JP2732718B2 - ヒアルロン酸の定量用キット及び定量方法 - Google Patents

ヒアルロン酸の定量用キット及び定量方法

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JP2732718B2 JP4232991A JP4232991A JP2732718B2 JP 2732718 B2 JP2732718 B2 JP 2732718B2 JP 4232991 A JP4232991 A JP 4232991A JP 4232991 A JP4232991 A JP 4232991A JP 2732718 B2 JP2732718 B2 JP 2732718B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒアルロン酸の定量用
キット及び定量方法に関する。更に詳しくは、検体ヒア
ルロン酸を、軟骨型プロテオグリカンのコンドロイチナ
ーゼABC処理物と標識されたヒアルロン酸結合性蛋白
とで挟み、サンドイッチ状結合体を形成させ、サンドイ
ッチ状結合体の標識物質により検体ヒアルロン酸を定量
するキット及び定量方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒアルロン酸は、N−アセチルグルコサ
ミンとグルクロン酸が交互にβ−1,4結合により重合
した酸性ムコ多糖類であり、臍帯、関節液及び眼の硝子
体等に含まれている。一方、血清ヒアルロン酸の変化
が、ある種の病気と相関関係にあることが知られてい
る。例えば、血清ヒアルロン酸の増加が、肝硬変などの
肝機能不全患者に見られる。更には、血清ヒアルロン酸
の増加は、ガン及び慢性関節リウマチと相関関係があ
る。したがって、血清及び他の生物体液中のヒアルロン
酸を定量することは、炎症の進行や手術後の回復の診断
或いは癌の診断において有用である。
【0003】軟骨型プロテオグリカンは、主鎖となる蛋
白(分子量20万〜30万)のアミノ末端領域(分子量
6万〜7万、ヒアルロン酸結合性部位と呼ばれる部分)
がヒアルロン酸に会合する状態で、かつ、該ヒアルロン
酸からカルボキシル末端を上方にして立ち上がる状態で
存在する。そして該蛋白のカルボキシル末端領域には主
としてコンドロイチン硫酸鎖群が結合し、次いでコンド
ロイチン硫酸鎖群の次に(アミノ末端側に)主としてケ
ラタン硫酸鎖群が結合している。また、ケラタン硫酸鎖
群からアミノ末端までの相当の距離は、結合する基が存
在しない裸の状態で存在する。
【0004】従来、ヒアルロン酸の定量法として、軟骨
型プロテオグリカンのトリプシン処理によって得られた
ヒアルロン酸結合性蛋白を、固相に固着させ、該ヒアル
ロン酸結合性蛋白と標識されたヒアルロン酸結合性蛋白
とでヒアルロン酸を挟み、サンドイッチ状結合体を形成
させ、該結合体の標識物を測定することにより、ヒアル
ロン酸を定量する方法が知られている(Clinica. Chimic
a. Acta., 181,1989年,Kenji Chichibu et a
l., p. 317−324、及び特開昭64−469号公
報、以下あわせて秩父法と記す)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記秩父法で
は、感度が低いという欠点があった。それは、プロテオ
グリカンのトリプシン処理物、すなわち親水性のヒアル
ロン酸結合性蛋白を使用するため、該結合性蛋白を疎水
性の固相に、効率よく固着させることができなかったも
のと考えられる。
【0006】本発明は、感度の高いヒアルロン酸の定量
を行うためのキット及び定量方法を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、軟骨型プロテ
オグリカンのコンドロイチナーゼABC処理物と標識さ
れたヒアルロン酸結合性蛋白とからなるヒアルロン酸定
量キット及び固相に固着された軟骨型プロテオグリカン
のコンドロイチナーゼABC処理物に、検体ヒアルロン
酸を含む試料を添加して、該処理物と検体ヒアルロン酸
とを結合させ、さらに予め標識物質で標識されたヒアル
ロン酸結合性蛋白を添加して、検体ヒアルロン酸を、該
処理物と標識されたヒアルロン酸結合性蛋白とで挟み、
サンドイッチ状結合体を形成させ、サンドイッチ状結合
体の標識物質により検体ヒアルロン酸を定量する方法を
要旨とする。
【0008】本発明の、軟骨型プロテオグリカンのコン
ドロイチナーゼABC処理物としては牛、豚、鹿または
人等の軟骨から得られる軟骨型プロテオグリカンを、コ
ンドロイチナーゼABC(EC4.2.2.4)で処理
したものを挙げることができる。
【0009】本発明の原料としての軟骨型プロテオグリ
カンの製法としては、例えば軟骨から、4〜6M 塩酸グ
アニジンで軟骨成分を可溶化して抽出し、次いでプロテ
オグリカンが会合する条件下(例えば0.5M 塩酸グア
ニジン溶液中)で沈降平衡遠心を行って高密度(約1.
