JPWO2007052717A1 - イメージ抑圧受信機 - Google Patents

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Abstract

ヘテロダイン受信機などに用いられるイメージ抑圧受信機において、I信号とQ信号の信号間誤差がイメージ信号周波数成分のノイズとなり、通信品質を劣化させていた。このような無線通信機において、高性能なイメージ抑圧回路を実現する。2つのイメージ抑圧回路(6−1)、(6−2)を備え、一方のイメージ抑圧回路(6−1)ではI信号とQ信号を入れ変え、希望波の入力信号でありながらイメージ信号と認識させて信号を抑圧し、他方のイメージ抑圧回路(6−2)では、希望波と認識して損失無く通過させ、それぞれのイメージ抑圧回路(6−1)、(6−2)の出力レベルの比が最大となるようにI信号とQ信号の位相または振幅をIQ信号調整回路で調整することにより、高性能なイメージ抑圧受信機を実現する。

Description

本発明は、無線通信の受信回路であるイメージ抑圧受信機に関し、特にヘテロダイン受信機などに用いられるイメージ抑圧受信機の高性能化に関するもので、I信号と、Q信号の信号間誤差を補正する手法に関する。
一般的なヘテロダイン受信機に用いられるイメージ抑圧受信機100を、図7に示す。(例えば、非特許文献1,p153,図5.25参照。図7の回路は、本文献の回路に、LNA2と、ADC9と、デジタル信号処理回路10を、追加している)。
図7において、2は低雑音増幅器(LNA)、3−1,3−2は、それぞれ、I用乗算器,Q用乗算器、4はPLL、5−1,5−2はLPF、6はイメージ抑圧回路、7は位相器、8は加算器、9はADコンバータ、10はデジタル信号処理回路である。
次に、動作の概略について説明する。
受信されたRF信号は、低雑音増幅器であるLNA2で増幅される。LNA2で増幅されたRF信号は2つに分岐され、それぞれ、PLL4で生成されたLOI信号,LOQ信号と乗算器3−1,3−2で乗算され、IF信号であるI信号、Q信号を生成する。I信号と、Q信号は、LPF5−1,5−2で不要な信号を除去される。LPF5−1,5−2で不要な信号を除去されたI信号、Q信号は、イメージ抑圧回路6に入力される。イメージ抑圧回路6は、位相シフト回路7と、加算器8で構成される。LPF5−1でフィルタリングされたI信号は、位相シフト回路7でπ/2シフトされ、LPF5−2を通過したQ信号と、加算器8で足しあわされる。加算器8の出力は、ADC9でアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された信号は、デジタル信号処理回路10でデジタル信号処理される。
ここで、RF信号の周波数は、例えば1GHzで、LOI信号と、LOQ信号は999MHz、IF信号は、1MHzである。LOI信号と、LOQ信号の周波数は同一であるが、位相がπ/2ずれている。また、フィルタのカットオフ周波数は、1.5MHzとし、1MHzの信号は、損失無く通過する。
次に動作の詳細について説明する。
RF信号には、通常、希望波とイメージ波が混在する。希望波は受信したい周波数の信号である。イメージ波はLO信号を挟んで、希望波と反対の周波数の信号である。この場合、イメージ波の周波数は、998MHzとなる。
イメージ信号周波数と、希望波信号周波数は、それぞれ、乗算器3−1,3−2でLO信号と乗算され、LPF5−1,5−2でフィルタリングされた後、同じ周波数となる。しかし、イメージ周波数の、I信号とQ信号の位相関係は、希望波のそれとは異なる。図8に示すように、イメージ周波数の場合、I信号とQ信号の信号振幅は一致するが、I信号の位相がπ/2遅れる。希望波の場合はその逆で、Q信号の位相がπ/2遅れる。イメージ信号の場合、イメージ抑圧回路6の位相器7によりさらにπ/2遅れ、結果としてI信号はπ遅れる。同一振幅で位相がπずれると、合成した信号は振幅が0となる。これに対し、希望波信号は、イメージ抑圧回路6を通過すると信号振幅が2倍となる。このように、イメージ信号は、イメージ抑圧回路6により除去され、イメージ抑圧回路6の出力には、希望波のみが現れる。
このイメージ抑圧回路6の伝達特性を、図9に示す。図9に示す通り、希望波の信号は損失無く通過するが、イメージ周波数は減衰される。このようにしてイメージ抑圧受信機100が構成される。
ヘテロダイン受信機では、こうしたイメージ抑圧回路は、特にIF周波数がRF周波数に対し1/100以下である、Low−IF方式の場合に必須である。
黒田忠弘監訳,Behzad Razavi著,"RFマイクロエレクトロニクス",丸善株式会社出版
しかし、上述した従来のイメージ抑圧受信機100では、素子ばらつき等により、I信号やQ信号の信号間の位相誤差や、振幅誤差が生じた場合に、イメージ抑圧特性が劣化するという問題がある。イメージ抑圧比(IRR)は(数1)のように近似される。(非特許文献1,p156参照)
IRR={(ΔA/A)2+(ΔP)2]/4 (数1)
ここで、ΔAは振幅誤差、Aは信号振幅、ΔPは位相誤差である。
図10に、位相誤差と振幅誤差によるIRRの影響を算出した結果を示す。位相誤差3°、振幅誤差0.5dBで、イメージ抑圧は30dB以下となる。通常の受信機では、イメージ抑圧は30dB以上が求められる。特に、製造バラツキの大きいCMOS半導体プロセスでは、I信号とQ信号の信号間誤差は更に大きくなる場合があり、大きな問題となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、2つのイメージ抑圧回路を備え、片方のイメージ抑圧回路ではI信号とQ信号の信号経路を入れ替えて、希望波信号でありながらイメージ信号として検出し、もう一方のイメージ抑圧回路では希望波信号として検出し、それぞれの信号強度の比が最大となるように、IQ信号調整回路によりI信号とQ信号の振幅または位相を調整することにより、イメージ抑圧を精度よく行えるようにしたイメージ抑圧受信機を提供することを目的とする。
本発明にかかるイメージ抑圧受信機は、経路切換え回路と、IQ信号調整回路と、第1のイメージ抑圧回路と、第2のイメージ抑圧回路と、を備え、前記第1のイメージ抑圧回路は経路切換え回路によりI信号とQ信号が逆に接続され、第1と、第2のイメージ抑圧回路の出力レベルの差が最大となるように、IQ信号調整回路で、I信号と、Q信号との信号間誤差を調整するものである。
すなわち、本発明の請求項1にかかるイメージ抑圧受信機は、入力されるRF信号を低雑音増幅する低雑音増幅器と、前記低雑音増幅器の出力と、PLLで生成されたI用ローカル信号であるLOI信号、および該I用ローカル信号と振幅が同一で位相が90°シフトしているQ用ローカル信号であるLOQ信号とを、それぞれ乗算し、IF信号として、それぞれI信号およびQ信号を出力する第1および第2の乗算器と、前記第1、第2の乗算器のI信号、Q信号の各出力のうちから、低域周波数成分のみを取り出す第1および第2の低域通過フィルタと、前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である2つの出力が入力され、前記I信号の信号経路と、前記Q信号の信号経路とを切換えて出力する経路切り替え回路と、該経路切り替え回路の出力がそのまま入力され、前記I信号と、Q信号間の誤差を調整するIQ信号調整回路と、前記IQ信号調整回路の出力に対して、イメージ抑圧を行う第1のイメージ抑圧回路と、前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である前記I信号と、前記Q信号の2つの出力がそのまま入力され、これらに対してイメージ抑圧を行う第2のイメージ抑圧回路と、該第1および第2のイメージ抑圧回路の出力を、それぞれA/D変換する第1および第2のA/D変換回路と、該第1および第2のA/D変換回路の出力に対しデジタル信号処理を行い、デジタル処理信号を出力するデジタル信号処理回路とを備え、前記IQ信号調整回路は、前記第1及び第2のイメージ抑圧回路の出力レベルの差が最大となるように、I信号と、Q信号との信号間誤差を調整する、ことを特徴とするものである。
また、本発明にかかるイメージ抑圧受信機は、PLLと、経路切換え回路と、IQ信号調整回路と、第1のイメージ抑圧回路と、第2のイメージ抑圧回路と、を備え、前記第1のイメージ抑圧回路は、経路切換え回路によりI信号とQ信号が逆に接続され、第1と、第2のイメージ抑圧回路の出力レベルの差が最大となるように、IQ信号調整回路でPLLのLO信号であるLOI信号と、LOQ信号との信号間誤差を調整するものである。
すなわち、本発明の請求項2にかかるイメージ抑圧受信機は、入力されるRF信号を低雑音増幅する低雑音増幅器と、前記低雑音増幅器の出力と、PLLで生成されたI用ローカル信号であるLOI信号、および該I用ローカル信号と振幅が同一で位相が90°シフトしているQ用ローカル信号であるLOQ信号とを、それぞれ乗算し、IF信号として、それぞれI信号およびQ信号を出力する第1および第2の乗算器と、前記第1、第2の乗算器のI信号、Q信号の各出力のうちから、低域周波数成分のみを取り出す第1および第2の低域通過フィルタと、前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である2つの出力が入力され、前記I信号の信号経路と、前記Q信号の信号経路とを切換えて出力する経路切り替え回路と、該経路切り替え回路の出力がそのまま入力され、前記I信号と、Q信号間の誤差を調整するIQ信号調整回路と、前記IQ信号調整回路の出力に対して、イメージ抑圧を行う第1のイメージ抑圧回路と、前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である前記I信号と、前記Q信号の2つの出力がそのまま入力され、これらに対してイメージ抑圧を行う第2のイメージ抑圧回路と、該第1および第2のイメージ抑圧回路の出力を、それぞれA/D変換する第1および第2のA/D変換回路と、該第1および第2のA/D変換回路の出力に対しデジタル信号処理を行い、デジタル処理信号を出力するデジタル信号処理回路と、を備え、前記IQ信号調整回路は、前記第1および第2のイメージ抑圧回路の出力レベルの差が最大となるように、LOI信号と、LOQ信号との信号間誤差を調整する、ことを特徴とするものである。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記IQ信号調整回路は、I信号とQ信号の位相を調整してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記IQ信号調整回路は、I信号とQ信号の振幅を調整してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記RF信号は、100MHz以上としても良い。