JPWO2007060975A1 - 光ディスク及び光ディスク装置 - Google Patents

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Abstract

本発明の光ディスク装置は、第1情報層(L0)及び第2情報層(L1)を含む複数の情報層を備える光ディスクに対してデータの記録及び再生の少なくも一方を実行することができる。この装置は、光ビームを集束する対物レンズと、対物レンズを駆動するレンズアクチュエータと、光ディスクで反射された光ビームを受け、電気信号に変換する受光部と、第1情報層(L0)からデータを読み出すために設定される第1パラメータ群および前記第2情報層(L1)からデータを読み出すために設定される第2パラメータ群の値を起動時に決定する制御部とを備える。制御部は、起動時において、第1パラメータ群の値を決定し、かつ、以前の起動時に設定された第1パラメータ群の値と以前の起動時に設定された第2パラメータ群の値との相関を表す相関情報、および今回の起動時に決定した前記第1パラメータ群の値を用いて第2パラメータ群の値を決定する。

Description

本発明は、円盤状の情報担体(以下、「光ディスク」と称する。)に対するデータの記録、および光ディスクに記録されたデータの再生の少なくとも一方を行う光ディスク装置に関する。特に本発明は、複数の情報層を備える光ディスクに対して迅速な起動処理を実行することのできる光ディスク装置、および当該光ディスク装置に用いられる光ディスクに関している。
光ディスクに記録されているデータは、比較的弱い一定の光量の光ビームを回転する光ディスクに照射し、光ディスクによって変調された反射光を検出することによって再生される。
再生専用の光ディスクには、光ディスクの製造段階でピットによる情報が予めスパイラル状に記録されている。これに対して、書き換え可能な光ディスクでは、スパイラル状のランドまたはグルーブを有するトラックが形成された基材表面に、光学的にデータの記録/再生が可能な記録材料膜が蒸着等の方法によって堆積されている。書き換え可能な光ディスクにデータを記録する場合は、記録すべきデータに応じて光量を変調した光ビームを光ディスクに照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
なお、ピットの深さ、トラックの深さ、および記録材料膜の厚さは、光ディスク基材の厚さに比べて小さい。このため、光ディスクにおいてデータが記録されている部分は、2次元的な面を構成しており、「記録面」と称される場合がある。本明細書では、このような記録面が深さ方向にも物理的な大きさを有していることを考慮し、「記録面」の語句を用いる代わりに、「情報層」の語句を用いることとする。一般の光ディスクは、このような情報層を少なくとも1つ有している。なお、1つの情報層が、現実には、相変化材料層や反射層などの複数の層を含んでいてもよい。
記録可能な光ディスクにデータを記録するとき、または、このような光ディスクに記録されているデータを再生するとき、光ビームが情報層における目標トラック上で常に所定の集束状態となる必要がある。このためには、「フォーカス制御」および「トラッキング制御」が必要となる。「フォーカス制御」は、光ビームの焦点の位置が常に情報層上に位置するように対物レンズの位置を情報記録面の法線方向に制御することである。一方、トラッキング制御とは、光ビームのスポットが所定のトラック上に位置するように対物レンズの位置を光ディスクの半径方向(以下、「ディスク径方向」と称する。)に制御することである。
従来、高密度・大容量の光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD−R、DVD+RW、DVD+R等の光ディスクが実用化されてきた。また、CD(Compact Disc)は今も普及している。現在は、これらの光ディスクよりもさらに高密度化・大容量化されたブルーレイディスク(Blu−ray Disc;BD)などの次世代光ディスクの開発・実用化が進められつつある。
これらの光ディスクは、その種類に応じて異なる多様な物理的構造を有している。例えば、トラックの物理的構造、トラックピッチ、情報層の深さ(光ディスクの光入射側表面から情報層までの距離)などが異なるものがある。このように物理的な構造の異なる複数種類の光ディスクから適切にデータを読み出し、あるいは、データを書き込むためには、光ディスクの種別に応じた開口数(NA)を有する光学系を用いて適切な波長の光ビームを光ディスクの情報層に照射する必要がある。
近年、大容量の記録媒体として厚さ方向に2層の情報層を持つ光ディスクが登場し、この光ディスクに対応した光ディスク装置が広く市場に出回るようになってきた。
光ディスクの記録・再生を行うために必要なサーボ制御・信号の最適な状態は、光ディスク装置や光ディスク毎の特性のばらつき、記録・再生を行う際の温度条件などによって異なる。このため、光ディスクの情報層の記録・再生を行う際には、「起動処理」と呼ばれるサーボ制御・信号の初期調整を所定の手順で行う必要がある。
起動処理を行うことにより、光ディスクの情報層の記録・再生を最適な状態で行うことが可能となる。しかし、情報層の数が増えると、情報層毎に初期調整が行われることになるため、起動処理に要する時間が増大し、実際の記録再生動作が可能となるまでのユーザの待ち時間が増大するという課題がある。
特許文献1では、上記課題を解決する技術を開示している。図23は、特許文献1に開示されている2層ディスクの起動処理の手順を示したフローチャートである。図23では、起動手順の中で特に調整に関する項目のみ示しており、ディスクモータのONやフォーカス制御のONなどのタイミングは、任意の設定可能なタイミングで行われるものとする。
図23のステップ701では、第1の情報層の調整を実施する。ステップ702では、第1の情報層から第2の情報層へのフォーカスジャンプ処理を行う。ステップ703では、第1の情報層の調整結果を第2の情報層の調整の初期値として設定する。ステップ704では、ステップ703で設定した値を初期値として、第2の情報層の調整を実施して、起動処理を終了する。
以上の起動手順によれば、情報層の特性に依存しない調整では、第1の情報層の調整結果と第2の情報層の調整結果が近い値になるため、第1の情報層の調整結果を初期値として第2の情報層の調整を行っている。その結果、第2の情報層の調整を短時間で行うことが可能となる。
特開2001−319332号公報
しかしながら、上記の従来技術では、各情報層の特性に依存した記録再生のパラメータを調整によって求めるとき、最適な調整結果が得られるまでの調整時間が長くなるという問題がある。調整の初期値を適切に選択した場合には、調整の収束時間の短縮効果は見込めるが、調整処理の内容自体は変わらないために、調整時間の短縮効果が不充分である。
本発明の目的は、積層された複数の情報層を備えるディスクの各情報層の再生および記録のいずれか一方を行うディスク装置であって、装置の電源投入後に短時間に起動を完了させ、再生または記録動作を速やかに開始することができるディスク装置を提供することにある。
本発明の光ディスク装置は、第1情報層及び第2情報層を含む複数の情報層を備える光ディスクに対してデータの記録及び再生の少なくも一方を実行することのできる光ディスク装置であって、光ビームを集束する対物レンズと、前記対物レンズを駆動するレンズアクチュエータと、前記光ディスクで反射された光ビームを受け、電気信号に変換する受光部と、前記第1情報層からデータを読み出すために設定される第1パラメータ群および前記第2情報層からデータを読み出すために設定される第2パラメータ群の値を起動時に決定する制御部とを備え、前記制御部は、起動時において、前記第1パラメータ群の値を決定し、かつ、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群の値と以前の起動時に設定された前記第2パラメータ群の値との相関を表す相関情報、および今回の起動時に決定した前記第1パラメータ群の値を用いて第2パラメータ群の値を決定する。
好ましい実施形態において、前記相関情報は、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群の値と以前の起動時に設定された前記第2パラメータ群の値との差分である。
好ましい実施形態において、前記制御部は、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を、前記光ディスクの前記第1情報層から取得する。
好ましい実施形態において、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を前記光ディスクのディスクID情報に関連付けて格納するメモリを備えており、前記制御部は、今回の起動時に前記第1パラメータ群の値を決定した後、前記光ディスクの第1情報層からディスクID情報を読み出させ、当該ディスクID情報に関連付けられている前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を前記メモリから取得する。
好ましい実施形態において、前記第1パラメータ群は、前記第1情報層からデータを再生するときに前記第1情報層上における光ビームの集束状態を規定するパラメータを含み、前記第2パラメータ群は、前記第2情報層からデータを再生するときに前記第2情報層上における光ビームの集束状態を規定するパラメータを含む。
好ましい実施形態において、前記第1パラメータ群は、前記第1情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含み、前記第2パラメータ群は、前記第2情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含む。
好ましい実施形態において、前記第1パラメータ群は、前記第1情報層のチルトまたは偏心を示す情報を含み、前記第2パラメータ群は、前記第2情報層のチルトまたは偏心を示す情報を含む。
好ましい実施形態において、前記制御部は、起動時において前記第2パラメータ群の値を決定するとき、前記相関情報を利用するか否かを、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群の値に基づいて判定する。
好ましい実施形態において、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群は、以前の起動時における温度を示す温度情報を含む。
好ましい実施形態において、前記制御部は、前記相関情報を利用しないと判定した場合、前記光ビームを実際に前記光ディスクの第2情報層に照射して前記第2パラメータ群の値を決定する。
好ましい実施形態において、起動時において、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を取得できない場合、前記制御部は、前記光ビームを実際に前記光ディスクの第2情報層に照射して前記第2パラメータ群の値を決定する。
好ましい実施形態において、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値が前記光ディスクの第1情報層に記録されている場合において、その設定が行われた装置が当該光ディスク装置と異なる場合、前記制御部は、前記相関情報を補正して使用する。
好ましい実施形態において、前記制御部は、前記光ディスクの第1情報層に記録されている前記第1パラメータ群の値および前記第2パラメータ群の値を前記光ディスクに記録した光ディスク装置を特定する装置IDを前記光ディスクから取得し、前記装置IDに基づいて前記相関情報を補正する。
好ましい実施形態において、前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を前記光ディスクの第1情報層に記録する。
好ましい実施形態において、前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を他の光ディスク装置で利用できるように補正してから前記光ディスクの第1情報層に記録する。
好ましい実施形態において、前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を、当該光ディスク装置を特定するための装置IDとともに前記光ディスクの第1情報層に記録する。
好ましい実施形態において、前記第1および第2パラメータ群の値を、対応する光ディスクを特定するディスクIDに関連付けて記録するメモリを備えており、前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を前記光ディスクのディスクIDに関連付けて前記メモリに記録する。
本発明の光ディスクは、第1情報層及び第2情報層を含む複数の情報層を備える光ディスクであって、前記第1情報層からデータを読み出すために設定される第1パラメータ群および前記第2情報層からデータを読み出すために設定される第2パラメータ群の値が前記第1情報層に記録されている。
好ましい実施形態において、前記第1パラメータ群は、前記第1情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含み、前記第2パラメータ群は、前記第2情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含む。
好ましい実施形態において、前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値は、出荷時点において既に記録されている。
本発明によれば、複数の情報層を備える光ディスクの記録・再生を行う光ディスク装置において、記録または再生が可能になるまでの起動時間を短縮し、ユーザの待ち時間を短くすることができる。このため、番組の取り逃しや撮影期間の喪失などを防止するとともに、使いやすさを向上するといった効果がある。さらに今後、3層、4層の情報層を持った光ディスクが登場してくると、起動時間の短縮効果は、いっそう顕著になる。
光ディスク装置にロードされた光ディスク201と対物レンズ202との間の概略的な位置関係を示す斜視図である。 複数の情報層を備える光ディスク201の構成を示す断面図である。 (a)は、球面収差が生じている状態を示す図であり、(b)は、球面収差が補正された状態を示す図である。 (a)は、光ディスク201の表面から相対的に浅い位置にある情報層上で球面収差が最小化されている様子を示す図であり、(b)は、光ディスク201の表面から相対的に深い位置にある情報層上で球面収差が最小化されている様子を示す図である。 (a)および(b)は、収差補正のために光軸方向に移動した収差補正レンズ262を示す図であり、(c)は、収差補正レンズ262の位置と、球面収差が最小化される情報層の深さとの関係を示す図である。 本発明の光ディスク装置による起動処理の概略を示すフローチャートである。 フォーカス位置(FBAL)および球面収差位置(BE)の最適化の手順を説明するための図である。 フォーカス位置(FBAL)および球面収差位置(BE)とトラッキングエラー信号(TE信号)の振幅との関係を示すグラフである。 本発明の光ディスク装置による起動処理の詳細を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における光ディスクの構成を示す概略図である。 本発明の実施形態における有効なDrive Area情報の構成を示す概略図である。 実施形態1における光ディスク装置の構成を示すブロック図である。 実施形態1における起動処理の手順を示すフローチャートである。 実施形態1において、有効なDrive Area情報112が記録されていない光ディスクの起動処理の手順を示すフローチャートである。 球面収差補正位置(BE)の粗調整の手順を示すフローチャートである。 フォーカス位置(FBAL)/球面収差補正位置(BE)の精調整の手順を示すフローチャートである。 実施形態1において、有効なDrive Area情報112が記録されている光ディスクの起動処理の手順を示すフローチャートである。 実施形態1において、有効なDrive Area情報112が記録されている光ディスクの起動処理の手順を示すフローチャートである。 本発明による光ディスク装置の他の実施形態を示す図である。 実施形態2における光ディスク装置による起動処理の手順を示すフローチャートである。 (a)〜(d)は、不均一な間隔で積層された2層の情報層を備える光ディスクの構成を模式的に示す断面図とチルトの半径位置依存を示す表である。 異なる光ディスク装置間で同一の光ディスクが使用される形態を示す図である。 異なる光ディスク装置間で同一の光ディスクが使用される他の形態を示す図である。 本発明による光ディスク装置の更に他の実施形態における起動処理を示すフローチャートである。 特許文献1の光ディスク装置が行う光ディスクの起動処理の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
22 光ビーム
101 Blu−ray Disc Rewritable Format
102 Lead−in Zone(Layer0)
103 Data Zone(Layer0)
104 Outer Zone
105 Data Zone(Layer1)
106 Lead−out Zone(Layer1)
107 ディスク情報領域
108 OPC領域
109 Drive Area
110 DMA領域
111 無効なDrive Area情報
112 有効なDrive Area情報
113 DDS情報
114 無効なDFL情報
115 有効なDFL情報
116 装置識別情報
117 調整パラメータ(Layer0)
118 調整結果確認情報(Layer0)
119 調整パラメータ(Layer1)
120 調整結果確認情報(Layer1)
121、122 予備領域
200 光ディスク装置
201 光ディスク
202 対物レンズ
203 アクチュエータ
204 球面収差位置調整部
205 受光部
206 アクチュエータ駆動部
207 球面収差位置駆動部
208 フォーカス誤差生成部
209 トラッキング誤差生成部
210 信号再生部
211 データ再生部
212 サーボ制御部
213 システム制御部
214 ディスクモータ
215 光ピックアップ
216 調整パラメータ処理部
217 レーザ光源
218 記録部
260 収差補正レンズ
301 調整パラメータ
302 調整結果確認情報
303 FBAL/BE精調整結果 FBAL値(Layer0)
304 FBAL/BE精調整結果 球面収差補正位置(Layer0)
305 FBAL/BE精調整結果 FBAL値(Layer1)
306 FBAL/BE精調整結果 球面収差補正位置(Layer1)
307 FBAL/BE精調整時温度(Layer0)
308 FBAL/BE精調整時温度(Layer1)
本発明の光ディスクは、第1情報層及び第2情報層を含む複数の情報層を備えた光ディスク(多層光ディスク)であり、第1情報層には、「パラメータ群格納領域」が設けられている。このパラメータ群格納領域は、第1情報層からデータを読み出すために起動時に設定される第1パラメータ群の値および第2情報層からデータを読み出すために起動時に設定される第2パラメータ群の値を格納している。第1パラメータ群は、典型的には、第1情報層からデータを再生するときに第1情報層上における光ビームの集束状態を規定するパラメータを含み、第2パラメータ群は、同様に、第2情報層からデータを再生するときに前記第2情報層上における光ビームの集束状態を規定するパラメータを含む。
各情報層上における光ビームの集束状態を規定する「パラメータ」は、記録・再生の対象となる情報層(目的情報層)における光ビームの集束状態を最適化するために必要な情報であり、例えば光ピックアップ内の対物レンズの位置を示す数値などである。
以下、光ビームの集束状態を最適化するために必要な情報を説明する。
まず、図1を参照する。図1は、一般的な光ディスク201と対物レンズ202との配置関係を模式的に示す斜視図である。対物レンズ202によって集束された光ビーム22は、光ディスク201の光入射側面から光ディスク内部の情報層に照射され、情報層上に光ビームスポットを形成する。本発明で使用する光ディスク201の一例は、図2に示すように、光入射側面201aから相対的に深い位置に設けられた第1情報層(L0層)と、相対的に浅い位置に設けられた第2情報層(L1層)とを備えているため、記録再生の対象となる情報層(L0層またはL1層)に適確に光ビーム22を集束するためには、対物レンズ202の光軸方向位置や情報面に対する光軸の傾斜角度を適宜調整する必要がある。
前述した各種の光ディスクのうち特にBDでは、開口数(NA)の高い対物レンズを使用して光ビームを集束するため、信号の再生品質が「球面収差」の影響を受けやすい。この球面収差を最小化するため、BDに対応した光ディスク装置では、BDを光ビームで照射するため光源(不図示)と対物レンズ202との間に、球面収差を補正する機構(球面収差補正部)が設けられる。
球面収差は、図3(a)に示すように、対物レンズ202の中心部を通過する光線と、対物レンズ202の周辺部を通過する光線との間で焦点の位置が光軸方向に沿ってずれる現象であり、ずれの大きさ自体を「球面収差」と称する場合がある。球面収差は、光ビーム波長、対物レンズの開口数(NA)、光ディスクの透過層厚(ディスク表面から情報層までの距離)によって変化する。特に開口数には大きく依存し、球面収差はNAの4乗に比例して変化する。このため、DVDやCDに比べて開口数(NA)の大きな対物レンズを用いるBDでは、球面収差が特に大きくなりやすく、その低減が不可欠である。
なお、本願明細書における「透過層厚」の用語は、上述のように、光ディスクの光入射側表面(以下、「ディスク表面」と称する。)から情報層までの距離、言い換えると「ディスク表面からの情報層記録層の深さ」を意味するものとする。1層の情報層を備える単層BDの場合、情報層は厚さ0.1mm(約100μm)のカバー層によって覆われているため、「透過層厚」は一義的に定まり、その大きさは0.1mmである。2層の情報層を備える2層BDの場合、ディスク表面から遠い情報層(L0層)の上に厚さ約25μmの光透過層が設けられており、その光透過層の上に情報層(L1層)が配置されている。このL1層は、厚さ約75μmの他の光透過層(カバー層)によって覆われている。このため、2層BDでは、L0層に着目した場合の「透過層厚」は約100μmであるが、L1層に着目した場合の「透過層厚」は約75μmである。
球面収差の大きさは、同じBD規格に基づいて作製された光ディスクであっても、透過層厚が異なっていたり、光ビームの光軸が情報層に対して傾斜(チルト)しているだけで変化する。このため、起動時には、光ディスク装置にロードされた光ディスクに応じて、球面収差を最小化するように球面収差補正部260を制御し、収差補正量を最適化することが必要になる。図3(b)は、球面収差補正部260により球面収差がほぼ完全に補正された状態を模式的に示している。
図4(a)は、光ディスク201の表面から相対的に浅い位置にある情報層上で球面収差が最小化されている様子を示し、図4(b)は、光ディスクの表面から相対的に深い位置にある情報層上で球面収差が最小化されている様子を示している。このように、光ディスクの表面から情報層までの距離が変化すると、球面収差補正部260の働きにより、対物レンズ202に入射する光ビ−ムの発散度を調整することによって情報層上での球面収差を最小化する必要がある。
