JPWO2008001872A1 - アルギン酸又はその塩を含有する眼科用組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、アルギン酸及び/又はその塩を含有していながら、使用時のべたつき等が改善され、良好な使用感が得られ、眼粘膜における滞留性が向上している眼科用組成物を提供することである。眼科用組成物に、(A)アルギン酸及び/又はその塩と共に、(B)ヒアルロン酸及び/又はその塩を組み合わせて配合する。

Description

本発明は、アルギン酸及び/又はその塩を含有し、使用感が良好で、眼粘膜における滞留性が向上している眼科用組成物に関する。また、本発明は、アルギン酸及び/又はその塩を含有する眼科用組成物の眼粘膜における滞留性を向上させる方法に関する。更に、本発明は、アルギン酸及び/又はその塩のソフトコンタクトレンへの吸着性を低減させる方法に関する。
アルギン酸は、Ca2+イオン等の二価以上の陽イオンによって部分的に架橋されて高粘度化する作用を有しており、点眼剤や洗眼剤等の眼科用組成物に使用可能であることが既に知られている(例えば、特許文献1参照)。アルギン酸を含む眼科用組成物を眼に適用すると、眼粘膜や涙液中に存在するCa2+イオンとアルギン酸が接触することにより、眼粘膜上で該組成物が高粘度化し、眼粘膜上での該組成物の滞留性を高めたり、有効成分の効果を持続させるために有用であることも分かっている。その反面、アルギン酸を含む眼科用組成物には、使用時のべたつき等が生じるという問題点があり、より優れた使用感を実現するためにかかる問題点の解消が望まれている。また、ソフトコンタクトレンズ(以下、「SCL」と表記する)に対するアルギン酸の影響についても、これまであまり検討されていない。そこで、本発明者等は、アルギン酸を含むSCL用眼科用組成物について、研究を重ねたところ、アルギン酸を単に配合したに過ぎないSCL用眼科用組成物では、SCLに対する吸着が懸念されることを確認した。特に、コンタクトレンズのフィッティング(コンタクトレンズのデザインと使用者の角膜のベースカーブの適合性)が悪い場合には、SCLへのアルギン酸の吸着は、SCL使用時に異物感や不快感を招いたりすることにもなるため、SCL用眼科用組成物にアルギン酸を配合するには、アルギン酸のSCLへの吸着を抑制させることが重要である。
一方、ヒアルロン酸は、D−グルクロン酸とN−アセチル−D−グルコサミンが相互に結合した直鎖状の高分子多糖類であり、粘性が高く、優れた保水力を有していることが知られている。また、眼科分野において、ヒアルロン酸の使用は、角膜上皮層の伸展促進、角膜乾燥症の治療等に有用であることが報告されている(例えば、特許文献2及び3等参照)。また、ヒアルロン酸は、ラジカル消去作用をも有しており、炎症部位における生体防御にも有用であるため、炎症を伴うことが多いコンタクトレンズ装用者やドライアイの患者には特に有効であると考えられている。しかしながら、ヒアルロン酸が、アルギン酸を含む眼科用組成物の使用感、アルギン酸を含む眼科用組成物の眼粘膜における滞留性、アルギン酸のSCLへの吸着等に如何なる影響を及ぼすかについては知られていない。
特開2002−332248号公報 特開平1−238530号公報 特開昭60−84225号公報
本発明は、アルギン酸及び/又はその塩を含有していながら、使用時のべたつき等が改善され、良好な使用感が得られ、眼粘膜における滞留性が向上している眼科用組成物を提供することを主な目的とする。更に、本発明は、アルギン酸及び/又はその塩のSCLへの吸着性が低減されている眼科用組成物を提供することを主な目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、(A)アルギン酸及び/又はその塩を含む眼科用組成物に、(B)ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合することによって、使用時のべたつき等が改善され良好な使用感を実現し、眼粘膜における滞留性をも向上させることができることを見出した。
更に、本発明者等は、アルギン酸を含む眼科用組成物について、研究を重ねたところ、アルギン酸及び/又はその塩を単に配合したに過ぎない眼科用組成物では、アルギン酸及び/又はその塩がSCLに対して吸着するが、(A)アルギン酸及び/又はその塩と共に、(B)ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合した眼科用組成物では、アルギン酸及び/又はその塩のSCLへの吸着を抑制できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に改良を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の眼科用組成物を提供する。
項1-1. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種とを含有することを特徴とする、眼科用組成物。
項1-2. (A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.3〜6000重量部の比率で含まれる、項1-1に記載の眼科用組成物。
項1-3. 眼科用組成物の総量当たり、(A)成分が総量で0.001〜5重量%含まれる、項1-1に記載の眼科用組成物。
項1-4. 眼科用組成物の総量当たり、(B)成分が総量で0.0001〜2重量%含まれる、項1-1に記載の眼科用組成物。
項1-5. 点眼剤、洗眼剤、又はコンタクトレンズ装着液である、項1-1に記載の眼科用組成物。
項1-6. SCL用眼科用組成物である、項1-1に記載の眼科用組成物。
項1-7. 更に、薬理学的有効成分を含有する、項1-1に記載の眼科用組成物。
また、本発明は、下記に掲げる態様の眼科用組成物の眼粘膜における滞留性を向上させる方法を提供する。
項2-1. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する眼科用組成物に、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、該眼科用組成物の眼粘膜における滞留性を向上させる方法。
項2-2. (A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.3〜6000重量部となるように配合する、項2-1に記載の方法。
項2-3. 眼科用組成物の総量当たり、(A)成分が総量で0.001〜5重量%含まれている、項2-1に記載の方法。
項2-4. 眼科用組成物の総量当たり、(B)成分が総量で0.0001〜2重量%となるように配合する、項2-1に記載の方法。
項2-5. 眼科用組成物が点眼剤、洗眼剤、又はコンタクトレンズ装着液である、項2-1に記載の方法。
項2-6. 眼科用組成物がSCL用眼科用組成物である、項2-1に記載の方法。
項2-7. 眼科用組成物が、更に薬理学的有効成分を含有する、項2-1に記載の方法。