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記LO信号と前記IF信号の比は、100以上でも良い。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記IQ信号調整回路は、抵抗と容量で構成され、前記抵抗の値を調整することにより前記I信号と、Q信号との位相を調整してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記IQ信号調整回路は、抵抗と容量で構成され、前記容量の値を調整することにより前記I信号と、Q信号との位相を調整してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記IQ信号調整回路は、第1の抵抗と、第2の抵抗が、入力とAC的なグランドとの間に直列に接続され、前記第1の抵抗と、第2の抵抗との接続点を出力とし、前記第2の抵抗の値を調整することにより前記I信号と、Q信号との振幅を調整してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧回路は、位相器と、加算器とで構成され、前記位相器は、I信号の位相を90°遅らせて出力し、前記加算器は、前記位相器の出力と、Q信号とを加算して出力してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧回路は、複素フィルタで構成されていてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧受信機は、CMOSプロセスで実現されていてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧受信機は、さらに、前記第1のイメージ抑圧回路と、前記第1のADコンバータとの間に、第1の可変利得増幅器を備えていてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記第1の可変利得増幅器は、IQ信号の調整時に、LowゲインからHighゲインとなる、ものとしてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧受信機は、さらに、前記第2のイメージ抑圧回路と、前記第2のADコンバータとの間に、第2の可変利得増幅器を備えていてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記第1及び第2の可変利得増幅器は、前記第1及び第2のADコンバータによりデジタル信号に変換された信号の信号強度が、それぞれ所定の値になるように制御されてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧受信機は、第1のLPFと、第2のLPFを、さらに備え、前記第1のLPFは、第1の乗算器の出力に接続されて、IF信号としてI信号を出力し、前記第2のLPFは、第2の乗算器の出力に接続されて、IF信号としてQ信号を出力しても良い。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧受信機は、第2のイメージ抑圧回路は、I信号またはQ信号のみを出力してもよい。
本発明にかかるイメージ抑圧受信機によれば、希望波信号をそのまま入力する第2のイメージ抑圧回路と、希望波信号のI信号と、Q信号の経路を入れ替えた信号を入力する第1のイメージ抑圧回路とを備え、2つのイメージ抑圧回路の両出力の信号強度の比が、最大となるように、すなわち両出力の出力レベルの差が、最大となるように、I信号と、Q信号との信号間誤差を調整することにより、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を得ることができる。
また、上記2つのイメージ抑圧回路の両出力の信号強度の比が、最大となるように、すなわち両出力の出力レベルの差が、最大となるように、I信号と、Q信号の位相を調整することにより、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を得ることができる。
また、上記2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が、最大となるように、すなわち両出力の出力レベルの差が、最大となるように、PLLのLOI信号と、LOQ信号との振幅を調整することにより、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を得ることができる。
また、ADコンバータの前に、可変利得増幅器を設け、その利得を制御して、2つのイメージ抑圧回路の両出力の信号強度の比が、最大となるように、すなわち両出力の出力レベルの差が、最大となるように、I信号と、Q信号との位相を調整することにより、ADコンバータのビット精度が低い場合であっても、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を得ることができる。
図1は本発明の実施の形態1によるイメージ抑圧受信機を示す図である。 図2は本発明の実施の形態2によるイメージ抑圧受信機を示す図である。 図3は本発明の実施の形態3によるイメージ抑圧受信機を示す図である。 図4は本発明の実施の形態4によるイメージ抑圧受信機を示す図である。 図5は本発明の実施の形態5によるイメージ抑圧受信機を示す図である。 図6(a)は、本発明の実施の形態1における位相調整回路12の構成の一例を示す図である。図6(b)は、本発明の実施の形態2における振幅調整回路13の構成の一例を示す図である。 図7は従来のイメージ抑圧受信機を示す図である。 図8は上記従来例におけるイメージ信号が入力した場合のI信号と、Q信号の関係を示す図である。 図9は上記従来例におけるイメージ抑圧回路の周波数特性を示す図である。 図10は上記従来例における異なる振幅誤差での位相誤差に対するイメージ抑圧比(IRR)を示す図である。 図11は上記実施の形態1における経路切り替え回路11の構成の一例を示す図である。
符号の説明
100,101,102,103,104,105 イメージ抑圧受信機
2 LNA
3−1,3−2 乗算器
4 PLL
5−1,5−2 LPF
6,6−1,6−2 イメージ抑圧回路
7 位相器
8 加算器
9,9−1,9−2 ADC
10 デジタル信号処理回路
11 経路切換え回路
12 位相調整回路
13 振幅調整回路
14,14−1,14−2 可変利得増幅器
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図において、従来技術におけると同様の機能を有する構成要素については、従来技術と同じ符号を付してその説明を省略する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1によるイメージ抑圧受信機を、図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態1のイメージ抑圧受信機101のブロック構成を示す図である。
本実施の形態1のイメージ抑圧受信機101の従来例との相違は、イメージ抑圧回路6−1の前に、IQ経路切り替え回路11と、位相調整回路12を有し、更に、第1、第2の乗算器3−1,3−2のI信号、Q信号の出力をそのまま入力する第2のイメージ抑圧回路6−2と、第2のイメージ抑圧回路6−2のアナログ出力を、デジタル信号に変換するADC9−2を有することである。
ADC9−2でデジタルデータに変換された信号は、デジタル信号処理回路10で信号処理される。
位相調整回路12は、I信号用と、Q信号用の位相調整回路で構成され、I信号用,Q信号用の各位相調整回路は、例えば、図6(a)に示すように、抵抗R1と容量C1で構成され、位相制御信号で、抵抗R1の値を制御して、位相調整を行う。
経路切り替え回路11は、デジタル信号処理回路10から経路切り替え信号で制御される。図11は経路切り替え回路11の構成の一例を示す図である。図11において、111,112は、経路切り替え信号によって入力信号の出力先を切り換えるスイッチ素子である。スイッチ素子111が、端子aを選択するときは、スイッチ素子112は、端子cを選択し、スイッチ素子111が、端子bを選択するときは、スイッチ素子112は、端子dを選択するように動作する。
IQ位相調整回路12は、デジタル信号処理回路10から位相制御信号で制御される。イメージ抑圧回路6−2には、I信号とQ信号が入力される。位相調整回路12は、I信号とQ信号の位相を10°調整する。ここで、RF信号の周波数は、例えば、1GHzで、LOI信号とLOQ信号は999MHz、IF信号は1MHzとする。
次に、動作について説明する。
本実施の形態1のイメージ抑圧受信機101において、まず、RF信号として希望波信号が入力される。この時、I信号とQ信号の信号間誤差を調整するために、IQ経路切り替え回路11でI信号と、Q信号の経路を入れ替える。すると、入力信号が希望波信号でありながら、第1のイメージ抑圧回路6−1では、イメージ信号として認識され、信号が抑圧されて出力される。
一方、第2のイメージ抑圧回路6−2からは、入力信号が希望波信号として認識されるため、そのまま出力される。ここで、RF信号の入力レベルを、−80dBmとし、LNA2と乗算器3−1,3−2の合計の利得を、40dBとする。すると、イメージ抑圧回路6−1,6−2の入力では、I信号、Q信号ともに、−40dBmの入力レベルとなる。ここで、I信号と、Q信号の位相誤差=4°、振幅誤差=0dB、とすると、イメージ抑圧回路6−1からは、−60dBmの信号が出力され、イメージ抑圧回路6−2からは、−34dBmの信号が出力される。これらの信号を、ADコンバータ9−1,9−2でデジタル信号に変換し、信号レベルの検出、及び強度の比較を、デジタル信号処理回路10で行う。この場合、信号強度の差は、26dBが検出される。ここで、位相調整信号によりIQ位相調整回路12でI信号、Q信号の位相を調整し、信号強度の差が最大となるまで調整を行う。すると、位相調整が4°で、信号強度比が最大となり、調整を完了する。
調整が完了すると、IQ経路切り替え回路11のI信号と、Q信号の経路を元に戻し、通常の信号の受信を行う。すると、イメージ抑圧回路6−1では、希望波信号に対してはそのまま通過し、イメージ周波数の信号に対しては十分抑圧を行うことができ、高精度なイメージ抑圧受信機1を得ることができる。この通常動作時においては、イメージ抑圧回路6−2と、ADC9−2は、低消費電力化のために動作を停止してもよい。
