JPWO2008123180A1 - 標的物質の検出方法、並びに、これに用いるタグ、dna、ベクター、プローブ及び検出キット - Google Patents

標的物質の検出方法、並びに、これに用いるタグ、dna、ベクター、プローブ及び検出キット Download PDF

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Abstract

標的物質の機能への影響を低減しつつ、標的物質の発現を任意の時間で可視化することができ、様々な励起・蛍光波長を有する蛍光色素を利用することができ、染色作業が容易な、標的物質の検出方法を提供すること。また、この検出方法に好適に用いることができるタグ、DNA、ベクター、プローブ及び検出キットを提供することを目的とする。(a)αヘリックス構造を形成するポリペプチドからなり、標的物質に結合されたタグ、及び、(b)蛍光色素が結合された化合物からなるプローブ、を接触させる工程と、蛍光色素が発する蛍光を測定する工程と、を含み、蛍光色素は、前記タグのαヘリックス構造及びプローブの化合物の結合によって、蛍光スペクトルの変化が誘起されることを特徴とする標的物質の検出方法、並びに、これに用いるタグ、DNA、ベクター、プローブ及び検出キットである。

Description

本発明は、標的物質の検出方法、並びに、これに用いるタグ、DNA、ベクター、プローブ及び検出キットに関し、特に、αヘリックス構造を形成するポリペプチドからなるタグを結合された標的物質の検出方法、並びに、これに用いるタグ、DNA、ベクター、プローブ及び検出キットに関する。
細胞内外におけるタンパク質(ポリペプチド)の発現動態や機能をリアルタイムに観測するために、観測対象となる標的タンパク質を選択的に蛍光標識して可視化する方法(バイオイメージング)が一般的に用いられている。タンパク質のバイオイメージングには、種々の蛍光色素で修飾した抗体(蛍光標識抗体)による免疫染色や、標的タンパク質に蛍光タンパク質を融合させる方法が汎用的に利用されている。
しかしながら、前記免疫染色においては、一般的に抗体は失活しやすく、標的タンパク質の数だけ高価な蛍光標識抗体を用意しなければならないという問題がある。更に、前記免疫染色においては、標的タンパク質と結合した蛍光標識抗体と、結合しなかった蛍光標識抗体とを区別することは困難であって、標的タンパク質を観測するためには標的タンパク質に結合しなかった蛍光標識抗体を洗浄除去しなければならず、手間がかかるという問題があった。
また、前記蛍光タンパク質を融合させる方法においては、遺伝子工学的手法を用いることで、蛍光タンパク質を標的タンパク質に自由に組み込むことが可能であるが、融合させた蛍光タンパク質に依存して、蛍光観測に利用可能な励起・蛍光波長が限定されてしまうという問題があった。
更に、前記蛍光タンパク質を融合させる方法においては、蛍光タンパク質が発現してから分解されるまで可視化され続けるために、可視化させる時間を選択できないという問題があった。更に、前記蛍光タンパク質を融合させる方法においては、蛍光タンパク質のサイズが比較的大きいため、標的タンパク質の構造や機能に対する蛍光タンパク質の影響がしばしば懸念されている。
そのために、近年、標的タンパク質にタグとなるペプチドを融合させ、タグ特異的に結合する蛍光性プローブ分子を用いて標的タンパク質の蛍光ラベル化を達成する方法(以下、「ラベル化法」と称する。)が提案され、前記ラベル化法に用いるためのタグ−プローブ分子ペアの開発が精力的に行われている(例えば、非特許文献1、2参照)。前記ラベル化法によれば、有機化学的に合成した種々の蛍光分子を適用でき、タグ融合タンパク質の発現後にラベル化を行うため、標的タンパク質を任意の時間にさまざまな励起・蛍光波長で観測することができる。しかしながら、前記ラベル化法においては、タグ融合タンパク質と結合した蛍光性プローブ分子と、結合しなかった蛍光性プローブ分子とを区別することは困難であって、標的タンパク質を観測するためにはタグ融合タンパク質に結合しなかった蛍光性プローブ分子を洗浄除去しなければならず、手間がかかるという問題があった。
一方で、タンパク質のペプチド鎖がとりうる高次構造の1つとして、ロイシンジッパーが知られている。ロイシンジッパーは、疎水的相互作用及び静電的相互作用を介して2本以上のαヘリックス構造ペプチドが、高い相補認識・結合能により会合して形成される高次構造である。αヘリックス構造は、アミノ酸3.6個ごとに1回転する右巻き螺旋であり、ピッチが0.54nmであり、ポリペプチドのカルボニルと4つ先のアミノ酸残基のアミドとが略直線状の水素結合を形成するため、非常に安定な構造であることが知られている。
近年、ロイシンジッパー構造を取る3本のαヘリックス構造ペプチドバンドル中の疎水性アミノ酸を側鎖の小さなアミノ酸に置換することによりバンドル内部に疎水性ポケットを形成し、蛍光色素等の有機小分子を取り込むことが可能であることが報告されている(例えば、非特許文献3参照)。
C.Irwin,et al.,Curr.Opin.Biotechnol.,2005,16,35−40 A.Ojida,et al.,J.Am.Chem.Soc.,2006,128,10452−10459 I.Obataya,et al.,Biopolymers,2001,59,65−71
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、標的物質の機能への影響を低減しつつ、標的物質の発現を任意の時間で可視化することができ、様々な励起・蛍光波長を有する蛍光色素を利用することができ、染色作業が容易な、標的物質の検出方法を提供することを目的とする。また、本発明は、この検出方法に好適に用いることができるタグ、DNA、ベクター、プローブ及び検出キットを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、ロイシンジッパー構造を形成する3本のαヘリックス構造ペプチドのバンドル内部に形成された疎水性ポケットに、疎水性環境下で蛍光スペクトルが変化する所定の蛍光色素を取り込ませたときに、前記所定の蛍光色素の蛍光スペクトルが変化する、という知見である。
前記したように、ロイシンジッパー構造を取る3本のαヘリックス構造ペプチドバンドル中の疎水性アミノ酸を側鎖の小さなアミノ酸に置換することによりバンドル内部に疎水性ポケットを形成し、蛍光色素等の有機小分子を取り込むことが可能であることが報告されている。
しかしながら、蛍光色素として親水性から疎水性への環境変化に応答して蛍光波長変化、蛍光強度増大を示す蛍光色素を用い、ロイシンジッパー構造の形成を介して蛍光色素の周辺環境を親水性から疎水性へコントロールしたときに、ラベル化と連動した蛍光波長・強度の変化を誘起できることは従来全く知られておらず、本発明者らの新たな知見である。
更に、本発明者らは、ロイシンジッパー構造を形成する3本のαヘリックス構造ペプチドのバンドル内部に形成されたポケットを利用することにより、疎水性環境下で蛍光スペクトルが変化する蛍光色素だけでなく、様々な蛍光色素において蛍光スペクトルの変化が誘起されることを知見した。
更に、本発明者らは、ロイシンジッパー構造を形成する3本のαヘリックス構造ペプチドのバンドル内部に形成されたポケットを利用することにより、2つの分子間の距離を制御することができ、例えば、FRET、消光物質を用いた蛍光の制御、エキシマー蛍光などに利用できることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (a)αヘリックス構造を形成するポリペプチドからなり、標的物質に結合されたタグ、及び、(b)蛍光色素が結合された化合物からなるプローブ、
を接触させる工程と、
前記蛍光色素が発する蛍光を測定する工程と、を含み、
前記蛍光色素は、前記タグのαヘリックス構造及び前記プローブの化合物の結合によって、蛍光スペクトルの変化が誘起されることを特徴とする標的物質の検出方法である。
<2> タグのαヘリックス構造及びプローブの化合物の結合が、疎水的相互作用を含む<1>に記載の方法である。
<3> タグのαヘリックス構造及びプローブの化合物の結合が、静電的相互作用を含む<2>に記載の方法である。
<4> プローブの化合物が、αヘリックス構造を形成するポリペプチドであって、蛍光色素がプローブの前記αヘリックス構造に結合されてなる<1>から<3>のいずれかに記載の方法である。
<5> タグの少なくとも1つのαヘリックス構造と、プローブの少なくとも1つのαヘリックス構造とが、互いに平行及び逆平行のうち少なくともいずれか1つで会合し、それぞれの疎水性面を内向させてタグ−プローブ複合体を形成する<1>から<4>のいずれかに記載の方法である。
<6> タグのαヘリックス構造が、下記構造式(1)
{X−X−X−X−X−X−X} ・・・(1)
〔構造式(1)中、Nは2以上の任意の整数であり、X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X,Xはそれぞれ疎水性アミノ酸であり、X,X,Xはそれぞれ任意のアミノ酸を示す。〕
で表されるアミノ酸配列のうち、連続する7残基以上のアミノ酸からなる<1>から<5>のいずれかに記載の方法である。
<7> タグの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかに置換されてなる<6>に記載の方法である。
<8> タグのαヘリックス構造の数が2つ以上である<1>から<7>のいずれかに記載の方法である。
<9> タグのαヘリックス構造同士が、任意のアミノ酸からなるリンカーペプチドを介して連結されてなる<8>に記載の方法である。
<10> プローブのαヘリックス構造が、下記構造式(1)
{X−X−X−X−X−X−X} ・・・(1)
〔構造式(1)中、Nは2以上の任意の整数であり、X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X,Xはそれぞれ疎水性アミノ酸又であり、X,X,Xはそれぞれ任意のアミノ酸を示す。〕
で表される配列のうち、連続する7残基以上のアミノ酸からなり、
プローブの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸が、蛍光色素が結合された分子に置換されてなる<4>から<9>のいずれかに記載の方法である。
<11> プローブのαヘリックス構造の数が2つ以上である<4>から<10>のいずれかに記載の方法である。
<12> プローブのαヘリックス構造同士が、任意のアミノ酸からなるリンカーペプチドを介して連結されてなる<11>に記載の方法である。
<13> プローブが、蛍光色素を結合していないαヘリックス構造を有する場合に、
前記αヘリックス構造のうち少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかに置換されてなる<11>から<12>のいずれかに記載の方法である。
<14> タグのポリペプチドが下記構造式(2)で表される配列を含み、かつ、プローブのポリペプチドが下記構造式(3)で表される配列を含む<4>に記載の方法である。
タグ:
{X−ε−α−X−β−γ−X}{X−ε−α−X−β−γ−X}{X−ε−α−X−β−γ−X}{X}{X−γ−β−X−β−ε−X}{X−γ−β−X−β−ε−X}{X−γ−β−X−β−ε−X} ・・・(2)
プローブ:
{X−γ−α−X−α−σ−X}{X−γ−α−X−α−σ−X}{X−γ−α−X−α−σ−X} ・・・(3)
〔構造式(2)及び(3)中、
αは、酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸である。
βは、αが酸性アミノ酸の場合には塩基性アミノ酸であり、αが塩基性アミノ酸の場合には酸性アミノ酸である。
γは、疎水性アミノ酸である。
σからσのうち少なくとも1つは、蛍光色素が結合された分子であり、それ以外のσからσは疎水性アミノ酸である。
εは、σが蛍光色素が結合された分子である場合には、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかであり、σが疎水性アミノ酸である場合には、疎水性アミノ酸である。
εは、σが蛍光色素が結合された分子である場合には、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかであり、σが疎水性アミノ酸である場合には、疎水性アミノ酸である。
εは、σが蛍光色素が結合された分子である場合には、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかであり、σが疎水性アミノ酸である場合には、疎水性アミノ酸である。
、X、Xは、任意のアミノ酸である。
は、M個の任意のアミノ酸Xからなるリンカーペプチドである。〕
<15> タグのポリペプチドが下記構造式(4)で表される配列を含み、かつ、プローブのポリペプチドが下記構造式(5)で表される配列を含む<4>に記載の方法である。
タグ:
{Ala−γ−α−Lys−β−γ−Glu}{Ala−ε−α−Lys−β−γ−Glu}{Ala−γ−α−Lys−β−γ−Ala}{X}{Ala−γ−β−Lys−β−γ−Glu}{Ala−γ−β−Lys−β−ε−Glu}{Ala−γ−β−Lys−β−γ−Ala} ・・・(4)
プローブ:
{Ala−γ−α−Lys−α−γ−Glu}{Ala−γ−α−Lys−α−σ−Glu}{Ala−γ−α−Lys−α−γ−Ala} ・・・(5)
〔構造式(4)及び(5)中、
