JPWO2007129530A1 - 淡水製造方法 - Google Patents

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Abstract

ホウ素を効率的に除去した高水質の淡水を連続的かつ効率的に得ることができる実用的な淡水製造方法を提供することを目的とし、原水もしくは原水を前処理して得た前処理水を第一の半透膜ユニットの供給水として第一の半透膜ユニットで処理し、得られた第一の半透膜ユニットの透過水を第二の半透膜ユニットの供給水としてpHを上げて第二の半透膜ユニットで処理する脱塩工程を、複数並列に有する淡水製造方法であって、一時的に、一部の脱塩工程Aにおいて、原水もしくは前処理水をpHを下げて第一の半透膜ユニットA1へ供給し、得られた該第一の半透膜ユニットA1の透過水を他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2の供給水よりも低いpHとして第二の半透膜ユニットA2に供給するとともに、該第二の半透膜ユニットA2から得られた透過水を前記他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2から得られた透過水と混合する、淡水製造方法を提供する。

Description

本発明は、逆浸透膜やナノろ過膜(以後、これらを総称して半透膜という)を用いて原水から淡水を得る淡水製造方法に関するものであり、詳しくは、逆浸透膜の性能低下を防止して効率的に淡水を得ることが可能な淡水製造方法に関するものである。
近年、水環境の悪化に伴い、これまで以上に水処理技術が重要になってきている。特に、分離膜はその分離精度の高さから水処理技術の中核として適用されてきている。中でも、イオンの分離除去が可能な逆浸透膜やナノろ過膜は、地下水中の硬度成分や有害成分を除去し、飲用に適した水にするために利用されたり、海水から淡水を製造する、いわゆる“海水淡水化”に活用されたりしてきている。地下水は、もともと、表流水よりも清澄な水源として利用されてきたが、地中を浸透することで得られる浄化作用では、イオン成分や有害化学物質を除去することは困難であり、近年の環境汚染によって、ナノろ過膜や逆浸透膜による浄化が必要とされてきている。
ところで、海水淡水化は、従来、水資源が極端に少なく、かつ、石油による熱資源が非常に豊富である中東地域で蒸発法を中心に実用化されてきているが、熱源が豊富でない中東以外の地域ではエネルギー効率の高い逆浸透法が採用され、カリブ諸島や地中海エリアなどで多数のプラントが建設され実用運転されている。最近では、逆浸透法の技術進歩による信頼性の向上やコストダウンが進み、中東においても多くの逆浸透法海水淡水化プラントが建設され始めている。
通常、海水を直接、逆浸透膜に通すと、海水中に含有される懸濁物質や生物などの侵入により、膜表面が傷つく、膜表面への付着によって膜性能(透水性能、阻止性能)が低下する、膜への流路が閉塞する、といったトラブルを生じる。そのため、海水を各種前処理によって清澄化した上で逆浸透膜へ供給するのが一般的である。この前処理方法としては、砂ろ過、凝集沈殿、加圧浮上、精密ろ過膜、限外ろ過膜などがあり、これらによって、濁質や微生物はかなり除去することができる。しかし、各種前処理をもってしても、微生物の餌となりうる有機高分子(AOC)を除去しきれないため、長期に運転すると、供給水に含有されるAOCをもとに微生物が逆浸透膜の表面で徐々に繁殖し、前述のトラブルを生じる(これをバイオファウリングという)。そのため、定期的な微生物除去(洗浄)が必要となる。
この定期的な洗浄方法としては、亜硫酸水素ナトリウム、特殊な殺菌剤(非特許文献1)による間欠洗浄などが挙げられる。亜硫酸水素ナトリウムによる方法は、従来から適用されてきたが、状況によっては、微生物の繁殖を促進する場合がある(非特許文献2、3)。また、これらの殺菌洗浄は、供給水側で実施され、逆浸透膜を透過することが原則あり得ないものの、万一、逆浸透膜が損傷してしまった場合は殺菌剤などが透過水側に漏れてくる危険性がある。そのため、飲料水用途のプラントでは、万一透過水側に混入した場合にも問題がない酸を用いて洗浄が行われている(特許文献1)。
酸を用いた洗浄は、連続運転中に運転条件を変更することなく洗浄を実施することができるという利点がある。また、酸洗浄中に得られる濃縮水や透過水は、放出可能な程度や飲料水質に適合するpH6程度にまで中和処理する必要がある他は有害物質を含有せず、アルカリによる中和処理を連続的に実施することで連続的に淡水を得ることができ非常に効率的である。
しかしながら、近年海水淡水化においては、厳しい水質基準を満足するために、一度逆浸透処理した淡水をさらに低圧逆浸透膜で処理する逆浸透2段処理が普及しつつあり、さらには、ホウ素の水質基準を満足するために2段目の逆浸透膜の供給水にアルカリを添加するアルカリ添加2段処理(特許文献2)が採用されることが多い。この場合、1段目の逆浸透膜の透過水にアルカリを添加してたとえばpHを9〜10程度にまで高める必要があるが、上述した酸洗浄を行う場合には、1段目の透過水を中和し、さらに2段目供給水のpHを高めることができる量のアルカリを添加する必要がある。さらに、2段目の透過水や濃縮水のpHも高くなるためその高pHを中和するための酸も必要となる。このため、1段目および2段目それぞれのpH調整のために必要な酸やアルカリの量が増大し、効率的とはいえず造水コストがアップしていた。
特許第3087750号公報(請求項1) 特許第3319321号公報([0006]〜[0013]段落) ダウケミカル、AQUCAR RO-20カタログ(2005) A.B.ハミダ、I.モッホJr.、デサリネーション&ウォーターリユース、6/3、40−45(1996) L.E.アップルゲート、C.W.エルケンブレシェル、デサリネーション、65、331−359(1987).
本発明の目的は、半透膜ユニットを用いて水中の不純物質、とくに、ホウ素を除去するにあたって、効率的かつ連続的に高い水質の淡水を得ることができる実用的な淡水製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(8)を特徴とするものである。
(1)原水もしくは原水を前処理して得た前処理水を第一の半透膜ユニットの供給水として第一の半透膜ユニットで処理し、得られた第一の半透膜ユニットの透過水を第二の半透膜ユニットの供給水としてpHを上げて第二の半透膜ユニットで処理する脱塩工程を、複数並列に有する淡水製造方法であって、一時的に、一部の脱塩工程Aにおいて洗浄を行い、該洗浄では、原水もしくは前処理水をpHを下げて第一の半透膜ユニットA1へ供給し、得られた該第一の半透膜ユニットA1の透過水を他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2の供給水よりも低いpHとして第二の半透膜ユニットA2に供給するとともに、該第二の半透膜ユニットA2から得られた透過水を前記他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2から得られた透過水と混合する淡水製造方法。
(2)全ての脱塩工程について前記洗浄を順次行う、前記(1)に記載の淡水製造方法。
(3)一時的に、全ての脱塩工程において前記洗浄を行わない時間を設けるとともに、前記一部の脱塩工程Aにおいて洗浄を行っている間の、前記他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2の供給水のpHを、全ての脱塩工程において洗浄を行わない間の、前記他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2の供給水のpHよりも高くする、前記(1)または(2)に記載の淡水製造方法。
(4)前記第一の半透膜ユニットの透過水のうちの一部の透過水aを第二の半透膜ユニットで処理せず、残りの透過水bを、第二の半透膜ユニットの供給水としてpHを上げて第二の半透膜ユニットで処理し、前記一部の透過水aと混合して淡水を得る淡水製造方法であって、一時的に、全ての脱塩工程において前記洗浄行わない時間を設けるとともに、前記一部の脱塩工程Aにおいて洗浄を行っている間の前記残りの透過水bの水量を、全ての脱塩工程において洗浄を行わない時間の水量よりも多くすることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の淡水製造方法。
(5)前記他の脱塩工程Bにおいて、第二の半透膜ユニットB2の供給水のpHを8以上に上げる、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の淡水製造方法。
(6)前記一部の脱塩工程Aにおいて、第一の半透膜ユニットA1の供給水のpHを4以下にする、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の淡水製造方法。
