JP2020067350A - バイオセンサとそれを用いた血液成分量の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造されたバイオセンサ間の感度の差を低減させる。【解決手段】血液中のヘマトクリット値を測定するためのバイオセンサであって、絶縁基板上に作用極および対極を含む電極系を有し、前記電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、前記反応部における作用極上には、試薬層が配置されておらず、前記反応部における対極上には前記試薬層が配置されており、前記試薬層は、酸化還元物質を含むバイオセンサであって、前記作用極の前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含むバイオセンサを提供する。【選択図】 図1
Description
本発明は、バイオセンサとそれを用いた血液成分量の測定方法に関するものである。
臨床検査や糖尿病患者の血糖値自己測定等において、生体試料の成分を測定するためのセンサが従来から使用されている。このようなセンサは、例えば、その表面に作用極および対極が形成された絶縁基板の上に、スペーサを介してカバーが配置されている構成である。前記作用極および対極の上には、酸化還元酵素およびメディエータ(電子伝達体)等を含む試薬が配置されており、この部分が分析部となる。この分析部には、血液を導入するための流路の一端が連通しており、前記流路の他端は外部に向かって開口しており、ここが血液供給口となる。このようなセンサを用いた生体試料(例えば血液)の成分の分析(例えば、血糖値)は、例えば、次のようにして行われる。すなわち、まず、前記センサを専用の測定装置(メータ)にセットする。そして、指先等をランセットで傷つけて出血させ、これに前記センサの血液供給口を接触させる。血液は、毛細管現象によりセンサの流路に吸い込まれ、これを通って分析部に導入され、ここで、前記試薬と接触する。そして、血液中の成分と、酸化還元酵素とが反応して酸化還元反応が起こり、これによりメディエータを介して電流が流れる。この電流を検出し、この電流値に基づき、前記測定装置において血液成分量を算出し、これを表示する。
健康管理への要求の高まりから、年々、生体試料の成分を測定するための高精度なセンサが強く求められてきている。例えば、2013年5月に発効したISO15197(体外検査システム−糖尿病管理における事故測定のための血糖モニターシステムに対する要求事項)においては、2003年に発効したISO15197と比較して基準が厳しくなっている。
高精度に測定するためのバイオセンサとして、例えば、特許文献1の図4には、作用極32と対極36の電極系の上に試薬層42が、作用極33と対極35の電極系の上に別の試薬層43が、それぞれ配置されたバイオセンサが報告されている。別の電極37は、ヘマトクリット値を測定するための電極であり、試薬層42および試薬層43は、接触していない。試薬層43は、酸化還元酵素とメディエータを、試薬層42は、メディエータを含む。このような電極37と、前記作用極32、対極36、作用極33、対極35のいずれか一つとに、電圧を印加することにより、ヘマトクリット値を測定することができる。
また、高精度に測定するためのバイオセンサとして、作用極に対して追加抵抗を設けたバイオセンサが報告されている(特許文献2)。また、そのようなバイオセンサとして、作用極に対して、着脱可能な追加抵抗を設けたバイオセンサが報告されている(特許文献3)。また、そのようなバイオセンサとして、対極に対して追加抵抗を設けたバイオセンサが報告されている(特許文献4)。
従来、高精度に血液成分を測定するため、バイオセンサのキャピラリ内に導入された血液のヘマトクリット(Hct)値を測定し、この値に応じて血液成分の量を補正することが行われている。
しかしながら、従来の技術においては、製造されたバイオセンサ間に感度の差が発生していた。そしてそのような感度差があるバイオセンサを用いて、血液成分を正確に算出するには困難な場合があった。
本発明者らは、製造されたバイオセンサ間に発生する感度の差が、バイオセンサを製造する際に用いる材料、具体的には導電層の比抵抗に起因することを見出した。すなわち、電極や試薬層などの寸法を正確になるように製造しても、バイオセンサを構成する材料自体にばらつきがあるため、製造されたバイオセンサ間に感度差が発生していた。そこで、本発明者らは、バイオセンサを製造する工程内において、複数回、バイオセンサの抵抗検査を実施し、その結果をバイオセンサの構成に反映させることにより、製造されたバイオセンサ間の感度の差を低減させることを可能にした。具体的には、バイオセンサの、作用極の反応部と接続端子部との間に、1つ以上の補正領域を形成することにより、バイオセンサの構成に反映させる。なお、このような補正領域は、試薬層が配置されていない作用極の反応部と接続端子部の間に形成する。前記補正領域は、例えば、作用極の反応部と接続端子部との間を削ることにより形成する。
本発明は、
血液中のヘマトクリット値を測定するためのバイオセンサであって、
絶縁基板上に作用極および対極を含む電極系を有し、
前記電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、
前記反応部における作用極上には、試薬層が配置されておらず、
前記反応部における対極上には前記試薬層が配置されており、
前記試薬層は、酸化還元物質を含むバイオセンサであって、
前記作用極の前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含む
バイオセンサである(以下、「第1バイオセンサ」と呼ぶことがある)。
血液中のヘマトクリット値を測定するためのバイオセンサであって、
絶縁基板上に作用極および対極を含む電極系を有し、
前記電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、
前記反応部における作用極上には、試薬層が配置されておらず、
前記反応部における対極上には前記試薬層が配置されており、
前記試薬層は、酸化還元物質を含むバイオセンサであって、
前記作用極の前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含む
バイオセンサである(以下、「第1バイオセンサ」と呼ぶことがある)。
また、本発明は、
血液成分量を測定するためのバイオセンサであって、
絶縁基板上にヘマトクリット値測定用の作用極および対極を含む第1電極系と、血液成分測定用の作用極および対極を含む第2電極系を有し、
前記各電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、
前記反応部には酸化還元物質を含む試薬層を有し、
前記第1電極系の作用極における前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含む、
バイオセンサである(以下、「第2バイオセンサ」と呼ぶことがある)。
血液成分量を測定するためのバイオセンサであって、
絶縁基板上にヘマトクリット値測定用の作用極および対極を含む第1電極系と、血液成分測定用の作用極および対極を含む第2電極系を有し、
前記各電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、
前記反応部には酸化還元物質を含む試薬層を有し、
前記第1電極系の作用極における前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含む、
バイオセンサである(以下、「第2バイオセンサ」と呼ぶことがある)。
また、本発明は、
血液成分量を算出する方法であって、
第2バイオセンサの前記反応部に血液を導入し、
この状態で前記第1電極系に1.0〜2.5Vの電圧を印加し、これにより前記電極間に流れる電流値を検出し、前記電流値から前記ヘマトクリット値を得る一方、
前記第2電極系に電圧を印加して得られる電流値から血液成分量の初期値を検出し、
前記血液成分量の初期値を、前記ヘマトクリット値に応じて補正することで、最終の血液成分量を算出する方法である。
血液成分量を算出する方法であって、
第2バイオセンサの前記反応部に血液を導入し、
