JPWO2008123274A1 - 高輝度放電ランプ点灯装置 - Google Patents
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Abstract
DC/ACコンバータ部2において、トランスの1次側で直流電源1との間に接続された電力投入用のスイッチング素子Q3とトランスの1次側に設けられた複数のスイッチング素子とをスイッチング素子駆動回路部6の出力信号によりオンオフして、直流電源1の電圧を昇圧または降圧しつつ、第一の周波数の成分と前記第一の周波数よりも高い第二の周波数の成分とを含む波形の交流電圧に変換し、波形整形回路部3において、DC/ACコンバータ部2から出力される交流電圧から第二の周波数の成分を低減する。
Description
本発明は、自動車のヘッドライト等の光源として用いられるメタルハライドランプ等の高輝度放電ランプを安定して点灯させるための高輝度放電ランプ点灯装置に関するものである。
近年、高輝度放電ランプ(High Intensity Discharge Lamp 以下ではHIDランプと記す。)は高効率、高寿命、高演色性という特徴から、屋内外照明、映像機器用の光源、車両の前照灯用光源などに普及しつつある。HIDランプは、高圧ガスのアーク放電を利用した光源である。その放電の特性によって、点灯の始動直後から定常点灯に至るまで、HIDランプのインピーダンスは大きく変化する。また、特に自動車用のヘッドライトとして用いられるHIDランプでは、点灯の初期に発光を急速に立ち上げるため、定常電力よりも大きな電力を投入しなければならないという特有の要求がある。HIDランプを安定に点灯するためには、変化する放電の特性に従って、点灯直後の放電を維持する高電圧の印加など、必要な電圧および電流をHIDランプに供給する必要がある。また、特に自動車用のヘッドライトとして用いられるHIDランプなど、発光の急速な立ち上がりを求められる場合には、点灯初期の大電力点灯から、安定点灯の定常電力による点灯まで、広いレンジの電力をランプに供給する必要がある。
また、HIDランプは、アーク放電の色むらの発生や、電極の偏消耗によるランプ寿命の短縮を回避するために、交流電圧によって点灯する必要がある。ただし、交流電圧でHIDランプを点灯する場合には、音響的共鳴現象の影響により光のちらつきが観測される虞があった。この光のちらつきは、音響的共鳴現象によって発生する定在波による力と、重力に起因する管内対流による力との相対的な関係によって引き起こされる放電アークのゆらぎに起因するものである。従って、音響的共鳴現象の影響を受けない点灯周波数および点灯波形の電圧(例えば、低周波数の矩形波交流電圧)でHIDランプを点灯するという特有の要求がある。
以上より、HIDランプを安定に点灯するためには、変化する放電の特性と、求められる点灯条件に追従して、広いレンジの電圧および電流出力が可能で、かつ、音響的共鳴現象の影響を受けない点灯周波数および点灯波形の電圧を出力可能な点灯装置が必要となる。このような要求を満足するHIDランプ点灯装置としては、例えば特許文献1に示されるものがある。
特許文献1に示されているHIDランプ点灯装置は、自動車用のヘッドライトとして用いられるものであり、バッテリなどの直流電源と、直流電源の電圧を昇圧するためのDC/DCコンバータと、HIDランプに印加する電圧を低周波数の矩形波に変換するためのフルブリッジインバータと、点灯始動用の高圧パルスを発生するためのイグナイタにより構成されている。このHIDランプ点灯装置においては、DC/DCコンバータが、大きく変化するHIDランプのインピーダンスと必要な点灯電力に対して、放電の各期間に必要な電圧および電流をランプに供給している。また、フルブリッジインバータによる低周波の矩形波が、音響的共鳴現象による放電アークの不安定性と直流点灯時の放電アークの色むらの発生などの問題を回避する役割を果たしている。なお、非特許文献1には、HIDランプに供給する電圧において、音響的共鳴現象を誘起する周波数成分を、基本波成分に対して25%以下に減衰すれば、音響的共鳴現象が発生しないことが開示されている。
また、バッテリなどの直流電源の電圧を直接ハーフブリッジインバータで低周波数の矩形波に変換する構成のHIDランプ点灯装置が特許文献2に開示されている。
特許文献3には、DC/ACコンバータで、直流電源の電圧を交流電圧に変換するとともに、昇圧を行う構成のHIDランプ点灯装置が開示されている。
近年、省エネや環境問題への配慮から、HIDランプの点灯装置に対して、市場から小型化などの要求がある。これに対し、特許文献1に示した構成の点灯装置では、DC/DCコンバータとフルブリッジインバータという、2種類の回路を用いているため、点灯装置を構成する素子数が多くなり小型化には向かない。特許文献2に示した構成の点灯装置では、DC/DCコンバータを必要とせず、特許文献1に用いていたフルブリッジインバータでは4個だったスイッチング素子を、2個に低減した、ハーフブリッジインバータを用いており、素子数が低減できる構成となっている。しかしながら、特許文献2の点灯装置の回路構成を用いた場合にも、例えば自動車のヘッドライト用の点灯装置など、電源がバッテリなどの低電圧電源である場合には、ハーフブリッジインバータの入力電圧を、HIDランプに必要な電圧まで昇圧する必要がある。従って、前記ハーフブリッジインバータの入力にDC/DCコンバータを接続せざるをえず、結局、2種類の回路を必要とし、素子の大幅な低減効果は見込めない。
一方、特許文献3に示した構成の点灯装置では、DC/ACコンバータで直流電圧を交流電圧に変換するとともに、電圧の昇圧を行っており、素子数が低減できる構成となっている。しかしながら、DC/ACコンバータの装置体積の大部分を占めるトランスを小型化するため、直流電圧を高周波の交流電圧に変換している。このため、音響共鳴現象の影響による光のちらつきを完全に防止することは未だ困難であるという問題点が残されている。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、広いレンジの電圧および電流出力が可能で、かつ、音響的共鳴現象の影響を防止する点灯周波数および点灯波形の電圧を出力可能なHIDランプ点灯装置において、小型化を図ることを目的とする。
本発明に係るHIDランプ点灯装置においては、トランスの1次側で直流電源との間に接続された電力投入用のスイッチング素子およびトランスの1次側に設けた複数のスイッチング素子をオンオフして、直流電源の電圧を昇圧または降圧しつつ、第一の周波数の成分とこれよりも高い第二の周波数の成分とを含む波形の交流電圧に変換するDC/ACコンバータ部と、DC/ACコンバータ部が出力する交流電圧から第二の周波数の成分を低減した交流電圧を出力する波形整形回路部とを備えている。
本発明によれば、直流電源の電圧を必要な電圧に昇圧または降圧し、交流電圧に変換するという機能をDC/ACコンバータ部において実現している。このため、前記機能をDC/DCコンバータとフルブリッジインバータ(またはハーフブリッジインバータ)で実現していた従来装置と比較して、素子数を低減することができ、HIDランプ点灯装置を小型化することができる。
1 直流電源
2 DC/ACコンバータ部
3 波形整形回路部
6 スイッチング素子駆動回路部
9 HIDランプ(高輝度放電ランプ)
11 放電成長補助回路
Q1 第1のスイッチング素子
Q2 第2のスイッチング素子
Q3 電力投入用のスイッチング素子
Tpp プッシュプルトランス
2 DC/ACコンバータ部
3 波形整形回路部
6 スイッチング素子駆動回路部
9 HIDランプ(高輝度放電ランプ)
11 放電成長補助回路
Q1 第1のスイッチング素子
Q2 第2のスイッチング素子
Q3 電力投入用のスイッチング素子
Tpp プッシュプルトランス
実施の形態1.
本発明の実施の形態1について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態1による、HIDランプ点灯装置の構成を示す回路図である。実施の形態1によるHIDランプ点灯装置は、バッテリ等の直流電源1、DC/ACコンバータ部2、波形整形回路部3、イグナイタ回路部4、点灯制御回路部5、スイッチング素子駆動回路部6、ランプ電圧検出回路部7、ランプ電流検出回路部8を備えている。
本発明の実施の形態1について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態1による、HIDランプ点灯装置の構成を示す回路図である。実施の形態1によるHIDランプ点灯装置は、バッテリ等の直流電源1、DC/ACコンバータ部2、波形整形回路部3、イグナイタ回路部4、点灯制御回路部5、スイッチング素子駆動回路部6、ランプ電圧検出回路部7、ランプ電流検出回路部8を備えている。
DC/ACコンバータ部2は、直流電源1の直流電圧をHIDランプ9の点灯に必要な電圧に昇圧または降圧し、交流電圧に変換する回路ブロックである。実施の形態1におけるDC/ACコンバータ部2は、第1のスイッチング素子Q1(以下、スイッチング素子Q1と記す。)、第2のスイッチング素子Q2(以下、スイッチング素子Q2と記す。)、電力投入用のスイッチング素子Q3(以下、スイッチング素子Q3と記す。)およびプッシュプルトランスTppを備えている。なお、DC/ACコンバータ部2と同様な機能を実現する回路構成としては、フルブリッジインバータとトランスにより構成されるものや、ハーフブリッジインバータとトランスにより構成されるものなどがあり、上記した直流電圧の昇降圧と交流電圧の変換を同時に行える機能を持っていれば、どのような回路構成を用いてもよい。また、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3としては、FET(Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタ等を使用しており、特にスイッチング素子Q3においては、複数のスイッチング素子により構成しても良い。
プッシュプルトランスTppは、直流電源1の電圧をHIDランプ9の点灯に必要な電圧に昇圧または降圧している。プッシュプルトランスTppの1次側巻線はN1およびN2、2次側巻線はN3であり、図中に各々の巻線の+端子と−端子を明記している。スイッチング素子Q1は1次側巻線N1の+端子側に接続しており、スイッチング素子Q2は1次側巻線N2の−端子側に接続している。スイッチング素子Q1およびQ2は、交互にオンオフすることにより直流を交流に変換する機能を有するスイッチである。スイッチング素子Q3は、一端を直流電源1に、他端を1次側巻線N1の−端子および1次側巻線N2の+端子に接続し、直流電源1からプッシュプルトランスTppに電力を伝達するか否かを制御するスイッチである。スイッチング素子Q1、Q2およびQ3は、点灯制御回路部5が決定して出力したパルス幅の信号が、スイッチング素子駆動回路部6から入力されることにより、オンオフ動作する。このオンオフ動作により、プッシュプルトランスTppの1次側巻線N1またはN2に直流電源1の電圧が印加され、1次側巻線に流れる電流が変化する。1次側巻線に電圧が印加されると、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、巻数比に応じた電圧が発生する。このとき2次側巻線N3に発生する電圧の極性は、電圧の印加される巻線により異なる。また、直流電源1から1次側巻線への電流供給を遮断したときは、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、プッシュプルトランスTppの2次側回路の負荷状態に応じた電圧が発生する。
