JPWO2008001935A1 - 反射防止構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は反射防止構造体及びその製造方法に関する。安価且つ容易に量産可能な反射防止構造体を提供する。微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成された反射防止構造体であって、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造の形状とが略同一であることを特徴とする。

Description

本発明は反射防止構造体及びその製造方法に関する。
近年、光の反射を抑制する光反射防止処理が表面に施された種々の光学素子が提案されている。光反射防止処理としては、例えば、屈折率の比較的低い膜(低屈折率膜)や、低屈折率膜と屈折率の比較的高い膜(高屈折率膜)とを交互に積層してなる多層膜等からなる光反射防止膜を表面に形成する処理が挙げられる(例えば、特許文献1等)。一般的に、このような低屈折率膜や多層膜等からなる光反射防止膜は、蒸着法や、スパッタリング法等により形成される。
しかしながら、蒸着法やスパッタリング法等を用いた光反射防止膜の形成工程は複雑である。このため、光反射防止膜は、生産性が低く、また生産コストが高いという問題がある。
また、このような光反射防止膜は、波長依存性が大きいという問題がある。具体的には、所定の波長(設計波長)の光に対しては高い光反射防止機能を有するものの、その他の波長の光に対しては十分な光反射防止機能を有さないという問題がある。このため、低屈折率膜や多層膜等からなる光反射防止膜では、撮像光学系などにおいて必要とされる可視波長域全域に亘る光反射防止効果を実現することは困難である。
さらには、低屈折率膜や多層膜等からなる光反射防止膜は、垂直入射光に対しては比較的高い光反射防止効果を有するものの、入射角が大きくなると光反射防止効果が小さくなるという入射角依存性を有する。すなわち、入射角の大きな光に対しては十分な光反射防止効果が得られないという問題もある。
このような問題に鑑み、例えば、サブミクロンピッチで配列された複数の錐体状突起部からなる反射防止構造(以下、「反射防止凹凸構造」とすることがある。)が提案されている。この反射防止凹凸構造を有する光学素子では、光学素子界面における急激な屈折率変化が抑制される。すなわち、反射防止凹凸構造において緩やかに屈折率が変化する。このため、光学素子表面における光反射が低減され、光学素子内への高い光入射率を実現することができる。この反射防止凹凸構造によれば、錐体状突起部相互間のピッチ以上の波長を有する光の反射を抑制することができる。また、反射防止凹凸構造は、入射角の大きい光に対しても比較的高い反射抑制効果を奏する。すなわち、この反射防止凹凸構造は小さい波長依存性及び入射角依存性を有するものである。従って、この反射防止凹凸構造を用いることにより、広い波長域における高い光反射防止効果を有する光学素子、光学系等を実現することができる。このような反射防止構造体の製造方法としては、特許文献2のようにEB描画とRIEエッチングを組み合わせたものなどが提案されている。
特許第2566634号公報 特開2001−272505号公報
特許文献2等に記載された反射防止構造体の製造方法では、反射防止構造体の製造に非常に長い時間と多大な製造コストを必要とする。従って、特許文献2等に記載された方法により直接反射防止構造体を製造することは好ましくない。
例えば、安価に反射防止構造体を製造する方法として、反射防止構造を作成するための複製型を用いる方法が考えられる。この方法によれば、一旦、複製型を作製した後は、容易且つ安価に反射防止構造体を製造することが可能となる。
また、特に安価な製造方法として、作成された反射防止構造体を成形型として、1次の複製型を作製し、その1次の複製型を成形型として2次の複製型を作製し、その2次の複製型を成形型として用いて反射防止構造体を製造する方法が考えられる。この方法によれば、一旦反射防止構造体を作成してしまえば、2次の複製型を安価に量産できるため、反射防止構造体の製造コストをより低減することができる。
ところが、反射防止構造は、一般的に、図1のような複数の微細な錐体状の凸部が配列した構造を有する。このため、反射防止構造体と2次の複製型とは実質的に同形状となる。従って、2次の複製型を用いてプレス成形が電鋳により反射防止構造体を製造すると、元となった反射防止構造体とは凹凸形状が逆の図2のような反射防止構造体が製造されてしまう。すなわち、元の反射防止構造体に形成された凸部の形状に対応した凹部が複数形成された反射防止構造を有する反射防止構造体が製造されることとなる。
ここで、複数の微細な凹部が形成された場合は、複数の微細な凸部が形成された場合と比較して、表層部における屈折率変化が急になるため、十分な反射防止効果が得られなくなる可能性がある。
従って、複数の微細な錐体状の凸部が複数配列されてなる反射防止構造を備えた反射防止構造体は2次の複製型を用いて安価に製造することができないという問題がある。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安価且つ容易に量産可能な反射防止構造体を提供することにある。
上記目的を解決するために、本発明に係る反射防止構造体は、微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成された反射防止構造体であって、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造の形状とが略同一であることを特徴とする。
すなわち、本発明に係る反射防止構造体は、微細な複数の凸部の形状と、その複数の凸部により形成される複数の凹部を反転させた形状とが相互に略同一であるとことを特徴とする。
本発明に係る反射防止構造体を成形型として第1の複製型を作製し、その第1の複製型を成形型として第2の複製型を作製した場合、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造の形状とが略同一であるため、第1の複製型に形成された微細構造と第2の複製型に形成された微細構造とは、共に本発明に係る反射防止構造体の反射防止構造と略同一形状となる。そして、第1又は第2の複製型を用いて、電鋳やプレス成形法により本発明に係る反射防止構造体を量産することができる。つまり、本発明に係る反射防止構造体は、ひとつ作成した後は、その作成された反射防止構造体を成形型として第1又は第2の複製型を多数作製することができ、その多数作成された複製型を用いて微細な凸部が複数配列されてなる反射防止構造を有する反射防止構造体を容易且つ安価に量産することができる。従って、本発明に係る反射防止構造体は、安価且つ容易に量産可能なものである。
本発明に係る反射防止構造体の第1の製造方法は、微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成されており、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造とが略同形状である反射防止構造体を製造するための方法であって、反射防止構造は二光束干渉露光法、又はX線リソグラフィ法により形成することを特徴とする。
本発明に係る反射防止構造体の第2の製造方法は、微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成されており、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造とが略同形状である反射防止構造体を製造するための方法であって、反射防止構造体を成形型として電鋳によって複製型を作製し、複製型を用いて反射防止構造を形成することを特徴とする。
