JPWO2008084854A1 - セルロース微粒子並びにその分散液及び分散体 - Google Patents

セルロース微粒子並びにその分散液及び分散体 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2008084854A1
JPWO2008084854A1 JP2008553125A JP2008553125A JPWO2008084854A1 JP WO2008084854 A1 JPWO2008084854 A1 JP WO2008084854A1 JP 2008553125 A JP2008553125 A JP 2008553125A JP 2008553125 A JP2008553125 A JP 2008553125A JP WO2008084854 A1 JPWO2008084854 A1 JP WO2008084854A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
cellulose
cellulose fine
particle size
dispersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008553125A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5390193B2 (ja
Inventor
祥之 塩見
祥之 塩見
信之 美村
信之 美村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Fibers Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Fibers Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Fibers Corp filed Critical Asahi Kasei Fibers Corp
Priority to JP2008553125A priority Critical patent/JP5390193B2/ja
Publication of JPWO2008084854A1 publication Critical patent/JPWO2008084854A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5390193B2 publication Critical patent/JP5390193B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L1/00Compositions of cellulose, modified cellulose or cellulose derivatives
    • C08L1/02Cellulose; Modified cellulose
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J3/00Processes of treating or compounding macromolecular substances
    • C08J3/12Powdering or granulating
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J3/00Processes of treating or compounding macromolecular substances
    • C08J3/12Powdering or granulating
    • C08J3/16Powdering or granulating by coagulating dispersions
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2301/00Characterised by the use of cellulose, modified cellulose or cellulose derivatives
    • C08J2301/02Cellulose; Modified cellulose
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/29Coated or structually defined flake, particle, cell, strand, strand portion, rod, filament, macroscopic fiber or mass thereof
    • Y10T428/2982Particulate matter [e.g., sphere, flake, etc.]

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

本発明の目的は、粒径が小さく、かつ平均重合度が高いセルロース微粒子とその分散液及び分散体を提供することである。本発明のセルロース微粒子は、平均粒径が9〜400nmであり、かつセルロースの平均重合度(DP)が150〜3000である。