波形整形回路部3は、DC/ACコンバータ部2の出力波形から音響的共鳴現象を誘起する周波数成分を減衰させる回路ブロックである。これにより、音響的共鳴現象の発生を防止している。ここで、音響的共鳴現象の起こりうる周波数の範囲は、HIDランプの形状や内容物などにより変化するが、例えば、車載用の35WのHIDランプでは、10kHz〜600kHz程度、一般照明用の100WのHIDランプでは、5kHz〜400kHz程度である。音響的共鳴現象が発生すると、アークの形状が目視でわかる程度に変化し、光のちらつきやランプの破損を引き起こす。このため、周波数を変えてランプを実際に点灯してみることにより、音響的共鳴現象の起こる周波数を測定することが可能である。なお、波形整形回路部3は、図1に示すように、いわゆるローパスフィルタの構成となっている。波形整形回路部3を構成するインダクタやコンデンサなどの素子による共振周波数に等しい周波数でプッシュプルトランスTppの出力電圧が反転するよう、図1におけるプッシュプルトランスTppの1次側スイッチング素子Q1、Q2、Q3を駆動するものではない。
波形整形回路部3のローパスフィルタの遮断周波数は、車載用の35WのHIDランプでは10kHz以下に、一般照明用の100WのHIDランプでは、5kHz以下に設定し、より好ましくは、車載用は100Hz〜10kHz、一般照明用は100Hz〜5kHzに設定する。波形整形回路部3において、後述する第1の周波数の成分を通過させ、音響的共鳴現象が発生する周波数成分を減衰させるため、このような遮断周波数に設定する必要がある。また、波形整形回路部3は、直流電源1からプッシュプルトランスTppの2次側回路に電力の伝達がないときに、自身に蓄積されているエネルギを放電して、HIDランプ9に電力を供給する役目も果たしている。
本発明の実施の形態1では、図1に示すように、インダクタL1とコンデンサC1のローパスフィルタにより波形整形回路部3を構成している。この他にも、波形整形回路部3は、インダクタ、コンデンサおよび抵抗の直並列回路など、種々の回路構成にて実現することが可能であり、DC/ACコンバータ部2の出力波形の音響的共鳴現象を誘起する周波数成分の割合が低い場合には、不要となることもある。波形整形回路部3は、DC/ACコンバータ部2の出力波形から音響的共鳴現象を誘起する周波数成分を減衰させ、HIDランプ9に音響的共鳴現象を誘起する周波数成分の電流を流さないようにする役割を果たす。なお、本実施の形態1による回路構成では、イグナイタトランスTigも波形整形回路部3とともに、音響的共鳴現象を誘起する周波数成分を減衰させる役割を担う。ここで、図1に示すように、インダクタL1とコンデンサC1により波形整形回路部3を構成する場合には、インダクタL1とコンデンサC1のいずれか一方または両方を、プッシュプルトランスTppの1次側に配置しても同様な役割を果たす回路ブロックを構成することが可能である。
イグナイタ回路部4は、HIDランプ9の放電始動時に、HIDランプ9内で絶縁破壊を生じさせるための高電圧を、HIDランプ9に印加するための回路ブロックである。実施の形態1では、図1に示すように、トランス昇圧を用いてイグナイタ回路部4を構成している。この他にも、イグナイタ回路部4は、LC回路による共振を用いたもの、逓倍整流回路を用いたもの、DC/ACコンバータ部2の2次側に巻線を追加したものなど、種々の構成にて実現可能である。
イグナイタ回路部4は、イグナイタトランスTig、イグニッションエネルギ蓄積用のコンデンサC3(以下、コンデンサC3と記す。)、コンデンサC3と共に倍電圧整流回路を構成する整流素子D1、D2およびコンデンサC2、放電始動用のスイッチSW1(以下、スイッチSW1と記す。)、整流素子D3および放電成長用のコンデンサC4(以下、コンデンサC4と記す。)を備えている。イグナイタトランスTigは、放電始動前のHIDランプ9に、絶縁破壊電圧以上の高電圧を出力するトランスである。イグナイタトランスTigの1次側巻線はNig1、2次側巻線はNig2であり、図中に各々の巻線の+端子と−端子を明記している。コンデンサC3は、放電始動時にイグナイタトランスTigの1次側巻線Nig1に電圧を印加するために、電荷を充電する。整流素子D1、D2及びコンデンサC2、C3は倍電圧整流回路を構成しており、コンデンサC3には、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に発生した電圧のピーク値の2倍の電圧が印加される。
なお、図1における倍電圧整流回路は、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3の両端電圧を整流しているが、コンデンサC1の両端電圧を整流するような構成としても良い。また、倍電圧整流回路と等価な機能を持つとして、プッシュプルトランスTppにコンデンサC3を充電するための新たな巻線を配置する構成や、外部電源と昇圧回路によりコンデンサC3を充電する構成など、種々の構成にて実現することが可能である。コンデンサC3を放電始動に充分な電圧まで昇圧することが可能であるならば、どのような構成を用いても良い。
スイッチSW1は、ギャップスイッチなどの放電スイッチや、サイリスタなどの半導体スイッチであり、コンデンサC3が充電されている間はオフであり、コンデンサC3の電圧が充分高くなり閾値に達したときにオンする。スイッチSW1のオンオフ制御は、コンデンサC3の電圧が閾値よりも高くなった場合にスイッチSW1をオンする回路(図1には図示せず)をイグナイタ回路部4に設け、イグナイタ回路部4自身でスイッチSW1を制御する。または、点灯制御回路部5においてコンデンサC3の電圧を検知し、閾値よりも高くなった場合に点灯制御回路部5もしくはスイッチング素子駆動回路部6がスイッチSW1をオンにしても良い。また、スイッチSW1に、電圧がある値以上になると自動的にオンするような素子を用いてもよい。コンデンサC3の電圧が閾値に達するとスイッチSW1がオンとなり、コンデンサC3に蓄積された電荷が、コンデンサC4を介してイグナイタトランスTigの1次側巻線Nig1に供給される。このとき、コンデンサC3の電圧をピークとするパルス電圧が1次側巻線Nig1に印加され、イグナイタトランスTigの巻数比に応じて2次側巻線Nig2に高電圧パルスが発生する。
コンデンサC4および整流素子D3は、絶縁破壊が起こった直後の、HIDランプ9のインピーダンスが比較的高く、放電を維持するために高電圧が必要な放電成長期間に、放電を維持するために必要な電圧をHIDランプ9に供給する。スイッチSW1のオン時にはコンデンサC3、C4及び1次側巻線Nig1が閉回路を構成し、コンデンサC3を充電していた電荷は、コンデンサC4を介して1次側巻線Nig1にパルス的に供給されるとともにコンデンサC4を充電する。HIDランプ9の絶縁破壊後は、コンデンサC4を充電した電荷が整流素子D3を介してHIDランプ9に供給されることで、HIDランプ9の放電を維持する役割を果たす。なお、当放電成長期間において、HIDランプ9に電流を供給するにあたり、コンデンサC4に充電した電荷の代わりに、DC/ACコンバータ部2から出力される交流電圧の周波数を高くして、プッシュプルトランスTppに蓄積したエネルギの放電による高電圧の発生回数を多くしても構わない。
点灯制御回路部5は、マイクロプロセッサ、A/D変換器、メモリ、その他デジタル回路やアナログ回路によって構成される。ランプ電圧検出回路部7およびランプ電流検出回路部8の出力信号により、HIDランプ9の状態を判断し、状態の変化に応じて必要な電圧および電流出力を演算する。そして、演算した必要な電圧および電流をHIDランプ9に供給するよう、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3のオンオフタイミングを決定し、スイッチング素子駆動回路部6へ伝達する。
スイッチング素子駆動回路部6は、点灯制御回路部5から伝達されたオンオフタイミングに従い、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3をオンオフ制御する。
ランプ電圧検出回路部7は、HIDランプ9の両端に印加される電圧を検出して、出力する回路ブロックである。ランプ電圧検出回路部7は、コンデンサや抵抗を用いた分圧回路と整流回路により構成することができる。分圧回路により、HIDランプ9に印加される交流の高電圧を比較的低い電圧に変換し、さらに整流回路により直流に変換することにより、HIDランプ9の両端に印加される電圧を示す信号が得られる。ランプ電圧検出回路部7は、HIDランプ9に並列に接続しても、イグナイタ回路部4の前段に接続しても良い。
ランプ電流検出回路部8は、HIDランプ9に流れている電流を検出して、出力する回路ブロックである。ランプ電流検出回路部8は、HIDランプ9に流れている電流を電圧信号に変換するカレントトランスや電流検出抵抗、ホール素子を用いた電流検出器などにより実現することができる。ランプ電流検出回路部8は、HIDランプ9に流れている電流とほぼ等しい電流、または、HIDランプ9に流れている電流を、その箇所の電流で見積もることができる箇所であれば、たとえば、DC/ACコンバータ部2の1次側など、回路のどの部位に配置しても良い。
次に実施の形態1によるHIDランプ点灯装置の動作について説明する。HIDランプ9の点灯は、その状態に応じて概ね以下に示すA.放電待機期間、B.放電始動期間、C.光束立ち上げ期間、D.定常放電期間の4つの期間に分けられる。各期間の現象とHIDランプ9の状態について簡単に説明する。
A.放電待機期間
放電待機期間は、HIDランプ9が点灯する前の状態であり、HIDランプ9のインピーダンスは数MΩから数十MΩ程度と大きく、HIDランプ9には電流が流れない。この期間、HIDランプ点灯装置は、放電始動に用いるエネルギを得るため、イグニッションエネルギ蓄積用のコンデンサC3を充電する動作を行う。
B.放電始動期間
放電始動用のスイッチSW1をオンすることにより、イグナイタトランスTigに数kV〜数十kVの電圧が発生し、この電圧がHIDランプ9に印加されることにより、絶縁破壊が起こり、HIDランプ9に電流が流れ、放電が開始する(イグニッション期間)。放電開始直後の放電成長期間では、HIDランプ9のインピーダンスが、例えば数百Ω程度と、光束立ち上げ期間や定常放電期間と比較して大きい。加えて、HIDランプ9の放電を安定化するために、HIDランプ9に比較的高電圧、例えば数百Vを印加し、HIDランプ9に電流を流し続ける必要がある。
C.光束立ち上げ期間
絶縁破壊後しばらくすると、HIDランプ9のインピーダンスが、例えば十数Ω程度と、放電始動期間に比べ充分低くなる。即ち、アーク放電に移行して、光束立ち上げ期間となる。光束立ち上げ期間では、HIDランプ9を所定の光束まで立ち上げる。特に、車載用のヘッドランプとしては、光束立ち上げを急峻に行う必要があり、HIDランプ9に定格電力以上の、例えば、定格電力35Wに対して、70W程度の電力を投入する必要がある。また、光束立ち上げ期間から定常放電期間にかけては、その電力変化による光束の変化をユーザーに視認させないため、例えば、70Wから定格電力35Wまで緩やかに電力を低下させていく必要がある。
D.定常放電期間
管内封入物質であるハロゲン化金属が蒸発し、光束、管内温度およびHIDランプ9のインピーダンスが平衡状態に達すると定常放電期間となる。このとき、HIDランプ9のインピーダンスは、例えば数十Ω程度になっており、HIDランプ9には定格電力の、例えば35Wが投入される。この期間においては、経時変化や環境条件の変化などによる、HIDランプ9のインピーダンスの変化によって、光束が変化しないよう、HIDランプ点灯装置の出力を調整する必要がある。
A.放電待機期間
放電待機期間は、HIDランプ9が点灯する前の状態であり、HIDランプ9のインピーダンスは数MΩから数十MΩ程度と大きく、HIDランプ9には電流が流れない。この期間、HIDランプ点灯装置は、放電始動に用いるエネルギを得るため、イグニッションエネルギ蓄積用のコンデンサC3を充電する動作を行う。
B.放電始動期間
放電始動用のスイッチSW1をオンすることにより、イグナイタトランスTigに数kV〜数十kVの電圧が発生し、この電圧がHIDランプ9に印加されることにより、絶縁破壊が起こり、HIDランプ9に電流が流れ、放電が開始する(イグニッション期間)。放電開始直後の放電成長期間では、HIDランプ9のインピーダンスが、例えば数百Ω程度と、光束立ち上げ期間や定常放電期間と比較して大きい。加えて、HIDランプ9の放電を安定化するために、HIDランプ9に比較的高電圧、例えば数百Vを印加し、HIDランプ9に電流を流し続ける必要がある。
