JPWO2007099736A1 - マイクロ検査チップ、光学的検出装置およびマイクロ総合分析システム - Google Patents

マイクロ検査チップ、光学的検出装置およびマイクロ総合分析システム Download PDF

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Abstract

微細流路の検出部におけるアナライトと試薬との反応を最適温度にて進行させることを可能にするマイクロ検査チップまたは光学的検出装置を提供する。本発明によるマイクロ検査チップは、アナライトと試薬との反応を光学的検出装置により検出するための部位(検出部)が少なくとも存在する微細流路を有し、かつチップ表面に加熱手段を備えたマイクロ検査チップであって、該検出部は該加熱手段により加熱されることを特徴とする。また、本発明による光学的検出装置は、少なくとも、光源と、光検出器と、アナライトと試薬との反応を光学的に検出するための部位(検出部)が少なくとも存在する微細流路を有するマイクロ検査チップに当接し、該検出部を加熱することが可能である加熱手段とを備えることを特徴とする。

Description

本発明は、マイクロ検査チップ、光学的検出装置およびマイクロ総合分析システムに関し、特に、検出部におけるアナライトと試薬との反応を最適温度にて進行させることを可能にするマイクロ検査チップまたは光学的検出装置、および、そのようなマイクロ検査チップまたは光学的検出装置を用いることにより効率的に、かつ高精度で光学的検出が行えるマイクロ総合分析システムに関する。
近年、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、従来の試料調製、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサーなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステムが開発されている(特許文献1参照)。これは、μ−TAS(Micro total Analysis System:マイクロ総合分析システム)、バイオリアクタ、ラブ・オン・チップ(Lab−on−chips)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査・診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。現実には遺伝子検査に見られるように、煩雑な工程、熟練した手技、機器類の操作が必要とされる場合には、自動化、高速化および簡便化されたマイクロ総合分析システムは、コスト、必要試料量、所要時間のみならず、時間および場所を選ばない分析を可能とすることによる恩恵は多大と言える。
各種の分析、検査ではこれらの分析用チップにおける分析の定量性、解析の精度、経済性などが重要視される。そのためシンプルな構成で、高い信頼性の送液システムを確立することが課題である。精度が高く、信頼性に優れるマイクロ流体制御素子が求められており、好適なマイクロポンプシステムおよびその制御方法を本発明者らはすでに提案している(特許文献2〜4参照)。
上記のチップには、検体および試薬の収容部、試薬の混合部、反応部、検出部およびこれらを連通する流路などを含む一連の微細流路が形成されているが、μ−TASでは、該検出部にアナライトが存在する場合、アナライトと試薬との反応を光学的検出装置により検出する、すなわち、アナライトと試薬との反応により生成される生成物の存在を、例えば可視光の吸光分析により検出することができる。
このアナライトと試薬との反応は、数段階になることもあるが、最適な温度条件にて反応させることが望ましい。しかし従来、このような反応は常温にて行われており、反応の進行が非効率的であった。また、マイクロチップに別途の加熱部材を当接して最適温度まで昇温させることも可能であったが、光が検出部を透過できるよう、光学的検出を行う際には加熱部材を検出部の上面または下面から移動させる必要があり、装置の複雑化を招いていた。
特開2004−028589号公報 特開2001−322099号公報 特開2004−108285号公報 特開2004−270537号公報
本発明は上述の問題に鑑みてなされたものであり、検出部におけるアナライトと試薬との反応を最適温度にて進行させることを可能にするマイクロ検査チップまたは光学的検出装置を提供することを目的とする。また、そのようなマイクロ検査チップまたは光学的検出装置を用いることにより効率的に、かつ高精度で光学的検出が行えるマイクロ総合分析システムを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様として、
アナライトと試薬との反応を光学的検出装置により検出するための部位(検出部)が少なくとも存在する微細流路を有し、かつチップ表面に加熱手段を備えたマイクロ検査チップであって、該検出部は該加熱手段により加熱されることを特徴とするマイクロ検査チップが提供される。
この第1の態様における加熱手段は、通電することにより加熱させることが可能な発熱抵抗体から構成されることが好ましく、光学的検出装置の光源から照射される光が検出部を通過し光検出器に受光される光路(検出用光路)を遮らない位置に配置されることが望ましい。また、この発熱抵抗体は透明導電膜からなることがさらに好ましい。
本発明の第2の態様として、
少なくとも、光源と、光検出器と、アナライトと試薬との反応を光学的に検出するための部位(検出部)が少なくとも存在する微細流路を有するマイクロ検査チップに当接し、該検出部を加熱することが可能である加熱手段とを備えることを特徴とする光学的検出装置が提供される。
この第2の態様における加熱手段は、通電することにより加熱させることが可能な発熱抵抗体から構成されることが好ましく、光学的検出装置の光源から照射される光が検出部を通過し光検出器に受光される光路(検出用光路)を遮らない位置に当接することが望ましい。また、この発熱抵抗体は透明導電膜からなることがさらに好ましい。
