JPWO2008084864A1 - カプサイシン受容体活性化剤及びそれを噴霧する装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、カテコールアミンは、心臓に作用して心収縮力を増強する事により血管を拡張して血流を増加させる。
以上のとおり、カプサイシン受容体を活性化することにより、細胞の代謝の促進、すなわち身体の新陳代謝が活性化して、脂肪燃焼および血流の増加による体温上昇、血流増加による組織中の老廃物の排除、温感刺激作用、及び脂肪燃焼促進作用による蓄積脂質の代謝等、生体に有利な効果が起こる。そして、体温上昇にともなう発汗や皮脂の分泌増加により、皮膚表面が覆われてみずみずしく滑らかな皮膚になる。
以上のとおり、カプサイシン受容体を活性化することにより、胃酸分泌が抑制されることになる。そして胃酸分泌低下及び前記説明のような胃粘膜における血流増加は、いずれも胃粘膜の保護に働くため、カプサイシン受容体活性化剤は、胃粘膜保護にも働くことになる。
以上の通り、カプサイシン受容体を活性化することにより、皮膚細胞の活性化、体表の色を意味する血色の改善や発汗および皮脂分泌の増加が起こり、これらはいずれも肌の老化防止や美肌促進に働くことになる。
例えば、非特許文献2は、カプサイシンをマウスに投与したときの血圧変化についての報告であり、通常の餌で飼育したマウスと高塩分餌で飼育したマウスとを用い、それらに静脈注射によってカプサイシンを10μg/kg及び30μg/kgをそれぞれ投与した場合、血圧降下作用があると記載されている。また、同文献には、同時に、その現象がTRPV1のアンタゴニストのカプサゼピンによって抑制されることも開示されている。つまり、同文献には、TRPV1のアゴニストの投与により血圧降下作用が期待されることが示唆されている。
そのため、カプサイシンと同様に体熱産生亢進作用や血流増加作用等を有し、しかも辛味や刺激性のないカプサイシン受容体作動物質(活性化剤)が検索され、報告されている。例えば、特許文献1には、カプサイシンを澱粉、食物繊維等に吸着させた後、表面をコーティングしたトウガラシ製品が提案されている。また、辛くない甘味種のトウガラシ“CH−19甘”から、カプサイシン様の化合物であるカプシエイトやジヒドロカプシエイトが単離されている。しかしながらこれらの化合物は天然物からの抽出・精製に手間がかかる等の問題があり、更なる技術の開発が求められている。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールが、植物抽出物中に含まれていることを特徴とする発明である。また、有効成分である炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールを含有する植物抽出物をカプサイシン受容体活性化剤とする発明でもある。
請求項3の発明は、請求項2記載の発明において、植物抽出物が植物の有機溶媒抽出物であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、構成脂肪酸が下記C8:0、C10:0、C12:0、C18:1、C18:2、C18:3、及び C20:4から選ばれる少なくとも1種あるいは2種以上であることを特徴とする発明である。
C8:0は炭素数が8の飽和脂肪酸、
C10:0は炭素数が10の飽和脂肪酸、
C12:0は炭素数が12の飽和脂肪酸、
C18:1は炭素数が18で二重結合の数が1の不飽和脂肪酸、
C18:2は炭素数が18で二重結合の数が2の不飽和脂肪酸、
C18:3は炭素数が18で二重結合の数が3の不飽和脂肪酸、
C20:4は炭素数が20で二重結合の数が4の不飽和脂肪酸、
請求項6の発明は、請求項5記載のカプサイシン受容体活性化剤を室内空間に噴霧することを特徴とする室内雰囲気改変方法の発明である。
請求項7の発明は、請求項5記載のカプサイシン受容体活性化剤を噴霧する手段を備えたことを特徴とする噴霧装置の発明である。
請求項8の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする体熱産生促進剤の発明である。
請求項9の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする冷え症改善剤の発明であり、請求項11の発明、請求項11の発明、請求項12の発明は、それぞれ、請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする、血流増加剤、美肌促進剤、胃粘膜保護剤の発明である。
