JPWO2008018519A1 - ヒアルロン酸の分子量の測定方法 - Google Patents

ヒアルロン酸の分子量の測定方法 Download PDF

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Abstract

ヒアルロン酸を含む試料中のヒアルロン酸をヒアルロン酸結合性タンパク質と反応させ、試料中のヒアルロン酸に結合したヒアルロン酸結合性タンパク質の量又はその量を反映する値を測定する工程を含む、ヒアルロン酸の分子量の測定方法。

Description

本発明は、ヒアルロン酸の分子量の測定方法に関する。より詳細には、微量の試料中のヒアルロン酸の分子量を、多数の試料について短時間で測定することができるヒアルロン酸の分子量の測定方法に関する。
本明細書において用いる略号は下記の意味を有する。
HA:ヒアルロン酸
BSA:ウシ血清アルブミン
CS−C:コンドロイチン硫酸C
HA−BSA:HA−BSAコンジュゲート
HABP:HA結合性タンパク質
ビオチン−HABP:ビオチン標識ヒアルロン酸結合性タンパク質
HRP−アビジン:ホースラディッシュペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン
OPD錠:O−フェニレンジアミン錠
ABTS錠:2,2'−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−0−スルホン酸)
TMB(+):N,N,N,N−テトラメチルベンチジン(+)
TMB BLUE:N,N,N,N−テトラメチルベンチジンブルー
PBS:食塩添加リン酸ナトリウム緩衝液
GPC:ゲル浸透クロマトグラフィー
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
TCA:トリクロロ酢酸
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
EGTA: Ethylene glycol-bis(2-aminoethylether)-N,N,N',N'-tetraacetic acid
TLCK: Nα-p-Tosyl-lysine chloromethyl ketone
TPCK: N-p-Tosyl-phenylalanine chloromethyl ketone
HAはN−アセチルグルコサミンとグルクロン酸がβ1→4結合した2糖単位からなる自然界に存在する直鎖高分子多糖である。近年、HAの分子量特異的な生理活性や、特定の分子量のHAの生体内における存在が疾患の存在を示唆し得ることなどが指摘されており、HAの分子量の測定方法は医薬、医療などの分野において重要である。
HAの分子量測定は通常、極限粘度測定やGPCを利用する方法により行われている。これらの方法は、HAの分子量が大きくなるに従って同一濃度の水溶液の粘度が高くなること、分子量が大きいHAほど網目構造を有する担体中をより早く通過することをそれぞれ利用している。
しかしながら、極限粘度測定を利用した測定方法では、測定を実施するためには約1mg以上のHAが必要である。また、汎用の自動装置を用いた場合でも、同時測定できる試料数は5前後であり、1回の測定毎に、粘度管の乾燥等の準備が必要となる。さらに、他の類似のグリコサミノグリカンも同様な粘度を示すため、これらが共存する場合にはHAに特異的な測定ができない。またその他の共存物質も溶液の粘度に影響を及ぼすため、原則的には精製した純品の水溶液等でなければ測定できない。
またGPCを利用した測定方法では、測定を実施するためには、約10μg以上のHAが必要である。また、測定系の安定化のために最短でも1時間が必要であり、分子量標準試料を含め各々の試料に対して独立した測定サイクルが必要となる。標準試料としては通常5種類前後を用い、原則的には分析バッチごとに測定が必要となる。さらに、1回の測定サイクルの所要時間は、最短で30分間であり、被験試料1つでも4時間以上、10試料では9時間以上が必要となる。また、この測定方法においてクロマトグラムを検出する汎用的な方法としては、紫外部吸収を利用する方法が現時点で最も高感度であるが、紫外部吸収を利用する場合、他の類似のグリコサミノグリカンも同様に検出される。従って、これらが共存する場合、HAのクロマトグラムと重なり、HAに特異的な測定ができない。同様に紫外部に吸収を持つような不純物が含まれる場合もHAのクロマトグラムに重なり、目的とする測定ができない。多くの生体試料の場合、タンパク質・核酸・二重結合を有する脂質などが共存する場合が殆どであるが、これらはいずれも紫外部に吸収を示し、試料中のHAを本方法により測定する場合は、これらの不純物を除去する前処理操作が必要となる。
上記の通り、現在使用されているHAの分子量の測定方法は、少なくとも10μgから1mg程度の試料を必要とし、また時間がかかり、操作も煩雑であり、同時に測定できる試料数も限定される。
一方、HAに結合するタンパク質を利用したHAの測定方法は提案されているが(特許文献1及び2)、いずれも定量方法であり、直接分子量を測定する方法は知られていない。
特公平6−41952号公報 特許第2698563号
本発明は、微量の試料中のHAの分子量を、多数の試料について短時間で測定することができ、類似物質及びその他の物質が共存する試料であってもHAの分子量を測定することができるHAの分子量の測定方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、HAに結合するタンパク質(HA結合性タンパク質(HABP))のHAに対する反応性が、HAの分子量に比例して一定方向に変化し得ることを見出し、HAの分子量測定に利用できることを確認し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、HAを含む試料中のHAをHABPと反応させ、試料中のHAに結合したHABPの量又はその量を反映する値を測定する工程を少なくとも含む、HAの分子量の測定方法を提供する。
上記HABPのHAに対する反応性は、HAの分子量に依存して一定方向に変化し、従ってHAの分子量によりHAに結合するHABPの量が変化する。従って、HAに結合するHABPの量又はその量を反映する値を測定することにより、HAの分子量を測定することができる。
上記本発明測定方法は、例えば、
(1) 試料中のHA濃度を測定する工程、
(2) 試料中のHAをHABPと反応させ、試料中のHAに結合したHABPの量又はその量を反映する値を測定する工程、及び
(3) 濃度及び分子量既知の標準HA試料から得られたHAの分子量とHAに結合するHABPの量又はその量を反映する値との関係に基づいて、上記工程(1)で得られた試料中のヒアルロン酸濃度と、上記工程(2)で得られた試料中のHAに結合したHABPの量又はその量を反映する値から試料中のHAの分子量を求める工程
により行うことができる。
上記工程(2)は、例えば、
(i) HABPを固相に固定する工程、
(ii) 固相に固定したHABPに試料中のHAを反応させる工程、
(iii) 固相に固定したHABPに結合したHAに、標識したHABPをさらに反応させる工程、及び
(iv) 工程(iii)においてHAに結合した標識HABPの量又はその量を反映する値を測定する工程、から構成される工程が例示できる。
上記工程(iii)において使用する標識したHABPの標識物質としては、例えば、ビオチン、アビジン、酵素、アイソトープ、蛍光色素、化学発光物質等が使用でき、ビオチン及びアビジンが好ましい。
上記工程(3)において使用する、濃度及び分子量既知の標準HA試料から得られたHAの分子量とHAに結合するHABP又はその量を反映する値の量との関係は、例えば、濃度及び分子量既知のHA標準液を試料として工程(2)を行い、標準曲線として得ることができる。
上記工程(3)において、工程(1)で得られた試料中のHA濃度は、試料を希釈するための指標として、又は、当該濃度における、標準HA試料のHAに結合するHABPの量又はその量を反映する値の算出に用いることができる。
上記標識HABPのHAに対する反応性、すなわちHAに結合する量は、HAにHABPを結合させる際に、タンパク質変性剤、酸性多糖、界面活性剤などの添加剤を存在させ、その量を調節することにより、HA分子量依存的な反応性変化という特性を維持しながら調整できる。また、工程(iv)において測定するHAに結合したHABPの量又はその量を反映する値は、工程(i)において固定するHABPの量、あるいは工程(iii)において反応させるHABPの量を変化させることによっても、HA分子量依存的な反応性変化という特性を維持しながら調整できる。
従って、工程(iv)において、例えば標識されたHABPとそれに関連付けられた発色物質を使用して吸光度によりHABPの量を測定する場合、適当な種類及び量の上記添加剤を使用すること及び/又は各工程で使用するHABPの量を調整することにより、測定すべき吸光度を実際の測定に適した範囲となるように調整することができる。
上記添加剤としては、グアニジン塩酸、尿素などのタンパク質変性剤、CS−Cなどの酸性多糖類、SDSなどの界面活性剤などが使用できる。
具体的には、固相化するHABPの量は、固相化に使用するHABP溶液の濃度として、例えば、3 ng/mL以上、好ましくは10 ng/mL以上で、通常30000 ng/mL以下、好ましくは10000 ng/mL以下、より好ましくは1000 ng/mL以下であり、工程(iii)において反応させる標識HABPの量としては、標識物質としてビオチンを使用する場合、反応に使用するビオチン−HABP溶液の濃度として、例えば10 ng/mL以上、好ましくは100 ng/mL以上、より好ましくは200 ng/mL以上で、通常30000 ng/mL以下、好ましくは3200 ng/mL以下である。添加剤については、グアニジン塩酸を使用する場合、上記HA標準液中及び/又は試料のグアニジン塩酸の濃度としては、終濃度で、例えば0〜3.6 Mであり、好ましくは0〜2.4 Mであり、ビオチン−HABP溶液中のグアニジン塩酸の濃度としては、終濃度で、例えば0〜1.6 Mであり、好ましくは0〜1.2 M程度である。