αは、酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸である。
βは、αが酸性アミノ酸の場合には塩基性アミノ酸であり、αが塩基性アミノ酸の場合には酸性アミノ酸である。
γは、疎水性アミノ酸である。
σは、蛍光色素が結合された分子である。
εは、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかである。
は、M個の任意のアミノ酸Xからなるリンカーペプチドである。〕
<16> タグのポリペプチドが下記構造式(6)で表される配列を含み、かつ、プローブのポリペプチドが下記構造式(7)で表される配列を含む<4>に記載の方法である。
タグ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−ε−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Ala}{X}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−ε−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Ala} ・・・(6)
プローブ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−σ−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Ala} ・・・(7)
〔構造式(6)及び(7)中、
σは、蛍光色素が結合された分子である。
εは、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかである。
は、M個の任意のアミノ酸Xからなるリンカーペプチドである。〕
<17> 蛍光色素が、NBD(4−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール)、Dns(ダンシル;1−ジメチルアミノナフタレン−5−スルホニル)、DAN(6−ジメチルアミノ−2−ナフトイル)、Ant(アントラニロイル)、Mant(N−メチルアントラニロイル)、DMAP(4−ジメチルアミノフタルイミド)、DMAN(6−ジメチルアミノ−2,3−ナフタルイミド)、3−ジメチルアミノベンゾニトリル、ANS(1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸)、MANS(N−メチル−2−アニリノナフタレン−6−スルホン酸)、TNS(2−p−トルイジニルナフタレン−6−スルホン酸)、ジメチルアミノフェノキサゾン、Nile Red(ナイルレッド)、Dapoxyl sulfonyl(登録商標)、インドシアニングリーン、7−ヒドロキシクマリン−3−カルボキシリックアシッド、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボキシリックアシッド、フルオレセイン、2,7−ジクロロフルオレセイン、TAMRA(テトラメチルローダミン),Cy3、Cy5、Cy7、クマリン類、アントラセン及びピレンのうちいずれかである<1>から<16>のいずれかに記載の方法である。
<18> <1>から<17>のいずれかに記載の方法に用いる標的物質に結合させるためのタグであって、
前記タグは、αヘリックス構造を形成するポリペプチドからなり、
前記タグのαヘリックス構造が、下記構造式(1)
{X−X−X−X−X−X−X} ・・・(1)
〔構造式(1)中、Nは2以上の任意の整数であり、X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X,Xはそれぞれ疎水性アミノ酸であり、X,X,Xはそれぞれ任意のアミノ酸を示す。〕
で表されるアミノ酸配列のうち、連続する7残基以上のアミノ酸からなる標的物質に結合させるためのタグである。
<19> タグの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかに置換されてなる<18>に記載の標的物質に結合させるためのタグである。
<20> <18>から<19>のいずれかに記載のタグをコードするDNAである。
<21> <20>に記載のDNAが挿入されたベクターである。
<22> <1>から<17>のいずれかに記載の方法に用いるプローブであって、
前記プローブは、αヘリックス構造を形成するポリペプチドを含み、
前記プローブの前記αヘリックス構造が、下記構造式(1)
{X−X−X−X−X−X−X} ・・・(1)
〔構造式(1)中、Nは2以上の任意の整数であり、X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X,Xはそれぞれ疎水性アミノ酸又であり、X,X,Xはそれぞれ任意のアミノ酸を示す。〕
で表される配列のうち、連続する7残基以上のアミノ酸からなり、
前記プローブの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸が、蛍光色素が結合された分子に置換されてなるプローブである。
<23> <18>から<19>のいずれかに記載のタグ、<20>に記載のDNA及び<21>に記載のベクターのうち少なくともいずれか1つと、<22>に記載のプローブとを含む標的物質の検出キットである。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、標的物質の機能への影響を低減しつつ、標的物質の発現を任意の時間で可視化することができ、様々な励起・蛍光波長を有する蛍光色素を利用することができ、染色作業が容易な、標的物質の検出方法を提供することができる。また、本発明は、この検出方法に好適に用いることができるタグ、DNA、ベクター、プローブ及び検出キットを提供することができる。
図1は、本具体例のタグ及びプローブが形成するαヘリックス構造を示す図であって、プローブのαヘリックスにおいてはアミノ末端側からの視点の図である。 図2は、本具体例の標的物質の検出方法の概念を説明するための図である。 図3Aは、実施例1について測定した円二色性スペクトル測定の結果を示す図である。 図3Bは、実施例2について測定した円二色性スペクトル測定の結果を示す図である。 図3Cは、実施例3について測定した円二色性スペクトル測定の結果を示す図である。 図4Aは、実施例1について測定した蛍光滴定の結果を示す図である。 図4Bは、実施例2について測定した蛍光滴定の結果を示す図である。 図4Cは、実施例3について測定した蛍光滴定の結果を示す図である。 図5は、図4A〜4Cにおいて蛍光強度のピークが最も高い蛍光スペクトルを重畳した図である。 図6は、蛍光滴定の結果を示す図である。 図7は、実施例1のタグペプチドとプローブペプチドについてのJob’s plotを示す図である。 図8は、実施例5の結果を示す図である。 図9は、実施例6の結果を示す図である。 図10は、実施例8の結果を示す図である。
(標的物質の検出方法)
本発明の標的物質の検出方法は、下記工程1、2を含んでなり、必要に応じてその他の工程を含む。
工程1:
(a)αヘリックス構造を形成するポリペプチドからなり、標的物質に結合されたタグ、及び、(b)蛍光色素が結合された化合物からなるプローブ、を接触させる工程。
工程2:
前記蛍光色素が発する蛍光を測定する工程。
<工程1>
−(a)タグ−
前記工程1における前記タグとは、αヘリックス構造を形成するポリペプチドからなり、標的物質に結合されてなる。
以下、タグを構成するポリペプチド及び前記ポリペプチドが形成するαヘリックス構造を、それぞれ「タグのポリペプチド」及び「タグのαヘリックス構造」と称し、後記する「プローブのポリペプチド」及び「プローブのαヘリックス構造」と区別する。
−−タグのポリペプチド−−
前記タグのポリペプチドとしては、少なくとも1つのαヘリックス構造を形成する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学合成されたポリペプチドであっても、所定の遺伝情報に基づき細胞系又は無細胞系で発現されたポリペプチドであってもよいが、標的物質がポリペプチドである場合には、より簡便にタグを結合(融合)された標的物質を作成できる点で、前記発現されたポリペプチドがより好ましく、細胞系で発現されたポリペプチドが更に好ましい。
なお、前記「αヘリックス構造を形成する」とは、少なくともタグ−プローブ複合体が形成されるときにαヘリックス構造を形成していればよく、タグとプローブとが接触する前においてはαヘリックス構造を形成していてもよく、形成していなくてもよいが、タグとプローブとが接触する前においてもαヘリックス構造を形成していることがより好ましい。
なお、前記タグのポリペプチドは、αヘリックス構造を形成するアミノ酸だけで構成される必要はなく、例えば、スペーサーペプチド、リンカーペプチド、任意のアミノ酸など、特にαヘリックス構造を形成しないアミノ酸を含んでいてもよい。
前記タグのポリペプチドを構成するアミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、標的物質がポリペプチドである場合には、より簡便にタグを結合(融合)された標的物質を作成できる点で、細胞系又は無細胞系での発現に通常利用されるL型アミノ酸により構成されることが好ましい。
前記タグのポリペプチドのアミノ酸残基数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、7〜70残基が好ましく、14〜70残基がより好ましく、28〜56残基が更に好ましい。前記ポリペプチドのアミノ酸残基数が7残基未満であると、αヘリックス構造を形成するアミノ酸残基数も7残基未満になってしまい、αヘリックス構造が不安定になってしまったり、プローブの化合物との結合親和性が低下してしまったりすることがある。一方、前記ポリペプチドのアミノ酸残基数が70残基以上であると、標的物質の構造や機能に対する影響が懸念される。
前記工程1の「標的物質に結合されたタグ」における前記「結合された」とは、タグと標的物質とが少なくとも工程1乃至工程2の間に解離しない強度で結合されていることを示し、特に、標的物質がポリペプチドである場合には、タグが、標的物質(標的ポリペプチド)のアミノ末端側、カルボキシル末端側又はその内側にペプチド結合して、融合している状態を示す。このとき、タグと標的ポリペプチドとは、直接的にペプチド結合していてもよく、数残基の任意のアミノ酸からなるスペーサーペプチドを介して間接的にペプチド結合していてもよい。
−−−タグのαヘリックス構造−−−
前記タグのαヘリックス構造としては、プローブの化合物(後記する「プローブのαヘリックス構造」も含む。)と疎水的相互作用により結合し、前記疎水的相互作用により形成される疎水的環境下に、所定の蛍光色素を配することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。プローブの化合物との結合親和性を更に高めるためには、前記疎水的相互作用に加えて、静電的相互作用により結合できることが好ましい。このようなタグのαヘリックス構造は、1次構造のアミノ酸配列を所定の配列に規定することによって、形成させることができる。
前記1次構造のアミノ酸配列としては、前記条件を満たすαヘリックス構造を形成することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは下記の通りである。即ち、
タグのαヘリックス構造が、下記構造式(1)
{X−X−X−X−X−X−X} ・・・(1)
〔構造式(1)中、Nは2以上の任意の整数であり、X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X,Xはそれぞれ疎水性アミノ酸であり、X,X,Xはそれぞれ任意のアミノ酸を示す。〕
で表されるアミノ酸配列のうち、連続する7残基以上のアミノ酸からなる。
より好ましくは、タグの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかに置換されてなる。
ここで、前記酸性アミノ酸とは、生理的pHで負電荷を有する極性アミノ酸であり、前記塩基性アミノ酸とは、生理的pHで正電荷を有する極性アミノ酸である。
具体的には、前記酸性アミノ酸としては、グルタミン酸又はアスパラギン酸であり、前記塩基性アミノ酸としては、リジン又はアルギニンであり、前記疎水性アミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン又はバリンである。なお、繰り返される各X〜Xは、前記条件を満たす限り、同一のアミノ酸であってもよく、異なるアミノ酸であってもよい。
前記X,Xをそれぞれ疎水性アミノ酸としたことにより、タグのαヘリックス構造は、αヘリックス構造の外周面上に略軸方向に沿って2列の疎水性面が形成されるため、疎水性面を有するプローブの化合物や、タグの他のαヘリックス構造と、疎水的相互作用により結合することができる。
このとき、前記疎水性相互作用により形成される疎水的環境下に、蛍光色素を配するための疎水性ポケットが形成される。
更に、タグの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸を、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかに置換したことにより、前記疎水性ポケットを拡大することができる。
