JPWO2008047881A1 - 結晶シリコン粒子の製造方法及び結晶シリコン粒子の製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粒状のシリコン融液の過冷却度が小さくなるように制御して、結晶品質が高品質でばらつきの少ないものを、高い生産性で低コストに製造する製造方法及び製造装置を提供する。【解決手段】粒状のシリコン融液7を落下中に冷却して固化させることによって結晶シリコン粒子8を製造する製造方法であって、粒状のシリコン融液7の過冷却度((過冷却度)=(シリコンの融点)−(凝固開始温度))を自然放冷時の過冷却度よりも小さい弱過冷却度とし、弱過冷却度の凝固開始温度まで融液状態のままで粒状のシリコン融液7を冷却する過冷却工程と、弱過冷却度の凝固開始温度に達した時点以降に温度を保持する保温工程とを具備する。【選択図】 図1

Description

本発明は、結晶シリコン粒子の製造方法及び製造装置に関し、特に太陽電池等の光電変換装置に用いられる粒状シリコン結晶を得るのに好適な結晶シリコン粒子の製造方法及び製造装置に関する。
従来、光電変換装置として、結晶シリコンウエハを用いた光電変換効率(以下、変換効率ともいう)の高い太陽電池が実用化されている。この結晶シリコンウエハは、結晶性が良く、かつ不純物が少なくてその分布に偏りのない大型の単結晶シリコンインゴットから切り出されて作製されている。しかし、大型の単結晶シリコンインゴットは作製するのに長時間を要するために生産性が悪く、これにより高価となるので、大型の単結晶シリコンインゴットを必要とせず、高変換効率の次世代太陽電池の出現が強く望まれている。
そこで、今後の市場において有望な光電変換装置の一種として、光電変換素子として結晶シリコン粒子を用いた太陽電池が注目されている。
現在、結晶シリコン粒子を作製するための原料は、単結晶シリコン材料を粉砕した結果として発生するシリコンの微小粒子や流動床法によって気相合成された高純度シリコンを用いている。そして、原料のサイズあるいは重量による分別を行った後に、赤外線や高周波誘導コイルを用いて原料を容器内で再度溶融し、その後に自由落下させることで球状化させる溶融落下方法(ジェット法)(例えば、特許文献1,2を参照。)か、または高周波プラズマ加熱溶融法により球状化させる方法(例えば、特許文献2を参照。)が用いられている。
また、溶融半導体を振動させてノズルから溶融半導体を落下させ、ノズルから落下する液体または固体の粒子を、結晶化加熱手段によって加熱して再溶融して、その粒子が気相中に存在している状態で、粒子を単結晶または多結晶にする球状半導体粒子の製造方法及び製造装置が開示されている(例えば、特許文献3を参照。)。
また、溶融半導体を振動させてノズルから溶融半導体を落下させ、ノズルから落下する液体または固体の粒子の冷却速度のプロファイルを緩やかにし、粒子にクラックが生じないように、かつアモルファス化しないようにして球状半導体粒子を製造する方法及びその製造装置が開示されている(例えば、特許文献3を参照)。
国際公開第99/22048号パンフレット 米国特許第4188177号明細書 特開2002−292265号公報 特表2002−531374号公報
溶融落下法によって結晶シリコン粒子を製造するに際して、シリコン融液は以下のような温度プロファイルを経て、結晶シリコン粒子となる。
(1)まず、シリコン融液が入った坩堝からシリコン融液が排出された直後には、シリコン融液の温度は1500℃程度であり、シリコン融液は柱状として排出された後、粒状に分裂する。
(2)次に、粒状のシリコン融液が落下するにつれて、表面の温度が1500℃程度から一旦1300℃程度まで温度が下がる。この状態を過冷却状態という。
(3)次に、粒状のシリコン融液は、再度シリコンの融点(1414℃)まで温度が上昇し、その温度が暫く続く。
(4)最後に、粒状のシリコン融液の温度がシリコンの融点(1414℃)から徐々に下がり、固化し、結晶シリコン粒子となる。
上記(2)の過冷却状態において、過冷却度が大きくなる、即ち粒状のシリコン融液の表面の温度が下がり過ぎると、粒状のシリコン融液の表面に多数の核が生成し、それらの核を起点として多数の結晶が成長する。そのため、粒状のシリコン融液は多結晶粒子から成る結晶シリコン粒子となってしまうと考えられる。
従って、以上のような従来の技術においては、結晶シリコン粒子の製造方法によって得られた結晶シリコン粒子は、結晶品質がばらつき易く、且つ結晶品質が低く、しかも製造コストも高くなるという問題点があった。また、溶融落下法であってシリコン微粒子のシーディング法を用いた製造方法の場合、シリコン微粒子が結晶成長の核として十分に機能しないために、粒状のシリコン融液の過冷却度を良好に制御して多結晶化を十分に抑えることが困難であるという問題点があった。
本発明の結晶シリコン粒子の製造方法は、粒状のシリコン融液を落下中に冷却して固化させることによって結晶シリコン粒子を製造する方法であって、粒状の前記シリコン融液の過冷却度(ただし、(過冷却度)=(シリコンの融点)−(凝固開始温度)とする)を自然放冷時の過冷却度よりも小さい弱過冷却度とするとともに、前記弱過冷却度の前記凝固開始温度まで融液状態のままで粒状の前記シリコン融液を冷却する過冷却工程と、前記弱過冷却度の前記凝固開始温度に達した時点以降に温度を保持する保温工程とを具備する。
また、本発明では、落下途中の粒状の前記シリコン融液に、シリコンより融点の高い珪素化合物から成る微粒子を、粒状の前記シリコン融液の落下速度よりも大きい相対速度で衝突させるのが好ましい。
本発明の結晶シリコン粒子の製造装置は、シリコン融液が入った坩堝と、この坩堝のノズル部から排出された前記シリコン融液が粒状として内部を落下する落下管とを備え、粒状の前記シリコン融液を落下中に冷却して固化させることによって結晶シリコン粒子を製造する。特に、本発明の製造装置は、前記坩堝の外側に設けられ坩堝内のシリコン原料を加熱してシリコン融液を形成する加熱手段と、前記落下管の前記加熱手段の直下に設けられ前記坩堝から排出された粒状の前記シリコン融液の過冷却度(ただし、(過冷却度)=(シリコンの融点)−(凝固開始温度)とする)を自然放冷時の過冷却度よりも小さい弱過冷却度とするとともに、前記弱過冷却度の前記凝固開始温度まで融液状態のままで粒状の前記シリコン融液を冷却する過冷却手段と、前記落下管の前記過冷却手段の下方に設けられるとともに、前記弱過冷却度の前記凝固開始温度に達した時点以降に一定温度に保持する保温手段とを具備している。
本発明の結晶シリコン粒子の製造方法および製造装置によれば、粒状のシリコン融液の過冷却度が小さくなるように制御しているので、過冷却状態において凝固が開始され少数の核による結晶化が始まるようにすることができる。その結果、過冷却時に粒状のシリコン融液の表面だけが急速に冷却されて結晶化の核が多数発生し、多結晶化することを有効に抑制することができる。即ち、過冷却時に結晶化の核が少数発生するようにし、また、保温工程によって結晶化がゆっくりと進行するように制御することができる。そのため、単結晶粒子または粒界が数個程度しか存在しない擬似単結晶粒子から成る結晶シリコン粒子を製造することができる。従って、高い結晶品質を有するとともに結晶品質のばらつきの小さい結晶シリコン粒子を、高い生産性でもって低コストに、再現性良く製造することができる。
本発明の結晶シリコン粒子の製造方法によって擬似単結晶粒子が形成される詳細な作用機構について、図8〜図10に基づいて説明する。
図8は、結晶シリコン粒子を製造する際の結晶シリコン粒子及び落下管の温度プロファイルを示すグラフであり、実線のグラフは粒状のシリコン融液の表面温度、点線のグラフは落下管の温度である。また、斜線が付された領域は凝固開始温度域(1214℃〜1374℃程度)である。
坩堝から排出された粒状のシリコン融液は、過冷却工程、保温工程を経て結晶シリコン粒子となる。過冷却工程は、粒状のシリコン融液が凝固開始温度まで融液状態で落下する温度域a1と、粒状のシリコン融液が凝固開始温度に達して表面に少数の核(結晶核)が形成される温度域a2とから成る。保温工程は、表面に少数の核が形成された粒状のシリコン融液が、少数の核を起点としてゆっくりと結晶化が進行する温度域bから成る。保温工程を経た粒状のシリコン融液は、未だ溶融状態である内部の温度の影響により、一旦表面温度が融点付近まで上昇するが、表面に形成された少数の核は消失せず、結晶化がゆっくりと進行していく。その後の冷却工程の温度域cでは、粒状のシリコン融液は粒界が数個程度しか存在しない擬似単結晶粒子となる。
図9の(a1),(a2),(b),(c)は、図8の各温度域a1,a2,b,cにおける粒状のシリコン融液の結晶化の状態を示す図である。温度域a1では、粒状のシリコン融液111は全体が融液状態である。温度域a2では、粒状のシリコン融液111の表面に少数の核112が形成される。温度域bでは、粒状のシリコン融液111は少数の核112を起点としてゆっくりと結晶化が進行する。温度域cでは、粒状のシリコン融液111は粒界114が数個程度しか存在しない擬似単結晶粒子である結晶シリコン粒子113となる。