更に、本発明は、下記に掲げる態様のアルギン酸及び/又はその塩のSCLへの吸着性を低減させる方法を提供する。
項3-1. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するSCL用眼科用組成物に、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種のSCLへの吸着性を低減させる方法。
項3-2. (A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.3〜6000重量部となるように配合する、項3-1に記載の方法。
項3-3. SCL用眼科用組成物の総量当たり、(A)成分が総量で0.001〜5重量%含まれている、項3-1に記載の方法。
項3-4. SCL用眼科用組成物の総量当たり、(B)成分が総量で0.0001〜2重量%となるように配合する、項3-1に記載の方法。
項3-5. SCL用眼科用組成物がSCL用点眼剤、SCL用洗眼剤、又はSCL装着液である、項3-1に記載の方法。
項3-6. SCL用眼科用組成物が、更に薬理学的有効成分を含有する、項3-1に記載の方法。
また、本発明は、下記に掲げる態様のアルギン酸及び/又はその塩のSCLへの吸着を抑制する方法を提供する。
項4-1. アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の、SCLへの吸着を抑制する方法であって、(A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種とを含有する眼科用組成物を、SCLに接触させる工程を含む、方法。
項4-2. 点眼又は洗眼時に、アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の、SCLへの吸着を抑制する方法であり、
項1-6に記載の眼科用組成物をSCLを装用した眼に適用する工程を含む、項4-1に記載の方法。
項4-3. 眼科用組成物において、(A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.3〜6000重量部の比率で含まれている、項4-1に記載の方法。
項4-4. 眼科用組成物の総量当たり、(A)成分が総量で0.001〜5重量%含まれている、項4-1に記載の方法。
項4-5. 眼科用組成物の総量当たり、(B)成分が総量で0.0001〜2重量%含まれている、項4-1に記載の方法。
項4-6. 眼科用組成物が、SCL用点眼剤、SCL用洗眼剤、又はSCL装着液である、項4-1に記載の方法。
項4-7. 眼科用組成物が、更に薬理学的有効成分を含有する、項4-1に記載の方法。
更に、本発明は、下記に掲げる態様の眼科用組成物を眼粘膜で滞留させる方法を提供する。
項5-1. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種とを含有する眼科用組成物を眼に適用する工程を含む、眼科用組成物を眼粘膜で滞留させる方法。
項5-2. 眼科用組成物において、(A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.3〜6000重量部の比率で含まれている、項5-1に記載の方法。
項5-3. 眼科用組成物の総量当たり、(A)成分が総量で0.001〜5重量%含まれている、項5-1に記載の方法。
項5-4. 眼科用組成物の総量当たり、(B)成分が総量で0.0001〜2重量%含まれている、項5-1に記載の方法。
項5-5. 眼科用組成物が、点眼剤、洗眼剤、又はコンタクトレンズ装着液である、項5-1に記載の方法。
項5-6. 眼科用組成物が、SCL用眼科用組成物である、項5-1に記載の方法。
項5-7. 眼科用組成物が、更に薬理学的有効成分を含有する、項5-1に記載の方法。
更に、本発明は、下記に掲げる態様の使用を提供する。
項6-1. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の、眼科用組成物の製造のための使用。
項6-2. 眼科用組成物において、(A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.3〜6000重量部の比率で含まれている、項6-1に記載の使用。
項6-3. 眼科用組成物の総量当たり、(A)成分が総量で0.001〜5重量%含まれている、項6-1に記載の使用。
項6-4. 眼科用組成物の総量当たり、(B)成分が総量で0.0001〜2重量%含まれている、項6-1に記載の使用。
項6-5. 眼科用組成物が、点眼剤、洗眼剤、又はコンタクトレンズ装着液である、項6-1に記載の使用。
項6-6. 眼科用組成物が、SCL用眼科用組成物である、項6-1に記載の使用。
項6-7. 眼科用組成物が、更に薬理学的有効成分を含有する、項6-1に記載の使用。
項7-1. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有し、アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の滞留性が向上した眼科用組成物の製造のための、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の使用。
項7-2. 眼科用組成物において、(A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.3〜6000重量部の比率で用いられる、項7-1に記載の使用。
項7-3. 眼科用組成物の総量当たり、(A)成分が総量で0.001〜5重量%含まれている、項7-1に記載の使用。
項7-4. 眼科用組成物の総量当たり、(B)成分が総量で0.0001〜2重量%となる割合で用いられる、項7-1に記載の使用。
項7-5. 眼科用組成物が、点眼剤、洗眼剤、又はコンタクトレンズ装着液である、項7-1に記載の使用。
項7-6. 眼科用組成物が、SCL用眼科用組成物である、項7-1に記載の使用。
項7-7. 眼科用組成物が、更に薬理学的有効成分を含有する、項7-1に記載の使用。
項8-1. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有し、アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種のSCLへの吸着を抑制した眼科用組成物の製造のための、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の使用。
項8-2. 眼科用組成物において、(A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.3〜6000重量部の比率で用いられる、項8-1に記載の使用。
項8-3. 眼科用組成物の総量当たり、(A)成分が総量で0.001〜5重量%含まれている、項8-1に記載の使用。
項8-4. 眼科用組成物の総量当たり、(B)成分が総量で0.0001〜2重量%となる割合で用いられる、項8-1に記載の使用。