なお、I信号と、Q信号の誤差調整は、例えば、受信機の起動時に一回行い、その時得られた補正データをメモリに保存し、2回目以降はその値を使用することにより、誤差調整を省略することができる。また、出荷時に誤差調整を行い、その結果をフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに記憶し、通常使用時はメモリに記憶された補正値を使用することにより、誤差調整を省略することができる。このようにして、I信号と、Q信号の間の誤差を調整し、イメージ抑圧回路の高精度化を図り、高性能なイメージ抑圧受信機101を得ることができる。
このような本実施の形態1のイメージ抑圧受信機101によれば、イメージ抑圧回路6−1の前に、IQ経路切り替え回路11と、位相調整回路12を有し、更に、前記第1、第2の乗算器3−1,3−2のI信号,Q信号の出力をそのまま入力する第2のイメージ抑圧回路6‐2と、第2のイメージ抑圧回路6−2のアナログ出力をデジタル信号に変換するADC9−2とを有するものとしたので、希望波信号に対してI信号と、Q信号の信号間誤差を調整するために、I信号と、Q信号の経路を入れ替え、第1のイメージ抑圧回路6−1では、希望波信号をイメージ信号として認識して信号の抑圧を行い、一方、第2のイメージ抑圧回路6−2では、入力信号をそのまま希望波信号として認識、出力し、かつこの際、IQ位相調整回路12でI信号、Q信号の位相を調整し、2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が、最大となるまで調整を行うようにしたので、イメージ抑圧特性の優れた、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2によるイメージ抑圧受信機を、図2について説明する。
本発明の実施の形態2によるイメージ抑圧受信機102の、上記実施の形態1のイメージ抑圧受信機101との相違は、図1に示される位相調整回路12に代えて、振幅調整回路13を備え、これに振幅制御信号を与えて、I信号と、Q信号の振幅を調整することである。
図2に示される本実施の形態2におけるイメージ抑圧受信機102において、該振幅調整回路13は、I信号用と、Q信号用の振幅調整回路で構成され、I信号用,Q信号用の各振幅調整回路は、例えば、図6(b)に示すように、抵抗R1と、抵抗R0で構成され、振幅制御信号で抵抗R1の値を制御して、振幅調整を行う。振幅調整回路13は、I信号と、Q信号の振幅を、1.0dB調整する。イメージ抑圧受信機1は、CMOSプロセスで同一の半導体基板上で実現される。
次に動作について説明する。
RF信号に、希望波信号が入力される。I信号と、Q信号の信号間誤差を調整するために、IQ経路切り替え回路11で、I信号と、Q信号の経路を入れ替える。すると、イメージ抑圧回路6−1からは、希望波信号の入力でありながら、イメージ信号として認識され、抑圧された信号が出力される。
一方、第2のイメージ抑圧回路6−2からは、入力信号が希望波信号として認識され、そのまま出力される。ここで、RF信号の入力レベルを−80dBmとし、LNA2と、乗算器3−1,3−2の合計の利得を、40dBとする。すると、イメージ抑圧回路6−1,6−2の入力では、I信号、Q信号ともに、−40dBmの入力レベルとなる。ここで、I信号と、Q信号の位相誤差=0°、振幅誤差=0.5dBとすると、イメージ抑圧回路6−1からは、−65dBmの信号が出力され、イメージ抑圧回路6−2からは、−34dBmの信号が出力される。これらの信号を、ADコンバータ9−1,9−2でデジタル信号に変換し、信号レベルの検出、及び強度の比較を、デジタル信号処理回路10で行う。この場合、信号強度の差は31dBが検出される。ここで、振幅調整信号により振幅調整回路13でI信号、Q信号の振幅を調整し、信号強度の差が最大となるまで調整を行う。すると、振幅調整が0.5dBで、信号強度比が最大となり、調整を完了する。
調整が完了すると、IQ経路切り替え回路11のI信号と、Q信号の経路を元に戻し、通常の信号の受信を行う。すると、イメージ抑圧回路6−1では、希望波信号に対してはそのままで、イメージ周波数の信号に対しては十分抑圧を行うことができ、高精度なイメージ抑圧受信機を得ることができる。この通常動作時には、イメージ抑圧回路6−2と、ADC9−2は、低消費電力化のために動作を停止してもよい。
なお、I信号と、Q信号の誤差調整は、例えば、受信機の起動時に一回行い、その時得られた補正データをメモリに保存し、2回目以降はその値を使用することにより、誤差調整を省略することができる。また、出荷時に誤差調整を行い、その結果をフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに記憶し、通常使用時はメモリに記憶された補正値を使用することにより、誤差調整を省略することができる。このようにして、I信号と、Q信号の誤差を調整し、イメージ抑圧回路の高精度化を図り、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
このような本実施の形態2のイメージ抑圧受信機102によれば、上記実施の形態1のイメージ抑圧受信機101における位相調整回路12に代えて、振幅調整回路13を備え、実施の形態1におけると同様に、希望波信号に対してI信号と、Q信号の信号間誤差を調整するために、IQ経路切り替え回路11でI信号と、Q信号の経路を入れ替え、第1のイメージ抑圧回路6−1では希望波信号をイメージ信号として認識して信号の抑圧を行い、一方、第2のイメージ抑圧回路6−2では入力信号をそのまま希望波信号として認識、出力し、かつこの際、振幅調整回路13で、2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が最大となるように、I信号とQ信号の振幅を調整するようにしたので、イメージ抑圧特性の優れた、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3によるイメージ抑圧受信機を、図3を用いて説明する。
本発明の実施の形態3によるイメージ抑圧受信機103の、上記実施の形態1のイメージ抑圧受信機101との相違は、図1において位相調整をIF信号であるI信号と、Q信号で行っていたのを、図3に示すように、PLL4のLO信号であるLOQ信号と、LOI信号の位相を、位相調整回路120で調整するようにした点である。このように、PLL4のLO信号であるLOQ信号と、LOI信号の位相を調整することによっても、I信号と、Q信号の位相の調整を行うことができ、実施の形態1と同様に、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
このような本実施の形態3によるイメージ抑圧受信機103によれば、位相調整を、PLL4のLO信号であるLOQ信号と、LOI信号の位相を、位相調整回路120で調整することにより行うものであり、このような構成によっても、I信号と、Q信号の位相の調整を行って、実施の形態1と同様に、イメージ抑圧特性の優れた、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4によるイメージ抑圧受信機を、図4を用いて説明する。
本発明の実施の形態4によるイメージ抑圧受信機104の、上記実施の形態1のイメージ抑圧受信機101との相違は、前記ADC9−1の前に、さらに、信号を増幅する可変利得増幅器14を備えることである。該可変利得増幅器14は、デジタル信号処理回路10からのゲイン制御信号により、Highゲインと、Lowゲインに設定される。
次に動作について説明する。
本実施の形態4のイメージ抑圧受信機104において、まず、RF信号に希望波信号が入力される。I信号と、Q信号の信号間誤差を調整するために、経路切り替え回路11でI信号と、Q信号の経路を入れ替える。また、ゲイン制御信号により、可変利得増幅器14のゲインは、Highゲインに設定される。
第1のイメージ抑圧回路6−1では、希望波信号の入力でありながらイメージ信号として認識され、信号が抑圧される。そして、可変利得増幅器14を通過して、ADC9−1に入力される。
一方、第2のイメージ抑圧回路6−2からは、入力信号が希望波信号として認識されるため、そのまま出力される。ここで、RF信号の入力レベルを−80dBmとし、LNA2と乗算器3−1,3−2の合計の利得を、40dB、可変利得増幅器のHighゲインを、20dB、Lowゲインを、0dBとする。すると、イメージ抑圧回路6−1,6−2の入力では、I信号、Q信号ともに、−40dBmの入力レベルとなる。ここで、I信号と、Q信号の位相誤差=4°、振幅誤差=0dB、とすると、第1のイメージ抑圧回路6−1からは、−40dBmの信号が出力され、第2のイメージ抑圧回路6−2からは、−34dBmの信号が出力される。これらの信号を、ADコンバータ9−1,9−2でデジタル信号に変換し、信号レベルの検出、及び強度の比較を、デジタル信号処理回路10で行う。この時、可変利得増幅器14で信号が増幅されているため、ADコンバータ9−1のダイナミックレンジを、上記実施の形態1より小さくできる。この場合、信号強度の差は、6dBが検出される。ここで、位相調整信号によりIQ位相調整回路12で、I信号、Q信号の位相を調整し、信号強度の差が最大となるまで、調整を行う。すると、位相調整が4°で、信号強度比が最大となり、調整を完了する。
調整が完了すると、IQ経路切り替え回路のI信号と、Q信号の経路を元に戻し、可変利得増幅器14のゲインを、Lowゲインにし、通常の信号の受信を行う。こうすることにより、ADC9−1のダイナミックレンジを、上記実施の形態1より小さくでき、希望波信号に対しては減衰なく通過し、イメージ周波数の信号に対しては抑圧することのできる、高精度なイメージ抑圧受信機104を得ることができる。
このような本実施の形態4によるイメージ抑圧受信機104によれば、上記実施の形態1の構成において、ADコンバータ9−1の前に、信号を増幅する可変利得増幅器14を設け、これをゲイン制御信号によりHighゲイン、あるいはLowゲインに設定するようにしたので、上記実施の形態1におけるように、2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が最大となるように、I信号とQ信号の位相を調整することにより、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を構成できるとともに、ADコンバータ9−1のダイナミックレンジを、実施の形態1より小さくでき、ADコンバータのビット精度が低くても、イメージ抑圧特性の優れた、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を、簡易に得ることができる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5によるイメージ抑圧受信機を、図5を用いて説明する。