前記疎水性ポケットの形状及び大きさとしては、蛍光色素が配されたときに蛍光色素の蛍光スペクトルが変化する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。言い換えると、蛍光色素の形状若しくは大きさ、又は、蛍光色素とプローブの化合物との結合距離によって、疎水性ポケットの形状及び大きさも適宜調節される。
このような疎水性ポケットの形状及び大きさの調節は、置換されるアミノ酸の種類、数及び位置を変更することによって行うことができる。具体的には、置換されるアミノ酸の側鎖が短く、置換されるアミノ酸の数が多く、置換されるアミノ酸の位置により連続した空間を確保できるほど、疎水性ポケットを大きくすることができる。
また、プローブの化合物がαヘリックス構造を形成するポリペプチドである場合には、前記疎水性ポケットの形状及び大きさの調節を、タグ−プローブ複合体に含まれるαヘリックス構造の総数を変更することによって行うことができる。具体的には、各αヘリックス構造はその疎水性面を内向させて複合体を形成するので、タグ−プローブ複合体に含まれるαヘリックス構造の総数が多いほど、複合体は多角形化して複合体内部の空間が広がり、疎水性ポケットが大きくなる。
なお、タグ−プローブ複合体に含まれるαヘリックス構造の総数は、前記X,Xとして選択される疎水性アミノ酸の種類を変えることにより、調節することができる。
このように、疎水性ポケット形状及び大きさを調節することにより、タグ−プローブ複合体の形成を高い相補認識によるものとし、蛍光色素の蛍光スペクトルの変化も前記高い相補認識に対応した特異的なものとすることができる。
前記X,Xをそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸としたことにより、タグのαヘリックス構造は、αヘリックス構造の外周面上に略軸方向に沿って2列のそれぞれ独立な負電荷面又は正電荷面が形成されるため、それぞれに対応する電荷面(負電荷面に対しては正電荷面、正電荷面に対しては負電荷面)を有するプローブの化合物や、タグの他のαヘリックス構造と、静電的相互作用により結合することができる。
前記静電的相互作用の強さとしては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、静電的相互作用が強いほど、タグのαヘリックス構造とプローブの化合物との結合親和性が増加する。具体的には、前記酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸の順に、また、前記塩基性アミノ酸としては、リジン、アルギニンの順に、静電的相互作用が強くなる。
このように、前記静電的相互作用によれば、タグのαヘリックスとプローブの化合物との結合の態様を調節することができるので、タグ−プローブ複合体の形成を高い相補認識によるものとし、蛍光色素の蛍光スペクトルの変化も前記高い相補認識に対応した特異的なものとすることができる。
前記タグのαヘリックス構造を構成するアミノ酸残基数を7残基以上と規定したことにより、タグのαヘリックス構造は安定化されて分解されにくくなり、又、プローブの化合物との結合親和性が増加する。
なお、前記タグのαヘリックス構造を構成するアミノ酸残基数は、前記したように、7残基以上が好ましいが、より好ましくは14残基以上である。14残基以上であると、更に、タグのαヘリックス構造が安定化されて分解されにくくなり、又、プローブの化合物との結合親和性が増加する。
前記タグのαヘリックス構造の数としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば1つであってもよく、2つ以上であってもよい。前記タグのαヘリックス構造の数が2つ以上である場合には、前記タグのαヘリックス構造同士がペプチド結合により連結されていることが好ましく、例えば、直接的にペプチド結合していてもよく、数残基の任意のアミノ酸からなるリンカーペプチドを介してペプチド結合していてもよいが、好ましくはリンカーペプチドを介したペプチド結合である。
前記リンカーペプチドのアミノ酸残基数としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜12残基が好ましく、5〜7残基がより好ましい。前記リンカーペプチドのアミノ酸残基数が5〜7残基であると、適切にループ構造を形成し、連結されたαヘリックス構造同士が、逆並行に会合されやすくなる点で有利である。
−(b)プローブ−
前記工程1における前記プローブとは、蛍光色素が結合された化合物からなる。
−−蛍光色素−−
前記蛍光色素は、タグ−プローブ複合体により形成される複合体内部の空間に配されることで、溶媒緩和から保護され、また分子運動が抑制されることにより、蛍光量子収率が改善されるので、蛍光スペクトルの変化が誘起される。
前記蛍光スペクトルの変化としては、例えば、蛍光波長の変化及び蛍光強度の増大が挙げられる。
したがって、前記蛍光色素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、タグ−プローブ複合体により形成される疎水性環境下に配されやすいように、疎水性であることが好ましい。
前記複合体内部の空間は疎水性環境であるので、前記蛍光色素が疎水性環境下で蛍光スペクトルが変化する蛍光色素である場合には、前記蛍光色素が前記複合体内部に配されたときに蛍光スペクトルの変化が顕著に誘起される点で、より好ましい。
前記疎水性環境下で蛍光スペクトルが変化する蛍光色素としては、例えば、NBD(4−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール)、Dns(ダンシル;1−ジメチルアミノナフタレン−5−スルホニル)、DAN(6−ジメチルアミノ−2−ナフトイル)、Ant(アントラニロイル)、Mant(N−メチルアントラニロイル)、DMAP(4−ジメチルアミノフタルイミド)、DMAN(6−ジメチルアミノ−2,3−ナフタルイミド)、3−ジメチルアミノベンゾニトリル、ANS(1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸)、MANS(N−メチル−2−アニリノナフタレン−6−スルホン酸)、TNS(2−p−トルイジニルナフタレン−6−スルホン酸)、ジメチルアミノフェノキサゾン、Nile Red(ナイルレッド)及びDapoxyl sulfonyl(登録商標)などが挙げられる。
NBDは、一つの測定例として、親水性環境下では励起波長470nm、蛍光波長540nmにおいて蛍光強度が最大になり、疎水性環境下では励起波長456nm、蛍光波長505nmにおいて蛍光強度が最大になるという性質を有している。
また、Dnsは、一つの測定例として、親水性環境下では励起波長340nm、蛍光波長540nmにおいて蛍光強度が最大になり、疎水性環境下では励起波長340nm、蛍光波長503nmにおいて蛍光強度が最大になるという性質を有している。
また、DANは、一つの測定例として、親水性環境下では励起波長360nm、蛍光波長530nmにおいて蛍光強度が最大になり、疎水性環境下では励起波長360nm、蛍光波長400nmにおいて蛍光強度が最大になるという性質を有している。
なお、同じ疎水性環境であっても、実験条件によってはその疎水性の度合いが異なりうるので、NBD、Dns、DANの特性は、前記した励起波長及び蛍光波長の値に限定されるものではない。
前記化合物における前記蛍光色素の結合部位としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化合物がタグのαヘリックスと疎水的相互作用により結合する面に、前記蛍光色素が結合されていることが好ましい。
前記化合物に結合する前記蛍光色素の数としては、1つ以上である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記化合物に2つ以上の蛍光色素が結合する態様としては、例えば、エキシマー蛍光、FRET(fluorescence resonance energy transfer)などを利用する態様が挙げられる。
前記エキシマー蛍光においては、例えば、第1のピレン分子を、前記化合物がタグのαヘリックスと疎水的相互作用により結合する面に配置し、第2のピレン分子を、上記面とは異なる面に結合させておく。このとき、プローブが単独で存在している場合には、第1のピレン分子と第2のピレン分子との近接が特に妨げられずにピレン分子が2量体を形成できるので、波長345nmの励起光を照射したときに波長475nmの蛍光を発する。一方で、プローブとタグとが存在している場合には、第1のピレン分子がタグ−プローブ複合体内部の空間に取り込まれることで、第1のピレン分子と第2のピレン分子との距離が解離して各ピレン分子が単量体となるので、波長345nmの励起光を照射したときに発する蛍光が、波長375nmにシフトする。
前記FRETにおいては、例えば、第1の蛍光色素を、前記化合物がタグのαヘリックスと疎水的相互作用により結合する面に配置し、第2の蛍光色素を、上記面とは異なる面に結合させておく。このとき、プローブが単独で存在している場合には、第1の蛍光色素と第2の蛍光色素との近接が特に妨げられないので、第1の蛍光色素に対する励起波長の光を照射したときに、共鳴により第1の蛍光色素から第2の蛍光色素への励起エネルギーの移動が起こり、第2の蛍光色素が発光する。一方で、プローブとタグとが存在している場合には、第1の蛍光色素がタグ−プローブ複合体内部の空間に取り込まれることで、第1の蛍光色素と第2の蛍光色素との距離が解離するので、第1の蛍光色素に対する励起波長の光を照射しても、第2の蛍光色素は発光しない。
前記FRETに利用できる蛍光物質の組合せとしては、例えば、NBDと2,7−ジクロロフルオレセイン又はCy3;DansylとTAMRA(テトラメチルローダミン);DANとTAMRA又はフルオレセイン;アントラニリックアシッドとフルオレセイン;DMAP又はDMANとTAMRA;7−ジメチルアミノ−フェノキサジン−3−オンとCy5;Nile RedとCy7;7−ヒドロキシクマリン−3−カルボキシリックアシッド、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボキシリックアシッド又はフルオレセインと7−ジメチルアミノ−フェノキサジン−3−オン;7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボキシリックアシッド、フルオレセイン、2,7−ジクロロフルオレセイン又はCy3とNile Red;などが挙げられる(各組合せ中、前者の蛍光色素を励起させることで、後者の蛍光色素が蛍光を発する)。
−−化合物−−
前記化合物(プローブの化合物)としては、前記タグのαヘリックス構造と疎水的相互作用により結合し、前記疎水的相互作用により形成される疎水的環境下に、蛍光色素を配することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。タグのαヘリックスとの結合親和性を更に高めるためには、前記疎水的相互作用に加えて、静電的相互作用により結合できることが好ましい。
前記化合物としては、例えば、αヘリックス構造を形成するポリペプチド、αヘリックスのミメティック化合物などが挙げられ、αヘリックス構造を形成するポリペプチドであれば、タグのαヘリックス構造とロイシンジッパー構造を形成できる点で、特に好ましい。
以下、プローブの化合物としてのαヘリックス構造を形成するポリペプチドについて、詳細に説明する。
ここで、プローブの化合物としてのポリペプチド及び前記ポリペプチドが形成するαヘリックス構造を、それぞれ、「プローブのポリペプチド」及び「プローブのαヘリックス構造」と称し、前記した「タグのポリペプチド」及び「タグのαヘリックス構造」と区別する。
前記プローブのポリペプチドとしては、少なくとも1つのαヘリックス構造を形成する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学合成されたポリペプチドであっても、所定の遺伝情報に基づき細胞系又は無細胞系で発現されたポリペプチドであってもよい。
なお、前記「αヘリックス構造を形成する」とは、少なくともタグ−プローブ複合体が形成されるときにαヘリックス構造を形成していればよく、タグとプローブとが接触する前においてはαヘリックス構造を形成していてもよく、形成していなくてもよいが、タグとプローブとが接触する前においてもαヘリックス構造を形成していることがより好ましい。
なお、前記プローブのポリペプチドは、αヘリックス構造を形成するアミノ酸だけで構成される必要はなく、例えば、リンカーペプチド、任意のアミノ酸など、特にαヘリックス構造を形成しないアミノ酸を含んでいてもよい。
前記プローブのポリペプチドのアミノ酸残基数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、7〜42残基が好ましく、14〜42残基がより好ましく、14〜28残基が更に好ましい。前記ポリペプチドのアミノ酸残基数が7残基未満であると、αヘリックス構造を形成するアミノ酸残基数も7残基未満になってしまい、αヘリックス構造が不安定になってしまったり、タグのαヘリックス構造との結合親和性が低下してしまったりすることがある。一方、前記ポリペプチドのアミノ酸残基数が42残基以上であると、細胞膜を透過させてプローブを細胞内に導入する効率が低下し、染色の効率や感度が悪くなる場合がある。
前記プローブのポリペプチドを構成するアミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、αヘリックス構造やロイシンジッパー構造に関する知見が豊富に蓄積されており、設計が容易な点で、L型アミノ酸により構成されることが好ましい。