6g/ml以上)の画分を得、この画分についてプロテオグ
リカンが会合しない条件下(例えば4〜6M 塩酸グアニ
ジン溶液中)で沈降平衡遠心を行って高密度(約1.5
g/ml以上)画分を得、これを透析して軟骨型プロテオグ
リカンを得る方法等を挙げることができる。
【0010】コンドロイチナーゼABCの製造法として
は、例えばプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris,
ATCC 6896)培養菌体を破砕処理し、硫安分画、吸
着クロマトグラフィー、アフィニティー・クロマトグラ
フィー等の一般的酵素採取法により製造することができ
る(J. Biol. Chem., 243(1968),YamagataT.
et al., p.1523−1535)。
【0011】また、市販品を使用することもできる。市
販品としては、コンドロイチナーゼABCプロテアーゼ
フリー(生化学工業株式会社製造および販売、商品
名)、コンドロイチナーゼABC(生化学工業(株)製
造および販売、シグマ社販売、商品名)等を挙げること
ができる。ただし、市販品を使用する場合に、有意量の
プロテアーゼが混入している場合には、該プロテアーゼ
の活性を押えるために、プロテアーゼ阻害剤例えばエチ
レンジアミン四酢酸等を添加することが望ましい。これ
はもしコンドロイチナーゼABCにプロテアーゼが混入
していると、コア蛋白が切断されるためである。
【0012】コンドロイチナーゼABC処理は、プロテ
オグリカンに結合する親水性物質であるコンドロイチン
硫酸をコンドロイチナーゼABCで分解して取り除くこ
とで、上記処理物を疎水性の固相表面に結合しやすくす
ることを目的とする。このため該処理は、コンドロイチ
ナーゼABCの至適条件下で、1〜2時間、コンドロイ
チン硫酸が完全に分解する程度まで酵素反応させること
が好ましい。
【0013】本発明に使用するヒアルロン酸結合性蛋白
は、上記秩父法等により製造することができる。例え
ば、軟骨のプロテオグリカンに蛋白分解酵素(トリプシ
ン等)を加え、コア蛋白を分解し、ヒアルロン酸結合担
体(例えば、ヒアルロン酸を結合させた球状セルロー
ス)を用いるアフィニティー・クロマトグラフィーによ
り該結合性蛋白を得ることができる。次いで該結合性蛋
白を、既知法に従い標識物質(例えばビオチン、アビジ
ン、酵素、アイソトープ、蛍光色素、化学発光物質等)
で標識して、本発明の標識されたヒアルロン酸結合性蛋
白を得ることができる。
【0014】本発明に使用する固相としては、プレー
ト、チューブ、ビーズまたはメンブレン等が挙げられ、
これらの材質としては、ポリスチレン又はポリ塩化ビニ
ル等が好ましい。市販品としては、例えばヌンクプレー
ト(ポリスチレン製)を挙げることができる。
【0015】本発明の定量方法としては、先ず、固相に
軟骨型プロテオグリカンのコンドロイチナーゼABC処
理物を固着する。固着方法としては、例えば該処理物を
pH7〜9のリン酸緩衝液又は炭酸緩衝液に溶解して固相
に加え、37℃で2〜3時間保存して固着させる方法等
を挙げることができる。上記固着後、ブロック体を添加
して、該処理物が固着していない部分を被覆しておく必
要がある。ブロック体としては、例えば牛等から採取で
きる、血清アルブミン、血清又はミルク蛋白等が挙げら
れ、特に固相にヌンクプレートを使用した場合はミルク
蛋白の使用が推奨される。
【0016】次いで、上記処理物が固着した固相に、検
体ヒアルロン酸を含む試料を添加し、上記処理物にヒア
ルロン酸を結合させる。ヒアルロン酸を含む試料として
は、人、牛、ラット等の血液や体液をそのまま試料とし
て使用することができる。ヒアルロン酸を結合させた
後、一般的には固相をトウィーン系界面活性剤を添加し
たリン酸緩衝液等で洗浄することが推奨される。
