素子は目標の記録トラック上に位置決めされる。
キャリッジブロック17には例えばボイスコイルモータ(VCM)23といった動力源が接続される。このVCM23の働きでキャリッジブロック17は支軸18回りで回転することができる。こうしたキャリッジブロック17の回転に基づきキャリッジアーム19およびヘッドサスペンション21の揺動は実現される。キャリッジアセンブリ16およびVCM23の詳細は後述される。
次に本発明の第1実施形態に係るスピンドルモータ15の構造を詳述する。図2に示されるように、スピンドルモータ15は固定子25を備える。固定子25は回転自在に回転子26を支持する。固定子25は、ベース13に受け止められるブラケット27を備える。ブラケット27は、ベース13の底板に穿たれる受け入れ孔28に受け入れられる。ブラケット27にはブラケット27の表面から垂直方向に立ち上がる円筒部27aが区画される。ブラケット27は例えばねじ29に基づきベース13に固定される。ブラケット27は例えばアルミニウムの形材から削り出される。ブラケット27は例えば押し出し成形に基づき形成されてもよい。
固定子25は、円筒部27aに受け入れられるスリーブ31を備える。スリーブ31は例えば真鍮やステンレス鋼といった金属材料から構成されればよい。スリーブ31の円柱空間にはシャフト32が受け入れられる。スリーブ31およびシャフト32の間は例えば潤滑油といった流体で満たされる。こういった流体の働きでシャフト32はシャフト32の軸心すなわち回転軸X1回りに高速に回転することができる。シャフト32の下端には回転軸X1から遠心方向に広がるスラストフランジ33が取り付けられる。シャフト32やスラストフランジ33は例えばステンレス鋼といった金属材料から構成されればよい。
回転子26は、シャフト32に装着されるスピンドルハブ34を備える。スピンドルハブ34は、回転軸X1上に中心軸を有する円柱空間35を区画する円筒体36を区画する。円筒体36の一端すなわち下端には円筒体36から外向きに広がる環状体すなわちフランジ37が接続される。フランジ37は円柱空間35の開口を区画する。開口はブラケット27で塞がれる。円柱空間35は開口でのみ開放される。
スピンドルハブ34には磁気ディスク14が搭載される。搭載にあたって個々の磁気ディスク14の中心には貫通孔14aが穿たれる。貫通孔14aはスピンドルハブ34を受け入れる。磁気ディスク14同士の間には環状スペーサ38が挟み込まれる。環状スペーサ38は磁気ディスク14同士の間隔を保持する。スピンドルハブ34の上端にはクランプ39が装着される。磁気ディスク14および環状スペーサ38はクランプ39およびフランジ37の間に挟み込まれる。
固定子25は、円筒部27aの円筒外周面に固定される一群の固定子鉄心すなわちコア41を備える。コア41には電磁石すなわちコイル42が巻き付けられる。コア41は、積み重ねられた複数枚の金属製薄板で構成される。その一方で、スピンドルハブ34は円筒内周面で円筒部27aの円筒外周面に向き合わせられる。スピンドルハブ34の円筒内周面には永久磁石43が固着される。永久磁石43はコイル42に向き合わせられる。コイル42に電流が供給されると、コイル42で生じる磁界に基づきスピンドルハブ34は回転軸X1回りで回転する。
次に本発明の一実施形態に係るキャリッジアセンブリ16の構造を詳述する。キャリッジブロック本体17aにはベース13の表面から直立する円柱空間45が区画される。円柱空間45には前述の支軸18が収容される。支軸18は回転軸X2上に中心軸を有する。円柱空間45の中心軸は回転軸X2に一致する。支軸18は例えばねじ46に基づきベース13に固定される。支軸18の上端は、ベース13に結合されるカバー47を受け止める。
円柱空間45には支軸18およびキャリッジブロック本体17aの間で軸受けすなわちボールベアリング48が配置される。ボールベアリング48は、支軸18およびキャリッジブロック本体17aを相対回転自在に連結する。ボールベアリング48内にはグリースが塗布される。ボールベアリング48の外側には1対の環状体49が配置される。環状体49は支軸18回りで円柱空間45を仕切る。ここでは、環状体49はその外周面でキャリッジブロック本体17aの内周面に取り付けられる。環状体49の詳細は後述される。
