JPWO2007142230A1 - 脂質代謝改善剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、αs−カゼインを有効成分として含有する脂質代謝改善剤、飲食品および飼料に関する。また、本発明は、該脂質代謝改善剤を含む、体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および血中脂質低減剤に関する。

Description

本発明は、乳由来カゼインのうち、特にαs−カゼインを有効成分とし、脂質代謝の改善効果を有する薬剤、飲食品、および飼料に関する。さらに詳細には、本発明は、食餌により過多に摂取され、生体に蓄積される脂肪、特に、皮下脂肪及び内臓脂肪の代謝を促進または改善し、体脂肪率を正常にする作用を有する薬剤、飲食品、および飼料に関する。また、血液中のコレステロールや中性脂質などの血中脂質濃度も正常にする作用を有する薬剤、飲食品、および飼料に関する。
本願は、2006年6月9日に出願された特願2006−161076号に基づいて優先権を主張し、その内容をここに援用する。
肥満は、脂質代謝異常をはじめとして、高血圧、耐糖能障害など多くの危険因子を併発しやすいことが知られている。内臓脂肪の蓄積量が増加するほど総コレステロールおよび中性脂肪は増加し、HDL(高密度リポ蛋白質)は減少する。また、LDL(低密度リポ蛋白質)の質的な異常が起こり、内臓脂肪蓄積により量的、質的に脂質代謝に影響を与える。肥満者では、脂質代謝異常が高い頻度で見られ、特に血中総コレステロール量の増加、血中中性脂肪の増加などが認められる。
近年、糖尿病等の生活習慣病が増加の一途をたどっており、これらの疾病を予防するための対策が報じられている。生活習慣病のうち、高脂血症、高血圧症及び糖尿病などの最大の誘因として、肥満が挙げられており、これらの疾病を予防するために肥満の予防・改善の必要性が唱えられている。また、容姿、美容にとって、肥満は好ましくないとする風潮があり、これは時として拒食症や過食症を引き起こし、医療が必要となる場合が生じることも多い。
このように肥満に対する意識が高まる中、2000年には日本肥満学会が「新しい肥満の判定と肥満症の診断基準」として、いわゆる健康障害を伴う「肥満症」としての疾患を定義づけている。すなわち、脂肪の蓄積という状態を示す「肥満」から、疾病発症の基盤になり、そのため治療が必要になる「肥満症」を区別し、その診断を確立した。また2005年4月には生活習慣病を将来発症する確率が高い「メタボリックシンドローム」の診断基準がまとめられ、その基準としてウェスト周囲径による内臓脂肪の蓄積を判断することが必須条件とされている。そして、肥満の予防や改善を目的として運動療法や食生活の改善等も提唱されてきている。
牛乳は脂肪分を含むため、どちらかというとダイエットには不向きの食物と考えられてきた。確かに、乳は元来子供を成長させるための食物であり、従ってエネルギー源としての脂質が含まれていることは事実である。牛乳の脂質は例えばバターとして利用され、バターの過剰摂取は肥満を起こすというイメージから、牛乳も太りやすい食品というイメージを持たれることが多かった。
しかしながら、乳を飲んだ赤ん坊が太りすぎるということはなく、まして生活習慣病を発症するほどの肥満になったという報告はない。すなわち、乳には、元々含まれる脂質をエネルギー源として有効に活用することを可能にする何らかの物質が含まれているのではないかということが示唆されてきた。
例えば下記非特許文献1において、川崎らは、食事指導と運動による4ヶ月間のダイエットを行う際に、1日に200mlの牛乳を摂取する牛乳摂取群と、特に牛乳の摂取を強制しないコントロール群とに分けて観察した。その結果、4ヵ月間のダイエット前後において、体重の減り方についてはコントロール群と牛乳摂取群とでそれほど差は無かったものの、体幹部の体脂肪率は、牛乳摂取群の方がコントロール群と比較して明らかに減少しており、この効果は牛乳に含まれるカルシウムやビタミンDによるものではないか、と報告されている。
またこれと同様の、乳中のカルシウムや乳製品による減量の効果について、下記非特許文献2,3にも報告がある。
この他にも、乳中の蛋白質またはこれらの加水分解物やペプチドによる作用効果について、例えば下記特許文献1には、乳由来カゼインのトリプシン加水分解によって得られるペプチドを有効成分とする血中脂質抑制摂食物が記載されている。下記特許文献2には、コレステロールレベル、脂質レベル、トリグリセリドレベル等を低減するためのβ−カゼインA2の使用、及びβ−カゼインA2を含有する栄養補助食品が記載されている。また、下記特許文献3では、乳鉱物(ミルクミネラル)混合物、並びにκ−カゼインフラグメント106−169等のタンパク質成分を含有する体重減少の増強及び/又は体重増加の制限に有効な栄養組成物が開示されている。
特開平6−211690号公報 特表2006−501299号公報 特表2006−507217号公報 日本栄養・食糧学会誌、2006年講演要旨集、第343頁 ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・カレッジ・オブ・ニュートリション(Journal of the American College of Nutrition)、第19巻、2000年、第754〜760頁 エフ・エー・エス・イー・ビー・ジャーナル(FASEB Journal)、第14巻、2000年、第1132〜1138頁
しかしながら、上記したような従来技術では必ずしも効果が充分ではなく、安全性が高くて、優れた脂質代謝改善効果を有しており、肥満に起因する生活習慣病症状に有効な薬剤、および飲食品または飼料の開発が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、安全性が高くて、優れた脂質代謝改善効果を有しており、肥満に起因する生活習慣病症状に有効な薬剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、安価かつ安全であり、体内の脂質代謝を改善できる有効成分について鋭意検討を重ねた。具体的には、食経験豊富な天然由来の成分である乳成分に着目し、従来にはない優れた脂質代謝改善効果を有する物質を探索した結果、カゼインの中でもαs−カゼインが、他のカゼイン画分であるβ−カゼインやκ−カゼイン等に比して顕著な脂質代謝改善効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