球面収差補正部260は、対物レンズ202に入射する光ビ−ムの発散度を調整するため、例えば図5(a)、(b)に示す収差補正レンズ262を備えており、その光軸方向位置を変化させることにより、光ビ−ムの発散度を変化させ、最終的に情報層上における球面収差を調節することができる。
図5(a)に示す状態では、対物レンズ202から収差補正レンズ262を遠ざけることにより、光ディスクの深い位置にあるL0層で球面収差を最小化している。一方、図5(b)に示す状態では、対物レンズ202に収差補正レンズ262を近づけることにより、光ディスクの浅い位置にあるL1層で球面収差を最小化している。
図5(c)に示すように、収差補正レンズ262の位置を制御することにより、球面収差が最小化される情報層の深さを変化させることができる。駆動中心に対して1.66mmだけ対物レンズ202から遠い位置に収差補正レンズ262を置くとき、L0層上で球面収差を最小化できる。一方、駆動中心に対して1.11mmだけ対物レンズ202に近い位置に収差補正レンズ262を置くときは、L1層上で球面収差を最小化できる。
ここで、光ディスク表面からL0層までの距離(深さ)は、「透過層厚100μm」と表現され、光ディスク表面からL1層までの距離(深さ)は、「透過層厚75μm」と表現される場合がある。したがって、光ビームの焦点をL1層に位置させる場合には、対物レンズ202の光軸方向位置を調整するだけではなく、透過層厚75μmに適合した収差補正を行なうために収差補正レンズ262を駆動中心から対物レンズ側に1.11mm移動させる必要がある。そして、光ビームの焦点をL1層からL0層に移動させる場合には、対物レンズ202の光軸方向位置を調整するとともに、透過層厚100μmに適合した収差補正を行なうために、収差補正レンズ262を駆動中心に対して1.66mmだけ対物レンズ202から離れる位置に移動させることになる。このとき、単に対物レンズ202の位置だけを調節し、収差補正を適切に行なわなかったとすると、L0層に集束する光ビームの球面収差が大きくなってしまう。
このようにBDでは、光ビームの集束点を目的情報層上に位置させるように対物レンズの位置を調整するだけではなく、その情報層において収差補正を最小化するように収差補正レンズ262の位置を調整する必要がある。
一方、フォーカスサーボ制御をオンにしているとき、光ビームの集束点を目的情報層上に位置させるため、フォーカスエラー信号におけるS字状カーブの振幅をゼロに近づけるようにサーボ制御が実行される。このとき、S字状カーブの振幅が完全にゼロとなる位置(ゼロクロス点)ではなく、そのゼロクロス点から所定距離だけシフトさせた位置を目標位置としてサーボ制御を行うことにより、相対的に優れた信号再生品質を実現することができる。このように、光ビームの焦点位置をフォーカスエラー信号におけるS字状カーブのゼロクロス点からのシフトした位置にあわせることは、「デフォーカス」と称されている。この「デフォーカス」の程度を規定する数値は、「フォーカスバランス」と称される。フォーカスバランスの大きさを変更すると、目的情報層における光ビームの集束状態が変化することになる。本明細書では、デフォーカスの程度を「フォーカス位置」と称し、単に「FBAL」で示す場合がある。
なお、前述したように収差補正レンズは、光ビームを広げる機能(ビームエキスパンド機能)を有するため、「球面収差補正位置」または「球面収差補正量」を「BE」で簡略的に表現する場合がある。
上記の例では、フォーカス位置(FBAL)および球面収差補正位置(BE)が光ビームの集束状態を規定する重要なパラメータとなる。
また、情報層に対する光ビームの入射角度によっては、球面収差だけではなく、コマ収差が発生するため、情報層に対して光ビームが垂直に入射するように対物レンズ202の光軸の向きを適宜調整する必要もある。対物レンズ202の光軸の角度は、対物レンズ202の光軸方向位置と同様にレンズアクチュエータの2つのフォーカスコイルに与える駆動信号のバランスを変えることによって制御することができる。対物レンズ202の光軸の角度の制御は、チルト制御と称されている。対物レンズ202の光軸の角度の初期値は、0°であるが、上記のように光ディスク201の情報面が対物レンズ202の光軸に対して垂直な面から傾斜している場合は、その傾斜角度に応じて対物レンズ202の光軸の角度を合致させるように変化(レンズチルト)させる。ただし、レンズチルトの角度によっては、球面収差が発生する場合もあり、光ビームの集束状態に影響を与えるパラメータの1つである。
光ビームの集束状態に大きな影響を及ぼす上記パラメータの値は、以下の表1に示す各種の要因によって変動し、この変動要因は、光ディスク装置に依存する要因、光ディスクに依存する要因、および使用環境に依存する要因に分けることができる。
Figure 2007060975
多層光ディスクに対して、実際にデータを記録したり、既に記録されているデータを再生するためには、光ディスク装置の起動直後、個々の情報層について、光ビームの集束状態を最適化するための調整を行う必要がある。すなわち、光ディスク装置にロードされた光ディスクに応じて、「フォーカス位置(FBAL)」および「球面収差補正位置(BE)」の値を調整し、対物レンズおよび収差補正レンズの光軸方向位置を最適化するための条件を求めておく必要がある。このようなレンズ位置の調整および決定は、「学習」とも呼ばれ、起動時に行う他の処理(レーザパワーの最適化など)とともに「起動処理」として実行される。
このような調整または学習を行うことによって得た各情報層に関するFBALおよびBEの値(調整結果)は、その光ディスクに記録するか、あるいは、光ディスク装置のメモリ内に保存され得るが、光ディスクや光ディスク装置が替われば、あらためて調整または学習を行う必要があり、同一の光ディスクおよび光ディスク装置であっても、経時的変化や温度変化に応じた微調整は必要になる。このため、起動のたびに、光ディスクの各情報層についてフォーカス位置および球面収差補正位置の調整を行う必要があるが、1枚の光ディスクに含まれる情報層の数が2層以上に増えてゆくと、従来技術の問題として説明したように、データの記録再生開始までに要する時間が大幅に増大してしまうことになる。
本発明者は、フォーカス位置(FBAL)および球面収差補正位置(BE)などのパラメータが光ディスク装置や使用環境に応じて変動したとしても、同一の光ディスクに含まれる複数の情報層の間では、一定の関係を保持することに着目し、本発明を完成した。すなわち、本発明では、複数の情報層に含まれるいずれか1つの情報層(第1情報層)に関するパラメータ群と、他の情報層(第2情報層)に関するパラメータ群との相関を表す相関情報を求め、この相関情報を利用して、全ての情報層に対して同一の調整処理を行う従来の無駄を省略することができる。
以下、本発明の光ディスク装置による起動処理の基本的原理を説明する。
本発明の好ましい実施形態では、光ディスク装置に多層光ディスクがロードされたとき、第1情報層に関するパラメータと第2情報層に関するパラメータとの相関を表す相関情報として両者の差分を求める。この差分は、光ディスクの透過層厚の違いなど光ディスクの種類や個体差に依存しているが、同一の光ディスクにおいては、ほぼ一定に保たれる。したがって、起動時の最適化調整(学習)を行うとき、例えば第1情報層についてパラメータの調整を完了し、最適化されたパラメータ値(学習結果)を得ることができれば、第2情報層について最適化されたパラメータ値は、第1情報層について最適化されたパラメータ値に対して上記「差分」を加算して得ることができる。すなわち、第2情報層については、パラメータの調整作業の少なくとも一部を割愛することが可能になる。
なお、このような「差分」を示す情報が当該光ディスクまたは光ディスク装置内に記憶されていれば、第2情報層についてパラメータ調整作業を割愛することが可能になるが、記憶されていない場合は、第1および第2情報層の両方について、通常の学習が必要になる。
次に、図6を参照しつつ、本発明による上記パラメータの調整手順の概略を説明する。図6は、調整手順のフローチャートである。
まず、差分情報が記録されていない光ディスクを光ディスク装置に搭載した場合を説明する。光ディスクを光ディスク装置にロードし、第1回目の起動処理を開始した後、第1情報層(L0層)についてFBALおよびBEの調整を行う(ステップS1)。この調整の仕方については、後に詳述する。
次に、光ピックアップ内のレンズアクチュエータによって対物レンズを光軸方向に移動させ、それによって光ビームの焦点位置を第1情報層(L0層)から第2情報層(L1層)に移動させる(フォーカスジャンプ)。そして、第1情報層(L0層)について行った調整と同様の調整を第2情報層(L1層)についても行う(ステップS2)。この後、調整によって得た各情報層(L0層、L1層)に関するFBALおよびBEの値を光ディスクの「パラメータ群格納領域」に記録する(ステップS3)。「パラメータ群格納領域」は第1情報層に設けられている。
次に、上記の光ディスクを用いて2回目以降の起動を行う場合を説明する。
まず、1回目の起動処理として行ったように、第1情報層についてFBALおよびBEの調整を行う(ステップS4)。この後、光ディスクのパラメータ群格納領域からデータを読み出し、FBALおよびBEのそれぞれについて、第1情報層と第2情報層との間で生じているFBALおよびBEの差分に関する情報を取得する(ステップS5)。なお、「差分に関する情報」とは、差分そのものを示す情報のみならず、第1情報層および第2情報層の両方についてのパラメータ群の値であってもよい。第2情報層のパラメータの値から第1情報層のパラメータの値を差し引けば、差分を決定することができるからである。
ステップS4で求めた第1情報層に関するFBALおよびBEの値に対して、ステップS5で取得した差分を加算することにより、第2情報層に関するFBALおよびBEの値を得ることができる(ステップS6)。
こうして、第2情報層に関するFBALおよびBEの値を調整または学習によって求める作業を割愛することが可能になり、起動時間を短縮できる。
次に、図7を参照しつつ、FBALおよびBEの調整方法を説明する。図7は、横軸がフォーカス位置(FBAL)、縦軸が球面収差補正位置(BE)のグラフであり、(FBAL、BE)に依存して変化するジッタを示している。グラフ中の閉曲線は、ジッタの大きさが等しくなる座標点(FBAL、BE)を結んだ等高線である。「ベスト位置」は、ジッタが最も小さくなる座標点(FBAL、BE)を示しており、等高線の示すジッタの大きさは、ベスト位置から離れるにつれて大きくなる。ジッタは、情報層に入射している光ビームの集束状態に強く依存し、FBALおよびBEが最適な値に近づくほど、小さくなる。このため、ジッタを最小化するように、FBALおよびBEを変化させれば、集束状態を最適化するFBALおよびBEを見つけ出すことが可能になる。
以下、起動処理中の調整過程において、FBALおよびBEを変化させる手順を説明する。
まず、FBALおよびBEを初期値に設定する。具体的には、図5に示す対物レンズ202および収差補正レンズ262の光軸方向位置をアクチュエータなどの駆動部の働きによって初期の位置に設定する。初期値としては、例えば標準的な光ディスクについて光ディスク装置の製造的に決定されていたFBALおよびBEの値を用いることができる。光ディスクの種類によって好ましい初期値が異なるため、ロードされた光ディスクの種類を判別し、その種類に応じて初期値を変更してもよい。
次に、FBALを初期値に固定した状態でBEの値を変化させつつ、TE振幅が最大となるBEを求める(矢印1)。具体的には、図5に示す対物レンズ202の位置は固定した状態で収差補正レンズ262の光軸方向位置を変化させる。与えられたFBALに対してTE振幅を最大化するBEは、図7に示す破線上にあり、この破線によって示される直線の傾きは予めわかっている。この直線は「トラッキング安定領域」の中心を通り、図7においてTE振幅の「尾根」に相当する。このため、この直線を「TE尾根直線」と称することとする。本明細書では、矢印1の処理工程を「BE粗調整」と称することとする。
次に、このTE尾根直線に沿うようにして、FBALおよびBEの両方を変化させる(矢印2)。具体的には、図5に示す対物レンズ202および収差補正レンズ262の光軸方向位置を両方とも所定の距離だけ変化させる。このとき、ジッタが小さくなるようにTE尾根直線の「傾き」に対応した比率でFBALおよびBEを変化させることにより、FBALおよびBEによって決まる座標点(FBAL、BE)をベスト位置(ジッタ最小位置)に近づけることができる。
次に、BEを固定した状態でFBALを変化させつつ、ジッタを計測する。こうして、ジッタをほぼ最小化するFBALを求めることができる(矢印3)。その後、FBALを固定した状態で更にBEを変化させつつ、ジッタを計測する。こうして、ジッタを最小化するFBALおよびBEを求めることができる(矢印4)。本明細書では、矢印2〜4の一連の処理工程を全体として「FBAL/BE精調整」と称する場合がある。
図7のTE尾根直線の傾きを正確に決定するためには、TE尾根直線上の少なくとも2点を決定すればよい。図8は、図7に対応するグラフであり、シミュレーションによって求めたTE振幅の等高線を記載している。図8における直線ABが、図7のTE尾根直線に相当する。
TE尾根直線を求める好ましい方法の例では、まず、相対的に低いBEの設定値のもとでTE振幅を最大化するFBALを求める。図8の例では、BE=98でFBALを変化させ、TE振幅を最大化させるFBALの値が0.05であることが判ったものとする。すなわち、BE=98の直線上では点BにおいてTE振幅が最も大きくなることがわかる。次に、BEを98から103に変化させた後、TE振幅を最大化するFBALを求める。図8の例では、TE振幅を最大化させるFBALの値が−0.15であることが判ったものとする。すなわち、BE=103の直線上では点AにおいてTE振幅が最大化することがわかる。
次に、FBALを−0.15から0.05に変化させた後、TE振幅を最大化するBEを求める。図8の例では、TE振幅を最大化させるBEの値が98であることが判ったものとする。すなわち、FBAL=0.05の直線上では点BにおいてTE振幅が最大化することがわかる。
上記の作業により、点Aと点Bとを結ぶ直線をTE尾根直線として選択することが可能になる。このような作業は、例えば800ミリ秒程度の時間を要するため、起動のたびに行うと、起動処理時間を増加させてしまう。TE尾根直線の傾きは、光ピックアップに依存して異なるが、光ディスクに対する依存性は相対的に小さい。このため、上述した方法により、「TE尾根直線」の傾きを一度求めておき、その値を光ディスク装置内の不揮発性メモリ(例えばEEPROM)内に格納しておけば、次の起動からはTE尾根直線の傾きを決定するための上記作業が不要になり、起動時間を短縮する効果が得られる。
上記の例では、TE振幅やジッタを指標として調整を行っているが、本発明はこのような場合に限定されない。
以下、図9を参照して、本発明によるFBALおよびBEの調整手順を詳細に説明する。図9は、調整手順の詳細を示すフローチャートである。
まず、差分情報が記録されていない光ディスクを光ディスク装置にロードした場合を説明する。光ディスクを光ディスク装置にロードし、第1回目の起動処理を開始した後、第1情報層(L0層)についてBEの粗調整を行う(ステップS11)。このステップS11は、図7の矢印1の処理工程に対応している。
次に、TE尾根直線に沿ってFBALおよびBEを変化させる(ステップS12)。このステップS12は、図7の矢印2の処理工程に対応している。FBALの微調整を行った(ステップS13)後、BEの精調整を行う(ステップS14)。ステップS13、14は、それぞれ、図7の矢印3、4の処理工程に対応している。
上記の手順により、第1情報層(L0層)に関するFBALおよびBEの最適値(図7のベスト位置)を決定した後、第1情報層(L0層)から第2情報層(L1層)へフォーカスジャンプを行う。そして、ステップS11、12、13、14と同様のステップS15、16、17、18を実行して、第2情報層(L1層)に関するFBALおよびBEの最適値を決定する。そして、ステップS19では、FBALおよびBEの差分情報を光ディスクに記録する。
次に、上記の光ディスクを用いて2回目以降の起動を行う場合を説明する。
まず、1回目の起動処理として行ったように、第1情報層についてFBALおよびBEの調整を行う(ステップS20、S21、S22、S23)。この後、光ディスクから差分情報を取得する(ステップS24)。
第1情報層(L0)に関するFBALおよびBEの値に対して、ステップS24で取得した差分を加算することにより、第2情報層(L1)に関するFBALおよびBEの値を得る。
こうして得られた第2情報層(L1)に関するFBALおよびBEの値(計算値)は、実際に調整を行った場合に得られるFBALおよびBEの値から僅かにシフトしている可能性がある。そのシフトの原因は、例えば1回目の起動処理時と今回の起動処理時との間で環境温度(レーザ光源の温度)が異なっている可能性があるからである。そのようなシフトを補償するためには、差分の加算によって求めたFBALおよびBEの値を初期値として用い、FBALおよびBEの精調整を付加的に実行することが好ましい。そのため、この例では、ステップS25においてFBALの精調整を行い、ステップS26においてBEの精調整を行う。このような調整は不可欠ではなく、代わりに環境温度を検出した上で、FBALおよびBEの計算値を環境温度に応じて補正するようにしても良い。
図9に示す手順によれば、2回目以降の起動処理に要する時間は、ステップS15、16に要する時間(合計1秒程度)程度、短縮される。
上記の例では、1枚の光ディスクが2層の情報層を備えているが、1枚の光ディスクが備える情報層の総数が増加するにつれ、本発明による起動処理時間短縮の効果は顕著になる。
以下、本発明の好ましい実施形態を更に詳細に説明する。
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態を説明する。
まず、図10を参照しながら、本実施形態で使用する光ディスクの構造を説明する。この構造は、Blu−ray Disc Rewritable Formatに従っているため、以下、このフォーマットに従った光ディスクを「BD−RE Disc」と称することにする。
BD−RE Disc101の物理アドレスは、図10の上から下に向かうにつれ増加している。図10において「Layer 0」と記載された領域は、第1の情報層層(L0層)であり、「Layer 1」と記載された領域は、第2の情報層(L1層)である。L0層とL1層は、物理的には離れているが、本図では繋がった領域として記載している。
Lead−in Zone102は、ディスク情報や調整で使用する領域などの領域である。その詳細は、後述する。
Data Zone103は、L0層においてユーザデータを記録する領域である。Outer Zone104は、DMA情報やControl Data情報が記載される領域である。Data Zone105は、L1層においてユーザデータを記録する領域である。Lead−out Zone106は、DMA情報やControl Data情報が記載される領域である。
Lead−in Zone102を詳細に説明すると、Lead−in Zone102は、ディスク情報領域107、OPC領域108、Drive Area109、およびDMA領域110から構成されている。
ディスク情報領域107は、ディスクの種別、情報層の数、記録容量、ディスクメーカが推奨する線速度毎の記録パラメータなどが記載されている領域である。OPC領域108は、光ビームのパワー調整などに使用する試し書き領域である。
Drive Area109は、ドライブメーカ毎に自由に使用可能な領域であり、無効なDrive Area情報111が記録されている領域と、有効なDrive Area情報112が記録されている領域と、予備領域121から構成されている。有効なDrive Area情報112は、装置識別領域と自由なフォーマットで使用可能なドライブ固有情報領域から構成されている。Drive Area109の使用については、後に詳細を説明する。
DMA領域110は、ディスクの欠陥管理情報などが記載された領域であり、有効な欠陥管理リストのアドレス情報や、有効なDrive Area情報のアドレス情報が記載されたDDS情報113と、欠陥の位置毎のステータスや交替先のアドレスなどの欠陥管理リストが記録された有効なDFL情報115と、無効なDFL情報114と予備領域122から構成されている。
有効なDrive Area情報112は、1つ以上の装置識別情報116、L0層の調整パラメータ117、L0層の調整結果確認情報118、L1層の調整パラメータ119、L1層の調整結果確認情報120の組を含む。装置識別情報116には、BD−RE Disc101に記録を行った装置の固有情報が格納されている。L0層の調整パラメータ117、L1層の調整パラメータ119は、以前の起動処理の中で行った対応した情報層の最適な調整結果を含む。L0層、L1層の調整結果確認情報118、120は、調整パラメータ117、119の値の使用可否を判定する際に用いる情報を含んでいる。図10中の“#”につづく数字は、装置毎のインデックス番号を示している。
図10に示すBD−RE Disc101は、BD−RE Disc101に対して2つの光ディスク装置によって記録が行われた後の状態を示している。有効なDrive Area情報112のアドレス情報は、DDS情報113に記録されているため、DDS情報を再生するまでは、Drive Area109の情報を使用することはできない状態にある。
次に、図11を参照して、調整パラメータ117および調整結果確認情報118の詳細を説明する。図11は、本実施形態における調整パラメータ117と調整結果確認情報118のフォーマットを示している。
調整パラメータ117は、L0層のFBAL/BE精調整の結果であるFBAL値303と球面収差補正位置304、L1層のFBAL・BE精調整の結果であるFBAL値305と球面収差補正位置306を含む。
調整結果確認情報118は、調整パラメータ117の情報が使用可能な値か否かを判定する際に用いる情報である。この情報は、L0層のFBAL/BE精調整時の温度307、およびL1層のFBAL/BE精調整時の温度308を含む。なお、調整結果確認情報118には、温度以外の情報が含まれていても良い。具体的には、調整時の信号指標(ボトムジッタ等)、調整領域アドレス、調整時の機器の状態を示すパラメータ(カムの振動センサの値など)、調整時のディスク回転速度、調整時のタイムスタンプなどが含まれていても良い。
調整パラメータ117と調整結果確認情報118が記録された光ディスクを用いれば、起動処理を行う際に、まず、L0層の調整を行うことにより、図10に示すDrive Area109から調整パラメータ117と調整結果確認情報118とを取得することができる。その結果、L1層の調整時間を短縮することが可能となる。
なお、以上の説明は、2つの情報層を備えるBD−REに関して行ったが、1つの光ディスクが備える情報層の数は、2つ以上の任意の数でもよい。また、光ディスクは、ドライブ固有の情報を格納する領域を有するBD−RE以外の光ディスクであってもよい。