−−−プローブのαヘリックス構造−−−
前記プローブのαヘリックス構造としては、タグのαヘリックス構造と疎水的相互作用により結合し、前記疎水的相互作用により形成される疎水的環境下に、所定の蛍光色素を配することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。タグのαヘリックス構造との結合親和性を更に高めるためには、前記疎水的相互作用に加えて、静電的相互作用により結合できることが好ましい。
このようなプローブのαヘリックス構造は、1次構造のアミノ酸配列を所定の配列に規定することによって、形成させることができる。
前記1次構造のアミノ酸配列としては、前記条件を満たすαヘリックス構造を形成することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは下記の通りである。即ち、
前記プローブのαヘリックス構造が、下記構造式(1)
{X−X−X−X−X−X−X} ・・・(1)
〔構造式(1)中、Nは2以上の任意の整数であり、X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X,Xはそれぞれ疎水性アミノ酸であり、X,X,Xはそれぞれ任意のアミノ酸を示す。〕
で表される配列のうち、連続する7残基以上のアミノ酸からなり、
プローブの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸が、蛍光色素が結合された分子に置換されてなる。
ここで、前記酸性アミノ酸とは、生理的pHで負電荷を有する極性アミノ酸であり、前記塩基性アミノ酸とは、生理的pHで正電荷を有する極性アミノ酸である。
具体的には、前記酸性アミノ酸としては、グルタミン酸又はアスパラギン酸であり、前記塩基性アミノ酸としては、リジン又はアルギニンであり、前記疎水性アミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン又はバリンである。なお、繰り返される各X〜Xは、前記条件を満たす限り、同一のアミノ酸であってもよく、異なるアミノ酸であってもよい。
前記X,Xをそれぞれ疎水性アミノ酸としたことにより、プローブのαヘリックス構造は、αヘリックス構造の外周面上に略軸方向に沿って2列の疎水性面が形成されるため、疎水性面を有するタグのαヘリックス構造や、プローブの他のαヘリックス構造と、疎水的相互作用により結合することができる。
更に、プローブの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸を、蛍光色素が結合された分子に置換したことにより、前記疎水的相互作用により形成される疎水的環境下に、おのずと蛍光色素が配されることとなる。
前記「蛍光色素が結合された分子」としては、前記所定のアミノ酸と置換されてプローブのαヘリックス構造に組み込まれたときに、αヘリックス構造の形成を阻害しない分子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、側鎖に蛍光色素を有するL型アミノ酸、側鎖に蛍光色素を有するDap(ジアミノプロピオン酸)などが挙げられる。
このとき、例えばL型アミノ酸の側鎖の炭素数を変えることにより、蛍光色素とプローブのαヘリックスとの結合距離を調節することができる。
前記X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸としたことにより、プローブのαヘリックス構造は、αヘリックス構造の外周面上に略軸方向に沿って2列のそれぞれ独立な負電荷面又は正電荷面が形成されるため、それぞれに対応する電荷面(負電荷面に対しては正電荷面、正電荷面に対しては負電荷面)を有するタグのαヘリックス構造や、プローブの他のαヘリックス構造と、静電的相互作用により結合することができる。
なお、前記静電気相互作用による作用効果は、タグのαヘリックス構造において記載したものと同様であるので、説明を省略する。
前記プローブのαヘリックス構造のアミノ酸残基数を7残基以上としたことにより、プローブのαヘリックス構造は安定化されて分解されにくくなり、又、タグのαヘリックス構造との結合親和性が増加する。
なお、前記プローブのαヘリックス構造を構成するアミノ酸残基数は、前記したように、7残基以上が好ましいが、より好ましくは14残基以上である。14残基以上であると、更に、プローブのαヘリックス構造が安定化されて分解されにくくなり、又、タグのαヘリックス構造との結合親和性が増加する。
なお、プローブが2つ以上のαヘリックス構造を形成し、蛍光色素を結合していないαヘリックス構造を有する場合には、少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかに置換されていることが好ましい。このような構成により、疎水性ポケットの形状や大きさの調節を、タグだけでなくプローブでも行うことができる。
前記プローブのαヘリックス構造の数としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば1つであってもよく、2つ以上であってもよい。前記プローブのαヘリックス構造の数が2つ以上である場合には、前記プローブのαヘリックス構造同士がペプチド結合により連結されていることが好ましく、例えば、直接的にペプチド結合していてもよく、数残基の任意のアミノ酸からなるリンカーペプチドを介してペプチド結合していてもよいが、好ましくはリンカーペプチドを介したペプチド結合である。
前記リンカーペプチドのアミノ酸残基数としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1〜12残基が好ましく、5〜7残基がより好ましい。前記リンカーペプチドのアミノ酸残基数が5〜7残基であると、適切にループ構造を形成し、連結されたαヘリックス構造同士が、逆並行に会合されやすくなる点で有利である。
−−−消光物質−−−
本発明の態様に応じて、前記化合物は、前記蛍光色素以外に、例えば、消光物質などのその他の成分を結合していてもよい。
前記消光物質を利用する態様においては、例えば、消光物質を、前記化合物がタグのαヘリックスと疎水的相互作用により結合する面に配置し、蛍光色素を、上記面とは異なる面に結合させておく。このとき、プローブが単独で存在している場合には、消光物質と蛍光色素との近接が特に妨げられないので、蛍光色素に対する励起波長の光を照射しても発光しない。一方で、プローブとタグとが存在している場合には、消光物質がタグ−プローブ複合体内部の空間に取り込まれることで、消光物質と蛍光色素との距離が解離するので、蛍光色素に対する励起波長の光を照射したときに、消光物質により抑制されることなく、蛍光を発することができる。
前記消光物質としては、例えば、ニトロベンゼン誘導体、Dabcyl誘導体、QSYなどが挙げられる。また、前記消光物質と組み合わせて使用できる蛍光色素としては、例えば、クマリン類、アントラセン、ピレンなどが挙げられる。
前記工程1において、(a)タグ及び(b)プローブを「接触させる」方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。通常、(a)タグを含む溶液に対して(b)プローブを含む溶液を添加することで、(a)タグ及び/又は(b)プローブが溶液中を拡散してお互いを接触させることができる。
また、必要に応じて、(a)タグ及び(b)プローブを十分に反応させるためのインキュベーション工程や攪拌工程など、その他の工程を含んでいてもよい。前記インキュベーション工程の諸条件、例えば、温度条件、時間条件、雰囲気条件などについては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はないが、前記温度条件としては、37℃が好ましく、前記時間条件としては、0.5〜1時間が好ましく、前記雰囲気条件としては、5%炭酸ガスが好ましい。
また、(a)タグが、細胞内、臓器内又は生体内に局在しており、その状態を維持したまま(a)タグ及び(b)プローブを接触させる場合には、例えば、トランスフォーメーション、トランスフェクション、接合、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、パーティクルガン、リン酸カルシウム沈殿法、マイクロインジェクション、膜透過エンドサイトーシスなどにより、プローブを前記細胞内、臓器内又は生体内に注入する工程を含んでいてもよい。
以上のように、前記工程1によって、タグのαヘリックス構造とプローブの化合物とが、疎水的相互作用及び/又は静電的相互作用により結合し、タグ−プローブ複合体を形成する。前記タグ−プローブ複合体の態様としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、プローブの化合物がαヘリックス構造を形成するポリペプチドである場合、タグ−プローブ複合体を構成するαヘリックス構造の総数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、αヘリックス構造の2量体〜5量体が好ましく、3量体〜4量体がより好ましい。また、αヘリックス構造同士が平行に結合してもよく、逆平行に結合してもよい。
なお、タグ及びプローブに、予めアビジン又はビオチンを結合しておき、疎水的相互作用及び/又は静電気的相互作用によるタグ−プローブ複合体の形成を、アビジン−ビオチン結合により補強する構成としてもよい。また、タグ及びプローブに、予めシステイン側鎖などの遊離のSH基を含ませておき、疎水的相互作用及び/又は静電気的相互作用によるタグ−プローブ複合体の形成を、ジスルフィド結合により補強する構成としてもよい。同様に、例えば、抗原/抗体、ジアゾ結合、金/チオール、クロスリンク反応などの結合により、疎水的相互作用及び/又は静電気的相互作用によるタグ−プローブ複合体の形成を補強する構成としてもよい。中でも、前記タグ及びプローブを混合した後に、所望する時期に反応させることができ、不可逆的に共有結合させることができるので、パルスチェイスに利用しやすい点で、クロスリンク反応が好ましい。
そして、前記疎水的相互作用により形成される疎水的環境下におのずと蛍光色素が配される。前記疎水的環境下に配された蛍光色素は、蛍光スペクトルの変化として、例えば、蛍光波長の変化及び蛍光強度の増大のうち少なくともいずれかが誘起される。
ここで、前記「蛍光波長の変化」とは、前記工程1の前後で、同一の励起波長を照射したときに、検出される蛍光波長が変化することを意味する。また、前記「蛍光強度の増大」とは、前記工程1の前後で、同一の蛍光波長を測定したときに、検出される蛍光強度が増大することを意味し、前記工程1の前後で同一の励起波長を照射することがより好ましい。
一方、前記工程1において、タグ−プローブ複合体を形成しなかったプローブの蛍光色素は、疎水的環境下に配されることがないので蛍光スペクトルの変化が誘起されず、タグ−プローブ複合体の形成に対応して蛍光スペクトルが変化した蛍光色素と、区別することができる。したがって、前記工程1において(a)タグ及び(b)プローブを接触させた後に、余剰のプローブを洗浄する操作を特に行わなくても、タグ−プローブ複合体を形成したプローブの蛍光色素のみを検出することができる。
以下に、クロスリンク反応を利用して、パルスチェイスを行う場合の一態様を説明する。
第1のプローブ及び第2のプローブには、互いに蛍光波長の異なる蛍光色素を結合し、更に、クロスリンク反応活性を有する官能基を付加しておく。また、定常的に発現するプロモーターの下流に、タグを融合させた標的ポリペプチドをコードするDNAを接続し、発現ベクターを構築する。この発現ベクターを細胞内に導入し、細胞を培養する。
標的ポリペプチドを発現している細胞に対し、前記第1のプローブを添加し、必要に応じて紫外線等を照射することにより、前記第1のプローブとタグとをクロスリンクさせる。このとき、タグとプローブとの結合は、クロスリンク反応により不可逆的な結合となっているので、第1のプローブにより標識された標的ポリペプチドは、第2のプローブにより標識することができなくなる。
次に、細胞の培養を継続しつつ、細胞に対して、標的ポリペプチドの局在が変化する刺激を与える。
そして、前記第2のプローブを添加し、必要に応じて紫外線等を照射することにより、前記第2のプローブとタグとをクロスリンクさせる。このとき、第2のプローブは、第1のプローブにより標識された標的ポリペプチドを標識することはなく、新たに発現した標的ポリペプチドのみを標識する。
そして、細胞を蛍光顕微鏡下で観察すると、第1のプローブにより標識された標的ポリペプチドと、第2のプローブにより標識された標的ポリペプチドとが、異なる場所に局在していることを確認することができる。
<工程2>
前記工程2においては、前記工程1により蛍光スペクトルが変化した蛍光色素の蛍光を測定する。
前記工程2における蛍光を測定する手段としては、特に制限はなく、例えば、従来公知の分光蛍光光度計により測定することができる。
前記工程2における蛍光の測定条件としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、照射する励起波長及び測定する蛍光波長は、それぞれ1波長であってもよく、複数の波長であってもよい。