キャリッジブロック本体17aには突出片51が一体化される。突出片51にはコイル(図示されず)が形成される。突出片51はVCM23の上側ヨーク52および下側ヨーク53の間に配置される。下側ヨーク52は例えばねじ54に基づきベース13に固定される。突出片51のコイルは、上側ヨーク52の内向き面に貼り付けられる永久磁石55と、下側ヨーク53の内向き面に貼り付けられる永久磁石56とに向き合わせられる。コイルおよび永久磁石55、56の磁気的作用に基づきキャリッジアセンブリ16の揺動が引き起こされる。
図3に示されるように、ブラケット27は、フランジ37の全周にわたってフランジ37との間に円柱空間35から遠ざかるにつれて徐々に狭まる隙間58を形成する。ここでは、フランジ37の下向き面は、円柱空間35から遠ざかるにつれてブラケット27の上向き面に徐々に近づく傾斜面で形成される。ブラケット27は、隙間58の外端で規定される最小間隔Sでフランジ37に向き合わせられる。最小間隔Sは例えば0.1mm以下に設定される。その一方で、ブラケット27は、隙間58の内端で規定される最大間隔Lでフランジ37に向き合わせられる。最大間隔Lは例えば0.2mm以下に設定される。ただし、最小間隔Sおよび最大間隔Lは0mmよりも大きく設定される。ブラケット27の上向き面およびフランジ37の下向き面の交差角αは例えば8度以下に設定される。ただし、交差角αは0度よりも大きく設定される。
図4に示されるように、環状体49は、支軸18の全周にわたって支軸18との間に外端に向かうにつれて徐々に狭まる隙間59を形成する。ここでは、環状体49の内周面は、隙間59の外端に向かうにつれて支軸18の外周面に近づく傾斜面から形成されればよい。環状体49は、隙間59の外端で規定される最小間隔Sで支軸18に向き合わせられる。最小間隔Sは例えば0.1mm以下に設定される。その一方で、環状体49は、隙間59の内端で規定される最大間隔Lで支軸18に向き合わせられる。最大間隔Lは例えば0.2mm以下に設定される。ただし、最小間隔Sおよび最大間隔Lは0mmよりも大きく設定される。環状体49の内周面および支軸18の外周面の交差角βは例えば8度以下に設定される。ただし、交差角βは0度よりも大きく設定される。
次に、HDD11が組み立てられる場面を想定する。HDD11の組み立てに先立って、図5に示されるように、スピンドルモータ15が組み立てられる。スピンドルモータ15は、ブラケット27、スリーブ31、シャフト32およびスピンドルハブ34を備える。シャフト32およびスリーブ31の間は潤滑油で満たされる。スピンドルハブ34には永久磁石43が取り付けられる。ブラケット27にはコア41およびコイル42が装着される。スピンドルモータ15には洗浄処理が施される。洗浄処理にあたって例えば純水が用いられる。その他、洗浄処理にあたって液体の炭化水素が用いられてもよい。
スピンドルモータ15は純水に浸される。図6に示されるように、ブラケット27およびフランジ37で形成される隙間58から円柱空間35に向かって純水が進入する。隙間58は円柱空間35から遠ざかるにつれて徐々に狭まる。その結果、隙間58内の所定の位置で円柱空間35の気圧と水圧とが釣り合う。隙間58の外端および内端の間で純水に大きな表面張力が生成される。こうして気圧、水圧および表面張力のバランスに基づき隙間58内で純水はメニスカス形状を確立する。図7に示されるように、空気と純水との界面Bは、回転軸X1を中心に描かれる正円に沿って規定される。フランジ37の全周にわたって圧力は釣り合う。こうして円柱空間35内に純水の進入は回避される。その結果、スピンドルモータ15の組立後にスピンドルモータ15の外面の洗浄処理は許容される。スピンドルモータ15の外面から塵埃は取り除かれる。