この状態で前記第1電極系に1.0〜2.5Vの電圧を印加し、これにより前記電極間に流れる電流値を検出し、前記電流値から前記ヘマトクリット値を得る一方、
前記第2電極系に電圧を印加して得られる電流値から血液成分量の初期値を検出し、
前記血液成分量の初期値を、前記ヘマトクリット値に応じて補正することで、最終の血液成分量を算出する方法である。
このように、本発明のバイオセンサは、作用極の反応部と接続端子部との間に、1つ以上の補正領域を形成することにより、製造されたバイオセンサの感度の差を低減させることを可能にした。そして、そのバイオセンサを用いて血液成分量を算出することにより、より精度の高いバイオセンサを提供することを可能にする。
なお、本文中、単に「バイオセンサ」に言及する場合は、「第1バイオセンサ」および「第2バイオセンサ」の全てを指す。
つぎに、本発明を詳しく説明する。
<第1の実施形態:第1バイオセンサ>
本発明は、
血液中のヘマトクリット値を測定するためのバイオセンサであって、
絶縁基板上に作用極および対極を含む電極系を有し、
前記電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、
前記反応部における作用極上には、試薬層が配置されておらず、
前記反応部における対極上には前記試薬層が配置されており、
前記試薬層は、酸化還元物質を含むバイオセンサであって、
前記作用極の前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含む
バイオセンサである(第1バイオセンサ)。
本発明は、
血液中のヘマトクリット値を測定するためのバイオセンサであって、
絶縁基板上に作用極および対極を含む電極系を有し、
前記電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、
前記反応部における作用極上には、試薬層が配置されておらず、
前記反応部における対極上には前記試薬層が配置されており、
前記試薬層は、酸化還元物質を含むバイオセンサであって、
前記作用極の前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含む
バイオセンサである(第1バイオセンサ)。
前記第1バイオセンサにおいて、前記補正領域は、少なくとも1つの線状形態を有する第1補正部を含むのが好ましい。前記第1補正部は、例えば、作用極のリードに対して部分的に導電層を削除して欠損させる(例えば、レーザトリミングする)ことにより形成する。このように欠損した部分を形成することにより、基板抵抗のばらつきに起因するバイオセンサの感度のばらつきを抑制することができる。また、このように欠損した部分を形成することにより、基板抵抗のばらつきやバイオセンサ感度に起因する他の要素も含めて、バイオセンサ全体の感度を調整することが可能である。
少なくとも1つの線状形態を有する前記第1補正部の具体的な形状については、図7に例示する。図7において、(a)は、補正領域を形成する前の作用極の形態を示す。(b)は、互い違いに複数の線状形態を有する補正領域を示す。(c)は、作用極の中央付近にも複数の線状形態を有する補正領域を示す。(d)は、(b)の形態にさらに作用極に平行な複数の線状形態を有する補正領域を示す。(e)は、(c)の形態にさらに作用極に平行な線状形態を有する補正領域を示す。前記第1補正部の具体的な形状のうち、(b)および(c)が広範囲の制御が可能かつ、加工量の算出がシンプルであり、好ましい。
また、前記第1バイオセンサにおいて、前記作用極の前記反応部と前記接続端子部との間には、2つ以上の補正領域を含み、
前記2つ以上の補正領域は、前記第1補正部と第2補正部を含み、
前記第2補正部は、円形形態または四角形形態を有するのが好ましい。
前記第2補正部も、例えば、作用極のリードに対して部分的に導電層を削除して欠損させる(例えば、レーザトリミングする)ことにより形成する。このような第2補正部を形成することにより、より精密にバイオセンサの感度のばらつきを抑制することが可能である。また、前記第1補正部を形成した際に発生するわずかな位置ズレによる影響を、第2補正部形成により調整することも可能である。前記第1補正部のみにより十分にバイオセンサの感度のばらつきを抑制できている場合には、このような第2補正部は、必ずしも必要ではない。
前記2つ以上の補正領域は、前記第1補正部と第2補正部を含み、
前記第2補正部は、円形形態または四角形形態を有するのが好ましい。
前記第2補正部も、例えば、作用極のリードに対して部分的に導電層を削除して欠損させる(例えば、レーザトリミングする)ことにより形成する。このような第2補正部を形成することにより、より精密にバイオセンサの感度のばらつきを抑制することが可能である。また、前記第1補正部を形成した際に発生するわずかな位置ズレによる影響を、第2補正部形成により調整することも可能である。前記第1補正部のみにより十分にバイオセンサの感度のばらつきを抑制できている場合には、このような第2補正部は、必ずしも必要ではない。
円形形態または四角形形態を有する前記第2補正部の具体的な形状については、図8に例示する。図8において、(a)は、補正領域を形成する前の作用極の形態を示す。(b)は、四角の形態を有する補正領域を示す。(c)は、作用極の中央付近に一辺が欠けた四角の形態を有する補正領域を示す。(d)は、四角の形態の一辺が作用極と重複した形態を有する補正領域を示す。(e)は、二辺が欠けた四角の形態を有する補正領域を示す。(f)は、(c)の形態を二つ有する補正領域を示す。(g)は、作用極の中央付近に円形形態を有する補正領域を示す。前記第2補正部の具体的な形状のうち、(b)および(c)が加工ズレの影響を受けにくく加工量の算出がシンプルであり、好ましい。
前記補正領域は、作用極のリードをYAGレーザー、グリーンレーザー等により部分的に導電層を削除して欠損させる(トリミングする)ことにより形成できる。一度トリミングした後、作用極の抵抗値を測定し、その抵抗値が目的の値となっていない場合には、もう一度トリミングを行ってもよい。このようにトリミングを繰り返し、第1補正部や第2補正部を目的の抵抗値に近づけるよう、調整してもよい。
本発明のバイオセンサにおける絶縁基板の材質は、特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオキシメチレン(POM)、モノマーキャストナイロン(MC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、メタクリル樹脂(PMMA)、ABS樹脂(ABS)、ガラス等が使用でき、このなかで、絶縁基板の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)が好ましく、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。前記絶縁基板の大きさは、特に制限されず、例えば、図示のような板状の場合、全長5〜100mm、幅3〜50mm、厚み0.05〜2mmであり、好ましくは、全長10〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.1〜1mmであり、より好ましくは、全長10〜30mm、幅3〜10mm、厚み0.1〜0.6mmである。
本発明のバイオセンサにおいて、絶縁基板上の電極およびリードは、例えば、金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法あるいは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザーにより特定の電極パターンに加工することで形成できる。レーザーとしては、例えば、YAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー等が使用できる。
前記第1バイオセンサにおいて、前記対極および前記作用極は、金、白金、またはパラジウムなどの貴金属より形成されるのが好ましい。
前記第1バイオセンサにおいて、前記作用極と前記対極とが、互いに間隔をあけて平面的に配置されているのが好ましい。具体的には、前記作用極と対極との間の最近接距離は、0.05mm以上であるのが好ましい。このように0.05mm以上の電極間距離があれば、測定値の信頼性が向上する。より好ましい電極間距離は、0.1mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上である。
