JPWO2008084684A1 - リング状巻線型インダクタ - Google Patents

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小川 茂
茂 小川
隆一 鈴木
隆一 鈴木
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Abstract

たった一体のリング状巻線型インダクタにより広い周波数帯域において高い減衰特性を実現し得る極めて実用性に秀れた画期的なリング状巻線型インダクタを提供する。トロイダルコア1の外周部に導線2を巻線して成るリング状巻線型インダクタであって、前記トロイダルコア1の外周部に連続的に巻線した前記導線2の巻線径が一定ではなく巻線箇所によって異なる巻線径となるように、このトロイダルコア1の外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定する。

Description

本発明は、例えばプリント配線板の回路配線などに実装されるリング状巻線型インダクタに関するものである。
強磁性を有するリング状のトロイダルコアの外周部に連続的に導線を巻線して構成された、いわゆるトロイダルコイル(リングコイル)と呼ばれるリング状巻線型インダクタが従来から種々提案されている(例えば特許文献1,2)。
このリング状巻線型インダクタは、磁束の多くがリング状のトロイダルコア自身を通過する構造上、漏れ磁束が少なく、周囲の物体の影響を受けにくいなどの利点を有し、安定したインダクタンスを発揮できることから、特に高周波回路に好んで使用されている。
ところで、この従来のリング状巻線型インダクタ(以下、従来品という。)は、導線を連続的に巻線する前記トロイダルコアの外周部の断面形状が一定の形状に形成されている為、この外周部に連続的に巻線する前記導線の巻線径も一定の径となる構造である。
従って、従来品は、導線の巻線径が常に一定であるため、単一の共振周波数しか有しておらず、それ故、その共振周波数帯域においてはインピーダンスが良好に増大し高い減衰特性(インダクタ特性)が得られるものの、その共振周波数帯域を外れると、直ちにインピーダンスが低減し、それに伴い減衰特性が減衰してしまうという特性を有した。即ち、狭い周波数帯域にしか有効ではない(高い減衰特性を得られない)ため、広い周波数帯域において高い減衰特性を必要とする場合、共振周波数の異なる複数の従来品を一つの回路に複数実装する必要があり、それだけコストが高くつく上に、それだけ実装スペースも多く嵩張り回路装置自体の大型化の原因となるなど、種々の問題を有した。
特開2002−217046号公報 特開2005−142316号公報
本発明は、従来から提案されているこの種のリング状巻線型インダクタについての更なる研究開発を進め、一体のリング状巻線型インダクタで複数の共振周波数を有する構成を簡単な構造で実現し得、これにより、たった一体のリング状巻線型インダクタによって、広い周波数帯域において高い減衰特性を実現し得る極めて実用性に秀れた画期的なリング状巻線型インダクタを提供することを課題とする。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
本発明の請求項1記載の発明は、トロイダルコア1の外周部に導線2を巻線して成るリング状巻線型インダクタであって、前記トロイダルコア1の外周部に連続的に巻線した前記導線2の巻線径が一定ではなく巻線箇所によって異なる巻線径となるように、このトロイダルコア1の外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定したことを特徴とするリング状巻線型インダクタに係るものである。
また、本発明の請求項2記載の発明は、前記トロイダルコア1の外周面に連続的に巻線した前記導線2の巻線径が一定ではなくこのトロイダルコア1の周方向に沿って徐々に漸増若しくは漸減するように、このトロイダルコア1の外周面の断面形状を一定ではなくこのトロイダルコア1の周方向に沿って外周面の断面形状の面積(断面積)が徐々に漸増若しくは漸減する形状に設定したことを特徴とする請求項1記載のリング状巻線型インダクタに係るものである。
また、本発明の請求項3記載の発明は、前記トロイダルコア1は中央部にリング孔3を有するリング状とすると共に、このトロイダルコア1を側面視において肉厚が一定ではなく変化した形状とする,若しくは,平面視においてこのトロイダルコア1のリング孔3の内面部からトロイダルコア1の外側周面部までの距離が一定ではなく変化した形状とすることで、このトロイダルコア1の前記導線2が巻線される外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタに係るものである。
また、本発明の請求項4記載の発明は、前記トロイダルコア1は、側面視において肉厚が最小となる箇所から最大となる箇所までその肉厚が急激に増減せず徐々に漸増する形状に設定したことを特徴とする請求項3記載のリング状巻線型インダクタに係るものである。
また、本発明の請求項5記載の発明は、前記トロイダルコア1は中央部にリング孔3を有するリング状とすると共に、このトロイダルコア1の中心位置に対してリング孔3の孔中心位置が重合位置とせず位置ズレした偏心リング状にトロイダルコア1の形状を設定して、このトロイダルコア1の前記導線2が巻線される外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタに係るものである。
