JP2985157B2 - カゼインをα−カゼインとβ−カゼインとに分画する方法 - Google Patents

カゼインをα−カゼインとβ−カゼインとに分画する方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カゼインサブミセルを
出発原料として膜処理によりカゼインをα−カゼインと
β−カゼインに分画する方法に関する。本発明の方法に
よるとα−カゼインとβ−カゼインとを高純度に分画精
製することができる。そして得られるα−カゼイン及び
β−カゼインは、純度の高い蛋白質素材として各種の食
品への利用が可能である。
【0002】
【従来の技術】乳カゼインに含まれるα−カゼインはβ
−カゼインと異なり人乳中に存在しないカゼインで、乳
製品を摂取した時のアレルギーの一因であるといわれて
いる。このため従来からカゼインをα−カゼインとβ−
カゼインとに分画し、β−カゼインを低アレルゲン性の
蛋白質素材として高度に有効利用することが試みられて
いる。
【0003】カゼインをα−カゼインとβ−カゼインと
に分画する方法としては、例えば、酸カゼインを温度処
理とpH処理で分画する方法〔J. Am. Chem. Soc., 66, 1
725(1944)〕が知られている。この方法によると、水酸
化ナトリウムで酸カゼインを濃度 1%に溶解(pH6.5)
後、塩酸を加えてpH3.5 にしながら生じた沈澱物を溶解
する。その溶液を 2℃以下で酸カゼイン濃度 0.2〜0.3
%に希釈した後、水酸化ナトリウムを加えてpH4.4 にす
るとα−カゼインの沈澱物が生成される。次に、その沈
澱物を遠心分離することにより、上澄にはβ−カゼイ
ン、沈澱画分にはα−カゼインと両者を分画することが
できるとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記の方法は、
沈澱したα−カゼイン画分にβ−カゼインが混在し、両
者の分画が不十分であるので、沈澱物を再び溶解して上
記の操作を数回、好ましくは 8回以上繰り返さなけれ
ば、α−カゼイン画分に混在するβ−カゼインを分画す
ることはできない。このように、酸カゼインを出発原料
とすると、水酸化ナトリウムで溶解するための時間を要
するのみならず、上記の一回の操作では分画が不十分の
ために同操作を多数繰り返す必要があり、総じて長時間
を要しその結果回収率が低下するという問題があった。
【0005】本発明は上記の問題点に鑑み、製造工程が
複雑にならずに短時間で効率的に乳カゼインから純度の
高いα−カゼインとβ−カゼインを収率よく分画する方
法を提供することを課題とするものである。
【0006】
【発明の構成】本発明の特徴は、カゼインをα−カゼイ
ンとβ−カゼインとに分画するに当り、カゼインサブミ
セルを出発原料として水に溶解し、該溶液をpH3.5 以下
に調整した後、更に該溶液を 5℃以下でpH 4.2〜4.4 に
調整しα−カゼインを凝固沈澱させ、この溶液を膜処理
することにある。また、上記の膜処理においては、分画
分子量30,000以上の限外濾過膜またはポアサイズ0.45μ
m 以下の精密濾過膜を用いることが効率の面からみて好
適である。
【0007】本発明では、カゼインサブミセルを出発原
料とするが、これを水または脱イオン水に濃度 0.1〜1.