次に、図12を参照しつつ、上記の構成を有すBD−RE Discに対してデータの記録・再生を行うための光ディスク装置を説明する。図12は、本実施形態の光ディスク装置200の構成を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置200は、ロードされた光ディスク201を回転させるディスクモータ214と、光ディスク201に光学的にアクセスする光ピックアップ215と、光ピックアップ215との間で信号のやりとりを行う回路部とを備えている。
光ピックアップ215は、公知の構成を有していればよく、レーザ光源217と、レーザ光源217から放射された光ビームを光ディスク201に集束するための対物レンズ202と、光ディスク201から反射された光ビームを受けて各種の電気信号に変換する受光部205とを備えている。対物レンズ202と受光部205との間には、球面収差位置調整部204が配置されている。球面収差位置調整部204は、光軸方向に移動可能な収差補正用レンズ(図5参照)を備えた装置であり、光ビームの集束・発散状態を調整することにより、光ディスク201の情報層における光ビームの収差を小さくすることができる。また、光ピックアップ201内には、レーザ光源217の温度を検出する温度センサ(不図示)も設けられている。
受光部205から出力された電気信号は、フォーカス誤差生成部208に供給され、フォーカスエラー信号(FE信号)が生成される。同様に受光部205から出力された電気信号は、トラッキング誤差生成部209および信号再生部210へ供給され、それぞれ、トラッキングエラー信号(TE信号)、再生信号(RF信号)が生成される。RF信号は、データ再生部211に供給され、データ再生部211は、RF信号に基づき光ディスク201に記録された情報を復号しシステム制御部213へ送る。システム制御部213は、信号再生部210やデータ再生部211から供給された信号を基に、ユーザデータの再生や、ジッタなどの信号品質の指標となる値の算出を行う。
FE信号は、例えば一般に非点収差法と呼ばれるフォーカス誤差検出方式によって生成することができる。また、TE信号は、例えば一般にプッシュプル法と呼ばれるトラッキング誤差検出方式によって生成することができる。FE信号およびTE信号はサーボ制御部212に供給され、対物レンズ202と光ディスク201の記録面との相対距離を一定に保つフォーカスサーボ制御や、光ディスク201のトラック上にレーザ照射位置を追従させるトラッキングサーボ制御が行われる。サーボ制御部212からの制御信号はアクチュエータ駆動部206に供給される。アクチュエータ駆動部206は、光ピックアップ202に設けられた対物レンズアクチュエータ203に駆動信号を送出し、対物レンズアクチュエータ203を駆動する。すなわち、サーボ制御部212は、上記誤差信号により対物レンズアクチュエータ203を作動せしめ、対物レンズ202を駆動することによって、フォーカス制御、トラッキング制御のサーボループが形成され、サーボ制御が実行される。
球面収差位置調整部204は、球面収差位置駆動部207からの駆動信号により収差補正量を変更し、それによって球面収差補正を実行する。
システム制御部213は、対物レンズ202の焦点位置を揺動せしめるフォーカス外乱信号を生成してサーボ制御部212へ送る。サーボ制御部212およびアクチュエータ駆動部206は、フォーカス外乱信号に応じて対物レンズ202の焦点位置を揺動させる。また、システム制御部213は、ディスクモータ214に対して回転指示や停止処理を行ったり、回転数の設定を行うことで、ディスクモータ214の回転制御を行っている。調整パラメータ処理部216は、L0層の調整結果、図11の調整パラメータ117、および調整結果確認情報118の内容を解釈して、L1層の調整処理を行う。
本実施形態における調整パラメータ処理部216は、システム制御部213に含まれているが、調整パラメータ処理部216はサーボ制御部212に含まれていてもよいし、独立した構成要素であってもよい。また、調整パラメータ処理部216は、システム制御部213やサーボ制御部212を構成する制御プログラムの一部によって実現されていてもよい。
記録部218は、光ディスク201が記録可能な光ディスクである場合において、光ディスク201にデータを記録するとき、レーザ光源217を駆動し、記録すべきデータに応じて強度が変調された光ビームをレーザ光源217から放射させる。記録部218の動作は、システム制御部213によって制御される。起動時の調整によって求められたFBAL、BE、調整時温度などのパラメータ値も、記録部218がレーザ光源217を駆動することによって光ディスク201の所定領域に記録される。
次に、図13を参照しながら、光ディスクの起動処理手順の概略を説明する。図13は、上記の光ディスク装置200を用いて光ディスク201の起動処理を行う手順を示したフローチャートである。
まず、ステップ801では、システム制御部213からディスクモータ214に対して回転数の設定と回転開始指示を行う。ステップ802では、レーザ光源217から、光ディスク201に対してレーザの照射を開始する。ステップ803では、サーボ制御部212によりフォーカスサーボ制御を有効にする。ステップ804では、図12に示す球面収差位置調整部204の働きにより、球面収差の補正位置をサーボが安定となる位置へ調整する。この調整は、球面収差補正位置(BE)の粗調整(図7の矢印1)であり、この粗調整の詳細は、後述する。ステップ805では、TE信号の振幅やバランスが最適になるようにTE信号の調整を行う。ステップ806では、トラッキングサーボ制御を有効にする。
ステップ807では、光ディスク201に記載されているディスク情報を取得する。ディスク情報とは、例えばディスク種別やディスクに対するディスクメーカの推奨する記録再生に用いるパラメータである。ステップ808では、レンズアクチュエータ203によりフォーカス位置を調整し、球面収差位置調整部204により球面収差補正位置を調整する。この調整は、情報層における光ビームの集束状態をデータ再生のために最適化する「精調整」である。この精調整は、図7の矢印2〜4に相当し、その詳細は後述する。
次に、光ディスク装置200でBD−RE Disc101の起動処理を行う手順をより詳細に説明する。まず、図14を参照する。図14は、光ディスク装置200でBD−RE Disc101の起動処理を行う手順を示したフローチャートである。但し、BD−RE Disc101を、光ディスク装置200によって起動処理を行ったことがない場合、つまり、BD−RE Disc101には、光ディスク装置200の装置識別情報に対応した調整パラメータ117、調整結果確認情報118が格納されていない場合について述べる。
まず、ステップ1201において、L0層のBE粗調整(図7の矢印1)を実施する。BE粗調整は、TE振幅が最大になるBEを求める調整である。ここで、図15を参照して、BE粗調整の手順を詳しく説明する。
まず、図15のステップ901において、BE(初期値)を設定する。初期値は、例えばBEが透過層厚100μmの光ディスクに対して最適となるように設計時に決められた値などの固定値である。
次に、ステップ902において、TE振幅を測定する。ステップ903では、ステップ902の測定回数が所定回数以内であるか否かを判定し、所定回数以内ならば、ステップ904に進んで測定を繰り返し、所定回数を超えていればステップ905に進む。所定回数は、例えば、TE振幅が最大となる点を確実に探索し、フォーカス制御状態を維持することのできるBE値の振り幅などに基づいて設定され得る。
ステップ904では、次に設定するBEを決定する。次に設定するBEは、例えば、初回時は固定の方向に固定の値変化させた値とし、2回目以降は、両端のBEでのTE振幅を比較して、TE振幅が大きい方向に固定の値変化させた値とする。設定する値を決定すると、ステップ901で設定を実施し、ステップ901〜904の処理を繰り返す。
ステップ905では、測定したTE振幅と、そのときのBE値との組み合わせから、TE振幅が最大となるBE値を算出する。算出は、測定したTE振幅が最大となるBE値をそのまま算出結果としてもよいし、TE振幅とBE値の関係から、2次近似などを行った後、TE振幅が最大となるBE値を算出してもよい。
ステップ906では、ステップ905で算出したBE値の設定を行う。
以上の手順で調整を実行することにより、図7における矢印1で示す粗調整が行われ、TE振幅が最大となるBE値を求めることが可能となる。
図14を再び参照する。図14のステップ1202では、L0層のBE粗調整の結果を取得する。調整結果としては、調整結果BE値、調整を行った際の温度情報などが取得される。取得した結果は、システム制御部213に含まれる図示していないメモリなどに格納される。
ステップ1203では、L0層のFBAL/BE精調整を実施する。本実施形態におけるFBAL/BE精調整とは、フォーカス位置、BEの設定を変更しながら、記録済みの領域のジッタを測定し、ジッタが最小となるフォーカス位置、BEを求める調整である。初めに、データ再生に最適なフォーカス位置、BEに関して説明する。
以下では、図16を参照して、FBAL/BE精調整(図7の矢印2〜4)の手順を説明する。
まず、ステップ1101において、フォーカス位置および球面収差補正位置の設定を行う。設定するフォーカス位置および球面収差補正位置の初期値としては、通常、固定の値(0など)や、製造工程時の調整などで求めた値が用いられるが、BE粗調整の結果、図7のFB1点(TE尾根直線上の点)が求められている場合は、このFB1点に相当するFBALおよびBEを初期値として用いる。
ステップ1102では、調整で使用する記録済み領域のジッタを測定する。記録済みの領域は、本フローチャートの実行前に記録済みであることがわかっている領域の探索を行ったり、記録済みとわかっている領域のない場合は、調整のための試し書きを行う領域に作成するなどして、予め確保しておく。
ステップ1103では、ステップ1102のジッタ測定回数が所定回数以内か否かを判定する。所定回数以内ならば、ステップ1104に進んで、測定を繰り返し、所定回数を超えていれば、ステップ1105に進む。
ステップ1104では、次に設定するフォーカス位置および球面収差補正位置を決定する。次に設定するフォーカス位置および球面収差補正位置は、図7に示すTE尾根直線の傾きによって規定される比率で、フォーカス位置および球面収差補正位置の両方を変化させた位置に相当する。すなわち、変化後の位置が図7に示すTE尾根直線上にあるように位置変化量を決定する。
ステップ1101〜ステップ1104を所定回数だけ繰り返すことにより、フォーカス位置および球面収差補正位置は、図7のTE尾根直線上を移動する。その後、ステップ1105では、測定したジッタと、そのときのフォーカス位置および球面収差補正位置の組み合わせから、ジッタが最小となるフォーカス位置および球面収差補正位置を算出する。算出は、測定したジッタが最小となるフォーカス位置をそのまま算出結果としてもよいし、ジッタとフォーカス位置および球面収差補正位置の関係から、2次近似などを行った後、ジッタが最小となるフォーカス位置を算出してもよい。
こうして、図7の矢印2で示される精調整が完了する(FB2点)。
次に、ステップ1106において、算出したフォーカス位置および球面収差補正位置の設定を行い、フォーカス位置の精調整を開始する。すなわち、ステップ1107でフォーカス位置を設定する。初期値は、ステップ1106で算出したフォーカス位置を用いる。
次に、ステップ1108では、調整で使用する記録済み領域のジッタを測定する。ステップ1109では、ステップ1108のジッタ測定回数が所定回数以内か否かを判定する。所定回数以内ならば、ステップ1110に進んで、測定を繰り返し、所定回数を超えていれば、ステップ1111に進む。
ステップ1110では、次に設定するフォーカス位置を決定する。次に設定するフォーカス位置は、例えば、初回時は固定の方向に固定の値変化させた値とし、2回目以降は、異なる2つのフォーカス位置におけるジッタを比較し、ジッタが小さい方向に固定の幅だけ変化させた値とする。設定する値を決定すると、ステップ1107で設定を実施し、ステップ1107〜1110の処理を繰り返す。但し、フォーカス位置には、設定可能な範囲があり、前記設定可能範囲に応じて、前記固定の値やステップ1110で判定に用いた所定回数を増減させて調整を行う。
このようにしてステップ1107〜1110の処理を繰り返すことにより、図7の矢印3で示される精調整が進行する。ステップ1111では、ステップ1107〜1110の処理を所定回数繰り返して測定したジッタに基づき、最もジッタが小さくなるフォーカス位置(図7のFB3点に相当するフォーカス位置)を算出する。そして、算出したフォーカス位置に設定した状態で、ステップ1113〜1116を繰り返す。ステップ1113〜1116は、上記のステップ1107〜1110に比べて、設定する値がフォーカス位置(FBAL)から球面収差補正位置(BE)に代わったものである。ステップ1113〜1116の処理を繰り返すことにより、図7の矢印4に示す精調整が進行する。ステップ1115において所定回数を超えたと判定されたとき、ステップ1117に進む。ステップ1117では、ステップ1113〜1116の処理を所定回数繰り返して測定したジッタに基づき、最もジッタが小さくなる球面収差補正位置(図7のFB4点に相当するフォーカス位置)を算出する。そして、ステップ1118では算出したフォーカス位置に設定し(図7のFB4点)、起動処理を完了する。
以上の調整を実行することにより、ジッタが最小となるフォーカス位置/BE(図7のベスト位置)を求めることが可能となる。
また図14を参照する。ステップ1204では、L0層のFBAL/BE精調整の結果を取得する。調整結果としては、調整結果FBAL値、調整結果BE値、調整を行った際の温度情報、調整を行った領域のアドレス情報、調整結果条件でのジッタ値などが取得される。取得した結果は、システム制御部213に含まれる図示していないメモリなどに格納する。
ステップ1205では、BD−RE Disc101のDMA領域110のリード処理を行う。
ステップ1206では、ステップ1205で得られたDMA情報の中のDDS情報113から、有効なDrive Area情報112の先頭位置のアドレス情報を取得する。
ステップ1207では、ステップ1206で得られたアドレス情報に対応した位置から、Drive Area情報112を読み出す。BD−RE Disc101の場合、Drive Area情報112が記録される領域には、32種類の光ディスク装置に関して個別にDrive Area情報112が記録され得る。個々の光ディスク装置を特定する識別情報は、図10の装置識別情報の領域に記録される。BD−RE Disc101から読み出したDrive Area情報112の中から、自社の光ディスク装置に関する情報を選択して取得する。すなわち、BD−RE Disc101に記録されている調整パラメータ117および調整結果確認情報118を取得する。
ステップ1208では、L1層へのフォーカスジャンプ処理を行う。
ステップ1209では、L1層のBE粗調整を実施する。BE粗調整は、図15を参照して説明した方法により行う。
ステップ1210では、L1層のBE粗調整の結果を取得する。調整結果としては、調整結果BE値、調整を行った際の温度情報などが取得される。取得した結果は、システム制御部713に含まれる図示していないメモリなどに格納する。
ステップ1211では、L1層のFBAL/BE精調整を実施する。FBAL/BE精調整は、図16で示した方法で行う。
ステップ1212では、L1層のFBAL/BE精調整の結果を取得する。調整結果としては、調整結果FBAL値、調整結果BE値、調整を行った際の温度情報、調整を行った領域のアドレス情報、調整結果条件でのジッタ値などが取得される。取得した結果は、システム制御部713に含まれる図示していないメモリなどに格納する。
ステップ1213では、L0層へのフォーカスジャンプ処理を行う。
ステップ1214では、ステップ1202、ステップ1204、ステップ1210、ステップ1212で取得した調整結果を、ステップ1206で取得したDrive Area情報の位置に記録する。Drive Area情報は、図10に示すように、光ディスクのL0層上の所定領域に記録される。記録する際には、調整パラメータ処理部216により、図11のフォーマットに従って調整パラメータ117と調整結果確認情報118とに振り分けて記録する。
なお、ステップ1202、1204、1210、1212における調整結果の「取得」とは、実際に調整を実施することによって調整パラメータ117(図10、図11)の値を決定することを意味している。また、Drive Areaに記録する調整パラメータ117の値は、起動時に行った調整結果に限ったものではなく、起動処理を行った後に実施した調整結果を格納してもよい。
以下では、図14の手順でDrive Area情報112が記録されたBD−RE Disc101の起動処理を行う手順に関して、図17Aを参照して説明する。
図17Aは、光ディスク装置200でBD−RE Disc101の起動処理を行う手順を示したフローチャートである。但し、BD−RE Disc101を、光ディスク装置200によって起動処理を行ったことがある場合、つまり、BD−RE Disc101には、光ディスク装置200の装置識別情報に対応した調整パラメータ117、調整結果確認情報118が格納されている場合について述べる。
まず、ステップ401では、L0層のBE粗調整を実施する。BE粗調整は、図15を参照して説明した方法により行う。
ステップ402では、L0層のFBAL/BE精調整を実施する。FBAL/BE精調整は、図16を参照して説明した方法により行う。
ステップ403では、BD−RE Disc101のDMA領域110のリード処理を行う。
ステップ404では、ステップ403で得られたDMA情報の中のDDS情報113から、有効なDrive Area情報112の先頭位置のアドレス情報を取得する。
ステップ405では、ステップ404で得られたアドレス情報に対応した位置から、Drive Area情報112を取得する。こうして、L0層に関するBEの調整結果および調整時温度をBD−RE Disc101から読み出することができる。
次に、BD−RE Disc101から読み出したL0層に関するBEの調整結果および調整時温度を、ステップ402で得たL0層に関するBEの調整結果および現在温度と比較し、Drive Area情報112の妥当性を確認する。具体的には、図17Bに示すように、まず、ステップ407aにおいてBEに関する調整結果の差に関する妥当性を判定する。例えば、前回のBE調整結果と今回のBE調整結果との差異が、透過層厚換算で8μm以下であれば、「OK」と判定してステップ407bに進む。そして、ステップ407bでは、BD−RE Disc101から読み出した調整時温度と今回の調整時温度との差(ΔT℃)を計算する。この計算で求めた温度差ΔT℃が例えば30℃以下であれば、「OK」としてステップ408に進む。
ステップ407a、407bの各々において、判定条件を満足しない場合は、「NG」として図17Aに示すステップ411に進むことになる。
ステップ408では、L1層へのフォーカスジャンプ処理を行う。
ステップ409では、BD−RE Disc101から読み出したL1層に関するBE値からLO層に関するBE値を差し引いた差分ΔBEを、ステップ401で求めたL0層に関するBEの粗調整値に加算する。ただし、この差分ΔBEは、ステップ407bで求めた温度差に応じて補正することが好ましい。なぜならば、透過層厚さに換算したBEは、温度変化ΔTに依存して線形的に変化するからである。BEが温度に依存して線形的に変化する理由は、レーザ光源217の温度が変化すると、放射される光ビームの波長が変化し、しかも、球面収差の大きさが光ビームの波長に依存して変化するからである。例えば、調整時温度が30℃のときに最適なBEが光透過層厚に換算して100μmである場合を考える。この場合、温度がΔT℃増加したときの最適BEは、例えば100μm+0.8×ΔTμmで示される。このようなBEの温度変化率は、光ディスクドライブが固定値としてメモリ内に保持していても良いし、上述の調整結果から算出することも可能である。
上述の例では、BEの温度依存性を示す比例係数は、0.8×ΔTである。したがって、上記の差分ΔBEに0.8×ΔTをかけ掛け合わせた数値を「温度補正差分」として算出し、ステップ401で求めたL0層に関するBEの粗調整値に加算することが好ましい。温度変化ΔTに基づいて補正した差分を今回のL0層に関するBE値に加算することにより、図7に示すFB2点におけるBE値を算出することができる。
その後、ステップ410では、図7に示す矢印2〜4の処理(FBAL/BE精調整)を実施する。この処理は、FBAL/BE精調整から図7に示す矢印2の処理を割愛しているため、簡略モードのFBAL/BE精調整に相当している。
一方、ステップ407の確認がNGの時は、ステップ411に進んで、L1層にフォーカスジャンプを行った後、ステップ412で通常のBE粗調整を実施する。その後、ステップ413に進んで、通常のFBAL/BE精調整を実施する。この場合は、当然に、起動処理の時間が従来どおりの長さとなる。
ステップ414では、今回得た調整パラメータおよび調整結果確認情報を光ディスクのDrive Areaに格納し、起動処理を終了する。
なお、本実施形態では、L0層の調整を行ったのちにDMA情報を取得し、DMA情報から、Drive Areaに位置を得て、Drive Areaの情報を取得していたが、DMA情報を取得する前に、Drive Areaの領域をサーチして、取得したDrive Area位置からDrive Areaの情報を取得してもよい。
最適なBEは、前述したように、ディスクの表面から情報層までの厚さや、温度によって変化する。また、L0層とL1層とでは、ディスク表面から情報層までの距離が異なるため、一方の情報層(例えばL0層)の最適BEにオフセットを加えた値がもう一方の情報層(例えばL1層)の最適BEとなる。ここで、L0層の最適BEとL1層の最適BEとの差は、光ディスクに依存した値であるため、光ディスク装置が1度でも調整を行ったことのあるディスクに対しては、最適BEの差をディスクに記録しておくことにより、一方の情報層について最適BEを求める調整を行えば、他方の情報層についての最適BEは、演算によって得ることが可能となる。
なお、本実施形態では、球面収差補正位置に関するL0層とL1層との差分情報を利用しているが、本発明は、このような場合に限定されない。例えば、今回のL0層の調整結果が以前のL0層の調整結果から所定値以内であると判断した場合、以前のL1層の調整結果を用い、現在温度による補正を行い、調整を終了しても良い。
前述したように、FBAL/BE精調整は、データ再生を行うために最適な状態にするために、フォーカス位置および球面収差補正位置の両方を変化させる調整である。データ再生に最適なフォーカス位置および球面収差補正位置は、光ピックアップの光学特性の時間的変化や温度条件によっても変化する。しかし、再生に最適なフォーカス位置は、情報層毎に大きく異なることは少なく、一方の情報層(例えばL1層とする)について最適なフォーカス位置は、他方の情報層(例えばL0層とする)についての最適なフォーカス位置調整結果に対して、一定の範囲内に存在する。