上記の本発明の第1および第2の態様により、さらに、下記の2つの態様のマイクロ総合分析システムが提供される。
すなわち、本発明の第3の態様として、
請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載のマイクロ検査チップと、システム装置本体とを備えたマイクロ総合分析システムであって、
該システム装置本体は、少なくとも、
該チップに連通させるための流路開口を有するチップ接続部およびマイクロポンプとを含むマイクロポンプユニットと、光学的検出装置と、該マイクロポンプユニットの機能および該光学的検出装置の機能を制御する手段と、請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載のマイクロ検査チップに備えられた加熱手段の機能を制御する手段とを備えたマイクロ総合分析システムが提供される。
また、本発明の第4の態様として、
マイクロ検査チップと、システム装置本体とを備えたマイクロ総合分析システムであって、
該システム装置本体は、少なくとも
該チップに連通させるための流路開口を有するチップ接続部およびマイクロポンプとを含むマイクロポンプユニットと、請求の範囲第5項〜第8項のいずれかに記載の光学的検出装置と、該マイクロポンプユニットの機能および該光学的検出装置の機能を制御する手段とを備えたマイクロ総合分析システムが提供される。
上記のマイクロ総合分析システムにおけるマイクロポンプとしては、
流路抵抗が差圧に応じて変化する第1流路と、差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合が第1流路よりも小さい第2流路と、第1流路および第2流路に接続された加圧室と、該加圧室の内部圧力を変化させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動する駆動装置とを備えるマイクロポンプが好適である。
本発明によれば、適切な温度にてアナライトと試薬とを検出部で反応させることができるようになり、加熱のために用いられる部材を検出の際に移動させる必要もない。そのため、簡明な機構にて、マイクロ総合分析システムにおけるアナライトの検出を効率的に、高精度で行うことが可能となる。
図1は、マイクロ総合分析システムの一実施形態における概略構成を示す図である。 図2(a)は、ピエゾポンプの一例を示した断面図、図2(b)は、その上面図である。 図3(a)は、マイクロ検査チップの表面における加熱手段(例えば発熱抵抗体)の設置の態様を示した上面図である。図3(b)は、発熱抵抗体として透明導電膜を用いた場合に可能な設置の態様を示した上面図である。なお、これらの図における微細流路は図7における検出部周辺を拡大したものである。 図4(a)は、マイクロ検査チップの上面および下面に加熱手段を設置した場合の態様を示した断面図である。図4(b)は、発熱抵抗体として透明導電膜を用いた場合に可能な設置の態様を示した断面図である。 図5(a)は、光学的検出装置における加熱手段の設置の態様を示した断面図である。図5(b)は、発熱抵抗体として透明導電膜を用いた場合に可能な設置の態様を示した断面図である。 図6は、マイクロ検査チップにおける微細流路の構成の一実施態様を示す図である。 図7は、マイクロ検査チップの微細流路のより具体的な一態様を示す図である。
符号の説明
1 システム装置本体
2 マイクロ検査チップ
3 冷却手段
4 加熱手段
5 光検出器
6 光源
7 光学的検出装置
9 マイクロポンプユニット
10 駆動液タンク
11 マイクロポンプ
12 ポンプ接続部
13 送液制御部
15,15a〜15g 微細流路
16 逆止弁
17,17a 試薬貯留部
17b 検体貯留部
18a〜18c 試薬収容部
20 検体収容部
21a 反応停止液収容部
21b 変性液収容部
21c ハイブリダイゼーションバッファー収容部
21d 洗浄液収容部
21e 金コロイド収容部
21f プローブDNA収容部
21g インターナルコントロール用プローブDNA収容部
21h ポジティブコントロール収容部
21i ネガティブコントロール収容部
21j バッファー収容部
22,22a,22b 検出部
23 廃液貯留部
30a 金属膜
30b 透明導電膜
31 増幅部(反応部)
32 検体入口
33 レンズ
34 透明板(ガラス板、樹脂板)
41 上側基板
42 基板
43 振動板
44 圧電素子
45 加圧室
46 第1流路
47 第2流路
48 第1液室
49 第2液室
100 マイクロ総合分析システム
本明細書において、「マイクロ検査チップ」は、合成や検査など様々な用途に用いられるマイクロ総合分析システムにおけるチップのことであるが、特に生体物質を対象とした検査に用いられるものについては「検査チップ」と呼ぶこともある。「流路エレメント」とは、マイクロ検査チップに設置される機能部品をいう。「微細流路」は、本発明のマイクロ検査チップに形成された微小な溝状の流路のことであるが、この流路と連通している試薬類などの収容部、反応部もしくは検出部が、容量の大きい広幅の液溜め状に形成されている場合も、これらの部位を含めて「微細流路」ということがある。微細流路内を流れる流体は、実際は液体であることが多く、具体的には、各種の試薬類、試料液、変性剤液、洗浄液、駆動液などが該当する。「遺伝子」とは、何らかの機能を発現する遺伝情報を担うDNAまたはRNAをいうが、単に化学的実体であるDNA、RNAの形でいうこともある。分析対象である標的物質を「アナライト」ということもある。
本発明は、種々の実施の形態において、本発明の趣旨に沿って任意の変形、変更が可能であり、それらは本発明に含まれる。すなわち、本発明のマイクロ総合分析システムの全体または一部について、構造、構成、配置、形状形態、寸法、材質、方式、方法などを本発明の趣旨に合致する限り、種々のものにすることができる。