α−カゼイン、特にαs−カゼインによる脂質代謝を改善する効果については、これまで全く知られていなかった。
すなわち、本発明はαs−カゼインを有効成分として含有する脂質代謝改善剤に関する。
また、本発明は、前記脂質代謝改善剤を含む、体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および血中脂質低減剤に関する。
また、本発明は、前記脂質代謝改善剤、前記体重増加抑制剤、前記体脂肪低減剤、または前記血中脂質低減剤を製造するためのαs−カゼインの使用に関する。
また、本発明は、前記脂質代謝改善剤を投与することにより哺乳類の脂質代謝を改善する方法に関する。
また、本発明は、前記体重増加抑制剤を投与することにより哺乳類の体重増加を抑制する方法に関する。
また、本発明は、前記体脂肪低減剤を投与することにより哺乳類の体脂肪を低減する方法に関する。
また、本発明は、前記血中脂質低減剤を投与することにより哺乳類の血中脂質を低減する方法に関する。
また、本発明は、αs−カゼインを有効成分として含有する脂質代謝改善のための飲食品、および該飲食品を製造するためのαs−カゼインの使用に関する。
前記飲食品は、健康食品、機能性食品、特別用途食品、栄養機能食品、又は特定保健用食品の形態であることができる。
また、本発明は、αs−カゼインを有効成分として含有する脂質代謝改善のための飼料に関する。
また、本発明は、αs−カゼインを医薬として、脂質代謝改善治療、体重増加抑制治療、体脂肪低減治療、または、血中脂質低減治療に使用する方法に関する。
本発明によれば、安全性が高くて、優れた脂質代謝改善効果を有する脂質代謝改善剤が得られる。
本発明の脂質代謝改善剤により得られる効果は以下の通りである。
(1)本発明の脂質代謝改善剤は、食餌により過多に摂取され生体に蓄積される皮下脂肪及び内臓脂肪の代謝を促進する作用を有する。これにより体重増加の抑制、および内臓脂肪を始めとする体脂肪の低減において顕著な効果が得られる。したがって、肥満の予防や改善に有用である。
(2)本発明の脂質代謝改善剤は、食餌により過多に摂取され血管内に貯留されることにより循環器系疾患を誘発する原因となる血液中のコレステロールや中性脂肪などの血中脂質を低減する効果を有する。したがって、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患の予防や改善に有用である。
(3)本発明の脂質代謝改善剤は、ヒトおよび動物に対する安全性が高く、副作用の心配なく長期間に渡って継続して日常的に摂取することが可能である。したがって肥満が原因ともされる高脂血症、高血圧症及び糖尿病等の生活習慣病の予防及び/又は治療に好適である。
(4)本発明の有効成分であるαs−カゼインは、生体材料として比較的安価な乳等の原料から安定して大量に製造することができるので、脂質代謝改善剤を安価に提供することが可能である。さらに飲食品や飼料の形態として脂質代謝改善剤を提供することも可能である。このために費用負担の面からも、長期間に渡って継続して日常的に摂取することが容易な脂質代謝改善剤、および該脂質代謝改善剤を含有する飲食品または飼料を提供できる。
したがって、本発明によれば、安全性が高い体重増加抑制剤が得られる。
また本発明によれば、安全性が高い体脂肪低減剤が得られる。
また本発明によれば、安全性が高い血中脂質低減剤が得られる。
試験例における内臓脂肪重量の経時変化を示すグラフである。 試験例における皮下脂肪重量の経時変化を示すグラフである。 試験例における内臓脂肪重量と皮下脂肪重量を併せた体脂肪重量の経時変化を示すグラフである。 試験例における体脂肪率の経時変化を示すグラフである。 試験例におけるαs−カゼイン投与量と体重当りの腹腔内脂肪重量の占める割合との関係を示すグラフである。 試験例におけるαs−カゼイン投与量と血中脂質との関係を示すグラフである。 試験例におけるαs−カゼイン投与量と血中の遊離脂肪酸濃度との関係を示すグラフである。
本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
本発明により得られる脂質代謝改善効果とは、主として食餌により過多に摂取され生体に蓄積する皮下脂肪及び内臓脂肪(以下、併せて体脂肪と定義する)の代謝を促進し、「体内に含まれる脂肪組織重量を体重にて除した所謂体脂肪率」を正常にする作用を意味する。かかる作用により、具体的には体重増加抑制、体脂肪低減、および血中脂質低減から選ばれる1以上の効果が得られる。
したがって本発明の脂質代謝改善剤は、体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および/または血中脂質低減剤として好適に用いることができ、これを含む体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および血中脂質低減剤を提供することができる。また、これらの薬剤を投与することにより、哺乳類の脂質代謝を改善する方法、体重増加を抑制する方法、体脂肪を低減する方法、または血中脂質を低減する方法を提供する。
前記「哺乳類」とは、ヒトおよび家畜動物(例えば、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ヤギなど)を含む。
また、後述の試験例に示されるように、本発明による効果は、体内に蓄積された余剰の脂質を代謝することであって、必要な脂質までを減少させる影響はほとんど無い。また、所謂「除脂肪体重」と呼ばれる、脂質以外の組織への影響についてもほとんど確認されない。
本発明における「治療」とは、症状を緩和(改善)する効果と疾患を治療する効果を含む。本発明により得られる治療効果は、好ましくは、寛解に導入する効果とその状態を維持する効果である。本発明によれば、有効成分であるαs−カゼインを日常的に投与又は摂取することによって、副作用などを殆ど生じず、前記脂質代謝改善効果が発揮される。
本発明において用いられるαs−カゼインは、乳等の原料から、例えば、イオンクロマトグラフィー法等の常法に従って工業的に製造することが可能である。例えば、ジャーナル・オブ・デイリー・リサーチ(J. Dairy Research)、第59巻、1992年、第551〜556頁に開示されている方法により製造できる。