一方、データ再生に最適な球面収差補正位置は、前述したように、他方の情報層の最適な球面収差補正位置にオフセットを加えた位置から一定の範囲内に存在する。このため、L0層のFBAL/BE精調整結果が得られると、L1層のFBAL/BE精調整の結果は、L0層のFBAL/BE精調整結果から一定の範囲内に存在する可能性が高くなる。したがって、調整時の探索範囲は、L0層の調整結果から一定付近の領域のみでよい。さらに、温度変化による最適なフォーカス位置、BEの変化は、すでに調整を行った層の調整結果に反映されているため、以前の調整時温度と現在温度が大きく離れていないかどうかを判定することで、最適なフォーカス位置、BEの温度変化による影響を少なくすることが可能となる。
このように、今回のL0層の調整結果と、以前のL0層、L1層の調整結果を用いると、L1層の調整の探索範囲を狭めることが可能となり、高速な調整を行うことができる。
なお、起動処理時の調整は、本実施形態のようにBE粗調整およびFBAL/BE精調整に限定されず、TE振幅の調整であってもよい。今回のL0層の調整結果とディスクに記録された以前のL0層の調整結果が所定の範囲内に存在する場合は、ディスクに記録された以前のL1層の調整結果を設定してもよいし、ディスクに記録されたL1層の調整結果に演算を行った値を設定してもよい。TE振幅の調整は、半径位置に応じた調整結果の平均値を取って、該当の層の調整結果としているため、長距離の光ピックアップの移動時間を省略することが可能となり、起動時間の短縮に大きな効果を得ることができる。さらに、今回のL0層の調整結果と光ディスクに記録された以前のL0層の調整結果が所定の範囲内に存在する場合は、光ディスクに記録された以前のL1層の調整結果を設定し、正しい特性が出ているかどうかの確認を行うことで、L1層の調整としてもよい。
また、情報層の数が3以上の場合であっても、ある特定の情報層について各種調整を行ったならば、他の複数の情報層について、実施形態1と同様に調整時間を短縮する効果が得られる。
更に、複数の情報層は、情報層の法線方向に積層されている必要はなく、光ディスクの半径方向に配置されていても良い。例えば、1つの光ディスクの内周側に第1情報層が配置され、その周り(外周側)に第2情報層が配置されていてもよい。
(実施形態2)
次に、本発明による光ディスク装置の他の実施形態を説明する。
まず、図18を参照する。本実施形態の光ディスク装置が図12に示す光ディスク装置と異なる点は、システム制御部213がディスク判別部220、および差分情報格納部222を備えていることにある。共通する構成要素について、重複した説明は省略する。
光ディスクが再生専用である場合は、差分情報を光ディスクに記録することができないため、光ディスク装置側に用意したメモリ内に差分情報を格納することになる。
本実施形態では、光ディスクに応じて適切な差分情報をメモリから読み出す必要があるため、差分情報格納部222は、個々の光ディスクに固有の識別情報(ID)に対応付けで差分情報を記憶しておく。そして、起動処理を行うとき、光ディスク装置にロードされた光ディスクのIDを検出し、そのIDに対応付けられた差分情報をメモリから取得することになる。なお、前述したように、差分情報は、L0層に関する値とL1層に関する値の両方を含んでいれば良く、それらの差を示す情報のみに限定はされない。
以下、図19を参照しながら、本実施形態における起動処理のフローを説明する。
第1回目の起動時、まず、ステップS11〜S14を実行し、第1情報層(L0)についてFBALおよびBEの調整を完了する。その後、ステップS30において、個々のディスクに固有なディスクID(Disc ID)を光ディスクから読み出して取得する。Disc IDは、光ディスクのシリアル番号などであってもよく、個々の光ディスクに固有する情報である。
次に、フォーカスジャンプを行った後、ステップS15〜S18を実行して、第2情報層(L1)についてのFBALおよびBEの調整を完了する。その後、ステップS31において、差分情報をステップ30で光ディスクから読み出したDisc IDに関連付けてメモリの差分情報格納部222に記憶する。このメモリは、例えば、光ディスク装置にセットされているハードディスクや、メモリカードである。
第2回目以降の起動時は、まず、ステップS20〜S23を実行し、第1情報層(L0)についてFBALおよびBEの調整を完了する。その後、ステップS32において、光ディスクからDisc IDを読み出して取得する。本実施形態では、このDisc IDに基づいてディスク判別部220が光ディスクを特定する。次に、ステップS33において、上記メモリの差分情報格納部222から差分情報を取得する。差分情報格納部222には、多数の光ディスクに対応付けられた差分情報が記録され得るため、取得したDisc IDに対応した差分情報を差分情報格納部222から選択することになる。こうして選択した差分情報を、第1情報層(L0)について得たFBALおよびBEに加算することにより、第2情報層(L1)についてのFBALおよびBEの値を算出する。
次に、フォーカスジャンプを行った後、ステップS25〜S26を実行して、第2情報層(L1)についてのFBALおよびBEの調整を完了する。
本実施形態によれば、差分情報を光ディスク装置の側で記憶するため、再生専用の多層光ディスクについても、起動処理時間の短縮をはかることが可能になる。
なお、本実施形態では、ディスクIDを光ディスクから読みだしているが、本発明は、そのような場合に限定されない。例えば、カートリッジを使用した光ディスクでは、カートリッジに固有のIDを付与して、起動時にカードリッジからディスクIDを取得してもよい。また、光ディスクのレーベル面などにディスクIDを印字したり、ディスクIDを格納したICチップなど光ディスクに設けておき、起動前にそれらからディスクIDを取得してもよい。
(実施形態3)
次に、本発明による光ディスク装置の第3の実施形態を説明する。
本実施形態では、フォーカス位置(FBAL)および球面収差補正位置(BE)ではなく、光ディスクのチルトについて、第1情報層と第2情報層との間にある「差分」を利用する。
光ピックアップから情報層を光ビームで照射するとき、情報層に対する光ビームの入射角度は、90°に保持されることが好ましいが、光ディスクにおいて第1情報層(L0)と第2情報層(L1)とが平行であるとは限らず、図20(a)〜(d)に示すように、情報層間の透過層厚が一様ではない場合がある。
図20(a)および図20(b)は、同一の光ディスクの異なる状態を模式的に示す図である。この光ディスクでは、L0層とL1層とは平行ではなく、その層間間隔は、光ディスクの半径位置(ディスク中心からの距離)に依存して単調に増加している。図20(a)に示す状態では、L0層のチルトはゼロであるが、L1層にはα°のチルトが発生している。一方、図20(b)の例では、何らかの理由により、L0層にもβ°のチルトが存在し、L1層にはβ+α°のチルトが発生している。このように同一の光ディスクであっても、光ディスク装置に搭載するたびに異なるチルトが発生し得る。ただし、L0層とL1層との間隔は一定に保持されるため、L1層のチルトからL0層のチルトを差し引いた値(α°)は、図20(a)の状態と図20(b)の状態との間で変化していない。
このようなチルトは、光ピックアップを光ディスクの半径方向に移動させつつ、L0層およびL1層の各々について測定され、記録再生動作時には、測定されたチルトに基づいて対物レンズの光軸方向を調整することになる。チルトの測定は、フォーカス位置(FBAL)や球面収差位置(BE)の調整と同様に、起動処理として実行される。具体的には、複数の異なる半径位置において、光ピックアップ内の対物レンズを上下させることにより、各半径位置における情報層の高さを検出すれば、各情報層のチルトを求めることができる。
しかしながら、従来技術では、チルトの半径方向分布を求める作業を個々の情報層について実行することになるため、起動時間が長くなるという問題があった。図20(a)の例では、5つ半径位置24、32、40、48、56mmでL0層の高さを測定した後、同様に5つの半径位置24、32、40、48、56mmでL1層の高さを測定することになる。各半径位置で実際に情報層に光ビームを照射しながら対物レンズを上下させ、情報層に焦点が合ったときの対物レンズの高さから情報層の高さを特定するため、情報層の数が増えると、処理を完了するまでの時間は過大なものとなる。
本発明者は、同一光ディスク内におけるL0層とL1層との間の幾何学的な配置関係は光ディスクに固有であり、ほとんど変動しないものであることに着目した。本実施形態では、チルトについて「差分情報」を利用する。
図20(a)、(b)に示される例では、L0層とL1層との間にあるチルトの差分は、半径方向位置によらずα°である。この差分は、この光ディスクに固有であり、変化しないため、L0層についてチルトを検出すれば、L1層のチルトについては、上記の差分をL0層について検出したチルトに加算するだけで得ることが可能になる。
このようにして起動処理時間を短縮するためには、L0層のチルトに関する情報およびL1層のチルトに関する情報の両方が光ディスクのL0層に前もって記録されていればよい。この場合、チルトの測定結果は、図11に示す調整パラメータ117に含まれることになる。
次に、図20(c)、(d)を参照する。図20(c)、(d)も、同一光ディスクの異なる状態を示している。図20(c)の例では、L0層にチルトは発生していないが、情報層の間隔が一様ではないため、L1層のチルトが半径位置に依存して不規則に変化している。図の例では、L1層について多数の半径位置で高さを測定した後、チルトが大きく変化している半径位置24mm、30mm、40mm、52mmを選択し、それらの半径位置で測定した情報層の高さからチルトを算出できる。具体的には、半径位置24mmにおけるL1層の高さと半径位置30mmにおけるL1層の高さの差異を、両半径位置の間隔(30mm−24mm=6mm)で除算することにより、半径位置24〜30mmの領域におけるチルトの線形近似値を算出することができる。算出したチルトは、表に示すように、各領域で異なる値θ、ι、ε、κを示している。図20(d)の例では、L0層にβ°のチルトが発生しているが、L1層とL0層との差分は、図20(c)に示す差分から変化していない。
このように多層光ディスクにおける情報記録層間の透過層厚が不均一な場合でも、その透過層厚の径方向分布を測定し、記憶しておけば、全ての情報層についてチルト補正のための測定を行う必要がなくなる。すなわち、第1情報層についてチルトの径方向分布を測定すれば、差分を加算することにより、第2情報層についてのチルトの径方向分布を知ることができ、第2情報層についてのチルト調整が簡単になる。
第1情報層と第2情報層との間の幾何学的な関係は、光ディスク装置によらず一定であるため、一度、そのような幾何学的関係を検出し、光ディスクまたは光ディスク装置のメモリ内に記憶しておけば、起動処理時間を短縮する効果を得ることが可能になる。第1情報層と第2情報層との間の幾何学的な関係は、チルトに限定されず、例えば中心のずれ(偏心)であってもよい。
(実施形態4)
以上の説明から明らかなように、本発明によって起動処理時間を短縮する効果を得るためには、図11に示すような調整パラメータ117の値が光ディスク201に記録されていることが必要になる。1つの光ディスク201は、リムーバブルであるため、種々の光ディスク装置に装填され、各光ディスク装置は、装填された光ディスクに応じて、記録または再生のための処理を実行する。
例えば、図21Aに示すように、光ディスクを記録媒体として使用するカムコーダに調整パラメータ117が記録されていない光ディスク201がロードされ、最初の起動処理が行われた場合を考える。このカムコーダは、本発明による光ディスク装置の一実施形態である。
この場合、実施形態1について説明した方法により、カムコーダはBE粗調整やFBAL/BE精調整を行い、最適なFBALおよびBEの値を調整結果として得る。そして、そのカムコーダは、図11に示す調整パラメータの値を光ディスク201の第1情報層に記録する。これらの調整パラメータの記録値は、各光ディスク装置で、そのまま使用可能なように所定の基準で規格化されていることが好ましい。例えば、BEの場合、透過層厚に換算した数値で表現されていれば、種々の光ディスク装置でそのまま利用することが可能になる。
図5(c)に示す例では、L1層(透過層厚:75μm)で球面収差を最小化するためには、収差補正レンズを、その駆動中心から−1.11mmの位置に移動させることになる。各光ディスク装置は、与えられた透過層厚に応じて適切な収差補正レンズ位置を決定することができる。このため、例えば、或る光ディスク201についてL1層の最適BEを求めたところ、透過層厚に換算した値が76.2μmであることがわかったときは、最適なBEとして76.2μmの値を光ディスク201に記録しておけばよい。
フォーカス位置も、フォーカスエラー信号におけるS字カーブのゼロクロス点に対する距離を規格化されたフォーカス位置として光ディスク201に記録することができる。
このように、起動処理時に得た調整結果を光ディスクに記録する際、複数の光ディスク装置で共用できるように規格化しておけば、1つの光ディスク装置で求めた調整結果を他の光ディスク装置で利用することが容易になる。
図21Aの例では、調整パラメータが記録された光ディスクが光ディスクレコーダやコンピュータ用ドライブなどの他の光ディスク装置に挿入されると、それらの光ディスク装置での起動処理時間を短縮することが可能になる。ただし、起動処理時間を短縮するためには、これらの光ディスク装置が本発明による光ディスク装置であることが必要である。
次に、本発明による光ディスク装置の更に他の実施形態を説明する。
上述した例では、図11に示す調整パラメータの値として、各光ディスク装置に共用しやすいように規格化された数値が記録される場合を説明したが、本発明は、そのような場合に限定されない。以下に説明する実施形態では、各光ディスク装置で得た調整パラメータの値が、その装置で使用される数値のままで光ディスクに記録される。ただし、本実施形態では、光ディスク装置を特定する情報(装置ID)と調整パラメータとを関連づけて光ディスクに記録することにより、特定の光ディスク装置を用いて求めた調整パラメータの値を他の光ディスク装置で補正して利用することを可能にしている。
以下、図22を参照して、本実施形態における起動処理の手順を説明する。
まず、既に調整パラメータの値が他の光ディスク装置によって求められ、Drive Area109(図10)内に記録された光ディスクが用意され、本実施形態の光ディスク装置にロードされる。なお、本実施形態の光ディスク装置の装置IDは、P200655555であり、光ディスクに調整パラメータを記録した光ディスク装置の装置IDは、P200612345であるとする。
この光ディスクに対して、本実施形態の光ディスク装置による初めての起動処理が行われる。すなわち、前述した方法により、L0層についてBEの粗調整を行う(ステップS11)。その後、TE尾根上FBAL/BE調整を行い(ステップS12)、更に、FBALの精調整を実行する(ステップS13)。続いてBEの精調整を行うことにより、以下の表2に示す調整結果を得る(ステップS14)。
Figure 2007060975
これらの調整を完了することにより、光ディスクのL0層に設けられたDrive Area109からデータを取得することが可能になる。次に、光ディスクのDrive Areaから図11に示す調整パラメータの値とともに、調整パラメータの値を記録した装置を特定するための情報(装置ID)を読み出す(ステップS40)。
以下の表3は、光ディスクのDrive Areaに記録されていた「装置ID」および「調整パラメータ」の数値例を示している。
Figure 2007060975
次に、本実施形態の光ディスク装置は、光ディスクから取得したL0層に関するFBALおよびBEと、L1層に関するFBALおよびBEに基づいて差分を求める(ステップS41)。差分は、例えば以下の表4に示される値を有している。
Figure 2007060975
差分を示す数値は、調整パラメータを求めた光ディスク装置(装置ID:P200612345)に対するものであるため、本実施形態の光ディスク装置(装置ID:P200655555)では補正して用いる必要がある。具体的には、今回の起動処理によって得たFBAL(L0)に対して、補正係数で補正した差分を加算することにより、FBAL(L1)の算出結果を得ることができる。同様に、今回の起動処理によって得たBE(L0)に対して、補正係数で補正した差分を加算することにより、BE(L1)の算出結果を得ることができる。
補正に必要な補正係数χ、ρは、調整パラメータの値とともに光ディスクに記録されていても良いし、光ディスク装置のシステム制御部213(図12)内のメモリに前もってテーブル値として保存されていても良い。システム制御部213内のメモリに補正係数χ、ρを保存しておく場合、補正係数χ、ρと装置IDとを対応付ける必要がある。補正係数χ、ρが光ディスク装置ごとに異なるからである。補正係数χ、ρと装置IDとの対応付けは、例えば、以下の表5に示されるテーブルによって表される。
Figure 2007060975
この例では、本実施形態の光ディスク装置(装置ID:P200655555)における補正係数χa、ρaが、それぞれ、+200.+184であり、調整パラメータの値を光ディスクに記録した光ディスク装置(装置ID:P200612345)であるため、補正係数χb、ρbは、それぞれ、+180、+170である。したがって、FBAL(L1)、BE(L1)の値は、表6に示すようにして算出される。
Figure 2007060975
このような差分に対する補正の仕方は、上述した例に限定されない。
次に、L0層からL1層にフォーカスジャンプを行った後、温度変化に対応するため、L1層におけるFBALおよびBEの精調整を実行する(ステップS17、S18)。
このように本実施形態によれば、光ディスクに記録されている差分情報が、当該光ディスク装置によって求められたものでない場合であっても、差分情報を有効に利用することができ、L1層におけるBE粗調整およびTE尾根上FBAL/BE調整に必要な時間を省くことが可能になる。
本実施形態による光ディスク装置を用いてFBALやBEなどの調整パラメータの値が光ディスクに記録されていると、図21Aに示すように、その光ディスクが挿入される種々の光ディスク装置において、起動処理時間を短縮することが可能になる。このため、同一メーカから複数種類の光ディスク装置(カムコーダ、ビデオレコーダ、コンピュータ用ドライブなど)が製造・販売されている場合、本発明によれば、このメーカの光ディスク装置間では起動時間を短縮できる利点があるため、ユーザは、そのメーカによる製品群から光ディスク装置を購入しようとし、そのメーカから提供される製品の販売促進効果も得られる。また、複数の協賛企業が本発明による光ディスク装置を規格化して利用すれば、複数の企業が製造・販売する装置間で起動時間短縮効果を得ることも可能になる。
なお、光ディスクを市場に投入するとき(出荷時点)、調整パラメータの値を最初から光ディスクに記録しておいてもよい。調整パラメータ記録済みの光ディスクを購入したユーザは、図21Bに示すように、その光ディスクを種々の光ディスク装置(本発明によるもの)に挿入して最初の起動時から処理時間短縮の効果を得ることができる。図21Bに示す例では、A社、B社、X社などが販売する多様な装置において、このような光ディスクが利用できるように調整パラメータが規格化されるか、表4に示すような情報が企業間で共有されていることが好ましい。
以上説明してきたように、本発明の好ましい実施形態における光ディスク装置を用いると、起動時において、L0層に関する調整パラメータの値を決定すれば、以前の起動時に設定されたL0層およびL1層に関する調整パラメータの差分を利用して、L1層に関する調整パラメータをより短い時間で決定することが可能になる。このため、起動処理を完了するまでの時間を短縮することが可能となり、再生が可能となるまでのユーザの待ち時間を短縮することが可能となる。
本発明にかかる光ディスク装置は、複数の層からなる光ディスクの起動処理を行う際に、第1情報層についての求めた調整結果から、第1情報層と第2情報層との幾何学的な配置関係によって定まる差分情報を用いて第2情報層についての調整に要する時間を短縮することができるため、ユーザの利便性が向上し、有用である。
本発明は、円盤状の情報担体(以下、「光ディスク」と称する。)に対するデータの記録、および光ディスクに記録されたデータの再生の少なくとも一方を行う光ディスク装置に関する。特に本発明は、複数の情報層を備える光ディスクに対して迅速な起動処理を実行することのできる光ディスク装置、および当該光ディスク装置に用いられる光ディスクに関している。
光ディスクに記録されているデータは、比較的弱い一定の光量の光ビームを回転する光ディスクに照射し、光ディスクによって変調された反射光を検出することによって再生される。
再生専用の光ディスクには、光ディスクの製造段階でピットによる情報が予めスパイラル状に記録されている。これに対して、書き換え可能な光ディスクでは、スパイラル状のランドまたはグルーブを有するトラックが形成された基材表面に、光学的にデータの記録/再生が可能な記録材料膜が蒸着等の方法によって堆積されている。書き換え可能な光ディスクにデータを記録する場合は、記録すべきデータに応じて光量を変調した光ビームを光ディスクに照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
なお、ピットの深さ、トラックの深さ、および記録材料膜の厚さは、光ディスク基材の厚さに比べて小さい。このため、光ディスクにおいてデータが記録されている部分は、2次元的な面を構成しており、「記録面」と称される場合がある。本明細書では、このような記録面が深さ方向にも物理的な大きさを有していることを考慮し、「記録面」の語句を用いる代わりに、「情報層」の語句を用いることとする。一般の光ディスクは、このような情報層を少なくとも1つ有している。なお、1つの情報層が、現実には、相変化材料層や反射層などの複数の層を含んでいてもよい。
記録可能な光ディスクにデータを記録するとき、または、このような光ディスクに記録されているデータを再生するとき、光ビームが情報層における目標トラック上で常に所定の集束状態となる必要がある。このためには、「フォーカス制御」および「トラッキング制御」が必要となる。「フォーカス制御」は、光ビームの焦点の位置が常に情報層上に位置するように対物レンズの位置を情報記録面の法線方向に制御することである。一方、トラッキング制御とは、光ビームのスポットが所定のトラック上に位置するように対物レンズの位置を光ディスクの半径方向(以下、「ディスク径方向」と称する。)に制御することである。
従来、高密度・大容量の光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD−R、DVD+RW、DVD+R等の光ディスクが実用化されてきた。また、CD(Compact Disc)は今も普及している。現在は、これらの光ディスクよりもさらに高密度化・大容量化されたブルーレイディスク(Blu-ray Disc;BD)などの次世代光ディスクの開発・実用化が進められつつある。
これらの光ディスクは、その種類に応じて異なる多様な物理的構造を有している。例えば、トラックの物理的構造、トラックピッチ、情報層の深さ(光ディスクの光入射側表面から情報層までの距離)などが異なるものがある。このように物理的な構造の異なる複数種類の光ディスクから適切にデータを読み出し、あるいは、データを書き込むためには、光ディスクの種別に応じた開口数(NA)を有する光学系を用いて適切な波長の光ビームを光ディスクの情報層に照射する必要がある。
