JP2007333882A - 反射防止構造体の製造方法、及びその反射防止構造体を用いた成形型、ガラス被成形物、又は樹脂被成形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易且つ安価に反射防止構造体を製造することができる方法を提供する。
【解決手段】基材10上にX線感光膜11を形成する。X線感光膜11上にX線を遮蔽する複数の粒状体12を光反射防止凹凸構造により反射が抑制される光の波長以下のピッチで配置してマスク層15を形成する。マスク層15の上からX線感光膜11にX線を照射した後に現像することによりX線感光膜11を所定パターンにパターニングする。パターニングされたX線感光膜11の上から基材10をエッチングして基材10に光反射防止凹凸構造を形成して反射防止構造体1得る。
【選択図】図8
【解決手段】基材10上にX線感光膜11を形成する。X線感光膜11上にX線を遮蔽する複数の粒状体12を光反射防止凹凸構造により反射が抑制される光の波長以下のピッチで配置してマスク層15を形成する。マスク層15の上からX線感光膜11にX線を照射した後に現像することによりX線感光膜11を所定パターンにパターニングする。パターニングされたX線感光膜11の上から基材10をエッチングして基材10に光反射防止凹凸構造を形成して反射防止構造体1得る。
【選択図】図8
Description
本発明は反射防止構造体の製造方法、及びその反射防止構造体を用いた成形型、ガラス被成形物、又は樹脂被成形物の製造方法に関する。
近年、光の反射を抑制する光反射防止処理が表面に施された種々の光学素子が提案されている。光反射防止処理としては、例えば、屈折率の比較的低い膜(低屈折率膜)や、低屈折率膜と屈折率の比較的高い膜(高屈折率膜)とを交互に積層してなる多層膜等からなる光反射防止膜を表面に形成する処理が挙げられる(例えば、特許文献1等)。一般的に、このような低屈折率膜や多層膜等からなる光反射防止膜は、蒸着法や、スパッタリング法等により形成される。
しかしながら、蒸着法やスパッタリング法等を用いた光反射防止膜の形成工程は、複雑である。このため、光反射防止膜は、生産性が低く、また生産コストが高いという問題がある。
また、このような光反射防止膜は、波長依存性が大きいという問題がある。具体的には、所定の波長(設計波長)の光に対しては高い光反射防止機能を有するものの、その他の波長の光に対しては十分な光反射防止機能を有さないという問題がある。このため、低屈折率膜や多層膜等からなる光反射防止膜では、撮像光学系などにおいて必要とされる可視波長域全域に亘る光反射防止効果を実現することは困難である。
さらには、低屈折率膜や多層膜等からなる光反射防止膜は、垂直入射光に対しては比較的高い光反射防止効果を有するものの、入射角が大きくなると光反射防止効果が小さくなるという入射角依存性を有する。すなわち、入射角の大きな光に対しては十分な光反射防止効果が得られないという問題もある。
このような問題に鑑み、例えば、サブミクロンピッチで配列された複数の錐体状突起部からなる反射防止構造(以下、「光反射防止凹凸構造」とすることがある。)が提案されている。この光反射防止凹凸構造を有する光学素子では、光学素子界面における急激な屈折率変化が抑制される。すなわち、光反射防止凹凸構造において緩やかに屈折率が変化する。このため、光学素子表面における光反射が低減され、光学素子内への高い光入射率を実現することができる。この光反射防止凹凸構造によれば、錐体状突起部相互間のピッチ以上の波長を有する光の反射を抑制することができる。また、光反射防止凹凸構造は、入射角の大きい光に対しても比較的高い反射抑制効果を奏する。すなわち、この光反射防止凹凸構造は、波長依存性が小さく、入射角依存性も小さいものである。従って、この光反射防止凹凸構造を用いることにより、広い波長域における高い光反射防止効果を有する光学素子、光学系等を実現することができる。
尚、光反射防止凹凸構造の形成方法としては、例えば、X線リソグラフィーの技術を用いた方法が提案されている。X線は、波長が短く直進性に優れているので、X線リソグラフィーは従来加工が困難であったサブミクロンレベルの微細な構造を加工するのに適している。例えば、特許文献2、3等には、X線リソグラフィーの技術を用いて微細な構造を加工する技術が開示されている。
特許第2566634号公報
特開2000−035500号公報
特許第3521205号公報
通常、特許文献2、3等に記載されたX線リソグラフィーの技術では、X線は当倍で露光される。このため、X線露光工程には原寸マスクが必要となる。すなわち、加工しようとする光反射防止凹凸構造と同じ形状寸法のパターンが形成されたX線マスクが必要となる。このため、例えば、可視光の反射を抑制することができる光反射防止凹凸構造を作製しようとすると、可視光の波長以下のサブミクロンサイズの微細パターンを有するX線マスクを作製しなければならない。
サブミクロンサイズの微細パターンを有するX線マスクの製造方法としては、電子線(EB)描画法が挙げられる。しかしながら、電子線(EB)描画法により従来のサブミクロンサイズの微細パターンを有するX線マスクを作製するためには、長い製作期間及び多大な費用を要するという問題がある。このため、従来のサブミクロンサイズのパターンを有するX線マスクを用いた場合、光反射防止凹凸構造の作成にかかるコストが高くなってしまうという問題がある。具体的には、サブミクロンサイズのパターンのX線マスクの面積が大きいほど、加工時間が長くなり、例えば、50mm角の面積にパターンをEBで描画しようとすると、約500時間もの長時間を要することとなる。
