JPH04330252A - α−ラクトアルブミン含有量の高い組成物の製造方法 - Google Patents

α−ラクトアルブミン含有量の高い組成物の製造方法

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JPH04330252A
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菅原 牧裕
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乳質ホエーからα−ラ
クトアルブミン含有量の高い組成物を製造する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、乳清蛋白質はカゼイン及び大豆
蛋白質に比べ栄養価、蛋白利用効率が高いことから、母
乳代替品または栄養組成物の蛋白質源として利用するこ
とが知られている。特に、母乳代替品に利用する場合、
牛乳中の乳清蛋白質の主成分であるβ−ラクトグロブリ
ン(以下、β−Lgと略記する)は、母乳に存在しない
蛋白質であり、乳児アレルギーのアレルゲンとして作用
することから、β−Lgを低減するか或いはα−ラクト
アルブミン(以下、α−Laと略記する)含有量の高い
素材を利用することが好ましいと言われている。
【0003】これまで、チーズ製造及びカゼイン製造等
において副生するホエーは、そのままで或いは乳糖を除
去した低乳糖ホエー、又はこれらを各種の脱塩装置で処
理した脱塩ホエーとして、また或いは限外濾過処理をし
たホエー蛋白質濃縮物(以下WPCと略記する)等とし
て食品等に利用されている。一方、ホエーに含有されて
いる乳清蛋白質を個々の成分に分別する方法として、こ
れまでβ−Lgを低減するか或いはα−La含有量の高
い組成物を製造する試みがなされてきた。
【0004】すなわち、α−La含有量の高い画分を分
離回収する方法としては、例えば桑田ら(J. Foo
d Sci., 50 (1985))、ピアス(Au
st. J. Dairy Technol., 42
 (1987)) 及びモーブワら(特開昭56−36
494号公報)の方法等が示されており、ホエーを出発
原料として各種乳清蛋白質の物理的及び/又は化学的性
質の差を利用する試みがこれまで多くなされてきた。し
かしながら、これらの方法は、工程が複雑であり、高い
エネルギーコスト、低回収率、蛋白質の不可逆的変化等
の問題を有しており、工業的に実行可能な方法にまで規
模を拡大するには到っていない。
【0005】また、乳清蛋白質を高濃度に回収する方法
としては、例えばウイト(J. N. deWit) 
ら(Neth. Milk Dairy J., 40
 (1986)) 及びエイヤース(J. S. Ay
ers)ら(New Zealand J. Dair
y Sci. and Tech., 21 (198
6)) の方法等、イオン交換体を用いた方法が示され
ているが、その際に副生する透過液は、乳糖の製造等に
利用されている程度であり、透過液中に含まれる乳清蛋
白質を高度に有効利用する方法については検討されてい
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、乳質ホエー
をpH調整後イオン交換体に接触させることにより、透
過液中に含まれるα−Laを効率良く分離、回収し有効
利用する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、乳質ホエーを
pH調整後イオン交換体と接触させ、イオン交換体透過
液を回収する。また、このイオン交換体透過液を濃縮し
結晶化法にて乳糖を除去する。また更には、これら組成
物を濃縮及び/又は脱塩し、必要に応じ乾燥粉末化して
なるα−La含有量の高い組成物の製造方法である。
【0008】更に好ましくは、濃縮脱塩に際し、イオン
交換体透過液及び/又はこの透過液から乳糖を除去した
母液をpH4以下に調整した後、分画分子量10,00
0〜50,000の膜を用いて限外濾過を行うことで、
乳糖及び灰分を除去するとともに、チーズホエーに含ま
れているκ−カゼイングリコマクロペプチド(以下、G
MPと略記する)を効率よく除去することでα−La含
有量を高めることができる。
【0009】本発明の原料である乳質ホエーは、牛乳、
山羊乳、羊乳等の乳類からチーズ、酸カゼイン及びレン
ネットカゼイン等を製造する際に副生されるものである
。これらホエーには、カードや脂肪が少量残存している
ことが多いので、クリームセパレーター或いはクラリフ
ァイヤー等で予めこれらを除去することが望ましい。 また、β−Lg等の乳清蛋白質のイオン交換体への吸着