近年、大容量の記録媒体として厚さ方向に2層の情報層を持つ光ディスクが登場し、この光ディスクに対応した光ディスク装置が広く市場に出回るようになってきた。
光ディスクの記録・再生を行うために必要なサーボ制御・信号の最適な状態は、光ディスク装置や光ディスク毎の特性のばらつき、記録・再生を行う際の温度条件などによって異なる。このため、光ディスクの情報層の記録・再生を行う際には、「起動処理」と呼ばれるサーボ制御・信号の初期調整を所定の手順で行う必要がある。
起動処理を行うことにより、光ディスクの情報層の記録・再生を最適な状態で行うことが可能となる。しかし、情報層の数が増えると、情報層毎に初期調整が行われることになるため、起動処理に要する時間が増大し、実際の記録再生動作が可能となるまでのユーザの待ち時間が増大するという課題がある。
特許文献1では、上記課題を解決する技術を開示している。図23は、特許文献1に開示されている2層ディスクの起動処理の手順を示したフローチャートである。図23では、起動手順の中で特に調整に関する項目のみ示しており、ディスクモータのONやフォーカス制御のONなどのタイミングは、任意の設定可能なタイミングで行われるものとする。
図23のステップ701では、第1の情報層の調整を実施する。ステップ702では、第1の情報層から第2の情報層へのフォーカスジャンプ処理を行う。ステップ703では、第1の情報層の調整結果を第2の情報層の調整の初期値として設定する。ステップ704では、ステップ703で設定した値を初期値として、第2の情報層の調整を実施して、起動処理を終了する。
以上の起動手順によれば、情報層の特性に依存しない調整では、第1の情報層の調整結果と第2の情報層の調整結果が近い値になるため、第1の情報層の調整結果を初期値として第2の情報層の調整を行っている。その結果、第2の情報層の調整を短時間で行うことが可能となる。
特開2001−319332号公報
しかしながら、上記の従来技術では、各情報層の特性に依存した記録再生のパラメータを調整によって求めるとき、最適な調整結果が得られるまでの調整時間が長くなるという問題がある。調整の初期値を適切に選択した場合には、調整の収束時間の短縮効果は見込めるが、調整処理の内容自体は変わらないために、調整時間の短縮効果が不充分である。
本発明の目的は、積層された複数の情報層を備えるディスクの各情報層の再生および記録のいずれか一方を行うディスク装置であって、装置の電源投入後に短時間に起動を完了させ、再生または記録動作を速やかに開始することができるディスク装置を提供することにある。
本発明の光ディスク装置は、第1情報層及び第2情報層を含む複数の情報層を備える光ディスクに対してデータの記録及び再生の少なくも一方を実行することのできる光ディスク装置であって、光ビームを集束する対物レンズと、前記対物レンズを駆動するレンズアクチュエータと、前記光ディスクで反射された光ビームを受け、電気信号に変換する受光部と、前記第1情報層からデータを読み出すために設定される第1パラメータ群および前記第2情報層からデータを読み出すために設定される第2パラメータ群の値を起動時に決定する制御部とを備え、前記制御部は、起動時において、前記第1パラメータ群の値を決定し、かつ、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群の値と以前の起動時に設定された前記第2パラメータ群の値との相関を表す相関情報、および今回の起動時に決定した前記第1パラメータ群の値を用いて第2パラメータ群の値を決定する。
好ましい実施形態において、前記相関情報は、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群の値と以前の起動時に設定された前記第2パラメータ群の値との差分である。
好ましい実施形態において、前記制御部は、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を、前記光ディスクの前記第1情報層から取得する。
好ましい実施形態において、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を前記光ディスクのディスクID情報に関連付けて格納するメモリを備えており、前記制御部は、今回の起動時に前記第1パラメータ群の値を決定した後、前記光ディスクの第1情報層からディスクID情報を読み出させ、当該ディスクID情報に関連付けられている前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を前記メモリから取得する。
好ましい実施形態において、前記第1パラメータ群は、前記第1情報層からデータを再生するときに前記第1情報層上における光ビームの集束状態を規定するパラメータを含み、前記第2パラメータ群は、前記第2情報層からデータを再生するときに前記第2情報層上における光ビームの集束状態を規定するパラメータを含む。
好ましい実施形態において、前記第1パラメータ群は、前記第1情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含み、前記第2パラメータ群は、前記第2情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含む。
好ましい実施形態において、前記第1パラメータ群は、前記第1情報層のチルトまたは偏心を示す情報を含み、前記第2パラメータ群は、前記第2情報層のチルトまたは偏心を示す情報を含む。
好ましい実施形態において、前記制御部は、起動時において前記第2パラメータ群の値を決定するとき、前記相関情報を利用するか否かを、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群の値に基づいて判定する。
好ましい実施形態において、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群は、以前の起動時における温度を示す温度情報を含む。
好ましい実施形態において、前記制御部は、前記相関情報を利用しないと判定した場合、前記光ビームを実際に前記光ディスクの第2情報層に照射して前記第2パラメータ群の値を決定する。
好ましい実施形態において、起動時において、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を取得できない場合、前記制御部は、前記光ビームを実際に前記光ディスクの第2情報層に照射して前記第2パラメータ群の値を決定する。
好ましい実施形態において、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値が前記光ディスクの第1情報層に記録されている場合において、その設定が行われた装置が当該光ディスク装置と異なる場合、前記制御部は、前記相関情報を補正して使用する。
好ましい実施形態において、前記制御部は、前記光ディスクの第1情報層に記録されている前記第1パラメータ群の値および前記第2パラメータ群の値を前記光ディスクに記録した光ディスク装置を特定する装置IDを前記光ディスクから取得し、前記装置IDに基づいて前記相関情報を補正する。
好ましい実施形態において、前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を前記光ディスクの第1情報層に記録する。
好ましい実施形態において、前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を他の光ディスク装置で利用できるように補正してから前記光ディスクの第1情報層に記録する。
好ましい実施形態において、前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を、当該光ディスク装置を特定するための装置IDとともに前記光ディスクの第1情報層に記録する。
好ましい実施形態において、前記第1および第2パラメータ群の値を、対応する光ディスクを特定するディスクIDに関連付けて記録するメモリを備えており、前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を前記光ディスクのディスクIDに関連付けて前記メモリに記録する。
本発明の光ディスクは、第1情報層及び第2情報層を含む複数の情報層を備える光ディスクであって、前記第1情報層からデータを読み出すために設定される第1パラメータ群および前記第2情報層からデータを読み出すために設定される第2パラメータ群の値が前記第1情報層に記録されている。
好ましい実施形態において、前記第1パラメータ群は、前記第1情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含み、前記第2パラメータ群は、前記第2情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含む。
好ましい実施形態において、前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値は、出荷時点において既に記録されている。
本発明によれば、複数の情報層を備える光ディスクの記録・再生を行う光ディスク装置において、記録または再生が可能になるまでの起動時間を短縮し、ユーザの待ち時間を短くすることができる。このため、番組の取り逃しや撮影期間の喪失などを防止するとともに、使いやすさを向上するといった効果がある。さらに今後、3層、4層の情報層を持った光ディスクが登場してくると、起動時間の短縮効果は、いっそう顕著になる。
本発明の光ディスクは、第1情報層及び第2情報層を含む複数の情報層を備えた光ディスク(多層光ディスク)であり、第1情報層には、「パラメータ群格納領域」が設けられている。このパラメータ群格納領域は、第1情報層からデータを読み出すために起動時に設定される第1パラメータ群の値および第2情報層からデータを読み出すために起動時に設定される第2パラメータ群の値を格納している。第1パラメータ群は、典型的には、第1情報層からデータを再生するときに第1情報層上における光ビームの集束状態を規定するパラメータを含み、第2パラメータ群は、同様に、第2情報層からデータを再生するときに前記第2情報層上における光ビームの集束状態を規定するパラメータを含む。
各情報層上における光ビームの集束状態を規定する「パラメータ」は、記録・再生の対象となる情報層(目的情報層)における光ビームの集束状態を最適化するために必要な情報であり、例えば光ピックアップ内の対物レンズの位置を示す数値などである。
以下、光ビームの集束状態を最適化するために必要な情報を説明する。
まず、図1を参照する。図1は、一般的な光ディスク201と対物レンズ202との配置関係を模式的に示す斜視図である。対物レンズ202によって集束された光ビーム22は、光ディスク201の光入射側面から光ディスク内部の情報層に照射され、情報層上に光ビームスポットを形成する。本発明で使用する光ディスク201の一例は、図2に示すように、光入射側面201aから相対的に深い位置に設けられた第1情報層(L0層)と、相対的に浅い位置に設けられた第2情報層(L1層)とを備えているため、記録再生の対象となる情報層(L0層またはL1層)に適確に光ビーム22を集束するためには、対物レンズ202の光軸方向位置や情報面に対する光軸の傾斜角度を適宜調整する必要がある。
前述した各種の光ディスクのうち特にBDでは、開口数(NA)の高い対物レンズを使用して光ビームを集束するため、信号の再生品質が「球面収差」の影響を受けやすい。この球面収差を最小化するため、BDに対応した光ディスク装置では、BDを光ビームで照射するため光源(不図示)と対物レンズ202との間に、球面収差を補正する機構(球面収差補正部)が設けられる。
球面収差は、図3(a)に示すように、対物レンズ202の中心部を通過する光線と、対物レンズ202の周辺部を通過する光線との間で焦点の位置が光軸方向に沿ってずれる現象であり、ずれの大きさ自体を「球面収差」と称する場合がある。球面収差は、光ビーム波長、対物レンズの開口数(NA)、光ディスクの透過層厚(ディスク表面から情報層までの距離)によって変化する。特に開口数には大きく依存し、球面収差はNAの4乗に比例して変化する。このため、DVDやCDに比べて開口数(NA)の大きな対物レンズを用いるBDでは、球面収差が特に大きくなりやすく、その低減が不可欠である。
なお、本願明細書における「透過層厚」の用語は、上述のように、光ディスクの光入射側表面(以下、「ディスク表面」と称する。)から情報層までの距離、言い換えると「ディスク表面からの情報層記録層の深さ」を意味するものとする。1層の情報層を備える単層BDの場合、情報層は厚さ0.1mm(約100μm)のカバー層によって覆われているため、「透過層厚」は一義的に定まり、その大きさは0.1mmである。2層の情報層を備える2層BDの場合、ディスク表面から遠い情報層(L0層)の上に厚さ約25μmの光透過層が設けられており、その光透過層の上に情報層(L1層)が配置されている。このL1層は、厚さ約75μmの他の光透過層(カバー層)によって覆われている。このため、2層BDでは、L0層に着目した場合の「透過層厚」は約100μmであるが、L1層に着目した場合の「透過層厚」は約75μmである。
球面収差の大きさは、同じBD規格に基づいて作製された光ディスクであっても、透過層厚が異なっていたり、光ビームの光軸が情報層に対して傾斜(チルト)しているだけで変化する。このため、起動時には、光ディスク装置にロードされた光ディスクに応じて、球面収差を最小化するように球面収差補正部260を制御し、収差補正量を最適化することが必要になる。図3(b)は、球面収差補正部260により球面収差がほぼ完全に補正された状態を模式的に示している。
図4(a)は、光ディスク201の表面から相対的に浅い位置にある情報層上で球面収差が最小化されている様子を示し、図4(b)は、光ディスクの表面から相対的に深い位置にある情報層上で球面収差が最小化されている様子を示している。このように、光ディスクの表面から情報層までの距離が変化すると、球面収差補正部260の働きにより、対物レンズ202に入射する光ビ−ムの発散度を調整することによって情報層上での球面収差を最小化する必要がある。
球面収差補正部260は、対物レンズ202に入射する光ビ−ムの発散度を調整するため、例えば図5(a)、(b)に示す収差補正レンズ262を備えており、その光軸方向位置を変化させることにより、光ビ−ムの発散度を変化させ、最終的に情報層上における球面収差を調節することができる。
図5(a)に示す状態では、対物レンズ202から収差補正レンズ262を遠ざけることにより、光ディスクの深い位置にあるL0層で球面収差を最小化している。一方、図5(b)に示す状態では、対物レンズ202に収差補正レンズ262を近づけることにより、光ディスクの浅い位置にあるL1層で球面収差を最小化している。
図5(c)に示すように、収差補正レンズ262の位置を制御することにより、球面収差が最小化される情報層の深さを変化させることができる。駆動中心に対して1.66mmだけ対物レンズ202から遠い位置に収差補正レンズ262を置くとき、L0層上で球面収差を最小化できる。一方、駆動中心に対して1.11mmだけ対物レンズ202に近い位置に収差補正レンズ262を置くときは、L1層上で球面収差を最小化できる。
ここで、光ディスク表面からL0層までの距離(深さ)は、「透過層厚100μm」と表現され、光ディスク表面からL1層までの距離(深さ)は、「透過層厚75μm」と表現される場合がある。したがって、光ビームの焦点をL1層に位置させる場合には、対物レンズ202の光軸方向位置を調整するだけではなく、透過層厚75μmに適合した収差補正を行なうために収差補正レンズ262を駆動中心から対物レンズ側に1.11mm移動させる必要がある。そして、光ビームの焦点をL1層からL0層に移動させる場合には、対物レンズ202の光軸方向位置を調整するとともに、透過層厚100μmに適合した収差補正を行なうために、収差補正レンズ262を駆動中心に対して1.66mmだけ対物レンズ202から離れる位置に移動させることになる。このとき、単に対物レンズ202の位置だけを調節し、収差補正を適切に行なわなかったとすると、L0層に集束する光ビームの球面収差が大きくなってしまう。
このようにBDでは、光ビームの集束点を目的情報層上に位置させるように対物レンズの位置を調整するだけではなく、その情報層において収差補正を最小化するように収差補正レンズ262の位置を調整する必要がある。
一方、フォーカスサーボ制御をオンにしているとき、光ビームの集束点を目的情報層上に位置させるため、フォーカスエラー信号におけるS字状カーブの振幅をゼロに近づけるようにサーボ制御が実行される。このとき、S字状カーブの振幅が完全にゼロとなる位置(ゼロクロス点)ではなく、そのゼロクロス点から所定距離だけシフトさせた位置を目標位置としてサーボ制御を行うことにより、相対的に優れた信号再生品質を実現することができる。このように、光ビームの焦点位置をフォーカスエラー信号におけるS字状カーブのゼロクロス点からのシフトした位置にあわせることは、「デフォーカス」と称されている。この「デフォーカス」の程度を規定する数値は、「フォーカスバランス」と称される。フォーカスバランスの大きさを変更すると、目的情報層における光ビームの集束状態が変化することになる。本明細書では、デフォーカスの程度を「フォーカス位置」と称し、単に「FBAL」で示す場合がある。
なお、前述したように収差補正レンズは、光ビームを広げる機能(ビームエキスパンド機能)を有するため、「球面収差補正位置」または「球面収差補正量」を「BE」で簡略的に表現する場合がある。
上記の例では、フォーカス位置(FBAL)および球面収差補正位置(BE)が光ビームの集束状態を規定する重要なパラメータとなる。
また、情報層に対する光ビームの入射角度によっては、球面収差だけではなく、コマ収差が発生するため、情報層に対して光ビームが垂直に入射するように対物レンズ202の光軸の向きを適宜調整する必要もある。対物レンズ202の光軸の角度は、対物レンズ202の光軸方向位置と同様にレンズアクチュエータの2つのフォーカスコイルに与える駆動信号のバランスを変えることによって制御することができる。対物レンズ202の光軸の角度の制御は、チルト制御と称されている。対物レンズ202の光軸の角度の初期値は、0°であるが、上記のように光ディスク201の情報面が対物レンズ202の光軸に対して垂直な面から傾斜している場合は、その傾斜角度に応じて対物レンズ202の光軸の角度を合致させるように変化(レンズチルト)させる。ただし、レンズチルトの角度によっては、球面収差が発生する場合もあり、光ビームの集束状態に影響を与えるパラメータの1つである。
光ビームの集束状態に大きな影響を及ぼす上記パラメータの値は、以下の表1に示す各種の要因によって変動し、この変動要因は、光ディスク装置に依存する要因、光ディスクに依存する要因、および使用環境に依存する要因に分けることができる。
Figure 2007060975
多層光ディスクに対して、実際にデータを記録したり、既に記録されているデータを再生するためには、光ディスク装置の起動直後、個々の情報層について、光ビームの集束状態を最適化するための調整を行う必要がある。すなわち、光ディスク装置にロードされた光ディスクに応じて、「フォーカス位置(FBAL)」および「球面収差補正位置(BE)」の値を調整し、対物レンズおよび収差補正レンズの光軸方向位置を最適化するための条件を求めておく必要がある。このようなレンズ位置の調整および決定は、「学習」とも呼ばれ、起動時に行う他の処理(レーザパワーの最適化など)とともに「起動処理」として実行される。
このような調整または学習を行うことによって得た各情報層に関するFBALおよびBEの値(調整結果)は、その光ディスクに記録するか、あるいは、光ディスク装置のメモリ内に保存され得るが、光ディスクや光ディスク装置が替われば、あらためて調整または学習を行う必要があり、同一の光ディスクおよび光ディスク装置であっても、経時的変化や温度変化に応じた微調整は必要になる。このため、起動のたびに、光ディスクの各情報層についてフォーカス位置および球面収差補正位置の調整を行う必要があるが、1枚の光ディスクに含まれる情報層の数が2層以上に増えてゆくと、従来技術の問題として説明したように、データの記録再生開始までに要する時間が大幅に増大してしまうことになる。
本発明者は、フォーカス位置(FBAL)および球面収差補正位置(BE)などのパラメータが光ディスク装置や使用環境に応じて変動したとしても、同一の光ディスクに含まれる複数の情報層の間では、一定の関係を保持することに着目し、本発明を完成した。すなわち、本発明では、複数の情報層に含まれるいずれか1つの情報層(第1情報層)に関するパラメータ群と、他の情報層(第2情報層)に関するパラメータ群との相関を表す相関情報を求め、この相関情報を利用して、全ての情報層に対して同一の調整処理を行う従来の無駄を省略することができる。
以下、本発明の光ディスク装置による起動処理の基本的原理を説明する。
本発明の好ましい実施形態では、光ディスク装置に多層光ディスクがロードされたとき、第1情報層に関するパラメータと第2情報層に関するパラメータとの相関を表す相関情報として両者の差分を求める。この差分は、光ディスクの透過層厚の違いなど光ディスクの種類や個体差に依存しているが、同一の光ディスクにおいては、ほぼ一定に保たれる。したがって、起動時の最適化調整(学習)を行うとき、例えば第1情報層についてパラメータの調整を完了し、最適化されたパラメータ値(学習結果)を得ることができれば、第2情報層について最適化されたパラメータ値は、第1情報層について最適化されたパラメータ値に対して上記「差分」を加算して得ることができる。すなわち、第2情報層については、パラメータの調整作業の少なくとも一部を割愛することが可能になる。
なお、このような「差分」を示す情報が当該光ディスクまたは光ディスク装置内に記憶されていれば、第2情報層についてパラメータ調整作業を割愛することが可能になるが、記憶されていない場合は、第1および第2情報層の両方について、通常の学習が必要になる。
次に、図6を参照しつつ、本発明による上記パラメータの調整手順の概略を説明する。図6は、調整手順のフローチャートである。
まず、差分情報が記録されていない光ディスクを光ディスク装置に搭載した場合を説明する。光ディスクを光ディスク装置にロードし、第1回目の起動処理を開始した後、第1情報層(L0層)についてFBALおよびBEの調整を行う(ステップS1)。この調整の仕方については、後に詳述する。
次に、光ピックアップ内のレンズアクチュエータによって対物レンズを光軸方向に移動させ、それによって光ビームの焦点位置を第1情報層(L0層)から第2情報層(L1層)に移動させる(フォーカスジャンプ)。そして、第1情報層(L0層)について行った調整と同様の調整を第2情報層(L1層)についても行う(ステップS2)。この後、調整によって得た各情報層(L0層、L1層)に関するFBALおよびBEの値を光ディスクの「パラメータ群格納領域」に記録する(ステップS3)。「パラメータ群格納領域」は第1情報層に設けられている。
次に、上記の光ディスクを用いて2回目以降の起動を行う場合を説明する。