次に、図8に示されるように、キャリッジアセンブリ16が組み立てられる。キャリッジアセンブリ16は、キャリッジブロック17、支軸18、ボールベアリング48および環状体49を備える。ボールベアリング48内にはグリースが塗布される。キャリッジアセンブリ16には洗浄処理が施される。洗浄処理にあたって例えば純水が用いられる。その他、洗浄処理にあたって液体の炭化水素が用いられてもよい。
キャリッジアセンブリ16は純水に浸される。環状体49および支軸18で形成される隙間59から円柱空間45に向かって純水が進入する。隙間59は、円中空間45から遠ざかるにつれて徐々に狭まる。その結果、隙間59のの外端および内端の間で純水に大きな表面張力が生成される。気圧、水圧および表面張力のバランスに基づき隙間59内で純水はメニスカス形状を確立する。環状体49の全周にわたって圧力は釣り合う。円柱空間45内に純水の進入は回避される。その結果、キャリッジアセンブリ16の組立後にキャリッジアセンブリ16の外面の洗浄処理は許容される。キャリッジアセンブリ16の外面から塵埃は取り除かれる。
こうして洗浄されたスピンドルモータ15およびキャリッジアセンブリ16には乾燥処理が施される。乾燥処理にあたってスピンドルモータ15やキャリッジアセンブリ16は乾燥炉に入れられる。乾燥処理後、スピンドルモータ15には磁気ディスク14や環状スペーサ38、クランプ39が装着される。キャリッジアセンブリ16にはヘッドサスペンション21が取り付けられる。その後、周知の通り、スピンドルモータ15やキャリッジアセンブリ16はベース13に取り付けられる。こうしてHDD11が製造される。HDD11内に塵埃の持ち込みはできる限り回避されることができる。
本発明者は洗浄処理の効果を検証した。検証にあたって前述のスピンドルモータ15はベース13に取り付けられた。前述と同様に、スピンドルモータ15はベース13とともに純水に浸された。洗浄処理の前後でスピンドルモータ15やベース13に付着する塵埃の数が観察された。ここでは、0.5μmよりも大きい塵埃の数が観察された。その結果、図9に示されるように、洗浄処理に基づき塵埃の数は大幅に減少した。洗浄処理に基づきスピンドルモータ15やベース13の外面に付着する塵埃は取り除かれることが確認された。洗浄処理の重要性が確認された。
以上のようなHDD11では、隙間58の形成にあたって、ブラケット27の上向き面は、円柱空間35から遠ざかるにつれてフランジ37の下向き面に近づく傾斜面から形成されてもよい。同様に、ブラケット27の上向き面およびフランジ37の下向き面は、円柱空間35から遠ざかるにつれて相互に近づく傾斜面から形成されてもよい。その一方で、隙間59の形成にあたって、支軸18の外周面は、隙間59の外端に向かうにつれて環状体49の内周面に近づく傾斜面から形成されてもよい。同様に、支軸18の外周面および環状体49の内周面は、隙間59の外端に向かうにつれて相互に近づく傾斜面から形成されてもよい。その他、隙間59は環状体49の外周面およびキャリッジブロック本体17aの内周面の間に区画されてもよい。環状体49はキャリッジブロック本体17aに一体化されてもよく、支軸18に一体化されてもよい。
図10は本発明の第2実施形態に係るスピンドルモータ15aの構造を概略的に示す。このスピンドルモータ15aではブラケット27がベース13に一体化される。前述の隙間58はベース13の底板の表面とフランジ37の下向き面との間に形成される。その他、前述のスピンドルモータ15と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。こういったスピンドルモータ15aは前述と同様の作用効果を実現することができる。加えて、前述のスピンドルモータユニット61にはベース13が含まれる。こうしたスピンドルモータユニット61の洗浄処理が許容される。その結果、大きな表面積を有するベース13から塵埃は効率的に取り除かれることができる。
