JPWO2008105181A1 - 下部尿路症状の予防及び/又は治療のための医薬 - Google Patents

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Abstract

下部尿路障害に起因する頻尿などの下部尿路症状の予防及び/又は治療のための医薬であって、例えば4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸などのレチノイドを有効成分として含む医薬。

Description

本発明は下部尿路症状の予防及び/又は治療のための医薬に関するものである。
下部尿路障害は下部尿路機能に関する異常の総称であり、下部尿路障害に起因する症状である下部尿路症状は、主に蓄尿症状(頻尿や尿意切迫感など)、排尿症状(尿勢低下や尿線分割など)、及び排尿後症状(残尿感や排尿後尿滴下など)の3種類に大別される。また、下部尿路症状には排尿痛、膀胱痛、及び尿道痛などの下部尿路痛、排尿筋過活動、及び排尿困難などが含まれ、下部尿路障害に際して血尿が認められることがある。下部尿路障害の原因となる疾患としては、前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺症、膀胱頸部硬化症、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱痛症候群などが挙げられる。
これらのうち、間質性膀胱炎は、頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、膀胱不快感及び膀胱痛などの症状を呈するが、尿路感染症や他の明らかな病的状態が認められない難治性疾患である。間質性膀胱炎の原因としては、肥満細胞の活性化、グリコサミノグリカン層異常、尿路上皮における細胞増殖阻害、自己免疫、神経原性炎症、一酸化窒素代謝、毒性物質、低酸素状態などが考えられているが、明確な原因は未だ特定されていない。間質性膀胱炎では膀胱の非特異的な慢性炎症を伴うことがあるが、ステロイド等の抗炎症剤は本疾患及び本疾患の動物モデルに有効性を示さないことから、炎症そのものが本疾患における頻尿などの症状を引き起こしているのではないと考えられている。間質性膀胱炎に対する薬物療法として、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、シメチジン、抗生物質、ステロイド、ペントサン・ポリサルフェートなどが用いられているが、いずれも有効な治療方法とはなっておらず、高い治療効果を発揮できる薬剤の提供が切望されている。
一方、レチノイン酸(ビタミンA酸)はビタミンAの活性代謝産物であり、発生途上にある未熟な細胞を特有な機能を有する成熟細胞へと分化させる作用や、細胞の増殖制御作用や生命維持作用などの極めて重要な生理作用を有している。これまでに合成された種々のビタミンA誘導体、例えば、特開昭61-22047号公報や特開昭61-76440号公報記載の安息香酸誘導体、及びジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry, 1988, Vol. 31, No. 11, p.2182)に記載の化合物なども、同様な生理作用を有することが明らかにされている。レチノイン酸及びレチノイン酸様の生物活性を有する上記化合物は「レチノイド」と総称されている。
例えば、オール・トランス(all-trans)・レチノイン酸は、細胞核内に存在する核内レセプター・スーパーファミリー (Evans, R.M., Science, 240, p.889, 1988) に属するレチノイン酸レセプター(RAR)にリガンドとして結合して、その転写因子としての活性を誘導することを通じて動物細胞の増殖・分化あるいは細胞死などを制御することが明らかにされている(Petkovich, M., et al., Nature, 330, pp.444-450, 1987)。また、9-cis-レチノイン酸をリガンドとするレチノイドX レセプター(RXR)の存在が証明されている。レチノイドX レセプターは、ホモダイマーまたはレチノイン酸レセプターとのヘテロ二量体を形成し、標的遺伝子の転写を惹起ないし抑制して、レチノイン酸の生理活性の発現に寄与していることが明らかにされた(Mangelsdorf, D.J. et al., Nature, 345, pp.224-229) 。
