JP2976349B2 - k―カゼイングリコマクロペプチドの製造法 - Google Patents
k―カゼイングリコマクロペプチドの製造法Info
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Description
マクロペプチドを簡便に製造する方法に関する。
ゼインにレンネット又はペプシンを作用させた時に生成
するシアル酸結合ペプチドであって、チーズホエー中に
含まれることが、従来から知られている。
しては、実験室的には、牛乳から単離したκ−カゼイン
を脱イオン水に溶解したものにペプシンを作用させた
後、トリクロル酢酸を加えてパラ−κ−カゼイン画分を
沈澱させ、次いで得られた上清を脱イオン水に対して透
析して脱塩した後、凍結乾燥することにより調製する方
法(スタン等「ブルテイン オブ エクスペリメンタル
バイオロジー アンド メディシン」(Bullutin of
Experimental Biology and Medicine)96, 889(198
3))、または、上記κ−カゼインを脱イオン水に溶解
し、該溶液のpHを6.7に調整した後、レンネットを作用
させ、次いで更にpHを4.6に調整してパラ−κ−カゼイ
ンを沈澱させて除去し、得られた上清を透析に付して脱
塩した後、凍結乾燥して調製する方法(アカデミックプ
レス社発行「ミルクプロテイン(Milk Protein)pp20
0)等が行われていた。
ら、当然大量生産には適さない。
利用性が従来知られていなかったため、その大量生産の
ための方法についても検討されていなかった。
プチドが犬の食欲を低下させる作用を有すること(スタ
ン等、「ブルティン オブ エクスペリメンタル バイ
オロジー アンド メディシン」(Bullutin of Experi
mental Biology and Medicine)96,889(1983))が報
告されたことから、肥満防止用食品素材として利用され
得ることが判った。
は大腸菌の腸管細胞への付着を阻止したり、インフルエ
ンザウィルスの感染を防御する効果(特開昭63−284133
号)や抗歯垢効果(特開昭63−233911号)のあることが
判明したことから、その工業的規模での生産が強く望ま
れるようになった。
エーからκ−カゼイングリコマクロペプチドを調製する
方法が開発された(特開昭63−284199号)。この方法
は、従来用いてきたトリクロル酢酸を使わなくとも良い
ことから食品素材として充分利用可能であり、また、大
量生産も可能である。しかし、レンネットカゼインカー
ドホエーを得る際に副生してくるレンネットカゼインカ
ードの上手な利用法を開発しない限り、カードの処理に
コストがかかり、ひいては、κ−カゼイングリコマクロ
ペプチドの製造コストを引き上げることになり、実際的
ではない。
ペプチドの分子量がpH4を境にしてシャープに変化する
性質を見出し、この性質を利用して簡便で、安価にκ−
カゼイングリコマクロペプチドを製造する方法を見い出
した(特開平2−276542号)。
有する乳質原料物質、例えばチーズホエー、ホエー蛋白
質濃縮物、除蛋白質チーズホエー等を、まずpH4未満に
調整した後、分画分子量10,000〜50,000の膜を用い、限
外濾過処理をして透過液を得、好ましくは再度、該透過
液をpH4以上に調整した後、分画分子量50,000以下の膜
を用いて脱塩し濃縮することを特徴とするκ−カゼイン
グリコマクロペプチドの製造法である。
物、除蛋白質チーズホエー等のpHを制御するだけで、κ
−カゼイングリコマクロペプチドを簡便に、大量にかつ
安価に製造し得る。しかもその純度も高い。
いては新たに設備投資しなくても、既存の限外濾過装置
や逆浸透濾過層を用いてκ−カゼイングリコマクロペプ
チドを製造することが可能であり、κ−カゼイングリコ
マクロペプチド以外の蛋白質画分は、ホエー蛋白質濃縮
物として利用することが可能である。
チドの製造コストを引き下げるため、実際には製造時に
副生するホエー蛋白質を中和してから脱塩、乾燥し、ホ
エー蛋白濃縮物とせねばならなかった。又、ホエーを限
外濾過にて濃縮し、κ−カゼイングリコマクロペプチド
を回収する際、タンパク質のファウリングにより透過流
束が低下するため、運転に長時間を要する等の問題も残
されていた。