【0017】さらに、上記のヒアルロン酸が結合した固
相に、標識されたヒアルロン酸結合性蛋白を添加して、
ヒアルロン酸に該結合性蛋白を結合させる。この操作に
よって、ヒアルロン酸を上記処理物と該結合性蛋白とで
挟みサンドイッチ状結合体を形成させる。
【0018】次に、該サンドイッチ状結合体の標識物質
を測定してヒアルロン酸を定量する。標識物質の測定方
法としては、標識物質により異なるが、例えば標識物質
にビオチンを使用する場合は、例えばアビジンを結合さ
せた酵素を、上記サンドイッチ状結合体を形成させた固
相に添加し、酵素をアジビンを介して結合体に結合さ
せ、酵素の酵素反応を測定する方法を挙げることができ
る。
【0019】次いで、ヒアルロン酸濃度と標識物質の測
定結果との関係について検量線を作成し、未知検体につ
いての測定結果と該検量線とを用いて、未知検体中のヒ
アルロン酸を定量する。
【0020】本発明のキットは、軟骨型プロテオグリカ
ンのコンドロイチナーゼABC処理物と、標識されたヒ
アルロン酸結合性蛋白とで構成される。本発明のキット
を使用するに当り、該処理物を固相に固着させる工程が
必要となるが、あらかじめ該処理物を固相に固着させて
おくことにより、該工程を省略することができる。上記
処理物と結合性蛋白とは、それぞれ別の容器に収め、ど
ちらも凍結或いは凍結乾燥した状態で保存することによ
り、2年程度の期間、活性を維持することが期待でき
る。
【0021】
【作用】本発明の軟骨型プロテオグリカンのコンドロイ
チナーゼABC処理物は、軟骨型プロテオグリカンのコ
ンドロイチン硫酸のみを除去した物であって、ヒアルロ
ン酸結合部位を変化させることなく得られた物であるの
で、ヒアルロン酸との会合能を損なっていない。また該
処理物は、親水性であるコンドロイチン硫酸鎖群が除か
れ、該鎖群の結合していたコア蛋白領域が疎水性にされ
ているため、該領域を疎水性の固相に固着することがで
き、親水性であるヒアルロン酸結合部位を上方にして立
ち上がる状態で存在する。このため該結合部位にヒアル
ロン酸が効率よく結合し、感度の高い定量結果を得るこ
とができるものと考える。
【0022】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0023】以下において、使用する単位としては、M
は(mol/l)、%は(g/100ml) 、及びUはpH8.0、
37℃で1分間にコンドロイチン6−硫酸から1μmol
の不飽和二糖を生成する酵素量を示すものである。
【0024】製造例軟骨型プロテオグリカンのコンドロイチナーゼABC処
理物の製造 (軟骨型プロテオグリカンの製造) 牛の鼻中隔軟骨350gを細断し、予め4℃に保持した
4M 塩酸グアニジン3500mlに投入し、4℃で約70
時間撹拌し、プロテオグリカンを抽出した。次いで、1
0,000rpm で20分間遠心分離した後、上清液を得
た。該上清液を4M 塩酸グアニジン、0.01M EDT
A、0.05M ベンゾアミジン塩酸及び0.1M 6−ア
ミノヘキサン酸を含む、0.05M 酢酸ナトリウム溶液
(以下溶媒Aと記す)を外液とし、セルロースチューブ
を使用して4℃で24時間透析した。
【0025】次いで、透析内液を10,000rpm で3
0分間遠心分離し上清液を得た。得られた上清液を、塩
酸グアニジン濃度を0.4M に変えた溶媒Aを、外液と
し、セルロースチューブを使用して4℃で24時間透析
した。次いで、透析内液1gに対して1.1gの塩化セ
シウムを加えよく撹拌後、10℃、23,000rpm で
約70時間遠心分離した。遠心分画された溶液の管底か
ら2/5位までを採取し、プロテオグリカンA1画分と
した。
【0026】次に、プロテオグリカンA1画分溶液に、
塩酸グアニジン濃度を8M に変えた溶媒Aを同容量加え
た。
【0027】次いで、溶液1gに対して0.55gの塩