本発明に係る反射防止構造体の第3の製造方法は、微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成されており、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造とが略同形状である反射防止構造体を製造するための方法であって、反射防止構造体を成形型として用いて被成形物をプレス成形することにより複製型を作製し、複製型を用いて反射防止構造を形成することを特徴とする。
本発明によれば、安価且つ容易に量産可能な反射防止構造体を実現することができる。
図1は、一般的な円錐型反射防止構造体の図である。 図2は、円錐型反射防止構造体の凹凸を反転させた図である。 図3は、実施の形態1にかかる反射防止構造体の製造方法を説明する模式図である。 図4は、露光後の基板上に形成されるX線の強度分布を示す模式図、(B)は、露光後の基板上に照射されたX線の強度分布を立体的に示した斜視拡大図である。 図5は、実施の形態2にかかる反射防止構造体の製造方法を説明する模式図である。 図6は、実施の形態3にかかる電鋳型の製造方法を説明する模式図である。 図7は、実施の形態4にかかるガラス複製型の製造方法を説明する模式図である。 図8は、実施の形態5にかかる反射防止構造体の製造方法を説明する模式図である。 図9は、実施の形態7にかかる反射防止構造体の斜視図である。 図10は、実施の形態7にかかる反射防止構造体の断面図である。 図11は、実施の形態7にかかる別の反射防止構造体の断面図である。 図12は、実施の形態7にかかる反射防止構造体の製造方法において用いる成形型の断面図である。
符号の説明
Q1 石英ガラス基板
11 円錐型反射防止構造体
31 PMMA基板
32 反射防止構造体
51 X線レジスト
52 微細構造
53 反射防止構造体
61 PMMAマスタ型
62 反射防止構造体
63 Ni/B溶液
64 無電解メッキ層
65 スルファミン酸ニッケル電解液
66A Niメッキ層
66B Niメッキ層
67 塩基溶液
68 1次のNi複製型
69 離型膜
60 2次のNi複製型
71 薄膜
72 上型
73 下型
74 成形用材料
75 薄膜
76 チャンバー
77 部材
81 ベース型
82 表面保護離型層
83 電鋳型
84 流動状態の樹脂
85 樹脂
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
以下のように、SiCメンブレン上に線幅150nm、ピッチ300nmのTa吸収パターンを有するX線マスクAを用いて、PMMA基板31にX線を照射して反射防止構造体を作製した。図3を参照しながら、詳細を説明する。
PMMA基板31に、X線マスクAを100μmのギャップとなるように対向させた。その後、X線マスクA側から10A・minでX線露光を行った(第1の露光工程:図3(A))。続けて、X線マスクAをX線の光軸まわりに90度回転させて、同様にX線マスクA側から10A・minでX線露光を行った(第2の露光工程:図3(B))。X線露光後、2−(2−n−ブトキシエトキシ)エタノールを主成分とする現像液に浸漬して現像した結果、PMMA基板31は、ピッチ300nm、高さ400nmの微細構造32に加工された(現像工程:図3(C))。
PMMA基板31上に露光されるパターンは、図4の(4−1−A)に示すように、X線露光量が3レベルの正方格子である。すなわち、露光後の基板上には、回転の前後でX線が露光されない領域(図4の(4−1−A)中、「0」と記す)と、回転の前後のいずれか1回だけX線が露光された領域(図4の(4−1−A)中、「1」と記す)と、回転の前後でいずれもX線が露光された領域(図4の(4−1−A)中、「2」と記す)とが形成される。このように露光された基板を現像すると、回転の前後でいずれもX線が露光された領域および回転の前後のいずれか1回だけX線が露光された領域は、ともに現像により凹部となる。このとき、凹部の形成深さは、照射されるX線量が多いと深くなる。したがって、凹部は、回転の前後でいずれもX線が露光された領域の方が、回転の前後のいずれか1回だけX線が露光された領域よりも深くなる。以上のようにして、図4の(4−1−A)に示す3レベルの単位構造が周期的に形成された形状に対応するX線強度分布を得ることができる。
実際に、図4の(4−1−A)に示すX線強度分布に基づき基板を現像すると、干渉及び現像時のサイドエッチングの影響により、図4の(4−1−B)に示す立体的な構造のように断面矩形の形状は得られず、エッジ部分がなまった構造になり、凸部は釣り鐘型のような形状になる。また、3レベルの単位構造が反射率を低減すべき光の波長以下のピッチでアレイ状に配列されており、表面に入射する反射防止効果を奏する。
図4の(4−1−B)の構造の凹凸を反転させる、つまり図4の(4−1−A)の「2」と「0」を入れ替えても同様の構造を取ることが分かる。
実施の形態1では、X線マスクAをX線の光軸まわりに90度回転させてパターンを重畳させる例を示したがこれに限られない。例えば、X線マスクAをX線の光軸まわりに270度回転させてパターンを重畳させる例を示してもよいし、複数回回転させてもよい。要は、最終的に、L/Sパターン同士が直交する関係になるようにX線マスクを回転させればよい。また、X線マスクAを回転させる代わりに基板を回転させてもよい。
回転角度についても、90度だけでなく、図5に示すように60度もしくは120度で3回露光を行ってもよい。その際の基板上に露光されるパターンは、図4の(4−2−A)に示すように、X線露光量が4レベルとなり、現像により図4の(4−2−B)に示す形状の角部がなまった構造が形成される。同構造も、図4の(4−1−B)の構造と同様に凹凸反転させる、つまり図4の(4−2−A)の「3」と「0」、及び「2」と「1」を入れ替えても同様の構造を取ることが分かる。
実施の形態1では、X線マスクAのL/Sパターンにおいて、X線吸収領域3とX線透過領域4の幅を1対1としたが、任意の比率としてよい。また、回転中心付近と周辺付近との間で幅を変化させるようにL/Sパターンを形成すると、反射率に波長依存性を持たせることも可能である。
なお、X線吸収体の材料として、具体的にTaを挙げたがこれに限られない。例えば、吸収材が、Ta、Ni、Au、Cu、Ag、Cr、Fe等のいずれであってもよい。
また、実施の形態1では、X線リソグラフィにより反射防止構造体を作製したが、二光束干渉(ホログラム)露光法などによっても同様の形状を作製することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、基板にPMMAではなく、石英を用いた。図5を参照して、X線リソグラフィにより石英ガラス基板の表面に反射防止構造体を形成する方法を説明する。
石英ガラス基板Q1を20mm×20mm×5mmの大きさに切り出し、表面を中心線表面粗さRa=2nm程度まで平滑に研磨加工した。この石英ガラス基板Q1の表面に、スピンコート法を用いてX線レジスト51を0.3μmの厚みで形成した。X線レジスト51が塗布された石英ガラス基板Q1に、X線マスクAを100μmのギャップを介して対向させた。その後、X線マスクA側から10A・minでX線露光を行った(第1の露光工程:図5(A))。続けて、X線マスクAをX線の光軸まわりに90度回転させて、同様にマスクA側から10A・minでX線露光を行った(第2の露光工程:図5(B))。X線露光後、2−(2−n−ブトキシエトキシ)エタノールを主成分とする現像液に浸漬して現像した結果、X線レジスト51は、図4の(4−1−B)に示した立体的な強度分布に基づくピッチ300nmの微細構造52に加工された(現像工程:図5(C))。
次に、X線レジストからなる微細構造32が形成された石英ガラス基板Q1をRFドライエッチング装置の中に入れ、CHF+Oガスを用いて、石英ガラス基板の表面をエッチング処理し、石英ガラス基板Q1の表面にピッチ300nm、高さ400nmの反射防止構造体33を形成した(構造形成工程:図5(D))。反射防止構造体53も、実施の形態1で作製した反射防止構造体と同様に、凹凸反転させても同形状となっている。