また本発明の別の形態として、HABPを含む、HAの分子量の測定用のキットが提供される。本発明のキットは、上記本発明測定方法を実施するために使用することができる。
本発明キットは、HABPの他、上記添加剤、上記添加剤を含むバッファー、分子量既知のHA標準試料などを含むものとしてもよい。
本発明によれば、微量の試料中のHAの分子量を、多数の試料について短時間で測定することができるHAの分子量の測定方法が提供され、医療における診断、医薬の開発、その他の生化学的研究などにおいて極めて有用である。該方法によれば、従来のHAの分子量の測定方法よりも微量の試料中のHAの分子量を測定することができ、多数の試料について短時間で測定することができるので、医療における診断及び医薬の開発において特に有用である。
HA試料の濃度測定における各種分子量のHAの反応曲線を示す図である。 緩衝液条件を変えてHA試料濃度測定を実施した場合の各種分子量のHAの反応曲線を示す図である。 緩衝液条件を変えてHA試料濃度測定を実施した場合の各種分子量のHAの反応曲線を示す図である。 発色物質を変えて標識HABPとの反応を行った結果を示す図である。 ビオチン−HABPの反応性に対するグアニジン塩酸の条件についての試験の結果を示す図である。 ビオチン−HABPの反応性に対する種々の添加剤の影響についての試験の結果を示す図である。 ビオチン−HABPの使用濃度の適当な範囲について試験するために行った試験の結果を示す図である。 HA標準溶液における添加剤使用についての試験の結果を示す図である。 HABP固相化時の緩衝液条件についての試験の結果を示す図である。 HABP固相化時のHABP濃度についての試験の結果を示す図である。 HABP固相化時のHABP濃度についての試験の結果を示す図である。 各種条件の組合せについての試験の結果を示す図である。 試料中のHAの濃度を測定するための、標準液の反応曲線(A)及びそれから得られたHAの濃度を決定するための標準曲線(B)を示す図である。 試料中のHAの分子量を測定するための、標準液の反応曲線(A)及びそれから得られたHAの分子量を決定するための標準曲線(B)を示す図である。 試料中のHAの濃度を測定するための、標準液の反応曲線(A)及びそれから得られたHAの濃度を決定するための標準曲線(B)を近似式とともに示す図である。 試料中のHAの分子量を測定するための標準液の反応曲線(A)及びそれらを対数関数により表した近似式とともに示す図(B)である。 試料中のHAの分子量を測定するための標準曲線を近似式とともに示す図である。 測定工程(1)への前処理用試薬の影響がないことを確認する試験の結果を示す図である。 測定工程(2)への前処理用試薬の影響がないことを確認する試験の結果を示す図である。 測定工程(2)への前処理用試薬の影響がないことを確認する試験の結果を示す図である。
本発明のHAの分子量の測定方法は、HAを含む試料中のHAをHABPと反応させ、試料中のHAに結合したHABPの量又はその量を反映する値を測定する工程を含むことを特徴とする。
上記工程において、HABPはHAに対する反応性がHAの分子量に依存して一定方向に変化し、従ってHAの分子量によりHAに結合するHABPの量が変化する。これによりHAに結合するHABPの量又はその量を反映する値を測定することによって、HAの分子量を測定することができるものである。
本発明の測定方法によれば、HAを含む試料が他の物質、例えばタンパク質、核酸、脂質、その他の無機化合物などを含んでいてもそれらに影響されることなくHAの分子量を測定することができる。従ってHAを含む試料は、必ずしもHAについて精製されている必要はなく、生体試料などのHA以外の物質を含む試料であってもそのまま本発明の測定方法に使用することができる。
本発明の測定方法の測定対象となる被検体として具体的には、HA溶液、細胞培養液、器官培養液、体液、組織等が例示される。体液としては、血液、血清、血漿、尿、唾液、関節液、胸水、腹水、骨髄液、脊髄液、硝子体液等が例示され、組織としては軟骨、滑膜、皮膚、結腸などが例示されるが、細胞培養液、器官培養液、関節液、軟骨、滑膜、皮膚等が被検体として特に好ましい。
本発明測定方法を、血清、尿、関節液、軟骨・滑膜・皮膚等の組織、培養細胞の培養液等の各種生体成分中に存在するHAの分子量の測定に適用する場合には、必要に応じて被検体に前処理を適用することができる。前処理方法としては、尿素、グアニジン塩酸、塩化ナトリウム等の塩による抽出、プロナーゼ、アクチナーゼ等のタンパク質分解酵素によるタンパク分解処理、TCA等のタンパク質変性剤によるタンパク質の除去と中和、脱塩カラムあるいは透析等による脱塩、イオン交換カラム等によるイオン交換分離、エタノール沈殿、セチルピリジニウムクロリド(CPC)やセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CETAB)等の4級アンモニウム塩による沈殿等の方法を単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。これらの前処理については、適用する前処理によってHA分子量が低下せず、かつ前処理後の溶媒組成が工程(1)および工程(2)の反応に影響を与えないことを、予備実験によって確認する必要がある。またこれらの条件を満足する方法であれば、前処理の方法は上記の方法に限定されるものではない。
上記各種前処理方法のうち、プロテアーゼ処理による方法が、簡便性の点で好ましい。本方法は、更に詳細には下記1) 2) 4) あるいは 1) 2) 3) 4)で示される前処理工程を順次行なうことで実施することが出来る。
1)HA分子量が低下しない条件下で、プロテアーゼ処理による共存タンパク質を分解する工程。
2)HA分子量が低下しない条件下で、1) の処理液にタンパク質沈殿剤、変性剤、あるいは特異的阻害剤によりプロテアーゼを失活させる工程。
3)HA分子量が低下しない条件下で、2) の各試薬を中和あるいは除去する工程。
4)2) あるいは3) 液に対して、分子量測定工程1および工程2を実施するために必要な特定の成分を加える調整工程。
上記のプロテアーゼ処理による方法における各工程の組み合わせとしては、例えば、表35に記載した各種組み合わせが使用できる。
上記前処理工程の組み合わせにより最終的に得られる溶媒(HA以外の物質)の組成は、実施した処理条件により異なるが、以下に示す2つの条件を満たすことが予め確認されている限りにおいて特に限定されるものではない。
1.分子量測定の工程1においてHA分子量に影響されず同一の反応性を示すこと。
2.分子量測定の工程2においてHA分子量の増加とともに一定方向の反応性の変化を示すこと。
上記前処理工程1) においては、例えば下記に示すような各種プロテアーゼが使用できる。
(1)菌体由来のプロテアーゼ
(例:Pronase E、Proteinase K (SIGMA社)、Actinase E、Actinase AF(科研製薬)、Dispase(ロシュダイアグノスティック社))
(2)菌体由来のコラゲナーゼ
(例:Collagenase A, Collagenase P(ロシュダイアグノスティック社))
(3)脊椎動物由来のCystein Proteinase
(例:Papain)
(4)脊椎動物由来の Serine Proteinase
(例:Chimotrypsin, Trypsin)
上記前処理工程2) においては、以下に示す各種試薬が沈殿剤/変性剤として使用できる。
a)TCA、過塩素酸などの徐タンパク試薬
b)pH2.0以下の酸性緩衝液
c)グアニジン塩酸、尿素、硫酸アンモニウムなどのタンパク変性剤
本工程においては、必要に応じて、変性・沈殿したプロテアーゼを除去する操作を加えることができる。具体的には、以下に示す操作が利用できる。
a)遠心分離
b)フィルターろ過
同様に上記前処理工程2) においては、例えば以下に示す各種試薬が特異的阻害剤として使用できる。
a)キレート剤(例:EDTA, EGTA)
b)還元剤(例:ヨード酢酸)
c)Serin Protease阻害剤(例:TPCK、TLCK、大豆トリプシンインヒビター)
d)市販プロテアーゼインヒビターカクテル
上記前処理工程3) で中和処理を実施する場合は、以下に示す方法が利用できる。
1)Tris、Bis-Tris, MOPS等のGoodの緩衝液成分で作成した塩基性溶液
2)ホウ酸Na, リン酸Na糖の無機塩で作成した塩基性溶液
上記前処理工程3) で除去処理を実施する場合は、以下に示す方法が利用できる。
1)脱塩用カラムを用いた脱塩
2)透析膜・透析カセット等を用いた透析
また、必要に応じて試料を濃縮するために、下記方法が使用できる。
1)遠心エバポレータ
2)凍結乾燥
本発明の測定方法が適用できるHAの分子量は、HAに対するHABPの反応性がHAの分子量に依存して一定方向に変化する特性が維持される限り特に限定されないが、例えば3kDa以上、好ましくは10kDa以上、より好ましくは20kDa以上で、例えば3000kDa以下、好ましくは1000kDa以下の分子量範囲のHAに適用できる。
従って、種々の由来の天然HA、それらをアルカリ処理、酵素処理などにより低分子化したHAなどが本発明の測定方法の測定対象となり得る。またHAの塩も本発明の測定方法の測定対象となり得る。
本発明の測定方法に使用する「HABP」とは、HAに結合する性質を有するタンパク質を意味する。具体的には、HA結合性のプロテオグリカン(例えば、軟骨プロテオグリカン、軟骨プロテオグリカンのトリプシン消化物、軟骨プロテオグリカンのコンドロイチナーゼA、B、C消化物(特許第2732718号)など)、プロテオグリカンのコアタンパク質(例えば、軟骨プロテオグリカンのコアタンパク質など)、リンクプロテイン、ヒアルロネクチン、CD44、これらのタンパク質のHA結合部位を含む部分タンパク質、あるいは該部分タンパク質と他のタンパク質との融合タンパク質、HAを認識する抗体 (特開平9−12600号公報)などが挙げられる。これらは天然物から分離精製したものであってもよく、遺伝子組換え技術により調製したものでもよい。特に軟骨プロテオグリカンのトリプシン消化物、さらにはウシ鼻軟骨のプロテオグリカンのトリプシン消化物が好ましい。また、当該トリプシン消化物中の各成分を分離精製して使用することもできる。なお、ウシ鼻軟骨のプロテオグリカンのトリプシン消化物については、「HAバインディングプロテイン」(ウシ鼻軟骨のプロテオグリカンのトリプシン消化物であって、(1)AggrecanのHA結合部位(HABR)、(2)AggrecanのHA結合部位(HABR)にKS鎖含有ドメインが残存したもの、(3)リンクプロテインを含む混合物)として生化学工業株式会社から販売されており、好ましく使用できる。