また、本発明の請求項6記載の発明は、前記トロイダルコア1は、外周部の断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所に対して、外周部の断面形状の面積(断面積)が最大となる箇所の面積比が1.1倍〜500倍となる形状に設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタに係るものである。
また、本発明の請求項7記載の発明は、前記トロイダルコア1は、外周部の断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所に対して、外周部の断面形状の面積(断面積)が最大となる箇所の面積比が1.1倍〜500倍となる形状に設定したことを特徴とする請求項6記載のリング状巻線型インダクタに係るものである。
また、本発明の請求項8記載の発明は、前記トロイダルコア1は、外側周面部及びこのトロイダルコア1のリング孔3の内面部の形状を円状若しくは少なくとも五角形以上の多角形状に設定し、このトロイダルコア1の外周部の断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所から最大となる箇所まで、このトロイダルコア1の周方向に沿って外周部の断面形状の面積(断面積)が急激に増減せずに徐々に漸増する形状に設定したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタに係るものである。
また、本発明の請求項9記載の発明は、前記トロイダルコアは、コアの厚みが0.1〜250mmであり、コアの外形の直径が1.5〜300mmであり、かつコアの中心孔の直径が0.7〜250mmであることを特徴とする請求項1〜8の記載のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタに係るものである。
本発明は上述のように構成したから、トロイダルコアの外周部に連続的に巻線した導線の巻線径が巻線箇所によって異なり、これにより本発明品は一体で複数の異なる共振周波数を有することができ、この複数の異なる共振周波数により広い周波数帯域において秀れた(高い)減衰特性を発揮できる。
また、トロイダルコアの外周部が箇所により変化する形状となっており、単にこの外周部に連続的に導線を巻線することで導線の巻線径が一定ではなく異なり上記の秀れた減衰特性を有する構造を簡易に実現でき量産性やコスト性にも秀れる。
また、従来の導線を連続的に巻線する前記トロイダルコアの外周部の断面形状が一定の形状に形成されているリング状巻線型インダクタに比較し、その温度上昇が非常に少ない。従って、発熱による機器部品への影響が少ない効果がある。
さらに、単一の共振周波数しか有さない従来品を使用して広い周波数帯域において高い減衰特性を実現するには、一つの電子回路に共振周波数の異なる複数種類の従来品を実装しなければならなかったが、この点、本発明によればたった一体で広い周波数帯域における高い減衰特性が得られ、それだけ少ない部品点数で広い周波数帯域における高い減衰特性を実現でき、実装コストを抑えると共に実装スペースも少なく済み回路装置の小型化なども容易に図り得る。更に、本発明品自体も簡易構造で、あくまで従来品と略同様のコストで製造実現可能な量産性やコスト性に秀れた構造で、よって、本発明は実用性及び量産性に秀れた極めて画期的で商品価値の高いリング状巻線型インダクタとなる。
本発明の実施例1に係るリング状巻線型インダクタの斜視図である。 本発明の実施例1の他の例を示す斜視図である。 本発明の実施例2を示す側断面図である。 本発明の実施例2を示す平面図である。 本発明の実施例3を示す側断面図である。 本発明の実施例3を示す平面図である。 本発明の実施例1の減衰特性比較試験方法を示す説明図である。 本発明の実施例1の他の減衰特性比較試験方法を示す説明図である。 本発明の実施例1の減衰特性比較試験結果を示す説明図である。 本発明の実施例1の他の減衰特性比較試験結果を示す説明図である。 本発明の実施例1の具体的設計例を示す図である。 本発明の実施例1の他の具体的設計例を示す図である。 本発明の実施例3の具体的設計例を示す図である。 本発明の実施例3の他の具体的設計例を示す図である。 図16〜図18に示される実験結果に用いられた各サンプルの構造を示す図である。 実施例1〜3について、従来品と比較した各サンプルの周波数―損失特性を示す図である。 実施例1〜3について、従来品と比較した各サンプルの直流重畳特性を示す図である。 実施例3について、従来品と比較した各サンプルの温度上昇特性の実験結果を示す図である。 本発明の実施例3の斜視図である。 本発明の実施例の応用例を示す図である。 本発明の実施例3の他の例の斜視図を示す図である。 本発明の実施例1の他の例についての図23,図24の特性測定に用いたサンプルの説明図である。 本発明の実施例1の他の例について行った周波数特性の比較試験結果を示すグラフである。 本発明の実施例1の他の例について行った図23の周波数特性の比較試験結果を他のパラメータから見たグラフである。