あるいは所望により、市販の天然物由来のαs−カゼイン(例えばシグマ社製等)、又は組換え型αs−カゼイン等も使用可能である。
αs−カゼインは、ほ乳類の乳に由来するものが好適である。特に、投与対象がヒトである脂質代謝改善剤の場合は、伝統的に飲食用に用いられている牛、羊、山羊などの乳に由来するαs−カゼインが好ましい。これらは歴史的な年月の間、ヒトの飲食に使用されていたために、ヒトに対する安全性が極めて高い水準で担保されているからである。中でも牛乳由来のαs−カゼインを用いることが好ましい。
本発明の脂質代謝改善剤、体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および血中脂質低減剤の投与方法は特に限定されない。例えば、経口投与でもよく、経腸投与等の非経口投与でもよい。
本発明の脂質代謝改善剤における有効成分であるαs−カゼインは、牛乳等の食品中に含有されており、日常的に摂取されているもので、毒性を示さず、長期間連続的に摂取しても副作用が殆ど認められない。すなわち摂取した場合の安全性が非常に高いものであり、特に経口投与または経腸投与に好適である。
本発明の脂質代謝改善剤はαs−カゼインのみからなる剤でもよく、他の成分を含む組成物からなる剤でもよい。いずれの場合も、用途に応じた剤型に製剤化されたものが好ましい。
また、本発明の体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および血中脂質低減剤は、前記脂質代謝改善剤のみからなる剤でもよく、他の成分を含む組成物からなる剤でもよい。
脂質代謝改善剤、体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および血中脂質低減剤の剤型は特に限定されない。例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤、顆粒剤、散剤等、乳剤、噴霧剤等、公知の経口投与剤型とすることができる。
または座剤、注射剤、軟膏、テープ剤等の非経口投与剤型も可能である。
本発明の脂質代謝改善剤の有効成分であるαs−カゼインの投与量は、剤型、症状、年齢、体重等によって異なるが、脂質代謝改善効果、体重増加抑制効果、体脂肪低減効果、および血中脂質低減効果から選ばれる1以上を効果的に発揮させるためには、80mg/kg体重/日以上の投与量とすることが好ましい。なお、αs−カゼインは安全性が高いために投与量の上限は制限されないが、特に320mg/kg体重/日程度の量を投与すれば、本発明による脂質代謝改善効果が充分に享受される。また、それ以上の量を投与しても脂質代謝改善効果にほとんど変化は現れないので、投与量の上限は320mg/kg体重/日以下であることが好ましい。
本発明の脂質代謝改善剤、体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および血中脂質低減剤は、αs−カゼインの1日の投与量が上記の範囲となるように製剤化されたものが好ましく、また、αs−カゼインの1日の投与量が上記の範囲となるように投与されることが好ましい。
製剤化は、例えば、αs−カゼインを薬学的に許容され得る賦形剤等の任意の添加剤を適宜用いて、公知の方法により行うことができる。製剤化にあたっては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、注射剤用溶剤等の添加剤を使用できる。
脂質代謝改善剤がαs−カゼインと、添加剤等の他の成分を含む組成物からなる場合、該組成物中におけるαs−カゼインの含有量は、特に制限されないが、通常0.1〜90質量%、好ましくは0.5〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%である。
体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、または血中脂質低減剤が、脂質代謝改善剤と、他の成分を含む組成物からなる場合、該組成物中における脂質代謝改善剤の含有量は、特に制限されないが、通常0.1〜90質量%、好ましくは0.5〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%である。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム等の珪酸塩誘導体;リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マグロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビーガム、ゲイロウ等のワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸類塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物等の珪酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。
矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
注射剤用溶剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン等が挙げられる。
本発明の脂質代謝改善剤は、前記医薬品としての用途以外に、これを飲食品や飼料等に配合して経口投与することもできる。
本発明の脂質代謝改善剤を含有する飲食品は、αs−カゼインを有効成分として含有し、脂質代謝改善効果を有する飲食品である。該飲食品の用途は、脂質代謝改善の効果を利用するような種々の用途をとることができる。特に好適な用途は、体重増加抑制、体脂肪低減、および血中脂質低減から選ばれる1または2以上である。
かかる飲食品は、例えば、αs−カゼインに、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等を適宜配合することにより製造できる。
飲食品の形態は、日常的に摂取が可能な形態が好ましい。例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物、パン;経腸栄養食;機能性食品等が挙げられる。