マイクロ総合分析システム
図1は、本発明のマイクロ総合分析システムの一実施形態における構成を示した概略図である。マイクロ総合分析システム100は、マイクロ検査チップ2以外の構成要素(分析に必要な装置類など)を一体化してシステム装置本体1とし、マイクロ検査チップ2をこのシステム装置本体1に着脱するように構成することが望ましい。
測定試料である検体の前処理、反応および検出などの一連の分析工程は、マイクロ検査チップ2において、例えばマイクロ検査チップ2に形成された微細流路内で行われる。まず、システム装置本体1に、チップ搬送トレイ上に載置されたマイクロ検査チップ2を装着する。分析に供する試料、検体は、予めマイクロ検査チップ2に収容しておいても、マイクロ検査チップ2をシステム装置本体1に装着してから収容してもよい。続いて、試料および試薬類の送液、前処理、混合に基づく所定の反応および光学的測定が、一連の連続的工程として自動的に実施され、測定データが、必要な条件、記録事項とともにファイル内に格納される形態が望ましい。
従来の分析チップでは、異なる分析または合成などを行う場合には、変更される内容に対応するマイクロ流体デバイスをその都度構成する必要があった。これとは異なり、本発明のマイクロ総合分析システム100では脱着可能なマイクロ検査チップ2のみ交換すればよい。各流路エレメントの制御変更も必要となる場合には、システム装置本体1に格納された制御プログラム等を適宜変更すればよい。
以下、システム装置本体1およびマイクロ検査チップ2についてさらに説明する。
システム装置本体1
システム装置本体1は、例えば、冷却手段3と、加熱手段4と、送液用のマイクロポンプ、駆動液タンク10およびチップ接続部を有するマイクロポンプユニット9と、それらの送液、温度、反応の各制御に関わる制御装置(図示せず)と、光学検出系(光検出器5、光源6など)を含む光学的検出装置7(図示せず)などとを構成要素として備えている。これらの構成要素はいずれも小型化され、システム装置本体1は持ち運びにも便利な形態であることが望ましい。これにより、場所および時間に制約されずにマイクロ総合分析システム100による分析を行うことが可能であり、その作業性、操作性も良好なものとなる。
マイクロポンプは通常システム装置本体1の内部に配置され、例えば、複数のマイクロポンプが1枚の基板上にフォトリソグラフィー技術により形成されたチップ状のポンプユニットとしてシステム装置本体に組み込まれていてもよい。このようなマイクロポンプユニット9は、マイクロ検査チップ2に連通させるための流路開口(ポート)を有するチップ接続部と、駆動液タンク10との接続部とを有する。マイクロ検査チップ2をシステム装置本体1に装着し、所定の形態で重ね合わせることにより、マイクロ検査チップ2のポンプ接続部とマイクロポンプユニット9のチップ接続部とが連結し、両者の流路が連通するようになっている。なお、別の態様として、マイクロポンプそのものをマイクロ検査チップ上に組み込むことも可能である。特にチップ上の流路が比較的単純であり、繰り返し使用を前提とするような目的または用途、例えば化学合成反応用のチップとする場合にはこの形態を採り得る。
マイクロポンプとしては、アクチュエータを設けた弁室の流出入孔に逆止弁を設けた逆止弁型のポンプなど各種のものが使用できるが、高精度の液量およびタイミングで送液することが可能なピエゾポンプを用いることが好適である。このピエゾポンプは、概略すると、流路抵抗が差圧に応じて変化する第1流路と、差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合が第1流路よりも小さい第2流路と、第1流路および第2流路に接続された加圧室と、該加圧室の内部圧力を変化させるアクチュエータと、該アクチュエータを駆動する駆動装置とを備えており、該アクチュエータの駆動電圧波形、電圧値、および周波数を変えることによって、液体の送液方向、送液速度を制御できるようになっている。このようなマイクロポンプおよびそれを用いたシステムを本発明者らはすでに提案しており、その詳細は特開2001−322099号公報、特開2004−108285号公報、特開2004−270537号公報などを参照することができる。
図2(a)は、ピエゾポンプの一例を示した断面図、図2(b)は、その上面図である。このマイクロポンプには、第1液室48、第1流路46、加圧室45、第2流路47、および第2液室49が形成された基板42と、基板42上に積層された上側基板41と、上側基板41上に積層された振動板43と、アクチュエータとして機能する振動板43の加圧室45と対向する側に積層された圧電素子44と、圧電素子44を駆動するための駆動部(図示せず)とが設けられている。この駆動部と、圧電素子44表面上の2つの電極とは、フレキシブル基板などによる配線で接続されており、かかる接続を通じて、当該駆動部の駆動回路によって圧電素子44に特定波形の電圧を印加する構成となっている。図2(a)および(b)には図示されていないが、第1液室48には、駆動液タンク10につながるポートが設けられており、その第1液室は「リザーバ」の役割を演じ、ポートで駆動液タンク10から駆動液の供給を受けている。第2液室49はマイクロポンプユニット9の流路を形成し、その流路の先にチップ接続部のポートがあり、マイクロ検査チップ2のポンプ接続部とつながる。
光学的検出装置7は、可視分光法、蛍光測光法などの検出方法に応じた態様を取りうるが、例えば可視分光法が適用される場合、光を照射する光源6(LEDなど)、透過光または反射光などを受光する光検出器5(フォト(ホト)ダイオードなど)、必要に応じてレンズ、光電子増倍菅、CCDカメラなどをその構成要素とすることができる。
冷却手段3および加熱手段4は、マイクロ検査チップの特定の部位(例えば反応工程が行われる微細流路など)に当接するよう配置され、これらの部位の冷却または加熱を行う。冷却手段3としては例えばペルチェ素子を用いることができ、加熱手段としては各種のヒータやペルチェ素子等を用いることができる。