図10の(a),(b),(c)は、過冷却度が大きく、保温工程のない従来の温度プロファイルによって製造された粒状のシリコン融液の結晶化の状態を示す図である。過冷却工程において、(a)に示すように、粒状のシリコン融液21は凝固開始温度(1114℃程度以下)まで融液状態で落下する。次に、(b)に示すように、粒状のシリコン融液21は凝固開始温度に達した以降に、表面に多数の核22が形成される。過冷却工程を経た粒状のシリコン融液21は、未だ溶融状態である内部の温度の影響により、一旦表面温度が融点付近まで上昇するが、表面に形成された多数の核22は消失せず、結晶化が進行していく。その後、結晶化が急速に進行し、多数の粒界24が存在する、多結晶粒子から成る結晶シリコン粒子23となる。
また、好ましくは、落下途中の粒状のシリコン融液に、シリコンより融点の高い珪素化合物から成る微粒子を、粒状のシリコン融液の落下速度よりも大きい相対速度で衝突させることから、シリコン融液を坩堝から排出させた後、分裂したばかりの過冷却状態(非平衡状態)の粒状のシリコン融液について、過冷却度を従来よりさらに小さくして、粒状のシリコン融液の表面に多数の核が生成するのをより効果的に抑えることができる。その結果、粒状のシリコン融液は、提供された核を起点として結晶化し、単結晶粒子または粒界の数が少ない擬似単結晶粒子から成る結晶シリコン粒子を製造することができる。
即ち、落下途中の粒状のシリコン融液に、シリコンより融点の高い珪素化合物から成る微粒子を衝突させることにより、微粒子はシリコン融液に容易に溶融せず、粒状のシリコン融液の表面に結晶成長のための核として残存するため、極めて効果的に過冷却状態を抑制し、従来よりも過冷却度をさらに小さくすることができる。
本発明にかかる結晶シリコン粒子の製造装置の一実施形態を示す断面図である。 本発明における結晶シリコン粒子の製造装置についての他の実施形態を示す断面図である。 本発明における結晶シリコン粒子の製造装置についてのさらに他の実施形態を示す断面図である。 本発明における結晶シリコン粒子の製造装置についての別の実施形態を示す断面図である。 本発明の結晶シリコン粒子の製造方法の実施例における結晶シリコン粒子及び落下管の温度プロファイルを示すグラフである。 比較例1における結晶シリコン粒子及び落下管の温度プロファイルを示すグラフである。 比較例2における結晶シリコン粒子及び落下管の温度プロファイルを示すグラフである。 本発明の結晶シリコン粒子の製造方法における結晶シリコン粒子及び落下管の温度プロファイルを示すとともに、過冷却工程の温度域、保温工程の温度域、凝固開始温度域を示すグラフである。 (a1),(a2)は図8の温度プロファイルの過冷却工程における粒状のシリコン融液の表面状態を示す概念図、(b)は図8の温度プロファイルの保温工程における粒状のシリコン融液の表面状態を示す概念図、(c)は図8の温度プロファイルの冷却工程における結晶シリコン粒子の内部構造を示す概念図である。 (a)は従来の結晶シリコン粒子の製造方法の過冷却工程における凝固開始温度に至る前の粒状のシリコン融液の表面状態を示す概念図、(b)は従来の結晶シリコン粒子の製造方法の過冷却工程における凝固開始温度に至った後の粒状のシリコン融液の表面状態を示す概念図、(c)は従来の製造方法で得られた結晶シリコン粒子の内部構造を示す概念図である。
本発明の結晶シリコン粒子の製造方法及び製造装置について実施の形態の例を、以下に添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の結晶シリコン粒子の製造装置の概略構成を示す断面図である。図1において、1は坩堝であり、この坩堝1の底部にはノズル部1aが設けられている。坩堝1の下方には、落下管2が上下方向に配置されている。坩堝1内のシリコン原料を加熱し溶融させるための誘導加熱コイル等の加熱装置3が設けられる。落下管2には過冷却手段としての冷却装置4、および保温手段としての保温装置5が設けられる。保温装置5は上下機構6によって上下動させることができる。
本発明の結晶シリコン粒子の製造方法は、粒状のシリコン融液7を落下中に冷却して固化させることによって結晶シリコン粒子8を製造する。この製造方法では、粒状のシリコン融液7の過冷却度(ただし、(過冷却度)=(シリコンの融点)−(凝固開始温度)とする)を自然放冷時の過冷却度よりも小さい弱過冷却度とするとともに、弱過冷却度の凝固開始温度まで融液状態のままで粒状のシリコン融液7を冷却する過冷却工程と、弱過冷却度の凝固開始温度に達した時点以降に温度を保持する保温工程とを具備する。
粒状のシリコン融液7は、シリコン融液が入った坩堝1のノズル部1aから排出されて粒状として落下される。
また、本発明の結晶シリコン粒子の製造装置は、シリコン融液が入った坩堝1のノズル部1aからシリコン融液を排出して粒状として落下管2内を落下させるとともに、粒状のシリコン融液7を落下中に冷却して固化させることによって結晶シリコン粒子8を製造する装置である。坩堝1の外側に設けられ坩堝1内のシリコン原料を加熱してシリコン融液を形成する加熱手段と、落下管2の加熱手段の直下に設けられるとともに、坩堝1から排出された粒状のシリコン融液7の上記過冷却度を自然放冷時の過冷却度よりも小さい弱過冷却度とするとともに弱過冷却度の凝固開始温度まで融液状態のままで粒状のシリコン融液7を冷却する過冷却手段と、落下管2の過冷却手段の下方に設けられるとともに弱過冷却度の凝固開始温度に達した時点以降に一定温度に保持する保温手段とを具備している。
坩堝1は、シリコン材料を加熱溶融してシリコン融液とするとともに、底部のノズル部1aから粒状のシリコン融液7として排出するための容器である。坩堝1内で加熱溶融したシリコンの融液は、ノズル部1aより落下管2中へ排出され、粒状のシリコン融液7となって落下管2の内部を落下する。坩堝1はシリコンの融点(1414℃)より高い融点を有する材料から成る。また、シリコン融液との反応が小さい材料であることが好ましい。シリコン融液との反応が大きい場合には、坩堝1の材料が不純物として結晶シリコン粒子8中へ多量に混入することとなるため好ましくない。
坩堝1の材料としては、例えば、炭素,炭化珪素質焼結体,炭化珪素結晶体,窒化ホウ素質焼結体,酸窒化珪素質焼結体,石英,水晶,窒化珪素質焼結体,酸化アルミニウム質焼結体,サファイア,酸化マグネシウム質焼結体等が好ましい。また、これらの材料の複合体、混合体または化合体であってもよい。また、上記材料から成る基体の表面に炭化珪素膜,窒化珪素膜,酸化珪素膜をコーティングしてもよい。また、坩堝1内において原料を融点以上に加熱する加熱方法としては、電磁誘導加熱や抵抗加熱等が好適である。ノズル部1aは、炭化珪素(炭化珪素結晶体または炭化珪素質焼結体)または窒化珪素(窒化珪素質焼結体)から成る。
坩堝1のノズル部1aから下方に向けて上下方向に配置された落下管2は、ノズル部1aから排出された粒状のシリコン融液7を落下中に冷却して凝固させる容器である。この落下管2の内部は所望の雰囲気ガスで所望の圧力に制御されている。この所望の雰囲気ガスとしては、不活性ガスがよく、特にはヘリウムガスまたはアルゴンガスが好ましい。ヘリウムガスまたはアルゴンガスは不活性ガスであり、粒状のシリコン融液7への雰囲気ガスからの不純物の混入を防ぐことができる。
さらに、ヘリウムガスまたはアルゴンガスは、粒状のシリコン融液7との反応が小さく、粒状のシリコン融液7が凝固して結晶化する際の妨げとなる、粒状のシリコン融液7表面の反応層の形成が抑制できるため好ましい。即ち、過冷却工程を不活性ガスから成る雰囲気ガス中で行うことが好ましい。これにより、粒状のシリコン融液7の表面からの不純物の混入を防ぐとともに、粒状のシリコン融液7の表面における核生成を一定に保つことができる。
また、不活性ガスの圧力は、ガス流入量とガス排出量を調整することにより制御することができる。その圧力は大気圧が好ましい。過冷却工程を大気圧の雰囲気ガス中で行うことから、速やかに凝固開始温度に冷却することができ、結晶シリコン粒子8の結晶性のばらつきを抑えることができる。また、製造装置としても短距離の落下で過冷却工程が成立するため、低コスト化が成される。一方、大きな減圧状態であるときには、冷却装置4による冷却が制御困難となるため好ましくない。即ち、過冷却工程を大気圧の雰囲気ガス、特に不活性ガスから成る雰囲気ガス中で行うことが好ましい。
また、保温工程をヘリウムガスまたはアルゴンガスから成る不活性ガスから成る雰囲気ガス中で行うことが好ましく、粒状のシリコン融液7の表面からの不純物の混入を防ぐことができる。保温工程における雰囲気ガスの圧力は大気圧が好ましく、粒状のシリコン融液7を速やかに凝固開始温度に冷却することができることから、結晶シリコン粒子8の結晶性のばらつきを抑えることができる。また、製造装置としても、粒状のシリコン融液7の短距離の落下で過冷却工程が成立するため、低コスト化が成される。
また、坩堝1内のシリコン融液に振動を加えることがよく、均一な径の粒状のシリコン融液7に分裂させることができる。この場合、坩堝1を直接振動させる方法、坩堝1内のシリコン融液中に振動源(不図示)を浸漬する方法等がある。また、加振方式としては、圧電式、電磁式、エアー式等がある。