C.光束立ち上げ期間
絶縁破壊後しばらくすると、HIDランプ9のインピーダンスが、例えば十数Ω程度と、放電始動期間に比べ充分低くなる。即ち、アーク放電に移行して、光束立ち上げ期間となる。光束立ち上げ期間では、HIDランプ9を所定の光束まで立ち上げる。特に、車載用のヘッドランプとしては、光束立ち上げを急峻に行う必要があり、HIDランプ9に定格電力以上の、例えば、定格電力35Wに対して、70W程度の電力を投入する必要がある。また、光束立ち上げ期間から定常放電期間にかけては、その電力変化による光束の変化をユーザーに視認させないため、例えば、70Wから定格電力35Wまで緩やかに電力を低下させていく必要がある。
D.定常放電期間
管内封入物質であるハロゲン化金属が蒸発し、光束、管内温度およびHIDランプ9のインピーダンスが平衡状態に達すると定常放電期間となる。このとき、HIDランプ9のインピーダンスは、例えば数十Ω程度になっており、HIDランプ9には定格電力の、例えば35Wが投入される。この期間においては、経時変化や環境条件の変化などによる、HIDランプ9のインピーダンスの変化によって、光束が変化しないよう、HIDランプ点灯装置の出力を調整する必要がある。
上述の各期間において、HIDランプ9を安定に点灯するためには、各期間において、HIDランプ9の状態に応じた点灯周波数(第1の周波数)および点灯波形の電圧を、HIDランプ9に供給する必要がある。
次に、放電待機期間および放電始動期間のHIDランプ点灯装置の回路動作を詳細に説明する。図2は、本発明の実施の形態1による、放電待機期間および放電始動期間におけるスイッチング素子Q1、Q2およびQ3のスイッチングのタイミングチャート図を示している。図2(a)、(b)および(c)に示す波形は、夫々スイッチング素子Q1、Q2およびQ3のオンオフ状態を示しており、そのときのプッシュプルトランスTppの2次側回路への出力電圧を図2(d)に示している。
図1において、点灯始動信号(図示せず)を点灯制御回路部5が検知すると、点灯制御回路部5の出力信号により、スイッチング素子駆動回路部6は、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3に駆動信号を出力する。この信号により、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3がオンオフ動作を開始する。
放電待機期間および放電始動期間における各スイッチング素子のオンオフ動作は、図2に示す期間1から期間4を繰り返し行う。期間1では、スイッチング素子Q1とQ3をオン、スイッチング素子Q2をオフとする。期間2では、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3を全てオフとする。期間3では、スイッチング素子Q2とQ3をオン、スイッチング素子Q1をオフとする。期間4では、期間2と同様にスイッチング素子Q1、Q2およびQ3を全てオフとする。
図3は、本発明の実施の形態1による、放電待機期間および放電始動期間における期間1および期間2の回路動作を示す図である。図4は、本発明の実施の形態1による、放電待機期間および放電始動期間における期間3および期間4の回路動作を示す図である。図5は、本発明の実施の形態1による、放電始動期間の回路動作を示す図である。図3、図4および図5の図中において、回路に流れる電流を破線矢印で示し、回路に発生する電圧の方向を実線矢印で示している。
放電待機期間および放電始動期間における、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3の動作と回路動作との関係を、図2、図3および図4を用いて時系列に説明する。図3(a)は期間1の回路動作を、図3(b)は期間2の回路動作を、図4(a)は期間3の回路動作を、図4(b)は期間4の回路動作を示している。
期間1では、スイッチング素子Q1およびQ3がオンで、スイッチング素子Q2がオフのため、図3(a)に示すとおり、直流電源1の電圧がプッシュプルトランスTppの1次側巻線N1に印加される。1次側巻線N1に電流i1Aが流れ、プッシュプルトランスTppが励磁される。また、1次側巻線N1には+端子が負となる方向の逆起電力が発生する。プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、その巻線方向に対応して2次側巻線N3の+端子が負となる方向に、直流電源1の電圧に対して巻数比であるN3/N1倍のピーク電圧を持った起電力が発生する。このとき、その電圧方向により整流素子D1が通電し、コンデンサC2に充電電流i2Aが流れる。つまり、期間1では、いわゆるフォワード動作により、プッシュプルトランスTppを介して直流電源1から電力をプッシュプルトランスTppの2次側回路に伝達しつつ、プッシュプルトランスTppに励磁エネルギを蓄積している。
期間2では、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3が全てオフのため、図3(b)に示すとおり、プッシュプルトランスTppの1次側回路には電流は流れない。特に、スイッチング素子Q3をオフし、直流電源1とプッシュプルトランスTppの1次側巻線を回路的に切り離すことにより、期間1においてプッシュプルトランスTppに蓄積したエネルギが直流電源1に回生されることは無い。ゆえに、期間2では、期間1において蓄積したエネルギをプッシュプルトランスTppの2次側回路で消費する。励磁されたプッシュプルトランスTppのエネルギをリセットするため、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、期間1とは逆方向、つまりN3の+端子が正となる方向に電圧が発生する。このときの電圧のピーク値は、期間1の時間、プッシュプルトランスTppの1次側巻線N2のインダクタンスおよび2次側回路の負荷状態に依存する。すなわち、期間1の時間が長いほど、プッシュプルトランスTppの2次側のインピーダンスが高いほど、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に高電圧が発生する。この高電圧の発生により、整流素子D2が通電し、コンデンサC2を介して電流i3Aが流れ、コンデンサC3が充電される。つまり、期間2では、期間1においてプッシュプルトランスTppに蓄積した励磁エネルギをプッシュプルトランスTppの2次側回路に放電する、フライバック動作を行う。
期間3では、期間1と同様の動作を、プッシュプルトランスTppの極性を反転して行う。期間3では、スイッチング素子Q2およびQ3がオンで、スイッチング素子Q1がオフのため、図4(a)に示すとおり、直流電源1の電圧がプッシュプルトランスTppの1次側巻線N2に印加される。1次側巻線N2に電流i4Aが流れ、プッシュプルトランスTppが励磁される。また、1次側巻線N2には+端子が正となる方向の逆起電力が発生する。プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、2次側巻線N3の+端子が正となる方向に、直流電源1の電圧に対して巻数比であるN3/N2倍のピーク電圧を持った起電力が発生する。即ち、期間2と同方向の電圧が発生する。この時、その電圧方向により整流素子D2が通電し、コンデンサC2を介して電流i5Aが流れ、コンデンサC3が充電される。
期間4では、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3が全てオフのため、図4(b)に示すとおり、プッシュプルトランスTppの1次側回路には電流は流れない。特に、スイッチング素子Q3をオフし、直流電源1とプッシュプルトランスTppの1次側巻線を回路的に切り離すことにより、期間3においてプッシュプルトランスTppに蓄積したエネルギが直流電源1に回生されることは無い。ゆえに、期間4では、期間3において蓄積したエネルギをプッシュプルトランスTppの2次側回路で消費する。励磁されたプッシュプルトランスTppのエネルギをリセットするため、プッシュプルトランスの2次側巻線N3には、期間3とは逆方向、つまりN3の+端子が負となる方向に電圧が発生する。このときの電圧のピーク値は、期間3の時間、プッシュプルトランスTppの1次側巻線N2のインダクタンスおよび2次側回路の負荷状態に依存する。すなわち、期間3の時間が長いほど、プッシュプルトランスTppの2次側のインピーダンスが高いほど、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に高電圧が発生する。このとき、整流素子D1が通電し、コンデンサC2に充電電流i6Aが流れる。
以上のように、期間1におけるフォワード動作と期間2におけるフライバック動作とを組み合わせ、期間3におけるフォワード動作と期間4におけるフライバック動作とを組み合わせて、さらに、期間2および期間4においてはプッシュプルトランスTppの出力極性を、期間1および期間3での極性とは反転させる動作をしている。すなわち、直流電源1の電力をプッシュプルトランスTppの2次側に伝達する期間と、プッシュプルトランスTppに蓄積されたエネルギをプッシュプルトランスTppの2次側に放出する期間とからなる第一の動作モードで動作している。これにより、図2に示すように、極性反転時に高電圧となる交流の矩形波電圧を、プッシュプルトランスTppの2次側回路に出力することができる。
次に、本発明の実施の形態1による、放電始動期間の回路動作を、図5を用いて説明する。図5(a)は放電始動期間におけるイグニッション期間の回路動作を、図5(b)は放電始動期間における放電成長期間の回路動作を示している。
図2に示すスイッチング動作により、放電待機期間において、コンデンサC3に電荷が充電される。コンデンサC3がある電圧閾値(例えば、800V)まで充電されると、放電始動期間に移行し、スイッチSW1をオンにする。スイッチSW1のオンオフ制御は、コンデンサC3の電圧が閾値よりも高くなった場合にスイッチSW1をオンする回路(図1、図5には図示せず)をイグナイタ回路部4に設け、イグナイタ回路部4自身でスイッチSW1を制御する。または、点灯制御回路部5においてコンデンサC3の電圧を検知し、閾値よりも高くなった場合に点灯制御回路部5もしくはスイッチング素子駆動回路部6がスイッチSW1をオンにしても良い。また、スイッチSW1に、電圧がある値以上になると自動的にオンするような素子を用いてもよい。
図5(a)に示すとおり、スイッチSW1がオンするとコンデンサC3、C4および1次側巻線Nig1の閉回路においてコンデンサC3からC4へ電荷が移動し、前記閉回路に電流i1Bが流れる。コンデンサC3からC4に電荷が移動している間、イグナイタトランスTigの1次側巻線Nig1の両端には、コンデンサC3の電圧にほぼ等しいピーク電圧を持ったパルス電圧が印加される。1次側巻線Nig1にパルス電圧が印加されると、イグナイタトランスTigの2次側巻線Nig2には、1次側巻線Nig1の両端に印加された電圧に対して巻数比であるNig2/Nig1倍の電圧(例えば、数十kV)が発生する。この電圧はHIDランプ9にも印加される。この電圧により、HIDランプ9は絶縁破壊を起こし、放電が開始する。
図1に示す点灯制御回路部5は、ランプ電圧検出回路部7およびランプ電流検出回路部8からの信号により、HIDランプ9の放電が開始したことを検知すると、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3を全てオフとする信号をスイッチング素子駆動回路部6に対して出力する。このとき、スイッチSW1はオンの状態で、図5(b)に示すとおり、整流素子D3が導通してコンデンサC3およびC4の電圧にほぼ等しい電圧がHIDランプ9に印加され、電流i2Bが流れる。これにより、HIDランプ9に、放電を維持するのに充分な高い電圧が印加される。次に、コンデンサC3およびC4の電圧が、HIDランプ9への放電により小さくなってくると、図2に示すスイッチング素子Q1、Q2およびQ3のオンオフ動作を開始する。スイッチング素子Q1、Q2およびQ3のスイッチングは、図2における期間1から期間4の動作を繰り返し行う。このため、HIDランプ9には、図2、図3および図4を用いて説明したように、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3が全てオフする期間2と期間4のタイミングで高電圧が印加される。これにより、放電始動期間における放電成長期間のHIDランプ9の放電を維持することが可能となる。
