JP6607437B2 - バイオセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学法を用いたバイオセンサに関する。
血糖値センサなどのグルコースセンサのように、電気化学法を利用した各種のバイオセンサが知られている。
例えば、バイオセンサのキャビティ(スペーサに形成された溝によって形成される空間)に、検体(血液など)を導入すると、検体に含まれる成分(基質)が、酵素を介してメディエータ(電極活物質)を還元する。ここで、電極に所定の電圧を印加すると、電気化学反応により、還元されたメディエータが逆に酸化される。このとき発生する酸化電流を測定することで、着目する成分の量を検出できる。
このようなバイオセンサは、一般に、少なくとも作用極と対極を含む2つ以上の電極を備えており、電極上に、キャビティを形成するためのスペーサを貼り合わせたのち、キャビティの一部に酵素、メディエータなどを含む試薬層を形成し、カバーを貼り合わせてなる構造を有している。
ここで、血液試料を用いたグルコース測定の場合、血液中には赤血球などの血球が含まれている。グルコース由来の酸化電流の大きさは、血液試料中の血球の容積の割合を示すヘマトクリット値の大きさに影響を受けることが知られている。
また、近年、少量の血液試料を用いて短時間で血液試料中の基質の定量分析を行うことが要望されており、バイオセンサ(センサチップ)には、少量の血液試料が供給されるように、より小さな容積のキャビティが形成されている。このため、バイオセンサのキャビティの容積が小さく、測定に用いられる血液試料が少量であるため、計測対象である酸化電流の大きさが小さい。
したがって、バイオセンサにより計測される酸化電流には血液試料のヘマトクリット値に依存した誤差が含まれるが、計測される酸化電流の大きさが小さく、酸化電流に含まれるヘマトクリット値に依存した誤差の割合が相対的に大きくなるので、ヘマトクリット値に依存する誤差を無視することができない。
そこで、これらヘマトクリット値を交流法により、血漿もしくは血球量を測定しヘマトクリット値を換算し、換算されたヘマトクリット値に基づく補正を行うことにより、血液試料中の基質の定量分析の高精度化を図る試みが為されている(例えば、特開昭62−25262号公報(特許文献1)、特願昭63−133062号公報(特許文献2))。
特開昭62−25262号公報 特願昭63−133062号公報
しかしながら、本発明者らの検討により、特許文献1および2のようにヘマトクリット値を交流法で測定する際に、試料液中にメディエータ(電極活物質)が存在するときには電極活物質が測定されてしまい、血球(ヘマトクリット値)や血漿を正確に測定することが困難になってしまうことが判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、従来よりもさらに高精度な測定が可能なバイオセンサを提供することを目的とする。
[1] 試料液中に含まれる基質を定量するためのバイオセンサであって、
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板の一方の面に設けられた作用極および対極を含む、基質を定量するための第1電極と、
前記絶縁性基板の一方の面に設けられた作用極および対極を含む、前記基質以外の対象物を交流法を用いて定量するための第2電極と、
前記第1電極の前記絶縁性基板と反対側の表面の少なくとも一部に形成された、前記基質と反応する酵素、および、電極活物質を含む試薬層と、
前記試料液を前記試薬層に誘導するキャビティを形成するための切欠部を有し、該切欠部の内部に前記試薬層が位置するように前記第1電極および前記第2電極の上に配置されたスペーサと、
少なくとも前記切欠部を覆うように、前記スペーサの前記絶縁性基板と反対側の面に設けられたカバーとを備え、
少なくとも前記第2電極の表面には電極活物質が存在しないことを特徴とする、バイオセンサ。
[2] 前記キャビティは、前記試料液を導入するための開口を有し、
前記第2電極は前記第1電極よりも前記キャビティの前記開口に近い位置に設置される、[1]に記載のバイオセンサ。
[3] 前記キャビティは、前記試薬層と前記第2電極の前記キャビティ内に露出した部分との間において括れた形状を有する、[1]または[2]に記載のバイオセンサ。
[4] 前記交流法に用いられる交流電圧の周波数が1kHz以上30MHz以下の範囲内の少なくとも1つの周波数である、[3]に記載のバイオセンサ。
本発明によれば、従来よりもさらに高精度な測定が可能なバイオセンサを提供することができる。