(7)前記一部の脱塩工程Aにおいて、第一の半透膜ユニットA1の供給水のpHを下げる運転時間が、0.5〜2.5hr./日の範囲内である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の淡水製造方法。
(8)前記脱塩工程の数(a)と、前記一部の脱塩工程において第一の半透膜ユニットA1の供給水のpHを下げる運転時間(b)とが、次の関係式を満たす、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の淡水製造方法。
20≦a×b≦30、a≧12
ここで、「原水もしくは原水を前処理して得た前処理水」とは、第一の半透膜ユニットよりも上流側における水をいい、第一、第二の半透膜ユニットの「供給水」とは、当該半透膜ユニットに実際に流入する時点の水のことをいう。なお、スケール防止剤などの添加物を含むか否かは問わないものとする。また、供給水の一部を第一の半透膜ユニットよりも上流側に還流する場合は、還流水と原水との混合水をも原水ということとする。
本発明によれば、原水もしくは原水を前処理して得た前処理水を第一の半透膜ユニットで処理し、得られた第一の半透膜ユニットの透過水の少なくとも一部をpHを上げて第二の半透膜ユニットの供給水として第二の半透膜ユニットで処理する脱塩工程を、複数並列に有する場合に、一時的に、一部の脱塩工程Aにおいて、原水もしくは前処理水をpHを下げて第一の半透膜ユニットA1へ供給し、得られた該第一の半透膜ユニットA1の透過水を他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2の供給水よりも低いpHとして第二の半透膜ユニットA2に供給するとともに、該第二の半透膜ユニットA2から得られた透過水を前記他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2から得られた透過水と混合するので、原水から高い水質の透過水を効率的かつ連続的に得ることができ、特に、海水からホウ素濃度を低減させた飲用に適した高い水質の淡水を効率的かつ連続的に得ることができる。
本発明を適用可能な淡水製造装置の一態様を示す概略フロー図である。 本発明を適用可能な淡水製造装置の他の態様を示す概略フロー図である。 本発明を適用可能な淡水製造装置の他の態様を示す概略フロー図である。 本発明を適用可能な淡水製造装置の他の態様を示す概略フロー図である。 本発明を適用可能な淡水製造装置の他の態様を示す概略フロー図である。 本発明で適用可能な半透膜エレメントの一例である。 実施例、比較例で使用した半透膜ユニット評価装置のフロー図である。 実施例、比較例で使用した半透膜ユニット評価装置を構成する第一の半透膜ユニットの概略フロー図である。 実施例、比較例で使用した半透膜ユニット評価装置を構成する第二の半透膜ユニットの概略フロー図である。
符号の説明
1:原水
2:前処理手段
3:第一のスケール防止剤添加手段
4:第一のアルカリ添加手段
5:前処理水タンク
6:酸添加手段
7:高圧ポンプ
8:第一の半透膜ユニット
9:第二の半透膜ユニットの供給水(第一の半透膜ユニットの透過水,一次透過水)
10:第一の半透膜ユニットの濃縮水(一次濃縮水)
11:第一の半透膜ユニットの濃縮水流量調節バルブ
12:第二のスケール防止剤添加手段
13:第二のアルカリ添加手段
14:昇圧ポンプ
15:第二の半透膜ユニット
16:第二の半透膜ユニットの透過水(二次透過水)
17:第二の半透膜ユニットの濃縮水(二次濃縮水)
18:第二の半透膜ユニットの濃縮水バルブ
19:pH調整手段
20:後処理手段
21:生産水タンク
22:エネルギー回収手段
23:脱塩工程
24:一次透過水バイパスバルブ
25:供給水
26:濃縮水
27:透過水
28:シール材
29:中心パイプ
30:半透膜
31:供給水流路材
32:透過水流路材
33:第二の半透膜ユニットの濃縮水の還流ライン
34:第二の半透膜ユニットの濃縮水の還流バルブ
35:第二の半透膜ユニットの濃縮水の排出バルブ
36:背圧バルブ
37:一次透過水バイパスライン
38:供給水タンク
39:供給水圧力計
40:濃縮水圧力計
41:第一透過水圧力計
42:第二供給水圧力計
43:第二透過水圧力計
44:第二濃縮水圧力計
45:圧力調整バルブ
46:バイパスバルブ
47:透過水背圧バルブ
48:Oリング
49:パイプジョイント
50:栓
51:膜エレメント
52:耐圧容器
まず、本発明にかかる淡水製造方法の基本的フローを、図1に示す模式図を参照しながら説明する。
図1に示す淡水製造装置は、基本的に、原水(海水)1に前処理を施すフィルターなどの前処理手段2と、必要に応じて前処理水を貯留する前処理水タンク5と、前処理水タンク5に貯留された前処理水を処理する、少なくとも第一の半透膜ユニット8および第二の半透膜ユニット15を有する脱塩工程23(たとえば23a〜23n)と、第二の半透膜ユニットの透過水のpH調整手段19と、後処理手段20と、生産水タンク21などを備えている。脱塩工程23は、図中23a〜23nと示すように複数存在し、それらが互いに並列に設けられている。
一つの脱塩工程23を構成する第一の半透膜ユニット8および第二の半透膜ユニット15それぞれの上流側には、それぞれの半透膜ユニットの供給水の圧力を高めるために用いられる高圧ポンプ7、昇圧ポンプ14が設けられ、さらに、第一の半透膜ユニット8の上流側にはpHを下げるための酸添加手段6、第二の半透膜ユニット15の上流側にはpHを上げるためのアルカリ添加手段13がそれぞれ設けられている。また、第一の半透膜ユニット8の濃縮水(一次濃縮水)10側には、一次濃縮水10が保有するエネルギーを回収するためのエネルギー回収手段22が設けられている。
このような淡水製造装置において、海水1は、その濁度などに応じて、そのまま、もしくは前処理手段2により前処理が施された後、高圧ポンプ7を通して第一の半透膜ユニット8に供給される。このとき、場合によっては、第一の半透膜ユニット8のホウ素除去率を高めるために、第一のスケール防止剤添加手段3と第一のアルカリ添加手段4によってスケール防止剤およびアルカリが添加される。
第一の半透膜ユニット8では、海水中のほとんどの溶質を除去することができ、溶質が除去された第一の半透膜ユニット8の透過水(一次透過水)9は、第二の半透膜ユニット15に送られる。一方、第一の半透膜ユニット8の濃縮水(一次濃縮水)10は、エネルギー回収手段22によって圧力エネルギーを回収した後に海などに放流される。ここで、第一の半透膜ユニット8の透過水流量の制御は、高圧ポンプ7の出力を調節するとともに濃縮水流量調節バルブ11によっても実施することができる。圧力エネルギー回収に関しては、コストパフォーマンスの面から一般には第一の半透膜ユニットにのみ適用されるが、第二の半透膜ユニットに対しても濃縮水17側にエネルギー回収手段を設け、エネルギー回収することももちろん差し支えない。
続いて、一次透過水9は、場合によっては第二のスケール防止剤添加手段12によってスケール防止剤が添加され、第二のアルカリ添加手段13によってpHが第一の半透膜ユニット8への供給水のpHよりも高くされた後に昇圧ポンプ14で昇圧され、第二の半透膜ユニット15へ供給される。第二の半透膜ユニット15では、供給水からさらに溶質が除去されて、高度に水質が高い二次透過水16を得ることができる。
ここで、第二のスケール防止剤添加手段12を用いて第二の半透膜ユニット15の供給水にスケール防止剤を添加する位置としては、第二のアルカリ添加手段13のアルカリ添加口付近でのスケール析出を防止するために、第二のアルカリ添加手段13よりも上流側であることが好ましい。
なお、必要に応じて、スケール防止剤やアルカリ添加の下流側で、混合促進のために撹拌槽やインラインミキサーを装備することが好ましい。
また、一次透過水9の水質が良好な場合は、図2に例示するように一次透過水バイパスライン37を設け、一次透過水バイパスバルブ24を開いて、一次透過水9の一部だけを第二の半透膜ユニット15で処理するようにすることも可能である。なお、図2は、一次透過水バイパスライン37および一次透過水バイパスバルブ24を設けた点以外は図1の態様と同じである。
二次透過水16は、単独もしくは一次透過水と混合された上でpH調整手段19によってpHを下げられ、成分調整のための後処理手段20によりライム添加など成分調整された後に、生産水タンク21に貯留される。
一方、第二の半透膜ユニット15の濃縮水(二次濃縮水)17は、海などに放流されるが、第二の半透膜ユニットでは、一次透過水9を第二の半透膜ユニット15の供給水(被処理水)とし、その供給水には必要に応じてアルカリやスケール防止剤が添加されているので、濁質などは十分に除去されており清澄であるものの、アルカリ添加によりpHが高くなっている場合が多い。そのため、二次濃縮水17を放流する場合は状況に応じてpH調整をした上で放流するのが好ましい。このような場合、本発明においては、酸洗浄を実施している系列の濃縮水が酸性になっているので、それぞれの脱塩工程から排出される濃縮水を混合放流することで、pH調整に要する酸の添加を低減することが好ましい。