Description

本発明はセルロース微粒子とその分散液及び分散体に関するものである。
高分子からなる微粒子はその特徴を生かして様々な分野に利用されている。その特徴を左右する要因としては、粒径、機械的強度、粒度分布、形状、凝集の程度等があり、用途に応じてそれらの要因を最適なものにして用いられている。
微粒子の粒径が小さくなるに伴い、その比表面積が増大し微粒子の特徴に大きな影響を与えると言われる。中でも1000nm以下の粒径を持つ微粒子は1000nmを超える微粒子とはまったく違った特徴が発現すると言われおり、様々な素材の微粒子において微細化の試みがなされている。
微粒子の機械的強度はその耐久性に影響し、構成する高分子の重合度、分子量及び構造などによって左右される。機械的強度が高ければ高いほどいい用途もあれば、最適な値があるような用途もある。しかしながら機械的強度が低い微粒子はその利用に大きな制限を受けてしまうため、一般的にはある程度の機械的強度を有することが求められている。
微粒子の粒度分布は微粒子が持つ特徴のばらつきと見なすことができる。これは微粒子の特徴がその粒径に大きく影響されるからである。そのため一部の場合を除き、より粒径の均一性が高いものが求められている。
微粒子の形状は用途に応じて様々な形状に調整される。真球状のものもあれば扁平状のもの、多孔を有するもの、形状がはっきりと規定できないもの、等の様々な形状を取ることができ、目的に応じた形状のものが求められている。
また微粒子同士の凝集はその粒径及び形状を大きく変化させてしまう。凝集の中には可逆的に再分散が可能な軽度の凝集と不可逆的な強固な凝集があるが、一般的には凝集が少ない微粒子が求められている。
これら特徴の組み合わせとその具体的な用途を記載しようとすれば数限りないが、例えば滑り性付与剤、トナー、塗料用艶消し剤、光拡散用の添加剤、包装材のブロッキング防止材、絶縁フィラー、結晶核剤、クロマトグラフィー用充填剤、研磨剤及びその他の各種添加剤等である。さらに近年では免疫診断試薬用担体、液晶ディスプレーのスペーサー、分析機器の校正用標準粒子及び多孔膜の検定用標準粒子等の用途も拡大している。
特に免疫診断試薬用担体、液晶ディスプレーのスペーサー、分析機器の校正用標準粒子及び多孔膜の検定用標準粒子等に用いる粒子には、粒径が小さく、十分な機械的強度を有しており、粒子の大きさが揃っており、真球度が高く、粒子同士の凝集が少ないことが求められている。このような特徴を持つ微粒子は単分散微粒子と呼ばれ、乳化重合、分散重合、シード重合及び懸濁重合等の方法を用いて作製されており、素材としてはポリスチレン製のものが広く用いられている。
しかしながらポリスチレンは疎水性であり水への分散安定性が悪く、凝集による粒径の変化や沈降等の問題がある。そのために水分散液として使用する場合、界面活性剤等の分散安定剤の添加や表面処理による親水性の向上を余儀なくされている。さらにポリスチレンは有機溶媒への溶解性が非常に高く、融点が非常に低い素材である。そのため様々な有機溶媒に対し溶解または膨潤してしまう、熱が発生する環境では用いにくい、等の欠点も有している。
より具体的事例として以下のような問題点が指摘されている。
(1)免疫診断試薬用担体として用いる場合、界面活性剤の存在が原因となり非特異吸着を引き起こしてしまうため、測定誤差が生じてしまう。
(2)免疫診断試薬用担体として用いる場合、疎水性が原因となり測定セルへ付着した微粒子が水洗で流されにくいため、測定セルの白濁による測定誤差が生じてしまう。
(3)多孔膜の検定用標準粒子として用いる場合、疎水性が原因となり多孔膜へ付着した微粒子が水洗で流されにくいため、本来の目的である濾過ではなく吸着によって粒子阻止率が変化し、測定誤差が生じてしまう。
(4)多孔膜の検定用標準粒子として用いる場合、多くの有機溶媒中で溶解または膨潤してしまうことが原因となり、濾過する液体として用いることのできる有機溶媒種類が限られてしまう。
(5)他素材成型体に添加する材料として用いる場合、多くの有機溶媒中で溶解または膨潤してしまうことが原因となり、分散させる媒体が限られてしまう。
一方で、セルロースはポリスチレン等の合成高分子にはない様々な特徴を有している。その特徴の具体例としては(1)化学的に比較的安定であり溶解しにくいこと、(2)耐熱性を有し高温でも溶解しないこと、(3)吸水性、吸油性の両方を有する両親媒性ポリマーであること、(4)天然物由来であり、人体に対し無害であるとみなされていること、(5)賦型性、成形性を有していること、(6)蛋白質などの物質との相互作用を起こしにくく吸着を起こさないこと、(7)水酸基を多く有し化学修飾が容易であること、(8)容易に燃焼し有害物の発生がないこと、(9)生分解性のポリマーであり環境に対し無害であると見なされていること、等が挙げられる。
上記(1)〜(9)の特徴を生かしセルロース微粒子は様々な用途に適応されている。具体的な用途を記載しようとすれば数限りないが、例えば、各種分画用カラム充填剤、酵素支持体、微生物培養担体、細胞培養担体、濾材、吸着剤、医薬物賦型材、医薬物崩壊材、医薬物増量剤、増粒基材、食品用増粘調整剤、チキソ性付与材、分散安定剤、プラスチック増量剤、フィラー、化粧用ファウンデーション基材、外装塗料用改質材、コート剤、焼成法触媒製造用成型剤、繊維壁用素材、感圧複写紙用配合剤、等の多方面に及んでいる。また分散液とすることで分散媒体と特異的に作用し、分散液の挙動に特異的な影響を与えることも知られている。さらにはセルロースの持つ水酸基を化学反応させることで得られるセルロース誘導体の微粒子も同様に様々な用途に用いられている。
上記のような用途に応じて、様々な特徴を持ったセルロース微粒子がこれまで用いられており、物理的微細化または化学的微細化によって提供されたものと、溶解させたセルロース液滴を調整し凝固再生することによって提供されたもの等が用いられている。
前者のセルロース微粒子の例としては特許文献1、2及び3に記載のものがある。しかしながらこれらの文献に開示された方法は、大きな構造単位を持ったものをランダムに破壊していく微細化であり、得られるセルロースは微粒子と言えないL/D(D:粒径、L:粒子の長さ)の大きな棒状や繊維状のものがほとんどである。また当然その形状も均一なものにはなりえない。中には微粒子状のもので粒径がある程度小さなものが報告されているが、粒径を小さくするためにセルロースの平均重合度の低下を伴っている。即ち、これらのセルロース微粒子は粒径の小ささと平均重合度の高さは反比例の関係にある。さらには一般的な加水分解ではセルロースのレベルオフ重合度に由来する微細化の限界があり、粒径が1000nm以下のセルロース微粒子を得ることは非常に困難である。特許文献3に記載の方法では、再生セルロースを加水分解することにより粒径が20〜100nmの球状セルロース微粒子を得ることに成功している。しかしながら実施例に記載された加水分解条件から考えると、得られているセルロース粒子の平均重合度は再生セルロースのレベルオフ重合度である50程度にまで低下していることは明らかである。
後者のセルロース微粒子の例としては特許文献4及び5に記載のものがある。これらにはセルロース微粒子は真球度が高いものが報告されている。この方法ではセルロース平均重合度の低下を行う必要はないので、平均重合度は加水分解を行った場合よりも高いものが得られると予測される。しかしながら溶解させたセルロース溶液から微細な液滴を形成させるために攪拌や剪断等の機械的力を用いており、粒径が1000nm以下のセルロース微粒子を得るのは非常に困難である。仮に超高圧ホモジナイザーなどの剪断装置を用いることで、ある程度微細な液滴を形成できたとしても、セルロースを溶媒に溶かす必要があることから微細な液滴中のセルロース濃度に上限があり、そこから得られるセルロース微粒子は見かけ密度が低く、強度や形状などの点で問題を抱えていることが予測される。またこれら方法で得られた微粒子は粒径の大きさが不均一である可能性や、微細な液滴を形成させる際に加えた界面活性剤や無機塩成分などが残留してしまう可能性等がある。
これらの問題を解決する方法としては特許文献6に記載のミクロ相分離を用いる方法がある。これらの方法ではセルロースをその良溶媒に溶解させ、ミクロ相分離を生起させることで粒子状セルロース濃厚相を調製し、凝固再生を行うことでセルロース微粒子を得ている。ミクロ相分離は粒子連結状の多孔膜の製法として一般的に用いられる方法で、相分離によって生じた一次粒子同士が成長し、より大きな二次粒子となり、二次粒子同士が連結することで多孔膜を形成することができる。特許文献6はこの原理を微粒子の作製に応用したものであるが、得られている微粒子は二次粒子または一次粒子と二次粒子との混合物である。そのために微粒子の粒径は充分小さなものにはならず、粒径の大きさも不均一となる。
特許文献6では溶解させたセルロース溶液の20℃における粘度を低下させ、それにより二次粒子の大きさを強制的に小さなものにし、数平均粒径20〜1000nmのセルロース微粒子が提供されている。なお同文献においては平均粒径を数平均粒径で表しているため、同文献中の粒度分布から予測されるおよその体積平均粒径に換算した値を以下には記載する。同文献においては、セルロース微粒子の粒径を小さくするためには、溶解させるセルロースの濃度および重合度の低下、主に重合度の低下が必須である。すなわち同文献においてもセルロース微粒子は粒径の小ささと平均重合度の高さは反比例の関係にある。一般的にセルロースの構造体においては、平均重合度が150以下になると強度が充分ではなくなってしまうと言われている。同文献における平均重合度150以上のセルロース微粒子は、実施例から判断すると平均粒径が450nmを超えるのものである。そして平均粒径450nmの場合、その分布の最小粒径は40nm、最大粒径は1000nmである。平均粒径をさらに下げるためにはセルロースの平均重合度をさらに低下させる必要があり、十分な粒径の小ささと平均重合度の高さを両立したセルロース微粒子ではない。また粒径の均一性も非常に低い。
このように粒径が小さく、平均重合度が高いセルロース微粒子は未だ提供されていない。もちろん粒子の大きさが揃っており、真球度が高く、粒子同士の凝集が少ないといった特徴をも併せ持つセルロース微粒子も未だ提供されていない。それらの特徴を併せ持ったセルロース微粒子はこれまでセルロース微粒子が用いられてきた用途において、新たな機能を発現することが期待できる。さらには単分散微粒子として、ポリスチレン微粒子にはない親水性の高さ、耐有機溶剤性の高さ、耐熱性の高さを持った微粒子となることが期待できる。