坩堝1を直接振動させる方法の場合、例えば、水冷シャフト(図示せず)の一端を坩堝1の加熱されていない部分に接続し、水冷シャフトの他端を振動源に接続する。水冷シャフトを介して坩堝1全体を縦方向に振動させ、ノズル部1aを含む加熱されている部分を縦方向に駆動させることによって、粒状のシリコン融液7に縦振動を伝達する。この縦振動によって柱状のシリコン融液が均一に分裂して粒状となることによって、均一なサイズの結晶シリコン粒子8を得ることができる。このとき、水冷シャフトと坩堝1は振動を効率よくシリコン融液に伝達するために、剛性の高い材料であることが好ましい。坩堝1の材料としては、一般に石英が使用されるが、石英はシリコンの融点以上の温度では剛性が低く、振動伝播には適さない。坩堝1の材料として好ましくは、炭素,炭化珪素,窒化珪素,窒化硼素,窒化アルミニウム,酸化アルミニウム等がよく、石英もこれらの材料と複合構造とすれば用いることも可能である。
坩堝1を直接縦方向に振動させる場合、振動数は500〜50000Hz程度、振幅は0.1〜100μm程度がよい。振動数が500Hz未満では、生産性が低くなるため不適であり、振動数が50000Hzを超えると、坩堝1の先端への振動伝達が難しくなるため不適である。振幅が0.1μm未満では、振動の効果が不十分であり、振幅が100μmを超えると、装置の耐久性が確保できなくなり振動部が破損する可能性がある。
また、坩堝1内のシリコン融液中に振動源を浸漬する方法の場合、例えば、炭化珪素からなる振動伝達シャフトの一端を高温部である坩堝1内のシリコン融液に浸漬し、振動伝達シャフトの他端を常温部の振動源に接続することによって、振動源の振動を振動伝達シャフトで伝達してシリコン融液を振動させる。水冷シャフトを介して縦方向の振動をシリコン融液に伝達する。この縦振動によって、柱状のシリコン融液が均一な大きさの粒状のシリコン融液7に分裂し、均一なサイズの結晶シリコン粒子8を得ることができる。このとき、水冷シャフトと振動源は、シリコン融液に振動を効率よく伝達するために、剛性の高い材料から成ることが好ましい。振動源の材料は、上述の坩堝1の材料と同じものがよい。また、振動源は、例えば電磁駆動装置、圧力駆動装置、圧電駆動装置等である。
更に、横振動を坩堝1に加えることによって、平面視において粒状のシリコン融液7の落下軌道をずらし、粒状のシリコン融液7同士の衝突を防止することもできる。
坩堝1を横方向に振動させる場合、振動数は5〜1000Hz程度、振幅は50μm〜10mm程度がよい。振動数が5Hz未満では、粒状のシリコン融液7同士の衝突を防止することが難しくなり、振動数が1000Hzを超えると、横振動と縦振動とが干渉して振動が不安定になり易い。振幅が50μm未満では、振動の効果が不十分であり、振幅が10mmを超えると、装置の耐久性が確保できなくなり振動部が破損する可能性がある。
このとき、坩堝1は横振動を効率よくシリコン融液に伝達するために、剛性の高い材料から成ることが好ましく、上述した炭素等の材料がよい。横振動を坩堝1に加えるには、坩堝1が接続されている水冷シャフト部に、電磁駆動装置、圧力駆動装置、圧電駆動装置等により横振動を加え坩堝1に伝達する構成とすることができる。
また、落下管2はシリコン融点よりも高い融点を有する材料から成ることが好ましい。その場合、粒状のシリコン融液7が斜め方向に排出されて落下管2の内壁に衝突したとしても、落下管2がその材料の融点以上に加熱されることはなく、落下管2の材料が衝突した粒状のシリコン融液7中へ不純物として混入することがない。また、落下管2の材料の融点がシリコンの融点よりも低いときには、粒状のシリコン融液7が斜め方向に排出されて落下管2の内壁に衝突した際に、落下管2が材料の融点以上に加熱されることとなり、衝突した粒状のシリコン融液7中へ落下管2の材料が不純物として混入することがある。
そこで、落下管2にそれ自体をする冷却する冷却構造を付加して、粒状のシリコン融液7の衝突によって落下管2が材料の融点以上に加熱されないようにすることによって、粒状のシリコン融液7への不純物の混入を回避することが可能である。
従って、落下管2の材料は、シリコンより高融点である炭素,炭化珪素質焼結体,炭化珪素結晶体,窒化ホウ素質焼結体,酸窒化珪素質焼結体,石英,水晶,窒化珪素質焼結体,酸化アルミニウム質焼結体,サファイア,酸化マグネシウム質焼結体等であることが好ましい。また、これらの材料の複合体、混合体または化合体であってもよい。また、上記の材料から成る基体の表面に炭化珪素膜,窒化珪素膜,酸化珪素膜等をコーティングしてもよい。
落下管2の材料がステンレス,アルミニウム等のシリコンより低融点のものである場合、例えば二重管構造や水冷ジャケット等で水冷された落下管2であることが好ましい。
加熱装置3は、坩堝1内にあるシリコンを加熱し溶融させるための装置である。加熱装置3は、高周波誘導コイル等の誘導加熱装置や抵抗加熱装置等から成る。加熱温度は、シリコンを溶融するため、シリコンの融点である1414℃以上である。抵抗加熱装置を使用する場合、例えば坩堝1と同じ不活性ガスから成る雰囲気ガス中で坩堝1に接触させて加熱するものであり、炭素系ヒーター、例えば、グラファイト,炭素繊維強化カーボン,SiCコート材料,ガラス状炭素コート材料等から成るものが使用可能である。また、炉心管(不図示)の外側の酸化性雰囲気から間接的に坩堝1を加熱する場合、炭化珪素や珪化モリブデンを含む抵抗線、抵抗板等を有する抵抗加熱装置を使用することができる。
加熱装置3として、誘導加熱装置を使用する場合、例えば坩堝1に炭素からなるサセプターを接触させ、炉心管(不図示)の外側に高周波誘導コイルを設け、誘導電流によりサセプターを加熱することにより、坩堝1を加熱する方法等がある。
冷却装置4は、粒状のシリコン融液7を弱過冷却度の凝固開始温度まで融液状態のままで粒状のシリコン融液7を冷却する過冷却工程を実現するための過冷却手段である。この冷却装置4は、粒状のシリコン融液7に凝固起点(結晶化の核)を作らず、弱過冷却度の凝固開始温度まで、粒状のシリコン融液7を落下させつつ冷却することである。
従来、粒状のシリコン融液7が凝固する温度である過冷却度((過冷却度)=(シリコンの融点である1414℃)−(凝固開始温度))によって、結晶性が異なる現象が知られている。溶融落下法によって粒状のシリコン融液7を凝固させる場合、明らかな凝固起点が無いことから、凝固する温度、過冷却度のばらつきが大きく、多くの場合300℃以上の過冷却度(1114℃以下の粒状のシリコン融液7の温度)で凝固する。即ち、自然放冷時の過冷却状態での粒状のシリコン融液7の温度は、1114℃以下となる。300℃以上の過冷却度で凝固した結晶シリコン粒子8は、多くの粒界を持つ結晶品質が低い多結晶粒子となり、光電変換特性を著しく低下させる。従って、結晶品質が高くばらつきが小さい結晶シリコン粒子8を高い生産性で得るためには、凝固開始温度、過冷却度の制御が必要である。
本発明においては、弱過冷却度の凝固開始温度まで融液状態のままで粒状のシリコン融液7を冷却し、その後に保温工程によって一定温度に保つことによって、過冷却度を自然放冷時よりも浅い弱過冷却度に制御し、その結果高い結晶品質を有するとともに結晶品質ばらつきの小さい結晶シリコン粒子8を得ることができる。
即ち、粒状のシリコン融液7の過冷却度が小さくなるように制御して、過冷却状態において凝固が開始され少数の核による結晶化が始まるようにすることができる。その結果、過冷却時に粒状のシリコン融液7の表面だけが急速に冷却されて結晶化の核が多数発生し、多結晶化することを有効に抑制することができる。即ち、過冷却時に結晶化の核が少数発生するようにし、また、保温工程によって結晶化がゆっくりと進行するように制御することができるため、単結晶粒子または粒界が数個程度しか存在しない擬似単結晶粒子から成る結晶シリコン粒子8を製造することができる。
また、弱過冷却度が40℃乃至200℃であることが好ましい。これにより、高い結晶品質の結晶シリコン粒子を得ることができる。弱過冷却度が40℃未満の場合、次の保温工程で粒状のシリコン融液7の凝固が困難となる。弱過冷却度が200℃を超える場合、結晶シリコン粒子8の結晶品質が劣化することになる。
上記の弱過冷却度は、粒状のシリコン融液7の平均粒径が100〜600μm程度の場合に特に有効なものである。600μmを超えると、粒状のシリコン融液7における結晶成長中に別の核生成が起こる確率が高くなること、結晶成長のモードがデンドライト成長になりやすいことから好ましくない。また、平均粒径が600μm以下の粒状のシリコン融液7は、落下中の減速効果が顕著になり、初速に依存しない、空気抵抗と重力がバランスする終端速度に近づく。これは、他の必要条件から初速を変化させることが必要となった場合であっても、保温装置5の長さは粒状のシリコン融液7の平均粒径に依存することになり、装置設計を容易にする効果があるため好ましい。また、平均粒径が100μm未満の場合、粒状のシリコン融液7が落下管2内の温度に敏感に反応しすぎるため、落下管2内のわずかな温度分布の変化や、落下管2内の雰囲気ガスの流れによって、結晶シリコン粒子8の結晶性を再現性良く高く維持することが難しくなる。
また、粒状のシリコン融液7の形状は略球状であり、結晶シリコン粒子8の形状は、ほとんど(個数割合で90%以上)が結晶の粒界が数個程度しか存在しない涙滴(ティアドロップ)型の形状となる。特に、結晶性が高く、形状的にも対称性を有する涙滴型の形状の結晶シリコン粒子8が好ましい。
