JPWO2008047842A1 - 血液試料のヘマトクリット値の測定方法、血液試料中の分析物の濃度の測定方法、センサチップおよびセンサユニット - Google Patents

血液試料のヘマトクリット値の測定方法、血液試料中の分析物の濃度の測定方法、センサチップおよびセンサユニット Download PDF

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Abstract

酸化還元物質の酸化体が対極に接し作用極に実質的に接しない状態で血液試料が接触する両電極間に電圧を印加し、作用極の少なくとも一部の表面を構成する易電解酸化性の金属を酸化するとともに、作用極に接する酸化体を還元し、当該酸化および還元に伴う電流を測定する。これにより、作用極と対極との間に印加する電圧を低下させながらも、血液試料のヘマトクリット値を十分な検出感度でかつ安定して測定できる。この測定は、例えば、作用極11および対極12と、血液試料導入口16に連通する血液試料保持部14を含み、作用極11の部分31が対極の部分32よりも血液試料導入口16に近接して配置され、部分31の表面が易電解酸化性の金属を含んで構成され、酸化体を含む試薬13が部分32に接して配置されたセンサチップを用いて実施できる。

Description

本発明は、血液試料のヘマトクリット(Hct)値の測定方法、血液試料中の分析物の濃度の測定方法、それらの測定に適したセンサチップおよびセンサユニットに関する。
血液試料中の分析物の濃度、例えば血中グルコース濃度(血糖値)、を測定するために、センサチップが使用されている。
センサチップは、分析物が関与する酵素サイクリング反応後に、血液試料中に流れる電流量を測定するために用いられ、この電流量に基づいて分析物の濃度が計算される。この電流量は、分析物濃度に加え、血液試料のHct値によっても変化する。血液試料のHct値は、その血液試料を提供した動物の健康状態に応じて変動する。ヒトの標準Hct値は、成人男子において39〜50%、成人女子では36〜45%である。血液試料のHct値は、その血液試料中の分析物濃度を正確に特定するために、さらにはその血液試料の性状、例えば、血液のさらさら度および貧血、を知るために、センサチップの測定対象とすることが望ましい。
特表平8−500190号公報、特表2003−501627号公報、国際公開第2005/054839号パンフレットおよび国際公開第2005/054840号パンフレットは、血液試料のHct値を測定するセンサチップを開示する。これら公知のセンサチップは、作用極および対極を含む電極系と、作用極と対極との間に血液試料を保持するための流路(血液試料保持部)とを備える。
特表平8−500190号公報および特表2003−501627号公報に記載のセンサチップは、血液試料に溶出可能な状態で血液試料保持部に配置された、電子メディエータを有する。電子メディエータは、血液試料保持部への血液試料の導入により作用極上および対極上に付着し、血液試料と各電極との界面での電子の移動に寄与する。このセンサチップでは、各電極上に付着した電子メディエータの酸化還元反応に伴って血液試料中に流れる電流量の測定によって、血液試料のHct値が特定される。
国際公開第2005/054839号パンフレットおよび国際公開第2005/054840号パンフレットに記載のセンサチップでは、Hct値測定を実施するための作用極および対極を含む電極系のうち対極上にのみ電子メディエータが配置されている。このセンサチップでは、血液試料保持部への血液試料の導入により、電子メディエータを含有しないピュアな血液試料が作用極上に接触する。このセンサチップでは、血液試料中の血液成分、例えば、アスコルビン酸、尿酸および水、の酸化還元反応に起因して、血液試料と作用極との界面で電子が移動する。血液試料と対極との界面での電子の移動は、対極上に配置された電子メディエータが寄与する。
特表平8−500190号公報および特表2003−501627号公報に記載のセンサチップは、血液試料のHct値の変動率に対し、Hct値の測定時に血液試料中に流れる電流(酸化還元電流)の量の変動率が小さく、十分な検出感度を有しない。例えば、血液試料のHct値が20%変動しても、酸化還元電流の振幅が8%程度しか変動しない場合がある。国際公開第2005/054839号パンフレットおよび国際公開第2005/054840号パンフレットに記載のセンサチップでは、Hct値の測定時に作用極と対極との間に印加する電圧(Hct値測定電圧)を低下させると、酸化還元電流の振幅の揺らぎが激しくなり、血液試料のHct値を安定して測定できない場合がある。
本発明は、Hct値測定電圧を低下させても、血液試料のHct値を十分な検出感度でかつ安定して測定できる、血液試料のHct値の測定方法、血液試料中の分析物の濃度の測定方法、それらの測定に適したセンサチップおよびセンサユニットの提供を目的とする。
一般に、昜電解酸化性の金属、例えば、銀、銅およびニッケルは、センサチップの作用極の材料としては不適とされている。センサチップの電極系への電圧の印加によって作用極が容易に酸化されてしまい、分析物の濃度を反映する電流量の正確な測定が困難になると考えられていたためである。本発明者は、センサチップの作用極を敢えて昜電解酸化性の金属で構成すると、作用極を正極、対極を負極として両電極間に電圧を印加する際に易電解酸化性の金属の酸化に起因した酸化電流が発生することに着目し、対極側にのみ酸化還元物質の酸化体を配置することによって作用極における易電解酸化性の金属の酸化反応が律速しにくくなって当該酸化電流が安定化することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
本発明は、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極に実質的に接していない状態で血液試料に接する前記作用極と前記対極との間に電圧を印加して、前記作用極と前記対極との間に流れる電流を検出し、前記電流に基づいて前記血液試料のHct値を算出する、血液試料のHct値を電気化学的に測定する方法であって、前記作用極の少なくとも一部の表面であって前記血液試料に接する表面を易電解酸化性の金属を含む材料により構成し、前記作用極と前記対極との間に印加する電圧により、前記易電解酸化性の金属の酸化と前記酸化体の還元とを引き起こし、当該酸化および還元に伴う電流を測定する、血液試料のHct値の測定方法を提供する。
本発明は、別の側面から、血液試料のHct値を反映する電流Aを電気化学的に検出し、前記電流Aまたは前記電流Aの換算値である、前記Hct値に対応するデータAを得る工程と、前記血液試料中の分析物を、酸化還元物質の存在下で、前記分析物を基質とする酸化還元酵素により酸化または還元し、前記分析物の前記酸化または還元に伴う電流Bを電気化学的に検出し、前記電流Bまたは前記電流Bの換算値である、データBを得る工程と、前記データAを用いて前記データBを補正して得られるデータCに基づいて、前記血液試料中の前記分析物の濃度を決定する工程と、を含む、血液試料中の分析物の濃度を電気化学的に測定する方法であって、前記電流Aとして、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極の少なくとも一部の表面に実質的に接していない状態で血液試料に接する前記作用極と前記対極との間に電圧を印加して、前記作用極の前記少なくとも一部の表面を構成する易電解酸化性の金属の酸化と前記酸化体の還元とを引き起こし、当該酸化および還元に伴い前記作用極と前記対極との間に流れる電流を検出する、血液試料中の分析物の濃度の測定方法を提供する。
本発明は、別の側面から、血液試料のHct値を反映する電流を電気化学的に検出するためのHct分析部を含む、センサチップであって、前記Hct値分析部は、作用極および対極と、前記作用極および前記対極に接するように血液試料を保持するための血液試料保持部と、前記血液試料を前記血液試料保持部に導入するための血液試料導入口とを有し、前記作用極の前記血液試料保持部に面する表面の少なくとも一部が易電解酸化性の金属を含む材料により構成され、前記対極の前記血液試料保持部に面する表面に接して、または前記対極の前記表面に近接して、酸化還元物質の酸化体が配置された、を提供する。本発明は、別の側面から、血液試料のHct値を反映する電流を電気化学的に検出するためのHct分析部を含む、センサチップであって、前記Hct値分析部は、作用極および対極と、前記作用極および前記対極に接するように血液試料を保持するための血液試料保持部と、前記血液試料を前記血液試料保持部に導入するための血液試料導入口とを有し、前記血液試料保持部が、前記血液試料導入口に連通する導入部と、前記導入部から分岐した第1分岐部および第2分岐部とを有し、前記第1分岐部が前記対極に面し、前記第2分岐部が前記作用極に面し、前記作用極の前記第2分岐部に面する表面の少なくとも一部が易電解酸化性の金属を含む材料により構成され、前記対極の前記第1分岐部に面する表面に接して、または前記対極の前記表面から離れて、前記第1分岐部に酸化還元物質の酸化体が配置された、センサチップを提供する。
さらに、本発明は、別の側面から、上記センサチップと、前記作用極と前記対極との間に所定の電圧を印加するための電圧印加回路を含むセンサ本体とを有するセンサユニットであって、前記センサチップが前記センサ本体に着脱自在であって、かつ前記センサチップが前記センサ本体に装着された状態で前記電圧印加回路から前記作用極と前記対極との間に前記所定の電圧が印加可能となり、前記所定の電圧が、前記作用極を正極、前記対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧である、センサユニットを提供する。
本発明によれば、Hct値測定電圧を低下させても、血液試料のHct値を十分な検出感度でかつ安定して測定できる。
本発明のHct値測定用センサチップの一例を示す分解斜視図である。 本発明のHct値測定用センサチップの一例を示す平面図である。 本発明のHct値測定用センサチップの別例を示す分解斜視図である。 本発明のHct値測定用センサチップの別例を示す平面図である。 本発明のHct値測定用センサチップの別例を示す分解斜視図である。 本発明のHct値測定用センサチップの別例を示す平面図である。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例3のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 実施例3のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例3のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例3のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例3のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 比較例1のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 比較例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 比較例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 比較例2のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 本発明のHct値測定用センサユニットの一例を示す斜視図である。 本発明のHct値測定用センサユニットの回路構成の一例を示す図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの一例を示す分解斜視図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの一例を示す平面図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの別例を示す分解斜視図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの別例を示す平面図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの別例を示す分解斜視図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの別例を示す平面図である。 本発明の分析物濃度測定用センサユニットの回路構成の一例を示す図である。
本発明によるHct値の測定では、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極に実質的に接しないように、酸化体と電極との接触パターンを制御する。
酸化還元物質の酸化体が対極に接している状態は、例えば酸化体を含む血液試料が対極に接している状態であってもよいし、また例えば酸化体が対極上に配置された状態であってもよい。このようにHct値の測定時に酸化体は、血液試料に溶解した状態で電極に接していてもよいし、固体として電極に接していてもよい。
酸化体は、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を印加した場合に対極において電気化学的に還元する物質である。酸化体としては、フェリシアン化物、p−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン誘導体、酸化型フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェリシニウム、およびフェリシニウム誘導体といった、可逆性電子活性化合物の酸化体が挙げられる。好ましい酸化体はフェリシアン化物である。好ましいフェリシアン化物はフェリシアン化カリウムである。
Hct値の測定時において対極に接触させる酸化体の量は、例えば、対極に接触させる血液試料に0.1〜1000mM、さらには1〜500mM、場合によっては10〜200mMの酸化体を含ませることによって制御すればよい。
なお、Hct値の測定時において、血液試料(例えば、ヒト血液)に本来的に含まれる酸化還元物質の酸化体が作用極に接することは制限しない。換言すれば、本明細書では、血液試料に本来的に含まれる酸化還元物質が電極(作用極および対極)に接している状態は、電極に酸化還元物質が実質的に接していない状態として取り扱う。また、本明細書では、ヒト血液に本来的に含まれる程度の量の酸化還元物質を含む血液試料については、実質的に酸化還元物質を含まないものとして取り扱う。
作用極は少なくとも一部の表面が易電解酸化性の金属を含む材料により構成されており、当該少なくとも一部の表面はHct値の測定時に血液試料と接触する。易電解酸化性の金属は、例えば、銀、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属に代表される、銀の標準電極電位(0.799V vs. SHE)以下の標準電極電位(V vs. SHE)を有する金属である。作用極における上記の少なくとも一部の表面は、易電解酸化性の金属を単独でまたは複数用いて形成してもよいし、易電解酸化性の金属以外の導電性材料と易電解酸化性の金属とを混合した材料を用いて形成してもよい。