上記本発明の測定方法は、下記の工程、
(1) 試料中のHA濃度を測定する工程、
(2) 試料中のHAをHABPと反応させ、試料中のHAに結合したHABPの量又はその量を反映する値を測定する工程、及び
(3) 濃度及び分子量既知の標準HA試料から得られたHAの分子量とHAに結合するHABPの量又はその量を反映する値との関係と、上記工程(1)で得られた試料中のHA濃度と、上記工程(2)で得られた試料中のHAに結合したHABPの量又はその量を反映する値から試料中のHAの分子量を求める工程
により好ましく行うことができる。
上記工程(1)は、HA分子量に依存しない定量測定によって試料中のHA濃度を測定する工程である。本工程を実施する方法は、試料中のHA濃度を測定し得る方法であれば特に限定されないが、例えば、カルバゾール硫酸法等の汎用的な比色法、HAを特異的に分解する酵素とHPLCあるいはキャピラリー電気泳動を組み合わせた定量方法、HAを固定化した固相とHABPとを利用した競合的阻害法などが挙げられる。これらのうち、HAを固定化した固相とHABPとを利用した競合的阻害法が、多検体の同時測定が可能であること、測定感度がよいことから最も好ましい。
HAを固定化した固相とHABPとを利用した競合的阻害法は、公知の方法により行うことができ、例えば特開昭63−150669号公報、特開2000−97940号公報に記載された方法などにより行うことができる。使用するHABP、固相、標識などは下記に説明する工程(2)で使用されるものと同様のものを使用することができる。
HAを固定化した固相とHABPとを利用した競合的阻害法は、例えば以下のような具体的手順により行うことができるが、これに限定されるものではない。
1) BSAに共有結合させたHAをELISAプレートの各ウェルに固相化する。
2) BSAを用いて各ウェルをブロッキングする。
3) HA標準試料(特定の分子量1種のみ、濃度ポイントは6点前後)及び適時希釈した被検試料を各ウェルに添加する。
4) 被検試料にビオチン−HABP溶液を添加し、所定時間反応させる。
5) 未反応HA及びビオチン−HABPを除去した後、HRP−アビジン溶液を添加し、所定時間反応させる。
6) 発色基質溶液(例えばオルトフェニレンジアミン)を添加し、所定時間反応させる。
7) 停止液を添加し、マイクロプレート吸光度計を用いて所定の測定波長にて吸光度を測定する。
8) 標準試料について得られた吸光度から標準曲線を作成し、これと被検試料について得られた吸光度から被検試料中のHA濃度を決定する。
上記工程(2)は、HAの分子量に依存して変化するHABPのHAに対する反応性を、HAに結合するHABPの量又はその量を反映する値として測定する工程である。
本工程において、HAに結合するHABPの量を測定する方法は上記本工程の目的が達成される限り限定されないが、HABPを固定化した固相と、任意の標識物質で標識したHABPとを用いたサンドイッチ法で行うことが好ましく、例えば、
(i) HABPを固相に固定する工程、
(ii) 固相に固定したHABPに試料中のHAを反応させる工程、
(iii) 固相に固定したHABPに結合したHAに、さらに標識したHABPを反応させる工程、及び
(iv) 工程(iii)においてHAに結合した標識HABPの量又はその量を反映する値を測定する工程により行うことができる。
上記サンドイッチ法によるHABPの測定は公知の方法に従って行うことができ、例えば特公平6−41952号公報に記載されたHAの測定方法におけるHABPの測定を参照することができる。
上記工程(i)において使用される固相は、HABPを固定できる水不溶性の固相であれば、形状、材料などは限定されないが、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリルアミドなどの材料からなるプレート(例えばマイクロプレートのウェル)、チューブ、ビーズ、メンブレン、ゲル、ラテックスなどが挙げられる。ポリスチレン製のマイクロプレートのウェルを好ましく使用できる。
これらの固相にHABPを固定する方法としては、物理的吸着法、共有結合法、包括法等固定化酵素の調製法として一般的な方法(固定化酵素、1975年、講談社発行、第9〜75頁参照)を応用することができる。これらの中でも、物理的吸着法が、操作が簡便かつ頻用されていることから好ましい。
物理的吸着法として具体的には、HABPをpH6〜9程度の緩衝液(例えばリン酸緩衝液、PBS、炭酸緩衝液等)に溶解して固相に加え、4℃で一晩静置して固着させる方法が挙げられ、好ましく使用することができる。
なお、この後にブロッキング物質を固相に添加して、HABPが固着していない部分を被覆しておくことが好ましい。このようなブロッキング物質としては、BSAなどの血清アルブミン、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン等が挙げられ、またブロッキング物質として市販されているものを使用することもできる。
上記のような方法により、HABPが固定された固相を製造することができる。固相の製造は、試験毎に実施しても良く、あるいは保存可能な乾燥プレートを調製して用いることもできる。
上記工程(ii)は、上記のようにして製造されたHABPが固定された固相に上記のような測定対象となる被検体を接触させることにより行う。具体的には、被検体をHABPが固定された固相に加え、例えば0〜45℃、好ましくは約37℃で、30分〜1時間インキュベートすることにより行うことができる。
反応後、固相の表面を洗浄液で洗浄することが好ましい。この洗浄は、固相に固着したHABP及びこれに結合したHAが遊離しない条件で行う。洗浄液としては、例えば、トゥイーン(Tween)系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤を添加した緩衝液(例えばPBS、トリス塩酸緩衝液等)を用いることが好ましい。
上記工程(iii)は、工程(ii)と同様の方法、反応条件により行うことができる。
上記工程(iii)において使用する標識したHABPの標識物質としては、例えば、ビオチン、アビジン、酵素、アイソトープ、蛍光色素、化学発光物質等が使用でき、取り扱いやすさや標識対象物質の量が正確に反映されることなどから、ビオチン及びアビジンが好ましい。また、HABPの抗体を作製し、これを上記のような標識物質で標識し、これをHABPと反応させることによりHABPを検出することもできる。
上記工程(iii)の反応後の固相についても、上記工程(ii)と同様に固相の表面を洗浄液で洗浄することが好ましい。
上記工程(iv)は、用いた標識により公知の方法に従って行うことができる。例えば、標識物質にビオチンを使用した場合には、アビジンを結合させた酵素(例えばペルオキシダーゼ等)を添加してビオチンとアビジンとを結合させ、次いでストレプトアビジン等を結合させた酵素の基質や発色基質等を加え、酵素反応による生成物の発色の度合いを吸光度の変化で測定する方法等を挙げることができる。また、蛍光物質や化学発光物質を使用する場合には、反応後の溶液の蛍光や発光を測定する方法等が挙げられる。
より具体的には、標識物質としてビオチンを使用した場合には、上記工程(iii)の反応後の固相にHRP−アビジン溶液を加え、例えば37℃で1時間反応させた後洗浄し、O−フェニレンジアミン溶液を加え、例えば遮光して室温にて30分間反応させた後、反応溶液の吸光度を吸収波長492nm、対照波長630nmで測定することにより行うことができる。
さらに、上記HABPのHAに対する反応性、すなわち上記工程(iii)において結合するHABPの量又はその量を反映する値は、工程(iii)の反応時に、タンパク質変性剤、酸性多糖、界面活性剤などの添加剤を存在させ、その量を調節することにより、HA分子量依存的に反応性が変化するという特性を維持しながら調整できる。
上記添加剤としては、グアニジン塩酸、尿素などのタンパク質変性剤、CS−Cなどの酸性多糖類、SDSなどの界面活性剤などが使用でき、グアニジン塩酸が特に好ましい。
添加剤の量については、グアニジン塩酸の場合、良好なHA分子量及び濃度依存的な反応性を得るという観点から、上記HA標準液及び/又は試料中のグアニジン塩酸の濃度としては、終濃度で、例えば0〜3.6 Mであり、好ましくは0〜2.4 Mであり、ビオチン−HABP溶液中のグアニジン塩酸の濃度としては、終濃度で、例えば0〜1.6 Mであり、好ましくは0〜1.2 M程度であるが(後記実施例参照)、これらに限定されるものではない。
また、工程(iv)において測定するHAに結合したHABPの量又はその量を反映する値は、工程(i)において固定するHABPの量、あるいは工程(iii)において反応させるHABPの量を変化させることによっても、HA分子量依存的に反応性が変化するという特性を維持しながら調整できる。従って、これらの諸条件を適切に設定することにより、測定に適した反応性及び反応量を得ることが好ましい。また、目的とする分子量範囲において分子量が大きいほど反応性が高くなるように反応性を制御した方法を用いるのが好ましい。
工程(i)において固定するHABPの具体的な量としては、良好なHA分子量及び濃度依存的な反応性を得るという観点から、固相化に使用するHABP溶液の濃度として、例えば、3 ng/mL以上、好ましくは10 ng/mL以上で、通常30000 ng/mL以下、好ましくは10000 ng/mL以下、より好ましくは1000 ng/mL以下であるが(後記実施例参照)、これらに限定されるものではない。
