JPWO2007046153A1 - 電気的接続装置の組み立て方法 - Google Patents
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Description
したがって、多数のプローブが設けられたプローブ基板の製造時に、該プローブ基板に曲がり変形が生じても、該プローブ基板の前記支持部材への組み付け後の前記した調整作業により、プローブ基板を平坦に保持することができることから、該プローブ基板から伸長する多数のプローブの先端を同一平面上に保持することができる。これにより、全ての前記プローブの先端を被検査体の電気回路の前記各プローブに対応する電気接続端子に確実に接触させることができることから、この両者間に良好な電気的接触を得ることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の前記した従来技術によれば、プローブ基板の支持部材への組み付け時毎に、各プローブ基板に導入された曲がり変形に応じて、全てのプローブ先端が同一平面上に位置するように調整する必要がある。プローブ基板を支持部材に組み付けた状態で、その全てのプローブの先端が被検査体の前記した対応する各電気接続端子に適正に接触するように調整する作業は繁雑であり、熟練を要する。特に、半導体ウエハ上に形成された多数の集積回路の検査では、プローブ組立体のプローブ数が著しく増大することから、このような多数のプローブが半導体ウエハ上の対応する各パッドに適正に接触するように、調整する作業は容易ではない。
そこで、出願人は、先の国際特許出願(PCT/JP2005/009812)で、プローブ基板の変形に拘わらず支持部材への組み付け後におけるプローブ基板の平坦化調整作業を不要とし、プローブと被検査体の電気回路の対応する電気接続端子との確実な電気的接続を得ることができる電気的接続装置を提案した。
この電気的接続装置では、負荷を受けない自由状態で曲がり変形を生じたプローブ基板に、先端が同一面上に揃うように、プローブが形成されている。支持部材の取付け面と前記プローブ基板との間には取付けボルトの挿通を許すスペーサが配置され、このスペーサは、取付けボルトの締め付け時、プローブ基板の前記した変形を保持する作用をなす。そのため、プローブ基板は前記した変形を維持した状態で前記支持部材の基準面に取り付けられることから、全てのプローブの先端が同一平面上に位置する。
したがって、プローブ基板の前記支持部材への取付け後、従来のようなプローブ基板を平坦化するための調整作業を行うことなく、全てのプローブの先端を被検査体である電気回路の各電気接続端子にほぼ均等に押し付けることができる。これにより、プローブ組立体の取り替え毎においても、従来のような前記した煩わしい平坦化調整作業が不要となり、効率的な電気的検査が可能となる。
しかしながら、この種のスペーサの長さ寸法は、その製造時の許容誤差である加工公差を含む。また、スペーサの端面を受ける支持部材あるいはプローブ基板の各当接部位にも、それぞれの加工公差が含まれる。そのため、各加工公差内で製造された支持部材、スペーサおよびプローブ基板を含む電気的接続装置を組み立てても、各部材の加工公差の相乗効果によって、プローブ先端の高さ位置に所定の公差を超えるばらつきを生じることがある。
このばらつきを抑制するには、支持部材、該支持部材の取付け面に一端が当接するスペーサおよび該スペーサの他端が当接するプローブ基板の各加工公差を小さくすることが考えられる。ところが、各構成部材の加工公差を小さくするためにそれぞれの加工精度を高めることは、それらの原価を押し上げることから、電気的接続装置の高価格化を招く。
前記支持部材は、その寸法が加工公差内の寸法に収まるように加工されているが、この支持部材の各当接部位の実際の寸法は加工公差内でのばらつきが許されていることから、該各当接部位の高さレベルは、一般的には、加工公差内でばらつきを生じている。これと同様に、前記プローブ基板の前記各当接部位のレベルにも、その加工公差内でのばらつきが生じている。また、前記各スペーサの長さ寸法にも、その加工公差内でのばらつきが生じている。
本発明に係る前記組み立て方法では、前記各スペーサの両端がそれぞれ当接する前記支持部材およびプローブ基板の少なくともいずれか一方の各当接部位の高さが測定され、また前記各スペーサの長さ寸法が測定される。
この測定により、前記各スペーサの実際の長さと、該スペーサの端部を受ける前記支持部材またはプローブ基板の前記各当接部位の実際の高さレベルを知ることができるので、該当接部位の誤差とスペーサの誤差とが相互に打ち消し合い、あるいはそれらの誤差の影響を低減し得るような組み合わせとなるように、前記支持部材およびプローブ基板間で対をなす両当接部位間毎に最適な前記スペーサを選択することができる。