対極の表面であってHct値の測定時に血液試料と接触する表面は、例えば、パラジウム、白金、金、銀、チタン、銅、ニッケル、炭素といった公知の導電性材料により構成できる。また例えば、対極の電極芯体上に高分子膜を形成し、当該高分子膜の表面を対極の上記の表面としてもよい。高分子膜の材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリジンといったポリアミノ酸、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチンおよびその誘導体、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、スターチおよびその誘導体、無水マレイン酸重合体およびその塩、アガロースゲルおよびその誘導体、が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
作用極および対極の形状、サイズは特に限定されない。また、絶縁基板上における作用極および対極の配置パターンも特に限定されないが、作用極と対極との間の最近接距離を0.05mm以上、さらには0.1mm以上、場合によっては0.5mm以上とすると、血液試料のHct値を安定して測定することが容易になる。当該最近接距離の上限は特に限定されない。
Hct値の測定時において作用極と対極との間に印加する電圧(Hct値測定電圧)は、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧とする。本発明によれば、Hct値測定電圧を、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる範囲、さらには1.0V以下にまで低下させても、作用極に含まれる易電解酸化性の金属の酸化と対極に接する上記の酸化体の還元とが関与して流れる電流を電圧印加開始直後から安定して検出できる。この理由は定かではないが、Hct値の測定時において、作用極の少なくとも一部の表面を構成する易電解酸化性の金属の溶解反応のみによる酸化電流が発生すること、および当該表面では酸化膜が緩やかに形成されることに起因すると考えられる。
Hct値測定電圧を印加する時間は、例えば0.001〜60秒、好ましくは0.01〜10秒、より好ましくは0.01〜5秒、さらに好ましくは0.01〜3秒である。Hct値測定電圧は、作用極を正極、対極を負極と表示したときに、例えば0.75V以下、0.5V以下、0.25V以下、0.15V以下、0.1V以下としてもよい。Hct値測定電圧の下限は、作用極における易電解酸化性の金属の酸化および対極における酸化体の還元が生じる限り特に限定されないが、上記と同様に表示したときに0Vを超え、作用極の電位が正の値になる電圧であることが望ましい。
血液試料のHct値は、Hct値測定電圧の印加によって作用極と対極との間に流れる上記の電流に基づいて算出する。Hct値は、例えば、Hct値測定電圧の印加開始から所定時間後における上記の電流の量とHct値との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して算出できる。
上記で説明したHct値は、本発明のセンサチップの一例であるHct値測定用センサチップを用いて測定できる。
Hct値測定用センサチップは、血液試料のHct値を反映する電流を電気化学的に検出するためのHct値分析部を有する。Hct値分析部は、作用極および対極を含む電極系と、作用極および対極に接するように血液試料を保持するための血液試料保持部とを有する。血液試料保持部は、血液試料をその内部に導入するための血液試料導入口と連通している。
作用極および対極の少なくとも一部は、血液試料保持部に血液試料を導入したときに血液試料と接するように血液試料保持部に面している。
血液試料保持部に面する作用極の表面は、その少なくとも一部が、例えば銀に代表される易電解酸化性の金属を含む材料により構成されている。当該少なくとも一部の表面は、例えば易電解酸化性の金属を含む材料を用いて形成した電極芯体の表面であってもよいし、また例えば電極芯体を易電解酸化性の金属以外の導電性材料を用いて形成しこの電極芯体上に形成した易電解酸化性の金属を含む導電膜の表面であってもよい。また、当該少なくとも一部の表面は、易電解酸化性の金属を含む材料により構成することに代えて、易電解酸化性の金属を含む材料を用いて形成した電極芯体の表面に高分子膜を形成し、当該高分子膜の表面により構成してもよい。高分子膜は、対極の電極芯体上に配置しうる高分子膜の材料と同様の材料を用いて形成できる。
血液試料保持部に面する対極の表面は、公知の導電性材料を用いて形成した電極芯体の表面であってもよいし、電極芯体上に形成された上記の高分子膜の表面であってもよい。
作用極および対極の電極芯体は、例えば、スクリーン印刷法、スパッタリング法および蒸着法によって形成できる。高分子膜は、例えば、当該膜を形成するための高分子材料の溶液を電極芯体上に塗布し乾燥させることによって形成できる。作用極や対極の形状、サイズ、絶縁基板上での配置パターンは特に限定されないが、作用極と対極との間の最近接距離を上記で例示した範囲に設定とすると、血液試料のHct値を安定して測定することが容易になる。
Hct値分析部では、血液試料を血液試料保持部に導入し作用極と対極との間に電圧を印加する際に、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極に実質的に接しないで血液試料が対極および作用極に接触した状態が形成されるように、酸化体を含む試薬の配置パターン、血液試料保持部の形状、および対極と作用極との相対的な配置パターンを設定する。例えば、血液試料導入口から血液試料保持部に導入される血液試料の流れに関して作用極を対極よりも上流側に配置し、対極の血液試料保持部に面する表面に接して、または当該表面に近接して、酸化還元物質の酸化体を含む試薬を配置する。試薬は対極の表面上または表面に接するように配置することが好ましいが、対極表面と作用極表面とに接することなく対極と作用極との間に配置してもよい。本発明のHct値測定方法は、上記のとおり、Hct値測定電圧を印加する際に対極の表面上に酸化体が存在した状態で実施する。このため、試薬の組成は、対極表面上または対極表面に接するように試薬を配置する場合は血液試料の導入の際に当該試薬が流されにくいように、対極表面に接しない状態で試薬を配置する場合は血液試料の導入の際に当該試薬が流され易いように設定することが望ましい。酸化体を含む試薬の配置は、例えば、酸化体を水や公知の緩衝液に溶解または分散させることによって調製した試薬液を、所定の部位に滴下または塗布した後これを乾燥させることにより行えばよい。
血液試料保持部が、血液試料導入口に連通する導入部と、導入部から分岐した第1分岐部および第2分岐部とを有し、第1分岐部が対極に面し、第2分岐部が作用極に面する場合には、対極の第1分岐部に面する表面に接して、または対極の当該表面から離して、第1分岐部に試薬を配置してもよい。
酸化体を含む試薬は、例えば、タウリン、グリシン、セリン、プロリン、トレオニンおよびリシンといったアミノ酸(結晶均質化剤)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリジンといったポリアミノ酸、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチンおよびその誘導体、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、スターチおよびその誘導体、無水マレイン酸重合体およびその塩、アガロースゲル、をさらに含んでいてもよい。Hct値分析部に配置する酸化体の量は、Hct値測定時に対極に接触する酸化体の量が、例えば0.1〜1000mM、さらには1〜500mM、場合によっては10〜200mMになるように設定すればよい。
血液試料保持部の形状および容積は、血液試料を毛管現象によってその内部に導入できるように設定することが望ましい。
図1〜6は、Hct値測定用センサチップにおける酸化体を含む試薬の配置パターン、血液試料保持部の形状、および対極と作用極との相対的な配置パターンの具体例を説明するための図である。
<Hct値測定用センサチップA>
図1はHct値測定用センサチップAの分解斜視図であり図2はその平面図である。図示のようにHct値測定用センサチップA100aは、矩形状の切欠部104が形成されたスペーサー102を介してかつ絶縁基板101の一方の端部(図において右側の端部)を残して、絶縁基板101上にカバー103が配置されている。各部材101、102、103は、例えば接着や熱溶着により一体化されている。スペーサー102の切欠部104は、各部材の一体化後には血液試料保持部14となる。血液試料保持部14は、チップ100aの長辺に沿って伸長し、スペーサー102の一方の端部(図において左側の端部)において外部に連通している。換言すれば、血液試料保持部14は、チップ100aの外部に開口する血液試料導入口16と連通している。カバー103は、血液試料保持部14における外部に連通する端と反対側の端に対応する部分に排気口15を有している。作用極11および対極12は、作用極11の一部分(部分31)および対極12の一部分(部分32)が血液試料保持部14に面しかつ部分31が部分32よりも血液試料導入口16に近接するように、絶縁基板101上に配置されている。作用極11および対極12は、それぞれリード(図示せず)と連結している。リードの一端は、作用極と対極との間に電圧を印加できるように、スペーサー102およびカバー103で覆われていない絶縁基板101の端部においてチップ100aの外部に露出している。
作用極11の部分31の表面は、その少なくとも一部が、銀、銅およびニッケルといった易電解酸化性の金属を含む材料により構成されている。対極12の部分32の表面を構成する材料は上記のとおり特に限定されない。
酸化還元物質の酸化体を含む試薬13は、対極12の部分32に接して配置されている。試薬13は、血液試料に溶解しにくい状態にあってもよいし血液試料に容易に溶解する状態にあってもよい。血液試料保持部14において試薬13は、作用極11の部分31に接して配置されておらず、血液試料に容易に溶解する状態で部分31よりも血液試料導入口16に近接して配置されてもいない。
なお、試薬13は、血液試料保持部14において対極の部分32にのみ接して配置することが好ましい。このような試薬配置であると、Hct値の測定時に、酸化還元物質の酸化体を実質的に含有しないピュアな血液試料を作用極と対極との間に多く配置でき、Hct値の検出感度を向上できるためである。
絶縁基板、スペーサーおよびカバーの材料は、それらの一体化に伴い作用極と対極とが短絡しない材料を用いる限り特に限定されない。当該材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオキシメチレン(POM)、モノマーキャストナイロン(MC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、メタクリル樹脂(PMMA)、ABS樹脂(ABS)、ガラスが例示できる。
本発明のHct値測定用センサチップは、血液試料を血液試料保持部に導入し作用極と対極との間に電圧を印加する際に、センサチップ内に配置した試薬に由来する酸化体が作用極に実質的に接することなく対極に接して血液試料が対極および作用極に接触した状態が形成される限り、血液試料保持部の形状、酸化体を含む試薬の配置パターンの設定、および対極と作用極との相対的な配置パターンの設定を変更できる。本発明のHct値測定用センサチップの別例の構造を説明する。
<Hct値測定用センサチップB>
図3はHct値測定用センサチップBの分解斜視図であり図4はその平面図である。図示のようにHct値測定用センサチップB100bは、血液試料保持部14において、対極12の部分32から離れて、かつ部分32よりも血液試料導入口16に近接し、かつ作用極11の部分31と対極12の部分32との間に、血液試料に容易に溶解する状態で、試薬13が配置されていること以外は、Hct値測定用センサチップAと同様の構造を有する。
<Hct値測定用センサチップC>
図5はHct値測定用センサチップCの分解斜視図であり図6はその平面図である。図示のようにHct値測定用センサチップC100cは、T字状の切欠部204が形成されたスペーサー202を介してかつ絶縁基板201の一方の端部(図において右側の端部)を残して、絶縁基板201上にカバー203が配置されている。各部材201、202、203は、例えば接着や熱溶着により一体化されている。スペーサー202の切欠部204は、各部材の一体化後には血液試料保持部24となる。血液試料保持部24は、チップ100cの長辺に沿って伸長する導入部27と、導入部27からそれぞれ分岐しチップ100cの短辺に沿って伸長する2つの分岐部28a、28bとにより構成されている。スペーサー202の一方の端部(図において左側の端部)において導入部27は外部に連通している。換言すれば、血液試料保持部24は、チップ100cの外部に開口する血液試料導入口26と連通している。カバー203は、分岐部28a、28bの先端に対応する部分に排気口25をそれぞれ有している。作用極21および対極22は、作用極21の一部分(部分41)と対極22の一部分(部分42)とがそれぞれ異なる分岐部28a、28bに面するように絶縁基板201上に配置されている。作用極21および対極22は、それぞれリード(図示せず)と連結している。リードの一端は、作用極と対極との間に電圧を印加できるように、スペーサー202およびカバー203で覆われていない絶縁基板201の端部においてチップ100cの外部に露出している。
作用極21の部分41の表面は、その少なくとも一部が、銀、銅およびニッケルといった易電解酸化性の金属を含む材料により構成されている。対極22の部分42の表面を構成する材料は上記のとおり特に限定されない。
酸化還元物質の酸化体を含む試薬23は、対極22の部分42に接して配置されている。試薬23の配置は、血液試料に溶解しにくい状態にあってもよいし血液試料に容易に溶解する状態にあってもよい。
試薬23は、作用極21の部分41に接して配置されておらず、また血液試料に容易に溶解する状態で、導入部27において、および分岐部28aにおいて作用極21の部分41よりも導入部27に近接して配置されてもいない。なお、試薬23は、血液試料保持部24において対極の部分42にのみ接して配置されることが好ましいが、分岐部28bにおいて、血液試料に容易に溶解する状態で、対極22の部分42から離れて、かつ部分42よりも導入部27に近接して配置されていてもよい。
Hct値測定用センサチップによる血液試料のHct値の測定は、例えば本発明のセンサユニットの一例であるHct値測定用センサユニットを用いて行うことができる。
Hct値測定用センサユニットは、Hct値測定用センサチップと、当該センサチップを着脱自在に装着できるセンサ本体とを有している。センサ本体は、センサチップが装着された状態でセンサチップの作用極と対極との間に所定の電圧を印加できる電圧印加回路を有している。
電圧印加回路は、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加する。印加する電圧は、例えば1.0V以下、0.75V以下、0.5V以下、0.25V以下、0.15V以下、0.1V以下であってもよい。電圧の下限は、作用極における易電解酸化性の金属の酸化および対極における酸化体の還元が生じる限り特に限定されないが、上記と同様に表示したときに0V以上とするとよい。