項8-5. 眼科用組成物が、点眼剤、洗眼剤、又はコンタクトレンズ装着液である、項8-1に記載の使用。
項8-6. 眼科用組成物が、SCL用眼科用組成物である、項8-1に記載の使用。
項8-7. 眼科用組成物が、更に薬理学的有効成分を含有する、項8-1に記載の使用。
本発明の眼科用組成物は、(A)アルギン酸及び/又はその塩と共に(B)ヒアルロン酸及び/又はその塩を含有することによって、アルギン酸及び/又はその塩を単独で含む眼科用組成物に比べて、使用時のべたつき等が改善され使用感が良好になっている。また、本発明の眼科用組成物は、ヒアルロン酸及び/又はその塩を単独で含む眼科用組成物に比べて、視界のかすみ等が改善されている。眼科用組成物における、べたつきや視界のかすみ等の使用上の問題点は、ドライアイの人やコンタクトレンズ装用者に感受され易い傾向にあるので、本発明の眼科用組成物は、ドライアイの人やコンタクトレンズ装用者に対して特に有用である。
また、本発明の眼科用組成物は、眼粘膜における滞留性が改善されている。即ち、本発明の眼科用組成物によれば、ヒアルロン酸及び/又はその塩、並びにその他の薬理学的有効成分等の配合成分の眼粘膜における滞留性が向上しており、これらの有用効果の持続性を高めることができる。このような眼粘膜における薬理学的有効成分の滞留性の向上は、コンタクトレンズ装用者に多い角膜乾燥や炎症等の症状の緩和乃至改善に有効であることから、本発明の眼科用組成物がSCL用眼科用組成物として有用である。更に、本発明の眼科用組成物がSCL用眼科用組成物の場合、該眼科用組成物をSCLに予め接触させて装着したり、該眼科用組成物を点眼又は洗眼して直ちにSCLを装用すると、該眼科用組成物の眼粘膜における滞留性が更に向上するため、上記効果が一層有効に獲得される。
更に、本発明の眼科用組成物によれば、SCLに対するアルギン酸及び/又はその塩の吸着が抑制されており、SCLの装用中に使用される点眼剤や洗眼剤、またSCL用装着液等のようなSCL用眼科用組成物として有用性が高い。
(I) 眼科用組成物
本発明の眼科用組成物は、(A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種(本明細書において、単に(A)成分と表記することもある)を含有する。
アルギン酸とは、マンヌロン酸(以下、単に「M」と表示することもある)とグルロン酸(以下、単に「G」と表示することもある)から構成される多糖類であり、マンヌロン酸のホモポリマー画分(MM画分)、グルロン酸のホモポリマー画分(GG画分)、及びマンヌロン酸とグルロン酸がランダムに配列した画分(MG画分)が任意に結合したブロック共重合体である。
本発明において使用されるアルギン酸の由来については、特に限定されるものではなく、例えば、レッソニア科(Lessonia nigrescens等)、コンブ科(Laminaria Japonica等)等の藻類由来のものが使用される。
本発明に使用されるアルギン酸において、そのグルロン酸に対するマンヌロン酸の構成比率(M/G比;モル比)については、特に制限されず、例えばM/G比が0.4〜4.0の範囲に含まれるものが広く使用される。M/G比が小さい程、組成物の滞留性が向上する傾向があり、配合される他の薬理学的有効成分の適用部位における滞留性を向上させるという観点からは、M/G比が2.5以下、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.6以下であることが望ましい。特に、M/G比が、好ましくは0.4〜2.0、より好ましくは0.5〜1.6、特に好ましくは1.0〜1.6の範囲に含まれるものを使用することが望ましい。なお、本発明において、M/G比は、アルギン酸をブロック単位で分解したものを分画し、それぞれを定量することにより算出される値であり、具体的には、A. Haug et al., Carbohyd. Res. 32(1974), p.217-225に記載の方法に従って測定される。
また、本発明に使用されるアルギン酸において、MM画分、GG画分及びMG画分の比率についても、特に制限されず、眼科用組成物の用途や形状に応じて適宜選択することができる。
また、本発明で使用されるアルギン酸は、低分子量のものから高分子量のものまで適宜使用することができる。
更に、アルギン酸の塩としては、薬理学的に又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。アルギン酸の塩として、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらのアルギン酸の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科用組成物には、これらのアルギン酸及びその塩の中から、一種を選択して単独で使用してもよく、二種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。特に、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムは水溶性であり、本発明において好適に使用される。
アルギン酸及びその塩は、紀文フードケミファ株式会社、株式会社キミカ、富士化学工業株式会社、Kelco社(UK)、Sigma社(US)、PRONOVA biopolymer社(NO)等から市販されており、本発明では、これらの市販品を使用することができる。
本発明の眼科用組成物における上記(A)成分の配合割合は、特に制限されるものではなく、該(A)成分の種類、該組成物の用途や形態等に応じて適宜設定できる。上記(A)成分の配合割合の一例として、眼科用組成物中に該(A)成分が総量で0.001〜5重量%、好ましくは0.001〜1重量%、より好ましくは0.001〜0.5重量%;例えば眼科用組成物が点眼剤又はコンタクトレンズ装着液であれば、更に好ましくは0.001〜0.5重量%、特に好ましくは0.005〜0.2重量%;例えば眼科用組成物が洗眼剤であれば、更に好ましくは0.001〜0.2重量%、特に好ましくは0.005〜0.1重量%となる割合が例示される。(A)成分が上記濃度範囲内であれば、眼科用組成物の滞留性を一層向上させ、より良好な使用感を得ることができる。 本発明の眼科用組成物は、上記(A)成分と共に、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種(本明細書において、単に(B)成分と表記することもある)を含有する。当該(B)成分を含有することによって、上記(A)成分により付与されるゲル化特性を変化させ、眼科用組成物の使用時のべたつき等を抑制して、良好な使用感を実現すると共に、眼粘膜における滞留性をも向上させることができる。更には、当該(B)成分によって、上記(A)成分がSCLに吸着するのを抑制することが可能になる。