この弱過冷却度の状態の温度の測定は、光波長分解測定法によって行うことができる。即ち、粒状のシリコン融液7の発光スペクトルを解析することにより行う。具体的には、予めシリコン融液の発光スペクトルをデータテーブルとして測定しておき、落下中の粒状のシリコン融液7の発光スペクトルを測定し、データテーブルの発光スペクトルと比較することによって、粒状のシリコン融液7と非接触で温度を特定することができる。また、炉内雰囲気ガス温度、炉壁温度、炉内ガス圧力、炉内ガス種、シリコン粒子の落下速度から、熱解析によっても粒状のシリコン融液7の温度を特定することができる。
また、光波長分解測定法によって得られた粒状のシリコン融液7の温度に基づき、保温装置5の温度や位置を調整して、落下途中の粒状のシリコン融液7の過冷却度を制御することもできる。
過冷却手段としての冷却装置4は、落下管2の外壁に設けられた水冷管から成ることが好ましい。落下管2の過冷却工程に相当する部位を水冷管で冷却することにより、粒状のシリコン融液7で落下管2が加熱されて冷却効果が変動することを、水冷管を設けない場合よりも有効に抑えることができる。また、冷却装置4は、自然放冷部であってもよい。
落下管2の冷却装置4が設けられた部位の温度は1000℃未満であることが好ましい。落下管2の冷却装置4が設けられた部位の温度が1000℃以上であるとき、粒状のシリコン融液7の冷却速度が遅くなり、必要な過冷却度まで冷却することが困難となる。過冷却手段が設けられた落下管2の外表面の温度が1000℃未満であることから、粒状のシリコン融液7が速やかに所望の過冷却度に到達することができる。その結果、所望の過冷却度で凝固開始する粒状のシリコン融液7が増え、結晶シリコン粒子8の結晶品質のばらつきが小さくなり、また製造装置のサイズを小さくすることができる。
過冷却工程における粒状のシリコン融液7の落下長さは、粒状のシリコン融液7の直径の200倍以上5000倍未満であることが好ましい。これにより、粒状のシリコン融液7の直径のばらつきによる冷却速度の違いを考慮して凝固開始温度を制御することができるため、結晶シリコン粒子8の結晶品質を高く、ばらつきの小さいものとすることができる。過冷却工程における粒状のシリコン融液7の落下長さが、粒状のシリコン融液7の直径の200倍未満であるとき、所望の過冷却度まで粒状のシリコン融液7を冷却することが困難となり、凝固開始が難しくなる。5000倍以上の場合、所望の過冷却度を超えて過冷却が進行するため、結晶シリコン粒子8の結晶品質が低下することとなる。
保温手段としての保温装置5は、弱過冷却度の凝固開始温度(例えば、1214℃から1374℃)に達した時点以降に粒状のシリコン融液7の凝固を開始させるために温度を保持するものである。保温装置5は、断熱材及び加熱源の少なくとも一方から成る。保温装置5が加熱源から成る場合、誘導加熱装置や抵抗加熱装置等が良い。保温装置5が抵抗加熱装置から成る場合、不活性ガスから成る雰囲気ガス中で加熱する場合には、炭素系ヒーターが高温で酸化しないため、炭素系ヒーターが好ましく使用できる。また、炉心管(図示せず)の外側の酸化性雰囲気ガス中で間接的に加熱する場合、炭化珪素系ヒーターや珪化モリブデン系ヒーターが使用可能である。保温装置5が誘導加熱装置から成る場合、例えば、落下管2の外壁に炭素からなるサセプターを設け、炉心管の外側に高周波誘導コイルを設けて、誘導電流によりサセプターを加熱することにより加熱することができる。
落下管2の保温装置5が設けられた部位の温度は1100℃以上1400℃未満であることが好ましい。これにより、粒状のシリコン融液7の過冷却度を制御して確実に凝固開始させることが可能となり、高い結晶品質を有する結晶シリコン粒子8を、品質ばらつき小さくして生産することができる。1100℃未満の場合、所望の過冷却度を超えて過冷却が進行するため、結晶シリコン粒子8の結晶品質が低下することとなる。1400℃以上の場合、所望の過冷却度まで粒状のシリコン融液7を冷却することが困難となり、凝固開始が難しくなる。
保温装置5による温度の保持は、1100℃以上1400℃未満の範囲内のほぼ一定温度に保持することにより行うが、ある一定の温度に対して±50℃程度の変動があってもよい。±50℃程度を超えて変動すると、所望の過冷却度を超えて過冷却が進行するものが発生し、結晶シリコン粒子8の結晶品質が安定しないものとなる。
保温装置5が設けられた保温工程における粒状のシリコン融液7の落下長さ(L2とする)は、冷却装置4が設けられた過冷却工程における粒状のシリコン融液7の落下長さ(L1とする)よりも長いこと(L2>L1)が好ましい。L2≦L1である場合、凝固開始できない粒状のシリコン融液7が存在することとなるため好ましくない。
過冷却手段は、落下方向の長さが調節可能とされていることが好ましい。この場合、例えば、保温装置5に上下機構6を設けることによって、過冷却手段の落下方向の長さを調節することができる。保温装置5の位置を上下動させることによって、粒状のシリコン融液7の流速の変動や粒状のシリコン融液7のサイズの変動による過冷却度のずれを調節することができる。
上下機構6としては、例えば、保温装置5をシャフトに固定しておき、ハンドルで保温装置5ごと上下動させる機構、保温装置5の加熱源を実際に使用する長さ以上に設けておき、不要な加熱源部には断熱材を追加して落下中の粒状のシリコン粒子7を加熱しないようにする機構、加熱源を細分化しておき加熱する部位のみヒーターの電源を投入して加熱する機構等、とすることができる。
また、過冷却度を制御する他の手段として、種結晶(結晶化の核)となる微粒子を落下途中の粒状のシリコン融液7に衝突させる手段があり、特に、落下途中の粒状のシリコン融液7に、シリコンより融点の高い珪素化合物から成る微粒子を、粒状のシリコン融液7の落下速度よりも大きい相対速度で衝突させることが好ましい。その他、落下途中の粒状のシリコン融液7に板状物等を接触させて、その接触点を凝固起点とする手段がある。
<他の実施形態>
以下、微粒子を粒状のシリコン融液7に衝突させて結晶シリコン粒子8を製造する方法について詳細に説明する。
図2は、この実施形態に用いられる製造装置を示す断面図である。図2に示すように、この実施形態では、前述の実施形態と同様にして、坩堝1のノズル部1a(孔)からシリコン融液13を排出して粒状として落下させるとともに、この粒状のシリコン融液13を落下中に冷却し固化させて結晶シリコン粒子14を製造する。その際、この実施形態では、落下途中の粒状のシリコン融液13に、シリコンより融点の高い石英等の珪素化合物から成る微粒子15を衝突させる。好ましくは、微粒子15は粒状のシリコン融液13の落下速度よりも大きい相対速度で衝突させる。この構成により、擬似単結晶粒子であるティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合を飛躍的に高めることができる。
坩堝1内のシリコンは溶融温度1415℃以上に昇温させて溶融させ、ノズル部1aから噴出される。粒状のシリコン融液13は、ノズル部1aから柱状として排出されたシリコンが粒状に分裂して形成されたものである。ジェット噴出させるための好ましい初速度は5〜20m/sec(秒)である。
粒状のシリコン融液13の大きさ(平均粒径)は、ノズル孔や噴出圧力に依存するが、200〜1000μmがよい。200μm未満では、得られる結晶シリコン粒子14が小さすぎて取扱いが困難であり、光電変換装置を形成するための各工程、即ち1)結晶シリコン粒子14の表面にn型半導体層を形成するための熱拡散工程、2)結晶シリコン粒子14のアルミニウム基板上への接合工程、3)結晶シリコン粒子14の接合基部をpn分離するためのエッチング工程、4)モジュール化工程などの工程においてトラブルが発生する原因となるおそれがある。また、粒状のシリコン融液3の大きさが1000μm以上では、シリコン基板の厚みを薄くする傾向にある多結晶シリコン基板を用いた光電変換装置と比べて、使用するシリコン量が少ないというメリットが薄れてくると共に、ティア型の結晶シリコン粒子14が形成される個数割合が低下する傾向にある。
粒状のシリコン融液13は、落下管2の中を熱放散しながら落下するため、ついには固化して結晶シリコン粒子14となる。ティア型の結晶シリコン粒子14は涙滴型(ティアドロップ型)をしている。一方、非ティア型のものは球形に近いが、シリコンは固化時に体積膨張することから、粒状のシリコン融液13は外郭部から固まり始め、内部が固化するときに膨張した分だけ結晶シリコン粒子14の表面から突出した突起が形成された形状となる。それぞれの結晶シリコン粒子14を研磨してDashエッチング液で粒界を視覚化すると、非ティア型の結晶シリコン粒子14は、結晶粒径が小さい多数の単結晶粒子から構成された多結晶粒子であることがわかり、一方ティア型の結晶シリコン粒子14は、結晶粒径が大きい数個の単結晶粒子から構成された擬似単結晶粒子であることがわかった。
結晶シリコン粒子14を用いて作製した光電変換装置において、ティア型の結晶シリコン粒子14のみで作製した光電変換装置と比較して、非ティア型の結晶シリコン粒子14のみで作製した光電変換装置は、短絡電流、開放電圧、曲線因子とも低く、太陽光を電気に変換する効率は悪い。原因としては、非ティア型の結晶シリコン粒子14に多く存在する粒界や欠陥などにより、光を吸収することによって発生した少数キャリアがトラップされて消滅してしまうことによる。また、漏れ電流が増えることにより、開放電圧や曲線因子を低下させるためである。