以上により、放電待機期間および放電始動期間においては、図2に示すスイッチング動作により、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に高電圧を発生させ、この高電圧により、HIDランプ9の絶縁破壊に必要な電圧を得ることができる。また、放電始動直後のHIDランプ9のインピーダンスが高い放電成長期間において、HIDランプ9に高電圧を印加することができ、HIDランプ9のインピーダンスが充分低くなるまで、放電を維持することが可能となる。
HIDランプ9のインピーダンスが充分小さくなると、光束立ち上げ期間に移行する。上述したように、光束立ち上げ期間においては、HIDランプ点灯装置は、光束を急峻に立ち上げるのに充分な電力をHIDランプ9に供給し、定格電力に達するまで電力を徐々に低下させる。また、定常放電期間においては、経年変化や環境条件の変化によりHIDランプ9のインピーダンスが変化した場合にも、HIDランプ9に供給する電力を一定に保つ。光束立ち上げ期間および定常放電期間において、HIDランプ点灯装置は、HIDランプ9の電力を所定の値に調整する必要がある。
次に、光束立ち上げ期間および定常放電期間のHIDランプ点灯装置の回路動作を説明する。図6は、本発明の実施の形態1による、光束立ち上げ期間および定常放電期間におけるスイッチング素子Q1、Q2およびQ3のスイッチングのタイミングチャート図を示している。図6(a)、(b)および(c)に示す波形は、夫々スイッチング素子Q1、Q2およびQ3のオンオフ状態を示しており、そのときのプッシュプルトランスTppの2次側回路への出力電圧を図6(d)に、HIDランプ9の電圧を図6(e)に示している。図7は、本発明の実施の形態1による、光束立ち上げ期間および定常放電期間における期間5および期間6の回路動作を示す図である。図8は、本発明の実施の形態1による、光束立ち上げ期間および定常放電期間における期間7および期間8の回路動作を示す図である。図7および図8の図中において、回路に流れる電流を破線矢印で示し、回路に発生する電圧の方向を実線矢印で示している。
光束立ち上げ期間および定常放電期間における、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3の動作と回路動作との関係を、図6、図7および図8を用いて時系列に説明する。光束立ち上げ期間および定常放電期間における各スイッチング素子のオンオフ動作は、図6に示す期間5から期間8を繰り返し行う。期間5および期間7は、更に、直流電源1からDC/ACコンバータ部2に電力を供給する電力供給期間と、直流電源1からの電力供給を停止し、プッシュプルトランスTppの1次側で電流を還流する還流期間とに分かれる。
期間5では、スイッチング素子Q1は常時オン状態とし、スイッチング素子Q2とQ3をオンオフ動作する。期間5において、電力供給期間はスイッチング素子Q2をオフ、スイッチング素子Q3をオンとし、還流期間はスイッチング素子Q2をオン、スイッチング素子Q3をオフとする。期間6では、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3を全てオフとする。期間7では、スイッチング素子Q2を常時オン状態とし、スイッチング素子Q1とQ3をオンオフ動作する。期間7において、電力供給期間はスイッチング素子Q1をオフ、スイッチング素子Q3をオンとし、還流期間はスイッチング素子Q1をオン、スイッチング素子Q3をオフとする。期間8では、期間6と同様にスイッチング素子Q1、Q2およびQ3を全てオフとする。
図7(a)は期間5における電力供給期間の回路動作を、図7(b)は期間5における還流期間の回路動作を、図7(c)は期間6の回路動作を、図8(a)は期間7における電力供給期間の回路動作を、図8(b)は期間7における還流期間の回路動作を、図8(c)は期間8の回路動作を示している。
期間5における電力供給期間では、スイッチング素子Q1、Q3がオン、スイッチング素子Q2がオフのため、図7(a)に示すとおり、プッシュプルトランスTppの1次側巻線N1に直流電源1の電圧が印加される。1次側巻線N1に電流i1Cが流れ、プッシュプルトランスTppが励磁される。また、1次側巻線N1には、+端子が負となる方向の逆起電力が発生する。プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、その巻線方向に対応して2次側巻線N3の+端子が負となる方向に、直流電圧1の電圧に対して巻数比であるN3/N1倍のピーク電圧を持った起電力が発生する。この電圧により、HIDランプ9にはイグナイタトランスTigから波形整形回路部3に向かう方向に電流i2Cが流れる。即ち、直流電源1からHIDランプ9に電力が伝達される。
期間5における還流期間では、スイッチング素子Q1、Q2がオン、スイッチング素子Q3がオフのため、図7(b)に示すとおり、プッシュプルトランスの2次側巻線N3には電圧が発生しない。しかしながら、期間5の電力供給期間において蓄えられたプッシュプルトランスTppの励磁エネルギと波形整形回路部3に蓄えられたエネルギにより、HIDランプ9には、期間5の電力供給期間と同方向の電流i3Cが流れる。電流i3Cは、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3にも流れ、i3CのN3/(N1+N2)倍の電流i4CがプッシュプルトランスTppの1次側巻線N1およびN2に流れる。即ち、1次側巻線N1、N2、スイッチング素子Q1、Q2およびグランドにより構成される閉回路にて電流が還流される。
期間6では、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3が全てオフのため、図7(c)に示すとおり、プッシュプルトランスTppの1次側回路には電流は流れない。特に、スイッチング素子Q3をオフし、直流電源1とプッシュプルトランスTppの1次側巻線を回路的に切り離すことにより、期間5においてプッシュプルトランスTppに蓄積したエネルギが直流電源1に回生されることは無い。このため、期間5においてプッシュプルトランスTppと波形整形回路部3、およびイグナイタトランスTigに蓄えられたエネルギをプッシュプルトランスTppの2次側回路で消費する。プッシュプルトランスTppに蓄えられた励磁エネルギと波形整形回路部3およびイグナイタトランスTigに蓄えられたエネルギの向きは逆向きである。このため、期間6の当初、波形整形回路部3およびイグナイタトランスTigに蓄えられたエネルギを放電するまでの間は、期間5と同方向にi5Cが流れる。波形整形回路部3およびイグナイタトランスTigに蓄えられたエネルギを放電後は、プッシュプルトランスTppに蓄えられた励磁エネルギを消費するため、電流の向きは反転し、i6Cが流れる。
期間7では、期間5と同様の動作を、プッシュプルトランスTppの極性を反転して行う。期間7における電力供給期間では、スイッチング素子Q2、Q3がオン、スイッチング素子Q1がオフのため、図8(a)に示すとおり、プッシュプルトランスTppの1次側巻線N2に直流電源1の電圧が印加される。1次側巻線N2に電流i7Cが流れ、プッシュプルトランスTppが励磁される。また、1次側巻線N2には、+端子が正となる方向の逆起電力が発生する。プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、その巻線方向に対応して2次側巻線N3の+端子が正となる方向に、直流電圧1の電圧に対して巻数比であるN3/N2倍のピーク電圧を持った起電力が発生する。この電圧により、HIDランプ9には波形整形回路部3からイグナイタトランスTigに向かう方向に電流i8Cが流れる。即ち、直流電源1からHIDランプ9に電力が伝達される。
期間7における還流期間では、スイッチング素子Q1、Q2がオン、スイッチング素子Q3がオフのため、図8(b)に示すとおり、プッシュプルトランスの2次側巻線N3には電圧が発生しない。しかしながら、期間7の電力供給期間において蓄えられたプッシュプルトランスTppの励磁エネルギと波形整形回路部3に蓄えられたエネルギにより、HIDランプ9には、期間7の電力供給期間と同方向の電流i9Cが流れる。電流i9Cは、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3にも流れ、i9CのN3/(N1+N2)倍の電流i10CがプッシュプルトランスTppの1次側巻線N1およびN2に流れる。即ち、1次側巻線N1、N2、スイッチング素子Q1、Q2およびグランドにより構成される閉回路にて電流が還流される。
期間8では、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3が全てオフのため、図8(c)に示すとおり、プッシュプルトランスTppの1次側回路には電流は流れない。特に、スイッチング素子Q3をオフし、直流電源1とプッシュプルトランスTppの1次側巻線を回路的に切り離すことにより、期間7においてプッシュプルトランスTppに蓄積したエネルギが電源に回生されることは無い。このため、期間7においてプッシュプルトランスTppと波形整形回路部3、およびイグナイタトランスTigに蓄えられたエネルギをプッシュプルトランスTppの2次側回路で消費する。プッシュプルトランスTppに蓄えられた励磁エネルギと波形整形回路部3およびイグナイタトランスTigに蓄えられたエネルギの向きは逆向きである。このため、期間8の当初、波形整形回路部3およびイグナイタトランスTigに蓄えられたエネルギを放電するまでの間は、期間7と同方向にi11Cが流れる。波形整形回路部3およびイグナイタトランスTigに蓄えられたエネルギを放電後は、プッシュプルトランスTppに蓄えられた励磁エネルギを消費するため、電流の向きは反転し、i12Cが流れる。
以上により、HIDランプ9には、期間5から期間8の繰り返し周波数に等しい点灯周波数(即ち、第1の周波数)の電流が流れる。
次に、光束立ち上げ期間および定常放電期間におけるHIDランプ9の電力の調整方法を説明する。HIDランプ9の電力の調整は、期間5と期間7における電力投入期間と還流期間の比を調整することにより実現することが可能である。即ち、HIDランプ9の電力が必要電力に対して小さい場合には、還流期間に対する電力供給期間の時間比を大きくし、逆にHIDランプ9の電力が必要電力に対して大きい場合には、還流期間に対する電力供給期間の時間比を小さくすれば良い。電力供給期間と還流期間の繰り返しを一対と考えれば、電力供給期間におけるスイッチング素子のオン時間を調整することによりランプ電力の調整を行っている。これは、スイッチング素子のデューティー比の制御により電力調整を行う、PWM制御により電力を調整していると言うことができる。
PWM制御において、期間5におけるスイッチング素子Q2およびQ3のオンオフ動作の周波数、および期間7におけるスイッチング素子Q1およびQ3のオンオフ動作の周波数(以下、第2の周波数と記す。)は、HIDランプ9に流す電流の周波数、即ち第1の周波数に対して充分高くする必要がある。これは、波形整形回路部3において、インダクタL1とコンデンサC1にて構成するローパスフィルタの設計を容易にするためである。第2の周波数が高いため、プッシュプルトランスTppの2次側には、高周波のパルス電圧が発生する。しかしながら、還流期間を設けることにより、期間5および期間7の各期間において、電力供給期間と還流期間のプッシュプルトランスTppの2次側の出力電圧が反転することは無い。プッシュプルトランスTppの2次側の出力電圧は、図6(d)に示すように、期間5から期間8の繰り返し低周波(即ち、第1の周波数)に、第2の周波数である高周波成分が重畳した波形となる。すなわち、DC/ACコンバータ部2は、直流電源1の出力電圧を、第1の周波数の成分と第2の周波数の成分とを含む波形の交流電圧に変換する第二の動作モードで動作している。波形整形回路部3において、プッシュプルトランスTppの2次側の出力電圧から、上記高周波成分(第2の周波数の成分)を減衰させる。これにより、第2の周波数である高周波成分の少ない電圧を、HIDランプ9に供給することが可能となる。