このスペーサの選択によって、プローブの先端のばらつきを抑制するのに最適な組み合わせとなるように、前記各両当接部位間と、該当接部位間に対応するスペーサとを組み合わせることができることから、前記支持部材または前記プローブ基板の加工公差と、スペーサの加工公差との変更を招くことなく、プローブの先端のばらつきを抑制することができる。
しかも、前記した組み合わせは、実測値によって得られるデータに基づいてなされることから、従来の調整のような感に基づく熟練を必要とすることなく、比較的容易に最適な組み合わせを見出すことができるので、容易かつ確実にプローブ先端のばらつきを抑制することができる。
また、前記支持部材および前記プローブ基板のいずれか一方の前記当接部位の高さ測定に加えて、その他方の前記当接部位の高さ測定を行い、互いに対をなす両当接部位のそれぞれの測定の結果およびスペーサの測定結果である3つの測定結果を用いて前記組み合わせを決めることにより、前記支持部材および前記プローブ基板の各加工公差と、スペーサの加工公差とを考慮することができるので、プローブの先端のばらつきをより効果的に抑制することができる。
前記当接部位の高さ測定として、該当接部位の基準高さレベルと前記各当接部位の高さレベルとの差を測定することができる。この場合、前記支持部材および前記プローブ基板の両者の当接部位の高さ測定には、前記支持部材および前記プローブ基板のそれぞれに個別の基準高さレベルが採用される。また、前記スペーサの長さ測定として、該スペーサの基準長と前記各スペーサ長との差を測定することができる。これらの測定には、例えば、レーザ光を用いたレーザ測定装置あるいは自動焦点機能を有するCCDカメラを利用した自動測定装置等を用いることができる。
前記支持部材を貫通しかつ前記スペーサを貫通する複数のねじ部材が前記電気接続装置に設けられ、前記プローブ基板の前記一方の面に、前記各ねじ部材の先端部に螺合するねじ穴がそれぞれの頂部に開放しかつ予めすべての頂面が加工公差内の高さ位置にあるように研削加工を受けた複数のアンカー部が前記プローブ基板の前記当接部位として形成される場合、本発明に係る前記方法における前記プローブ基板についての前記当接部位の高さの測定として、前記アンカー部の頂面の基準面と前記頂面との差が測定され、少なくとも前記アンカー部および前記スペーサについての前記各測定値に基づいて、前記プローブの前記先端を同一面上に保持するに適した前記スペーサを前記両当接部位の間毎に選択することができる。
この選択によって、プローブの先端のばらつきを抑制するのに最適な組み合わせとなるように、前記各アンカー部と、該アンカー部の頂面に対応する前記スペーサとを組み合わせることができるので、前記プローブ基板のアンカー部の加工公差およびスペーサの加工公差の変更を招くことなく、プローブの先端のばらつきを抑制することができる。
前記プローブ基板が、負荷を受けない自由状態で曲がり変形を生じた平板状のプローブ基板であり、該プローブ基板の前記他方の面に設けられた前記プローブは前記プローブ基板が前記変形を保持した状態で前記先端が同一面上に保持されている場合、前記支持部材および前記プローブ基板における前記両当接部位間とこれに対応する前記スペーサとの組み合わせは、前記プローブ基板の曲がり変形を保持するのに最適な組み合わせとなるように、選択することができる。この選択基準を採用することにより、プローブ基板にたとえ曲がり変形が生じていても、スペーサおよび支持部材の加工公差に変更をまねくことなく、プローブ先端のばらつきを抑制することができる。
また、前記プローブ基板がその変形を保持した状態で、前記プローブの先端が加工公差内で同一面上に位置するように研削加工を受けている場合、前記支持部材における前記各当接部位と該当接部位に対応する前記スペーサとの組み合わせは、前記プローブの前記先端の公差内でのばらつきを抑制するのに最適な組み合わせとなるように、選択することができる。この選択基準を採用することにより、スペーサおよび支持部材の加工公差に変更をまねくことなく、プローブ先端の公差内でのばらつきを抑制することができる。