従って、ジェット法によって得られる結晶シリコン粒子14の全体におけるティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合を高めることが重要な課題である。この実施形態はこの課題を解決するものである。
シリコン融液は分裂したあと熱を放散させながら冷却を始め、凝固熱を放出しながら固化していくが、固化を始める前に過冷却状態となることが分かっており、過冷却度(シリコンの融点よりも低くなる温度の度合いであり、(シリコンの融点)−(過冷却状態の温度)で表される)が深くなると、ティア型の結晶シリコン粒子14が形成されにくい。粒状のシリコン融液13の過冷却を解消して固化を開始させるために、微粒子15による衝撃を与えて、過冷却度を150℃乃至0℃とすることが良い。その結果、ティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合を高めることができる。粒状のシリコン融液13の過冷却度が150℃を超えると、シリコン融液13の内部側よりも表面側の冷却が進行してデンドライトが形成されることによって、多結晶粒子から成る非ティア型の結晶シリコン粒子14が形成される固化プロセスとなってしまう。また、粒状のシリコン融液13の過冷却度が0℃よりも小さい状態は、自然な熱放散過程では生じない。より好ましくは過冷却度を100℃乃至0℃とすることが良い。なお、過冷却度は光波長分解測定法によって測定することができる。
この実施形態においては、落下途中の粒状のシリコン融液13に、微粒子15を粒状のシリコン融液13の落下速度よりも大きい相対速度で衝突させる。
これを実現するには、まず、落下管2の下部に雰囲気ガスの供給管17を設け、落下管2内で1m/sec程度の上昇気流速度が得られるように雰囲気ガスを導入する。雰囲気ガスとしては、アルゴン,二酸化炭素,窒素,ヘリウム等が用いられるが、コスト、化学的安定性の点でアルゴンガスが好ましい。供給管17は石英等からなる。
次に、ノズル部1aより下方であってシリコン融液13が粒状に分裂する位置より下側の落下管2の部位、例えば落下管2のノズル部1aより50〜1000mm下方の位置に、珪素化合物から成る微粒子15の導入部としての導入管16を設け、微粒子15を含んだ雰囲気ガスを噴出する。これにより、落下管2内に粒状のシリコン融液13の落下コースを含むように微粒子15が浮遊する浮遊領域を作り出すのが良い。微粒子15の浮遊領域は上昇気流となっている雰囲気ガスにのって、しだいに上方に移動していく。
導入管16は、落下管2に接続されている一端部が他端部よりも下側になるように傾斜していることがよい。その場合、微粒子15が供給管17から供給された雰囲気ガスの上昇気流に乗って、急速に上昇することを抑えることができ、微粒子15が浮遊する浮遊領域を作り出すことができる。微粒子15が浮遊する浮遊領域を容易に作り出すには、導入管16の傾斜角度は10°〜60°程度がよい。
複数の導入管16が落下管2に設けられていてもよい。この場合、平面視において、複数の導入管16が等間隔で設けられていることがより好ましい。これにより、微粒子15が浮遊する浮遊領域を、均一な密度で作り出すことができる。なお、微粒子15の導入部は、導入管16である必要はなく、落下管2に設けた貫通孔等であってもよい。
微粒子15の流速は、供給管17から供給される雰囲気ガスの上昇気流の速度によって制御することができる。供給管17から供給される雰囲気ガスの上昇気流の速度は、供給管17から供給される雰囲気ガスの供給量を制御することによって制御できる。
このことにより、シリコン融液が入った坩堝1のノズル部1aからシリコン融液を排出して粒状として落下させるときに、落下途中の粒状のシリコン融液13に、シリコンより融点の高い珪素化合物から成る微粒子15を、粒状のシリコン融液13の落下速度よりも大きい相対速度で衝突させることとなる。その結果、シリコン融液を噴出させた後、過冷却状態となっている粒状のシリコン融液13の過冷却状態(非平衡状態)を、微粒子15の衝撃によって解除することができ、極めて効果的に過冷却状態を抑制することができる。すなわち、粒状のシリコン融液13に微粒子の運動エネルギーを付与することにより過冷却度が小さくなり、また、微粒子15自体が結晶核ともなる。また、粒状のシリコン融液13と微粒子15との衝突確率を向上させることもできる。
粒状のシリコン融液13の落下速度(10〜20m/sec程度)よりも大きい相対速度を有する微粒子15の上昇速度は、0.001〜1m/sec程度がよく、従って相対速度は10.001〜21m/sec程度となる。微粒子15の上昇速度が0.001m/sec未満では、極微粒子以外は沈降していくことになる。1m/secを超えると、大量のガスが流れるため乱流が発生することになる。
さらに、微粒子15は、粒状のシリコン融液13の落下方向と逆方向の運動方向成分を有する方向に噴出して衝突させることがよい。この場合、落下途中の粒状のシリコン融液13に微粒子15を衝突させる効果を高めることができることに加え、微粒子15の導入部よりもさらに上方においても確実に衝突させることができる点で好ましい。つまり、ノズル部1aから排出されたシリコン融液は、柱状として排出された後、柱状から粒状に分裂する落下位置においても、粒状のシリコン融液13に微粒子15を衝突させることができ、粒状のシリコン融液13の初期から過冷却化を抑えることができる効果も付加される。
この結果、シリコン融液は過冷却に陥ることなく固化を開始するため、良好な結晶性が安定的に得られ、飛躍的にティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合が増加する。
なお、ノズル部1aから排出されたシリコン融液が柱状として排出された後、粒状に分裂する落下位置は、ノズル部1aから5〜10mm程度下方の位置である。
珪素化合物から成る微粒子15は、シリコンより融点の高い、窒化珪素,炭化珪素,二酸化珪素及び一酸化珪素のうちのいずれか1種を含む微粒子15がよい。例えば、シリコンから成る微粒子15を用いた場合、シリコン融液に溶け込んでしまい、本発明の効果を十分に発揮させることができない。また、シリコンから成る極微粒子(平均粒径0.1〜1・m)の場合、粉塵爆発の危険性がある。従って、本発明の窒化珪素,炭化珪素,二酸化珪素及び一酸化珪素のうちのいずれか1種を含む微粒子15の場合、粉塵爆発の危険性も無く、安全に使用することができる効果もある。
粒状のシリコン融液13の落下速度に対する微粒子15の相対速度を、微粒子15が結晶シリコン粒子14の表層部に留まるように設定することが好ましい。これにより、長い間、上記の効果を保持することができる。このような微粒子15の上昇速度は、0.001〜1m/sec程度であり、従って相対速度は10.001〜21m/sec程度となる。微粒子15の上昇速度が0.001m/sec未満では、極微粒子の上昇速度となり、極微粒子が大半となるため、シリコン融液13と短時間で反応して、表層部に微粒子15が留まらずに溶融し易くなる。微粒子15の上昇速度が1m/secを超えると、シリコン融液13の表層部よりも深くまで微粒子15が侵入し易くなる。
また、微粒子15が留まる結晶シリコン粒子14の表層部は、結晶シリコン粒子14の表面から1〜30μm程度の深さの部位である。
微粒子15の平均粒径は、雰囲気ガス中に浮遊させるには、100μm以下が好ましい。これ以上大きいと浮遊せずに落下するものが多くなるためである。また、微粒子15の平均粒径は5μm以上であることが好ましい。5μm未満では、極微粒子が大半となり、過冷却のような非平衡状態にある粒状のシリコン融液13へ与える熱衝撃が弱く、過冷却防止効果が低減し易くなる。
また、落下途中の一つの粒状のシリコン融液13に、一個程度が衝突する程度の微粒子15の密度では大きな効果を得ることは難しいため、複数個の微粒子15を一つの粒状のシリコン融液13に衝突させることが好ましい。これにより、ティア型の結晶シリコン粒子14が得られる確率を高めることができる。下記の表1により、結晶シリコン粒子14の表面に衝突した微粒子15の数の平均値が1個以下のときよりも複数個の場合の方が、ティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合が増加することが分かる。
なお、結晶シリコン粒子14の表面に衝突した微粒子15の数の平均値は、例えば本発明の方法で得られた数10個の結晶シリコン粒子14のそれぞれを顕微鏡で観察し、微粒子15の衝突によって結晶シリコン粒子14表面にできた凹凸を数えることによって算出することができる。
また、結晶シリコン粒子14の表面に衝突した微粒子15の数が5個以上である場合に、ティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合が100%となるので、一つの粒状のシリコン融液13に衝突させる微粒子15の数は5個以上であることが好ましい。
Figure 2008047881
なお、表1において、衝突個数は、一つの粒状のシリコン融液13に衝突した微粒子15の個数の平均値を示し、ティア型の個数割合は、得られた結晶シリコン粒子14の全体の中でティア型の結晶シリコン粒子14が占める個数割合である。