第2の周波数は、期間5から期間8の繰り返し周波数である第1の周波数(=点灯周波数)よりも充分に高ければ、どのような周波数を用いても良い。通常、HIDランプ9を安定に点灯し、HIDランプ点灯装置のサイズ等を考慮した場合、第1の周波数(=点灯周波数)を数百Hzから十数kHz程度以下とし、第2の周波数は数十kHzから数MHz程度の間に設定する。
なお、期間6および期間8の時間を調整することにより、ランプ電力を大まかに制御することができる。期間6および期間8の時間を短くすれば、期間5および期間7のPWM制御で調整可能な電力の最大値が大きくなり、期間6および期間8の時間を長くすれば、期間5および期間7のPWM制御で調整可能な電力の最大値が小さくなる。即ち、電力の大まかな調整は、期間6および期間8の時間を調整することにより行い、電力の微調整は、期間5および期間7のPWM制御にて行う。
また、期間6および期間8においては、プッシュプルトランスTppおよび波形整形回路部3およびイグナイタトランスTigに蓄積されたエネルギを放電する動作を行うため、HIDランプ9のインピーダンスが高くなった場合に、HIDランプ9に高電圧を供給できる。即ち、経年変化や環境条件の変化などによるHIDランプ9のインピーダンスの変化に対応して、適切な電圧および電流を供給することができる。
本発明の実施の形態1によれば、直流電源の電圧を必要な電圧に昇圧または降圧し、交流電圧に変換するという機能をDC/ACコンバータ部2において実現している。このため、従来装置と比較して、素子数を低減することができ、HIDランプ点灯装置を小型化できるという効果がある。
本発明の実施の形態1によれば、音響共鳴現象を誘起する周波数成分を減衰させた低周波の矩形波交流電圧をHIDランプ9に供給するため、HIDランプ9を安定して点灯できるという効果がある。
本発明の実施の形態1によれば、回路に蓄積されたエネルギを放電する期間を設けたことにより、HIDランプ9のインピーダンスの変化に対応して、適切な電圧および電流をHIDランプ9に供給することができるという効果がある。
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2による、HIDランプ点灯装置の構成を示す回路図である。図中、図1と同一符号は同一又は相当の構成を示す。本発明の実施の形態2によるHIDランプ点灯装置は、図9に示すように、実施の形態1によるHIDランプ点灯装置を示す図1の回路から、インダクタL1とコンデンサC1により構成された波形整形回路部3を不要としている。合わせて、イグナイタ回路部4の構成部品である整流素子D3およびコンデンサC4についても不要とした、簡易な構成で実現することが可能である。
図9は、本発明の実施の形態2による、HIDランプ点灯装置の構成を示す回路図である。図中、図1と同一符号は同一又は相当の構成を示す。本発明の実施の形態2によるHIDランプ点灯装置は、図9に示すように、実施の形態1によるHIDランプ点灯装置を示す図1の回路から、インダクタL1とコンデンサC1により構成された波形整形回路部3を不要としている。合わせて、イグナイタ回路部4の構成部品である整流素子D3およびコンデンサC4についても不要とした、簡易な構成で実現することが可能である。
本発明の実施の形態2によれば、スイッチング素子Q3により直流電源1からの電力供給を断続するとともに、プッシュプルトランスTppの1次側に設けたスイッチング素子Q1およびQ2を交互にオンオフすることにより、直流電源1の電圧をHIDランプ9の点灯に必要な電圧に昇圧または降圧し、交流電圧に変換するDC/ACコンバータ部2と、DC/ACコンバータ部2の2次側に、点灯始動用のイグナイタ回路部4とを備えている。DC/ACコンバータ部2の2次側は、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3、イグナイタトランスTig、HIDランプ9の直列回路を構成し、DC/ACコンバータ部2の出力電圧(プッシュプルトランスTppの2次側回路の出力電圧)をHIDランプ9に供給する。
次に実施の形態2によるHIDランプ点灯装置の動作について図2を用いて説明する。実施の形態2によれば、上述のA.放電待機期間からD.定常放電期間までの全期間に渡って、スイッチング素子Q3をオンして直流電源1の電力をプッシュプルトランスTppの2次側に伝達する、いわゆるフォワード動作を行いつつ、プッシュプルトランスに励磁エネルギを蓄積する期間(期間1および期間3)と、スイッチング素子Q3をオフしてプッシュプルトランスTppに蓄積されたエネルギを放電する、いわゆるフライバック動作を行う期間(期間2および期間4)とを設けている。これにより、HIDランプ9点灯後の全期間に渡って、第1の周波数である低周波数の矩形波交流電圧をHIDランプ9に供給している。放電待機期間および放電始動期間におけるイグニッション期間のときの回路動作については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。以下では、放電始動期間における放電成長期間、光束立ち上げ期間および定常放電期間の回路動作について説明する。
まず、放電始動期間における放電成長期間の回路動作を図2および図9を用いて説明する。図9に示す点灯制御回路部5は、ランプ電圧検出回路部7およびランプ電流検出回路部8からの信号により、HIDランプ9の放電が開始したことを検知すると、図2に示すスイッチング素子Q1、Q2およびQ3のオンオフ動作を開始する。スイッチング素子Q1、Q2およびQ3が全てオフする期間2と期間4のタイミングでプッシュプルトランスTppの2次側回路、即ち、HIDランプ9に高電圧が印加される。これにより、放電始動期間における放電成長期間のHIDランプ9の放電を維持することが可能となる。
次に、光束立ち上げ期間および定常放電期間のHIDランプ点灯装置の回路動作を図2を用いて説明する。実施の形態2においては、光束立ち上げ期間および定常放電期間においても、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3は図2に示すとおりオンオフ動作する。これにより、図2(d)に示すプッシュプルトランスTppの2次側回路の出力電圧をHIDランプ9に供給している。
次に、実施の形態2による、HIDランプ9に供給する電力の調整方法を説明する。HIDランプ9に供給する電力は、図2における期間1および期間3と、期間2および期間4の時間比により決定される。すなわち、期間1と期間3の時間を長くすることにより、フォワード動作によりランプに供給する電力と、プッシュプルトランスに蓄積される励磁エネルギとが大きくなる。また、期間2と期間4の時間を長くすることにより、プッシュプルトランスに蓄積した励磁エネルギのうち、フライバック動作により、ランプに供給するエネルギの割合が大きくなり、ランプ電力は大きくなる。逆に、期間1と期間3の時間を短くすると、フォワード動作によりランプに供給する電力と、プッシュプルトランスに蓄積される励磁エネルギとが小さくなる。また、期間2および期間4の時間を短くすると、プッシュプルトランスに蓄積した励磁エネルギのうち、ランプに供給するエネルギの割合が小さくなり、ランプ電力は低下する。すなわち、実施の形態2におけるHIDランプ9に供給する電力は、状況に応じて、上記期間1と期間3に対する期間2および期間4の時間比を調整することにより調整することが可能である。
本発明の実施の形態2によれば、波形整形回路部3およびイグナイタ回路部4の一部を不要とすることにより、更に素子数を低減することができ、HIDランプ点灯装置を小型化できるという効果がある。
実施の形態3
本発明の実施の形態3について図面を参照して説明する。図10は、本発明の実施の形態3による、HIDランプ点灯装置の構成を示す回路図である。実施の形態3によるHIDランプ点灯装置は、バッテリ等の直流電源1、DC/ACコンバータ部2、波形整形回路部3、充電回路部10、点灯制御回路部5、スイッチング素子駆動回路部6、ランプ電圧検出回路部7、ランプ電流検出回路部8、イグナイタ回路部41および放電成長補助回路部11を備えている。放電成長補助回路部11は、放電開始直後にHIDランプ9に放電維持可能な電圧および電流を供給する1次放電成長補助回路と、1次放電成長補助回路の出力が低下時にHIDランプ9に放電維持可能な電圧および電流を供給する2次放電成長補助回路とにより構成される。
本発明の実施の形態3について図面を参照して説明する。図10は、本発明の実施の形態3による、HIDランプ点灯装置の構成を示す回路図である。実施の形態3によるHIDランプ点灯装置は、バッテリ等の直流電源1、DC/ACコンバータ部2、波形整形回路部3、充電回路部10、点灯制御回路部5、スイッチング素子駆動回路部6、ランプ電圧検出回路部7、ランプ電流検出回路部8、イグナイタ回路部41および放電成長補助回路部11を備えている。放電成長補助回路部11は、放電開始直後にHIDランプ9に放電維持可能な電圧および電流を供給する1次放電成長補助回路と、1次放電成長補助回路の出力が低下時にHIDランプ9に放電維持可能な電圧および電流を供給する2次放電成長補助回路とにより構成される。
図10の構成のHIDランプ点灯装置に関する具体例を図11に示す。図11に示すHIDランプ点灯装置は、充電回路部10として倍電圧整流回路を用いており、1次放電成長補助回路としてコンデンサを、2次放電成長補助回路としてダイオードおよび抵抗とコンデンサにより構成される回路を備え、簡易な構成で充電回路部10と放電成長補助回路部11を実現する例である。以下、図11の回路構成を例として、実施の形態3を説明する。
実施の形態3による、図10および図11におけるDC/ACコンバータ部2、波形整形回路部3、点灯制御回路部5、スイッチング素子駆動回路部6、ランプ電圧検出回路部7、ランプ電流検出回路部8は、実施の形態1における図1と同様な構成となっており、同様な機能を持つ。
イグナイタ回路部41は、イグナイタトランスTig、イグニッションエネルギ蓄積用のコンデンサC3、放電始動用のスイッチSW1により構成される。イグナイタ回路部41は、HIDランプ9の放電始動時に、HIDランプ9内で絶縁破壊を生じさせるための高電圧を、HIDランプ9に印加するための回路ブロックである。実施の形態3では、図11に示すように、トランス昇圧を用いてイグナイタ回路部41を構成している。この他にも、イグナイタ回路部41は、LC回路による共振を用いたもの、逓倍整流回路を用いたもの、DC/ACコンバータ部2の2次側に巻線を追加したものなど、種々の構成にて実現可能である。
スイッチSW1は、ギャップスイッチなどの放電スイッチや、サイリスタなどの半導体スイッチであり、コンデンサC3が充電されている間はオフであり、コンデンサC3の電圧が充分高くなり閾値に達したときにオンする。スイッチSW1のオンオフ制御は、コンデンサC3の電圧が閾値よりも高くなった場合にスイッチSW1をオンする回路(図11には図示せず)をイグナイタ回路部41に設け、イグナイタ回路部41自身でスイッチSW1を制御する。または、点灯制御回路部5においてコンデンサC3の電圧を検知し、閾値よりも高くなった場合に点灯制御回路部5もしくはスイッチング素子駆動回路部6がスイッチSW1をオンにしても良い。また、スイッチSW1に、電圧がある値以上になると自動的にオンするような素子を用いてもよい。コンデンサC3の電圧が閾値に達するとスイッチSW1がオンとなり、コンデンサC3に蓄積された電荷がイグナイタトランスTigの1次側巻線Nig1に供給される。このとき、コンデンサC3の電圧をピークとするパルス電圧が1次側巻線Nig1に印加され、イグナイタトランスTigの巻数比に応じて2次側巻線Nig2に高電圧パルスが発生する。