このように、特許文献2、3に記載された反射防止構造体の製造技術では、マスクの作成が困難であるため、反射防止構造体を容易且つ安価に製造することが困難である。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易且つ安価に反射防止構造体を製造することができる方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の反射防止構造体の製造方法は、表面方向に対して傾斜した複数の面を有する凹凸構造からなり、所定の波長以上の波長の光の反射を抑制する反射防止構造を有する反射防止構造体を製造する方法であって、基材上にX線感光膜を形成する工程と、X線感光膜上にX線を遮蔽する複数の粒状体を反射防止構造により反射が抑制される光の波長以下のピッチで配置してマスク層を形成するマスク層形成工程と、マスク層の上からX線感光膜にX線を照射した後に現像することによりX線感光膜を所定パターンにパターニングする工程と、パターニングされたX線感光膜の上から基材をエッチングして基材に反射防止構造を形成して反射防止構造体を得る工程とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る第2の反射防止構造体の製造方法は、表面方向に対して傾斜した複数の面を有する凹凸構造からなり、所定の波長以上の波長の光の反射を抑制する反射防止構造を有する反射防止構造体を製造する方法であって、実質的にX線感光材料からなるX線感光基材上にX線を遮蔽する複数の粒状体を反射防止構造により反射が抑制される光の波長以下の配置してマスク層を形成するマスク層形成工程と、マスク層の上からX線感光基材にX線を照射した後に現像することによりX線感光基材に反射防止構造を形成して反射防止構造体を得る工程とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る第3の反射防止構造体の製造方法は、表面方向に対して傾斜した複数の面を有する凹凸構造からなり、所定の波長以上の波長の光の反射を抑制する反射防止構造を有する反射防止構造体を製造する方法であって、基材上にエッチングマスク膜を形成する工程と、エッチングマスク膜の上にX線感光膜を形成する工程と、X線感光膜上にX線を遮蔽する複数の粒状体を反射防止構造により反射が抑制される光の波長以下の配置してマスク層を形成するマスク層形成工程と、マスク層の上からX線感光膜にX線を照射した後に現像することによりX線感光膜を所定パターンにパターニングする工程と、パターニングされたX線感光膜の上からエッチングマスク膜をエッチングしてエッチングマスク膜を所定のパターンにパターニングする工程と、パターニングされたエッチングマスク膜の上から基材をエッチングして基材に反射防止構造を形成して反射防止構造体を得る工程とを備えていることを特徴とする。
本発明に係る成形型の製造方法は、上記第1乃至第3のいずれかの製造方法により製造された反射防止構造体を用いて反射防止構造を有する光学素子を成形するための成形型を製造する方法であって、反射防止構造体を金属のイオンを含有する電解液に浸漬して、金属イオンを反射防止構造上に付着堆積させることにより、実質的に金属からなる被形成物を形成する工程と、金属からなる被形成物を反射防止構造体から分離して成形型とする分離工程とを備えていることを特徴とする。
本発明に係るガラス被成形物の製造方法は、上記第1又は第3の製造方法により製造された反射防止構造体を用いて所定波長以上の波長の光の反射を抑制する反射防止構造を有するガラス被成形物を製造する方法であって、反射防止構造上に離型膜を形成し、所定の温度に加熱したガラス材を、反射防止構造上に離型膜を形成した反射防止構造体でもってプレス成形することによりガラス被成形物を得ることを特徴とする。
本発明に係る樹脂被成形物の製造方法は、上記第1又は第3の製造方法により製造された反射防止構造体を用いて所定波長以上の波長の光の反射を抑制する反射防止構造を有する樹脂被成形物を製造する方法であって、反射防止構造体が嵌合装入されるキャビティーと、キャビティーに連通する開口とを備えた型本体を用意する工程と、反射防止構造が露出するように、キャビティーに反射防止構造体を嵌合装入する工程と、開口からキャビティー内に樹脂を注入充填する工程と、キャビティー内において注入された樹脂を固化して反射防止構造を転写させることにより樹脂被成形物を得る工程とを備えていることを特徴とする。
尚、本明細書において、「反射防止構造」とは、光の反射率を低減する構造のことをいい、完全に光の反射を防止する(すなわち、光反射率が0%である)構造に限定されるものではない。また、本明細書において「X線を透過させる」とは100%の透過率でX線を透過させることに限定されるものではない。
「ピッチ」とは、平面視における中心間距離をいう。例えば、球状X線透過部相互間のピッチとは、平面視における球状X線透過部の中心相互間の距離をいう。
また、本明細書において「基材」は、板状、シート状、膜状のものであってもよい。
本発明によれば、容易且つ安価に反射防止構造体を製造することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本実施形態1に係る反射防止構造体1の製造工程を表すフローチャートである。図2〜図4は粒状体12を作成する工程(S1)を表す模式図である。図5は粒状体12の断面図である。図6は実施形態1におけるX線感光膜11を形成する工程(S3)を表す断面図である。図7は実施形態1における粒状体分散液13を塗布する工程を表す断面図である。図8は実施形態1におけるX線感光膜11をパターニングする工程(S5)を表す断面図である。図9は実施形態1における基材10をエッチングする工程(S6)を表す断面図である。図10は本実施形態に係る製造方法により製造された反射防止構造体1の断面図である。
図1は本実施形態1に係る反射防止構造体1の製造工程を表すフローチャートである。図2〜図4は粒状体12を作成する工程(S1)を表す模式図である。図5は粒状体12の断面図である。図6は実施形態1におけるX線感光膜11を形成する工程(S3)を表す断面図である。図7は実施形態1における粒状体分散液13を塗布する工程を表す断面図である。図8は実施形態1におけるX線感光膜11をパターニングする工程(S5)を表す断面図である。図9は実施形態1における基材10をエッチングする工程(S6)を表す断面図である。図10は本実施形態に係る製造方法により製造された反射防止構造体1の断面図である。
まず、光反射防止凹凸構造3を形成しようとする基材(例えば、石英基板やガラス基板等の基板)10を用意する。基材10は、例えば光透過性であってもよい。この基材10の光反射防止凹凸構造3を形成しようとする表面は高い平滑性を有するものであることが好ましい。その観点から、基材10の表面を事前に研磨平滑化しておくことが好ましい。具体的には、基材10の表面の粗さがJIS B 0601−2001(ISO4287:1997)で定義される中心線表面粗さRaで10nm以下(例えば、2nm程度)であることが好ましい。
