JPWO2008044644A1 - ケイ素系液晶配向剤及び液晶配向膜 - Google Patents

ケイ素系液晶配向剤及び液晶配向膜 Download PDF

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Abstract

液晶配向性が良好で高硬度な液晶配向膜を形成でき、且つフレキソ印刷等の塗布性に優れたケイ素系液晶配向剤、それから得られる液晶配向膜、及び信頼性が高く、高画質な液晶表示素子を提供する。下記のポリシロキサン(A)及びグリコール化合物(B)を含有することを特徴とする液晶配向剤。ポリシロキサン(A):下記式(1)で表されるアルコキシシランのうちの少なくとも一種を含むアルコキシシランを重縮合することで得られるポリシロキサン。R1nSi(OR2)4−n(1)(R1は炭素原子数7〜30の有機基であり、R2は炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数を表す)グリコール化合物(B):ヒドロキシ基及び水素原子が結合した炭素原子を2個有し、かつ前記した2個の炭素原子が、ヘテロ原子を含んでもよい脂肪族基を介して結合した構造を有し、連続した炭素原子の数が3〜6であるグリコール化合物。

Description

本発明は、アルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンと、特定のグリコール化合物と、を含有する液晶配向剤、及び前記液晶配向剤から得られる液晶配向膜、並びにその液晶配向膜を有する液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は、透明電極上にポリアミック酸及び/又はポリイミドを主成分とする液晶配向膜が設けられている2枚の基板を対向配置し、その間隙内に液晶物質を充填させた構造であることが一般に知られている。最もよく知られている方式としては、TN(Twisted Nematic)型液晶表示素子であるが、これよりも高いコンストラスト比が実現できるSTN(Super Twisted Nematic)型、視野角依存性が少ないIPS(In−Plane Switching)型、垂直配向(VA:Vertical Alignment)型等の開発がなされている。
中でも、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)で駆動する垂直配向型液晶表示素子は、応答速度が速く、超広視野角、高コントラストという特徴を有しており、更なる高品質化を求めたMVA(Multi−domain Vertical Alignment)、ASV(Advanced Super View)、PVA(Patterned Vertical Alignment)といった新しい垂直配向型の液晶表示素子が提案されてきている。
これらの液晶表示素子に設けられている液晶配向膜は、液晶を配向させると共に、液晶表示素子の電気特性等の各種特性に大きな影響を与えることが知られている。そのため、このような新しい垂直配向型表示素子に対しても、それに好適な液晶配向膜の開発がなされてきた。
例えば、良好な垂直配向性を得る液晶配向膜として、ポリアミック酸及び/又はポリイミドに長鎖アルキル鎖を導入する手法(例えば、特許文献1参照。)、環状置換基を導入する手法等が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
さらに、高く安定な垂直配向性を実現させるためには、多量の長鎖アルキル基を導入し、膜を撥水化して表面エネルギーを低下させる必要があるといわれている。
また、良好な垂直配向性と共に、高い電圧保持率及び/又は低い残留DCという電気特性を素子に付与する目的で、ポリアミック酸及び/又はポリイミドに特定の環状置換基を導入する方法が提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
最近では、ビジネス用途及びホームシアター用の液晶プロジェクタ(第3の薄型テレビと言われるリアプロTV)用の光源として、照射強度の強いメタルハライドランプが用いられており、従来用いられてきた有機ポリマーからなる液晶配向膜材料以外で、高耐熱性だけでなく高耐光性を有するその他の液晶配向膜材料が必要になってきている。その解決策の一つとして、無機ポリマーをベースにした液晶配向膜材料を本用途に適用することが提案されている。
しかし、無機ポリマーをベースにした液晶配向膜材料に関する研究開発は蒸着系材料が主であり(例えば、特許文献4、5参照。)、大画面ディスプレイの製造に有利な塗布系材料に関する報告はほとんどない。このため、これまで無機ポリマーをベースにした液晶配向膜材料はほとんど使用されてこなかった。
塗布系無機ポリマーを液晶配向膜材料として使用するという報告は、例えば、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン及び水との反応生成物とグリコールエーテル系溶媒を含有する液晶配向剤組成物が提案されている。それらの組成物は、表示不良を防止し、長時間駆動後も残像特性の良好な、液晶を配向させる能力を低下させることなく、且つ光及び熱に対する電圧保持率の低下が少ない液晶配向膜を形成することができるというものだけであり(例えば、特許文献6、7参照。)、実用レベルの塗布系無機ポリマーからなる液晶配向膜材料はこれまでなかった。
この動向とは別に、液晶TVを始めとする液晶表示素子の技術革新は目覚しく、これを達成するために、特に素子の信頼性向上がこれまでにも増して大きな課題となってきている。
素子の信頼性の一つとして、素子の電気的な信頼性が挙げられる。従来のTFT型液晶表示素子の信頼性、特に電気的な信頼性は、液晶表示素子の30ヘルツ動作に対応した電圧保持率やその温度特性によって確認されていたが、このような測定方法では微小な差を検出することが困難であり、上記の課題を解決できるものではなかった。
そこで、更に高い信頼性を確認する方法として、液晶表示素子に印加するパルス電圧の間隔を広げるように、低周波で素子を駆動して電圧保持率を測定する方法が提案されている。(例えば、特許文献8参照。)
素子のもう一つの信頼性として、素子の製造時の信頼性が挙げられる。つまり、液晶表示素子の信頼性は、モニター、テレビ等の表示特性に対する信頼性だけではなく、製造工程における歩留まり向上に直接影響するため、非常に重要となっている。
更に、近年、液晶表示素子が大型化する状況において、製造工程での歩留まりが、液晶表示素子の生産性に従来よりも大きく影響すると言われている。フレキソ印刷等で液晶配向膜を塗布する際の塗布性が液晶表示素子の画質に大きな影響を与えるだけでなく、歩留まりを悪化させる原因にもなっている。
とりわけ、垂直配向型表示素子の場合は、液晶を垂直に配向させる必要があり、無機ポリマー骨格中に長鎖アルキル基を導入する必要がある。(例えば、特許文献6、7参照。)
しかし、導入する長鎖アルキル基の量が多くなるほど、塗布性が悪くなるという問題がある。また、長鎖アルキル基を含有するアルコキシシランの導入量が多くなるほど膜の緻密性が低下し、硬度が低下することによる表示不良、トンネル電流による表示短絡、といった悪影響をおよぼす。
そこで、上記課題を解決できる、垂直配向用で、印刷性等の塗布性に優れた、無機ポリマーをベースにした液晶配向膜材料に対する要求が高まってきている。
特開平06−3678号公報 特開平09−278724号公報 特開2001−311080号公報 特開2003−50397号公報 特開2004−126463号公報 特開2005−250244号公報 特開平09−281502号公報 特開2001−264805号公報
本発明の目的は、第一に、液晶配向性が良好で高硬度な液晶配向膜を形成でき、且つフレキソ印刷等の塗布性に優れたケイ素系液晶配向剤を提供することである。第二に、ケイ素系液晶配向剤から得られる液晶配向膜を提供することである。第三に、前記の液晶配向膜を有する液晶表示素子を提供することである。
本発明者らは、上記状況に鑑み鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の要旨を有する。
1.下記のポリシロキサン(A)及びグリコール化合物(B)を含有することを特徴とする液晶配向剤。
ポリシロキサン(A):下記式(1)で表されるアルコキシシランのうちの少なくとも一種を含むアルコキシシランを重縮合することで得られるポリシロキサン。
Si(OR4−n (1)
(Rは炭素原子数7〜30の有機基であり、Rは炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数を表す)
グリコール化合物(B):ヒドロキシ基及び水素原子が結合した炭素原子を2個有し、かつ前記した2個の炭素原子が、ヘテロ原子を含んでもよい脂肪族基を介して結合した構造を有し、連続した炭素原子の数が3〜6であるグリコール化合物。
2.更に、下記の溶媒(C)を含有する請求項1に記載の液晶配向剤。
溶媒(C):ヒドロキシ基を有する溶媒であって、上記1で定義したグリコール化合物(B)とは異なる化合物である溶媒。
3.ポリシロキサン(A)が、式(1)で表されるアルコキシシランを、全アルコキシシラン中に0.1〜30モル%含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである上記1又は2に記載の液晶配向剤。