また、一つの粒状のシリコン融液13に衝突した微粒子15の個数は、光波長分解測定法という方法によって特定することができる。
上記のようにして得られたティア型の結晶シリコン粒子14は、その表層部に衝突した珪素化合物よりなる微粒子15に起因する突起が形成される場合があるため、固化した結晶シリコン粒子14の表層部を、研磨あるいはエッチングにより除去することが好ましい。これにより、清浄な結晶シリコン粒子14の表面を形成でき、光電変換効率等の特性が良好な光電変換装置を作製することができる。
光電変換装置は、上記のようにして得られた結晶シリコン粒子14を用いて、例えば以下のようにして作製する。まず、p型の結晶シリコン粒子にリン拡散処理を行うことで外郭部をn+の半導体層にして、表層部にpn接合を形成する。
次に、アルミニウム製の導電性基板の主面上に形成されたアルミニウム−シリコン過共晶層上に、多数の結晶シリコン粒子を配置し、アルミニウムとシリコンの共晶温度である577℃以上の温度で約10分加熱して、多数の結晶シリコン粒子を導電性基板上に接合する。
次に、硬いロールにレジストを塗布して、結晶シリコン粒子上の酸化シリコン膜の上からレジストを転写して、結晶シリコン粒子上部のみを被覆する。これを、体積比で1(フッ酸):10(水)のフッ酸希釈液に浸漬して、露出した酸化シリコン膜を除去する。この後、レジストを薄いアルカリ溶液で除去する。
なお、結晶シリコン粒子上の酸化シリコン膜は、結晶シリコン粒子を導電性基板上に接合した後に酸化雰囲気中で加熱することにより形成される。
導電性基板上の多数の結晶シリコン粒子の間に、ポリイミド溶液を滴下して、絶縁層を形成した。結晶シリコン粒子及び絶縁層の上に、透光性導電層としてのITO膜を、80nmの厚みで形成する。
その他は前述の実施形態と同様である。
<別の実施形態>
次に、本発明における結晶シリコン粒子の他の製造装置を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の結晶シリコン粒子の製造装置について一実施形態を示す断面図である。図3において、図1および図2と同じ構成部材には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
この製造装置は、シリコン融液が入った坩堝1のノズル部1aからシリコン融液を排出して粒状として落下管2内を落下させるとともに、粒状のシリコン融液13を落下中に冷却して固化させることによって結晶シリコン粒子14を製造する。この製造装置は、さらに、シリコンより融点の高い珪素化合物から成る微粒子15を落下管2のノズル部1aより下側の部位において落下管2内に導入する導入管16と、落下管2のノズル部1aより上側の部位において微粒子15を落下管2の外部に放出する放出部としての放出管18とを具備しており、落下途中の粒状のシリコン融液13に微粒子15を下方から衝突させる構成である。導入管16は石英等から成り、落下管2に設けられて雰囲気ガス及び微粒子15を落下管2内に導入する。放出管18は石英等から成り、落下管2に設けられて雰囲気ガス及び微粒子15を落下管2から放出する。
この構成により、落下する粒状のシリコン融液13が、石英等からなる落下管2内を落下中に、シリコンの融点(1414℃)より融点の高い珪素化合物から成る微粒子15を粒状のシリコン融液13に衝突させることにより、粒界が数個程度しかない擬似単結晶粒子であるティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合を飛躍的に高めることができる。
複数の放出管18が落下管2に設けられていてもよい。この場合、平面視において、複数の放出管18が落下管2の周囲に等間隔で設けられていることがより好ましい。これにより、微粒子15が浮遊する浮遊領域を、均一な密度で作り出すことができる。なお、雰囲気ガスの放出部は、放出管18である必要はなく、落下管2に設けた貫通孔等であってもよい。
本発明で用いられる粒状のシリコン融液13は、坩堝1内でシリコンの溶融温度1414℃以上に昇温することによってシリコンを溶融し、ノズル部1aのノズル孔から噴出された液柱状のシリコン融液が、粒状のシリコン融液13に分裂して形成されたものである。ノズル部1aのノズル孔から噴出されたシリコン融液の初速度は5〜20m/sec(秒)である。
粒状のシリコン融液13の大きさ(平均粒径)は、ノズル孔や噴出圧力にも依存するが、本発明では200〜1000μmとしている。
粒状のシリコン融液13は、落下管2の中を熱放散しながら降下するため、ついには固化して結晶シリコン粒子14となる。結晶シリコン粒子14は涙滴型をしている。
従って、結晶シリコン粒子14の全体におけるティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合を高めることが重要な課題である。
ノズル部1aより下方であってシリコン融液13が粒状に分裂する位置より下側の落下管2の部位において、落下管2内に微粒子15を導入する導入管16を設ける。好ましくは、ノズル部1aより50〜1000mm下方の部位に導入管16を設けるのがよく、さらに、微粒子15を含んだ雰囲気ガスを導入管16から噴出させることにより、落下管2内に微粒子15を送り出すのが良い。落下管2内を浮遊している微粒子15は、落下管2のノズル部1aよりも上方の部位に設けられた微粒子15の放出部としての放出管18に向かって移動する雰囲気ガスの流れにのって、上方に移動していく。従って、落下途中の粒状のシリコン融液13に、微粒子15を、粒状のシリコン融液13の落下速度よりも大きい相対速度で衝突させることになる。放出管18は、シリコン融液13が粒状に分裂する位置より上側に設けられる。
粒状のシリコン融液13の落下速度(10〜20m/sec程度)よりも大きい相対速度を有する微粒子15の上昇速度は、0.001〜1m/sec程度がよく、従って相対速度は10.001〜21m/sec程度となる。
雰囲気ガスとしては、アルゴンガス,二酸化炭素ガス,窒素ガス,ヘリウムガス等が好ましく用いることができるが、コスト、化学的安定性の点でアルゴンガスが好ましい。
また、落下管2内に粒状のシリコン融液13の落下コースを含むように微粒子15が浮遊する浮遊領域を作り出すのが良い。微粒子15の浮遊領域は上昇気流となっている雰囲気ガスにのって、しだいに上方に移動していく。この場合、粒状のシリコン融液13に微粒子15が衝突する確率が大きくなる。また、シリコン融液が入った坩堝1のノズル部1aからシリコン融液がいろんな方向に排出された場合でも、落下途中の粒状のシリコン融液13に、特別な衝突装置を用いることなく、微粒子15を衝突させることができる。さらに、ノズル孔を多数設けるマルチジェット方式においても、粒状のシリコン融液13に微粒子15を一様に衝突させることができるので、一度に多数の粒状のシリコン融液13について、極めて効果的に過冷却状態を抑制することができる。この結果、シリコン融液は過冷却に陥ることなく固化を開始するため、結晶性が安定かつ良好となり、飛躍的にティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合が増加する。
また、落下管2のシリコン融液13が粒状に分裂する位置より上側であって落下管2のノズル部1aより上側の部位において、微粒子15を落下管2の外部に放出する放出部としての放出管18を設けることにより、導入管16から落下管2内に放出されたガスが放出管18にむけて流動する。この場合、導入管16から落下管2内に放出されるガスは、落下管2内の雰囲気ガスと同じ雰囲気ガスであることがよい。そして、導入管16から放出管18へと、浮遊した微粒子5を移送する雰囲気ガスの上方への流れが形成される。これにより、粒状のシリコン融液13と微粒子15との衝突は、導入管16付近のみに限定されること無く、ノズル部1a近くで粒状に分裂したばかりの粒状のシリコン融液13にも衝突することになる。広い範囲において、粒状のシリコン融液13に微粒子15が衝突することによって、極めて効果的に過冷却状態を抑制することができる。
また、放出管18より外部に放出され回収された雰囲気ガスと微粒子15は、再度導入管16に還流させて再使用することができる。
以上より、導入管16は、ノズル部1aから液柱状として排出されたシリコン融液が粒状となる落下位置よりも下側の落下管2の部位に設けられていることが好ましい。また、導入管16は、落下管2内の雰囲気ガスと同じ雰囲気ガスとともに微粒子15を落下管2内に導入することが好ましい。さらに、放出管18は、微粒子15とともに落下管2内の雰囲気ガスを落下管2の外部に放出することが好ましい。
また、図4に示すように、落下管2は、導入管16よりも下側の部位に、落下管2内の雰囲気ガスと同じ雰囲気ガスを供給する雰囲気ガスの供給管17が設けられていることがよい。この場合、雰囲気ガスの上向きの気流の形成がさらに容易になる。
なお、ノズル部1aから排出されたシリコン融液が柱状として排出された後、粒状に分裂する落下位置は、ノズル部1aから5〜10mm程度下方の位置である。また、導入管16が、ノズル部1aから液柱状として排出されたシリコン融液が粒状となる落下位置よりも下側の落下管2の部位に設けられている場合、前記落下位置から10〜700mm程度下方の位置に導入管6が設けられていることがよい。10mm未満では、柱状のシリコン融液が未分裂であり、また粒状のシリコン融液3に付着する微粒子15が少なくなる。700mmを超えると、過冷却を過ぎて粒状のシリコン融液13の凝固が開始される落下位置になるため、微粒子15が付着することによる効果が発現されなくなる。