符号の説明
1 トロイダルコア
2 導線
3 リング孔
10 トロイダルコア
11 リング孔
12 トロイダルコア
13 リング孔
15 トロイダルコア
16 リング孔
20 トロイダルコア
21 リング孔
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明は、トロイダルコア1の外周部に導線2を巻線して成るリング状巻線型インダクタに関するものである。
本発明のトロイダルコア1は、図1,図2や図19,図21に示すように、前記導線2が連続的に巻線されるその外周部の断面形状が、一定ではなく箇所によって変化した形状に設定している。それ故、このトロイダルコア1の外周部に連続的に巻線した前記導線2の巻線径は一定ではなく、巻線箇所によって異なる巻線径となる。
即ち、従来品は導線2の巻線径が一定でありそれ故単一の共振周波数しか有していなかったところを、本発明品においては導線2の巻線径が巻線箇所によって異なる構成である為、一体で複数の共振周波数を保有でき、それだけ広い周波数帯域で高い減衰特性が得られることとなる。
しかも、単に外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定されたトロイダルコア1に導線2を連続的に巻線して成る簡易な構成である為、導線2の巻線径が巻線箇所により異なり複数の共振周波数を有する秀れた構造を簡易に実現でき得ることとなる。
従って、これまで、広い周波数帯域において高い減衰特性を得るには、単一の共振周波数しか有さない従来品を複数種類実装しなければならなかったところを、本発明によれば、たった一体のリング状巻線型インダクタで広い周波数帯域における秀れた減衰特性を得ることができるから、それだけ実装数を減らし、低コストにして実装スペースも少なく済み回路装置の小型化なども容易に図り得、しかもこの秀れた減衰特性を有する構造を簡易な構成で実現でき量産性やコスト性にも秀れるなど、極めて画期的で実用性に秀れたものとなる。
尚、例えばトロイダルコア1の外周面に連続的に巻線した前記導線2の巻線径が一定ではなくこのトロイダルコア1の周方向に沿って徐々に漸増若しくは漸減するように、このトロイダルコア1の外周面の断面形状を一定ではなくこのトロイダルコア1の周方向に沿ってこの外周面の断面形状の面積,即ち断面積が徐々に漸増若しくは漸減する形状に設定した場合、トロイダルコア1の外周部の断面形状が急激に増減せず徐々に漸増若しくは漸減する形状とした為、それだけこのトロイダルコア1に導線2を巻線する作業を別段の困難性無く従来同様に行うことができる。
しかも、導線2の巻線径が徐々に漸増若しくは漸減することで、連続的に異なる複数の共振周波数を有することとなるから、所定の広い周波数帯域において連続的に高い減衰特性を発揮できる構造となり、例えば、或る特定の広い周波数帯域の全域で、特定値以上の高い減衰特性が得られるように設定することも簡易に実現可能となる。
また、トロイダルコア1の外周部の断面形状は、例えば、このトロイダルコア1を側面視において肉厚が一定ではなく変化した形状(図3参照)としたり、また例えば、平面視においてトロイダルコア1の中央部のリング孔3の内面部からこのトロイダルコア1の外側周面部までの距離が一定ではなく変化した形状(図1,図2参照)としたりすることで、トロイダルコア1の外周部の断面形状が箇所によって変化する形状を簡易に設計実現可能である。
特に、図1に図示したように、このトロイダルコア1の中心位置に対してリング孔3の孔中心位置が重合位置とせず位置ズレした偏心リング状にトロイダルコア1の形状を設定する場合、単にこのリング孔3の孔中心位置の偏心位置ズレ量を調整設計することで、トロイダルコア1の外周部の断面形状の面積(断面積)の変化量を容易に調整設計でき、この際後述の実施例のようにトロイダルコア1の側面視肉厚が一定であれば、このトロイダルコア1の中心位置に対するリング孔3の孔中心位置の偏心位置ズレ量の調整によりトロイダルコア1の表面積や容積,重量を変化させることなく一定に保持したまま、このトロイダルコア1の外周部の断面形状の面積(断面積)の変化量を調整設計することも可能となる。
本発明の具体的な実施例1(以下、A型という。)について図面に基づいて説明する。
本発明のトロイダルコア1は、強磁性を有する材質により構成したものであって、このトロイダルコア1の外周面に連続的に巻線した前記導線2の巻線径が一定ではなくこのトロイダルコア1の周方向に沿って徐々に漸増若しくは漸減するように、このトロイダルコア1の外周面の断面形状を一定ではなくこのトロイダルコア1の周方向に沿って外周面の断面形状の面積(断面積)が徐々に漸増若しくは漸減する形状に設定したものである。
尚、トロイダルコア1の外周面の「断面形状」なる記載は、このトロイダルコア1の外周面の所定箇所を、当該箇所に巻線された導線2の巻線方向に沿って切断した際の切断面の形状を意味するものである。また、トロイダルコア1の「周方向」なる記載は、トロイダルコア1の平面視における周回り方向を意味するものである。
従って、トロイダルコアの外周部の形状が急激に増減しておらず徐々に漸増若しくは漸減する形状の為、この外周部に導線2を連続的に巻線する作業を別段の困難性無く通常通り行うことができる。また、この外周部に巻線した導線2の巻線径は徐々に漸増若しくは漸減して変化するので、この巻線径の漸増,減変化に伴い、連続的に異なる複数の共振周波数を有することができ、よって特定の非常に広い周波数帯域の全域において秀れた(高い)減衰特性が得られる構造とすることも容易に実現可能である。