特公昭40−26274号公報 特開平3−163135号公報 特開平11−171901号公報 特開昭61−241337号公報 特開平11−181147号公報 特開昭61−211342号公報
本発明は上記現状に鑑み、粒径が小さく、平均重合度が高いセルロース微粒子とその分散液及び分散体を提供することを目的とする。さらには上記特徴に加え粒子の均一性が高く、真球度が高く、粒子同士の凝集が少ないといった特徴を併せ持ったセルロース微粒子とその分散液及び分散体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するセルロース微粒子を初めて見出すことに成功した。本発明で得られるセルロース微粒子は1000nm程度の平均粒径を持ったものも提供可能である。しかしながらその分布を考慮すると、平均粒径が400nm以下の場合に最大粒径が1000nmを超えないものを得ることができる。このようなセルロース微粒子を分散させた分散液は界面活性剤をまったく加えない状態でも非常に分散安定性に優れ、さらにその重合度の高さゆえにセルロース微粒子の機械的強度も従来のものに比べ非常に優れていることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は以下の通りである。
(1)平均粒径が9〜400nmであり、かつセルロースの平均重合度(DP)が150〜3000であるセルロース微粒子。
(2)下記式で表されるCV値が10%〜70%である上記1項に記載のセルロース微粒子。
CV値=(粒度分布測定装置より求めた体積換算粒度分布における標準偏差)/(粒
度分布測定装置より求めた体積換算メジアン径)
(3)真球度が0.70〜1.00である上記1または2項に記載のセルロース微粒子。
(4)下記式で表される凝集定数が1.00〜2.50である上記1〜3項のいずれか一項に記載のセルロース微粒子。
凝集定数=(粒度分布測定装置で求めた体積平均メジアン径/電子顕微鏡写真から求
めた体積換算メジアン径)
(5)染料または顔料で着色された上記1〜4項のいずれか一項に記載のセルロース微粒子。
(6)上記1〜5項のいずれか一項に記載のセルロース微粒子が液体中に分散してなるセルロース微粒子分散液。
(7)上記6項に記載のセルロース微粒子を乾燥させてなる粉末状セルロース微粒子。
(8)上記7項に記載の粉末状セルロース微粒子を液体に再懸濁させてなるセルロース微粒子分散液。
(9)上記1〜5項のいずれか一項に記載のセルロース微粒子が固体中に分散してなるセルロース微粒子分散体。
(10)上記7項に記載の粉末状セルロース微粒子が固体中に分散してなるセルロース微粒子分散体。
本発明によって得られるセルロース微粒子は平均重合度が高いために機械的強度が高く、さらにその分散液はセルロース微粒子の平均粒径の小ささとセルロースの持つ特徴により、分散安定剤の添加を必要とすることなく様々な液体中における分散安定性が高いという驚くべき特徴を併せ持つ。そのため微粒子単独での利用、液体に分散させた状態での利用はもちろんのこと、その分散安定性の高い分散液を用いることにより、分散安定剤などの余分な成分を混入させることもなく固体中にセルロース微粒子が均一に分散した分散体を調製することも可能となる。
実施例1で得られたセルロース微粒子の電子顕微鏡写真であり、スケールバーは100nmである。 比較例2で得られたセルロース微粒子の電子顕微鏡写真であり、スケールバーは5000nmである。 実施例9で得られたセルロース微粒子の電子顕微鏡写真であり、スケールバーは50nmである。 実施例4で得られたセルロース微粒子の電子顕微鏡写真であり、スケールバーは100nmである。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明によって提供されるセルロース微粒子の特徴は次の(1)〜(5)の通りである。
(1)セルロース微粒子の粒径が小さい。
(2)セルロースの平均重合度が高い。
(3)粒径の均一性が高い。
(4)形状が真球状である。
(5)粒子同士の凝集が少ない。
本発明におけるセルロース微粒子とはセルロースによって構成される微粒子であり、その平均粒径およびCV値の評価は液体に分散した状態で評価する。一方、平均重合度の測定と電子顕微鏡観察は評価の特性上から乾燥させた粉末状セルロース微粒子の状態で評価するものとする。
本発明におけるセルロース微粒子の粒径とは、セルロース微粒子が液体に分散したセルロース微粒子分散液を粒子粒度分布測定装置を用いて測定することによって得たものを指す。さらに平均粒径は測定値の体積平均メジアン径の値を指す。粒度分布測定装置には各種の測定原理を応用したものがあるが、本発明では、動的光散乱法による粒度分布測定装置を用いる。後述するように、実施例では日機装社製の「ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150」を用いた。
測定の際にセルロース微粒子を分散させる媒体はセルロースを溶解、膨潤または凝集させないものであれば特に限定されないが、好ましくは後述するような親水性の液体である。例えば、水、アンモニア水溶液、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類またはテトラヒドロフラン等が挙げられる。
本発明のセルロース微粒子の平均粒径は9〜400nmである。平均粒径が400nmを越える微粒子を得ることも可能であるが、本発明によって得られるセルロース微粒子の粒径の分布を考慮すると、平均粒径がこの範囲内にあると最大粒径が1000nm以下になるため、セルロース微粒子分散液として用いる場合の分散安定性が更に高くなる。均一性及び凝集の少なさから考えると、より好ましくは9〜300nm、更に好ましくは9〜200nm、特に好ましくは9〜100nmである。
本発明におけるセルロースの平均重合度(DP)とは、セルロース微粒子をカドキセンに溶解した希薄セルロース溶液の比粘度をウベローデ型粘度計で測定し、その極限粘度数[η]から以下の粘度式(1)及び換算式(2)により算出した値を採用した(参考文献:Eur.Polym.J.,1, 1 (1996))。
[η]=3.85×10-2×MW 0.76 (1)
DP=MW/162 (2)
本発明のセルロース微粒子の平均重合度は150〜3000である。150以下のセルロース微粒子を得ることも可能ではあるが、セルロース微粒子の機械的強度の面から考えると、平均重合度は150以上であることが好ましい。原料に用いるセルロースに平均重合度が高いものを用いれば、得られるセルロース微粒子の平均重合度を高くすることが可能になる。しかしながら溶解の容易性及びセルロース原料の入手のしやすさを考慮すると、平均重合度は3000以下であることが好ましい。得られるセルロース微粒子の機械的強度及び溶解の容易性から考えると、より好ましくは平均重合度200〜2000、更に好ましくは300〜1500、特に好ましくは400〜1000である。
本発明におけるCV値とは、Coefficient of Variationの略で、微粒子の均一性を表す指標として一般的に用いられる。これはセルロース微粒子分散液の粒度分布における分散度を体積基準で表したもので下記式(3)によって定義される。この値が小さいほど粒度分布がシャープであることを示し、それだけセルロース微粒子の大きさが揃っていることを意味する。またその単位は(%)で表される。
CV値=(粒度分布測定装置より求めた体積粒度分布における標準偏差)/(粒度分
布測定装置より求めた体積平均メジアン径)×100 (3)
本発明のセルロース微粒子のCV値は用いる用途に応じて任意に設定が可能である。しかしながら最大粒径が1000nmを超えないためには10〜70%が好ましい。均一性が高いという面では10〜50%がさらに好ましく、特に単分散微粒子として用いる場合は、より好ましくは10〜30%、特に好ましくは10〜20%である。CV値を小さくしたいときは製造条件によって調整は可能だが、濾過、遠心分離などの操作による粒子の分級を行うことでも可能である。またCV値を大きくしたいときも製造条件によって調整は可能だが、異なる粒径を持つセルロース微粒子を2種類以上混合することによっても可能である。
本発明における真球度とは、微粒子の形状を表した値で、電子顕微鏡画像に現される微粒子の投影面積を測定し、その面積と同面積を持つ円の円周長と、電子顕微鏡画像に現される微粒子の実周長の比によって定義される。この測定方法では各粒子を平面で見ただけにすぎないが、少なくとも100個以上の微粒子を測定した平均値を用いることで観察方向のばらつきを考慮に入れることができ、結果として微粒子を立体的に見た真球の度合いを示すことができる。この値が1.00に近いほど粒子の形状は真球状であり、完全な真球である場合は1.00となる。
本発明のセルロース微粒子の真球度は0.70〜1.00であることが好ましい。特に単分散微粒子として用いる場合は、より好ましくは0.80〜1.00、特に好ましくは0.90〜1.00の範囲内である。真球度がこの範囲内にある場合、微粒子の形状を真球状であると見なすことができる。
本発明における凝集定数とは、セルロース微粒子の凝集の度合いを表したもので、下記式(4)によって定義される。
凝集定数=(粒度分布測定装置で求めた体積平均メジアン径/電子顕微鏡画像から求
めた体積換算メジアン径) (4)
ただし電子顕微鏡画像からの体積換算メジアン径は、少なくとも100個以上の微粒子を測定する。また電子顕微鏡画像上で微粒子同士が接触しており凝集しているように見える場合でもそれぞれの微粒子のメジアン径を測定する。すなわち電子顕微鏡画像から求める平均粒径は微粒子同士が完全に凝集していない場合の平均粒径を指すのに対し、粒度分布測定装置から求める平均粒径は分散液中の微粒子が実際に凝集している大きさでの平均粒径を表す。この2つの平均粒径が等しい場合、凝集定数は1.00となり分散液中の微粒子同士は凝集していないことを表す。分散液中での微粒子同士の凝集がある場合、粒度分布測定装置で求めた平均粒径が大きくなるので、凝集定数も大きくなる。このように凝集定数を定義することで分散液中での微粒子の凝集具合を比較することができる。