さらに、本発明においては、図3に例示するように、第二の半透膜ユニット15の濃縮水(二次濃縮水)17の少なくとも一部を第一の半透膜ユニット8の供給水として還流させることも可能である。還流の可否は特に制限されるものではなく、第二の半透膜ユニット15の濃縮水(二次濃縮水)17の水質などによって適宜決定することが出来る。なお、図3は、第二の半透膜ユニット15の濃縮水(二次濃縮水)17の少なくとも一部を第一の半透膜ユニット8の供給水として還流させた以外は図1の態様と同じである。
また、図4に示すように、第一の半透膜ユニット8の透過水9側に背圧バルブ36を設け、その背圧バルブ36で第一の半透膜ユニット8に作用する圧力を調節してもよい。こうすることで、高圧ポンプ7の出力を変えずにすむので、濃縮水が保有するエネルギーが高くなり、より多くのエネルギーをエネルギー回収手段22で回収することができる。なお、図示していないが、第二の半透膜ユニット15の透過水側にも背圧バルブを設け、同様のことを行ってもよい。また、図4は、第一の半透膜ユニット8の透過水9側に背圧バルブ36を設けた以外は図1の態様と同じである。
ここで、本発明では、第一の半透膜ユニット8の透過水のpHを上げて第二の半透膜ユニット15で処理する脱塩工程23を複数並列に有する淡水製造工程において、一時的に、一部の脱塩工程(たとえば23a)において、原水もしくは前処理水をpHを下げて第一の半透膜ユニットへ8供給する。これにより、一部の脱塩工程(たとえば23a)の酸洗浄を行いつつ淡水を連続的に製造することが可能となる。そして、この酸洗浄の工程を全脱塩工程の中で適宜ずらして順次実施すれば、淡水製造を行いながら全脱塩工程の酸洗浄を実施することが可能となる。
また、本発明では、第一の半透膜ユニット8の透過水のpHを上げて第二の半透膜ユニット15で処理するものの、酸洗浄を行っている一部の工程(たとえば23a)においては、第一の半透膜ユニット8の透過水を、酸洗浄を行っていない他の脱塩工程(たとえば23b〜23n)における第二の半透膜ユニット15の供給水よりも低いpHとして第二の半透膜ユニット15に供給するとともに、該第二の半透膜ユニット15から得られた透過水を、酸洗浄を行っていない他の脱塩工程(たとえば23b〜23n)における第二の半透膜ユニット15から得られた透過水と混合する。すなわち、一部の脱塩工程(たとえば23a)で洗浄のために投入された酸を、他の脱塩工程(たとえば23b〜23n)でホウ素除去のために投入されたアルカリの中和に用いる。したがって、一部の脱塩工程(たとえば23a)で洗浄のために投入された酸や、他の脱塩工程(たとえば23b〜23n)でホウ素除去のために投入されたアルカリを、それぞれ独立して中和させる必要がなく、pH調整のための酸やアルカリの絶対量を大幅に低減することができ、効率的である。
以下、洗浄時の具体的な流れについて、図1において脱塩工程23aの洗浄を行う場合を例にして説明する。まず、脱塩工程23a(一部の脱塩工程A)において酸添加手段6を稼働させ、第一の半透膜ユニット8(第一の半透膜ユニットA1)の供給水のpHを下げることによって、第一の半透膜ユニット8の微生物汚染を防止する。その間、残りの脱塩工程23b〜23n(他の脱塩工程B)においては、酸添加手段6を作動させずに通常の運転を実施する。脱塩工程23aにおいて、第一の半透膜ユニット8(第一の半透膜ユニットA1)の供給水をあらかじめ定められた時間、低いpHにして微生物汚染防止処理を実施した後は、酸添加手段6を停止し、それまで通常の運転を実施してきた他の脱塩工程23b〜23n(他の脱塩工程B)と同じ運転条件に戻る。なお、全脱塩工程の洗浄を行うには、それまで酸添加手段6を停止して運転してきた他の脱塩工程の中から次に酸洗浄を行う脱塩工程を選択し(たとえば23b)、その脱塩工程において酸添加を実施し、微生物汚染防止を施す。これを順番に繰り返して、第一の半透膜ユニット8の低pH運転を実施していくことにより、すべての脱塩工程の微生物汚染防止を実施することが出来る。
ここで、原水に酸添加を実施している脱塩工程23aにおける第一の半透膜ユニット8(第一の半透膜ユニットA1)の透過水9のpHは通常より低くなっているが、本発明においては、このpHが通常より低くなった第一の半透膜ユニット8(第一の半透膜ユニットA1)の透過水9を第二の半透膜ユニット15(第二の半透膜ユニットA2)に供給するにあたってアルカリ添加を行わない。すなわち、酸洗浄を実施している脱塩工程23aにおいては、第二のアルカリ添加手段13の稼働を停止する。しかしながら、本発明においては、酸洗浄を実施している脱塩工程23aの第二の半透膜ユニット(第二の半透膜ユニットA2)の透過水16と、第二の半透膜ユニット15に供給する前にアルカリ添加を実施している他の脱塩工程23b〜23n(他の脱塩工程B)における第二の半透膜ユニット(第二の半透膜ユニットB2)の透過水16とを混合し、その後に、必要に応じて、pH調整手段19によって生産水として適したpHに調整する。これにより、pH調整手段19に必要な酸やアルカリの量を著しく低減させることが出来る。

なお、pH調整手段19によるpH調整は出来るだけ実施しないですむようにすることが好ましい。すなわち、後処理でのpH変動も考慮した上で、酸洗浄を実施している脱塩工程23a(一部の脱塩工程A)における第二の半透膜ユニット(第二の半透膜ユニットA2)の透過水16と酸洗浄を実施していない脱塩工程23b〜23n(他の脱塩工程B)における第二の半透膜ユニット(第二の半透膜ユニットB2)の透過水16との混合水のpHの目標値を設定することが好ましい。具体的には、後処理でミネラルを添加してpHが上がる場合は、混合水のpHがその分低めになるようにすることが好ましく、たとえば並列配置加する脱塩工程の総数の調節、酸添加量(すなわち第一の半透膜ユニット8の供給水pH調節、通常運転における第二の半透膜ユニット15の供給水pHの調節(アルカリ添加の調節))などによって実施することが出来る。
また、酸洗浄実施中の脱塩工程(一部の脱塩工程A)における第二の半透膜ユニット15(第二の半透膜ユニットA2)の供給水は、アルカリを添加しないため、ホウ素の除去率はアルカリを添加する通常運転時に比べて低下する。したがって、その影響を出来るだけ小さくするために、脱塩工程数(a)と、第一の半透膜ユニットの供給水のpHを下げる運転時間(b)とが、
20≦a×b≦30、a≧12
を満足するようにすることが好ましい。
なお、酸洗浄実施中の脱塩工程(一部の脱塩工程A)、すなわち、第二の半透膜ユニットの供給水がアルカリ添加されていない工程のホウ素除去性能が劣ることによる生産水質への影響は、通常、全脱塩工程数に対して酸洗浄実施工程数が少ないためにあまり問題とならないことが多い。しかしながら、酸洗浄実施中の生産水質の低下を補う必要がある場合には、アルカリ添加する通常運転工程(他の脱塩工程B)におけるアルカリ添加量を増やしてホウ素除去率を高め、酸ショック実施中の透過水と混合することによって酸洗浄を実施していない時と同じホウ素濃度の生産水を得ることが出来る。
ところで、上述したように、第一の半透膜ユニット8の上流側には、必要に応じて、第一の半透膜ユニット8の原水にスケール防止剤を添加する第一のスケール防止剤添加手段3と、第一の半透膜ユニット8の原水のpHを高くするためにアルカリを添加する第一のアルカリ添加手段4とが設けられており、第二の半透膜ユニット15の上流側には、これも必要に応じて、第二の半透膜ユニット15の供給水(一次透過水9)にスケール防止剤を添加する第二のスケール防止剤添加手段12が設けられている。かかる第一のアルカリ添加手段4は、本発明の実施にあたって必須ではないが、例えばホウ素除去を目的として第二の半透膜ユニット15にのみアルカリを添加すると特にスケールが析出しやすくなるため、第一の半透膜ユニット8の原水にアルカリを添加しつつ、第二の半透膜ユニット15の原水にアルカリを添加すると第二の半透膜ユニット15のpHを比較的低めに抑えられるという効果がある。しかしながら、第一の半透膜ユニット8へのアルカリ添加は、場所によっては流量が多いため添加量も増大し、コスト的には不利である。さらに、本発明においては、一部の第一の半透膜ユニット8の原水に酸添加手段6において酸を添加するため、その前にアルカリを添加するとその分必要な酸も増加する。そこで、本発明においては、第一の半透膜ユニット8の供給水には全くアルカリを添加しないか、もしくは、図5に例示するように各脱塩工程それぞれにアルカリ添加手段4を設け、第一の半透膜ユニットの供給水に酸が添加されている脱塩工程ではアルカリ添加手段4を休止し、その他の通常運転を行う脱塩工程ではアルカリ添加手段4を稼働する方法を採ることが好ましい。なお、図5は、各脱塩工程それぞれにアルカリ添加手段4を設けた以外は、図1の態様と同じである。