具体的には、図1に図示したように、円盤体の中央部に貫通状態に円形のリング孔3を有するリング状に形成している。即ち、平面視において外側周面部が円形で、且つリング孔3の内面部も円形の円環リング状としている。また更に、この円環リング状のトロイダルコア1の中心位置に対し、リング孔3の孔中心位置は重合位置とせずにズレた位置に設定して偏心リング状にこのトロイダルコア1の形状を設定している。
従って、このリング孔3の臨界孔中心位置の偏心位置ズレによって、トロイダルコア1は、平面視においてリング孔3の内面部からトロイダルコア1の外側周面部までの距離が一定ではなく変化した形状となり、これにより、このトロイダルコア1の外周部の断面形状が一定ではなくその断面形状の面積(断面積)が周方向に沿って徐々に漸増及び漸減するように設定している。
尚、本実施例1(A型)では、このトロイダルコア1の側面視における肉厚(板厚)は一定に設定している。
ここで、一般的なトロイダルコアの形状は、側面視における肉厚(板厚)が一定の円盤体の中央部の中心位置に円形の貫通孔を形成して成るリング状であるが、これに対して、本実施例品のトロイダルコア1の形状は、側面視における肉厚が一定の円盤体の中央部に円形のリング孔3を形成するがそのリング孔3の孔中心位置はトロイダルコア1の中心位置に対して位置ズレした偏心リング状である。つまり、トロイダルコア1の中心位置に対してリング孔3の孔中心位置の偏心位置ズレ量をゼロとしたのが従来の一般的なトロイダルコア1の形状であり、このリング孔3の孔中心位置の偏心位置ズレ量を所定量設けたものが本実施例のトロイダルコア1の形状である。
従って、このトロイダルコア1の中央部のリング孔3の孔中心位置の偏心位置ズレ量を調整設定することで、トロイダルコア1の外周部の断面形状の面積の変化量や変化率の調整設定を容易に図れる。即ち、導線2の巻線径、ひいては共振周波数を決定するトロイダルコア1の外周部の断面形状の変化量や変化率を、単に設計時にリング孔3の孔中心位置の偏心位置ズレ量を調整設計するだけで簡単に調整設計でき、よって所望の前記変化量や変化率を有するトロイダルコア1の形状を簡易に設計・実現可能である。また、リング孔3の偏心位置ズレ量に関わり無く、トロイダルコア1の表面積や容積,質量は変化しないので、トロイダルコア1の外周部の断面形状の面積の変化量や変化率の調整設計時にこのトロイダルコア1の表面積や容積,質量の変化は一切考慮する必要は無く、この点においても取り扱いが容易で実用性が高い。
尚、このトロイダルコア1は、外周部の断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所に対して、外周部の断面形状の面積(断面積)が最大となる箇所の面積比が1.1倍〜500倍,好ましくは1.5倍〜11.2倍となる形状に設定する。これにより、トロイダルコア1の外周部に連続的に巻線した導線2の巻線径を確実に変化させ、ひいては、異なる複数の共振周波数を保有し広い周波数帯域で高い減衰特性を発揮するとういう本実施例の上記秀れた特性を確実に発揮できることとなる。
また、図1に図示した形状と同様にして、本実施例のトロイダルコア1は、外側周面部及びリング孔3の内面部の形状を円状若しくは少なくとも五角形以上の多角形状に設定し、このトロイダルコア1の外周部の断面形状の面積、即ち断面積が最小となる箇所から最大となる箇所まで、このトロイダルコア1の周方向に沿って前記断面積が急激に増減せず、徐々に(連続的且つなだらかに)漸増する形状に設定してもよい。即ち、例えばトロイダルコア1の外側周面部を三角形や四角形とし、その中央にリング孔3を三角形や四角形状に形成した構成とした場合、このトロイダルコア1の前記断面積が最小となる箇所から最大となる箇所に至る範囲に連続的に巻線された導線2の巻線径は増加と減少を繰り返す形状となり、この連続的に巻線された各導線2が有する共振周波数もその周波数域が増減することになる。
この点、本実施例では、トロイダルコア1の外側周面部を円状に形成し、リング孔3も円状に形成している為、前記断面積が最小となる箇所から最大となる箇所に至る範囲に連続的に巻線された導線2の巻線径は、このトロイダルコア1の周方向に沿って急激に増加したり減少したりせず、徐々に漸増することとなる。それ故、この連続的に巻線された各導線2が有する共振周波数も、増えたり減ったりを繰り返さず連続的にその周波数域が推移することとなり、このように増えたり減ったりせず連続的に周波数域が推移する複数の共振周波数の集合により、広い周波数帯域で非常に秀れた減衰特性を発揮できることとなる。
また、このように外周部の断面形状の面積が急激に増減せず連続的に(なだらかに)漸増する形状とした場合、この外周部に導線2を巻線する作業もやり易く生産性にも秀れる。また、本実施例のようにトロイダルコア1の外側周面部及びリング孔3の内面部の形状を円形とせずとも、例えば外側周面部及びリング孔3の内面部の形状を五角形以上の多角形状に形成して、外周部に巻線する導線2の巻線径が急激に増減を繰り返すことを阻止できる形状に設定することも可能である。この場合、より多角形化することで、巻線径の急激な増減を一層良好に阻止できる形状に設定可能である。