本発明の実施の形態5によるイメージ抑圧受信機105の、上記実施の形態1のイメージ抑圧受信機101との相違は、ADC9−1,9−2の前に、さらに、信号を増幅する可変利得増幅器14−1,14−2を備えることである。可変利得増幅器14−1,14−2は、ADコンバータ9−1,9−2の入力での信号レベルが所定のレベルになるように、デジタル信号処理回路10で利得を制御される。こうすることにより、RF信号の信号レベルが変動しても、該可変利得増幅器14−1,14−2で信号レベルを一定に調整することにより、ADC9−1,9−2のビット精度を低くすることができる。
次に動作について説明する。
本実施の形態5のイメージ抑圧受信機105において、まず、RF信号に希望波信号が入力される。そして、I信号と、Q信号の信号間誤差を調整するために、IQ経路切り替え回路11でI信号と、Q信号の経路を入れ替える。すると、第1のイメージ抑圧回路6−1では、希望波信号の入力でありながら、イメージ信号として認識され、信号が抑圧される。すると、デジタル信号処理回路10で、信号レベルが基準レベルに達していないと判断され、可変利得増幅器14−1の利得は大きくするように調整される。ここで、RF信号の入力レベルを、−80dBmとし、LNA2と、乗算器3−1、3−2の合計の利得を、40dBとする。すると、イメージ抑圧回路6−1,6−2の入力では、I信号、Q信号ともに、−40dBmの入力レベルとなる。ここで、I信号と、Q信号の位相誤差=4°、振幅誤差=0dB、とすると、第1のイメージ抑圧回路6−1からは、−60dBmの信号が出力され、第2のイメージ抑圧回路6−2からは、−34dBmの信号が出力される。デジタル信号処理回路10での信号レベルの基準レベルを、−10dBmとすると、可変利得増幅回路14−1のゲインは、50dB、可変利得増幅器14−2のゲインは、24dBとなる。ここで、位相調整信号によりIQ位相調整回路12でI信号、Q信号の位相を調整し、可変利得増幅器14−1と、14−2の利得の差が最大となるまで調整を行う。すると、位相調整が4°で利得の比が最大となり、調整を完了する。
調整が完了すると、IQ経路切り替え回路11のI信号と、Q信号の経路を元に戻し、通常の信号の受信を行う。こうすることにより、第1のイメージ抑圧回路6−1では、希望波信号に対してはそのまま信号損失無く通過し、第2のイメージ抑圧回路6−2では、イメージ周波数の信号に対して十分に抑圧を行うことにより、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
このような本実施の形態5のイメージ抑圧受信機105によれば、上記実施の形態1の構成において、ADコンバータ9−1,9−2の前に、信号を増幅する可変利得増幅器14−1、14−2を設け、該可変利得増幅器14−1,14−2を、該ADコンバータ9−1,9−2の入力での信号レベルが所定のレベルになるように、その利得制御をするようにしたので、上記実施の形態1におけるように、2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が最大となるようにI信号とQ信号の位相を調整することにより、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を構成できるとともに、RF信号の信号レベルの変動に対しても、ADコンバータのビット精度を低くでき、イメージ抑圧特性の優れた、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を、簡易に得ることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態1から実施の形態5で示した、RF周波数やLO周波数、IF周波数、LNA2や乗算器3、可変利得増幅器のゲイン、イメージ抑圧回路6等の具体例に限定されるものではない。LNA2は、感度に問題がなければ不要である。イメージ抑圧回路6は、I信号とQ信号の入力からイメージ周波数成分を抑制するものであればなんでもよい。例えば、イメージ抑圧回路6として、複素フィルタでもよい。イメージ抑圧回路が複素フィルタの場合は、複素フィルタで不要な信号を除去するため、LPF5−1,5−2は不要となる。また、経路切換え回路11は、I信号と、Q信号を入れ替えたが、I信号と、Q信号がそれぞれ差動信号の場合、片側の差動信号の極性を入れ替えるようにしてもよい。
また、実施の形態1では、位相調整回路12によりI信号とQ信号の位相を調整したが、これに加えて、更に振幅調整回路13を設け、振幅制御信号によりI信号と、Q信号の振幅を調整してもよい。この時、位相調整をした後に振幅調整してもよいし、あるいはその逆としてもよい。
また、経路切換え回路11の後に位相調整回路12を設けたが、先に振幅調整回路13を設けてもよい。また、位相調整回路12と、振幅調整回路13は、I信号と、Q信号の、位相または振幅の調整ができれば、どこに配置してもよい。
また、経路切換え回路11は、イメージ抑圧回路6−1で、希望波信号でありながら経路を切り替えることにより、イメージ信号と認識して抑圧され、イメージ抑圧回路6−2で、希望波として認識されるならば、どこに配置してもよい。
また、位相調整回路12は、抵抗R1と容量C1で構成し、抵抗R1を可変としたが、容量C1を可変にしてもよい。
また、位相調整回路12と、振幅調整回路13の具体例の構成は、本発明において本質的なものではなく、それぞれ、位相の制御、振幅の制御ができれば、どのような構成のものであってもよい。
また、以上では、CMOSプロセスで、イメージ抑圧受信機を実現する例を示したが、これは、BiCMOSプロセスや、Bipolarプロセスで実現してもよく、同等の効果が得られることは明らかである。
要は、2つのイメージ抑圧回路を備え、一方では、希望波の入力に対しI信号と、Q信号を入れ変えることにより、希望波の入力でありながらイメージ信号と認識させ信号を抑圧し、他方では、希望波として損失無く通過させ、それぞれのイメージ抑圧回路の出力レベルの比が最大となるようにI信号と、Q信号の位相または振幅の補正をするイメージ抑圧受信機を構成するものであればよい。
本発明にかかるイメージ抑圧受信機は、2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が最大となるようにI信号とQ信号の位相を調整し、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を得ることができるものであり、無線通信の受信回路において有用である。
本発明は、無線通信の受信回路であるイメージ抑圧受信機に関し、特にヘテロダイン受信機などに用いられるイメージ抑圧受信機の高性能化に関するもので、I信号と、Q信号の信号間誤差を補正する手法に関する。
一般的なヘテロダイン受信機に用いられるイメージ抑圧受信機100を、図7に示す。(例えば、非特許文献1,p153,図5.25参照。図7の回路は、本文献の回路に、LNA2と、ADC9と、デジタル信号処理回路10を、追加している)。
図7において、2は低雑音増幅器(LNA)、3−1,3−2は、それぞれ、I用乗算器,Q用乗算器、4はPLL、5−1,5−2はLPF、6はイメージ抑圧回路、7は位相器、8は加算器、9はADコンバータ、10はデジタル信号処理回路である。
次に、動作の概略について説明する。
受信されたRF信号は、低雑音増幅器であるLNA2で増幅される。LNA2で増幅されたRF信号は2つに分岐され、それぞれ、PLL4で生成されたLOI信号,LOQ信号と乗算器3−1,3−2で乗算され、IF信号であるI信号、Q信号を生成する。I信号と、Q信号は、LPF5−1,5−2で不要な信号を除去される。LPF5−1,5−2で不要な信号を除去されたI信号、Q信号は、イメージ抑圧回路6に入力される。イメージ抑圧回路6は、位相シフト回路7と、加算器8で構成される。LPF5−1でフィルタリングされたI信号は、位相シフト回路7でπ/2シフトされ、LPF5−2を通過したQ信号と、加算器8で足しあわされる。加算器8の出力は、ADC9でアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された信号は、デジタル信号処理回路10でデジタル信号処理される。
ここで、RF信号の周波数は、例えば1GHzで、LOI信号と、LOQ信号は999MHz、IF信号は、1MHzである。LOI信号と、LOQ信号の周波数は同一であるが、位相がπ/2ずれている。また、フィルタのカットオフ周波数は、1.5MHzとし、1MHzの信号は、損失無く通過する。
次に動作の詳細について説明する。
RF信号には、通常、希望波とイメージ波が混在する。希望波は受信したい周波数の信号である。イメージ波はLO信号を挟んで、希望波と反対の周波数の信号である。この場合、イメージ波の周波数は、998MHzとなる。
イメージ信号周波数と、希望波信号周波数は、それぞれ、乗算器3−1,3−2でLO信号と乗算され、LPF5−1,5−2でフィルタリングされた後、同じ周波数となる。しかし、イメージ周波数の、I信号とQ信号の位相関係は、希望波のそれとは異なる。図8に示すように、イメージ周波数の場合、I信号とQ信号の信号振幅は一致するが、I信号の位相がπ/2遅れる。希望波の場合はその逆で、Q信号の位相がπ/2遅れる。イメージ信号の場合、イメージ抑圧回路6の位相器7によりさらにπ/2遅れ、結果としてI信号はπ遅れる。同一振幅で位相がπずれると、合成した信号は振幅が0となる。これに対し、希望波信号は、イメージ抑圧回路6を通過すると信号振幅が2倍となる。このように、イメージ信号は、イメージ抑圧回路6により除去され、イメージ抑圧回路6の出力には、希望波のみが現れる。
このイメージ抑圧回路6の伝達特性を、図9に示す。図9に示す通り、希望波の信号は損失無く通過するが、イメージ周波数は減衰される。このようにしてイメージ抑圧受信機100が構成される。
ヘテロダイン受信機では、こうしたイメージ抑圧回路は、特にIF周波数がRF周波数に対し1/100以下である、Low−IF方式の場合に必須である。
黒田忠弘監訳,Behzad Razavi著,"RFマイクロエレクトロニクス",丸善株式会社出版
しかし、上述した従来のイメージ抑圧受信機100では、素子ばらつき等により、I信号やQ信号の信号間の位相誤差や、振幅誤差が生じた場合に、イメージ抑圧特性が劣化するという問題がある。イメージ抑圧比(IRR)は(数1)のように近似される。(非特許文献1,p156参照)
IRR={(ΔA/A)2+(ΔP)2]/4 (数1)
ここで、ΔAは振幅誤差、Aは信号振幅、ΔPは位相誤差である。