これらの中でも、体重増加抑制、体脂肪低減、および血中脂質低減から選ばれる1または2以上の用途に用いられる、脂質代謝改善効果を有する機能性食品が好ましい。
本発明の脂質代謝改善剤を含有する飼料は、αs−カゼインを有効成分として含有し、脂質代謝改善効果を有する飼料である。該飼料の用途は、脂質代謝改善の効果を利用するような種々の用途をとることができる。特に好適な用途は、体重増加抑制、体脂肪低減、および血中脂質低減から選ばれる1または2以上である。
かかる飼料は、例えば、αs−カゼインに、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦、マイロ等の穀類;大豆油粕、ナタネ油粕、ヤシ油粕、アマニ油粕等の植物性油粕類;フスマ、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;魚粉、脱脂粉乳、ホエー、イエローグリース、タロー等の動物性飼料類;トラル酵母、ビール酵母等の酵母類;第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;単体アミノ酸;糖類等を配合することにより製造できる。
飼料の形態は、日常的に給餌が可能な形態が好ましい。具体例としては、ペットフード、家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
本発明の脂質代謝改善剤は、それのみで使用してもよいが、その他の脂質代謝改善に効果を有する医薬組成物、飲食品、又は飼料と併用してもよい。併用によって、体重増加抑制、体脂肪低減、血中脂質低減等の効果をより高めることができる。併用する医薬組成物、飲食品、又は飼料は、本発明にかかる医薬組成物、飲食品、又は飼料中に有効成分として含有させてもよいし、本発明の医薬組成物、飲食品、又は飼料中には含有させずに別個の薬剤、飲食品等として組み合わせて商品化してもよい。
本発明にかかる飲食品は、脂質代謝を改善するためとの用途が表示された飲食品等、例えば「脂質代謝改善用と表示された、脂質代謝改善効果を有する飲食品」、「脂質代謝改善用と表示された、αs−カゼインを含有する飲食品」、あるいは「体脂肪蓄積予防用と表示された、αs−カゼインを含有する飲食品」等として販売することが好ましい。
なお、以上のような表示を行うために使用する文言は、例えば「脂質代謝改善用」あるいは「体脂肪蓄積予防用」という文言のみに限られるわけではなく、それ以外の文言であっても、脂質代謝改善効果を表す文言であれば、本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。そのような文言としては、例えば、需要者に対して、脂質代謝改善効果及び/又は改善効果を認識させるような種々の用途に基づく表示も可能である。
または、同様に、体重増加抑制、体脂肪低減、および血中脂質低減から選ばれる1以上の用途が表示された飲食品等として販売することが可能である。
また、同様に、肥満が原因ともされる高脂血症、高血圧症及び糖尿病等の生活習慣病の予防及び/又は改善用として、生活習慣病の予防及び/又は改善するためとの用途が表示された飲食品等として販売することも可能である。
前記「表示」の行為(表示行為)には、需要者に対して上記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、上記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、すべて本発明の「表示」の行為に該当する。しかしながら、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により表示することが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に上記用途を記載する行為を表示行為として挙げることができ、さらに商品又は商品の包装に上記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為、等を例示できる。
一方、表示される内容(表示内容)としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましく、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、例えば、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示を例示することができる。特に、厚生労働省によって認可される表示、例えば、特定保健用食品制度、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を例示することができ、詳細にいえば、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、及びこれに類する表示が、典型的な例として列挙することが可能である。
本発明において、αs−カゼインによる脂質代謝改善効果を評価するためには、例えば、オベシティ・リサーチ(Obesity Research)、第10巻、2002年、第956〜963頁に記載された,遺伝子的に肥満する背景を持たない正常な動物を用い、餌中に含まれる脂質と炭水化物の比率を変化させることに基づいた食餌誘導性肥満モデル動物を用いた試験により評価することが可能である。すなわち、常法により餌中の脂質含量が高い高脂肪食を与えることにより肥満及び高脂血症を誘導し、その症状に対するαs−カゼインの効果(体重増加抑制作用、体脂肪増加抑制作用、血中脂質増加抑制作用)として評価することが可能である。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1](αs−カゼインの製造)
まず、4Mの尿素および6.5×10−5Mのジチオスレイトールを含む0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化した強陰イオン交換体(ファルマシア社製)2.4Lを用意した。この強陰イオン交換体から緩衝液を除いた後、3Lの緩衝液に溶解した90gのカゼインナトリウム(森永乳業社製)を加え、30分程度イオン交換体をゆっくり攪拌した後、グラスフィルターを用いて上清を分離した。これによりカゼイン(α、κ及びβカゼイン)が吸着された強陰イオン交換体が得られる。