本発明において、第一の半透膜ユニット8の供給水pHを下げる方法としては、薬注ポンプで供給水ラインに添加する方法が一般的である。本発明におけるプロセスでは、高圧ポンプで混合されるため、基本的には混合に問題が生じることはないと考えられるが、添加後にラインミキサーを設けて混合を促進したり、添加ポイントに混合タンクを設けて混合したりすることも可能である。pHを下げる方法としてもとくに制限されるものではないが、酸の強度や扱いやすさなどから硫酸が最も好ましく用いられる。そして、海水を原水とする場合は、第一の半透膜ユニット8の供給水のpHを、大半の菌類を死滅させることが可能な4以下にすることが好ましい。第一の半透膜ユニット8における透過水9のpHが酸性領域において供給水のpHより1程度高くなりやすいことや、後述するように、酸洗浄を行わず通常の運転を行っている脱塩工程(他の脱塩工程B)においては、第二の半透膜ユニット15の供給水pHをホウ素除去性能向上のために8以上にすることが好ましく、より高い効果を得るためには9以上にすることが好ましいことを考え合わせると、アルカリ添加系列を酸添加系列で中和するという本発明の主旨からして、第一の半透膜ユニット8の供給水のpHを4以下にすることが好ましい。
また、pHを下げる運転は、1脱塩工程、1日あたり0.5時間以上2.5時間以下にすると、微生物の繁殖を効率的に抑制できるため好ましい。0.5時間以上とすることで菌の繁殖を十分に抑えることができるが、一方で2.5時間を超えると、繁殖抑制効果が限界に達する。したがって、2.5時間以下とすることで、生産水質の低下を防ぎながら菌の繁殖を防ぎ、酸添加の薬品費も抑えることができる。
一方、酸洗浄を行っていない脱塩工程(他の脱塩工程B)における第二の半透膜ユニット15の供給水pHとしては、ホウ素除去性能を向上させるために8以上にすることが好ましい。さらに効果を十分に発揮させるためには、pHを9以上にすることが好ましい。これによって、通常海水中では解離していないホウ素をイオン状態にして逆浸透膜における阻止率を向上させることができる。
また、pHを下げる運転は、順次実施する脱塩工程を変えて常時行うことにより、生産水の水質を経時的に一定にすることが容易となるが、一時的に全ての全ての脱塩工程において原水もしくは前処理水をpHを下げずにそのまま第一の半透膜ユニット8へ供給する通常運転を行ってもよい。
一時的に、全ての脱塩工程において原水もしくは前処理水をpHを下げずにそのまま第一の半透膜ユニット8へ供給する通常運転を行う場合、一部の脱塩工程(脱塩工程A)において酸洗浄を行っている間は、酸洗浄を行っていない脱塩工程(他の脱塩工程B)における第二の半透膜ユニット15の供給水のpHを、該第二の半透膜ユニット15(第二の半透膜ユニットB2)の該通常運転時の供給水pHよりも高くすることが好ましい。こうすることで、酸洗浄を行っていない脱塩工程(他の脱塩工程B)で得られる透過水のホウ素濃度を低くする事が出来、酸洗浄中の脱塩工程(脱塩工程A)で得られるホウ素濃度の高い透過水を該ホウ素濃度の低い透過水と混合させることで、混合後の透過水のホウ素濃度を悪化させずに維持することが可能となる。なお、このとき第二の半透膜ユニット15の供給水pHを高める脱塩工程は、酸洗浄を行っていない脱塩工程全てであってもよいが、一部であってもよい。
また、図2に例示したように第一の半透膜ユニット8の透過水9の一部のみを第二の半透膜ユニット15で処理する運転を実施している場合は、もちろん上記pH調整で水質維持を図ってもよいが、バイパスライン37の流量を調節することで対応しても同様の効果が得られる。すなわち、一時的に、全ての脱塩工程において原水や前処理水をpHを下げずにそのまま第一の半透膜ユニット8へ供給する通常運転を行う場合、一部の脱塩工程(脱塩工程A)において酸洗浄を行っている間は、いずれかの脱塩工程における第二の半透膜ユニットの供給水(残りの透過水b)の水量を、該第二半透膜ユニットの通常運転時の供給水の水量よりも多くする(すなわちバイパス流量を減少させる、あるいはバイパスさせない)ことでも、ホウ素濃度を一定に維持することが可能であり、好ましい制御方法である。このとき、バイパス流量を調整する脱塩工程としては、酸洗浄中の脱塩工程であっても通常運転中の脱塩工程であっても、また両方の脱塩工程であってもよい。さらに、たとえば通常運転中の脱塩工程のうちの一部の脱塩工程であっても、酸洗浄中の脱塩工程のうちの一部の脱塩工程であってもよい。なお、図2に例示したように第一の半透膜ユニット8の透過水9の一部のみを第二の半透膜ユニット15で処理する運転を実施している場合、もちろん、上記pH調整と上記流量調整の両方で水質維持を図ってもよい。
第一のアルカリ添加手段4および第二のアルカリ添加手段13にて添加されるアルカリとしては、水酸化ナトリウム,水酸化カルシウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウムなどを例示でき、特に制限されるものではない。ただし、海水へのスケール成分の増加を防止するためにはカルシウムやマグネシウムは使用しない方がよい。また、ここでいうアルカリ添加の許容範囲は、半透膜の耐アルカリ性、アルカリ添加によるスケールが発生するまでの許容範囲に応じて適宜設定されるものである。
なお、図示しないが、第一のアルカリ添加手段4、第二のアルカリ添加手段13の直後にインラインミキサーを設けたり、アルカリ添加口を海水の流れに直接接触するようにしたりなどして、添加口へのスケール析出を防止することも好ましい。もちろん、前述のように、アルカリ添加前に、海水にスケール防止剤を添加しておくことも好ましい。また、第一の半透膜ユニット8、および、第二の半透膜ユニット15に添加するスケール防止剤の量(濃度)は、一般的には、スケールが最も析出しやすい半透膜ユニットの供給水が最も濃縮された状態、すなわち、濃縮水中の塩分濃度、組成、温度、pHなどから決定される。
また、第一のスケール防止剤添加手段3および第二のスケール防止剤添加手段12により添加されるスケール防止剤としては、溶液中の金属、金属イオンなどと錯体を形成し、金属あるいは金属塩を可溶化させるものであればよく、有機や無機のイオン性ポリマーあるいはモノマーが使用できる。有機系のイオン性ポリマーとしてはポリアクリル酸、スルホン化ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミンなどの合成ポリマーやカルボキシメチルセルロース、キトサン、アルギン酸などの天然高分子が、モノマーとしてはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などが使用できる。また、無機系のスケール防止剤としてはポリリン酸塩などが使用できる。
これらのスケール防止剤の中では、入手のしやすさ、溶解性など操作のしやすさ、価格の点から特にポリリン酸塩、エチレンジアミン四酢酸が好適に用いられる。ポリリン酸塩とはヘキサメタリン酸ナトリウムを代表とする分子内に2個以上のリン原子を有し、アルカリ金属、アルカリ土類金属とリン酸原子などにより結合した重合無機リン酸系物質をいう。代表的なポリリン酸塩としては、ピロリン酸4ナトリウム、ピロリン酸2ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ヘプタポリリン酸ナトリウム、デカポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、およびこれらのカリウム塩などがあげられる。
本発明においては、第一の半透膜ユニット8へ供給される供給水質は、清澄で半透膜面への汚れの堆積が少ないことが好ましい。このためには、まず、取水地の水質が良好であることが好ましいが、表層水が汚染されている場合は、地下などの浸透水を原水とすることも好ましい。また、原水の水質によっては、原水に濁質成分の除去や殺菌などの前処理を施しておくことが好ましい。これらの処理により、第一の半透膜ユニット8および第二の半透膜ユニット15、さらには後段プロセスの性能低下を防ぐことができ、処理装置の長期に渡る安定運転を可能にする。具体的な処理は、海水など原水の性状により適宜選択すればよい。
原水から濁質を除去する必要がある場合は、砂ろ過や精密ろ過膜、限外ろ過膜の適用が効果的である。このときバクテリアや藻類などの微生物が多い場合は、殺菌剤を添加することも好ましい。殺菌には塩素を用いることが好ましく、例えば塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムを遊離塩素として1〜5mg/lの範囲内となるように原水に添加するとよい。この場合、半透膜によっては特定の殺菌剤に化学的な耐久性がない場合があるので、その場合は、なるべく供給水の流れる方向に関して上流側で添加し、さらに、第一の半透膜ユニット8の原水入口側近傍にて殺菌剤を無効にすることが好ましい。例えば遊離塩素で殺菌を行う場合は、その酸化力によって殺菌効果を発現するが、遊離塩素は半透膜を構成する高分子素材をも酸化分解することが知られているため、殺菌に寄与しなかった残留遊離塩素を還元剤によって無効にする(すなわち、酸化力を著しく弱める)ことが好ましい。具体的には、遊離塩素の濃度を測定し、この測定値に基づいて塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加量を制御したり、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤を添加したりするとよい。