図11は本発明の第3実施形態に係るスピンドルモータ15bの構造を概略的に示す。このスピンドルモータ15bでは、ブラケット27にその外縁から立ち上がる円筒部27bが形成される。円筒部27bは内周面でフランジ37の円筒外周面に向き合わせられる。円筒部27bは、フランジ37の全周にわたってフランジ37との間に円柱空間35から遠ざかるにつれて徐々に狭まる隙間69を形成する。ここでは、円筒部27bの内周面は、円柱空間35から遠ざかるにつれてフランジ37の円筒外周面に近づく傾斜面から形成されればよい。隙間69は前述の隙間58と同様の構造を有する。その他、前述のスピンドルモータ15と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。こうした隙間69は前述と同様に円柱空間35に純水の進入を防止する。スピンドルモータ15bの洗浄処理は許容される。
図12は本発明の第4実施形態に係るスピンドルモータ15cの構造を概略的に示す。このスピンドルモータ15cには前述の流体軸受けに代えて1対のボールベアリング65が組み込まれる。支軸66はブラケット27に固定される。ボールベアリング65は支軸66に相対回転自在にスピンドルハブ34を連結する。ボールベアリング65は、スピンドルハブ34に形成される円柱空間67に配置される。円柱空間67は回転軸X3上に中心軸を有する。なお、ブラケット27およびフランジ37の間には前述の隙間58が形成される。
円柱空間67にはボールベアリング65よりも外側で環状体68が配置される。環状体68は外周面でスピンドルハブ34の内周面に取り付けられる。環状体68は支軸66回りで円柱空間67を仕切る。環状体68は、支軸66の全周にわたって支軸66との間に外端に向かうにつれて徐々に狭まる隙間69を形成する。隙間58の形成にあたって、環状体68の内周面は、隙間69の外端に向かうにつれてシャフト32の外周面に近づく傾斜面から形成されればよい。隙間69は前述の隙間59と同様の構造を有する。その他、前述のスピンドルモータ15、15aと均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。こうしたスピンドルモータ15cでは隙間58および隙間69は円柱空間35、67内に純水の進入を防止する。スピンドルモータ15cの洗浄処理は許容される。
図13は本発明の第5実施形態に係るスピンドルモータ15dの構造を概略的に示す。このスピンドルモータ15dでは隙間58の内端でブラケット27の上向き面およびフランジ37の下向き面に撥水剤71が塗布される。撥水剤71はフランジ37の全周にわたって塗布される。このとき、最小間隔Sは例えば0.15mm以下に設定される。最大間隔Lは例えば0.30mm以下に設定される。ただし、最小間隔Sおよび最大間隔Lは0mmよりも大きく設定される。ブラケット27の上向き面およびフランジ37の下向き面の交差角γは例えば10度以下に設定される。ただし、交差角γは0度よりも大きく設定される。その他、前述のスピンドルモータ15〜15cと均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
図14に示されるように、スピンドルモータ15dの洗浄処理にあたって、隙間58に進入する純水は撥水剤71の外縁で一層大きな表面張力を生成する。表面張力の働きで円柱空間35内に純水の進入は回避される。スピンドルモータユニット61の洗浄処理は許容される。こうした撥水剤71は例えば前述のスピンドルモータ15〜15cにも適用されることができる。撥水剤71は例えば環状体49、68の内周面、支軸18の外周面、支軸66の外周面に塗布されればよい。なお、撥水剤71に代えて撥油剤が用いられてもよい。
図15は本発明の第6実施形態に係るスピンドルモータ15eの構造を概略的に示す。このスピンドルモータ15eでは相互に平行に広がるブラケット27の上向き面およびフランジ37の下向き面に前述の撥水剤71が塗布される。ブラケット27およびフランジ37の間の隙間は例えば0.2mm以下に設定されればよい。ただし、この隙間は0mm以上に設定される。その他、前述のスピンドルモータ15〜15dと均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。こうしたスピンドルモータ15eによれば、隙間に進入する純水は撥水剤71の外縁で表面張力を生成する。円柱空間35内に純水の進入は回避される。スピンドルモータ15eの洗浄処理は許容される。