前記支持基板と前記プローブ基板との間に、前記テスタに接続される回路を有しかつ前記ねじ部材の挿通を許す貫通孔を有する配線基板が配置され、該配線基板と前記プローブ基板間には、前記ねじ部材の挿通を許す貫通孔を有し前記配線基板の前記回路と前記プローブ基板の前記各プローブとを接続する接続器が配置された電気的接続装置では、本発明に係る前記方法によれば、前記ねじ部材が前記配線基板および前記接続器の前記各貫通孔を挿通して配置され、前記ねじ部材に関連して前記スペーサが前記各貫通孔内に挿入された後、前記ねじ部材の前記アンカー部への締め付けにより、前記プローブ基板を前記支持基板に結合することができる。
また、前記した両当接部位間とスペーサとの組み合わせは、実測値によって得られるデータに基づいてなされることから、従来の調整のような感に基づく熟練を必要とすることなく、比較的容易に最適な組み合わせを見出すことができるので、容易かつ確実にプローブ先端のばらつきを抑制することができる。
図2は、図1に示した電気的接続装置の要部を分解して示す縦断面図である。
図3は、図2に示した電気的接続装置の要部を組み立てた図1と同様な図面である。
図4は、本発明に係る電気的接続装置の支持部材、スペーサおよびプローブ基板の加工公差を示す説明図である。
電気的接続装置10は、図示しないが、従来よく知られているように、例えば半導体ウエハに作り込まれた多数のIC回路の電気的検査のために、該IC回路の接続端子である各接続パッドをテスタの電気回路に接続するのに用いられる。
図2は、図1に示した電気的接続装置10からベースリング20、固定リング22および熱変形抑制部材24等の補助部品を除いた本発明の要部を分解して示す。図2を参照するに、配線基板14は、全体的に円形板状の例えばポリイミド樹脂板からなり、その下面14aには、前記テスタの前記電気回路に接続される従来よく知られた多数の接続端子(図示せず)が矩形マトリクス状に配列されている。
支持部材12は、その取付け面12aを配線基板14の上面14bに当接させて配置される例えばステンレス板からなる板状の枠部材からなる。図1に示した熱変形抑制部材24は、支持部材12の上面12bにおける周縁部を覆って配置される環状部材からなり、例えばアルミニウムのような金属材料で構成されている。この熱変形抑制部材24は、前記IC回路のような被検査体の例えばバーンインテスト下で、支持部材12がその取付け面12aおよび上面12bとの間で大きな温度差を生じたときに生じる支持部材12の反り返りを抑制する。
支持部材12には、プローブ基板18を支持部材12に取付けるための取付けボルト28の貫通を許す貫通孔30および電気接続器16を取り付けるための取付けねじ32が螺合するねじ孔34がそれぞれ形成されている。また、配線基板14には、貫通孔30およびねじ孔34に対応する各貫通孔36、38が形成されている。この貫通孔36、38は、従来におけると同様に配線基板14の電気接続に影響を与えない領域に形成されている。また、支持部材12および配線基板14の外縁部には、ベースリング20を支持部材12に結合するための取付けボルト40(図1参照)の挿通を許すボルト穴42、44が形成されている。配線基板14のボルト穴44には、配線基板14を取付けボルト40の締め付け力から保護するための従来よく知られたスリーブ46(図1参照)が配置されている。
プローブ基板18は、図2に示すように、従来よく知られているように、例えばセラミック板からなる基板部材48と、該基板部材すなわちセラミック板の下面48aに形成された多層配線層50とを備える。多層配線層50は、図示しないが従来よく知られているように、電気絶縁性を示す例えばポリイミド樹脂材料からなる多層板と、該各多層板間に形成された配線路とを有する。多層配線層50の下面50aには、該多層配線層の前記配線路にそれぞれ電気的に接続されたプローブランド18bが形成されている。各プローブ18aの上端は、対応するプローブランド18bに接続されており、これにより、各プローブ18aは、多層配線層50の下面50aから下方へ突出するようにプローブ基板18に設けられ、対応する各プローブランド18bを経て多層配線層50の前記配線路に接続されている。
図2に示す例では、プローブ基板18(48、50)には、負荷を受けない自由状態で、うねり状の曲がり変形が生じている。このような変形は、セラミック板48の加工時に該セラミック板に導入されることがあり、プローブ基板18の下面におけるもっとも低い箇所と高い箇所との高低差が例えば数十μm〜100μmを示すことがある。このプローブ基板18の曲がり変形に拘わらず、プローブランド18bの下端はプローブ基板18の仮想平面Pに平行な平面P1に揃えられており、各プローブランド18bに接続されたプローブ18aは同一長に形成されていることから、プローブ基板18の自由状態で各プローブ18aの下端すなわち先端は、仮想平面Pに平行な平面P2上に揃えられている。