請求項13の発明、請求項14の発明、請求項15の発明は、それぞれ、請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする、血圧上昇抑制剤、免疫賦活剤、インスリン分泌促進剤の発明である。
請求項17の発明は、噴霧剤をさらに含む請求項8記載の体熱産生促進剤、噴霧剤をさらに含む請求項9記載の冷え症改善剤、噴霧剤をさらに含む請求項10記載の血流増加剤、噴霧剤をさらに含む請求項11記載の美肌促進剤、噴霧剤をさらに含む請求項12記載の胃粘膜保護剤、噴霧剤をさらに含む請求項13記載の血圧上昇抑制剤、噴霧剤をさらに含む請求項14記載の免疫賦活剤、及び噴霧剤をさらに含む請求項15記載のインスリン分泌促進剤から選ばれる少なくとも1種あるいは2種以上を噴霧する手段を備えたことを特徴とする噴霧装置の発明である。この発明は、例えば、請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤に噴霧剤を含有されて得た体熱産生促進剤を噴霧する手段を備えたことを特徴とする噴霧装置の発明であり、例えば冷え症改善剤や血流増加剤等でも同様である。
請求項18の発明は、噴霧剤をさらに含む請求項8に記載された体熱産生促進剤を噴霧する手段及び前記体熱産生促進剤を噴霧したときに設定温度を下げる制御手段を備えたことを特徴とする暖房装置の発明である。
前記モノアシルグリセロールはグリセリンの3箇所のOH基中1箇所に脂肪酸が結合したもので、1−モノアシルグリセロールと2−モノアシルグリセロールがある。天然油脂中のグリセリドは多くがトリアシルグリセロール(トリグリセリド)であり、モノアシルグリセロールはわずかしか存在しない。生体内では、植物油あるいは動物油を摂取すると、その主要構成成分であるトリアシルグリセロールは小腸において分解、代謝され、2−モノアシルグリセロールへと変換される。その一部は脂肪酸が1又は3位へ転移し、1−モノアシルグリセロールが生成する。また、ジアシルグリセロール(ジグリセリド)(1,2−ジアシルグリセロール、1,3−ジアシルグリセロール)から1−モノアシルグリセロールが生成する。これらのモノアシルグリセロールは、小腸で吸収された後、トリグリセリドに再合成される。また、モノアシルグリセロールは、脂溶性のアシル基とグリセリンのOH基を有し、界面活性剤として機能する。安全性に優れていることから、食品分野で乳化剤等として広く用いられており、マーガリン、乳飲料、アイスクリーム、パン等に通常0.2〜0.5%程度配合されている。本発明において、グリセリンと脂肪酸の結合様式は、本発明の効果を阻害しない限りどのようなものでもよく、例えばエステル結合やエーテル結合が挙げられる。
上記構成脂肪酸としては、特に、炭素数6〜22の脂肪酸が好ましく、それらの中では炭素数6〜14の飽和脂肪酸及び16〜22の不飽和脂肪酸がより好ましい。具体的には、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸(デカノイル酸)、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、α−リノレン酸、アラキドン酸等の脂肪酸が好ましい。それら脂肪酸は単独であってもよく、2種類以上であってもよい。
中でも、特に、前記モノアシルグリセロールを構成する脂肪酸が下記C8:0、C10:0、C12:0、C18:1、C18:2、C18:3、及び C20:4から選ばれる少なくとも1種又は2種以上であるモノアシルグリセロールが好ましい。なお、前記C8:0は炭素数が8の飽和脂肪酸(カプリル酸)をいい、前記C12:0は炭素数が12の飽和脂肪酸(ラウリン酸)をいい、前記C18:1は炭素数が18で二重結合の数が1の不飽和脂肪酸(オレイン酸)をいい、前記C18:2は炭素数が18で二重結合の数が2の不飽和脂肪酸(リノール酸)をいい、前記C18:3は炭素数が18で二重結合の数が3の不飽和脂肪酸(リノレン酸)をいい、前記C20:4は炭素数が20で二重結合の数が4の不飽和脂肪酸(アラキドン酸)をいう。脂肪酸は、直鎖状のものであっても枝分かれを有するものであってもいずれでもよく、また、アンチイソ型のものであってもイソ型のものであってもいずれでもよい。
生化学反応法としては、例えば、脂肪酸とグリセリンにリパーゼを加えて、攪拌しながら5〜40℃、好ましくは10〜35℃で、4時間〜7日、好ましくは24時間〜2日間反応させる方法が挙げられる。用いるリパーゼとしては、ペニシリウム属の微生物由来のリパーゼやバチルス属の微生物由来のリパーゼ等が挙げられる。
