JPWO2007125971A1 - レジストパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

空気より屈折率の高い液体(液浸液)を介在させた状態でフォトレジスト膜に対して放射線を照射することにより、そのフォトレジスト膜を露光させる液浸露光の工程を備えたレジストパターン形成方法であり、基板の表面に前記フォトレジスト膜を形成し、そのフォトレジスト膜の表面に前記液浸液に対して耐性のある保護膜を形成し、液浸液を介在させた状態でフォトレジスト膜に対して放射線を照射することにより、フォトレジスト膜を露光させ、保護膜をフォトレジスト膜の表面から剥離させた後に、露光後加熱処理及び現像を行って、レジストパターンを得るレジストパターン形成方法。

Description

本発明は、集積回路の製造をはじめとする微細加工の分野において好適に用いられるレジストパターンの形成方法に関するものである。詳しくは、解像度が高く、より微細なレジストパターンを形成可能なリソグラフィー技術である液浸露光を利用したレジストパターンの形成方法に関するものである。
近年、集積回路の微細化は進展の一途を辿っている。集積回路の製造に用いられる投影露光装置においては、解像度R及び焦点深度δは下記式(i)及び下記式(ii)で示され、露光光源となる放射線の波長λが短く、投影レンズの開口数NAの値が大きいほど、解像度R(最小解像寸法)の値は小さくなり、解像度を向上させることができる。従って、投影露光装置における、露光光源の短波長化と投影レンズの高開口数化が加速度的に進行している。
R=k1・λ/NA :(i)
δ=k2・λ/NA :(ii)
(但し、R:解像度、δ:焦点深度、λ:露光光源の波長、NA:投影レンズの開口数、k1,k2:プロセス係数)
これとは別に、解像度を向上させるためのリソグラフィー技術として、液浸露光という手法も知られている。液浸露光は、空気より屈折率の高い液体(液浸液)を介在させた状態でフォトレジスト膜に対して放射線を照射することにより、そのフォトレジスト膜を露光させる手法である。即ち、通常は空気や窒素で満たされている、投影レンズとフォトレジスト膜の間の空間を液浸液で満たした状態で露光を行うものである。
投影レンズとフォトレジスト膜の間の空間が屈折率nの液浸液で満たされている場合の解像度R及び焦点深度δは下記式(iii)及び下記式(iv)で示される。即ち、屈折率nの液浸液を用いることによって、解像度R(最小解像寸法)の値は1/nとなり、解像度が向上することに加え、焦点深度δをn倍に拡大・改善することが可能となる。例えば、光源としてArFエキシマレーザー(波長λ:193nm)を用い、その波長λにおける屈折率nが1.44の水を液浸液として用いた場合、空気や窒素を介在させた非液浸の場合と比較して、解像度R(最小解像寸法)は1/1.44(69.4%)にまで向上し、焦点深度δは1.44倍に拡大・改善されることになる。
R=k1・(λ/n)/NA :(iii)
δ=k2・nλ/NA :(iv)
(但し、n:屈折率、R,δ,λ,NA,k1,k2については、式(i)及び式(ii)の但書と同義である)
このような液浸露光の技術は、微細加工、特に10nm単位の微細加工のためのリソグラフィー技術として、必須の手法と考えられており、既に液浸露光のための投影露光装置も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、液浸露光においては、液浸液がフォトレジスト膜に直接接触するため、フォトレジスト膜に浸透した液浸液によって予期しない化学反応が惹起され、レジスト性能に悪影響を及ぼすおそれがあることが指摘されている(例えば、特許文献2参照)。
そこで、フォトレジスト膜の表面に液浸液に対して耐性のある保護膜を形成した状態で液浸露光を行い、次いで露光後加熱処理を行った後に保護膜を剥離するレジストパターンの形成方法が提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。
特開平11−176727号公報 特開2005−268382号公報 特開2005−250511号公報 特開2005−264131号公報
しかしながら、特許文献3及び4に記載されるレジストパターン形成方法は、保護膜に浸透し、残存した液浸液に起因して、レジストパターン上に液滴痕が残る欠陥(ウォーターマーク欠陥)やレジストパターンの幅が太くなったり逆に細くなったりする欠陥(パターン不良欠陥)を生ずる場合があるという課題があった。即ち、特許文献3及び4に記載されるレジストパターン形成方法は、高解像度のレジストパターンを形成することが期待できるものの、ウォーターマーク欠陥やパターン不良欠陥を生ずる場合があるという点において、未だ十分に満足できるものではなく、更なる改良が求められていた。
以上説明したように、現在のところ、ウォーターマーク欠陥やパターン不良欠陥の発生を効果的に抑制しつつ、高解像度のレジストパターンを形成可能とする方策は未だ開示されておらず、そのような方策が切望されている。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ウォーターマーク欠陥やパターン不良欠陥の発生を効果的に抑制しつつ、高解像度のレジストパターンを形成することができるレジストパターン形成方法を提供するものである。
本発明者らは、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、フォトレジスト膜を液浸液から保護する保護膜を、フォトレジスト膜の露光の後、露光後加熱処理(PEB)の前にフォトレジスト膜の表面から予め剥離させ、その後、露光後加熱処理、現像を行うことによって、前記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下のレジストパターン形成方法が提供される。
[1] 空気より屈折率の高い液体(液浸液)を介在させた状態でフォトレジスト膜に対して放射線を照射することにより、そのフォトレジスト膜を露光させる液浸露光の工程を備えたレジストパターン形成方法であって、基板の表面に前記フォトレジスト膜を形成し、そのフォトレジスト膜の表面に前記液浸液に対して耐性のある保護膜を形成し、前記液浸液を介在させた状態でフォトレジスト膜に対して放射線を照射することにより、前記フォトレジスト膜を露光させ、前記保護膜を前記フォトレジスト膜の表面から剥離させた後に、露光後加熱処理及び現像を行って、レジストパターンを得るレジストパターン形成方法。
[2] 前記保護膜を脂溶性樹脂により形成し、有機溶剤を用いて前記保護膜の剥離を行う前記[1]に記載のレジストパターン形成方法。
[3] 前記保護膜を形成する前記脂溶性樹脂が、下記一般式(1)及び下記一般式(2)からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む重合体を構成成分とするものである前記[2]に記載のレジストパターン形成方法。
Figure 2007125971
〔但し、一般式(1)又は(2)において、Rは水素、メチル基又はトリフルオロメチル基、Rは二価の有機基、Rは炭素数4〜20の脂環式炭化水素基又はその誘導体を示す。〕
本発明のレジストパターン形成方法は、ウォーターマーク欠陥やパターン不良欠陥の発生を効果的に抑制しつつ、高解像度のレジストパターンを形成することが可能である。
以下、本発明のレジストパターン形成方法を実施するための最良の形態について具体的に説明する。但し、本発明は、その発明特定事項を備える全ての実施形態を包含するものであり、以下に示す実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸エステル」というときは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの双方を含む概念を意味するものとする。