4.ポリシロキサン(A)が、式(1)に示すアルコキシシランを少なくとも1種以上及び式(2)に示すアルコキシシランを少なくとも1種以上を併用したアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである上記1〜3のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
Si(OR4−m (2)
(Rは水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜6の有機基を表し、Rは炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、mは0〜3の整数を表す。)
5.グリコール化合物(B)が1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である上記1〜4のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
6.液晶配向剤中のポリシロキサン(A)の含有量が、ポリシロキサン(A)を得るために使用した全アルコキシシランのケイ素原子をSiOに換算したSiO換算濃度が、0.5〜20質量%である上記1〜5のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
7.液晶配向剤中のグリコール化合物(B)の含有量が、ポリシロキサン(A)を得るために使用した全アルコキシシランのケケイ素原子をSiOに換算した合計の100質量部に対して、2.5〜19,800質量部である上記1〜6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
8.上記1〜7のいずれか1項に記載の液晶配向剤を用いて得られる液晶配向膜。
9.上記8に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
本発明のケイ素系液晶配向剤は、特定のグリコール化合物を含有することで、それを含有しない液晶配向剤を用いた場合よりも、成膜時の膜の撥水性を高めることが容易であり、結果として緻密性が高く、高硬度で、且つ、膜の液晶配向性が良好で、且つ塗布性に優れた液晶配向膜を得ることができる。そのため、信頼性が高く、高画質な液晶表示素子を提供することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
<ポリシロキサンA>
本発明で用いるポリシロキサン(A)は、下記式(1)で表されるアルコキシシランを必須成分とするアルコキシシランを重縮合することで得られる。
Si(OR4−n (1)
(Rは炭素原子数7〜30の有機基であり、Rは炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数を表す。)
式(1)におけるR(以下、第1の有機基ともいう)は、好ましくは8〜20、特に好ましくは8〜18であり、ポリシロキサン(A)が該第1の有機基を有することにより、液晶を一方向に配向させる効果を奏する。
上記第1の有機基の例としては、アルキル基、パーフルオロアルキル基、アルケニル基、アリロキシアルキル基、フェネチル基、パーフルオロフェニルアルキル基、フェニルアミノアルキル基、スチリルアルキル基、ナフチル基、ベンゾイルオキシアルキル基、アルコキシフェノキシアルキル基、シクロアルキルアミノアルキル基、エポキシシクロアルキル基、N―(アミノアルキル)アミノアルキル基、N―(アミノアルキル)アミノアルキルフェネチル基、ブロモアルキル基、ジフェニルホスフィノ基、N−(メタクリロキシヒドロキシアルキル)アミノアルキル基、N−(アクリロキシヒドロキシアルキル)アミノアルキル基、置換していてもよく且つ少なくとも1個のノルボルナン環を有する一価の有機基、置換していてもよく且つ少なくとも1個のステロイド骨格を有する一価の有機基、又は、フッ素原子、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメトキシ基よりなる群から選ばれる置換基を有し且つ炭素原子数7以上の一価の有機基、又は、シンナモイル基またはカルコニル基である感光性基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基及びパーフルオロアルキル基は入手が容易であるので好ましい。本発明に用いるポリシロキサン(A)は、このような第1の有機基を複数種有していてもよい。
上記第1の有機基は、ポリシロキサン(A)が有するケイ素原子の100モルに対して、0.1モル未満の場合には、良好な液晶配向性が得られない場合があるため、0.1モル以上が好ましく、より好ましくは0.5モル以上、更に好ましくは1モル以上である。また、30モルを超える場合は、形成される液晶配向膜が充分に硬化しない場合があるため、30モル以下が好ましく、より好ましくは22モル以下、更に好ましくは15モル以下である。
換言すると、ポリシロキサン(A)を得るために用いる全アルコキシシラン中において、0.1モル%未満の場合には、良好な液晶配向性が得られない場合があるため、0.1モル%以上が好ましく、より好ましくは0.5モル%以上、更に好ましくは1モル以上である。また、30モル%を超える場合は、形成される液晶配向膜が充分に硬化しない場合があるため、30モル%以下が好ましく、より好ましくは22モル%以下であり、更に好ましくは15モル%以下である。
このような式(1)で表されるアルコキシシランの具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
例えば、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリメトキシシラン、ノナデシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、21−ドコセニルトリエトキシシラン、アリロキシウンデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)ダンシリアミド、スチリルエチルトリエトキシシラン、(R)−N−1−フェニルエチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、(1−ナフチル)トリエトキシシラン、(1−ナフチル)トリメトキシシラン、m−スチリルエチルトリメトキシシラン、p−スチリルエチルトリメトキシシラン、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミック酸、1−トリメトキシシリル−2−(p−アミノメチル)フェニルエタン、1−トリメトキシシリル−2−(m−アミノメチル)フェニルエタン、ベンゾイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(4−メトキシフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルキニンウレタン、3−(N−シクロヘキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、1−[(2−トリエトキシシリル)エチル]シクロヘキサン−3,4−エポキシド、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、11―ブロモウンデシルトリメトキシシラン、2−(ジフェニルフォスフィノ)エチルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノ−プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。式(1)で表されるアルコキシシランとしては、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、又はオクチルトリメトキシシランが好ましい。
本発明においては、式(1)で表されるアルコキシシランを複数種併用することもできる。
また、本発明においては、式(1)で表されるアルコキシシラン以外のアルコキシシランを併用することができる。特に、基板との密着性、液晶分子との親和性改善等を目的として、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記第1の有機基とは異なる基(以下、第2の有機基ともいう)を有するアルコキシシランを併用することができる。
上記第2の有機基は、炭素原子数が1〜6の有機基である。第2の有機基の例としては、脂肪族炭化水素;脂肪族環、芳香族環若しくはヘテロ環のような環構造;不飽和結合;又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子等を含んでいてもよく、分岐構造を有していてもよい、炭素原子数が1〜3の有機基である。また、第2の有機基は、ハロゲン原子、ビニル基、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、ウレイド基、メタクリロキシ基、イソシアネート基、アクリロキシ基などを有していてもよい。
本発明に用いるポリシロキサン(A)は、第2の有機基を一種又は複数種有していてもよい。
上記第2の有機基を有するアルコキシシランとしては、下記式(2)で表されるアルコキシシランが挙げられる。
Si(OR4−m (2)
(Rは水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜6の有機基を表し、Rは炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、mは0〜3の整数を表す。)