前記照射する励起波長及び測定する蛍光波長としては、前記工程1の前後で蛍光スペクトルが変化する蛍光色素の蛍光を測定することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、NBDの蛍光測定を、励起波長456nm及び蛍光波長505nmで行った場合には、前記工程1の前後で、検出される蛍光強度が約18倍に増大するため、タグ−プローブ複合体の形成を判断するための指標として、好適に利用できる。
例えば、Dnsの蛍光測定を、励起波長340nm及び蛍光波長503nmで行った場合には、前記工程1の前後で、検出される蛍光強度が約15倍に増大するため、タグ−プローブ複合体の形成を判断するための指標として、好適に利用できる。
前記工程2における蛍光の測定回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1度だけ測定してもよく、複数回測定してもよく、経時的に測定してもよい
前記工程2における蛍光の測定時期としては、少なくとも前記工程1の後で測定される限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記工程1の前においても蛍光を測定しておき、前記工程1の前後における測定結果を比較することがより好ましい。
<検出対象>
−標的物質−
本発明の検出方法の対象となる標的物質は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリペプチド、核酸、糖、脂質などの生体分子が挙げられるが、中でも、タグと融合により結合させやすい点で、ポリペプチドであることが好ましい。なお、前記ポリペプチドには抗体が含まれ、前記脂質にはリポソームが含まれる。
以下、ポリペプチドからなる標的物質を標的ポリペプチドと称し、前記標的ポリペプチドについて詳細に説明する。
前記標的ポリペプチドとは、2つ以上のアミノ酸同士がペプチド結合されているものを意味する。
前記標的ポリペプチドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学合成されたポリペプチドであっても、所定の遺伝情報に基づき細胞系又は無細胞系で発現されたポリペプチドであってもよいが、より簡便にタグを結合(融合)された標的ポリペプチドを作成できる点で、前記発現されたポリペプチドがより好ましく、そのまま細胞内での動態や機能の調査に移行できる点で、細胞系で発現されたポリペプチドが更に好ましい。前記細胞系で発現されたポリペプチドとしては、生体内での発現量が経時的に変化するポリペプチドであってもよく、定常的に発現するポリペプチドであってもよい。
前記標的ポリペプチドの由来としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、人工的に設計されたポリペプチドであってもよく、天然に存在するポリペプチドであってもよく、これらを改変したポリペプチドであってもよい。
また、前記標的ポリペプチド自身が、従来公知のタグペプチド、蛍光タンパク質、レポータータンパク質などと融合された融合ポリペプチドであってもよく、例えば、ヒスチジンタグ、GFP(Green Fluorescent Protein)、ルシフェラーゼ、FLAGタグなどと融合された融合ポリペプチドであってもよい。
前記標的ポリペプチドを構成するアミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、より簡便にタグを融合された標的ポリペプチドを作成できる点で、細胞系又は無細胞系での発現に通常利用されるL型アミノ酸により構成されることが好ましい。
前記標的ポリペプチドのアミノ酸残基数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜1000残基が好ましく、50〜1000残基がより好ましい。即ち、前記標的ポリペプチドは、所謂、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質を含む。
本発明の検出方法の好適な実施態様として、タグが融合された前記標的ポリペプチドは、その動態や機能の観測を所望する生体内(下記、対象生物、対象臓器、対象組織、対象細胞を含む)に導入された状態で、検出される。
タグが融合された前記標的ポリペプチドが抗体である場合には、本発明のプローブを、1次抗体を標識するための2次抗体のように使用することができる。したがって、本発明のタグが融合された抗体と、本発明のプローブとを組合せることで、研究用のツールとして特に好適に利用できる。
−−対象生物−−
前記タグが融合された標的ポリペプチドが導入される生物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細菌、酵母、植物、昆虫、鳥類、爬虫類、両生類、哺乳類などが挙げられる。
−−対象臓器−−
前記タグが融合された標的ポリペプチドが導入される臓器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、胚、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤、膵臓、脳、四肢末梢、網膜などが挙げられる。
−−対象組織−−
前記タグが融合された標的ポリペプチドが導入される組織としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上皮組織、結合組織、筋肉組織、神経組織などが挙げられる。
−−対象細胞−−
前記タグが融合された標的ポリペプチドが導入される細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表皮細胞、膵実質細胞、膵管細胞、肝細胞、血液細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、骨芽細胞、骨格筋芽細胞、神経細胞、血管内皮細胞、色素細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞、卵細胞、ES細胞などが挙げられる。なお、前記細胞は、生体内に存在する細胞であってもよいし、培養細胞や、生体から単離された細胞であってもよい。
−−導入方法−−
前記タグが融合された標的ポリペプチドを、その動態や機能の観測を所望する生体内に導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トランスフォーメーション、トランスフェクション、接合、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、パーティクルガン、リン酸カルシウム沈殿法、マイクロインジェクション、膜透過ペプチドによるエンドサイトーシスなどが挙げられる。なお、前記タグが融合された標的ポリペプチドは、ポリペプチドとして導入されてもよいし、コードされたDNAとして導入されて生体内でポリペプチドを発現してもよい。
(タグ)
本発明のタグは、前記標的物質の検出方法に用いる標的物質に結合させるためのタグである。即ち、前記タグは、前記標的物質の検出方法において説明したαヘリックス構造を形成するポリペプチドからなる。
−製造方法−
前記タグの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学合成、又は、所定の遺伝情報に基づいた細胞系又は無細胞系での発現により製造することができる。
前記化学合成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Fmoc(Fluorenyl−MethOxy−Carbonyl)合成法やBoc(tert−Butyl Oxy Carbonyl合成法)などの固相合成法、液相合成法などが挙げられる。
前記所定の遺伝情報に基づいた発現としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来公知の遺伝工学的手法を用いてプロモーターの下流にタグをコードする遺伝子を連結したDNAを構築し、前記DNAを従来公知の手法により細胞内に導入したり、前記DNAを、RNAポリメラーゼ、ATP(アデノシン三リン酸)、リボソーム、アミノ酸などを含む無細胞系の反応液と混合したりすることにより発現させることができる。以上のように製造されたタグは、そのままタグとして利用してもよく、また、精製した後にタグとして利用してもよい。
なお、所定の遺伝情報に基づいて発現させる場合には、1つのプロモーターの下流にタグをコードする遺伝子と標的ポリペプチドをコードする遺伝子と連結したDNAを構築し、融合ポリペプチドとして発現させることが特に好ましい。
(DNA)
本発明のDNAは、前記タグをコードする塩基配列を含み、更に、必要に応じて他の塩基配列を含む。
前記他の塩基配列としては、例えば、タグをコードする塩基配列の上流に配置されるプロモーター配列、前記タグをコードする塩基配列の下流に配置されるターミネーター配列、ポリアデニル鎖付加シグナルなどが挙げられる。前記プロモーター配列としては、通常、発現を所望するホスト細胞でタグをコードする塩基配列を発現可能なものが選択される。また、前記他の塩基配列として、エンハンサー、前記DNAを保有する細胞を選択するためのマーカー遺伝子、標的ポリペプチドをコードする遺伝子を本発明のDNAに組み込むための制限酵素部位などを含んでいてもよい。
(ベクター)
本発明のベクターは、前記DNAが挿入されており、更に、必要に応じて他の成分を含む。
前記ベクターとしては、通常、発現を所望するホスト細胞や遺伝子導入法の種類に応じて適切なものが選択される。好ましい原核細胞性ベクター、真核細胞性ベクター、動物細胞性ベクター、植物細胞性ベクターは、当該分野において周知であるが、例えば、動物細胞での発現を所望する場合には、ウィルスベクターなどを用いることができる。前記他の成分としては、例えば、ウィルスベクターをパッケージングするためのタンパク質粒子や細胞などが挙げられる。
(プローブ)
本発明のプローブは、前記標的物質の検出方法に用いるプローブである。即ち、前記プローブは、前記標的物質の検出方法において説明した蛍光色素が結合された化合物からなる。前記したように、前記化合物としては、例えば、αヘリックス構造を形成するポリペプチド、αヘリックスのミメティック化合物などが挙げられ、αヘリックス構造を形成するポリペプチドであれば、タグのαヘリックス構造とロイシンジッパー構造を形成できる点で、特に好ましい。
−製造方法−
蛍光色素の入手方法の例を以下に示す。NBDは、NBDクロリドとして、関東化学、東京化成工業、アルドリッチなどの試薬販売会社より購入することができる。Dnsは、Dnsクロリドとして、関東化学、東京化成工業、和光純薬、シグマ、アルドリッチなどの試薬販売会社より購入することができる。DANは、参考文献(Bruce E. Cohen, et al., Science, 2002, 296, 1700-1703)などに記載の方法に従って製造することができる。その他、Ant(アントラニロイル)、Mant(N−メチルアントラニロイル)、DMAP(4−ジメチルアミノフタルイミド)、DMAN(6−ジメチルアミノ−2,3−ナフタルイミド)、3−ジメチルアミノベンゾニトリル、ANS(1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸)、MANS(N−メチル−2−アニリノナフタレン−6−スルホン酸)、TNS(2−p−トルイジニルナフタレン−6−スルホン酸)、ジメチルアミノフェノキサゾン、Nile Red(ナイルレッド)及びDapoxyl sulfonyl(登録商標)などの、疎水性環境下で蛍光スペクトルが変化する蛍光色素は、種々の合成的方法により製造することができる。
そして、例えば、前記NBDクロリドや前記Dnsクロリドを、側鎖にアミノ基を有するL型アミノ酸と反応させることにより、蛍光色素を側鎖に有するL型アミノ酸を製造することができる。
前記プローブのポリペプチドの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学合成や、所定の遺伝情報に基づいた細胞系又は無細胞系での発現などにより製造することができる。
前記化学合成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Fmoc(Fluorenyl−MethOxy−Carbonyl)合成法やBoc(tert−Butyl Oxy Carbonyl合成法)などの固相合成法、液相合成法などが挙げられる。
前記化学合成における合成過程において、アミノ酸に替えて、例えば、蛍光色素を側鎖に有するL型アミノ酸を取り込ませることで、プローブを製造することができる。
前記所定の遺伝情報に基づいた発現としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来公知の遺伝工学的手法を用いてプロモーターの下流にタグをコードする遺伝子を連結したDNAを構築し、前記DNAを従来公知の手法により細胞内に導入したり、前記DNAを、RNAポリメラーゼ、ATP(アデノシン三リン酸)、リボソーム、アミノ酸などを含む無細胞系の反応液と混合したりすることにより、発現させることができる。
このようにポリペプチドを発現させた後に、ポリペプチドを精製し、特定のアミノ酸(例えば、システイン)に選択的な反応基を有する蛍光色素を反応させることにより、前記特定のアミノ酸に蛍光色素が結合して、プローブを製造することができる。
(標的物質の検出キット)
本発明の標的物質の検出キットは、前記タグ、前記DNA、前記ベクターのうち少なくとも1つと、前記プローブを含んでなる。
<具体例>
以下、本実施形態の具体例を説明するが、本発明は、これらの具体例に何ら限定されるものではない。