図41は、Hct値測定用センサユニットの一例を示す図である。このHct値測定用センサユニット126は、扁平六面体状のセンサ本体123とHct値測定用センサチップ121とを有している。センサ本体123の側壁面には矩形状の孔である装着口125が形成されている。センサチップ121は、装着口125に着脱自在な状態で装着されセンサ本体123に接続されている。センサ本体123の一方の主面の略中央部には、Hct値の測定結果を表示するための表示部124が配置されている。
図42は、Hct値測定用センサユニット126におけるHct値を測定するための回路構成の一例を示す図である。センサ本体123は、センサチップ121の作用極11と対極12との間に所定の電圧を印加するための電圧印加回路110と、表示部124に相当する液晶表示装置(LCD)115とを有している。電圧印加回路110は、2つのコネクタ111aならびに111b、電流/電圧変換回路112、A/D変換回路113、中央演算装置(CPU)114および基準電圧源116を有している。各要素111a、111b、112、113、114、115、116の間は、図42において実線で表示するように電気的に接続されている。
センサユニット126を用いた血液試料のHct値の測定は、例えば次のようにして行われる。まずセンサチップ121の血液試料導入口122からセンサチップ121の血液試料保持部14に血液試料が導入される。その後CPU114の指令により電流/電圧変換回路112および基準電圧源116から作用極11と対極12との間に上記の所定のHct値測定電圧が印加される。Hct値測定電圧の印加時間は、例えば0.001〜60秒、好ましくは0.01〜10秒、より好ましくは0.01〜5秒、さらに好ましくは0.01〜3秒の範囲で調整される。Hct値測定電圧の印加に伴い作用極11と対極12との間に流れた電流の値は、電流/電圧変換回路112により電圧値に変換された後にA/D変換回路113によりデジタル値に変換されCPU114に入力される。CPU114は、このデジタル値に基づいてHct値を算出する。Hct値の算出は、例えば、Hct値測定電圧の印加開始から所定時間後における上記の電流の量と血液試料のHct値との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して行われる。算出の結果は、LCD115において画像表示される。
本発明の血液試料のHct値の測定方法によれば、血液試料中の分析物濃度の測定精度を向上できる。血液試料中の分析物濃度は、血液試料のHct値に対応するデータAによって血液試料中の分析物の仮測定データ(データB)を補正して得られるデータCに基づいて決定する。
血液試料のHct値に対応するデータAは、本発明の血液試料のHct値の測定方法を用いて得る。当該データAは、Hct値測定用の作用極および対極(補正用作用極および補正用対極)の間に流れる、血液試料のHct値を反映する電流AをHct値に換算した値であってもよいし、当該電流AをHct値とは別のパラメータ値に換算した値であってもよいし、当該電流Aそのものであってもよい。電流AのHct値への換算は、例えば、Hct値測定電圧の印加開始から所定時間後における電流AとHct値との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して行う。
データBを得るために、電流Bを検出する。当該電流Bは、血液試料中の分析物と、当該分析物を基質とする酸化還元酵素とを血液試料中で一定時間反応させた後、当該血液試料に接する作用極(仮測定用作用極)と対極(仮測定用対極)との間に電圧(仮測定電圧)を印加することによって、両電極間に流れる電流である。データBは、例えば、電流Bを分析物の仮測定濃度に換算した値であってもよいし、また例えば、電流Bを上記の仮測定濃度とは別のパラメータ値に換算した値であってもよいし、また例えば、電流Bそのものであってもよい。仮測定濃度への電流Bの換算は、例えば、仮測定電圧印加開始から所定時間後における電流Bと仮測定濃度との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して行う。
電流Bは、酵素反応と電極反応との間の電子の移動を酸化還元物質、例えばフェリシアン化物に代表される可逆性電子活性化合物、に媒介させて検出する。酸化還元物質は、仮測定用作用極および仮測定用対極に接触させる血液試料に、例えば0.1〜1000mMの範囲で含有されていればよい。電流Bの検出時において、酸化還元酵素および酸化還元物質は、例えばこれらを含む血液試料が仮測定用対極および仮測定用作用極に接触することによって両電極上に接している状態にあってもよいし、また例えば両電極上に直接配置された状態にあってもよいし、また例えば両電極の表面に埋め込まれた状態にあってもよい。このように酸化還元酵素および酸化還元物質は、電流Bの検出時において、血液試料に溶解した状態で電極に接していてもよいし、固体として電極に接していてもよい。
血液試料中の分析物としては、血球を除く物質、例えば、グルコース、アルブミン、乳酸、ビリルビンおよびコレステロールが挙げられる。酸化還元酵素は、対象とする分析物を基質とするものを使用する。酸化還元酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ラクテートオキシダーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、ビリルビンオキシダーゼおよびコレステロールオキシダーゼが例示できる。分析物と反応させる酸化還元酵素の量は、血液試料中の酸化還元酵素の含有量が、例えば0.01〜100ユニット(U)、さらには0.05〜10U、場合によっては0.1〜5Uになるように設定すればよい。
分析物と酸化還元酵素との反応時間は、例えば0〜60秒、さらには0.5〜30秒、場合によっては1〜10秒としてよい。仮測定電圧は、仮測定用作用極を正極、仮測定用対極を負極と表示したときに、例えば0.05〜1V、さらには0.1〜0.8V、場合によっては0.2〜0.5Vとなる大きさとしてよい。仮測定電圧を印加する時間は、例えば0.01〜30秒、さらには0.1〜10秒、場合によっては1〜5秒としてよい。
仮測定用対極または仮測定用作用極は、補正用対極または補正用作用極とは別に準備してもよいし、補正用対極または補正用作用極の一部または全部を兼用してもよい。例えば、仮測定用作用極を補正用対極と兼用してよい。
仮測定用対極および仮測定用作用極は、上記の補正用対極と同様にして構成できる。仮測定用対極および仮測定用作用極の形状やサイズ、それらの配置パターンも特に限定されない。
電流Aと電流Bとを検出する順序は特に制限されないが、例えば上記のように1つの電極を仮測定用作用極および補正用対極として兼用する場合は、各電流の検出時において当該1つの電極に接触させるべき型の酸化還元物質が不足し、当該電極における酸化還元反応が律速段階になることを防止する観点から、電流Bの検出後に電流Aの検出を行うことが望ましい。
血液試料中の分析物濃度は、上記のとおり、データBをデータAで補正して得られるデータCに基づいて決定する。得られるデータCの値は、データBに対応するものとなる。データCは、例えば、血液試料中の分析物濃度そのものでありうるし、また例えば、補正された電流値であることもある。データCの値が分析物濃度そのものでない場合には、当該値と血液試料中の分析物濃度との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して、血液試料の分析物濃度を決定する。
上記で説明した血液試料中の分析物の濃度は、本発明のセンサチップの別例である分析物濃度測定用センサチップを用いて測定できる。
分析物濃度測定用センサチップは、Hct値測定用センサチップと同様のHct値分析部を有する。
分析物濃度測定用センサチップは、上記の電流Bを電気化学的に検出するための仮測定用分析部を有する。仮測定用分析部は、Hct値分析部とは別に形成してもよいし、Hct値分析部の一部または全部を兼用する構成としてもよい。例えば、仮測定用作用極および仮測定用対極を含む電極系(電極系B)、仮測定用作用極および仮測定用対極に接して血液試料を保持するための血液試料保持部(血液試料保持部B)、ならびに血液試料保持部Bに連通する血液試料導入口(血液試料導入口B)を、それぞれHct値分析部における電極系(電極系A)、血液試料保持部(血液試料保持部A)および血液試料導入口(血液試料導入口A)によって構成してもよい。
仮測定用分析部とHct値分析部とを別々に形成する場合は、例えば、血液試料をセンサチップの内部に導入する場合の当該血液試料の流れに関して、仮測定用分析部の血液試料導入口BをHct値分析部よりも下流側に配置し、血液試料の導入に伴って、上記の電流Aの検出時に、補正用作用極に酸化還元物質の酸化体が接する状態が形成されることを防止するとよい。仮測定用分析部をHct値分析部の一部または全部を用いて構成とする場合は、酸化体を含む試薬の配置パターン、血液試料保持部の形状、および各電極系の配置パターンを、後述のように設定するとよい。なお、電極系Aの少なくとも一部を用いて電極系Bを構成する場合は、上記のとおり、1つの電極を仮測定用作用極および補正用対極として兼用するとよい。
仮測定用作用極および仮測定用対極の少なくとも一部は、血液試料保持部Bに血液試料を導入したときに血液試料と接するように血液試料保持部Bに面している。
仮測定用分析部には、分析物濃度を仮測定するための酵素サイクリング反応に関与する上記の酸化還元酵素および酸化還元物質を配置するとよい。酸化還元酵素は、例えばマルチトール、ソルビトールおよびキシリトールといった糖アルコールに代表される酵素安定化剤と混合して配置してもよい。仮測定用分析部に配置する酸化還元酵素の量は、血液試料中の酸化還元酵素の含有量が、例えば0.01〜100ユニット(U)、さらには0.05〜10U、場合によっては0.1〜5Uになるように設定すればよい。
血液試料保持部Bの形状および容積は、血液試料を毛管現象によってその内部に導入できるように設定することが望ましい。
図43〜48は、分析物濃度測定用センサチップにおける酸化体を含む試薬の配置パターン、血液試料保持部の形状、および電極系の配置パターンの具体例を説明するための図である。いずれの例も、仮測定用分析部およびHct値分析部は、その構成の一部を共有している。具体的には、1つの電極が仮測定用作用極および補正用対極を兼ね、血液試料保持部Aおよび血液試料導入口Aが、それぞれ血液試料保持部Bおよび血液試料導入口Bを兼ねる。
<分析物濃度測定用センサチップA>
図43は分析物濃度測定用センサチップAの分解斜視図であり図44はその平面図である。図示のように分析物濃度測定用センサチップA200aは、仮測定用対極18が、その一部分(部分33)がU字状に分岐しており、当該部分33が血液試料保持部14に面しかつ部分32を挟むように絶縁基板101上に配置されていること以外は、上記Hct値測定用センサチップA100aと同様の構造を有する。対極12は、仮測定用作用極としても使用される。仮測定用対極18は、リード(図示せず)と連結している。リードの一端は、スペーサー102およびカバー103で覆われていない絶縁基板101の端部においてチップ200aの外部に露出している。
絶縁基板上には、さらに別の電極を配置してもよい。例えば、各測定の実施に十分な量の血液試料が血液試料保持部内に導入されたことを検知するための血液検知極を、当該血液検知極の一部分が血液試料保持部に面しかつ部分33よりも血液試料導入口から離れるように、絶縁基板上に配置する。
<分析物濃度測定用センサチップB>
図45は分析物濃度測定用センサチップBの分解斜視図であり図46はその平面図である。図示のように分析物濃度測定用センサチップB200bは、血液試料保持部14において、対極12の部分32から離れて、かつ部分32よりも血液試料導入口16に近接し、かつ作用極11の部分31と対極12の部分32との間に、血液試料に容易に溶解する状態で試薬13が配置されていること以外は、分析物濃度測定用センサチップAと同様の構造を有する。
<分析物濃度測定用センサチップC>
図47は分析物濃度測定用センサチップCの分解斜視図であり図48はその平面図である。図示のように分析物濃度測定用センサチップC200cは、仮測定用対極29が、その一部分(部分43)が分岐部28bに面しかつ部分42よりも導入部27に近接するように絶縁基板201上に配置されていること以外は、上記Hct値測定用センサチップC100cと同様の構造を有する。対極22は、仮測定用作用極としても使用される。仮測定用対極29は、リード(図示せず)と連結している。リードの一端は、スペーサー202およびカバー203で覆われていない絶縁基板201の端部においてチップ200cの外部に露出している。
分析物濃度測定用センサチップによる血液試料の分析物濃度の測定は、例えば本発明のセンサユニットの別例である分析物濃度測定用センサユニットを用いて行うことができる。
分析物濃度測定用センサユニットは、分析物濃度測定用センサチップと、当該センサチップを着脱自在に装着できるセンサ本体とを有している。当該センサ本体は、Hct値を測定するための回路に加えてさらに血液試料中の分析物濃度を仮測定するための回路を有すること以外は、図41に示すHct値測定用センサユニットのセンサ本体と同様の構造を有する。
図49は、分析物濃度測定用センサユニットにおける、血液試料中の分析物濃度を測定するための回路構成の一例を示す図である。センサ本体223は、分析物濃度測定用センサチップ221における補正用作用極11、補正用対極12、仮測定用対極18および血液試料検知極19のうち少なくとも2つの電極間に電圧を印加する電圧印加回路210と、センサ本体における表示部に相当する液晶表示装置(LCD)132とを有している。電圧印加回路210は、補正用作用極11と補正用対極12の間に所定の電圧を印加でき、また1つの電極を正極または負極として使用できるように、当該電極に印加する電位を切り換えることもできる。この切り換えにより、補正用対極12は仮測定用作用極としても使用される。電圧印加回路210は、4つのコネクタ137a、137b、137cならびに137d、切換回路136、電流/電圧変換回路135、A/D変換回路134、基準電圧源133および中央演算装置(CPU)131を有している。各要素131、132、133、134、135、136、137a、137b、137c、137dの間は、図49において実線で表示するように電気的に接続されている。
分析物濃度測定用センサユニットを用いた血液試料中の分析物濃度の測定は、例えば次のようにして行われる。
まずCPU131の指令により、補正用作用極11がコネクタ137dを介して電流/電圧変換回路135に接続され、血液試料検知極19がコネクタ137bを介して基準電圧源133に接続される。その後、CPU131の指令により、両電極間に一定の電圧が印加される。当該電圧は、例えば、補正用作用極を正極、血液試料検知極を負極と表示したときに0.05〜1Vの大きさとなる電圧としてよい。センサチップ221の血液試料導入口からセンサチップ221の血液試料保持部14に血液試料が導入されると、補正用作用極11と血液試料検知極19との間に電流が流れる。この電流の値は、電流/電圧変換回路135により電圧値に変換された後にA/D変換回路134によりデジタル値に変換されCPU131に入力される。CPU131は、このデジタル値に基づいて血液試料が血液試料保持部に導入されたことを検知する。