レチノイン酸様の生物活性を有する上記化合物(例えば、4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸: Am80など)も、レチノイン酸と同様にRAR に結合して生理活性を発揮することが示唆されている(Hashimoto, Y., Cell struct. Funct.,16, pp.113-123, 1991; Hashimoto, Y.,et al., Biochem. Biophys. Res. Commun.,166, pp.1300-1307, 1990を参照)。これらの化合物は、動物実験又は臨床において、ビタミンA欠乏症、上皮組織の角化症、リウマチ、遅延型アレルギー、骨疾患、及び白血病やある種の癌の治療や予防に有用であることが見出されている。
なお、レチノイドと下部尿路障害との関連については、下部尿路症状とビタミンAの血中濃度の間には相関がないことが報告されており(Urology, 64, pp.504-509, 2004)、レチノイドの下部尿路障害に対する治療効果についてはこれまで報告がない。
特開昭61-22047号公報 特開昭61-76440号公報 Journal of Medicinal Chemistry, 31, No. 11,p.2182, 1988 Cell Struct. Funct., 16, pp.113-123, 1991 Biochem. Biophys. Res. Commun., 166,pp.1300-1307, 1990 Urology, 64, pp.504-509, 2004
本発明の課題は、下部尿路障害に起因する下部尿路症状に対して高い有効性を発揮できる医薬を提供することにある。特に、間質性膀胱炎、及び膀胱痛症候群などの下部尿路障害に起因する下部尿路症状に対して優れた予防及び/又は治療効果を達成可能な医薬を提供することが本発明の課題である。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、レチノイン酸などのレチノイドが間質性膀胱炎、膀胱痛症候群、及び過活動膀胱などを含む下部尿路障害に起因する下部尿路症状に対して優れた予防及び/又は治療効果を有していることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明により、下部尿路障害に起因する下部尿路症状の予防及び/又は治療のための医薬であって、レチノイドを有効成分として含む医薬が提供される。
上記発明の好ましい態様によれば、下部尿路障害に起因する下部尿路症状が頻尿、尿意切迫感、尿失禁、遺尿、膀胱知覚異常、排尿痛、膀胱痛、恥骨上痛、血尿、膀胱不快感、蓄尿時の膀胱痛、及び蓄尿時の膀胱不快感からなる群から選ばれる1以上の症状である上記の医薬;下部尿路障害に起因する下部尿路症状が頻尿、尿失禁、遺尿、及び尿意切迫感からなる群から選ばれる1以上の症状である上記の医薬;下部尿路障害が前立腺炎、前立腺肥大症、前立腺症、前立腺膀胱炎、前立腺膿瘍、前立腺のうっ血及び出血、又は前立腺の萎縮である上記の医薬;下部尿路障害が尿道炎、尿道膿瘻、外傷後尿道狭窄・感染後尿道狭窄などの尿道狭窄、尿道瘻、尿道憩室、尿道小丘である上記の医薬;下部尿路障害が膀胱病変である上記の医薬;下部尿路障害が膀胱頸部硬化症、膀胱頸部閉塞症、膀胱腸瘻、膀胱憩室、又は膀胱癌である上記の医薬;下部尿路障害が急性膀胱炎、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎、膀胱三角部炎、放射線膀胱炎、癌化学療法剤による膀胱炎、又は結核性膀胱炎である上記の医薬;下部尿路障害が過活動膀胱である上記の医薬;及び下部尿路障害が間質性膀胱炎又は膀胱痛症候群である上記の医薬が提供される。
上記の発明の別の好ましい態様によれば、該レチノイドが非天然型のレチノイドである上記の医薬;及び該レチノイドが芳香環と芳香族カルボン酸又はトロポロンとが連結基を介して結合した基本骨格を有するレチノイドである上記の医薬が提供される。