本発明のセルロース微粒子の凝集定数は用いる用途に応じて任意に設定が可能である。しかしながら最大粒径が1000nmを超えないためにも1.00〜2.50が好ましい。特に単分散微粒子として用いることができる点から、より好ましくは1.00〜1.10の範囲内である。また必要であれば2.50よりも大きくすることは可能であり、製造条件、凝集剤の使用、PH調整及び化学的構造の架橋等によって調整が可能である。
本発明においてセルロース微粒子分散液のセルロース微粒子を分散させる液体の種類は、セルロースを溶解させないものであれば特に限定されず、水、無機化合物水溶液、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、アセタール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、エステル類、脂肪酸類、フェノール類、窒素化合物、硫黄化合物、リン化合物、ハロゲン化合物およびイオン性液体など様々なものが挙げられる。しかしながらセルロースが親水性の素材であることを考えると、分散液の安定性の面から溶媒は親水性または親水性の置換基を持つものが好ましい。例えば、純水や脱イオン交換水などの水、無機化合物水溶液、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類、脂肪酸類、アミン類、その他親水性または親水性の置換基を持つ有機溶媒などが好ましい。
さらに好ましくは、水、アンモニア水溶液、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ドデカノール、エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルイソブチルカルビノール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、エチレンオキシド、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ブチルアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、シクロペンタノン、シクロブタンジオン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、ギ酸メチル、酢酸メチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、シュウ酸ジエチル、サリチル酸メチル、マロン酸ジメチル、ジイソシアン酸トリレン、メチレングリコレート、ブチロラクトン、カプロラクトン、プロピオンラクトン、エチレングリコール、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノフェニールエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ネオフェニルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、メチル−2−ペンタンジオール−1,3、ジメチル−2,2−ブタンジオール−1,2、ジメチル−2,2−ブタンジオール−1,3、ジメチル−2,2−プロパンジオール−1,2、エチレンクロロヒドリン、エチレンシアノヒドリン、グリセリン、ギ酸、酢酸、無水酢酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジクロロ酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、m−クレゾール、エチレンジアミン、ジメチルホルムアミド、アニリン、アセトニトリル、キノリン、モルホリン、ピリジン、ε−カプロラクタム、などが挙げられる。
勿論、これらの化合物を任意の割合で混合した溶媒を用いてもよく、さらにはそれらの溶媒と相溶性のある疎水性溶媒と混合して用いることも可能である。さらに必要であれば界面活性剤を加えてもよい。また、溶液中に水溶性のイオン性物質およびその他の固形物や分散媒体によって溶解される固形分などを加えてもよい。
上記の固形物や固形分を溶解させたセルロース微粒子分散液から溶媒を蒸発させて固体成型体を形成させることにより、固体成型体中に本発明のセルロース微粒子を均一に分散させたセルロース微粒子分散体とすることが可能になる。
本発明においてセルロース微粒子分散体のセルロース微粒子を分散させる固体は、高分子、ガラス、セラミックス及び金属等その種類は問わない。固体成型体を形成する前の溶融、溶解、原料状態などの液体の段階で上記セルロース微粒子を含有した分散液を加え、その後当業界周知の操作で固体成型体を形成することで、固体成型体中に本発明のセルロース微粒子を均一に分散させたセルロース微粒子分散体とすることが可能になる。
本発明におけるセルロース微粒子分散液の分散安定性とは、静置による沈降や凝集の程度を表す。本発明ではセルロース微粒子分散液を1ヶ月静置しておき、その前後の外観検査による沈降の有無及び平均粒径の測定値の変化で評価を行う。微粒子の沈降がほとんど見られず、かつ平均粒径の変化率(静置後の平均粒径/静置前の平均粒径)が1.0に近いものほど沈降や凝集の少ない優れた分散液であると言える。ただし粒度分布測定装置の測定誤差もあることから1.0以下の値を取る場合もありうる。
本発明におけるセルロース微粒子は液体に分散した分散液を乾燥させることにより粉末の状態で得ることもできる。この際の乾燥方法は特に限定されず一般的な乾燥方法、例えば自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結減圧乾燥、臨界点乾燥など様々なものを用いることができる。また乾燥させる際にセルロース微粒子を分散させる液体も特に限定されず、上述の液体を用いることができる。このようにして得られた粉末状セルロース微粒子はそのままの状態で用いることも可能であり、また再び液体に再懸濁させて再懸濁セルロース微粒子分散液として用いることも可能である。
本発明における再懸濁セルロース微粒子分散液は、1回またはそれ以上の回数乾燥されたセルロース微粒子を含む分散液である。セルロースは乾燥条件により表面や細孔などの形状、結晶化度、膨潤度等を調整することができ、これを利用することによりセルロース微粒子の特性を変えることが可能となる。すなわち、ネバードライの状態のセルロース微粒子を含むセルロース微粒子分散液と比較した場合、一度乾燥させたセルロース微粒子を含む再懸濁セルロース微粒子分散液の分散液としての特徴を変えることができることを意味する。また同様のことはセルロース微粒子分散体にも言える。
本発明における粉末状セルロース微粒子は、乾燥条件にもよるが、液体に再懸濁させた再懸濁セルロース微粒子分散液の平均粒径と乾燥前のセルロース微粒子分散液の平均粒径との比較による乾燥前後での平均粒径の変化が小さい粉末状セルロース微粒子を得ることが可能である。一般的には微粒子の粒径が小さくなるほど乾燥により凝集しやすいと言われ、一度凝集した微粒子を再び分離させるのは容易なことではない。それに対し本発明の粉末状セルロース微粒子は乾燥前後での粒径の変化が小さい、再懸濁性の優れたセルロース微粒子であると言える。ただし再懸濁の際にセルロース微粒子が軽度の凝集を起こすこともあるため、剪断処理や超音波処理による分散処理を施してもよい。この性質を利用すれば、セルロース微粒子分散液の分散媒体を変える際に、遠心分離、デカンテーションおよび目的の分散媒体での希釈の操作をこの順序で繰り返すなどの手間のかかる作業を行うことなく、任意の媒体に分散したセルロース微粒子分散液を簡単に調製することが可能になる。
本発明におけるセルロース微粒子は、一般的な着色方法によって着色させることが可能である。その際の着色の方法は特に限定されず、直接染料、反応染料、建染染料、硫化染料等の従来公知の染料を用いて染色する方法や、微粒子中に顔料を含ませることによって着色させることも可能である。着色の条件により、未着色のセルロース微粒子と同様の特性を維持させることもできれば、異なった特性のものに調整することも可能である。
本発明における着色されたセルロース微粒子は、未着色セルロース微粒子の用途に加え、多素材着色微粒子が用いられる用途にも用いることができる。その利用例としては、セルロース微粒子分散体を形成し着色均一性の高い成型体を形成させる、免疫診断試薬用担体として用い視認性や検知性を上げ感度を高める、各種の画像形成材料、等が挙げられる。
本発明においてセルロースの種類は特に限定されず、平均粒径及び平均重合度を満たすものであれば、再生セルロース、精製セルロース及び天然セルロース等のセルロースを用いることができる。しかしながら粒径、重合度、CV値、真球度及び凝集定数等の調整が容易であることを考えると再生セルロースまたは精製セルロースが好ましく、特に再生セルロースが好ましい。またセルロースの水酸基の一部が誘導体化されていてもよい。
また、微粒子の形成方法も特に限定されるものではない。しかしながら、粒径、重合度、CV値、真球度及び凝集定数等の調整が容易であることから、セルロースをセルロースの良溶媒に溶解したセルロース溶液をセルロースの貧溶媒に加えセルロースを凝固させる方法が好ましい。この方法であれば微粒子を構成するセルロースの平均重合度をセルロース原料の平均重合度によって調整することが可能である。また、得られるセルロース微粒子の粒径を貧溶媒の組成によって調整することが可能となる。更に得られる微粒子の形状をコントロールしやすく、界面活性剤などの成分が残留しにくい。
セルロース原料の平均重合度はセルロース微粒子の所望の平均重合度よりも少し高い160〜3500が好ましい。セルロースを溶解する溶媒も特に限定されないが、銅アンモニア溶液が好ましい。セルロースを溶解させる銅アンモニア溶液のアンモニア濃度はセルロースを溶解できる濃度であれば特に限定されない。好ましくは、セルロース濃度の30%以上の濃度であり、20wt%以下の濃度である。さらに好ましくは、セルロース濃度の60%以上の濃度であり、10wt%以下の濃度である。
また、凝固液として用いるセルロースの貧溶媒としては、上述の分散媒体として例示した液体が挙げられるが、好ましくは水溶性有機溶媒、水溶性有機溶媒と水の混合物、水溶性有機溶媒と水とアンモニアの混合物である。水溶性有機溶媒としてはケトン、アルコール、エーテルまたは有機硫黄化合物が好ましい。