次に、上記緩衝液に、0.2Mとなるように塩化ナトリウムを加えた溶液1.5Lを、前記強陰イオン交換体に加え、30分程度イオン交換体をゆっくり攪拌し、グラスフィルターを用いて上清を分離した。この上清にはκ及びβカゼインが含まれる為、以降の画分への混入を防ぐ為に、再度この操作を繰り返した。
次いで、上記緩衝液に、0.3Mとなるように塩化ナトリウムを加えた溶液1.5Lを、前記強陰イオン交換体に加え、30分程度イオン交換体をゆっくり攪拌し、グラスフィルターを用いて上清を回収した。この上清にはαs−カゼインが含まれる。回収率を上げる為、再度この操作を繰り返した。得られたαs−カゼインを含む画分は、スプレードライまたは凍結乾燥して、粉体にし、使用時まで冷蔵保存した。この方法によりαs−カゼイン35g(純度99%)を製造した。
[実施例2](タブレット状の脂質代謝改善剤の製造)
実施例1の方法で得られたαs−カゼイン150gに、ラクチュロース粉末(森永乳業社製)100g、マルツデキストリン(松谷化学工業社製)635g、脱脂粉乳(森永乳業社製)85g、ステビア甘味料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)1g、ヨーグルト・フレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)5g、グリセリン脂肪酸エステル製剤(理研ビタミン社製)24gの各粉末を添加して均一に混合し、打錠機(畑鉄鋼所社製)を使用して、1錠当り0.5gとし、12錠/分打錠速度、9.8KPaの圧力で前記混合粉末を連続的に打錠し、αs−カゼインを含有するタブレット(脂質代謝改善剤)1800錠(約900g)を製造した。タブレット1個当たりのαs−カゼインは約15質量%であった。
[実施例3](脂質代謝改善剤を含有する経腸栄養食粉末の製造)
ホエー蛋白加水分解物(森永乳業社製)10kg、デキストリン(昭和産業社製)36kg、および少量の水溶性ビタミンとミネラルを水200kgに溶解して水相をタンク内に調製した。これとは別に、大豆サラダ油(太陽油脂社製)3kg、パーム油(太陽油脂社製)8.5kg、サフラワー油(太陽油脂社製)2.5kg、レシチン(味の素社製)0.2kg、脂肪酸モノグリセリド(花王社製)0.2kg、及び少量の脂溶性ビタミンを混合溶解して油相を調製した。タンク内の水相に油相を添加し、攪拌して混合した後、70℃に加温し、更に、ホモゲナイザーにより14.7MPaの圧力で均質化した。次いで、90℃で10分間殺菌した後、濃縮し、噴霧乾燥して、中間製品粉末約59kgを調製した。この中間製品粉末50kgに、蔗糖(ホクレン社製)6.8kg、アミノ酸混合粉末(味の素社製)167g、および実施例1の方法で得られたαs−カゼイン1kgを添加し、均一に混合して、αs−カゼインを含有する経腸栄養食粉末約56kgを製造した。
[実施例4](脂質代謝改善効果を有するαs−カゼインを含有するシチューの製造)
1cm角に切った玉葱1/2個分をバター7gにて炒め、薄力粉大匙2/3を加えて更に炒めた。さらに水200mlと顆粒ブイヨン小さじ1/3を加えて溶きのばし、1cm角に切ったじゃがいも1個分、ロースハム塊15g、ミックスビーンズ缶(1/3缶)を加え、煮込んだ。じゃがいもが柔らかくなった時点で、実施例1と同様の方法で製造したαs−カゼイン15gを加えて一煮立ちさせ、塩、こしょうで味を調えて、脂質体代謝改善効果を有するαs−カゼインを含有するシチューを製造した。
[実施例5](脂質代謝改善効果を有するαs−カゼインを含有するオレンジミルクゼリーの製造)
オレンジ1個分を皮をむいて、細かく刻んだ。また、粉末ゼラチン(ゼライス社製)5gを水50mlに添加して液状とした。ここで、鍋に、実施例1と同様の方法で製造したαs−カゼイン40g、グラニュー糖大匙3杯、水100mlを加えて加熱した。沸騰直前に火を止め、ふ液状にしておいたゼラチンを加えて余熱で溶かした。ゼラチンが溶けた後、氷水にて冷まし、とろみが付くまで冷やした後、オレンジジュース150ml、および、先に刻んだオレンジ皮、コアントロー大匙1杯を加えて混合し、適当な容器に入れて冷蔵庫にて2〜3時間保冷し、脂質代謝改善効果を有するαs−カゼインを含有するオレンジミルクゼリーを製造した。
次に試験例を示す。
[試験例1](効能確認試験−1)
αs−カゼインによる体重増加抑制効果について確認するために、高脂肪食摂取条件下で、各種カゼイン溶液を投与し、体重変化を観察した。また、比較のためにαs−カゼイン、β−カゼインおよびκ−カゼインを含むカゼイン混合体であるカゼインナトリウムについても投与を行った。さらに、通常の量の脂肪(その分のカロリーは炭水化物で調節)を含む餌(通常脂肪食)を作製し、通常脂肪食を摂取した場合の体重の下限値についても検討した。
(1)飼料
表1に示す組成で高脂肪の餌(高脂肪食。以下、HFと略す。)を作製した。また表2に示す組成で通常脂肪の餌(通常脂肪食。以下、NFと略す。)を作製した。
(2)試料の調製
対照試料:注射用蒸留水
αsCs試料:αs−カゼイン(シグマ社製)200mgを注射用蒸留水(大塚製薬社製)40mlに溶解して調製した(蛋白質濃度:5mg/ml)。
βCs試料:β−カゼイン(シグマ社製)200mgを注射用蒸留水(大塚製薬社製)40mlに溶解して調製した(蛋白質濃度:5mg/ml)。
κCs試料:κ−カゼイン(シグマ社製)200mgを注射用蒸留水(大塚製薬社製)40mlに溶解して調製した(蛋白質濃度:5mg/ml)。
CsNa試料:精製カゼインナトリウム(和光純薬社製)200mgを注射用蒸留水(大塚製薬社製)40mlに溶解して調製した(蛋白質濃度:5mg/ml)。
(3)試験動物
日本エスエルシー社より購入した雄の4週齢ICRマウスを使用した。
(4)試験方法
高脂肪食による1週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、一群8匹として6群に分け、各群に飼料と水を自由に摂取させた。また1週間のうち5日間を、1日1回のペースで、ゾンデを用いて試料を0.5ml/匹ずつ投与した。各群については、以下のとおりである。
1群(ネガティブコントロール、以下NC群と略す):飼料NF、対照試料