本具体例においては、タグのポリペプチドが下記構造式(2)で表され、プローブのポリペプチドが下記構造式(3)で表される。
タグ:
{X−ε−α−X−β−γ−X}{X−ε−α−X−β−γ−X}{X−ε−α−X−β−γ−X}{X}{X−γ−β−X−β−ε−X}{X−γ−β−X−β−ε−X}{X−γ−β−X−β−ε−X} ・・・(2)
プローブ:
{X−γ−α−X−α−σ−X}{X−γ−α−X−α−σ−X}{X−γ−α−X−α−σ−X} ・・・(3)
〔構造式(2)及び(3)中、
αは、酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸である。
βは、αが酸性アミノ酸の場合には塩基性アミノ酸であり、αが塩基性アミノ酸の場合には酸性アミノ酸である。
γは、疎水性アミノ酸である。
σからσのうち少なくとも1つは、蛍光色素が結合された分子であり、それ以外のσからσは疎水性アミノ酸である。
εは、σが蛍光色素が結合された分子である場合には、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかであり、σが疎水性アミノ酸である場合には、疎水性アミノ酸である。
εは、σが蛍光色素が結合された分子である場合には、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかであり、σが疎水性アミノ酸である場合には、疎水性アミノ酸である。
εは、σが蛍光色素が結合された分子である場合には、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかであり、σが疎水性アミノ酸である場合には、疎水性アミノ酸である。
、X、Xは、任意のアミノ酸である。
は、M個の任意のアミノ酸Xからなるリンカーペプチドである。〕
図1は、本具体例のタグ及びプローブが形成するαヘリックス構造を示す図であって、プローブのαヘリックスにおいてはアミノ末端側からの視点の図である。
図1に示すように、本具体例においては、タグ10のポリペプチドが、リンカーポリペプチド(X)を介して連結された2つのαヘリックス構造11、12を形成し、プローブ20のポリペプチドが、1つのαヘリックス構造21を形成する。
各αヘリックス構造11、12及び21の、ε(ε〜ε)、σ(σ〜σ)及びγのアミノ酸は、疎水的相互作用によってタグ−プローブ複合体の中心へと内向し、かつ、互いに近接することで、複合体の中心に疎水性環境(図示せず)を形成している。
また、各αヘリックス構造11、12及び21の、α及びβのアミノ酸は、隣接するαヘリックス構造11、12及び21との電荷が対応するように設計されているので、静電的相互作用(図1では破線で示されている。)により、結合親和性が更に増加し、複合体を安定化している。
また、タグ10のαヘリックス11、12のεが、蛍光色素22が結合されたσと対向する位置で、側鎖の短いアミノ酸に置換されていることで、蛍光色素22が格納される疎水性ポケットSが拡大されている。
そして、蛍光色素22は、プローブ20のαヘリックス構造21のσに結合されているために、おのずと疎水性ポケットSに配される。
図2は、本具体例の標的物質の検出方法の概念を説明するための図である。
図2に示すように、タグ10のαヘリックス構造11、12と、プローブ20のαヘリックス構造21とが疎水的相互作用及び静電的相互作用により結合し、タグ−プローブ複合体40を形成する。そして、前記疎水的相互作用により形成される疎水的環境下(疎水性ポケットS)におのずと蛍光色素22が配される。前記疎水的環境下に配された蛍光色素22は、蛍光スペクトルの変化として、蛍光波長の変化及び蛍光強度の増大のうち少なくともいずれかが誘起される。したがって、タグ−プローブ複合体40の形成に特異的な蛍光を検出することが可能となる。ここで、図2に示す本具体例においては、タグ10に標的物質30が結合しているので、前記特異的な蛍光の検出により、標的物質30を検出することができる。
なお、本具体例において、タグのポリペプチドが下記構造式(4)で表され、かつ、プローブのポリペプチドが下記構造式(5)で表されることが、より好ましい。
タグ:
{Ala−γ−α−Lys−β−γ−Glu}{Ala−ε−α−Lys−β−γ−Glu}{Ala−γ−α−Lys−β−γ−Ala}{X}{Ala−γ−β−Lys−β−γ−Glu}{Ala−γ−β−Lys−β−ε−Glu}{Ala−γ−β−Lys−β−γ−Ala} ・・・(4)
プローブ:
{Ala−γ−α−Lys−α−γ−Glu}{Ala−γ−α−Lys−α−σ−Glu}{Ala−γ−α−Lys−α−γ−Ala} ・・・(5)
〔構造式(4)及び(5)中、
αは、酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸である。
βは、αが酸性アミノ酸の場合には塩基性アミノ酸であり、αが塩基性アミノ酸の場合には酸性アミノ酸である。
γは、疎水性アミノ酸である。
σは、蛍光色素が結合された分子である。
εは、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかである。
は、M個の任意のアミノ酸Xからなるリンカーペプチドである。〕
このような配列としたことで、構造式(4)及び(5)においてαヘリックスを誘起しやすいアミノ酸が配置され、構造式(2)及び(3)に比べて、よりタグ−プローブ複合体を形成しやすくなるという効果を奏する。
なお、本具体例において、タグのポリペプチドが下記構造式(6)で表され、かつ、プローブのポリペプチドが下記構造式(7)で表されることが、更に好ましい。
タグ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−ε−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Ala}{X}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−ε−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Ala} ・・・(6)
プローブ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−σ−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Ala} ・・・(7)
〔構造式(6)及び(7)中、
σは、蛍光色素が結合された分子である。
εは、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかである。
は、M個の任意のアミノ酸Xからなるリンカーペプチドである。〕
このような配列としたことで、構造式(6)及び(7)においてαヘリックスを誘起しやすいアミノ酸が配置され、構造式(4)及び(5)に比べて、よりタグ−プローブ複合体を形成しやすくなるという効果を奏する。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1で合成したタグのポリペプチドは下記構造式(8)で表され、プローブのポリペプチドは下記構造式(9)で表される。また、図面においては、実施例1のタグのポリペプチドを「A2」と表し、プローブのポリペプチドを「L−NBD」と表す。
タグ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Ala−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Ala}{Gly−Gly−Cys−Gly−Gly}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Ala−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Ala} ・・・(8)(配列番号:1)
プローブ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Dap(NBD)−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Ala} ・・・(9)(配列番号:2)
<合成方法>
合成したペプチドは、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により分離精製し、MALDI−TOF−MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析)により同定した。
HPLCはLaChrom Elite HTAシステム(日立ハイテク社製)を使用し、分析カラムとして5C18−AR−II(ナカライテスク社製、4.6φ×250mm)及び精製用のセミ分取カラムとして5C18−AR−II(ナカライテスク社製、10φ×250mm)を用いた。HPLCの溶出液として、0.1%のトリフルオロ酢酸を含む超純水(A溶媒)及び高純度アセトニトリル(B溶媒)を用い、A溶媒とB溶媒の比率を連続的に変化させて目的ペプチドを溶出した。ペプチドの検出は紫外可視吸収測定(測定波長:220nm)により行った。
MALDI−TOF−MSはVoyager DE−STR(Applied Biosystems)を用いて測定を行った。ペプチドのHPLC溶出液5μLにα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸溶液(10mg/mL in 50:50 HO/CHCN(アセトニトリル),0.1%トリフルオロ酢酸)5μLを加えてサンプル溶液とし、そのうち2μLをサンプルプレート上にスポットし、測定サンプルを調製した。分子量既知のペプチド(タンパク質)を用いて測定機器の補正を行い、目的ペプチドのシグナルを[M+H]のプロトン付加体として検出した。
−プローブペプチドの合成−
プローブペプチドは、文献(W.C.Chan,P.D.White,in Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach;Eds.,W.C.Chan,P.D.White,Oxford University Press Inc.,New York,2000,41.)に記載のFmoc固相合成法に従って、樹脂上でFmoc保護アミノ酸を段階的にカップリングして伸長反応を行なった。
アミノ基の導入率が0.55mmol/g resinのRink Amide resin 45mg(0.025mmol)を反応チューブに入れ、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)で洗浄・膨潤を行なった。樹脂を20% PPD(ピペリジン)/DMF溶液中、15分間振とう撹拌し、2mLのDMFで6回洗浄した。アミノ基に対して5当量のFmoc保護アミノ酸、ジイソプロピルカルボジイミド(5当量)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(5当量)を2mLのDMFに溶解して加え、1時間振とう撹拌後、2mLのDMFで6回洗浄した。上記の手順で順次アミノ酸をカップリングしてペプチド鎖を伸長した。
伸長後、2mLのDMF中でアミノ末端のアミノ基を50当量の無水酢酸によりアセチル化し、樹脂をクロロホルムで洗浄後、真空乾燥した。アセチル化ペプチド−樹脂にm−クレゾール0.1mL、チオアニソール0.3mL、トリイソプロピルシラン0.04mL、トリフルオロ酢酸4mLを加え、室温で1時間撹拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧下濃縮し、残渣に氷冷したジエチルエーテルを加えて沈殿を得た。沈殿を遠心分離し(3000rpm)、ジエチルエーテルで数回洗浄したのち真空乾燥して、粗ペプチドを得た。粗ペプチドを10%酢酸水溶液に溶解し、C18逆相セミ分取カラム(10φ×250mm)を用いてHPLCにより精製し、減圧下濃縮後、凍結乾燥した。収量は3.51mg、収率は5%であった。
HPLC(グラジエント:A/B=78/22→48/52、30分)
溶出時間15.1分
[M+H]=2685.6(理論値[M+H]=2685.2)
−タグペプチドの合成−
タグペプチドはA鎖とB鎖の2つのフラグメントに分け、2つのフラグメントを連結することにより合成した。A鎖とB鎖はリンカーペプチド部分のシステイン残基で分割し、アミノ末端にシステインを有するフラグメントをA鎖、もう一方をB鎖とした。
A鎖はプローブペプチドと同様にして合成、精製を行った。
B鎖は、2−Chlorotrityl chloride resinに第一アミノ酸を導入した後、プローブペプチドと同様に樹脂上で伸長反応を行った。酢酸/トリフルオロエタノール/ジクロロメタン=1/1/3の溶液で樹脂から切断し、減圧濃縮後、真空乾燥した。得られた保護粗ペプチドを、EDCI・HCl(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物、メルカプトプロピオン酸エチルエステルを用いてチオエステル化した。得られたチオエステルをプローブペプチドと同様の条件で脱保護したのち、HPLC精製を行った。
精製したA鎖、B鎖をグアニジン変性条件化、pH7.4のリン酸緩衝液中で、Native chemical ligation法により連結し、タグペプチドを得た。タグペプチドの収率は8%であった。
HPLC(グラジエント:A/B=70/30→40/60、30分)
溶出時間23.5分
[M+H]=5309.8(理論値[M+H]=5309.1)
(実施例2)