本発明のレジストパターン形成方法は、空気より屈折率の高い液体(液浸液)を介してフォトレジスト膜に放射線を照射し、フォトレジスト膜を露光させる液浸露光の工程を備えたレジストパターン形成方法であり、基板の表面にフォトレジスト膜を形成し、そのフォトレジスト膜の表面に液浸液に対して耐性のある保護膜を形成し、液浸液を介して放射線を照射することにより、フォトレジスト膜を露光させ、保護膜をフォトレジスト膜の表面から剥離させた後に、露光後加熱処理及び現像を行って、レジストパターンを形成するものである。
[1]フォトレジスト膜の形成:
本発明のレジストパターン形成方法では、まず、基板の表面にフォトレジスト膜を形成する。
[1−1]基板:
基板としては、通常、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆したシリコンウェハ等が用いられる。フォトレジスト膜の特性を最大限に引き出すため、予め、基板の表面に有機系ないし無機系の反射防止膜を形成しておくことも好ましい形態の一つである(例えば、特公平6−12452号公報等を参照)。
[1−2]フォトレジスト膜(感放射線性樹脂組成物):
フォトレジスト膜を形成する物質の種類は特に制限されるものではなく、従来、フォトレジスト膜を形成するために用いられていた物質の中から、レジストの使用目的に応じて適宜選択して使用すればよい。
但し、本発明のレジストパターン形成方法においては、酸発生剤を含有する化学増幅型のレジスト材料、特に、ポジ型レジスト材料を用いることが好ましい。化学増幅型のポジ型レジスト材料としては、例えば、酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂(A成分)と、感放射線性酸発生剤(B成分)とを必須成分として含有する感放射線性の樹脂組成物等を挙げることができる。このような樹脂組成物は、放射線照射(露光)により酸発生剤から酸が発生し、その発生した酸の作用によって、樹脂の酸性基(例えば、カルボキシル基)を保護していた酸解離性基が解離して、酸性基が露出する。従って、レジストの露光部のアルカリ溶解性が高くなり、その露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンを形成することができる。
[1−2A]酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂(A成分):
「酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂」とは、酸性基を有し、その酸性基の少なくとも一部が酸解離性基によって保護された樹脂である。この樹脂は、樹脂中の酸性基の少なくとも一部が酸解離性基によって保護された状態ではアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性を示しているが、酸の作用により酸解離性基が解離すると酸性基が露出してアルカリ可溶性を示す樹脂である。
なお、「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂(A成分)と、感放射線性酸発生剤(B成分)とを含有する感放射線性樹脂組成物によって得られるフォトレジスト膜からレジストパターンを形成する際に使用されるアルカリ現像条件下で、そのフォトレジスト膜に代えて酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂のみによって得られる被膜を現像した場合に、その被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
「酸性基」は、酸性を示す官能基であれば特に制限はない。例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基等が挙げられる。中でも、アルカリに対する溶解性を向上させる効果が高いという理由から、フェノール性水酸基、カルボキシル基等が好ましい。酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂は、これらのうち1種の酸性基のみを有するものであってもよいし、2種以上の酸性基を有するものであってもよい。
A成分が含有する酸解離性基に相当する具体的な構造としては、例えば、下記一般式(3)で示される骨格を含む繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1)」という。)を必須単位として含有する重合体を挙げることができる。
Figure 2007125971
〔前記一般式(3)において、Rは各々が同一又は異なった、炭素数4〜20の一価の脂環式炭化水素基ないしはその誘導体、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、R同士が相互に結合して、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基ないしその誘導体を形成していてもよい。但し、Rとして、少なくとも1つの前記脂環式炭化水素基ないしその誘導体を含むか、R同士が相互に結合して、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基ないしその誘導体を形成した構造を含むものとする。〕
A成分は、上記一般式(3)で示される骨格の中でも、下記一般式(3a)〜(3d)に示す骨格を含んでいるものが好ましい。
Figure 2007125971
〔前記一般式(3a)〜(3d)において、Rは各々が同一又は異なった、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基、mは0又は1を示す。〕
前記繰り返し単位(1)の主鎖構造は特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸エステル又はα−トリフルオロアクリル酸エステルの構造であることが好ましい。
前記繰り返し単位(1)の具体的な構造としては、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル等が好ましい。
酸性基の少なくとも一部が酸解離性基によって保護された状態ではアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性を示しているが、酸の作用により酸解離性基が解離すると酸性基が露出してアルカリ可溶性を示すという性質を有する限りにおいて、A成分の構造は特に限定されるものではない。従って、A成分は繰り返し単位(1)を含む重合体に限られず、従来、このような用途で用いられてきた樹脂の中から、目的に応じて適宜選択すればよい。
A成分が繰り返し単位(1)を含む場合には、1種の繰り返し単位(1)の単独重合体であってもよいし、2種以上の繰り返し単位(1)の共重合体であってもよいし、繰り返し単位(1)の他、繰り返し単位(1)以外の繰り返し単位を含む重合体であってもよい。繰り返し単位(1)の含有率としては、全繰り返し単位に対して、通常、0〜70モル%であり、15〜60モル%であることが好ましく、20〜50モル%であることが更に好ましい。繰り返し単位(1)の含有率が70モル%を超えると、露光余裕が悪化するおそれがある。
なお、A成分を構成する重合体は、酸性基の少なくとも一部が酸解離性基によって保護されていればよく、酸性基の全てが酸解離性基によって保護されている必要はない。酸解離性基の導入率(A成分を構成する重合体中の酸性基と酸解離性基との合計数に対する酸解離性基の数の割合)は、酸解離性基の種類やベースとなる重合体の種類によって異なる。但し、前記導入率は5〜100%の範囲であることが好ましく、10〜100%の範囲であることが更に好ましい。