2群(ポジティブコントロール、以下PC群と略す):飼料HF、対照試料
3群(αs−カゼイン投与群、以下αs群と略す):飼料HF、αsCs試料
4群(β−カゼイン投与群、以下β群と略す):飼料HF、βCs試料
5群(κ−カゼイン投与群、以下κ群と略す):飼料HF、κCs試料
6群(カゼインナトリウム群、以下CsNa群と略す):飼料HF、CsNa試料
(5)試験結果
試験期間中、週に1回の割合で摂餌量を測定したが、各群の間に差は認められなかった。8週間後の各群の体重の平均値は表3に示すとおりである。体重については非常に群内のばらつきが多く、群間での有意差は認められなかったが、「高脂肪食でαsCs試料を投与したαs群」は、「高脂肪食で対照試料を投与したPC群」に比して明らかに体重の増加が抑制された。
また、このαs群は、「通常脂肪食で対照試料を投与したNC群」と8週間後の体重がほぼ等しく、体重が減少しすぎるということも無かった。このことから、αs群では体内に蓄積された余剰の脂質の代謝が促進され、必要な脂質まで減少させる影響はほとんど無いことが認められる。
[試験例2](効能確認試験−2)
αs−カゼインによる、内臓脂肪及び皮下脂肪等の体脂肪の増加抑制効果について確認するために、高脂肪食摂取条件下で、各種カゼイン溶液を投与し、その変化について小動物用CTスキャナを用いて、内臓(腹腔内)脂肪、皮下脂肪及び腹部除脂肪重量を測定し、さらに体脂肪率について測定した。さらにまた、通常の量の脂肪を含む餌(通常脂肪食)を作製し、通常脂肪食を摂取した場合の体内における上記重量及び体脂肪率の下限値についても検討した。
(1)飼料
試験例1と同様の飼料を使用した。
(2)試料の調製
試験例1と同様の試料を使用した。
(3)試験動物
試験例1と同様の動物を使用した。
(4)試験方法
高脂肪食による1週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、一群8匹として6群に分け、各群に飼料と水を自由に摂取させた。また1週間のうち5日間を、1日1回のペースで、ゾンデを用いて試料を0.5ml/匹ずつ投与した。各群における飼料および試料の種類は試験例1と同じである。
なお、投与期間中、2週目〜6週目までの間に、2週間に一度の割合で各群の平均値付近のマウス2〜3匹について、小動物用CTスキャナ(アロカ社製:LaTheta(登録商標))にて、マウス腹部の内臓(腹腔内)脂肪重量、皮下脂肪重量、及び体脂肪率を測定した。
また8週後に飼育していたマウスの全数について、小動物用CTスキャナにて、マウス腹部の皮下脂肪重量、内臓脂肪重量、除脂肪重量、及び体脂肪率を測定した。
(5)試験結果
試験期間中、週に1回の割合で摂餌量を測定したが、各群の間に差は認められなかった。8週間後の各群の動物腹部における皮下脂肪重量、内臓(腹腔内)脂肪重量及び除脂肪重量の平均値は表4〜表6に示すとおりである。また、8週間後の体脂肪率の平均値は表7に示すとおりである。
「通常脂肪食で対照試料を投与したNC群」と比較して「高脂肪食で対照試料を投与したPC群」では、脂肪組織の重量が著しく多く、またこれに反して除脂肪重量が減少していることが判明した。NC群とPC群では内臓脂肪及び皮下脂肪のいずれにおいても有意差が認められ、試験例1で認められたPC群における体重増加の原因が、体内の脂肪重量の増加によることが明らかとなった。
この結果は、体脂肪率にも反映され、表7に示されるとおり、NC群よりもPC群のほうが有意に高いことが判明した。
一方、「高脂肪食でαsCs試料を投与したαs群」は高脂肪食を摂取させたにもかかわらず、内臓脂肪重量、及び皮下脂肪重量のいずれもにおいてもPC群に比して有意に増加が抑制された。さらに、体脂肪率も同様に有意に低下した。
しかしながら、αs群における体脂肪の蓄積抑制の度合いはNC群とほぼ同等であり、αsCs試料の摂取により脂肪組織が極端に減量または消失することは無かった。一方、αs群の除脂肪重量の減少はPC群ほど顕著ではなく、αsCs試料の投与による体重増加抑制効果は、ほとんど脂肪組織の重量増加抑制によるものと考えられる。また脂肪組織以外の組織(除脂肪重量)を正常なレベルに維持する効果も認められた。
なお、αsCs以外のカゼインを投与したβ群、κ群及びCsNa群においては、8週間後の内臓脂肪重量及び皮下脂肪重量ともにPC群とほぼ同等であり、脂肪組織重量の増加抑制効果は認められなかった。
図1は、内臓脂肪重量の経時的な変化を示したグラフである。NC群では2週目から既にPC群ほどの重量の増加は観察されなくなった(NC群:1.6g、PC群:2.1g)が、αs群においては、2週目まで、PC群やαsカゼイン以外のカゼイン群と同様に重量が増加した(αs群:2.5g、β群:2.1g、κ群:2.7g、CsNa群:2.5g)。その後、αs群では経時的に重量は減少し、6週目ではNC群よりも更に重量が少なくなったが(NC群:1.7g、αs群:0.9g)、8週目には、再びほぼNC群と同等の重量にまで回復することが明らかとなった(NC群:2.1g、αs群:2.9g)。
図2は、皮下脂肪重量の経時的な変化を示したグラフである。αs群では、2〜4週目まで皮下脂肪重量の増加はPC群と同様に大きく増加したが(PC群:1.6g、αs群:2.0g)、その後、増加の傾向が緩やかになり、8週目には急激に低下した(PC群:2.8g、αs群:1.2g)。
図3は、内臓脂肪重量と皮下脂肪重量を併せた体脂肪重量の経時変化を示したグラフである。αs群では、2週目まで、PC群、及びその他のカゼイン群と同様に体脂肪重量の増加の傾向が確認されたが(PC群:3.3g、αs群:4.2g、β群:3.1g、κ群:4.1g、CsNa群:4.9g)、その後、増加のカーブが緩やかになった後、減少に転じ、6週目にNC群と同レベルまで下がった後は(6週目、NC群:2.6g、αs群:3.0g)、再びNC群と同程度に増加していく傾向が確認された(8週目、NC群:3.2g、αs群:4.1g)。
図3に示されるように、6週目以降に、NC群及びαs群で緩やかな体脂肪重量の増加が見られるのは、加齢による自然現象であると考えられる。なお、図4の体脂肪率の経時変化を示したグラフで示されるように、体脂肪率に換算すれば、それほど急激な上昇ではないことが判明した。しかしながら、PC群、β群、κ群及びCsNa群においては、体脂肪率が2週以降8週目まで顕著に増加することが明らかとなった。