また、濁質以外にバクテリアやタンパク質、天然有機成分などを含有する場合は、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド、塩化鉄(III)などの凝集剤を加えることも効果的である。凝集させた供給水は、その後に斜向板などで沈降させた上で砂ろ過を行ったり、複数本の中空糸膜を束ねた精密ろ過膜や限外ろ過膜によるろ過を行ったりすることによって、後段の半透膜を通過させるのに適した供給水とすることができる。特に、凝集剤の添加にあたっては、凝集しやすいようにpHを調整することが好ましく、一般的にはpH5以上8未満、好ましくは、pH7以下である。
なお、凝集剤添加においてpHを下げた場合、酸洗浄を行わない脱塩工程(他の脱塩工程B)については、第一の半透膜ユニット8の前でpHを上げないとホウ素除去率が低下するため、それら第一の半透膜ユニット8の前でアルカリを添加し、pHを上げることが好ましい。この様に、半透膜ユニットにおける除去性能がpH変化によって変化する溶質としては、炭酸,硝酸,シリカのように、pHによってその解離度が変化するものが挙げられる。これら溶質は、pHを上げることによって、その除去率[%](=100×(1−透過水濃度)/供給水濃度)が上がる。そのため、透過水濃度を水質基準などの目標濃度以下に維持するために、必要に応じてアルカリを添加することが好ましい。
一方、海水に溶解性の有機物が多く含まれている場合は、塩素ガスや次亜塩素酸ナトリウムの添加によってもそれら有機物を分解することが可能であり、加圧浮上や活性炭ろ過を行うことによっても除去が可能である。また、溶解性の無機物が多く含まれている場合は、有機系高分子電解質やヘキサメタ燐酸ソーダなどのキレート剤を添加したり、イオン交換樹脂などを用いて溶解性イオンと交換したりするとよい。また、鉄やマンガンが可溶な状態で存在しているときは、ばっ気酸化ろ過法や接触酸化ろ過法などを用いることが好ましい。
ところで、本発明において原水としては、海水、かん水、河川水、地下水、排水やその処理水など特に制限されるものではない。しかしながら、二段目にアルカリを添加しpHを高める二段法は高濃度の塩分を高度に除去する場合やホウ素を高度に除去する場合にその必要性が高い。したがって、本発明においても、海水や海水の処理水など高濃度の塩分を含有する水を原水とすることが好ましい。なお、海水とは、一般的には総塩濃度3重量%以上と言われることが多いが、河口の近くでは淡水と混合しやすく低濃度になる場合があり、また、中東や滞留海水などでは4重量%以上になるので、総塩濃度によって特に限定されるものではない。
高圧ポンプ4は、特に限定されるものではなく、必要とする出力に応じて適宜、選定、使用することができるが、本発明においては、浸透圧以上の圧力を供給水に与える必要があるので、海水の場合は3MPa以上の圧力を付与できるものが好ましく、さらには5MPa以上の圧力を付与できるものが好ましい。しかし、一方で、供給される原水1の浸透圧よりも著しく高い圧力を付与すると、第一の半透膜の入口部分での透過流束が大きくなりすぎ、原水中に微量に存在する有機物などが膜面に堆積、吸着し、膜性能を低下させることになるため好ましくない。したがって、第一の半透膜ユニット8の入口部分の局所透過流束が1m/m・日以下、好ましくは0.5m/m・日以下となるように圧力を付与することが好ましい。なお、局所透過流束とは、後述する計算式に基づいて得ることができる。
昇圧ポンプ13は、特に限定されるものではないが、第一の半透膜ユニットの透過水を供給するためのものであり、浸透圧もほとんど考慮する必要がないため、高圧ポンプ5に対して、低圧かつ低流量のものでよい。具体的圧力としては、最大2MPaの圧力をかけることができるものが好ましい。
第一の半透膜ユニット8および第二の半透膜ユニット15は、取扱いを容易にするため中空糸膜や平膜を筐体に納めて流体分離素子(エレメント)としたものを用いることができる。この流体分離素子は、平膜で形成する場合、例えば図6に示すように、多数の孔を穿設した筒状の中心パイプ29の周りに、半透膜30と、トリコットなどの透過水流路材32と、プラスチックネットなどの供給水流路材31とを含む膜ユニットを巻回し、これらを円筒状の筐体に納めた構造とするのが好ましい。複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して分離膜モジュールとすることも好ましい。この流体分離素子において、供給水25は、一方の端部からユニット内に供給され、他方の端部に到達するまでの間に半透膜30を透過した透過水27が、中心パイプ30へと流れ、他方の端部において中心パイプ29から取り出される。一方、半透膜30を透過しなかった供給水25は、他方の端部において濃縮水26として取り出される。
半透膜30の素材には酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材を使用することができる。またその膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い分離機能層を有する複合膜のどちらでもよい。
しかしながら、中でも高耐圧性と高透水性、高溶質除去性能を兼ね備え、優れたポテンシャルを有する、ポリアミドを分離機能層とした複合膜が好ましい。特に、海水を原水とするような場合には、第一の半透膜ユニットでは浸透圧以上の圧力をかける必要があり、実質的には少なくとも5MPaの操作圧力が負荷されることが多い。この圧力に対して、高い透水性と阻止性能を維持するためにはポリアミドを分離機能層とし、それを多孔質膜や不織布からなる支持体で保持する構造のものが適している。また、ポリアミド半透膜としては、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応により得られる架橋ポリアミドの分離機能層を支持体に有してなる複合半透膜が適している。
分離機能層は、酸やアルカリに対して化学的安定性が高い架橋ポリアミドからなるもの、もしくは架橋ポリアミドを主成分とするものからなることが好ましい。架橋ポリアミドは、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成され、多官能アミンまたは多官能酸ハロゲン化物成分の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
ここで、多官能アミンとは、一分子中に少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有するアミンをいい、例えば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼンに結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5ートリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸などの芳香族多官能アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン、4−アミノメチルピペラジンなどの脂環式多官能アミン等を挙げることができる。中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると芳香族多官能アミンであることが好ましく、このような多官能芳香族アミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。さらには、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミン(以下、m−PDAと記す)を用いることがより好ましい。これらの多官能アミンは、単独で用いたり、混合して用いたりしてもよい。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。例えば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−シクロブタントリカルボン酸トリクロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、ビフェニレンカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物、アジポイルクロリド、セバコイルクロリドなどの脂肪族2官能酸ハロゲン化物、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、テトラヒドロフランジカルボン酸ジクロリドなどの脂環式2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いたり、混合して用いたりしてもよい。