式(2)のアルコキシシランにおいて、mが0であるアルコキシシランは、テトラアルコキシシランを表す。テトラアルコキシシランは、式(1)で表されるアルコキシシランと縮合し易いので、ポリシロキサン(A)を得るためには好ましい。式(2)においてmが0であるアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられるが、なかでもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
また、式(2)のRが炭素原子数1〜6の有機基である場合、上述した第二の有機基と同じ基を表す。従って、この場合のRの例は、上記の第二の有機基として記載したと同じである。
このような式(2)で表される、Rの炭素原子数1〜6のアルコキシシランとしては、下記の例が挙げられる。
m=1の場合、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトメチルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、m=2の場合、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
さらに、m=3の場合、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−ウレイドプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
式(2)のアルコキシシランにおいて、Rが水素原子又はハロゲン原子である場合のアルコキシシランの具体例としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリブトキシシラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記した式(2)で表されるアルコキシシランを用いる場合、1種でも複数種でも適宜必要に応じて用いることができる。
式(2)で表されるアルコキシシランを併用する場合、ポリシロキサン(A)を得るために用いる全アルコキシシラン中において、式(2)で表されるアルコキシシランは、99.9モル%以下が好ましく、より好ましくは99.5モル%以下、更に好ましくは99モル%である。また、式(2)で表されるアルコキシシランは、70モル%以上が好ましく、より好ましくは78モル%以上であり、更に好ましくは、85モル%以上である。
本発明に用いるポリシロキサン(A)は、上記した式(1)で表されるアルコキシシランを好ましい成分とするアルコキシシランを有機溶媒中で縮合させて得られる。その際、式(1)及び(2)で表されるアルコキシシランを含有するアルコキシシランが好ましい。通常、ポリシロキサン(A)は、このようなアルコキシシランを重縮合して、有機溶媒に均一に溶解した溶液として得られる。
本発明に用いるポリシロキサン(A)を縮合する方法は特に限定されないが、例えば、アルコキシシランをアルコール又はグリコール溶媒中で加水分解・縮合する方法が挙げられる。その際、加水分解・縮合反応は、部分加水分解及び完全加水分解のいずれであってもよい。完全加水分解の場合は、理論上、アルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5倍モルの水を加えればよいが、通常は0.5倍モルより過剰量の水を加える。
本発明においては、上記反応に用いる水の量は、所望により適宜選択することができるが、通常、アルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5〜2.5倍モルである。
また、通常、加水分解・縮合反応を促進する目的で、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蟻酸、蓚酸、マレイン酸、フマル酸などの酸、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、トリエチルアミンなどのアルカリ、又は塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸の金属塩などの触媒が用いられる。加えて、アルコキシシランが溶解した溶液を加熱することで、更に、加水分解・縮合反応を促進させることも一般的である。その際、加熱温度及び加熱時間は所望により適宜選択でき、例えば、50℃で24時間加熱・撹拌したり、還流下で1時間加熱・撹拌するなどの方法が挙げられる。
また、別法として、例えば、アルコキシシラン、溶媒及び蓚酸の混合物を加熱して重縮合する方法が挙げられる。具体的には、あらかじめアルコールに蓚酸を加えて蓚酸のアルコール溶液とした後、当該溶液を加熱した状態で、アルコキシシランを混合する方法である。その際、用いる蓚酸の量は、アルコキシシランが有する全アルコキシ基の1モルに対して0.2〜2モルとすることが一般的である。この方法における加熱は、液温50〜180℃で行うことができ、好ましくは、液の蒸発、揮散などが起こらないように、例えば、還流管を備え付けた容器中の還流下で数十分〜十数時間行われる。
ポリシロキサン(A)を得る際に、アルコキシシランを複数種用いる場合は、アルコキシシランをあらかじめ混合した混合物として混合してもよいし、複数種のアルコキシシランを順次混合してもよい。
アルコキシシランを重縮合する際に用いられる溶媒(以下、重合溶媒ともいう)は、アルコキシシランを溶解するものであれば特に限定されない。また、アルコキシシランが溶解しない場合でも、アルコキシシランの重縮合反応の進行とともに溶解するものであればよい。一般的には、アルコキシシランの重縮合反応によりアルコールが生成するため、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類やアルコール類と相溶性の良好な有機溶媒が用いられる。
このような重合溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミド、m−クレゾール等が挙げられる。更に後述するグリコール化合物(B)を重合溶媒として用いることもできる。なかでも、重合溶媒としては、メタノール、エタノール、ブチルセロソルブ、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール又はそれらの混合溶媒が好ましい。本発明においては、上記の重合溶媒を複数種混合して用いてもよい。
このような方法で得られたポリシロキサン(A)の重合溶液(以下、重合溶液ともいう。)は、原料として仕込んだ全アルコキシシランのケイ素原子をSiOに換算した濃度(以下、SiO換算濃度と称す。)を0.5〜20質量%とすることが一般的である。この濃度範囲において任意の濃度を選択することにより、ゲルの生成を抑え、均質な溶液を得ることができる。
<ポリシロキサン(A)の溶液>
本発明においては、上記した方法で得られた重合溶液をそのままポリシロキサン(A)の溶液としてもよいし、必要に応じて、上記した方法で得られた溶液を、濃縮したり、溶媒を加えて希釈したり又は他の溶媒に置換して、ポリシロキサン(A)の溶液としてもよい。
その際、用いる溶媒(以下、添加溶媒ともいう)は、重縮合に用いたと同じ溶媒でもよいし、別の溶媒でもよい。この溶媒は、ポリシロキサン(A)が均一に溶解している限りにおいて特に限定されず、一種でも複数種でも任意に選択して用いることができる。
このような添加溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等のグリコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、乳酸エチルエステル等のエステル類;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミド、m−クレゾール等が挙げられる。なかでも、添加溶媒としては、メタノール、エタノール、ブチルセロソルブ、へキシレングリコール、またはそれらの混合溶媒が好ましい。
本発明においては、上記のようにして得られるポリシロキサン(A)の溶液を、1種用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
<グリコール化合物(B)>
本発明で用いるグリコール化合物(B)は、ヒドロキシ基及び水素原子が結合した炭素原子を2個有し、かつ前記した2個の炭素原子が、ヘテロ原子を含んでもよい脂肪族基を介して結合した構造を有し、連続した炭素原子の数が3〜6であり、好ましくは3〜5であり、特に好ましくは3又は4であるグリコール化合物である。グリコール化合物(B)がヘテロ原子を含んでいる場合は、ヘテロ原子を除く連続した炭素原子の数が3〜6であるグリコール化合物を意味する。例えば、ジエチレングリコールは、連続した炭素数は、4であり、グリコール化合物(B)の特に好ましい具体例である。
グリコール化合物(B)は、上記したような化合物であれば特に限定されないが、その具体例を挙げると、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
このようなグリコール化合物(B)は、通常、液状であるため、溶媒としても用いることが可能である。そのため、ポリシロキサン(A)を重縮合する際の重合溶媒又は添加溶媒の全部又は一部として使用してもよく、他の溶媒で合成したポリシロキサン(A)に後から添加してもよい。