次に、図6に示すように、基材10の一方の表面にX線感光膜(例えば、X線レジスト膜)11を形成する(ステップ3:S3)。X線感光膜11は、実質的にX線感光材料(例えば、X線レジスト材料)からなる膜である。X線感光膜11の形成に使用可能なX線感光材料としては、EBレジスト材料や、化学増幅形レジスト等が挙げられる。具体的には、ポリメタクリル酸メチル系樹脂(PMMA)、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられる。X線感光膜11の膜厚は、形成しようとする光反射防止凹凸構造3のアスペクト比(図10におけるP2/H:錐体状突起部3aのピッチP2を錐体状突起部3aの高さHで割って得られる値)等により適宜決定することができる。X線感光膜11の膜厚は、例えば0.3μm程度とすることができる。尚、X線感光膜11の形成は、例えば、スピンコート法等により行うことができる。
次に、X線感光膜11が形成された基材10の上に光反射防止凹凸構造3により反射が抑制される光の波長(詳細には、反射が抑制される光のうち最も短い波長の光の波長、以下、「反射抑制波長」とすることがある。)以下のピッチで複数の粒状体12を配置してマスク層15を形成する(ステップ4:S4)。
このステップ4を行うに先立って、まず、粒状体12を作製する必要がある(ステップ1:S1)。粒状体12は、例えば、X線遮蔽材料を含む(好ましくは、実質的にX線遮蔽材料からなる)粒状体(粒子)であってもよい。また、図5に示すように、粒状体12は、例えば、球状の粒状体本体12aと、X線遮蔽材料を含み、粒状体本体12aを被覆するように形成されたX線遮蔽膜12bとを備えるものであってもよい。ここで、X線遮蔽材料としては、例えば、金、タンタル、ニッケル、銅、銀、クロム等が挙げられる。また、この場合、粒状体本体12aは、X線を透過させるものであっても、透過させないものであってもよく、粒状体本体12aの材質は限定されない。例えば、粒状体本体12aは、実質的に、酸化ケイ素、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、カーボン、アルミニウム、リン、チタン、ジルコニウム、及びイットリウム、からなる群より選ばれた1種又は2種以上の材料からなるものであってもよい。具体的に、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、アクリル−スチレン(AS)等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。
粒状体12の作製要領は特に限定されるものではないが、図5に示すように粒状体12が球状の粒状体本体12aとX線遮蔽膜12bとからなるものである場合は、例えば、粒状体12はStober法を用いて形成した粒状体本体12aをX線遮蔽膜12bでコートすることにより作製することができる。具体的には、図2に示すように、テトラエトキシシラン(TEOS)とエタノールと純水との混合液4中に、攪拌しながらアンモニア水を添加して、ゾル溶液を作成する。このゾル溶液のpHは、例えば11程度であることが好ましい。そのゾル溶液を数時間(例えば2時間)さらに攪拌することにより、図3に示すように、実質的にSiO2からなる粒状体本体12aを形成する。形成された粒状体本体12aを混合液4中から取り出し、例えば500℃程度で、乾燥、焼成させる。焼成された粒状体本体12aを、図4に示すように金属イオンを含む溶液(例えば、塩化金を主成分とする溶液)5に浸漬して粒状体本体12aの表面にX線遮蔽膜12bを形成することにより粒状体12を完成させることができる。
尚、図5では、真球状の粒状体12の例を示したが、粒状体12は真球状でなくてもよく、例えば、半球状、多面体状で、楕球状あってもよい。また、バルクを粉砕して得られるような形状が不揃いなものであってもよい。
そして、得られた粒状体12を液体に分散混入させて粒状体分散液13を調製する(ステップ2:S2)。このような要領にて調整された粒状体分散液13を用いてマスク層15を形成する(S4)。尚、液体としては、例えば、アルコール、エーテル等の有機溶媒や水等が挙げられる。
詳細には、図11に示すように、粒状体12が分散混入されてなる粒状体分散液13を、例えば吹き付けることにより塗布し(ステップ4(a):S4(a))、塗布された粒状体分散液13から液体を除去(ステップ4(b):S4(b))することにより複数の粒状体12を配置して、X線感光膜11上に配置された複数の粒状体12により構成されるマスク層15を完成させる。尚、粒状体分散液13の塗布は、例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法、ノズルコート法等によっても行うことができる。また、液体の除去は、例えば、減圧及び/又は加熱することによる乾燥等により行うことができる。
ここで、粒状体12の粒径(詳細には、板面方向の平均粒径)t(図8(b)参照)は、所望する光反射防止凹凸構造3のピッチP2(設定ピッチ、図10参照)に応じて適宜選択決定することができる。例えば、粒状体12の粒径tは、光反射防止凹凸構造3の設定ピッチP2とほぼ同様、又はそれ以下とし、図8(b)に示す粒状体12のピッチP1が光反射防止凹凸構造3のピッチP2とほぼ同様に設定することが好ましい。具体的、可視光(300nm〜700nmの波長を有する光)の反射を抑制する光反射防止凹凸構造3(すなわち、ピッチP2が300nm以下の光反射防止凹凸構造3)を形成する場合は、粒状体12の粒径tを反射抑制波長、すなわち300nm以下とし、粒状体12のピッチP1を光反射防止凹凸構造3のピッチP2と合わせて300nm以下にすることが好ましい。
次に、X線感光膜11を所望の形状にパターニングする(ステップ5:S5)。具体的に、まず、図8(a)に示すように、マスク層15の上からX線感光膜11に、例えば15A・minでSR(シンクロトロン放射)光装置等を用いてX線を照射することによりX線感光膜11を露光する。その後、〔例えば、2−(2−n−ブトキシエトキシ)エタノール等を主成分とする〕現像液に浸漬することにより現像してX線感光膜11を所定のパターンにパターニングする(S5)。尚、粒状体12は、上記現像工程において、そのX線遮蔽膜12bが溶解することによって自動的に除去されるが、現像工程に先立って、超音波の印加等により粒状体12を除去しておいてもよい。