上記(B)成分であるヒアルロン酸及びその塩は、眼粘膜等において保湿作用を発揮するムコ多糖の一種として公知の高分子化合物である。本発明に使用されるヒアルロン酸及びその塩は、その由来については特に制限されるものではなく、例えば、鶏冠から得られたものであってもよく、また微生物由来のものであってよい。本発明に使用されるヒアルロン酸の平均分子量としては、特に制限されないが、例えば1千〜500万、好ましくは20万〜400万、更に好ましくは60万〜250万、特に好ましくは80万〜200万の範囲にあるものが例示される。ここで、本明細書においてヒアルロン酸の平均分子量とは、粘度平均分子量を意味する。粘度平均分子量は公知の測定方法により求めることができる。具体的には、ヒアルロン酸及び/又はその塩(乾燥物)を0.2M塩化ナトリウム溶液に溶解し、30℃における極限粘度(η)を求め、Laurentの式(η(極限粘度)=0.00036×Mv(粘度平均分子量)0.78)に基づいて粘度平均分子量が算出される。極限粘度(η)の測定は、第14改正日本薬局方の一般試験法、粘度測定法(毛細管粘度計法)に従って実施される。
また、ヒアルロン酸の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩;アルミニウム等の金属との塩等が例示できる。このような塩の状態のものとして、好ましくは、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられ、更に好ましくはナトリウム塩が挙げられる。また、ヒアルロン酸に比較して、塩の状態のヒアルロン酸を用いる方がより安定であることから好ましい。
本発明に用いるヒアルロン酸及びその塩は、市販のものを用いることができる。かかる市販品として代表的には、商品名「バイオヒアルロン 酸ナトリウム」(資生堂株式会社製)、商品名「ヒアルロン サンHA−QA」(キューピー株式会社製)、商品名「ヒアルロン サンHA−AM」(キューピー株式会社製)等の市販品が例示できる。
本発明の眼科用組成物中の上記(B)成分の配合割合は、特に制限されるものではなく、使用される(A)成分や(B)成分の種類、上記(A)成分と(B)成分の比率、該組成物の用途や形態等に応じて適宜設定できる。上記(B)成分の配合割合の一例として、眼科用組成物中に該(B)成分が総量で0.0001〜2重量%、好ましくは0.001〜0.3重量%;例えば眼科用組成物が点眼剤又はコンタクトレンズ装着液であれば、更に好ましくは0.002〜0.3重量%、特に好ましくは0.01〜0.1重量%;例えば眼科用組成物が洗眼剤であれば、更に好ましくは0.001〜0.1重量%、特に好ましくは0.001〜0.05重量%となる割合が例示される。
また、本発明の眼科用組成物の使用感の改善、滞留性の向上、上記(A)成分のSCLへの吸着抑制をより一層効果的に獲得するという観点から、上記(A)成分及び(B)成分がそれぞれ以下の比率を満たしておくことが望ましい:(A)成分の総量100重量部に対して、(B)成分が総量で0.3〜6000重量部、好ましくは0.5〜3000重量部、更に好ましくは1〜1000重量部、特に好ましくは10〜200重量部、更に特に好ましくは30〜200重量部。
また、本発明の眼科用組成物には、更に緩衝剤を配合する事が好ましい。本発明の眼科用組成物に配合できる緩衝剤としては、薬理学的に又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸等が挙げられる。これらの緩衝剤は組み合わせて使用しても良い。好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤及びクエン酸緩衝剤である。特に好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤またはリン酸緩衝剤である。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩などのホウ酸塩が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩などのリン酸塩が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩、などが挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はリン酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂など)、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムなど)、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウムなど)、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウムなど)等が例示できる。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科用組成物に緩衝剤を配合する場合、該緩衝剤の配合割合については、使用する緩衝剤の種類や期待される効果等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、該組成物の総量に対して該緩衝剤が0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%となるような割合を挙げることができる。より具体的には、組成物中の緩衝剤の割合が、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤を用いる場合であれば、例えば0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%;炭酸緩衝剤を用いる場合であれば、例えば0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%;クエン酸緩衝剤を用いる場合であれば、例えば0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%;酢酸緩衝剤を用いる場合であれば、例えば0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%;イプシロン−アミノカプロン酸を用いる場合であれば、例えば0.005〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%となるような割合が例示される。
なお、本発明の眼科用組成物は、液状若しくはゲル状、好ましくは液状であり、該組成物の基材として、眼科的に許容される水、好ましくは精製水や超純水が使用される。本発明の眼科用組成物の好適な一実施態様として、組成物の総量当たり5重量%以上、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは90重量%以上の水を含有する水性眼科用組成物が望ましい。
本発明の眼科用組成物のpHについては、薬理学的に又は生理学的に許容できる範囲内であれば特に限定されるものではない。本発明の眼科用組成物のpHの一例として5〜9、好ましくは5.5〜8.5、更に好ましくは6〜8となる範囲を挙げることができる。また、上記pH範囲内であれば、眼やレンズに適用しても安全であり、眼科用の製剤として実用可能である。また、上記pH範囲内であれば、本発明の効果をより一層向上させる事が可能である。
