JP2002363079A - モフェゾラクを有効成分とする、消化管ポリープおよび/または消化管がんの予防または治療のための薬剤 - Google Patents

モフェゾラクを有効成分とする、消化管ポリープおよび/または消化管がんの予防または治療のための薬剤

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digestive tract
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preventing
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Keiji Wakabayashi
敬二 若林
Toshito Kawamori
俊人 川森
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National Cancer Center Japan
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 COX-1選択的阻害剤を有効成分とする、消化
管ポリープや消化管がんの予防および治療のための薬剤
を提供することにある。より詳しくは、本発明はCOX-1
選択的阻害剤であるモフェゾラクまたはその誘導体を有
効成分とする消化管ポリープや消化管がんの予防または
治療のための薬剤を提供する。 【解決手段】 COX-1選択的阻害剤であるモフェゾラク
の、アゾキシメタン誘発ラットにおける大腸異常腺窩巣
の形成、およびApc遺伝子に変異を有するApc1309ノック
アウトマウスでの腸管ポリープ発生に対する影響を検討
した。その結果、モフェゾラクは消化管ポリープおよび
消化管がんを抑制することが分かった。従って、モフェ
ゾラクは、消化管ポリープおよび/または消化管がんの
予防または治療のための薬剤となるものと期待される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モフェゾラクを有
効成分とする消化管ポリープおよび/または消化管がん
の予防および治療のための薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における食生活の欧米化指向によ
り、大腸がんを始めとする消化管がんは、年々増加の一
途をたどっている。特に、大腸ポリープを有する患者で
は大腸がんの発生率が高い。また、家族性大腸ポリポー
シス(大腸ポリポーシスとは、大腸粘膜面に見られる限
局性の隆起物の個数が100個以上で且つびまん性のも
の)は遺伝性の疾患であり、青年期から大腸ポリープが
多発し、加齢と共にポリープががん化するという難治性
疾患であるが、現在のところ、外科的腸管切除以外に有
効な治療法がないのが実情である。従って、薬剤を用い
る内科的な消化管ポリープや消化管がんの予防治療手段
の提供が切望されている。
【0003】疫学調査や動物実験の結果から、非ステロ
イド系抗炎症剤(non-steroidal anti-inflammatory dru
gs; NSAIDs)は消化管ポリープや消化管がんを抑制する
ことが分かっている。ポリープやがんの発生には、プロ
スタノイドが関与していることが知られている。NSAIDs
のがん抑制の作用機序としては、アラキドン酸からプロ
スタノイドを生成する過程の律速段階酵素であるシクロ
オキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、プロスタノイ
ドの生成を抑制する機序が考えられている。
【0004】既に、COXには2種類のアイソフォームが同
定されている。構成型のCOX-1は、恒常的に様々な細胞
で発現し、血流保持や胃粘膜保護などのホメオスタシス
に関与しており、誘導型のCOX-2は、通常は発現がほと
んど認められないが、いくつかの炎症刺激などで発現亢
進が確認されている。
【0005】これまで、COX-2選択的阻害剤によるポリ
ープやがんの抑制については多くの報告例(Kawamori e
t. al., Cancer Res. 58: 409-412, 1998、Takahashi
et.al., J Cancer Res Clin Oncol. 122: 219-222, 199
6、Nakatsugi et. al., JpnJ Cancer Res. 88: 1117-11
20, 1997、Fukutake et. al., Carcinogenesis 19:1939
-1942, 1998、Steinbach et. al., N Engl J Med. 342:
1946-1952, 2000)があり、NSAIDsのポリープやがんの
抑制作用は、COX-2阻害によるものであると考えられて
きた。これに対し、最近、ポリープやがんの発生にCOX-
1が関与することが明らかにされた(P. C. Chulada et.