なお、図5に示した製造方法において、X線レジスト塗布前の石英ガラス基板Q1にエッチングマスクを形成してから、X線露光及び現像後にウェットエッチング及びドライエッチング処理を行うと、さらに高さの大きい構造体が得られる。この場合、エッチングマスクはCr、Ni、Feであることが好ましい。
(実施の形態3)
図6を用いて、反射防止構造体を有する部材を製造するための型を複製する方法を説明する。図6は、実施の形態3にかかる反射防止構造体を有する部材の製造方法に用いる電鋳型の製造方法を説明する模式図である。実施の形態3にかかる反射防止構造体を有する部材の製造方法は、型を電鋳複製することを特徴としている。以下、実施の形態1の製造方法により作成された反射防止構造体が形成されたPMMA基板61を電鋳複製するプロセスを例に説明を行う。
実施の形態1において説明した製造方法によりPMMA基板61(マスタ型、図6(A))は、導電性ではないので、無電解メッキ用Ni/B溶液63に浸漬して、反射防止構造体62の表面に無電解メッキ層64を形成した(図6(B))。PMMA基板61の反射防止構造体62に形成された無電解メッキ層64は、30nmの厚みを有していた。無電解メッキ層64を形成したマスタ型をスルファミン酸ニッケル電解液65に浸漬し、電気メッキを行ってマスタ型の表面にNiメッキ層66Aを形成させた(図6(C))。その後、Niメッキしたマスタ型を塩基溶液67に浸漬して、PMMA基板61を引き離し(図6(D))、Ni複製型68を得た(図6(E))。Ni複製型68の厚さは1.0mmであった。
図6を用いて、上記で得られた1次のNi複製金型68から、2次のNi複製金型を作製する方法を説明する。
1次のNi複製金型68表面に、スパッタリングにより離型膜69を形成した(図6(b))。次に、離型膜69を形成した1次のNi複製金型68を、スルファミン酸ニッケル電解液65に浸漬し、電気メッキを行って表面にNiメッキ層66Bを形成させた(図6(c))。その後、Niメッキをした1次のNi複製金型68をNiメッキ層から機械的に剥離して(図6(d))、2次のNi複製金型60を得た(図6(e))。
このようにして得られた2次のNi複製金型60も、凹凸反転させても同形状であるため、マスタ型及び1次のNi複製金型68と同形状である。また、2次以降、つまり3次、4次の複製金型を作製しても、同様に同形状の金型を得ることができる。また、1次の複製金型及び2次の複製金型ともに同形状であるため、これらの金型による成形品も同形状となる。
以上のように複製された金型は、何重にも複製が可能であるため非常に低コストに複製することができる。また、これらの複製金型は、加熱軟化された樹脂やガラス等を直接成形する型として用いることができるため、反射防止構造体も低コストに製造することが可能となる。
(実施の形態4)
次に、図7を参照して、反射防止構造体を有する部材を製造するための型を複製する別の方法を説明する実施の形態4にかかる反射防止構造体を有する部材の製造方法に用いるガラス成形型の製造方法を表す。
実施の形態2において説明した製造方法により反射防止構造体が形成された石英ガラス基板表面に、スパッタリング法によって、Ir−Rhからなる表面保護のための薄膜71を0.01μmの厚みで形成し、成形用上型72とした。下型73は、WCを主成分とする超硬合金表面にスパッタリング法により、Ir−Rhからなる表面保護のための薄膜71を0.03μmの厚みで形成したものを用いた。成形用ガラス材料74には、クラウン系硼珪酸ガラス(転移点Tg:501°C、屈伏点At:549°C)を用い、その表面に離型剤として窒化硼素(BN)を主成分とする薄膜75を形成した。
上型72と下型73とを対向して成形機に設置し、その間に成形用ガラス材料74を置いた(図7(A))。なお、上型72と下型73と成形用ガラス材料74とは、すべて、窒素ガス に置換されたチャンバー76の内部に収納される。温度590℃、1000Nの加圧力で3分間プレス成形し(図7(B))、冷却せずに上型72を離型し、成形用材料74表面に反射防止構造体の反転形状を形成し、部材77を作製した(図7(C))。その後、下型73から成形された部材を取り出し、反射防止構造体を有する部材77の製造工程が完了した。なお、表面保護の薄膜がなければ、ガラス材料は部分的に直接型に接触し、融着を起こして型から離型させることができなくなってしまう。無理に離型しようとすると、ガラス材料あるいは型が割れてしまう。
以上のように複製された型は、加熱軟化された樹脂やガラス等を直接成形する型として用いることができる。実施の形態4によれば、反射防止構造体を成形するために用いる型を電子ビーム描画などの高コストで生産性の低い方法によらずに製造することが可能になる。
(実施の形態5)
次に、図8を参照して、反射防止構造体を有する部材を製造する別の方法を説明する。図8は、実施の形態5にかかる反射防止構造体を有する部材の製造方法を説明する模式図である。実施の形態5は、先に述べたマスタ型から電鋳複製された型を用いて光学樹脂からなる部材を成形することを特徴としている。
先に説明した電鋳型83をインサート型として、ベース型81と82に組み込み、樹脂が充填されるキャビティ内面全体にシランカップリング剤を塗布して、表面保護離型層82を形成した(図8(A))。次に、電鋳型83を220°Cに加熱し、流動状態にあるポリオレフィン樹脂84を型内に射出し(図8(B))、充填した(図8(C))。樹脂が冷却により固化したら、型を開き樹脂を取り出し、反射防止構造体が形成された樹脂85を得た。なお、本実施の形態はアクリル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネートなどが樹脂材料として用いることができる。
(実施の形態6)
実施の形態6は、先に述べたマスタ型から電鋳複製された型を用いて光学樹脂からなる部材を成形することを特徴としている。シランカップリング剤により表面保護膜を形成した電鋳複製型を用いて、実施の形態4と同様の成形機を用いて、光学樹脂材料をプレス成形した。表面保護膜を形成した電鋳複製型を上型とし、WCを主成分とする超硬合金を下型に用いた。上型、下型、及びPMMA樹脂基板をセットし、180°C、20MPaでプレス成形し、樹脂基板表面に反射防止構造体を形成した。なお、実施の形態はアクリル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネートなどを樹脂基板として用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態7に係る反射防止構造体は、図9,10に示すように、凸形状の構造単位と凹形状の構造単位とを交互にアレイ状に配列してなる周期構造を有し、上記凹形状の構造単位は、概略錐状又は概略釣鐘状である一方、上記凸形状の構造単位は、上記凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状であって且つその先端部を切断した形状となっている。尚、実際に得られる反射防止構造体は、干渉及び現像時のサイドエッチングの影響により、図9に示す立体的な構造のように断面矩形の形状は得られず、エッジ部分がなまった構造になっている。
または、実施の形態7に係る反射防止構造体は、図11に示すように、凸形状の構造単位と凹形状の構造単位とを交互にアレイ状に配列してなる周期構造を有し、上記凹形状の構造単位は、概略錐状又は概略釣鐘状である一方、上記凸形状の構造単位は、上記凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状であって且つその先端部の曲率半径が上記凹形状の底側端部の曲率半径よりも大きな形状となっている。
本実施の形態7に係る反射防止構造を有する反射防止構造体は、射出成形又はプレス成形によって成形される際に、凸形状先端部の転写性が低下するエア溜まりの発生を許容できるような形状となっている。その結果、射出成形又はプレス成形による反射防止構造体の形成により、容易且つ安価に量産することが可能となる。