図16は本発明の第7実施形態に係るスピンドルモータ15fの構造を概略的に示す。このスピンドルモータ15fではベース13の表面およびフランジ37の下向き面は相互に平行に広がる。ベース13の表面およびフランジ37の下向き面の間には従来の大きさで隙間が形成されればよい。スピンドルハブ34の外側でベース13の底板から円筒部72が立ち上がる。ベース13の底板から円筒部72の高さはベース13の底板からフランジ37の上端の高さよりも低く設定される。その他、前述のスピンドルモータ15〜15eと均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
洗浄処理にあたって、図17に示されるように、円筒部72には例えば円柱空間を区画する円筒状のキャップ73が嵌め込まれる。スピンドルモータ15fおよびキャップ73はスピンドルモータユニットを構成する。キャップ73の円柱空間にスピンドルハブ34は収容される。キャップ73の下端にはキャップ73の外縁の全周にわたって環状の弾性体74が取り付けられる。弾性体74にはゴムやプラスチックが用いられる。キャップ73が円筒部72に嵌め込まれると、弾性体74はキャップ73および円筒部72の間に挟み込まれる。その結果、洗浄処理にあたってキャップ73の円柱空間内に純水の進入は回避される。ベース13の外面から塵埃は取り除かれる。
図18は本発明の一実施形態に係るキャリッジアセンブリユニット75を概略的に示す。このキャリッジアセンブリユニット75では前述の環状体49の組み込みが省略される。その一方で、キャリッジブロック17には1対のキャップ76、76が嵌め込まれる。キャップ76の下端およびキャリッジブロック17の内周面の間には環状の弾性体77が挟み込まれる。弾性体77にはゴムやプラスチックが用いられる。キャップ76は円柱空間を密閉する。したがって、洗浄処理にあたって円柱空間45内に純水の進入は回避される。キャリッジブロック17の表面から塵埃は取り除かれる。
Claims (15)
- 回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画する円筒体、および、円筒体の一端に接続されて円柱空間の開口を区画する環状体を含む回転子と、回転自在に回転子を支持しつつ開口を塞ぎ、環状体の全周にわたって環状体との間に円柱空間から遠ざかるにつれて徐々に狭まる隙間を形成する固定子とを備えることを特徴とするスピンドルモータ。
- 請求項1に記載のスピンドルモータにおいて、前記固定子は、前記隙間の外端で規定される最小間隔で前記回転子に向き合わせられることを特徴とするスピンドルモータ。
- 請求項1に記載のスピンドルモータにおいて、前記円柱空間は前記開口でのみ開放されることを特徴とするスピンドルモータ。
- 請求項1に記載のスピンドルモータにおいて、前記隙間の内端で前記回転子および前記固定子には撥水剤が塗布されることを特徴とするスピンドルモータ。
- 筐体と、筐体内に組み込まれて、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画する円筒体、および、円筒体の一端に接続されて円柱空間の開口を区画する環状体を含む回転子と、回転自在に回転子を支持しつつ開口を塞ぎ、環状体の全周にわたって環状体との間に円柱空間から遠ざかるにつれて徐々に狭まる隙間を形成する固定子とを備えることを特徴とする記憶媒体駆動装置。
- 回転軸上に中心軸を有する円柱状の支軸と、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画し、円柱空間で支軸を受け入れる円筒体と、円柱空間内に配置されて支軸および円筒体を相対移動自在に連結する軸受けと、支軸回りで円柱空間を仕切り、支軸の全周にわたって支軸および円筒体の間に外端に向かうにつれて徐々に狭まる隙間を区画する環状体とを備えることを特徴とするスピンドルモータ。(図12)
- 請求項6に記載のスピンドルモータにおいて、前記隙間の外端で最小間隔が規定されることを特徴とするスピンドルモータ。