本発明のバイオセンサにおいて、前記絶縁基板において、前記電極系へ前記血液を導入するための流路(反応部)が形成され、前記流路の一端は前記電極系に連通し、前記流路の他端はバイオセンサの外部に向かって開口され、この部分が血液供給口となっているのが好ましい。さらに、スペーサとカバーとを有し、前記絶縁基板の上に、前記スペーサを介して前記カバーが配置されている。
本発明のバイオセンサにおいて、スペーサの材質は、特に制限されず、例えば、絶縁基板と同様の材料が使用できる。また、スペーサの大きさは、特に制限されず、図示のような形状の場合、例えば、全長5〜100mm、幅3〜50mm、厚み0.01〜1mmであり、好ましくは、全長10〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.05〜0.5mmであり、より好ましくは、全長10〜30mm、幅3〜10mm、厚み0.05〜0.25mmである。スペーサには、血液導入のための流路(反応部)となる切り欠き部が形成されているが、その大きさは、例えば、血液供給口から端までの長さ0.5〜50mm、幅0.1〜10mm、好ましくは、血液供給口から端までの長さ1〜10mm、幅0.5〜5mm、より好ましくは、血液供給口から端までの長さ1〜5mm、幅0.5〜2mmである。この切り欠き部は、例えば、レーザーやドリル等で穿孔して形成してもよいし、スペーサの形成時に、切り欠き部が形成できるような金型を使用して形成してもよい。
本発明のバイオセンサにおいて、カバーの材質は、特に制限されず、例えば、絶縁基板と同様の材料が使用できる。カバーの試料供給路の天井部に相当する部分は、親水性処理することが、さらに好ましい。親水性処理としては、例えば、界面活性剤を塗布する方法、プラズマ処理などによりカバー表面に水酸基、カルボニル基、カルボキシル基などの親水性官能基を導入する方法がある。カバーの大きさは、特に制限されず、図示のような形状の場合、例えば、全長5〜100mm、幅3〜50mm、厚み0.01〜0.5mmであり、好ましくは、全長10〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.05〜0.25mmであり、より好ましくは、全長15〜30mm、幅5〜10mm、厚み0.05〜0.2mmである。カバーには、空気抜孔が形成されていることが好ましく、形状は、例えば、円形、楕円形、多角形などであり、その大きさは、例えば、最大直径0.01〜10mm、好ましくは、最大直径0.025〜5mm、より好ましくは、最大直径0.025〜2mmである。また、空気抜孔を複数個設けてもかまわない。この空気抜孔は、例えば、レーザーやドリル等で穿孔して形成してもよいし、カバーの形成時に、空気抜き部が形成できるような金型を使用して形成してもよい。
前記バイオセンサにおいて、前記酸化還元物質が、酸化状態および還元状態の少なくとも一方の酸化還元物質を含むのが好ましい。前記酸化還元物質は、例えば、フェリシアン化物、p−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン誘導体、フェナジンメトサルフェート、メチレンブルー、フェロセン、フェロセン誘導体、フェナンスレンキノン(9,10−フェナンスレンキノン)、3−フェニルイミノ−3H−フェノチアジン等が挙げられる。前記酸化還元物質の配合量は、特に制限されず、1回の測定当り若しくはセンサ1個当り、例えば、0.1〜1000mMであり、好ましくは1〜500mMであり、より好ましくは、10〜200mMである。例えば、血液(生体試料)中のグルコース値(血液成分)を測定する際、酵素としてグルコースデヒドロゲナーゼ(酸化還元酵素)を用い、酸化還元物質としてフェリシアン化カリウムを用いたバイオセンサの場合、例えば、以下のようにしてGluに依存する電流値を得る。バイオセンサにおいて、前記酸化還元酵素と酸化還元物質が血液と接触し、これらが血液中に溶解される。そうすると、血液中の基質であるGluと前記酸化還元酵素との間で酵素反応が進行し、前記酸化還元物質が還元されて、フェロシアン化物が生成する。この反応終了後、還元された酸化還元物質を電気化学的に酸化し、このとき得られる電流から血液中のGluに依存する電流値を得る。
前記対極上への酸化還元物質の配置は、例えば、酸化還元物質を水若しくは緩衝液に溶解し、これを対極表面に滴下若しくは塗布し、これを乾燥させればよい。酸化還元物質に加え、他の試薬を配置する場合には、前述のように試薬液を調製し、これを対極表面に滴下若しくは塗布し、これを乾燥させればよい。例えば、0.01〜2.0wt%CMC水溶液に、フェリシアン化カリウム10〜200mM、タウリン10〜300mMを溶解させて試薬溶液を調製し、これを、前記基板上の対極の上に0.01〜100mg滴下し、乾燥させる。前記乾燥の方法は、特に制限されず、自然乾燥でも温風を用いた強制乾燥でもよい。
本発明のバイオセンサにおいて、不純物の付着防止および酸化防止等の目的で、前記酸化還元物質が配置されない作用極は、高分子材料により被覆されていることが好ましい。前記高分子材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリジン等のポリアミノ酸、ポリスチレンスルホン酸、ゼラチンおよびその誘導体、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、スターチおよびその誘導体、無水マレイン酸重合体およびその塩、アガロースゲルおよびその誘導体、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。これら高分子材料は、単独で使用してもよいし、2種類以上で併用してもよい。高分子材料による電極の被覆方法は、特に制限されず、例えば、高分子材料溶液を準備し、これを電極表面に塗布し、ついで乾燥させて前記塗膜中の溶媒を除去すればよい。
前記高分子材料による電極表面の被覆は、前述のように、例えば、所定の高分子材料を水若しくは緩衝液に溶解し、これを乾燥させることにより形成することができる。例えば、0.01〜2.0wt%CMC水溶液を、前記基板上の作用極11の上に0.01〜100mg滴下し、乾燥させればよい。前記乾燥の方法は、特に制限されず、自然乾燥でも温風を用いた強制乾燥でもよい。
本発明のバイオセンサは、絶縁基板、スペーサおよびカバーをこの順序で積層し、一体化することにより製造できる。一体化には、前記3つの部材を接着剤で貼り付けたり、若しくは熱融着してもよい。前記接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、また熱硬化性接着剤(ホットメルト接着剤等)、UV硬化性接着剤等が使用できる。
図1、図2および図3に、本発明の第1バイオセンサの一例を示す。図4は、本発明の第1バイオセンサの別の一例の平面図を示す。図1は、前記センサの分解斜視図であり、図2は断面図であり、図3、図4は平面図であり、前記四図において、同一部分には同一符号を付している。
図示のように、この第1バイオセンサは、絶縁基板101の上に、4個の電極A、B、CおよびDが形成されている。これらの電極は、作用極と対極に切り換え可能である。電極A、BおよびDの一部を覆うように試薬層11が配置されている。試薬層11は、グルコースデヒドロゲナーゼ等の酸化還元酵素、フェナンスレンキノン(9,10−フェナンスレンキノン)、3−フェニルイミノ−3H−フェノチアジンまたは、フェリシアン化カリウム等の酸化還元物質を含み、任意成分として、酵素安定化剤、結晶均質化剤、高分子等を含む。前記絶縁基板101の上には、一方の端部(図において右側端部)を残してスペーサ102を介しカバー103が配置されている。このセンサには、各電極(A、B、CおよびD)に血液を導入するために、絶縁基板101、スペーサ102およびカバー103から成る反応部14が形成されている。この反応部14の先端は、センサの他方の端部(図において左側端部)まで延伸しており、外部に対し開口することで生体試料供給口12となっている。この反応部14は、血液が導入される部分(流路)である。前記4個の電極(A、B、CおよびD)は各々リードと連結し、これらのリードは、前記一方の端部側(図において右側端部)に延びており、リードの先端はカバーに覆われずに露出している。この露出している部分17が、接続端子部である。作用極Cの接続端子部17と、反応部との間(例えば、スペーサ102に覆われている部分)に、第1補正部15が形成されている。前記カバー103において、反応部14の右側端部に対応する部分には、空気孔13が形成されている。図3における第1バイオセンサの平面図と図4における第1バイオセンサの平面図は、作用極Cの接続端子部17と、反応部との間(例えば、スペーサ102に覆われている部分)に、第2補正部16がさらに形成されている点のみ、相違する。それ以外は同様である。なお、図4中に、第2補正部16は第1補正部15より接続端子部17寄りに配置されているが、反応部14寄りに配置されてもよい。