このように単離されたモノアシルグリセロールは市販されており、例えば、モノステアリン酸グリセリル(MGS−F20;日光ケミカルズ)や、理研ビタミンのエマルシー等が挙げられる。本発明のモノアシルグリセロールは、市販の製品を用いてもよい。
本発明では、前記モノアシルグリセロールを含有する植物抽出物をカプサイシン受容体活性化剤としてもよい。
カプサイシン受容体活性化剤の体熱産生促進機構としては、カプサイシン受容体を介して交感神経系に作用し、副腎からのカテコールアミンの分泌を促進することにより、肝臓でのグリコーゲン分解および白色脂肪組織での脂肪分解を促進することによる体熱産生、およびカテコールアミンにより、褐色脂肪組織での脱共役蛋白質(UCP)を活性化して脂質代謝を促進することによる体熱産生や、カテコールアミンによる心臓や血流の改善効果が挙げられるが、いずれも本発明の体熱産生促進に包含される。
本発明の体熱産生促進は、例えば体表面や内臓の温度を測定することで、評価することができる。
なお、本発明においては、身体に温感刺激を与える温感刺激や身体の脂肪燃焼を促進する脂肪燃焼促進も前記体熱産生促進に含まれる。
本発明の冷え性改善剤は、カプサイシン受容体を活性化することにより冷え性を改善させるといえる。すなわち、本発明において冷え性改善には、全身の体温の上昇や、局所の体温上昇による体温分布異常の改善、例えば手足の冷え等の改善効果が得られる。
飲食品の具体例としては、経管経腸栄養剤等の流動食、錠剤、錠菓、チュアブル錠、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤等の健康食品又は栄養補助食品、緑茶、ウーロン茶や紅茶等の茶飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、乳飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、粉末飲料、ココア飲料、精製水等の飲料、バター、ジャム、ふりかけ、マーガリン等のスプレッド類、マヨネーズ、ショートニング、カスタードクリーム、ドレッシング類、パン類、米飯類、麺類、パスタ、味噌汁、豆腐、牛乳、ヨーグルト、スープ又はソース類、菓子(例えば、ビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、ケーキ、アイスクリーム、チューインガム、タブレット)等が挙げられる。
本発明の医薬組成物に関し、有効成分であるモノアシルグリセロールの配合量、その他の添加成分や添加剤の種類や量、剤形等については、医薬組成物の目的、投与する対象等により変動するので一概に規定することができないのであって、とくに制限されない。前記医薬組成物の摂取量(投与量)も同様であって、特に制限されない。
このように液体状のカプサイシン受容体活性化剤を室内空間に噴霧すれば、室内滞在者は前記カプサイシン受容体活性化剤を経鼻粘膜吸収や経肺吸収して体内に摂取し、それが体内のカプサイシン受容体に作用して身体に様々な生理作用がもたらされることとなる。
前記液体状カプサイシン受容体活性化剤の噴霧は、適量のカプサイシン受容体活性化剤を体内に摂取するという観点から、吸入量が10mg/kg/day〜10g/kg/dayとなる室内空間における上記カプサイシン受容体活性化剤の濃度を実現するように行うことが好ましい。なお、カプサイシン受容体活性化剤の噴霧は、継続的に行っても、また、断続的に行ってもいずれでもよい。また、前記液体状カプサイシン受容体活性化剤の噴霧は、鼻や肺への進入が容易であって、その吸収が円滑に営まれるという観点から、カプサイシン受容体活性化剤の粒径を10μm以下にすることが好ましく、5μm以下にすることがより好ましい。
本発明では、前記液体状のカプサイシン受容体活性化剤を噴霧するように構成された専用の噴霧装置を用いても、また、液体状のカプサイシン受容体活性化剤を噴霧するように構成された噴霧器を備えた空気調和装置(エアーコンディショナ等)を用いて行ってもよい。さらに、一般的な噴霧器を用いて前記液体状のカプサイシン受容体活性化剤を室内空間に噴霧してもよい。なお、噴霧装置或いは噴霧器の噴霧方式としては、例えば、超音波方式、ピェゾ方式、静電霧化方式等が挙げられる。