工程(iii)において反応させる標識HABPの具体的な量としては、良好なHA分子量及び濃度依存的な反応性を得るという観点から、標識物質としてビオチンを使用する場合、反応に使用するビオチン−HABP溶液の濃度として、例えば10 ng/mL以上、好ましくは100 ng/mL以上、より好ましくは200 ng/mL以上で、通常30000 ng/mL以下、好ましくは3200 ng/mL以下であるが(後記実施例参照)、これらに限定されるものではない。
上記工程(3)は、濃度及び分子量既知の標準HA試料から得られたHAの分子量とHAに結合するHABPの量又はその量を反映する値との関係と、上記工程(1)で得られた試料中のHA濃度と、上記工程(2)で得られた試料中のHAに結合したHABPの量から試料中のHAの分子量を求める工程である。
上記工程(3)において使用する、濃度及び分子量既知の標準HA試料から得られたHAの分子量とHAに結合するHABPの量又はその量を反映する値との関係は、濃度及び分子量既知のHA標準液を試料として工程(2)を行い、標準曲線として得ることができる。
すなわち、濃度及び分子量既知の複数の標準HA試料を使用して工程(2)を行い、それぞれの試料による反応においてHAに結合した標識HABPの量を反映する値として、例えば、標識を利用して行われる発色反応で得られる反応液の吸光度を測定し、それらを各標準HA試料の分子量に対してプロットすることにより標準曲線を得る。そして得られた標準曲線に工程(2)の測定で被験試料について得られた値を当てはめることにより被験試料中のHAの分子量を決定する。
標準HA試料について測定を行う際の濃度としては、工程(1)で測定した被検試料のHA濃度を指標とし、被検試料そのままの濃度あるいは被検試料を適当に希釈して得られる濃度を使用して、工程(2)の測定と標準曲線作成のための測定を同一のHA濃度で行い、工程(2)の測定で得られた値をそのまま標準曲線に当てはめることで求めることができる。この場合は、工程(1)と(2)を段階的に実施し、初めに被験試料のHA濃度を求めておく必要がある。(後記実施例16参照)。
あるいは、標準試料及び被検試料の両方について同時に工程(1)及び(2)を行っても、被験試料のHA濃度及び被験試料についてのHAに結合したHABP又はその量を反映する値が、各工程で標準試料について設定した測定条件下で測定可能であれば、工程(2)において求めた各分子量の標準試料の反応曲線を元に、任意の濃度の標準曲線を換算で求め、これを用いて被験試料のHA分子量を求めることができる(後記実施例17参照)。
更に、工程(1)の試料中のHAの濃度の測定のための標準曲線と、HAの分子量とHAに結合するHABPの量又はその量を反映する値との関係を表す標準曲線の再現性が十分に保証されている場合は、これらを予め用意しておけば、被検試料のみについて工程(1)及び(2)を行い、得られた値を使用して工程(3)を行うことにより被検試料中のHAの分子量を決定でき、微量の被検試料から短時間で多数の被検試料についてHAの分子量を容易に決定することができる。
標準曲線は、標準HA試料について得られた値から、分子量を、HAに結合した標識HABPの量を反映する値、例えば吸光度あるいはその対数値、及び場合によりHA濃度あるいはその対数値の一次、二次あるいはそれ以上の高次の関数として表し、試料について得られた吸光度あるいはその対数値などの値を該関数に当てはめることにより試料HAの分子量を求めることができる。いずれの場合も標準曲線については、被検試料に予測されるHA濃度、分子量に対応するように複数の標準曲線を用意しておくことにより、より迅速で正確な測定が可能となる。
以上より、工程(2)及び(3)は、工程(3)で使用するHAの分子量とHAに結合するHABPの量又はその量を反映する値との関係の取得を含めて、例えば、下記のような手順により行うことができる。
9) HABPをELISAプレートの各ウェルに固相化する。
10) BSAを用いて各ウェルをブロッキングする。
11) 標準試料(特定の分子量3種以上、濃度ポイントは同一1点のみ)及び被検試料をそれぞれ各ウェルに添加し、所定時間反応させる。
12) ビオチン−HABP溶液を添加し、所定時間反応させる。
13) HRP−アビジン溶液を添加し、所定時間反応させる。
14) 発色基質溶液(例えばオルトフェニレンジアミン)を添加し、所定時間反応させる。
15) 停止液を添加し、マイクロプレート吸光度計を用いて所定の測定波長にて吸光度を測定する。
16) 標準試料について得られた吸光度を使用し、分子量に対して吸光度をプロットすることにより標準曲線を作成し、これと被検試料について得られた吸光度から被検試料中の分子量を決定する。
本発明はさらに、上記本発明のHAの分子量の測定方法に使用するための、HABPを含む、HAの分子量の測定用のキットを提供する。
上記本発明のキットは、HABPの他、HABPのHAに対する反応性を調節するための添加剤、該添加剤を含む又は含まないバッファー、標準曲線作成用の分子量既知のHA標準試料などを含むものとしてもよい。
なお、本明細書中、特に断らない限り、「分子量」、「平均分子量」は「重量平均分子量」を意味する。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
材料
以下の実施例においては下記の材料を使用した。
ELISA用96ウェルプレート(Maxisorp、ナルジェヌンク社製)
BSA(オリエンタル酵母社製)
HA(アルツアンプル、鶏冠由来、生化学工業社製)
CS−C(サメ軟骨由来、生化学工業社製)
HA−BSA(生化学工業社製)
HABP(「ヒアルロン酸バインディングプロテイン」、生化学工業社製)
ビオチン−HABP(生化学工業社製)
HRP−アビジン(PIERCE社製)
OPD錠(SIGMA社製)
ABTS錠(SIGMA社製)
OPD(o-フェニレンジアミン)用緩衝液(特殊免疫研究所社製)
TMB(+)(DAKO社製)
TMB BLUE(DAKO社製)
PBS(塩化ナトリウム8g、塩化カリウム0.2g、リン酸水素二ナトリウム2.9g、リン酸二水素カリウム0.2gを精製水1Lに溶解して調製した。)
洗浄液(PBS 1LにTween-20(和光純薬社製)0.5mL を添加し、攪拌溶解して調製した。)
ELISA基本緩衝液(洗浄液1LにBSA 10gを添加し、攪拌溶解した後、ポアサイズ0.2μmのろ過フィルターでろ過して調製した。)
各種分子量のHAの調製
上記鶏冠由来HA(試料Aとした)をアルカリ条件下(pH10.5)あるいはヒツジ睾丸ヒアルロニダーゼで処理して低分子化し、エタノール沈殿処理により精製し下記試料B〜Jを調製した。記載した各分子量は、後述する実施例1のGPC法により測定した値である。これらの試料を実施例2以降の試験に被験試料として使用した。
試料A: 2289 kDa(以下「HA−2289」とも記載する)
試料B: 964 kDa(以下「HA−964」とも記載する)
試料C: 821 kDa(以下「HA−821」とも記載する)
試料D: 606 kDa(以下「HA−606」とも記載する)
試料E: 323 kDa(以下「HA−323」とも記載する)
試料F: 248 kDa(以下「HA−248」とも記載する)
試料G: 182 kDa(以下「HA−182」とも記載する)
試料H: 112 kDa(以下「HA−112」とも記載する)
試料I: 61 kDa(以下「HA−61」とも記載する)
試料J: 22 kDa(以下「HA−22」とも記載する)
実施例1:GPC法によるHA分子量の測定
GPC用HA標準品として鶏冠由来HAを前述の方法によって低分子化し、エタノール沈殿によって精製し、9種の標準品(HA−MWSTD−1〜9)を得た。これらの分子量を公知の方法である光散乱法によって決定した。
上記9種のGPC用標準品、及び10種の被検試料のそれぞれを、0.2M NaClを用いて約100μg/mLの濃度に調製し、下記条件で分析した。標準品の分子量をX軸に、溶出ピーク位置の溶出時間をY軸に、それぞれプロットして標準曲線を作成し、これを用いて被検試料の溶出ピーク位置からそれらのピーク分子量を算出した。
・測定装置
カラムオーブン:CO-8025(東ソー社製)
ポンプ:PU-920(日本分光社製)
紫外部吸収検出器:UV-1575(日本分光社製)
カラム:TSK-GEL G-6000PWXL(東ソー社製)
・測定条件
溶媒:0.2M NaCl
温度:40℃
流速:0.5mL/min.
検出条件:波長215nmでの紫外吸収
試験は2回行い(試験1及び2)、9種のGPC用標準品及び試料B、H、Jについては試験1及び2で測定を行い、試料A、E〜G、Iについては試験1で測定を行い、試料C及びDについては試験2で測定を行った。各試験において、GPC用分子量標準品はすべてn=3で、各被検試料はすべてn=2で測定した。結果を表1に示す。
Figure 2008018519
表1中、標準品について示した分子量は光散乱法により測定した分子量である。
本実施例における測定所要時間は、試験1では47時間、試験2では37時間であった。このように、既存の方法のひとつであるGPC法では1サイクルで1試料しか分析できないため、長時間が必要となる。また、40μg以上(100μg/mL溶液が400μL)のHA量が必要である。
実施例2:HPLC法によるHA濃度の定量
実施例1においてGPC法で分子量を測定した試料A〜Jについて、以下に記載したHPLC法によってHA濃度を定量測定した。
・標準品
HA不飽和2糖標準品(生化学工業社製)を精製水に溶解し、波長232nmでの紫外部吸収を校正された分光光度計(U-530DS;日本分光社製)により測定し、同物質の分子吸光係数5.7に基づき濃度を決定し、校正された電子天秤(AT-250;メトラー社製)を用いて正確に希釈して濃度2μg/mLのHPLC定量用標準液を作成した。
・測定装置
ポンプ:PU-2080(日本分光社製)
グラジエントユニット:(日本分光社製)
オートサンプラー:AS-2050(日本分光社製)
加熱反応槽:DB-5(島村計器社製)
蛍光検出器:FP-2059(日本分光社製)
カラム:YMC-GEL PA120-S05(ワイエムシー社製)
・測定条件
溶媒:0 〜 200mM Na2SO4グラジエント
温度:室温
流速:0.5 mL/min.