尚、上記実施例1においては、上述のようにトロイダルコア1の形状を設定しているが、これに限らず、例えば図2に図示した他の例のように、トロイダルコア1の中心位置に対して中央部のリング孔3の孔中心位置は重合位置に設定しているが、このリング孔3の形状を円形ではなく図示した楕円型や例えば星型などにすることで、平面視においてこのトロイダルコア1のリング孔3の内面部からトロイダルコア1の外側周面部までの距離が一定ではなく変化した形状に設定してもよい。
ここで、コア直径10mmでコア中心位置と中央部のリング孔(内径8mm)3の孔中心位置とが偏心位置ズレした偏心リング状のトロイダルコア(厚み2mm)1に、直径0.2mmの導線2を39回巻線して成る図7(b)、図8(b)に示す形状のリング状巻線型インダクタ(ノーマルモード)の本実施例1について、これをネットワークアナライザで減衰特性評価した結果を図9及び図10に示す。比較品としては、本実施例品と同様にコア直径が10mm、リング孔内径8mmであるがコア中心位置とリング孔5の孔中心位置が偏心位置ズレしておらず重合状態の(偏心リング状ではない)通常の同心円環リング状のトロイダルコア(厚み2mm)6(図7(a),図8(a)参照)に、直径0.2mmの導線2を39回巻線して成る構成の通常(従来品)のリング状巻線型インダクタ(ノーマルモード)を採用する。なお、図7,図8において、巻き線は省略されている。
スイーパ(掃引信号発振器)からレシーバ(受信装置)に掃引信号を発振しつつ、ネットワークアナライザ(高周波測定器)により減衰量(減衰特性)を評価する。この際、図7に図示したように、マイクロストリップライン4を配線した試験用回路基板に対してトロイダルコア1,6を縦に実装して評価試験を行った場合の結果を図9に示し、図8に図示したようにマイクロストリップライン4を配線した試験用回路基板に対してトロイダルコア1,6を横に実装して評価試験を行った場合の結果を図10に示す。
図9から分かるように、トロイダルコア1,6を縦に実装して評価試験を行った場合、本実施例品は20MHz近辺から6000MHz近辺の広範囲に亘って減衰量−20dB以上の秀れた減衰特性を発揮できるのに対し、比較品は20MHz近辺から減衰量−20dB以上を発揮できるものの1000〜2000MHzの範囲で、その減衰量が略−18dB近辺まで弱まってしまう。
また、図10から分かるように、トロイダルコア1,6を横に実装して評価試験を行った場合、本実施例品は20MHz近辺から8000MHzの広範囲に亘って減衰量−20dB以上の秀れた減衰特性を発揮できるのに対し、比較品は1000〜2000MHzの範囲で、その減衰量が略−18dBまで弱まってしまう。このように、本実施例品は比較品に比して秀れた(高い)減衰特性を広範囲に亘って(特に、1GHz以上の高周波領域において)発揮でき得るものである。
以上、本実施例によれば、たった一体で非常に広範囲に亘って高い減衰特性が得られるリング状巻線型インダクタを簡易な構成により確実に実現でき、例えば高周波回路などに実装するインダクタとして極めて好適であり、画期的で実用性及び量産性に秀れたリング状巻線型インダクタとなる。
また、例えば図3及び図4には、本発明に他の実施例(実施例2。以下、B型という。)を示す。図3のように、トロイダルコア1の中心位置に対して中央部のリング孔3の孔中心位置は重合位置に設定しているが、トロイダルコア1を側面視において肉厚(板厚)が一定ではなく変化した形状に設定している。この図3及び図4に図示した実施例2(B型)では、トロイダルコア1の肉厚が最小となる箇所から最大となる箇所まで、その肉厚が急激に増減するのではなく徐々に漸増する(特にこの図示した別例2では、一定率で肉厚が漸増する)形状とし、このトロイダルコア1の外周部に巻線する導線2の巻線径が急激に増減せず、連続的に変化する(前記肉厚が最小の箇所から最大の箇所から漸増する)形状となるように設定する。
この場合も、実施例1(A型)と同様に、コアの断面積が円周方向に変化する形状となっており、他の実施形態として前記実施例1(A型)と同様の効果が期待できる。
なお、図3に示すコアの断面は台形(または3角形)であるが、コア断面の角に丸みを付け、台形(または3角形)状の略楕円形とした方がよい。断面が略楕円形状の方が巻き線に有利なので、製品としてはこの方が好ましい。この場合も、コアの断面積が円周方向に変化する形状となっており、前記効果の点で両者に差異がない。
また、例えば図5及び図6には、本発明の他の実施例(実施例3。以下、C型という。)を示す。図5,図6に示すように、トロイダルコア1の肉厚を変化させて尚且つリング孔3の孔中心位置を偏心した位置ズレ状態に設定すれば、トロイダルコア1の外周部の断面形状の面積(断面積)の変化量,変化率を一層大きく設けることができる。その他にも、トロイダルコア1の外周部の断面形状が一定ではなく箇所によって変化した形状であれば、前述したものに限らず種々の形状のものを採用できる。
このように、実施例3(C型)のものは、コアの中心孔を偏心させると共に、コアの断面形状も台形にし円周方向断面積を変化させたものである。このため、コアの円周方向断面積の変化は、A型、B型より大きく、A型、B型の効果が重畳されたものとなる。