上記発明のさらに好ましい態様によれば、該レチノイドがレチノイン酸レセプター(RAR)・サブタイプα及びサブタイプβに結合するレチノイドである上記の医薬;該レチノイドがレチノイドXレセプターX(RXR)に結合するレチノイドである上記の医薬;該レチノイドがオール-トランス-レチノイン酸、9-シス-レチノイン酸、13-シス−レチノイン酸などの天然レチノイド又はそのエステル体である上記の医薬;該レチノイドがアシトレチン(Acitretin)又はそのエステル体である上記の医薬;該レチノイドがNIK-333で代表されるポリプレイン酸誘導体である非環式レチノイドである上記の医薬;該レチノイドが置換フェニル基と安息香酸又はトロポロンとが連結基を介して結合した基本骨格を有するレチノイドである上記の医薬;該レチノイドが4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸又は4-[(3,5-ビストリメチルシリルフェニル)カルボキサミド]安息香酸又はそれらのエステル体である上記の医薬;該レチノイドがジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピニル安息香酸を基本骨格とするレチノイドである上記の医薬;該レチノイドが4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5-ヘキサノ)ジベンゾ[b,f][1,4]-チアゼピン-11-イル]安息香酸又はそのエステル体である上記の医薬;該レチノイドが4-[5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)ピロール-2-イル]安息香酸又はそのエステル体である上記の医薬が提供される。
別の観点からは、上記の医薬の製造のための上記レチノイドの使用;及び下部尿路障害に起因する下部尿路症状の予防及び/又は治療方法であって、上記のレチノイドの有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が本発明により提供される。
本発明の医薬は下部尿路障害に起因する尿路症状に対して優れた予防及び/又は治療効果を発揮でき、頻尿、尿意切迫感、尿失禁、遺尿、膀胱知覚異常、排尿痛、膀胱痛、恥骨上痛、血尿、膀胱不快感、蓄尿時の膀胱痛、又は蓄尿時の膀胱不快感などの各種の下部尿路症状を軽減ないし消失させることができる。
本明細書において、レチノイドとはオール-トランス-レチノイン酸または9-シス-レチノイン酸が生理作用を発現するために必要な受容体に結合してレチノイン酸に類似する作用又はその一部の作用を発揮する化合物のことであり、少なくとも1種以上のレチノイド様作用、例えば、細胞分化作用、細胞増殖促進作用、及び生命維持作用などの1種以上の作用を有している化合物を意味している。レチノイドであるか否かは、H. de The, A. Dejean: 「Retinoids: 10 years on.」, Basel, Karger, 1991, pp.2-9に記載された方法により容易に判定できる。
また、レチノイドは一般的にレチノイン酸レセプター(RAR)に結合する性質を有しており、場合によりRARとともにRXRに結合する性質を有しているが、本発明の医薬の有効成分として用いられるレチノイドはRARのサブタイプα(RARα)に結合してアゴニスト活性を示すものであることが好ましい。RARαのアゴニストであるか否かの判定については、レチノイン酸レセプター・サブタイプへの結合についても上記文献記載の方法により容易に確認することができる。
本発明の医薬の有効成分としては、天然型レチノイド又は非天然型のレチノイドのいずれを用いてもよいが、好ましくは非天然型のレチノイドを用いることができる。非天然型レチノイドとしては、例えば、芳香環と芳香族カルボン酸又はトロポロンとが連結基を介して結合した基本骨格を有するレチノイドを用いることができる。
より具体的には、非天然型のレチノイドとして、下記の一般式:B−X−A(式中、Bは置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Xは連結基を示し、Aは置換基を有していてもよいカルボン酸置換芳香族基又はトロポロニル基を示す)で表されるレチノイドを用いることができる。