本発明で使用されるグリコール化合物(B)の使用量は、ポリシロキサン(A)を得るために使用した全アルコキシシランのケイ素原子をSiOに換算した合計の100質量部に対して、2.5〜19,800質量部、好ましくは、5〜6,000質量部、更に好ましくは25〜4,000質量部である。グリコール化合物が2.5質量部より少ない場合は液晶配向膜の撥水性を高める効果が充分ではないことがある。
本発明に用いるグリコール化合物(B)は、液晶配向膜の撥水性を高めることが容易で、液晶配向剤中のポリシロキサン(A)が有する有機基を減らすことが可能であり、結果として緻密性が高く、高硬度で、膜の液晶配向性が良好で、且つ塗布性に優れた液晶配向膜を得ることができる。
<溶媒(C)>
本発明においては、ヒドロキシ基を有する溶媒であってグリコール化合物(B)とは異なる構造の化合物である溶媒(C)を用いることもできる。
溶媒(C)の具体例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のグリコール類。エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールモノトリルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類が挙げられる。溶媒(C)としては、なかでも、エタノール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
本発明で使用される溶媒(C)は、ポリシロキサン(A)を重縮合する際の重合溶媒や添加溶媒の全部又は一部として使用してもよく、他の溶媒で合成したポリシロキサン(A)に後から添加してもよい。
これらの溶媒(C)は、液晶配向剤の粘度の調整、又はスピンコート、フレキソ印刷、インクジェット等で液晶配向剤を基板上に塗布する際の塗布性を向上できる。
本発明において、溶媒(C)の使用量は、ポリシロキサン(A)を得るために使用した全アルコキシシランのケイ素原子をSiOに換算した合計の100質量部に対して、0〜19,700質量部、好ましくは0〜19,600質量部、更に好ましくは0〜18,800質量部である。
<その他の成分>
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ポリシロキサン(A)、グリコール化合物(B)及び溶媒(C)以外のその他の成分、例えば、無機微粒子、メタロキサンオリゴマー、メタロキサンポリマー、レベリング剤、更に界面活性剤等の成分が含まれていてもよい。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子及びフッ化マグネシウム微粒子等の微粒子が好ましく、コロイド溶液のものが特に好ましい。このコロイド溶液は、無機微粒子粉を分散媒に分散したものでもよいし、市販品のコロイド溶液であってもよい。本発明においては、無機微粒子を含有させることにより、形成される硬化被膜の表面形状及びその他の機能を付与することが可能となる。無機微粒子としては、その平均粒子径が0.001〜0.2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.001〜0.1μmとされる。無機微粒子の平均粒子径が0.2μmを超える場合には、調製される塗布液を用いて形成される硬化被膜の透明性が低下する場合がある。
無機微粒子の分散媒としては、水及び有機溶剤を挙げることができる。コロイド溶液としては、被膜形成用塗布液の安定性の観点から、pH又はpKaが1〜10に調整されていることが好ましい。より好ましくは2〜7である。
コロイド溶液の分散媒に用いる有機溶剤としては、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類を挙げることができる。これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して分散媒として使用することができる。
メタロキサンオリゴマー、メタロキサンポリマーとしては、ケイ素、チタン、アルミニウム、タンタル、アンチモン、ビスマス、錫、インジウム、亜鉛等の単独又は複合酸化物前駆体が用いられる。メタロキサンオリゴマー、メタロキサンポリマーとしては、市販品であっても、金属アルコキシド、硝酸塩、塩酸塩、カルボン酸塩等のモノマーから、加水分解等の常法により得られたものであってもよい。本発明において、メタロキサンオリゴマー、メタロキサンポリマーを含有することにより、硬化皮膜の屈折率を向上させたり、感光性を付与することが可能である。メタロキサンオリゴマー、メタロキサンポリマーを使用する際は、ポリシロキサン(A)を合成する際に同時に用いても、ポリシロキサン(A)に、後から添加してもよい。
市販品のメタロキサンオリゴマー、メタロキサンポリマーの具体例としては、コルコート株式会社製メチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40、エチルシリケート48、EMS−485、SS−101等のシロキサンオリゴマー又はシロキサンポリマー、関東化学株式会社製チタニウム−n−ブトキシドテトラマー等のチタノキサンオリゴマーが挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用してもよい。
また、レベリング剤及び界面活性剤等は、公知のものを用いることができ、特に市販品は入手が容易なので好ましい。
また、ポリシロキサン(A)に、上記したその他の成分を混合する方法は、ポリシロキサン(A)の溶液及びグリコール化合物(B)と同時でも、それらの混合後であってもよく、特に限定されない。
<液晶配向剤の調製>
本発明の液晶配向剤を調製する方法は特に限定されない。ポリシロキサン(A)及びグリコール化合物(B)、さらに必要に応じて溶媒(C)及び/又はその他の成分が均一に混合した状態であればよい。
通常、ポリシロキサン(A)は、溶媒中で重縮合されるので、溶液の状態で得られる。そのため、既に上記で述べたポリシロキサン(A)の重合溶液をそのまま用いる方法が簡便である。ポリシロキサン(A)の重合溶媒が、グリコール化合物(B)である場合は、グリコール化合物(B)を後で加えなくてもよい。また、ポリシロキサン(A)の溶液が、グリコール化合物(B)を含まない場合は、液晶配向剤を調製する際に、グリコール化合物(B)を加えて使用することができる。
また、溶媒(C)を併用する場合は、ポリシロキサン(A)を合成する際の重合溶媒又は添加溶媒として用いてもよいし、液晶配向剤を調製する際に混合して用いてもよい。
液晶配向剤を調製する際、ポリシロキサン(A)は、液晶配向剤中において、ポリシロキサン(A)を得るために使用した全アルコキシシランのケイ素原子をSiOに換算したSiO換算濃度が、0.5〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは0.5〜8質量%である。このようなSiO換算濃度範囲であれば、一回の塗布で所望の膜厚を得易く、充分な溶液のポットライフが得られ易い。
なお、その際、SiO換算濃度の調整に用いる溶媒は、ポリシロキサン(A)の重合溶媒、添加溶媒及びグリコール化合物(B)からなる群から選ばれる溶媒を用いることができる。
<液晶配向膜の形成>
本発明の液晶配向剤は、基板に塗布した後、乾燥・焼成を行うことで、硬化膜とすることができる。
液晶配向剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法、スプレー法、ロールコート法などが挙げられるが、生産性の面から工業的には転写印刷法が広く用いられており、本発明の液晶配向剤も好適に用いられる。
液晶配向剤を塗布した後の乾燥の工程は、必ずしも必要とされないが、塗布後から焼成までの時間が基板ごとに一定していない場合、又は塗布後ただちに焼成されない場合には、乾燥工程を含める方が好ましい。この乾燥は、基板の搬送等により塗膜形状が変形しない程度に溶媒が除去されていればよく、その乾燥手段については特に限定されない。例えば、温度40℃〜150℃、好ましくは60℃〜100℃のホットプレート上で、0.5〜30分、好ましくは1〜5分乾燥させる方法が挙げられる。
上記の方法で液晶配向剤を塗布して形成される塗膜は、焼成して硬化膜とすることができる。その際、焼成温度は、100℃〜350℃の任意の温度で行うことができるが、好ましくは140℃〜300℃であり、より好ましくは150℃〜230℃、更に好ましくは160℃〜220℃である。焼成時間は5分〜240分の任意の時間で焼成を行うことができる。好ましくは10〜90分であり、より好ましくは20〜90分である。加熱は、通常公知の方法、例えば、ホットプレート、熱風循環オーブン、IRオーブン、ベルト炉などを用いることができる。
液晶配向膜中のポリシロキサン(A)は、焼成工程において、重縮合が進行する。しかし、本発明においては、本発明の効果を損なわない限り、完全に重縮合させる必要はない。但し、液晶セル製造行程で必要とされる、シール剤硬化などの熱処理温度より、10℃以上高い温度で焼成することが好ましい。
この硬化膜の厚みは必要に応じて選択することができる。硬化膜の厚みが5nm以上の場合、液晶表示素子の信頼性が得られ易いので好ましい。より好ましくは10nm以上である。また、300nm以下の場合は、液晶表示素子の消費電力が極端に大きくならないので好ましい。より好ましくは150nm以下である。