なお、図5に示すコアの断面は台形であるが、コア断面の角に丸みを付け、台形状の略楕円形とした方がよい。断面が略楕円形状の方が巻き線に有利なので、製品としてはこの方が好ましい。この場合も、コアの断面積が円周方向に変化する形状となっており、前記効果の点で差異がない。
なお、図13,図14に示されるように、コアの中心孔はコアの肉厚の一番薄い方向に偏心される。この形状が、トロイダルコア1の外周部の断面形状の面積(断面積)の変化量,変化率を一番大きくすることができるからである。
本実施例では、このトロイダルコア1の外周部に、このトロイダルコア1のリング孔3を通過するようにして導線2を連続的に巻線する。この巻線方法は、ノーマルモードでもコモンモードの何れの巻線方向を採用しても良い。
また、本実施例3においては、図19に示すように、このトロイダルコア1の周方向全周に連続的に導線2を巻線することとしているが、例えば図21に示すように、このトロイダルコア1の周方向半周など、一部にのみ導線2を巻線する構成としても良い。
また、導線を2本巻き、4端子として変成器として用いてもよい。この場合も一体で広帯域の変成器が得られることになる。巻き方は、図21のように1本を半周巻き、他の半周にもう1本の導線を巻く実施例が想定される。
図11には、前記本発明の実施例2の具体的な設計例を示す。図11のコアにおいて、コアの外径10は8.5mmであり、コアの中心の孔11の直径は5mmである。また、中心孔11の中心とコア外径10の中心とは、距離にして0.87mmだけ偏心している。なお、コアの厚み(横幅)は3mmである。
同様に、図12には、前記本発明の実施例2の具体的な他の設計例を示す。図12のコアにおいて、コアの外径12は5mmであり、コアの中心の孔13の直径は3mmである。また、中心孔の中心とコア外形の中心とは、距離にして0.7mmだけ偏心している。なお、コアの厚み(横幅)は3mmである。
同様に、図13には、前記本発明の実施例3の具体的な設計例を示す。図13のコアにおいて、コアの外径15は3mmであり、コアの中心の孔16の直径は1.5mmである。また、中心孔の中心とコア外形の中心とは、距離にして0.5mmだけ偏心している。さらに、コアの断面は、図13(b)に示す如く台形17をなし、上記コア中心の孔は、該台形の細い方に偏心している。上記台形において、上辺と下辺のなす角度(交差角)は14°である。すなわち、上記コアの厚みは最大で1.5mm、最小で0.75mmとなっている。
同様に、図14には、前記本発明の実施例3の具体的な他の設計例を示す。図14のコアにおいて、コアの外径20は8.5mmであり、コアの中心の孔21の直径は5mmである。また、中心孔21の中心とコア外形20の中心とは、距離にして0.87mmだけ偏心している。さらに、コアの断面は、図14に示す如く台形22をなし、上記コア中心の孔は、該台形の細い方に偏心している。上記台形において、上辺と下辺のなす角度(交差角)は13°である。すなわち、上記コアの厚みは最大で2.8mm、最小で0.88mmとなっている。
ここで、上記実施例1〜3について、従来品と比較した、周波数―損失特性、直流重畳特性実験結果を図16,図17に示す。また、上記実施例3について、従来品と比較した温度上昇特性の実験結果を図18に示す。なお、図15は、図16〜図18における各曲線の対象とする上記従来例、本発明の実施例1〜3の形状(A〜C型)と対応する記号を示す。なお、各サンプルは、すべてフェライト(コア)の体積は同じで、コアの形状だけ変化させたものである。また、多少厚み寸法が異なるが、図15の31の参照拡大図が図11に示され、図15の33の参照拡大図が図14に示される。
また、実施例1(A型)について、中心孔の位置を少しづつずらした場合の、すなわち中心孔の偏心率を変化させた場合の周波数特性の測定結果を図23,図24に示す。なお、図23,図24の測定に用いたサンプルは、図22に示される。図22において、コアの直径(70)は8.5mmであり中心孔(71)の直径は5mmであり、コアの厚み(73)は4mmである。また、中心孔の中心とコア外形の中心との距離は74に示されるように0.35〜1.75まで変化させており、図23,図24のグラフにおいては、これをコア断面積の最小値(すなわち、最も細い箇所の断面積)と最大値(すなわち、最も太い箇所の断面積)の比として表示してある。
図16の損失特性のグラフにおいて、40は測定系の概略図を示し、PORT1からPORT2にノイズ成分である各周波数の信号を送り、どれだけ該ノイズ成分が検出されたかを表示している。
なお、図16において、44は、図15のサンプル30(従来品)の曲線を、43は、図15のサンプル31(A型)の曲線を、42は、図15のサンプル32(B型)の曲線を、41は、図15のサンプル33(C型)の曲線をそれぞれ示す。
図16において、従来品の曲線44は、4000MHz以上の高周波領域でインピーダンスが低下しているのが分かる。一方、本発明の実施例3(C型)の曲線41は、4000MHz以上の高周波領域で損失特性が少ない。すなわち、インピーダンスの低下が少なく、インダクタンス値が保たれているのが分かる。同様に、本発明の実施例1,2(A型、B型)の曲線43,42も、従来品(曲線44)より4000MHz以上の高周波領域での損失特性が少ないことが明らかである。