本発明の眼科用組成物は、更に必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は該組成物の用途や形態等により異なるが、通常0.2〜2.5、好ましくは0.3〜1.7、更に好ましくは0.4〜1.6、より好ましくは0.5〜1.5、特に好ましくは0.6〜1.4、更に特に好ましくは0.9〜1.2である。また、上記pH範囲内であれば、本発明の効果をより一層向上させる事が可能である。
本発明の眼科用組成物において浸透圧比は、第十四改正日本薬局方に基づき0.9w/v %塩化ナトリウム水溶液の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)に準じて測定する。浸透圧比測定用標準液は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム含有水溶液)を用いる。
上記pH及び浸透圧比の調整は無機塩及び多価アルコール、糖アルコール、糖類などを用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
本発明の眼科用組成物は、本発明の効果を妨げないことを限度として、上記成分の他に、種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み合わせて含有することができる。前述するように、本発明の眼科用組成物は、眼粘膜における滞留性が向上しているので、本発明の眼科用組成物に薬理学的有効成分(薬理活性成分や生理活性成分)を配合すると、これらの成分の眼粘膜上での滞留性の向上も期待できる。特に、水溶性の薬理学的有効成分の場合には、眼粘膜における滞留性がより一層向上することが期待できる。このような薬理学的有効成分の種類は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された各種医薬における有効成分が例示できる。具体的に、眼科用薬において用いられる成分としては、次のような成分が挙げられる。
エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、硝酸ナファゾリン、メチル硫酸ネオスチグミン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、イプシロン−アミノカプロン酸、塩化リゾチーム、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソミジンナトリウム、グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン等。
更に、本発明の眼科用組成物を各種所望の形態に調製するために、本発明の効果を損なわない範囲で、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して配合することができる。それらの成分または添加物として、例えば、医薬品添加物事典2005(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
マクロゴール、ポロクサマー、ポロキサミン、ポリソルベート80、POE(60)硬化ヒマシ油、アルキルジアミノエチルグリシン、塩化ベンザルコニウム、パラベン類、ソルビン酸カリウム、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、カンフル、ゲラニオール、ボルネオール、メントール、ウイキョウ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油、エデト酸ナトリウム、クエン酸、トロメタモール等。
本発明の眼科用組成物は、例えば、点眼剤(コンタクトレンズを装着したまま使用可能な点眼剤を含む)、洗眼剤(コンタクトレンズを装着したまま使用可能な洗眼剤を含む)、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用液剤(コンタクトレンズ消毒液、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用洗浄液、及びコンタクトレンズ用洗浄保存液)等の形態で使用される。これらの形態の中でも、好ましくは点眼剤及び洗眼剤であり、特に好ましくは点眼剤である。
本発明の眼科用組成物は、アルギン酸及び/又はその塩のSCLへの吸着を抑制することも可能になっているので、SCLを装着したまま使用可能な点眼剤(SCL用点眼剤)、SCLを装着したまま使用可能な洗眼剤(SCL用洗眼剤)、SCL装着液、SCLケア用液剤(SCL消毒液、SCL用保存液、SCL用洗浄液、及びSCL用洗浄保存液)等のSCL用眼科用組成物として好適に使用される。ここで、SCLとしては、あらゆるタイプのSCLを対象とすることができるが、好ましくは高含水イオン性SCL、(ソフトコンタクトレンズ分類:グループIV)及び両性イオン性のSCLが好適である。高含水イオン性SCLはタンパク質が吸着し易く、SCLにタンパク質汚れが吸着している際には、アルギン酸及び/又はその塩の吸着傾向が高まる。また、両性イオン性のSCLに対しては、アルギン酸及び/又はその塩のレンズ素材自体への吸着傾向が高まる。これに対して、本発明の眼科用組成物によれば、高含水イオン性SCLや両性イオン性のSCLに対しても、効果的なアルギン酸及び/又はその塩の吸着抑制効果を奏することができる。なお、本明細書において、両性イオン性のSCLとは、両性イオン性のポリマー(例えば、四級アンモニウム基とカルボキシル基を有するポリマー)を素材として調製されたSCLのことを意味する。また、本明細書において、ソフトコンタクトレンズ分類とは、平成11年3月31日付医薬審第645号厚生労働省(当時の厚生省)医薬安全局審査管理課長通知「ソフトコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズ用消毒剤の製造(輸入)承認申請に際し添付すべき資料の取り扱い等について」において規定された「ソフトコンタクトレンズの分類方法について」に基づくSCLの分類であり、該分類においてグループIVに属するSCLは、含水率が50%以上であり、原材料ポリマーの構成モノマーのうち陰イオンを有するモノマーのモル%が1%以上であることを共通の性質として有する。尚、本分類はFDA(米国食品医薬品局)が行なっているソフトコンタクトレンズの分類方法に従っている。
本発明の眼科用組成物は、公知の方法に従って製造される。例えば、精製水、生理食塩水等の水性溶媒等に、上記(A)及び(B)成分、必要に応じて他の成分を所望の濃度となるように添加し、常法に準じて調製すればよい。
(II)滞留性向上方法