Bで表される芳香族基としては置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基の種類、個数、及び置換位置は特に限定されない。フェニル基上の置換基としては、例えば、低級アルキル基を用いることができる(本明細書において低級とは炭素数1ないし6個程度、好ましくは炭素数1ないし4個を意味する)。低級アルキル基としては直鎖又は分枝鎖のアルキル基が好ましく、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert-ブチル基などを挙げることができる。また、フェニル基上の置換基として、例えば、メトキシ基などの低級アルコキシ基、ハロゲン原子(ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよい)、例えばトリメチルシリル基などの低級アルキル置換シリル基などを挙げることができる。フェニル基としては、例えば、2ないし4個の低級アルキル基で置換されたフェニル基、あるいは1又は2個のトリ低級アルキルシリル基で置換されたフェニル基などが好ましく、2ないし4個のアルキル基で置換されたフェニル基、又は2個のトリメチルシリル基で置換されたフェニル基などがより好ましい。
フェニル基上に置換する2個の低級アルキル基が隣接する場合には、それらの2つの低級アルキル基は一緒になってそれらが結合するフェニル基の環構成炭素原子とともに5員環又は6員環を1個又は2個、好ましくは1個形成してもよい。このようにして形成される環は飽和でも不飽和でもよく、環上には1又は2個以上の低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基などが置換していてもよい。上記の形成された環上には、好ましくは2〜4個のメチル基、さらに好ましくは4個のメチル基が置換していてもよい。例えば、フェニル環上に置換する2個の隣接する低級アルキル基が一緒になって5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン環や5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン環などが形成されることが好ましい。Bで表される芳香族基としては、芳香族複素環基を用いてもよい。そのような例として、Bが置換基を有していてもよいベンゾフラニル基、好ましくはベンゾルフラン-2-イル基、特に好ましくはBが4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル基であるレチノイドを例示することができる。
Aで表されるカルボン酸置換芳香族基としてはカルボン酸置換フェニル基又はカルボン酸置換複素環基などを用いることができるが、4-カルボキシフェニル基が好ましい。Aが示すカルボン酸置換複素環基を構成する複素環カルボン酸の例として、例えばピリミジン-5-カルボン酸などを挙げることができる。また、Aで表されるトロポロニル基としてはトロポロン-5-イル基が好ましい。これらのカルボン酸置換芳香族基またはトロポロニル基の環上には1以上の他の置換基が存在していてもよい。
Xで表される連結基の種類は特に限定されないが、例えば、-NHCO-、-CONH-、-N(RA)-(RAは低級アルキル基、例えばシクロプロピルメチル基などを示す)、又は-C(RB)(RC)-(RB及びRCはそれぞれ独立に水素原子又は低級アルキル基などを示す)などを例示することができる。また、Xが2価の芳香族基であってもよい。例えば、Xがピロールジイル基である場合などを挙げることができる。さらに、Xで表される連結基とBで表される芳香族基とが結合して環構造を形成してもよい。そのような例として、B−X−Aで表されるレチノイドの基本骨格がジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピニル安息香酸又はジベンゾ[b,f][1,4]ジアゼピニル安息香酸となる場合を挙げることができる。なお、本明細書において「基本骨格」という用語は1又は2以上の任意の置換基が結合するための主たる化学構造を意味する。
好ましいレチノイドとして、天然型レチノイン酸のオールトランスレチノイン酸及び、非天然型レチノイド、例えば、フェニル置換カルバモイル安息香酸又はフェニル置換カルボキサミド安息香酸を基本骨格とするレチノイドを用いることができる。フェニル置換カルバモイル安息香酸又はフェニル置換カルボキサミド安息香酸を基本骨格とするレチノイドは種々知られている。フェニル置換カルバモイル安息香酸を基本骨格とするレチノイドの代表例としてAm80(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸, Hashimoto, Y., Cell struct. Funct., 16, pp.113-123, 1991; Hashimoto, Y., et al., Biochem. Biophys. Res.