セラミック板48の上面48bには、図示しないが多層配線層50の前記配線路を経て対応する各プローブ18aに接続される電気接続部が形成されている。この電気接続部は、従来よく知られているように、配線基板14の下面14aに矩形マトリクス状に配列された前記した多数の接続端子に対応して形成されている。
セラミック板48の上面48bに形成された前記電気接続部と、該各電気接続部に対応する配線基板14の前記接続端子との間には、対応する両者を接続するために前記電気接続器16が配置されている。
電気接続器16は、図示の例では、板厚方向に形成された多数の貫通孔52が形成された電気絶縁性を示す板状部材から成るポゴピンブロック16aと、各貫通孔52内に直列的に配置され、それぞれが貫通孔52からの脱落を防止された状態で貫通孔52の軸線方向へ摺動可能に収容される一対のポゴピン16b、16bとを備える。各一対のポゴピン16b、16b間には、両ポゴピン16b、16bに相離れる方向への偏倚力を与え、両ポゴピン間の導電路となる圧縮コイルばね16cが配置されている。また、ポゴピンブロック16aには、前記貫通孔30、36に整合して取付けボルト28の貫通を許す貫通孔54および前記ねじ孔34および貫通孔38に整合して取付けねじ32を受け入れる貫通孔56が形成されている。
電気接続器16は、図1に示す電気的接続装置10の組み立て状態では、その圧縮コイルばね16cのばね力により、各一対のポゴピン16b、16bの一方のポゴピン16bが配線基板14の前記接続端子に圧接し、また他方のポゴピン16cが配線基板14の前記接続端子に対応するセラミック板48の前記電気接続部に圧接する。これにより、各プローブランド18bに設けられたプローブ18aは、配線基板14の対応する前記接続端子に確実に接続される。その結果、プローブ18aの先端が半導体ウエハに形成された前記IC回路の前記接続パッドに当接されると、該接続パッドは対応する各プローブ18a、電気接続器16および配線基板14を経て、前記テスタに接続されることから、該テスタによる前記半導体ウエハの前記電気回路の電気的検査が行える。
前記した電気的接続装置10の組み立てで、プローブ基板18を支持部材12に結合するために、プローブ基板18の上面、すなわちセラミック板48の上面48bには、アンカー部58が形成されている。このアンカー部の頂面には、支持部材12の貫通孔30、配線基板14の貫通孔36を貫通する取付けボルト28の先端部に螺合する雌ねじ穴58aが開放する。
図2に示すプローブ基板18には、前記した曲がり変形が生じており、各アンカー部58の頂面は、プローブ基板18の前記した曲がり変形を保持した状態で仮想平面Pに平行な平面P3上に揃うように、予め研削加工を受けている。また、プローブ基板18が取り付けられる支持部材12とプローブ基板18との間には、取付けボルト28の締め付けによるプローブ基板18の変形を規制し、各アンカー部58の頂面58bと支持部材12の取付け面12aとの間に所定の間隔を保持するための筒状のスペーサ60が適用されている。
このプローブ基板18の支持部材12への取付けに先立って、図3に示すように、電気接続器16の貫通孔56および配線基板14の貫通孔38を貫通しかつ支持部材12のねじ孔34に先端が螺合する取付けねじ32により、これら支持部材12、配線基板14および電気接続器16が一体的に結合される。その後、図3には図面の簡素化のために省略されているが、図1に示したように、取付けボルト40を介してベースリング20が配線基板14の下面14aに結合される。このベースリング20の結合後、図3に示すように、各取付けボルト28が支持部材12の側から該支持部材の貫通孔30および配線基板14の貫通孔36を貫通して挿通され、またそれぞれの取付けボルト28にスペーサ60が装着される。各スペーサ60は、その上端60a(図2参照)を支持部材12の取付け面12aにおける各貫通孔30の開口縁部に当接する。
各スペーサ60の装着後、各取付けボルト28の先端がプローブ基板18の対応するアンカー部58の雌ねじ穴58aに螺合され、所定の締め付け力で締め付けられる。この締め付けにより、各スペーサ60の下端60b(図2参照)が対応するアンカー部58の頂面58bに当接する。したがって、前記したように、各スペーサ60は、その下端60bが当接するプローブ基板18の当接部位であるアンカー部58の頂面58bと、その上端60aが当接する支持部材12の当接部位である取付け面12aにおける貫通孔30の開口縁部12a′(図4参照)との間隔を規定する。