マイクロポンプユニット、光学的検出装置などの各コンポーネントは、制御装置等の手段によりそれぞれの機能が制御される。なお、制御装置はコンポーネントと一体的であってもよく、別途にシステム装置本体1の内部に組み込まれていてもよい。また、一つの制御手段が複数のコンポーネントの機能を統合して制御してもよく、システム全体を統括的に制御支配するようにしてもよい。
例えば、マイクロポンプの制御装置は、送液の順序、容量、タイミングなどが適切に行われるために、それに応じた駆動電圧をマイクロポンプに供給するよう電気系統を制御する。光学的検出装置の制御装置であれば、光の照射方法などの制御だけでなく、さらに測定データの処理や記録などの機能を併せて受け持つことが望ましい。このような動作のための諸条件は、あらかじめプログラムの内容として設定しておき、マイクロ総合分析システム100に搭載されたマイクロコンピュータ等のソフトウェアに従って制御を行うことができる。
マイクロ検査チップ2
マイクロ検査チップ2は、一般に検査チップ、分析チップ、マイクロリアクタ・チップなどとも称されるものと同等である。通常、このチップの縦横のサイズは数十mm、高さは数mm程度である。マイクロ検査チップは、化学分析、各種検査、試料の処理・分離、化学合成などの用途に応じて、流路エレメントまたは構造部などを有する微細流路が機能的に適当な位置に微細加工技術により配設されている。また、上記の分析などを迅速に行うために望ましくは、必要とされる試薬類がチップの微細流路内に予め収容されている。このようなマイクロ検査チップ2は、ポンプ接続部を介してマイクロポンプユニット9に接続され、マイクロポンプユニット9から送り込まれる駆動液により、検体や試薬などの液体が微細流路内を送液される。
上記のマイクロ検査チップ2は、溝形成基板および被覆基板からなる基本的基板を構造として有する態様が好ましい。少なくとも溝形成基板には、ポンプ接続部、弁基部および液溜部(試薬収容部、検体収容部などの各収容部、反応部、検出部、廃液貯留部など)、送液制御部、逆流防止部、試薬定量部、混合部などの構造部を含む微細流路が形成されている。一方、被覆基板は、少なくとも溝形成基板における上記の構造部、流路および検出部を密着して覆う必要があり、溝形成基板の全面を覆っていてもよい。なお、微細流路はチップの片面のみに形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。
マイクロ検査チップ2は、加工成形性、非吸水性、耐薬品性、耐熱性、廉価性などに優れていることが望まれており、チップの構造、用途、検出方法などを考慮して、チップの材料を適切に選択することが求められる。その材料としては従来公知の様々なものが使用可能であり、個々の材料特性に応じて通常は1以上の材料を適宜組み合わせて、基板および流路エレメントが成形される。
例えば、多数の測定検体、とりわけ汚染、感染のリスクのある臨床検体を対象とするマイクロ検査チップ2は、ディスポーサブルタイプであることが望ましい。そのため、量産可能であり、軽量で衝撃に強く、焼却廃棄が容易なプラスチック樹脂、なかでも、透明性、機械的特性および成型性に優れて微細加工がしやすいポリスチレンが好ましく用いられる。また、ポリプロピレンはタンパク質の吸着が少なく、酸やアルカリなどの耐薬品性にも優れ、価格も安価であるため好ましく用いられる。
分析においてマイクロ検査チップ2を100℃近くまで加熱する必要がある場合には、耐熱性に優れる樹脂(例えばポリカーボネートなど)を用いることが好ましい。樹脂やガラスなどは熱伝導率が小さく、マイクロ検査チップの局所的に加熱される領域にこれらの材料を用いることにより、面方向への熱伝導が抑制され、加熱領域のみ選択的に加熱することができる。
また、微細流路の検出部では、蛍光物質または呈色反応の生成物などの光学的な検出が行われるため、少なくともこの部位の基板には光透過性の材料を用いる必要がある。光透過性の材料としては、アルカリガラス、石英ガラス、透明プラスチック類が使用可能であるが、透明プラスチック類が好ましい。
マイクロ検査チップの微細流路は、基板上に目的に応じて予め設計された流路配置に従って形成される。流体が流れる流路は、例えば幅数〜数百μm、好ましくは10〜500μm、深さ10〜1000μm程度、好ましくは10〜300μmに形成されるマイクロメーターオーダーの幅の微細流路である。流路幅が5μm未満であると、流路抵抗が増大し、流体の送出および検出上不都合である。幅500μmを超える流路ではマイクロスケール空間の利点が薄まる。
微細流路の形成方法は、従来の微細加工技術を用いることができるが、典型的にはフォトリソグラフィ技術が好適である。この技術により、感光性樹脂への微細構造の転写および不要部分の除去などが行われ、微細流路が形成される。この際の溝成形基板の材料となる感光性樹脂としては、サブミクロンの構造も正確に転写でき、機械的特性の良好なプラスチックが好ましく用いられる。ポリスチレン、ポリジメチルシロキサンなどは形状転写性に優れる。また、必要であれば射出成形、押し出し成形などによる加工を使用してもよい。
加熱手段4
〈マイクロ検査チップ2表面に備えられた加熱手段4〉
本発明の第1の態様では、マイクロ検査チップ2の微細流路における検出部(検体と試薬との反応を光学的に検出するための部位)は、マイクロ検査チップ2の表面に備えられた加熱手段4により加熱される。すなわち、マイクロ検査チップ2における当該部位の熱伝導により、加熱手段4は検出部を所望の温度にまで加熱することが可能である。
加熱手段4としては、より具体的には、例えば、別途の通電装置を用いて通電されることにより発熱する面状の発熱抵抗体、すなわちクロム、金、白金などの金属膜を用いることが好適である。金属膜は、真空蒸着、スパッタリングなどの公知の手法に従って、マイクロ検査チップ2の表面に所望の形状でパターニングすることが可能である。発熱は、パターニングされた金属膜の膜厚および線幅から決定される抵抗値、ならびに通電する電流値によりコントロールされる。