al., Cancer Res. 60: 4705-4708, 2000)。このこと
から、COX-1選択的阻害剤は、ポリープやがんの抑制作
用を有する可能性が示唆されたものの、実際にCOX-1選
択的阻害剤が、ポリープやがんの抑制作用を有すること
を示す報告例は皆無であった。
【0006】これまでに、COX-1選択的阻害剤としてモ
フェゾラク(Mofezolac)が知られている(Goto et. al.,
Prostaglandins & other Lipid Mediators 56: 245-25
4, 1998)。モフェゾラクはCOX-1を阻害することによ
り、プロスタグランジンの生合成を抑制する作用を有す
る。この抑制作用により、消炎・鎮痛作用を発揮し、腰
痛症、頚腕症候群、肩関節周囲炎、手術後・外傷後なら
びに抜歯後の治療剤として汎用されている。しかしなが
ら、これまでのところモフェゾラクが、ポリープやがん
の抑制作用を有するとの報告は存在しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、COX-1
選択的阻害剤を有効成分とする、消化管ポリープや消化
管がんの予防および治療のための薬剤を提供することに
ある。より詳しくは、本発明はCOX-1選択的阻害剤であ
るモフェゾラクまたはその誘導体を有効成分とする消化
管ポリープや消化管がんの予防または治療のための薬剤
を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、予備的知
見として、COX非選択的抗炎症剤であるインドメタシン
が、COX-2選択的阻害剤の1つであるニメスライドと比較
して、家族性大腸腺腫症のポリープ発生に対して強い抑
制効果を有することを見出した。この結果から、本発明
者らは、COX-1選択的阻害剤は、消化管ポリープや消化
管がんの予防および治療のための薬剤になりうるものと
想到した。そこで本発明者らは、COX-1選択的阻害剤で
あるモフェゾラクについて、AOM(アゾキシメタン)誘
発ラットにおける大腸ACF(aberrant crypt foci; 異常
腺窩巣)の形成、およびApc(adenomatous polyposis co
li)遺伝子に変異を有するApc1309ノックアウトマウスに
おける腸管ポリープ発生に対する影響を検討した。
【0009】その結果、モフェゾラクの投与により、AO
M誘発ラット大腸ACFおよびApc1309ノックアウトマウス
における腸管ポリープは減少した。即ち、本発明者らは
NSAIDsとして汎用されているモフェゾラクは、消化管ポ
リープおよび/または消化管がんを抑制する効果を有す
ることを今回初めて明らかにした。COX-1選択的阻害剤
であるモフェゾラクは、これら疾患の予防または治療の
ための薬剤として使用できるものと大いに期待される。
【0010】即ち、本発明は、モフェゾラクおよび該誘
導体を有効成分とする消化管ポリープおよび/または消
化管がんの予防または治療のための薬剤に関し、より具
体的には、(1)モフェゾラクまたはその誘導体を有効
成分とする、消化管ポリープおよび/または消化管がん
の予防または治療のための薬剤、(2)消化管ポリープ
が大腸ポリープである(1)に記載の薬剤、(3)消化
管がんが大腸がんである(1)に記載の薬剤、を提供す
るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らにより、シクロオキシ
ゲナーゼ-1(Cyclooxygenase-1; COX-1)選択的阻害剤で
あるモフェゾラクが、消化管ポリープおよび/または消
化管がんを抑制することが見出された。従って、モフェ
ゾラクは、消化管ポリープおよび/または消化管がんの
予防または治療のための薬剤として有用である。
【0012】本発明の薬剤の有効成分であるモフェゾラ
クは以下の通りである。 (1)化学名: [3,4-ジ(4-メトキシフェニル)-5-イ
ソキサゾリル]-酢酸 (2)構造式:
【0013】
【化1】
【0014】モフェゾラクは、特公昭61-6067号公報に
記載された方法によって合成することができる。
【0015】本発明の有効成分としては、上記構造式で
示したモフェゾラクに特に限定されず、消化管ポリープ
および/または消化管がんを抑制する作用を有する限
り、モフェゾラクの誘導体、例えば、プロドラッグ(化
学構造が修飾された結果、生体内で代謝されてはじめて
活性を表わす薬物)を用いることも可能である。
【0016】本発明の薬剤は、有効成分としてモフェゾ
ラクまたはモフェゾラクの誘導体、あるいは医薬として
許容されるそれらの塩類を含有するものであり、製剤化
にあたっては、常法に従い必要に応じて薬学的に許容さ
れる担体を添加することができる。