本発明が目的とするような粒径が小さく、かつ均一な微粒子を得るためには、凝固液組成の選択が重要である。凝固液組成を調整することによって凝固速度を調整し、その結果、粒子の成長速度が制御される。凝固速度が遅いと粒子成長が起こり、平均粒径が大きくなる。逆に凝固速度が速すぎても、平均粒径は大きくなる。例えば、貧溶媒としてアセトンを用いる場合、添加するセルロース溶液組成および凝固温度にもよるが、アセトンを20〜45wt%水溶液として用いることが好ましい。最適組成は貧溶媒の種類によって異なる。
より詳細な具体例を用いて本発明において用いたセルロース微粒子の形成方法を説明するが、もちろん本発明のセルロース微粒子はこの具体例によって限定されるものではない。
まず初めにセルロースリンターをセルロースの良溶媒に溶解させる。本発明では良溶媒には当業界周知の方法で調製した銅アンモニア溶液を用いることができる。そして凝固液としては上述の単一の有機溶媒溶液、異なる種類の有機溶媒を任意の割合で混合した溶液、有機溶媒と水を混合した溶液等を主に用いる。この凝固液を攪拌しながら、調製しておいた銅アンモニアセルロース溶液を加えて凝固を行う。さらに硫酸を加え中和、再生を行うことで、目的のセルロース微粒子を含有したスラリーを得ることができる。この際スラリーは再生に用いた酸の残留により酸性であり、さらに中和で発生したアンモニウム塩などの不純物を含んでいる。これらの酸や不純物を取り除くためにスラリーをセルロース微粒子と分散媒体からなるセルロース分散液へと精製する操作を行うことができる。本発明ではこの精製操作として遠心分離、デカンテーションおよび分散媒体による希釈の操作をこの順序で繰り返して行なう。この際に用いる分散媒体の種類も特に限定されず、目的に応じて前述の様々な溶媒を用いることが可能である。
得られたセルロース微粒子分散液中のセルロース微粒子は、凝固操作の過程や精製操作の過程において凝集する場合もあるので、この場合は各種の分散処理を行うことができる。その種類は特に限定されず、ボールミルによる処理、超音波による処理、高圧ホモジナイザーによる処理などが例として挙げられる。しかしながら処理効率や異物混入が少ない事から考えると高圧ホモジナイザーによる処理が好ましい。このようにして得られたセルロース微粒子分散液を粒度分布測定装置を用いて、平均粒径及びCV値を測定する。さらにセルロース微粒子分散液を乾燥させ粉末状セルロース微粒子を作製することができる。本発明では乾燥方法として凍結減圧乾燥を用いることができる。得られた粉末状セルロース微粒子を電子顕微鏡を用いて観察し、その画像から真球度及び凝集定数を測定する。さらに粉末状セルロース微粒子をカドキセン溶液に溶解させ、その粘度から平均重合度を測定する。
まず初めに本発明におけるセルロース微粒子とその分散液及び分散体の測定法についての詳細を説明する。特に記載のない限り全ての操作は25℃の環境下で行った。
(1)粒度分布(平均粒径およびCV値):日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150を用いてセルロース微粒子分散液を測定した。測定は合計3回行い、その平均値を測定値とした。特に記載のない限り、セルロース微粒子を分散させる液体として純水を用い、セルロース微粒子濃度は約0.1wt%で測定した。測定の際に必要な水の物性値は通常の水のものを用いた。
(2)電子顕微鏡観察:必要な倍率に応じて次の3種類の電子顕微鏡を用い、セルロース微粒子の観察を行った。即ち、日本電子社製透過型電子顕微鏡JEM2000EX(100kVの加速電圧および5万倍または10万倍の倍率で観察)、日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM−6700(1.6kVの加速電圧および10万倍の倍率で観察)及び日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM−6380(10kVの加速電圧および5千倍の倍率で観察)を用いた。セルロース微粒子分散液から粉末状セルロース微粒子への乾燥は、特に記載のない限り、セルロース微粒子分散液を液体窒素で急速凍結し減圧させることで凍結減圧乾燥を行った。
(3)電子顕微鏡画像からの体積換算メジアン径及び真球度の算出:電子顕微鏡を用いて撮影した画像を、マウンテック社製画像解析式粒度分布測定ソフトウェアMac−View,Ver.3を用いて解析した。
(4)セルロース微粒子分散液の分散処理:特に記載のない限り、マイクロフルイディックス社製油圧式超高圧ホモジナイザーM−110−E/Hを用いた。その際の処理圧力は50MPaであり、高圧部であるチャンバーを10回通す操作を行った。
以下実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
セルロースリンター(平均重合度679)を銅アンモニア溶液に溶解させ、さらに水およびアンモニアで希釈して、セルロース濃度0.37wt%の銅アンモニアセルロース溶液を調製した。その溶液の銅濃度は0.13wt%であり、アンモニア濃度は1.00wt%であった。
さらにアセトン濃度26.5wt%、アンモニア濃度0.20wt%、水濃度73.3wt%の凝固液を調製した。マグネティックスターラーを用い凝固液5000gをゆっくり攪拌しながら、調製しておいたセルロース濃度0.37wt%の銅アンモニアセルロース溶液500gを添加した。5秒程度攪拌を継続したのちに10wt%の硫酸1000gを加え中和、再生を行い、目的のセルロース微粒子を含有したスラリー6500gを得た。
得られたスラリーを10000rpmの速度で10分間遠心分離した。沈殿物をデカンテーションにより取り出し、脱イオン水を注入して攪拌し、再び遠心分離した。PHが7.0になるまでこの操作を数回繰り返し、その後高圧ホモジナイザーによる分散処理を行い、セルロース微粒子分散液150gを得た。またそのセルロース微粒子分散液を凍結減圧乾燥することで粉末状セルロース微粒子を得た。なお全ての操作は25℃の環境下で行った。
得られた粉末状セルロース微粒子の電子顕微鏡画像を図1に示す。なお、電子顕微鏡には日本電子社製透過型電子顕微鏡JEM2000EXを用い、倍率5万倍で観察した。また、得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した。それぞれの結果を表1に示す。
[実施例2]
セルロースリンター(平均重合度679)を銅アンモニア溶液に溶解させ、さらに水及びアンモニアで希釈して、セルロース濃度0.37wt%の銅アンモニアセルロース溶液を調製した。その溶液の銅濃度は0.13wt%であり、アンモニア濃度は3.00wt%であった。
さらにジメチルスルホキシド濃度52.0wt%、水濃度48.0wt%の凝固液を調製した。この凝固液はジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社製、特級)を純水で希釈して作製した。マグネティックスターラーを用い凝固液5000gを400rpmの速度でゆっくり攪拌しながら、調製しておいたセルロース濃度0.37wt%の銅アンモニアセルロース溶液500gを添加した。5秒程度攪拌を継続したのちに10wt%の硫酸1000gを加え中和、再生を行い、目的のセルロース微粒子を含有したスラリー6500gを得た。
得られたスラリーを10000rpmの速度で10分間遠心分離した。沈殿物をデカンテーションにより取り出し、純水を注入して攪拌し、再び遠心分離した。PHが7.0〜6.5になるまでこの操作を数回繰り返し、その後高圧ホモジナイザーによる分散処理を行い、セルロース微粒子分散液150gを得た。またそのセルロース微粒子分散液を凍結減圧乾燥することで粉末状セルロース微粒子を得た。なお温度の記載が無い全ての操作は25℃の環境下で行った。得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した結果を表1に示す。
[実施例3]
凝固に用いる凝固液がテトラヒドロフラン濃度90wt%および水濃度10wt%であること以外は実施例1とまったく同じ方法で、セルロース微粒子分散液および粉末状セルロース微粒子を得た。凝固液はテトラヒドロフラン(和光純薬工業株式会社製、特級)を純水で希釈して作製した。得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した結果を表1に示す。
[実施例4]
銅アンモニアセルロース溶液のアンモニア濃度が6.3wt%、凝固に用いる凝固液がイソプロパノールであること以外は実施例2とまったく同じ方法で、セルロース微粒子分散液及び粉末状セルロース微粒子を得た。凝固液はイソプロパノール(キシダ化学株式会社製、特級)を希釈せずにそのまま凝固液として用いた。得られた粉末状セルロース微粒子の電子顕微鏡画像を図4に示す。なお、電子顕微鏡には日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM−6700を用い、倍率10万倍で観察した。得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した結果を表1に示す。
[比較例1]
凝固に用いる凝固液がテトラヒドロフラン濃度95wt%および水濃度5wt%であること以外は実施例1とまったく同じ方法で、セルロース微粒子分散液および粉末状セルロース微粒子を得た。得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した結果を表1に示す。
[比較例2]
凝固に用いる凝固液がテトラヒドロフラン濃度99wt%および水濃度1wt%であること以外は実施例1とまったく同じ方法で、セルロース微粒子分散液および粉末状セルロース微粒子を得た。得られた粉末状セルロース微粒子の電子顕微鏡画像を図2に示す。なお、電子顕微鏡には日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM−6380を用い、倍率5千倍で観察した。また、得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明のセルロース微粒子は平均粒径と平均重合度は比例しない。また、本願発明では各種の水溶性有機溶媒を用い、各々の有機溶媒に応じた最適組成に調整することにより、粒子成長速度が制御され、粒径が小さく、かつ均一なセルロース微粒子が得られることが分かる。