血液試料の導入後、例えば、0〜60秒の範囲の反応時間で血液試料中の分析物と酸化還元酵素とを反応させ、以下のようにして血液試料中の分析物の仮測定濃度を算出する。まずCPU131の指令により、切換回路136が作動して、補正用対極12を兼ねる仮測定用対極がコネクタ137aを介して電流/電圧変換回路135に接続され、仮測定用作用極18がコネクタ137cを介して基準電圧源133に接続される。その後、CPU131の指令により、両電極間に上記に例示した電圧、例えば仮測定用作用極を正極、仮測定用対極を負極と表示したときに0.05〜1Vの大きさとなる仮測定電圧、が印加される。仮測定電圧の印加時間は、例えば0.01〜30秒の範囲で調整される。仮測定電圧の印加に伴って両電極間に流れた電流の値は、電流/電圧変換回路135により電圧値に変換された後にA/D変換回路134によりデジタル値に変換されCPU131に入力される。CPU131では、このデジタル値に基づいて分析物の仮測定濃度が算出される。仮測定濃度の算出は、仮測定電圧印加開始から所定時間後における上記の電流の量と分析物の仮測定濃度との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して行われる。
仮測定濃度の算出後、例えば以下のようにして血液試料のHct値が算出される。まずCPU131の指令により、切換回路136が作動して、補正用作用極11がコネクタ137dを介して電流/電圧変換回路135に接続され、補正用対極12がコネクタ137aを介して基準電圧源133に接続される。その後、CPU131の指令により、両電極間に、補正用作用極を正極、補正用対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなるHct値測定電圧が印加される。Hct値測定電圧の印加時間は、例えば0.001〜60秒の範囲で調整される。Hct値測定電圧の印加に伴って両電極間に流れた電流の値は、電流/電圧変換回路135により電圧値に変換された後にA/D変換回路134によりデジタル値に変換されCPU131に入力される。CPU131では、このデジタル値に基づいてHct値が算出される。Hct値の算出は、例えば、Hct値測定電圧印加開始から所定時間後における上記の電流の量とHct値との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して行われる。
続いて、CPU131において、上記のようにして算出された仮測定濃度がHct値に基づいて補正され、血液試料中の分析物濃度が決定される。決定された分析物濃度は、LCD132において画像表示される。Hct値に基づく仮測定濃度の補正は、例えば、Hct値および仮測定濃度と血液試料中の分析物濃度との関係を表示する検量性または検量線テーブルを参照して行われる。
本発明のセンサチップは、製造後のストックを容易にする観点から、Hct値測定用作用極の表面であって易電解酸化性によって構成された表面を外気から遮蔽するように、血液試料によって溶解可能な物質、例えば水溶性高分子、によって当該表面が覆われていることや、センサチップ全体が気密に包装されていることが好ましい。Hct値測定用作用極の当該表面には、外気との接触によって、当該表面を構成する易電解酸化性金属の硫化物、酸化物および水酸化物、例えば硫化銀や水酸化銅、の被膜が形成されやすいためである。センサチップは、例えば、空気が透過しにくくかつ空気によって腐食しにくい公知の材料で構成された密閉型の容器内に封入することによって、また例えば、このような材料で構成されたフィルムに挟み込むことによって、気密に包装できる。
本発明の実施例および比較例について説明する。
(実施例1)
Hct値測定用センサチップAを作製した。作用極および対極の電極芯体は銀で構成した。厚み100μmのスペーサーを用い、容積0.8マイクロリットル(μL)の血液試料保持部を形成した。血液試料保持部における作用極および対極の有効面積はそれぞれ1.0mm2、1.8mm2とし、作用極と対極との最近接距離は2.4mmとした。血液試料保持部に面する作用極の表面は、作用極の電極芯体の表面とした。血液試料保持部に面する対極の表面は、対極の電極芯体上に配置したカルボキシメチルセルロース(CMC)膜からなる下地層の表面とした。下地層は、0.25質量%のCMC水溶液(第一工業製薬社製)を2.5mg/センサとなるように対極の電極芯体の表面に塗布した後に55℃で10分間乾燥することによって当該表面上に配置した。下地層の当該表面上には、酸化還元物質の酸化体を含む反応試薬層を配置した。反応試薬層は、50mMのフェリシアン化カリウム(関東化学社製)を0.5質量%のCMC水溶液に溶解して調製した試薬液を、2.5mg/センサとなるように下地層上に塗布した後に55℃で10分間乾燥することによって下地層の表面上に配置した。作用極と反応試薬層との最近接距離は1.8mmとした。スペーサーおよびカバーにおける血液試料導入口に相当する部分には親水化処理を施した。親水化処理は、当該部分に卵黄レシチンの2−ブタノール溶液(ナカライテスク社製)を2μL/センサとなるように塗布した後、これを風乾して行った。
25%、45%、65%のHct値を有する3種類の血液試料を準備した。これらの血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入した後、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加し、これに伴って作用極と対極との間に流れる電流(応答電流)を測定した。
応答電流の測定時には、上記のとおり、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極に実質的に接しないで血液試料が両電極に接する。酸化還元物質のうち酸化体と反対型である還元体については、応答電流の測定時に、作用極および対極に実質的に接しない。
応答電流の測定結果を図7〜13のグラフに示す。各図におけるグラフ(A)は、各血液試料から得られた応答電流値(μA)の経時変化を示すグラフである。グラフ(B)は、45%のHct値を有する血液試料から得た応答電流の振幅を基準として算出した、その他の2種の血液試料からそれぞれ得た応答電流の振幅の相対値(感度差(%))の経時変化を示すグラフである。グラフ(A)および(B)の横軸は、電圧印加開始からの時間(秒:sec)である。
各グラフに示すように実施例1のセンサチップにより、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加しても電圧印加開始直後から安定かつ明確な感度差で血液試料のHct値を反映した応答電流を検出できた。
(実施例2)
カーボンペースト(アチソン社製)を用いて対極の電極芯体を形成したこと以外は、実施例1と同様のセンサチップを作製した。上記3種類の血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入し、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加し、作用極と対極との間に流れる応答電流を測定した。応答電流の測定結果を図14〜23のグラフに示す。各グラフに示すように実施例2のセンサチップにより、上記と同様に表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加しても電圧印加開始直後から安定かつ明確な感度差で血液試料のHct値を反映した応答電流を検出できた。
(実施例3)
厚み180μmのスペーサーを用いて容積2.5μLの血液試料保持部を形成したこと以外は、実施例1と同様のセンサチップを作製した。上記3種類の血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入し、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加し、作用極と対極との間に流れる応答電流を測定した。応答電流の測定結果を図24〜28のグラフに示す。各グラフで示すように実施例3のセンサチップにより、上記と同様に表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加しても電圧印加開始直後から安定かつ明確な感度差で血液試料のHct値を反映した応答電流を検出できた。
(実施例4)
厚み260μmのスペーサーを用いて容積2.3μLの血液試料保持部を形成したこと以外は、実施例2と同様のセンサチップを作製した。上記3種類の血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入し、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加し、作用極と対極との間に流れる応答電流を測定した。応答電流の測定結果を図29〜36のグラフに示す。各グラフに示すように実施例4のセンサチップにより、上記と同様に表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加しても電圧印加開始直後から安定かつ明確な感度差で血液試料のHct値を反映した応答電流を検出できた。
(比較例1)
従来型のセンサチップを作製した。このセンサチップは、作用極および対極の電極芯体をパラジウムで構成したこと、作用極の電極芯体上にCMC膜を配置し当該CMC膜の表面を血液試料保持部に面する作用極の表面としたこと、および下地層を設けずに対極の電極芯体上に反応試薬層を配置したこと以外は、実施例1と同様の構造を有する。CMC膜は、作用極の電極芯体の表面に0.01〜2.0質量%のCMC水溶液(第一工業社製)を0.01〜100mg滴下し、これを乾燥することによって当該表面上に配置した。反応試薬層は、60mMのフェリシアン化カリウム(関東化学社製)および80mMのタウリン(ナカライテスク社製)を0.1質量%のCMC水溶液に溶解して調製した試薬液を、2.5mg/センサとなるように対極の電極芯体の表面に塗布した後に55℃で10分間乾燥することによって当該表面上に配置した。
上記3種類の血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入し、作用極を正極、対極を負極と表示したときに2.5V、1.0V、0.5Vの大きさとなる電圧を両電極間に印加し、作用極と対極との間に流れる応答電流を測定した。応答電流の測定結果を図37〜39のグラフに示す。図38および39に示すように比較例1のセンサチップでは、上記と同様に表示したときに1.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加した場合、安定した感度差が得られなかった。より具体的には、図38に示すように上記と同様に表示したときに1.0Vの大きさとなる印加電圧の場合は、電圧印加開始直後に感度差が急激に変動し、その後変動は緩やかにはなるものの電圧印加開始から3秒経過しても定常状態に到らなかった。また図39に示すように上記と同様に表示したときに0.5Vの大きさとなる印加電圧の場合は、電圧印加開始直後に感度差が急激に変動しその後も激しい変動が持続し電圧印加開始から3秒経過しても定常状態に到らなかった。
比較例1のセンサチップにおいて、このような不具合が発生する理由は定かではないが、血液成分中の水の電気分解により発生する酸化還元電流が、作用極上で得られる酸化還元電流の大部分を占めることに起因すると考えられる。
(比較例2)
作用極および対極の電極芯体上にCMC膜からなる下地層を配置し当該CMC膜の表面を血液試料保持部に面する作用極および対極の表面とし、当該作用極および対極の表面上に反応試薬層を配置したこと以外は、比較例1と同様のセンサチップを作製した。上記3種類の血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入し、作用極を正極、対極を負極と表示したときに2.5Vの大きさとなる電圧を両電極間に印加し、作用極と対極との間に流れる応答電流を測定した。応答電流の測定結果を図40のグラフに示す。このグラフに示すように比較例2のセンサチップでは、上記と同様に表示したときに2.5Vの大きさとなる電圧を印加しても血液試料のHct値の変動に対する感度差が小さくかつ電圧印加開始から3秒経過しても定常状態に到らなかった。
なお、下記の分析物濃度測定用センサチップ(1)〜(6)と、それぞれ67mg/dlのグルコースを含有し25%、45%、65%のHct値を有する3種類の血液試料とを用いて、実施例1〜4および比較例1〜2と同様にして応答電流を測定したところ、図7〜40に示す応答電流の測定結果と同様の結果が得られた。また、分析物濃度測定用センサチップ(1)〜(4)を用いて上記の血液試料中のグルコース濃度を測定したところ、その濃度を正確に特定できた。
分析物濃度測定用センサチップ(1)〜(6)は、血液試料保持部において、有効面積0.9mm2の仮測定用対極が、対極と仮測定用対極との最近接距離が0.7mmになるように形成されており、作用極の有効面積が0.9mm2であり、対極の有効面積が1.0mm2であること以外は、それぞれ実施例1〜4および比較例1〜2のセンサチップと同様の構造を有する。
本発明は、Hct値測定電圧を低下させても、血液試料のHct値を十分な検出感度でかつ安定して測定できる血液試料のHct値の測定方法、血液試料中の分析物の濃度の測定方法、それらの測定に適したセンサチップおよびセンサユニットを提供できる。
本発明は、血液試料のヘマトクリット(Hct)値の測定方法、血液試料中の分析物の濃度の測定方法、それらの測定に適したセンサチップおよびセンサユニットに関する。
血液試料中の分析物の濃度、例えば血中グルコース濃度(血糖値)、を測定するために、センサチップが使用されている。
センサチップは、分析物が関与する酵素サイクリング反応後に、血液試料中に流れる電流量を測定するために用いられ、この電流量に基づいて分析物の濃度が計算される。この電流量は、分析物濃度に加え、血液試料のHct値によっても変化する。血液試料のHct値は、その血液試料を提供した動物の健康状態に応じて変動する。ヒトの標準Hct値は、成人男子において39〜50%、成人女子では36〜45%である。血液試料のHct値は、その血液試料中の分析物濃度を正確に特定するために、さらにはその血液試料の性状、例えば、血液のさらさら度および貧血、を知るために、センサチップの測定対象とすることが望ましい。
特表平8−500190号公報、特表2003−501627号公報、国際公開第2005/054839号パンフレットおよび国際公開第2005/054840号パンフレットは、血液試料のHct値を測定するセンサチップを開示する。これら公知のセンサチップは、作用極および対極を含む電極系と、作用極と対極との間に血液試料を保持するための流路(血液試料保持部)とを備える。
特表平8−500190号公報および特表2003−501627号公報に記載のセンサチップは、血液試料に溶出可能な状態で血液試料保持部に配置された、電子メディエータを有する。電子メディエータは、血液試料保持部への血液試料の導入により作用極上および対極上に付着し、血液試料と各電極との界面での電子の移動に寄与する。このセンサチップでは、各電極上に付着した電子メディエータの酸化還元反応に伴って血液試料中に流れる電流量の測定によって、血液試料のHct値が特定される。
国際公開第2005/054839号パンフレットおよび国際公開第2005/054840号パンフレットに記載のセンサチップでは、Hct値測定を実施するための作用極および対極を含む電極系のうち対極上にのみ電子メディエータが配置されている。このセンサチップでは、血液試料保持部への血液試料の導入により、電子メディエータを含有しないピュアな血液試料が作用極上に接触する。このセンサチップでは、血液試料中の血液成分、例えば、アスコルビン酸、尿酸および水、の酸化還元反応に起因して、血液試料と作用極との界面で電子が移動する。血液試料と対極との界面での電子の移動は、対極上に配置された電子メディエータが寄与する。