本発明では、暖房装置として、噴霧器が温感刺激剤を噴霧したときに設定温度を下げる制御装置を備えた暖房装置を採用することができる。かかる構成によれば、噴霧された前記体熱産生促進剤により身体に温感刺激が与えられることとなるので、室内温度を下げることが可能となり、上記のような設定温度を下げる制御を行うことにより省エネルギーを図ることができる。
また、前記液体状のカプサイシン受容体活性化剤の導電率が好ましくは50〜1000μs/cmであることが好ましく、100〜300μs/cmであることがより好ましい。導電率がこの範囲内であると噴霧状態が安定して大粒の粒子が発生を抑制し、詰まり発生原因のひとつである円管状の噴霧ノズル先端への粒子付着を防止することができる。また、導電率を小さくするには石油類の添加比率を増加させる必要があり、その上限は消防法にて定められておりこれを遵守するには上記範囲がより好ましい。
例えば、0.4〜0.6mmの円管状の噴霧ノズルにて前記液体状のカプサイシン受容体活性化剤を噴霧する場合、上記範囲より粘度が高くても印加電圧を上げたり、導電率を高めることで噴霧は可能であるが、オゾンが発生したりエタノール等の溶液比率を上げる必要が発生する等の不都合さが生じる。
本発明のカプサイシン受容体活性化剤や上記各種剤は、体熱産生、血流増加、胃粘膜保護、美肌の促進、胃粘膜保護、血圧上昇抑制、免疫賦活、インスリン分泌促進等の作用を有するうえ、広く食されているモノアシルグリセロールを原料としており、安全性が高く、風味もよい。さらに、様々な飲食品及び飼料に添加してもそれら飲食品及び飼料自体の風味を阻害しないため、種々の飲食品及び飼料に添加して継続的に摂取することができ、また、非経口的投与によっても皮膚や粘膜等に刺激を与えることがないため、体温の上昇や、体温分布異常(例えば手足の冷え等)の改善、血流の増加、体表の色を意味する血色の改善、むくみの改善、肥満の改善、脂質代謝の促進、体温の分布の正常化、老廃物の代謝促進、心肺機能の向上、美肌の促進、胃粘膜保護、血圧の上昇抑制、免疫賦活、インスリン分泌の促進等の効果が期待される。
下記に示すモノアシルグリセロールをカプサイシン受容体活性化剤とした。
1−モノアシルグリセロール:1−モノオクタノイル−グリセロール(1−MG C8:0)、 1−モノデカノイル−グリセロール(1−MG C10:0)、1−モノラウロイル−グリセロール(1−MG C12:0)、1−モノオレオイル−グリセロール(1−MG C18:1)、1−モノリノレオイル−グリセロール(1−MG C18:2)、1−モノリノレノイル−グリセロール(1−MG C18:3)、
2−モノアシルグリセロール:2−モノオレイル−グリセロール(2−MG C18:1)、2−モノアラキドノイル−グリセロール(2−MG C20:4)
(比較例)
比較する物質として、1,2−ジオレオイル−グリセロール(1,2−DG C18:1)、1,3−ジアシルグリセロール、1,2−ジオレオイル−グリセロール(1,3−DG C18:1)、トリオレオイル−グリセロール(TG C18:1)、トリリノレオイル−グリセロール(TG C18:2)、トリリノレノイル−グリセロール(TG C18:3)、カプサイシン(CAP)、カプサゼピン(CPZ)を用いた。なお、CPZはカプサイシン拮抗物質である。
上記化合物のカプサイシン受容体活性化能を下記手順により測定した。
(1)細胞培養
HEK293細胞(ATCC番号CRC−1573)にラットのカプサイシン受容体(rat-TRPV1)を発現させたHEK293VR11細胞を使用した。なお、HEK293VR11細胞は、HEK293細胞にBiosci.Biotechnol.Biochem.,69(10),1951−1957,2005記載の方法を適用して調製した。HEK293VR11細胞は、DMEM(Dulbecco's modified eagle medium)培地(SIGMA社製)を用いて、37℃、で培養した。継代は週に1回行い、試験には継代数40以下のものを用いた。
培養シャーレ中でコンフルエントになった細胞を0.5mM EDTAを含むCa++フリーリン酸緩衝液を用いてシャーレから剥離した。細胞を色素導入緩衝液(Lording buffer)(5.37mMのKCl、0.441mMのKH2PO4、137mMのNaCl、0.336mMのNa2HPO4-7H2O、5.56mMのグルコース(glucose)、20mMのHEPES(同仁化学研究所製)、1mMのCaCl2、および0.1% 牛血清アルブミン(SIGMA社製、pH=7.4に調整)の10mLで2回洗浄した。色素導入液(Lording solution)(細胞内Ca++指示薬であるFura-2AM(Molecular Probes社製)の10μL(終濃度5μM)、Cremophore EL(SIGMA社製)3μLおよびLording bufferの2mLを加えて攪拌したもの)を添加して、37℃、30分間攪拌しながらインキュベートして細胞内Ca++指示薬を細胞内に導入した。インキュベート終了後、遠心分離により細胞を分離し、Lording bufferの10mLで2回洗浄し、最終的に3.0×104個/mLの細胞数になるように、Lording bufferで希釈した。