このような硬化膜は、そのまま液晶配向膜として用いることもできるが、この硬化膜をラビングしたり、偏光又は特定の波長の光等を照射したり、イオンビーム等の処理等を行って、液晶配向膜とすることも可能である。
<液晶配向膜>
上記の如き方法で形成された本発明の液晶配向膜は、ポリシロキサン(A)が有する特定有機基が、液晶配向膜の表面層付近に偏在した構造であることが考えられる。このことは、本発明の液晶配向膜の水接触角を測定することで確認することができる。このことは、本発明の液晶配向剤の成分であるグリコール化合物(B)の効果によるものと推定され、液晶配向剤にグリコール化合物(B)が含まれる場合は、グリコール化合物(B)を含まない場合に比べて、水接触角を高くすることができる。
即ち、ポリシロキサン(A)が有する特定有機基が、グリコール化合物(B)の効果によって液晶配向膜の表面層付近に偏在することで、液晶分子を一方向に、とりわけ垂直方向に配向させ易いという作用を奏していると考えられる。従って、本発明の液晶配向膜は、高い撥水性を示すので、良好な液晶垂直配向性を得ることができる。
更に、本発明の液晶配向膜は、本発明の液晶配向剤の成分であるポリシロキサン(A)が有する特定有機基の量が少ない場合でも、液晶配向膜の撥水性が高いため、良好な液晶垂直配向性を有し、緻密性が高く、高硬度である。加えて、該液晶配向膜は、塗布性に優れた本発明の液晶配向剤から得られるため、均一性が高いという効果も有する。そのため、信頼性が高く、高画質な液晶表示素子を提供することができる。具体的に述べると、本発明の液晶配向剤は、ポリシロキサン(A)が有する特定有機基が、ポリシロキサン(A)が有するケイ素原子の100モルに対して0.1〜30モルであっても、得られる液晶配向膜は、撥水性が高く、良好な液晶垂直配向性を示すと共に、緻密性が高く、高硬度で、且つ均一性に優れている。
更に、該液晶配向膜を有する表示素子は、液晶配向剤に含まれるグリコール化合物(B)の作用により、ポリシロキサン(A)が有する特定有機基の含有量を少なくすることができ、その結果、表示素子の蓄積電荷の絶対値を小さくすることができると考えられる。
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、上記した方法により、基板に液晶配向膜を形成した後、公知の方法で液晶セルを作成して得ることができる。液晶セル作成の一例を挙げると、液晶配向膜が形成された1対の基板を、スペーサーを挟んで、シール剤で固定し、液晶を注入して封止する方法が一般的である。その際、用いるスペーサーの大きさは1〜30マイクロメートルであるが、好ましくは2〜10マイクロメートルである。
液晶を注入する方法は特に制限されず、作製した液晶セル内を減圧にした後、液晶を注入する真空法、液晶を滴下した後に封止を行う滴下法などを挙げることができる。
液晶表示素子に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されないが、通常は、基板上に液晶を駆動するための透明電極が形成された基板である。
具体例を挙げると、ガラス板、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリサルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、トリメチルペンテン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、(メタ)アクリロニトリル、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロースなどのプラスチック板などに透明電極が形成された基板を挙げることができる。
また、TFT型の素子のような高機能素子においては、液晶駆動のための電極と基板の間にトランジスタの如き素子が形成されたものが用いられる。
透過型の液晶素子の場合は、上記の如き基板を用いることが一般的であるが、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な基板も用いることが可能である。その際、基板に形成された電極には、光を反射するアルミニウムの如き材料を用いることもできる。
これまで述べたように、本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶配向膜は、緻密性が高く、高硬度で、膜の撥水性が高く、且つ良好な液晶垂直配向性を示すと共に、且つ均一性に優れた液晶配向膜を得ることができる。更に上記液晶配向膜を用いて作成した素子は、蓄積電荷特性が良好である。
以下、合成例、及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
本実施例における略語の説明。
TEOS:テトラエトキシシラン
C8:オクチルトリエトキシシラン
C12:ドデシルトリエトキシシラン
C18:オクタデシルトリエトキシシラン
F13:トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン
MTES:メチルトリエトキシシラン
MPS:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
MAPS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
HG:へキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)
BCS:ブチルセロソルブ
EtOH:エタノール
1,3−PrDO:1,3−プロパンジオール
1,3−BDO:1,3−ブタンジオール
1,4−BDO:1,4−ブタンジオール
1,3−PeDO:1,3−ペンタンジオール
1,6−HDO:1,6−ヘキサンジオール
DEG:ジエチレングリコール
DPG:ジプロピレングリコール
<合成例1>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG164.3g、TEOS164.9g及びC12を13.9g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG82.1g、水74.1g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K1)を得た。
<調製例1〜7>
合成例1で得られたポリシロキサン溶液(K1)10gに対して、表1に示す量のHGとBCSと溶剤(X)を混合して攪拌せしめることにより、溶剤組成が表1に示され、かつ、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL1〜KL7)を得た。
Figure 2008044644
<調製例8>
合成例1で得られたポリシロキサン溶液(K1)10gとHG11.0g、BCS4.0gを混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM1)を得た。
<合成例2>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにBCS164.3g、TEOS164.9g及びC12を13.9g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめBSC82.1g、水74.1g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサンの溶液(K2)を得た。
<調製例9>
合成例2で得られたポリシロキサン溶液(K2)10gに、BCS13.0gとDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がBCS:DEG=90:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL8)を得た。
<調製例10>
合成例2で得られたポリシロキサン溶液(K2)10gにBCS15.0gを混合して撹拌し、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM2)を得た。
<合成例3>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにDEG164.3g、TEOS164.9g及びC12を13.9g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめDEG82.1g、水74.1g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K3)を得た。
<調製例11>
合成例3で得られたポリシロキサン溶液(K3)10gにDEG15.0gを混合して撹拌し、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL9)を得た。
<調製例12>
合成例3で得られたポリシロキサン溶液(K3)10gに、DEG13.0gとBCS2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がBCS:DEG=10:90となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL10)を得た。
<合成例4>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにEtOH164.3g、TEOS164.9g及びC12を13.9g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめEtOH82.1g、水74.1g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K4)を得た。