特表平8−500190号公報および特表2003−501627号公報に記載のセンサチップは、血液試料のHct値の変動率に対し、Hct値の測定時に血液試料中に流れる電流(酸化還元電流)の量の変動率が小さく、十分な検出感度を有しない。例えば、血液試料のHct値が20%変動しても、酸化還元電流の振幅が8%程度しか変動しない場合がある。国際公開第2005/054839号パンフレットおよび国際公開第2005/054840号パンフレットに記載のセンサチップでは、Hct値の測定時に作用極と対極との間に印加する電圧(Hct値測定電圧)を低下させると、酸化還元電流の振幅の揺らぎが激しくなり、血液試料のHct値を安定して測定できない場合がある。
本発明は、Hct値測定電圧を低下させても、血液試料のHct値を十分な検出感度でかつ安定して測定できる、血液試料のHct値の測定方法、血液試料中の分析物の濃度の測定方法、それらの測定に適したセンサチップおよびセンサユニットの提供を目的とする。
一般に、昜電解酸化性の金属、例えば、銀、銅およびニッケルは、センサチップの作用極の材料としては不適とされている。センサチップの電極系への電圧の印加によって作用極が容易に酸化されてしまい、分析物の濃度を反映する電流量の正確な測定が困難になると考えられていたためである。本発明者は、センサチップの作用極を敢えて昜電解酸化性の金属で構成すると、作用極を正極、対極を負極として両電極間に電圧を印加する際に易電解酸化性の金属の酸化に起因した酸化電流が発生することに着目し、対極側にのみ酸化還元物質の酸化体を配置することによって作用極における易電解酸化性の金属の酸化反応が律速しにくくなって当該酸化電流が安定化することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
本発明は、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極に実質的に接していない状態で血液試料に接する前記作用極と前記対極との間に電圧を印加して、前記作用極と前記対極との間に流れる電流を検出し、前記電流に基づいて前記血液試料のHct値を算出する、血液試料のHct値を電気化学的に測定する方法であって、前記作用極の少なくとも一部の表面であって前記血液試料に接する表面を易電解酸化性の金属を含む材料により構成し、前記作用極と前記対極との間に印加する電圧により、前記易電解酸化性の金属の酸化と前記酸化体の還元とを引き起こし、当該酸化および還元に伴う電流を測定する、血液試料のHct値の測定方法を提供する。
本発明は、別の側面から、血液試料のHct値を反映する電流Aを電気化学的に検出し、前記電流Aまたは前記電流Aの換算値である、前記Hct値に対応するデータAを得る工程と、前記血液試料中の分析物を、酸化還元物質の存在下で、前記分析物を基質とする酸化還元酵素により酸化または還元し、前記分析物の前記酸化または還元に伴う電流Bを電気化学的に検出し、前記電流Bまたは前記電流Bの換算値である、データBを得る工程と、前記データAを用いて前記データBを補正して得られるデータCに基づいて、前記血液試料中の前記分析物の濃度を決定する工程と、を含む、血液試料中の分析物の濃度を電気化学的に測定する方法であって、前記電流Aとして、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極の少なくとも一部の表面に実質的に接していない状態で血液試料に接する前記作用極と前記対極との間に電圧を印加して、前記作用極の前記少なくとも一部の表面を構成する易電解酸化性の金属の酸化と前記酸化体の還元とを引き起こし、当該酸化および還元に伴い前記作用極と前記対極との間に流れる電流を検出する、血液試料中の分析物の濃度の測定方法を提供する。
本発明は、別の側面から、血液試料のHct値を反映する電流を電気化学的に検出するためのHct分析部を含む、センサチップであって、前記Hct値分析部は、作用極および対極と、前記作用極および前記対極に接するように血液試料を保持するための血液試料保持部と、前記血液試料を前記血液試料保持部に導入するための血液試料導入口とを有し、前記作用極の前記血液試料保持部に面する表面の少なくとも一部が易電解酸化性の金属を含む材料により構成され、前記対極の前記血液試料保持部に面する表面に接して、または前記対極の前記表面に近接して、酸化還元物質の酸化体が配置された、を提供する。本発明は、別の側面から、血液試料のHct値を反映する電流を電気化学的に検出するためのHct分析部を含む、センサチップであって、前記Hct値分析部は、作用極および対極と、前記作用極および前記対極に接するように血液試料を保持するための血液試料保持部と、前記血液試料を前記血液試料保持部に導入するための血液試料導入口とを有し、前記血液試料保持部が、前記血液試料導入口に連通する導入部と、前記導入部から分岐した第1分岐部および第2分岐部とを有し、前記第1分岐部が前記対極に面し、前記第2分岐部が前記作用極に面し、前記作用極の前記第2分岐部に面する表面の少なくとも一部が易電解酸化性の金属を含む材料により構成され、前記対極の前記第1分岐部に面する表面に接して、または前記対極の前記表面から離れて、前記第1分岐部に酸化還元物質の酸化体が配置された、センサチップを提供する。
さらに、本発明は、別の側面から、上記センサチップと、前記作用極と前記対極との間に所定の電圧を印加するための電圧印加回路を含むセンサ本体とを有するセンサユニットであって、前記センサチップが前記センサ本体に着脱自在であって、かつ前記センサチップが前記センサ本体に装着された状態で前記電圧印加回路から前記作用極と前記対極との間に前記所定の電圧が印加可能となり、前記所定の電圧が、前記作用極を正極、前記対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧である、センサユニットを提供する。
本発明によれば、Hct値測定電圧を低下させても、血液試料のHct値を十分な検出感度でかつ安定して測定できる。
本発明によるHct値の測定では、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極に実質的に接しないように、酸化体と電極との接触パターンを制御する。
酸化還元物質の酸化体が対極に接している状態は、例えば酸化体を含む血液試料が対極に接している状態であってもよいし、また例えば酸化体が対極上に配置された状態であってもよい。このようにHct値の測定時に酸化体は、血液試料に溶解した状態で電極に接していてもよいし、固体として電極に接していてもよい。
酸化体は、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を印加した場合に対極において電気化学的に還元する物質である。酸化体としては、フェリシアン化物、p−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン誘導体、酸化型フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェリシニウム、およびフェリシニウム誘導体といった、可逆性電子活性化合物の酸化体が挙げられる。好ましい酸化体はフェリシアン化物である。好ましいフェリシアン化物はフェリシアン化カリウムである。
Hct値の測定時において対極に接触させる酸化体の量は、例えば、対極に接触させる血液試料に0.1〜1000mM、さらには1〜500mM、場合によっては10〜200mMの酸化体を含ませることによって制御すればよい。
なお、Hct値の測定時において、血液試料(例えば、ヒト血液)に本来的に含まれる酸化還元物質の酸化体が作用極に接することは制限しない。換言すれば、本明細書では、血液試料に本来的に含まれる酸化還元物質が電極(作用極および対極)に接している状態は、電極に酸化還元物質が実質的に接していない状態として取り扱う。また、本明細書では、ヒト血液に本来的に含まれる程度の量の酸化還元物質を含む血液試料については、実質的に酸化還元物質を含まないものとして取り扱う。
作用極は少なくとも一部の表面が易電解酸化性の金属を含む材料により構成されており、当該少なくとも一部の表面はHct値の測定時に血液試料と接触する。易電解酸化性の金属は、例えば、銀、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属に代表される、銀の標準電極電位(0.799V vs. SHE)以下の標準電極電位(V vs. SHE)を有する金属である。作用極における上記の少なくとも一部の表面は、易電解酸化性の金属を単独でまたは複数用いて形成してもよいし、易電解酸化性の金属以外の導電性材料と易電解酸化性の金属とを混合した材料を用いて形成してもよい。
対極の表面であってHct値の測定時に血液試料と接触する表面は、例えば、パラジウム、白金、金、銀、チタン、銅、ニッケル、炭素といった公知の導電性材料により構成できる。また例えば、対極の電極芯体上に高分子膜を形成し、当該高分子膜の表面を対極の上記の表面としてもよい。高分子膜の材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリジンといったポリアミノ酸、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチンおよびその誘導体、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、スターチおよびその誘導体、無水マレイン酸重合体およびその塩、アガロースゲルおよびその誘導体、が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
作用極および対極の形状、サイズは特に限定されない。また、絶縁基板上における作用極および対極の配置パターンも特に限定されないが、作用極と対極との間の最近接距離を0.05mm以上、さらには0.1mm以上、場合によっては0.5mm以上とすると、血液試料のHct値を安定して測定することが容易になる。当該最近接距離の上限は特に限定されない。
Hct値の測定時において作用極と対極との間に印加する電圧(Hct値測定電圧)は、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧とする。本発明によれば、Hct値測定電圧を、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる範囲、さらには1.0V以下にまで低下させても、作用極に含まれる易電解酸化性の金属の酸化と対極に接する上記の酸化体の還元とが関与して流れる電流を電圧印加開始直後から安定して検出できる。この理由は定かではないが、Hct値の測定時において、作用極の少なくとも一部の表面を構成する易電解酸化性の金属の溶解反応のみによる酸化電流が発生すること、および当該表面では酸化膜が緩やかに形成されることに起因すると考えられる。
Hct値測定電圧を印加する時間は、例えば0.001〜60秒、好ましくは0.01〜10秒、より好ましくは0.01〜5秒、さらに好ましくは0.01〜3秒である。Hct値測定電圧は、作用極を正極、対極を負極と表示したときに、例えば0.75V以下、0.5V以下、0.25V以下、0.15V以下、0.1V以下としてもよい。Hct値測定電圧の下限は、作用極における易電解酸化性の金属の酸化および対極における酸化体の還元が生じる限り特に限定されないが、上記と同様に表示したときに0Vを超え、作用極の電位が正の値になる電圧であることが望ましい。
血液試料のHct値は、Hct値測定電圧の印加によって作用極と対極との間に流れる上記の電流に基づいて算出する。Hct値は、例えば、Hct値測定電圧の印加開始から所定時間後における上記の電流の量とHct値との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して算出できる。
上記で説明したHct値は、本発明のセンサチップの一例であるHct値測定用センサチップを用いて測定できる。
Hct値測定用センサチップは、血液試料のHct値を反映する電流を電気化学的に検出するためのHct値分析部を有する。Hct値分析部は、作用極および対極を含む電極系と、作用極および対極に接するように血液試料を保持するための血液試料保持部とを有する。血液試料保持部は、血液試料をその内部に導入するための血液試料導入口と連通している。
作用極および対極の少なくとも一部は、血液試料保持部に血液試料を導入したときに血液試料と接するように血液試料保持部に面している。
血液試料保持部に面する作用極の表面は、その少なくとも一部が、例えば銀に代表される易電解酸化性の金属を含む材料により構成されている。当該少なくとも一部の表面は、例えば易電解酸化性の金属を含む材料を用いて形成した電極芯体の表面であってもよいし、また例えば電極芯体を易電解酸化性の金属以外の導電性材料を用いて形成しこの電極芯体上に形成した易電解酸化性の金属を含む導電膜の表面であってもよい。また、当該少なくとも一部の表面は、易電解酸化性の金属を含む材料により構成することに代えて、易電解酸化性の金属を含む材料を用いて形成した電極芯体の表面に高分子膜を形成し、当該高分子膜の表面により構成してもよい。高分子膜は、対極の電極芯体上に配置しうる高分子膜の材料と同様の材料を用いて形成できる。
血液試料保持部に面する対極の表面は、公知の導電性材料を用いて形成した電極芯体の表面であってもよいし、電極芯体上に形成された上記の高分子膜の表面であってもよい。
作用極および対極の電極芯体は、例えば、スクリーン印刷法、スパッタリング法および蒸着法によって形成できる。高分子膜は、例えば、当該膜を形成するための高分子材料の溶液を電極芯体上に塗布し乾燥させることによって形成できる。作用極や対極の形状、サイズ、絶縁基板上での配置パターンは特に限定されないが、作用極と対極との間の最近接距離を上記で例示した範囲に設定とすると、血液試料のHct値を安定して測定することが容易になる。
Hct値分析部では、血液試料を血液試料保持部に導入し作用極と対極との間に電圧を印加する際に、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極に実質的に接しないで血液試料が対極および作用極に接触した状態が形成されるように、酸化体を含む試薬の配置パターン、血液試料保持部の形状、および対極と作用極との相対的な配置パターンを設定する。例えば、血液試料導入口から血液試料保持部に導入される血液試料の流れに関して作用極を対極よりも上流側に配置し、対極の血液試料保持部に面する表面に接して、または当該表面に近接して、酸化還元物質の酸化体を含む試薬を配置する。試薬は対極の表面上または表面に接するように配置することが好ましいが、対極表面と作用極表面とに接することなく対極と作用極との間に配置してもよい。本発明のHct値測定方法は、上記のとおり、Hct値測定電圧を印加する際に対極の表面上に酸化体が存在した状態で実施する。このため、試薬の組成は、対極表面上または対極表面に接するように試薬を配置する場合は血液試料の導入の際に当該試薬が流されにくいように、対極表面に接しない状態で試薬を配置する場合は血液試料の導入の際に当該試薬が流され易いように設定することが望ましい。酸化体を含む試薬の配置は、例えば、酸化体を水や公知の緩衝液に溶解または分散させることによって調製した試薬液を、所定の部位に滴下または塗布した後これを乾燥させることにより行えばよい。