また一方、図23において、81は、コアの断面積比が1(従来品)の場合の曲線、同じく82はコアの断面積比が2(実施例1)の場合の曲線、83はコアの断面積比が2.7(実施例1)の場合の曲線、84はコアの断面積比が8.6(実施例1)の場合の曲線、85はコアの断面積比が11.5(実施例1)の場合の曲線を示す。横軸が周波数、縦軸は通過損失量を示す。
図23において、従来品(曲線81)は、通過損失量が4000MHz〜12000MHzにわたって急激に低下しているのに対して、例えば最も偏心している(断面積比11.5)の本発明の曲線85の場合、通過損失量が4000MHz〜12000MHzにわたってー1dBから―2dBとその損失量が小さい。このことから偏心した本発明の巻き線型トロイダルコアの方が高い周波数の方までインピーダンスが保たれている。
同様に、偏心率(断面積比2〜8.6)の本発明の曲線82〜84の場合も、明らかに従来品(曲線81)より高周波数領域におけるインピーダンスが大きいことが分かる。
図24は、図23のグラフにおいて、別の観点から―1dBを通過するときの周波数を前記コアの断面積比に対してプロットしたものである。図24においても、明らかに高周波領域においてコアの中心孔が偏心した本発明の実施品の方が高周波域での損失特性が優れていることが分かる(図24において、断面積比1が従来品である)。
また、同時に前記断面積比が大きくなるほど、そのインピーダンスの低下が小さくなることも分かる。ただ、コアの製造においてコア断面積の薄い部分(細肉箇所)には工作上の限界があるが、今後製造上の工夫により更に断面積比が大きいコアが製造できればさらに性能の向上が期待できる。その断面積比は、500倍位までのものが実現可能である。
また、図17の直流重畳特性のグラフにおいて、54は、図15のサンプル30(従来品)の曲線を、51は、図15のサンプル31(A型)の曲線を、53は、図15のサンプル32(B型)の曲線を、50は、図15のサンプル33(C型)の曲線をそれぞれ示す。なお、コイルの巻き数は28回(線径0.2mm)であり、測定周波数は1MHzである。
図17のグラフにおいて、従来品(曲線54)は、当初17μHであったものが、電流の増加と共にインダクタンスが低下し、2Aでは2μHにまで低下して、当初のインダクタンスの1/8程度にまで低下している。グラフからおそらく0.3A付近で飽和してしまっており、この近辺でもう使用に耐えられず、大電流に対する耐性がないことが分かる。
一方、本発明の実施品(C型)を示す曲線50は、当初7.5μHだったものが、電流を増加させてもさほどインダクタンスの急激な低下は見られず、2.0Aに到ってもまだ2.5μHとなっており、その変化率は当初のインダクタンスの1/3である。
このように、本発明の実施品(C型)を示す曲線50はインダクタンスの変化率が小さく、大電流に対する耐性が従来品より大きいことが分かる。
なお、本発明の実施品(A型)を示す曲線51や同じく実施品(B型)を示す曲線53も2.0Aにおけるインダクタンスは従来品のそれの倍近くあり、C型ほどではないにしても、従来品よりはインダクタンスの変化率が小さく(1/4〜1/5程度)、大電流に対する耐性が良好であることが分かる。
図17の直流重畳特性と同様なことが図18の温度上昇特性の比較グラフからも見てとれる。図18の発熱特性のグラフにおいて、60は、図15のサンプル30(従来品)のコイルの温度上昇曲線を、61は、図15のサンプル33(C型)に巻かれたコイルの温度曲線を、62は、図15のサンプル30(従来品)のコアの温度曲線を、63は、図15のサンプル33(C型)に巻かれたコアの温度曲線、64は室温をそれぞれ示す。
明らかに、本発明の実施品(C型)の示す曲線61,63は、従来品の示す曲線60,62と対比すると、温度上昇が小さい。
この温度上昇が低いことは、近年の回路の高密度化の傾向の中で重要な要素となる。たとえば、ノートブックパソコンや携帯電話等の小型、かつ高密度回路機器では、いかに回路の放熱をするかに苦慮しており、コアの温度上昇が少なければ、熱設計が非常に楽になるので、この特性は産業上の利用性が非常に高い。
図17,図18の特性の要因は、本発明の実施例の場合、電流を上げていくとコアは断面積の小さい部分が部分的に磁気飽和し、他の断面積の大きい部分で飽和しない部分が残っているためではないかと推測される。一方、従来品のようにコアのすべての箇所で断面積が同じ場合は、すべての部分が同時に飽和してしまい、高電流ではインダクタンスが0に近くなって発熱量も大きいものと思われる。本発明の実施例の場合、上記のように断面積の大きい部分で飽和しない部分が残っているため、高電流でもインダクタンスが残存しているものと推測される。
なお、図18において、同じC型でもコイルの温度上昇(曲線61)の方がコアの温度上昇(曲線63)より大きい。これは、上記のようにインダクタンスの低下により流れる大電流によって発生する巻き線抵抗の温度上昇の方が、コア自体の温度上昇より大きいためと考えられる。
また、図17において、A型,B型のものは、C型に比べ、インダクタンスの変化が大きいが、これはC型の場合、コア断面積の最小値と最大値の比がA型,B型のものより大きく、このため残存する飽和しないコアの比率が大きくなるためではないかと推測される。
図20には、この発明の実施例の使用例を示す。近年の回路の高密度化の傾向の中で、たとえば、ノートブックパソコン等では、いかに回路の放熱をするかに苦慮しており、コアの温度上昇が少なければ熱設計が非常に楽になると共に、より高密度化が可能になる効果がある。