Commun., 166, pp.1300-1307, 1990を参照)、フェニル置換カルボキサミド安息香酸を基本骨格とするレチノイドの代表例としてTac101(4-[(3,5-ビストリメチルシリルフェニル)カルボキサミド]安息香酸, J. Med. Chem., 33, pp.1430-1437, 1990)を挙げることができる。
好ましいレチノイドとしては、例えば、下記の一般式(I):
Figure 2008105181
〔式中、R1、R2、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、又は低級アルキル置換シリル基を示し、R1、R2、R3、R4、及びR5のうち隣接するいずれか2つの基が低級アルキル基である場合には、それらが一緒になってそれらが結合するベンゼン環上の炭素原子とともに5員環又は6員環を形成してもよく(該環は1又は2以上のアルキル基を有していてもよい)、X1は-CONH-又は-NHCO-を示す〕で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(I)において、R1、R2、R3、R4、及びR5が示す低級アルキル基としては、炭素数1ないし6個程度、好ましくは炭素数1ないし4個の直鎖又は分枝鎖のアルキル基を用いることができる。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、又はtert- ブチル基などを用いることができる。上記の低級アルキル基上には1個又は2個以上の任意の置換基が存在していてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子などを例示することができる。R1、R2、R3、R4、及びR5が示す低級アルキル置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基などを挙げることができる。
R1、R2、R3、R4、及びR5からなる群から選ばれる隣接する2つの低級アルキル基が一緒になって、それらが結合するベンゼン環上の炭素原子とともに5員環又は6員環を1個又は2個、好ましくは1個形成してもよい。このようにして形成される環は飽和、部分飽和、又は芳香族のいずれであってもよく、環上には1又は2以上のアルキル基を有していてもよい。環上に置換可能なアルキル基としては、炭素数1ないし6個程度、好ましくは炭素数1ないし4個の直鎖又は分枝鎖のアルキル基を用いることができる。例えば、メチル基、エチル基などを用いることができ、好ましくは2〜4個のメチル基、さらに好ましくは4個のメチル基が置換していてもよい。例えば、R2及びR3が置換するベンゼン環とR2及びR3とにより、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン環や5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8- テトラヒドロナフタレン環などが形成されることが好ましい。
他の好ましいレチノイドとしては、例えば、B−X−Aで表されるレチノイドの基本骨格がジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピニル安息香酸又はジベンゾ[b,f][1,4]ジアゼピニル安息香酸であるレチノイドを挙げることができる。このレチノイドの一例は、例えば、特開平10-59951号公報に記載されている。このようなレチノイドの特に好ましい例として、例えば、HX630(4-[2,3-(2,5-ジメチル-2,5-ヘキサノ)ジベンゾ[b,f][1,4]-チアゼピン-11-イル]安息香酸)を挙げることができる。また、Xが-N(RA)-であり、Bが芳香族複素環カルボン酸であるレチノイドとしては、例えば、2-[2-(N-5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル-N-シクロプロピルメチル)アミノ]ピリミジン-5-カルボン酸を挙げることができる。また、Xが2価の芳香族基であるレチノイドとしては、例えば、4-[5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)ピロール-2-イル]安息香酸を挙げることができる。Aがトロポロニル基である化合物としては、例えば、5-[[5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル]カルボキサミド]トロポロンなどを挙げることができる。
特に好ましいレチノイドとして、Am80(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸)又はAm580(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチル-2- ナフタレニル)カルボキサミド] 安息香酸)が挙げられる。