血液試料保持部が、血液試料導入口に連通する導入部と、導入部から分岐した第1分岐部および第2分岐部とを有し、第1分岐部が対極に面し、第2分岐部が作用極に面する場合には、対極の第1分岐部に面する表面に接して、または対極の当該表面から離して、第1分岐部に試薬を配置してもよい。
酸化体を含む試薬は、例えば、タウリン、グリシン、セリン、プロリン、トレオニンおよびリシンといったアミノ酸(結晶均質化剤)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリジンといったポリアミノ酸、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチンおよびその誘導体、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、スターチおよびその誘導体、無水マレイン酸重合体およびその塩、アガロースゲル、をさらに含んでいてもよい。Hct値分析部に配置する酸化体の量は、Hct値測定時に対極に接触する酸化体の量が、例えば0.1〜1000mM、さらには1〜500mM、場合によっては10〜200mMになるように設定すればよい。
血液試料保持部の形状および容積は、血液試料を毛管現象によってその内部に導入できるように設定することが望ましい。
図1〜6は、Hct値測定用センサチップにおける酸化体を含む試薬の配置パターン、血液試料保持部の形状、および対極と作用極との相対的な配置パターンの具体例を説明するための図である。
<Hct値測定用センサチップA>
図1はHct値測定用センサチップAの分解斜視図であり図2はその平面図である。図示のようにHct値測定用センサチップA100aは、矩形状の切欠部104が形成されたスペーサー102を介してかつ絶縁基板101の一方の端部(図において右側の端部)を残して、絶縁基板101上にカバー103が配置されている。各部材101、102、103は、例えば接着や熱溶着により一体化されている。スペーサー102の切欠部104は、各部材の一体化後には血液試料保持部14となる。血液試料保持部14は、チップ100aの長辺に沿って伸長し、スペーサー102の一方の端部(図において左側の端部)において外部に連通している。換言すれば、血液試料保持部14は、チップ100aの外部に開口する血液試料導入口16と連通している。カバー103は、血液試料保持部14における外部に連通する端と反対側の端に対応する部分に排気口15を有している。作用極11および対極12は、作用極11の一部分(部分31)および対極12の一部分(部分32)が血液試料保持部14に面しかつ部分31が部分32よりも血液試料導入口16に近接するように、絶縁基板101上に配置されている。作用極11および対極12は、それぞれリード(図示せず)と連結している。リードの一端は、作用極と対極との間に電圧を印加できるように、スペーサー102およびカバー103で覆われていない絶縁基板101の端部においてチップ100aの外部に露出している。
作用極11の部分31の表面は、その少なくとも一部が、銀、銅およびニッケルといった易電解酸化性の金属を含む材料により構成されている。対極12の部分32の表面を構成する材料は上記のとおり特に限定されない。
酸化還元物質の酸化体を含む試薬13は、対極12の部分32に接して配置されている。試薬13は、血液試料に溶解しにくい状態にあってもよいし血液試料に容易に溶解する状態にあってもよい。血液試料保持部14において試薬13は、作用極11の部分31に接して配置されておらず、血液試料に容易に溶解する状態で部分31よりも血液試料導入口16に近接して配置されてもいない。
なお、試薬13は、血液試料保持部14において対極の部分32にのみ接して配置することが好ましい。このような試薬配置であると、Hct値の測定時に、酸化還元物質の酸化体を実質的に含有しないピュアな血液試料を作用極と対極との間に多く配置でき、Hct値の検出感度を向上できるためである。
絶縁基板、スペーサーおよびカバーの材料は、それらの一体化に伴い作用極と対極とが短絡しない材料を用いる限り特に限定されない。当該材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオキシメチレン(POM)、モノマーキャストナイロン(MC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、メタクリル樹脂(PMMA)、ABS樹脂(ABS)、ガラスが例示できる。
本発明のHct値測定用センサチップは、血液試料を血液試料保持部に導入し作用極と対極との間に電圧を印加する際に、センサチップ内に配置した試薬に由来する酸化体が作用極に実質的に接することなく対極に接して血液試料が対極および作用極に接触した状態が形成される限り、血液試料保持部の形状、酸化体を含む試薬の配置パターンの設定、および対極と作用極との相対的な配置パターンの設定を変更できる。本発明のHct値測定用センサチップの別例の構造を説明する。
<Hct値測定用センサチップB>
図3はHct値測定用センサチップBの分解斜視図であり図4はその平面図である。図示のようにHct値測定用センサチップB100bは、血液試料保持部14において、対極12の部分32から離れて、かつ部分32よりも血液試料導入口16に近接し、かつ作用極11の部分31と対極12の部分32との間に、血液試料に容易に溶解する状態で、試薬13が配置されていること以外は、Hct値測定用センサチップAと同様の構造を有する。
<Hct値測定用センサチップC>
図5はHct値測定用センサチップCの分解斜視図であり図6はその平面図である。図示のようにHct値測定用センサチップC100cは、T字状の切欠部204が形成されたスペーサー202を介してかつ絶縁基板201の一方の端部(図において右側の端部)を残して、絶縁基板201上にカバー203が配置されている。各部材201、202、203は、例えば接着や熱溶着により一体化されている。スペーサー202の切欠部204は、各部材の一体化後には血液試料保持部24となる。血液試料保持部24は、チップ100cの長辺に沿って伸長する導入部27と、導入部27からそれぞれ分岐しチップ100cの短辺に沿って伸長する2つの分岐部28a、28bとにより構成されている。スペーサー202の一方の端部(図において左側の端部)において導入部27は外部に連通している。換言すれば、血液試料保持部24は、チップ100cの外部に開口する血液試料導入口26と連通している。カバー203は、分岐部28a、28bの先端に対応する部分に排気口25をそれぞれ有している。作用極21および対極22は、作用極21の一部分(部分41)と対極22の一部分(部分42)とがそれぞれ異なる分岐部28a、28bに面するように絶縁基板201上に配置されている。作用極21および対極22は、それぞれリード(図示せず)と連結している。リードの一端は、作用極と対極との間に電圧を印加できるように、スペーサー202およびカバー203で覆われていない絶縁基板201の端部においてチップ100cの外部に露出している。
作用極21の部分41の表面は、その少なくとも一部が、銀、銅およびニッケルといった易電解酸化性の金属を含む材料により構成されている。対極22の部分42の表面を構成する材料は上記のとおり特に限定されない。
酸化還元物質の酸化体を含む試薬23は、対極22の部分42に接して配置されている。試薬23の配置は、血液試料に溶解しにくい状態にあってもよいし血液試料に容易に溶解する状態にあってもよい。
試薬23は、作用極21の部分41に接して配置されておらず、また血液試料に容易に溶解する状態で、導入部27において、および分岐部28aにおいて作用極21の部分41よりも導入部27に近接して配置されてもいない。なお、試薬23は、血液試料保持部24において対極の部分42にのみ接して配置されることが好ましいが、分岐部28bにおいて、血液試料に容易に溶解する状態で、対極22の部分42から離れて、かつ部分42よりも導入部27に近接して配置されていてもよい。
Hct値測定用センサチップによる血液試料のHct値の測定は、例えば本発明のセンサユニットの一例であるHct値測定用センサユニットを用いて行うことができる。
Hct値測定用センサユニットは、Hct値測定用センサチップと、当該センサチップを着脱自在に装着できるセンサ本体とを有している。センサ本体は、センサチップが装着された状態でセンサチップの作用極と対極との間に所定の電圧を印加できる電圧印加回路を有している。
電圧印加回路は、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加する。印加する電圧は、例えば1.0V以下、0.75V以下、0.5V以下、0.25V以下、0.15V以下、0.1V以下であってもよい。電圧の下限は、作用極における易電解酸化性の金属の酸化および対極における酸化体の還元が生じる限り特に限定されないが、上記と同様に表示したときに0V以上とするとよい。
図41は、Hct値測定用センサユニットの一例を示す図である。このHct値測定用センサユニット126は、扁平六面体状のセンサ本体123とHct値測定用センサチップ121とを有している。センサ本体123の側壁面には矩形状の孔である装着口125が形成されている。センサチップ121は、装着口125に着脱自在な状態で装着されセンサ本体123に接続されている。センサ本体123の一方の主面の略中央部には、Hct値の測定結果を表示するための表示部124が配置されている。
図42は、Hct値測定用センサユニット126におけるHct値を測定するための回路構成の一例を示す図である。センサ本体123は、センサチップ121の作用極11と対極12との間に所定の電圧を印加するための電圧印加回路110と、表示部124に相当する液晶表示装置(LCD)115とを有している。電圧印加回路110は、2つのコネクタ111aならびに111b、電流/電圧変換回路112、A/D変換回路113、中央演算装置(CPU)114および基準電圧源116を有している。各要素111a、111b、112、113、114、115、116の間は、図42において実線で表示するように電気的に接続されている。
センサユニット126を用いた血液試料のHct値の測定は、例えば次のようにして行われる。まずセンサチップ121の血液試料導入口122からセンサチップ121の血液試料保持部14に血液試料が導入される。その後CPU114の指令により電流/電圧変換回路112および基準電圧源116から作用極11と対極12との間に上記の所定のHct値測定電圧が印加される。Hct値測定電圧の印加時間は、例えば0.001〜60秒、好ましくは0.01〜10秒、より好ましくは0.01〜5秒、さらに好ましくは0.01〜3秒の範囲で調整される。Hct値測定電圧の印加に伴い作用極11と対極12との間に流れた電流の値は、電流/電圧変換回路112により電圧値に変換された後にA/D変換回路113によりデジタル値に変換されCPU114に入力される。CPU114は、このデジタル値に基づいてHct値を算出する。Hct値の算出は、例えば、Hct値測定電圧の印加開始から所定時間後における上記の電流の量と血液試料のHct値との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して行われる。算出の結果は、LCD115において画像表示される。
本発明の血液試料のHct値の測定方法によれば、血液試料中の分析物濃度の測定精度を向上できる。血液試料中の分析物濃度は、血液試料のHct値に対応するデータAによって血液試料中の分析物の仮測定データ(データB)を補正して得られるデータCに基づいて決定する。
血液試料のHct値に対応するデータAは、本発明の血液試料のHct値の測定方法を用いて得る。当該データAは、Hct値測定用の作用極および対極(補正用作用極および補正用対極)の間に流れる、血液試料のHct値を反映する電流AをHct値に換算した値であってもよいし、当該電流AをHct値とは別のパラメータ値に換算した値であってもよいし、当該電流Aそのものであってもよい。電流AのHct値への換算は、例えば、Hct値測定電圧の印加開始から所定時間後における電流AとHct値との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して行う。
データBを得るために、電流Bを検出する。当該電流Bは、血液試料中の分析物と、当該分析物を基質とする酸化還元酵素とを血液試料中で一定時間反応させた後、当該血液試料に接する作用極(仮測定用作用極)と対極(仮測定用対極)との間に電圧(仮測定電圧)を印加することによって、両電極間に流れる電流である。データBは、例えば、電流Bを分析物の仮測定濃度に換算した値であってもよいし、また例えば、電流Bを上記の仮測定濃度とは別のパラメータ値に換算した値であってもよいし、また例えば、電流Bそのものであってもよい。仮測定濃度への電流Bの換算は、例えば、仮測定電圧印加開始から所定時間後における電流Bと仮測定濃度との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して行う。
電流Bは、酵素反応と電極反応との間の電子の移動を酸化還元物質、例えばフェリシアン化物に代表される可逆性電子活性化合物、に媒介させて検出する。酸化還元物質は、仮測定用作用極および仮測定用対極に接触させる血液試料に、例えば0.1〜1000mMの範囲で含有されていればよい。電流Bの検出時において、酸化還元酵素および酸化還元物質は、例えばこれらを含む血液試料が仮測定用対極および仮測定用作用極に接触することによって両電極上に接している状態にあってもよいし、また例えば両電極上に直接配置された状態にあってもよいし、また例えば両電極の表面に埋め込まれた状態にあってもよい。このように酸化還元酵素および酸化還元物質は、電流Bの検出時において、血液試料に溶解した状態で電極に接していてもよいし、固体として電極に接していてもよい。
血液試料中の分析物としては、血球を除く物質、例えば、グルコース、アルブミン、乳酸、ビリルビンおよびコレステロールが挙げられる。酸化還元酵素は、対象とする分析物を基質とするものを使用する。酸化還元酵素としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、ラクテートオキシダーゼ、ラクテートデヒドロゲナーゼ、ビリルビンオキシダーゼおよびコレステロールオキシダーゼが例示できる。分析物と反応させる酸化還元酵素の量は、血液試料中の酸化還元酵素の含有量が、例えば0.01〜100ユニット(U)、さらには0.05〜10U、場合によっては0.1〜5Uになるように設定すればよい。
分析物と酸化還元酵素との反応時間は、例えば0〜60秒、さらには0.5〜30秒、場合によっては1〜10秒としてよい。仮測定電圧は、仮測定用作用極を正極、仮測定用対極を負極と表示したときに、例えば0.05〜1V、さらには0.1〜0.8V、場合によっては0.2〜0.5Vとなる大きさとしてよい。仮測定電圧を印加する時間は、例えば0.01〜30秒、さらには0.1〜10秒、場合によっては1〜5秒としてよい。
仮測定用対極または仮測定用作用極は、補正用対極または補正用作用極とは別に準備してもよいし、補正用対極または補正用作用極の一部または全部を兼用してもよい。例えば、仮測定用作用極を補正用対極と兼用してよい。
仮測定用対極および仮測定用作用極は、上記の補正用対極と同様にして構成できる。仮測定用対極および仮測定用作用極の形状やサイズ、それらの配置パターンも特に限定されない。