また上記実施例および比較例で得られたセルロース微粒子の平均粒径および粒度分布測定装置を用いて求めた粒度分布の範囲を表2に示す。さらに、それぞれのセルロース微粒子分散液をガラス容器(アズワン社製、ラボランスクリュー菅瓶110ml)に100cc入れ、1ヵ月静置させた後のセルロース微粒子の沈降の有無を確認し分散安定性の確認を行った。まったく沈降が確認されなかったものは「◎」、分散液の最底部にほんの僅かながら沈降が確認されたものは「○」、分散液の最底部に沈降が確認されさらに分散液の最上部の濁りが薄くなっているものは「△」、ほぼ全ての粒子が沈降してしまったものは「×」、以上の4段階評価を行ない、その結果も表2に示した。表2から明らかのように、粒度分布の最大値が1000nmを越えないセルロース微粒子分散液は1ヵ月間の静置後もまったく沈降が確認されなかった。これにより本発明のセルロース微粒子分散液は、セルロースの持つ親水性に加え、最大粒径が1000nm以下であるため、分散安定性が非常に高いことが明らかになった。
また、上記1ヵ月間の静置後のセルロース微粒子分散液を攪拌し(比較例1および2においては、沈降していたセルロース微粒子は再度水に分散する)、1ヵ月経過後の平均粒径を測定した。その結果を表2に併せて示す。この結果から、セルロース微粒子分散液はいずれも界面活性剤などの分散安定剤を含んでいないにもかかわらず凝集が起こりにくく、安定性に優れていることが明らかになった。
[実施例5]
溶解するセルロースリンターの平均重合度が1481であること以外は、実施例1とまったく同じ方法でセルロース微粒子分散液および粉末状セルロース微粒子を得た。得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した結果を表3に示す。
[実施例6]
溶解するセルロースリンターの平均重合度が2531であること以外は、実施例1とまったく同じ方法でセルロース微粒子分散液および粉末状セルロース微粒子を得た。得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した結果を表3に示す。
[実施例7]
溶解するセルロースリンターの平均重合度を、当業界周知の方法で酸加水分解を行うことで370まで下げたこと以外は、実施例1とまったく同じ方法でセルロース微粒子分散液および粉末状セルロース微粒子を得た。得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した結果を表3に示す。
[実施例8]
溶解するセルロースリンターの平均重合度を、当業者周知の方法で酸加水分解を行うことで200まで下げたこと以外は、実施例1とまったく同じ方法でセルロース微粒子分散液及び粉末状セルロース微粒子を得た。得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した結果を表3に示す。
[比較例3]
当業界周知の方法で調製した銅アンモニアセルロース溶液から得られた再生セルロース不織布を、当業界周知の方法で酸加水分解を行うことで平均重合度を148まで下げたものを、溶解するセルロースとして用いたこと以外は、実施例1とまったく同じ方法でセルロース微粒子分散液および粉末状セルロース微粒子を得た。得られたセルロース微粒子の平均粒径、平均重合度、CV値、真球度および凝集定数を測定した結果を表3に示す。
表3から明らかなように本発明のセルロース微粒子は平均重合度を低下させても平均粒径に変化は見られない。
[実施例9]
実施例1とまったく同じ方法でセルロース微粒子分散液を調製し、さらにミリポア社製ポリカーボネートフィルター「アイソポア」孔径50nmを用いて減圧濾過を行った。濾過後のセルロース微粒子分散液を用いて、実施例1と同様に、凍結減圧乾燥により粉末状セルロース微粒子を得た。得られた粉末状セルロース微粒子の電子顕微鏡画像を図3に示す。なお、電子顕微鏡には日本電子社製透過型電子顕微鏡JEM2000EXを用い、倍率10万倍で観察した。濾過後のセルロース微粒子の平均粒径は39nm、平均重合度は588、CV値は13%、真球度は0.92、凝集定数は1.07、であった。濾過後のセルロース微粒子はCV値が濾過前より小さくなっており、図1と図3の比較でも明らかなように、粒子の分級を行うことで粒子の均一性のより高いセルロース微粒子を得ることができた。
[実施例10]
実施例3で得られたセルロース微粒子分散液を用いて、遠心分離、デカンテーションおよびアセトン希釈の操作をこの順序で3回繰り返し、セルロース微粒子を分散させる媒体をアセトンに置換したセルロース微粒子アセトン分散液を調製した。この際の遠心分離操作は10000rpmの速度で20分間行った。得られたセルロース微粒子分散液について、セルロース微粒子の平均粒径、CV値、真球度および凝集定数の測定を実施例1と同じ方法で行った。それらの結果を表4に示す。さらに上記実施例1〜4と同様にして1ヵ月静置させた後の分散安定性を確認したが、沈降はまったく生じていなかった。それらの結果を表5に示す。
[実施例11]
デカンテーション後に希釈する溶媒をイソプロピルアルコール(IPA)に変えたこと以外は実施例10とまったく同じ方法で、セルロース微粒子イソプロピルアルコール分散液を調製した。得られたセルロース微粒子分散液について、セルロース微粒子の平均粒径、CV値、真球度および凝集定数の測定を実施例1と同じ方法で行った。それらの結果を表4に示す。さらに上記実施例1〜4と同様にして1ヵ月静置させた後の分散安定性を確認したが、沈降はまったく生じていなかった。それらの結果を表5に示す。
表4から明らかなように、本発明で得られたセルロース微粒子は水中だけでなく有機溶媒中でも大きさ、形を変えることなく安定的に分散できることが明らかになった。また、表5から明らかなように、本発明で得られたセルロース微粒子分散液は水中だけでなく有機溶媒中でも凝集や沈降することなく、分散安定性に優れていることが分かった。
[実施例12]
実施例2で得られたセルロース微粒子分散液を用いて、遠心分離、デカンテーションおよびtert−ブチルアルコール希釈の操作を3回繰り返して行ない、セルロース微粒子を分散させる媒体をtert−ブチルアルコールに置換したセルロース微粒子tert−ブチルアルコール分散液を調製した。この際の遠心分離操作は50000rpmの速度で60分間行なった。また最終的な分散液の微粒子濃度は0.1wt%となるよう調整した。得られたセルロース微粒子tert−ブチルアルコール分散液100gを液体窒素で急速凍結し、減圧させることで凍結減圧乾燥を行い、粉末状セルロース微粒子を得た。得られた粉末状セルロース微粒子を再懸濁させる液体として純水100gを用意し、粉末状セルロース微粒子0.1gを加え、超音波分散機(SMT社製、UH150)で分散処理した。得られた再懸濁セルロース微粒子分散液の平均粒径を粒度分布測定装置を用い測定した。その結果を表6に示す。
表6から明らかなように、本発明で得られた粉末状セルロース微粒子を液体に再懸濁させた際の平均粒径と乾燥前の平均粒径にはほとんど差がない。
[実施例13]
最終的な分散液中の微粒子濃度が5.0wt%になるよう調整したこと以外は実施例2とまったく同じ方法で、セルロース微粒子分散液を調製した。得られたセルロース微粒子分散液をウォーターバスで加熱し60℃まで昇温し、マグネティックスターラーを用いてゆっくり攪拌しながら、予め純水に溶かした反応染料(Remazol Black B HI−GRAN.150)をセルロース微粒子の総重量に対し20%omfの染料濃度となるよう添加した。30分間の染色後、遠心分離およびデカンテーションを行い、さらに80℃の温水を加えて再び遠心分離およびデカンテーションの操作を行う操作を合計3回行いセルロース微粒子の湯洗を行った。得られたセルロース微粒子分散液を超音波分散機(SMT社製、UH150)で分散処理することにより、濃紺に着色されたセルロース微粒子分散液を得た。
[実施例14]
水性アクリル系塗料「水性ホビーカラー」((株)GCIクレオス社製、品番H30、クリヤー)10gに、実施例1で得られたセルロース微粒子水分散液(微粒子濃度1.0wt%)を1g添加しよくかき混ぜた。その後、塗膜厚さが50〜70μmとなるようアクリル板に塗装し、25℃の環境下で24時間静置乾燥させた。塗布断面を電子顕微鏡で観察したところ、セルロース微粒子が均一に分散されている様子が観察された。また上記塗料を単独でアクリル板に塗装し同様に乾燥させたものを作製し、塗布表面を肉眼で見比べたが両者に大きな差はなく良好な塗布状態であった。
[実施例15]
用いるセルロース微粒子分散液を実施例15で得られた着色セルロース微粒子分散液を用いたこと以外は実施例14とまったく同じ方法で、アクリル板上に着色セルロース微粒子を含んだ塗膜を形成した。得られた塗膜は青色であり微粒子による着色の効果が確認できた。また塗布断面は実施例16同様に着色セルロース微粒子が均一に分散していた。
以上の結果から本発明で得られたセルロース微粒子は平均粒径の小ささ、平均重合度の高さ、粒径の均一さ、真球度の高さ、凝集の少なさ、などの特徴を併せ持ったこれまでにないセルロース微粒子であり、そのため分散安定性に非常に優れ、機械的強度が強く、水や有機溶媒などの液体中でも安定的に存在でき、更には固体中に均一に分散させることも可能であるセルロース微粒子であることが明らかになった。また、粒子同士を凝集させずに粉末状微粒子を液体に懸濁させることが可能である、粒子の着色が可能である、等の様々な特性を持つことも明らかになった。
本発明のセルロース微粒子はこれまでセルロース微粒子が用いられてきた用途に加え、ポリスチレンなどの単分散微粒子が用いられてきた用途の様々な用途に用いることができる。具体的には以下のような用途が挙げられる。滑り性付与剤、トナー、塗料用艶消し剤、光拡散用の添加剤、包装材のブロッキング防止材、絶縁フィラー、結晶核剤、クロマトグラフィー用充填剤、研磨剤、各種分画用カラム充填剤、酵素支持体、微生物培養担体、細胞培養担体、濾材、吸着剤、医薬物賦型材、医薬物崩壊材、医薬物増量剤、増粒基材、食品用増粘調整剤、チキソ性付与材、分散安定剤、プラスチック増量剤、フィラー、化粧用ファウンデーション基材、外装塗料用改質材、コート剤、焼成法触媒製造用成型剤、繊維壁用素材、感圧複写紙用配合剤、診断薬担体、免疫診断試薬用担体、遺伝子診断薬担体、液晶ディスプレイ用スペーサー、各種の画像形成材料、電子測定機器の校正に用いる標準粒子、フィルターの検定に用いる標準粒子および回路接続用導電粒子の基材粒子。