後記する血液中のヘマトクリット値を測定する方法において用いられる第1バイオセンサにおいては、電極Aは作用極として、電極Bは対極として、電極Cは作用極として、電極Dは検知極として、機能してもよい。
本発明のバイオセンサにおいて、前記絶縁基板101の材質は、特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオキシメチレン(POM)、モノマーキャストナイロン(MC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、メタクリル樹脂(PMMA)、ABS樹脂(ABS)、ガラス等が使用でき、このなかで、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)およびポリイミド(PI)が好ましく、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。絶縁基板の大きさは、特に制限されず、例えば、全長5〜100mm、幅2〜50mm、厚み0.05〜2mmであり、好ましくは、全長7〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.1〜1mmであり、より好ましくは、全長10〜30mm、幅3〜10mm、厚み0.1〜0.6mmである。
絶縁基板上の電極およびリードは、例えば、金、白金、パラジウム、ルテニウム等の貴金属を材料として、スパッタリング法あるいは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザーにより特定の電極パターンに加工することで形成できる。レーザーとしては、例えば、YAGレーザー、グリーンレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー等が使用できる。
前記試薬層11は、次のようにして形成する。例えば、グルコースデヒドロゲナーゼを0.1〜5U/センサ、酸化還元物質として、フェナンスレンキノン(9,10−フェナンスレンキノン)、3−フェニルイミノ−3H−フェノチアジンまたは、フェリシアン化カリウムを10〜300mM、マルチトールを1〜50mM、タウリンを20〜200mM、高分子を0.1〜2重量%含む(必要に応じて界面活性剤も含む)水溶液を円形のスリット部(図示せず)に滴下し、乾燥させる。このスリット部を設置することで、滴下された水溶液の拡がりを抑制することができ、試薬層11をより正確な位置に配置することができる。これにより、電極A、BおよびDが形成する電極系の一部を覆うように試薬層11が形成される。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でも温風を用いた強制乾燥でもよいが、高温過ぎると酵素が失活するおそれがあるので、50℃前後の温風を用いることが好ましい。
次に、補正領域の形成について、説明する。
まず、上記のごとく、各シート(絶縁基板上)にパラジウム等の貴金属で導電層を形成し、その後、レーザーにより特定の電極パターンを形成する。その際に、各シートに形成された導電層の特定箇所においてシートの抵抗値を測定しておく。
次に、各シート内での各センサの抵抗値間差を調整すべく、目標の抵抗値範囲(例えば、ターゲット(T)値に対して15Ω以内)に入るよう、補正領域を形成していく。
まず、上記のごとく、各シート(絶縁基板上)にパラジウム等の貴金属で導電層を形成し、その後、レーザーにより特定の電極パターンを形成する。その際に、各シートに形成された導電層の特定箇所においてシートの抵抗値を測定しておく。
次に、各シート内での各センサの抵抗値間差を調整すべく、目標の抵抗値範囲(例えば、ターゲット(T)値に対して15Ω以内)に入るよう、補正領域を形成していく。
補正領域は、具体的には、次のようにして形成する。
まず、第1補正部15の形成について説明する。
図9に示すように、各センサにおけるZ1点およびZ3点間において、絶縁基板上に導電層が形成された各電極間の抵抗値を測定する。後述するが、Z1点およびZ3点間の抵抗値を測定するのは、この電極Cに高電圧(例えば、1.0V〜2.5V)が電圧印加されるためである。高電圧が印加される電極における抵抗値補正は、バイオセンサの感度に対する影響も大きいため、より精度向上に寄与すると考えている。
測定されたZ1点およびZ3点間の抵抗値および作用極Cの面積を考慮しその差分に応じて、上記の目標の抵抗値範囲になるよう(抵抗値を調整するよう)、少なくとも1つの線状形態を有する第1補正部15を、レーザトリミング等で導電層を削除して形成する。第1補正部15の線状形態の本数を調整することにより、抵抗値の調整を行うことができる。第1補正部15を形成した後、再度、Z1点およびZ3点間における抵抗値を測定し、その抵抗値が目標の抵抗値範囲となっていない場合には、もう一度トリミングを行ってもよい。このようにトリミングを繰り返し、第1補正部15を目標の抵抗値範囲に入るよう、調整してもよい。
まず、第1補正部15の形成について説明する。
図9に示すように、各センサにおけるZ1点およびZ3点間において、絶縁基板上に導電層が形成された各電極間の抵抗値を測定する。後述するが、Z1点およびZ3点間の抵抗値を測定するのは、この電極Cに高電圧(例えば、1.0V〜2.5V)が電圧印加されるためである。高電圧が印加される電極における抵抗値補正は、バイオセンサの感度に対する影響も大きいため、より精度向上に寄与すると考えている。
測定されたZ1点およびZ3点間の抵抗値および作用極Cの面積を考慮しその差分に応じて、上記の目標の抵抗値範囲になるよう(抵抗値を調整するよう)、少なくとも1つの線状形態を有する第1補正部15を、レーザトリミング等で導電層を削除して形成する。第1補正部15の線状形態の本数を調整することにより、抵抗値の調整を行うことができる。第1補正部15を形成した後、再度、Z1点およびZ3点間における抵抗値を測定し、その抵抗値が目標の抵抗値範囲となっていない場合には、もう一度トリミングを行ってもよい。このようにトリミングを繰り返し、第1補正部15を目標の抵抗値範囲に入るよう、調整してもよい。
図12を用いて具体的に説明する。図12は、基板抵抗値とZ1点およびZ3点間の抵抗値のグラフである。図12において、第1補正範囲(a)に含まれる場合、前記のようにトリミングおよびZ1点およびZ3点間の抵抗値の測定を繰り返して、第2補正で制御できる範囲(b)(例えば、ターゲット(T)値に対して15Ω以内)にまで調整する。
次に、第2補正部16の形成について説明する。
第1補正部15において目標の抵抗値範囲内(第2補正で制御できる範囲(b)、例えば、補正目標(c))に抵抗値を調整した後は、第2補正部16を形成することにより、目標の抵抗値(補正目標(c))になるよう調整する。
なお、第2補正部16の形成のタイミングは、第1補正部15の形成後すぐ後でもよいし、第1補正部15を形成し、次いで電極上に試薬層11を形成した後でもよい。試薬層11形成後の方が、試薬塗布状態も含めた完成形に近いセンサ単体状態で抵抗値を確認できるため、より望ましい。
第1補正部15において目標の抵抗値範囲内(第2補正で制御できる範囲(b)、例えば、補正目標(c))に抵抗値を調整した後は、第2補正部16を形成することにより、目標の抵抗値(補正目標(c))になるよう調整する。