標識温度:145℃
検出条件:励起波長346nm、吸収波長410nm
HA濃度測定方法
被検試料を採取し、ヒアルロニダーゼSD(生化学工業社製)を終濃度 100mUとなるように加え、酢酸Na緩衝液を終濃度25mUとなるように加え、37℃で2時間反応させ、HA不飽和2糖に完全に分解した。得られた被検試料の消化液及びHA不飽和2糖標準液をHPLCを用いて上記条件で分析した。標準液のピーク面積値と被検試料消化液の面積値との比を元に、被検試料である各種分子量のHA濃度を算出した。
結果を表2に示す。
Figure 2008018519
実施例3:試料のHA濃度測定(工程(1))
実施例1でGPC法により分子量を測定し、実施例2でHPLC法によりHA濃度を測定した試料B(HA-964)、E(HA-323)、H(HA-112)及びJ(HA-22)を、濃度0、6.25、12.5、25、50、100、200、400 ng/mLに調製し、下記の手順による競合ELISA法によりHA定量試験を行った。
HA−BSAを濃度100μg/mLでPBSに溶解し、これを96ウェルプレートの各ウェルに100μLずつ加え、4℃で一晩静置して固相化した。その後、各ウェルをPBS 300μLで3回洗浄し、1%BSAのPBS溶液を200μLずつ加え、室温で2時間静置してブロッキングした後、各ウェルを洗浄液300μLで3回洗浄した。この各ウェルに、前述のELISA基本緩衝液で調製した各試料HAの希釈系列あるいはHA不含液を50μLずつ加え、次いで、ELISA基本緩衝液で調製したビオチン−HABP溶液を50μLずつ加え、37℃で1時間反応させた後、各ウェルを洗浄液300μLで3回洗浄した。この各ウェルに、ELISA基本緩衝液で希釈したHRP−アビジン溶液を100μLずつ加え、37℃で1時間反応させた後、各ウェルを洗浄液300μLで5回洗浄した。この各ウェルに、OPD用緩衝液で濃度0.25mg/mLに調製したOPD溶液を100μLずつ加え、遮光して室温にて30分間反応させた後、1M HCl溶液を100μL加え、ELISAプレート吸光度計(SK-603、生化学工業社製)を用いて吸収波長492nm、対照波長630nmにて吸光度を測定した。測定結果を表3に、結果をプロットしたグラフを図1に示す。
Figure 2008018519
上記結果から明らかなように、本実施例で記載したような競合ELISA法を使用すれば、少なくとも分子量20kDaから960kDa程度のHAについて分子量の影響を受けずに簡便にHAを定量できることが明らかとなった。
実施例4
実施例3と同様の方法でHA定量試験を行った。但し、ビオチン−HABPの溶解液を0.4Mおよび1.2Mグアニジン塩酸を含むELISA基本緩衝液とした。測定結果を表4および表5に、結果をプロットしたグラフを図2および図3に、それぞれ示す。
Figure 2008018519
Figure 2008018519
実施例3及び4の結果から明らかなように、工程(1)に競合ELISA法を適用する場合、緩衝液条件等は各種分子量のHAの定量測定に影響を与えず、種々の条件で実施し得るものである。すなわち、後述する工程(2)における反応性を変化させ得る添加剤について測定感度・測定精度・安定性・操作性などの点において最適な条件を適時選択し、同一の条件を使用して工程(1)を行っても測定結果に影響がないことが確認された。従って、工程(1)および(2)において同一の緩衝液を使用するなど、本発明の測定方法の条件をより簡略化でき、またより簡略な本発明の測定キットを構築することができる。
実施例5:HAに結合する標識されたHABPの測定(工程(2))
下記のような手順によりHAに結合する標識されたHABPの測定を行った。
本実施例では、固相に固定するHABPの量、反応時の緩衝条件、添加剤の条件を検討するため、固相に固定するHABPの量を変化させ、またHA標準液及びビオチン−HABPを溶解する緩衝液に関して、下記5通りのELISA緩衝液を用いた。
1) ELISA基本緩衝液
2) ELISA基本緩衝液に1M NaClを添加
3) ELISA基本緩衝液に3M NaClを添加
4) ELISA基本緩衝液に0.4M グアニジン塩酸を添加
5) ELISA基本緩衝液に1.2M グアニジン塩酸を添加
HABPを濃度300及び3000ng/mLでPBSに溶解し、これを96ウェルプレートの各ウェルに100μLずつ加え、4℃で一晩静置して固相化した。その後、各ウェルをPBS 300μLで3回洗浄し、1%BSAのPBS溶液を200μLずつ加え、室温で2時間静置してブロッキングした後、各ウェルを洗浄液300μLで3回洗浄した。この各ウェルに、前述の各ELISA緩衝液で調製した試料J(HA−22)あるいは試料B(HA−964)の1000ng/mL溶液あるいはHA不含液を100μLずつ加え、37℃で1時間反応させた後、各ウェルを洗浄液300μLで3回洗浄した。この各ウェルに、前述の各ELISA緩衝液で調製したビオチン−HABPの200及び800ng/mL溶液を100μLずつ加え、37℃で1時間反応させた後、各ウェルを洗浄液300μLで3回洗浄した。この各ウェルに、ELISA基本緩衝液で調製したHRP−アビジンの500ng/mL溶液を100μLずつ加え、37℃で1時間反応させた後、各ウェルを洗浄液300μLで5回洗浄した。この各ウェルに、OPD用緩衝液で濃度0.25mg/mL に調製したOPD溶液を100μLずつ加え、遮光して室温にて30分間反応させた後、1M HCl溶液を100μL加え、ELISAプレート吸光度計(SK-603、生化学工業社製)を用いて吸収波長492nm、対照波長630nm にて吸光度を測定した。結果を表6及び7に示す。
Figure 2008018519
Figure 2008018519
上記結果から、固相化したHABPと液相のビオチン−HABPとでHAを挟み込んで検出するサンドイッチ法を行った場合、HAの分子量によりビオチン−HABPとの反応性は一様ではないこと、固相化するHABPあるいはビオチン−HABPの使用濃度及び各ステップにおいて用いる緩衝液の組成によって、HA分子量に依存する反応性の差異の程度(以下、HA分子量依存性と表記する)を調整可能であることが明らかとなった。
実施例6:ビオチン−HABPの反応性に対する添加剤条件についての試験1
ビオチン−HABPの反応性に対する添加剤条件について試験するため、試料B(HA−964)及びJ(HA−22)を使用し、下記の条件で、その他は実施例5と同様に反応及び測定を行った。結果を表8及び9に示す。
・HABP固相化濃度:300及び3000 ng/mL
・HABP固相化時の緩衝液:PBS
・HA標準品を溶解した緩衝液:ELISA基本緩衝液
・ビオチン−HABPの使用濃度:200及び800 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度:0、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2及び1.4 M
・HRP−アビジンの使用濃度:500 ng/mL
・発色液:0.25 mg/mL OPD
Figure 2008018519
Figure 2008018519
上記の結果から、例えばビオチン−HABPを溶解する緩衝液にグアニジン塩酸を加え、この濃度を変化させることによって、HA分子量依存性を調節可能であることが判明した。
実施例7:発色強度の調整についての試験
発色物質による発色強度の調整について試験するため、試料B(HA−964)を使用し、下記の条件で、その他は実施例5と同様に反応及び測定を行った。結果を図4に示す。
・HABP固相化濃度:300 ng/mL
・HABP固相化時の緩衝液:PBS
・HA標準品を溶解した緩衝液:ELISA基本緩衝液
・ビオチン−HABPの使用濃度:200及び800 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度: 0.4、0.6、0.8、1.0、1.2及び1.4 M
・HRP−アビジンの使用濃度:500ng/mL
・発色液:0.25mg/mL OPD、0.5mg/mL
OPD及びTMB(+)(試薬量として100μl)
この結果、実施例6で比較検討した各条件における最大吸光度は、HRP−アビジン使用濃度及び発色基質の種類と濃度を変化させることで調整可能であることが確認された。
実施例8:ビオチン−HABPの反応性に対する添加剤条件についての試験2
ビオチン−HABPの反応性に対する添加剤条件について試験するため、試料B(HA−964)、H(HA−112)及びJ(HA−22)を使用し、下記の条件で、その他は実施例5と同様に反応及び測定を行った。反応条件を表10に、結果を図5に示す。
・HABP固相化濃度:300及び3000 ng/mL
・HABP固相化時の緩衝液:PBS
・HA標準品を溶解した緩衝液:ELISA基本緩衝液
・ビオチン−HABPの使用濃度:200 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度: 0、0.4、0.8、及び 1.2 M
・HRP−アビジンの使用濃度:500ng/mL
・発色液:0.25mg/mL OPD、0.5mg/mL
OPD及びTMB(+)(試薬量として100μl)
Figure 2008018519
この結果、グアニジン塩酸濃度が高くなるに従って分子量依存性が顕著になる結果が得られ、実施例6で得られた傾向と一致した。本実施例のように、実施例6で見い出したビオチン標識HABP溶解液に添加するグアニジン塩酸濃度の調節と、実施例7で実施した発色条件の最適化を組み合わせることにより、最大吸光度0.5〜3.0の実用的な範囲で、様々な分子量依存性を示す反応系を構築可能であることが判明した。
なお、実施例9以降においても、本実施例の場合と同様に必要に応じて予め実施例7と同様も発色強度検討を実施し、HRP−アビジンの使用濃度及び発色基質の種類と濃度について適切な条件を選択した上で、各試験を実施した。
実施例9:ビオチン−HABPの反応性に対する添加剤条件についての試験3
ビオチン−HABPの反応性に対する添加剤条件について試験するため、試料B(HA−964)、E(HA−323)、H(HA−112)及びJ(HA−22)を使用し、下記の条件で、その他は実施例5と同様に反応及び測定を行った。反応条件を表11に、結果を図6に示す。
・HABP固相化濃度:300 ng/mL
・HABP固相化時の緩衝液:PBS
・HA標準品を溶解した緩衝液:ELISA基本緩衝液