A成分を構成する重合体の分子量の範囲については特に限定はなく、必要に応じて種々の分子量の範囲とすることができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算質量平均分子量(「Mw」と記す場合がある)は、通常、1,000〜100,000であり、1,000〜30,000とすることが好ましく、1,000〜20,000とすることが更に好ましい。このような範囲とすることにより、耐熱性、現像性に優れたレジストを得ることができる。一方、A成分を構成する重合体のMwが1,000未満であると、得られるレジストの耐熱性が不十分となる傾向がある。また、Mwが100,000を超えると、得られるレジストの現像性が低下するおそれがある。
また、ポリスチレン換算質量平均分子量MwとGPCで測定したポリスチレン換算数平均分子量(「Mn」と記す場合がある)との比(Mw/Mn)についても特に限定はなく、必要に応じて種々の分子量の範囲とすることができる。Mw/Mnの値は、通常、1〜5であり、1〜3とすることが好ましい。このような範囲とすることにより、解像度に優れたレジストを得ることができる。
[1−2B]感放射線性酸発生剤(B成分):
「感放射線性酸発生剤」は、放射線に感応して酸を発生させる添加剤である。B成分は、放射線照射(露光)により酸を発生させ、その発生した酸の作用によって、樹脂の酸性基(例えば、カルボキシル基)を保護していた酸解離性基を解離させ、酸性基を露出させる。従って、レジストの露光部のアルカリ溶解性を向上させ、アルカリ現像によってポジ型のレジストパターンを形成することが可能となる。
上記のような性質を有する限りにおいて、B成分の構造は特に限定されるものではない。従って、従来、このような用途で用いられてきた物質の中から、目的に応じて適宜選択すればよい。例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等のオニウム塩化合物;ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等のハロゲン含有化合物;1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等のジアゾケトン化合物;β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物やスルホン酸化合物;等を用いることができる。
中でも、下記一般式(4)に示す構造のスルホニウム塩を用いることが好ましい。
Figure 2007125971
〔前記一般式(4)において、Rは水素原子、フッ素原子、水酸基、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルコキシル基、炭素数2〜11の直鎖状又は分岐状のアルコキシカルボニル基を示し、Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシル基、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、環状のアルカンスルホニル基を示し、rは0〜10の整数を示す。Rは各々が同一又は異なった、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいナフチル基を示し、R同士が相互に結合して、炭素数2〜10の環構造ないしその誘導体を形成していてもよい。kは0〜2の整数、Rはフッ素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜12の炭化水素基、nは1〜10の整数を示す。〕
B成分は、前記の各種酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。B成分の配合量は、レジストに付与したい特性に応じて適宜設定すればよいが、A成分100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部であり、0.5〜10質量部とすることが好ましい。このような範囲とすることにより、感度、現像性に優れたレジストを得ることができる。一方、B成分の配合量を0.1質量部未満とすると、感度及び現像性が低下する傾向がある。また、20質量部を超えると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
[1−2C]添加剤:
感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、A成分、B成分以外の添加剤、例えば、酸拡散制御剤、酸解離性基を有する脂環族添加剤、増感剤、界面活性剤等が配合されていてもよい。
「酸拡散抑制剤」は、露光により酸発生剤等から生じる酸のフォトレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域での好ましくない化学反応を抑制する作用を有する添加剤である。酸拡散抑制剤を配合することにより、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性を向上させることができる。また、酸拡散抑制剤を配合することにより、レジストの解像度を向上させると共に、露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができる。その結果、プロセス安定性に極めて優れた感放射線性樹脂組成物が得られるという利点がある。
酸拡散抑制剤としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。含窒素有機化合物としては、例えば、アルキルアミン類、シクロアルキルアミン類、芳香族アミン類、アルカノールアミン類等の3級アミン化合物;N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物等のアミド基含有化合物;テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシド化合物;ピリジン類、ピペラジン類、イミダゾール類等の含窒素複素環化合物;等を挙げることができる。これらの酸拡散抑制剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸拡散抑制剤の配合量は、A成分100質量部に対して、通常は10質量部以下であり、0.001〜10質量部とすることが好ましく、0.005〜5質量部とすることが更に好ましい。前記酸拡散抑制剤の配合量を10質量部以下とすると、レジストとしての感度や露光部の現像性を向上させることができるため好ましい。また、前記酸拡散抑制剤の配合量を0.001質量部以上とすると、プロセス条件によって、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下することを抑制できるため好ましい。
「酸解離性基を有する脂環族添加剤」は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を示す成分である。前記脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル等のリトコール酸エステル類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル等のアルキルカルボン酸エステル類;3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン等を挙げることができる。
前記脂環族添加剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記脂環族添加剤の配合量は、レジストの耐熱性を向上させる観点から、A成分100質量部に対して、50質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下とすることが更に好ましい。前記脂環族添加剤の配合量が50質量部を超えると、レジストの耐熱性が不十分となる傾向がある。