まず、1回目の起動処理として行ったように、第1情報層についてFBALおよびBEの調整を行う(ステップS4)。この後、光ディスクのパラメータ群格納領域からデータを読み出し、FBALおよびBEのそれぞれについて、第1情報層と第2情報層との間で生じているFBALおよびBEの差分に関する情報を取得する(ステップS5)。なお、「差分に関する情報」とは、差分そのものを示す情報のみならず、第1情報層および第2情報層の両方についてのパラメータ群の値であってもよい。第2情報層のパラメータの値から第1情報層のパラメータの値を差し引けば、差分を決定することができるからである。
ステップS4で求めた第1情報層に関するFBALおよびBEの値に対して、ステップS5で取得した差分を加算することにより、第2情報層に関するFBALおよびBEの値を得ることができる(ステップS6)。
こうして、第2情報層に関するFBALおよびBEの値を調整または学習によって求める作業を割愛することが可能になり、起動時間を短縮できる。
次に、図7を参照しつつ、FBALおよびBEの調整方法を説明する。図7は、横軸がフォーカス位置(FBAL)、縦軸が球面収差補正位置(BE)のグラフであり、(FBAL、BE)に依存して変化するジッタを示している。グラフ中の閉曲線は、ジッタの大きさが等しくなる座標点(FBAL、BE)を結んだ等高線である。「ベスト位置」は、ジッタが最も小さくなる座標点(FBAL、BE)を示しており、等高線の示すジッタの大きさは、ベスト位置から離れるにつれて大きくなる。ジッタは、情報層に入射している光ビームの集束状態に強く依存し、FBALおよびBEが最適な値に近づくほど、小さくなる。このため、ジッタを最小化するように、FBALおよびBEを変化させれば、集束状態を最適化するFBALおよびBEを見つけ出すことが可能になる。
以下、起動処理中の調整過程において、FBALおよびBEを変化させる手順を説明する。
まず、FBALおよびBEを初期値に設定する。具体的には、図5に示す対物レンズ202および収差補正レンズ262の光軸方向位置をアクチュエータなどの駆動部の働きによって初期の位置に設定する。初期値としては、例えば標準的な光ディスクについて光ディスク装置の製造的に決定されていたFBALおよびBEの値を用いることができる。光ディスクの種類によって好ましい初期値が異なるため、ロードされた光ディスクの種類を判別し、その種類に応じて初期値を変更してもよい。
次に、FBALを初期値に固定した状態でBEの値を変化させつつ、TE振幅が最大となるBEを求める(矢印1)。具体的には、図5に示す対物レンズ202の位置は固定した状態で収差補正レンズ262の光軸方向位置を変化させる。与えられたFBALに対してTE振幅を最大化するBEは、図7に示す破線上にあり、この破線によって示される直線の傾きは予めわかっている。この直線は「トラッキング安定領域」の中心を通り、図7においてTE振幅の「尾根」に相当する。このため、この直線を「TE尾根直線」と称することとする。本明細書では、矢印1の処理工程を「BE粗調整」と称することとする。
次に、このTE尾根直線に沿うようにして、FBALおよびBEの両方を変化させる(矢印2)。具体的には、図5に示す対物レンズ202および収差補正レンズ262の光軸方向位置を両方とも所定の距離だけ変化させる。このとき、ジッタが小さくなるようにTE尾根直線の「傾き」に対応した比率でFBALおよびBEを変化させることにより、FBALおよびBEによって決まる座標点(FBAL、BE)をベスト位置(ジッタ最小位置)に近づけることができる。
次に、BEを固定した状態でFBALを変化させつつ、ジッタを計測する。こうして、ジッタをほぼ最小化するFBALを求めることができる(矢印3)。その後、FBALを固定した状態で更にBEを変化させつつ、ジッタを計測する。こうして、ジッタを最小化するFBALおよびBEを求めることができる(矢印4)。本明細書では、矢印2〜4の一連の処理工程を全体として「FBAL/BE精調整」と称する場合がある。
図7のTE尾根直線の傾きを正確に決定するためには、TE尾根直線上の少なくとも2点を決定すればよい。図8は、図7に対応するグラフであり、シミュレーションによって求めたTE振幅の等高線を記載している。図8における直線ABが、図7のTE尾根直線に相当する。
TE尾根直線を求める好ましい方法の例では、まず、相対的に低いBEの設定値のもとでTE振幅を最大化するFBALを求める。図8の例では、BE=98でFBALを変化させ、TE振幅を最大化させるFBALの値が0.05であることが判ったものとする。すなわち、BE=98の直線上では点BにおいてTE振幅が最も大きくなることがわかる。次に、BEを98から103に変化させた後、TE振幅を最大化するFBALを求める。図8の例では、TE振幅を最大化させるFBALの値が−0.15であることが判ったものとする。すなわち、BE=103の直線上では点AにおいてTE振幅が最大化することがわかる。
次に、FBALを−0.15から0.05に変化させた後、TE振幅を最大化するBEを求める。図8の例では、TE振幅を最大化させるBEの値が98であることが判ったものとする。すなわち、FBAL=0.05の直線上では点BにおいてTE振幅が最大化することがわかる。
上記の作業により、点Aと点Bとを結ぶ直線をTE尾根直線として選択することが可能になる。このような作業は、例えば800ミリ秒程度の時間を要するため、起動のたびに行うと、起動処理時間を増加させてしまう。TE尾根直線の傾きは、光ピックアップに依存して異なるが、光ディスクに対する依存性は相対的に小さい。このため、上述した方法により、「TE尾根直線」の傾きを一度求めておき、その値を光ディスク装置内の不揮発性メモリ(例えばEEPROM)内に格納しておけば、次の起動からはTE尾根直線の傾きを決定するための上記作業が不要になり、起動時間を短縮する効果が得られる。
上記の例では、TE振幅やジッタを指標として調整を行っているが、本発明はこのような場合に限定されない。
以下、図9を参照して、本発明によるFBALおよびBEの調整手順を詳細に説明する。図9は、調整手順の詳細を示すフローチャートである。
まず、差分情報が記録されていない光ディスクを光ディスク装置にロードした場合を説明する。光ディスクを光ディスク装置にロードし、第1回目の起動処理を開始した後、第1情報層(L0層)についてBEの粗調整を行う(ステップS11)。このステップS11は、図7の矢印1の処理工程に対応している。
次に、TE尾根直線に沿ってFBALおよびBEを変化させる(ステップS12)。このステップS12は、図7の矢印2の処理工程に対応している。FBALの微調整を行った(ステップS13)後、BEの精調整を行う(ステップS14)。ステップS13、14は、それぞれ、図7の矢印3、4の処理工程に対応している。
上記の手順により、第1情報層(L0層)に関するFBALおよびBEの最適値(図7のべスト位置)を決定した後、第1情報層(L0層)から第2情報層(L1層)へフォーカスジャンプを行う。そして、ステップS11、12、13、14と同様のステップS15、16、17、18を実行して、第2情報層(L1層)に関するFBALおよびBEの最適値を決定する。そして、ステップS19では、FBALおよびBEの差分情報を光ディスクに記録する。
次に、上記の光ディスクを用いて2回目以降の起動を行う場合を説明する。
まず、1回目の起動処理として行ったように、第1情報層についてFBALおよびBEの調整を行う(ステップS20、S21、S22、S23)。この後、光ディスクから差分情報を取得する(ステップS24)。
第1情報層(L0)に関するFBALおよびBEの値に対して、ステップS24で取得した差分を加算することにより、第2情報層(L1)に関するFBALおよびBEの値を得る。
こうして得られた第2情報層(L1)に関するFBALおよびBEの値(計算値)は、実際に調整を行った場合に得られるFBALおよびBEの値から僅かにシフトしている可能性がある。そのシフトの原因は、例えば1回目の起動処理時と今回の起動処理時との間で環境温度(レーザ光源の温度)が異なっている可能性があるからである。そのようなシフトを補償するためには、差分の加算によって求めたFBALおよびBEの値を初期値として用い、FBALおよびBEの精調整を付加的に実行することが好ましい。そのため、この例では、ステップS25においてFBALの精調整を行い、ステップS26においてBEの精調整を行う。このような調整は不可欠ではなく、代わりに環境温度を検出した上で、FBALおよびBEの計算値を環境温度に応じて補正するようにしても良い。
図9に示す手順によれば、2回目以降の起動処理に要する時間は、ステップS15、16に要する時間(合計1秒程度)程度、短縮される。
上記の例では、1枚の光ディスクが2層の情報層を備えているが、1枚の光ディスクが備える情報層の総数が増加するにつれ、本発明による起動処理時間短縮の効果は顕著になる。
以下、本発明の好ましい実施形態を更に詳細に説明する。
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態を説明する。
まず、図10を参照しながら、本実施形態で使用する光ディスクの構造を説明する。この構造は、Blu−ray Disc Rewritable Formatに従っているため、以下、このフォーマットに従った光ディスクを「BD−RE Disc」と称することにする。
BD−RE Disc101の物理アドレスは、図10の上から下に向かうにつれ増加している。図10において「Layer 0」と記載された領域は、第1の情報層(L0層)であり、「Layer 1」と記載された領域は、第2の情報層(L1層)である。L0層とL1層は、物理的には離れているが、本図では繋がった領域として記載している。
Lead-in Zone102は、ディスク情報や調整で使用する領域などの領域である。その詳細は、後述する。
Data Zone103は、L0層においてユーザデータを記録する領域である。Outer Zone104は、DMA情報やControl Data情報が記載される領域である。Data Zone105は、L1層においてユーザデータを記録する領域である。Lead−out Zone106は、DMA情報やControl Data情報が記載される領域である。
Lead−in Zone102を詳細に説明すると、Lead−in Zone102は、ディスク情報領域107、OPC領域108、Drive Area109、およびDMA領域110から構成されている。
ディスク情報領域107は、ディスクの種別、情報層の数、記録容量、ディスクメーカが推奨する線速度毎の記録パラメータなどが記載されている領域である。OPC領域108は、光ビームのパワー調整などに使用する試し書き領域である。
Drive Area109は、ドライブメーカ毎に自由に使用可能な領域であり、無効なDrive Area情報111が記録されている領域と、有効なDrive Area情報112が記録されている領域と、予備領域121から構成されている。有効なDrive Area情報112は、装置識別領域と自由なフォーマットで使用可能なドライブ固有情報領域から構成されている。Drive Area109の使用については、後に詳細を説明する。
DMA領域110は、ディスクの欠陥管理情報などが記載された領域であり、有効な欠陥管理リストのアドレス情報や、有効なDrive Area情報のアドレス情報が記載されたDDS情報113と、欠陥の位置毎のステータスや交替先のアドレスなどの欠陥管理リストが記録された有効なDFL情報115と、無効なDFL情報114と予備領域122から構成されている。
有効なDrive Area情報112は、1つ以上の装置識別情報116、L0層の調整パラメータ117、L0層の調整結果確認情報118、L1層の調整パラメータ119、L1層の調整結果確認情報120の組を含む。装置識別情報116には、BD−RE Disc101に記録を行った装置の固有情報が格納されている。L0層の調整パラメータ117、L1層の調整パラメータ119は、以前の起動処理の中で行った対応した情報層の最適な調整結果を含む。L0層、L1層の調整結果確認情報118、120は、調整パラメータ117、119の値の使用可否を判定する際に用いる情報を含んでいる。図10中の“#”につづく数字は、装置毎のインデックス番号を示している。
図10に示すBD−RE Disc101は、BD−RE Disc101に対して2つの光ディスク装置によって記録が行われた後の状態を示している。有効なDrive Area情報112のアドレス情報は、DDS情報113に記録されているため、DDS情報を再生するまでは、Drive Area109の情報を使用することはできない状態にある。
次に、図11を参照して、調整パラメータ117および調整結果確認情報118の詳細を説明する。図11は、本実施形態における調整パラメータ117と調整結果確認情報118のフォーマットを示している。
調整パラメータ117は、L0層のFBAL/BE精調整の結果であるFBAL値303と球面収差補正位置304、L1層のFBAL/BE精調整の結果であるFBAL値305と球面収差補正位置306を含む。
調整結果確認情報118は、調整パラメータ117の情報が使用可能な値か否かを判定する際に用いる情報である。この情報は、L0層のFBAL/BE精調整時の温度307、およびL1層のFBAL/BE精調整時の温度308を含む。なお、調整結果確認情報118には、温度以外の情報が含まれていても良い。具体的には、調整時の信号指標(ボトムジッタ等)、調整領域アドレス、調整時の機器の状態を示すパラメータ(カムの振動センサの値など)、調整時のディスク回転速度、調整時のタイムスタンプなどが含まれていても良い。
調整パラメータ117と調整結果確認情報118が記録された光ディスクを用いれば、起動処理を行う際に、まず、L0層の調整を行うことにより、図10に示すDrive Area109から調整パラメータ117と調整結果確認情報118とを取得することができる。その結果、L1層の調整時間を短縮することが可能となる。
なお、以上の説明は、2つの情報層を備えるBD−REに関して行ったが、1つの光ディスクが備える情報層の数は、2つ以上の任意の数でもよい。また、光ディスクは、ドライブ固有の情報を格納する領域を有するBD−RE以外の光ディスクであってもよい。
次に、図12を参照しつつ、上記の構成を有すBD−RE Discに対してデータの記録・再生を行うための光ディスク装置を説明する。図12は、本実施形態の光ディスク装置200の構成を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置200は、ロードされた光ディスク201を回転させるディスクモータ214と、光ディスク201に光学的にアクセスする光ピックアップ215と、光ピックアップ215との間で信号のやりとりを行う回路部とを備えている。
光ピックアップ215は、公知の構成を有していればよく、レーザ光源217と、レーザ光源217から放射された光ビームを光ディスク201に集束するための対物レンズ202と、光ディスク201から反射された光ビームを受けて各種の電気信号に変換する受光部205とを備えている。対物レンズ202と受光部205との間には、球面収差位置調整部204が配置されている。球面収差位置調整部204は、光軸方向に移動可能な収差補正用レンズ(図5参照)を備えた装置であり、光ビームの集束・発散状態を調整することにより、光ディスク201の情報層における光ビームの収差を小さくすることができる。また、光ピックアップ201内には、レーザ光源217の温度を検出する温度センサ(不図示)も設けられている。
受光部205から出力された電気信号は、フォーカス誤差生成部208に供給され、フォーカスエラー信号(FE信号)が生成される。同様に受光部205から出力された電気信号は、トラッキング誤差生成部209および信号再生部210へ供給され、それぞれ、トラッキングエラー信号(TE信号)、再生信号(RF信号)が生成される。RF信号は、データ再生部211に供給され、データ再生部211は、RF信号に基づき光ディスク201に記録された情報を復号しシステム制御部213へ送る。システム制御部213は、信号再生部210やデータ再生部211から供給された信号を基に、ユーザデータの再生や、ジッタなどの信号品質の指標となる値の算出を行う。
FE信号は、例えば一般に非点収差法と呼ばれるフォーカス誤差検出方式によって生成することができる。また、TE信号は、例えば一般にプッシュプル法と呼ばれるトラッキング誤差検出方式によって生成することができる。FE信号およびTE信号はサーボ制御部212に供給され、対物レンズ202と光ディスク201の記録面との相対距離を一定に保つフォーカスサーボ制御や、光ディスク201のトラック上にレーザ照射位置を追従させるトラッキングサーボ制御が行われる。サーボ制御部212からの制御信号はアクチュエータ駆動部206に供給される。アクチュエータ駆動部206は、光ピックアップ202に設けられた対物レンズアクチュエータ203に駆動信号を送出し、対物レンズアクチュエータ203を駆動する。すなわち、サーボ制御部212は、上記誤差信号により対物レンズアクチュエータ203を作動せしめ、対物レンズ202を駆動することによって、フォーカス制御、トラッキング制御のサーボループが形成され、サーボ制御が実行される。
球面収差位置調整部204は、球面収差位置駆動部207からの駆動信号により収差補正量を変更し、それによって球面収差補正を実行する。
システム制御部213は、対物レンズ202の焦点位置を揺動せしめるフォーカス外乱信号を生成してサーボ制御部212へ送る。サーボ制御部212およびアクチュエータ駆動部206は、フォーカス外乱信号に応じて対物レンズ202の焦点位置を揺動させる。また、システム制御部213は、ディスクモータ214に対して回転指示や停止処理を行ったり、回転数の設定を行うことで、ディスクモータ214の回転制御を行っている。調整パラメータ処理部216は、L0層の調整結果、図11の調整パラメータ117、および調整結果確認情報118の内容を解釈して、L1層の調整処理を行う。
本実施形態における調整パラメータ処理部216は、システム制御部213に含まれているが、調整パラメータ処理部216はサーボ制御部212に含まれていてもよいし、独立した構成要素であってもよい。また、調整パラメータ処理部216は、システム制御部213やサーボ制御部212を構成する制御プログラムの一部によって実現されていてもよい。
記録部218は、光ディスク201が記録可能な光ディスクである場合において、光ディスク201にデータを記録するとき、レーザ光源217を駆動し、記録すべきデータに応じて強度が変調された光ビームをレーザ光源217から放射させる。記録部218の動作は、システム制御部213によって制御される。起動時の調整によって求められたFBAL、BE、調整時温度などのパラメータ値も、記録部218がレーザ光源217を駆動することによって光ディスク201の所定領域に記録される。
次に、図13を参照しながら、光ディスクの起動処理手順の概略を説明する。図13は、上記の光ディスク装置200を用いて光ディスク201の起動処理を行う手順を示したフローチャートである。
まず、ステップ801では、システム制御部213からディスクモータ214に対して回転数の設定と回転開始指示を行う。ステップ802では、レーザ光源217から、光ディスク201に対してレーザの照射を開始する。ステップ803では、サーボ制御部212によりフォーカスサーボ制御を有効にする。ステップ804では、図12に示す球面収差位置調整部204の働きにより、球面収差の補正位置をサーボが安定となる位置へ調整する。この調整は、球面収差補正位置(BE)の粗調整(図7の矢印1)であり、この粗調整の詳細は、後述する。ステップ805では、TE信号の振幅やバランスが最適になるようにTE信号の調整を行う。ステップ806では、トラッキングサーボ制御を有効にする。
ステップ807では、光ディスク201に記載されているディスク情報を取得する。ディスク情報とは、例えばディスク種別やディスクに対するディスクメーカの推奨する記録再生に用いるパラメータである。ステップ808では、レンズアクチュエータ203によりフォーカス位置を調整し、球面収差位置調整部204により球面収差補正位置を調整する。この調整は、情報層における光ビームの集束状態をデータ再生のために最適化する「精調整」である。この精調整は、図7の矢印2〜4に相当し、その詳細は後述する。
次に、光ディスク装置200でBD−RE Disc101の起動処理を行う手順をより詳細に説明する。まず、図14を参照する。図14は、光ディスク装置200でBD−RE Disc101の起動処理を行う手順を示したフローチャートである。但し、BD−RE Disc101を、光ディスク装置200によって起動処理を行ったことがない場合、つまり、BD−RE Disc101には、光ディスク装置200の装置識別情報に対応した調整パラメータ117、調整結果確認情報118が格納されていない場合について述べる。
まず、ステップ1201において、L0層のBE粗調整(図7の矢印1)を実施する。BE粗調整は、TE振幅が最大になるBEを求める調整である。ここで、図15を参照して、BE粗調整の手順を詳しく説明する。
まず、図15のステップ901において、BE(初期値)を設定する。初期値は、例えばBEが透過層厚100μmの光ディスクに対して最適となるように設計時に決められた値などの固定値である。
次に、ステップ902において、TE振幅を測定する。ステップ903では、ステップ902の測定回数が所定回数以内であるか否かを判定し、所定回数以内ならば、ステップ904に進んで測定を繰り返し、所定回数を超えていればステップ905に進む。所定回数は、例えば、TE振幅が最大となる点を確実に探索し、フォーカス制御状態を維持することのできるBE値の振り幅などに基づいて設定され得る。
ステップ904では、次に設定するBEを決定する。次に設定するBEは、例えば、初回時は固定の方向に固定の値変化させた値とし、2回目以降は、両端のBEでのTE振幅を比較して、TE振幅が大きい方向に固定の値変化させた値とする。設定する値を決定すると、ステップ901で設定を実施し、ステップ901〜904の処理を繰り返す。
ステップ905では、測定したTE振幅と、そのときのBE値との組み合わせから、TE振幅が最大となるBE値を算出する。算出は、測定したTE振幅が最大となるBE値をそのまま算出結果としてもよいし、TE振幅とBE値の関係から、2次近似などを行った後、TE振幅が最大となるBE値を算出してもよい。
ステップ906では、ステップ905で算出したBE値の設定を行う。
以上の手順で調整を実行することにより、図7における矢印1で示す粗調整が行われ、TE振幅が最大となるBE値を求めることが可能となる。
図14を再び参照する。図14のステップ1202では、L0層のBE粗調整の結果を取得する。調整結果としては、調整結果BE値、調整を行った際の温度情報などが取得される。取得した結果は、システム制御部213に含まれる図示していないメモリなどに格納される。
ステップ1203では、L0層のFBAL/BE精調整を実施する。本実施形態におけるFBAL/BE精調整とは、フォーカス位置、BEの設定を変更しながら、記録済みの領域のジッタを測定し、ジッタが最小となるフォーカス位置、BEを求める調整である。初めに、データ再生に最適なフォーカス位置、BEに関して説明する。
以下では、図16を参照して、FBAL/BE精調整(図7の矢印2〜4)の手順を説明する。
まず、ステップ1101において、フォーカス位置および球面収差補正位置の設定を行う。設定するフォーカス位置および球面収差補正位置の初期値としては、通常、固定の値(0など)や、製造工程時の調整などで求めた値が用いられるが、BE粗調整の結果、図7のFB1点(TE尾根直線上の点)が求められている場合は、このFB1点に相当するFBALおよびBEを初期値として用いる。