3.0×104個/mLの細胞懸濁液1mLを測定用ガラスキュベットに入れ、細胞内イオン濃度測定装置(CAF−110;日本分光社製)にセットして、37℃、750rpmでスターラーで攪拌しながら蛍光を測定した(励起波長:340nmおよび380nm、測定波長:500nm)。実施例および比較例の試験化合物のそれぞれ100μMのDMSO溶液を1〜3μMの濃度でキュベットに添加後、経時的に蛍光強度を測定した。得られた340nmおよび380nmでの蛍光強度の比R(340nm/380nm)から、式(1)(Grynkiewiczらの式)により細胞内Ca++濃度を計算した。
サンプル添加前のCa++濃度を標準値とし、カプサイシン10μMを100%として各試験サンプルのカプサイシン受容体活性を算出した。
[Ca++] = Kd ×[(R−Rmin)/(Rmax−R)]× Sf2/Sb2 (1)
式中、Kdは解離定数(224nM)(Fura-2の解離定数)
Rは340nmおよび380nmでの蛍光強度の比(340nm/380nm)
RminはEGTA添加による最小R値、
RmaxはTritonX−100添加による最大R値、
Sf2はTritonX−100添加による380nmでの蛍光強度の最大値、
Sb2はEGTA添加による380nmでの蛍光強度の最小値である。
上記EGTAは蛍光消光剤であり、TritonX−100は界面活性剤である。
試験例1でカプサイシン受容体活性化作用が観察されたモノアシルグリセロール類が、実際にラットの生体内で感覚神経を刺激するか試験した。
6週齢のSprague-Dawley(SD)系雄ラットを用い、後肢足底皮下に50μLの試験化合物のDMSO溶液を注射し、その後10分間の嫌悪行動(足を噛んだり舐めたりする行動(行動D1)、足を上げたりする行動(行動D2))の秒数を計測した。
カプサイシン受容体TRPV1拮抗剤CPZは、試験化合物と混合した溶液として注射した。
モノオレイン酸グリセロール(ニッコールMGO:日光ケミカルズ社製)100g、中鎖脂肪酸トリグリセリド(ココナードMT;花王社製)200g、をとり、約50℃に加熱して、均一になるように撹拌溶解し、その後室温まで温度を下げ、均一な組成物300gを得る。この組成物を用い、通常の軟カプセル剤の製法によりオーバル6番を用い、1カプセル内容量300mg、皮膜重量約155mgの条件でソフトカプセルを製造する。
モノオレイン酸グリセロール(NOFABLE GO:日本油脂社製)10g、乳糖(DMV)170gおよび結晶セルロース(旭化成)60gを混合し、これにエタノール130mLを添加し、練合機を用いて通常の方法で5分間練合する。練合終了後、10メッシュで篩過し、乾燥機中にて50℃で乾燥する。乾燥後、整粒し、顆粒剤240gを得る。これを1包4gとなるように個別包装する。
(カプサイシン受容体活性化剤の調製)
タマネギ、ニラ、ネギ、エシャロット、シソ、ミョウガ、キュウリ、及びコムギのそれぞれについて、フードプロセッサを用いて細かく刻んで冷凍乾燥した後、その乾燥試料に対して20倍量のn−ヘキサンを加えてマグネチックスターラーで一晩攪拌し、ろ過後、n−ヘキサンを集め、乾燥してカプサイシン受容体活性化剤を得た。
試験例1と同様の方法で、実施例11の各カプサイシン受容体活性化剤の作用を確認した。各サンプルを37.5〜150μg/mLのDMSO溶液として細胞に添加した。その試験結果をカプサイシン10μMを100%とした相対値で表2に示す。
上記のうち活性度が30%を越えるタマネギ、ミョウガ、及びコムギのそれぞれについて、シリカゲルカラム及び逆相HPLCを用いて植物抽出物の精製を行った。得られた精製物をNMRにより構造解析したところ、いずれの植物抽出物にも1−モノアシルグリセロールが含まれていることが分かった。また、得られた精製物についてGC/MS及びLC/MSにより脂肪酸の組成分析を行ったところ、C18:1、C18:2、及びC18:3の脂肪酸が含まれていることが分かった。