このような金属膜からなる発熱部材をマイクロ検査チップ2の表面に設けることにより、光学的検出装置7の光源6(LEDなど)から照射される光が検出部を通過し光検出器5(フォトダイオードなど)に受光される光路(検出用光路)が遮られることは適切ではない。そのために、この検出用光路に金属膜が位置しないように配置することが望ましい。
上記のような要件を満たす限り、検出部を適切に加熱することができるのであれば、金属膜の位置や形状などは適宜調整することが可能である。例えば、検出部22を環状に取り囲むような形状で金属膜30aを配置する態様が挙げられる(図3(a)参照)。また、金属膜30aをマイクロ検査チップの上面(光源6に近い側)または下面(光検出器5に近い側)のどちらに配置してもよく、両面に配置してもよい(図4(a)参照)。
さらに、加熱手段4として透明導電膜30bを用いることは特に好ましい。透明導電膜30bの材料としては公知のものを用いることができ、例えばITO(酸化インジウムに酸化スズを添加)、酸化亜鉛(酸化亜鉛に酸化アルミニウムや酸化ガリウムを添加)、酸化スズ(酸化スズに酸化アンチモンやフッ素をドープ)などが挙げられる。これらの材料により得られる導電膜は透明であり、可視光領域では光学的検出方法における充分な透過率が確保されることから、透明導電膜30bをマイクロ検査チップ2の検出部22および検出用光路を避けて成膜する必要がない(図3(b)、図4(b)参照)。そのため、マイクロ検査チップの製造が簡単になり、また、検出部22の適切な温度制御が求められる場合、検出部22を直接的に加熱できるため、より精度良く温度調節することが可能である。
〈光学的検出装置7に備えられた加熱手段4〉
本発明の第2の態様において、マイクロ検査チップ2の微細流路における検出部22は、光学的検出装置7に備えられた加熱手段4をマイクロ検査チップ2に当接させて加熱することにより、所望の温度にまで加熱される。
検出部22の透過光を測定する態様の光学的検出装置7の一例において、マイクロ検査チップ2の紙面上方に光源6が配置され、該チップを挟んで反対側の紙面下方に光検出器5が配置される(図1、図5(a)(b)参照)。また、光源6とマイクロ検査チップ2との間には、集光用のレンズ33が配置されることもある。このような態様においては、光検出器5の側に加熱手段を設け、マイクロ検査チップの下方に当接させるようにすることが好ましいが、光源の側に加熱手段を設けてもよい。
前記の通電することにより発熱する発熱抵抗体、すなわち金属膜30aは、光学的検出装置7に備えられた加熱手段においても好適に用いることができる。光学的検出装置7の光検出器5とマイクロ検査チップ2とは、検出精度などの理由によりあまり距離を空けることができないため、薄いシート状である金属膜30aは好ましい。なお、厚さに関する条件を満たすのであれば、上記の金属膜30aに熱伝導率の高い部材(例えばアルミニウム等の金属部材)を接続し、この部材をマイクロ検査チップ2に当接させるようにした加熱手段や、ペルチェ素子による加熱手段を用いることも可能である。
光学的検出装置7における加熱手段の位置については、前述のようなマイクロ検査チップ2表面に備えられた加熱手段の場合と同様のことがいえる。すなわち、前出の検出用光路を遮らない位置に金属膜30aを配置して当接させればよく(図5(a)参照)、また、加熱手段として透明導電膜30bを用いる場合は、検出用光路上に該透明導電膜30bが配置されてもよい。例えば、透明なガラス板または樹脂板の表面に透明導電膜30bを成膜し、この板を光検出器5の上に渡すようにして、マイクロ検査チップ2の検出部22に当接する位置に透明電動膜30bを配置させることが可能である(図5(b)参照)。
〈加熱手段の制御方法〉
上記の本発明の第1または第2の態様における加熱手段4として金属膜30aや透明導電膜30b等の発熱抵抗体を用いる場合、マイクロ総合分析システム100において別途の通電装置が必要とされる。例えば上記の第1の態様においては、システム装置本体にマイクロ検査チップを装着した際、該チップの表面の発熱抵抗体に通電装置が接触できればよい。また、上記の第2の態様においても、光学的検出装置の発熱抵抗体に通電装置が接触できればよい。
本発明のマイクロ総合分析システム100において、検出部22の適切な温度調節を可能とするためには、マイクロ検査チップ2の表面または光学的検出装置7に備えられた加熱手段4に温度センサが接続され、この温度センサにはさらに、加熱動作に関する制御プログラムが格納されたメモリを有するコントローラが接続されることが望ましい。すなわち、温度センサ、コントローラ、通電装置などにより構成される制御装置は、計測された温度に基づき、また、制御プログラムが定める設定温度や加熱のタイミングなどに従って加熱手段4への通電等を制御し、これにより検出部22の温度は適切に調節される。このような制御装置は、光学的検出装置7と一体的であってもよく、別途にシステム装置本体1に組み込まれていてもよい。
〈遺伝子検査の検出反応における加熱制御〉
以下、本発明のマイクロ検査チップ2または光学的検出装置7を用いることができる一つの実施形態として、所定のDNAをアナライトとし、このDNAを増幅させた後に金コロイドを用いた光学的な手法により検出する場合を挙げながら、検出部22の温度調節について説明するが、本発明による作用効果はこのような実施形態における場合のみに限定されるものではない。
遺伝子検査用のマイクロ検査チップ2においては、まず、検体もしくは検体から抽出したDNA、あるいは検体もしくは検体から抽出したRNAから逆転写反応により合成したcDNAと、5’位置でビオチン修飾したプライマーとを、これらの収容部から下流の微細流路へ送液し、反応部内で遺伝子を増幅試薬と反応させ増幅させる。続いて、増幅された遺伝子を含む増幅反応液と変性液とを微細流路内で混合して、増幅された遺伝子を変性処理により一本鎖にする。