を大量生産する技術として特願平2−95686号の方法も
知られている。この方法はホエー蛋白含有溶液を加熱し
た後、凍結し、さらにこの凍結物を解凍した時に得られ
る上清液を濃縮、脱塩することによってκ−カゼイング
リコマクロペプチドを得る方法で、コスト、作業時間の
点で優れているが、純度の高いものが得られないという
欠点があった。
調製法に関して、純度、コスト、作業時間、労力ともに
有利な方法を提供することを目的とする。さらに、ホエ
ータンパク単離物質をイオン交換樹脂にて調製する際、
主要なホエー蛋白質は樹脂に吸着するが、イオン交換体
に吸着しない画分中に、κ−カゼイングリコマクロペプ
チドが豊富に含有されていることを見い出し、この画分
からκ−カゼイングリコマクロペプチドを調製する方法
を提供することを目的とする。
する乳質原料物質をイオン交換体と接触させ、イオン交
換体に吸着しなかった画分を集め、これを濃縮脱塩する
ことを特徴とするκ−カゼイングリコマクロペプチドの
製造法である。
なかった画分のpHを4未満に調整した後、分画分子量1
0,000〜50,000の膜を用い、限外濾過処理を行い透過液
を得て、この透過液に分画分子量50,000以下の膜を用い
る。
液を再度pH4以上に調整する。
とが好ましい。
る際、主要なホエー蛋白質は樹脂に吸着するが、イオン
交換体に吸着しない画分からκ−カゼイングリコマクロ
ペプチドを得る際、そのまま濃縮、脱塩、乾燥しても良
いが、さらに高純度のものを得ようという場合において
は、(特願平1−97583号)に示す方法を用いることが
できる。すなわち一旦、この画分のpHを4以下に調整
し、分画分子量10,000〜50,000の限外濾過膜にて処理を
行い、得られた透過液を再びpH4以上として濃縮、脱
塩、乾燥を行い、κ−カゼイングリコマクロペプチドを
得る。
蛋白質のファウリングが起こりにくく、大きな透過液流
束が得られるため、短い作業時間でしかも高純度のκ−
カゼイングリコマクロペプチドを得ることができる。
チドの調製法の詳細を記載し、説明する。
ついては、すでに公知であり、例えばウイト(J.N.de W
it)らの方法(Neth.Milk Dairy J.,40,41〜56(198
6))、エイヤース(J.S.Ayers)らの方法(New Zealan
d J.Dairy Sci.and Tech.,21,21〜35(1986))、特開
昭52−151200号、特開平2−104246号などが例示され
る。
プチドを含有する乳質原料物質であれば何でも良く、例
えばチーズホエー、チーズホエーを限外濾過して製造し
たホエー蛋白質濃縮物、又は、加熱等の方法でホエー蛋
白質を沈澱除去したチーズホエーや乳糖母液を用いるこ
とができる。
のを出発原料とするが、この時の濃度については特に限
定するものではない。チーズホエーはどんなものでもよ
いが、カゼインのカードや脂肪が少量残存していること
が多いので、遠心分離、クリームセパレーター、或いは
クラリファイヤー等でこれらを除去しておく。加熱して
蛋白を除いたチーズホエー中には乳糖が主成分となって
おり乳糖が沈澱してくることがある。この場合には沈澱
した乳糖を遠心分離、クラリファイヤー或いはデカンタ
ー等で除去しておくとよい。
を調整する。例えば、カルボキシメチル基を交換基とす
るイオン交換体ではpH3〜4.5、ジエチルアミノエチル基
を交換基とするイオン交換体ではpH6〜7とする。この
時、pH調整に用いる物質は何でもよいが、例えば酸であ
れば塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、クエン酸等が例示でき、
アルカリであれば、苛性ソーダ、重炭酸ソーダ、アンモ
ニア等が例示される。また、イオン交換体もこれらの他
にスルホン基を交換基とするもの、4級アミンを交換基
とするものなどが例示される。原料中のホエー蛋白質を
イオン交換体に吸着させる方法については前述の公知の
方法に従って行い、その後、イオン交換体に吸着した画
分と非吸着の画分に分ける。
大量に処理するために、特開平2−138295号に開示され
た回転型カラムを用いることが、さらに望ましい。
も良いが、κ−カゼイングリコマクロペプチドはpH4を
境として、それ以下では、モノマー(分子量9,000)、
それを超えるとポリマー(分子量40,000〜50,000)とし