0 %に溶解する。この濃度が 0.1%未満であると生産効
率が低下し、また、 1.0%以上でもβ−カゼインの溶解
度等の問題があって分画効率が低下するためこの範囲の
濃度が好ましい。
【0008】本発明で用いるカゼインサブミセルは、乳
から調製したものであればどのような方法で調製したも
のでもよく、例えば公知の方法として以下の方法があ
る。
【0009】 脱脂乳を70,000×gで70分間遠心分離
し、ペレット状のカゼインミセルを得、これをPotter型
のガラスホモジナイザーで人工乳清中に懸濁し、15〜20
時間攪拌しカゼインミセル溶液を調製する。調製した 3
%カゼインミセル溶液 100ml当たりキレート樹脂を約22
g添加し、脱カルシウム処理を30分間行って完全にカル
シウムを除去後、濾紙で樹脂を分別してカゼインサブミ
セル溶液を得る方法 (日本農芸化学会誌, 第16巻,第 9
号, 1087〜1092, 1987) 。
【0010】 脱脂乳にクエン酸ナトリウムを30mM濃
度になるように添加し (カゼインミセルの約80%がサブ
ミセル化) 、pH6.8 に調整して30分間攪拌後 5℃で14時
間静置する。その後20℃で20時間保持してカゼインサブ
ミセルを得る方法 (日本農芸化学会誌, 第49巻,第 8
号, 417 〜424, 1975)。
【0011】 脱脂乳にしゅう酸ナトリウムを24mM濃
度になるように添加し (カゼインミセルの約90%がサブ
ミセル化) 、pH6.8 に調整して30分間攪拌後 5℃で14時
間静置する。その後しゅう酸カルシウムを除去するた
め、20℃で2000×g, 30分間の遠心分離を行ってカゼイ
ンサブミセルを得る方法 (日本農芸化学会誌, 第49巻,
第8号, 417 〜424, 1975)。
【0012】 脱脂乳を35℃で100,000 ×gで30分間
遠心分離し、沈澱物を30mM濃度のエチレンジアミン四酢
酸三ナトリウム〔エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
とエチレンジアミン四酢酸四ナトリウムを5:8の比率
で使用(EDTA)〕溶液に分散後、 4℃で72時間透析
を行いEDTAと結合したカルシウムを除去して、カゼ
インサブミセル溶液とする。更にこの溶液を 100,000×
gで30分間遠心分離して、不溶物を除去したカゼインサ
ブミセル溶液を得る方法 (Journal of Dairy Reseach,
53, 547 〜555, 1986)。 以上の方法で処理したカゼインサブミセル溶液には、乳
清蛋白質、乳糖、ミネラルが含まれているため、それら
を除去して原料とする。
【0013】次に上記したカゼインサブミセル溶液に塩
酸、酢酸あるいは乳酸等の酸を添加してpHを 3.5以下に
し、ホモミキサー等によって攪拌してカゼインサブミセ
ル中のα−カゼインとβ−カゼインを完全に溶解する。
pH3.5 を越えるとα−カゼインとβ−カゼインを完全に
溶解するのに長時間を要する。またpHが低すぎるとカゼ
インが酸によって変性するのでpHは 2.0以上が好まし
い。
【0014】そしてこの溶解したカゼインサブミセル溶
液を 5℃以下に冷却した後水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウムあるいは炭酸水素ナトリウム等のアルカリ剤を添
加してpHを 4.2〜4.4 に調整する。5℃以下としpHをこ
の範囲に調整するのは、低温におけるα−カゼインとβ
−カゼインとの等電点の相違を利用してα−カゼインの
みを選択的に沈澱させるためである。
【0015】すなわちα−カゼインの等電点はpHが 4.2
〜4.6 で、一方β−カゼインの等電点はpHが 4.6〜5.1
であるため上記のpHの範囲においてα−カゼインの凝固
物が生成し沈澱する。なお、α−カゼインを凝固沈澱さ
せるのは、α−カゼインの分子量が22,000〜25,000、β
−カゼインの分子量が約2,4000と近似しているため、そ
のままでは膜処理による分画ができない。このため見掛
けの分子量を大きくする目的でα−カゼインを凝固沈澱
させる。
【0016】更にα−カゼインの凝固物を含む溶液の温
度を 5℃以下で且つpHも 4.2〜4.4に維持しながら必要
に応じて攪拌後、膜処理をする。この処理により、濃縮