・ビオチン−HABPの使用濃度:200 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へ加えた添加剤の種類及び濃度
1) 尿素: 2.67M、5.33M及び8.0M
2) CS−C: 0.2mg/mL、1.0mg/mL及び10mg/mL
3) SDS: 0.025%、0.05%及び0.1%
・HRP−アビジンの使用濃度:500ng/mL
・発色液:0.25mg/mL OPD、0.5mg/mL OPD及びTMB(+)(試薬量として100μl)
Figure 2008018519
この結果、ビオチン−HABP溶解液への添加剤としては、グアニジン塩酸以外にも、尿素、SDS、CS−Cなどが利用可能であることが判明した。
実施例10:ビオチン−HABPの使用濃度についての試験
ビオチン−HABPの使用濃度の適当な範囲について試験するため、試料B(HA-964)、E(HA−323)、H(HA−112)及びJ(HA−22)を使用し、下記の条件で、その他は実施例5と同様に反応及び測定を行った。反応条件を表12に、結果を図7に、結果から計算した各試料で得られた吸光度間の比を表13にそれぞれ示す。
・HABP固相化濃度:300 ng/mL
・HABP固相化時の緩衝液:PBS
・HA標準品を溶解した緩衝液:ELISA基本緩衝液
・ビオチン−HABPの使用濃度:200、400、800、1600及び3200 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度: 0.4、0.8及び1.2 M
・HRP−アビジンの使用濃度:100及び500 ng/mL
・発色液の種類と使用濃度:
1) ABTS:0.4 mg/mL
2) OPD:0.2、0.25、及び 0.5 mg/mL
3) TMB−BLUE(試薬量として100μl)
Figure 2008018519
Figure 2008018519
この結果から、ビオチン−HABPの使用濃度としては、少なくとも200から3200ng/mLの範囲が適用可能であることが示された。また、特にビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度が比較的高濃度である場合には、ビオチン−HABPの使用濃度が高くなるに従って、分子量依存性は減ずる結果が得られた。本実施例から、ビオチン−HABPの使用濃度によっても分子量依存性を調節可能であることが判明した。
実施例11:HA標準溶液における添加剤使用についての試験
HA標準溶液においてグアニジン塩酸を使用した場合の影響について試験するため、試料B(HA−964)、E(HA−323)、H(HA−112)及びJ(HA−22)を使用し、下記の条件で、その他は実施例5と同様に反応及び測定を行った。反応条件を表14に、結果を図8に、結果から計算した各試料で得られた吸光度間の比を表15にそれぞれ示す。
・HABP固相化濃度:30、300、3000 ng/mL
・HABP固相化時の緩衝液:PBS
・HA標準品溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度: 0、0.8、1.2、1.6及び2.4 M
・ビオチン−HABPの使用濃度:200 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加: なし
・HRP−アビジンの使用濃度:100及び500 ng/mL
・発色液の種類と使用濃度:
1) OPD:0.25、0.32及び0.5 mg/mL
2) TMB(+)(試薬量として100μl)
Figure 2008018519
Figure 2008018519
特にHABP固相化濃度が飽和となる300ng/mLよりも低い範囲で、標準液及び被検試料溶解液へ添加したグアニジン塩酸濃度が高くなるほど分子量依存性は顕著になる結果が得られた。本実施例から、標準液及び被検試料を溶解する緩衝液へのグアニジン塩酸濃度によっても分子量依存性を調節可能であることが判明した。
実施例12:HABP固相化時の緩衝液条件についての試験
HABP固相化時の緩衝液条件について試験するため、試料B(HA−964)、E(HA−323)、H(HA−112)及びJ(HA−22)を使用し、下記の条件で、その他は実施例5と同様に反応及び測定を行った。反応条件を表16に、結果を図9に、結果から計算した各試料で得られた吸光度間の比を表17にそれぞれ示す。
・HABP固相化濃度:300 ng/mL
・HABP固相化時の緩衝液:PBS、3M NaCl−PBS及び3.6M NaCl−PBS
・HA標準品を溶解した緩衝液:ELISA基本緩衝液
・ビオチン−HABPの使用濃度:200 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度: 0.4、0.8及び1.2 M
・HRP−アビジンの使用濃度:500ng/mL
・ 発色液の濃度と使用濃度:
1)OPD:0.25mg/mL
2)OPD:0.5mg/mL及びTMB(+)(試薬量として100μl)
Figure 2008018519
Figure 2008018519
これらの結果から、HABPをプレートに固相化する際に使用する緩衝液は、特定の条件に限定されるものではなく、少なくとも本実施例で示した緩衝液条件はすべて適用可能であることが示された。
実施例13:HABP固相化時のHABP濃度についての試験1
HABP固相化時のHABP濃度について試験するため、試料B(HA−964)、E(HA−323)、H(HA−112)及びJ(HA−22)を使用し、下記の条件で、その他は実施例5と同様に反応及び測定を行った。反応条件を表18に、結果を図10に、結果から計算した各試料で得られた吸光度間の比を表19にそれぞれ示す。
・HABP固相化濃度:10、30、100、300、1000、3000、10000、30000 ng/mL
・HABP固相化時の緩衝液:PBS
・HA標準品を溶解した緩衝液:ELISA基本緩衝液
・ビオチン−HABPの使用濃度:200 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度: 0.4及び1.2 M
・HRP−アビジンの使用濃度:500 ng/mL
・発色液の種類と使用濃度:
1) OPD:0.25及び0.5 mg/mL
2) TMB(+)及びTMB BLUE(試薬量として100μl)
Figure 2008018519
Figure 2008018519
これらの結果から、HABP固相化濃度としては、少なくとも10から30,000ng/mLの範囲が適用可能であることが示された。また、HABP固相化濃度が飽和に達する300ng/mLよりも低い範囲では、HABP濃度が低くなるほど分子量依存性は顕著となる結果が得られた。本実施例より、HABPの固相化濃度によっても分子量依存性を調節可能であることが判明した。
実施例14:HABP固相化時のHABP濃度についての試験2
HABP固相化時のHABP濃度について試験するため、試料B(HA−964)、E(HA−323)、H(HA−112)及びJ(HA−22)を使用し、下記の条件で、その他は実施例13と同様に反応及び測定を行った。反応条件を表20に、結果を図11に、結果から計算した各試料で得られた吸光度間の比を表21にそれぞれ示す。
・HABP固相化濃度:30、60、120、240 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度: 0.4及び0.8 M
・HRP−アビジンの使用濃度:500 ng/mL
・発色液の種類と使用濃度:
1)OPD:0.25及び0.5 mg/mL
Figure 2008018519
Figure 2008018519
実施例13と一致する結果が得られた。
実施例15:条件の組合せについての試験
上記実施例で検討した各種の条件の組合せにより分子量依存性の程度を調整できるかを試験するため、試料B(HA−964)、E(HA−323)、H(HA−112)及びJ(HA−22)を使用し、下記の条件で、その他は実施例5と同様に反応及び測定を行った。反応条件を表22に、結果を図12に、結果から計算した各試料で得られた吸光度間の比を表23にそれぞれ示す。
・HABP固相化濃度:100 ng/mL
・HABP固相化時の緩衝液:PBS
・HA標準品溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度: 0、0.8及び1.6 M
・ビオチン−HABPの使用濃度:200 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加: 0、0.4及び0.8 M
・HRP−アビジンの使用濃度:500 ng/mL
・発色液の種類と使用濃度:
1)OPD:0.25、0.32及び0.5 mg/mL
Figure 2008018519
Figure 2008018519
本実施例から明らかなように、本発明の測定方法の工程(2)における分子量依存性の程度は、複数の条件の組合せを最適化することで自在に調節できる。実際には、測定方法の条件を設定し、測定キットを構築する上で、測定感度・測定精度・安定性・操作性等を考慮し、最適な形態となる条件を適時選択することができる。
実施例16:検体についての測定1
以下に被検試料の分子量の測定の具体例を示す。
被検試料としては、実施例1において分子量を測定した3種のHA、試料D(HA−606)、G(HA−182)、I(HA−61)を、ダルベッコ改変イーグル培地に添加した試料を用いた。工程(1)の標準試料としては試料J(HA−22)そのものを使用した。工程(2)の標準試料としては試料B(HA−964)、E(HA−323)、H(HA−112)及びJ(HA−22)を使用した。
これらの試料をそれぞれ適宜希釈し、まず実施例3に記載した方法に従って工程(1)を実施した。吸光度測定の結果を、標準試料については下記表24に、それらを濃度値とともに対数に換算した値を表25に、被検試料については表26に示す。
Figure 2008018519
Figure 2008018519
Figure 2008018519
標準液での吸光度データ(図13A)を元に図13Bに示した検量線を作成し、これを利用して試料中のHA濃度を求めた。結果は表26に示す。