ラットの眼に対し、C18:1、C18:2、あるいはC18:3の脂肪酸のモノアシルグリセロールの50mM、並びにカプサイシンの0.5mMのいずれかをそれぞれ滴下投与したところ、カプサイシンでは約26回/分の激しい眼の拭い行動を起こしたが、モノアシルグリセロールでは1〜3回/分と対照群と同程度であり、カプサイシンの場合のような激しい眼の拭い行動は観察されなかった。従って、C18:1、C18:2、及びC18:3のモノアシルグリセロールでは、カプサイシンのような刺激はないものと考えられる。
小麦粉(強力粉)120gとドライイースト2gを混ぜる。他に、砂糖20g、食塩3g、脱脂粉乳6gを温湯70gに溶かし、鶏卵1個を添加してよく混ぜ、そこにリンゴ酸8gを添加し、さらに混合する。これを小麦粉に添加して、手でよくこねた後、モノステアリン酸グリセロール(ニッコールMGS:日光ケミカルズ社製)15gおよびバター約40gを加えてよくこね、20個のロールパン生地を作る。次いで、発酵させた後、表面に溶き卵を塗り、オーブンにて180℃で約12分焼き、ロールパンを製造する。
(8)請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする体熱産生促進剤。
(9)噴霧剤をさらに含むことを特徴とする上記(8)記載の体熱産生促進剤。
(10)請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする冷え症改善剤。
(11)噴霧剤をさらに含むことを特徴とする上記(10)記載の冷え症改善剤。
(12)請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする血流増加剤。
(13)噴霧剤をさらに含むことを特徴とする上記(12)記載の血流増加剤。
(14)請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする美肌促進剤。
(15)噴霧剤をさらに含むことを特徴とする上記(14)記載の美肌促進剤。
(16)請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする胃粘膜保護剤。
(17)噴霧剤をさらに含むことを特徴とする上記(16)記載の胃粘膜保護剤。
(18)請求項1〜5のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする血圧上昇抑制剤。
(19)噴霧剤をさらに含むことを特徴とする上記(18)記載の血圧上昇抑制剤。
(20)請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする免疫賦活剤。
(21)噴霧剤をさらに含むことを特徴とする上記(20)記載の免疫賦活剤。
(22)請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とするインスリン分泌促進剤。
(23)噴霧剤をさらに含むことを特徴とする上記(22)記載のインスリン分泌促進剤。
(24)上記(9)記載の体熱産生促進剤、上記(11)記載の冷え症改善剤、上記(13)記載の血流増加剤、上記(15)記載の美肌促進剤、上記(17)記載の胃粘膜保護剤、上記(19)記載の血圧上昇抑制剤、上記(21)記載の免疫賦活剤、及び上記(23)記載のインスリン分泌促進剤から選ばれる少なくとも1種あるいは2種以上を室内空間に噴霧することを特徴とする室内雰囲気改変方法。
(25)上記(9)記載の体熱産生促進剤、上記(11)記載の冷え症改善剤、上記(13)記載の血流増加剤、上記(15)記載の美肌促進剤、上記(17)記載の胃粘膜保護剤、上記(19)記載の血圧上昇抑制剤、上記(21)記載の免疫賦活剤、及び上記(23)記載のインスリン分泌促進剤から選ばれる少なくとも1種あるいは2種以上を噴霧する手段を備えたことを特徴とする噴霧装置。
(a)有効成分としての炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールと、担体、賦形剤、噴霧剤から選ばれる少なくとも1種とから本質的に構成されることを特徴とするカプサイシン受容体活性化組成物。
(b)有効成分としての炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールと、担体、賦形剤、噴霧剤から選ばれる少なくとも1種とから本質的に構成されることを特徴とする体熱産生促進組成物。