すなわち、上記特許得文献2等に記載された反射防止構造体の製造方法では、反射防止構造体の製造に非常に長い時間と多大な製造コストを必要とするという問題がある。そこで、安価に反射防止構造体を製造する方法として、例えば、反射防止構造体の原盤もしくは複製を成形型として、射出成形又はプレス成形により反射防止構造体を成形する方法が考えられる。
しかしながら、反射防止構造体のような微細構造を射出成形又はプレス成形によって成形する場合、反射防止構造の凸形状部、つまり成形型の凹形状部の先端の空気が抜けない、すなわちエア溜まりが発生しやすく、樹脂が完全に充填されないため転写性良く射出成形することは難しい。エア溜まりを防ぐ方法として、真空成形などがあるが、成形コストが高くなるため、安価に反射防止構造体が作製できるという射出成形のメリットが失われてしまうという問題がある。そこで、安価且つ容易に量産可能な反射防止構造体が望まれていた。
それに対し、本実施の形態7によれば、反射防止構造体の射出成形によるエア溜まりの発生を許容でき、安価且つ容易に量産可能な反射防止構造体を実現することができる。
このような、反射防止構造体は、上記実施の形態1に係るX線露光によって作製した反射防止構造体を原盤として、上記実施の形態3に係る電鋳複製によって反射防止構造体の複製型を作製し、該複製型を用いた上記実施の形態5に係る射出成形によって製造することができる。
尚、原盤としての反射防止構造体の作製は、上記実施の形態2に係る製造方法でも可能である。実施の形態2で作製した石英ガラス基板による反射防止構造体の原盤であれば、高耐熱・高強度であるため、そのまま射出成形用の金型として用いることができる。第1の複製だけでなく、第2、第3の複製型のように1つの原盤から多数の複製型を作製する場合は、石英ガラス基板による反射防止構造体原盤からNi電鋳によって複製型を作製してもよい。また、反射防止構造体の複製型は、上記実施の形態4の方法によっても作製可能である。さらに、複製型を用いた反射防止構造体の製造は、上記実施の形態6に係る方法であってもよい。さらにまた、上記実施の形態1又は2に係る製造方法で作成した反射防止構造体を原盤として、該原盤を用いた上記実施の形態5又は6に係る製造方法で製造することもできる。
つまり、上記実施の形態1,2,3による原盤及び複製型の作製においては、凹形状の構造単位が概略錐状又は概略釣鐘状である一方、凸形状の構造単位が上記凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状である反射防止構造を有する反射防止構造体が形成される。その一方で、上記実施の形態4,5,6による複製型及び反射防止構造体の作製においては、凹形状の構造単位が概略錐状又は概略釣鐘状である一方、凸形状の構造単位が凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状であって且つその先端部を切断した形状、あるいは、凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状であって且つその先端部の曲率半径が該凹形状の底側端部の曲率半径よりも大きな形状となり得る。
このように、エア溜まりの発生を許容できる反射防止構造体の製造方法は、換言すれば、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成された反射防止構造体の製造方法であって、上記反射防止構造は、凸形状の構造単位と凹形状の構造単位とを交互にアレイ状に配列してなる周期構造であり、該周期構造を反転させた領域を持つキャビティを形成するように成形型を準備する工程と、上記成形型のキャビティに加熱軟化された樹脂を射出充填する工程と、上記樹脂を冷却して上記成形型から離型させて部材を形成する工程とを備えている。そして、上記成形型において、上記凹形状の構造単位は、概略錐状又は概略釣鐘状である一方、上記凸形状の構造単位は、上記凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状であるものとする。
本発明に係る反射防止構造体の製造方法における成形型の断面は、図12に示すような構造を取っている。すなわち、この製造方法における成形型は、上記凸形状と凸形状の凹凸を反転させた形状と、反転させる前の形状が相互に略同一であるとことを特徴とする。
成形型における反射防止構造の凹凸を反転させた形状と反転させる前の形状とが相互に略同一であるため、第1の複製型に形成された微細構造(反射防止構造)と、第1の複製型を成形型として用いて作製された第2の複製型に形成された微細構造(反射防止構造)とは共に略同一形状となる。つまり、本発明に係る反射防止構造体の製造方法における成形型は、それにより作成された反射防止構造体自体を成形型として第2又は第3の複製型を多数作製することができ、その多数作成された複製型を用いて微細な凸部が複数配列されてなる反射防止構造を有する反射防止構造体をさらに容易且つ安価に量産することができる。
また、上記成形型を準備する工程は、二光束干渉露光法又はX線リソグラフィ法により作製した反射防止構造体を用いて上記キャビティを形成するように成形型を作製するものであってもよい。
さらに、上記成形型を準備する工程は、二光束干渉露光法又はX線リソグラフィ法により作製した反射防止構造体から電鋳によって複製型を作製し、該複製型を用いて上記キャビティを形成するように成形型を作製するものであってもよい。
さらにまた、上記成形型を準備する工程は、二光束干渉露光法又はX線リソグラフィ法により作製した反射防止構造体を用いて被成形物をプレス成形することによって複製型を作製し、該複製型を用いて上記キャビティを形成するように成形型を作製するものであってもよい。
また、上記反射防止構造を形成するに先立って、上記成形型及び/又は上記複製型の表面に離型層を形成することが好ましい。
さらに、上記凹形状の相互間ピッチは、上記反射防止構造により反射が抑制される光の波長以下であることが好ましい。
さらにまた、上記反射防止構造体は、光学部材であることが好ましい。
本発明は、デジタルカメラやプリンタ装置などに用いられるレンズ素子、プリズム素子など光路中の光線に対する反射防止処理が必要な光学機能面を持つ光学素子に好適である。また、本発明は、それら光学素子の保持に用いられる構造部材や光学素子を含む機器全体を保護する筐体部材などに適用することにより、不要光を防止する反射防止面とすることができる。さらに、本発明は、半導体レーザ素子や発光ダイオードなどの発光素子や、フォトダイオードなどの受光素子、CCDやCMOSなどの撮像素子や、光通信に用いられる光スイッチや分岐器などの各種デバイスにおいて、反射防止処理が必要な部分に形成することにより、各デバイスの機能を向上させることができる。さらに、本発明は、液晶表示パネルや有機エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマ発光パネルなどのディスプレイパネルの表示部分に適用してもよい。その他、本発明は、光学機器に用いられる反射防止処理が必要なあらゆる部材に対して広く適用可能である。
本発明は反射防止構造体及びその製造方法に関する。
近年、光の反射を抑制する光反射防止処理が表面に施された種々の光学素子が提案されている。光反射防止処理としては、例えば、屈折率の比較的低い膜(低屈折率膜)や、低屈折率膜と屈折率の比較的高い膜(高屈折率膜)とを交互に積層してなる多層膜等からなる光反射防止膜を表面に形成する処理が挙げられる(例えば、特許文献1等)。一般的に、このような低屈折率膜や多層膜等からなる光反射防止膜は、蒸着法や、スパッタリング法等により形成される。
しかしながら、蒸着法やスパッタリング法等を用いた光反射防止膜の形成工程は複雑である。このため、光反射防止膜は、生産性が低く、また生産コストが高いという問題がある。
また、このような光反射防止膜は、波長依存性が大きいという問題がある。具体的には、所定の波長(設計波長)の光に対しては高い光反射防止機能を有するものの、その他の波長の光に対しては十分な光反射防止機能を有さないという問題がある。このため、低屈折率膜や多層膜等からなる光反射防止膜では、撮像光学系などにおいて必要とされる可視波長域全域に亘る光反射防止効果を実現することは困難である。