ステップ1102では、調整で使用する記録済み領域のジッタを測定する。記録済みの領域は、本フローチャートの実行前に記録済みであることがわかっている領域の探索を行ったり、記録済みとわかっている領域のない場合は、調整のための試し書きを行う領域に作成するなどして、予め確保しておく。
ステップ1103では、ステップ1102のジッタ測定回数が所定回数以内か否かを判定する。所定回数以内ならば、ステップ1104に進んで、測定を繰り返し、所定回数を超えていれば、ステップ1105に進む。
ステップ1104では、次に設定するフォーカス位置および球面収差補正位置を決定する。次に設定するフォーカス位置および球面収差補正位置は、図7に示すTE尾根直線の傾きによって規定される比率で、フォーカス位置および球面収差補正位置の両方を変化させた位置に相当する。すなわち、変化後の位置が図7に示すTE尾根直線上にあるように位置変化量を決定する。
ステップ1101〜ステップ1104を所定回数だけ繰り返すことにより、フォーカス位置および球面収差補正位置は、図7のTE尾根直線上を移動する。その後、ステップ1105では、測定したジッタと、そのときのフォーカス位置および球面収差補正位置の組み合わせから、ジッタが最小となるフォーカス位置および球面収差補正位置を算出する。算出は、測定したジッタが最小となるフォーカス位置をそのまま算出結果としてもよいし、ジッタとフォーカス位置および球面収差補正位置の関係から、2次近似などを行った後、ジッタが最小となるフォーカス位置を算出してもよい。
こうして、図7の矢印2で示される精調整が完了する(FB2点)。
次に、ステップ1106において、算出したフォーカス位置および球面収差補正位置の設定を行い、フォーカス位置の精調整を開始する。すなわち、ステップ1107でフォーカス位置を設定する。初期値は、ステップ1106で算出したフォーカス位置を用いる。
次に、ステップ1108では、調整で使用する記録済み領域のジッタを測定する。ステップ1109では、ステップ1108のジッタ測定回数が所定回数以内か否かを判定する。所定回数以内ならば、ステップ1110に進んで、測定を繰り返し、所定回数を超えていれば、ステップ1111に進む。
ステップ1110では、次に設定するフォーカス位置を決定する。次に設定するフォーカス位置は、例えば、初回時は固定の方向に固定の値変化させた値とし、2回目以降は、異なる2つのフォーカス位置におけるジッタを比較し、ジッタが小さい方向に固定の幅だけ変化させた値とする。設定する値を決定すると、ステップ1107で設定を実施し、ステップ1107〜1110の処理を繰り返す。但し、フォーカス位置には、設定可能な範囲があり、前記設定可能範囲に応じて、前記固定の値やステップ1110で判定に用いた所定回数を増減させて調整を行う。
このようにしてステップ1107〜1110の処理を繰り返すことにより、図7の矢印3で示される精調整が進行する。ステップ1111では、ステップ1107〜1110の処理を所定回数繰り返して測定したジッタに基づき、最もジッタが小さくなるフォーカス位置(図7のFB3点に相当するフォーカス位置)を算出する。そして、算出したフォーカス位置に設定した状態で、ステップ1113〜1116を繰り返す。ステップ1113〜1116は、上記のステップ1107〜1110に比べて、設定する値がフォーカス位置(FBAL)から球面収差補正位置(BE)に代わったものである。ステップ1113〜1116の処理を繰り返すことにより、図7の矢印4に示す精調整が進行する。ステップ1115において所定回数を超えたと判定されたとき、ステップ1117に進む。ステップ1117では、ステップ1113〜1116の処理を所定回数繰り返して測定したジッタに基づき、最もジッタが小さくなる球面収差補正位置(図7のFB4点に相当するフォーカス位置)を算出する。そして、ステップ1118では算出したフォーカス位置に設定し(図7のFB4点)、起動処理を完了する。
以上の調整を実行することにより、ジッタが最小となるフォーカス位置/BE(図7のべスト位置)を求めることが可能となる。
また図14を参照する。ステップ1204では、L0層のFBAL/BE精調整の結果を取得する。調整結果としては、調整結果FBAL値、調整結果BE値、調整を行った際の温度情報、調整を行った領域のアドレス情報、調整結果条件でのジッタ値などが取得される。取得した結果は、システム制御部213に含まれる図示していないメモリなどに格納する。
ステップ1205では、BD−RE Disc101のDMA領域110のリード処理を行う。
ステップ1206では、ステップ1205で得られたDMA情報の中のDDS情報113から、有効なDrive Area情報112の先頭位置のアドレス情報を取得する。
ステップ1207では、ステップ1206で得られたアドレス情報に対応した位置から、Drive Area情報112を読み出す。BD−RE Disc101の場合、Drive Area情報112が記録される領域には、32種類の光ディスク装置に関して個別にDrive Area情報112が記録され得る。個々の光ディスク装置を特定する識別情報は、図10の装置識別情報の領域に記録される。BD−RE Disc101から読み出したDrive Area情報112の中から、自社の光ディスク装置に関する情報を選択して取得する。すなわち、BD−RE Disc101に記録されている調整パラメータ117および調整結果確認情報118を取得する。
ステップ1208では、L1層へのフォーカスジャンプ処理を行う。
ステップ1209では、L1層のBE粗調整を実施する。BE粗調整は、図15を参照して説明した方法により行う。
ステップ1210では、L1層のBE粗調整の結果を取得する。調整結果としては、調整結果BE値、調整を行った際の温度情報などが取得される。取得した結果は、システム制御部713に含まれる図示していないメモリなどに格納する。
ステップ1211では、L1層のFBAL/BE精調整を実施する。FBAL/BE精調整は、図16で示した方法で行う。
ステップ1212では、L1層のFBAL/BE精調整の結果を取得する。調整結果としては、調整結果FBAL値、調整結果BE値、調整を行った際の温度情報、調整を行った領域のアドレス情報、調整結果条件でのジッタ値などが取得される。取得した結果は、システム制御部713に含まれる図示していないメモリなどに格納する。
ステップ1213では、L0層へのフォーカスジャンプ処理を行う。
ステップ1214では、ステップ1202、ステップ1204、ステップ1210、ステップ1212で取得した調整結果を、ステップ1206で取得したDrive Area情報の位置に記録する。Drive Area情報は、図10に示すように、光ディスクのL0層上の所定領域に記録される。記録する際には、調整パラメータ処理部216により、図11のフォーマットに従って調整パラメータ117と調整結果確認情報118とに振り分けて記録する。
なお、ステップ1202、1204、1210、1212における調整結果の「取得」とは、実際に調整を実施することによって調整パラメータ117(図10、図11)の値を決定することを意味している。また、DriveAreaに記録する調整パラメータ117の値は、起動時に行った調整結果に限ったものではなく、起動処理を行った後に実施した調整結果を格納してもよい。
以下では、図14の手順でDrive Area情報112が記録されたBD−RE Disc101の起動処理を行う手順に関して、図17Aを参照して説明する。
図17Aは、光ディスク装置200でBD−RE Disc101の起動処理を行う手順を示したフローチャートである。但し、BD−RE Disc101を、光ディスク装置200によって起動処理を行ったことがある場合、つまり、BD−RE Disc101には、光ディスク装置200の装置識別情報に対応した調整パラメータ117、調整結果確認情報118が格納されている場合について述べる。
まず、ステップ401では、L0層のBE粗調整を実施する。BE粗調整は、図15を参照して説明した方法により行う。
ステップ402では、L0層のFBAL/BE精調整を実施する。FBAL/BE精調整は、図16を参照して説明した方法により行う。
ステップ403では、BD−RE Disc101のDMA領域110のリード処理を行う。
ステップ404では、ステップ403で得られたDMA情報の中のDDS情報113から、有効なDrive Area情報112の先頭位置のアドレス情報を取得する。
ステップ405では、ステップ404で得られたアドレス情報に対応した位置から、Drive Area情報112を取得する。こうして、L0層に関するBEの調整結果および調整時温度をBD−RE Disc101から読み出すことができる。
次に、BD−RE Disc101から読み出したL0層に関するBEの調整結果および調整時温度を、ステップ402で得たL0層に関するBEの調整結果および現在温度と比較し、Drive Area情報112の妥当性を確認する。具体的には、図17Bに示すように、まず、ステップ407aにおいてBEに関する調整結果の差に関する妥当性を判定する。例えば、前回のBE調整結果と今回のBE調整結果との差異が、透過層厚換算で8μm以下であれば、「OK」と判定してステップ407bに進む。そして、ステップ407bでは、BD−RE Disc101から読み出した調整時温度と今回の調整時温度との差(ΔT℃)を計算する。この計算で求めた温度差ΔT℃が例えば30℃以下であれば、「OK」としてステップ408に進む。
ステップ407a、407bの各々において、判定条件を満足しない場合は、「NG」として図17Aに示すステップ411に進むことになる。
ステップ408では、L1層へのフォーカスジャンプ処理を行う。
ステップ409では、BD−RE Disc101から読み出したL1層に関するBE値からLO層に関するBE値を差し引いた差分ΔBEを、ステップ401で求めたL0層に関するBEの粗調整値に加算する。ただし、この差分ΔBEは、ステップ407bで求めた温度差に応じて補正することが好ましい。なぜならば、透過層厚さに換算したBEは、温度変化ΔTに依存して線形的に変化するからである。BEが温度に依存して線形的に変化する理由は、レーザ光源217の温度が変化すると、放射される光ビームの波長が変化し、しかも、球面収差の大きさが光ビームの波長に依存して変化するからである。例えば、調整時温度が30℃のときに最適なBEが光透過層厚に換算して100μmである場合を考える。この場合、温度がΔT℃増加したときの最適BEは、例えば100μm+0.8×ΔTμmで示される。このようなBEの温度変化率は、光ディスクドライブが固定値としてメモリ内に保持していても良いし、上述の調整結果から算出することも可能である。
上述の例では、BEの温度依存性を示す比例係数は、0.8×ΔTである。したがって、上記の差分ΔBEに0.8×ΔTをかけ掛け合わせた数値を「温度補正差分」として算出し、ステップ401で求めたL0層に関するBEの粗調整値に加算することが好ましい。温度変化ΔTに基づいて補正した差分を今回のL0層に関するBE値に加算することにより、図7に示すFB2点におけるBE値を算出することができる。
その後、ステップ410では、図7に示す矢印2〜4の処理(FBAL/BE精調整)を実施する。この処理は、FBAL/BE精調整から図7に示す矢印2の処理を割愛しているため、簡略モードのFBAL/BE精調整に相当している。
一方、ステップ407の確認がNGの時は、ステップ411に進んで、L1層にフォーカスジャンプを行った後、ステップ412で通常のBE粗調整を実施する。その後、ステップ413に進んで、通常のFBAL/BE精調整を実施する。この場合は、当然に、起動処理の時間が従来どおりの長さとなる。
ステップ414では、今回得た調整パラメータおよび調整結果確認情報を光ディスクのDrive Areaに格納し、起動処理を終了する。
なお、本実施形態では、L0層の調整を行ったのちにDMA情報を取得し、DMA情報から、Drive Areaに位置を得て、Drive Areaの情報を取得していたが、DMA情報を取得する前に、Drive Areaの領域をサーチして、取得したDrive Area位置からDrive Areaの情報を取得してもよい。
最適なBEは、前述したように、ディスクの表面から情報層までの厚さや、温度によって変化する。また、L0層とL1層とでは、ディスク表面から情報層までの距離が異なるため、一方の情報層(例えばL0層)の最適BEにオフセットを加えた値がもう一方の情報層(例えばL1層)の最適BEとなる。ここで、L0層の最適BEとL1層の最適BEとの差は、光ディスクに依存した値であるため、光ディスク装置が1度でも調整を行ったことのあるディスクに対しては、最適BEの差をディスクに記録しておくことにより、一方の情報層について最適BEを求める調整を行えば、他方の情報層についての最適BEは、演算によって得ることが可能となる。
なお、本実施形態では、球面収差補正位置に関するL0層とL1層との差分情報を利用しているが、本発明は、このような場合に限定されない。例えば、今回のL0層の調整結果が以前のL0層の調整結果から所定値以内であると判断した場合、以前のL1層の調整結果を用い、現在温度による補正を行い、調整を終了しても良い。
前述したように、FBAL/BE精調整は、データ再生を行うために最適な状態にするために、フォーカス位置および球面収差補正位置の両方を変化させる調整である。データ再生に最適なフォーカス位置および球面収差補正位置は、光ピックアップの光学特性の時間的変化や温度条件によっても変化する。しかし、再生に最適なフォーカス位置は、情報層毎に大きく異なることは少なく、一方の情報層(例えばL1層とする)について最適なフォーカス位置は、他方の情報層(例えばL0層とする)についての最適なフォーカス位置調整結果に対して、一定の範囲内に存在する。
一方、データ再生に最適な球面収差補正位置は、前述したように、他方の情報層の最適な球面収差補正位置にオフセットを加えた位置から一定の範囲内に存在する。このため、L0層のFBAL/BE精調整結果が得られると、L1層のFBAL/BE精調整の結果は、L0層のFBAL/BE精調整結果から一定の範囲内に存在する可能性が高くなる。したがって、調整時の探索範囲は、L0層の調整結果から一定付近の領域のみでよい。さらに、温度変化による最適なフォーカス位置、BEの変化は、すでに調整を行った層の調整結果に反映されているため、以前の調整時温度と現在温度が大きく離れていないかどうかを判定することで、最適なフォーカス位置、BEの温度変化による影響を少なくすることが可能となる。
このように、今回のL0層の調整結果と、以前のL0層、L1層の調整結果を用いると、L1層の調整の探索範囲を狭めることが可能となり、高速な調整を行うことができる。
なお、起動処理時の調整は、本実施形態のようにBE粗調整およびFBAL/BE精調整に限定されず、TE振幅の調整であってもよい。今回のL0層の調整結果とディスクに記録された以前のL0層の調整結果が所定の範囲内に存在する場合は、ディスクに記録された以前のL1層の調整結果を設定してもよいし、ディスクに記録されたL1層の調整結果に演算を行った値を設定してもよい。TE振幅の調整は、半径位置に応じた調整結果の平均値を取って、該当の層の調整結果としているため、長距離の光ピックアップの移動時間を省略することが可能となり、起動時間の短縮に大きな効果を得ることができる。さらに、今回のL0層の調整結果と光ディスクに記録された以前のL0層の調整結果が所定の範囲内に存在する場合は、光ディスクに記録された以前のL1層の調整結果を設定し、正しい特性が出ているかどうかの確認を行うことで、L1層の調整としてもよい。
また、情報層の数が3以上の場合であっても、ある特定の情報層について各種調整を行ったならば、他の複数の情報層について、実施形態1と同様に調整時間を短縮する効果が得られる。
更に、複数の情報層は、情報層の法線方向に積層されている必要はなく、光ディスクの半径方向に配置されていても良い。例えば、1つの光ディスクの内周側に第1情報層が配置され、その周り(外周側)に第2情報層が配置されていてもよい。
(実施形態2)
次に、本発明による光ディスク装置の他の実施形態を説明する。
まず、図18を参照する。本実施形態の光ディスク装置が図12に示す光ディスク装置と異なる点は、システム制御部213がディスク判別部220、および差分情報格納部222を備えていることにある。共通する構成要素について、重複した説明は省略する。
光ディスクが再生専用である場合は、差分情報を光ディスクに記録することができないため、光ディスク装置側に用意したメモリ内に差分情報を格納することになる。
本実施形態では、光ディスクに応じて適切な差分情報をメモリから読み出す必要があるため、差分情報格納部222は、個々の光ディスクに固有の識別情報(ID)に対応付けで差分情報を記憶しておく。そして、起動処理を行うとき、光ディスク装置にロードされた光ディスクのIDを検出し、そのIDに対応付けられた差分情報をメモリから取得することになる。なお、前述したように、差分情報は、L0層に関する値とL1層に関する値の両方を含んでいれば良く、それらの差を示す情報のみに限定はされない。
以下、図19を参照しながら、本実施形態における起動処理のフローを説明する。
第1回目の起動時、まず、ステップS11〜S14を実行し、第1情報層(L0)についてFBALおよびBEの調整を完了する。その後、ステップS30において、個々のディスクに固有なディスクID(Disc ID)を光ディスクから読み出して取得する。Disc IDは、光ディスクのシリアル番号などであってもよく、個々の光ディスクに固有する情報である。
次に、フォーカスジャンプを行った後、ステップS15〜S18を実行して、第2情報層(L1)についてのFBALおよびBEの調整を完了する。その後、ステップS31において、差分情報をステップ30で光ディスクから読み出したDisc IDに関連付けてメモリの差分情報格納部222に記憶する。このメモリは、例えば、光ディスク装置にセットされているハードディスクや、メモリカードである。
第2回目以降の起動時は、まず、ステップS20〜S23を実行し、第1情報層(L0)についてFBALおよびBEの調整を完了する。その後、ステップS32において、光ディスクからDisc IDを読み出して取得する。本実施形態では、このDisc IDに基づいてディスク判別部220が光ディスクを特定する。次に、ステップS33において、上記メモリの差分情報格納部222から差分情報を取得する。差分情報格納部222には、多数の光ディスクに対応付けられた差分情報が記録され得るため、取得したDisc IDに対応した差分情報を差分情報格納部222から選択することになる。こうして選択した差分情報を、第1情報層(L0)について得たFBALおよびBEに加算することにより、第2情報層(L1)についてのFBALおよびBEの値を算出する。
次に、フォーカスジャンプを行った後、ステップS25〜S26を実行して、第2情報層(L1)についてのFBALおよびBEの調整を完了する。
本実施形態によれば、差分情報を光ディスク装置の側で記憶するため、再生専用の多層光ディスクについても、起動処理時間の短縮をはかることが可能になる。
なお、本実施形態では、ディスクIDを光ディスクから読み出しているが、本発明は、そのような場合に限定されない。例えば、カートリッジを使用した光ディスクでは、カートリッジに固有のIDを付与して、起動時にカードリッジからディスクIDを取得してもよい。また、光ディスクのレーベル面などにディスクIDを印字したり、ディスクIDを格納したICチップなど光ディスクに設けておき、起動前にそれらからディスクIDを取得してもよい。
(実施形態3)
次に、本発明による光ディスク装置の第3の実施形態を説明する。
本実施形態では、フォーカス位置(FBAL)および球面収差補正位置(BE)ではなく、光ディスクのチルトについて、第1情報層と第2情報層との間にある「差分」を利用する。
光ピックアップから情報層を光ビームで照射するとき、情報層に対する光ビームの入射角度は、90°に保持されることが好ましいが、光ディスクにおいて第1情報層(L0)と第2情報層(L1)とが平行であるとは限らず、図20(a)〜(d)に示すように、情報層間の透過層厚が一様ではない場合がある。
図20(a)および図20(b)は、同一の光ディスクの異なる状態を模式的に示す図である。この光ディスクでは、L0層とL1層とは平行ではなく、その層間間隔は、光ディスクの半径位置(ディスク中心からの距離)に依存して単調に増加している。図20(a)に示す状態では、L0層のチルトはゼロであるが、L1層にはα°のチルトが発生している。一方、図20(b)の例では、何らかの理由により、L0層にもβ°のチルトが存在し、L1層にはβ+α°のチルトが発生している。このように同一の光ディスクであっても、光ディスク装置に搭載するたびに異なるチルトが発生し得る。ただし、L0層とL1層との間隔は一定に保持されるため、L1層のチルトからL0層のチルトを差し引いた値(α°)は、図20(a)の状態と図20(b)の状態との間で変化していない。
このようなチルトは、光ピックアップを光ディスクの半径方向に移動させつつ、L0層およびL1層の各々について測定され、記録再生動作時には、測定されたチルトに基づいて対物レンズの光軸方向を調整することになる。チルトの測定は、フォーカス位置(FBAL)や球面収差位置(BE)の調整と同様に、起動処理として実行される。具体的には、複数の異なる半径位置において、光ピックアップ内の対物レンズを上下させることにより、各半径位置における情報層の高さを検出すれば、各情報層のチルトを求めることができる。
しかしながら、従来技術では、チルトの半径方向分布を求める作業を個々の情報層について実行することになるため、起動時間が長くなるという問題があった。図20(a)の例では、5つ半径位置24、32、40、48、56mmでL0層の高さを測定した後、同様に5つの半径位置24、32、40、48、56mmでL1層の高さを測定することになる。各半径位置で実際に情報層に光ビームを照射しながら対物レンズを上下させ、情報層に焦点が合ったときの対物レンズの高さから情報層の高さを特定するため、情報層の数が増えると、処理を完了するまでの時間は過大なものとなる。
本発明者は、同一光ディスク内におけるL0層とL1層との間の幾何学的な配置関係は光ディスクに固有であり、ほとんど変動しないものであることに着目した。本実施形態では、チルトについて「差分情報」を利用する。
図20(a)、(b)に示される例では、L0層とL1層との間にあるチルトの差分は、半径方向位置によらずα°である。この差分は、この光ディスクに固有であり、変化しないため、L0層についてチルトを検出すれば、L1層のチルトについては、上記の差分をL0層について検出したチルトに加算するだけで得ることが可能になる。
このようにして起動処理時間を短縮するためには、L0層のチルトに関する情報およびL1層のチルトに関する情報の両方が光ディスクのL0層に前もって記録されていればよい。この場合、チルトの測定結果は、図11に示す調整パラメータ117に含まれることになる。