また、前述するように、アルギン酸及び/又はその塩を含む眼科用組成物の眼粘膜における滞留性を、上記(B)成分によって向上させることができる。従って、更に本発明は、(A)アルギン酸及び/又はその塩を含有する眼科用組成物に、(B)ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合することを特徴とする、該眼科用組成物の眼粘膜における滞留性を向上させる方法をも提供する。当該方法において、(A)成分及び(B)成分の種類や配合割合、その他の配合成分等については、前記(I)の眼科用組成物の欄に記載の通りである。
更に、本発明は、上記の滞留性の向上効果に基づいて、前記(I)の眼科用組成物を眼粘膜に適用する工程を含む、眼科用組成物を眼粘膜で滞留させる方法をも提供する。かかる方法において、前記(I)の眼科用組成物を眼粘膜に適用する方法やその適用量については特に制限されず、該眼科用組成物の形態に応じて設定できる。例えば、眼科用組成物が点眼剤であれば、適量を眼に点眼すればよく、また眼科用組成物が洗眼剤であれば、適量で眼を洗浄すればよい。また、眼科用組成物がコンタクトレンズ装着液又はコンタクトレンズ用ケア用剤であれば、適量をコンタクトレンズに接触させた後、該組成物が付着した該コンタクトレンズを眼に装着すればよい。
(III)アルギン酸及び/又はその塩のSCLへの吸着性の低減方法
また、前述するように、アルギン酸及び/又はその塩を含む眼科用組成物における、アルギン酸及び/又はその塩のSCLへの吸着を、上記(B)成分によって抑制することができる。従って、更に本発明は、(A)アルギン酸及び/又はその塩を含有するSCL用眼科用組成物に、(B)ヒアルロン酸及び/又はその塩を配合することを特徴とする、アルギン酸及び/又はその塩のSCLへの吸着性を低減させる方法をも提供する。当該方法において、(A)成分及び(B)成分の種類や配合割合、その他の配合成分、対象となるSCLの種類、SCL用眼科用組成物の種類等については、前記(I)の眼科用組成物の欄に記載の通りである。
更に、本発明は、上記のアルギン酸及び/又はその塩のSCLへの吸着性の低減効果に基づいて、前記(I)の眼科用組成物をSCLと接触させる工程を含む、アルギン酸及び/又はその塩のSCLへの吸着を抑制する方法をも提供する。かかる方法は、例えば、眼科用組成物がコンタクトレンズ装着液又はコンタクトレンズ用ケア用剤であれば、適量をコンタクトレンズに接触させることによって実施される。また、例えば、眼科用組成物がSCL用洗浄液の場合には、当該SCL用洗浄液の適量でSCLを洗浄することよって実施される。また、眼科用組成物がSCL用点眼剤又はSCL用洗眼剤の場合には、当該SCL用点眼剤又はSCL用洗眼剤の適量をSCLを装用した眼に適用することによって実施される。
以下に、試験例、実施例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下で使用したアルギン酸は、M/G比の規格が1.0〜1.6のLessonia nigrescens由来のもの;ヒアルロン酸ナトリウムは、平均分子量110万〜160万のものである。
試験例1 使用感の評価−1
表1に示す処方に従って点眼剤(実施例1及び比較例1−2)を調製し、ポリエチレンテレフタレート製の点眼容器に充填した。ドライアイ傾向のあるモニター3名によって、以下の使用感テストを実施した。具体的には、先ず、右目に実施例1の点眼剤、左目に比較例2の点眼剤を同時に点眼し、点眼5分後、15分後、及び30分後に、左右どちらがよりベタベタ感を感じるかを判定した。次いで、十分な時間(1時間以上)を空け、右目に実施例1の点眼剤、左目に比較例1の点眼剤を同時に点眼して、同様にベタベタ感を判定した。



Figure 2008001872
結果を表2に示す。この結果から、アルギン酸及びヒアルロン酸ナトリウムを含む点眼剤(実施例1)では、アルギン酸又はヒアルロン酸ナトリウムのいずれか一方を単独で含む点眼剤(比較例1−2)に比べて、ベタベタ感が改善され、使用感が良好になっていることが確認された。また、比較例2の点眼剤では、点眼直後に視界のかすみが感じられたが、実施例1の点眼剤では、視界のかすみについても改善されていた。
Figure 2008001872
試験例2 使用感の評価−2
健常人により、上記試験例1で使用した実施例1の点眼剤を用いて点眼を行い、点眼後の「広がり感(眼にしみ渡る感じ)」及び「フィット感(流れ落ちずとどまる感じ)」を判定した。この結果、実施例1の点眼剤によれば、「広がり感」及び「フィット感」の双方の項目において良好であり、従来の点眼剤では実現できなかった優れた使用感が得られることが分かった。
試験例3 ゲル化特性試験
表3に示す眼科用組成物(実施例2及び比較例3)を調製した。これらの眼科用組成物のゲル化特性(カルシウムイオン存在下でゲル化する特性)を評価するために、実施例2又は比較例3の眼科用組成物を意図的にゲル化させ、そのゲル強度を測定した。
Figure 2008001872
具体的な測定方法については次の通りである。
1.測定材料
CaCl 2 ・EDTA溶液
精製水に塩化カルシウム二水和物7.35g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物18.6 gを溶解し、水酸化ナトリウム溶液を用いてpH7.0〜7.5に調整した後、正確に1Lとした。
GDL溶液
グルコノ−δ−ラクトン 0.5 gに水 3 mLを加えて溶解した。当該溶液は用時調製した。
2.測定方法
実施例2又は比較例3の眼科用組成物 20mLに、CaCl2・EDTA溶液 9 mL及びGDL溶液 3mLを加え撹拌した。得られた混合液を直径6cmのステンレス製シャーレに流し込み、室温で30分間静置した。斯くして得られたゲルの強度をTextureAnalyser(Stable MicroSystems社製)を用いて測定した。なお、本測定における使用プローブはSMSP/1 KS(ステンレス製)であり、具体的測定条件については、以下表4に示す通りである。
Figure 2008001872
この結果、比較例3の眼科用組成物をゲル化させたものでは、ゲル強度の平均値が0.01572 kg/cm2であったのに対して、実施例2の眼科用組成物をゲル化させたものではゲル強度の平均値が0.00939 kg/cm2であり、両者はゲル強度の点で明らかに異なる性質を示すことが確認された。即ち、実施例2と比較例3の眼科用組成物では、組成物自体の物性の点でも明らかに相違することが確認された。なお、実施例2又は比較例3の眼科用組成物、CaCl2・EDTA溶液、及びGDL溶液を用いて上記と同条件で混合して、室温で一晩静置して充分固まらせたものでも、同様に、実施例2の眼科用組成物が比較例3の眼科用組成物に比してゲル化特性が低くなる傾向が見られた。
試験例4 滞留性試験−1