(c)有効成分としての炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールと、担体、賦形剤、噴霧剤から選ばれる少なくとも1種とから本質的に構成されることを特徴とする冷え症改善組成物。
(d)有効成分としての炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールと、担体、賦形剤、噴霧剤から選ばれる少なくとも1種とから本質的に構成されることを特徴とする血流増加組成物。
(e)有効成分としての炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールと、担体、賦形剤、噴霧剤から選ばれる少なくとも1種とから本質的に構成されることを特徴とする美肌促進組成物。
(f)有効成分としての炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールと、担体、賦形剤、噴霧剤から選ばれる少なくとも1種とから本質的に構成されることを特徴とする胃粘膜保護組成物。
(g)有効成分としての炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールと、担体、賦形剤、噴霧剤から選ばれる少なくとも1種とから本質的に構成されることを特徴とする血圧上昇抑制組成物。
(h)有効成分としての炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールと、担体、賦形剤、噴霧剤から選ばれる少なくとも1種とから本質的に構成されることを特徴とする免疫賦活組成物。
(j)有効成分としての炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールと、担体、賦形剤、噴霧剤から選ばれる少なくとも1種とから本質的に構成されることを特徴とするインスリン分泌促進組成物。
(k)炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールのカプサイシン受容体活性化剤としての使用。
(m)炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールの体熱産生促進剤としての使用。
(n)炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールの冷え症改善剤としての使用。
(p)炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールの血流増加剤としての使用。
(q)炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールの美肌促進剤としての使用。
(r)炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールの胃粘膜保護剤としての使用。
(s)炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールの血圧上昇抑制剤としての使用。
(t)炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールの免疫賦活剤としての使用。
(u)炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールのインスリン分泌促進剤としての使用。
(v)植物又は食品素材から抽出物を得る工程、その抽出物から固形成分を生成する工程、前記固形成分を除去する工程、及び前記固形成分を除去した抽出物を濃縮する工程を少なくとも有することを特徴とする炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールを有効成分とするカプサイシン受容体活性化剤の製造方法。
(w)C8:0、C10:0、C12:0、C18:1、C18:2、C18:3、及び C20:4から選ばれる少なくとも1種あるいは2種以上を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールを有効成分として含有することを特徴とするカプサイシン受容体活性化剤組成物。
(x)C8:0、C10:0、C12:0、C18:1、C18:2、C18:3、及び C20:4から選ばれる少なくとも1種あるいは2種以上を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールから本質的に構成されるることを特徴とするカプサイシン受容体活性化剤組成物。