取付けボルト28の締め付けによるプローブ基板18の取付け後、図1に示すように、固定リング22がベースリング20にボルト62で結合され、これにより、前記したように、固定リング22とベースリング20との間にプローブ基板18の縁部が挟持され、電気的接続装置10が組み立てられる。
本発明に係る電気的接続装置10では、前記したように、スペーサ60の上端60aおよび下端60bは支持部材12およびプローブ基板18にそれぞれ当接して配置される。また、スペーサ60と、その上端60aおよび下端60bを受ける各当接部位が形成される支持部材12およびプローブ基板18とは、それぞれの加工公差内で形成される。
そのため、図4に示すように、各スペーサ60の下端60bから上端60aまでの設計上の高さ寸法H1を例えば基準長さとすると、各スペーサ60の実長については、加工誤差Δ1として、基準長H1から±Δ1の公差a(誤差a1〜a4)が生じている。また、同様に、支持部材12については、その上面12bを基準面P4として、各当接部位である取付け面12aの貫通孔30の縁部における当接部位迄の設計上の距離すなわち当該当接部位の設計上の距離を基準高さレベルH2とすると、取付け面12aの各当接部位12a′の高さレベルには、加工誤差Δ2として、基準高さレベルH2から±Δ2の公差b(誤差b1〜b4)が生じている。さらに、プローブ基板18については、該プローブ基板の仮想平面Pに平行な各プローブ18aの下端が揃う平面P2を基準面とし、該基準面P2からアンカー部58の頂面58bまでの設計上の距離をプローブ基板18の当接部位である頂面58bの基準高さレベルH3とすると、各アンカー部58の頂面58bの高さレベルには、加工公差Δ3として、基準高さレベルH3から±Δ3の公差c(誤差c1〜c4)が生じている。なお、図4では、図面の簡素化のために、セラミック板48の前記変形が省略され、プローブ基板18(48、50)が平坦に示されている。
これらの公差は、例えば±10μmであるが、互いに対応する当接部位12a′、58bと、該当接部位間に配置されるスペーサ60との公差Δ1〜Δ3の組み合わせによっては、スペーサ60を用いたにも拘わらず、支持部材12の取付け面12aとプローブ基板18の頂面58bとの間隔に、最大、+30μm〜−30μmにも達するばらつきを生じることがあり、そのため、組み立て後の電気的接続装置10における各プローブ18aの先端が、そのばらつきの許容誤差である例えば±10μmを大きく超えてしまうことがある。
そこで、スペーサ60の実長、支持部材12の各当接部位12a′の実高およびプローブ基板18の各当接部位である頂面58bの実高がそれぞれ測定される。この測定のために、前記したスペーサ60の各誤差a1〜a4、支持部材12の各当接部位12a′における各誤差b1〜b4およびプローブ基板18の各当接部位すなわちアンカー部58の頂面58bの各誤差c1〜c4を測定することができる。
この誤差の実測には、例えば、レーザ光を用いたレーザ測定装置あるいは自動焦点機能を有するCCDカメラを利用した自動測定装置等を用いることができる。
これらの実測により、スペーサ60の各誤差a1〜a4、支持部材12の各当接部位12a′における各誤差b1〜b4およびプローブ基板18の各当接部位すなわちアンカー部58の頂面58bの各誤差c1〜c4が得られると、互いに対応する支持部材12の各当接部位12a′と、該当接部位に対応するプローブ基板18の各当接部位58bとのそれぞれの誤差の加算値(a+c、すなわちa1+c1、a2+c2、a3+c3、a4+c4、)がそれぞれ求められる。次に、この誤差の各加算値(a+b)と、各スペーサ60の誤差(c)を加算(a+b+c)したとき、それらのばらつきが最も小さくなる組み合わせとなるように、互いに対向する当接部位12a′および58b間毎に、これに配置されるスペーサ60が選択される。
このように、各誤差の加算値加算(a+b+c)のばらつきが最も小さくなるような組み合わせで、各対応する当接部位12a′および当接部位58b間にスペーサ60を組み込むことにより、前記した各プローブ18aの先端のばらつきを抑制して、許容誤差内に保持することができる。
本発明に係る電気的接続装置10の組み立て方法によれば、図2に沿って説明したように、プローブ基板18が、負荷を受けない自由状態で曲がり変形を生じた平板状のプローブ基板であり、該プローブ基板に設けられたプローブ18aの先端が、該プローブ基板の前記変形を保持した状態で同一面P2上に保持されている場合、支持部材12およびプローブ基板18における両当接部位12a′および58b間と、これに対応するスペーサ60との組み合わせは、プローブ基板18の曲がり変形を保持するのに最適な組み合わせとなるように、選択することができる。