「増感剤」は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーをB成分に伝達し、酸の生成量を増加させる作用を示すもので、感放射線性樹脂組成物のみかけの感度を向上させる効果を有する。
増感剤としては、例えば、カルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等を挙げることができる。これらの増感剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。増感剤の配合量は、A成分100質量部に対し、50質量部以下とすることが好ましい。
「界面活性剤」は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系又は両性の界面活性剤のいずれも用いることができるが、ノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類等の他、以下いずれも商品名で、「KP」(信越化学工業社製)、「ポリフロー」(共栄社油脂化学工業社製)、「エフトップ」(トーケムプロダクツ社製)、「メガファック」(大日本インキ化学工業社製)、「フロラード」(住友スリーエム社製)、「アサヒガード」及び「サーフロン」(旭硝子社製)等の各シリーズ等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。界面活性剤の配合量は、感放射線性樹脂組成物中の全樹脂成分100質量部に対して、通常、2質量部以下であり、1.5質量部以下とすることが好ましく、1質量部以下とすることが更に好ましい。
感放射線性樹脂組成物には、露光部の潜像を可視化させ、露光時のハレーションの影響を緩和するために染料や顔料を配合してもよいし、基板との接着性を改善するために接着助剤を配合してもよい。上記の添加剤の他にも、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
[1−2D]溶剤:
感放射線性樹脂組成物には、A成分、B成分、各種添加剤の他、溶剤を配合してもよい。溶剤を配合することにより、基板に感放射線性樹脂組成物を塗工する際の塗工性を向上させることができる。
「溶剤」の種類は特に限定されないが、例えば、2−ブタノン、3−メチル−2−ブタノン等の直鎖状又は分岐状のケトン類;シクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン等の環状のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−メトキシプロピオン酸メチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類の他、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
[1−3]フォトレジスト膜の形成:
フォトレジスト膜は、例えば、A成分、B成分、各種添加剤に溶剤を加えて、その全固形分濃度を5〜50質量%に調整し、その溶液を孔径30nm程度のフィルターで濾過することにより塗工液を調製し、この塗工液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の従来公知の塗布方法を用いて基板上に塗布することによって形成することができる。このフォトレジスト膜は、溶媒を揮発させるために予備焼成(以下、「PB」と記す場合がある)を行ってもよい。なお、フォトレジスト膜の形成に際しては、塗工液は自ら調製してもよいし、市販のレジスト溶液を塗工液として使用してもよい。
[2]保護膜の形成:
本発明の方法では、上記のようにフォトレジスト膜を形成した後、そのフォトレジスト膜の表面に液浸液に対して耐性のある保護膜を形成する。保護膜を形成することによって、液浸露光の際に、液浸液がフォトレジスト膜と直接接触することが防止され、液浸液の浸透によってフォトレジスト膜のリソグラフィー性能が低下したり、フォトレジスト膜から溶出する成分により投影露光装置のレンズが汚染されたりする事態を効果的に防止することが可能となる。
保護膜は、液浸液(例えば、純水等)に対して安定な膜を形成することができることに加え、液浸露光の後には容易に剥離できる材料により形成されていることが好ましく、通常は、樹脂により形成される。なお、「液浸液に対して安定」とは、後述する水への安定性評価方法により測定したときの膜厚変化が初期膜厚の3%以内であることを意味するものとする。
[安定性評価試験]:
(1):コータ/デベロッパ(1)(商品名:CLEAN TRACK ACT8、東京エレクトロン社製)を用い、8インチシリコンウェハ上に、保護膜形成用塗工液(保護膜形成用樹脂を溶媒に溶解させたもの)をスピンコートし、90℃、60秒の条件でPBを行うことにより、膜厚90nmの保護膜を形成する。この保護膜の膜厚(当初膜厚)を、光干渉式膜厚測定装置(商品名:ラムダエースVM−2010、大日本スクリーン製造社製)を用いて測定する。
(2):次いで、その保護膜が形成されたウェハの表面に、前記コータ/デベロッパ(1)のリンスノズルから超純水を60秒間吐出させた後、回転数4000rpmで15秒間振り切り、スピンドライする。このときの保護膜の膜厚を再度測定し、保護膜の膜厚変化(減少した膜厚)を算出する。当初膜厚に対する減少した膜厚の比率が3%以内であれば「液浸液に対して安定」と評価する。
保護膜を形成するための樹脂(保護膜形成用樹脂)は、上記のような性質を有する限りその構造等は特に限定されるものではない。従って、保護膜形成用樹脂は、従来、このような用途で用いられてきた樹脂の中から、目的に応じて適宜選択すればよい。但し、本発明の方法においては、保護膜形成用樹脂として脂溶性の樹脂を用いることが好ましい。保護膜を脂溶性樹脂により形成すれば、有機溶剤を用いて保護膜を剥離することができ、液浸露光の後、アルカリ現像に先立って、保護膜のみを剥離することが可能である。即ち、保護膜の剥離を露光後加熱処理や現像に先立って行うことができるため、保護膜に浸透した液浸液に起因するウォーターマーク欠陥やパターン不良欠陥を効果的に防止することが可能となる。なお、この脂溶性樹脂は、有機溶剤に対する溶解性を有する限り、アルカリに可溶性の樹脂であってもよい。
脂溶性樹脂としては、例えば、下記一般式(1)及び下記一般式(2)からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む重合体を構成成分とする樹脂が好ましい。これらの樹脂は、その構造中にトリフルオロメチル基や炭素数4〜20の脂環式炭化水素基を有するため、液浸液として汎用される純水に対して耐性のある保護膜を形成することができることに加え、脂溶性が高いため、例えば、高級アルコール、多価アルコール、アルキル酢酸エステル、アルキルエーテル等の有機溶剤によって容易に剥離することができる。
Figure 2007125971
〔但し、一般式(1)又は(2)において、Rは水素、メチル基又はトリフルオロメチル基、Rは二価の有機基、Rは炭素数4〜20の脂環式炭化水素基又はその誘導体を示す。〕
一般式(1)中、Rで示される「二価の有機基」としては、例えば、二価の炭化水素基;アルキレングリコール基、アルキレンエステル基のような、炭素原子、水素原子以外の原子を含む二価の有機基;等を挙げることができる。これらの中でも、直鎖状、分岐状ないしは環状の二価の炭化水素基が好ましく、直鎖状ないし分岐状の飽和炭化水素基、単環式炭化水素環基又は架橋環式炭化水素環基等が更に好ましい。
「直鎖状ないし分岐状の飽和炭化水素基」としては、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基又はノナデカメチレン基等の直鎖状のアルキレン基;1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基又は2−メチル−1,4−ブチレン基等の分岐状のアルキレン基;エチリデン基、プロピリデン基又は2−プロピリデン基等のアルキリデン基;等が好適である。