化セシウムを加えよく撹拌し、10℃、23,000rp
m で約50時間遠心分離を行った。遠心分画された溶液
の管底から1/4部分を採取し、軟骨型プロテオグリカ
ン溶液とした。得られた軟骨型プロテオグリカン溶液
を、0.01M EDTAを含む0.2M 酢酸ナトリウム
(pH6.5)を外液とし、セルロースチューブを使用し
て透析し、さらに脱イオン水に対しても透析した後、凍
結乾燥して、軟骨型プロテオグリカン粉末100mgを得
た。
【0028】(軟骨型プロテオグリカンのコンドロイチ
ナーゼABC処理物の製造) 軟骨型プロテオグリカン粉末15mgを、0.03M 酢酸
ナトリウムを含む0.1M トリス塩酸(pH8.0)緩衝
液2mlに溶解し、1UのコンドイチナーゼABCプロテ
アーゼフリー(商品名、生化学工業(株)製造及び販
売)を加え、37℃で1時間保存した。次いで蒸留水を
外液とし、セルロースチューブを使用して10℃で約2
0時間透析し、得られた透析内液を、軟骨型プロテオグ
リカンのコンドロイチナーゼABC処理物の溶液として
用いた。上記処理物の溶液は、使用前まで−70℃で凍
結保存した。
【0029】ヒアルロン酸結合性蛋白の製造 牛の鼻中隔軟骨400gを細断し、予め4℃に保持した
4M 塩酸グアニジン溶液を2倍量加えて、ミンチ状とし
た。8倍重量の4M 塩酸グアニジン溶液を加えて、撹拌
しながら4℃で48時間抽出した。
【0030】次いで、10,000rpm で30分間遠心
分離して4,000mlの上清液を採取した。該上清液
を、セルロースチューブを使用して脱イオン水で透析し
た後、凍結乾燥して粗抽出粉末を得た。
【0031】次に、粗抽出粉末について以下のようにト
リプシン処理を行った。粗抽出粉末2,500mgとトリ
プシン(シグマ社製造)1.2mgとを、0.1M 酢酸ナ
トリウムを含む0.1M トリス塩酸緩衝液(pH7.3)
50mlに溶解し、37℃で3時間保存した。次いで、ト
リプシン阻害剤1.6mg( 大豆由来、シグマ社製造)及
び7.5M 塩酸グアニジン(pH5.8)43ml(終濃度
が4M )を加えた。そして、10,000rpm で20分
間遠心分離して上清液90mlを得た。
【0032】さらに以下のようにアフィニティークロマ
トグラフィーを行って、ヒアルロン酸結合性蛋白を得
た。
【0033】上記の上清液90mlに、予め作成したヒア
ルロン酸結合球状セルロース(作成方法は後述)100
mlを加えて混合し、該混合物を、4℃に保持した0.5
M 酢酸ナトリウム溶液(pH5.8)を外液とし、セルロ
ースチューブを使用して、約20時間透析し、ゲルを得
た。
【0034】ゲルを内径3cm、高さ20cmのカラムに充
填した後、0.4M 塩酸グアニジンを含む0.05M 酢
酸ナトリウム溶液(pH5.8)で洗浄し、3M NaCl
を含む0.5M 酢酸ナトリウム溶液(pH5.8)で、不
要な蛋白を溶出した後、4M 塩酸グアニジン溶液でヒア
ルロン酸結合性蛋白を溶出した。該ヒアルロン酸結合性
蛋白を脱イオン水を外液とし、セルロースチューブを用
いて4℃で24時間透析した後、凍結乾燥してヒアルロ
ン酸結合性蛋白を得た。
【0035】ビオチン化ヒアルロン酸結合性蛋白の製造 次いで、ヒアルロン酸結合性蛋白に、以下の操作によっ
てビオチンを結合させ、ビオチン化ヒアルロン酸結合性
蛋白を製造した。
【0036】ヒアルロン酸112mgとヒアルロン酸結合
性蛋白112mgとを、12mlの0.05M リン酸緩衝液
(pH7.0)に溶解し、4℃で15時間保存した。次い
で0.1M 炭酸水素ナトリウム溶液で10倍に希釈して
120mlの溶液とした。この溶液に20mg/ml ビオチン
−N−ヒドロキシサクシンイミド溶液(溶媒はジメチル
スルホキシドを用いた)5mlを加えて、室温で4時間保
存した。この溶液を、0.02M リン酸緩衝液(pH7.