なお、第2補正部16の形成のタイミングは、第1補正部15の形成後すぐ後でもよいし、第1補正部15を形成し、次いで電極上に試薬層11を形成した後でもよい。試薬層11形成後の方が、試薬塗布状態も含めた完成形に近いセンサ単体状態で抵抗値を確認できるため、より望ましい。
第1補正部15は線状形態の調整のため、基本的に粗い調整に限られる。そのため、目標の抵抗値範囲内(第2補正で制御できる範囲(b))に入るよう調整することは可能であるが、精密な調整は困難である。そのため、目標の抵抗値(補正目標(c))に調整するためには、精密な調整が可能である第2補正部16を形成する。
まず、第1補正部15を形成した後もしくは試薬層11を形成後、再度、Z1点およびZ3点間において抵抗値を測定する。このときの抵抗値および作用極Cの面積に基づき推定式を用いて、目標の抵抗値に調整するためのトリミング面積を算出する。そして、その面積を第2補正部16として、レーザー等を用いて形成する。第2補正部16は円形または四角形の形状であり、1μm単位で一辺の長さを変更することにより面積が容易に変更できるため、抵抗値の調整を精密に行うことが可能である。第2補正部16を形成した後、再度、Z1点およびZ3点においての抵抗値を測定し、その抵抗値が目標の抵抗値となっていない場合には、もう一度トリミングを行ってもよい。このようにトリミングを繰り返し、第2補正部16を目標の抵抗値(補正目標(c))に近づけるよう、調整を行ってもよい。
なお、最初のセンサの抵抗値測定において、測定された抵抗値が目標の抵抗値範囲(第2補正で制御できる範囲(b))にある場合には、第1補正部15を形成せずに、第2補正部16を形成してもよい。
最初から精密な補正可能な第2補正を行わない理由は、目標の抵抗値範囲に対して大きく外れている場合、そのトリミング面積が大きくなってしまうことによる。したがって、目標の抵抗値範囲に対して大きく外れている場合は、まず第1補正部15を形成することで目標の抵抗値範囲に近づけ、その後、第2補正部16を形成することにより、感度が一定のセンサを適切に得ることができる。
Z1点およびZ3点間の抵抗値が、最初から第2補正で制御できる範囲(b)に入っている場合は、第1補正部15の形成を行わず、第2補正部16の形成のみを行うこともできる。
Z1点およびZ3点間の抵抗値が、最初から第2補正で制御できる範囲(b)に入っている場合は、第1補正部15の形成を行わず、第2補正部16の形成のみを行うこともできる。
前記補正領域は、作用極のリードをYAGレーザー、グリーンレーザー等により導電層を部分的に削除して欠損させる(トリミングする)ことにより形成できる。
本発明のバイオセンサにおいて、スペーサ102の材質は、特に制限されず、例えば、絶縁基板と同様の材料が使用できる。また、スペーサ102の大きさは、特に制限されず、例えば、全長5〜100mm、幅2〜50mm、厚み0.01〜1mmであり、好ましくは、全長7〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.05〜0.5mmであり、より好ましくは、全長10〜30mm、幅3〜10mm、厚み0.05〜0.25mmである。この例のスペーサ102には、血液導入のための流路(反応部)となるI字形状の切欠部が形成されているが、その大きさは、例えば、全長0.5〜8mm、幅0.1〜5mm、好ましくは、全長1〜10mm、幅0.2〜3mm、より好ましくは、全長1〜5mm、幅0.5〜2mmである。この切欠部は、例えば、レーザーやドリル等で穿孔して形成してもよいし、スペーサ102の形成時に、切欠部が形成できるような金型を使用して形成してもよい。
本発明のバイオセンサにおいて、カバー103の材質は、特に制限されない。例えば、絶縁基板と同様の材料が使用できる。カバー103の生体試料を導入するための流路(反応部)の天井部に相当する部分は、親水処理されることがさらに好ましい。親水処理としては、例えば界面活性剤を塗布する方法、プラズマ処理などによりカバー103表面に水酸基、カルボニル基、カルボキシル基などの親水性官能基を導入する方法等がある。また、試薬層上にレシチン等の界面活性剤からなる層を形成してもよい。カバー103の大きさは、特に制限されない。例えば、全長5〜100mm、幅3〜50mm、厚み0.01〜0.5mmであり、好ましくは、全長10〜50mm、幅3〜20mm、厚み0.05〜0.25mmであり、より好ましくは、全長15〜30mm、幅5〜10mm、厚み0.05〜0.1mmである。カバー103には空気孔13が形成されていることが好ましく、形状は、例えば、円形、楕円形、多角形等である。その大きさは、例えば、最大直径0.01〜10mm、好ましくは、最大直径0.05〜5mm、より好ましくは、最大直径0.1〜2mmである。この空気孔は、例えば、レーザーやドリル等で穿孔して形成してもよいし、カバー103の形成時に、空気抜き部が形成できるような金型を使用して形成してもよい。
さらに、このセンサは、絶縁基板101上に導電層を形成し、スペーサ102およびカバー103をこの順序で積層し、一体化することで製造できる。前記3つの部材は、接着剤あるいは熱融着等で貼り合わせることにより一体化される。前記接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、また熱硬化性接着剤(ホットメルト接着剤等)、UV硬化性接着剤等が使用できる。
<第2実施形態:血液中のヘマトクリット値を測定する方法>
本発明は、血液中のヘマトクリット値を測定する方法であり、
前記第1バイオセンサの前記反応部に血液を導入し、
この状態で前記電極系に1.0〜2.5Vの電圧を印加し、これにより前記電極間に流れる電流を検出し、
前記電流の値から前記ヘマトクリット値を測定する方法である。
本発明は、血液中のヘマトクリット値を測定する方法であり、
前記第1バイオセンサの前記反応部に血液を導入し、
この状態で前記電極系に1.0〜2.5Vの電圧を印加し、これにより前記電極間に流れる電流を検出し、
前記電流の値から前記ヘマトクリット値を測定する方法である。
前記電圧は、好ましくは、1V〜10V、より好ましくは1V〜6.5V、さらに好ましくは1V〜2.5Vである。前記電圧の印加時間は、例えば0.001〜60秒、好ましくは0.01〜10秒、より好ましくは0.01〜5秒である。前記電圧印加を2回以上行う場合、前記電圧と前記電圧の印加時間は、それぞれの回で同一であっても異なっていてもよい。
前記血液中のヘマトクリット値を測定する方法は、
前記第1バイオセンサの前記反応部に血液を導入した後、電極Cと電極Dとの間に電圧を印加することにより、血液の導入を検知する工程を更に含んでもよい。血液の導入を確認後、以降の工程を開始する。
前記第1バイオセンサの前記反応部に血液を導入した後、電極Cと電極Dとの間に電圧を印加することにより、血液の導入を検知する工程を更に含んでもよい。血液の導入を確認後、以降の工程を開始する。
(a)ヘマトクリット値の測定
図3、図4の平面図に示す第1バイオセンサの電極Cを作用極、電極Aを対極として、その電極間に電圧を印加することにより、ヘマトクリットの電解酸化反応に基づく電流が検出される。
図3、図4の平面図に示す第1バイオセンサの電極Cを作用極、電極Aを対極として、その電極間に電圧を印加することにより、ヘマトクリットの電解酸化反応に基づく電流が検出される。
図5の斜視図に、本発明のバイオセンサ1を装着した状態の測定装置の一例を示す。図示のように、この測定装置2は、その一端にセンサ1の装着口5を有し、ここにセンサ1を装着して保持する。なお、符号12は、センサ1の生体試料供給口である。また、この測定装置2の略中央には表示部4を有し、ここに測定結果を表示する。
図6には、本発明のバイオセンサ1を装着した状態の測定装置の電気ブロック図の一例を示す。前記測定装置において、前記測定装置の入力端子部6には、電圧を印加する電圧印加部37と、電流−電圧変換部38が接続されている。電圧印加部37には、制御部39から電圧が印加され、この電圧は、入力端子部6を介して、バイオセンサ1の電極のうち所望の電極へ一定時間印加される。この電圧印加によりバイオセンサ1において電極間に流れる電流は、電流−電圧変換部38にて電圧に変換され、その後、この電圧はA/D変換部30でデジタル変換され、このデジタル変換された電圧が判定手段31によって閾値と比較される。