実施形態1のバイオセンサの構成を示す分解斜視図である。 実施形態1のバイオセンサの構成を示す斜視図である。 実施形態1のバイオセンサの構成を示す部分拡大図である。 実施形態1のバイオセンサの変形例の構成を示す部分拡大図である。 実施形態1のバイオセンサの測定工程の一例を説明するためのフロー図である。 実施例1の測定方法を説明するための模式図である。 実施例1の測定結果を示すグラフである。 比較例1の測定結果を示すグラフである。 実施例2の測定結果を示すグラフである。 比較例2の測定結果を示すグラフである。 実施例3の測定結果を示すグラフである。 実施例4の測定結果を示すグラフである。 実施例4の測定結果を示す別のグラフである。 実施例4の測定結果におけるcv値を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表す。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。
[実施形態1]
図1〜図3を参照して、本実施形態のバイオセンサは、試料液中に含まれる基質を定量するためのバイオセンサであって、絶縁性基板1と、基質を電気化学的に定量するための第1電極(作用極21および対極22)と、基質以外の対象物を交流法で定量するための第2電極(作用極23および対極24)と、試薬層3と、スペーサ4と、カバー5とを備える。
第2電極で定量される基質以外の対象物の測定としては、例えば、血球量(ヘマトクリット)の測定、測定機へのバイオセンサ(センサチップ)挿入の検知、バイオセンサへの検体導入の検知、周辺環境温度(空気の温度)の測定などが挙げられる。
第1電極は、絶縁性基板1の一方の面に設けられた作用極21および対極22を含む。第2電極は、絶縁性基板1の一方の面に設けられた作用極23および対極24を含む。試薬層3は、第1電極の絶縁性基板1と反対側の表面の一部に形成され、少なくとも基質と反応する酵素、および、電極活物質(メディエータ)を含んでいる。
スペーサ4は、試料液を試薬層3に誘導するキャビティ41を形成するための切欠部42を有し、キャビティ41の内部に試薬層3が位置するように電極上に配置される。
カバー5は、少なくとも切欠部42を覆うように、スペーサ4の絶縁性基板1と反対側の面に設けられる。また、カバー5は、キャビティ41に連通する空気孔5aを有している。
本実施形態のバイオセンサは、基質以外の対象物の測定に用いられる第2電極(作用極23および対極24)の表面に、電極活物質が存在しないことを特徴としている。なお、電極の表面のうち、少なくともキャビティ41内に露出している部分23a,24aに電極活物質が存在しないことが好ましい。
これにより、第2電極によって基質以外の対象物を交流法で定量する際に、血電極活物質が測定されてしまうことによる誤差の発生を防止でき、基質以外の対象物の測定精度を高めることができる。
また、そのような基質以外の対象物の測定は、基質の定量値を補正する等の基質の定量値の測定精度を高めることを目的として実施される場合が多く、基質以外の対象物の測定精度が向上することにより、基質の測定精度も向上させることができる。
また、キャビティ41は、試料液を導入するための開口41c(図2参照)を有し、第2電極(作用極23および対極24)は第1電極(作用極21および対極22)よりもキャビティ41の開口41cに近い位置に設置されている。このようにキャビティ41の奥側に第1電極(基質測定用電極)を設置し、第1電極上にメディエータを含む試薬層を形成することより、測定時において、試料液はキャビティ41の開口41cから供給されるため、第2電極は第1電極よりも先に試料液に接触することになる。すなわち、試薬層3に含まれる電極活物質が試料液中に溶解する前に、試料液のヘマトクリット値を測定することが可能である。したがって、より確実にヘマトクリット測定電極付近に電極活物質が存在しないようにすることができ、基質以外の対象物の測定精度を高めることができるため、結果的に基質の測定精度も向上させることができる。
本実施形態の変形例として、図4に示されるように、キャビティ41は、試薬層3と第2電極(作用極23および対極24)のキャビティ41内に露出した部分23a,24aとの間において括れ41aを有する形状であってもよい。このような括れ41aを設けることで、試薬層3に含まれる電極活物質が第2電極側に移動することを防止でき、より確実に基質以外の対象物の測定精度を高めることができるため、結果的に基質の測定精度も向上させることができる。