充電回路部10は、ダイオードD1,D2と、抵抗R1,R2およびコンデンサC2により構成される。充電回路部10は、波形整形回路部3の出力であるコンデンサC1の両端電圧を整流し、コンデンサC3および放電成長補助回路部11を構成するコンデンサC4およびC5を充電する。ここで、コンデンサC1の両端電圧は交流波形となるが、図11における充電回路部10により、コンデンサC3、C4およびC5の両端電圧は、コンデンサC1の両端電圧のpeak to peak値の電圧まで、直流電圧として充電される。なお、図11における充電回路部10は、コンデンサC1の両端電圧を整流しているが、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3の電圧を整流するような構成としても良い。また、充電回路部10は、プッシュプルトランスTppに新たに充電用の巻線を配置する構成や、外部電源と昇圧回路を用いてコンデンサC3を充電する構成など、種々の構成にて実現することが可能である。充電回路部10は、コンデンサC3、C4およびC5を放電始動に充分な電圧まで昇圧することが可能であるならばどのような構成を用いても良い。
放電成長補助回路部11は、放電開始直後にHIDランプ9に放電維持可能な電圧および電流を供給する1次放電成長補助回路としてコンデンサC4を備え、コンデンサC4の電圧低下後にHIDランプ9に放電維持可能な電圧および電流を供給する2次放電成長補助回路として、コンデンサC5、ダイオードD3、抵抗R3を備える。上記の放電成長補助回路部11は、簡易な構成でHIDランプ9の放電を維持できる回路の一例であるが、HIDランプ9に放電を維持するに充分な電圧および電流を供給可能であるならば、ダイオードの変わりにFETやIGBT、サイリスタなどのスイッチング素子を用いるなど、どのような回路で構成してもよい。
次に、実施の形態3によるHIDランプ点灯装置の動作について説明する。HIDランプ9の点灯は、その状態に応じてA.放電待機期間、B.放電始動期間、C.光束立ち上げ期間、D.定常放電期間の4つの期間に分けられる。各期間の現象とHIDランプ9の状態については、実施の形態1に記載したとおりである。各期間において、HIDランプ9を安定に点灯するためには、各期間におけるHIDランプ9の状態に応じた点灯周波数(第1の周波数)および点灯波形の電圧を、HIDランプ9に供給する必要がある。
実施の形態3では、光束立ち上げ期間と定常放電期間の回路動作は実施の形態1と同様であり、放電待機期間と放電始動期間の回路動作が実施の形態1と異なる。実施の形態3による、放電待機期間と放電始動期間の回路動作を以下に詳細に説明する。
図12は、本発明の実施の形態3による、放電待機期間におけるスイッチング素子Q1、Q2およびQ3のスイッチングのタイミングチャート図と、コンデンサC1の両端電圧を示している。また、図13は、本発明の実施の形態3による、放電待機期間におけるコンデンサC3、C4、C5の両端電圧を示している。図12(a)、(b)および(c)に示す波形は、夫々スイッチング素子Q1、Q2およびQ3のオンオフ状態を示しており、そのときのコンデンサC1の両端電圧を図12(d)に示している。
図11において、点灯始動信号(図示せず)を点灯制御回路部5が検知すると、点灯制御回路部5の出力信号により、スイッチング素子駆動回路部6は、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3に駆動信号を出力する。この信号により、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3がオンオフ動作を開始する。
放電待機期間における各スイッチング素子のオンオフ動作は、図12に示す期間1から期間4を第1の周波数で繰り返し行う。期間1では、スイッチング素子Q1とQ3をオン、スイッチング素子Q2をオフとする。期間2では、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3を全てオフとする。期間3では、スイッチング素子Q2とQ3をオン、スイッチング素子Q1をオフとする。期間4では、期間2と同様にスイッチング素子Q1、Q2およびQ3を全てオフとする。
図14は、本発明の実施の形態3による、放電待機期間における期間3および期間4の回路動作を示す図である。図15は、本発明の実施の形態3による、放電待機期間における期間1および期間2の回路動作を示す図である。また、図16は、放電始動期間の回路動作を示す図である。図14、図15および図16の図中において、回路に流れる電流を破線矢印で示し、回路に発生する電圧の方向を実線矢印で示している。
放電待機期間における、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3の動作と回路動作との関係を、図12、図13、図14および図15を用いて時系列に説明する。図14(a)は期間3の回路動作を、図14(b)は期間4の回路動作を、図15(a)は期間1の回路動作を、図15(b)は期間2の回路動作を示している。
期間3では、スイッチング素子Q2、Q3がオン、スイッチング素子Q1がオフのため、図14(a)に示すとおり、直流電源1の電圧がプッシュプルトランスTppの1次側巻線N2に印加される。1次側巻線N2に電流が流れ、プッシュプルトランスTppが励磁される。プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、その巻線方向に対応して2次側巻線N3の+端子が正となる方向に、直流電源1の電圧に対して巻数比であるN3/N2倍のピーク電圧を持った起電力が発生する。この期間において、コンデンサC1の両端電圧よりも、コンデンサC2およびC3の電圧が小さい場合には、整流素子D1および整流素子D2が通電し、コンデンサC2およびC3に充電電流が流れる。また、コンデンサC4およびC5からコンデンサC3へ充電電流が流れる。つまり、期間3では、いわゆるフォワード動作により、プッシュプルトランスTppを介して直流電源1から電力をプッシュプルトランスTppの2次側回路に伝達しつつ、プッシュプルトランスTppに励磁エネルギを蓄積している。
期間4では、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3が全てオフのため、図14(b)に示すとおり、プッシュプルトランスTppの1次側回路には電流は流れない。特に、Q3をオフし、直流電源1とプッシュプルトランスTppの1次側巻線を回路的に切り離すことにより、期間3においてプッシュプルトランスTppに蓄積したエネルギが直流電源1に回生されることは無い。ゆえに、期間4では、期間3においてプッシュプルトランスTppに蓄積したエネルギをプッシュプルトランスTppの2次側回路で消費する。励磁されたプッシュプルトランスTppのエネルギをリセットするため、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、期間3とは逆方向、つまりN3の+端子が負となる方向に電圧が発生する。
このときの電圧のピーク値は、期間3の時間、プッシュプルトランスTppの1次側巻線N2のインダクタンスおよび2次側回路の負荷状態に依存する。すなわち、期間3の時間が長いほど、プッシュプルトランスTppの2次側のインピーダンスが高いほど、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に高電圧が発生する。この高電圧の発生により、整流素子D2およびD3が通電し、コンデンサC2を介して電流が流れ、コンデンサC4およびC5が充電される。また、コンデンサC3を介してコンデンサC4およびC5に充電電流が流れる。つまり、期間4では、期間3においてプッシュプルトランスTppに蓄積した励磁エネルギをプッシュプルトランスTppの2次側回路に放電する、フライバック動作を行う。
期間1では、期間3と同様の動作を、プッシュプルトランスTppの極性を反転して行う。期間1では、スイッチング素子Q1、Q3がオン、スイッチング素子Q2がオフのため、図15(a)に示すとおり、直流電源1の電圧がプッシュプルトランスTppの1次側巻線N1に印加される。1次側巻線N1に電流が流れ、プッシュプルトランスTppが励磁される。また、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、2次側巻線N3の+端子が負となる方向に、直流電源1の電圧に対して巻数比であるN3/N1倍のピーク電圧を持った起電力が発生する。即ち、期間4と同方向の電圧が発生する。この期間において、コンデンサC1とC2との合成電圧よりもコンデンサC4およびC5の両端電圧が小さい場合には、整流素子D2が通電し、コンデンサC4およびC5が充電される。また、コンデンサC3を介してコンデンサC4およびC5に充電電流が流れる。
期間2では、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3が全てオフのため、図15(b)に示すとおり、プッシュプルトランスTppの1次側回路には電流は流れない。特に、Q3をオフし、直流電源1とプッシュプルトランスTppの1次側巻線を回路的に切り離すことにより、期間1においてプッシュプルトランスに蓄積したエネルギが直流電源1に回生されることは無い。ゆえに、期間2では、期間1においてプッシュプルトランスTppに蓄積したエネルギをプッシュプルトランスTppの2次側回路で消費する。励磁されたプッシュプルトランスTppのエネルギをリセットするため、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、期間1とは逆方向、つまりN3の+端子が正となる方向に電圧が発生する。このときの電圧のピーク値は、期間1の時間、プッシュプルトランスTppの1次側巻線N1のインダクタンスおよび2次側回路の負荷状態に依存する。すなわち、期間1の時間が長いほど、プッシュプルトランスTppの2次側のインピーダンスが高いほど、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に高電圧が発生する。このとき、整流素子D1およびD2が通電し、コンデンサC2およびC3に充電電流が流れる。もしくは、コンデンサC4を介してコンデンサC3に充電電流が流れる。
以上のように、期間1におけるフォワード動作と期間2におけるフライバック動作とを組み合わせ、期間3におけるフォワード動作と期間4におけるフライバック動作とを組み合わせて、さらに、期間2および期間4においてはプッシュプルトランスTppの出力極性を、期間1および期間3での極性とは反転させる動作をしている。これにより、図12に示すように、極性反転時に高電圧となる交流の矩形波電圧を、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に出力することができる。このプッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に出力される電圧は、コンデンサC1の両端電圧におよそ等しく、コンデンサC3およびコンデンサC4、C5の両端電圧の最大値は、コンデンサC1の両端のピーク電圧Vpの2倍まで昇圧することが可能である。すなわち、図13に示すコンデンサC3、C4、C5の両端電圧の最大値は2Vpとなる。なお、図13に示すコンデンサC3、C4、C5の電圧は、ほぼ直流電圧であるが、各コンデンサの容量によっては、高低に振動する脈流電圧となる場合もある。
次に、本発明の実施の形態3による、放電始動期間の回路動作を、図16を用いて説明する。図16(a)は放電始動期間におけるイグニッション期間のときの回路動作を、図16(b)、図16(c)、図16(d)は放電開始直後の放電成長期間のときの回路動作を時系列に示している。また、図17に放電始動期間の回路各部における電圧、電流の波形図の例を示す。図17(a)はHIDランプ9の電圧を、図17(b)はHIDランプ9に流れる電流を、図17(c)はコンデンサC4の両端電圧VC4およびコンデンサC5の両端電圧VC5を、図17(d)はコンデンサC4からHIDランプ9に供給される電流IC4およびコンデンサC5からHIDランプ9に供給される電流IC5を示している。