本発明の医薬の有効成分としては、上記のレチノイドの塩を用いてもよい。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、若しくはカルシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、又はトリエチルアミン塩若しくはエタノールアミン塩などの有機アミン塩などの生理学的に許容される塩を本発明の医薬の有効成分として用いることができる。本発明の医薬の有効成分としては、上記のレチノイドのプロドラッグを用いてもよい。プロドラッグとは、哺乳類動物に経口的又は非経口的に投与した後に生体内、好ましくは血中で加水分解などの変化を受けてレチノイド又はその塩を生成する化合物又はその塩のことである。例えば、カルボキシル基、アミノ基、または水酸基などを有する薬剤をプロドラッグ化する手段は多数知られており、当業者は適宜の手段を選択可能である。レチノイド又はその塩のプロドラッグの種類は特に限定されないが、例えば、レチノイドがカルボキシル基を有する場合には、該カルボキシル基をアルコキシカルボニル基に変換したプロドラッグが例示される。好ましい例としては、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基などのエステル化合物が挙げられる。
上記のレチノイドは、置換基の種類に応じて1個または2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、これらの不斉炭素に基づく任意の光学異性体、光学異性体の任意の混合物、ラセミ体、2個以上の不斉炭素に基づくジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の任意の混合物などは、いずれも本発明の医薬の有効成分として利用可能である。さらに、二重結合のシス又はトランス結合に基づく幾何異性体、及び幾何異性体の任意の混合物や、遊離化合物又は塩の形態の化合物の任意の水和物又は溶媒和物も本発明の医薬の有効成分として用いることができる。
本発明の医薬は下部尿路障害に起因する下部尿路症状の予防及び/又は治療のために用いることができる。本明細書において「下部尿路障害」の用語は下部尿路機能に関する障害、すなわち排尿に関する異常を包含している。「下部尿路」とは、尿を貯蔵して周期的に排出するように機能する尿路のうち腎臓を除く全ての部分を指し、一般には尿管、膀胱、括約筋、前立腺および尿道を包含する。「下部尿路症状の予防及び/又は治療」には、症状の軽減ないし消失、あるいは症状悪化や症状発現の阻止など多様な概念が含まれるが、この語をいかなる意味においても限定的に解釈してはならず、最も広義に解釈しなければならない。
下部尿路障害に起因する下部尿路症状としては、例えば、蓄尿症状、排尿症状、及び排尿後症状の主要症状のほか、排尿痛、膀胱痛、恥骨上痛、及び尿道痛などの下部尿路痛、排尿筋過活動、膀胱不快感、下部尿路不快感、並びに排尿困難などが挙げられ、下部尿路障害に伴う血尿も包含される。蓄尿症状には、頻尿、尿意切迫感、尿失禁、遺尿、及び膀胱知覚異常、蓄尿時の膀胱痛、蓄尿時の膀胱不快感などが包含され、排尿症状には、尿勢低下、尿線分割、尿線散乱、尿線途絶、排尿遅延、腹圧排尿、及び終末滴下などが包含される。また、排尿後症状には、残尿感及び排尿後尿滴下などが包含される。本発明の医薬は、下部尿路障害に伴う上記の下部尿路症状のうちの1又は2以上の症状を軽減ないし消失させることができる。これらのうち、頻尿、尿意切迫感、尿失禁、遺尿、膀胱知覚異常、排尿痛、膀胱痛、恥骨上痛、血尿、膀胱不快感、蓄尿時の膀胱痛、又は蓄尿時の膀胱不快感などの下部尿路症状は本発明の医薬の好ましい予防及び/又は治療適用対象である。
下部尿路症状の原因となる下部尿路障害としては、例えば、前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺症、前立腺膀胱炎、前立腺膿瘍、前立腺のうっ血、前立腺の出血、又は前立腺の萎縮などの前立腺疾患、尿道炎、尿道膿瘻、外傷後尿道狭窄、感染後尿道狭窄などの尿道狭窄、尿道瘻、尿道憩室、又は尿道小丘などの尿道疾患、あるいは膀胱頸部硬化症、膀胱頸部閉塞症、膀胱腸瘻、膀胱憩室、膀胱癌、過活動膀胱、急性膀胱炎、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎、膀胱三角部炎、放射線膀胱炎、癌化学療法剤による膀胱炎、結核性膀胱炎、間質性膀胱炎、又は膀胱痛症候群などの膀胱病変が挙げられる。本明細書において「膀胱病変」とは、膀胱上皮の脱落、膀胱壁の筋層、間質層、粘膜層、又は漿膜の繊維化、損傷、発赤、出血、浮腫、潰瘍、出血性肉芽、腫瘍、又は炎症などを包含する。本発明の医薬は、間質性膀胱炎、又は膀胱痛症候群に起因する下部尿路症状の軽減ないし消失に高い有効性を発揮できる。