<調製例13>
合成例4で得られたポリシロキサン溶液(K4)10gに、EtOH13.0gとDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がEtOH:DEG=90:10となるような、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL11)を得た。
<調製例14>
合成例4で得られたポリシロキサン溶液(K4)10gにEtOH15.0gを混合して撹拌し、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM3)を得た。
<合成例5>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG121.0g、BCS40.3g、TEOS164.9g及びC18を17.4g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG60.5g、BCS20.2g、水75.0g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K5)を得た。
<調製例15〜19>
合成例5で得られたポリシロキサン溶液(K5)10gに対して、表2に示す量のHGとBCSとDEGを混合して攪拌せしめることにより、溶剤組成が表2に示され、かつ、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL12〜KL15及びKM4)を得た。
Figure 2008044644
<合成例6>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG124.4g、BCS41.5g、TEOS164.9g及びC8を11.5g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG62.2g、BCS20.7g、水74.1g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K6)を得た。
<調製例20>
合成例6で得られたポリシロキサン溶液(K6)10gにHG10.2g、BCS2.8g及びDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS:DEG=70:20:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL16)を得た。
<調製例21>
合成例6で得られたポリシロキサン溶液(K6)10gにHG12.2gとBCS2.8gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM5)を得た。
<合成例7>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG118.1g、BCS39.4g、TEOS207.3g及びC12を1.7g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG59.0g、BCS19.7g、水53.9g及び触媒として蓚酸0.9gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(K7)を得た。
<調製例22>
合成例7で得られたポリシロキサン溶液(K7)10gにHG13.8g、BCS3.8g及びDEG2.5gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS:DEG=70:20:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL17)を得た。
<調製例23>
合成例7で得られたポリシロキサン溶液(K7)10gにHG16.2gとBCS3.8gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM6)を得た。
<合成例8>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG124.9g、BCS41.6g、TEOS171.9g及びC12を2.8g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG62.5g、BCS20.8g、水74.8g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K8)を得た。
<調製例24>
合成例8で得られたポリシロキサン溶液(K8)10gにHG10.2g、BCS2.8g及びDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS:DEG=70:20:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL18)を得た。
<調製例25>
合成例8で得られたポリシロキサン溶液(K8)10gにHG12.2gとBCS2.8gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM7)を得た。
<合成例9>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG123.2g、BCS41.1g、TEOS164.9g及びC12を13.9g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG61.6g、BCS20.5g、水74.1g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、65℃で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K9)を得た。
<調製例26>
合成例9で得られたポリシロキサン溶液(K9)10gにHG10.2g、BCS2.8g及びDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS:DEG=70:20:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL19)を得た。
<調製例27>
合成例9で得られたポリシロキサン溶液(K9)10gにHG12.2gとBCS2.8gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM8)を得た。
<合成例10>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG119.0g、BCS39.6g、TEOS147.6g及びC12を41.6g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG59.5g、BCS19.8g、水72.2g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K10)を得た。
<調製例28>
合成例10で得られたポリシロキサン溶液(K10)10gにHG10.3g、BCS2.8g及びDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS:DEG=70:20:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL20)を得た。
<調製例29>
合成例10で得られたポリシロキサン溶液(K10)10gにHG12.2gとBCS2.8gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM9)を得た。
<合成例11>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG116.8g、BCS39.0g、TEOS138.9g及びC12を55.4g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG58.4g、BCS19.5g、水71.2g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K11)を得た。
<調製例30>
合成例11で得られたポリシロキサン溶液(K11)10gにHG10.3g、BCS2.8g及びDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS:DEG=70:20:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL21)を得た。
<調製例31>
合成例11で得られたポリシロキサン溶液(K11)10gにHG12.2gとBCS2.8gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM10)を得た。
<合成例12>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG123.2g、BCS41.1g、TEOS164.9g及びC12を13.9g投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG61.6g、BCS20.5g、水74.1g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K12)を得た。