実施例2のタグのポリペプチド及びプローブのポリペプチドを、実施例1と同様の合成方法により合成した。
実施例2で合成したタグのポリペプチドは下記構造式(10)で表され、プローブのポリペプチドは下記構造式(9)で表される。なお、前記プローブのポリペプチドは、実施例1と同じである。また、図面においては、実施例2のタグのポリペプチドを「L2」と表し、プローブのポリペプチドを「L−NBD」と表す。
タグ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Ala}{Gly−Gly−Cys−Gly−Gly}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Ala} ・・・(10)(配列番号:3)
プローブ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Dap(NBD)−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Ala} ・・・(9)(配列番号:2)
(実施例3)
実施例3のタグのポリペプチド及びプローブのポリペプチドを、実施例1と同様の合成方法により合成した。
実施例3で合成したタグのポリペプチドは下記構造式(11)で表され、プローブのポリペプチドは下記構造式(9)で表される。なお、前記プローブのポリペプチドは、実施例1と同じである。また、図面においては、実施例3のタグのポリペプチドを「G2」と表し、プローブのポリペプチドを「L−NBD」と表す。
タグ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Gly−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Ala}{Gly−Gly−Cys−Gly−Gly}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Gly−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Ala} ・・・(11)(配列番号:4)
プローブ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Dap(NBD)−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Ala} ・・・(9)(配列番号:2)
(実施例4:円二色性スペクトル測定)
実施例1〜3のタグのポリペプチド及びプローブのポリペプチドについて、円二色性スペクトル測定を行った。
タグペプチド、プローブペプチド及びタグ−プローブ複合体の構造を円二色性スペクトル測定により解析した。円二色性スペクトル測定は光路長1cmの石英セルを使用し、Jasco J−720WI spectropolarimeter(日本分光社製)を用いて行った。
図3Aは、実施例1について測定した円二色性スペクトル測定の結果を示す図であり、図3Bは、実施例2について測定した円二色性スペクトル測定の結果を示す図であり、図3Cは、実施例3について測定した円二色性スペクトル測定の結果を示す図である。図3A〜図3Cにおいて、横軸は測定波長を示し、縦軸はモル残基楕円率を示す。
図3Aに示すように、実施例1において、タグペプチドは58%がαヘリックス構造を取っており、プローブペプチドは53%がαヘリックス構造を取っていた。タグ−プローブ混合液中ではタグ、プローブともαヘリックス構造が更に誘起され、71%がαヘリックス構造を形成していることがわかった。
図3Bに示すように、実施例2において、タグペプチドは81%がαヘリックス構造を取っており、プローブペプチドは53%がαヘリックス構造を取っていた。タグ−プローブ混合液中ではタグ、プローブともαヘリックス構造が更に誘起され、78%がαヘリックス構造を形成していることがわかった。
図3Cに示すように、実施例3において、タグペプチドは18%がαヘリックス構造を取っており、プローブペプチドは53%がαヘリックス構造を取っていた。タグ−プローブ混合液中ではタグ、プローブともαヘリックス構造が更に誘起され、41%がαヘリックス構造を形成していることがわかった。
(実施例5:蛍光滴定)
実施例1〜3のタグのポリペプチド及びプローブのポリペプチドについて、蛍光滴定を行った。
0.5μMのプローブペプチド溶液(HEPES緩衝液)にタグペプチドを0.1〜2.0当量のタグペプチド溶液を滴下し、蛍光スペクトル測定を行った。蛍光スペクトル測定は光路長1cmの石英セルを使用し、Jasco FP−750 spectofluorometer(日本分光社製)を用いて行った。
図4Aは、実施例1について測定した蛍光滴定の結果を示す図であり、図4Bは、実施例2について測定した蛍光滴定の結果を示す図であり、図4Cは、実施例3について測定した蛍光滴定の結果を示す図である。図4A〜4Cにおいて、横軸は蛍光波長を示し、縦軸は蛍光強度を示す。
図4Aに示すように、実施例1において、プローブペプチド単独では540nm付近に比較的弱い蛍光を示したが、タグペプチドの濃度増加に伴って蛍光波長が短波長側にシフトしながら蛍光強度の顕著な増大を示した。蛍光波長は、最終的に505nmまで短波長シフトした。
図4Bに示すように、実施例2において、プローブペプチド単独では540nm付近に比較的弱い蛍光を示したが、タグペプチドの濃度増加に伴って蛍光波長が短波長側にシフトしながら蛍光強度の顕著な増大を示した。蛍光波長は、最終的に516nmまで短波長シフトした。
図4Cに示すように、実施例3において、プローブペプチド単独では540nm付近に比較的弱い蛍光を示したが、タグペプチドの濃度増加に伴って蛍光波長が短波長側にシフトしながら蛍光強度の顕著な増大を示した。蛍光波長は、最終的に526nmまで短波長シフトした。
図5は、図4A〜4Cにおいて蛍光強度のピークが最も高い蛍光スペクトルを重畳した図である。
図5に示すように、実施例1〜3を比較したときに、実施例1のタグのポリペプチド及びプローブのポリペプチドの組合せが、最も蛍光強度が上昇することを確認した。
更に、前記蛍光滴定において、505nmにおける蛍光強度の変化率をタグペプチドの濃度に対してプロットし、タグペプチドとプローブペプチドとが1対1で結合すると仮定した理論式により解析して解離定数を算出した。
図6は、蛍光滴定の結果を示す図である。図6において、横軸は、プローブに対するタグの滴定量を示し、縦軸は、プローブのみの蛍光強度(蛍光波長505nm)を1としたときの相対的な蛍光強度の増大量を示す。図6に示すように、実施例1〜3において、蛍光の変化はタグペプチドが1当量で飽和に達した。このとき、実施例1について測定した505nmでの蛍光強度はタグペプチド非存在下と比べて18倍まで増加していた。この蛍光変化を、タグとプローブペプチドが1:1で相互作用すると仮定した理論式で解析することにより、解離定数Kd=17.5nMと算出することができ、タグ−プローブペプチの相互作用は少なくとも抗体と同程度の結合親和性を有していることがわかった。同様に実施例2及び実施例3の解離定数Kdを算出した結果、それぞれ、24.3nM及び755nMであった。
更に、前記蛍光滴定において、タグペプチドとプローブペプチドとの濃度の総和を1.0μMに固定し、タグペプチドとプローブペプチドとの濃度の割合を変えて505nmの蛍光強度を測定し、タグペプチドとプローブペプチドとの濃度の総和に対するタグペプチドの濃度の割合に対してプロットし、タグペプチドとプローブペプチドとが1対1で結合すると仮定した理論式により解析した。
図7は、実施例1のタグペプチドとプローブペプチドについてのJob’s plotを示す図である。図7において、横軸はタグペプチドとプローブペプチドの濃度の総和に対するタグペプチドの濃度の割合を示し、縦軸は505nmにおける蛍光強度を示す。図7に示すように、タグペプチドとプローブペプチドは、1:1で相互作用していた。したがって、本実施例においては、1つのタグペプチドに含まれる2つのαヘリックスと、1つのプローブペプチドに含まれる1つのαヘリックスとが会合し、αヘリックスの3量体を形成していることが示唆された。
(実施例5:BSAとの比較)
実施例1のタグのポリペプチド及びプローブのポリペプチドについて、BSAとの比較を行った。
0.5μMのプローブペプチド溶液(HEPES緩衝液)に、タグペプチド又はBSAを1〜100当量のタグペプチド溶液又はBSA溶液を滴下し、蛍光スペクトル測定を行った。蛍光スペクトル測定は光路長1cmの石英セルを使用し、Jasco FP−750 spectofluorometer(日本分光社製)を用いて行った。
図8は、実施例5の結果を示す図である。図8において、横軸は、プローブに対するタグ又はBSAの滴定量を示し、縦軸は、プローブのみの蛍光強度(蛍光波長505nm)を1としたときの相対的な蛍光強度の増大量を示す。図8に示すように、プローブペプチドに100当量のBSAを加えてもほとんど蛍光スペクトルは変化しないことがわかった。これより、プローブペプチドはBSAと結合しないか、結合しても蛍光変化は誘起されないことが明らかとなった。
(実施例6:細胞破砕液中での蛍光滴定)
実施例1のタグのポリペプチド及びプローブのポリペプチドについて、細胞破砕液中で蛍光滴定を行った。
1.0×10cell/mLのHeLa細胞の培養液10mLを遠沈管に分注し、1000rpmで5分間遠心し、HeLa細胞のペレットを得た。得られたHeLa細胞のペレットを1mLのHEPES緩衝液に分散させ、10分間超音波処理を行なったのち、メンブレンフィルターにより不要物を濾去し、細胞破砕液を調製した。この細胞破砕液にプローブペプチドを0.5μMになるように溶解させ、この溶液にタグペプチドが0.1〜4.0当量になるようにタグペプチド溶液を滴下し、蛍光スペクトル測定を行った。蛍光スペクトル測定は光路長1cmの石英セルを使用し、Jasco FP−750 spectofluorometer(日本分光社製)を用いて行った。
図9は、実施例6の結果を示す図である。図9において、横軸は蛍光波長を示し、縦軸は蛍光強度を示す。
図9に示すように、プローブペプチドはタグペプチドの添加に伴い、HEPES緩衝液中とほぼ同様の蛍光スペクトル変化を示した。なお、短波長側の蛍光強度が若干高いが、これは細胞破砕液中の成分による蛍光あるいは散乱光によるものと考えられる。
(実施例7:クロスリンク反応用のプローブペプチドの合成)
実施例7では、下記構造式(14)で表されるクロスリンク反応用のプローブペプチドを合成した。なお、クロスリンク反応用の前記プローブペプチドは、実施例1のプローブペプチドのN末端に、クロロアセチル化されたグリシンが付加されている。
プローブ:
ClAc−{Gly}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Dap(NBD)−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Ala} ・・・(12)(配列番号:5)
〔但し、前記構造式中、ClAcは、クロロアセチル基を意味する。〕
0.05mmolスケールで、実施例1と同様にプローブペプチドを伸長後、N末端側にリンカーとしてグリシンを1残基伸長し、クロロ酢酸をカップリングすることにより、クロロアセチル基を導入した。前記クロロアセチル基は、システイン側鎖のチオール基とクロスリンク反応し、共有結合することが知られている。
樹脂をクロロホルムで洗浄、真空乾燥し、クロロアセチル化ペプチド−樹脂にm−クレゾール0.1mL、チオアニソール0.3mL、トリイソプロピルシラン0.04mL、トリフルオロ酢酸4mLを加え、室温で1時間撹拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧下濃縮し、残渣に氷冷したジエチルエーテルを加えて沈殿を得た。沈殿を遠心分離し(3000rpm)、ジエチルエーテルで数回洗浄したのち真空乾燥して、粗ペプチドを得た。粗ペプチドを10%酢酸水溶液に溶解し、C18逆相セミ分取カラム(10φ×250mm)を用いてHPLCにより精製し、減圧下濃縮後、凍結乾燥した。収量は12.8mg、収率は27.8%であった。
HPLC(グラジエント:A/B=77/23→62/38、30分)
溶出時間23.0分
[M+H]=2662.9(理論値[M+H]=2662.6)
(実施例8:クロスリンク反応)
実施例7のクロスリンク反応用のプローブペプチドを用いて、クロスリンク反応を行った。
クロスリンク反応させる対象としては、下記構造式(8)で表されるタグのポリペプチドを用いた。なお、前記タグのポリペプチドは、実施例1と同じである。
タグ:
{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Ala−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Ala}{Gly−Gly−Cys−Gly−Gly}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Ala−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Ala} ・・・(8)(配列番号:1)
1.0μMのタグペプチド溶液(50 mM HEPES緩衝溶液(pH 7.2、100 mM NaCl))に1.0μMになるようにプローブペプチドを加え、25度で反応させた。1分後、5分後、10分後、15分後、20分後、30分後に反応溶液を1mLずつサンプリングし、10%酢酸水溶液1mLを加えて反応を停止させた後、C18逆相分析カラム(4.6φ×250mm)を用いてHPLCにより各サンプルを分析した。クロスリンク生成物はESI−TOFMSで同定を行なった。反応の進行率はHPLCのピーク面積比から算出した。