液側にα−カゼインが濃縮され、透過液側にβ−カゼイ
ンが透過される。
【0017】この時に用いる透過膜は、限外濾過膜(以
下UF膜という)または精密濾過膜(以下MF膜とい
う)が最も望ましく、UF膜の場合の分画分子量は30,0
00以上でMF膜の場合のポアサイズは、0.45μm 以下で
ある。膜処理に際し上記の範囲以外で処理すると生産性
の低下あるいは効率が悪く、また高純度にα−カゼイン
とβ−カゼインに分画することができない。
【0018】そしてまた上記のように膜処理した後の濃
縮側の溶液に必要に応じて希塩酸等の酸を添加して温
度、pHともに上記範囲に維持しつつダイアフイルトレー
ション( 以下DFという)処理することによってより効
率的にかつ高純度にα−カゼインとβ−カゼインを分画
することができる。
【0019】このようにして分画したα−カゼイン濃縮
液とβ−カゼイン溶液のそれぞれに上記したようなアル
カリ剤を添加して中和することにより飼料や蛋白質素材
として食品への利用ができる組成物となる。また必要に
応じて得られた溶液を濃縮および乾燥して粉末状にする
と保存性や取扱い性の向上を図ることができる。
【0020】本発明の方法によって得られたα−カゼイ
ンは、食品への蛋白強化、飼料等に、またβ−カゼイン
は、育児用粉乳、アレルギー患者の病態食等に蛋白素材
として用いることができる。
【0021】
【発明の効果】本発明の方法によるとカゼインサブミセ
ルを出発原料としてpHを調整し、更に製造条件の設定が
比較的容易な濾過膜によって処理しているため短時間で
経済的に且つ高純度にα−カゼインとβ−カゼインに分
画することができる。この結果、(1)原料の溶解時間
が短縮でき、(2)塩酸による溶解が容易であり、
(3)濾過膜によって処理しているため連続処理が可能
であり、(4)得られたα−カゼインとβ−カゼインの
画分をそれぞれ高純度に得ることができる等の利点を有
する。
【0022】さらにまた、本発明の方法によって得られ
たβ−カゼイン画分は、アレルギー源となるα−カゼイ
ンを含まず高純度であるためその用途が広範囲で、例え
ば(1)育児用粉乳への蛋白質強化素材、(2)アレル
ギー患者への蛋白質源、(3)各種食品への蛋白質素材
等として用いることができる。
【0023】以下に本発明の実施例と比較例を示し効果
を明瞭にする。
【実施例1】カゼインサブミセルの調製は、牛乳からク
リームセパレーターで脂肪分を分離した脱脂乳230kg を
用いた。脱脂乳は、カゼインと乳清蛋白質、乳糖および
ミネラルを分離するため、 0.1μm の精密濾過膜(中空
糸膜)を用いて透過した。脱脂乳を精密濾過膜で膜処理
することにより、濃縮液側にはカゼイン、透過液側には
乳清蛋白質、乳糖およびミネラルと分離することができ
る。次に、分離したカゼイン溶液56kgにキレート樹脂を
13kg添加して樹脂にカルシウムを吸着させ、脱カルシウ
ム処理を行った。脱カルシウム処理により、カゼインミ
セルをサブミセルとすることができる。その後、キレー
ト樹脂を 100メッシュの濾過布で濾過して、カゼインサ
ブミセル溶液を調製した。この溶液を横型乾燥機によ
り、粉末化してカゼインサブミセル粉末として以下に用
いた。
【0024】カゼインサブミセル 6g (蛋白質として 5
g) を 5lの脱イオン水に溶解し、ホモミキサーにより
攪拌しながら0.1Nの塩酸溶液を添加してpHを3.5 以下に
調整し、その途中で生じた沈澱物も完全に溶解した。次
に液温を 4℃に冷却後0.01N の水酸化ナトリウム溶液を
添加してpHを 4.4に調整し、α−カゼインの沈澱物を生
成させた。さらに、冷却しながら 1時間攪拌を継続し
た。その後、冷却しながら、ポアサイズ 0.1μm のMF
膜 (中空糸膜)を用い加圧圧力を 1kg/cm2 で膜処理を
した。
【0025】透過液側にβ−カゼインを含む透過液 4l
を得た。そして更に濃縮側の溶液にpH4.4 で 2℃の希塩
酸 5lを添加してDFにより膜処理を継続し、透過液が
5lに達したところで終了した。上記のMF膜処理して
得られた透過液 4lとDF処理して得られた 5lを混合
してロータリーエバポレーターで約 500mlまで濃縮し、
この濃縮液に0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加しpH6.