Claims (10)

  1. 平均粒径が9〜400nmであり、かつセルロースの平均重合度(DP)が150〜3000であるセルロース微粒子。
  2. 下記式で表されるCV値が10%〜70%である請求項1に記載のセルロース微粒子。
    CV値=(粒度分布測定装置より求めた体積換算粒度分布における標準偏差)/(粒
    度分布測定装置より求めた体積換算メジアン径)
  3. 真球度が0.70〜1.00である請求項1または2に記載のセルロース微粒子。
  4. 下記式で表される凝集定数が1.00〜2.50である請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロース微粒子。
    凝集定数=(粒度分布測定装置で求めた体積平均メジアン径/電子顕微鏡写真から求
    めた体積換算メジアン径)
  5. 染料または顔料で着色された請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロース微粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロース微粒子が液体中に分散してなるセルロース微粒子分散液。
  7. 請求項6に記載のセルロース微粒子分散液を乾燥させてなる粉末状セルロース微粒子。
  8. 請求項7に記載の粉末状セルロース微粒子を液体に再懸濁させたセルロース微粒子分散液。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロース微粒子が固体中に分散してなるセルロース微粒子分散体。
  10. 請求項7に記載の粉末状セルロース微粒子が固体中に分散してなるセルロース微粒子分散体。
JP2008553125A 2007-01-12 2008-01-11 セルロース微粒子並びにその分散液及び分散体 Active JP5390193B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008553125A JP5390193B2 (ja) 2007-01-12 2008-01-11 セルロース微粒子並びにその分散液及び分散体