続いて、一般的には以下の工程を有する一連の「検出反応」が行われる。
工程(1)あらかじめビオチン親和性タンパク質(アビジン、ストレプトアビジンなど)が流路表面に吸着され固定化されている検出部22に、上記の一本鎖DNAを送液する。ビオチン親和性タンパク質は、遺伝子増幅反応に使用されたプライマーの5’末端に標識されたビオチンと特異的に結合する。これにより、ビオチンで標識された一本鎖DNAは検出部22にトラップされる。
工程(2)検出部22に末端をFITC(fluorescein isothiocyanate)で蛍光標識したプローブDNAを含有する試薬を送液し、このプローブDNAと上記工程(1)により得られた一本鎖DNAとをハイブリダイズさせる。これにより、一本鎖DNAにビオチンおよびFITCが結合した状態となる。
工程(3)FITCに特異的に結合する抗FITC抗体で表面を修飾した金コロイド試薬を検出部22に送液し、微細流路表面に固定化されたDNAにハイブリダイズしたFITC修飾プローブに、この金コロイドを抗原抗体反応に基づき吸着させる。
これらの検出反応が完了した後に、検出部22に光源6から光を照射し、光検出器5により検出された光量から、上記の検出反応による反応生成物に結合している金コロイドの濃度を測定することができる。例えば、粒径が20nm程度の金コロイドは560nm付近に吸収極大をもつ。したがって、光源6から波長が560nm近傍である光(赤色光)を照射した場合、上記の検出反応による反応生成物に結合している金コロイドの濃度に応じて光検出器5の受光する光量が減少するため、その濃度を算出することが可能である。これにより、アナライトの存在とその量を検出することが可能である。
ここで、上記の検出反応における工程(1)〜(3)にはそれぞれ最適な反応温度が存在し、例えば、工程(1)は42℃程度、工程(2)は50℃程度、工程(3)は42℃程度である。ストレプトアビジンや抗FITC抗体などのタンパク質は熱に弱いため工程(1)および(3)では過剰な加熱は避けなくてはならず、また、工程(2)のハイブリダイゼーション反応は50℃付近で最も反応が進む。したがって、検出反応を効率よく行い、高精度でアナライトを検出するためには、それぞれの工程において最適な温度となるよう検出部22の加熱を制御することが求められる。
前述のような、本発明による表面に加熱手段4を備えたマイクロ検査チップ2、または加熱手段4を備えた光学的検出装置7は、マイクロ検査チップ2の検出部22の温度を工程ごとに調節することができるため、検出部22における検出反応の各工程をそれぞれ適切な温度条件で行い、効率的に遺伝子検査を行うことが可能となる。
分析の実施態様
以下、マイクロ総合分析システム100の実施形態について、主に遺伝子検査における態様を用いながらさらに説明するが、実施形態はこれらに限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更が可能である。
本発明のマイクロ総合分析システム100は、特に遺伝子または核酸(DNA、RNA)を対象とした検査(遺伝子検査)に好適に用いることができる。より具体的な遺伝子検査の態様の一つとしては、検体中に感染病の原因ウィルス、細菌、微生物等が含まれているかを判定し、あるいは存在するそれらの種を同定する検査が挙げられる。例えば、特定の細菌が有する遺伝子(所定の塩基配列を有するDNAまたはRNA)をプライマーに用いて、マイクロ検査チップ2で遺伝子増幅反応を行うことにより、検体中にその細菌が存在する場合は大量のDNAまたはRNAが複製され、これを検出することが可能である。また、特定の疾患に対する罹患感受性を示す遺伝子素因や、医薬に対する副作用などに関与する遺伝子変異などの有無を、それらに対応する遺伝子をプライマーに用いることにより判定することも、遺伝子検査の一態様である。
本発明のマイクロ検査チップを用いたマイクロ総合分析システム100による遺伝子検査は、その構成と分析原理から、従来に比べてはるかに少ない検体量、僅かな手間と簡便な操作により、高い精度の結果を得ることができる。そのため、遺伝子の種々の解析が行われる臨床検査・診断、医薬スクリーニング、医薬、農薬あるいは各種化学物質の安全性・毒性の検査、環境分析、食品検査、法医学、科学、醸造、漁業、畜産、農産製造、農林業等で好適に利用することができる。
〈微細流路の概要〉
マイクロ検査チップの微細流路は、遺伝子検査のために用いられる場合、PCR(Polymerase chain reaction)法またはICAN(Isothermal chimera primer initiated nucleic acid amplification)法(タカラバイオ(株)、登録商標)による遺伝子増幅反応や、金コロイドを用いた光学的な検出方法に適した構成とされる。
なお、遺伝子検査以外の生体物質についても基本的な流路構成はほぼ同一になるといえる。通常は検体前処理部、試薬類、プローブ類を変更すればよく、その場合、送液エレメントの配置、数などは変化するであろう。当業者であれば、例えばイムノアッセイ法のために必要な試薬類などをマイクロ検査チップに搭載し、若干の流路エレメントの変更、仕様の変更を含む修正を施すことにより、分析の種類を容易に変更することができる。ここにいう遺伝子以外の生体物質とは、各種の代謝物質、ホルモン、タンパク質(酵素、抗原なども含む)などをいう。
図6は、マイクロ検査チップ2における微細流路の構成についての一実施態様を示す。また、図7は、マイクロ検査チップ2の微細流路のより具体的な一態様を示す。以下、微細流路の概要について、図6の態様のマイクロ検査チップ2における遺伝子検査の進行過程を例に挙げながら説明する。
