JPWO2007029551A1 - 有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタ用基体及び有機薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタ用基体及び有機薄膜トランジスタの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、TFT特性が良好で、生産効率が高い溶液プロセスにより製造する有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供する。本発明は、基体およびその表面に有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタであって、該有機半導体層と基体の間の基体表面に2〜5種類の表面処理剤により形成された表面処理層を有する有機薄膜トランジスタであることを特徴とする。

Description

本発明は、有機薄膜トランジスタ有機薄膜トランジスタ用基体及び有機薄膜トランジスタの製造方法に関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。また、さらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。例えば通常のコンピュータディスプレイではガラス基体上にこれらTFT素子を形成し、液晶、有機EL素子等が封止されている。
ここでTFT素子は、通常、ガラス基体上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極等の金属薄膜を基体上に順次形成していくことで製造される。このTFTを用いるフラットパネルディスプレイの製造には通常、CVD、スパッタリング等の真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要とされ、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。さらに、近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
また、このような従来からのSi材料を用いたTFT素子の形成には高い温度の工程が含まれるため、基体材料には工程温度に耐える材料であるという制限が加わることになる。このため実際上はガラスを用いざるをえず、先に述べた電子ペーパーあるいはデジタルペーパーといった薄型ディスプレイを、こうした従来知られたTFT素子を利用して構成した場合、そのディスプレイは重く、柔軟性に欠け、落下の衝撃で割れる可能性のある製品となってしまう。ガラス基体上にTFT素子を形成することに起因するこれらの特徴は、情報化の進展に伴う手軽な携行用薄型ディスプレイへのニーズを満たすにあたり望ましくないものである。
一方、近年において高い電荷輸送性を有する有機化合物として、有機半導体材料の研究が精力的に進められ、有機薄膜トランジスタへの応用が期待されている。これら有機半導体デバイスを実現できれば、比較的低い温度での真空ないし低圧蒸着による製造プロセスの簡易化や、さらにはその分子構造を適切に改良することによって、溶液化できる半導体を得る可能性があると考えられ、有機半導体溶液をインク化することによりインクジェット方式を含む印刷法による製造も考えられる。これらの低温プロセスによる製造は、従来のSi系半導体材料については不可能と考えられてきたが、有機半導体を用いたデバイスにはその可能性があり、したがって前述の基体耐熱性に関する制限が緩和され、透明樹脂基体上にも例えばTFT素子を形成できる可能性がある。透明樹脂基体上にTFT素子を形成し、そのTFT素子により表示材料を駆動させることができれば、ディスプレイを従来のものよりも軽く、柔軟性に富み、落としても割れない(もしくは非常に割れにくい)ディスプレイとすることができるであろう。
有機半導体薄膜を溶液プロセスにて作製する方法に関しては、例えば、特許文献1のように有機半導体材料の溶媒に液晶性材料を用いる方法、特許文献2のようにフッ素化された表面基体上に作製する方法等が開示されている。また、特許文献3には、有機半導体薄膜の作製に混合溶媒を用いる方法が開示されている。
有機半導体層を形成する基体の表面には、有機半導体層を形成する前にオクタデシルトリクロロシラン、HMDS等による表面処理が一般に施されている。特許文献4にはフェニル基等を含む表面処理材料によるゲート絶縁膜の表面処理が開示されている。
しかしながら、基体の表面をアルキル基やフェニル基を有するシランカップリング剤単体により表面処理した場合、有機半導体層を蒸着プロセスにより作成した有機薄膜トランジスタ素子(TFT素子)の性能は向上するものの、溶液プロセスにより作成した基体の表面が有機半導体の溶液を弾く等、塗布性が十分でなく、安定的に有機半導体層を設けることができないという問題が生じることが分かった。そのため溶液プロセスにおいては、TFT特性と有機半導体材料の塗布性の両立が望まれている。
特開2004−31458号公報 特開2000−307172号公報 国際公開第03/65409号パンフレット 特開2005−158765号公報
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的はTFT特性が良好で、生産効率が高い溶液プロセスにより製造する有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
1.基体およびその表面に有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタであって、該有機半導体層と基体の間の基体表面に2〜5種類の表面処理剤により形成された表面処理層を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
2.前記表面処理剤がシラン化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機薄膜トランジスタ。
3.前記表面処理剤のうち少なくとも一種がアルキル基を有するシラン化合物であることを特徴とする前記2に記載の有機薄膜トランジスタ。
4.前記表面処理剤のうち少なくとも一種が芳香族基を有するシラン化合物であることを特徴とする前記2に記載の有機薄膜トランジスタ。
5.前記表面処理剤のうち少なくとも一種がアルキル基を有するシラン化合物であり、かつ少なくとも一種が芳香族基を有するシラン化合物であることを特徴とする前記2に記載の有機薄膜トランジスタ。
6.前記表面処理した基体の表面の水に対する接触角が50度以上であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1に記載の有機薄膜トランジスタ用基体。
7.前記有機半導体層に含まれる有機半導体材料がアルキル基を有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1に記載の有機薄膜トランジスタ。