さらには、低屈折率膜や多層膜等からなる光反射防止膜は、垂直入射光に対しては比較的高い光反射防止効果を有するものの、入射角が大きくなると光反射防止効果が小さくなるという入射角依存性を有する。すなわち、入射角の大きな光に対しては十分な光反射防止効果が得られないという問題もある。
このような問題に鑑み、例えば、サブミクロンピッチで配列された複数の錐体状突起部からなる反射防止構造(以下、「反射防止凹凸構造」とすることがある。)が提案されている。この反射防止凹凸構造を有する光学素子では、光学素子界面における急激な屈折率変化が抑制される。すなわち、反射防止凹凸構造において緩やかに屈折率が変化する。このため、光学素子表面における光反射が低減され、光学素子内への高い光入射率を実現することができる。この反射防止凹凸構造によれば、錐体状突起部相互間のピッチ以上の波長を有する光の反射を抑制することができる。また、反射防止凹凸構造は、入射角の大きい光に対しても比較的高い反射抑制効果を奏する。すなわち、この反射防止凹凸構造は小さい波長依存性及び入射角依存性を有するものである。従って、この反射防止凹凸構造を用いることにより、広い波長域における高い光反射防止効果を有する光学素子、光学系等を実現することができる。このような反射防止構造体の製造方法としては、特許文献2のようにEB描画とRIEエッチングを組み合わせたものなどが提案されている。
特許第2566634号公報 特開2001−272505号公報
特許文献2等に記載された反射防止構造体の製造方法では、反射防止構造体の製造に非常に長い時間と多大な製造コストを必要とする。従って、特許文献2等に記載された方法により直接反射防止構造体を製造することは好ましくない。
例えば、安価に反射防止構造体を製造する方法として、反射防止構造を作成するための複製型を用いる方法が考えられる。この方法によれば、一旦、複製型を作製した後は、容易且つ安価に反射防止構造体を製造することが可能となる。
また、特に安価な製造方法として、作成された反射防止構造体を成形型として、1次の複製型を作製し、その1次の複製型を成形型として2次の複製型を作製し、その2次の複製型を成形型として用いて反射防止構造体を製造する方法が考えられる。この方法によれば、一旦反射防止構造体を作成してしまえば、2次の複製型を安価に量産できるため、反射防止構造体の製造コストをより低減することができる。
ところが、反射防止構造は、一般的に、図1のような複数の微細な錐体状の凸部が配列した構造を有する。このため、反射防止構造体と2次の複製型とは実質的に同形状となる。従って、2次の複製型を用いてプレス成形が電鋳により反射防止構造体を製造すると、元となった反射防止構造体とは凹凸形状が逆の図2のような反射防止構造体が製造されてしまう。すなわち、元の反射防止構造体に形成された凸部の形状に対応した凹部が複数形成された反射防止構造を有する反射防止構造体が製造されることとなる。
ここで、複数の微細な凹部が形成された場合は、複数の微細な凸部が形成された場合と比較して、表層部における屈折率変化が急になるため、十分な反射防止効果が得られなくなる可能性がある。
従って、複数の微細な錐体状の凸部が複数配列されてなる反射防止構造を備えた反射防止構造体は2次の複製型を用いて安価に製造することができないという問題がある。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安価且つ容易に量産可能な反射防止構造体を提供することにある。
上記目的を解決するために、本発明に係る反射防止構造体は、微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成された反射防止構造体であって、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造の形状とが略同一であることを特徴とする。
すなわち、本発明に係る反射防止構造体は、微細な複数の凸部の形状と、その複数の凸部により形成される複数の凹部を反転させた形状とが相互に略同一であるとことを特徴とする。
本発明に係る反射防止構造体を成形型として第1の複製型を作製し、その第1の複製型を成形型として第2の複製型を作製した場合、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造の形状とが略同一であるため、第1の複製型に形成された微細構造と第2の複製型に形成された微細構造とは、共に本発明に係る反射防止構造体の反射防止構造と略同一形状となる。そして、第1又は第2の複製型を用いて、電鋳やプレス成形法により本発明に係る反射防止構造体を量産することができる。つまり、本発明に係る反射防止構造体は、ひとつ作成した後は、その作成された反射防止構造体を成形型として第1又は第2の複製型を多数作製することができ、その多数作成された複製型を用いて微細な凸部が複数配列されてなる反射防止構造を有する反射防止構造体を容易且つ安価に量産することができる。従って、本発明に係る反射防止構造体は、安価且つ容易に量産可能なものである。
本発明に係る反射防止構造体の第1の製造方法は、微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成されており、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造とが略同形状である反射防止構造体を製造するための方法であって、反射防止構造は二光束干渉露光法、又はX線リソグラフィ法により形成することを特徴とする。
本発明に係る反射防止構造体の第2の製造方法は、微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成されており、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造とが略同形状である反射防止構造体を製造するための方法であって、反射防止構造体を成形型として電鋳によって複製型を作製し、複製型を用いて反射防止構造を形成することを特徴とする。
本発明に係る反射防止構造体の第3の製造方法は、微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成されており、反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、反射防止構造とが略同形状である反射防止構造体を製造するための方法であって、反射防止構造体を成形型として用いて被成形物をプレス成形することにより複製型を作製し、複製型を用いて反射防止構造を形成することを特徴とする。
本発明によれば、安価且つ容易に量産可能な反射防止構造体を実現することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
以下のように、SiCメンブレン上に線幅150nm、ピッチ300nmのTa吸収パターンを有するX線マスクAを用いて、PMMA基板31にX線を照射して反射防止構造体を作製した。図3を参照しながら、詳細を説明する。
PMMA基板31に、X線マスクAを100μmのギャップとなるように対向させた。その後、X線マスクA側から10A・minでX線露光を行った(第1の露光工程:図3(A))。続けて、X線マスクAをX線の光軸まわりに90度回転させて、同様にX線マスクA側から10A・minでX線露光を行った(第2の露光工程:図3(B))。X線露光後、2−(2−n−ブトキシエトキシ)エタノールを主成分とする現像液に浸漬して現像した結果、PMMA基板31は、ピッチ300nm、高さ400nmの微細構造32に加工された(現像工程:図3(C))。