微粒子15は、シリコンより融点の高い、窒化珪素,炭化珪素,二酸化珪素及び一酸化珪素のうちのいずれか1種を含むものがよい。シリコンから成る微粒子15の場合、微粒子15がシリコン融液に溶け込んでしまうおそれがある。また、シリコンから成る極微粒子(平均粒径0.1〜1μm)の場合、粉塵爆発の危険性がある。従って、窒化珪素,炭化珪素,二酸化珪素及び一酸化珪素から選ばれる少なくとも1種を含む微粒子15の場合、粉塵爆発の危険性も無く、安全に使用することができる効果もある。また、珪素化合物から成る微粒子15に含まれる成分としては、珪素以外に窒素,炭素,酸素があるが、粒状のシリコン融液13に付着してもシリコンの純度への影響がほとんどないように高純度とすることが好ましい。
得られたティア型の結晶シリコン粒子14は、表層部を研磨あるいはエッチングにより除去することにより、清浄な結晶シリコン粒子4の表面を形成でき、光電変換効率等の特性が良好な光電変換装置を作製することができる。
その他の構成は前述の実施形態と同じである。
次に、本発明にかかる結晶シリコン粒子の製造方法及び製造装置について実施例を挙げて説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されるものでないことは勿論である。
図1に示す製造装置を用いて結晶シリコン粒子8を以下のようにして製造した。
まず、シリコン材料として、p型ドーパントとしての硼素(B)を1×1016原子/cm3添加したシリコン800gを、グラファイト製の外壁部材及び石英製の内壁部材から成る坩堝1内に入れ、抵抗加熱式のグラファイトヒーターからなる加熱装置3により坩堝1を加熱し、シリコンを溶融させた。
次に、坩堝1内のアルゴンガスの圧力を大気圧よりも大きくすることにより、シリコン融液の液面に圧力を加え、ノズル部1aから落下管2の内部へシリコン融液を初速7m/secで排出し、粒状のシリコン融液7を落下管2の内部において落下させた。
図5に、落下管2の内部を落下した粒状のシリコン融液7の温度プロファイル(実線)、及び落下管2の外表面の温度プロファイル(破線)のグラフを示す。図5において、落下管温度は落下管2の外表面の温度を示し、横軸の落下管位置は坩堝1のノズル部1aの位置を0(m)とし、ノズル部1aからの鉛直下方の位置を示す。
落下管2の外壁の加熱装置3の直下には、水冷管から成る上下方向の長さが300mmの冷却装置4(図1には図示せず)が設けられており、冷却装置4がある落下管2の部位の内部を、粒状のシリコン融液7を300mm落下させ、1300℃まで粒状のシリコン融液7を冷却した。このときの過冷却度(弱過冷却度)は114℃であり、過冷却度の特定は、光波長分解測定法及び熱解析によって行った。
また、落下管2における冷却装置4が設けられた部位の下側には、保温装置5を設けている。この保温装置5は、抵抗加熱式のグラファイトヒーターから成り、上下方向の長さが1000mmで、1300℃に保持されている。保温装置5がある落下管2の部位の内部を、粒状のシリコン融液7を1000mm落下させた。この保温工程では、保温装置5の温度を1300℃のままとし、粒状のシリコン融液7の凝固を開始させ、その下側の落下管2内で冷却して凝固を完了させ、結晶シリコン粒子8を得た。
本実施例において、坩堝1内のシリコン融液に、周波数2kHz、振幅3μmの縦振動と、周波数500Hz、振幅50μmの横振動を加えた。落下管2の内部のアルゴンガスの圧力は大気圧とした。過冷却工程における粒状のシリコン融液7の落下長さは、粒状のシリコン融液7の直径(490μm)の約600倍(約300mm)であった。保温工程における粒状のシリコン融液7の落下長さ(1000mm)は、過冷却工程における粒状のシリコン融液7の落下長さ(500mm)よりも長くなった。保温工程における粒状のシリコン融液7の温度は1300℃であり、光波長分解測定法及び熱解析によって温度を特定した。落下管2の冷却装置4が設けられた部位の温度は400℃であり、落下管2の保温装置5が設けられた部位の温度は1300℃であった。
本実施例で得られた100個の結晶シリコン粒子8は、平均粒径が500μm、ライフタイム(光照射によって発生したキャリアのライフタイム)が平均3μsec、ライフタイムの標準偏差が0.2μsecであった。また、本実施例で得られた100個の結晶シリコン粒子8について、粒界が数個程度しかない擬似単結晶粒子であるティアドロップ型の結晶シリコン粒子8の個数割合は98%であった。
(比較例1)
冷却装置4及び保温装置5を取り外した以外は、実施例1と同様にして結晶シリコン粒子8の製造を行った。
図6に、落下管2の内部を落下した粒状のシリコン融液7の温度プロファイル(実線)、及び落下管2の外表面の温度プロファイル(破線)のグラフを示す。図6に示すように、このときの過冷却度は280℃であり、過冷却度の特定は、光波長分解測定法及び熱解析によって行った。また、過冷却工程の後には、図6に示すような温度プロファイルを辿って冷却され、結晶シリコン粒子8が得られた。
比較例1で得られた100個の結晶シリコン粒子8は、平均粒径が500μm、ライフタイムが平均0.8μsec、ライフタイムの標準偏差が0.5μsecであった。また、比較例1で得られた100個の結晶シリコン粒子8について、粒界が数個程度しかない擬似単結晶粒子であるティアドロップ型の結晶シリコン粒子8の個数割合は13%であった。
(比較例2)
加熱装置3の長さを実施例1のものから下方に900mm延長し、図7に示すような徐冷の温度プロファイルを辿って、粒状のシリコン融液7が冷却されるようにして結晶シリコン粒子8を得た。このときの過冷却度は250℃であり、過冷却度の特定は、光波長分解測定法及び熱解析によって行った。
比較例2で得られた100個の結晶シリコン粒子8は、平均粒径が500μm、ライフタイムが平均1.0μsec、ライフタイムの標準偏差が0.4μsecであった。また、比較例2で得られた100個の結晶シリコン粒子8について、粒界が数個程度しかない擬似単結晶粒子であるティアドロップ型の結晶シリコン粒子8の個数割合は28%であった。
なお、比較例2のような徐冷の温度プロファイルでは、落下管2の長さが長くなり装置全体が大きくなる、また、粒状のシリコン融液7の結晶化開始が始まらない場合が出てくる、という問題点もあると考えられる。従って、加熱装置3から冷却装置4にかけての温度勾配はなるべく急冷(100〜2000℃/m)となるようにするのがよい。
本発明にかかる図2の製造装置を用いて、結晶シリコン粒子を製造した。
まず、結晶シリコン粒子14の材料として、p型ドーパントであるB(硼素)を1×1016原子/cm3添加したシリコン120gを、グラファイトから成る坩堝1内へ入れ、坩堝1を電磁誘導により加熱した。ノズル部1aは、炭化珪素結晶体から成る平板状のものにノズル孔(貫通孔)を形成して成るものを用い、断面が円形のノズル孔の直径を100μm、ノズル部1aの長さ(厚さ)を1mmとした。
次に、雰囲気ガスとしてのアルゴンガスを、落下管2の下部に設けた供給管17より供給し、落下管2内に雰囲気ガスが上昇する気流(上昇速度1m/sec)を形成した。
その後、坩堝1内のアルゴンガスの圧力を、落下管2内の圧力よりも0.1MPaから0.3MPaに高めて、シリコン融液の液面に圧力を加え、ノズル部1aから管2の内側へシリコン融液を排出した。
同時に、ノズル部1aの500mm下方に設けられた導入管16から、平均粒径10μmに粉砕された石英(二酸化珪素)製の微粒子15をアルゴンガスとともに放出した。微粒子15は、落下管2内の上昇気流にのって、上方に移動していき、落下してくる粒状のシリコン融液13と衝突した。このときの粒状のシリコン融液13の落下速度は15m/sec、微粒子15の上昇速度は0.4m/secであることから、微粒子15の相対速度は15.4m/secとなった。
落下管2の内側で落下しつつ冷却して凝固した結晶シリコン粒子14の表面には、平均4個の微粒子15が付着していた。微粒子15が付着していた結晶シリコン粒子14の表層部は、結晶シリコン粒子14の表面から3μm程度の深さの部位であった。また、その深さはSIMS法により測定した。
また、粒状のシリコン融液13の過冷却度は50℃程度であり、光波長分解測定法により測定した。
得られた1000個の結晶シリコン粒子14は、平均粒径400μm、ティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合は95%であった。
(比較例3)
微粒子15を落下管2内に放出しなかった以外は、上記実施例2と同様にして、坩堝1内へ雰囲気ガスとしてアルゴンガスを導入し、坩堝1内のシリコン融液の液面に圧力を加え、ノズル部1aから落下管2の内側へシリコン融液を排出した。粒状のシリコン融液13を落下管2の内側を落下させつつ冷却して凝固させて、結晶シリコン粒子14を得た。
得られた1000個の結晶シリコン粒子14は、平均粒径は410μmであったが、結晶性の優れたティア型の結晶シリコン粒子14は、個数割合で25%しか含まれていなかった。