図10に、位相誤差と振幅誤差によるIRRの影響を算出した結果を示す。位相誤差3°、振幅誤差0.5dBで、イメージ抑圧は30dB以下となる。通常の受信機では、イメージ抑圧は30dB以上が求められる。特に、製造バラツキの大きいCMOS半導体プロセスでは、I信号とQ信号の信号間誤差は更に大きくなる場合があり、大きな問題となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、2つのイメージ抑圧回路を備え、片方のイメージ抑圧回路ではI信号とQ信号の信号経路を入れ替えて、希望波信号でありながらイメージ信号として検出し、もう一方のイメージ抑圧回路では希望波信号として検出し、それぞれの信号強度の比が最大となるように、IQ信号調整回路によりI信号とQ信号の振幅または位相を調整することにより、イメージ抑圧を精度よく行えるようにしたイメージ抑圧受信機を提供することを目的とする。
本発明にかかるイメージ抑圧受信機は、経路切換え回路と、IQ信号調整回路と、第1のイメージ抑圧回路と、第2のイメージ抑圧回路と、を備え、前記第1のイメージ抑圧回路は経路切換え回路によりI信号とQ信号が逆に接続され、第1と、第2のイメージ抑圧回路の出力レベルの差が最大となるように、IQ信号調整回路で、I信号と、Q信号との信号間誤差を調整するものである。
すなわち、本発明の請求項1にかかるイメージ抑圧受信機は、入力されるRF信号を低雑音増幅する低雑音増幅器と、前記低雑音増幅器の出力と、PLLで生成されたI用ローカル信号であるLOI信号、および該I用ローカル信号と振幅が同一で位相が90°シフトしているQ用ローカル信号であるLOQ信号とを、それぞれ乗算し、IF信号として、それぞれI信号およびQ信号を出力する第1および第2の乗算器と、前記第1、第2の乗算器のI信号、Q信号の各出力のうちから、低域周波数成分のみを取り出す第1および第2の低域通過フィルタと、前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である2つの出力が入力され、前記I信号の信号経路と、前記Q信号の信号経路とを切換えて出力する経路切り替え回路と、該経路切り替え回路の出力がそのまま入力され、前記I信号と、Q信号間の誤差を調整するIQ信号調整回路と、前記IQ信号調整回路の出力に対して、イメージ抑圧を行う第1のイメージ抑圧回路と、前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である前記I信号と、前記Q信号の2つの出力がそのまま入力され、これらに対してイメージ抑圧を行う第2のイメージ抑圧回路と、該第1および第2のイメージ抑圧回路の出力を、それぞれA/D変換する第1および第2のA/D変換回路と、該第1および第2のA/D変換回路の出力に対しデジタル信号処理を行い、デジタル処理信号を出力するデジタル信号処理回路とを備え、前記IQ信号調整回路は、前記第1及び第2のイメージ抑圧回路の出力レベルの差が最大となるように、I信号と、Q信号との信号間誤差を調整する、ことを特徴とするものである。
また、本発明にかかるイメージ抑圧受信機は、PLLと、経路切換え回路と、IQ信号調整回路と、第1のイメージ抑圧回路と、第2のイメージ抑圧回路と、を備え、前記第1のイメージ抑圧回路は、経路切換え回路によりI信号とQ信号が逆に接続され、第1と、第2のイメージ抑圧回路の出力レベルの差が最大となるように、IQ信号調整回路でPLLのLO信号であるLOI信号と、LOQ信号との信号間誤差を調整するものである。
すなわち、本発明の請求項2にかかるイメージ抑圧受信機は、入力されるRF信号を低雑音増幅する低雑音増幅器と、前記低雑音増幅器の出力と、PLLで生成されたI用ローカル信号であるLOI信号、および該I用ローカル信号と振幅が同一で位相が90°シフトしているQ用ローカル信号であるLOQ信号とを、それぞれ乗算し、IF信号として、それぞれI信号およびQ信号を出力する第1および第2の乗算器と、前記第1、第2の乗算器のI信号、Q信号の各出力のうちから、低域周波数成分のみを取り出す第1および第2の低域通過フィルタと、前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である2つの出力が入力され、前記I信号の信号経路と、前記Q信号の信号経路とを切換えて出力する経路切り替え回路と、該経路切り替え回路の出力がそのまま入力され、前記I信号と、Q信号間の誤差を調整するIQ信号調整回路と、前記IQ信号調整回路の出力に対して、イメージ抑圧を行う第1のイメージ抑圧回路と、前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である前記I信号と、前記Q信号の2つの出力がそのまま入力され、これらに対してイメージ抑圧を行う第2のイメージ抑圧回路と、該第1および第2のイメージ抑圧回路の出力を、それぞれA/D変換する第1および第2のA/D変換回路と、該第1および第2のA/D変換回路の出力に対しデジタル信号処理を行い、デジタル処理信号を出力するデジタル信号処理回路と、を備え、前記IQ信号調整回路は、前記第1および第2のイメージ抑圧回路の出力レベルの差が最大となるように、LOI信号と、LOQ信号との信号間誤差を調整する、ことを特徴とするものである。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記IQ信号調整回路は、I信号とQ信号の位相を調整してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記IQ信号調整回路は、I信号とQ信号の振幅を調整してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記RF信号は、100MHz以上としても良い。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記LO信号と前記IF信号の比は、100以上でも良い。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記IQ信号調整回路は、抵抗と容量で構成され、前記抵抗の値を調整することにより前記I信号と、Q信号との位相を調整してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記IQ信号調整回路は、抵抗と容量で構成され、前記容量の値を調整することにより前記I信号と、Q信号との位相を調整してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記IQ信号調整回路は、第1の抵抗と、第2の抵抗が、入力とAC的なグランドとの間に直列に接続され、前記第1の抵抗と、第2の抵抗との接続点を出力とし、前記第2の抵抗の値を調整することにより前記I信号と、Q信号との振幅を調整してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧回路は、位相器と、加算器とで構成され、前記位相器は、I信号の位相を90°遅らせて出力し、前記加算器は、前記位相器の出力と、Q信号とを加算して出力してもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧回路は、複素フィルタで構成されていてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧受信機は、CMOSプロセスで実現されていてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧受信機は、さらに、前記第1のイメージ抑圧回路と、前記第1のADコンバータとの間に、第1の可変利得増幅器を備えていてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記第1の可変利得増幅器は、IQ信号の調整時に、LowゲインからHighゲインとなる、ものとしてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧受信機は、さらに、前記第2のイメージ抑圧回路と、前記第2のADコンバータとの間に、第2の可変利得増幅器を備えていてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記第1及び第2の可変利得増幅器は、前記第1及び第2のADコンバータによりデジタル信号に変換された信号の信号強度が、それぞれ所定の値になるように制御されてもよい。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、前記イメージ抑圧受信機は、第1のLPFと、第2のLPFを、さらに備え、前記第1のLPFは、第1の乗算器の出力に接続されて、IF信号としてI信号を出力し、前記第2のLPFは、第2の乗算器の出力に接続されて、IF信号としてQ信号を出力しても良い。
また、この発明にかかるイメージ抑圧受信機は、第2のイメージ抑圧回路は、I信号またはQ信号のみを出力してもよい。
本発明にかかるイメージ抑圧受信機によれば、希望波信号をそのまま入力する第2のイメージ抑圧回路と、希望波信号のI信号と、Q信号の経路を入れ替えた信号を入力する第1のイメージ抑圧回路とを備え、2つのイメージ抑圧回路の両出力の信号強度の比が、最大となるように、すなわち両出力の出力レベルの差が、最大となるように、I信号と、Q信号との信号間誤差を調整することにより、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を得ることができる。
また、上記2つのイメージ抑圧回路の両出力の信号強度の比が、最大となるように、すなわち両出力の出力レベルの差が、最大となるように、I信号と、Q信号の位相を調整することにより、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を得ることができる。
また、上記2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が、最大となるように、すなわち両出力の出力レベルの差が、最大となるように、PLLのLOI信号と、LOQ信号との振幅を調整することにより、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を得ることができる。
また、ADコンバータの前に、可変利得増幅器を設け、その利得を制御して、2つのイメージ抑圧回路の両出力の信号強度の比が、最大となるように、すなわち両出力の出力レベルの差が、最大となるように、I信号と、Q信号との位相を調整することにより、ADコンバータのビット精度が低い場合であっても、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図において、従来技術におけると同様の機能を有する構成要素については、従来技術と同じ符号を付してその説明を省略する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1によるイメージ抑圧受信機を、図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態1のイメージ抑圧受信機101のブロック構成を示す図である。