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007004606 2007-01-12
JP2007004606 2007-01-12
JP2008553125A JP5390193B2 (ja) 2007-01-12 2008-01-11 セルロース微粒子並びにその分散液及び分散体
PCT/JP2008/050280 WO2008084854A1 (ja) 2007-01-12 2008-01-11 セルロース微粒子並びにその分散液及び分散体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008084854A1 true JPWO2008084854A1 (ja) 2010-05-06
JP5390193B2 JP5390193B2 (ja) 2014-01-15

Family

ID=39608741

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008553125A Active JP5390193B2 (ja) 2007-01-12 2008-01-11 セルロース微粒子並びにその分散液及び分散体

Country Status (8)

Country Link
US (1) US8629187B2 (ja)
EP (1) EP2103644B1 (ja)
JP (1) JP5390193B2 (ja)
CN (1) CN101595168B (ja)
DK (1) DK2103644T3 (ja)
ES (1) ES2458623T3 (ja)
TW (1) TWI429702B (ja)
WO (1) WO2008084854A1 (ja)

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5952522B2 (ja) * 2008-03-31 2016-07-13 旭化成株式会社 セルロース誘導体微粒子、その分散液、その分散体及び診断薬
EP2503337B1 (en) * 2009-11-17 2016-08-24 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Organic colored microparticles and diagnostic reagent kit containing the same
US8178269B2 (en) * 2010-03-05 2012-05-15 Xerox Corporation Toner compositions and methods
JP5834378B2 (ja) * 2010-03-24 2015-12-24 富士ゼロックス株式会社 樹脂組成物および樹脂成形体
US20130172538A1 (en) * 2010-09-10 2013-07-04 Kaneka Corporation Method for producing porous particles, porous particles, adsorbent body, and method for purifying protein
JP6131185B2 (ja) * 2011-05-26 2017-05-17 旭化成株式会社 顔料分散ペースト及びその製造方法
US9522963B2 (en) 2011-06-29 2016-12-20 Covidien Lp Dissolution of oxidized cellulose
US9271937B2 (en) 2012-05-31 2016-03-01 Covidien Lp Oxidized cellulose microspheres
US9499636B2 (en) 2012-06-28 2016-11-22 Covidien Lp Dissolution of oxidized cellulose and particle preparation by cross-linking with multivalent cations
US10413566B2 (en) 2013-03-15 2019-09-17 Covidien Lp Thixotropic oxidized cellulose solutions and medical applications thereof
ES2695000T3 (es) * 2013-06-10 2018-12-28 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Kit de diagnóstico inmunocromatográfico
JP6216074B2 (ja) * 2014-08-12 2017-10-18 旭化成株式会社 微小セルロース粉末
CA2976452C (en) * 2015-02-17 2023-08-22 Nippon Paper Industries Co., Ltd. Method for evaluating cellulose nanofiber dispersion
WO2019059182A1 (ja) * 2017-09-25 2019-03-28 旭化成株式会社 有機着色微粒子、診断薬キット、及びインビトロ診断方法
JP7269239B2 (ja) 2018-06-29 2023-05-08 日揮触媒化成株式会社 多孔質セルロース粒子とその製造方法、および化粧料
JP7265331B2 (ja) * 2018-09-28 2023-04-26 日揮触媒化成株式会社 多孔質セルロース粒子および化粧料
KR102601002B1 (ko) 2018-10-11 2023-11-14 아사히 가세이 가부시키가이샤 가교 세퍼레이터를 사용한 리튬 이온 전지
KR102609218B1 (ko) 2018-10-11 2023-12-05 아사히 가세이 가부시키가이샤 리튬 이온 전지용 세퍼레이터
US11548999B2 (en) * 2019-07-10 2023-01-10 Dainichiseika Color & Chemicals Mfg. Co., Ltd. Method for manufacturing resin beads, resin beads, and product employing resin beads
KR20210022929A (ko) * 2019-08-21 2021-03-04 (주)아모레퍼시픽 차 가공물 및 이의 제조방법
JP6872068B1 (ja) 2020-09-01 2021-05-19 大日精化工業株式会社 樹脂ビーズ、樹脂ビーズの製造方法、及び樹脂ビーズを用いた製品
JP6921293B1 (ja) * 2020-12-23 2021-08-18 大日精化工業株式会社 樹脂ビーズ、樹脂ビーズの製造方法、及び樹脂ビーズを用いた製品
CN114471709B (zh) * 2022-01-04 2023-12-19 济南大学 一种高催化性能铁掺杂纤维素基微球及其制备方法和应用

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3415808A (en) * 1964-09-25 1968-12-10 Ciba Ltd Azo-dyestuffs containing 2-aryl-arylenethiazole groups
US4551762A (en) 1984-01-18 1985-11-05 Rca Corporation Dark-current level regulation in solid-state devices
JPS61211342A (ja) 1985-03-15 1986-09-19 Asahi Chem Ind Co Ltd 高分子超微粒子の製法
JPS61241337A (ja) 1985-04-19 1986-10-27 Kanebo Ltd 微小セルロ−ズ粒子およびその製造法
US4902792A (en) * 1985-04-19 1990-02-20 Kanebo Ltd. Fine cellulose particles and process for production thereof
US5244734A (en) * 1985-04-19 1993-09-14 Kanebo Ltd. Fine cellulose particles and process for production thereof
JPH02298516A (ja) 1989-05-13 1990-12-10 Kanebo Ltd 有機顔料含有セルロース複合粒子の製造法
JPH0611793B2 (ja) 1989-08-17 1994-02-16 旭化成工業株式会社 微粒化セルロース系素材の懸濁液及びその製造方法
JP3157224B2 (ja) 1991-11-19 2001-04-16 旭化成株式会社 セルロース成型品の製造法
US5366750A (en) * 1993-01-13 1994-11-22 Crompton & Knowles Corporation Thermostable edible composition having ultra-low water activity
JP4270525B2 (ja) 1997-12-05 2009-06-03 旭化成ケミカルズ株式会社 球状再生セルロース微粒子及びそれからなる水懸濁液、ゲル状物質及び球状再生セルロース微粒子の製法
JP3287798B2 (ja) 1997-12-17 2002-06-04 レンゴー株式会社 球状セルロース微粒子の製造方法
JPWO2004061043A1 (ja) * 2002-12-27 2006-05-11 旭化成ケミカルズ株式会社 スプレー用組成物

Also Published As

Publication number Publication date
EP2103644B1 (en) 2014-04-02
EP2103644A4 (en) 2011-03-16
ES2458623T3 (es) 2014-05-06
DK2103644T3 (da) 2014-04-22
TW200844164A (en) 2008-11-16
EP2103644A1 (en) 2009-09-23
TWI429702B (zh) 2014-03-11
CN101595168B (zh) 2013-11-06
CN101595168A (zh) 2009-12-02
US8629187B2 (en) 2014-01-14
US20100087552A1 (en) 2010-04-08
JP5390193B2 (ja) 2014-01-15
WO2008084854A1 (ja) 2008-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5390193B2 (ja) セルロース微粒子並びにその分散液及び分散体
Tan et al. Fabrication of starch-based nanospheres to stabilize pickering emulsion
CN108137822B (zh) 多孔质树脂微粒子及其制造方法
JP6231032B2 (ja) セルロース多孔質粒子の製造方法及びセルロース多孔質粒子
Fielding et al. Preparation of Pickering emulsions and colloidosomes using either a glycerol-functionalised silica sol or core–shell polymer/silica nanocomposite particles
WO2017130946A1 (ja) 被覆アルカリ土類金属化合物微粒子、有機溶媒分散液、樹脂組成物及び画像表示装置
Liu et al. Fabrication of degradable polymer microspheres via pH-responsive chitosan-based Pickering emulsion photopolymerization
US9982090B2 (en) Method for manufacturing polydioxanone particles for filler
CN110818920B (zh) 一种纤维素纳米晶/聚乳酸复合材料及其制备方法和应用
EP2882799A1 (en) Method for producing an aqueous dispersion of poly(hydroxyalkanoates)
WO2021251049A1 (ja) ポリヒドロキシアルカン酸の製造方法およびその利用
KR20160138991A (ko) 침상 탄산스트론튬 미립자 및 그 분산액
Sharma et al. Co-processing of hydroxypropyl methylcellulose (HPMC) for improved aqueous dispersibility
JP5821213B2 (ja) ポリフェニレンサルファイド樹脂微粒子分散液の製造方法
EP3940032A1 (en) Fractal-like polymeric particles and their use in diverse applications
JP2017061607A (ja) ポリフェニレンサルファイド微粒子
US4937081A (en) Process for producing porous, spherical particles
EP3359610B1 (en) Hollow polymer composition
JPH082992B2 (ja) 多孔球状粒子の製法
JP3111486B2 (ja) アクリロニトリル系重合体微粒子の製造方法
TWI766843B (zh) 中空聚合物組合物
JP2009242632A (ja) 親水性樹脂粒子の製造方法
WO2023032346A1 (ja) 多孔質粒子とその製造方法、およびこれを用いたクロマトグラフィー用充填剤
Yu et al. Viscoelastic Behavior of PVC Plastisol with Cyclodextrin Derivative and Anti-Migration of Plasticizers in Flexible PVC
JP2024069483A (ja) 複合粒子の製造方法および複合粒子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130507

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130704

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131008

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131010

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5390193

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350