本実施形態において、基質(分析対象物)としては、例えば、グルコース(血糖)、乳酸、コレステロール、アルコール、ザルコシン、フルクトシルアミン、ピルビン酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
絶縁性基板1の材料としては、特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどのプラスチック材料、感光性材料、紙、ガラス、セラミック、または、生分解性材料などが挙げられる。これらの材料は、スペーサ4、カバー5の材料としても用いられる。
絶縁性基板1上には、少なくとも基質を電気化学的に定量するための第1電極(作用極21および対極22)と、基質以外の対象物を交流法で定量するための第2電極(作用極23および対極24)とが設けられている。絶縁性基板1上には、第1電極および第2電極以外に、電極電位の測定時に電位の基準となる参照電極や、キャビティ41に試料が供給されたことを検知するための検知電極などが設けられていてもよい。
これらの電極(作用電極、対極、参照極、検知用電極など)の材料としては、白金、金、パラジウムなどの貴金属、カーボン、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)、ZnO(酸化亜鉛)などが挙げられる。電極は、例えば、スクリーン印刷や、スパッタリング法を用いて絶縁性基板1の一方の面に上記材料からなる導電層を形成し、さらに、レーザー加工、フォトリソグラフィーなどを用いてパターン形成することにより、作製することができる。なお、電極および絶縁性基板1の表面にプラズマ処理を施しておいてもよい。
本実施形態において、試薬層3は、第1電極(作用極21および対極22)の表面のうちキャビティ41内に露出する部分21a,22aの一部に形成されている。試薬層3は、例えば、試薬液を滴下し、試薬液を乾燥させることによって形成することができる。なお、例えば、酵素液、電極活物質(メディエータ)液などを順に滴下した後にそれらを乾燥して試薬層3を形成してもよく、酵素、電極活物質などを含む混合液を滴下した後にそれらを乾燥して試薬層3を形成してもよい。
酵素としては、例えば、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、アルコールオキシダーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、クレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、DNAポリメラーゼが挙げられる。これらの酵素を、主たる測定対象物質である基質(グルコース、アルコール、乳酸、コレステロール、ザルコシン、フルクトシルアミン、ピルビン酸、ヒドロキシ酪酸など)に応じて選択することで、種々のバイオセンサを作製することができる。
例えば、グルコースオキシダーゼまたはグルコースデヒドロゲナーゼを用いれば血液試料中のグルコースを検出するグルコースセンサを作製でき、アルコールオキシダーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼを用いれば血液試料中のエタノールを検出するアルコールセンサを作製でき、乳酸オキシダーゼを用いれば血液試料中の乳酸を検出する乳酸センサを作製でき、コレステロールエステラーゼとコレステロールオキシダーゼとの混合物を用いれば総コレステロールセンサを作製できる。
電極活物質(メディエータ)とは、作用極21と対極22との間の電子伝達を仲介する化合物(電子伝達体)であり、それ自体が酸化還元反応を行う物質であることが好ましい。電極活物質としては、例えば、フェリシアン化カリウム、フェロセン、フェロセン誘導体、ベンゾキノン、キノン誘導体、オスミウム錯体、ルテニウム錯体などを用いることができる。
試薬層3は、親水性高分子を含んでいてもよい。この場合、試薬層3を電極層の表面へ容易に固定化することができる。また、親水性高分子は、試料液中の夾雑物(血液中の血球など)をろ過するろ過剤としても機能する。ただし、本実施形態のバイオセンサでは、血球量に応じて血糖値の値を補正することができるため、血液中の血球などをろ過する必要がなく、試薬層に親水性高分子を配合する必要がないという利点を有している。
親水性高分子としては、特に限定されないが、例えば、カルボニル基、アシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホ基、スルホニル基、スルホキシド基、トシル基、ニトロ基、ニトロソ基、エステル基、ケト基、ケテン基を有する親水性高分子が挙げられる。カルボキシル基を有する親水性高分子としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースが挙げられ、好ましくはカルボキシメチルセルロース(CMC)である。