8.ボトムゲート構造であることを特徴とする前記1〜5、7のいずれか1に記載の有機薄膜トランジスタ。
9.前記1〜5、7、8のいずれか1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、前記表面処理剤の溶液を基体の表面に供給することで表面処理を行うことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
10.前記1〜5、7、8のいずれか1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、前記表面処理剤を使用しプラズマCVD法により表面処理を行うことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
11.前記プラズマCVD法が大気圧プラズマCVD法であることを特徴とする前記10に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
12.前記9〜11のいずれか1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法により製造されることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
本発明により、TFT特性が良好で、生産効率が高い溶液プロセスにより製造する有機薄膜トランジスタ及びその製造方法を提供することができる。
プラズマ放電処理容器の一例を示す概念図である。 プラズマ放電処理容器の他の例を示す概略図である。 円筒型のロール電極の一例を示す概略斜視図である。 円筒型の固定電極の一例を示す概略斜視図である。 角柱型の固定電極の一例を示す概略斜視図である。 プラズマ放電処理装置の一例を示す概念図である。 プラズマ放電処理装置の他の例を示す概略図である。 大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。 大気圧プラズマ放電処理装置の他の例を示した概略図である。 有機薄膜トランジスタ素子の構成の例を示す図である。
符号の説明
20 プラズマ放電処理容器
40 ガス発生装置
51 有機半導体層
52 ソース電極
53 ドレイン電極
54 ゲート電極
55 絶縁層
60 元巻き基体
P 大気圧プラズマ放電処理装置
F 基体
G 放電ガス
M 薄膜形成ガス
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、有機半導体層に接する層(基体の表面)の接触角を高めるとキャリア移動度が向上するとの知見のもと、基体の表面を少なくとも2種類の表面処理剤を用いて表面処理を行うことにより、塗布性とTFT素子の性能を両立でき、生産効率が高い溶液プロセスにより有機薄膜トランジスタを製造できることを見出して本発明に至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔表面処理剤〕
本発明では、基体(基材ともいう)の表面を2〜5種類の表面処理剤を用いて表面処理を行って、基体の表面に表面処理層を形成した後、その表面処理層上に有機半導体層を形成することが特徴である。
本発明に用いられる表面処理剤としては、基体の表面を表面処理した時、表面の水に対する接触角を大きくするものが用いられる。表面処理後の表面の水に対する接触角は、50度以上が好ましく、70〜170度がより好ましく、90〜130度がさらに好ましい。接触角が低いと、トランジスタ素子のキャリア移動度やon/off比を著しく低下させ、高すぎると有機半導体材料の溶液の塗布性を低下させる。この接触角は接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定するものである。
この表面処理層形成によって、基体の最表面にアルキル基、芳香族基を存在させることが有効である。従って、表面処理剤としてアルキル基、芳香族基を有することが好ましい。アルキル基としては、フルオロアルキル基または炭素と水素のみで構成されたアルキル基いずれでもよい。また、アルキル基については、炭素数が1〜40、好ましくは1〜20である。芳香族基としては、置換基を有してもよいフェニル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。より好ましくは、加水分解性基とアルキル基を共に有する有機シラン化合物を用いることである。
ここに加水分解性基とは、水と水素を添加することによって重合を行うことのできる官能基のことをいい、本発明においては特に限定されないが、好ましくはアルコキシ基、アセチル基が挙げられる。より好ましくはアルコキシ基であり、さらにはエトキシ基を有することが、反応性や原料の物性において好ましい。
前記の有機シラン化合物の他に、金属元素がTi、Ge、ZrまたはSnである有機金属化合物、及びフッ素を有する化合物も好ましく、特に好ましいのは有機シラン化合物、Tiを有する化合物及びフッ素を有する化合物である。
具体的には下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1)において、MはSi、Ti、Ge、ZrまたはSnを表す。また、R1〜R6は各々水素原子または一価の基を表し、R1〜R6で表される基の少なくとも1つは、フッ素原子を有する有機基であり、例えば、フッ素原子を有するアルキル基、アルケニル基またはアリール基を含有する有機基が好ましく、フッ素原子を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、4,4,3,3,2,2,1,1−オクタフルオロブチル基等の基が、フッ素原子を有するアルケニル基としては、例えば、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル基等の基が、また、フッ素原子を有するアリール基としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基等の基が挙げられる。また、これらフッ素原子を有するアルキル基、アルケニル基、またアリール基から形成されるアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基等等も用いることができる。
また、フッ素原子は、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基等においては、骨格中の炭素原子のどの位置に任意の数結合していてもよいが、少なくとも1個以上結合していることが好ましい。また、アルキル基、アルケニル基骨格中の炭素原子は、例えば、酸素、窒素、硫黄等他の原子、また、酸素、窒素、硫黄等を含む2価の基、例えば、カルボニル基、チオカルボニル基等の基で置換されていてもよい。