前立腺肥大症は、前立腺内部の前立腺腫が増大することにより前立腺が肥大する疾患であり、主に加齢により起こる。前立腺肥大症は一般的に起こる良性の疾患であるが、前立腺肥大が進行することにより、頻尿、尿意切迫感、尿失禁などの症状が生じ、さらに尿路が閉塞されると尿線中絶や残尿感などの排尿障害を生じ、場合によっては腎機能障害を起こす。前立腺炎は前立腺が炎症を起こした状態で、急性前立腺炎と慢性前立腺炎に大別される。急性前立腺炎の多くは前立腺への細菌感染によるものであり、起炎菌としては大腸菌を含むグラム陰性桿菌が主で、発熱、排尿困難、残尿感、頻尿、排尿痛などの症状を生じる。慢性前立腺炎は、慢性細菌性前立腺炎と慢性非細菌性前立腺炎に大別される。細菌の感染が慢性化した慢性細菌性前立腺炎は、多くが急性前立腺炎から移行したものであるのに対し、慢性非細菌性前立腺炎は細菌感染を伴わない慢性化した前立腺炎症によって特徴付けられる。慢性前立腺炎の症状は頻尿、残尿感、会陰部の不快感、疼痛、排尿困難などである。前立腺症とは、前立腺において炎症所見が認められないにもかかわらず、前立腺炎様の症状を生じるもので、前立腺痛とも称される。
膀胱頸部硬化症とは、膀胱頸部の膀胱壁が硬化するために排尿障害を起こす疾患であり、詳しい原因は未だ解明されていない。症状としては、頻尿、残尿感などの前立腺肥大症と同様の症状を示す。
間質性膀胱炎は、頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、膀胱痛などの症状を呈するが、尿路感染症や他の明らかな病的状態が認められない疾患である。典型的な間質性膀胱炎では、膀胱鏡所見でハンナー潰瘍又は点状出血が見られるが、これらが観察されない患者も存在する。診断基準としては、これまでNIDDK (National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)の基準やアメリカ合衆国でのICDB (Interstitial Cystitis Data Base)の基準が示されている。
膀胱痛症候群は間質性膀胱炎としばしば同義語として用いられる場合があるが、ICS (International Continence Society)による定義では、膀胱充満に関連する恥骨上部の疼痛があり、昼間頻尿又は夜間頻尿などの他の症状を伴い、尿路感染症や他の明らかな病的状態が認められない疾患とされている。
過活動膀胱は、尿意切迫感を中心とする症候群であり、通常頻尿や夜間頻尿を伴う尿意切迫感を主訴とし、切迫性尿失禁を伴う場合もある。排尿筋過活動が主たる原因であると考えられており、感染や他に明らかな病的状態がある場合には本疾患とは区別される。過活動膀胱には、脊髄疾患や神経障害に起因する神経因性膀胱及び非神経因性膀胱が包含される。
本発明の医薬は、上記のレチノイド及びその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる物質の1種または2種以上を有効成分として含んでいる。2種以上の異なるレチノイドを組み合わせて投与することにより好ましい有効性が得られることがある。本発明の医薬としては上記の物質それ自体を投与してもよいが、好ましくは、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用あるいは非経口用の医薬組成物として投与することができる。
経口投与に適する医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、軟膏剤、クリーム剤、及び貼付剤等を挙げることができる。2種以上の医薬組成物を組み合わせて用いることもできる。本発明の医薬の好ましい形態として経口投与用の医薬組成物を挙げることができる。
上記の医薬組成物は、薬理学的、製剤学的に許容しうる1種又は2種以上の製剤用添加物を加えて製造することができる。製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができるがこれらに限定されることはない。
例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの経口投与用医薬組成物の製造には、乳糖や結晶セルロース、デンプン等の賦形剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、力ルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコン樹脂等のコーティング剤などを必要に応じて用いることができる。点眼剤の製造には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、濃グリセリン等の等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、モノエタノールアミン等の緩衝化剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等の安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル等の防腐剤、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤、希塩酸、水酸化ナトリウム等のpH調整剤などを必要に応じて用いることができる。点眼剤のpHは特に限定されないが、眼科用製剤に許容される範囲内として例えば4〜8の範囲が好ましい。