PMMA基板31上に露光されるパターンは、図4の(4−1−A)に示すように、X線露光量が3レベルの正方格子である。すなわち、露光後の基板上には、回転の前後でX線が露光されない領域(図4の(4−1−A)中、「0」と記す)と、回転の前後のいずれか1回だけX線が露光された領域(図4の(4−1−A)中、「1」と記す)と、回転の前後でいずれもX線が露光された領域(図4の(4−1−A)中、「2」と記す)とが形成される。このように露光された基板を現像すると、回転の前後でいずれもX線が露光された領域および回転の前後のいずれか1回だけX線が露光された領域は、ともに現像により凹部となる。このとき、凹部の形成深さは、照射されるX線量が多いと深くなる。したがって、凹部は、回転の前後でいずれもX線が露光された領域の方が、回転の前後のいずれか1回だけX線が露光された領域よりも深くなる。以上のようにして、図4の(4−1−A)に示す3レベルの単位構造が周期的に形成された形状に対応するX線強度分布を得ることができる。
実際に、図4の(4−1−A)に示すX線強度分布に基づき基板を現像すると、干渉及び現像時のサイドエッチングの影響により、図4の(4−1−B)に示す立体的な構造のように断面矩形の形状は得られず、エッジ部分がなまった構造になり、凸部は釣り鐘型のような形状になる。また、3レベルの単位構造が反射率を低減すべき光の波長以下のピッチでアレイ状に配列されており、表面に入射する反射防止効果を奏する。
図4の(4−1−B)の構造の凹凸を反転させる、つまり図4の(4−1−A)の「2」と「0」を入れ替えても同様の構造を取ることが分かる。
実施の形態1では、X線マスクAをX線の光軸まわりに90度回転させてパターンを重畳させる例を示したがこれに限られない。例えば、X線マスクAをX線の光軸まわりに270度回転させてパターンを重畳させる例を示してもよいし、複数回回転させてもよい。要は、最終的に、L/Sパターン同士が直交する関係になるようにX線マスクを回転させればよい。また、X線マスクAを回転させる代わりに基板を回転させてもよい。
回転角度についても、90度だけでなく、図5に示すように60度もしくは120度で3回露光を行ってもよい。その際の基板上に露光されるパターンは、図4の(4−2−A)に示すように、X線露光量が4レベルとなり、現像により図4の(4−2−B)に示す形状の角部がなまった構造が形成される。同構造も、図4の(4−1−B)の構造と同様に凹凸反転させる、つまり図4の(4−2−A)の「3」と「0」、及び「2」と「1」を入れ替えても同様の構造を取ることが分かる。
実施の形態1では、X線マスクAのL/Sパターンにおいて、X線吸収領域3とX線透過領域4の幅を1対1としたが、任意の比率としてよい。また、回転中心付近と周辺付近との間で幅を変化させるようにL/Sパターンを形成すると、反射率に波長依存性を持たせることも可能である。
なお、X線吸収体の材料として、具体的にTaを挙げたがこれに限られない。例えば、吸収材が、Ta、Ni、Au、Cu、Ag、Cr、Fe等のいずれであってもよい。
また、実施の形態1では、X線リソグラフィにより反射防止構造体を作製したが、二光束干渉(ホログラム)露光法などによっても同様の形状を作製することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、基板にPMMAではなく、石英を用いた。図5を参照して、X線リソグラフィにより石英ガラス基板の表面に反射防止構造体を形成する方法を説明する。
石英ガラス基板Q1を20mm×20mm×5mmの大きさに切り出し、表面を中心線表面粗さRa=2nm程度まで平滑に研磨加工した。この石英ガラス基板Q1の表面に、スピンコート法を用いてX線レジスト51を0.3μmの厚みで形成した。X線レジスト51が塗布された石英ガラス基板Q1に、X線マスクAを100μmのギャップを介して対向させた。その後、X線マスクA側から10A・minでX線露光を行った(第1の露光工程:図5(A))。続けて、X線マスクAをX線の光軸まわりに90度回転させて、同様にマスクA側から10A・minでX線露光を行った(第2の露光工程:図5(B))。X線露光後、2−(2−n−ブトキシエトキシ)エタノールを主成分とする現像液に浸漬して現像した結果、X線レジスト51は、図4の(4−1−B)に示した立体的な強度分布に基づくピッチ300nmの微細構造52に加工された(現像工程:図5(C))。
次に、X線レジストからなる微細構造32が形成された石英ガラス基板Q1をRFドライエッチング装置の中に入れ、CHF+Oガスを用いて、石英ガラス基板の表面をエッチング処理し、石英ガラス基板Q1の表面にピッチ300nm、高さ400nmの反射防止構造体33を形成した(構造形成工程:図5(D))。反射防止構造体53も、実施の形態1で作製した反射防止構造体と同様に、凹凸反転させても同形状となっている。
なお、図5に示した製造方法において、X線レジスト塗布前の石英ガラス基板Q1にエッチングマスクを形成してから、X線露光及び現像後にウェットエッチング及びドライエッチング処理を行うと、さらに高さの大きい構造体が得られる。この場合、エッチングマスクはCr、Ni、Feであることが好ましい。
(実施の形態3)
図6を用いて、反射防止構造体を有する部材を製造するための型を複製する方法を説明する。図6は、実施の形態3にかかる反射防止構造体を有する部材の製造方法に用いる電鋳型の製造方法を説明する模式図である。実施の形態3にかかる反射防止構造体を有する部材の製造方法は、型を電鋳複製することを特徴としている。以下、実施の形態1の製造方法により作成された反射防止構造体が形成されたPMMA基板61を電鋳複製するプロセスを例に説明を行う。
実施の形態1において説明した製造方法によりPMMA基板61(マスタ型、図6(A))は、導電性ではないので、無電解メッキ用Ni/B溶液63に浸漬して、反射防止構造体62の表面に無電解メッキ層64を形成した(図6(B))。PMMA基板61の反射防止構造体62に形成された無電解メッキ層64は、30nmの厚みを有していた。無電解メッキ層64を形成したマスタ型をスルファミン酸ニッケル電解液65に浸漬し、電気メッキを行ってマスタ型の表面にNiメッキ層66Aを形成させた(図6(C))。その後、Niメッキしたマスタ型を塩基溶液67に浸漬して、PMMA基板61を引き離し(図6(D))、Ni複製型68を得た(図6(E))。Ni複製型68の厚さは1.0mmであった。
図6を用いて、上記で得られた1次のNi複製金型68から、2次のNi複製金型を作製する方法を説明する。
1次のNi複製金型68表面に、スパッタリングにより離型膜69を形成した(図6(b))。次に、離型膜69を形成した1次のNi複製金型68を、スルファミン酸ニッケル電解液65に浸漬し、電気メッキを行って表面にNiメッキ層66Bを形成させた(図6(c))。その後、Niメッキをした1次のNi複製金型68をNiメッキ層から機械的に剥離して(図6(d))、2次のNi複製金型60を得た(図6(e))。
このようにして得られた2次のNi複製金型60も、凹凸反転させても同形状であるため、マスタ型及び1次のNi複製金型68と同形状である。また、2次以降、つまり3次、4次の複製金型を作製しても、同様に同形状の金型を得ることができる。また、1次の複製金型及び2次の複製金型ともに同形状であるため、これらの金型による成形品も同形状となる。
以上のように複製された金型は、何重にも複製が可能であるため非常に低コストに複製することができる。また、これらの複製金型は、加熱軟化された樹脂やガラス等を直接成形する型として用いることができるため、反射防止構造体も低コストに製造することが可能となる。
(実施の形態4)
次に、図7を参照して、反射防止構造体を有する部材を製造するための型を複製する別の方法を説明する実施の形態4にかかる反射防止構造体を有する部材の製造方法に用いるガラス成形型の製造方法を表す。
実施の形態2において説明した製造方法により反射防止構造体が形成された石英ガラス基板表面に、スパッタリング法によって、Ir−Rhからなる表面保護のための薄膜71を0.01μmの厚みで形成し、成形用上型72とした。下型73は、WCを主成分とする超硬合金表面にスパッタリング法により、Ir−Rhからなる表面保護のための薄膜71を0.03μmの厚みで形成したものを用いた。成形用ガラス材料74には、クラウン系硼珪酸ガラス(転移点Tg:501°C、屈伏点At:549°C)を用い、その表面に離型剤として窒化硼素(BN)を主成分とする薄膜75を形成した。