1〜R6で表される基のうち、前記フッ素原子を有する有機基以外は、水素原子または1価の基を表し、1価の基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、イソシアネート基、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基等の基が挙げられるが、これに限定されない。jは0〜150の整数を表し、好ましくは0〜50、さらに好ましいのはjが0〜20の範囲である。
前記1価の基のうち、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。また、前記1価の基である前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基のうち、好ましいのは、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基である。
また、Mで表される金属原子のうち、好ましいのは、Si、Tiである。
前記1価の基は、さらにその他の基で置換されていてもよく、特に限定されないが、好ましい置換基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フェニル基等のアリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカンアミド基、アリールアミド基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、シリル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等の基が挙げられる。
また、前記フッ素原子を有する有機基、またはそれ以外のこれらR1〜R6で表される基は、R123M−(Mは、前記金属原子を表し、R1、R2、R3はそれぞれ1価の基を表し、1価の基としては前記フッ素原子を有する有機基またはR1〜R6として挙げられた前記フッ素原子を有する有機基以外の基を表す。)で表される基によってさらに置換された複数の金属原子を有する構造であってもよい。これらの金属原子としては、Si、Ti等が挙げられ、例えば、シリル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
前記R1〜R6において挙げられたフッ素原子を有する基であるアルキル基、アルケニル基、またこれらから形成されるアルコキシ基、アルケニルオキシ基におけるアルキル基、アルケニル基としては、下記一般式(F)で表される基が好ましい。
一般式(F)
Rf−X−(CH2k
ここにおいてRfは、水素の少なくとも1つがフッ素原子により置換されたアルキル基、アルケニル基を表し、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロオクチル基、ヘプタフルオロプロピル基のようなパーフルオロアルキル基等の基、また、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,3,3,2,2,1,1−オクタフルオロブチル基等の基、また、1,1,1−トリフルオロ−2−クロルプロペニル基等のようなフッ素原子により置換されたアルケニル基が好ましく、中でも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロオクチル基、ヘプタフルオロプロピル基等の基、また、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,3,3,2,2,1,1−オクタフルオロブチル基等の少なくとも2つ以上のフッ素原子有するアルキル基が好ましい。
また、Xは単なる結合手または2価の基である、2価の基としては−O−、−S−、−NR−(Rは水素原子またはアルキル基を表す)等の基、−CO−、−CO−O−、−CONH−、−SO2NH−、−SO2−O−、−OCONH−、
等の基を表す。
kは0〜50、好ましくは0〜30の整数を表す。
Rf中にはフッ素原子のほか、他の置換基が置換されていてもよく、置換可能な基としては、前記R1〜R6において置換基として挙げられた基と同様の基が挙げられる。また、Rf中の骨格炭素原子が他の原子、例えば、−O−、−S−、−NR0−(R0は水素原子または置換若しくは非置換のアルキル基を表し、また前記一般式(F)で表される基であってもよい)、カルボニル基、−NHCO−、−CO−O−、−SO2NH−等の基によって一部置換されていてもよい。
前記一般式(1)で表される化合物のうち、好ましいのは下記一般式(2)で表される化合物である。
一般式(2)
[Rf−X−(CH2kq−M(R10r(OR11t
一般式(2)において、Mは前記一般式(1)と同様の金属原子を表し、Rf、Xは前記一般式(F)におけるRf、Xと同様の基を表し、kについても同じ整数を表す。R10はアルキル基、アルケニル基を、またR11はアルキル基、アルケニル基、アリール基を表し、それぞれ、前記一般式(1)のR1〜R6の置換基として挙げた基と同様の基により置換されていてもよいが、好ましくは、非置換のアルキル基、アルケニル基を表す。また、q+r+t=4であり、q≧1、またt≧1である。また、r≧2の時2つのR10は連結して環を形成してもよい。
一般式(2)のうち、さらに好ましいものは下記一般式(3)で表される化合物である。
一般式(3)
Rf−X−(CH2k−M(OR123
一般式(3)において、Rf、Xまたkは、前記一般式(2)におけるものと同義である。また、R12も、前記一般式(2)におけるR11と同義である。また、Mも前記一般式(2)におけるMと同様であるが、特に、Si、Tiが好ましく、最も好ましいのはSiである。
本発明において、フッ素原子を有する有機金属化合物の他の好ましい例としては、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
一般式(4)において、M及びR1〜R6は、前記一般式(1)におけるR1〜R6と同義である。ここにおいても、R1〜R6の少なくとも1つは、前記フッ素原子を有する有機基であり、前記一般式(F)で表される基が好ましい。R7は水素原子、または置換もしくは非置換のアルキル基を表す。また、jは0〜100の整数を表し、好ましくは0〜50、最も好ましいのはjが0〜20の範囲である。
本発明において用いられる他の好ましいフッ素原子を有する化合物として、下記一般式(5)で表されるフッ素原子を有する有機金属化合物がある。
一般式(5)
[Rf−X−(CH2k−Y]m−M(R8n(OR9p
一般式(5)において、MはIn、Al、Sb、YまたはLaを表す。Rf、Xは前記一般式(F)におけるRf、Xと同様の基を表し、Yは単なる結合手または酸素を表す。kについても同じく0〜50の整数を表し、好ましくは30以下の整数である。R9はアルキル基またはアルケニル基を、またR8はアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表し、それぞれ、前記一般式(1)のR1〜R6の置換基として挙げた基と同様の基により置換されていてもよい。また、一般式(5)において、m+n+p=3であり、mは少なくとも1であり、nは0〜2を、またpも0〜2の整数を表す。m+p=3、即ちn=0であることが好ましい。