この結果に基づき、各被検試料を400ng/mLの濃度に希釈し、実施例15の条件Eを適用して、工程(2)を実施した。得られた吸光度の結果を下記表28に示す。また各濃度の標準試料について同様に操作を行った。得られた吸光度の結果を下記表27に示す。これらの値から得られた各標準試料についての反応曲線を図14Aに示す。またこれらの結果のうち400ng/mLの濃度で得られた結果から得られた標準曲線を図14Bに示す。
400ng/mLの濃度の各試料の吸光度値と図14Bの標準曲線から、各被検試料のHAの分子量を求めた(工程(3))。結果を表28に示す。
Figure 2008018519
Figure 2008018519
実施例17:検体についての測定2
以下に被検試料の分子量の測定の別の具体例を示す。
被検試料としては、実施例1において分子量を測定した3種のHA、試料D(HA−606)、F(HA−248)、I(HA−61)を、ダルベッコ改変イーグル培地に添加した試料を用いた。工程(1)の標準試料としては試料J(HA−22)そのものを使用した。工程(2)の標準試料としては試料B(HA−964)、E(HA−323)、H(HA−112)及びJ(HA−22)を使用した。
これらの試料をそれぞれ適宜希釈し、実施例3に記載した方法に従って工程(1)を実施するとともに、これと並行して実施例14の条件Aを適用して、工程(2)を実施した。
工程(1)について、標準試料の吸光度測定の結果を下記表29に、それらの対数に換算した値を濃度を対数に換算した値とともに表30に、被検試料の吸光度測定の結果を表31に示す。
Figure 2008018519
Figure 2008018519
Figure 2008018519
標準液での吸光度データを元に作成した検量線を図15Aに、吸光度及び濃度を対数値で表した前記検量線の近似式を図15Bに示す。これを利用して試料中のHA濃度を求めた。結果は表31に合わせて示す。
また、工程(2)で得られた標準試料の吸光度の結果を下記表32に、これら値から得られた各標準試料についてのHA濃度に対する吸光度を示す反応曲線を図16Aに、被検試料の吸光度の結果を表34に示す。
最後に、工程(1)および工程(2)で得られた結果を元に、工程(3)である分子量算出を実施した。まず、工程(2)で得られた各々のHA分子量標準試料の反応曲線について対数関数により近似した式を図16Bに示す。これらの近似式のxに、工程(1)で求めた各被験試料のHA濃度を代入することにより、各被験試料のHA濃度での各分子量標準試料の吸光度値を計算により求めることができる。この操作により求めた値を表33に示す。
さらに、各被験試料のHA濃度で求めた表33の吸光度値をx軸に、HA分子量をy軸にプロットし、得られた曲線の近似式を求めることにより、各被験試料のHA濃度での分子量測定用検量線を作成することができる。これにより得られた各濃度おける分子量測定用検量線の近似式を図17に示す。これらの近似式中、各被験試料の濃度に対応する式のxに、工程(2)で求めた当該被験試料の吸光度値を代入することにより、当該被験試料のHA分子量を求めることができる。これにより得られた分子量を表34に示す。
本実施例のように、工程(1)および(2)を、工程(1)の結果に基づいて工程(2)の反応条件等を選択する等の操作を行うことなく独立して実施した場合でも、被験試料について各工程で得られた吸光度値が各々の測定範囲内であれば、被験試料のHA分子量を求めることができる。
Figure 2008018519
Figure 2008018519
Figure 2008018519
Figure 2008018519
実施例18:前処理工程2)と3)を行った際のプロテアーゼ失活効果の確認
アクチナーゼAFを、濃度2%あるいは6% となるように0.135M NaCl−10mM Tris.HCl(pH8.0) に溶解し、被験試料液とした。この溶液の一部を分取し、10分間煮沸して失活させ、対照液Aとした。また、アクチナーゼを含まない緩衝液を対照液Bとした。
各液を氷冷後、予め氷冷しておいた40%、12%、あるいは4%TCA溶液を1/4容量添加して混合して氷上に15分間保持した後、各液を2等分し、一方はそのまま氷上に維持し、もう一方は小型冷却遠心機を用いて4℃で5分間、10000r.p.m.で遠心分離し、上清を採取した。
各液に対して予め氷冷しておいた 2M Tris溶液を添加し、pH8.0に調整した。尚、pH8.0 に調整する為に要する2M Trisの容量は、事前検討により決定した。
中和後の各液を 20μL採取し、試験開始時のアクチナーゼ濃度2%の試料については精製水 180μL を、アクチナーゼ濃度 6%の試料については精製水580μL を、それぞれ添加して希釈して氷上に保持し、残存プロテアーゼ活性測定の被験試料とした。
プロテアーゼ活性測定の標準品として、アクチナーゼAF粉末を精製水に溶解して6%溶液を調整し、これを用いて12.5−500μg/mLの希釈系列を作成し、標準液とした。
上記の被験試料および標準液を50μLずつ採取し、1.25%カゼインナトリウム(和光純薬)溶液を250μL添加し、55℃で30分間反応させた後、110mM TCA250μLを添加してタンパク質を沈殿させ、10000×gで10分間遠心分離して上清60μLを採取した。この溶液に500mM 炭酸Na溶液を 150μL添加し、更に4倍希釈したフェノール試薬(和光純薬)を30μL添加し、攪拌混合後、37℃で30分間反応させた後、波長630nmの吸光度を測定した。
標準液の濃度と吸光度から検量線を作成し、これを用いて被験試料中の残存プロテアーゼ活性を、標準アクチナーゼAFの濃度当量として算出して評価した。
その結果を表36に示した。アクチナーゼ濃度 2%溶液、6%溶液ともに、TCA処理を終濃度8%および2.4%で実施し、沈殿を遠心分離除去後に上清を中和する方法を実施した場合、残存プロテアーゼ活性をほぼ完全に失活できることが確認できた。
Figure 2008018519
実施例19:前処理工程2)と3)を実施した場合のHA分子量の保持率の評価
試料用緩衝液として0.135M NaCl−10mM Tris.HCl(pH8.0) を調製し、これに、3種の分子量のHA(実施例1、表1のHA−MWSTD−1、2、および3)を終濃度5μg/mLとなるように添加し、これを被験試料とした。
各被験試料を6mLずつ3本に分注し氷冷後、予め氷冷しておいた3種濃度のTCA溶液(A:40%、B:12%、C:4%)を1.5mL添加して混合して氷上に15分間保持した後、冷却遠心機を用いて4℃で5分間、3000r.p.m.で遠心分離し、上清9.6mLを採取した。
上記各液に対して、氷冷した 2M Tris溶液を、Aについては2.50mL、Bについては0.75mL、Cについては0.27mL添加してpH8.0に調整した。続いて氷冷した精製水を、Aについては非添加、Bについては1.75mL、Cについては2.24mL添加して、最終容量を揃えた。これらの液を9.6mL採取し、PD-10カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス)を用いて脱塩後、遠心エバポレーターで加温せずに濃縮乾固し、0.2M NaCl 380μL を加えて再溶解した。
この溶液について、実施例1と同様の方法でGPC分析を実施してHA分子量を測定し、上記の前処理実施後のHA分子量と未処理のHAの分子量とを比較して、前処理工程でのHA分子量保持率を評価した。
その結果を表37に示した。TCAを終濃度8%で処理した場合、HA−MWSTD−1(分子量:2310kDa)、HA−MWSTD−2(分子量:1410kDa)、HA−MWSTD−03(分子量:993kDa)の各試料について、ピーク分子量で評価した保持率はそれぞれ100%、96%、103%であった。TCAを終濃度2.4%で処理した場合、HA分子量 HA−MWSTD−1、同−2、同−3の各試料について、ピーク分子量で評価した保持率はそれぞれ101%、99%、102%であった。TCAを終濃度0.8%で処理した場合、HA−MWSTD−1、同−2、同−3の各試料について、ピーク分子量で評価した保持率はそれぞれ97%、95%、104%であった。
Figure 2008018519
実施例20:前処理工程1)、2)、3)を実施した場合のHA分子量の保持率の評価
試料用緩衝液として0.135M NaCl−10mM Tris.HCl(pH8.0) を調製し、これにアクチナーゼAFを溶解して、濃度6%溶液(A)および2%溶液(B)を調製した。また、アクチナーゼを含まない試料用緩衝液(C)を用意した。上記各液に、3種の分子量のHA(実施例1、表1のHA−MWSTD−1、2、および3)を終濃度5μg/mLとなるように添加し、これを被験試料とした。
各被験試料を37℃湯浴中で24時間処理した後、6mLを採取して氷冷後、予め氷冷しておいた40%TCA溶液を1.5mL添加して混合し、氷上に15分間保持した後、冷却遠心機を用いて4℃で5分間、3000r.p.m.で遠心分離し、上清9.6mLを採取した。
上記各液に対して、氷冷した 2M Tris溶液を2.65mL添加してpH8.0に調整した。調製後の各液を PD-10カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス)を用いて脱塩後、遠心エバポレーターで加温せずに濃縮乾固し、0.2M NaCl 380μL を加えて再溶解した。
この溶液について、実施例1と同様の方法でGPC分析を実施してHA分子量を測定し、上記の前処理実施後のHA分子量と未処理のHAの分子量とを比較して、前処理工程でのHA分子量保持率を評価した。
その結果を表38に示した。アクチナーゼ濃度2%で37℃・24時間処理した場合の保持率は、ピーク分子量で評価した場合、HA−MWSTD−1(分子量:2310kDa)、HA−MWSTD−2(分子量:1410kDa)、HA−MWSTD−3(分子量:993kDa)の各試料について、それぞれ89%、91%、96%であった。アクチナーゼ濃度6%で42℃・24時間処理した場合の保持率は、ピーク分子量で評価した場合HA−MWSTD−1、同−2、同−3の各試料について、それぞれ74%、80%、89%であった。
Figure 2008018519
実施例21:前処理工程2)、3)、4)実施後の溶媒組成が、測定工程(1)に及ぼす影響の確認
3種濃度のTCA溶液、2M Tris溶液、ELISA用補正液、D.W. を、表39の比率で混合し、模擬前処理液A、B、Cを調製した。この処理液を用いて、4種の分子量のHA(実施例1、表1の試料-B、E、H、J)について、濃度800、400、200、100、50、25、12.5ng/mLの希釈列を作成した。これを、実施例3と同様の方法で測定工程(1)を実施した。