また、試薬層3は、検体導入を促進するための親水化剤などを含んでいてもよい。親水化剤としては、例えば、TritonX100、Tween20、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどの界面活性剤、レシチンなどのリン脂質が挙げられる。親水化剤は、上記の試薬に混ぜて滴下してもよいし、上記の試薬層の上からさらに滴下してもよい。また、後述のカバーに親水化剤を形成しても良い。
カバー5の材料は、絶縁性材料であることが好ましく、例えば、PETフィルムなどプラスチック、感光性材料、紙、ガラス、セラミック、生分解性材料を用いることができる。
なお、カバー5は、スペーサ4によって形成されるキャビティ41と連通する空気孔5aを有していることが好ましい。試料液の拡散だけでなく、毛細管現象により試料が空気孔5aに向かって吸引されて、キャビティ41内への試料の導入が容易になるからである。
(バイオセンサの使用方法)
以下、本実施形態のバイオセンサの使用方法の一例として、血液試料中のグルコースを定量する計測処理の一例について、図5を参照して説明する。
まず、本実施形態のバイオセンサ(バイオチップ)は、専用の測定器に装着される。バイオセンサ100が装着されたことを測定器が検出すると、バイオセンサ100のキャビティ41に血液試料が供給されたことを検出するための血液試料検知用の電極(図示せず)に血液試料検知用の電圧が印加される(ステップS1)。
次に、キャビティ41の先端部分(開口41c)に血液を接触させ、血液を、毛細管現象を利用してキャビティ41内部に導入する。キャビティ41に血液試料が供給されて血液試料検知用の電極が血液試料により液絡すると、電極の抵抗値が変化し、電極に流れる電流が増大するため、電流値の変化からキャビティ41に血液試料が供給されたことが検知される(ステップS2)。
キャビティ41に血液試料が供給されたことが検出されると、ヘマトクリット値(Hct)測定用の作用極23と対極24との間にHct測定用の交流電圧が印加され(ステップS3)、応答電流が所定のタイミングで計測される(ステップS4)。このように、このステップS3およびS4におけるヘマトクリット値の測定には交流法が用いられる。
交流法に用いられる交流電圧の周波数は、好ましくは1kHz以上30MHz以下の範囲内の少なくとも1つの周波数であり、より好ましくは1kHz以上20MHz以下の範囲内の少なくとも1つの周波数であり、さらに好ましくは1kHz以上10MHz以下の範囲内の少なくとも1つの周波数である。この範囲内の周波数の交流電圧を用いて応答電流、インピーダンス(交流回路におけるフェーザ表示された電圧と電流の比)等を測定することで、試料液中の(基質以外の)物質濃度の測定を再現性良く高精度に測定することができる
そして、次式:
ヘマトクリット(%)=100−[血液中の血漿の体積比率](%)
から、血液中の血漿の体積比率をヘマトクリット(血液中の血球の体積比率)に換算することで、ヘマトクリット値を求めることができる。
なお、測定に用いる交流の周波数は1つのみであることが好ましい。交流発生装置が1つである場合、測定に用いる交流の周波数が複数になると、その分測定回数が増えるが、測定に用いる交流の周波数を1つのみとすることで、測定回数が1回で済むため、測定時間を短縮することができる。
次に、グルコース濃度(血糖値)測定用の作用極21と対極22との間に血糖値測定用の電圧(例えば0.3V)が印加され(ステップS5)、電圧が印加されてから所定時間(例えば、3〜5秒)経過後の酸化電流の電流値が計測される(ステップS6)。
すなわち、血液試料が拡散または毛細管現象により試薬層3まで供給されると、血液試料中のグルコースと酵素および電極活物質(メディエータ)とが反応することで還元物質が生成する。ここで、血糖値測定用の作用極21および対極22と電気的に接続された測定器により、作用極21と対極22との間に電圧を印加し、この還元物質(電極活物質の還元体)を酸化することにより得られる酸化電流を計測する。ことで、血液試料中に含まれるグルコースの定量が行われる。
そして、計測された応答電流の電流値に基づいて導出されたヘマトクリット値、および、計測された酸化電流の電流値と、所定の換算式とに基づいて血液試料に含まれるグルコースの定量が行われる。すなわち、ヘマトクリット値を用いて補正されたグルコースの定量値が求められる。