「単環式炭化水素環基」としては、炭素数3〜10のシクロアルキレン基、具体的には、1,3−シクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等が好適である。「架橋環式炭化水素環基」としては、炭素数が4〜30で、環の数が2〜4の炭化水素環基、具体的には、1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基;1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等が好適である。
「二価の有機基」は、これらの官能基が結合したものであってもよい。例えば、「二価の有機基」が、その構造中に単環式炭化水素環基又は架橋環式炭化水素環基を有する場合には、その基の末端に、繰り返し単位(1)のビストリフルオロメチル−ヒドロキシメチル基との間のスペーサーとして、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基を結合させた構造とすることが好ましい。
以上説明した「二価の置換基」の中では、2,5−ノルボルニレン基を含む二価の炭化水素基、1,2−エチレン基又はプロピレン基が好ましい。
一般式(2)において、Rの炭素数4〜20の脂環式炭化水素基としては、例えば、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタンや、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類に由来する脂環式炭化水素基;これらの脂環式炭化水素基の水素原子を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基等を挙げることができる。これらの脂環式炭化水素基のうち、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン、シクロペンタン又はシクロヘキサンに由来する脂環式炭化水素基や、これらの脂環式炭化水素基の水素原子を前記アルキル基で置換した基等が好ましい。
保護膜を形成するための脂溶性樹脂は、繰り返し単位(1)又は繰り返し単位(2)を全く含んでいなくてもよいし、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、繰り返し単位(1)又は繰り返し単位(2)以外の繰り返し単位を含んでいてもよい。但し、繰り返し単位(1)と繰り返し単位(2)の総含有率としては、全繰り返し単位に対して、50〜100モル%であることが好ましく、60〜100モル%であることが更に好ましく、70〜100モル%であることが特に好ましい。繰り返し単位(1)と繰り返し単位(2)の総含有率が50モル%以下だと、保護膜としての特性を十分発現できないおそれがある。
保護膜を形成するための脂溶性樹脂の分子量の範囲については特に限定はなく、必要に応じて種々の分子量の範囲とすることができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算質量平均分子量(「Mw」と記す場合がある)は、通常、2,000〜200,000であり、2,500〜100,000とすることが好ましく、3,000〜50,000とすることが更に好ましい。このような範囲とすることにより、有機溶剤に対する溶解性に優れるとともに、耐水性及び機械的特性が高い保護膜を形成することができるという利点がある。一方、保護膜を形成するための脂溶性樹脂のMwが2,000未満であると、耐水性及び機械的特性が高い保護膜を形成することができなくなるおそれがある。また、Mwが200,000を超えると、有機溶剤に対する溶解性が低下するおそれがある。
なお、保護膜を形成するための脂溶性樹脂は、ハロゲン、金属等の不純物が少ないほど好ましく、それにより、保護膜としての塗布性と有機溶剤への均一な溶解性を更に改善することができる。樹脂の精製法としては、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法とを組み合わせた精製法等を挙げることができる。保護膜を形成するための脂溶性樹脂、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
保護膜を形成するための脂溶性樹脂は、適当な有機溶剤を加えて、その全固形分濃度を0.1〜20質量%程度に調整し、その溶液を孔径30nm程度のフィルターで濾過することにより塗工液を調製し、この塗工液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の従来公知の塗布方法を用いてフォトレジスト膜上に塗布することによって形成することができる。この保護膜は、溶媒を揮発させるために焼成を行ってもよい。
上記の塗工液を調製する際に用いる有機溶剤は、脂溶性樹脂の溶解性を考慮して適宜選択すればよいが、アルコール類を用いることが好ましく、1価アルコール類を用いることが更に好ましく、炭素数が1〜10の1価アルコール類を用いることが特に好ましい。これらの有機溶剤は脂溶性樹脂の溶解性に優れることに加え、塗工対象となるフォトレジスト膜とインターミキシングを起こし難く、リソグラフィー性能に悪影響を及ぼす可能性が低い点において好ましい。
「炭素数1〜10の1価アルコール類」としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール等の炭素数1〜6の1価アルコール類;2,2−ジメチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、4,4−ジメチル−2−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、5−メチル−1−ヘキサノール、5−メチル−2−ヘキサノール、等の炭素数7の1価アルコール類;2−エチル−1−ヘキサノール、4−メチル−3−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、2−プロピル−1−ペンタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール等の炭素数8の1価アルコール類;2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、3−エチル−2,2−ジメチル−1−ペンタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール等の炭素数9の1価アルコール類;1−デカノール、2−デカノール、4−デカノール、3,7−ジメチル−1−オクタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール等の炭素数10の1価アルコール類を挙げることができる。これらのアルコール類の中では、低温時に凝固し難く、フォトレジスト膜に残留し難いという理由から、4−メチル−2−ペンタノール、ブタノール、ヘキサノール又はこれらの混合溶媒を用いることが好ましい。
塗工液を調製するための有機溶剤には、フォトレジスト膜に対する塗工性(塗布性)を調整する目的で、他の溶媒を混合してもよい。「他の溶媒」は、保護膜を均一に塗工することを可能とするため、保護膜形成用樹脂を十分に溶解させることができ、かつ、フォトレジスト膜を溶解し難い溶媒の中から適宜選択すればよい。
「他の溶媒」としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル等のエステル類;水等を挙げることができる。これらの中では、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類、水を用いることが好ましい。