【0017】モフェゾラクまたはその誘導体の塩類とし
ては、無機塩基塩等の塩基との塩、例えば、アルカリ金
属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金
属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウ
ム塩等が挙げられる。さらに、有機塩基塩等の塩基との
塩、例えば有機アミン塩(トリエチルアミン塩、ピリジ
ン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノー
ルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'-ジベン
ジルエチレンジアミン塩等)等の常用の無毒性塩類を例
示することができる。
【0018】本発明の薬剤に含有し得る担体としては、
例えば、界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存
料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊
剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等が挙げられるが、
これらに制限されず、その他常用の担体を適宜使用する
ことができる。具体的には、軽質無水ケイ酸、乳糖、結
晶セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロース
カルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、
ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリ
セライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、白糖、
カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩
類等を挙げることができる。
【0019】本発明の薬剤の剤型の種類としては、例え
ば、経口剤として錠剤、粉末剤、丸剤、散剤、顆粒剤、
細粒剤、軟・硬カプセル剤、フィルムコーティング剤、
ペレット剤、舌下剤、ペースト剤等、非経口剤として注
射剤、坐剤、経皮剤、軟膏剤、硬膏剤、外用液剤等が挙
げられ、当業者においては投与経路や投与対象等に応じ
た最適の剤型を選ぶことができる。
【0020】以下に、製剤の処方例を挙げる。 散剤:モフェゾラク25mgおよび乳糖457mgを均一に混合
することにより得る。 顆粒剤:モフェゾラク150mgおよび乳糖348mgに、1%ヒド
ロキシプロピルセルロース水溶液を少量加えて練合し造
粒後、乾燥・整粒することにより得る。 錠剤:モフェゾラク100mgおよび結晶セルロース80mgを
混合した後、更に精製水を添加し、練合してから乾燥・
整粒する。次いで、カルメロースカルシウム8mgおよび
ステアリン酸マグネシウム2mgを加えて打錠することに
より得る。
【0021】本発明の薬剤の投与量は、剤型の種類、投
与方法、患者の年齢や体重、患者の症状、腫瘍の種類や
部位、更には進行の程度等を考慮して、最終的には医師
の判断により適宜決定されるものであるが、一般に大人
では、1日当たり、モフェゾラクまたはモフェゾラク誘
導体として25〜600mgを1〜数回に分けて経口投与するこ
とが好ましい。より好ましくは25〜400mg/日、更によ
り好ましくは50〜200mg/日である。投与期間も、患者
の治癒経過等に応じて適宜決定することが好ましい。
【0022】上記したように、本発明の薬剤は、消化管
ポリープおよび/または消化管がんの予防や治療に有効
である。消化管としては、例えば、食道、胃、肝臓、胆
のう、膵臓、小腸および大腸(盲腸、結腸(上行結腸、
横行結腸、下行結腸およびS状結腸)、および直腸)等
を挙げることができる。また、本発明の薬剤は、特に、
大腸ポリープや大腸がんの予防および治療に有効であ
る。とりわけ、家族性大腸ポリポーシスまたは大腸がん
に対する効果が期待される。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものでは
ない。 [実施例1] MTD (最大許容投与量) 検定 モフェゾラク混餌投与のF344ラット(日本チャールス・
リバー(株))に対する効果を検討した。5週齢雄性F344
ラットを5群に分け、表1に示すように第1群は、AIN-76A
(Committee of Laboratory Animal Diets. Control of
Diets in Laboratory Animal Experimentation. Washi