また、制御部39に接続された表示部32には、前記バイオセンサ1で検出した成分の値や、前記判定手段31による判定結果が表示されるようになっている。なお、図6の符号33は電源部で、前記各部に電源を供給するためのものである。符号34は、印加電圧、印加時間等からなるテーブルや環境温度から予め作成した検量線および検量テーブルを備えたメモリである。
また、前記制御部39には、時計35が接続され、制御部39は、この時計35の時刻および時間を活用して、各種制御動作を実行するように構成されている。さらに、制御部39内には、補正手段36が設けられ、測定したHct値によって補正することで、Hct値の測定精度を高めるものである。
<第3実施形態:第2バイオセンサ>
また、本発明は、
血液成分量を測定するためのバイオセンサであって、
絶縁基板上にヘマトクリット値測定用の作用極および対極を含む第1電極系と、血液成分測定用の作用極および対極を含む第2電極系を有し、
前記各電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、
前記反応部には酸化還元物質を含む試薬層を有し、
前記第1電極系の作用極における前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含む、
バイオセンサである(第2バイオセンサと呼ぶことがある)。
また、本発明は、
血液成分量を測定するためのバイオセンサであって、
絶縁基板上にヘマトクリット値測定用の作用極および対極を含む第1電極系と、血液成分測定用の作用極および対極を含む第2電極系を有し、
前記各電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、
前記反応部には酸化還元物質を含む試薬層を有し、
前記第1電極系の作用極における前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含む、
バイオセンサである(第2バイオセンサと呼ぶことがある)。
本発明第2バイオセンサを用いる測定対象の血液成分は、例えば、グルコース、ケトン、HbA1c、乳酸、尿酸、ビリルビンおよびコレステロール等である。本発明の第2バイオセンサにおいて、前記試薬部が含む酵素は、測定対象の生体試料の成分に応じ適宜選択される。
第2バイオセンサは、第1バイオセンサとは異なり、上記血液成分量も測定できる。
第2バイオセンサは、第1バイオセンサとは異なり、上記血液成分量も測定できる。
前記第2バイオセンサにおいて、前記第1電極系において、
前記反応部における作用極上には、前記試薬層が配置されておらず、
前記反応部における対極上には、前記試薬層が配置されているのが好ましい。
前記反応部における作用極上には、前記試薬層が配置されておらず、
前記反応部における対極上には、前記試薬層が配置されているのが好ましい。
前記第2バイオセンサにおいて、前記補正領域は、少なくとも1つの線状形態を有する第1補正部を含むのが好ましい。前記第1補正部は、例えば、作用極のリードに対して部分的に導電層を削除して欠損させる(トリミングする)ことにより形成する。このように欠損した部分を形成することにより、基板抵抗のばらつきに起因するバイオセンサの感度のばらつきを抑制することができる。また、このように欠損した部分を形成することにより、基板抵抗のばらつきやバイオセンサの感度に起因する他の要素も、感度を調整することが可能である。
少なくとも1つの線状形態を有する前記第1補正部の具体的な形状については、図7に例示する。図7において、(a)は、補正領域を形成する前の作用極の形態を示す。(b)は、互い違いに複数の線状形態を有する補正領域を示す。(c)は、作用極の中央付近にも複数の線状形態を有する補正領域を示す。(d)は、(b)の形態にさらに作用極に平行な複数の線状形態を有する補正領域を示す。(e)は、(c)の形態にさらに作用極に平行な線状形態を有する補正領域を示す。(f)は、作用極の形態自体を狭くした補正領域を示す。前記第1補正部の具体的な形状のうち、(b)および(c)が広範囲の制御が可能かつ、加工量の算出がシンプルであり、好ましい。
前記第2バイオセンサにおいて、前記第1電極系の作用極における前記反応部と前記接続端子部との間には、2つ以上の補正領域を含み、
前記2つ以上の補正領域は、前記第1補正部と第2補正部を含み、
前記第2補正部は、円形形態または四角形形態を有するのが好ましい。
前記2つ以上の補正領域は、前記第1補正部と第2補正部を含み、
前記第2補正部は、円形形態または四角形形態を有するのが好ましい。
前記第2補正部も、例えば、作用極のリードに対して部分的に導電層を削除して欠損させる(トリミングする)ことにより形成する。このような第2補正部を形成することにより、より精密にバイオセンサの感度のばらつきを抑制することが可能である。また、前記第1補正部を形成した際に発生するわずかな位置ズレによる影響を、第2補正部形成により調整することも可能である。前記第1補正部のみにより十分にバイオセンサの感度のばらつきを抑制できている場合には、このような第2補正部は、必ずしも必要ではない。
円形形態または四角形形態を有する前記第2補正部の具体的な形状については、図8に例示する。図8において、(a)は、補正領域を形成する前の作用極の形態を示す。(b)は、四角の形態を有する補正領域を示す。(c)は、作用極の中央付近に一辺が欠けた四角の形態を有する補正領域を示す。(d)は、四角の形態の一辺が作用極と重複した形態を有する補正領域を示す。(e)は、二辺が欠けた四角の形態を有する補正領域を示す。(f)は、(c)の形態を二つ有する補正領域を示す。(g)は、作用極の中央付近に円形形態を有する補正領域を示す。前記第2補正部の具体的な形状のうち、(b)および(c)が加工ズレの影響を受けにくく加工量の算出がシンプルであり、好ましい。
前記補正領域は、作用極のリードをYAGレーザー、グリーンレーザー等により導電層を部分的に削除して欠損させる(トリミングする)ことにより形成できる。一度トリミングした後、作用極の抵抗値を測定し、その抵抗値が目的の値となっていない場合には、もう一度トリミングを行ってもよい。このようにトリミングを繰り返し、第1補正部や第2補正部を目的の抵抗値に近づけるよう、調整してもよい。
前記第2バイオセンサにおいて、前記対極および前記作用極は、金、白金、またはパラジウムより形成されるのが好ましい。
前記第2バイオセンサにおいて、前記作用極と前記対極とが、互いに間隔をあけて平面的に配置されているのが好ましい。具体的には、前記作用極と対極との間の最近接距離は、0.05mm以上であるのが好ましい。このように0.05mm以上の電極間距離があれば、測定値の信頼性が向上する。より好ましい電極間距離は、0.1mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上である。
図1〜4は第1バイオセンサの図であるが、第2バイオセンサとしても使用できる。その場合、後記する血液成分量を測定する方法において用いられる第2バイオセンサとしては、電極Aは作用極もしくは対極として、電極Bは対極として、電極Cは作用極として、電極Dは検知極もしくは対極として、機能してもよい。
<第4実施形態:血液成分量を算出する方法>
また、本発明は、血液成分量を算出する方法であって、
前記第2バイオセンサの前記反応部に血液を導入し、
この状態で前記第1電極系に1.0〜2.5Vの電圧を印加し、これにより前記電極間に流れる電流値を検出し、前記電流値から前記ヘマトクリット値を得る一方、
前記第2電極系に電圧を印加して得られる電流値から血液成分量の初期値を検出し、
前記血液成分量の初期値を、前記ヘマトクリット値に応じて補正することで、最終の血液成分量を算出する方法である。
また、本発明は、血液成分量を算出する方法であって、
前記第2バイオセンサの前記反応部に血液を導入し、
この状態で前記第1電極系に1.0〜2.5Vの電圧を印加し、これにより前記電極間に流れる電流値を検出し、前記電流値から前記ヘマトクリット値を得る一方、
前記第2電極系に電圧を印加して得られる電流値から血液成分量の初期値を検出し、
前記血液成分量の初期値を、前記ヘマトクリット値に応じて補正することで、最終の血液成分量を算出する方法である。