- 筐体と、筐体内に組み込まれて、回転軸上に中心軸を有する円柱状の支軸と、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画し、円柱空間で支軸を受け入れる円筒体と、円柱空間内に配置されて支軸および円筒体を相対移動自在に連結する軸受けと、支軸回りで円柱空間を仕切り、支軸の全周にわたって支軸および円筒体の間に外端に向かうにつれて徐々に狭まる隙間を区画する環状体とを備えることを特徴とする記憶媒体駆動装置。
- 回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画する円筒体、および、円筒体の一端に接続されて円柱空間の開口を区画する環状体を含む回転子と、回転自在に回転子を支持しつつ開口を塞ぎ、環状体の全周にわたって環状体との間に隙間を形成する固定子と、隙間の内端で回転子および固定子に塗布される撥水剤とを備えることを特徴とするスピンドルモータ。
- 請求項9に記載のスピンドルモータにおいて、前記円柱空間は前記開口でのみ開放されることを特徴とするスピンドルモータ。
- 筐体と、筐体内に組み込まれて、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画する円筒体、および、円筒体の一端に接続されて円柱空間の開口を区画する環状体を含む回転子と、回転自在に回転子を支持しつつ開口を塞ぎ、環状体の全周にわたって環状体との間に隙間を形成する固定子と、隙間の内端で回転子および固定子に塗布される撥水剤とを備えることを特徴とする記憶媒体駆動装置。
- 回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画する円筒体、および、円筒体の一端に接続されて円柱空間の開口を区画する環状体を含む回転子と、回転自在に回転子を支持しつつ開口を塞ぎ、環状体の全周にわたって環状体との間に隙間を形成するベースを含む固定子と、回転子周りでベースに形成される円筒部と、円筒部に嵌め込まれてベースとの間に回転子を収容するキャップと、円筒部およびキャップの間に挟み込まれる弾性体とを備えることを特徴とするスピンドルモータユニット。
- 回転軸上に中心軸を有する円柱状の支軸と、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画し、円柱空間で支軸を受け入れるキャリッジブロック本体と、キャリッジブロック本体から延びるキャリッジアームと、円柱空間内に配置されて支軸およびキャリッジブロック本体を相対移動自在に連結する軸受けと、支軸回りで円柱空間を仕切り、支軸の全周にわたって支軸およびキャリッジブロック本体の間に外端に向かうにつれて徐々に狭まる隙間を区画する環状体とを備えることを特徴とするキャリッジアセンブリ。
- 筐体と、筐体内に組み込まれて、回転軸上に中心軸を有する円柱状の支軸と、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画し、円柱空間で支軸を受け入れるキャリッジブロック本体と、キャリッジブロック本体から延びるキャリッジアームと、円柱空間内に配置されて支軸およびキャリッジブロック本体を相対移動自在に連結する軸受けと、支軸回りで円柱空間を仕切り、支軸の全周にわたって支軸およびキャリッジブロック本体の間に外端に向かうにつれて徐々に狭まる隙間を区画する環状体とを備えることを特徴とする記憶媒体駆動装置。
- 回転軸上に中心軸を有する円柱状の支軸と、回転軸上に中心軸を有する円柱空間を区画し、円柱空間で支軸を受け入れるキャリッジブロック本体と、キャリッジブロック本体から延びるキャリッジアームと、円柱空間内に配置されて支軸およびキャリッジブロック本体を相対移動自在に連結する軸受けと、キャリッジブロック本体に嵌め込まれて、円柱空間を密閉するキャップと、キャリッジブロック本体およびキャップの間に挟み込まれる弾性体とを備えることを特徴とするキャリッジアセンブリユニット。
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