そして、本発明において、第一の半透膜ユニット8に用いる半透膜は、海水中のイオンなどをはじめとする溶質を高度に除去することができることが望ましい。特に、他の成分に比べて阻止率が低いホウ素については、高い阻止性能を有することが好ましい。具体的には、第一の半透膜ユニット8の半透膜として、総塩濃度3.5重量%、pH7.0、温度25℃の模擬海水を操作圧力5.5MPaで供給したときの純水透過係数Lが3×10−12/m・Pa・s以上で、ホウ素透過係数Pが400×10−9m/s以下という性能を発現することができるものを適用することによって、海水からより高い水質の淡水を得ることができる。
ここで、全塩濃度3.5重量%の模擬海水とは、NaCl=23.926g/l,NaSO=4.006g/l,KCl=0.738g/l,NaHCO=0.196g/l,MgCl=5.072g/l,CaCl=1.147g/l,HBO=0.0286g/lの組成で調合したものをいう。
また、純水透過係数Lとホウ素透過係数Pは、膜面で生じる濃度分極現象を考慮した以下の方法で得ることができる。例えば、平膜で測定する場合は、M.タニグチ(M.Taniguchi)らによる文献(ジャーナル・オブ・メンブレン・サイエンス,第183巻,2000年,p259−267(以下、参考文献1とする。))などに示される平膜セルによって模擬海水の透過流束JとTDS透過水濃度Cを測定し、以下の式によってL,Pを算出する。
=L(ΔP−Δπ)
=P(C−C
sb=P(Cmb−Cpb
Δπ=π(C)−π(C
(C−C)/(C−C)=exp(J/k)
(Cmb−C)/(Cfb−Cpb)=exp(J/k
:純水透過流束[m/m・s]
:TDS(Total Dissolved Solids=総塩分)透過流束[kg/m・s]
sb:ホウ素透過流束[kg/m・s]
:純水透過係数[m/m・Pa・s]
P:TDS透過係数[m/s]
:ホウ素透過係数[m/s]
π( ):浸透圧[Pa]
Δπ:浸透圧差[Pa]
ΔP:操作圧力差[Pa]
:TDS原水膜面濃度[kg/m
:TDS原水バルク(流路内)濃度[kg/m
:TDS透過水濃度「kg/m
mb:ホウ素原水膜面濃度[kg/m
fb:ホウ素原水バルク濃度[kg/m
pb:ホウ素透過水濃度「kg/m
k:TDS物質移動係数[m/s]
:ホウ素物質移動係数[m/s]。
ここで、浸透圧πは、M. タニグチ(M.Taniguchi)らによる文献(AIChE ジャーナル,第46巻,2000年,p1967−1973(以下、参考文献2とする。))に示される、いわゆる「三宅の式」によって知ることができる。TDS物質移動係数kは、評価セルによって決められる値であるが、参考文献2に示されている浸透圧法もしくは流速変化法によって膜面流量Q[m/s]もしくは膜面流速u[m/s]の関数として得ることができる。
参考文献1に示されている平膜セルの場合、
k=1.63×10−3・Q0.4053
である。つづいて、ホウ素の物質移動係数kであるが、これも同文献に示されるように、
k/k=(D/D0.75
D :TDS拡散係数[m/s]
:ホウ素拡散係数[m/s]
から算出することができる。
したがって、上記の式から未知数L,P,P,C,Cmbを算出することができる。膜エレメントの場合は、参考文献2に示されているように、膜エレメントの長さ方向に積分しながらL,Pをフィッティングによって算出することができる。
また、前述した局所透過流束について説明する。まず、局所とはこの膜エレメントの長さ方向の特定の位置を意味し、上記の積分計算の中でフィッティングを行い、厳密には最終的に求められた膜エレメント長さ方向のプロファイルから得ることができる。なお、塩の阻止性能が99%以上であるような十分な阻止率を有している半透膜が用いられる場合は、TDS透過水濃度CがTDS原水バルク濃度Cに比べても非常に小さく、透過水浸透圧π(C)も無視できるため、下記の様に算出することができる。
すなわち、前述した入口における局所透過流束Jv, INは、
v, IN=L(ΔPIN−ΔπIN
s, IN≒P(Cm, IN
Δπ≒π(C
m, IN/Cf, IN=exp(Jv, IN/k)
を用いて、Jv, INとCm, INの連立方程式を解くことによって求めることができる。
第一の半透膜ユニット8として適した、このような高いホウ素阻止性能を有する複合半透膜を得るためには、例えば、内部や表面に脂肪族アシル基を存在させる方法を挙げることができる。具体的には、例えば実質的に分離性能を有さない微多孔性支持膜上に、実質的にイオン等の分離性能を有する分離機能層を設け、その分離機能層の内部および/または表面に脂肪族アシル基を存在せしめる。脂肪族アシル基は結合によって分離機能層中もしくは分離機能層表面に存在していればよい。
脂肪族アシル基を分離機能層に存在させる方法は特に限定されるものではない。例えば、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成された分離機能層の表面に脂肪族酸ハロゲン化物溶液を接触させたり、多官能アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重縮合の際に脂肪族酸ハロゲン化物を共存させたりすることで、分離機能層中に共有結合によって存在せしめればよい。すなわち、微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成するにあたり、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液と、これとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させたり、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物およびこれとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させたりすればよい。
脂肪族酸ハロゲン化物としては、炭素数1〜4を有するものが好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜4である。炭素数が多くなるに従って、立体障害によって脂肪族酸ハロゲン化物の反応性が低下したり、多官能酸ハロゲン化物の反応点への接近が困難になり円滑な膜形成が妨げられたりするため、膜の性能が低下する。かかる脂肪族酸ハロゲン化物としては、メタンスルホニルクロリド、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、オキサリルクロリド、マロン酸ジクロリド、コハク酸ジクロリド、マレイン酸ジクロリド、フマル酸ジクロリド、クロロスルホニルアセチルクロリド、N,N−ジメチルアミノカルボニルクロリドなどが挙げられる。これらは単独でも2種以上を同時に使用しても良いが、膜を緻密構造にし、かつ、透水性をあまり低下させないバランスのとれたものとするためには、オキサリルクロリドを主成分とすることが好ましい。
そして、微多孔性支持膜を含む支持体は、実質的には分離性能を有さない層であり、実質的に分離性能を有する架橋ポリアミドの分離機能層に機械的強度を与えるために設けられるもので、布帛や不織布などの基材上に微多孔性支持膜を形成したものなどが用いられる。
微多孔性支持膜は、それ自体も実質的には分離性能を有さない層で、実質的に分離性能を有する分離機能層に機械的強度を与えるために用いられるものであり、均一で微細な孔あるいは片面からもう一方の面まで徐々に大きな微細な孔をもっていて、その微細孔の大きさはその片面の表面が100nm以下であるような構造の支持膜が好ましい。
上記の支持体は、ミリポア社製”ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋濾紙社製”ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、通常は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造できる。その素材にはポリスルホン、ポリアミド、ポリエステル、酢酸セルロース、硝酸セルロースやポリ塩化ビニル等のホモポリマーあるいはブレンドしたものが通常使用されるが、化学的、機械的、熱的に安定性の高い、ポリスルホンを使用するのが好ましい。
例えば、上記ポリスルホンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それをドデシル硫酸ソーダ0.5重量%およびDMF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した微多孔性支持膜が得られる。微多孔性支持膜の素材としては、ポリスルホン以外にポリアミドやポリエステルも好ましく用いられる。