ここで、上述の通りX線感光膜11上に反射抑制波長以下のピッチで配列された粒状体12はX線を遮蔽させるものである。このため、図8(b)に示すように、マスク層15に垂直に入射するX線のうち、粒状体12の中央に比較的近い領域(非透過領域:NTR)に入射するX線は粒状体12により遮蔽(例えば、吸収及び/又は反射)され、X線感光膜11には実質的に到達しない。その一方、粒状体12相互間、及び粒状体12の周辺領域(透過領域:TR)に入射するX線は粒状体12によってあまり遮蔽されず、比較的高い透過率でマスク層15を透過してX線感光膜11に到達する。従って、透過領域TRの配列、すなわち、粒状体12の配列に対応したパターンでX線感光膜11は露光される。その結果、粒状体12の配列に対応して、X線感光膜11に反射抑制波長以下のピッチで配列された複数のホールが形成される。
尚、従来のように別個のX線マスクを使用する場合は、露光対象物(例えばX線感光膜)から(例えば、数十μm程度)離間するようにX線マスクを配置した状態でX線を露光しなければならない。この場合のX線マスクと露光対象物とのギャップによりX線の回折及び干渉が生じ、基材表面におけるX線強度分布が意図しないものとなり、基材10を所望のパターンにパターニングできないことがある。しかしながら、本実施形態1では、マスク層15はX線感光膜11の上に密着するように一体的に形成されている。このため、マスク層15とX線感光膜11との間のギャップは実質的に存在せず、マスク層15とX線感光膜11との間におけるX線の予期せぬ回折や干渉が発生することはない。
そして、上記のようにパターニングされたマスク層15の上から基材10を、例えばRIEドライエッチング装置等を用いてエッチングして、基材10に光反射防止凹凸構造3を形成して反射防止構造体1を完成させる(ステップ6:S6)。尚、X線感光膜11はこのエッチング工程において基材10のエッチングと同時に剥離除去される。
以上説明したように、本実施形態1に係る製造方法によれば、従来用いられていたようなX線リソグラフィー用マスクを要することなく、比較的容易且つ安価に反射防止構造体1を製造することができる。具体的には、大面積(例えば50mm四方)のX線マスクを、電子線(EB)描画法及びドライエッチング法を併用して製造するためには、大凡600時間程度といった非常に長い時間を要するのに対して、本実施形態1ではX線リソグラフィー用マスクが不要であるため、大幅に製造時間を短縮することができると共に、特に大面積の光反射防止凹凸構造3を形成する場合であっても比較的安価且つ容易に反射防止構造体1を製造することができる。
上記製造方法により製造された反射防止構造体1の光反射防止凹凸構造3は、表面方向に対して傾斜した複数の面(平面又は曲面)により構成されている。光反射防止凹凸構造3は、例えば、反射抑制波長以下のピッチで配列された複数の錐体状突起部3aにより構成されており、反射抑制波長以上の波長の光の反射を抑制するように形成されていてもよい。尚、錐体状突起部3aは、例えば、平面視多角形状の角錐体状突起部、円錐体状突起部等であってもよく、先端がR面取り状であってもよく、切頭錐体状突起部であってもよい。また、光反射防止凹凸構造3は、例えば、反射抑制波長以下のピッチで配列された複数の錐体状(角錐体状、円錐体状)の凹部により構成されていてもよい。
形成される錐体状突起部3aのアスペクト比(図10におけるP2/H)は1以上であることが好ましい。アスペクト比が1以上とすることにより、特に高い光反射抑制効果が得られる。
また、反射防止構造体1は、例えば、光学素子であってもよい。また、それら光学素子を形成するための成形型等であってもよい。尚、本明細書において「光学素子」とは、光が入射する少なくとも一つの光学機能面を有するものであって、具体例としては、レンズ、ミラー、プリズム等が挙げられる。
また、本実施形態1では、基材10が平板状である例について説明したが、基材10は、両表面が曲面(例えば、凹面又は凸面)により形成された板状体であってもよい。さらには、光反射防止凹凸構造3を形成する基材は板状体に限定されるものではなく、例えば、三角柱状、球状、楕球状等であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態2では、実質的にX線感光材料からなる基材20に光反射防止凹凸構造3を形成する例を説明する。尚、本実施形態2の説明において、図10は上記実施形態1と共通に参照し、実質的に同じ機能を有する構成要素を上記実施形態1、2と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
本実施形態2では、実質的にX線感光材料からなる基材20に光反射防止凹凸構造3を形成する例を説明する。尚、本実施形態2の説明において、図10は上記実施形態1と共通に参照し、実質的に同じ機能を有する構成要素を上記実施形態1、2と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
図12は本実施形態2に係る反射防止構造体1の製造工程を表すフローチャートである。図13は実施形態2における基材20をエッチングする工程(S6)を表す断面図である。
実質的にX線感光材料からなる基材(例えば、PMMA基板等)20に光反射防止凹凸構造3を形成する場合は、実施形態1、2のように基材20の上にX線感光膜11を形成する必要がない。すなわち、ステップ3及びステップ5を行う必要はなく、図13に示すように、ステップ1、2によって得られた粒状体分散液13を用いて基材20の上に直接粒状体12を配置してマスク層15を形成し(S4)、そのマスク層15の上からX線を照射して基材20を感光した後、現像することによって基材20をエッチングして基材20に光反射防止凹凸構造3を形成することができる(S6)。
このように、本実施形態2においても従来用いられていたようなX線リソグラフィー用マスクを要することなく、従来の製造方法と比較して容易且つ安価に反射防止構造体1を製造することができる。また、上記実施形態1、2のようにX線感光膜11を形成する工程を要しないため、より容易且つ安価に反射防止構造体1を製造することができる。