ngton, DC: National Academy of Sciences, 1978)と
いう基礎食、第2群から第5群には、それぞれ、モフェゾ
ラクを100ppmから1200 ppmの濃度で基礎食に混ぜ、6週
間自由摂取とした。
【0024】
【表1】
【0030】毎週動物の体重と飼料摂取量を測定し、実
験開始6週間目に全動物を屠殺解剖した。
【0031】図1は、ラットの経時的体重変化を示す。
その結果、基礎食のみの群とモフェゾラク投与群では、
体重に変化がないことが示された。また、病理組織学的
検索では、基礎食投与群に比較して、モフェゾラク投与
群で、胃・腸管・腎臓・肝臓を含めて検索し得た臓器に
は、特に毒性を示す所見は得られなかった。以上の結果
から、モフェゾラクのMTDは1500 ppm以上と推察した。
【0032】[実施例2] ACF(異常腺窩巣)検定 実施例1の結果から、モフェゾラクのMTDを1500 ppmと
想定し、その80%と40%容量を動物に投与し、その大腸に
対する効果を判定した。大腸発がんに対する抑制効果を
評価する実験として、雄性F344ラットを用いた AOM (ア
ゾキシメタン)誘発大腸ACF(図2)に及ぼす影響を検討
した。ACFは大腸の前がん病変と考えられており、その
発生を抑制する物質には、大腸がんに対する抑制効果も
期待できると考えられている。ACFは非常に短期間でそ
の効果が評価でき、指標として有効なので汎用されてい
る。本実施例では、既にその効果が確認されているCOX-
2選択的阻害剤であるニメスライドを陽性対照として、
短期実験を行った。
【0033】4週齢の雄性F344ラットを6匹づつ7群に分
け、第1群と第7群には基礎食のAIN-76Aを、第2群と第5
群にはニメスライドを400 ppmの濃度で、第3群、第4群
及び第6群にはモフェゾラクをそれぞれ600、1200、1200
ppmの濃度で5週間自由摂取させた(表2)。
【0034】
【表2】 ――――――――――――――――――――――― グループ ――――――――――――――――――――――― 1 AOMのみ 2 AOM +ニメスライド 400ppm 3 AOM +モフェゾラク 600ppm 4 AOM +モフェゾラク 1200ppm 5 生理食塩水+ニメスライド 400ppm 6 生理食塩水+モフェゾラク 1200ppm 7 生理食塩水 対照食 ―――――――――――――――――――――――
【0035】第1群から第4群には、5週齢時からAOMを15
mg/kgの濃度で週1回、2週間皮下投与した。実験開始後
5週目に全動物を屠殺剖検(屠殺1時間前にBrdU (5-brom
odeoxyuridine)を50 mg/kg体重の容量で腹腔内投与)
し、すばやく大腸を取り出し、生食水で洗い、回盲部よ
り肛門に向かって、切り開き、きれいにし、2枚のフィ
ルター紙で挟み10%中性フォルマリンで24時間固定し
た。0.5%メチレンブルーで染色し、顕微鏡でACFを観察
し、発生個数を数えた。染色後の大腸から標本を切り出
し、通常のヘマトキシリン・エオジン染色と抗BrdU抗体
を用いた免疫染色を行った。結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】データは平均±SD値である。 a,b,c: Stud
ent t検定においてAOMのみの群に対し有意差あり (aP<
0.001, bP<0.05, cP<0.01) 。
【0038】実験期間中、各処置群間で体重および摂餌
量に変化はなく、動物の毛並み、行動などに著変を認め
なかった。剖検時、投与薬剤によると考えられるような
毒性を示す所見は、認めなかった。胃にも潰瘍および出
血等認めなかった。また、AOMを投与したラットにのみA
CFを100%認めた。AOM単独投与群では、ラット1匹あたり
平均182個のACFを認めた。モフェゾラク投与群では、60
0 ppmが138個、1200 ppmが110個のACFを認め、AOM単独
投与群と比較し、有意に減少していた。また、ラット1
匹あたりのAC(aberrant crypt)総数が有意に減少してい
た。しかし、病巣あたりのACの数には変化を認めなかっ
た。予想通り、ニメスライド投与群では、AOM単独投与
群に比し、有意にラット1匹あたりのACF総数およびAC総
数が減少していた。
【0039】また、大腸におけるモフェゾラクの細胞増
殖に及ぼす影響を表4に示す。BrdUラベル指数は、大腸
の腺窩全体の大腸粘膜細胞数あたり幾つのBrdU陽性細胞
を認めるかをパーセントで示したものである。
【0040】BrdUは、S期の細胞に取り込まれるため、B
rdU陽性細胞は増殖期の細胞と認識される。BrdUラベル
指数が多いと、細胞増殖能が高いことを意味する。AOM
単独投与群で、BrdUラベル指数が最も高く、モフェゾラ