[試験例3](効能確認試験−3)
前記試験例2で確認された体内における脂肪蓄積抑制効果について、8週間飼育後の動物を解剖して、内臓(腹腔内)脂肪の部位別重量を測定した。
(1)飼料
試験例1と同様の飼料を使用した。
(2)試料の調製
試験例1と同様の試料を使用した。
(3)試験動物
試験例1と同様の動物を使用した。
(4)試験方法
高脂肪食による1週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、一群8匹として6群に分け、各群に飼料と水を自由に摂取させた。また1週間のうち5日間を、1日1回のペースで、ゾンデを用いて試料を0.5ml/匹ずつ投与した。各群における飼料および試料の種類は試験例1と同じである。
なお、8週間後に全個体を解剖し、内臓脂肪を精巣周囲、腸間膜及び後腹膜の3箇所から摘出し、各々の重量を求めた。
(5)試験結果
本試験の結果は表8に示すとおりである。その結果、マウスの内臓脂肪を3つの部位に分けてその重量を観察したところ、NC群はすべての部位についてPC群と比較して有意にその重量が少なかった。
また、αs群は、精巣周囲及び腸間膜の2つの部位について、有意にその重量が少なく、特に、腸間膜脂肪におけるαs群の重量は、ほぼNC群と同等であった。なお、有意差は認められなかったものの後腹膜脂肪も明らかに少ない傾向が確認された。その他のカゼインを投与した群(β群、κ群及びCsNa群)ではPC群と比して、特に差は確認されなかった。
なお、試験期間中、週に1回の割合で摂餌量を測定したが、各群の間に差は認められなかった。
[試験例4](効能確認試験−4)
αs−カゼインによる血中脂質低減効果について検討するために、高脂肪食摂取条件下で、各種カゼイン溶液を投与した後の血中脂質を測定した。さらに、通常の量の脂肪を含む餌(通常脂肪食)を作製し、通常脂肪食を摂取した場合の血中脂質値についても検討した。
(1)飼料
試験例1と同様の飼料を使用した。
(2)試料の調製
試験例1と同様の試料を使用した。
(3)試験動物
試験例1と同様の動物を使用した。
(4)試験方法
高脂肪食による1週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、一群8匹として6群に分け、各群に飼料と水を自由に摂取させた。また1週間のうち5日間を、1日1回のペースで、ゾンデを用いて試料を0.5ml/匹ずつ投与した。各群における飼料および試料の種類は試験例1と同じである。
各群とも、8週間後に解剖して全採血を行い、臨床化学自動分析装置(アークレイ社:スポットケム)を用いて血清脂質を分析し、総コレステロール(T−Cho、単位:mg/dL)および中性脂肪(TG、単位:mg/dL)を測定した。
(5)試験結果
本試験の結果は表9に示すとおりである。その結果、NC群とPC群では、T−Choで有意差を認めたが、それ以外においては、各群間で差は確認されなかった。αs群では、T−Cho及びTGのいずれもが低値を示しており、αs−カゼインの投与が血中の脂質に対して低減効果があることが確認された。なお、試験期間中、週に1回の割合で摂餌量を測定したが、各群の間に差は認められなかった。
[試験例5](用量依存性試験−1)
αs−カゼインによる体内の脂質代謝改善効果について、その有効投与量を検討するために高脂肪食飼育下の動物に、濃度を変えて調製したαs−カゼイン溶液を投与し、体重当りの内臓脂肪重量を測定した。
(1)飼料
試験例1と同様の飼料を使用した。
(2)試料の調製
対照:注射用蒸留水
αsCs試料:αs−カゼイン(シグマ社製)を注射用蒸留水(大塚製薬社製)に溶解して、蛋白質濃度が、0.5mg/ml、5mg/ml、20mg/mlとなるように調製した。
(3)試験動物
試験例1と同様の動物を使用した。
(4)試験方法
高脂肪食による1週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、一群8匹として6群に分け、各群に飼料と水を自由に摂取させた。また1週間のうち5日間を、1日1回のペースで、ゾンデを用いて試料を0.5ml/匹ずつ投与した。各群共、試験期間終了後に体重を測定した後、解剖し、腹腔内脂肪重量を測定した。試験期間は、群分け後12週間とした。各群については、以下のとおりである。
1群:対照投与(対照群)
2群:0.5mg/ml・αs−カゼイン投与(α−0.5群)
3群:5mg/ml・αs−カゼイン投与(α−5群)
4群:20mg/ml・αs−カゼイン投与(α−20群)
(5)試験結果
本試験の結果は図5に示すとおりである。その結果、12週間後の各群の体重当りの腹腔内脂肪重量の占める割合において、対照投与群で10.8%であったものが、αs−カゼインを投与することにより、体重あたりに占める腹腔内脂肪重量の割合は濃度依存的に減少していき、α−0.5で10.2%、α−5で9.1%、α−20では8.8%にまで達した。なお、試験期間中、週に1回の割合で摂餌量を測定したが、各群の間に差は認められなかった。
この結果より、蛋白質濃度が5mg/ml以上のαs−カゼイン溶液を投与することにより、体重あたりの腹腔内脂肪重量の割合が明らかに減少するという、良好な結果が得られることが認められた。なお、ここでの蛋白質濃度5mg/mlのαs−カゼイン溶液の投与量は、換算すると80mg/kg体重/日に相当する。
[試験例6](用量依存性試験−2)
高脂肪食飼育下の動物に、濃度を変えて調製したαs−カゼイン溶液を投与し、血液中に含まれる脂質の量を測定した。
(1)飼料
試験例1と同様の飼料を使用した。
(2)試料の調製
試験例5と同様の試料を使用した。
(3)試験動物
試験例1と同様の動物を使用した。
(4)試験方法
高脂肪食による1週間の予備飼育の後、体重がほぼ同等となるように、一群8匹として6群に分け、各群に飼料と水を自由に摂取させた。また1週間のうち5日間を、1日1回のペースで、ゾンデを用いて試料を0.5ml/匹ずつ投与した。各群とも、試験期間(12週)終了後、解剖し、心採血を行った。採取した血液は、凝固促進型分離剤入り血清分離チューブ(コスモバイオ社製)にて血清を分離した。臨床化学自動分析装置(アークレイ社:スポットケム(登録商法))を用いて血中のT−Cho及びTGを測定した。また、血清中の遊離脂肪酸についてNEFA−Cテストワコー(和光純薬社製)にて測定した。各群については、以下のとおりである。