電流Aと電流Bとを検出する順序は特に制限されないが、例えば上記のように1つの電極を仮測定用作用極および補正用対極として兼用する場合は、各電流の検出時において当該1つの電極に接触させるべき型の酸化還元物質が不足し、当該電極における酸化還元反応が律速段階になることを防止する観点から、電流Bの検出後に電流Aの検出を行うことが望ましい。
血液試料中の分析物濃度は、上記のとおり、データBをデータAで補正して得られるデータCに基づいて決定する。得られるデータCの値は、データBに対応するものとなる。データCは、例えば、血液試料中の分析物濃度そのものでありうるし、また例えば、補正された電流値であることもある。データCの値が分析物濃度そのものでない場合には、当該値と血液試料中の分析物濃度との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して、血液試料の分析物濃度を決定する。
上記で説明した血液試料中の分析物の濃度は、本発明のセンサチップの別例である分析物濃度測定用センサチップを用いて測定できる。
分析物濃度測定用センサチップは、Hct値測定用センサチップと同様のHct値分析部を有する。
分析物濃度測定用センサチップは、上記の電流Bを電気化学的に検出するための仮測定用分析部を有する。仮測定用分析部は、Hct値分析部とは別に形成してもよいし、Hct値分析部の一部または全部を兼用する構成としてもよい。例えば、仮測定用作用極および仮測定用対極を含む電極系(電極系B)、仮測定用作用極および仮測定用対極に接して血液試料を保持するための血液試料保持部(血液試料保持部B)、ならびに血液試料保持部Bに連通する血液試料導入口(血液試料導入口B)を、それぞれHct値分析部における電極系(電極系A)、血液試料保持部(血液試料保持部A)および血液試料導入口(血液試料導入口A)によって構成してもよい。
仮測定用分析部とHct値分析部とを別々に形成する場合は、例えば、血液試料をセンサチップの内部に導入する場合の当該血液試料の流れに関して、仮測定用分析部の血液試料導入口BをHct値分析部よりも下流側に配置し、血液試料の導入に伴って、上記の電流Aの検出時に、補正用作用極に酸化還元物質の酸化体が接する状態が形成されることを防止するとよい。仮測定用分析部をHct値分析部の一部または全部を用いて構成とする場合は、酸化体を含む試薬の配置パターン、血液試料保持部の形状、および各電極系の配置パターンを、後述のように設定するとよい。なお、電極系Aの少なくとも一部を用いて電極系Bを構成する場合は、上記のとおり、1つの電極を仮測定用作用極および補正用対極として兼用するとよい。
仮測定用作用極および仮測定用対極の少なくとも一部は、血液試料保持部Bに血液試料を導入したときに血液試料と接するように血液試料保持部Bに面している。
仮測定用分析部には、分析物濃度を仮測定するための酵素サイクリング反応に関与する上記の酸化還元酵素および酸化還元物質を配置するとよい。酸化還元酵素は、例えばマルチトール、ソルビトールおよびキシリトールといった糖アルコールに代表される酵素安定化剤と混合して配置してもよい。仮測定用分析部に配置する酸化還元酵素の量は、血液試料中の酸化還元酵素の含有量が、例えば0.01〜100ユニット(U)、さらには0.05〜10U、場合によっては0.1〜5Uになるように設定すればよい。
血液試料保持部Bの形状および容積は、血液試料を毛管現象によってその内部に導入できるように設定することが望ましい。
図43〜48は、分析物濃度測定用センサチップにおける酸化体を含む試薬の配置パターン、血液試料保持部の形状、および電極系の配置パターンの具体例を説明するための図である。いずれの例も、仮測定用分析部およびHct値分析部は、その構成の一部を共有している。具体的には、1つの電極が仮測定用作用極および補正用対極を兼ね、血液試料保持部Aおよび血液試料導入口Aが、それぞれ血液試料保持部Bおよび血液試料導入口Bを兼ねる。
<分析物濃度測定用センサチップA>
図43は分析物濃度測定用センサチップAの分解斜視図であり図44はその平面図である。図示のように分析物濃度測定用センサチップA200aは、仮測定用対極18が、その一部分(部分33)がU字状に分岐しており、当該部分33が血液試料保持部14に面しかつ部分32を挟むように絶縁基板101上に配置されていること以外は、上記Hct値測定用センサチップA100aと同様の構造を有する。対極12は、仮測定用作用極としても使用される。仮測定用対極18は、リード(図示せず)と連結している。リードの一端は、スペーサー102およびカバー103で覆われていない絶縁基板101の端部においてチップ200aの外部に露出している。
絶縁基板上には、さらに別の電極を配置してもよい。例えば、各測定の実施に十分な量の血液試料が血液試料保持部内に導入されたことを検知するための血液検知極を、当該血液検知極の一部分が血液試料保持部に面しかつ部分33よりも血液試料導入口から離れるように、絶縁基板上に配置する。
<分析物濃度測定用センサチップB>
図45は分析物濃度測定用センサチップBの分解斜視図であり図46はその平面図である。図示のように分析物濃度測定用センサチップB200bは、血液試料保持部14において、対極12の部分32から離れて、かつ部分32よりも血液試料導入口16に近接し、かつ作用極11の部分31と対極12の部分32との間に、血液試料に容易に溶解する状態で試薬13が配置されていること以外は、分析物濃度測定用センサチップAと同様の構造を有する。
<分析物濃度測定用センサチップC>
図47は分析物濃度測定用センサチップCの分解斜視図であり図48はその平面図である。図示のように分析物濃度測定用センサチップC200cは、仮測定用対極29が、その一部分(部分43)が分岐部28bに面しかつ部分42よりも導入部27に近接するように絶縁基板201上に配置されていること以外は、上記Hct値測定用センサチップC100cと同様の構造を有する。対極22は、仮測定用作用極としても使用される。仮測定用対極29は、リード(図示せず)と連結している。リードの一端は、スペーサー202およびカバー203で覆われていない絶縁基板201の端部においてチップ200cの外部に露出している。
分析物濃度測定用センサチップによる血液試料の分析物濃度の測定は、例えば本発明のセンサユニットの別例である分析物濃度測定用センサユニットを用いて行うことができる。
分析物濃度測定用センサユニットは、分析物濃度測定用センサチップと、当該センサチップを着脱自在に装着できるセンサ本体とを有している。当該センサ本体は、Hct値を測定するための回路に加えてさらに血液試料中の分析物濃度を仮測定するための回路を有すること以外は、図41に示すHct値測定用センサユニットのセンサ本体と同様の構造を有する。
図49は、分析物濃度測定用センサユニットにおける、血液試料中の分析物濃度を測定するための回路構成の一例を示す図である。センサ本体223は、分析物濃度測定用センサチップ221における補正用作用極11、補正用対極12、仮測定用対極18および血液試料検知極19のうち少なくとも2つの電極間に電圧を印加する電圧印加回路210と、センサ本体における表示部に相当する液晶表示装置(LCD)132とを有している。電圧印加回路210は、補正用作用極11と補正用対極12の間に所定の電圧を印加でき、また1つの電極を正極または負極として使用できるように、当該電極に印加する電位を切り換えることもできる。この切り換えにより、補正用対極12は仮測定用作用極としても使用される。電圧印加回路210は、4つのコネクタ137a、137b、137cならびに137d、切換回路136、電流/電圧変換回路135、A/D変換回路134、基準電圧源133および中央演算装置(CPU)131を有している。各要素131、132、133、134、135、136、137a、137b、137c、137dの間は、図49において実線で表示するように電気的に接続されている。
分析物濃度測定用センサユニットを用いた血液試料中の分析物濃度の測定は、例えば次のようにして行われる。
まずCPU131の指令により、補正用作用極11がコネクタ137dを介して電流/電圧変換回路135に接続され、血液試料検知極19がコネクタ137bを介して基準電圧源133に接続される。その後、CPU131の指令により、両電極間に一定の電圧が印加される。当該電圧は、例えば、補正用作用極を正極、血液試料検知極を負極と表示したときに0.05〜1Vの大きさとなる電圧としてよい。センサチップ221の血液試料導入口からセンサチップ221の血液試料保持部14に血液試料が導入されると、補正用作用極11と血液試料検知極19との間に電流が流れる。この電流の値は、電流/電圧変換回路135により電圧値に変換された後にA/D変換回路134によりデジタル値に変換されCPU131に入力される。CPU131は、このデジタル値に基づいて血液試料が血液試料保持部に導入されたことを検知する。
血液試料の導入後、例えば、0〜60秒の範囲の反応時間で血液試料中の分析物と酸化還元酵素とを反応させ、以下のようにして血液試料中の分析物の仮測定濃度を算出する。まずCPU131の指令により、切換回路136が作動して、補正用対極12を兼ねる仮測定用対極がコネクタ137aを介して電流/電圧変換回路135に接続され、仮測定用作用極18がコネクタ137cを介して基準電圧源133に接続される。その後、CPU131の指令により、両電極間に上記に例示した電圧、例えば仮測定用作用極を正極、仮測定用対極を負極と表示したときに0.05〜1Vの大きさとなる仮測定電圧、が印加される。仮測定電圧の印加時間は、例えば0.01〜30秒の範囲で調整される。仮測定電圧の印加に伴って両電極間に流れた電流の値は、電流/電圧変換回路135により電圧値に変換された後にA/D変換回路134によりデジタル値に変換されCPU131に入力される。CPU131では、このデジタル値に基づいて分析物の仮測定濃度が算出される。仮測定濃度の算出は、仮測定電圧印加開始から所定時間後における上記の電流の量と分析物の仮測定濃度との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して行われる。
仮測定濃度の算出後、例えば以下のようにして血液試料のHct値が算出される。まずCPU131の指令により、切換回路136が作動して、補正用作用極11がコネクタ137dを介して電流/電圧変換回路135に接続され、補正用対極12がコネクタ137aを介して基準電圧源133に接続される。その後、CPU131の指令により、両電極間に、補正用作用極を正極、補正用対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなるHct値測定電圧が印加される。Hct値測定電圧の印加時間は、例えば0.001〜60秒の範囲で調整される。Hct値測定電圧の印加に伴って両電極間に流れた電流の値は、電流/電圧変換回路135により電圧値に変換された後にA/D変換回路134によりデジタル値に変換されCPU131に入力される。CPU131では、このデジタル値に基づいてHct値が算出される。Hct値の算出は、例えば、Hct値測定電圧印加開始から所定時間後における上記の電流の量とHct値との関係を表示する検量線または検量線テーブルを参照して行われる。
続いて、CPU131において、上記のようにして算出された仮測定濃度がHct値に基づいて補正され、血液試料中の分析物濃度が決定される。決定された分析物濃度は、LCD132において画像表示される。Hct値に基づく仮測定濃度の補正は、例えば、Hct値および仮測定濃度と血液試料中の分析物濃度との関係を表示する検量性または検量線テーブルを参照して行われる。
本発明のセンサチップは、製造後のストックを容易にする観点から、Hct値測定用作用極の表面であって易電解酸化性によって構成された表面を外気から遮蔽するように、血液試料によって溶解可能な物質、例えば水溶性高分子、によって当該表面が覆われていることや、センサチップ全体が気密に包装されていることが好ましい。Hct値測定用作用極の当該表面には、外気との接触によって、当該表面を構成する易電解酸化性金属の硫化物、酸化物および水酸化物、例えば硫化銀や水酸化銅、の被膜が形成されやすいためである。センサチップは、例えば、空気が透過しにくくかつ空気によって腐食しにくい公知の材料で構成された密閉型の容器内に封入することによって、また例えば、このような材料で構成されたフィルムに挟み込むことによって、気密に包装できる。
本発明の実施例および比較例について説明する。
(実施例1)
Hct値測定用センサチップAを作製した。作用極および対極の電極芯体は銀で構成した。厚み100μmのスペーサーを用い、容積0.8マイクロリットル(μL)の血液試料保持部を形成した。血液試料保持部における作用極および対極の有効面積はそれぞれ1.0mm2、1.8mm2とし、作用極と対極との最近接距離は2.4mmとした。血液試料保持部に面する作用極の表面は、作用極の電極芯体の表面とした。血液試料保持部に面する対極の表面は、対極の電極芯体上に配置したカルボキシメチルセルロース(CMC)膜からなる下地層の表面とした。下地層は、0.25質量%のCMC水溶液(第一工業製薬社製)を2.5mg/センサとなるように対極の電極芯体の表面に塗布した後に55℃で10分間乾燥することによって当該表面上に配置した。下地層の当該表面上には、酸化還元物質の酸化体を含む反応試薬層を配置した。反応試薬層は、50mMのフェリシアン化カリウム(関東化学社製)を0.5質量%のCMC水溶液に溶解して調製した試薬液を、2.5mg/センサとなるように下地層上に塗布した後に55℃で10分間乾燥することによって下地層の表面上に配置した。作用極と反応試薬層との最近接距離は1.8mmとした。スペーサーおよびカバーにおける血液試料導入口に相当する部分には親水化処理を施した。親水化処理は、当該部分に卵黄レシチンの2−ブタノール溶液(ナカライテスク社製)を2μL/センサとなるように塗布した後、これを風乾して行った。
25%、45%、65%のHct値を有する3種類の血液試料を準備した。これらの血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入した後、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加し、これに伴って作用極と対極との間に流れる電流(応答電流)を測定した。
応答電流の測定時には、上記のとおり、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極に実質的に接しないで血液試料が両電極に接する。酸化還元物質のうち酸化体と反対型である還元体については、応答電流の測定時に、作用極および対極に実質的に接しない。
応答電流の測定結果を図7〜13のグラフに示す。各図におけるグラフ(A)は、各血液試料から得られた応答電流値(μA)の経時変化を示すグラフである。グラフ(B)は、45%のHct値を有する血液試料から得た応答電流の振幅を基準として算出した、その他の2種の血液試料からそれぞれ得た応答電流の振幅の相対値(感度差(%))の経時変化を示すグラフである。グラフ(A)および(B)の横軸は、電圧印加開始からの時間(秒:sec)である。
各グラフに示すように実施例1のセンサチップにより、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加しても電圧印加開始直後から安定かつ明確な感度差で血液試料のHct値を反映した応答電流を検出できた。