マイクロ検査チップ2のポンプ接続部12を介して接続されたマイクロポンプ11は、駆動液を流路開口から微細流路に送り込む。これにより、試薬収容部18a〜cに収容された試薬は流路15a〜dへ送液される。一方、検体収容部20に収容された検体もしくは検体から抽出したアナライト(例えばDNAなど)も同様に、駆動液により送液される。これらの試薬および検体は合流し、混合しながら流下し、微細流路の反応部15eにて遺伝子増幅反応が行われる。その後、この反応液に変性液収容部21bに収容された変性液を合流させて増幅されたDNAを一本鎖化処理し、処理液を反応部15eの下流側にある検出部22aへ送液する。この処理液にプローブ収容部21dに収容されたプローブDNAと、金コロイド収容部21eに収容された金コロイドとを合流させ、DNA、プローブDNAおよび金コロイドを結合させ、検出部22aにおいてこの反応生成物に基づいた生体物質の検出を行う。また、ポジティブコントロール収容部21hに収容されたポジティブコントロールおよびネガティブコントロール収容部21iに収容されたネガティブコントロールについても、上記と同様にして反応および検出を行う。
〈検体および試薬〉
遺伝子検査において対象となる検体は、DNAまたはRNAを含有する試料であり、例えば、全血、血漿、血清、バフィーコート、尿、糞便、唾液、喀痰などの生体由来の試料、ウィルス、細菌、カビ、酵母、動植物の細胞などが挙げられる。また、これらの試料から従来技術により単離したDNAまたはRNAをアナライトとして用いてもよい。
このような検体またはアナライトは検査に際してマイクロ検査チップ2の検体収容部に一時収容され、その後混合部に供給されることにより検査される。検体の収容は、例えば検体収容部の上面に設けられた、検体収容部と連通している検体注入部から行う。この検体注入部は、ゴム状材質などの弾性体からなる栓が形成されているか、あるいはポリジメチルシロキサン(PDMS)などの樹脂、強化フィルムで覆われていることが望ましい。例えば、当該ゴム材質の栓を突き刺したニードルまたは蓋付き細孔を通したニードルでシリンジ内の検体を注入する。
必要とされる検体の量は、従来の装置を使用して行う手作業の場合に比べて極めて少なくてすむ。例えば、縦横の長さが数cmのチップに対しては、2〜3mm程度の血液検体を注入するだけでよい。DNAとしては、0.001〜100ngである。
また、検体収容部に注入された検体に対しては、必要に応じて、試薬との混合前に予め前処理を行ってもよい。好ましい検体前処理として、アナライトの分離または濃縮、除タンパクなどが含まれる。例えば、1%SDS混合液などの溶菌剤を用いて溶菌を行い、放出されたDNAをビーズ、吸着用樹脂またはフィルターの膜面に吸着させるDNA抽出処理が挙げられる。このような検体前処理は、微細流路に検体前処理部を設けて行うことが可能である。
一方、マイクロ検査チップ2の試薬収容部には、目的とする反応方法や検出方法に応じた必要な試薬類が予め所定の量だけ封入されている。したがって使用時にその都度、試薬を必要量充填する必要はなく、即使用可能の状態になっている。なお、試薬類の収容は、マイクロ検査チップの製造時に、検体の場合と同様に、例えば試薬収容部の上面に設けられた試薬収容部と連通している試薬注入部から行うことができ、その後、蒸発、漏失、気泡の混入、汚染、変性などを防止するために密封処理がなされる。
検体中の生体物質を分析する場合に必要な試薬類は、従来と同じものである。例えば、検体に存在する抗原を分析する場合、それに対する抗体(好ましくはモノクローナル抗体)を含有する試薬が使用される。抗体は、好ましくはビオチンおよびFITCで標識されている。遺伝子検査用の試薬類としては、遺伝子増幅に用いられる各種試薬、検出に使用されるプローブ類、発色試薬などが挙げられ、必要であれば、前記の検体前処理に使用する前処理試薬も含まれる。また、洗浄液や変性処理液なども試薬として各収容部に収容される。
〈送液による混合および反応〉
マイクロ総合分析システム100においては、マイクロ検査チップ2の各収容部に収容された検体、試薬などを、マイクロポンプから供給される駆動液で押し出して送液し、これらを合流、混合させることにより、遺伝子増幅反応、アナライトのトラップまたは抗原抗体反応といった分析に必要な反応が開始される。
試薬と試薬との混合、または検体と試薬との混合は、単一の混合部で所望の比率で混合してもよく、あるいは何れかもしくは両方を分割して複数の合流部を設け、最終的に所望の混合比率となるように混合してもよい。
そうした合流および反応のための微細流路の態様は特に限定されるものではなく、様々な形態および様式が考えられる。一例としては、試薬を含む2以上の液体をやや幅広い流路である合流部(流路分岐点)にて合流させ、続いて合流部の下流の微細流路にて各液を拡散混合させ、さらにこの微細流路の下流側端部から先に設けられた、該微細流路よりも広幅の空間からなる流路(反応部)にてPCR法などによる遺伝子増幅反応を行うようにすることができる。
マイクロ総合分析システム100における遺伝子増幅方法としては、例えば、改良点も含めて各種文献などに記載され、多方面で盛んに利用されているPCR法を使用することができる。PCR法では3つの温度間で昇降させる温度管理が必要になるが、適切な装置を使用してマイクロ検査チップ2の温度制御を行えばよい。マイクロ検査チップの微細流路においては熱サイクルを高速に切り替えることが可能であり、遺伝子の増幅を手作業で行うよりもはるかに短時間で行うことができる。また、近年開発されたICAN法は、50〜65℃における任意の一定温度の下に遺伝子増幅を短時間で実施できるため(特許第3433929号)、本発明システムにおいても好適な増幅技術である。
上記の方法により増幅された遺伝子の検出方法は、公知の光学的な検出手法を用いることができるが、金コロイドを利用した光学的検出法が好適である。蛍光色素(例えばFITC、RITC、NBD、Cy3、Cy5など)の蛍光を測定する手法を用いることも可能であるが、蛍光色素の光褪色、バックグラウンドノイズなどを考慮する必要がある、一方、金コロイドを利用した場合は可視光により高感度で測定でき、妨害因子が少なくデータ処理も容易であり、また、可視光の吸光分析に用いられる機器は蛍光分析のものよりも汎用的であるなどの点で好ましい。