1群:対照投与(対照群)
2群:0.5mg/ml・αs−カゼイン投与(α−0.5群)
3群:5mg/ml・αs−カゼイン投与(α−5群)
4群:20mg/ml・αs−カゼイン投与(α−20群)
(5)試験結果
T−Cho及びTGの測定結果を図6に示す。その結果、対照群はT−Cho:211.8mg/dL、TG:195.1mg/dLであったのに比して、αs−カゼインを投与した群では、いずれも濃度依存的にT−Cho及びTGが減少し、α−0.5においてT−Cho:211.6mg/dL、TG:158.9mg/dL、α−5においてT−Cho:196.3mg/dL、TG:174.4mg/dL、α−20においてT−Cho:166.1mg/dL、TG:149.9mg/dLとなった。
この結果より、蛋白質濃度が5mg/ml以上のαs−カゼイン溶液を投与することにより、T−Cho及びTGのいずれも対照群より明らかに低減するという、良好な結果が得られることが認められた。なお、試験期間中、週に1回の割合で摂餌量を測定したが、各群の間に差は認められなかった。
また、血中の遊離脂肪酸濃度の測定結果を図7に示す。その結果、対照群が1.661mEq/lであったのに対し、α−0.5:0.999mEq/l、α−5:1.305mEq/l、α−20:1.312mEq/lであり、αs−カゼインを投与した群は、いずれも対照群に比して有意に血中の遊離脂肪酸の濃度が低下することが確認された。
本発明によれば、ヒトや動物に対する安全性が高く、日常的に投与又は摂取することによって、肥満等によって起因する高脂血症、高血圧症及び糖尿病等の生活習慣病症状を緩和させること(寛解の導入と維持)が可能な脂質代謝改善剤が得られる。また、本発明における有効成分であるαs−カゼインは、乳等の原料から大量に製造することができるので、脂質代謝改善剤やこれを含有する飲食品や飼料を安価に提供することが可能である。
すなわち、本発明はαs−カゼインを有効成分として含有し、β−カゼインおよびκ−カゼインを含有しない脂質代謝改善剤に関する。
また、本発明は、前記脂質代謝改善剤を含み、β−カゼインおよびκ−カゼインを含有しない、体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および血中脂質低減剤に関する。
また、本発明は、前記脂質代謝改善剤、前記体重増加抑制剤、前記体脂肪低減剤、または前記血中脂質低減剤を製造するためのαs−カゼインの使用に関する。
本発明により得られる脂質代謝改善効果とは、主として食餌により過多に摂取され生体に蓄積する皮下脂肪及び内臓脂肪(以下、併せて体脂肪と定義する)の代謝を促進し、「体内に含まれる脂肪組織重量を体重にて除した所謂体脂肪率」を正常にする作用を意味する。かかる作用により、具体的には体重増加抑制、体脂肪低減、および血中脂質低減から選ばれる1以上の効果が得られる。
したがって本発明の脂質代謝改善剤は、体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および/または血中脂質低減剤として好適に用いることができ、これを含む体重増加抑制剤、体脂肪低減剤、および血中脂質低減剤を提供することができる。
「哺乳類」とは、ヒトおよび家畜動物(例えば、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ヤギなど)を含む。
参考例2](タブレット状の脂質代謝改善剤の製造)
実施例1の方法で得られたαs−カゼイン150gに、ラクチュロース粉末(森永乳業社製)100g、マルツデキストリン(松谷化学工業社製)635g、脱脂粉乳(森永乳業社製)85g、ステビア甘味料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)1g、ヨーグルト・フレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)5g、グリセリン脂肪酸エステル製剤(理研ビタミン社製)24gの各粉末を添加して均一に混合し、打錠機(畑鉄鋼所社製)を使用して、1錠当り0.5gとし、12錠/分打錠速度、9.8KPaの圧力で前記混合粉末を連続的に打錠し、αs−カゼインを含有するタブレット(脂質代謝改善剤)1800錠(約900g)を製造した。タブレット1個当たりのαs−カゼインは約15質量%であった。

Claims (20)

  1. αs−カゼインを有効成分として含有する脂質代謝改善剤。
  2. 請求項1記載の脂質代謝改善剤を含む体重増加抑制剤。
  3. 請求項1記載の脂質代謝改善剤を含む体脂肪低減剤。
  4. 請求項1記載の脂質代謝改善剤を含む血中脂質低減剤。
  5. 請求項1記載の脂質代謝改善剤を製造するためのαs−カゼインの使用。
  6. 請求項2記載の体重増加抑制剤を製造するためのαs−カゼインの使用。
  7. 請求項3記載の体脂肪低減剤を製造するためのαs−カゼインの使用。
  8. 請求項4記載の血中脂質低減剤を製造するためのαs−カゼインの使用。
  9. 請求項1記載の脂質代謝改善剤を投与することにより哺乳類の脂質代謝を改善する方法。
  10. 請求項2記載の体重増加抑制剤を投与することにより哺乳類の体重増加を抑制する方法。
  11. 請求項3記載の体脂肪低減剤を投与することにより哺乳類の体脂肪を低減する方法。
  12. 請求項4記載の血中脂質低減剤を投与することにより哺乳類の血中脂質を低減する方法。
  13. αs−カゼインを有効成分として含有する脂質代謝改善のための飲食品。
  14. 請求項13に記載の飲食品を製造するためのαs−カゼインの使用。
  15. 飲食品が、健康食品、機能性食品、特別用途食品、栄養機能食品、又は特定保健用食品の形態である請求項13又は14に記載の飲食品。
  16. αs−カゼインを有効成分として含有する脂質代謝改善のための飼料。
  17. αs−カゼインを医薬として脂質代謝改善治療に使用する方法。
  18. αs−カゼインを医薬として体重増加抑制治療に使用する方法。
  19. αs−カゼインを医薬として体脂肪低減治療に使用する方法。
  20. αs−カゼインを医薬として血中脂質低減治療に使用する方法。
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