透過水及び供給水の総塩分濃度(TDS濃度)は、各液の電気伝導度を電気伝導度計(横川電機製SC82)によって測定し、あらかじめ模擬海水で測定した模擬海水濃度と電気伝導度との関係式から求めた。またpH測定は横川電機製PH82を用いて測定した。
図7に示すフローの評価装置(以下、装置Xという)を構成した。なお、図7においても、符号は、上述したものと同じものを意味する。
装置Xは、供給水タンク38、高圧ポンプ7、第一の半透膜ユニット8、昇圧ポンプ14、第二の半透膜ユニット15などから構成した。高圧ポンプ8はインバーターで出力制御するものとし、昇圧ポンプ14の出力は無調節だが、第二の半透膜ユニット15の供給水に負荷される圧力を実質的に圧力調整バルブ45で制御した。また、第一の半透膜ユニット8の透過水9の流量を、第一の半透膜ユニット濃縮水バルブ11によって調節することができ、第二の半透膜ユニットの透過水流量を、圧力調整バルブ45とバルブ18と背圧バルブ47とによって調節することができるものとした。第一の半透膜ユニット8としては、図8に示すように、直径10cm、全長1mの膜エレメント51をパイプジョイント49によって4本直列に接続して片方の端部を栓50で封止した上で耐圧容器52に装填したもの2並列設けた構成に、そして第二の半透膜ユニット15としては、図9に示すように、直径10cm、全長1mの膜エレメント51を同様に2本直列に接続し耐圧容器52に装填したもの1列設けたという構成にした。
<参考例1>
通常運転として、装置Xを用いて、東レ(株)愛媛工場の近傍の海水を砂ろ過で前処理して濁質分を除去した前処理海水(TDS濃度3.4重量%、水温22℃、pH=7.5)を、流量80m/日で処理した。第一の半透膜ユニット用の膜エレメントとしては東レ(株)製SU−810、第二の半透膜ユニット用の膜エレメントとしては東レ(株)製SU−710を用い、第一の半透膜ユニットの回収率30%、第二の半透膜ユニットの回収率75%で運転した。なお、第一のスケール防止剤添加手段3によるスケール防止剤添加、第一のアルカリ添加手段4によるアルカリ添加、酸添加手段6による酸添加は行わなかったが、第二の半透膜ユニットでのホウ素除去性能を向上させるために、第二のアルカリ添加手段13によってNaOHを添加し、第二の半透膜ユニット15の供給水pHを9.0にした。また、第二のスケール防止剤添加手段12によってスケール防止剤(SHMP,ヘキサメタ燐酸ナトリウム)を3mg/lで添加し、アルカリ添加によるスケール発生を防止した。この条件で運転した結果、透過水流量18m/日で、透過水TDS濃度は1.1mg/l、ホウ素濃度は0.19mg/l、透過水pHは9.2であった。また、このとき、酸添加手段6における硫酸の添加量は0g/時、第二のアルカリ添加手段13におけるNaOH添加量は25g/時であった。
<参考例2>
洗浄運転として、第一の半透膜ユニット8の前の酸添加手段6によって硫酸を添加し、第一の半透膜ユニット8への供給水pHを3.0にし、第二の半透膜ユニット15の前の第二のスケール防止剤添加手段12によるスケール防止剤添加および第二のアルカリ添加手段13によるアルカリ添加を実施しない他は、参考例1と同じ条件で運転を実施した。その結果、透過水流量18m/日で、透過水TDS濃度は1.5mg/l、ホウ素濃度は0.25mg/l、透過水pHは4.5であった。また、このとき、酸添加手段6における硫酸の添加量は、530g/時、第二のアルカリ添加手段におけるNaOH添加量は、0g/日であった。
<参考例3>
洗浄運転として、第一の半透膜ユニット8の前の酸添加手段6によって硫酸を添加し、第一の半透膜ユニット8への供給水pHを3.0にする他は、参考例1と同じ条件で運転を実施した。その結果、透過水流量18m/日で、透過水TDS濃度は1.1mg/l、ホウ素濃度は0.19mg/l、透過水pHは9.2であった。また、このとき、酸添加手段6における硫酸の添加量は、530g/時、第二のアルカリ添加手段におけるNaOH添加量は、120g/時であった。
<参考例4>
通常運転として、第二の半透膜ユニット15の供給水pHを9.06にする他は参考例1と同じ条件で運転を実施した。その結果、透過水流量18m/日で、透過水TDS濃度は1.1mg/l、ホウ素濃度は0.184mg/l、透過水pHは9.26であった。また、このとき、酸添加手段6における硫酸の添加量は0g/時、第二のアルカリ添加手段13におけるNaOH添加量は25.4g/時であった。
<参考例5>
参考例1の条件で3ヶ月連続運転した後、高温時の前処理海水(TDS濃度3.4重量%、水温27℃、pH=7.5)について、第二の半透膜ユニット15の供給水pHを9.2にした他は、参考例1と同じ条件で運転した。結果、透過水流量18m/日で、透過水TDS濃度は2.6mg/l、ホウ素濃度は0.47mg/l、透過水pHは9.3であった。また、このとき、酸添加手段6における硫酸の添加量は0g/時、第二のアルカリ添加手段13におけるNaOH添加量は26g/時であった。
<参考例6>
洗浄運転として、第一の半透膜ユニット8の前の酸添加手段6によって硫酸を添加し、第一の半透膜ユニット8への供給水pHを3.0にし、第二の半透膜ユニット15の前の第二のスケール防止剤添加手段12によるスケール防止剤添加およびアルカリ添加手段13によるアルカリ添加を実施しない他は、参考例5と同じ条件で運転を実施した。その結果、透過水流量18m/日で、透過水TDS濃度は2.9mg/l、ホウ素濃度は0.67mg/l、透過水pHは4.6であった。また、このとき、酸添加手段6における硫酸の添加量は、520g/時、第二のアルカリ添加手段におけるNaOH添加量は、0g/日であった。
<参考例7>
洗浄運転として、第一の半透膜ユニット8の前の酸添加手段6によって硫酸を添加し、第一の半透膜ユニット8への供給水pHを3.0にする他は、参考例5と同じ条件で運転を実施した。その結果、透過水流量18m/日で、透過水TDS濃度は2.8mg/l、ホウ素濃度は0.47mg/l、透過水pHは9.3であった。また、このとき、酸添加手段6における硫酸の添加量は、520g/時、第二のアルカリ添加手段におけるNaOH添加量は、125g/時であった。
<参考例8>
通常運転として、第二の半透膜ユニット15の供給水pHを9.26にする他は参考例5と同じ条件で運転を実施した。その結果、透過水流量18m/日で、透過水TDS濃度は2.7mg/l、ホウ素濃度は0.45mg/l、透過水pHは9.41であった。また、このとき、酸添加手段6における硫酸の添加量は0g/時、第二のアルカリ添加手段13におけるNaOH添加量は27g/時であった。
<参考例9>
通常運転として、第一の半透膜ユニットの透過水流量24m/日のうち、22m/日を第二の半透膜ユニット15の供給水とし、また、第二の半透膜ユニットの透過水流量が16m/日となるように、回収率を72.7%に設定する他は、参考例8と同じ条件で運転した。その結果、第二の半透膜ユニットの透過水は、TDS濃度が2.6mg/l、ホウ素濃度が0.44mg/l、透過水pHが9.41であった。これに、第一の半透膜ユニットの透過水2m/日(透過水TDS濃度196mg/l、ホウ素濃度1.0mg/l、pH=6.13)を混合した結果、混合水の合計水量は18m/日で、TDS濃度は24.0mg/l、ホウ素濃度は0.50mg/l、pHは8.7であった。また、このとき、酸添加手段6における硫酸の添加量は0g/時、第二のアルカリ添加手段13におけるNaOH添加量は24.8g/時であった。
<実施例1>
図7に示す装置を12機並列に、すなわち、12の脱塩工程を設けた装置を想定し、参考例1で説明した通常の運転状態を行う際に、1日に2時間ずつ、各脱塩工程を一工程ずつ順番に、参考例2で説明したpHを下げる洗浄運転状態にすると、12の脱塩工程を合わせた原水流量は960m/日、透過水流量は216m/日と計算され、12の脱塩工程の平均透過水として参考例1と参考例2の透過水を11:1で混合した結果、透過水TDS濃度は1.13mg/lと十分に低く、平均ホウ素濃度は0.195mg/lであった。また、このとき、1つの脱塩工程あたりの酸添加手段6における硫酸の添加量は1060g/日、第二のアルカリ添加手段におけるNaOH添加量は、550g/日と計算された。なお、WHOの飲料水質基準はホウ素濃度が0.5mg/lであり、また、WHOには飲料水のTDS濃度に関する基準が存在しないが、たとえば日本における飲料水の水質基準はTDS濃度が500mg/lである。
<比較例1>
各脱塩工程を一工程ずつ順番に、参考例3で説明したpHを下げる洗浄運転状態にする以外は、実施例1と同条件で計算した。その結果、12の脱塩工程を合わせた原水流量は960m/日、透過水流量は216m/日と計算され、12の脱塩工程の平均透過水として参考例1と参考例3の透過水を11:1で混合した結果、TDS濃度は1.1mg/l、ホウ素濃度は0.190mg/lとなり、実施例1とほぼ同じ水質になった。また、このとき、1つの脱塩工程あたりの酸添加手段3における硫酸の添加量は、1060g/日、第二のアルカリ添加手段におけるNaOH添加量は、790g/日と計算され、実施例1の1.4倍の消費量となった。