<調製例32>
合成例12で得られたポリシロキサン溶液(K12)10gにHG10.2g、BCS2.8g及びDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS:DEG=70:20:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL22)を得た。
<調製例33>
合成例12で得られたポリシロキサン溶液(K12)10gにHG12.2gとBCS2.8gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM11)を得た。
<合成例13>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG124.3g、BCS41.4g、TEOS156.3g、C12を13.9g及びMTES7.4gを投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG62.1g、BCS20.7g、水73.1g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K13)を得た。
<調製例34>
合成例13で得られたポリシロキサン溶液(K13)10gにHG10.2g、BCS2.8g及びDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS:DEG=70:20:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL23)を得た。
<調製例35>
合成例13で得られたポリシロキサン溶液(K13)10gにHG12.2gとBCS2.8gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM12)を得た。
<合成例14>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG130.1g、BCS43.4g、TEOS147.6g、C12を13.9g、MPS8.18g及びMAPS10.4gを投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG65.1g、BCS21.7g、水69.4g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K14)を得た。
<調製例36>
合成例14で得られたポリシロキサン溶液(K14)10gにHG10.2g、BCS2.7g及びDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS:DEG=70:20:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL24)を得た。
<調製例37>
合成例14で得られたポリシロキサン溶液(K14)10gにHG12.3gとBCS2.7gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM13)を得た。
<合成例15>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにHG120.4g、BCS40.1g、TEOS164.9g及びF13を19.5gを投入し、撹拌して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、あらかじめHG60.2g、BCS20.1g、水74.1g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した蓚酸溶液を、室温下で30分かけて滴下し、滴下終了後30分室温下で撹拌した。その後、還流下で1時間加熱後、放冷してSiO換算固形分濃度が10質量%のポリシロキサン溶液(K15)を得た。
<調製例38>
合成例15で得られたポリシロキサン溶液(K15)10gにHG12.2gとBCS2.8gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS=80:20となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM14)を得た。
<調製例39>
合成例15で得られたポリシロキサン溶液(K15)10gにHG10.3g、BCS2.7g及びDEG2.0gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がHG:BCS:DEG=70:20:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL25)を得た。
<調製例40>
調製例32と同様の方法で得られた液晶配向剤(KL22)9gと、粒子系18nmのコロイド状シリカが有機溶剤(HG:BCS:DEG=70:20:10)に分散したシリカゾル(SiO換算固形分濃度が4質量%含有)1gを加えて混合して撹拌し、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL26)を得た。
<調製例41>
調製例33と同様の方法で得られた液晶配向剤(KM11)9gと、粒子系18nmのコロイド状シリカが有機溶剤(HG:BCS=80:20)に分散したシリカゾル(SiO換算固形分濃度が4質量%含有)1gを加えて混合して撹拌し、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM15)を得た。
<合成例16>
温度計、還流管を備え付けた1L四つ口反応フラスコにEtOH300.6gを投入し、撹拌下にこのEtOHに蓚酸90.0gを少量ずつ添加することにより、蓚酸のEtOH溶液を調製した。次いでこの溶液をその還流温度まで加熱し、還流下のこの溶液中にTEOS99.0gとC18が10.4gの混合物を30分かけて滴下した。滴下終了後も、還流下で加熱を5時間続けた後、放冷してSiO換算固形分濃度が6質量%のポリシロキサン溶液(K16)を得た。
<調製例42>
合成例16で得られたポリシロキサン溶液(K16)10gにBCS1.1g、EtOH3.9gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がEtOH:BCS=90:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KM16)を得た。
<調製例43>
合成例16で得られたポリシロキサン溶液(K16)10gにDEG1.1g、EtOH3.9gを加えて混合して撹拌し、溶媒組成がEtOH:DEG=90:10となるようにし、SiO換算固形分濃度が4質量%の液晶配向剤(KL27)を得た。
<実施例1〜27>
液晶配向剤KL1〜KL27を孔径0.45マイクロメートルのメンブランフィルターで加圧濾過したのち、ITO透明電極付きガラス基板にスピンコート法により成膜した。この基板を80℃のホットプレート上で5分間乾燥した後、180℃の熱風循環式クリーンオーブンで60分間焼成し、膜厚約80nmの液晶配向膜を形成した。また、後述する方法により、液晶配向膜の水接触角を測定した。結果を表3に示す。
<比較例1〜16>
液晶配向剤KM1〜KM16を孔径0.45マイクロメートルのメンブランフィルターで加圧濾過したのち、ITO透明電極付きガラス基板にスピンコート法により成膜した。この基板を80℃のホットプレート上で5分間乾燥した後、180℃の熱風循環式クリーンオーブンで60分間焼成し、膜厚約80nmの液晶配向膜を形成した。また、後述する方法により、液晶配向膜の水接触角を測定した。結果を表3に示す。
[水接触角]
実施例1〜27および比較例1〜16より得られた液晶配向膜に、純水3μLを滴下し、協和界面科学(株)社製の自動接触角計CA−Z型を使用して、接触角を測定した。
Figure 2008044644
表3より、同一のポリシロキサン溶液を使用しながらも液晶配向剤として、1,3−PrDO、1,3−BDO、1,4−BDO、1,3−PeDO、1,6−HDO、DEG、DPG、といった特定のグリコール化合物を含有することで、それを含有しない液晶配向剤を用いた場合よりも、成膜時の膜の水接触角が高くなることが判った。例えば、ポリシロキサン溶液のK1を使用した実施例1〜7と比較例1との対比からも明らかである。つまり、液晶配向剤として上記の特定のグリコール化合物を含有することで、膜の撥水性を容易に高められることが判った。
<実施例27>
調製例24で得られた液晶配向剤KL18を用いて、後述する方法により液晶セルを作成した。得られた液晶セルを後述する方法により、液晶配向性を確認した。結果を表4に示す。
<比較例16>
調製例25で得られた液晶配向剤KM7を用いて、後述する方法により液晶セルを作成した。得られた液晶セルを後述する方法により、液晶配向性を確認した。結果を表4に示す。
[液晶セルの作成]
前述のようにして得られた液晶配向膜付き基板を2枚用意し、片方の基板の液晶配向膜面に粒子径6マイクロメートルのスペーサーを散布した後、基板の外縁部にスクリーン印刷法によりエポキシ系接着剤を塗布した後、液晶配向膜が向き合うように張り合わせて圧着後に硬化させて空のセルを作成した。この空のセルにメルク社製MLC−6608(商品名)を真空注入法により注入後、注入孔をUV硬化樹脂により封止して液晶セル(素子)を作成した。