この選択基準を採用することにより、プローブ基板18にたとえ曲がり変形が生じていても、スペーサ60、支持部材12およびプローブ基板18の加工公差Δ1〜Δ3に変更を招くことなく、プローブ先端のばらつきを抑制することができる。また、この選択は、それぞれの実測値に基づいて行うことができるので、感に頼ることなく比較的容易に行うことができる。
また、プローブ基板18がその変形を保持した状態で、プローブ18aの先端が同一面P2上に位置するように研削加工を受けている場合、支持部材12における当接部位12a′と該当接部位に対応するプローブ基板18の当接部位58bとの間に配置されるスペーサ60との組み合わせは、前記プローブの前記先端の公差内でのばらつきを抑制するのに最適な組み合わせとなるように、選択することができる。この選択基準を採用することにより、スペーサおよび支持部材の加工公差に変更をまねくことなく、プローブ先端の公差内でのばらつきを抑制することができ、高精度にプローブ先端を同一面上に揃えることができる。
前記したところでは、このスペーサ60の選択のために、各対応する当接部位12a′および58b間の数に等しいスペーサ60から最適な組み合わせを選択した例について説明したが、それに限らず、対応する当接部位12a′および58b間の数よりも多数のスペーサ60の中から例えば各誤差の加算値加算(a+b+c)が零となる組み合わせを探し出すことができる。これにより、各プローブ18aの先端のばらつきをほぼ無くすことができる。
さらに、前記したところでは、支持部材12の当接部位12a′およびプローブ基板18の当接部位58bの両者についての高さを測定した例に沿って説明したが、これに代えて、そのいずれか一方の当接部位12a′または58bの高さを測定し、その一方の誤差(a1〜a4またはc1〜c4)と、スペーサ60の長さを測定し、その誤差(b1〜b4)とから各スペーサ60を選択することができる。
しかしながら、前記したように、支持部材12の当接部位12a′およびプローブ基板18の当接部位58bのそれぞれについて高さを測定し、その両者の誤差(a1〜a4およびc1〜c4)とスペーサ60の誤差(b1〜b4)とを考慮して対応する各当接部位12a′および58b間のスペーサ60を選択することが、より正確かつ確実に各プローブ18aの先端のばらつきを抑制する上で、望ましい。
また、前記した両当接部位12a′、58bの高さの測定、これらに対応するスペーサ60の長さ測定に加えて、さらにこれらに対応するプローブ18aの長さを測定することにより、対応する各プローブ18aの下端位置のずれをも考慮して、両当接部位12a′、58bと、その間に配置されるスペーサ60との組み合わせを選択することができる。これにより、各プローブ18aの加工公差によるその先端のばらつきをも効果的に抑制することができる。
本発明に係る前記方法は、曲がり変形が導入されていない平坦なプローブ基板を有する電気的接続装置にも適用することができる。
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々変更することができる。
さくすることが考えられる。ところが、各構成部材の加工公差を小さくするためにそれぞれの加工精度を高めることは、それらの原価を押し上げることから、電気的接続装置の高価格化を招く。
[特許文献1]特表2003−528459号公報
発明の開示
発明が解決しようとする課題
本発明の目的は、各構成部材の加工公差の低減を必要とすることなく、プローブ基板に設けられるプローブ先端のばらつきを抑制し得る電気的接続の組み立て方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明が対象とする電気的接続装置は、支持部材と、該支持部材から間隔をおいて配置されるプローブ基板であって前記支持部材に対向する一方の面と反対側の他方の面に、テスタに電気的に接続されかつ先端が前記テスタにより電気的検査を受ける被検査体の電気接続端子に当接される多数のプローブが設けられた平板状のプローブ基板と、前記支持部材および前記プローブ基板の互いに対向する面の相互に対向する両当接部位に両端をそれぞれ当接させて前記支持部材および前記プローブ基板間に配置される複数のスペーサとを備える。本発明に係る組み立て方法は、前記電気的接続装置の組み立てにおいて、前記支持部材の当接部位および該当接部位に対向する前記プローブ基板の当接部位毎に該当接部位の高さを測定すること、予め形成された前記複数のスペーサ毎に該スペーサの長さを測定すること、少なくとも前記両測定によって得られた測定値に基づいて、前記プローブの前記先端のばらつきを抑制するに適した前記スペーサを前記支持部材および前記プローブ基板の互いに対向する前記両当接部位の間毎に選択することを含む。