また、本実施形態2においてもマスク層15と基材20との間のギャップは実質的に存在しないため、マスク層15と基材20との間におけるX線の予期せぬ回折や干渉が発生することはない。
(実施形態3)
図14は、本実施形態3に係る反射防止構造体1の製造工程を表すフローチャートである。図15は実施形態3におけるX線感光膜11を形成する工程(S3)を表す断面図である。図16は実施形態3におけるX線感光膜11をパターニングする工程(S5)を表す断面図である。図17は実施形態3におけるエッチングマスク膜30をエッチングする工程(S5−1)を表す断面図である。図18は実施形態3における基材10をエッチングする工程(S6)を表す断面図である。
図14は、本実施形態3に係る反射防止構造体1の製造工程を表すフローチャートである。図15は実施形態3におけるX線感光膜11を形成する工程(S3)を表す断面図である。図16は実施形態3におけるX線感光膜11をパターニングする工程(S5)を表す断面図である。図17は実施形態3におけるエッチングマスク膜30をエッチングする工程(S5−1)を表す断面図である。図18は実施形態3における基材10をエッチングする工程(S6)を表す断面図である。
本実施形態3に係る製造方法は、X線感光膜11を形成するに先立ってエッチングマスク膜30を形成することを特徴とし、本実施形態3に係る製造方法によって大きなアスペクト比の錐体状突起部3aにより構成された光反射防止凹凸構造3を有する反射防止構造体1を上記実施形態1よりも比較的容易に製造することができる。尚、本実施形態3の説明において、図10は上記実施形態1と共通に参照し、実質的に同じ機能を有する構成要素を上記実施形態1〜3と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
まず、石英基板等からなる基材10の上に、エッチングマスク膜30をスパッタリング法等により形成する(ステップ11:S11)。エッチングマスク膜30は、例えば、実質的に、クロム、ニッケル、鉄、アルミニウム、カーボン、タンタル、モリブデン、白金、金、若しくは、クロム、ニッケル、鉄、アルミニウム、カーボン、タンタル、モリブデン、白金、及び金からなる群より選ばれた1種以上の材料を含む合金からなるものであってもよい。尚、エッチングマスク膜30の膜厚は特に限定されるものではないが、例えば0.3μm程度とすることができる。
次に、図15に示すように、エッチングマスク膜30の上にX線感光材料を含むX線感光膜11を形成し(S3)、さらにその上に粒状体12を配置してマスク層15を形成する(S4)。次に、図16に示すように、このマスク層15の上からX線感光膜11に対してX線を照射し、X線感光膜11を露光した後、現像してX線感光膜11を所望の形状にパターニングする(S5)。
本実施形態3では、このパターニングされたX線感光膜11の上からエッチングマスク膜30をエッチング(例えば、ウエットエッチング)して所望のパターンにパターニングする(ステップ5−1:S5−1、図17参照)。そして、そのパターニングされたエッチングマスク膜30の上から基材10を、例えばRIEドライエッチング装置等を用いてエッチングすることにより基材10に光反射防止凹凸構造3を形成して反射防止構造体1を完成させる(S6、図18参照)。
このように、X線感光膜11と共にエッチングマスク膜30を設け、複数回にわたってエッチングを行うことにより光反射防止凹凸構造3を構成する各錐体状突起部3aのアスペクト比を大きくすることができる。さらに、大きなアスペクト比の錐体状突起部3aを実現する観点から、ステップ5−1におけるエッチングマスク膜30のエッチングレートがステップ5におけるX線感光膜11のエッチングレートよりも小さいことが好ましい。さらに、エッチングマスク膜30のエッチングレートを小さくすることによりさらにアスペクト比が大きな錐体状突起部3aを形成することが可能となる。
尚、本実施形態3においてもマスク層15とX線感光膜11との間のギャップは実質的に存在しないため、マスク層15とX線感光膜11の間におけるX線の予期せぬ回折や干渉が発生することはない。
また、本実施形態3に係る製造方法でも、従来用いられていたようなX線リソグラフィー用マスクを要することなく、比較的容易且つ安価に反射防止構造体1を製造することができる。
(実施形態4)
図19は本実施形態4に係る成形型54を製造する工程を表すフローチャートである。
図19は本実施形態4に係る成形型54を製造する工程を表すフローチャートである。
図20乃至図22は成形型54を製造する工程を表す断面図である。詳細には、図20は導電層52の形成工程を表す断面図である。図21は反射防止構造体1上に成形型54を形成する工程を表す断面図である。図22は成形型54を反射防止構造体1から分離する工程を表す断面図である。
本実施形態4では、例えば実施形態1において説明した反射防止構造体1を用いて、光反射防止凹凸構造3を有する被成形物(例えば、光学素子)を成形するための金属製成形型54を製造する工程について図19乃至図22を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態4において、成形型54は、電鋳複製法により形成される。例えば、反射防止構造体1が導電性を有さない場合、まず、反射防止構造体1に導電性を有する導電層52を形成する(ステップ21:S21)。導電層52は、例えば、図20に示すように、反射防止構造体1を無電解メッキ用溶液(例えば、無電解メッキ用Ni/B溶液)51に浸漬することにより形成することができる。また、導電層52は、スパッタリングで金属を付着させることによっても形成することができる。導電層52の層厚は特に限定されるものではないが、例えば、30nmとすることができる。尚、反射防止構造体1自体が導電性を有する場合は、このステップ21を省略することができる。
次に、図21に示すように、反射防止構造体1を金属イオンを含有する電解液(例えば、スルファミン酸ニッケル電解液)53に浸漬することにより、電解液53に含まれる金属イオンを導電層52(導電層52を形成しない場合は、光反射防止凹凸構造3)上に付着堆積させていくことにより金属製の成形型(被形成物)54を形成する(ステップ22:S22)。