HPLC(グラジエント:A/B=80/20→50/50、30分)
溶出時間29.0分(クロスリンク生成物)
[M+H]=7934.0(理論値[M+H]=7934.2)
図10は、実施例8の結果を示す図である。図10において、横軸は、プローブペプチドを添加後の経過時間を示し、縦軸は、クロスリンク反応の進行率を示す。
図10に示すように、比較的、希薄な溶液中でもタグとプローブが共有結合を形成することが明らかとなった。反応開始から10分で8割は反応が進行しており、迅速なクロスリンク反応が起こっているものと考えられる。
本発明の標的物質の検出方法は、標的物質の機能への影響を低減しつつ、標的物質の発現を任意の時間で可視化することができ、様々な励起・蛍光波長を有する蛍光色素を利用することができ、染色作業が容易であるので、様々なタンパク質についての構造や機能の研究に好適に利用することができる。したがって、本発明の標的物質の検出方法は、生体のメカニズムや疾患の研究に応用することができる。また、前記標的物質の検出方法に用いるタグ、DNA、ベクター、プローブ及び検出キットは、前記研究用の試薬及びキットとして好適に利用することができる。

Claims (23)

  1. (a)αヘリックス構造を形成するポリペプチドからなり、標的物質に結合されたタグ、及び、(b)蛍光色素が結合された化合物からなるプローブ、
    を接触させる工程と、
    前記蛍光色素が発する蛍光を測定する工程と、を含み、
    前記蛍光色素は、前記タグのαヘリックス構造及び前記プローブの化合物の結合によって、蛍光スペクトルの変化が誘起されることを特徴とする標的物質の検出方法。
  2. タグのαヘリックス構造及びプローブの化合物の結合が、疎水的相互作用を含む請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. タグのαヘリックス構造及びプローブの化合物の結合が、静電的相互作用を含む請求の範囲第2項に記載の方法。
  4. プローブの化合物が、αヘリックス構造を形成するポリペプチドであって、蛍光色素がプローブの前記αヘリックス構造に結合されてなる請求の範囲第1項から第3項のいずれかに記載の方法。
  5. タグの少なくとも1つのαヘリックス構造と、プローブの少なくとも1つのαヘリックス構造とが、互いに平行及び逆平行のうち少なくともいずれか1つで会合し、それぞれの疎水性面を内向させてタグ−プローブ複合体を形成する請求の範囲第1項から第4項のいずれかに記載の方法。
  6. タグのαヘリックス構造が、下記構造式(1)
    {X−X−X−X−X−X−X} ・・・(1)
    〔構造式(1)中、Nは2以上の任意の整数であり、X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X,Xはそれぞれ疎水性アミノ酸であり、X,X,Xはそれぞれ任意のアミノ酸を示す。〕
    で表されるアミノ酸配列のうち、連続する7残基以上のアミノ酸からなる請求の範囲第1項から第5項のいずれかに記載の方法。
  7. タグの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかに置換されてなる請求の範囲第6項に記載の方法。
  8. タグのαヘリックス構造の数が2つ以上である請求の範囲第1項から第7項のいずれかに記載の方法。
  9. タグのαヘリックス構造同士が、任意のアミノ酸からなるリンカーペプチドを介して連結されてなる請求の範囲第8項に記載の方法。
  10. プローブのαヘリックス構造が、下記構造式(1)
    {X−X−X−X−X−X−X} ・・・(1)
    〔構造式(1)中、Nは2以上の任意の整数であり、X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X,Xはそれぞれ疎水性アミノ酸又であり、X,X,Xはそれぞれ任意のアミノ酸を示す。〕
    で表される配列のうち、連続する7残基以上のアミノ酸からなり、
    プローブの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸が、蛍光色素が結合された分子に置換されてなる請求の範囲第4項から第9項のいずれかに記載の方法。
  11. プローブのαヘリックス構造の数が2つ以上である請求の範囲第4項から第10項のいずれかに記載の方法。
  12. プローブのαヘリックス構造同士が、任意のアミノ酸からなるリンカーペプチドを介して連結されてなる請求の範囲第11項に記載の方法。
  13. プローブが、蛍光色素を結合していないαヘリックス構造を有する場合に、
    前記αヘリックス構造のうち少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかに置換されてなる請求の範囲第11項から第12項のいずれかに記載の方法。
  14. タグのポリペプチドが下記構造式(2)で表される配列を含み、かつ、プローブのポリペプチドが下記構造式(3)で表される配列を含む請求の範囲第4項に記載の方法。
    タグ:
    {X−ε−α−X−β−γ−X}{X−ε−α−X−β−γ−X}{X−ε−α−X−β−γ−X}{X}{X−γ−β−X−β−ε−X}{X−γ−β−X−β−ε−X}{X−γ−β−X−β−ε−X} ・・・(2)
    プローブ:
    {X−γ−α−X−α−σ−X}{X−γ−α−X−α−σ−X}{X−γ−α−X−α−σ−X} ・・・(3)
    〔構造式(2)及び(3)中、
    αは、酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸である。
    βは、αが酸性アミノ酸の場合には塩基性アミノ酸であり、αが塩基性アミノ酸の場合には酸性アミノ酸である。
    γは、疎水性アミノ酸である。
    σからσのうち少なくとも1つは、蛍光色素が結合された分子であり、それ以外のσからσは疎水性アミノ酸である。
    εは、σが蛍光色素が結合された分子である場合には、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかであり、σが疎水性アミノ酸である場合には、疎水性アミノ酸である。
    εは、σが蛍光色素が結合された分子である場合には、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかであり、σが疎水性アミノ酸である場合には、疎水性アミノ酸である。
    εは、σが蛍光色素が結合された分子である場合には、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかであり、σが疎水性アミノ酸である場合には、疎水性アミノ酸である。
    、X、Xは、任意のアミノ酸である。
    は、M個の任意のアミノ酸Xからなるリンカーペプチドである。〕
  15. タグのポリペプチドが下記構造式(4)で表される配列を含み、かつ、プローブのポリペプチドが下記構造式(5)で表される配列を含む請求の範囲第4項に記載の方法。
    タグ:
    {Ala−γ−α−Lys−β−γ−Glu}{Ala−ε−α−Lys−β−γ−Glu}{Ala−γ−α−Lys−β−γ−Ala}{X}{Ala−γ−β−Lys−β−γ−Glu}{Ala−γ−β−Lys−β−ε−Glu}{Ala−γ−β−Lys−β−γ−Ala} ・・・(4)
    プローブ:
    {Ala−γ−α−Lys−α−γ−Glu}{Ala−γ−α−Lys−α−σ−Glu}{Ala−γ−α−Lys−α−γ−Ala} ・・・(5)
    〔構造式(4)及び(5)中、
    αは、酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸である。
    βは、αが酸性アミノ酸の場合には塩基性アミノ酸であり、αが塩基性アミノ酸の場合には酸性アミノ酸である。
    γは、疎水性アミノ酸である。
    σは、蛍光色素が結合された分子である。
    εは、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかである。
    は、M個の任意のアミノ酸Xからなるリンカーペプチドである。〕
  16. タグのポリペプチドが下記構造式(6)で表される配列を含み、かつ、プローブのポリペプチドが下記構造式(7)で表される配列を含む請求の範囲第4項に記載の方法。
    タグ:
    {Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−ε−Lys−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Glu−Leu−Ala}{X}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−ε−Glu}{Ala−Leu−Glu−Lys−Glu−Leu−Ala} ・・・(6)
    プローブ:
    {Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−σ−Glu}{Ala−Leu−Lys−Lys−Lys−Leu−Ala} ・・・(7)
    〔構造式(6)及び(7)中、
    σは、蛍光色素が結合された分子である。
    εは、それぞれ独立にグリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかである。
    は、M個の任意のアミノ酸Xからなるリンカーペプチドである。〕
  17. 蛍光色素が、NBD(4−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール)、Dns(ダンシル;1−ジメチルアミノナフタレン−5−スルホニル)、DAN(6−ジメチルアミノ−2−ナフトイル)、Ant(アントラニロイル)、Mant(N−メチルアントラニロイル)、DMAP(4−ジメチルアミノフタルイミド)、DMAN(6−ジメチルアミノ−2,3−ナフタルイミド)、3−ジメチルアミノベンゾニトリル、ANS(1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸)、MANS(N−メチル−2−アニリノナフタレン−6−スルホン酸)、TNS(2−p−トルイジニルナフタレン−6−スルホン酸)、ジメチルアミノフェノキサゾン、Nile Red(ナイルレッド)、Dapoxyl sulfonyl(登録商標)、インドシアニングリーン、7−ヒドロキシクマリン−3−カルボキシリックアシッド、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボキシリックアシッド、フルオレセイン、2,7−ジクロロフルオレセイン、TAMRA(テトラメチルローダミン),Cy3、Cy5、Cy7、クマリン類、アントラセン及びピレンのうちいずれかである請求の範囲第1項から第16項のいずれかに記載の方法。
  18. 請求の範囲第1項から第17項のいずれかに記載の方法に用いる標的物質に結合させるためのタグであって、
    前記タグは、αヘリックス構造を形成するポリペプチドからなり、
    前記タグのαヘリックス構造が、下記構造式(1)
    {X−X−X−X−X−X−X} ・・・(1)
    〔構造式(1)中、Nは2以上の任意の整数であり、X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X,Xはそれぞれ疎水性アミノ酸であり、X,X,Xはそれぞれ任意のアミノ酸を示す。〕
    で表されるアミノ酸配列のうち、連続する7残基以上のアミノ酸からなる標的物質に結合させるためのタグ。
  19. タグの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、セリン、スレオニン及びアスパラギンのうちいずれかに置換されてなる請求の範囲第18項に記載の標的物質に結合させるためのタグ。
  20. 請求の範囲第18項から第19項のいずれかに記載のタグをコードするDNA。
  21. 請求の範囲第20項に記載のDNAが挿入されたベクター。
  22. 請求の範囲第1項から第17項のいずれかに記載の方法に用いるプローブであって、
    前記プローブは、αヘリックス構造を形成するポリペプチドを含み、
    前記プローブの前記αヘリックス構造が、下記構造式(1)
    {X−X−X−X−X−X−X} ・・・(1)
    〔構造式(1)中、Nは2以上の任意の整数であり、X,Xはそれぞれ酸性アミノ酸又は塩基性アミノ酸であり、X,Xはそれぞれ疎水性アミノ酸又であり、X,X,Xはそれぞれ任意のアミノ酸を示す。〕
    で表される配列のうち、連続する7残基以上のアミノ酸からなり、
    前記プローブの少なくとも1つのαヘリックス構造に含まれるX及びXのうち、少なくとも1残基のアミノ酸が、蛍光色素が結合された分子に置換されてなるプローブ。
  23. 請求の範囲第18項から第19項のいずれかに記載のタグ、請求の範囲第20項に記載のDNA及び請求の範囲第21項に記載のベクターのうち少なくともいずれか1つと、請求の範囲第22項に記載のプローブとを含む標的物質の検出キット。
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