図12に示すスイッチング動作により、放電待機期間において、コンデンサC3が充電される。コンデンサC3の両端電圧がある電圧閾値(例えば、800V)まで充電されると、放電始動期間に移行し、スイッチSW1をオンにする。スイッチSW1のオンオフ制御は、コンデンサC2の電圧が閾値よりも高くなった場合にスイッチSW1をオンする回路(図11、図16には図示せず)をイグナイタ回路部41に設け、イグナイタ回路部41自身でスイッチSW1を制御する。または、点灯制御回路部5においてコンデンサC3の電圧を検知し、閾値よりも高くなった場合に点灯制御回路部5もしくはスイッチング素子駆動回路部6がスイッチSW1をオンにしても良い。また、スイッチSW1に、電圧がある値以上になると自動的にオンするような素子を用いてもよい。
図16(a)に示すとおり、スイッチSW1がオンするとコンデンサC3、C4、C5から、イグナイタトランスTigの1次側巻線Nig1へ電流が流れ、Nig1の両端には、コンデンサC3の電圧にほぼ等しいピーク電圧を持ったパルス電圧が印加される。1次側巻線Nig1にパルス電圧が印加されると、イグナイタトランスTigの2次側巻線Nig2には、1次側巻線Nig1の両端に印加された電圧に対して巻数比であるNig2/Nig1倍の電圧(例えば、数十kV)が発生する。この電圧は、図17(a)に示すように、HIDランプ9にも印加される。この電圧により、HIDランプ9は絶縁破壊を起こし、放電が開始する。
HIDランプ9が絶縁破壊を起こし放電が開始すると、図17(b)に示すように、HIDランプ9に電流が流れる。ここで、放電開始直後の放電成長期間には、HIDランプ9内の電極は熱電子放出が十分にできるほどには温度が上昇しておらず、またHIDランプ9内のガスも十分には電離していないため、放電を維持可能な電圧がその後の光束立ち上げ期間や定常放電期間と比較して高くなっている。そこで、放電開始直後の放電成長期間には、比較的高電圧、大電流を所定の期間(例えば100μS間)投入して、放電を維持する必要がある。ところが、DC/ACコンバータ部2は、フライバック動作においては、瞬間的に高電圧を発生できるものの、定常的にはフォワード動作において、直流電源1の出力電圧をプッシュプルトランスTppの巻き数比倍した電圧しか2次側回路に出力できない。このため、実施の形態3によるHIDランプ点灯装置では、放電開始直後の放電成長期間に、HIDランプ9に大電圧、大電流を供給する手段として、放電成長補助回路11を設けたことを特徴とする。放電成長補助回路11は1次放電成長補助回路と2次放電成長補助回路を備える回路構成である。
放電が開始すると、ランプ電圧検出回路部7およびランプ電流検出回路部8からの信号により、点灯制御回路部5は点灯が開始したことを判別し、スイッチング素子駆動回路部6により、図16(b)に示すように、スイッチSW1をオンしたまま、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3を全てオフとする。図16(b)では、1次放電成長補助回路であるコンデンサC4から、SW1、HIDランプ9、コンデンサC4の閉回路に電流IC4が供給される。コンデンサC4の電圧VC4は、ほぼ放電待機期間に充電された電圧となっており、また、コンデンサC4とHIDランプ9との間のインピーダンス成分が小さいため、コンデンサC4のRC回路時定数は小さい。このため、放電始動後即座に、1次放電成長補助回路はHIDランプ9に対して電流の供給を開始し、放電成長期間の初期段階において、HIDランプ9に放電を維持するのに充分な高電圧および大電流を供給することができる。なお、放電成長期間の初期段階でも、2次放電成長補助回路の構成素子であるコンデンサC5からもHIDランプ9に電流IC5を供給している。しかし、抵抗R3の影響によりRC回路時定数が大きく、放電成長期間の初期段階では、電流IC5は、図17(d)に示すように、1次放電成長補助回路からの電流IC4に比べて小さい。
スイッチSW1がオン、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3がオフの状態のまま、図16(b)に示すような回路動作を行う期間より少し時間が経過し、1次放電成長補助回路であるコンデンサC4の電圧VC4が低下し、HIDランプ9のインピーダンスが低下すると、図16(c)および図17(d)に示すように、コンデンサC4からHIDランプ9に供給される電流IC4よりも、2次放電成長補助回路を構成するコンデンサC5からHIDランプ9に供給される電流IC5の方が大きくなる。このとき、コンデンサC5の電荷は、抵抗R3による決まる比較的大きなRC時定数でしか放電されないため、コンデンサC5の電圧VC5は未だ充分高く、HIDランプ9に放電を維持するのに充分な高電圧および大電流を供給する事が可能である。すなわち、1次放電成長補助回路と2次放電成長補助回路を備えることにより、放電成長期間の初期段階には主に1次放電成長補助回路からHIDランプ9に電圧、電流を供給することが可能となり、放電成長期間の後期段階には主に2次放電成長補助回路からHIDランプ9に電圧、電流を供給することが可能となる。これにより、ある程度長い時間、放電を維持するに充分な高電圧、大電流をHIDランプ9に供給することが可能となる。
なお、コンデンサC4およびC5の容量値、および抵抗R3の抵抗値は、図16(a)から図16(c)に示すような回路動作を行う期間を通じて、HIDランプ9に対して放電維持電圧を印加可能で、必要な電流を供給し続けることが可能なように設定する。また、HIDランプ9の経年変化を考慮して、どのようなHIDランプ9の状態においても、図16(a)から図16(c)に示すような回路動作を行う期間を通じて、放電を維持するのに充分な高電圧および大電流を供給できるようにコンデンサC4およびC5の容量値、および抵抗R3の抵抗値を設定する。更に、図16(d)におけるHIDランプ9の放電維持電圧が、フォワード動作時においてプッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に出力可能な電圧(即ち、直流電源1の出力電圧に対してプッシュプルトランスTppの巻き数比倍の電圧)以下になるように、コンデンサC4およびC5の容量値、および抵抗R3の抵抗値を設定する。
図16(c)に示すような回路動作を行う期間までに、1次放電成長補助回路を構成するコンデンサC4および2次放電成長補助回路を構成するコンデンサC5の電圧、およびHIDランプ9の放電維持電圧が、フォワード動作時にプッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に出力可能な電圧以下まで低下すると、図16(d)に示す状態に移行する。図16(d)では、HIDランプ9の状態を監視して、放電始動したことを判定する点灯制御回路部5からの信号に基づき、スイッチング素子駆動回路部6がプッシュプルトランスTppの1次側スイッチング素子Q1、Q3をオンし、プッシュプルトランスTppからHIDランプ9に電流を供給する。このとき、HIDランプ9の電圧を反転させると、電流が0の期間が発生し、放電が立ち消える虞がある。そのため、スイッチング素子駆動回路部6は、図16(c)に示す状態までと同方向にHIDランプ9に電流を供給できるよう、プッシュプルトランスTppの1次側のスイッチング素子Q1、Q3をオンし、スイッチング素子Q2をオフする。
図16に示した状態の後の放電成長期間においては、HIDランプ9のインピーダンスが充分低くなり光束立ち上げ期間に移行するまでの間、図12に示したオンオフ動作に従って、プッシュプルトランスTppの1次側のスイッチング素子を駆動することにより、放電を維持する。
放電成長期間においては、HIDランプ9の放電維持電圧が、フォワード動作時においてプッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に出力可能な電圧よりも低くなるまでは、放電成長補助回路11からHIDランプ9に電流を供給し、その後はプッシュプルトランスTppから電流を供給することにより、HIDランプ9のインピーダンスが充分低くなるまで、放電を維持することが可能となる。
本発明の実施の形態3によれば、簡易な構成の放電成長補助回路11を設けることにより、HIDランプ9の状態に依らず、HIDランプ9の放電が充分安定するまで、放電を維持することが可能となる。
実施の形態4
本発明の実施の形態4について、図面を参照して説明する。本発明の実施の形態4による、HIDランプ点灯装置の構成は、実施の形態3における図10および図11と同一である。なお、本発明の実施の形態4による、放電始動期間における回路動作は実施の形態3と同一であり、光束立ち上げ期間、定常放電期間の回路動作は、実施の形態1と同一であるが、放電待機期間における動作が他の実施の形態とは異なる。
本発明の実施の形態4について、図面を参照して説明する。本発明の実施の形態4による、HIDランプ点灯装置の構成は、実施の形態3における図10および図11と同一である。なお、本発明の実施の形態4による、放電始動期間における回路動作は実施の形態3と同一であり、光束立ち上げ期間、定常放電期間の回路動作は、実施の形態1と同一であるが、放電待機期間における動作が他の実施の形態とは異なる。
図18は、本発明の実施の形態4による、放電待機期間におけるスイッチング素子Q1、Q2およびQ3のスイッチングのタイミングチャート図を示している。図18(a)、(b)および(c)に示す波形は、夫々スイッチング素子Q1、Q2およびQ3のオンオフ状態を示しており、そのときのコンデンサC1の両端電圧を図18(d)に示している。なお、放電待機期間におけるコンデンサC3、C4、C5の両端電圧は、図13に示す波形と同様に、所定の電圧(但し、実施の形態3で示した値と同一とは限らない)に収束する。
本発明の実施の形態4による放電待機期間においては、プッシュプルトランスTppのフォワード動作時(すなわち、図18に示す期間9のとき)の極性が、図16(c)に示すHIDランプ9に流れる電流の方向と同一方向の電流を流すような極性になるように、プッシュプルトランスTppの1次側スイッチング素子をオンオフする。例として、放電始動直後にHIDランプ9に流れる電流の方向が図16(c)に示す方向である場合には、放電待機期間において、図18(a)、(b)および(c)に示すように、スイッチング素子Q1、Q3をオンオフし、スイッチング素子Q2は常にオフ状態とする。
これにより、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3には、図18(d)に示すように、フォワード動作時に期間9に示す電圧が、フライバック動作時に期間10に示す電圧が発生する。期間9には、直流電源1の出力電圧に対してプッシュプルトランスTppの巻き数比N3/N1倍の電圧が発生し、期間10には、期間9において励磁されたプッシュプルトランスTppのエネルギをリセットするため、期間9とは逆極性の電圧が発生する。期間10の電圧のピーク値は、期間9の時間、プッシュプルトランスTppの1次側インダクタンスおよびプッシュプルトランスTppの2次側回路の負荷状態に依存する。すなわち、期間9の時間が長いほど、プッシュプルトランスTppの2次側のインピーダンスが高いほど、プッシュプルトランスTppの2次側巻線N3に高電圧が発生する。
また、本発明の実施の形態4による、放電待機期間のスイッチング素子の駆動タイミングは、コンデンサC3の電圧がSW1をオンする閾値電圧に達するまで、プッシュプルトランスTppを励磁する期間9の時間を徐々に長くし、期間10の時間は一定とする。
放電待機期間において、図18に示すようにスイッチング素子Q1およびQ3をオンオフし、コンデンサC3の両端電圧が閾値まで充電されると、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3全てがオフとなる期間10において、SW1をオンして放電始動期間に移行する。図16(a)から図16(c)に示す状態を図18の期間10において実現し、図18に示す期間9のタイミングで図16(d)の状態を実現する。その後、HIDランプ9のインピーダンスが充分低くなり、光束立ち上げ期間に移行するまでは、実施の形態3と同様に、図12に示したオンオフ動作に従って、プッシュプルトランスTppの1次側のスイッチング素子Q1、Q2およびQ3を駆動することにより、放電を維持する。