0)を外液とし、セルロースチューブを使用して4℃で
24時間透析を行った。
【0037】次いで、塩酸グアニジン105mlを加え、
終濃度4M 塩酸グアニジン溶液とした。ヒアルロン酸結
合球状セルロースを該溶液に加えて混合し、混合液を、
0.5M 酢酸ナトリウム溶液(pH5.8)を外液とし、
セルロースチューブを用いて透析した。該チューブ内ゲ
ルをカラムに詰め、0.4M 塩酸グアニジン含有0.5
M 酢酸ナトリウム(pH5.8)緩衝液と、3M NaCl
含有0.5M 酢酸ナトリウム(pH5.8)緩衝液とで順
次洗浄した後、4M 塩酸グアニジン溶液で溶出した。溶
出液を減圧下に、蛋白濃度が1mg/ml になるまで濃縮
し、次いで1mlに小分けして凍結保存し、ビオチン化ヒ
アルロン酸結合性蛋白を得た。
【0038】ヒアルロン酸結合球状セルロースの製造 ヒアルロン酸ナトリウム(分子量:50,000)10
gを蒸留水に溶かし、1N HClでpH4.5に調整し、
全量を200mlとした。この溶液に蒸留水で洗浄したア
ミノ−セルロファイン(商品名、生化学工業(株)販
売)100g(wet) を加えて混合し、この懸濁液にWS
C(ウォーター ソルブル カルボジイミド(Water So
lble Carbodiimido), (株)同仁化学研究所製造)8g
を加えて溶かし、減圧脱気した。この懸濁液をゆっくり
撹拌しながら、4℃で20時間保存した。このとき希塩
酸でpH4.5に調整した。懸濁液はろ過し、ゲルを蒸留
水で洗浄した後、1M 酢酸緩衝液(pH4.5)200ml
に加えて、再度懸濁し、WSC8gを加え溶解し、脱気
後、4℃に20時間保存した。このとき0.5M 酢酸で
pH4.5に調整した。懸濁液をろ過し、ゲルを蒸留水、
3M NaCl溶液、4M 塩酸グアニジン溶液で順次洗浄
し、最後に蒸留水で洗浄した後、使用するまで4℃で保
存した。このようにして製造したヒアルロン酸結合セル
ロファインゲルは、湿重量1g当たり4.25mgのヒア
ルロン酸が結合していた。
【0039】実施例1 ヒアルロン酸の定量 NaCl 36g、リン酸−ナトリウム11.6g及び
リン酸二ナトリウム0.59gを蒸留水4000mlに溶
解した後、pHを7.4に調整してリン酸緩衝液(以下、
PBSと略)を調製した。
【0040】軟骨型プロテオグリカンのコンドロイチナ
ーゼABC処理物の溶液を、PBSで40倍に希釈し、
コンドロイチナーゼABC処理前の軟骨型プロテオグリ
カン重量に換算して5μg/ml溶液を調製した。この溶液
を96ウエルのイムノプレート(ヌンク社製)に100
μl ずつ添加し、37℃で3時間保存した。次いで、こ
の溶液を除き、ブロック体として25%ブロックエース
(商品名、大日本製薬(株)製造)を含むPBSを15
0μl ずつ添加し、37℃で1時間保存した後、洗浄液
(0.05%Tween 20を含むPBS)で3回洗浄し
た。
【0041】ヒアルロン酸の濃度を250、125、3
1.2、7.8、1.9、0.49ng/ml とした検量線
作成のためのヒアルロン酸標準液と、検体として、3倍
希釈した正常人血清5サンプル(A〜E)及び170倍
希釈した慢性リウマチ患者の血清2サンプル(RA−
1、RA−5)を用意した。希釈は10%ブロック・エ
ースを含むPBS(以下、希釈液と記す)で行った。対
照は希釈液を用いた。以上の標準液、検体及び対照をそ
れぞれウエルに100μl 添加し、37℃で1.5時間
保存した。
【0042】その後上記洗浄液で5回洗浄後、希釈液で
200倍に希釈したビオチン化ヒアルロン酸結合性蛋白
溶液(蛋白濃度5μg/ml)をウエルに100μl ずつ加
え、37℃で1.5時間保存した。上記洗浄液で5回洗
浄後、PBSで8,000倍に希釈したストレプトアビ
ジン結合アルカリホスファターゼ(ICN社製造)溶液
を100μl ずつウエルに加え、37℃で60分間保存
した。上記洗浄液で5回洗浄後、1mg/ml p−ニトロフ
ェニルホスフェート(シグマ社製造)溶液(溶媒は0.