前記支持部材は、その寸法が加工公差内の寸法に収まるように加工されているが、この支持部材の各当接部位の実際の寸法は加工公差内でのばらつきが許されていることから、該各当接部位の高さレベルは、一般的には、加工公差内でばら
つきを生じている。これと同様に、前記プローブ基板の前記各当接部位のレベルにも、その加工公差内でのばらつきが生じている。また、前記各スペーサの長さ寸法にも、その加工公差内でのばらつきが生じている。
本発明に係る前記組み立て方法では、前記各スペーサの両端がそれぞれ当接する前記支持部材およびプローブ基板の両者における各当接部位の高さが測定され、また前記各スペーサの長さ寸法が測定される。
この測定により、前記各スペーサの実際の長さと、該スペーサの端部を受ける前記支持部材およびプローブ基板の前記各当接部位の実際の高さレベルを知ることができるので、該当接部位の誤差とスペーサの誤差とが相互に打ち消し合い、あるいはそれらの誤差の影響を低減し得るような組み合わせとなるように、前記支持部材およびプローブ基板間で対をなす両当接部位間毎に最適な前記スペーサを選択することができる。
このスペーサの選択によって、プローブの先端のばらつきを抑制するのに最適な組み合わせとなるように、前記各両当接部位間と、該当接部位間に対応するスペーサとを組み合わせることができることから、前記支持部材または前記プローブ基板の加工公差と、スペーサの加工公差との変更を招くことなく、プローブの先端のばらつきを抑制することができる。
しかも、前記した組み合わせは、実測値によって得られるデータに基づいてなされることから、従来の調整のような感に基づく熟練を必要とすることなく、比較的容易に最適な組み合わせを見出すことができるので、容易かつ確実にプローブ先端のばらつきを抑制することができる。
また、前記支持部材および前記プローブ基板のいずれか一方の前記当接部位の高さ測定に加えて、その他力の前記当接部位の高さ測定を行い、互いに対をなす両当接部位のそれぞれの測定の結果およびスペーサの測定結果である3つの測定結果を用いて前記組み合わせを決めることにより、前記支持部材および前記プローブ基板の各加工公差と、スペーサの加工公差とを考慮することができるので、プローブの先端のばらつきを効果的に抑制することができる。
前記当接部位の高さ測定として、該当接部位の基準高さレベルと前記各当接部位の高さレベルとの差を測定することができる。この場合、前記支持部材および
前記プローブ基板の両者の当接部位の高さ測定には、前記支持部材および前記プローブ基板のそれぞれに個別の基準高さレベルが採用される。また、前記スペーサの長さ測定として、該スペーサの基準長と前記各スペーサ長との差を測定することができる。これらの測定には、例えば、レーザ光を用いたレーザ測定装置あるいは自動焦点機能を有するCCDカメラを利用した自動測定装置等を用いることができる。
前記支持部材を貫通しかつ前記スペーサを貫通する複数のねじ部材が前記電気接続装置に設けられ、前記プローブ基板の前記一方の面に、前記各ねじ部材の先端部に螺合するねじ穴がそれぞれの頂部に開放しかつ予めすべての頂面が加工公差内の高さ位置にあるように研削加工を受けた複数のアンカー部が前記プローブ基板の前記当接部位として形成される場合、本発明に係る前記方法における前記プローブ基板についての前記当接部位の高さの測定として、前記アンカー部の頂面の基準面と前記頂面との差が測定され、少なくとも前記アンカー部および前記スペーサについての前記各測定値に基づいて、前記プローブの前記先端のばらつきを抑制するに適した前記スペーサを前記両当接部位の間毎に選択することができる。
この選択によって、プローブの先端のばらつきを抑制するのに最適な組み合わせとなるように、前記各アンカー部と、該アンカー部の頂面に対応する前記スペーサとを組み合わせることができるので、前記プローブ基板のアンカー部の加工公差およびスペーサの加工公差の変更を招くことなく、プローブの先端のばらつきを抑制することができる。