上型72と下型73とを対向して成形機に設置し、その間に成形用ガラス材料74を置いた(図7(A))。なお、上型72と下型73と成形用ガラス材料74とは、すべて、窒素ガス に置換されたチャンバー76の内部に収納される。温度590℃、1000Nの加圧力で3分間プレス成形し(図7(B))、冷却せずに上型72を離型し、成形用材料74表面に反射防止構造体の反転形状を形成し、部材77を作製した(図7(C))。その後、下型73から成形された部材を取り出し、反射防止構造体を有する部材77の製造工程が完了した。なお、表面保護の薄膜がなければ、ガラス材料は部分的に直接型に接触し、融着を起こして型から離型させることができなくなってしまう。無理に離型しようとすると、ガラス材料あるいは型が割れてしまう。
以上のように複製された型は、加熱軟化された樹脂やガラス等を直接成形する型として用いることができる。実施の形態4によれば、反射防止構造体を成形するために用いる型を電子ビーム描画などの高コストで生産性の低い方法によらずに製造することが可能になる。
(実施の形態5)
次に、図8を参照して、反射防止構造体を有する部材を製造する別の方法を説明する。図8は、実施の形態5にかかる反射防止構造体を有する部材の製造方法を説明する模式図である。実施の形態5は、先に述べたマスタ型から電鋳複製された型を用いて光学樹脂からなる部材を成形することを特徴としている。
先に説明した電鋳型83をインサート型として、ベース型81と82に組み込み、樹脂が充填されるキャビティ内面全体にシランカップリング剤を塗布して、表面保護離型層82を形成した(図8(A))。次に、電鋳型83を220°Cに加熱し、流動状態にあるポリオレフィン樹脂84を型内に射出し(図8(B))、充填した(図8(C))。樹脂が冷却により固化したら、型を開き樹脂を取り出し、反射防止構造体が形成された樹脂85を得た。なお、本実施の形態はアクリル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネートなどが樹脂材料として用いることができる。
(実施の形態6)
実施の形態6は、先に述べたマスタ型から電鋳複製された型を用いて光学樹脂からなる部材を成形することを特徴としている。シランカップリング剤により表面保護膜を形成した電鋳複製型を用いて、実施の形態4と同様の成形機を用いて、光学樹脂材料をプレス成形した。表面保護膜を形成した電鋳複製型を上型とし、WCを主成分とする超硬合金を下型に用いた。上型、下型、及びPMMA樹脂基板をセットし、180°C、20MPaでプレス成形し、樹脂基板表面に反射防止構造体を形成した。なお、実施の形態はアクリル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリカーボネートなどを樹脂基板として用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態7に係る反射防止構造体は、図9,10に示すように、凸形状の構造単位と凹形状の構造単位とを交互にアレイ状に配列してなる周期構造を有し、上記凹形状の構造単位は、概略錐状又は概略釣鐘状である一方、上記凸形状の構造単位は、上記凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状であって且つその先端部を切断した形状となっている。尚、実際に得られる反射防止構造体は、干渉及び現像時のサイドエッチングの影響により、図9に示す立体的な構造のように断面矩形の形状は得られず、エッジ部分がなまった構造になっている。
または、実施の形態7に係る反射防止構造体は、図11に示すように、凸形状の構造単位と凹形状の構造単位とを交互にアレイ状に配列してなる周期構造を有し、上記凹形状の構造単位は、概略錐状又は概略釣鐘状である一方、上記凸形状の構造単位は、上記凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状であって且つその先端部の曲率半径が上記凹形状の底側端部の曲率半径よりも大きな形状となっている。
本実施の形態7に係る反射防止構造を有する反射防止構造体は、射出成形又はプレス成形によって成形される際に、凸形状先端部の転写性が低下するエア溜まりの発生を許容できるような形状となっている。その結果、射出成形又はプレス成形による反射防止構造体の形成により、容易且つ安価に量産することが可能となる。
すなわち、上記特許得文献2等に記載された反射防止構造体の製造方法では、反射防止構造体の製造に非常に長い時間と多大な製造コストを必要とするという問題がある。そこで、安価に反射防止構造体を製造する方法として、例えば、反射防止構造体の原盤もしくは複製を成形型として、射出成形又はプレス成形により反射防止構造体を成形する方法が考えられる。
しかしながら、反射防止構造体のような微細構造を射出成形又はプレス成形によって成形する場合、反射防止構造の凸形状部、つまり成形型の凹形状部の先端の空気が抜けない、すなわちエア溜まりが発生しやすく、樹脂が完全に充填されないため転写性良く射出成形することは難しい。エア溜まりを防ぐ方法として、真空成形などがあるが、成形コストが高くなるため、安価に反射防止構造体が作製できるという射出成形のメリットが失われてしまうという問題がある。そこで、安価且つ容易に量産可能な反射防止構造体が望まれていた。
それに対し、本実施の形態7によれば、反射防止構造体の射出成形によるエア溜まりの発生を許容でき、安価且つ容易に量産可能な反射防止構造体を実現することができる。
このような、反射防止構造体は、上記実施の形態1に係るX線露光によって作製した反射防止構造体を原盤として、上記実施の形態3に係る電鋳複製によって反射防止構造体の複製型を作製し、該複製型を用いた上記実施の形態5に係る射出成形によって製造することができる。
尚、原盤としての反射防止構造体の作製は、上記実施の形態2に係る製造方法でも可能である。実施の形態2で作製した石英ガラス基板による反射防止構造体の原盤であれば、高耐熱・高強度であるため、そのまま射出成形用の金型として用いることができる。第1の複製だけでなく、第2、第3の複製型のように1つの原盤から多数の複製型を作製する場合は、石英ガラス基板による反射防止構造体原盤からNi電鋳によって複製型を作製してもよい。また、反射防止構造体の複製型は、上記実施の形態4の方法によっても作製可能である。さらに、複製型を用いた反射防止構造体の製造は、上記実施の形態6に係る方法であってもよい。さらにまた、上記実施の形態1又は2に係る製造方法で作成した反射防止構造体を原盤として、該原盤を用いた上記実施の形態5又は6に係る製造方法で製造することもできる。
つまり、上記実施の形態1,2,3による原盤及び複製型の作製においては、凹形状の構造単位が概略錐状又は概略釣鐘状である一方、凸形状の構造単位が上記凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状である反射防止構造を有する反射防止構造体が形成される。その一方で、上記実施の形態4,5,6による複製型及び反射防止構造体の作製においては、凹形状の構造単位が概略錐状又は概略釣鐘状である一方、凸形状の構造単位が凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状であって且つその先端部を切断した形状、あるいは、凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状であって且つその先端部の曲率半径が該凹形状の底側端部の曲率半径よりも大きな形状となり得る。