001%MgCl2を含む1M ジエタノールアミン(pH
9.8)を用いた)をウエルに100μl ずつ加え、3
7℃で30分間保存して発色させた。停止液(5M Na
OH)を50μl ずつ加え、紫外・可視吸光度計にてO
405-66 0nm の差吸光度を測定した。ヒアルロン標準液
及び対照の測定結果を表1に、検量線を図1に示す。ま
た、検体の測定結果と該検量線を使用して得られたヒア
ルロン酸の定量値とを表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】比較例 本発明のヒアルロン酸定量方法と前述の秩父法とにより
以下に説明する方法により検量線を作成し、定量感度の
比較を行った。
【0046】軟骨型プロテオグリカンのコンドロイチナ
ーゼABC処理物の溶液を、PBSで希釈し、コンドロ
イチナーゼABC処理前の軟骨型プロテオグリカン重量
に換算して10μg/ml溶液(以下、BNSC ABC処
理液と記す)を調製した。また秩父法のヒアルロン酸結
合性蛋白10μg/ml溶液(以下、HABP液と記す)を
調製した。それぞれの溶液を96ウエルのイムノプレー
ト(ヌンク社製造)に100μl ずつ添加し、37℃で
3時間保存した。
【0047】次いで、この溶液を除き、ブロック体とし
て25%ブロックエースを含むPBSを200μl ずつ
添加し、37℃で1時間保存した後、洗浄液で3回洗浄
した。
【0048】ヒアルロン酸濃度を、希釈液を使用して、
500、100、10、1、0.1、0ng/ml としたヒ
アルロン酸標準液を用意し、それぞれウエルに100μ
l 添加して、37℃で1.5時間保存した。
【0049】その後、洗浄液で5回洗浄後、希釈液で1
00倍に希釈したビオチン化ヒアルロン酸結合性蛋白溶
液(蛋白濃度10μg/ml)をウエルに100μl ずつ加
え、37℃で1.5時間保存した。洗浄液で5回洗浄
後、4,000倍に希釈したストレプトアビジン結合ア
ルカリホスファターゼ溶液を100μl ずつウエルに加
え、37℃で1時間保存した。洗浄液で5回洗浄後、1
mg/ml p−ニトロフェニルホスフェート溶液をウエルに
100μl ずつ加え、37℃で1時間保存して発色させ
た。停止液(5M NaOH)を50μl ずつ加え、紫外
・可視吸光度計にてOD405-660nm の差吸光度を測定し
た。本発明の定量方法すなわちBNSCABC処理液を
添加したウエルについての測定結果と、秩父法すなわち
HABP液を添加したウエルについての測定結果とから
作成した検量線を図2に示す。
【0050】図2から、ヒアルロン酸濃度が、0.1〜
10ng/ml の範囲において、秩父法ではヒアルロン酸定
量は不可能であるのに対し、本発明の方法は0.5ng/m
l オーダーの定量が可能であり、測定感度の点で優れて
いることが理解されよう。
【0051】
【発明の効果】本発明のヒアルロン酸の定量キット及び
定量方法は、軟骨型プロテオグリカンのコンドロイチナ
ーゼABC処理物を使用するため、検体ヒアルロン酸を
効率よく結合させることができ、500pg/ml のヒアル
ロン酸定量が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒアルロン酸の検量線の例である。
【図2】ヒアルロン酸の検量線である。
【符号の説明】
黒丸…本発明の方法 白丸…秩父法

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟骨型プロテオグリカンのコンドロイチ
    ナーゼABC処理物と、標識されたヒアルロン酸結合性
    蛋白とからなるヒアルロン酸定量用キット。
  2. 【請求項2】 固相に固着された軟骨型プロテオグリカ
    ンのコンドロイチナーゼABC処理物に、検体ヒアルロ
    ン酸を含む試料を添加して、該処理物と検体ヒアルロン
    酸とを結合させ、さらに予め標識物質で標識されたヒア
    ルロン酸結合性蛋白を添加して、検体ヒアルロン酸を、
    該処理物と標識されたヒアルロン酸結合性蛋白とで挟
    み、サンドイッチ状結合体を形成させ、サンドイッチ状
    結合体の標識物質により検体ヒアルロン酸を定量する方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008018519A1 (en) 2006-08-08 2008-02-14 Seikagaku Corporation Method for determination of molecular weight of hyaluronic acid
WO2009128448A1 (ja) 2008-04-15 2009-10-22 和光純薬工業株式会社 新規なヒアルロン酸結合能を有するタンパク質及びこれを用いたヒアルロン酸の測定方法

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