以上の実施例2で得られた結晶シリコン粒子14を用いて作製した光電変換装置と、比較例3で得られた結晶シリコン粒子を用いて作製した光電変換装置とについて、光電変換効率をJIS C 8913に基づいた方法により測定したところ、実施例2では11.3%であったのに比べ、比較例3では3.4%と低下していた。
本発明にかかる図3の製造装置を用いて、結晶シリコン粒子を製造した。
まず、結晶シリコン粒子14の材料として、p型ドーパントであるB(硼素)を1×1016原子/cm3添加したシリコン120gを、石英製の内壁部材とグラファイト製の外壁部材とから成る坩堝1内へ入れ、坩堝1を電磁誘導法により加熱した。ノズル部1aは炭化珪素結晶体から成る平板状のものにノズル孔(貫通孔)を形成して成るものを用い、横断面形状が円形のノズル孔の直径を100μm、ノズル部1aの長さ(厚さ)を1mmとした。
その後、坩堝1内の雰囲気ガスであるアルゴンガスの圧力を、落下管2内のアルゴンガスの圧力よりも0.1MPaから0.3MPaに高めてシリコン融液の液面に圧力を加え、ノズル部1aから落下管2の内側へシリコンの融液を排出した。
ノズル部1aの500mm下方に設けられた導入管16から落下管2内に、平均粒径40μmに粉砕された石英(二酸化珪素)から成る微粒子15を混入したアルゴンガスを導入した。アルゴンガスの導入量は10リットル/分(1リットル=1000cm3)、微粒子15の導入量は10万個/秒とした。
なお、液柱状のシリコン融液が粒状に分裂する落下位置は、ノズル部1aの下方500mmの位置であった。
一方、ノズル部1aの上方100mmの落下管2の部位に、平面視で直交する四方向に四本の放出管18を設け、落下管2の上端に上昇してきた微粒子15及びアルゴンガスを外部に取り出した。この微粒子15は、導入管16から放出管18にかけて、アルゴンガスの上昇気流にのって上方に移動し、その途中で落下してくる粒状のシリコン融液13と衝突するようにした。微粒子15の上昇速度は2mm/sec、粒状のシリコン融液13の落下速度は15m/secとした。
そして、落下管2の内側を落下しつつ冷却されて凝固した結晶シリコン粒子14の表面には、平均4個の二酸化珪素の微粒子15が付着しており、得られた結晶シリコン粒子14は、平均粒径400μmであった。また、得られた結晶シリコン粒子14の全体に対する擬似単結晶粒子であるティア型の結晶シリコン粒子14の個数割合は90%を超えていた。結晶シリコン粒子14の表面に衝突した微粒子15の数の平均値は、実施例3で得られた50個の結晶シリコン粒子14のそれぞれを顕微鏡で観察し、微粒子15の衝突によって結晶シリコン粒子14の表面にできた凹凸を数えることによって算出した。
実施例3で得られた結晶シリコン粒子14を用いて形成した光電変換装置の変換効率は11.2%であった。
なお、本発明は上記の実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何ら差し支えない。例えば、得られたティア型の結晶シリコン粒子を単結晶化するために再溶融(リメルト)を行ってもよい。その場合、ティア型の結晶シリコン粒子は元々粒界が少なく結晶性が良好なため、非ティア型の結晶シリコン粒子に再溶融処理を施す場合と比較して、再溶融工程における溶融温度、溶融時間は安定する。また、単結晶化された結晶シリコン粒子を用いるので、光電変換装置の変換効率をさらに向上させ得る。

Claims (19)

  1. 結晶シリコン粒子の製造方法であって、
    粒状のシリコン融液を落下中に冷却して固化させることによって結晶シリコン粒子を製造する結晶シリコン粒子の製造方法であって、粒状の前記シリコン融液の過冷却度(ただし、(過冷却度)=(シリコンの融点)−(凝固開始温度)とする)を自然放冷時の過冷却度よりも小さい弱過冷却度とするとともに、前記弱過冷却度の前記凝固開始温度まで融液状態のままで粒状の前記シリコン融液を冷却する過冷却工程と、
    前記弱過冷却度の前記凝固開始温度に達した時点以降に温度を保持する保温工程と、
    を具備することを特徴とする結晶シリコン粒子の製造方法。
  2. 前記過冷却工程を不活性ガスから成る雰囲気ガス中で行うことを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  3. 前記過冷却工程を大気圧の雰囲気ガス中で行うことを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  4. 前記過冷却工程における粒状の前記シリコン融液の落下長さが、粒状の前記シリコン融液の直径の200倍以上5000倍未満であることを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  5. 前記保温工程を不活性ガスから成る雰囲気ガス中で行うことを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  6. 前記保温工程における粒状の前記シリコン融液の落下長さが、前記過冷却工程における粒状の前記シリコン融液の落下長さよりも長いことを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  7. 前記坩堝内の前記シリコン融液に振動を加えることを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  8. 前記弱過冷却度が40℃乃至200℃であることを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  9. 前記保温工程における粒状の前記シリコン融液の温度が1214℃乃至1374℃であることを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  10. 落下途中の粒状の前記シリコン融液に、シリコンより融点の高い珪素化合物から成る微粒子を、粒状の前記シリコン融液の落下速度よりも大きい相対速度で衝突させることを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  11. 粒状の前記シリコン融液の平均粒径が100〜600μmであることを特徴とする請求項8記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  12. 前記結晶シリコン粒子が涙滴形状であることを特徴とする請求項1記載の結晶シリコン粒子の製造方法。
  13. シリコン融液が入った坩堝のノズル部から前記シリコン融液を排出して粒状として落下管内を落下させるとともに、粒状の前記シリコン融液を落下中に冷却して固化させることによって結晶シリコン粒子を製造する結晶シリコン粒子の製造装置であって、
    前記坩堝の外側に設けられるとともに、坩堝内のシリコン原料を加熱してシリコン融液を形成する加熱手段と、
    前記落下管の前記加熱手段の直下に設けられるとともに、前記坩堝から排出された粒状の前記シリコン融液の過冷却度(ただし、(過冷却度)=(シリコンの融点)−(凝固開始温度)とする)を自然放冷時の過冷却度よりも小さい弱過冷却度とするとともに、前記弱過冷却度の前記凝固開始温度まで融液状態のままで粒状の前記シリコン融液を冷却する過冷却手段と、
    前記落下管の前記過冷却手段の下方に設けられるとともに、前記弱過冷却度の前記凝固開始温度に達した時点以降に一定温度に保持する保温手段と、
    を具備していることを特徴とする結晶シリコン粒子の製造装置。
  14. 前記過冷却手段は、前記落下管の外壁に設けられた水冷管から成ることを特徴とする請求項13記載の結晶シリコン粒子の製造装置。
  15. 前記過冷却手段は、落下方向の長さが調節可能とされていることを特徴とする請求項13記載の結晶シリコン粒子の製造装置。
  16. 前記落下管の前記過冷却手段が設けられた外表面の温度が1000℃未満であることを特徴とする請求項13記載の結晶シリコン粒子の製造装置。
  17. 前記落下管の前記保温手段が設けられた外表面の温度が1100℃以上1400℃未満であることを特徴とする請求項13記載の結晶シリコン粒子の製造装置。
  18. シリコンより融点の高い珪素化合物から成る微粒子を前記落下管の前記ノズル部より下側の部位において前記落下管内に導入する導入部と、
    前記落下管における粒状の前記シリコン融液が生成される部位より上側の部位において、前記微粒子を前記落下管の外部に放出する放出部と、
    を具備していることを特徴とする請求項13記載の結晶シリコン粒子の製造装置。
  19. シリコン融液が入った坩堝のノズル部から前記シリコン融液を排出して粒状として落下管内を落下させるとともに、粒状の前記シリコン融液を落下中に冷却して固化させることによって結晶シリコン粒子を製造する結晶シリコン粒子の製造装置であって、
    シリコンより融点の高い珪素化合物から成る微粒子を前記シリコン融液が粒状に分裂する位置より下側の部位において前記落下管内に導入する導入部と、前記位置より上側の部位において前記微粒子を前記落下管の外部に放出する放出部とを具備しており、落下途中の粒状の前記シリコン融液に前記微粒子を下方から衝突させることを特徴とする結晶シリコン粒子の製造装置。
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