本発明において用いられる他の好ましいフッ素原子を有する化合物として、下記一般式(6)で表されるフッ素原子を有する有機金属化合物がある。
一般式(6)
f1(OC36m1−O−(CF2n1−(CH2p1−Z−(CH2q1−Si−(R23
一般式(6)において、Rf1は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキル基、R2は加水分解基、Zは−OCONH−または−O−を表し、m1は1〜50の整数、n1は0〜3の整数、p1は0〜3の整数、q1は1〜6の整数を表し、6≧n1+p1>0である。
f1に導入しうる直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜16がより好ましく、1〜3が最も好ましい。従って、Rf1としては、−CF3、−C25、−C37等が好ましい。
2に導入しうる加水分解基としては、−Cl、−Br、−I、−OR11、−OCOR11、−CO(R11)C=C(R122、−ON=C(R112、−ON=CR13、−N(R122、−R12NOCR11等が好ましい。R11はアルキル基等の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を、またはフェニル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、R12は水素原子またはアルキル基等の炭素数1〜5の脂肪族炭化水素を表し、R13はアルキリデン基等の炭素数3〜6の二価の脂肪族炭化水素基を表す。これらの加水分解基の中でも、−OCH3、−OC25、−OC37、−OCOCH3及び−NH2が好ましい。
m1は1〜30であることがより好ましく、5〜20であることがさらに好ましい。n1は1または2であることがより好ましく、p1は1または2であることがより好ましい。また、q1は1〜3であることがより好ましい。
本発明に用いられる他の好ましいフッ素原子を有する化合物として、下記一般式(7)で表されるフッ素原子を有する有機金属化合物がある。
一般式(7)において、Rfは炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、Xはヨウ素原子または水素原子、Yは水素原子または低級アルキル基、Zはフッ素原子またはトリフルオロメチル基、R21は加水分解可能な基、R22は水素原子または不活性な一価の有機基を表し、a、b、c、dはそれぞれ0〜200の整数、eは0または1、m及びnは0〜2の整数、pは1〜10の整数を表す。
前記一般式(7)において、Rfは、通常、炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基であり、好ましくは、CF3基、C25基、C37基である。Yにおける低級アルキル基としては、通常、炭素数1〜5のものが挙げられる。
21の加水分解可能な基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、R23O基、R23COO基、(R242C=C(R23)CO基、(R232C=NO基、R25C=NO基、(R242N基、及びR23CONR24基が好ましい。ここで、R23はアルキル基等の通常は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基またはフェニル基等の通常は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、R24は水素原子またはアルキル基等の通常は炭素数1〜5の低級脂肪族炭化水素基、R25はアルキリデン基等の通常は炭素数3〜6の二価の脂肪族炭化水素基である。さらに好ましくは、塩素原子、CH3O基、C25O基、C37O基である。
22は水素原子または不活性な一価の有機基であり、好ましくは、アルキル基等の通常は炭素数1〜4の一価の炭化水素基である。a、b、c、dは0〜200の整数であり、好ましくは1〜50である。m及びnは、0〜2の整数であり、好ましくは0である。pは1または2以上の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、さらに好ましくは1〜5の整数である。また、数平均分子量は5×102〜1×105であり、好ましくは1×103〜1×104である。
また、前記一般式(7)で表されるシラン化合物の好ましい構造のものとして、RfがC37基であり、aが1〜50の整数であり、b、c及びdが0であり、eが1であり、Zがフッ素原子であり、nが0である化合物である。
本発明において、フッ素原子を有するシラン化合物として好ましく用いられるフッ素を有する有機基を有する有機金属化合物、及び前記一般式(1)〜(7)で表される化合物の代表的化合物を以下に挙げるが、本発明ではこれらの化合物に限定されるものではない。
1:(CF3CH2CH24Si
2:(CF3CH2CH22(CH32Si
3:(C817CH2CH2)Si(OC253
4:CH2=CH2Si(CF33
5:(CH2=CH2COO)Si(CF33
6:(CF3CH2CH22SiCl(CH3
7:C817CH2CH2Si(Cl)3
8:(C817CH2CH22Si(OC252
9:CF3CH2CH2Si(OCH33
10:CF3CH2CH2SiCl3
11:CF3(CF23CH2CH2SiCl3
12:CF3(CF25CH2CH2SiCl3
13:CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33
14:CF3(CF27CH2CH2SiCl3
15:CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33
16:CF3(CF28CH2Si(OC253
17:CF3(CH22Si(OC253
18:CF3(CH22Si(OC373
19:CF3(CH22Si(OC493
20:CF3(CF25(CH22Si(OC253
21:CF3(CF25(CH22Si(OC373
22:CF3(CF27(CH22Si(OC253
23:CF3(CF27(CH22Si(OC373
24:CF3(CF27(CH22Si(OCH3)(OC372
25:CF3(CF27(CH22Si(OCH32OC37
26:CF3(CF27(CH22SiCH3(OCH32
27:CF3(CF27(CH22SiCH3(OC252
28:CF3(CF27(CH22SiCH3(OC372
29:(CF32CF(CF28(CH22Si(OCH33
30:C715CONH(CH23Si(OC253
31:C817SO2NH(CH23Si(OC253
32:C817(CH22OCONH(CH23Si(OCH33
33:CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OCH32
34:CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OC252
35:CF3(CF27(CH22Si(CH3)(OC372
36:CF3(CF27(CH22Si(C25)(OCH32
37:CF3(CF27(CH22Si(C25)(OC372
38:CF3(CH22Si(CH3)(OCH32
39:CF3(CH22Si(CH3)(OC252
40:CF3(CH22Si(CH3)(OC372
41:CF3(CF25(CH22Si(CH3)(OCH32
42:CF3(CF25(CH22Si(CH3)(OC372
43:CF3(CF22O(CF23(CH22Si(OC373
44:C715CH2O(CH23Si(OC253
45:C817SO2O(CH23Si(OC253
46:C817(CH22OCHO(CH23Si(OCH33
47:CF3(CF25CH(C49)CH2Si(OCH33
48:CF3(CF23CH(C49)CH2Si(OCH33
49:(CF32(p−CH3−C65)COCH2CH2CH2Si(OCH33
50:CF3CO−O−CH2CH2CH2Si(OCH33
51:CF3(CF23CH2CH2Si(CH3)Cl
52:CF3CH2CH2(CH3)Si(OCH32
53:CF3CO−O−Si(CH33
54:CF3CH2CH2Si(CH3)Cl2
55:(CF32(p−CH3−C65)COCH2CH2Si(OCH33
56:(CF32(p−CH3−C65)COCH2CH2Si(OC653
57:(CF324)(CH32Si−O−Si(CH33
58:(CF324)(CH32Si−O−Si(CF324)(CH32
59:CF3(OC3624−O−(CF22−CH2−O−CH2Si(OCH33
60:CF3O(CF(CF3)CF2O)mCF2CONHC36Si(OC253
(m=11〜30)
61:(C25O)3SiC36NHCOCF2O(CF2O)n(CF2CF2O)pCF2CONHC36Si(OC253
(n/p=約0.5、数平均分子量=約3000)
62:C37−(OCF2CF2CF2q−O−(CF22−[CH2CH{Si−(OCH33}]9−H (q=約10)
63:F(CF(CF3)CF2O)15CF(CF3)CONHCH2CH2CH2Si(OC253
64:F(CF24[CH2CH(Si(OCH33)]2.02OCH3
65:(C25O)3SiC36NHCO−[CF2(OC2410(OCF26OCF2]−CONHC36Si(OC253
66:C37(OC3624O(CF22CH2OCH2Si(OCH33
67:CF3(CF23(C64)C24Si(OCH33
68:(CF32CF(CF26CH2CH2SiCH3(OCH32
69:CF3(CF23(C64)C24SiCH3(OCH32
70:CF3(CF25(C64)C24Si(OC253
71:CF3(CF2324Si(NCO)3
72:CF3(CF2524Si(NCO)3
73:C919CONH(CH23Si(OC253
74:C919CONH(CH23SiCl3
75:C919CONH(CH23Si(OC253
76:C37O(CF(CF3)CF2O)2−CF(CF3)−CONH(CH2)Si(OC253
77:CF3O(CF(CF3)CF2O)6CF2CONH(CH23SiOSi(OC252(CH23NHCOCF2(OCF2CF(CF3))6OCF3
78:C37COOCH2Si(CH32OSi(CH32CH2OCOC37
79:CF3(CF27CH2CH2O(CH23Si(CH32OSi(CH32(CH23OCH2CH2(CF27CF3
80:CF3(CF25CH2CH2O(CH22Si(CH32OSi(CH32(OC25
81:CF3(CF25CH2CH2O(CH22Si(CH32OSi(CH3)(OC252
82:CF3(CF25CH2CH2O(CH22Si(CH32OSi(CH32OSi(CH32(OC25
上記例示した化合物の他には、フッ素置換アルコキシシランとして、
83:(パーフルオロプロピルオキシ)ジメチルシラン
84:トリス(パーフルオロプロピルオキシ)メチルシラン
85:ジメチルビス(ノナフルオロブトキシ)シラン
86:メチルトリス(ノナフルオロブトキシ)シラン
87:ビス(パーフルオロプロピルオキシ)ジフェニルシラン
88:ビス(パーフルオロプロピルオキシ)メチルビニルシラン
89:ビス(1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロブトキシ)ジメチルシラン
90:ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)ジメチルシラン
91:トリス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)メチルシラン
92:テトラキス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)シラン
93:ジメチルビス(ノナフルオロ−t−ブトキシ)シラン
94:ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)ジフェニルシラン
95:テトラキス(1,1,3,3−テトラフルオロイソプロポキシ)シラン
96:ビス〔1,1−ビス(トリフルオロメチル)エトキシ〕ジメチルシラン
97:ビス(1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−ブトキシ)ジメチルシラン
98:メチルトリス〔2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)プロポキシ〕シラン
99:ジフェニルビス〔2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)−1−トリルエトキシ〕シラン
等の化合物や、以下の化合物、
100:(CF3CH23Si(CH2−NH2
101:(CF3CH23Si−N(CH32
さらに、
等のシラザン類や、
106:CF3CH2−CH2TiCl3
107:CF3(CF23CH2CH2TiCl3
108:CF3(CF25CH2CH2Ti(OCH33
109:CF3(CF27CH2CH2TiCl3
110:Ti(OC374
111:(CF3CH2−CH2O)3TiCl3
112:(CF324)(CH32Ti−O−Ti(CH33
等のフッ素を有する有機チタン化合物、また、以下のようなフッ素含有有機金属化合物を例として挙げることができる。
113:CF3(CF23CH2CH2O(CH23GeCl
114:CF3(CF23CH2CH2OCH2Ge(OCH33
115:(C37O)2Ge(OCH32
116:[(CF32CHO]4Ge
117:[(CF32CHO]4Zr
118:(C37CH2CH22Sn(OC252
119:(C37CH2CH2)Sn(OC253
120:Sn(OC374
121:CF3CH2CH2In(OCH32