最後に、反射防止構造体1から成形型54を分離することにより成形型54を完成させる(ステップ23:S23)。成形型54の分離は、例えば、反射防止構造体1を直接剥離することによりおこなうことができる。また、例えば、図22に示すように、塩基溶媒(例えば、水酸化ナトリウム)55に成形型54が形成された反射防止構造体1を浸漬させることにより行ってもよい。
尚、成形型54の厚さは特に限定されるものではないが、例えば、1.0mm程度とすることができる。
このように形成された成形型54を用いて、加熱軟化させた樹脂や低融点ガラス等をプレス成形することにより光反射防止凹凸構造3を有する被成形物を容易に成形することができる。
本実施形態4に係る成形型54は、一端母型としての反射防止構造体1を作成してしまえば、容易且つ安価に成形型54を複製可能である。従って、本実施形態4に係る成形型54は安価且つ容易に作成可能で、さらに量産性に優れている。また、大面積の成形型54であっても比較的容易に作製することができる。
(実施形態5)
図23は本実施形態5に係るガラス被成形物64の製造工程を表すフローチャートである。
図23は本実施形態5に係るガラス被成形物64の製造工程を表すフローチャートである。
図24乃至図26はガラス被成形物64の製造工程を表す断面図である。詳細には、図24は成形型としての反射防止構造体1を対向配置させる工程を表す断面図である。図25は反射防止構造体1によりガラス材62をプレス成形する工程を表す断面図である。図26は反射防止構造体1を隔離する工程を表す断面図である。
本実施形態5では、例えば実施形態1の反射防止構造体1を成形型として用いて光反射防止凹凸構造3に対応した光反射防止凹凸構造3を有するガラス被成形物を成形する工程について、図23乃至図26を参照しながら詳細に説明する。
まず、反射防止構造体1の光反射防止凹凸構造3側表面に表面保護膜61を形成する(ステップ31:S31)。この表面保護膜61は、プレス成形するガラス材62の離型性(解離性)を向上するためのものである。表面保護膜61は、例えばIr−Rh合金等の貴金属合金又は貴金属等により形成することができる。表面保護膜61の膜厚は特に限定されるものではないが、例えば、0.01μm程度とすることができる。
一方、プレス成形するガラス材62の形状に対応した形状の成形型63を用意する。そして、その成形型63の表面にも表面保護膜61を形成する。尚、成形型63は、例えば、WCを主成分とする超硬合金等により形成することができる。
成形型63の上にガラス材(例えば、クラウン系ホウ珪酸ガラス、ガラス転移温度(Tg):501℃、屈伏点(At):549℃)62を配置し、ガラス材62の上にも表面保護膜61を形成する。このガラス材62の上に形成する表面保護膜61は、例えばチッ化硼素(BN)等により形成することができる。尚、反射防止構造体1がガラスで形成されている場合、反射防止構造体1のガラス転移温度が、ガラス材62のガラス転移温度よりも高いことが好ましい。また、反射防止構造体1が結晶で形成されている場合は、反射防止構造体1の融点が、ガラス材62のガラス転移温度よりも高いことが好ましい。例えば、本実施形態5において使用する反射防止構造体1はガラス転移温度の比較的高い石英ガラス等で形成されていることが好ましい。そうすることによって、プレス成形可能なガラス材62のバリエーションが広くなる。
そして、図24に示すように、成形型としての反射防止構造体1を光反射防止凹凸構造3がガラス材62と対向するように配置する。配置後、図25に示すように、ガラス材62をその軟化温度近傍まで加熱し、成形型としての反射防止構造体1でもってガラス材62を所定の期間(例えば、数分間)プレスする(ステップ32:S32)。そして、図26に示すように、ガラス材62の温度を保持したまま反射防止構造体1を上昇させ、離型させる(ステップ33:S33)。その後、成形されたガラス材62を所定の温度(例えば、ガラス転移温度〜室温)まで冷却することにより光反射防止凹凸構造3が転写されたガラス被成形物64を完成させることができる。尚、この加熱工程、プレス工程、冷却工程は、不活性ガス(例えば、窒素ガスやアルゴンガス等)で置換されたチャンバー内で行うことが好ましい。そうすることによって、成形型63の変性等を抑制することができる。
本実施形態5のような方法によれば、一端母型としての反射防止構造体1を作成してしまえば、容易且つ安価に光反射防止凹凸構造3を有するガラス被成形物を複製可能である。すなわち、本実施形態5に係る方法によれば、容易且つ安価に光反射防止凹凸構造3を有するガラス被成形物を量産することができる。
尚、本実施形態5において得られるガラス被成形物64は、例えば光学素子であってもよく、また光学素子を成形するためのガラス製成形型であってもよい。
(実施形態6)
図27は本実施形態6に係る樹脂被成形物76の製造工程を表すフローチャートである。
図27は本実施形態6に係る樹脂被成形物76の製造工程を表すフローチャートである。
図28乃至図30は本実施形態6に係る樹脂被成形物76の製造工程を表す断面図である。詳細には、図28は反射防止構造体1をキャビティー74内に嵌合装入する工程を表す断面図である。図29はキャビティー74内に樹脂75を注入する工程を表す断面図である。図30は注入充填された樹脂75を固化して樹脂被成形物76を得る工程を表す断面図である。
本実施形態6では、反射防止構造体1をインサート型として用いて射出成形法により樹脂被成形物76を成形する。具体的には、まず、第1の成形型71と第2の成形型72とに分離可能な型本体70を用意する。型本体70には、例えば直方体状の内部空間(キャビティー)74が形成されている。詳細には、第1の成形型71と第2の成形型72とのそれぞれに凹部が形成されており、それら凹部によりキャビティー74が形成されている。また、型本体70の側壁にはキャビティー74に連通する開口77が形成されている。
第1の成形型71に形成された凹部は反射防止構造体1の外形とほぼ同様の形状寸法であり、反射防止構造体1をその凹部に変位不能に嵌合装入する(ステップ41:S41、図28参照)。尚、反射防止構造体1の光反射防止凹凸構造3部分及び型本体70の内側面には表面保護膜73を形成しておくことが好ましい。尚、表面保護膜73は、例えば、シランカップリング剤を塗布することにより形成することができる。