有機溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、溶剤の均一性を維持できる限りにおいて水を含んでいてもよい。低温時に凝固し難く、フォトレジスト膜に残留し難いという効果を発揮させるため、有機溶剤中における炭素数10以下の1価アルコールの含有量は、全溶媒に対して10〜100質量%とすることが好ましく、20〜100質量%とすることが更に好ましい。
上記塗工液には、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させる目的で界面活性剤を配合してもよい。界面活性剤としては、以下、全て商品名で、BM−1000、BM−1100(以上、BMケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(以上、旭硝子社製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)等のフッ素系界面活性剤を使用することができる。これらの界面活性剤の配合量は、脂溶性樹脂100質量部に対して5質量部以下とすることが好ましい。
保護膜の厚さはλ/4m(但し、λ:放射線の波長、m:保護膜の屈折率)の奇数倍にできる限り近づけることが好ましい。フォトレジスト膜の上側界面における反射抑制効果が大きくなるためである。
[3]液浸露光:
本発明の方法は、空気より屈折率の高い液体(液浸液)を介在させた状態でフォトレジスト膜に対して放射線を照射することにより、そのフォトレジスト膜を露光させる液浸露光の工程を備える。
液浸液は、空気より屈折率の高い液体であればよいが、通常は水が用いられ、純水を用いることが好ましい。この液浸液を介在させた状態で(即ち、露光装置のレンズとフォトレジスト膜との間に液浸液を満たした状態で)、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射し、フォトレジスト膜を露光させる。
液浸露光の際に使用することができる放射線は、使用されるフォトレジスト膜や保護膜の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザー等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線等の各種放射線を用いることができる。中でも、ArFエキシマレーザ(波長193nm)ないしKrFエキシマレーザ(波長248nm)を用いることが好ましい。また、放射線量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
[4]保護膜剥離:
フォトレジスト膜の露光の後、保護膜を前記フォトレジスト膜の表面から剥離させる。本発明の方法においては、この保護膜の剥離を露光後加熱処理や現像に先立って行う点に特徴がある。フォトレジスト膜のアルカリ現像時に保護膜を剥離することも考えられるが、保護膜の剥離を露光後加熱処理や現像に先立って行うことにより、保護膜に浸透した液浸液に起因するウォーターマーク欠陥やパターン不良欠陥を効果的に防止することが可能となる。
剥離の方法は特に限定されるものではないが、フォトレジスト膜のレジストパターン系性能を損なわない方法であることが好ましい。例えば、既に説明したような、保護膜を脂溶性樹脂により形成し、有機溶剤を用いて保護膜の剥離を行う方法が好ましい。
保護膜の剥離に用いる有機溶剤は保護膜の組成により異なるが、1価アルコールが好ましく、中でも、炭素数10以下の1価アルコールが特に好ましい。このような有機溶剤は保護膜の溶解性に優れていることに加え、フォトレジスト膜とのインターミキシングに起因するリソグラフィーの性能の低下が生じ難いため好ましい。
1価アルコール類の中でも、低温時に凝固し難く、保護膜の剥離に使用してもフォトレジスト膜に残留し難いという理由から、4−メチル−2−ペンタノール、ブタノール、ヘキサノール又はこれらのアルコールの混合溶媒が好ましい。なお、1価アルコールは、他の有機溶剤と混合して用いてもよいが、その混合溶媒の全質量中、1価アルコールが10〜100質量%含有されていることが好ましく、20〜100質量%含有されていることが好ましい。
保護膜の剥離に用いる有機溶剤は酸を含むものであってもよい。この場合、酸としては、解離定数(pKa)が5以下の化合物を用いることが好ましい。解離定数(pKa)が5を超える化合物は、現像後のレジストパターンの断面形状が頭張りする等の不具合を生じさせる場合がある。
解離定数(pKa)が5以下の化合物としては、有機酸が好ましく、分子内にスルホ基(−SOOH)を有するスルホン酸類又はカルボキシル基を有するカルボン酸類が更に好ましく、スルホン酸類が特に好ましい。スルホン酸類は、解離定数(pKa)が小さく、酸性度が高いため好適に用いることができる。
スルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、イソプロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、イソブタンスルホン酸、1,1−ジメチルエタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、1−メチルブタンスルホン酸、2−メチルブタンスルホン酸、3−メチルブタンスルホン酸、ネオペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸等のアルキルスルホン酸類;ベンゼンスルホン酸、2−トルエンスルホン酸、3−トルエンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、4−プロピルベンゼンスルホン酸、4−ブチルベンゼンスルホン酸、4−(t−ブチル)ベンゼンスルホン酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−ブロモベンゼンスルホン酸、4−フルオロベンゼンスルホン酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、4−スルホ安息香酸、4−スルホアニリン等のアリールスルホン酸類、ベンジルスルホン酸、フェネチルスルホン酸等のアラルキルスルホン酸類;カンファースルホン酸等の環式スルホン酸類;等を挙げることができる。保護膜の剥離に用いる有機溶剤は、1種の酸を単独で含むものであってもよいし、2種以上の酸を含むものであってもよい。
[5]露光後加熱処理:
本発明の方法においては、フォトレジスト膜の表面から保護膜を剥離させた後に、露光後加熱処理(Post Exposure Bake、以下、「PEB」と記す場合がある)を行う。PEBを行うことにより、レジストの解像度、パターン形状、現像性等を向上させることができるので好ましい。PEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等により異なるが、30〜200℃とすることが好ましく、50〜150℃とすることが更に好ましい。
[6]現像:
本発明の方法においては、露光後加熱処理を行った後に、現像を行って、レジストパターン形成体を得る。例えば、酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂と、感放射線性酸発生剤とを含有する感放射線性樹脂組成物から得られるフォトレジスト膜の場合であれば、アルカリ現像液で現像してレジストパターン形成体を得る。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノナン等のアルカリ性化合物を少なくとも1種溶解したアルカリ性水溶液を使用することが好ましい。中でも、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類の水溶液を好適に用いることができる。