金コロイドを利用する検出手法は以下の通りである。ビオチン親和性タンパク質(例えばアビジン)が微細流路表面に固定化された検出部において、ビオチン増幅された一本鎖DNAと、これと相補的であり、FITCで標識されたプローブDNAと、抗FITC抗体が結合した金コロイドとを反応させ、検出部にトラップされた一本鎖DNAを金コロイドで標識する。続いて、この検出部に光を照射すると、検出部に金コロイドが存在する(すなわちアナライトであるDNAが存在する)場合は光の一部が金コロイドに吸収されるので、検出部を透過した光量を測定することによりアナライトを検出することを可能とするものである。また、検体に存在する抗原、代謝物質、ホルモンなどをアナライトとする場合も、これらのアナライトに対して特異的な抗体(好ましくはモノクローナル抗体)をプローブとして用いることにより、遺伝子検査の場合と同様に検出することができる。
なお、ビオチン親和性タンパク質の微細流路表面への固定化は、特別な化学的処置を必要とせずに行うことができる。例えば、アビジン、ストレプトアビジンなどのビオチン親和性タンパク質をSSC緩衝液または生理食塩水に溶解して、10〜35×10−9g/mm、好ましくは20〜30×10−9g/mmの濃度の溶液を調製し、マイクロ検査チップの製造時にこれをポリスチレン基板の表面に形成された微細流路(検出部)に適用することにより、該ビオチン親和性タンパク質は吸着して固定化される。

Claims (10)

  1. アナライトと試薬との反応生成物を検出するためのマイクロ検査チップにおいて、
    前記反応生成物を光学的に検出するための検出部を有する微細流路と、
    前記マイクロ検査チップのチップ表面に配置された加熱手段とを備え、
    前記検出部は、前記加熱手段によって加熱されることを特徴とするマイクロ検査チップ。
  2. 前記加熱手段は、通電することにより加熱させることが可能な発熱抵抗体から構成されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のマイクロ検査チップ。
  3. 前記加熱手段は、光学的検出装置の備える光源から照射される光が検出部を通過し、光学的検出装置の備える光検出器に受光されるための検出用光路を遮らない位置に配置されることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のマイクロ検査チップ。
  4. 前記加熱手段は透明導電膜からなることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のマイクロ検査チップ。
  5. 光源と、
    光検出器とを備えた光学的検出装置において、
    アナライトと試薬との反応生成物を光学的に検出するための検出部を有する微細流路を備えたマイクロ検査チップの表面に当接し、前記検出部を加熱することが可能である加熱手段とを備えたことを特徴とする光学的検出装置。
  6. 前記加熱手段は、通電することにより加熱させることが可能な発熱抵抗体から構成されることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の光学的検出装置。
  7. 前記加熱手段は、マイクロ検査チップの表面の、前記光源から照射される光がマイクロ検査チップが備える検出部を通過し、前記光検出器に受光される検出用光路を遮らない位置に当接することを特徴とする請求の範囲第5項または第6項に記載の光学的検出装置。
  8. 前記加熱手段は透明導電膜からなることを特徴とする請求の範囲第5項または第6項に記載の光学的検出装置。
  9. 請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1項に記載のマイクロ検査チップと、
    システム装置本体とを備えたマイクロ総合分析システムにおいて、
    該システム装置本体は、マイクロポンプおよび前記マイクロポンプを前記マイクロ検査チップの微細流路に連通させるための流路開口を有するチップ接続部を含むマイクロポンプユニットと、光学的検出装置と、前記マイクロポンプユニットおよび前記光学的検出装置を制御する手段と、前記マイクロ検査チップに備えられた加熱手段の機能を制御する手段とを備え、
    前記マイクロポンプは、流路抵抗が差圧に応じて変化する第1流路と、差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合が前記第1流路よりも小さい第2流路と、前記第1流路および前記第2流路に接続された加圧室と、前記加圧室の内部圧力を変化させるアクチュエータと、前記アクチュエータを駆動する駆動装置とを備えることを特徴とするマイクロ総合分析システム。
  10. マイクロ検査チップと、
    システム装置本体とを備えたマイクロ総合分析システムにおいて、
    前記システム装置本体は、マイクロポンプおよび前記マイクロポンプを前記マイクロ検査チップの微細流路に連通させるための流路開口を有するチップ接続部を含むマイクロポンプユニットと、請求の範囲第5項〜第8項のいずれか1項に記載の光学的検出装置と、前記マイクロポンプユニットおよび前記光学的検出装置を制御する手段とを備え、
    前記マイクロポンプは、流路抵抗が差圧に応じて変化する第1流路と、差圧の変化に対する流路抵抗の変化割合が前記第1流路よりも小さい第2流路と、前記第1流路および前記第2流路に接続された加圧室と、前記加圧室の内部圧力を変化させるアクチュエータと、前記アクチュエータを駆動する駆動装置とを備えることを特徴とするマイクロ総合分析システム。
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