本実施の形態1のイメージ抑圧受信機101の従来例との相違は、イメージ抑圧回路6−1の前に、IQ経路切り替え回路11と、位相調整回路12を有し、更に、第1、第2の乗算器3−1,3−2のI信号、Q信号の出力をそのまま入力する第2のイメージ抑圧回路6−2と、第2のイメージ抑圧回路6−2のアナログ出力を、デジタル信号に変換するADC9−2を有することである。
ADC9−2でデジタルデータに変換された信号は、デジタル信号処理回路10で信号処理される。
位相調整回路12は、I信号用と、Q信号用の位相調整回路で構成され、I信号用,Q信号用の各位相調整回路は、例えば、図6(a)に示すように、抵抗R1と容量C1で構成され、位相制御信号で、抵抗R1の値を制御して、位相調整を行う。
経路切り替え回路11は、デジタル信号処理回路10から経路切り替え信号で制御される。図11は経路切り替え回路11の構成の一例を示す図である。図11において、111,112は、経路切り替え信号によって入力信号の出力先を切り換えるスイッチ素子である。スイッチ素子111が、端子aを選択するときは、スイッチ素子112は、端子cを選択し、スイッチ素子111が、端子bを選択するときは、スイッチ素子112は、端子dを選択するように動作する。
IQ位相調整回路12は、デジタル信号処理回路10から位相制御信号で制御される。イメージ抑圧回路6−2には、I信号とQ信号が入力される。位相調整回路12は、I信号とQ信号の位相を10°調整する。ここで、RF信号の周波数は、例えば、1GHzで、LOI信号とLOQ信号は999MHz、IF信号は1MHzとする。
次に、動作について説明する。
本実施の形態1のイメージ抑圧受信機101において、まず、RF信号として希望波信号が入力される。この時、I信号とQ信号の信号間誤差を調整するために、IQ経路切り替え回路11でI信号と、Q信号の経路を入れ替える。すると、入力信号が希望波信号でありながら、第1のイメージ抑圧回路6−1では、イメージ信号として認識され、信号が抑圧されて出力される。
一方、第2のイメージ抑圧回路6−2からは、入力信号が希望波信号として認識されるため、そのまま出力される。ここで、RF信号の入力レベルを、−80dBmとし、LNA2と乗算器3−1,3−2の合計の利得を、40dBとする。すると、イメージ抑圧回路6−1,6−2の入力では、I信号、Q信号ともに、−40dBmの入力レベルとなる。ここで、I信号と、Q信号の位相誤差=4°、振幅誤差=0dB、とすると、イメージ抑圧回路6−1からは、−60dBmの信号が出力され、イメージ抑圧回路6−2からは、−34dBmの信号が出力される。これらの信号を、ADコンバータ9−1,9−2でデジタル信号に変換し、信号レベルの検出、及び強度の比較を、デジタル信号処理回路10で行う。この場合、信号強度の差は、26dBが検出される。ここで、位相調整信号によりIQ位相調整回路12でI信号、Q信号の位相を調整し、信号強度の差が最大となるまで調整を行う。すると、位相調整が4°で、信号強度比が最大となり、調整を完了する。
調整が完了すると、IQ経路切り替え回路11のI信号と、Q信号の経路を元に戻し、通常の信号の受信を行う。すると、イメージ抑圧回路6−1では、希望波信号に対してはそのまま通過し、イメージ周波数の信号に対しては十分抑圧を行うことができ、高精度なイメージ抑圧受信機1を得ることができる。この通常動作時においては、イメージ抑圧回路6−2と、ADC9−2は、低消費電力化のために動作を停止してもよい。
なお、I信号と、Q信号の誤差調整は、例えば、受信機の起動時に一回行い、その時得られた補正データをメモリに保存し、2回目以降はその値を使用することにより、誤差調整を省略することができる。また、出荷時に誤差調整を行い、その結果をフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに記憶し、通常使用時はメモリに記憶された補正値を使用することにより、誤差調整を省略することができる。このようにして、I信号と、Q信号の間の誤差を調整し、イメージ抑圧回路の高精度化を図り、高性能なイメージ抑圧受信機101を得ることができる。
このような本実施の形態1のイメージ抑圧受信機101によれば、イメージ抑圧回路6−1の前に、IQ経路切り替え回路11と、位相調整回路12を有し、更に、前記第1、第2の乗算器3−1,3−2のI信号,Q信号の出力をそのまま入力する第2のイメージ抑圧回路6‐2と、第2のイメージ抑圧回路6−2のアナログ出力をデジタル信号に変換するADC9−2とを有するものとしたので、希望波信号に対してI信号と、Q信号の信号間誤差を調整するために、I信号と、Q信号の経路を入れ替え、第1のイメージ抑圧回路6−1では、希望波信号をイメージ信号として認識して信号の抑圧を行い、一方、第2のイメージ抑圧回路6−2では、入力信号をそのまま希望波信号として認識、出力し、かつこの際、IQ位相調整回路12でI信号、Q信号の位相を調整し、2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が、最大となるまで調整を行うようにしたので、イメージ抑圧特性の優れた、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2によるイメージ抑圧受信機を、図2について説明する。
本発明の実施の形態2によるイメージ抑圧受信機102の、上記実施の形態1のイメージ抑圧受信機101との相違は、図1に示される位相調整回路12に代えて、振幅調整回路13を備え、これに振幅制御信号を与えて、I信号と、Q信号の振幅を調整することである。
図2に示される本実施の形態2におけるイメージ抑圧受信機102において、該振幅調整回路13は、I信号用と、Q信号用の振幅調整回路で構成され、I信号用,Q信号用の各振幅調整回路は、例えば、図6(b)に示すように、抵抗R1と、抵抗R0で構成され、振幅制御信号で抵抗R1の値を制御して、振幅調整を行う。振幅調整回路13は、I信号と、Q信号の振幅を、1.0dB調整する。イメージ抑圧受信機1は、CMOSプロセスで同一の半導体基板上で実現される。
次に動作について説明する。
RF信号に、希望波信号が入力される。I信号と、Q信号の信号間誤差を調整するために、IQ経路切り替え回路11で、I信号と、Q信号の経路を入れ替える。すると、イメージ抑圧回路6−1からは、希望波信号の入力でありながら、イメージ信号として認識され、抑圧された信号が出力される。
一方、第2のイメージ抑圧回路6−2からは、入力信号が希望波信号として認識され、そのまま出力される。ここで、RF信号の入力レベルを−80dBmとし、LNA2と、乗算器3−1,3−2の合計の利得を、40dBとする。すると、イメージ抑圧回路6−1,6−2の入力では、I信号、Q信号ともに、−40dBmの入力レベルとなる。ここで、I信号と、Q信号の位相誤差=0°、振幅誤差=0.5dBとすると、イメージ抑圧回路6−1からは、−65dBmの信号が出力され、イメージ抑圧回路6−2からは、−34dBmの信号が出力される。これらの信号を、ADコンバータ9−1,9−2でデジタル信号に変換し、信号レベルの検出、及び強度の比較を、デジタル信号処理回路10で行う。この場合、信号強度の差は31dBが検出される。ここで、振幅調整信号により振幅調整回路13でI信号、Q信号の振幅を調整し、信号強度の差が最大となるまで調整を行う。すると、振幅調整が0.5dBで、信号強度比が最大となり、調整を完了する。
調整が完了すると、IQ経路切り替え回路11のI信号と、Q信号の経路を元に戻し、通常の信号の受信を行う。すると、イメージ抑圧回路6−1では、希望波信号に対してはそのままで、イメージ周波数の信号に対しては十分抑圧を行うことができ、高精度なイメージ抑圧受信機を得ることができる。この通常動作時には、イメージ抑圧回路6−2と、ADC9−2は、低消費電力化のために動作を停止してもよい。
なお、I信号と、Q信号の誤差調整は、例えば、受信機の起動時に一回行い、その時得られた補正データをメモリに保存し、2回目以降はその値を使用することにより、誤差調整を省略することができる。また、出荷時に誤差調整を行い、その結果をフラッシュメモリなどの不揮発性メモリに記憶し、通常使用時はメモリに記憶された補正値を使用することにより、誤差調整を省略することができる。このようにして、I信号と、Q信号の誤差を調整し、イメージ抑圧回路の高精度化を図り、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
このような本実施の形態2のイメージ抑圧受信機102によれば、上記実施の形態1のイメージ抑圧受信機101における位相調整回路12に代えて、振幅調整回路13を備え、実施の形態1におけると同様に、希望波信号に対してI信号と、Q信号の信号間誤差を調整するために、IQ経路切り替え回路11でI信号と、Q信号の経路を入れ替え、第1のイメージ抑圧回路6−1では希望波信号をイメージ信号として認識して信号の抑圧を行い、一方、第2のイメージ抑圧回路6−2では入力信号をそのまま希望波信号として認識、出力し、かつこの際、振幅調整回路13で、2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が最大となるように、I信号とQ信号の振幅を調整するようにしたので、イメージ抑圧特性の優れた、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3によるイメージ抑圧受信機を、図3を用いて説明する。
本発明の実施の形態3によるイメージ抑圧受信機103の、上記実施の形態1のイメージ抑圧受信機101との相違は、図1において位相調整をIF信号であるI信号と、Q信号で行っていたのを、図3に示すように、PLL4のLO信号であるLOQ信号と、LOI信号の位相を、位相調整回路120で調整するようにした点である。このように、PLL4のLO信号であるLOQ信号と、LOI信号の位相を調整することによっても、I信号と、Q信号の位相の調整を行うことができ、実施の形態1と同様に、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
このような本実施の形態3によるイメージ抑圧受信機103によれば、位相調整を、PLL4のLO信号であるLOQ信号と、LOI信号の位相を、位相調整回路120で調整することにより行うものであり、このような構成によっても、I信号と、Q信号の位相の調整を行って、実施の形態1と同様に、イメージ抑圧特性の優れた、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4によるイメージ抑圧受信機を、図4を用いて説明する。