アルカリ性水溶液の濃度は、10質量%以下とすることが好ましく、1〜10質量%とすることが更に好ましく、2〜5質量%とすることが特に好ましい。アルカリ性水溶液の濃度を10質量%以下とすると、非露光部がアルカリ現像液に溶解されてしまうことを抑制できるので好ましい。
アルカリ現像液には、界面活性剤を適量配合して用いてもよい。界面活性剤の添加により、レジストに対する現像液の濡れ性を高めることができるという利点がある。
現像は、例えば、露光されたフォトレジスト膜をアルカリ現像液に浸漬することにより行われる。通常は、現像の後、水洗によりアルカリ現像液を洗い流し、乾燥を行ってレジストパターン形成体を得る。
以下、本発明のレジストパターン形成体の製造方法について実施例を用いて更に具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の一部の実施形態を示すものに過ぎない。即ち、本発明をこれらの実施例に限定して解釈するべきではない。
[合成例1]:
まず、フォトレジスト膜を形成するための酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂を以下の方法により合成した。
予め、下記化合物(M−1)53.93g(50モル%)、化合物(M−2)35.38g(40モル%)、化合物(M−3)10.69g(10モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(重合開始剤)5.58gを添加した単量体溶液を準備した。一方、500mlの三口フラスコに、2−ブタノン100gを投入し、30分窒素パージした。窒素パージの後、その三口フラスコの内部を攪拌しながら80℃に加熱し、滴下漏斗を用い、予め準備した上記単量体溶液を3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。
Figure 2007125971
重合反応終了後、水冷により重合溶液を30℃以下となるまで冷却し、その冷却された重合溶液を2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末を濾別した。濾別された白色粉末に400gのメタノールを加え、スラリー状態で洗浄する操作を2回繰り返した後、再度、白色粉末を濾別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(74g、収率74%)。この重合体はMwが6900、Mw/Mn=1.70、13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)、化合物(M−2)、化合物(M−3)に由来する各繰り返し単位の含有率が53.0:37.2:9.8(モル%)の共重合体であった。この重合体をアクリル系重合体(A−1)とする。なお、この重合体中の各単量体由来の低分子量成分の含有量は、この重合体100質量%に対して、0.03質量%であった。
[合成例2]:
次いで、保護膜を形成するための脂溶性樹脂を以下の方法により合成した。
予め、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル93.91g(85モル%)をイソプロパノール50gに溶解させた単量体溶液(1)と、ビニルスルホン酸6.09g(15モル%)をイソソプロパノール50gに溶解させた単量体溶液(2)を準備した。一方、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコに2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル)(重合開始剤)6.91gとイソプロパノール200gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱し、滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液(1)を20分かけて滴下した。滴下終了後、更に20分間反応を続け、予め準備しておいた単量体溶液(2)を20分かけて滴下し、更に1時間反応を続け、30℃以下になるまで冷却することにより共重合液を得た。
上記共重合液を4800gの水に再沈し、30分間攪拌後、濾過した。得られた白色粉末を1000mlのメタノールに溶解させ、1000mlのn−ヘプタンを添加し、分液する操作を4回繰り返し、下層(メタノール層)の洗浄を行った。こうして得られた下層の溶剤を4−メチル−2−ペンタノールに置換した後、水を添加し、分液する分液洗浄を行い、再度、溶剤を4−メチル−2−ペンタノールに置換した。溶剤置換後の試料の固形分濃度は、その樹脂溶液0.3gをアルミ皿に載せ、140℃に加熱したホットプレート上で2時間加熱した後の残渣の質量から算出し、その後の保護膜形成用塗工液の調製と収率計算に利用した。得られた共重合体のMw、Mw/Mn(分子量の分散度)、収率(質量%)、はそれぞれ、5830、1.7、72%であった。
[感放射線性樹脂組成物の調製]:
合成例1の酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂100質量部に対し、感放射線性酸発生剤として、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネートを1.5質量部、1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートを6質量部、酸拡散抑制剤としてN−t−ブトキシカルボニルピロリジンを0.65質量部、副溶剤としてγ−ブチロラクトンを30質量部添加し、更に、主溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを2030質量部添加し、各成分を混合して均一溶液とした。その後、孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いて濾過することにより、感放射線性樹脂組成物からなる塗工液を調製した(総固形分濃度約6質量%)。
[保護膜形成用塗工液の調製]:
合成例2で合成した脂溶性樹脂100質量部に対して4−メチル−2−ペンタノールを加えて、その全固形分濃度を3.5質量%に調整し、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより保護膜形成用塗工液を調製した。
[保護膜剥離液の調製]:
カンファースルホン酸を0.075質量%含有した4−メチル−2−ペンタノールを調製し、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより保護膜剥離液を調製した。
[評価方法]:
上記のように調製された感放射線性樹脂組成物、保護膜形成用塗工液及び保護膜剥離液を用いて、以下のような評価を行った。
(1)強制ウォーターマーク試験:
コータ/デベロッパ(1)(商品名:CLEAN TRACK ACT8、東京エレクトロン社製)を用い、8インチシリコンウェハ上に、反射防止膜形成剤(商品名:ARC29A、ブルワー・サイエンス社製)をスピンコートし、205℃、60秒の条件でPBを行うことにより、膜厚77nmの反射防止膜を形成した。次いで、その反射防止膜の表面に、前記感放射線性樹脂組成物からなる塗工液をスピンコートし、115℃、60秒の条件で、PBを行うことにより、膜厚150nmのフォトレジスト膜を形成した。更に、そのフォトレジスト膜の表面に、前記保護膜形成用塗工液をスピンコートし、90℃、60秒の条件でPBを行うことにより、膜厚90nmの保護膜を形成した。
次いで、保護膜が形成されたフォトレジスト膜を、ArF投影露光装置(商品名:S306C、ニコン社製)で、NA:0.78、シグマ:0.85、2/3Annの光学条件にて露光を行ない、試験用ウェハを作成した。その後、ピペットを用いて0.3uLの水滴を4箇所、そのウェハの表面にマークし10分間乾燥させた。