<実施例2>
混合後の透過水ホウ素濃度を比較例1と同じとするために、通常の運転状態として参考例4とする他は、実施例1と同じ条件で計算した。その結果、12の脱塩工程を合わせた原水流量は960m/日、透過水流量は216m/日と計算され、12の脱塩工程の平均透過水として参考例4と参考例2の透過水を11:1で混合した結果、TDS濃度は1.13mg/l、ホウ素濃度は0.190mg/lとなり、実施例1と同じホウ素濃度であった。また、このとき、1つの脱塩工程あたりの酸添加手段6における硫酸の添加量は、1060g/日、第二のアルカリ添加手段におけるNaOH添加量は、559g/日と計算され、実施例1と同等の消費量となった。
<実施例3>
参考例1と参考例2の代わりに参考例5と参考例6を適用する他は実施例1と同じ運転状態を想定したところ、12の脱塩工程を合わせた原水流量は960m/日、透過水流量は216m/日と計算され、12の脱塩工程の平均透過水TDS濃度は2.63mg/lと十分に低く、平均ホウ素濃度は0.488mg/lであった。この結果は、WHO飲料水質基準(ホウ素濃度0.5mg/l)を満足するものであった。また、このとき、1つの脱塩工程あたりの酸添加手段6における硫酸の添加量は1040g/日、第二のアルカリ添加手段におけるNaOH添加量は、572g/日と計算された。
<比較例2>
参考例6の代わりに参考例7で説明したpHを下げる洗浄運転状態にする以外は、実施例3と同条件で計算した。その結果、12の脱塩工程を合わせた原水流量は960m/日、透過水流量は216m/日と計算され、12の脱塩工程の平均透過水TDS濃度は2.62mg/l、ホウ素濃度は0.470mg/lとなった。また、このとき、1つの脱塩工程あたりの酸添加手段3における硫酸の添加量は、1040g/日、第二のアルカリ添加手段におけるNaOH添加量は、822g/日と計算され、実施例3の1.4倍の消費量となった。
<実施例4>
混合後の透過水ホウ素濃度を比較例2と同じとするために、通常の運転状態として参考例8とする他は、実施例3と同じ条件で計算した。その結果、12の脱塩工程を合わせた原水流量は960m/日、透過水流量は216m/日と計算され、12の脱塩工程の平均透過水TDS濃度は2.72mg/l、ホウ素濃度は0.470mg/lとなった。また、このとき、1つの脱塩工程あたりの酸添加手段6における硫酸の添加量は、1040g/日、第二のアルカリ添加手段におけるNaOH添加量は、594g/日と計算された。
<実施例5>
脱塩工程数は12で、酸洗浄時間を1時間とする場合を想定した。この場合、1日のうち12時間は全ての脱塩工程で洗浄を行わず通常運転をし、残りの12時間は1つの脱塩工程が順次酸洗浄中となる運転を実施することを想定し、計算を実施した。ここで、全てが通常運転の時は、参考例5の条件(すなわち、第二の半透膜ユニット15の供給水pHは9.2)で運転し、いずれかの脱塩工程で洗浄を行っている間は実施例4と同じ条件(すなわち、通常運転している第二の半透膜ユニット15の供給水pHは9.26に上げる)で運転すると想定した。その結果、1日を通して、透過水流量は18m/日、透過水TDS濃度は2.6〜2.72、ホウ素濃度は一定の0.470mg/lとなり、いずれかの脱塩工程で洗浄を行っている間も一定のホウ素濃度の透過水を得ることが出来た。また、このとき、1つの脱塩工程当たりの酸添加手段6における硫酸の添加量は、520g/日、第二のアルカリ添加条件におけるNaOH添加量は、609g/時であった。
<比較例3>
いずれかの脱塩工程で洗浄を行っている間を比較例2と同じ条件で運転する他は実施例5と同じ条件(すなわち、第二の半透膜ユニット15の供給水pHは、通常運転時も酸洗浄時もpH9.2)での運転を想定し、計算を実施した。その結果、1日を通して、透過水流量は18m/日、透過水TDS濃度は2.6〜2.8、ホウ素濃度は一定の0.470mg/lとなり、いずれかの脱塩工程で洗浄を行っている間も一定のホウ素濃度を維持することが出来たが、このとき、1つの脱塩工程当たりの酸添加手段6における硫酸の添加量は、520g/日、第二のアルカリ添加条件におけるNaOH添加量は、723g/時となり、実施例5よりも19%多かった。
<実施例6>
脱塩工程数は12で、酸洗浄時間を1時間とする場合を想定した。この場合、1日のうち12時間は全ての脱塩工程で洗浄を行わず通常運転をし、残りの12時間は1つの脱塩工程が順次酸洗浄中となる運転を実施することを想定し、計算を実施した。ここで、全てが通常運転の時は、参考例9の条件(すなわち、第二の半透膜ユニット15の供給水流量は22m/日、バイパス流量2m/日)で運転し、いずれかの脱塩工程で洗浄を行っている間は、通常運転している脱塩工程のうち6系列では参考例9の条件で、5系列は参考例8の条件(バイパスなし)、洗浄運転している系列は参考例6(バイパスなし)での運転を想定し、計算を実施した。その結果、1日を通して、合計透過水は、流量が18m/日、透過水TDS濃度が13.4〜24mg/l、ホウ素濃度がほぼ一定の0.495〜0.50mg/lとなり、いずれかの脱塩工程で洗浄を行っている間もWHOの水質基準を満たす一定のホウ素濃度を維持することが出来た。このとき、1つの脱塩工程当たりの酸添加手段6における硫酸の添加量は、520g/日、第二のアルカリ添加条件におけるNaOH添加量は、581g/時であった。
なお、参考例1〜9の条件結果を表1に、実施例1〜6および比較例1〜3の条件、結果を表2に示す。
Figure 2007129530
Figure 2007129530

Claims (8)

  1. 原水もしくは原水を前処理して得た前処理水を第一の半透膜ユニットの供給水として第一の半透膜ユニットで処理し、得られた第一の半透膜ユニットの透過水を第二の半透膜ユニットの供給水としてpHを上げて第二の半透膜ユニットで処理する脱塩工程を、複数並列に有する淡水製造方法であって、一時的に、一部の脱塩工程Aにおいて洗浄を行い、該洗浄では、原水もしくは前処理水をpHを下げて第一の半透膜ユニットA1へ供給し、得られた該第一の半透膜ユニットA1の透過水を他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2の供給水よりも低いpHとして第二の半透膜ユニットA2に供給するとともに、該第二の半透膜ユニットA2から得られた透過水を前記他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2から得られた透過水と混合する淡水製造方法。
  2. 全ての脱塩工程について前記洗浄を順次行う、請求項1に記載の淡水製造方法。
  3. 一時的に、全ての脱塩工程において前記洗浄を行わない時間を設けるとともに、前記一部の脱塩工程Aにおいて洗浄を行っている間の、前記他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2の供給水のpHを、全ての脱塩工程において洗浄を行わない間の、前記他の脱塩工程Bにおける第二の半透膜ユニットB2の供給水のpHよりも高くする、請求項1または2に記載の淡水製造方法。
  4. 前記第一の半透膜ユニットの透過水のうちの一部の透過水aを第二の半透膜ユニットで処理せず、残りの透過水bを、第二の半透膜ユニットの供給水としてpHを上げて第二の半透膜ユニットで処理し、前記一部の透過水aと混合して淡水を得る淡水製造方法であって、一時的に、全ての脱塩工程において前記洗浄行わない時間を設けるとともに、前記一部の脱塩工程Aにおいて洗浄を行っている間の前記残りの透過水bの水量を、全ての脱塩工程において洗浄を行わない時間の水量よりも多くすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の淡水製造方法。
  5. 前記他の脱塩工程Bにおいて、第二の半透膜ユニットB2の供給水のpHを8以上に上げる、請求項1〜4のいずれかに記載の淡水製造方法。
  6. 前記一部の脱塩工程Aにおいて、第一の半透膜ユニットA1の供給水のpHを4以下にする、請求項1〜5のいずれかに記載の淡水製造方法。
  7. 前記一部の脱塩工程Aにおいて、第一の半透膜ユニットA1の供給水のpHを下げる運転時間が、0.5〜2.5hr./日の範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載の淡水製造方法。
  8. 前記脱塩工程の数(a)と、前記一部の脱塩工程において第一の半透膜ユニットA1の供給水のpHを下げる運転時間(b)とが、次の関係式を満たす、請求項1〜7のいずれかに記載の淡水製造方法。
    20≦a×b≦30、a≧12
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