体重200-300gのWistar系雄性ラット(日本SLC)を用い、以下の方法に従って滞留性試験を行った。1w/v%のフルオレセインを含む10mM リン酸緩衝液(コージンバイオ)に各化合物を表5に示す終濃度になるよう溶解して被験液(実施被験液1)を調製した。マイクロピペッター(エッペンドルフ)を用いて、それぞれの被験液1.0μLをラットの眼に点眼投与した。投与1時間後に、ラットを頚椎脱臼にて屠殺し、球結膜を付けた状態で眼球を摘出した。摘出した眼球を10mM リン酸緩衝液0.5mlに24時間浸漬し、眼球表面に残存しているフルオレセインを抽出した。蛍光プレートリーダー(サーモエレクトロン)を用いて各抽出液の蛍光強度(励起480nm、蛍光527nm)を測定した。また、バックグラウンド値として、1w/v%のフルオレセインを含を含む10mMリン酸緩衝液(コージンバイオ)を被験液として使用し、同様の試験を行い、蛍光強度を測定した。実施被験液1の蛍光強度から、バックグラウンド値を差し引いた値を、実施被験液1の真の蛍光強度として算出した。なお、フルオレセインは、涙液保持能の検査や水溶性成分の動態試験の指標として汎用される物質である(参考文献:Practical Phthalmology (眼科診療プラクティス) Vol.4 No.12 2001 p36-39;Br J Ophthalmol. 2003 Apr;87(4):436-40.;参考試験例1等参照)。
この結果、測定されたフルオレセインの蛍光強度は7.9であった。このことから、アルギン酸とヒアルロン酸ナトリウムとを併用した場合には、組成物の眼粘膜における滞留性が、比較被験液1に比して顕著に向上し、アルギン酸やヒアルロン酸ナトリウムの滞留性が顕著に向上したと考えられる。
Figure 2008001872
試験例5 滞留性試験−2
1w/v%のフルオレセインを含む10mM リン酸緩衝液(コージンバイオ)に各化合物を表6に示す終濃度になるよう溶解して被験液(実施被験液2−3及び比較被験液1−3)を調製した。これらの被験液を使用して、上記試験例4と同様の方法で滞留性試験を行った。
結果を図1に示す。この結果から、実施被験液2−3においても、上記実施被験液1の場合と同様に、ラットの眼粘膜における滞留性が優れていることが確認できた。
Figure 2008001872
試験例6 滞留性試験−3
1w/v%のフルオレセインを含む10mM リン酸緩衝液(コージンバイオ)に各化合物を表7に示す終濃度になるよう溶解して被験液(実施被験液4)を調製した。この被験液を使用して、上記試験例4と同様の方法で滞留性試験を行った。この結果、実施被験液4においても、上記実施被験液1−3の場合と同様に、比較試験液1に比して、ラットの眼粘膜における滞留性が優れていることが確認できた。
Figure 2008001872
試験例1−6の総合考察
試験例4−6の結果は、アルギン酸及び/又はその塩とヒアルロン酸及び/又はその塩との併用により、組成物の眼粘膜における滞留性が顕著に向上したことを示している。この結果は、本発明の眼科用組成物に、他の薬理学的有効成分を配合すると、当該薬理学的有効成分についても眼粘膜における滞留性が向上し得ることを示唆している。このような眼粘膜における薬理学的有効成分等の滞留性の向上は、コンタクトレンズ装用者に多い角膜乾燥や炎症等の症状の緩和乃至改善に有効であることから、本発明の眼科用組成物がSCL用眼科用組成物として有用であることが明らかとなった。
上記試験例1−6の結果から、本発明の眼科用組成物は、アルギン酸及び/又はその塩を単独で含む眼科用組成物に比べて、ゲル化特性が低下しており、使用感の点だけでなく、組成物自体の物性の点でも相違していることが明らかとなった。また、一般に眼科用組成物の眼粘膜における滞留性は、ゲル化特性が高い程良いと推定されるが、本発明の眼科用組成物は、アルギン酸及び/又はその塩を単独で含む組成物に比べてゲル化特性が低いにも拘わらず、眼粘膜における滞留性は向上しており、その有用性は極めて高いといえる。
試験例7 アルギン酸のSCLへの吸着抑制評価試験
ヒアルロン酸ナトリウムが、アルギン酸のSCLへの吸着に与える影響を検討するために、以下の試験を行った。
<試験材料>
下表8に示す眼科用組成物(実施例3及び比較例4)を常法に従って調製した。なお、本試験には、SCLは、商品名「シード 2ウィークピュア」(両性イオン性;シード社製;含水;構成モノマー:ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、四級アンモニウム基含有メタクリレート系化合物、カルボキシル基含有メタクリレート系化合物、メチルメタクリレート(MMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA);ソフトコンタクトレンズ分類:グループIV)を使用した。
<試験方法>
日本薬局方 生理食塩液5mL中に、SCLを各1枚浸漬し、約24時間室温(約25℃)にて放置した。次いで、生理食塩液からSCLを抜き取り、水分を軽くふき取った。密封性の高い透明ガラスバイアル瓶に実施例3及び比較例4の眼科用組成物を4mLずつ分注し、それぞれの眼科用組成物中に、上記で得られた2枚のSCLを浸漬して、34℃で振とう数120回/分にて約72時間振とうした後、SCLを抜き取った。次いで、SCL浸漬処理後の各眼科用組成物中に残存する各アルギン酸の濃度(以下、試験後Alg濃度と表記する)を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。尚、ブランクとして、SCLを浸漬しない以外は、上記と同様の工程を行い、SCLを浸漬しない場合における眼科用組成物中に残存するアルギン酸の濃度(以下、ブランクAlg濃度と表記する)を測定した。
測定されたアルギン酸の濃度から、以下の式に従って、アルギン酸の吸着量(μg/SCL 1枚)を算出し、更にアルギン酸の吸着抑制率(%)を求めた。
Figure 2008001872
結果を表8に併せて示す。比較例4の眼科用組成物では、アルギン酸がSCLに吸着していた。これに対して、ヒアルロン酸ナトリウムを配合した実施例3の眼科用組成物では、アルギン酸のSCLへの吸着が抑制されていた。
Figure 2008001872
試験例5 アルギン酸のSCLへの吸着抑制評価試験−3
アスパラギン酸カリウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、及びヒアルロン酸ナトリウムが、蛋白汚れの付着したSCLへのアルギン酸の吸着に与える影響を検討するために、以下の試験を行った。
<試験材料>
下表9に示すSCL用眼科用組成物(実施例4及び比較例5)を常法に従って調製した。なお、本試験には、SCLとして下記のレンズを使用した。
A.商品名「メダリストプラス」(ボシュロム社製、含水、主材料:ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ソフトコンタクトレンズ分類:グループI)、
B.商品名「2ウィーク アキュビュー」(ジョンソン&ジョンソン社製、含水、主材料:ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とメタクリル酸(MAA)の共重合体)
<試験方法>