実施例1においては、予め、前記保護膜剥離液にて保護膜を剥離し、前記コータ/デベロッパ(1)のホットプレートにて、115℃、60秒の条件でPEBを行い、同コータ/デベロッパ(1)のLDノズルにて60秒間パドル現像した後、超純水にてリンスし、更に、回転数4000rpmで15秒間振り切り、スピンドライした。
一方、比較例1に関しては、保護膜を剥離せずに実施例1と同様の条件でPEBを行った後、フォトレジスト膜のアルカリ現像時に保護膜を剥離した。このようにして形成されたレジストパターンを目視し、ピペットで水滴をマークした位置に液滴痕(ウォーターマーク)が残っていない場合を「良好」、残っている場合を「不良」と判断した。この結果を表1に示す。
Figure 2007125971
(2)感度:
コータ/デベロッパ(2)(商品名:CLEAN TRACK ACT12、東京エレクトロン社製)を用い、12インチシリコンウェハ上に、反射防止膜形成剤(商品名:ARC29A、ブルワー・サイエンス社製)をスピンコートし、205℃、60秒の条件でPBを行うことにより、膜厚77nmの反射防止膜を形成した。このものを基板として用いた。
次いで、基板の反射防止膜の表面に、前記感放射線性樹脂組成物からなる塗工液をスピンコートし、115℃、60秒の条件で、PBを行うことにより、膜厚150nmのフォトレジスト膜を形成した。更に、そのフォトレジスト膜の表面に、前記保護膜形成用塗工液をスピンコートし、90℃、60秒の条件でPBを行うことにより、膜厚90nmの保護膜を形成した。次いで、保護膜が形成されたフォトレジスト膜を、ArFエキシマレーザー露光装置(商品名:TWIN SCAN XT1250i、ASML社製、証明条件;NA0.85、シグマ0.93/0.69)を用い、マスクパターンを介して露光させた。
その後、実施例1においては、予め、前記保護膜剥離液にて保護膜を剥離し、115℃、60秒の条件でPEBを行い、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で30秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。
比較例1に関しては、保護膜を剥離せずに実施例1と同様の条件でPEBを行った後、フォトレジスト膜のアルカリ現像時に保護膜を剥離した。このようにして形成されたレジストパターンについて、線幅65nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度とした。なお、この測定には走査型電子顕微鏡(商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。その結果を表1に示す。
(3)パターン不良欠陥検査:
コータ/デベロッパ(2)(商品名:CLEAN TRACK ACT12、東京エレクトロン社製)を用い、12インチシリコンウェハ上に、反射防止膜形成剤(商品名:ARC29A、ブルワー・サイエンス社製)をスピンコートし、205℃、60秒の条件でPBを行うことにより、膜厚77nmの反射防止膜を形成した。このものを基板として用いた。
前記基板の表面に、感放射線性樹脂組成物(商品名:ArF AR2014J、JSR社製)のパターニングを実施した。前期感放射線性樹脂組成物は、前記基板の表面にスピンコートし、115℃、60秒の条件でPBを行うことにより、膜厚150nmのフォトレジスト膜を形成した。そのフォトレジスト膜の表面に、前記保護膜形成用塗工液をスピンコートし、90℃、60秒の条件でPBを行うことにより、膜厚32nmの保護膜を形成した。
この保護膜が形成されたフォトレジスト膜を、ArFエキシマレーザー露光装置(商品名:TWIN SCAN XT1250i、ASML社製、証明条件;NA0.85、シグマ0.93/0.69)を用いて、マスクパターンを介して露光させた。
その後、実施例1においては前記保護膜剥離液にて保護膜を剥離し、コータ/デベロッパ(2)のホットプレートにて、115℃、60秒の条件でPEBを行い、コータ/デベロッパ(2)のLDノズルにて30秒間パドル現像し、超純水にてリンスした後、回転数3000rpmで15秒間振り切り、スピンドライした。
比較例1に関しては、保護膜を剥離せずに実施例1と同様の条件でPEBを行った後、フォトレジスト膜のアルカリ現像時に保護膜を剥離した。
このようにして形成されたレジストパターンを、一般名:欠陥検査装置(商品名:KLA2351、KLA−Tencor社製)を用いてウェハの欠陥検査を実施し、検出された欠陥を走査型電子顕微鏡(商品名:S−9360、日立計測器社製)で観察し、パターン不良欠陥(具体的にはパターン細り或いは太り欠陥)の存在を確認した。このパターン不良欠陥が検出されたものを「不良」、検出されなかったものを「良好」とした。その結果を表1に示す。
(4)パターン形状:
65nmライン・アンド・スペースパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡(商品名:S−4800、日立ハイテクノロジーズ社製)にて観察し、図1に示すように、レジストパターンの中間での線幅Lbと、膜の上部での線幅Laを測り、0.65≦(La−Lb)/Lb≦1.1の範囲を「良好」とし、それ以外を「不良」として評価した。その結果を表1に示す。
[評価結果]:
表1のデータから明らかなように、保護膜をフォトレジスト膜の表面から剥離させた後に、露光後加熱処理及び現像を行った実施例1のレジストパターンは、感度、パターン形状のいずれの試験においても良好な結果を示した。また、ウォーターマークやパターン不良等の欠陥も認められなかった。
その一方、露光後加熱処理の後、現像の前に保護膜をフォトレジスト膜の表面から剥離させた比較例1のレジストパターンは、感度、パターン形状については良好な結果を示したものの、ウォーターマークやパターン不良等の欠陥が発生した。
本発明のレジストパターン形成方法は、液浸露光時に保護膜の表面に多数の水滴が残存したとしてもPEB前の保護膜剥離の際に除去されるので、この水滴に起因するウォーターマーク欠陥やパターン不良欠陥の発生を効果的に抑制することができる。従って、微細加工の分野、特に、微細化、高精細化、高集積化が急激に進展しつつある半導体デバイス等の集積回路素子の製造に好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 空気より屈折率の高い液体(液浸液)を介在させた状態でフォトレジスト膜に対して放射線を照射することにより、そのフォトレジスト膜を露光させる液浸露光の工程を備えたレジストパターン形成方法であって、
    基板の表面に前記フォトレジスト膜を形成し、
    そのフォトレジスト膜の表面に前記液浸液に対して耐性のある保護膜を形成し、
    前記液浸液を介在させた状態でフォトレジスト膜に対して放射線を照射することにより、前記フォトレジスト膜を露光させ、
    前記保護膜を前記フォトレジスト膜の表面から剥離させた後に、露光後加熱処理及び現像を行って、レジストパターンを得るレジストパターン形成方法。
  2. 前記保護膜を脂溶性樹脂により形成し、有機溶剤を用いて前記保護膜の剥離を行う請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
  3. 前記保護膜を形成する前記脂溶性樹脂が、下記一般式(1)及び下記一般式(2)からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む重合体を構成成分とするものである請求項2に記載のレジストパターン形成方法。
    Figure 2007125971
    〔但し、一般式(1)又は(2)において、Rは水素、メチル基又はトリフルオロメチル基、Rは二価の有機基、Rは炭素数4〜20の脂環式炭化水素基又はその誘導体を示す。〕
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