このように、本実施形態のバイオセンサを用いた計測処理により、還元物質の酸化電流とヘマトクリット値とに基づいて測定対象物質の定量が行われるため、血液試料のヘマトクリット値の影響を除去して精度よくグルコースの定量を行うことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
基本的には、上記実施形態1で説明した図1〜図3に示されるような構成を有するバイオセンサを試験用センサ1として作製した。ただし、本実施例ではヘマトクリット値の測定だけを行うため、試薬層3は形成しなかった。
なお、試験用センサ1では、電極の材料としては金を用い、スパッタリング法によって金からなる金属膜を形成し、これをパターン形成することにより、グルコース測定用電極(電極膜)とヘマトクリット測定用電極(電極膜)とを作製した。なお、絶縁性基板1およびスペーサの材質はポリエチレンテレフタレートである。
次に、ヘマトクリット値の測定対象となる試料液(血球含有液のモデルサンプル)として、0、20、40および70体積%のいずれかの濃度のビーズ(ポリスチレン製、体積平均粒径8μm、略真球状)を含む懸濁液(分散媒:100mMリン酸緩衝液)を用意した。なお、このビーズの平均粒径は、血球に近い大きさである。
測定は、図6に示されるように、バイオセンサ(センサチップ)100のヘマトクリット測定用電極に直列に抵抗(330kΩ)を接続した状態で行った。上記試料液(懸濁液)を、試験用センサ1および比較センサ1のバイオセンサのキャビティ内に供給し、ヘマトクリット測定用電極の作用極23と対極24との間に7.08Vppの交流電圧(入力電圧Vin)を印加して、抵抗にかかる電圧を出力値(出力電圧Vout)としてオシロスコープで測定した。この出力電圧は10波長分の平均的なところを目測で設定し、測定を行った。なお、測定周波数は1kHz〜50MHz、測定温度は室温(約25℃)とした。そして、出力電圧Voutと抵抗(330kΩ)とからオームの法則により電流値を求めた。
(比較例1)
比較として、上記試料液の代わりに、電極活物質を含む比較試料液を用いて、実施例1と同様に交流法による電流値の測定を行った。なお、比較試料液は、健常人で標準的な血糖値濃度である100mg/dLのグルコースが反応した時にできる電極活物質の濃度になるように、電極活物質(フェリシアン化カリウム280mM、および、フェロシアン化カリウム66mM)が添加されている点以外は、上記試料液と同様である。
実施例1(電極活物質なし)および比較例1(電極活物質あり)の測定結果を、それぞれ図7および図8に示す。
図7および図8に示されるように、電極活物質が存在する場合(図8)は、この電極活物質が測定されてしまうため、電極活物質が存在しない場合(図7)に比べて、ビーズ濃度の増加に対する電流値の減少はあまり変わらないものの、全体の電流量が増加している。このことから、電極活物質が存在する場合は、ビーズの量に対する応答性(測定精度)が低下することが分かる。
また、図7および図8に示される結果から、交流電圧の周波数が1kHz以上20MHz以下の範囲内である場合、試料液中の粒子(ビーズ)濃度の増加に応じて電流値が低下する傾向が見られる。なお、これは、この周波数範囲の交流電圧を印加した場合、試料液中のビーズ以外の液体部分の量に応じた応答電流が測定されているためであると考えられるが、ビーズ等の固体成分の量に応じた応答電流を測定するよりも、このように液体部分の量に応じた応答電流を測定する方が固体の形状や分布等による影響を受けず、試料液中の(基質以外の)物質濃度の測定を再現性良く高精度に測定することができると考えられる。
(実施例2)
試料液の代わりに、所定の血球濃度(0、20、40および70体積%)の血球を含む綿羊血を用いた以外は、実施例1と同様にして、交流法による電流値の測定を行った。なお、綿羊血としては、綿羊血を一旦、1000×g、10minで遠心分離し、血球成分と液体の血漿成分に分け、体積比で0、20、40および70%になるように再調製したものを用いた。
(比較例2)
比較として、上記綿羊血の代わりに、電極活物質を含む綿羊液を用いて、実施例2と同様に交流法による電流値の測定を行った。なお、電極活物質は比較例1と同様に添加した。
実施例2(電極活物質なし)および比較例2(電極活物質あり)の測定結果を、それぞれ図9および図10に示す。
図9および図10に示されるように、電極活物質が存在する場合(図10)は、電極活物質が存在しない場合(図9)に比べて、血球濃度の増加に対する電流値の減少はあまり変わらないものの、全体の電流量が増加しているため、ビーズの量に対する応答性は低下していることが分かる。