ク投与群では、低下していた、特に高濃度投与群では、
有意に低かった。AOM非投与群では、餌の種類に関係な
くほぼ同じ程度のBrdUラベル指数を示した(表4)。
【0041】
【表4】
【0042】データは平均±SD値である。 a: Student
t検定においてAOMのみの群に対し有意差あり (P<0.05)
【0043】以上の結果より、モフェゾラクは、AOM誘
発大腸ACFを容量相関性に減少させ、その抑制効果には
細胞増殖の抑制が関与していることが判明した。
【0044】[実施例3] Apc1309ノックアウトマウス
における腸管ポリープ発生に対するモフェゾラクの影響 モフェゾラクのApc1309ノックアウトマウス(Quesada e
t. al., Jpn J CancerRes. 89: 392-396, 1998)の腸管
ポリープ形成に対する影響を調べた。モフェゾラクを12
00 ppmの濃度で基礎飼料に混入し、7週齢のApc1309雌マ
ウスに8週間投与した。陽性対照としてCOX-2選択的阻害
剤ニメスライドを400 ppmの濃度で同マウスに混餌投与
した。
【0045】結果を表5、6および図3、4に示す。対
照群の腸管ポリープ数は48.9±9.2であった。モフェゾ
ラク投与によりポリープ数は29.0±10.7に減少した(約
40%減少した)。また、ポリープサイズも明らかに低下
した。COX-2選択的阻害剤のポリープ形成抑制作用はモ
フェゾラクのそれとほぼ同等であった。表6は、ポリー
プの大きさ(単位:mm)による分布を示す。
【0046】
【表5】
【0047】データは平均±SD値(*, P<0.05、**,P<0.0
1)である。
【0048】
【表6】
【0049】データは平均±SD値(*, P<0.05、**,P<0.0
1)である。
【0050】以上のことより、モフェゾラクは、Apc
1309ノックアウトマウスの腸管ポリープ形成に対して抑
制作用を有することが明らかとなった。特に大きいポリ
ープが減少していることから、ポリープの成長を抑制す
ることが明らかとなった。
【0051】
【発明の効果】本発明により、モフェゾラクを有効成分
とする、消化管ポリープおよび/または消化管がんの予
防または治療のための薬剤が提供された。本発明の薬剤
は、従来のCOX-2をターゲットとしたものと異なり、COX
-1を選択的に阻害することによって、ポリープやがん抑
制効果を有することから、作用機序の新しい薬剤とし
て、臨床応用を考える上で非常に意義が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ラットの経時的な体重変化を示す図である。
横軸は経過した週、縦軸は体重(g)を表す。
【図2】 大腸ACF(異常腺窩巣)を示す写真である。
【図3】 C57BL/6J ApcΔ1309/+マウスにおける腸管ポ
リープの形成に対するモフェゾラクの抑制作用を示す図
である。データは、平均±SD値である(*, P<0.05、**,P
<0.01)。Proximal S.I. (近位小腸)は胃幽門輪から約
4cmの小腸、Middle S.I.(中位小腸)およびDistal S.
I.(遠位小腸)は残りの小腸を2等分にしたものであ
る。
【図4】 C57BL/6J ApcΔ1309/+マウスにおける腸管ポ
リープの形成に対するモフェゾラクの抑制作用を示す図
である。データは、平均±SD値である(*, P<0.05、**,
P<0.01)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川森 俊人 東京都目黒区東ケ丘2−5−28 国立がん センター宿舎RF−105 Fターム(参考) 4C056 AA01 AB01 AC01 AD01 AE03 BA08 BA13 4C086 AA01 AA02 BC67 MA04 MA52 MA55 NA14 ZA66 ZB26

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モフェゾラクまたはその誘導体を有効成
    分とする、消化管ポリープおよび/または消化管がんの
    予防または治療のための薬剤。
  2. 【請求項2】 消化管ポリープが大腸ポリープである請
    求項1に記載の薬剤。
  3. 【請求項3】 消化管がんが大腸がんである請求項1に
    記載の薬剤。
JP2001165746A 2001-05-31 2001-05-31 モフェゾラクを有効成分とする、消化管ポリープおよび/または消化管がんの予防または治療のための薬剤 Pending JP2002363079A (ja)

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