(実施例2)
カーボンペースト(アチソン社製)を用いて対極の電極芯体を形成したこと以外は、実施例1と同様のセンサチップを作製した。上記3種類の血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入し、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加し、作用極と対極との間に流れる応答電流を測定した。応答電流の測定結果を図14〜23のグラフに示す。各グラフに示すように実施例2のセンサチップにより、上記と同様に表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加しても電圧印加開始直後から安定かつ明確な感度差で血液試料のHct値を反映した応答電流を検出できた。
(実施例3)
厚み180μmのスペーサーを用いて容積2.5μLの血液試料保持部を形成したこと以外は、実施例1と同様のセンサチップを作製した。上記3種類の血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入し、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加し、作用極と対極との間に流れる応答電流を測定した。応答電流の測定結果を図24〜28のグラフに示す。各グラフで示すように実施例3のセンサチップにより、上記と同様に表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加しても電圧印加開始直後から安定かつ明確な感度差で血液試料のHct値を反映した応答電流を検出できた。
(実施例4)
厚み260μmのスペーサーを用いて容積2.3μLの血液試料保持部を形成したこと以外は、実施例2と同様のセンサチップを作製した。上記3種類の血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入し、作用極を正極、対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加し、作用極と対極との間に流れる応答電流を測定した。応答電流の測定結果を図29〜36のグラフに示す。各グラフに示すように実施例4のセンサチップにより、上記と同様に表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加しても電圧印加開始直後から安定かつ明確な感度差で血液試料のHct値を反映した応答電流を検出できた。
(比較例1)
従来型のセンサチップを作製した。このセンサチップは、作用極および対極の電極芯体をパラジウムで構成したこと、作用極の電極芯体上にCMC膜を配置し当該CMC膜の表面を血液試料保持部に面する作用極の表面としたこと、および下地層を設けずに対極の電極芯体上に反応試薬層を配置したこと以外は、実施例1と同様の構造を有する。CMC膜は、作用極の電極芯体の表面に0.01〜2.0質量%のCMC水溶液(第一工業社製)を0.01〜100mg滴下し、これを乾燥することによって当該表面上に配置した。反応試薬層は、60mMのフェリシアン化カリウム(関東化学社製)および80mMのタウリン(ナカライテスク社製)を0.1質量%のCMC水溶液に溶解して調製した試薬液を、2.5mg/センサとなるように対極の電極芯体の表面に塗布した後に55℃で10分間乾燥することによって当該表面上に配置した。
上記3種類の血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入し、作用極を正極、対極を負極と表示したときに2.5V、1.0V、0.5Vの大きさとなる電圧を両電極間に印加し、作用極と対極との間に流れる応答電流を測定した。応答電流の測定結果を図37〜39のグラフに示す。図38および39に示すように比較例1のセンサチップでは、上記と同様に表示したときに1.0V以下の大きさとなる電圧を両電極間に印加した場合、安定した感度差が得られなかった。より具体的には、図38に示すように上記と同様に表示したときに1.0Vの大きさとなる印加電圧の場合は、電圧印加開始直後に感度差が急激に変動し、その後変動は緩やかにはなるものの電圧印加開始から3秒経過しても定常状態に到らなかった。また図39に示すように上記と同様に表示したときに0.5Vの大きさとなる印加電圧の場合は、電圧印加開始直後に感度差が急激に変動しその後も激しい変動が持続し電圧印加開始から3秒経過しても定常状態に到らなかった。
比較例1のセンサチップにおいて、このような不具合が発生する理由は定かではないが、血液成分中の水の電気分解により発生する酸化還元電流が、作用極上で得られる酸化還元電流の大部分を占めることに起因すると考えられる。
(比較例2)
作用極および対極の電極芯体上にCMC膜からなる下地層を配置し当該CMC膜の表面を血液試料保持部に面する作用極および対極の表面とし、当該作用極および対極の表面上に反応試薬層を配置したこと以外は、比較例1と同様のセンサチップを作製した。上記3種類の血液試料を別々のセンサチップの血液試料保持部に導入し、作用極を正極、対極を負極と表示したときに2.5Vの大きさとなる電圧を両電極間に印加し、作用極と対極との間に流れる応答電流を測定した。応答電流の測定結果を図40のグラフに示す。このグラフに示すように比較例2のセンサチップでは、上記と同様に表示したときに2.5Vの大きさとなる電圧を印加しても血液試料のHct値の変動に対する感度差が小さくかつ電圧印加開始から3秒経過しても定常状態に到らなかった。
なお、下記の分析物濃度測定用センサチップ(1)〜(6)と、それぞれ67mg/dlのグルコースを含有し25%、45%、65%のHct値を有する3種類の血液試料とを用いて、実施例1〜4および比較例1〜2と同様にして応答電流を測定したところ、図7〜40に示す応答電流の測定結果と同様の結果が得られた。また、分析物濃度測定用センサチップ(1)〜(4)を用いて上記の血液試料中のグルコース濃度を測定したところ、その濃度を正確に特定できた。
分析物濃度測定用センサチップ(1)〜(6)は、血液試料保持部において、有効面積0.9mm2の仮測定用対極が、対極と仮測定用対極との最近接距離が0.7mmになるように形成されており、作用極の有効面積が0.9mm2であり、対極の有効面積が1.0mm2であること以外は、それぞれ実施例1〜4および比較例1〜2のセンサチップと同様の構造を有する。
本発明は、Hct値測定電圧を低下させても、血液試料のHct値を十分な検出感度でかつ安定して測定できる血液試料のHct値の測定方法、血液試料中の分析物の濃度の測定方法、それらの測定に適したセンサチップおよびセンサユニットを提供できる。
本発明のHct値測定用センサチップの一例を示す分解斜視図である。 本発明のHct値測定用センサチップの一例を示す平面図である。 本発明のHct値測定用センサチップの別例を示す分解斜視図である。 本発明のHct値測定用センサチップの別例を示す平面図である。 本発明のHct値測定用センサチップの別例を示す分解斜視図である。 本発明のHct値測定用センサチップの別例を示す平面図である。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例2のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例3のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 実施例3のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例3のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例3のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例3のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 実施例4のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 比較例1のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 比較例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 比較例1のセンサチップによるHct値の測定結果の別例を示すグラフである。 比較例2のセンサチップによるHct値の測定結果の一例を示すグラフである。 本発明のHct値測定用センサユニットの一例を示す斜視図である。 本発明のHct値測定用センサユニットの回路構成の一例を示す図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの一例を示す分解斜視図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの一例を示す平面図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの別例を示す分解斜視図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの別例を示す平面図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの別例を示す分解斜視図である。 本発明の分析物濃度測定用センサチップの別例を示す平面図である。 本発明の分析物濃度測定用センサユニットの回路構成の一例を示す図である。

Claims (16)

  1. 酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極に実質的に接していない状態で血液試料に接する前記作用極と前記対極との間に電圧を印加して、前記作用極と前記対極との間に流れる電流を検出し、前記電流に基づいて前記血液試料のヘマトクリット値を算出する、血液試料のヘマトクリット値を電気化学的に測定する方法であって、
    前記作用極の少なくとも一部の表面であって前記血液試料に接する表面を易電解酸化性の金属を含む材料により構成し、前記作用極と前記対極との間に印加する電圧により、前記易電解酸化性の金属の酸化と前記酸化体の還元とを引き起こし、当該酸化および還元に伴う電流を測定する、
    血液試料のヘマトクリット値の測定方法。
  2. 前記作用極を正極、前記対極を負極と表示したときに、前記作用極と前記対極との間に印加する前記電圧が3.0V以下である、請求項1に記載の測定方法。
  3. 前記電圧が1.0V以下である、請求項2に記載の測定方法。
  4. 前記電圧が0.5V以下である、請求項3に記載の測定方法。
  5. 前記酸化体がフェリシアン化物である、請求項1に記載の測定方法。
  6. 前記易電解酸化性の金属が、銀、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属である、請求項1に記載の測定方法。
  7. 血液試料のヘマトクリット値を反映する電流Aを電気化学的に検出し、前記電流Aまたは前記電流Aの換算値である、前記ヘマトクリット値に対応するデータAを得る工程と、
    前記血液試料中の分析物を、酸化還元物質の存在下で、前記分析物を基質とする酸化還元酵素により酸化または還元し、前記分析物の前記酸化または還元に伴う電流Bを電気化学的に検出し、前記電流Bまたは前記電流Bの換算値である、データBを得る工程と、
    前記データAを用いて前記データBを補正して得られるデータCに基づいて、前記血液試料中の前記分析物の濃度を決定する工程と、
    を含む、血液試料中の分析物の濃度を電気化学的に測定する方法であって、
    前記電流Aとして、酸化還元物質の酸化体が対極に接しかつ作用極の少なくとも一部の表面に実質的に接していない状態で血液試料に接する前記作用極と前記対極との間に電圧を印加して、前記作用極の前記少なくとも一部の表面を構成する易電解酸化性の金属の酸化と前記酸化体の還元とを引き起こし、当該酸化および還元に伴い前記作用極と前記対極との間に流れる電流を検出する、
    血液試料中の分析物の濃度の測定方法。
  8. 血液試料のヘマトクリット値を反映する電流を電気化学的に検出するためのヘマトクリット分析部を含む、センサチップであって、
    前記ヘマトクリット値分析部は、作用極および対極と、前記作用極および前記対極に接するように血液試料を保持するための血液試料保持部と、前記血液試料を前記血液試料保持部に導入するための血液試料導入口とを有し、
    前記作用極の前記血液試料保持部に面する表面の少なくとも一部が易電解酸化性の金属を含む材料により構成され、
    前記対極の前記血液試料保持部に面する表面に接して、または前記対極の前記表面に近接して、酸化還元物質の酸化体が配置された、
    センサチップ。
  9. 前記血液試料導入口から前記血液試料保持部に導入される血液試料の流れに関して前記作用極が前記対極よりも上流側に配置され、
    前記作用極の前記少なくとも一部の表面と前記対極の前記表面との間に、または前記対極の前記表面に接して、前記酸化体が配置された、請求項8に記載のセンサチップ。
  10. 血液試料のヘマトクリット値を反映する電流を電気化学的に検出するためのヘマトクリット分析部を含む、センサチップであって、
    前記ヘマトクリット値分析部は、作用極および対極と、前記作用極および前記対極に接するように血液試料を保持するための血液試料保持部と、前記血液試料を前記血液試料保持部に導入するための血液試料導入口とを有し、
    前記血液試料保持部が、前記血液試料導入口に連通する導入部と、前記導入部から分岐した第1分岐部および第2分岐部とを有し、前記第1分岐部が前記対極に面し、前記第2分岐部が前記作用極に面し、
    前記作用極の前記第2分岐部に面する表面の少なくとも一部が易電解酸化性の金属を含む材料により構成され、
    前記対極の前記第1分岐部に面する表面に接して、または前記対極の前記表面から離れて、前記第1分岐部に酸化還元物質の酸化体が配置された、
    センサチップ。
  11. 前記酸化体がフェリシアン化物である、請求項8または10に記載のセンサチップ。
  12. 前記易電解酸化性の金属が、銀、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属である、請求項8または10に記載のセンサチップ。
  13. 水溶性高分子膜をさらに有し、前記水溶性高分子膜が、前記作用極の前記少なくとも一部の表面を外気から遮蔽するように前記少なくとも一部の表面を覆う、請求項8または10に記載のセンサチップ。
  14. 請求項8または10に記載のセンサチップと、前記作用極と前記対極との間に所定の電圧を印加するための電圧印加回路を含むセンサ本体とを有するセンサユニットであって、
    前記センサチップが前記センサ本体に着脱自在であって、かつ前記センサチップが前記センサ本体に装着された状態で前記電圧印加回路から前記作用極と前記対極との間に前記所定の電圧が印加可能となり、
    前記所定の電圧が、前記作用極を正極、前記対極を負極と表示したときに3.0V以下の大きさとなる電圧である、センサユニット。
  15. 前記所定の電圧が1.0V以下である、請求項14に記載のセンサユニット。
  16. 前記所定の電圧が0.5V以下である、請求項15に記載のセンサユニット。
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