7 に中和した後、凍結乾燥により乾燥してβ−カゼイン
粉末1.8 gを得た。 一方濃縮側のα−カゼインの沈澱
物を含む濃縮液に0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加し
pH6.7 に調整して中和して溶解した後、凍結乾燥により
乾燥してα−カゼイン粉末3.4 gを得た。
【0026】
【実施例2】実施例1で得たのと同じカゼインサブミセ
ル12g (蛋白質として10g) を 2lの脱イオン水に溶解
し、ホモミキサーにより攪拌しながら0.1Nの塩酸溶液を
添加してpH3.5 に調整し、その途中で生じた沈澱物も完
全に溶解した。次に液温を 4℃に冷却後0.01N の水酸化
ナトリウム溶液を添加してpHを 4.4に調整し、α−カゼ
インの沈澱物を生成させた。更に冷却しながら 1時間攪
拌を継続した。その後冷却しながらポアサイズ 0.1μm
のMF膜 (中空糸膜) を用い加圧圧力を 1kg/cm2で膜
処理した。
【0027】透過液側にβ−カゼインを含む透過液 1.5
lを得た。そして更に濃縮側の溶液にpH 4.4で 2℃の希
塩酸 5lを添加してDFにより膜処理を継続し、透過液
が 5lに達したところで終了した。上記のMF膜処理し
て得られた透過液 1.5lとDF処理して得られた 5lを
混合してロータリーエバポレーターで約 500mlまで濃縮
し、この濃縮液に0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加し
pH6.7 に中和した後、凍結乾燥により乾燥してβ−カゼ
イン粉末 3.1gを得た。一方濃縮側のα−カゼインの沈
澱物を含む濃縮液に0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加
しpH6.7 に調整し中和して溶解した後、凍結乾燥により
乾燥してα−カゼイン粉末8.5 gを得た。
【0028】
【実施例3】実施例1で得たのと同じカゼインサブミセ
ル30g (蛋白質として24.9g) を 2.5lの脱イオン水に
溶解し、ホモミキサーにより攪拌しながら0.1Nの塩酸溶
液を添加してpH 3.5に調整し、その途中で生じた沈澱物
も完全に溶解した。次に液温を 4℃に冷却後0.01N の水
酸化ナトリウム溶液を添加してpHを 4.4に調整し、α−
カゼインの沈澱物を生成させた。更に冷却しながら 1時
間攪拌を継続した。その後冷却しながらポアサイズ 0.1
μm のMF膜 (中空糸膜) を用い加圧圧力を 1kg/cm2
で膜処理した。
【0029】透過液側にβ−カゼインを含む透過液 2l
を得た。そして更に濃縮側の溶液にpH4.4 で 2℃の希塩
酸 5lを添加してDFにより膜処理を継続し、透過液が
5lに達したところで終了した。上記のMF膜処理して
得られた透過液 2lとDF処理して得られた 5lを混合
してロータリーエバポレーターで約 700mlまで濃縮し、
この濃縮液に0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加しpH6.
7 に中和した後、凍結乾燥により乾燥してβ−カゼイン
粉末6.5 gを得た。 一方濃縮側のα−カゼインの沈澱
物を含む濃縮液に0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加し
pH6.7 に調整して中和して溶解した後、凍結乾燥により
乾燥してα−カゼイン粉末20.2gを得た。
【0030】
【実施例4】カゼインサブミセル 6g (蛋白質として 5
g) を 5lの脱イオン水に溶解し、ホモミキサーにより
攪拌しながら0.1Nの塩酸溶液を添加してpH 3.5に調整
し、その途中で生じた沈澱物も完全に溶解した。次に液
温を 4℃に冷却後0.01N の水酸化ナトリウム溶液を添加
してpHを 4.4に調整し、α−カゼインの沈澱物を生成さ
せた。更に冷却しながら 1時間攪拌を継続した。その後
冷却しながら分画分子量50,000のUF膜 (中空糸膜) を
用い加圧圧力を 1kg/cm2 で膜処理した。
【0031】透過液側にβ−カゼインを含む透過液 4l
を得た。そして更に濃縮側の溶液にpH4.4 で 2℃の希塩
酸 5lを添加してDFにより膜処理を継続し、透過液が
5lに達したところで終了した。上記のMF膜処理して
得られた透過液 4lとDF処理して得られた 5lを混合
してロータリーエバポレーターで約 500mlまで濃縮し、
この濃縮液に0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加しpH6.