次に、図20(c)、(d)を参照する。図20(c)、(d)も、同一光ディスクの異なる状態を示している。図20(c)の例では、L0層にチルトは発生していないが、情報層の間隔が一様ではないため、L1層のチルトが半径位置に依存して不規則に変化している。図の例では、L1層について多数の半径位置で高さを測定した後、チルトが大きく変化している半径位置24mm、30mm、40mm、52mmを選択し、それらの半径位置で測定した情報層の高さからチルトを算出できる。具体的には、半径位置24mmにおけるL1層の高さと半径位置30mmにおけるL1層の高さの差異を、両半径位置の間隔(30mm−24mm=6mm)で除算することにより、半径位置24〜30mmの領域におけるチルトの線形近似値を算出することができる。算出したチルトは、表に示すように、各領域で異なる値θ、ι、ε、κを示している。図20(d)の例では、L0層にβ°のチルトが発生しているが、L1層とL0層との差分は、図20(c)に示す差分から変化していない。
このように多層光ディスクにおける情報記録層間の透過層厚が不均一な場合でも、その透過層厚の径方向分布を測定し、記憶しておけば、全ての情報層についてチルト補正のための測定を行う必要がなくなる。すなわち、第1情報層についてチルトの径方向分布を測定すれば、差分を加算することにより、第2情報層についてのチルトの径方向分布を知ることができ、第2情報層についてのチルト調整が簡単になる。
第1情報層と第2情報層との間の幾何学的な関係は、光ディスク装置によらず一定であるため、一度、そのような幾何学的関係を検出し、光ディスクまたは光ディスク装置のメモリ内に記憶しておけば、起動処理時間を短縮する効果を得ることが可能になる。第1情報層と第2情報層との間の幾何学的な関係は、チルトに限定されず、例えば中心のずれ(偏心)であってもよい。
(実施形態4)
以上の説明から明らかなように、本発明によって起動処理時間を短縮する効果を得るためには、図11に示すような調整パラメータ117の値が光ディスク201に記録されていることが必要になる。1つの光ディスク201は、リムーバブルであるため、種々の光ディスク装置に装填され、各光ディスク装置は、装填された光ディスクに応じて、記録または再生のための処理を実行する。
例えば、図21Aに示すように、光ディスクを記録媒体として使用するカムコーダに調整パラメータ117が記録されていない光ディスク201がロードされ、最初の起動処理が行われた場合を考える。このカムコーダは、本発明による光ディスク装置の一実施形態である。
この場合、実施形態1について説明した方法により、カムコーダはBE粗調整やFBAL/BE精調整を行い、最適なFBALおよびBEの値を調整結果として得る。そして、そのカムコーダは、図11に示す調整パラメータの値を光ディスク201の第1情報層に記録する。これらの調整パラメータの記録値は、各光ディスク装置で、そのまま使用可能なように所定の基準で規格化されていることが好ましい。例えば、BEの場合、透過層厚に換算した数値で表現されていれば、種々の光ディスク装置でそのまま利用することが可能になる。
図5(c)に示す例では、L1層(透過層厚:75μm)で球面収差を最小化するためには、収差補正レンズを、その駆動中心から−1.11mmの位置に移動させることになる。各光ディスク装置は、与えられた透過層厚に応じて適切な収差補正レンズ位置を決定することができる。このため、例えば、或る光ディスク201についてL1層の最適BEを求めたところ、透過層厚に換算した値が76.2μmであることがわかったときは、最適なBEとして76.2μmの値を光ディスク201に記録しておけばよい。
フォーカス位置も、フォーカスエラー信号におけるS字カーブのゼロクロス点に対する距離を規格化されたフォーカス位置として光ディスク201に記録することができる。
このように、起動処理時に得た調整結果を光ディスクに記録する際、複数の光ディスク装置で共用できるように規格化しておけば、1つの光ディスク装置で求めた調整結果を他の光ディスク装置で利用することが容易になる。
図21Aの例では、調整パラメータが記録された光ディスクが光ディスクレコーダやコンピュータ用ドライブなどの他の光ディスク装置に挿入されると、それらの光ディスク装置での起動処理時間を短縮することが可能になる。ただし、起動処理時間を短縮するためには、これらの光ディスク装置が本発明による光ディスク装置であることが必要である。
次に、本発明による光ディスク装置の更に他の実施形態を説明する。
上述した例では、図11に示す調整パラメータの値として、各光ディスク装置に共用しやすいように規格化された数値が記録される場合を説明したが、本発明は、そのような場合に限定されない。以下に説明する実施形態では、各光ディスク装置で得た調整パラメータの値が、その装置で使用される数値のままで光ディスクに記録される。ただし、本実施形態では、光ディスク装置を特定する情報(装置ID)と調整パラメータとを関連づけて光ディスクに記録することにより、特定の光ディスク装置を用いて求めた調整パラメータの値を他の光ディスク装置で補正して利用することを可能にしている。
以下、図22を参照して、本実施形態における起動処理の手順を説明する。
まず、既に調整パラメータの値が他の光ディスク装置によって求められ、Drive Area109(図10)内に記録された光ディスクが用意され、本実施形態の光ディスク装置にロードされる。なお、本実施形態の光ディスク装置の装置IDは、P200655555であり、光ディスクに調整パラメータを記録した光ディスク装置の装置IDは、P200612345であるとする。
この光ディスクに対して、本実施形態の光ディスク装置による初めての起動処理が行われる。すなわち、前述した方法により、L0層についてBEの粗調整を行う(ステップS11)。その後、TE尾根上FBAL/BE調整を行い(ステップS12)、更に、FBALの精調整を実行する(ステップS13)。続いてBEの精調整を行うことにより、以下の表2に示す調整結果を得る(ステップS14)。
Figure 2007060975
これらの調整を完了することにより、光ディスクのL0層に設けられたDrive Area109からデータを取得することが可能になる。次に、光ディスクのDrive Areaから図11に示す調整パラメータの値とともに、調整パラメータの値を記録した装置を特定するための情報(装置ID)を読み出す(ステップS40)。
以下の表3は、光ディスクのDrive Areaに記録されていた「装置ID」および「調整パラメータ」の数値例を示している。
Figure 2007060975
次に、本実施形態の光ディスク装置は、光ディスクから取得したL0層に関するFBALおよびBEと、L1層に関するFBALおよびBEに基づいて差分を求める(ステップS41)。差分は、例えば以下の表4に示される値を有している。
Figure 2007060975
差分を示す数値は、調整パラメータを求めた光ディスク装置(装置ID:P200612345)に対するものであるため、本実施形態の光ディスク装置(装置ID:P200655555)では補正して用いる必要がある。具体的には、今回の起動処理によって得たFBAL(L0)に対して、補正係数で補正した差分を加算することにより、FBAL(L1)の算出結果を得ることができる。同様に、今回の起動処理によって得たBE(L0)に対して、補正係数で補正した差分を加算することにより、BE(L1)の算出結果を得ることができる。
補正に必要な補正係数χ、ρは、調整パラメータの値とともに光ディスクに記録されていても良いし、光ディスク装置のシステム制御部213(図12)内のメモリに前もってテーブル値として保存されていても良い。システム制御部213内のメモリに補正係数χ、ρを保存しておく場合、補正係数χ、ρと装置IDとを対応付ける必要がある。補正係数χ、ρが光ディスク装置ごとに異なるからである。補正係数χ、ρと装置IDとの対応付けは、例えば、以下の表5に示されるテーブルによって表される。
Figure 2007060975
この例では、本実施形態の光ディスク装置(装置ID:P200655555)における補正係数χa、ρaが、それぞれ、+200、+184であり、調整パラメータの値を光ディスクに記録した光ディスク装置(装置ID:P200612345)であるため、補正係数χb、ρbは、それぞれ、+180、+170である。したがって、FBAL(L1)、BE(L1)の値は、表6に示すようにして算出される。
Figure 2007060975
このような差分に対する補正の仕方は、上述した例に限定されない。
次に、L0層からL1層にフォーカスジャンプを行った後、温度変化に対応するため、L1層におけるFBALおよびBEの精調整を実行する(ステップS17、S18)。
このように本実施形態によれば、光ディスクに記録されている差分情報が、当該光ディスク装置によって求められたものでない場合であっても、差分情報を有効に利用することができ、L1層におけるBE粗調整およびTE尾根上FBAL/BE調整に必要な時間を省くことが可能になる。
本実施形態による光ディスク装置を用いてFBALやBEなどの調整パラメータの値が光ディスクに記録されていると、図21Aに示すように、その光ディスクが挿入される種々の光ディスク装置において、起動処理時間を短縮することが可能になる。このため、同一メーカから複数種類の光ディスク装置(カムコーダ、ビデオレコーダ、コンピュータ用ドライブなど)が製造・販売されている場合、本発明によれば、このメーカの光ディスク装置間では起動時間を短縮できる利点があるため、ユーザは、そのメーカによる製品群から光ディスク装置を購入しようとし、そのメーカから提供される製品の販売促進効果も得られる。また、複数の協賛企業が本発明による光ディスク装置を規格化して利用すれば、複数の企業が製造・販売する装置間で起動時間短縮効果を得ることも可能になる。
なお、光ディスクを市場に投入するとき(出荷時点)、調整パラメータの値を最初から光ディスクに記録しておいてもよい。調整パラメータ記録済みの光ディスクを購入したユーザは、図21Bに示すように、その光ディスクを種々の光ディスク装置(本発明によるもの)に挿入して最初の起動時から処理時間短縮の効果を得ることができる。図21Bに示す例では、A社、B社、X社などが販売する多様な装置において、このような光ディスクが利用できるように調整パラメータが規格化されるか、表4に示すような情報が企業間で共有されていることが好ましい。
以上説明してきたように、本発明の好ましい実施形態における光ディスク装置を用いると、起動時において、L0層に関する調整パラメータの値を決定すれば、以前の起動時に設定されたL0層およびL1層に関する調整パラメータの差分を利用して、L1層に関する調整パラメータをより短い時間で決定することが可能になる。このため、起動処理を完了するまでの時間を短縮することが可能となり、再生が可能となるまでのユーザの待ち時間を短縮することが可能となる。
本発明にかかる光ディスク装置は、複数の層からなる光ディスクの起動処理を行う際に、第1情報層についての求めた調整結果から、第1情報層と第2情報層との幾何学的な配置関係によって定まる差分情報を用いて第2情報層についての調整に要する時間を短縮することができるため、ユーザの利便性が向上し、有用である。
光ディスク装置にロードされた光ディスク201と対物レンズ202との間の概略的な位置関係を示す斜視図である。 複数の情報層を備える光ディスク201の構成を示す断面図である。 (a)は、球面収差が生じている状態を示す図であり、(b)は、球面収差が補正された状態を示す図である。 (a)は、光ディスク201の表面から相対的に浅い位置にある情報層上で球面収差が最小化されている様子を示す図であり、(b)は、光ディスク201の表面から相対的に深い位置にある情報層上で球面収差が最小化されている様子を示す図である。 (a)および(b)は、収差補正のために光軸方向に移動した収差補正レンズ262を示す図であり、(c)は、収差補正レンズ262の位置と、球面収差が最小化される情報層の深さとの関係を示す図である。 本発明の光ディスク装置による起動処理の概略を示すフローチャートである。 フォーカス位置(FBAL)および球面収差位置(BE)の最適化の手順を説明するための図である。 フォーカス位置(FBAL)および球面収差位置(BE)とトラッキングエラー信号(TE信号)の振幅との関係を示すグラフである。 本発明の光ディスク装置による起動処理の詳細を示すフローチャートである。 本発明の実施形態における光ディスクの構成を示す概略図である。 本発明の実施形態における有効なDrive Area情報の構成を示す概略図である。 実施形態1における光ディスク装置の構成を示すブロック図である。 実施形態1における起動処理の手順を示すフローチャートである。 実施形態1において、有効なDrive Area情報112が記録されていない光ディスクの起動処理の手順を示すフローチャートである。 球面収差補正位置(BE)の粗調整の手順を示すフローチャートである。 フォーカス位置(FBAL)/球面収差補正位置(BE)の精調整の手順を示すフローチャートである。 実施形態1において、有効なDrive Area情報112が記録されている光ディスクの起動処理の手順を示すフローチャートである。 実施形態1において、有効なDrive Area情報112が記録されている光ディスクの起動処理の手順を示すフローチャートである。 本発明による光ディスク装置の他の実施形態を示す図である。 実施形態2における光ディスク装置による起動処理の手順を示すフローチャートである。 (a)〜(d)は、不均一な間隔で積層された2層の情報層を備える光ディスクの構成を模式的に示す断面図とチルトの半径位置依存を示す表である。 異なる光ディスク装置間で同一の光ディスクが使用される形態を示す図である。 異なる光ディスク装置間で同一の光ディスクが使用される他の形態を示す図である。 本発明による光ディスク装置の更に他の実施形態における起動処理を示すフローチャートである。 特許文献1の光ディスク装置が行う光ディスクの起動処理の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
22 光ビーム
101 Blu−ray Disc Rewritable Format
102 Lead−in Zone(Layer0)
103 Data Zone(Layer0)
104 Outer Zone
105 Data Zone(Layer1)
106 Lead−out Zone(Layer1)
107 ディスク情報領域
108 OPC領域
109 Drive Area
110 DMA領域
111 無効なDrive Area情報
112 有効なDrive Area情報
113 DDS情報
114 無効なDFL情報
115 有効なDFL情報
116 装置識別情報
117 調整パラメータ(Layer0)
118 調整結果確認情報(Layer0)
119 調整パラメータ(Layer1)
120 調整結果確認情報(Layer1)
121、122 予備領域
200 光ディスク装置
201 光ディスク
202 対物レンズ
203 アクチュエータ
204 球面収差位置調整部
205 受光部
206 アクチュエータ駆動部
207 球面収差位置駆動部
208 フォーカス誤差生成部
209 トラッキング誤差生成部
210 信号再生部
211 データ再生部
212 サーボ制御部
213 システム制御部
214 ディスクモータ
215 光ピックアップ
216 調整パラメータ処理部
217 レーザ光源
218 記録部
260 収差補正レンズ
301 調整パラメータ
302 調整結果確認情報
303 FBAL/BE精調整結果 FBAL値(Layer0)
304 FBAL/BE精調整結果 球面収差補正位置(Layer0)
305 FBAL/BE精調整結果 FBAL値(Layer1)
306 FBAL/BE精調整結果 球面収差補正位置(Layer1)
307 FBAL/BE精調整時温度(Layer0)
308 FBAL/BE精調整時温度(Layer1)

Claims (20)

  1. 第1情報層及び第2情報層を含む複数の情報層を備える光ディスクに対してデータの記録及び再生の少なくも一方を実行することのできる光ディスク装置であって、
    光ビームを集束する対物レンズと、
    前記対物レンズを駆動するレンズアクチュエータと、
    前記光ディスクで反射された光ビームを受け、電気信号に変換する受光部と、
    前記第1情報層からデータを読み出すために設定される第1パラメータ群および前記第2情報層からデータを読み出すために設定される第2パラメータ群の値を起動時に決定する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、起動時において、前記第1パラメータ群の値を決定し、かつ、
    以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群の値と以前の起動時に設定された前記第2パラメータ群の値との相関を表す相関情報、および今回の起動時に決定した前記第1パラメータ群の値を用いて第2パラメータ群の値を決定する、光ディスク装置。
  2. 前記相関情報は、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群の値と以前の起動時に設定された前記第2パラメータ群の値との差分である、請求項1に記載の光ディスク装置。
  3. 前記制御部は、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を、前記光ディスクの前記第1情報層から取得する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  4. 以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を前記光ディスクのディスクID情報に関連付けて格納するメモリを備えており、
    前記制御部は、今回の起動時に前記第1パラメータ群の値を決定した後、前記光ディスクの第1情報層からディスクID情報を読み出させ、当該ディスクID情報に関連付けられている前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を前記メモリから取得する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  5. 前記第1パラメータ群は、前記第1情報層からデータを再生するときに前記第1情報層上における光ビームの集束状態を規定するパラメータを含み、
    前記第2パラメータ群は、前記第2情報層からデータを再生するときに前記第2情報層上における光ビームの集束状態を規定するパラメータを含む、請求項1に記載の光ディスク装置。
  6. 前記第1パラメータ群は、前記第1情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含み、
    前記第2パラメータ群は、前記第2情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含む、請求項1に記載の光ディスク装置。
  7. 前記第1パラメータ群は、前記第1情報層のチルトまたは偏心を示す情報を含み、
    前記第2パラメータ群は、前記第2情報層のチルトまたは偏心を示す情報を含む、請求項1に記載の光ディスク装置。
  8. 前記制御部は、起動時において前記第2パラメータ群の値を決定するとき、前記相関情報を利用するか否かを、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群の値に基づいて判定する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  9. 以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群は、以前の起動時における温度を示す温度情報を含む、請求項7に記載の光ディスク装置。
  10. 前記制御部は、前記相関情報を利用しないと判定した場合、前記光ビームを実際に前記光ディスクの第2情報層に照射して前記第2パラメータ群の値を決定する、請求項8に記載の光ディスク装置。
  11. 起動時において、以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値を取得できない場合、前記制御部は、前記光ビームを実際に前記光ディスクの第2情報層に照射して前記第2パラメータ群の値を決定する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  12. 以前の起動時に設定された前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値が前記光ディスクの第1情報層に記録されている場合において、その設定が行われた装置が当該光ディスク装置と異なる場合、前記制御部は、前記相関情報を補正して使用する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  13. 前記制御部は、前記光ディスクの第1情報層に記録されている前記第1パラメータ群の値および前記第2パラメータ群の値を前記光ディスクに記録した光ディスク装置を特定する装置IDを前記光ディスクから取得し、前記装置IDに基づいて前記相関情報を補正する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  14. 前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を前記光ディスクの第1情報層に記録する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  15. 前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を他の光ディスク装置で利用できるように補正してから前記光ディスクの第1情報層に記録する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  16. 前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を、当該光ディスク装置を特定するための装置IDとともに前記光ディスクの第1情報層に記録する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  17. 前記第1および第2パラメータ群の値を、対応する光ディスクを特定するディスクIDに関連付けて記録するメモリを備えており、
    前記制御部は、今回の起動時に決定した第1および第2パラメータ群の値を前記光ディスクのディスクIDに関連付けて前記メモリに記録する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  18. 第1情報層及び第2情報層を含む複数の情報層を備える光ディスクであって、
    前記第1情報層からデータを読み出すために設定される第1パラメータ群および前記第2情報層からデータを読み出すために設定される第2パラメータ群の値が前記第1情報層に記録されている、光ディスク。
  19. 前記第1パラメータ群は、前記第1情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含み、
    前記第2パラメータ群は、前記第2情報層上における前記光ビームの球面収差補正量を規定する情報を含む、請求項18に記載の光ディスク。
  20. 前記第1パラメータ群および第2パラメータ群の値は、出荷時点において既に記録されている、請求項18に記載の光ディスク。
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