122:In(OCH2CH2OC373
123:Al(OCH2CH2OC373
124:Al(OC373
125:Sb(OC373
126:Fe(OC373
127:Cu(OCH2CH2OC372
128:C37(OC3624O(CF22CH2OCH2Si(OCH33
これら具体例で挙げられた各化合物等は、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)、信越化学工業(株)、ダイキン工業(株)(例えば、オプツールDSX)また、Gelest Inc.、ソルベイ ソレクシス(株)等により上市されており、容易に入手することができる他、例えば、J.Fluorine Chem.,79(1).87(1996)、材料技術,16(5),209(1998)、Collect.Czech.Chem.Commun.,44巻,750〜755頁、J.Amer.Chem.Soc.1990年,112巻,2341〜2348頁、Inorg.Chem.,10巻,889〜892頁,1971年、米国特許第3,668,233号明細書等、また、特開昭58−122979号、特開平7−242675号、特開平9−61605号、同11−29585号、特開2000−64348号、同2000−144097号公報等に記載の合成方法、あるいはこれに準じた合成方法により製造することができる。
その他好ましく用いられる有機シラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリキドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリキドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシエトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン、トリアシルオキシシラン、トリフェノキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシレン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン、ジフェノキシシラン、ジアシルオキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、フルオロアルキルシラン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、単独で使用しても異なる2種以上を同時に使用することもできる。
上記化合物の中でも、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等が好ましい。
また、他の有機ケイ素化合物として、下記一般式(8)で表される化合物が用いられる。
一般式(8)において、nは0〜2000である。また、R81〜R88は、水素原子または各々飽和、不飽和のいずれでもよい直鎖、分岐または環状炭化水素基であり、各々は同一のものであっても異なっていてもよい。
具体的には、信越化学社製のケイ素化合物試薬、または米国のGelest,Inc.Metal−Organics for Material&Polyer Technology、チッソ社製SILICON CHEMICALS等の化合物カタログに記載されているものの中から、一般式(1)に適合するものを選定し使用することができ、下記に使用し得る化合物を例示するが、無論これらに限定されるものではない。
その他の原料としては、フッ素化合物を用いることができ、有機フッ素化合物として、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等を好ましく用いることができる。フッ化炭素ガスとしては、例えば、テトラフルオロメタン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、オクタフルオロシクロブタン等を挙げることができる。前記のフッ化炭化水素ガスとしては、例えば、ジフルオロメタン、テトラフルオロエタン、テトラフルオロプロピレン、トリフルオロプロピレン等を挙げることができる。さらに、例えば、クロロトリフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロシクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やトリフルオロメタノール、ペンタフルオロエタノール等のフルオロアルコール、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸等のフッ素化脂肪酸、ヘキサフルオロアセトン等のフッ素化ケトン等の有機フッ素化合物を用いることができるが、これらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にフッ素化エチレン性不飽和基を有していてもよい。
本発明に係るアルキル基を有するシラン化合物と芳香族基を有するシラン化合物は、1:99〜99:1の質量比で混合使用することができ、10:90〜90:10の質量比での使用が好ましく、さらに好ましくは、20:80〜80:20である。
本発明に係る表面処理層は、後述する基体上に形成し、さらにその上に、有機半導体層を形成する。該表面処理層の厚さは、単分子層から100nm以下が好ましく、単分子層から10nm以下がより好ましい。
また、表面処理層表面の表面粗さRaは、薄膜トランジスタが後述のボトムゲート型では、その基体、ゲート電極、ゲート絶縁膜の表面性にも大きく影響を受けるが、概して0.01〜10nmとすることが、トランジスタ素子のキャリア移動度の観点から好ましい。
〔前処理方法、表面処理層の形成方法〕
表面処理層の形成方法としては特に限定されないが、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法(大気圧プラズマCVD法)、ディップコート法、キャスト法、リールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
中でも本発明に好ましく用いられる方法としては、表面処理剤の溶液に基体を浸漬または表面処理剤の溶液を塗布して乾燥する湿式法、プラズマCVD法、好ましくは大気圧プラズマCVD法が挙げられる。
(湿式法)
湿式法では、例えば基体を表面処理剤の1質量%トルエン溶液に10分浸漬後、乾燥する、またはこの溶液を基体上に塗布、乾燥する。
(プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法)
表面処理剤(プラズマCVD法では表面処理層形成材料を原料ともいう)を含む反応ガスを50〜500℃の範囲で加熱された基体上に供給し、熱的反応により表面処理層を形成する熱CVD法や、後述する大気圧プラズマ法の装置と放電ガス、反応ガスを用いて、0.01〜100Paの減圧下で行う一般的なプラズマCVD法を用いた場合にも、本発明の効果を得ることができるが、移動度の向上、表面処理層の均一性、表面処理層の形成速度、非真空系での効率的生産という観点から、大気圧プラズマ法が最も好ましい。