(y)カプサイシンの活性度に対して30%以上の高いカプサイシン受容体活性度を有する上記(w)又は(x)記載のカプサイシン受容体活性化剤組成物。
Claims (18)
- 炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールを有効成分として含有することを特徴とするカプサイシン受容体活性化剤。
- 炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロールが、植物抽出物中に含まれていることを特徴とする請求項1記載のカプサイシン受容体活性化剤。
- 植物抽出物が植物の有機溶媒抽出物である請求項2記載のカプサイシン受容体活性化剤。
- 構成脂肪酸が下記C8:0、C10:0、C12:0、C18:1、C18:2、C18:3、及び C20:4から選ばれる少なくとも1種あるいは2種以上である請求項1〜3のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤。
C8:0は炭素数が8の飽和脂肪酸、
C10:0は炭素数が10の飽和脂肪酸、
C12:0は炭素数が12の飽和脂肪酸、
C18:1は炭素数が18で二重結合の数が1の不飽和脂肪酸、
C18:2は炭素数が18で二重結合の数が2の不飽和脂肪酸、
C18:3は炭素数が18で二重結合の数が3の不飽和脂肪酸、
C20:4は炭素数が20で二重結合の数が4の不飽和脂肪酸、 - 炭素数2〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするモノアシルグリセロール及び噴霧剤を含有することを特徴とするカプサイシン受容体活性化剤。
- 請求項5記載のカプサイシン受容体活性化剤を室内空間に噴霧することを特徴とする室内雰囲気改変方法。
- 請求項5記載のカプサイシン受容体活性化剤を噴霧する手段を備えたことを特徴とする噴霧装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする体熱産生促進剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする冷え症改善剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする血流増加剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする美肌促進剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする胃粘膜保護剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする血圧上昇抑制剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とする免疫賦活剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のカプサイシン受容体活性化剤を含有することを特徴とするインスリン分泌促進剤。
- 噴霧剤をさらに含む請求項8記載の体熱産生促進剤、噴霧剤をさらに含む請求項9記載の冷え症改善剤、噴霧剤をさらに含む請求項10記載の血流増加剤、噴霧剤をさらに含む請求項11記載の美肌促進剤、噴霧剤をさらに含む請求項12記載の胃粘膜保護剤、噴霧剤をさらに含む請求項13記載の血圧上昇抑制剤、噴霧剤をさらに含む請求項14記載の免疫賦活剤、及び噴霧剤をさらに含む請求項15記載のインスリン分泌促進剤から選ばれる少なくとも1種あるいは2種以上を室内空間に噴霧することを特徴とする室内雰囲気改変方法。
- 噴霧剤をさらに含む請求項8記載の体熱産生促進剤、噴霧剤をさらに含む請求項9記載の冷え症改善剤、噴霧剤をさらに含む請求項10記載の血流増加剤、噴霧剤をさらに含む請求項11記載の美肌促進剤、噴霧剤をさらに含む請求項12記載の胃粘膜保護剤、噴霧剤をさらに含む請求項13記載の血圧上昇抑制剤、噴霧剤をさらに含む請求項14記載の免疫賦活剤、及び噴霧剤をさらに含む請求項15記載のインスリン分泌促進剤から選ばれる少なくとも1種あるいは2種以上を噴霧する手段を備えたことを特徴とする噴霧装置。
- 噴霧剤をさらに含む請求項8記載の体熱産生促進剤を噴霧する手段及び前記体熱産生促進剤を噴霧したときに設定温度を下げる制御手段を備えたことを特徴とする暖房装置。
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