この発明のリング状巻線型インダクタは、(1)大電流対応バイアスT回路や光通信、ワイヤレス通信の基地用(2〜10A、100kHz〜10GHz)、(2)車載用ノイズフィルタ(5〜10A、100kHz〜2GHz)、(3)工業用ノイズフィルタ(20〜200A、100kHz〜50MHz)、(4)電力線通信用ノイズフィルタ(1〜15A、500kHz〜1GHz)、(5)エアコン、冷蔵庫、洗濯機等のインバータを使用している家電製品のノイズフィルタ(LCフィルタ、1〜10A、100kHz〜100MHz)等幅広い用途がある。
上記用途において、本発明の実施例は、単体で広帯域のインダクタンス特性を有するので、部品点数を減らすことができ、回路設計に有利になる。
また、本発明の実施例は大電流に対する耐性が高く大電流でも温度上昇が低いので、大電流を使用するノイズフィルタやバイアス回路等に用いると、熱設計が楽になると共に熱として浪費されるエネルギーが減少し電力消費も少なくなる利便性があり、産業上の利用性が高い。
さらには、上記温度上昇が低いことは、近年の回路の高密度化の傾向の中で重要な要素となる。たとえば、ノートブックパソコン等では、いかに回路の放熱をするかに苦慮しており、コアの発熱が少なければ、熱設計が非常に楽になるので、この特性は産業上の利用性が非常に高い。

Claims (9)

  1. トロイダルコアの外周部に導線を巻線して成るリング状巻線型インダクタであって、前記トロイダルコアの外周部に連続的に巻線した前記導線の巻線径が一定ではなく巻線箇所によって異なる巻線径となるように、このトロイダルコアの外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定したことを特徴とするリング状巻線型インダクタ。
  2. 前記トロイダルコアの外周面に連続的に巻線した前記導線の巻線径が一定ではなくこのトロイダルコアの周方向に沿って徐々に漸増若しくは漸減するように、このトロイダルコアの外周面の断面形状を一定ではなくこのトロイダルコアの周方向に沿って外周面の断面形状の面積(断面積)が徐々に漸増若しくは漸減する形状に設定したことを特徴とする請求項1記載のリング状巻線型インダクタ。
  3. 前記トロイダルコアは中央部にリング孔を有するリング状とすると共に、このトロイダルコアを側面視において肉厚が一定ではなく変化した形状とする,若しくは,平面視においてこのトロイダルコアのリング孔の内面部からトロイダルコアの外側周面部までの距離が一定ではなく変化した形状とすることで、このトロイダルコアの前記導線が巻線される外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
  4. 前記トロイダルコアは、側面視において肉厚が最小となる箇所から最大となる箇所までその肉厚が急激に増減せず徐々に漸増する形状に設定したことを特徴とする請求項3記載のリング状巻線型インダクタ。
  5. 前記トロイダルコアは中央部にリング孔を有するリング状とすると共に、このトロイダルコアの中心位置に対してリング孔の孔中心位置が重合位置とせず位置ズレした偏心リング状にトロイダルコアの形状を設定して、このトロイダルコアの前記導線が巻線される外周部の断面形状を一定ではなく箇所によって変化した形状に設定したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
  6. 前記トロイダルコアは、外周部の断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所に対して、外周部の断面形状の面積(断面積)が最大となる箇所の面積比が1.1倍〜500倍となる形状に設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
  7. 前記トロイダルコアは、外周部の断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所に対して、外周部の断面形状の面積(断面積)が最大となる箇所の面積比が1.5倍〜11.2倍となる形状に設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
  8. 前記トロイダルコアは、外側周面部及びこのトロイダルコアのリング孔の内面部の形状を円状若しくは少なくとも五角形以上の多角形状に設定し、このトロイダルコアの外周部の断面形状の面積(断面積)が最小となる箇所から最大となる箇所まで、このトロイダルコアの周方向に沿って外周部の断面形状の面積(断面積)が急激に増減せずに徐々に漸増する形状に設定したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
  9. 前記トロイダルコアは、コアの厚みが0.1〜250mmであり、コアの外形の直径が1.5〜300mmであり、かつコアの中心孔の直径が0.7〜250mmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のリング状巻線型インダクタ。
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