以下に本発明に好ましく適用できる大気圧プラズマ法について詳細に説明する。
〈プラズマ放電処理装置〉
図1は、プラズマ放電処理装置Pに用いられるプラズマ放電処理容器20の一例を示す概念図であり、やや別の実施の形態においては、図2に示すプラズマ放電処理容器20を用いている。
図1において、長尺フィルム状の基体Fは搬送方向(図中、時計回り)に回転するロール電極21に巻回されながら搬送される。固定電極22は複数の円筒から構成され、ロール電極21に対向させて設置される。ロール電極21に巻回された基体Fは、ニップローラ23a、23bで押圧され、ガイドローラ24で規制されてプラズマ放電処理容器20によって確保された放電処理空間に搬送され、放電プラズマ処理され、次いで、ガイドローラ25を介して次工程に搬送される。また、仕切板26は前記ニップローラ23bに近接して配置され、基体Fに同伴する空気がプラズマ放電処理容器20内に進入するのを抑制する。
この同伴される空気は、プラズマ放電処理容器20内の気体の全体積に対し、1体積%以下に抑えることが好ましく、前記ニップローラ23bにより、それを達成することが可能である。
なお、放電プラズマ処理に用いられる混合ガス(放電ガスと反応ガス。表面処理剤は反応ガスに含まれる)は、給気口27からプラズマ放電処理容器20に導入され、処理後のガスは排気口28から排気される。
図2は、上述のように、プラズマ放電処理容器20の他の例を示す概略図であり、図1のプラズマ放電処理容器20では円柱型の固定電極22を用いているのに対し、図2に示すプラズマ放電処理容器20では角柱型の固定電極29を用いている。
図1に示した円柱型の固定電極22に比べて、図2に示した角柱型の固定電極29は本発明の製造方法に好ましく用いられる。
図3(a)、(b)は、上述の円筒型のロール電極21の一例を示す概略斜視図、図4(a)、(b)は、円筒型の固定電極22の一例を示す概略斜視図、図5(a)、(b)は、角柱型の固定電極29の一例を示す概略斜視図である。
図3(a)において、アース電極であるロール電極21は、金属等の導電性母材21aに対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体21bを被覆した組み合わせで構成されているものである。セラミック被覆処理誘電体21bを片肉で1mm被覆し、ロール径を被覆後200mmとなるように製作し、アースに接地してある。
また、図3(b)に示すように、金属等の導電性母材21Aへライニングにより無機材料を設けたセラミック被覆処理誘電体21Bを被覆した組み合わせでロール電極21を構成してもよい。ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工しやすいので、さらに好ましく用いられる。金属等の導電性母材21a、21Aとしては、チタン、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスもしくはチタンが好ましい。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工しやすいので、さらに好ましく用いられる。
なお、本実施の形態においては、ロール電極の導電性母材21a、21Aは、液体による恒温手段を有するステンレス製ジャケットロール母材を使用している(不図示)。
図4(a)、(b)及び図5(a)、(b)は、印加電極である固定電極22、固定電極29があり、上記記載のロール電極21と同様な組み合わせで構成されている。
印加電極に電圧を印加する電源としては、特に限定はないが、神鋼電機製高周波電源(50kHz)、ハイデン研究所製高周波電源(連続モード使用、100kHz)、パール工業製高周波電源(200kHz)、パール工業製高周波電源(800kHz)、パール工業製高周波電源(2MHz)、日本電子製高周波電源(13.56MHz)、パール工業製高周波電源(27MHz)、パール工業製高周波電源(150MHz)等を好ましく使用できる。また、433MHz、800MHz、1.3GHz、1.5GHz、1.9GHz、2.45GHz、5.2GHz、10GHzを発振する電源を用いてもよい。
図6は、本発明に用いられるプラズマ放電処理装置Pの一例を示す概念図である。
図6において、プラズマ放電処理容器20の部分は図2の記載と同様であるが、さらに、ガス発生装置40、電源50、電極恒温ユニット70等が装置構成として配置されている。電極恒温ユニット70の恒温剤としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が用いられる。
図6に記載の電極は、図3、図5に示したものと同様であり、対向する電極間のギャップは、例えば1mm程度に設定される。
上記電極間の距離は、電極の母材に設置した固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に固体誘電体を設置した場合の固体誘電体同士の最短距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5〜20mmが好ましく、特に好ましくは1±0.5mmである。
前記プラズマ放電処理容器20内にロール電極21、固定電極29を所定位置に配置し、ガス発生装置40で発生させた混合ガスを流量制御し、ガス充填手段41を介して給気口27よりプラズマ放電処理容器20内に入れ、前記プラズマ放電処理容器20内をプラズマ処理に用いる混合ガスで充填し排気口28より排気する。次に電源50により電極に電圧を印加し、ロール電極21はアースに接地し、放電プラズマを発生させる。ここでロール状の元巻き基体60より基体Fを供給し、ガイドローラ24を介して、プラズマ放電処理容器20内の電極間を片面接触(ロール電極21に接触している)の状態で搬送される。そして、基体Fは搬送中に放電プラズマにより表面が製膜され、表面に混合ガス中の反応性ガス(表面処理剤を含む)由来の無機物を含有した表面処理層が形成された後、ガイドローラ25を介して、次工程に搬送される。ここで、基体Fはロール電極21に接触していない面のみ製膜がなされる。
電源50より固定電極29に印加される電圧の値は適宜決定されるが、例えば、電圧が0.5〜10kV程度で、電源周波数は1kHzを越えて150MHz以下に調整される。ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードとパルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよい。
また、放電出力については、装置の形状によって左右されるが、好ましくは0.1〜50/cm2の放電密度がよい。