測定結果を表40に、結果をプロットしたグラフを図18に、それぞれに示した。模擬処理液A、B、Cいずれを用いた場合も、HAの分子量によらず同一の反応性を示すことが確認された。このことから、被験試料溶液に前処理工程で添加したプロテアーゼ失活用試薬および中和試薬が含まれたままの状態でも、標準品の溶媒を被験試料の溶媒と同一組成に合わせて使用すれば、測定工程(1)が実施可能であることが確認された。
Figure 2008018519
Figure 2008018519
実施例22:前処理工程2)、3)、4)実施後の溶媒組成が、測定工程(2)に及ぼす影響の確認
実施例21で調製した模擬前処理液A、B、Cを用いて、4種の分子量のHA(実施例1、表1の試料-B、E、H、J)について、濃度1000、300、100、30ng/mLの希釈列を作成した。これを下記の条件で、その他は実施例5と同様に反応及び測定を行った。
・HABP固相化濃度:30、100 ng/mL
・HABP固相化時の緩衝液:PBS
・HABP固相化プレート:3種ブロッキング試薬を用いて乾燥プレートを作成して使用。
・HA標準品を溶解した緩衝液:ELISA基本緩衝液
・ビオチン−HABPの使用濃度:200 ng/mL
・ビオチン−HABP溶液へのグアニジン塩酸の添加濃度: 0.4及び0.8 M
・HRP−アビジンの使用濃度:500 ng/mL
・発色液の種類と使用濃度:OPD:0.5 mg/mL
HABP固相化濃度30ng/mLでの反応条件を表41に、結果を図19に、結果から計算した各試料で得られた吸光度間の比を表42にそれぞれ示す。また、HABP固相化濃度100ng/mLでの反応条件を表43に、結果を図20に、結果から計算した各試料で得られた吸光度間の比を表44にそれぞれ示す。
模擬処理液A、B、Cいずれを用いた場合も、HAの分子量に比例した反応強度を示すことが確認された。このことから、被験試料溶液に前処理工程で添加したプロテアーゼ失活用試薬および中和試薬が含まれたままの状態でも、標準品の溶媒を被験試料の溶媒と同一組成に合わせて使用すれば、測定工程(2)が実施可能であることが確認された。
Figure 2008018519
Figure 2008018519
Figure 2008018519
Figure 2008018519
実施例23:実施例18〜22の結果から確定した条件を適用した場合の、各種生体試料中HA濃度の測定結果(HPLC法)
10mM Tris.HCl(pH8.0) にアクチナーゼAFを溶解して、2%溶液を調製し、これをブタ軟骨種組織試料400mgに4mL添加し、これを被験試料1とした。
同様に10mM Tris.HCl(pH8.0) にアクチナーゼAFを溶解して、10%溶液を調製し、これをヒト滑膜細胞株培養上清4mLに1mL添加し、これを被験試料2とした。
各被験試料を37℃湯浴中で24時間処理した後、3mLを採取して氷冷後、予め氷冷しておいた40%TCA溶液を0.75mL添加して混合し、氷上に15分間保持した後、冷却遠心機を用いて4℃で5分間、3000r.p.m.で遠心分離し、上清4.8mLを採取した。
上記各液に対して、氷冷した 2M Tris溶液を1.33mL添加してpH8.0に調整した。調製後の各液を PD-10カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス)を用いて脱塩後、遠心エバポレーターで加温せずに濃縮乾固し、0.2M NaCl を加えて再溶解した。
この溶液について、実施例2と同様の方法でHPLC分析を実施してHA濃度を測定した。
その結果を表45に示した。
Figure 2008018519
実施例24:実施例18〜22の結果から確定した条件を適用した場合の、各種生体試料中HA分子量の測定結果(GPC法)
実施例23で得た、脱塩濃縮後の再溶解液について、実施例1と同様の方法でGPC分析を実施してHA分子量を測定した。
その結果を表45に示した。
実施例25:実施例18〜22の結果から確定した条件を適用した場合の、各種生体試料中HA濃度の測定結果(ELISA法(測定工程(1))
実施例23で得た、各検体の2M Tris中和液を 30μL採取し、これに実施例21に示したELISA用補正液を48.3μL添加し、被験試料溶液を作成した。HA濃度標準品は実施例21と同様の方法で調製した。
上記の標準液および被験試料溶液を、実施例16と同様の方法で測定し、HA濃度を測定した。
その結果を表45に示した。本方法での測定値と、実施例23で得られたHPLC法での値との間で、良好な一致が得られた。
実施例26:実施例18〜22の結果から確定した条件を適用した場合の、各種生体試料中HA分子量の測定結果(ELISA法(測定工程(2)、(3)))
実施例25で作成した各被験試料溶液について、実施例25での結果を元に、実施例21で作成した模擬前処理液Aを用いて希釈し、HA濃度を100ng/mLにあわせ、これを被験試料とした。HA分子量標準品は実施例21と同様の方法で調製した。
上記の標準液および被験試料を、実施例16と同様の方法で測定し、HA分子量を算出した。
その結果を表45に示した。本方法での測定値と、実施例24で得られたGPC法での値との間で、良好な一致が得られた。

Claims (16)

  1. ヒアルロン酸を含む試料中のヒアルロン酸をヒアルロン酸結合性タンパク質と反応させ、試料中のヒアルロン酸に結合したヒアルロン酸結合性タンパク質の量又はその量を反映する値を測定する工程を少なくとも含む、ヒアルロン酸の分子量の測定方法。
  2. 下記の工程(1)〜(3)を少なくとも含む、請求項1に記載の測定方法。
    (1) 試料中のヒアルロン酸濃度を測定する工程、
    (2) 試料中のヒアルロン酸をヒアルロン酸結合性タンパク質と反応させ、試料中のヒアルロン酸に結合したヒアルロン酸結合性タンパク質の量又はその量を反映する値を測定する工程、及び、
    (3) 濃度及び分子量既知の標準ヒアルロン酸試料から得られたヒアルロン酸の分子量とヒアルロン酸に結合するヒアルロン酸結合性タンパク質の量又はその量を反映する値との関係と、上記工程(1)で得られた試料中のヒアルロン酸濃度と、上記工程(2)で得られた試料中のヒアルロン酸に結合したヒアルロン酸結合性タンパク質の量又はその量を反映する値から試料中のヒアルロン酸の分子量を求める工程。
  3. 上記工程(2)が下記工程(i)〜(iv)により構成される、請求項2に記載の測定方法。
    (i) ヒアルロン酸結合性タンパク質を固相に固定する工程、
    (ii) 固相に固定したヒアルロン酸結合性タンパク質に試料中のヒアルロン酸を反応させる工程、
    (iii) 固相に固定したヒアルロン酸結合性タンパク質に結合したヒアルロン酸に、標識したヒアルロン酸結合性タンパク質をさらに反応させる工程、及び
    (iv) 工程(iii)においてヒアルロン酸に結合した標識ヒアルロン酸結合性タンパク質の量又はその量を反映する値を測定する工程。
  4. 工程(iii)において使用する標識したヒアルロン酸結合性タンパク質の標識物質が、ビオチン、アビジン、酵素、アイソトープ、蛍光色素、及び化学発光物質からなる群から選択される、請求項3に記載の測定方法。
  5. 工程(iii)において使用する標識したヒアルロン酸結合性タンパク質の標識物質が、ビオチン又はアビジンである、請求項3又は4に記載の測定方法。
  6. 工程(3)において使用する、濃度及び分子量既知の標準ヒアルロン酸試料から得られたヒアルロン酸の分子量とヒアルロン酸に結合するヒアルロン酸結合性タンパク質又はその量を反映する値の量との関係が、濃度及び分子量既知のヒアルロン酸標準液を試料として工程(2)を行うことにより得られた標準曲線で表されることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の測定方法。
  7. 工程(3)において、工程(1)で得られた試料中のヒアルロン酸濃度は、試料を希釈するための指標として、又は、当該濃度における、標準ヒアルロン酸試料のヒアルロン酸に結合するヒアルロン酸結合性タンパク質の量又はその量を反映する値の算出に用いられることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか1項に記載の測定方法。
  8. ヒアルロン酸にヒアルロン酸結合性タンパク質を反応させる際に、タンパク質変性剤、酸性多糖、及び界面活性剤から選択される添加剤を共存させ、その添加剤の量を調節することによりヒアルロン酸結合性タンパク質とヒアルロン酸とが結合する量を調整することを特徴とする、請求項3〜7のいずれか1項に記載の測定方法。
  9. 工程(iv)において測定するヒアルロン酸に結合したヒアルロン酸結合性タンパク質の量又はその量を反映する値を、工程(i)における固定するヒアルロン酸結合性タンパク質の量、あるいは工程(iii)における反応させるヒアルロン酸結合性タンパク質の量を変化させることにより調整することを特徴とする、請求項3〜8のいずれか1項に記載の測定方法。
  10. 添加剤が、グアニジン塩酸である、請求項8に記載の測定方法。
  11. 固相化するヒアルロン酸結合性タンパク質の量が、固相化に使用するヒアルロン酸結合性タンパク質溶液の濃度として、3〜30000 ng/mLである、請求項3〜10のいずれか1項に記載の測定方法。
  12. 工程(iii)において反応させる標識ヒアルロン酸結合性タンパク質がビオチン標識ヒアルロン酸結合性タンパク質であり、ビオチン標識ヒアルロン酸結合性タンパク質溶液の濃度が10〜30000 ng/mLである、請求項3〜11のいずれか1項に記載の測定方法。
  13. ヒアルロン酸標準液及び/又は試料中のグアニジン塩酸の濃度が終濃度で0〜3.6 Mである、請求項10に記載の測定方法。
  14. ビオチン標識ヒアルロン酸結合性タンパク質溶液中のグアニジン塩酸の濃度が終濃度で0〜1.6 Mである、請求項10に記載の測定方法。
  15. ヒアルロン酸結合性タンパク質を少なくとも含む、ヒアルロン酸の分子量の測定用のキット。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の測定方法を用いることを特徴とする、請求項15に記載のキット。
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