本発明の実施の形態4によるイメージ抑圧受信機104の、上記実施の形態1のイメージ抑圧受信機101との相違は、前記ADC9−1の前に、さらに、信号を増幅する可変利得増幅器14を備えることである。該可変利得増幅器14は、デジタル信号処理回路10からのゲイン制御信号により、Highゲインと、Lowゲインに設定される。
次に動作について説明する。
本実施の形態4のイメージ抑圧受信機104において、まず、RF信号に希望波信号が入力される。I信号と、Q信号の信号間誤差を調整するために、経路切り替え回路11でI信号と、Q信号の経路を入れ替える。また、ゲイン制御信号により、可変利得増幅器14のゲインは、Highゲインに設定される。
第1のイメージ抑圧回路6−1では、希望波信号の入力でありながらイメージ信号として認識され、信号が抑圧される。そして、可変利得増幅器14を通過して、ADC9−1に入力される。
一方、第2のイメージ抑圧回路6−2からは、入力信号が希望波信号として認識されるため、そのまま出力される。ここで、RF信号の入力レベルを−80dBmとし、LNA2と乗算器3−1,3−2の合計の利得を、40dB、可変利得増幅器のHighゲインを、20dB、Lowゲインを、0dBとする。すると、イメージ抑圧回路6−1,6−2の入力では、I信号、Q信号ともに、−40dBmの入力レベルとなる。ここで、I信号と、Q信号の位相誤差=4°、振幅誤差=0dB、とすると、第1のイメージ抑圧回路6−1からは、−40dBmの信号が出力され、第2のイメージ抑圧回路6−2からは、−34dBmの信号が出力される。これらの信号を、ADコンバータ9−1,9−2でデジタル信号に変換し、信号レベルの検出、及び強度の比較を、デジタル信号処理回路10で行う。この時、可変利得増幅器14で信号が増幅されているため、ADコンバータ9−1のダイナミックレンジを、上記実施の形態1より小さくできる。この場合、信号強度の差は、6dBが検出される。ここで、位相調整信号によりIQ位相調整回路12で、I信号、Q信号の位相を調整し、信号強度の差が最大となるまで、調整を行う。すると、位相調整が4°で、信号強度比が最大となり、調整を完了する。
調整が完了すると、IQ経路切り替え回路のI信号と、Q信号の経路を元に戻し、可変利得増幅器14のゲインを、Lowゲインにし、通常の信号の受信を行う。こうすることにより、ADC9−1のダイナミックレンジを、上記実施の形態1より小さくでき、希望波信号に対しては減衰なく通過し、イメージ周波数の信号に対しては抑圧することのできる、高精度なイメージ抑圧受信機104を得ることができる。
このような本実施の形態4によるイメージ抑圧受信機104によれば、上記実施の形態1の構成において、ADコンバータ9−1の前に、信号を増幅する可変利得増幅器14を設け、これをゲイン制御信号によりHighゲイン、あるいはLowゲインに設定するようにしたので、上記実施の形態1におけるように、2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が最大となるように、I信号とQ信号の位相を調整することにより、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を構成できるとともに、ADコンバータ9−1のダイナミックレンジを、実施の形態1より小さくでき、ADコンバータのビット精度が低くても、イメージ抑圧特性の優れた、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を、簡易に得ることができる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5によるイメージ抑圧受信機を、図5を用いて説明する。
本発明の実施の形態5によるイメージ抑圧受信機105の、上記実施の形態1のイメージ抑圧受信機101との相違は、ADC9−1,9−2の前に、さらに、信号を増幅する可変利得増幅器14−1,14−2を備えることである。可変利得増幅器14−1,14−2は、ADコンバータ9−1,9−2の入力での信号レベルが所定のレベルになるように、デジタル信号処理回路10で利得を制御される。こうすることにより、RF信号の信号レベルが変動しても、該可変利得増幅器14−1,14−2で信号レベルを一定に調整することにより、ADC9−1,9−2のビット精度を低くすることができる。
次に動作について説明する。
本実施の形態5のイメージ抑圧受信機105において、まず、RF信号に希望波信号が入力される。そして、I信号と、Q信号の信号間誤差を調整するために、IQ経路切り替え回路11でI信号と、Q信号の経路を入れ替える。すると、第1のイメージ抑圧回路6−1では、希望波信号の入力でありながら、イメージ信号として認識され、信号が抑圧される。すると、デジタル信号処理回路10で、信号レベルが基準レベルに達していないと判断され、可変利得増幅器14−1の利得は大きくするように調整される。ここで、RF信号の入力レベルを、−80dBmとし、LNA2と、乗算器3−1、3−2の合計の利得を、40dBとする。すると、イメージ抑圧回路6−1,6−2の入力では、I信号、Q信号ともに、−40dBmの入力レベルとなる。ここで、I信号と、Q信号の位相誤差=4°、振幅誤差=0dB、とすると、第1のイメージ抑圧回路6−1からは、−60dBmの信号が出力され、第2のイメージ抑圧回路6−2からは、−34dBmの信号が出力される。デジタル信号処理回路10での信号レベルの基準レベルを、−10dBmとすると、可変利得増幅回路14−1のゲインは、50dB、可変利得増幅器14−2のゲインは、24dBとなる。ここで、位相調整信号によりIQ位相調整回路12でI信号、Q信号の位相を調整し、可変利得増幅器14−1と、14−2の利得の差が最大となるまで調整を行う。すると、位相調整が4°で利得の比が最大となり、調整を完了する。
調整が完了すると、IQ経路切り替え回路11のI信号と、Q信号の経路を元に戻し、通常の信号の受信を行う。こうすることにより、第1のイメージ抑圧回路6−1では、希望波信号に対してはそのまま信号損失無く通過し、第2のイメージ抑圧回路6−2では、イメージ周波数の信号に対して十分に抑圧を行うことにより、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を得ることができる。
このような本実施の形態5のイメージ抑圧受信機105によれば、上記実施の形態1の構成において、ADコンバータ9−1,9−2の前に、信号を増幅する可変利得増幅器14−1、14−2を設け、該可変利得増幅器14−1,14−2を、該ADコンバータ9−1,9−2の入力での信号レベルが所定のレベルになるように、その利得制御をするようにしたので、上記実施の形態1におけるように、2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が最大となるようにI信号とQ信号の位相を調整することにより、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を構成できるとともに、RF信号の信号レベルの変動に対しても、ADコンバータのビット精度を低くでき、イメージ抑圧特性の優れた、高精度で、高性能なイメージ抑圧受信機を、簡易に得ることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態1から実施の形態5で示した、RF周波数やLO周波数、IF周波数、LNA2や乗算器3、可変利得増幅器のゲイン、イメージ抑圧回路6等の具体例に限定されるものではない。LNA2は、感度に問題がなければ不要である。イメージ抑圧回路6は、I信号とQ信号の入力からイメージ周波数成分を抑制するものであればなんでもよい。例えば、イメージ抑圧回路6として、複素フィルタでもよい。イメージ抑圧回路が複素フィルタの場合は、複素フィルタで不要な信号を除去するため、LPF5−1,5−2は不要となる。また、経路切換え回路11は、I信号と、Q信号を入れ替えたが、I信号と、Q信号がそれぞれ差動信号の場合、片側の差動信号の極性を入れ替えるようにしてもよい。
また、実施の形態1では、位相調整回路12によりI信号とQ信号の位相を調整したが、これに加えて、更に振幅調整回路13を設け、振幅制御信号によりI信号と、Q信号の振幅を調整してもよい。この時、位相調整をした後に振幅調整してもよいし、あるいはその逆としてもよい。
また、経路切換え回路11の後に位相調整回路12を設けたが、先に振幅調整回路13を設けてもよい。また、位相調整回路12と、振幅調整回路13は、I信号と、Q信号の、位相または振幅の調整ができれば、どこに配置してもよい。
また、経路切換え回路11は、イメージ抑圧回路6−1で、希望波信号でありながら経路を切り替えることにより、イメージ信号と認識して抑圧され、イメージ抑圧回路6−2で、希望波として認識されるならば、どこに配置してもよい。
また、位相調整回路12は、抵抗R1と容量C1で構成し、抵抗R1を可変としたが、容量C1を可変にしてもよい。
また、位相調整回路12と、振幅調整回路13の具体例の構成は、本発明において本質的なものではなく、それぞれ、位相の制御、振幅の制御ができれば、どのような構成のものであってもよい。
また、以上では、CMOSプロセスで、イメージ抑圧受信機を実現する例を示したが、これは、BiCMOSプロセスや、Bipolarプロセスで実現してもよく、同等の効果が得られることは明らかである。
要は、2つのイメージ抑圧回路を備え、一方では、希望波の入力に対しI信号と、Q信号を入れ変えることにより、希望波の入力でありながらイメージ信号と認識させ信号を抑圧し、他方では、希望波として損失無く通過させ、それぞれのイメージ抑圧回路の出力レベルの比が最大となるようにI信号と、Q信号の位相または振幅の補正をするイメージ抑圧受信機を構成するものであればよい。
本発明にかかるイメージ抑圧受信機は、2つのイメージ抑圧回路の出力の信号強度の比が最大となるようにI信号とQ信号の位相を調整し、イメージ抑圧特性の優れたイメージ抑圧受信機を得ることができるものであり、無線通信の受信回路において有用である。