このように、エア溜まりの発生を許容できる反射防止構造体の製造方法は、換言すれば、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成された反射防止構造体の製造方法であって、上記反射防止構造は、凸形状の構造単位と凹形状の構造単位とを交互にアレイ状に配列してなる周期構造であり、該周期構造を反転させた領域を持つキャビティを形成するように成形型を準備する工程と、上記成形型のキャビティに加熱軟化された樹脂を射出充填する工程と、上記樹脂を冷却して上記成形型から離型させて部材を形成する工程とを備えている。そして、上記成形型において、上記凹形状の構造単位は、概略錐状又は概略釣鐘状である一方、上記凸形状の構造単位は、上記凹形状を反転させた概略錐状又は概略釣鐘状であるものとする。
本発明に係る反射防止構造体の製造方法における成形型の断面は、図12に示すような構造を取っている。すなわち、この製造方法における成形型は、上記凸形状と凸形状の凹凸を反転させた形状と、反転させる前の形状が相互に略同一であるとことを特徴とする。
成形型における反射防止構造の凹凸を反転させた形状と反転させる前の形状とが相互に略同一であるため、第1の複製型に形成された微細構造(反射防止構造)と、第1の複製型を成形型として用いて作製された第2の複製型に形成された微細構造(反射防止構造)とは共に略同一形状となる。つまり、本発明に係る反射防止構造体の製造方法における成形型は、それにより作成された反射防止構造体自体を成形型として第2又は第3の複製型を多数作製することができ、その多数作成された複製型を用いて微細な凸部が複数配列されてなる反射防止構造を有する反射防止構造体をさらに容易且つ安価に量産することができる。
また、上記成形型を準備する工程は、二光束干渉露光法又はX線リソグラフィ法により作製した反射防止構造体を用いて上記キャビティを形成するように成形型を作製するものであってもよい。
さらに、上記成形型を準備する工程は、二光束干渉露光法又はX線リソグラフィ法により作製した反射防止構造体から電鋳によって複製型を作製し、該複製型を用いて上記キャビティを形成するように成形型を作製するものであってもよい。
さらにまた、上記成形型を準備する工程は、二光束干渉露光法又はX線リソグラフィ法により作製した反射防止構造体を用いて被成形物をプレス成形することによって複製型を作製し、該複製型を用いて上記キャビティを形成するように成形型を作製するものであってもよい。
また、上記反射防止構造を形成するに先立って、上記成形型及び/又は上記複製型の表面に離型層を形成することが好ましい。
さらに、上記凹形状の相互間ピッチは、上記反射防止構造により反射が抑制される光の波長以下であることが好ましい。
さらにまた、上記反射防止構造体は、光学部材であることが好ましい。
本発明は、デジタルカメラやプリンタ装置などに用いられるレンズ素子、プリズム素子など光路中の光線に対する反射防止処理が必要な光学機能面を持つ光学素子に好適である。また、本発明は、それら光学素子の保持に用いられる構造部材や光学素子を含む機器全体を保護する筐体部材などに適用することにより、不要光を防止する反射防止面とすることができる。さらに、本発明は、半導体レーザ素子や発光ダイオードなどの発光素子や、フォトダイオードなどの受光素子、CCDやCMOSなどの撮像素子や、光通信に用いられる光スイッチや分岐器などの各種デバイスにおいて、反射防止処理が必要な部分に形成することにより、各デバイスの機能を向上させることができる。さらに、本発明は、液晶表示パネルや有機エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマ発光パネルなどのディスプレイパネルの表示部分に適用してもよい。その他、本発明は、光学機器に用いられる反射防止処理が必要なあらゆる部材に対して広く適用可能である。
図1は、一般的な円錐型反射防止構造体の図である。 図2は、円錐型反射防止構造体の凹凸を反転させた図である。 図3は、実施の形態1にかかる反射防止構造体の製造方法を説明する模式図である。 図4は、露光後の基板上に形成されるX線の強度分布を示す模式図、(B)は、露光後の基板上に照射されたX線の強度分布を立体的に示した斜視拡大図である。 図5は、実施の形態2にかかる反射防止構造体の製造方法を説明する模式図である。 図6は、実施の形態3にかかる電鋳型の製造方法を説明する模式図である。 図7は、実施の形態4にかかるガラス複製型の製造方法を説明する模式図である。 図8は、実施の形態5にかかる反射防止構造体の製造方法を説明する模式図である。 図9は、実施の形態7にかかる反射防止構造体の斜視図である。 図10は、実施の形態7にかかる反射防止構造体の断面図である。 図11は、実施の形態7にかかる別の反射防止構造体の断面図である。 図12は、実施の形態7にかかる反射防止構造体の製造方法において用いる成形型の断面図である。
符号の説明
Q1 石英ガラス基板
11 円錐型反射防止構造体
31 PMMA基板
32 反射防止構造体
51 X線レジスト
52 微細構造
53 反射防止構造体
61 PMMAマスタ型
62 反射防止構造体
63 Ni/B溶液
64 無電解メッキ層
65 スルファミン酸ニッケル電解液
66A Niメッキ層
66B Niメッキ層
67 塩基溶液
68 1次のNi複製型
69 離型膜
60 2次のNi複製型
71 薄膜
72 上型
73 下型
74 成形用材料
75 薄膜
76 チャンバー
77 部材
81 ベース型
82 表面保護離型層
83 電鋳型
84 流動状態の樹脂
85 樹脂

Claims (7)

  1. 微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成された反射防止構造体であって、
    上記反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、該反射防止構造の形状とが略同一であることを特徴とする反射防止構造体。
  2. 請求項1に記載された反射防止構造体において、
    上記複数の凸部相互間のピッチは、上記反射防止構造により反射が抑制される光の波長以下である反射防止構造体。
  3. 請求項1に記載された反射防止構造体において、
    光学部材であることを特徴とする反射防止構造体。
  4. 微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成されており、該反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、該反射防止構造とが略同形状である反射防止構造体を製造するための方法であって、
    上記反射防止構造は二光束干渉露光法、又はX線リソグラフィ法により形成することを特徴とする反射防止構造体の製造方法。
  5. 微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成されており、該反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、該反射防止構造とが略同形状である反射防止構造体を製造するための方法であって、
    上記反射防止構造体を成形型として電鋳によって複製型を作製し、該複製型を用いて上記反射防止構造を形成することを特徴とする反射防止構造体の製造方法。
  6. 微細な凸部が複数配列されてなり、入射光の反射を抑制する反射防止構造が表面に形成されており、該反射防止構造の凹凸を反転させた形状と、該反射防止構造とが略同形状である反射防止構造体を製造するための方法であって、
    上記反射防止構造体を成形型として用いて被成形物をプレス成形することにより複製型を作製し、該複製型を用いて上記反射防止構造を形成することを特徴とする反射防止構造体の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載された反射防止構造体の製造方法において、
    上記反射防止構造を形成するに先立って、上記複製型の表面に離型層を形成することを特徴とする反射防止構造体の製造方法。
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