次に、開口77からキャビティー74内に樹脂75を注入充填する(ステップ42:S42、図29参照)。注入される樹脂75の種類は特に限定されるものではない。樹脂75としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、テフロン(登録商標)、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
この樹脂75の注入は、具体的には、例えば、次のような手順で行うことができる。まず、型本体70とインサート型としての反射防止構造体1とを所定の温度まで加熱する。加熱温度は、注入される樹脂75、注入条件等により適宜決定することができる。具体的に、型本体70の温度は、例えば、130℃とすることができる。加熱した型本体70のキャビティー74内に、予め所定の温度に加熱され流動状態にある樹脂75を射出注入する。射出注入の際の樹脂75の温度は、樹脂75の粘性特性等により適宜決定することができる。ポリオレフィン樹脂を射出注入する場合は、射出注入する樹脂75の温度を、例えば、250℃程度とすることができる。樹脂75の射出速度も樹脂75の粘性特性やキャビティー74の形状等を考慮した上で適宜決定することができる。樹脂75の射出速度は、例えば50mm/秒とすることができる。
樹脂75の注入充填完了後、注入された樹脂75に所定の圧力を印加しながら樹脂75を固化させることにより、反射防止構造体1の光反射防止凹凸構造3の形状に対応する光反射防止凹凸構造3を有する樹脂被成形物76を得る(ステップ43:S43、図30参照)。例えば、樹脂75が熱硬化性や熱可塑性である場合は、樹脂75を冷却することにより固化させる。また、樹脂75が光硬化性である場合は、光(例えば紫外光等)を樹脂75に照射することにより樹脂75を固化させる。尚、固化工程に所定の圧力を印加するのは、固化工程における樹脂75のひけを抑制するためである。固化工程において樹脂75に印加する圧力は、例えば100MPaとすることができる。
樹脂75の固化後、型本体70を第1の成形型71と第2の成形型72とに分離し、成形された樹脂被成形物76を型本体70から取り出す。
本実施形態6のような方法によれば、一端母型としての反射防止構造体1を作成してしまえば、容易且つ安価に光反射防止凹凸構造3を有する樹脂被成形物を複製可能である。特に、本実施形態6のように射出成形法を利用することにより樹脂被成形物の成形がより容易となる。すなわち、本実施形態6に係る方法によれば、容易且つ安価に光反射防止凹凸構造3を有する樹脂被成形物を量産することができる。
尚、本実施形態6において得られる樹脂被成形物76は、例えば光学素子であってもよい。
また、本実施形態6では、反射防止構造体1をインサート型として用いた場合について説明したが、成形型54をインサート型として用いてもよい。
本発明は、光反射防止効果が要求されるレンズ素子、プリズム素子、ミラー素子などの光学素子に広く適用可能であり、これらの光学素子が搭載される光再生記録装置の光ピックアップ光学系、デジタルスチルカメラの撮影光学系、プロジェクタの投影系および照明系、光走査光学系等に好適である。
1 反射防止構造体
3 光反射防止凹凸構造
3a 錐体状突起部
10、20 基材
11 X線感光膜
12 粒状体
12a 粒状体本体
12b X線遮蔽膜
13 粒状体分散液
15 マスク層
30 エッチングマスク膜
52 導電層
53 電解液
54、63、71、72 成形型
61 表面保護膜
62 ガラス材
64 ガラス被成形物
70 型本体
73 表面保護膜
74 キャビティー
75 樹脂
76 樹脂被成形物
3 光反射防止凹凸構造
3a 錐体状突起部
10、20 基材
11 X線感光膜
12 粒状体
12a 粒状体本体
12b X線遮蔽膜
13 粒状体分散液
15 マスク層
30 エッチングマスク膜
52 導電層
53 電解液
54、63、71、72 成形型
61 表面保護膜
62 ガラス材
64 ガラス被成形物
70 型本体
73 表面保護膜
74 キャビティー
75 樹脂
76 樹脂被成形物
Claims (17)
- 表面方向に対して傾斜した複数の面を有する凹凸構造からなり、所定の波長以上の波長の光の反射を抑制する反射防止構造を有する反射防止構造体を製造する方法であって、
基材上にX線感光膜を形成する工程と、
上記X線感光膜上にX線を遮蔽する複数の粒状体を上記反射防止構造により反射が抑制される光の波長以下のピッチで配置してマスク層を形成するマスク層形成工程と、
上記マスク層の上から上記X線感光膜にX線を照射した後に現像することにより該X線感光膜を所定パターンにパターニングする工程と、
上記パターニングされたX線感光膜の上から上記基材をエッチングして該基材に上記反射防止構造を形成して反射防止構造体を得る工程と、
を備えた反射防止構造体の製造方法。 - 表面方向に対して傾斜した複数の面を有する凹凸構造からなり、所定の波長以上の波長の光の反射を抑制する反射防止構造を有する反射防止構造体を製造する方法であって、
実質的にX線感光材料からなるX線感光膜上にX線を遮蔽する複数の粒状体を上記反射防止構造により反射が抑制される光の波長以下の配置してマスク層を形成するマスク層形成工程と、
上記マスク層の上から上記X線感光膜にX線を照射した後に現像することにより該X線感光膜に上記反射防止構造を形成して反射防止構造体を得る工程と、
を備えた反射防止構造体の製造方法。 - 表面方向に対して傾斜した複数の面を有する凹凸構造からなり、所定の波長以上の波長の光の反射を抑制する反射防止構造を有する反射防止構造体を製造する方法であって、
基材上にエッチングマスク膜を形成する工程と、
上記エッチングマスク膜の上にX線感光基材を形成する工程と、
上記X線感光膜上にX線を遮蔽する複数の粒状体を上記反射防止構造により反射が抑制される光の波長以下の配置してマスク層を形成するマスク層形成工程と、
上記マスク層の上から上記X線感光基材にX線を照射した後に現像することにより該X線感光基材を所定パターンにパターニングする工程と、
上記パターニングされたX線感光膜の上から上記エッチングマスク膜をエッチングして該エッチングマスク膜を所定のパターンにパターニングする工程と、
上記パターニングされたエッチングマスク膜の上から上記基材をエッチングして該基材に上記反射防止構造を形成して反射防止構造体を得る工程と、
を備えた反射防止構造体の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載された反射防止構造体の製造方法において、