て存在するので、限外濾過にて濃縮脱塩を行う時、溶液
のpHが4以下の場合は、分画分子量10,000以下の膜を用
いなければならない。
チドを得ようとする場合は、この非吸着画分のpHを4未
満、好ましくは3±0.5に調整する。pHが4以上になる
とκ−カゼイングリコマクロペプチドは互いに会合する
ために分子量が高くなり膜を通過しにくくなる。pHの下
限は特に制限はないが、pH2.5以下になるとκ−カゼイ
ングリコマクロペプチドに結合しているシアル酸が不安
定となり、生理効果が減少することがある。但し、脱シ
アル酸κ−カゼイングリコマクロペプチドを得ようとす
る場合には、pH2.5以下であっても構わない。pHの調整
は酸であれば、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、クエン酸等、
アルカリであれば、苛性ソーダ、重炭酸ソーダ、アンモ
ニア等を例示し得る。
は10,000〜50,000である。分画分子量10,000未満の膜を
用いるとκ−カゼイングリコマクロペプチドが透過しに
くくなり、50,000を超える膜ではκ−カゼイングリコマ
クロペプチドは透過するものの共存するホエー蛋白質の
一部も透過し、κ−カゼイングリコマクロペプチドの純
度が低くなる。通常、ホエー蛋白質濃縮物の製造工程で
は分画分子量20,000程度の膜を装着したモジュールで限
外濾過することが一般的であり、これと同じ膜を用いる
ことができる。
留を向上させる上で好ましい。濃縮液に加水し、再度限
外濾過したり、これを繰り返すことは更に好ましい。
又、この際、透過流束を上げるために50℃位に加温して
も良い。しかし、60℃を超えるとホエー蛋白質が沈澱、
或いはゲル化してくるために60℃以下で行うことが望ま
しい。濃縮液はpHを中性に戻した後に乾燥し、ホエー蛋
白質濃縮物粉末とすることができる。
コマクロペプチドの他に、乳糖がミネラルが含まれ、
又、κ−カゼイングリコマクロペプチドの濃度も低いの
で脱塩、濃縮を行うが、これには2通りの方法がある。
分画分子量50,000以下の膜で限外濾過、ダイアフィルト
レーション、又は逆浸透濾過を行う。pHの調整はアルカ
リ剤なら何でも良く、例えば水酸化ナトリウム、重炭酸
ナトリウム、アンモニア水等を用いることができる。κ
−カゼイングリコマクロペプチドはpH4を境として、そ
れ以下ではモノマー(分子量9,000)、それを超えると
ポリマー(分子量45,000)になることから目的に応じて
pH5以上とすることが好ましい。又、用いる膜は分画分
子量50,000以下なら何でも良いが、50,000を超える膜で
はκ−カゼイングリコマクロペプチドが透過してしま
う。一般のホエー蛋白質濃縮物製造工程中で用いられて
いる分画分子量20,000程度の膜を用いるのが最も簡便で
ある。
ゼイングリコマクロペプチドはモノマーで存在するので
第2の方法を用いる。すなわち、分子量分画10,000以下
の膜、好ましくは8,000以下の膜で限外濾過、ダイアフ
ィルトレーション、或い逆浸透濾過を行い濃縮液を得
る。
による脱塩工程を組み合わせることは全く問題がない。
リコマクロペプチドしか含まれていないので、粉霧乾燥
又は凍結乾燥等の手段によって乾燥する。尚、κ−カゼ
イングリコマクロペプチドは熱に対して安定なために乾
燥工程の前に殺菌工程を入れることは更に望ましい。
質製造時に副生するイオン交換体に非吸着の画分を利用
して、κ−カゼイングリコマクロペプチドを簡便に製造
することができる。この場合、原料は副生物であるた
め、κ−カゼイングリコマクロペプチドのコストを引き
下げることができ、主要なホエー蛋白質を除いてあるた
め、限外濾過処理時、従来法より蛋白質のファウリング
による透過流束の減少も起こしにくく、作業時間も短縮
される。また、トリクロル酢酸等の添加物を一切使用し
ていないので、食品素材や医薬品素材としてκ−カゼイ
ングリコマクロペプチドを応用することが可能であり、
産業界にとって極めて有益である。
た。CM−セファデックスC−50(ファルマシア社製、商
品名)25gを40℃の水にて膨潤させておき、上記のチー
ズホエーと混合し、20時間ゆっくり攪拌し、濾過用金網
フィルターにて、非吸着画分とイオン交換体を分離し
た。得られた非吸着画分9.9kgをプールし、これを50℃