を効率的に行うために、UF装置等を用いて予め濃縮し
てもよい。また更には、電気透析及び/又はイオン交換
樹脂を用いて予め脱塩してもよい。
【0010】イオン交換体としては、乳質ホエーのpH
値によって陰イオン交換体または陽イオン交換体が使用
される。陰イオン交換体に付す場合は、pHを5以上に
調整する。この時、pH調整に用いる物質は何でもよい
が、例えばアルカリであれば水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、クエン酸
ナトリウム等が例示できる。また樹脂脱塩したpH5〜
12程度の脱塩ホエーをpH調整に用いることもできる
【0011】すなわち、pH5以上に調整したホエー中
では、殆どの乳清蛋白質は負に帯電しており、このホエ
ーを陰イオン交換体と接触させることにより主成分であ
るβ−Lgがα−Laに比べ選択的に吸着することから
、α−La及びGMPの一部は透過液として分別回収す
ることができる。また、陽イオン交換体に付す場合は、
pHを2〜4に調整する。この時、pH調整に用いる物
質は何でも良いが、例えば酸であれば塩酸、硫酸、酢酸
、乳酸、クエン酸等が例示できる。また、樹脂脱塩した
pH1〜4程度の脱塩ホエーをpH調整に用いることも
できる。
【0012】すなわち、pH2〜4に調整したホエー中
では、殆どの乳清蛋白質は正に帯電しており、一方GM
Pは負に帯電している。このホエーを陽イオン交換体と
接触させることにより主成分であるβ−Lgがα−La
に比べ選択的に吸着することから、α−La及び殆どの
GMPは透過液として分別回収することができる。尚、
イオン交換体に乳清蛋白質を吸着させる技術については
前記したようにウイトらの方法やエイヤースらの方法等
が示されており、これらはイオン交換体として、四級メ
チルアンモニウム基又はジエチルアミノエチル基等を交
換基とする陰イオン交換体、またはカルボキシメチル基
又はスルホン基等を交換基とする陽イオン交換体を用い
たものであり、これら技術はイオン交換体にホエーを接
触させることにより、乳清蛋白質を吸着させWPI(ホ
エー蛋白単離物)を調製するために利用されているにす
ぎない。一方、透過液は、脱蛋白質ホエーとして乳糖の
製造に利用されているにすぎず、その有効利用について
は検討されていないことから、本発明者らはホエーのp
Hを調整後イオン交換体に付すことにより、α−Laを
この脱蛋白質ホエーである透過液に含ませ且つ効果的に
分離回収する方法を見出した。
【0013】こうして得られたイオン交換体透過液は、
α−La含有量の高い組成物としてそのまま、また更に
濃縮及び/又は脱塩し、更には必要に応じ乾燥粉末化し
て用いることができる。また、得られたイオン交換体透
過液は、濃縮・結晶化により乳糖を除去し、その母液を
α−La含有量の高い組成物として利用することもでき
る。
【0014】また、更にα−La含有量の高い組成物を
得ようとする場合には、濃縮脱塩に際し、イオン交換体
透過液又は母液、或いはこれらの混合液をpH4以下に
調整した後、分画分子量10,000〜50,000の
膜を用い限外濾過処理を行うとよい。分画分子量10,
000未満の膜を用いるとGMPが透過しにくくなって
分画されず、50,000を超える膜ではGMPは透過
するものの同時にα−Laも透過し、分画が実質上でき
なくなる。すなわち、GMPはpH4を境として、それ
以下ではモノマー(分子量9,000)、それを超える
とポリマー(分子量40,000〜50,000)とし
て存在するので、透過液中に含まれるGMPを効率よく
除去し、α−La含有量を高めるには上記の範囲の膜を
用いるのがよい。
【0015】
【発明の効果】このように本発明によれば、乳質ホエー
をpH調整後イオン交換体に接触させることにより、α
−La含有量の高い組成物を工業的規模で安価に、且つ
簡便に効率よく製造することができる。このようにして
得られたα−La含有量の高い組成物は食品素材や医薬
品素材として利用することが可能であり、産業界にとっ
て極めて有益である。
【0016】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明
する。 実施例1 塩酸にてpH3.5 に調整したチェダーチーズホエー
100kg を、陽イオン交換樹脂Indion S3
 (Phoenix Chemicals社)3リット
ルと混合し20時間ゆっくり攪拌後、濾過用フィルター
にて透過液とイオン交換体を分離した。得られた透過液
99.2kgは、固形5.5g/100g 、蛋白質0
.6g/100g 、α−La0.2g/100g を
含んでいた。
【0017】尚、α−Laの定量については、電気泳動
法(Laemmli 法:Laemmli V. K.