前記第1電極系へ印加する前記電圧は、好ましくは、好ましくは、1V〜10V、より好ましくは1V〜6.5V、さらに好ましくは1V〜2.5Vである。前記電圧の印加時間は、例えば0.001〜60秒、好ましくは0.01〜10秒、より好ましくは0.01〜5秒である。前記電圧印加を2回以上行う場合、前記電圧と前記電圧の印加時間は、それぞれの回で同一であっても異なっていてもよい。
前記第2電極系へ印加する前記電圧は、好ましくは、0.05V〜1V、より好ましくは0.1V〜0.8V、さらに好ましくは0.2V〜0.5Vである。前記電圧の印加時間は、例えば0.01〜30秒、好ましくは0.1〜10秒、より好ましくは1〜5秒である。前記電圧印加を2回以上行う場合、前記電圧と前記電圧の印加時間は、それぞれの回で同一であっても異なっていてもよい。
前記第2バイオセンサを用いる血液成分量の算出方法は、前記第2バイオセンサの前記反応部に血液を導入した後、電極Cと電極Dとの間に電圧を印加することにより、血液の導入を検知する工程を更に含んでもよい。血液の導入を確認後、以降の工程を開始する。
(a)第2の電極系を用いた血液成分量の測定
血液中の成分と酸化還元酵素とを一定時間反応させた後、図3または図4の平面図に示すバイオセンサの電極Aを作用極、電極Bを対極として、その電極間に電圧を印加することにより、作用極上に生じた還元状態の酸化還元物質を酸化し、その酸化電流を検出する。この電流値から血液成分量の初期値を検出する。
血液中の成分と酸化還元酵素とを一定時間反応させた後、図3または図4の平面図に示すバイオセンサの電極Aを作用極、電極Bを対極として、その電極間に電圧を印加することにより、作用極上に生じた還元状態の酸化還元物質を酸化し、その酸化電流を検出する。この電流値から血液成分量の初期値を検出する。
(b)第1の電極系を用いたヘマトクリット値の測定
図3または図4の平面図に示すバイオセンサの電極Cを作用極、電極Aを対極として、
その電極間に電圧を印加することにより、ヘマトクリットの電解酸化反応に基づく電流が検出される。この結果に基づいてヘマトクリット値を算出する。このヘマトクリット値は、血液成分量の補正に使用される。この補正では、あらかじめ作製された電流とヘマトクリット値との検量線から求めたヘマトクリットの量を使用してもよいし、検出された電流をそのまま使用してもよい。
図3または図4の平面図に示すバイオセンサの電極Cを作用極、電極Aを対極として、
その電極間に電圧を印加することにより、ヘマトクリットの電解酸化反応に基づく電流が検出される。この結果に基づいてヘマトクリット値を算出する。このヘマトクリット値は、血液成分量の補正に使用される。この補正では、あらかじめ作製された電流とヘマトクリット値との検量線から求めたヘマトクリットの量を使用してもよいし、検出された電流をそのまま使用してもよい。
(c)血液成分量の補正
前記血液成分量の初期値および前記ヘマトクリット値を用いて、最終の血液成分量を算出する。
前記血液成分量の初期値および前記ヘマトクリット値を用いて、最終の血液成分量を算出する。
次に本発明のバイオセンサの実施例について、図面に基づき説明する。
[実施例1]
図1、2および4に示す構成のバイオセンサを作成した。なお、図1において一番下の101は、図4の101と置き換えた。なお、前記センサにおいて、前記作用極Cは、例えば高分子材料により被覆した。一方、グルコースデヒドロゲナーゼを0.1〜5U/センサ、酸化還元物質として、フェナンスレンキノン(9,10−フェナンスレンキノン)、3−フェニルイミノ−3H−フェノチアジンまたは、フェリシアン化カリウム(量:10〜300mM)、マルチトールを1〜50mM、タウリン(20〜200mM)を、CMC水溶液(0.01〜2wt%)に溶解して調製した試薬液を前記作用極A、対極Bおよび検知極D上に滴下した後、乾燥させた。前記両電極間(作用極A、対極B)の最近接距離は0.1mm以上とした。他方、Hct値を、0%および42%に調整した、2種類の血液試料を準備した。これらHct値が異なる2つの血液試料について、前記バイオセンサにより、印加電圧2.5V、印加時間0.5秒の条件で、バイオセンサの前記両電極に流れる電流を測定した。
シートに導電層として形成される貴金属材料(例えば、パラジウム)の材料抵抗値が15Ω変動した際に、センサ感度がどの程度改善するのかを、上記Hct値が異なる2つの血液試料を用いて測定した結果を、図10(a)〜図11(a)および、図10(b)〜図11(b)のグラフを用いて示す。
まず、図10(a)、図11(a)は、作用極Cに補正領域(第1補正部15、第2補正部16)を形成しないバイオセンサを用いた場合の感度差のグラフである。図10(a)、図10(b)、図11(a)および図11(b)において、8つのバイオセンサを用いて測定した。各バイオセンサごとに得られた値をグラフに示す。
図10(a)は、Hctが0%の血液試料を測定した場合のバイオセンサの基準抵抗値に対する感度差のグラフである。図11(a)は、Hctが42%の血液試料を測定した場合のバイオセンサの基準抵抗値に対する感度差のグラフである。それぞれの感度は、Hctが0%の血液試料を測定した場合は9%/30Ω、Hctが42%の血液試料を測定した場合は6%/30Ωであった。いずれのHct値の場合にでも、バイオセンサには6〜9%ほどの感度差が発生しており、シートならびに貴金属材料の材料抵抗値変動の影響を受けていることがわかる。
図1、2および4に示す構成のバイオセンサを作成した。なお、図1において一番下の101は、図4の101と置き換えた。なお、前記センサにおいて、前記作用極Cは、例えば高分子材料により被覆した。一方、グルコースデヒドロゲナーゼを0.1〜5U/センサ、酸化還元物質として、フェナンスレンキノン(9,10−フェナンスレンキノン)、3−フェニルイミノ−3H−フェノチアジンまたは、フェリシアン化カリウム(量:10〜300mM)、マルチトールを1〜50mM、タウリン(20〜200mM)を、CMC水溶液(0.01〜2wt%)に溶解して調製した試薬液を前記作用極A、対極Bおよび検知極D上に滴下した後、乾燥させた。前記両電極間(作用極A、対極B)の最近接距離は0.1mm以上とした。他方、Hct値を、0%および42%に調整した、2種類の血液試料を準備した。これらHct値が異なる2つの血液試料について、前記バイオセンサにより、印加電圧2.5V、印加時間0.5秒の条件で、バイオセンサの前記両電極に流れる電流を測定した。
シートに導電層として形成される貴金属材料(例えば、パラジウム)の材料抵抗値が15Ω変動した際に、センサ感度がどの程度改善するのかを、上記Hct値が異なる2つの血液試料を用いて測定した結果を、図10(a)〜図11(a)および、図10(b)〜図11(b)のグラフを用いて示す。
まず、図10(a)、図11(a)は、作用極Cに補正領域(第1補正部15、第2補正部16)を形成しないバイオセンサを用いた場合の感度差のグラフである。図10(a)、図10(b)、図11(a)および図11(b)において、8つのバイオセンサを用いて測定した。各バイオセンサごとに得られた値をグラフに示す。
図10(a)は、Hctが0%の血液試料を測定した場合のバイオセンサの基準抵抗値に対する感度差のグラフである。図11(a)は、Hctが42%の血液試料を測定した場合のバイオセンサの基準抵抗値に対する感度差のグラフである。それぞれの感度は、Hctが0%の血液試料を測定した場合は9%/30Ω、Hctが42%の血液試料を測定した場合は6%/30Ωであった。いずれのHct値の場合にでも、バイオセンサには6〜9%ほどの感度差が発生しており、シートならびに貴金属材料の材料抵抗値変動の影響を受けていることがわかる。
次に、上記と同じシート(抵抗値の変動が±15Ω)を用いて、補正領域(第1補正部15、第2補正部16)を、作用極Cに形成したバイオセンサを用いた場合について説明する。上述のごとく、シートの抵抗値を測定後、図9に示すように、バイオセンサのZ1点およびZ3点においての抵抗値を測定した。その後、目標の抵抗値範囲内に入るよう、前記抵抗値および作用極Cの面積を考慮し、第1補正部15を形成した。次いで、バイオセンサのZ1点およびZ3点において抵抗値を測定した。また、目標の抵抗値になるよう、このときの抵抗値および作用極Cの面積に基づき推定式を用いて、トリミング面積を算出し、その面積を第2補正部16として形成した。前記Hct値が異なる2つの血液試料について、補正領域を形成した前記バイオセンサにより、印加電圧2.5V、印加時間0.5秒の条件で、バイオセンサの前記両電極に流れる電流を測定した。