卵白アルブミン1.0g、塩化リゾチーム0.1g 、豚胃ムチン0.1gを量り取り、100mLのリン酸緩衝液(第15改正日本薬局方 一般試験法 リン酸塩緩衝液,pH7.2参照)に溶解してpH=7.2として人工汚れ液を作成し、この液5mLに未使用の上記試験コンタクトレンズを浸漬し、約8時間37℃で振とうした。その後、各レンズを人工汚れ液から取り出し、過剰な人工汚れ液を生理食塩水で軽くすすいだ後、水分を軽く拭き取った。次いで、密封性の高い透明ガラスバイアル瓶に実施例4及び比較例5のSCL用眼科用組成物を4mLずつ分注し、それぞれのSCL用眼科用組成物中に、上記で得られた2枚のSCLを浸漬して、34℃で振とう数120回/分にて約72時間振とうした後、SCLを抜き取った。次いで、SCL浸漬処理後の各SCL用眼科用組成物中に残存する各アルギン酸の濃度(試験後Alg濃度)を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。尚、ブランクとして、SCLを浸漬しない以外は、上記と同様の工程を行い、SCLを浸漬しない場合におけるSCL用眼科用組成物中に残存するアルギン酸の濃度(ブランクAlg濃度)を測定した。
測定されたアルギン酸の濃度から、上記数1に示す式に従って、アルギン酸の吸着量(μg/SCL 1枚)を算出し、更にアルギン酸の吸着抑制率(%)を求めた。








Figure 2008001872
結果を表9に併せて示す。比較例5のSCL用眼科用組成物では、アルギン酸がSCLに吸着していた。これに対して、ヒアルロン酸ナトリウムを配合した実施例4のSCL用眼科用組成物では、アルギン酸のSCLへの吸着抑制効果が顕著に認められた。
参考試験例1
図2は、フルオレセインを0.001w/v%含有する生理食塩水またはフルオレセイン0.001 w/v%とアルギン酸0.2 w/v%を含有する生理食塩水を家兎に点眼し、前眼部の蛍光強度をフルオロメーターで経時的に測定し比較したものである。生理食塩水は急激に蛍光強度が低下したのに対し、アルギン酸含有の生理食塩水は顕著な蛍光強度の低下を示さなかったことから、アルギン酸は点眼液に溶解している物質の滞留性を高めると考えられた。
そこで次に眼圧降下作用のあるチモロール0.25 w/v%を含有する生理食塩水、或いは、チモロール0.25 w/v%と共にアルギン酸ナトリウム0.2 w/v%を含有する生理食塩水を家兎に点眼し、経時的に眼圧を測定し効果の持続を比較した。その結果を図3に示す。チモロール0.25 w/v%を含有する生理食塩水は約5時間後に元の眼圧に戻ったのに対して、チモロール0.25 w/v%と共にアルギン酸ナトリウム0.2 w/v%を含有する生理食塩水は8時間後に元の眼圧に戻り、明らかな眼圧降下作用の持続が認められた。
図2の結果から、チモロール0.25%を含有する生理食塩水は点眼1時間以内に結膜嚢から消失したのに対して、チモロール0.25%と共にアルギン酸ナトリウム0.2%を含有する生理食塩水の場合は、1時間を経過しても結膜嚢にチモロールが滞留していると考えられる。その結果、チモロールが持続的に眼に吸収されることと、累積吸収量も多くなることで眼圧低下効果が持続したものと考えられる。
処方例
表10−12に記載の処方に従い、点眼剤(実施例5−13)、人工涙液型の点眼剤(実施例14−18)、SCL用点眼剤(実施例19−24及び41−42)、洗眼剤(実施例25−32)、SCL用装着液(実施例33−34)、SCL用洗眼剤(実施例35−36)、SCL用保存剤(実施例37−38)、及びSCL用消毒剤(実施例39−40)を調製した。
Figure 2008001872
Figure 2008001872
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試験例5において、各被験液のラットの眼粘膜における滞留性を試験した結果を示す図である。 参考試験例1の結果を示す図である。フルオレセインを0.001w/v%含有する生理食塩水またはフルオレセイン0.001 w/v%とアルギン酸0.2 w/v%を含有する生理食塩水を家兎に点眼し、前眼部の蛍光強度をフルオロメーターで経時的に測定した結果である。 参考試験1の結果を示す図である。即ち、チモロール0.25 w/v%を含有する生理食塩水、或いは、チモロール0.25 w/v%と共にアルギン酸ナトリウム0.2 w/v%を含有する生理食塩水を家兎に点眼し、経時的に眼圧を測定した結果である。

Claims (12)

  1. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種とを含有することを特徴とする、眼科用組成物。
  2. (A)成分100重量部に対して、(B)成分が0.3〜6000重量部の比率で含まれる、請求項1に記載の眼科用組成物。
  3. 眼科用組成物の総量当たり、(A)成分が総量で0.001〜5重量%含まれる、請求項1に記載の眼科用組成物。
  4. 眼科用組成物の総量当たり、(B)成分が総量で0.0001〜2重量%含まれる、請求項1に記載の眼科用組成物。
  5. 点眼剤、洗眼剤、又はコンタクトレンズ装着液である、請求項1に記載の眼科用組成物。
  6. ソフトコンタクトレンズ用眼科用組成物である、請求項1に記載の眼科用組成物。
  7. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する眼科用組成物に、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、該眼科用組成物の眼粘膜における滞留性を向上させる方法。
  8. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有するソフトコンタクトレンズ用眼科用組成物に、(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種のソフトコンタクトレンズへの吸着性を低減させる方法。
  9. アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の、ソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制する方法であって、
    請求項6に記載の眼科用組成物を、ソフトコンタクトレンズに接触させる工程を含む、方法。
  10. 点眼又は洗眼時に、アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の、ソフトコンタクトレンズへの吸着を抑制する方法であり、
    請求項6に記載の眼科用組成物をソフトコンタクトレンズを装用した眼に適用する工程を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項1に記載の眼科用組成物を眼に適用する工程を含む、眼科用組成物を眼粘膜で滞留させる方法。
  12. (A)アルギン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種、並びに(B)ヒアルロン酸及びその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の、眼科用組成物の製造のための使用。
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