本発明の医薬の投与量は特に限定されず、患者の症状、年齢、体重などの条件や投与方法及び有効成分の種類などに応じて適宜選択できる。例えば、経口投与の場合には1日あたり0.01〜1000 mg、好ましくは0.1〜100 mgを1回又は数回に分けて投与すればよい。もっとも、上記の投与量は例示のためのものであり、適宜増減することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:塩酸誘発膀胱炎モデルラットでの評価
雄性Crlj:CD(SD)の8週齢ラットを用い、1日目に2 %イソフルラン吸入による麻酔下で腹部を切開し、膀胱内にカニューレを挿入固定した後に切開部を縫合した。2日目にカニューレを介して0.2 N塩酸を15分間膀胱内に注入し、膀胱炎を誘発した。3日目に第一回の薬物の経口投与を行い、以降1日1回、計7日間連続で薬物を投与した。レチノイドとしては「タミバロテン」(Am80:4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸)を0.5%カルボキシメチルセルロース水溶液に懸濁して3 mg/kgを経口投与した。対照群には0.5%カルボキシメチルセルロースを経口投与した。10日目に無麻酔・無拘束下でシストメトリーにより膀胱機能の測定を行った。膀胱内に挿入したチューブに三方活栓を介して一方から37℃に加温した生理食塩液を注入し、もう一方は圧トランスデューサーを介して圧力アンプにより膀胱内圧を60分間測定した。排泄尿については天秤を用いてその重量変化を同時に測定した。これらの測定値から、静止時膀胱内圧、最大膀胱内圧、排尿間隔及び尿量を算出した。対照群、タミバロテン投与群はそれぞれ5匹のラットを用いた。
表1に結果を示す。値は平均値±標準誤差で表示した。平均値の差の検定は対照群とタミバロテン投与群との間でStudent's t検定により行なった(対照群と比較して*** p<0.001)。 タミバロテンを3 mg/kg投与した群では、対照群に比べて排尿回数が有意に改善されることが明らかになった。これらの実験結果から、本発明の医薬は蓄尿症状を改善する効果を持つことが示され、下部尿路症状の予防及び/又は治療に有効性を示すと結論された。
Figure 2008105181

Claims (12)

  1. 下部尿路障害に起因する下部尿路症状の予防及び/又は治療のための医薬であって、レチノイドを有効成分として含む医薬。
  2. 下部尿路障害に起因する下部尿路症状が頻尿、尿意切迫感、尿失禁、遺尿、膀胱知覚異常、排尿痛、膀胱痛、恥骨上痛、血尿、膀胱不快感、蓄尿時の膀胱痛、及び蓄尿時の膀胱不快感からなる群から選ばれる1以上の症状である請求項1に記載の医薬。
  3. 下部尿路障害に起因する下部尿路症状が頻尿、尿失禁、遺尿、及び尿意切迫感からなる群から選ばれる1以上の症状である請求項1に記載の医薬。
  4. 下部尿路障害が膀胱病変である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医薬。
  5. 下部尿路障害が前立腺炎、前立腺肥大症、又は前立腺症である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医薬。
  6. 下部尿路障害が尿道炎、尿道膿瘻、外傷後尿道狭窄、感染後尿道狭窄などの尿道狭窄、尿道瘻、尿道憩室、又は尿道小丘である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医薬。
  7. 下部尿路障害が過活動膀胱である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医薬。
  8. 下部尿路障害が間質性膀胱炎又は膀胱痛症候群である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医薬。
  9. レチノイドが非天然型のレチノイドである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の医薬。
  10. レチノイドがレチノイン酸レセプターRARのサブタイプαに結合するレチノイドである請求項9に記載の医薬。
  11. レチノイドが芳香環と芳香族カルボン酸又はトロポロンとが連結基を介して結合した基本骨格を有するレチノイドである請求項9又は10に記載の医薬。
  12. レチノイドがAm80(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)カルバモイル]安息香酸)又はAm580(4-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8- テトラメチル-2- ナフタレニル)カルボキサミド] 安息香酸) である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の医薬。
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