にて分画分子量20,000の限外濾過膜(DDS社製、商品名G
R61pp)にて限外濾過し、濃縮液をダイアフィルトレー
ションにて脱塩し、さらに、凍結乾燥することによって
κ−カゼイングリコマクロペプチド粉末160mgを得た。
ウレア−SDS電気泳動で分析したところ純度55%であっ
た。
CM−セファデックスC−50に吸着しない画分9.8kgを得
た。これを塩酸にてpH3.0とし、分画分子量20,000の限
外濾過膜を用い、50℃にて限外濾過し、透過液8.9kgを
得た。この透過液に25%苛性ソーダを加え、pH7.0と
し、分画分子量20,000の限外濾過膜にて濃縮し、続いて
ダイアフィルトレーションにて脱塩、さらに凍結乾燥
し、κ−カゼイングリコマクロペプチド81mgを得た。ウ
レア−SDS電気泳動で分析したところ純度88%であっ
た。
CM−セファデックスC−50に吸着しない画分9.8kgを得
た。これを塩酸にてpH3.5とし、分画分子量20,000の限
外濾過膜を用い、50℃にて限外濾過し、透過液8.9kgを
得た。この透過液を分画分子量8,000の限外濾過膜(DDS
社製、GR81pp)にて濃縮し、続いてダイアフィルトレー
ションにて脱塩、さらに凍結乾燥し、κ−カゼイングリ
コマクロペプチド90mgを得た。ウレア−SDS電気泳動で
分析したところ純度80%であった。
させたDFAEセファデックスA−50(ファルマシア社製)
25gを充填した充填層型カラムに、毎時0.5の流速で通
した。その後、水でカラムを洗浄し、合計12kgの非吸着
ホエーを得た。
い、κ−カゼイングリコマクロペプチド粉末55mgを得
た。ウレア−SDS電気泳動で分析したところ純度80%で
あった。
0℃の水で膨潤させたインジオン(Indion)S2(フェニ
ックスケミカル社製)400gを充填した内容積2.3の回
転カラムに毎時100の流速で1時間通液した。次い
で、水を同じ流速で10分間通液し、樹脂を洗った。循環
通液したホエーおよび洗液、合計約26kgについて実施例
2と同様の処理を行い、κ−カゼイングリコマクロペプ
チド粉末59mgを得た。ウレア−SDS電気泳動による分析
の結果、純度82%であった。
50℃の水で膨潤させたビステク(Vistec)CM(ビスコー
スグループ社製)5を充填した内容積14の回転カラ
ムに毎時1000の流速で4時間通液した。さらに、水で
同じ流速で3分間洗浄し、非吸着ホエーおよび洗液、合
計約230kgを得た。次いで回転型カラムに流速毎時1000
にて5分間0.2モルNa2HPO4を含む1モルNaCl(pH8.
4)を通液し、吸着ホエー蛋白質を回収した。回収蛋白
質は、分画分子量20,000の膜を備えた限外濾過装置(DD
S社製、GR61pp)で限外濾過し、濃縮液は、さらにダイ
アフィルトレーションを行った。次いで濃縮後、噴霧乾
燥し、ホエー蛋白質単離物質約2kgを得た。
実施例2と同様に限外濾過および脱塩を行い、約20を
得た。これをさらにロータリーエバポレーターで120ml
まで濃縮し、パルビスミニスプレーGA−31(ヤマト社)
を用い、入口温度150℃、出口温度85℃にて噴霧乾燥
し、κ−カゼイングリコマクロペプチド17gの粉末を得
た。ウレア−SDS電気泳動で分析した結果、純度97%で
あった。
Claims (4)
- 【請求項1】κ−カゼイングリコマクロペプチドを含有
する乳質原料物質をイオン交換体と接触させ、イオン交
換体に吸着しなかった画分を集め、これを濃縮脱塩する
ことを特徴とするκ−カゼイングリコマクロペプチドの
製造法。 - 【請求項2】濃縮脱塩に際し、イオン交換体に吸着しな
かった画分のpHを4未満に調整した後、分画分子量10,0
00〜50,000の膜を用い、限外濾過処理を行い透過液を得
て、この透過液に分画分子量50,000以下の膜を用いるこ
とを特徴とする請求項1記載のκ−カゼイングリコマク
ロペプチドの製造法。 - 【請求項3】限外濾過処理により得られた透過液を再度
pH4以上に調整する請求項2記載のκ−カゼイングリコ
マクロペプチドの製造法。 - 【請求項4】透過液を処理するに際し、分画分子量10,0
00以下の膜を用いる請求項2記載のκ−カゼイングリコ
マクロペプチドの製造法。
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