図1は、本発明の実施の形態1によるイメージ抑圧受信機を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態2によるイメージ抑圧受信機を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態3によるイメージ抑圧受信機を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態4によるイメージ抑圧受信機を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態5によるイメージ抑圧受信機を示す図である。 図6(a)は、本発明の実施の形態1における位相調整回路12の構成の一例を示す図である。図6(b)は、本発明の実施の形態2における振幅調整回路13の構成の一例を示す図である。 図7は、従来のイメージ抑圧受信機を示す図である。 図8は、上記従来例におけるイメージ信号が入力した場合のI信号と、Q信号の関係を示す図である。 図9は、上記従来例におけるイメージ抑圧回路の周波数特性を示す図である。 図10は、上記従来例における異なる振幅誤差での位相誤差に対するイメージ抑圧比(IRR)を示す図である。 図11は、上記実施の形態1における経路切り替え回路11の構成の一例を示す図である。
符号の説明
100,101,102,103,104,105 イメージ抑圧受信機
2 LNA
3−1,3−2 乗算器
4 PLL
5−1,5−2 LPF
6,6−1,6−2 イメージ抑圧回路
7 位相器
8 加算器
9,9−1,9−2 ADC
10 デジタル信号処理回路
11 経路切換え回路
12 位相調整回路
13 振幅調整回路
14,14−1,14−2 可変利得増幅器

Claims (18)

  1. 入力されるRF信号を低雑音増幅する低雑音増幅器と、
    前記低雑音増幅器の出力と、PLLで生成されたI用ローカル信号であるLOI信号、および該I用ローカル信号と振幅が同一で位相が90°シフトしているQ用ローカル信号であるLOQ信号とを、それぞれ乗算し、IF信号として、それぞれI信号およびQ信号を出力する第1および第2の乗算器と、
    前記第1、第2の乗算器のI信号、Q信号の各出力のうちから、低域周波数成分のみを取り出す第1および第2の低域通過フィルタと、
    前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である2つの出力が入力され、前記I信号の信号経路と、前記Q信号の信号経路とを切換えて出力する経路切り替え回路と、
    該経路切り替え回路の出力がそのまま入力され、前記I信号と、Q信号間の誤差を調整するIQ信号調整回路と、
    前記IQ信号調整回路の出力に対して、イメージ抑圧を行う第1のイメージ抑圧回路と、
    前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である2つの出力がそのまま入力され、これらに対してイメージ抑圧を行う第2のイメージ抑圧回路と、
    該第1および第2のイメージ抑圧回路の出力を、それぞれA/D変換する第1および第2のA/D変換回路と、
    該第1および第2のA/D変換回路の出力に対しデジタル信号処理を行い、デジタル処理信号を出力するデジタル信号処理回路と、を備え、
    前記IQ信号調整回路は、前記第1及び第2のイメージ抑圧回路の出力レベルの差が最大となるように、I信号と、Q信号との信号間誤差を調整する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  2. 入力されるRF信号を低雑音増幅する低雑音増幅器と、
    前記低雑音増幅器の出力と、PLLで生成されたI用ローカル信号であるLOI信号、および該I用ローカル信号と振幅が同一で位相が90°シフトしているQ用ローカル信号であるLOQ信号とを、それぞれ乗算し、IF信号として、それぞれI信号およびQ信号を出力する第1および第2の乗算器と、
    前記第1、第2の乗算器のI信号、Q信号の各出力のうちから、低域周波数成分のみを取り出す第1、第2の低域通過フィルタと、
    前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である2つの出力が入力され、前記I信号の信号経路と、前記Q信号の信号経路とを切換えて出力する経路切り替え回路と、
    該経路切り替え回路の出力がそのまま入力され、前記I信号と、Q信号間の誤差を調整するIQ信号調整回路と、
    前記IQ信号調整回路の出力に対して、イメージ抑圧を行う第1のイメージ抑圧回路と、
    前記第1および第2の低域通過フィルタの出力である2つの出力がそのまま入力され、これらに対してイメージ抑圧を行う第2のイメージ抑圧回路と、
    該第1および第2のイメージ抑圧回路の出力を、それぞれA/D変換する第1および第2のA/D変換回路と、
    該第1および第2のA/D変換回路の出力に対しデジタル信号処理を行い、デジタル処理信号を出力するデジタル信号処理回路と、を備え、
    前記IQ信号調整回路は、前記第1及び第2のイメージ抑圧回路の出力レベルの差が最大となるように、LOI信号と、LOQ信号との信号間誤差を調整する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  3. 請求項1または請求項2に記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記IQ信号調整回路は、I信号とQ信号の位相を調整する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  4. 請求項1または請求項2に記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記IQ信号調整回路は、I信号とQ信号の振幅を調整する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  5. 請求項1または請求項2に記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記RF信号は、100MHz以上である、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  6. 請求項1または請求項2に記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記LO信号と前記IF信号の比は、100以上である、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  7. 請求項1または請求項2に記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記イメージ抑圧回路は、位相器と、加算器とで構成され、
    前記位相器は、I信号の位相を90°遅らせて出力し、
    前記加算器は、前記位相器の出力と、Q信号とを加算して出力する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  8. 請求項1または請求項2に記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記イメージ抑圧回路は、複素フィルタよりなる、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  9. 請求項3記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記IQ信号調整回路は、抵抗と容量で構成され、前記抵抗の値を調整することにより前記I信号とQ信号の位相を調整する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  10. 請求項3記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記IQ信号調整回路は、抵抗と容量で構成され、該容量の値を調整することにより前記I信号とQ信号の移相量を調整する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  11. 請求項4記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記IQ信号調整回路は、第1の抵抗と、第2の抵抗が、入力とAC的なグランドとの間に直列に接続され、前記第1の抵抗と第2の抵抗の接続点を出力とし、前記第2の抵抗の値を調整することにより前記I信号とQ信号の振幅を調整する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  12. 前記請求項1または2に記載のイメージ抑圧受信機であって、
    CMOSプロセスで実現される、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  13. 前記請求項1または2に記載のイメージ抑圧受信機であって、
    前記第1のイメージ抑圧回路と、前記第1のADコンバータとの間に、第1の可変利得増幅器を、さらに有する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  14. 請求項13に記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記第1の可変利得増幅器は、IQ信号の調整時に、LowゲインからHighゲインとなる、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  15. 請求項1または請求項2に記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記第2のイメージ抑圧回路と、前記第2のADコンバータとの間に、第2の可変利得増幅器を、さらに有する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  16. 請求項13または請求項15に記載のイメージ抑圧受信機において、
    前記第1及び第2の可変利得増幅器は、前記第1及び第2のADコンバータによりデジタル信号に変換された信号の信号強度が、それぞれ所定の値になるように制御される、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  17. 請求項1または請求項2に記載のイメージ抑圧受信機であって、
    第1のLPFと、第2のLPFを、さらに備え、
    前記第1のLPFは、第1の乗算器の出力に接続されて、IF信号としてI信号を出力し、
    前記第2のLPFは、第2の乗算器の出力に接続されて、IF信号としてQ信号を出力する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
  18. 請求項1または請求項2に記載のイメージ抑圧受信機であって、
    前記第2のイメージ抑圧回路は、I信号またはQ信号のみを出力する、
    ことを特徴とするイメージ抑圧受信機。
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