7 に中和した後、凍結乾燥により乾燥してβ−カゼイン
粉末 4.1gを得た。 一方濃縮側のα−カゼインの沈澱
物を含む濃縮液に0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加し
pH6.7 に調整して中和して溶解した後、凍結乾燥により
乾燥してα−カゼイン粉末 1.2gを得た。
【0032】
【比較例1】酸カゼイン 6g (蛋白質として 5g) を 1
lの脱イオン水に分散後、ヒーター付スターラで加熱し
ながら攪拌し、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加して
溶解した。この溶液のpHは 7.0であった。そして更にこ
の溶液を 5lにメスアップして、0.1Nの塩酸溶液を添加
してpHを 3.5に調整し、途中で生じた沈澱物を完全に溶
解した。次に液温を 4℃に冷却後、0.01N の水酸化ナト
リウム溶液を添加してpHを 4.4に調整し、α−カゼイン
沈澱物を生成させた。更に冷却しながら 1時間攪拌を継
続した。その後冷却しながらポアサイズ 0.1μm のMF
膜 (中空糸膜) を用い加圧圧力 1kg/cm2 で膜処理をし
た。
【0033】透過液側にβ−カゼインを含む透過液 4l
を得た。そして更に濃縮液側の溶液にpH4.4 で 2℃の希
塩酸 5lを添加してDFにより膜処理を継続し、透過液
が 5lに達したところで終了した。上記のMF膜処理し
て得られた透過液 4lとDF処理して得られた5lを混
合してロータリーエバポレーターで約 500mlまで濃縮
し、この濃縮液に0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を添加し
pHを6.7に調整して中和した後、凍結乾燥により乾燥し
てβ−カゼイン粉末0.5 gを得た。一方濃縮側のα−カ
ゼインの沈澱物を含む濃縮液に0.1Nの水酸化ナトリウム
溶液を添加してpHを6.7 に調整して中和して溶解した
後、凍結乾燥により乾燥してα−カゼイン粉末4.0 gを
得た。
【0034】〔実施例1と比較例1の対比〕上記実施例
1と比較例1で得られた凍結乾燥粉末の蛋白質の回収率
を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】またα−カゼインとβ−カゼインの分画状
態を電気泳動法(Urea-PAGE)により行い、デンシトメー
タによるクロマトグラムを実施例1については図1に比
較例1については図2に示した。なお、図中標準のα−
カゼインとβ−カゼインは、何れも SIGMA社 (米国) 製
の試薬で、実施例1及び比較例1と同様にして測定した
ものである。表1、図1及び図2から明らかなように実
施例1のカゼインサブミセルからα−カゼインとβ−カ
ゼインを分画した方がα−カゼイン中にβ−カゼインが
残らず分離効率が良く、純度の高いα−カゼイン及びβ
−カゼインが得られることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1によって得られたα−カゼイン及びβ
−カゼインの凍結乾燥粉末の電気泳動パターンのクロマ
トグラムを示す。
【符号の説明】
(a):カゼインサブミセル (b):分離されたα−カゼイン画分 (c):分離されたβ−カゼイン画分 (d):標準α−カゼイン(SIGMA社製試薬) (e):標準β−カゼイン(SIGMA社製試薬)
【図2】比較例で得られたα−カゼイン及びβ−カゼイ
ンの凍結乾燥粉末の電気泳動パターンのクロマトグラム
を示す。
【符号の説明】
(a)′:酸カゼイン (b):分離されたα−カゼイン画分 (c):分離されたβ−カゼイン画分 (d):標準α−カゼイン(SIGMA社製試薬) (e):標準β−カゼイン(SIGMA社製試薬)
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23J 3/10 A23L 1/305 C07K 1/30 - 1/34 C07K 14/47

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カゼインサブミセル溶液をpH3.5 以下に
    調整し、該溶液を 5℃以下でpHを4.2 〜4.4 に調整して
    α−カゼインを凝固沈澱させ、さらにこの溶液を膜処理
    することによってカゼインを、濃縮液側にα−カゼイ
    ン、透過液側にβ−カゼインに分画することを特徴とす
    るカゼインをα−カゼインとβ−カゼインとに分画する
    方法。
  2. 【請求項2】 膜処理に分画分子量30,000以上の限外濾
    過膜またはポアサイズ0.45μm 以下の精密濾過膜を使用
    する請求項1記載の分画方法。
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