[液晶配向性]
前述の[液晶セルの作成]方法により作成した液晶セルを、偏光顕微鏡で観察し、液晶の配向状態を確認した。液晶セル全体で欠陥の無い均一な配向状態を示している場合には○、液晶セルの一部に配向欠陥が見られる場合及び垂直配向しない場合は×とした。結果を表4に示す。
Figure 2008044644
先の表3で述べたとおり、同一のポリシロキサン溶液を使用しても、DEGのような特定のグリコール化合物を含有しない液晶配向剤(比較例16)を用いて作製した液晶配向膜は、DEGのような特定のグリコール化合物を含有する液晶配向剤(実施例27)を用いて作製した液晶配向膜よりも、水接触角が高くない。そして表4より、これらの液晶配向膜を用いて作製した液晶セルでは、DEGのような特定のグリコール化合物を含有する液晶配向剤を用いて作製した液晶配向膜を用いた液晶セルは十分な垂直液晶配向性が得られ、DEGのような特定のグリコール化合物を含有しない液晶配向剤を用いて作製した液晶配向膜を用いた液晶セルでは、十分な垂直液晶配向性が得られないことが判った。
<実施例28〜29>
調製例26で得られた液晶配向剤KL19又は調製例28で得られた液晶配向剤KL20を孔径0.45マイクロメートルのメンブランフィルターで加圧濾過したのち、ITO透明電極付きガラス基板にそれぞれスピンコート法及び印刷法により成膜した。この基板を80℃のホットプレート上で5分間乾燥した後、180℃の熱風循環式クリーンオーブンで60分間焼成し、膜厚約80nmの液晶配向膜を形成した。この際、膜を得る際の塗布性については後述する方法(スピンコートの塗布性、フレキソ印刷の塗布性)により評価した。また、鉛筆硬度については後述する方法により測定した。さらに、液晶配向膜付き基板を前述の液晶セルの作成方法に従い、液晶セルを作成し、後述する方法により蓄積電荷測定を行った。結果を表5に示す。
<比較例17〜18>
調製例29で得られた液晶配向剤KM9又は調製例27で得られた液晶配向剤KM8を用いて、実施例28〜29と同様に、塗布性・鉛筆硬度・蓄積電荷測定を後述する方法により行った。結果を表5に示す。
[鉛筆硬度]
実施例28〜29および比較例17〜18より得られた液晶配向膜を、鉛筆硬度試験法(JIS K5400)で測定した。結果を表5に示す。
[スピンコートの塗布性]
液晶配向剤をクロマトディスク(孔径0.45マイクロメートル)を用いて濾過した後、ITO透明電極付きガラス基板にスピンコート法により成膜した。この基板を80℃のホットプレート上で5分間乾燥した後、180℃の熱風循環式クリーンオーブンで60分間焼成し、膜厚約80nmの液晶配向膜を形成した。得られた液晶配向膜を目視で観察し、硬化被膜にピンホール・ムラがない良好な場合を○、一部にピンホール・ムラが生じている場合を△、ピンホール・ムラが全面に生じている場合を×とした。結果を表5に示す。
[フレキソ印刷の塗布性]
液晶配向剤をクロマトディスク(孔径0.45マイクロメートル)を用いて濾過した後、日本写真印刷株式会社製DR型印刷機 アニロックスロール(360#) 凸版(網点400L30%70度)を用いてITO透明電極付ガラス基板上に塗膜を形成した。この塗膜を、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、180℃の熱風循環式クリーンオーブンで60分間焼成して液晶配向膜を形成した。得られた液晶配向膜を目視で観察し、硬化被膜にピンホール・ムラがない良好な場合を○、一部にピンホール・ムラが生じている場合を△、ピンホール・ムラが全面に生じている場合を×とした。結果を表5に示す。
[蓄積電荷測定法]
液晶セルに直流10Vを重畳した30Hz/±2.8Vの矩形波を温度23
℃ で20時間印加し、直流10Vを切った直後に液晶セル内に残る蓄積電圧を光学的フリッカー消去法で測定した。結果を表5に示す。
Figure 2008044644
表5より、液晶配向剤として、DEGのような特定のグリコール化合物を含有しない液晶配向剤(比較例17)からなる液晶配向膜の塗布性は、スピンコート法・フレキソ印刷にかかわらず、ピンホール・ムラが見られ、十分ではないことが判った。また、膜の鉛筆硬度もHと低いことがわかった。さらに、蓄積電荷も20時間DC印加直後とDCオフ10分後での変化量が小さく、蓄積電荷の抜け速度が遅いことが判った。これに対し、液晶配向剤として、DEGのような特定の溶媒を含有する液晶配向剤(実施例28)からなる液晶配向膜の塗布性は、スピンコート法・フレキソ印刷にかかわらず、ピンホール・ムラが見られず、十分であることが判った。また、膜の鉛筆硬度も6Hと高いことがわかった。さらに、蓄積電荷の絶対値も20時間DC印加直後とDCオフ10分後で大きく減少していることから、蓄積電荷の抜け速度が速いことが判った。すなわち、素子特性として焼き付き・残像といった問題が低減できると推察される。
このことにより、液晶配向剤として、DEGのような特定のグリコール化合物を含有することにより、水接触角が高い垂直液晶配向膜を得る場合、良好な塗布性・高い硬度・良好な残留DC特性を有する垂直液晶配向膜を得ることができると判った。これは、液晶配向剤として、DEGのような特定の溶媒を含有することにより、高信頼性・高画質の垂直液晶表示素子を提供できることを意味する。
本発明の液晶配向剤は、ある特定の溶媒を含有することで、それを含有しない液晶配向剤を用いた場合よりも、成膜時の膜の撥水性を高めることが容易であり、結果として緻密性が高く、高硬度であり、液晶配向性が良好な液晶配向膜を形成できる。更に、本発明の液晶配向剤は、塗布性に優れるため、均一性の高い液晶配向膜を得ることができる。そのため、信頼性の高く、高画質な液晶表示素子を提供することができる。
また、液晶配向剤の調製時に、特定のグリコール化合物を添加することにより膜の撥水性を高めることができることから、所望の撥水性を示す液晶配向膜を得るために使用する長鎖アルキル基含有シランの使用量を低減できるため経済的である。
従って、各種液晶配向素子、とりわけ、垂直配向型(VA)において好適に用いることができる。その他偏光フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム用配向膜においても用いることができる。

なお、2006年10月6日に出願された日本特許出願2006−275713号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (9)

  1. 下記のポリシロキサン(A)及びグリコール化合物(B)を含有することを特徴とする液晶配向剤。
    ポリシロキサン(A):下記式(1)で表されるアルコキシシランのうちの少なくとも一種を含むアルコキシシランを重縮合することで得られるポリシロキサン。
    Si(OR4−n (1)
    (Rは炭素原子数7〜30の有機基であり、Rは炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、nは1〜3の整数を表す)
    グリコール化合物(B):ヒドロキシ基及び水素原子が結合した炭素原子を2個有し、かつ前記した2個の炭素原子が、ヘテロ原子を含んでもよい脂肪族基を介して結合した構造を有し、連続した炭素原子の数が3〜6であるグリコール化合物。
  2. 更に、下記の溶媒(C)を含有する請求項1に記載の液晶配向剤。
    溶媒(C):ヒドロキシ基を有する溶媒であって、請求項1で定義したグリコール化合物(B)とは異なる構造の化合物である溶媒。
  3. ポリシロキサン(A)が、式(1)で表されるアルコキシシランを、全アルコキシシラン中に、0.1〜30モル%含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
  4. ポリシロキサン(A)が、式(1)に示すアルコキシシランを少なくとも1種以上及び式(2)に示すアルコキシシランを少なくとも1種以上を併用したアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
    Si(OR4−m (2)
    (Rは水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜6の有機基を表し、Rは炭素原子数1〜5の炭化水素基を表し、mは0〜3の整数を表す。)
  5. グリコール化合物(B)が、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
  6. 液晶配向剤中のポリシロキサン(A)の含有量が、ポリシロキサン(A)を得るために使用した全アルコキシシランのケイ素原子をSiOに換算したSiO換算濃度が、0.5〜20質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
  7. 液晶配向剤中のグリコール化合物(B)の含有量が、ポリシロキサン(A)を得るために使用した全アルコキシシランのケイ素原子をSiOに換算した合計の100質量部に対して、2.5〜19,800質量部である請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶配向剤を用いて得られる液晶配向膜。
  9. 請求項8に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
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