補正領域(第1補正部15、第2補正部16)を、作用極Cに形成したバイオセンサを用いた場合のセンサ感度差のグラフを、図10(b)、図11(b)に示す。図10(b)は、Hctが0%の場合の2つの補正領域を形成したバイオセンサの表面抵抗率に対する感度差のグラフである。図11(b)は、Hctが42%の場合の2つの補正領域を形成したバイオセンサの表面抵抗率に対する感度差のグラフである。それぞれの感度は、Hctが0%の血液試料を測定した場合は0.9%/30Ω、Hctが42%の血液試料を測定した場合は0%/30Ωであった。
補正領域(第1補正部15、第2補正部16)を、作用極Cに形成したバイオセンサを用いた場合のセンサ感度差のグラフを、図10(b)、図11(b)に示す。図10(b)は、Hctが0%の場合の2つの補正領域を形成したバイオセンサの表面抵抗率に対する感度差のグラフである。図11(b)は、Hctが42%の場合の2つの補正領域を形成したバイオセンサの表面抵抗率に対する感度差のグラフである。それぞれの感度は、Hctが0%の血液試料を測定した場合は0.9%/30Ω、Hctが42%の血液試料を測定した場合は0%/30Ωであった。
前記図に示すように、このバイオセンサによれば、作用極Cに補正領域を設けることにより、製造されたバイオセンサの感度差を低減することができるため、より高精度な測定を行うことが出来る。
以上のように、本発明のバイオセンサの製造方法は、生体試料の成分をさらに高精度に測定することが可能なバイオセンサを製造することができる。従って、本発明のバイオセンサの製造方法は、生物学、生化学および医学等の血液成分を測定する、あらゆる分野に好ましく使用でき、特に臨床検査の分野に好適である。
A 電極A
B 電極B
C 電極C
D 電極D
11 試薬層
12 生体試料供給口
13 空気孔
14 反応部
15 第1補正部
16 第2補正部
17 接続端子部
101 絶縁基板
102 スペーサ
103 カバー
1 センサ
2 測定装置
4 表示部
5 装着口
6 入力端子部
30 A/D変換部
31 判定手段
32 表示部
33 電源部
34 メモリ
35 時計
36 補正手段
37 電圧印加部
38 電流−電圧変換部
39 制御部
40 切替回路
B 電極B
C 電極C
D 電極D
11 試薬層
12 生体試料供給口
13 空気孔
14 反応部
15 第1補正部
16 第2補正部
17 接続端子部
101 絶縁基板
102 スペーサ
103 カバー
1 センサ
2 測定装置
4 表示部
5 装着口
6 入力端子部
30 A/D変換部
31 判定手段
32 表示部
33 電源部
34 メモリ
35 時計
36 補正手段
37 電圧印加部
38 電流−電圧変換部
39 制御部
40 切替回路
Claims (13)
- 血液中のヘマトクリット値を測定するためのバイオセンサであって、
絶縁基板上に作用極および対極を含む電極系を有し、
前記電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、
前記反応部における作用極上には、試薬層が配置されておらず、
前記反応部における対極上には前記試薬層が配置されており、
前記試薬層は、酸化還元物質を含むバイオセンサであって、
前記作用極の前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含む
バイオセンサ。 - 前記補正領域は、少なくとも1つの線状形態を有する第1補正部を含む請求項1に記載のバイオセンサ。
- 前記作用極の前記反応部と前記接続端子部との間には、2つ以上の補正領域を含み、
前記2つ以上の補正領域は、前記第1補正部と第2補正部を含み、
前記第2補正部は、円形形態または四角形形態を有する請求項2に記載のバイオセンサ。 - 前記対極および前記作用極は、金、白金、またはパラジウムより形成される請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記作用極と前記対極とが、互いに間隔をあけて平面的に配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 血液中のヘマトクリット値を測定する方法であり、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のバイオセンサの前記反応部に血液を導入し、
この状態で前記電極系に1.0〜2.5Vの電圧を印加し、これにより前記電極間に流れる電流を検出し、
前記電流の値から前記ヘマトクリット値を測定する方法。 - 血液成分量を測定するためのバイオセンサであって、
絶縁基板上にヘマトクリット値測定用の作用極および対極を含む第1電極系と、血液成分測定用の作用極および対極を含む第2電極系を有し、
前記各電極系は反応部と、前記反応部に電圧を印加するための接続端子部とを有し、
前記反応部には酸化還元物質を含む試薬層を有し、
前記第1電極系の作用極における前記反応部と前記接続端子部との間には、1つ以上の補正領域を含む、
バイオセンサ。 - 前記第1電極系において、
前記反応部における作用極上には、前記試薬層が配置されておらず、
前記反応部における対極上には、前記試薬層が配置されている、請求項7に記載のバイオセンサ。 - 前記補正領域は、少なくとも1つの線状形態を有する第1補正部を含む請求項7または8に記載のバイオセンサ。
- 前記第1電極系の作用極における前記反応部と前記接続端子部との間には、2つ以上の補正領域を含み、
前記2つ以上の補正領域は、前記第1補正部と第2補正部を含み、
前記第2補正部は、円形形態または四角形形態を有する請求項9に記載のバイオセンサ。 - 前記対極および前記作用極は、金、白金、またはパラジウムより形成される請求項8〜10のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 前記作用極と前記対極とが、互いに間隔をあけて平面的に配置されている請求項8〜11のいずれか一項に記載のバイオセンサ。
- 血液成分量を算出する方法であって、
請求項8〜12のいずれか一項に記載のバイオセンサの前記反応部に血液を導入し、
この状態で前記第1電極系に1.0〜2.5Vの電圧を印加し、これにより前記電極間に流れる電流値を検出し、前記電流値から前記ヘマトクリット値を得る一方、
前記第2電極系に電圧を印加して得られる電流値から血液成分量の初期値を検出し、
前記血液成分量の初期値を、前記ヘマトクリット値に応じて補正することで、最終の血液成分量を算出する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018199709A JP2020067350A (ja) | 2018-10-24 | 2018-10-24 | バイオセンサとそれを用いた血液成分量の測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018199709A JP2020067350A (ja) | 2018-10-24 | 2018-10-24 | バイオセンサとそれを用いた血液成分量の測定方法 |
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JP2020067350A true JP2020067350A (ja) | 2020-04-30 |
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JP2018199709A Pending JP2020067350A (ja) | 2018-10-24 | 2018-10-24 | バイオセンサとそれを用いた血液成分量の測定方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2020067350A (ja) |
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2018
- 2018-10-24 JP JP2018199709A patent/JP2020067350A/ja active Pending
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