 ;Nature, 227, 680 (1970)
)を用いて測定した。 実施例2 水酸化ナトリウムにてpH6.5 に調整したレンネッ
トカゼインホエー100kg を、陰イオン交換樹脂 
SpherosilQMA(ローヌプーラン社製)4リ
ットルを充填した充填層型カラムに、SV=2.5 に
て10時間通液した。透過液99.0kgは、固形5.
8g/100g 、蛋白質0.7g/100g 、α−
La0.4g/100gを含んでいた。
【0018】実施例3 実施例1で得られた透過液を減圧濃縮機を用いて固形6
0%に濃縮し、乳糖を結晶化法にて除去した。結晶化し
た乳糖を水で洗浄後、得られた母液6.4kg は、固
形35.0g/100g、蛋白質9.0g/100g、
α−La2.8g/100g を含んでいた。 実施例4 実施例2で得られた透過液を減圧濃縮機を用いて固形5
5%に濃縮し、乳糖を結晶化法にて除去した。結晶化し
た乳糖を水で洗浄後、得られた母液8.6kg は、固
形40.0g/100g、蛋白質8.0g/100g 
、α−La4.5g/100g を含んでいた。
【0019】実施例5 実施例2で得られた透過液を塩酸にてpH3.4 に調
整し、分画分子量20,000の膜を用いて限外濾過し
、得られた濃縮液を、ダイアフィルトレーションにて脱
塩した。得られた脱塩濃縮液8kgは、固形11.5g
/100g、蛋白質8.5g/100g 、α−La4
.2g/100g を含んでいた。これを常法により濃
縮・乾燥して粉末0.90kgを得た。
【0020】実施例6 実施例3で得られた母液に水5.6kg を添加し、ク
エン酸にてpH3.8 に調整後、分画分子量10,0
00の膜を用いて限外濾過し、得られた濃縮液を、ダイ
アフィルトレーションにて脱塩した。得られた脱塩濃縮
液5kgは、固形7.9g/100g 、蛋白質6.0
g/100g 、α−La3.5g/100g を含ん
でいた。これを常法により濃縮・乾燥して粉末400g
を得た。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  pHを5以上に調整した乳質ホエーを
    陰イオン交換体に接触させ透過液を得ることを特徴とす
    るα−ラクトアルブミン含有量の高い組成物の製造方法
  2. 【請求項2】  pHを2〜4に調整した乳質ホエーを
    陽イオン交換体に接触させ透過液を得ることを特徴とす
    るα−ラクトアルブミン含有量の高い組成物の製造方法
  3. 【請求項3】  得られた陰イオン交換体透過液を、更
    に濃縮し、結晶化法にて含有する乳糖を除去する請求項
    1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】  得られた陽イオン交換体透過液を、更
    に濃縮し、結晶化法にて含有する乳糖を除去する請求項
    2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】  請求項1または請求項3にて得られた
    組成物を濃縮及び/又は脱塩し、更には必要に応じ乾燥
    粉末化することを特徴とするα−ラクトアルブミン含有
    量の高い組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】  請求項2または請求項4にて得られた
    組成物を濃縮及び/又は脱塩し、更には必要に応じ乾燥
    粉末化することを特徴とするα−ラクトアルブミン含有
    量の高い組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】  濃縮脱塩に際し、pH4以下に調整し
    た後、分画分子量10,000〜50,000の膜を用
    い、限外濾過処理を行う請求項5記載の製造方法。
  8. 【請求項8】  濃縮脱塩に際し、pH4以下に調整し
    た後、分画分子量10,000〜50,000の膜を用
    い、限外濾過処理を行う請求項6記載の製造方法。
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