一般に図16(a)から(d)に示す放電始動直後の状態遷移は、非常に短時間に発生するものである。従って、点灯制御回路部5において放電始動を高速に検知し、放電始動直後の図16(c)に示す状態のHIDランプ9に流れる電流の方向を即座に検出し、その方向と図16(d)に示すHIDランプ9に流れる電流の方向とが同一となるように、スイッチング素子駆動回路6からスイッチング素子Q1、Q2およびQ3を高速にスイッチングするには、複雑で高価な制御回路が必要となる。
本発明の実施の形態4では、予め放電待機期間において、プッシュプルトランスTppのフォワード動作時の極性が、図16(c)に示す放電始動直後のHIDランプ9に流れる電流の方向と同一方向の電流を流すような極性になるように、スイッチング素子Q1、Q2およびQ3をオンオフしておき、放電始動期間の放電始動直後(図16(d)の状態)においても、図18に示す放電待機期間におけるスイッチングを継続して行う。このため、点灯制御回路部5において、放電始動直後のHIDランプ9に流れる電流の方向を高速に検出して、スイッチング素子駆動回路6からスイッチング素子Q1、Q2およびQ3の駆動を高速に制御する必要がない。
本発明の実施の形態4によるHIDランプ点灯装置では、点灯制御回路部5が、HIDランプ9が放電始動したことおよび放電始動直後のHIDランプ9に流れる電流の方向を高速に検知する必要が無く、点灯制御回路部5を安価で簡素な構成で実現することが可能となる。
また、本発明の実施の形態4によるHIDランプ点灯装置では、放電待機期間において、プッシュプルトランスTppを励磁するフォワード動作の期間9を、放電開始まで徐々に長くしていくことにより、高電圧の発生を防止している。このため、プッシュプルトランスTppの巻線に、適切な電圧を発生させることができ、プッシュプルトランスTppやプッシュプルトランスTpp1次側のスイッチング素子およびその他の素子の破壊を防止できるという効果がある。
以上のように、本発明に係るHIDランプ点灯装置は、音響的共鳴現象を防止して広いレンジの電圧および電流を出力し、かつ小型化に適している。
Claims (15)
- トランスの1次側で直流電源との間に接続された電力投入用のスイッチング素子および前記トランスの1次側に設けられた複数のスイッチング素子を有し、前記電力投入用のスイッチング素子および前記複数のスイッチング素子をスイッチング素子駆動回路部の出力信号によりオンオフして、前記直流電源の電圧を昇圧または降圧しつつ、第一の周波数の成分と前記第一の周波数よりも高い第二の周波数の成分とを含む波形の交流電圧に変換するDC/ACコンバータ部と、
前記DC/ACコンバータ部から出力される前記交流電圧から前記第二の周波数の成分を低減した交流電圧を出力する波形整形回路部と、
を備えた高輝度放電ランプ点灯装置。 - トランスの1次側で直流電源との間に接続された電力投入用のスイッチング素子および前記トランスの1次側に設けられた複数のスイッチング素子を有するDC/ACコンバータ部を備え、
前記DC/ACコンバータ部は、前記電力投入用のスイッチング素子および前記複数のスイッチング素子をスイッチング素子駆動回路部の出力信号によりオンオフして、前記直流電源の電力を前記トランスの2次側に第一の極性で伝達する期間1と、前記トランスに蓄積されたエネルギを前記トランスの2次側に前記第一の極性とは逆極性である第二の極性で放出する期間2と、前記直流電源の電力を前記トランスの2次側に前記第二の極性で伝達する期間3と、前記トランスに蓄積されたエネルギを前記トランスの2次側に前記第一の極性で放出する期間4とを繰り返し、前記直流電源の電圧を昇圧または降圧しつつ交流電圧に変換することを特徴とする高輝度放電ランプ点灯装置。 - DC/ACコンバータ部は、電力投入用のスイッチング素子および複数のスイッチング素子をスイッチング素子駆動回路部の出力信号によりオンオフして、直流電源の電力をトランスの2次側に第一の極性で伝達する期間1と、前記トランスに蓄積されたエネルギを前記トランスの2次側に前記第一の極性とは逆極性である第二の極性で放出する期間2と、前記直流電源の電力を前記トランスの2次側に前記第二の極性で伝達する期間3と、前記トランスに蓄積されたエネルギを前記トランスの2次側に前記第一の極性で放出する期間4とを第一の周波数で繰り返し、前記スイッチング素子駆動回路部の出力信号により前記電力投入用のスイッチング素子が第二の周波数でオンオフすることにより、前記直流電源から前記トランスへの電流の入力を断続させて、前記直流電源の電圧を昇圧または降圧しつつ、前記第一の周波数の成分と前記第二の周波数の成分とを含む波形の交流電圧に変換することを特徴とする請求項1記載の高輝度放電ランプ点灯装置。
- DC/ACコンバータ部は、電力投入用のスイッチング素子および複数のスイッチング素子をスイッチング素子駆動回路部の出力信号によりオンオフして、直流電源の電力をトランスの2次側に伝達する期間と、前記トランスに蓄積されたエネルギを前記トランスの2次側に放出する期間と、を有する第一の動作モードと、前記直流電源の電圧を昇圧または降圧しつつ、第一の周波数の成分と第二の周波数の成分とを含む波形の交流電圧に変換する第二の動作モードとを有し、
波形整形回路部は、前記第二の動作モードにおいて、前記DC/ACコンバータ部から出力される前記交流電圧から前記第二の周波数の成分を低減した交流電圧を出力することを特徴とする請求項1記載の高輝度放電ランプ点灯装置。 - 高輝度放電ランプにおける放電開始前の放電待機期間および放電開始直後の放電始動期間には、前記第一の動作モードで動作し、
前記放電始動期間に続く光束立ち上げ期間および定常放電期間には、前記第二の動作モードで動作することを特徴とする請求項4記載の高輝度放電ランプ点灯装置。 - 波形整形回路部をローパスフィルタで構成することを特徴とする請求項1記載の高輝度放電ランプ点灯装置。
- 高輝度放電ランプが車載用の35W型のときは、波形整形回路部は遮断周波数が10kHz以下であり、高輝度放電ランプが一般照明用の100W型のときは、波形整形回路部は遮断周波数が5kHz以下であることを特徴とする請求項6記載の高輝度放電ランプ点灯装置。
- トランスは、一次側に中間タップを有するプッシュプルトランスであり、
複数のスイッチング素子は、前記プッシュプルトランスの一次側の一端に接続された第1のスイッチング素子と、前記プッシュプルトランスの一次側の他端に接続された第2のスイッチング素子とであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の高輝度放電ランプ点灯装置。 - トランスは、一次側に中間タップを有するプッシュプルトランスであり、
複数のスイッチング素子は、前記プッシュプルトランスの一次側の一端に接続された第1のスイッチング素子と、前記プッシュプルトランスの一次側の他端に接続された第2のスイッチング素子とであり、
スイッチング素子駆動回路部は、前記第1のスイッチング素子および電力投入用のスイッチング素子をオンとし、前記第2のスイッチング素子をオフとする期間1と、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子および前記電力投入用のスイッチング素子を全てオフとする期間2と、前記第2のスイッチング素子および前記電力投入用のスイッチング素子をオンとし、前記第1のスイッチング素子をオフとする期間3と、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子および前記電力投入用のスイッチング素子を全てオフとする期間4とを繰り返し、
前記プッシュプルトランスに蓄積されたエネルギを前記期間2および前記期間4において高輝度放電ランプに供給することにより前記高輝度放電ランプに放電始動に必要な電圧を印加することを特徴とする請求項2記載の高輝度放電ランプ点灯装置。 - トランスは、一次側に中間タップを有するプッシュプルトランスであり、
複数のスイッチング素子は、前記プッシュプルトランスの一次側の一端に接続された第1のスイッチング素子と、前記プッシュプルトランスの一次側の他端に接続された第2のスイッチング素子とであり、
スイッチング素子駆動回路部は、前記第1のスイッチング素子をオンに保ちつつ、前記第2のスイッチング素子を第二の周波数でオンオフし、電力投入用スイッチング素子を前記第2のスイッチング素子がオンするときにオフとし、オフするときにオンとする期間5と、前記第2のスイッチング素子をオンに保ちつつ、前記第1のスイッチング素子を第二の周波数でオンオフし、前記電力投入用のスイッチング素子を前記第1のスイッチング素子がオンするときにオフとし、オフするときにオンとする期間7とを第一の周波数で繰り返し、
高輝度放電ランプの点灯中は、前記期間5では前記第2のスイッチング素子のオンとオフの時間の比を、前記期間7では前記第1のスイッチング素子のオンとオフの時間の比を、前記高輝度放電ランプに供給する電力に応じて制御することを特徴とする請求項1記載の高輝度放電ランプ点灯装置。 - スイッチング素子駆動回路部は、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子および電力投入用のスイッチング素子を全てオフにする期間を、期間5と期間7との間に更に設けることを特徴とする請求項10記載の高輝度放電ランプ点灯装置。
- DC/ACコンバータ部と高輝度放電ランプとの間に、前記高輝度放電ランプの放電開始直後に前記高輝度放電ランプに放電維持可能な電圧と電流を供給する放電成長補助回路部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の高輝度放電ランプ点灯装置。
- トランスは、一次側に中間タップを有するプッシュプルトランスであり、
複数のスイッチング素子は、前記プッシュプルトランスの一次側の一端に接続された第1のスイッチング素子と、前記プッシュプルトランスの一次側の他端に接続された第2のスイッチング素子とであり、
DC/ACコンバータ部と高輝度放電ランプとの間に、前記高輝度放電ランプの放電開始直後に前記高輝度放電ランプに放電維持可能な電圧と電流を供給する放電成長補助回路部を備え、
前記DC/ACコンバータ部は、放電開始前の放電待機期間において、前記プッシュプルトランスを励磁するときに直流電源の電力を前記プッシュプルトランスの2次側に伝達する極性が、放電開始直後に前記高輝度放電ランプに流れる電流の方向と同一方向の電流を流すような極性となるように前記第1のスイッチング素子もしくは前記第2のスイッチング素子のいずれか一方および電力投入用のスイッチング素子をスイッチング素子駆動回路部の出力信号によりオンとし、前記プッシュプルトランスに蓄積されたエネルギを前記プッシュプルトランスの2次側に放出するときは、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子および前記電力投入用のスイッチング素子全てを前記スイッチング素子駆動回路部の出力信号によりオフとすることを特徴とする請求項1記載の高輝度放電ランプ点灯装置。 - 放電開始前の放電待機期間において、直流電源の電力をプッシュプルトランスの2次側に伝達する時間を、放電開始まで徐々に長くしていくことを特徴とする請求項13記載の高輝度放電ランプ点灯装置。
- 放電成長補助回路部を、放電開始直後に高輝度放電ランプに放電維持可能な電圧と電流を供給する1次放電成長補助回路と、前記1次放電成長補助回路の出力低下後、前記高輝度放電ランプに放電維持可能な電圧と電流を供給する2次放電成長補助回路と、の2つの回路により構成することを特徴とする請求項12記載の高輝度放電ランプ点灯装置。
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