前記プローブ基板が、負荷を受けない自由状態で曲がり変形を生じた平板状のプローブ基板であり、該プローブ基板の前記他方の面に設けられた前記プローブは前記プローブ基板が前記変形を保持した状態で前記先端が同一面上に保持されている場合、前記支持部材および前記プローブ基板における前記両当接部位間とこれに対応する前記スペーサとの組み合わせは、前記プローブ基板の曲がり変形を保持するのに最適な組み合わせとなるように、選択することができる。この選択基準を採用することにより、プローブ基板にたとえ曲がり変形が生じていても、スペーサおよび支持部材の加工公差に変更をまねくことなく、プローブ先端のば
また、前記した両当接部位間とスペーサとの組み合わせは、実測値によって得られるデータに基づいてなされることから、従来の調整のような勘に基づく熟練を必要とすることなく、比較的容易に最適な組み合わせを見出すことができるので、容易かつ確実にプローブ先端のばらつきを抑制することができる。
12 支持部材
12a (取り付け面)当接部位
14 配線基板
16 電気接続器
18 プローブ基板
18a プローブ
18b プローブランド
28 (取付ボルト)ねじ部材
58 (アンカー部)当接部位
58a (雌ねじ穴)ねじ穴
60 スペーサ
Claims (6)
- 支持部材と、該支持部材から間隔をおいて配置されるプローブ基板であって前記支持部材に対向する一方の面と反対側の他方の面に、テスタに電気的に接続されかつ先端が前記テスタにより電気的検査を受ける被検査体の電気接続端子に当接される多数のプローブが設けられた平板状のプローブ基板と、前記支持部材および前記プローブ基板の互いに対向する面の相互に対向する両当接部位に両端をそれぞれ当接させて前記支持部材および前記プローブ基板間に配置される複数のスペーサとを備える電気的接続装置の組み立て方法であって、
前記支持部材の前記当接部位および前記プローブ基板の前記当接部位の少なくともいずれか一方の当接部位毎に該当接部位の高さを測定すること、
予め形成された前記複数のスペーサ毎に該スペーサの長さを測定すること、
前記両測定によって得られた測定値に基づいて、前記プローブの前記先端を同一面上に保持するに適した前記スペーサを前記両当接部位間毎に選択することを含む、電気的接続装置の組み立て方法。 - 前記当接部位の高さの測定は、該当接部位の基準高さレベルと前記各当接部位の高さレベルとの差の測定であり、前記スペーサの長さ測定は、該スペーサの基準長と前記各スペーサ長との差の測定である、請求項1に記載の組み立て方法。
- 前記支持部材を貫通しかつ前記スペーサを貫通する複数のねじ部材が設けられ、前記プローブ基板の前記一方の面には、前記各ねじ部材の先端部に螺合するねじ穴がそれぞれの頂部に開放しかつ予めすべての頂面が加工公差内の高さ位置にあるように研削加工を受けた複数のアンカー部が前記プローブ基板の前記当接部位として形成された電気的接続装置の組み立て方法であって、前記プローブ基板の前記当接部位の高さの測定として前記アンカー部の頂面の基準高さレベルと前記頂面の高さレベルとの差が測定され、少なくとも前記アンカー部および前記スペーサについての前記各測定値に基づいて、前記プローブの前記先端を同一面上に保持するに適した前記スペーサを前記両当接部位の間毎に選択する、請求項1に記載の組み立て方法。
- 前記プローブ基板は、負荷を受けない自由状態で曲がり変形を生じた平板状のプローブ基板であり、前記プローブ基板が前記変形を保持した状態で前記プローブの前記先端が同一面上に保持されており、前記プローブ基板の曲がり変形を保持すべく、前記測定値に基づいて前記スペーサを前記両当接部位の間毎に選択することを含む、請求項1に記載の組み立て方法。
- 前記プローブ基板は、負荷を受けない自由状態で曲がり変形を生じた平板状のプローブ基板であり、前記プローブは前記プローブ基板が前記変形を保持した状態で前記先端が加工公差内で同一面上に位置するように研削加工を受けており、前記測定値に基づいて、前記プローブの前記先端の公差内でのばらつきを抑制するに適した前記スペーサを前記両当接部位の間毎に選択することを含む、請求項1に記載の組み立て方法。
- 前記支持基板と前記プローブ基板との間には、前記テスタに接続される回路を有しかつ前記ねじ部材の挿通を許す貫通孔を有する配線基板が配置され、該配線基板と前記プローブ基板間には、前記ねじ部材の挿通を許す貫通孔を有し前記配線基板の前記回路と前記プローブ基板の前記各プローブとを接続する接続器が配置されており、前記ねじ部材が前記配線基板および前記接続器の前記各貫通孔を挿通して配置され、前記ねじ部材に関連して前記スペーサが前記各貫通孔内に挿入された後、前記ねじ部材の前記アンカー部への締め付けにより、前記プローブ基板が前記支持基板に結合される、請求項3に記載の組み立て方法。
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