また、図9および図10に示される結果から、交流電圧の周波数が1kHz以上10MHz以下の範囲内である場合、綿羊血中の血球濃度の増加に応じて電流値が低下する傾向が見られる。
(実施例3)
綿羊血の代わりに人血を用いた以外は、実施例2と同様にして、交流法による電流値の測定を行った。ただし、入力電圧のセンターは1.25Vとし、入力電圧は1.6Vppとした。なお、入力電圧を実施例2から変更したのは、本実験ではファンクショインジェネレータを介して電圧を印加し、オシロスコープで測定しているが、実際の血糖値測定器の要求性(測定レンジ)を考慮し、その条件に合わせたためである。測定結果を図11に示す。
図11に示される結果から、人血の場合でも、綿羊血の場合(図9:実施例2)と類似の応答性が示されることが分かる。また、交流電圧の周波数が1kHz以上30MHz以下の範囲内である場合、人血中の血球濃度の増加に応じて電流値が低下する傾向が見られる。
(実施例4)
100kHz周辺の周波数の交流電圧を用いた場合について、実施例3と同様にして、交流法による測定を行った。なお、交流電圧の周波数は、0.1,1,3,5,10,20,50,100,200および500とした。また、再現性を評価するために、全ての測定について10回の測定を行った。ただし、出力電圧から電流値への変換は行わず、出力電圧を結果として示した。
図12に、10回の測定の平均値から作成した、周波数を横軸、出力電圧を縦軸とするグラフを示す。また、図13に、血球濃度を横軸、インピーダンスの変化量(血球濃度0%の時の出力値から、各血球濃度20、40および70%での出力値を引いたときの値)を縦軸とするグラフを示す。さらに、図14に、各測定において、10回の測定についてのCV値を示すグラフを示す。
図12に示される結果から、交流電圧の周波数の増加に伴って出力電圧が増加するが、交流電圧の周波数が50kHz(もしくは100kHz)程度で出力電圧がプラトーに達することが分かる。従って、100kHzより高い周波数の交流電圧を用いても、あまり効率的に測定精度を高めることはできないと考えられる。
図13に示される結果から、交流電圧の周波数が1kHz以上であれば、血球濃度に対する応答性があることが分かる。また、交流電圧の周波数が10kHz以上500kHz以下の場合に、血球濃度に対する比例関係が良好である(グラフの直線性が高い)ことが分かる。
図14に示される結果から、交流電圧の周波数が3kHz以上の場合に、CV値が2%以内に収まっていることが分かる。
1 絶縁性基板、100 バイオセンサ、21 (第1電極の)作用極、22 (第1電極の)対極、23 (第2電極の)作用極、24 (第2電極の)対極、3 試薬層、4 スペーサ、41 キャビティ、41c 開口、42 切欠部、5 カバー、5a 空気孔、6 試料液。

Claims (1)

  1. 試料液中に含まれる基質を定量するためのバイオセンサであって、
    絶縁性基板と、
    前記絶縁性基板の一方の面に設けられた作用極および対極を含む、基質を定量するための第1電極と、
    前記絶縁性基板の一方の面に設けられた作用極および対極を含む、前記基質以外の対象物を交流法を用いて定量するための第2電極と、
    前記第1電極の前記絶縁性基板と反対側の表面の少なくとも一部に形成された、前記基質と反応する酵素、および、電極活物質を含む試薬層と、
    前記試料液を前記試薬層に誘導するキャビティを形成するための切欠部を有し、該切欠部の内部に前記試薬層が位置するように前記第1電極および前記第2電極の上に配置されたスペーサと、
    少なくとも前記切欠部を覆うように、前記スペーサの前記絶縁性基板と反対側の面に設けられたカバーとを備え、
    前記キャビティは、前記試料液を導入するための開口を有し、
    前記第2電極は前記第1電極よりも前記キャビティの前記開口に近い位置に設置され、
    少なくとも前記第2電極の表面には電極活物質が存在せず、
    前記基質以外の対象物はヘマトクリットを含み、
    前記交流法に用いられる交流電圧の周波数が10kHz以上500kHz以下の範囲内の少なくとも1つの周波数であり、
    前記交流法において、前記第2電極に前記交流電圧が印加され、応答電流が計測され、
    前記キャビティは、前記試薬層と前記第2電極の前記キャビティ内に露出した部分との間において前記絶縁性基板の主面方向に括れた形状を有する、バイオセンサ。
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