上記凹凸構造は複数の錐体状突起部により構成されている反射防止構造体の製造方法。 - 請求項4に記載された反射防止構造体の製造方法において、
上記複数の錐体状突起部相互間のピッチは、上記反射防止構造により反射が抑制される光の波長以下である反射防止構造体の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載された反射防止構造体の製造方法において、
上記各粒状体は、粒状体本体と、該粒状体本体の表面を被覆し、X線遮蔽材料を含むX線遮蔽膜とを備えている反射防止構造体の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載された反射防止構造体の製造方法において、
上記マスク層形成工程は、液体中に上記複数の粒状体を分散混入させて粒状体分散液を調製する工程と、該粒状体分散液を上記X線感光膜上に塗布する工程と、該塗布された粒状体分散液から上記液体を除去することにより上記マスク層を得る工程とを含む反射防止構造体の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載された反射防止構造体の製造方法において、
上記反射防止構造体は光学素子である反射防止構造体の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載された製造方法により製造された反射防止構造体を用いて上記反射防止構造を有する光学素子を成形するための成形型を製造する方法であって、
上記反射防止構造体を金属のイオンを含有する電解液に浸漬して、該金属イオンを上記反射防止構造上に付着堆積させることにより、実質的に該金属からなる被形成物を形成する工程と、
上記金属からなる被形成物を上記反射防止構造体から分離して上記成形型とする分離工程と、
を備えた成形型の製造方法。 - 請求項9に記載された成形型の製造方法において、
上記反射防止構造体を無電解メッキ用溶液に浸漬し、上記反射防止構造上に導電性を有する導電層を形成した後に上記被形成物を形成する成形型の製造方法。 - 請求項9に記載された成形型の製造方法において、
上記反射防止構造体にスパッタリングにより金属を付着させて導電性を有する導電層を形成した後に上記被形成物を形成する成形型の製造方法。 - 請求項9に記載された成形型の製造方法において、
上記分離工程は、上記金属からなる被形成物が形成された反射防止構造体の被形成物から該反射防止構造体を直接剥離する工程、又は、該金属からなる被形成物が形成された反射防止構造体を塩基溶液に浸漬することにより該金属からなる被形成物を該反射防止構造体から分離する工程である成形型の製造方法。 - 請求項1又は3に記載された製造方法により製造された反射防止構造体を用いて所定波長以上の波長の光の反射を抑制する反射防止構造を有するガラス被成形物を製造する方法であって、
上記反射防止構造上に離型膜を形成し、所定の温度に加熱したガラス材を、該反射防止構造上に離型膜を形成した反射防止構造体でもってプレス成形することにより上記ガラス被成形物を得ることを特徴とするガラス被成形物の製造方法。 - 請求項13に記載されたガラス被成形物の製造方法において、
上記ガラス被成形物はガラス材をプレス成形するための成形型であるガラス被成形物の製造方法。 - 請求項13に記載されたガラス被成形物の製造方法において、
上記ガラス被成形物は光学素子であるガラス被成形物の製造方法。 - 請求項1又は3のいずれか一項に記載された製造方法により製造された反射防止構造体を用いて所定波長以上の波長の光の反射を抑制する反射防止構造を有する樹脂被成形物を製造する方法であって、
上記反射防止構造体が嵌合装入されるキャビティーと、該キャビティーに連通する開口とを備えた型本体を用意する工程と、
上記反射防止構造が露出するように、上記キャビティーに上記反射防止構造体を嵌合装入する工程と、
上記開口から上記キャビティー内に樹脂を注入充填する工程と、
上記キャビティー内において上記注入された樹脂を固化して上記反射防止構造を転写させることにより上記樹脂被成形物を得る工程と、
を備えた樹脂被成形物の製造方法。 - 請求項16に記載された樹脂被成形物の製造方法において、
上記樹脂被成形物は光学素子である樹脂被成形物の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009186227A (ja) * | 2008-02-04 | 2009-08-20 | Seiko Epson Corp | 透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法 |
WO2013185095A3 (en) * | 2012-06-08 | 2014-03-06 | Datalogic ADC, Inc. | Data reader platter with integral features delineating a data-reading sweep region |
-
2006
- 2006-06-13 JP JP2006163731A patent/JP2007333882A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009186227A (ja) * | 2008-02-04 | 2009-08-20 | Seiko Epson Corp | 透光性部材、時計、および透光性部材の製造方法 |
WO2013185095A3 (en) * | 2012-06-08 | 2014-03-06 | Datalogic ADC, Inc. | Data reader platter with integral features delineating a data-reading sweep region |
US9218516B2 (en) | 2012-06-08 | 2015-12-22 | Datalogic ADC, Inc. | Data reader platter with integral features delineating a data-reading sweep region |
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