次に2周波数の高周波電圧を印加する大気圧プラズマ放電方法及び装置について説明する。2周波数の高周波電圧による放電条件は、対向する電極(ここでは第1電極と第2電極と言う)で形成される放電空間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、前記第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を少なくとも有する。
高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを言う。
前記高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、前記第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重畳されたω1のサイン波がギザギザしたような波形となる。
本発明において、実際の表面処理層形成方法に使用される放電空間(電極の構成等)及び反応条件(ガス条件等)において放電を起こすことのできる最低電圧のことを放電開始電圧と言う。放電開始電圧は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種等によって多少変動するが、放電ガス単独の放電開始電圧と略同一と考えてよい。
上記で述べたような高周波電圧を対向電極間(放電空間)に印加することによって、表面処理層形成可能な放電を起こし、高品位な表面処理層形成に必要な高密度プラズマを発生することができると推定される。ここで重要なのは、このような高周波電圧が対向する電極それぞれに印加され、すなわち、同じ放電空間に両方から印加されることである。印加電極を2つ併置し、離間した異なる放電空間それぞれに、異なる周波数の高周波電圧を印加する方法では、本発明の表面処理層形成は達成できない。
上記でサイン波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方がサイン波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、さらに第3の電圧成分を有していてもよい。
上記の高周波電圧を、対向電極間(同一放電空間)に印加する具体的な方法としては、対向電極を構成する第1電極に周波数ω1であって電圧V1である第1の高周波電圧を印加する第1電源を接続し、第2電極に周波数ω2であって電圧V2である第2の高周波電圧を印加する第2電源を接続した大気圧プラズマ放電処理装置である。
上記の大気圧プラズマ放電処理装置には、前記対向電極間に、放電ガスと表面処理層形成ガスとを供給するガス供給手段を備える。さらに、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
また、電極、第1電源またはそれらの間の何れかには第1フィルターを、また、電極、第2電源またはそれらの間の何れかには第2フィルターを接続することが好ましく、第1フィルターは該第1電源からの周波数の電流を通過しにくくし、該第2電源からの周波数の電流を通過しやすくし、また、第2フィルターはその逆で、該第2電源からの周波数の電流を通過しにくくし、該第1電源からの周波数の電流を通過しやすくするというそれぞれのフィルターには機能が備わっているものを使用する。ここで、通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過しやすいとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
さらに、大気圧プラズマ放電処理装置の第1電源は、第2電源より大きな高周波電圧を印加できる能力を有していることが好ましい。
また、本発明における別の放電条件としては、対向する第1電極と第2電極との間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の高周波電圧V1及び第2の高周波電圧V2を重畳したものであって、放電開始電圧をIVとしたとき、
1≧IV>V2
または V1>IV≧V2を満たす。さらに好ましくは、
1>IV>V2を満たすことである。
高周波及び放電開始電圧の定義、また、上記本発明の高周波電圧を、対向電極間(同一放電空間)に印加する具体的な方法としては、上述したものと同様である。
ここで、高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧は、下記の方法で測定されたものをいう。
高周波電圧V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部の高周波プローブ(P6015A)を設置し、該高周波プローブをオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、電圧を測定する。
放電開始電圧IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、該電極間の電圧を増大させていき、放電が始まる電圧を放電開始電圧IVと定義する。測定器は上記高周波電圧測定と同じである。
高い電圧をかけるような放電条件をとることにより、例え窒素ガスのように放電開始電圧が高い放電ガスでも、放電ガスを開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持でき、高性能な表面処理層形成を行うことができる。
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電圧IVは3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の高周波電圧を、V1≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることができる。
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることができる。また、この電界波形としては、サイン波でもパルス波でもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な表面処理層が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
このような二つの電源から高周波電圧を印加することは、第1の周波数ω1側によって高い放電開始電圧を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また、第2の周波数ω2側はプラズマ密度を高くして緻密で良質な表面処理層を形成するのに必要であるということが本発明の重要な点である。
本発明において、前記第1フィルターは、前記第1電源からの周波数の電流を通過しにくくし、かつ前記第2電源からの周波数の電流を通過しやすくするようになっており、また、前記第2フィルターは、該第2電源からの周波数の電流を通過しにくく、かつ該第1電源からの周波数の電流を通過しやすくするようになっている。本発明において、かかる性質のあるフィルターであれば制限無く使用できる。
例えば、第1フィルターとしては、第2電源の周波数に応じて数10〜数万pFのコンデンサー、もしくは数μH程度のコイルを用いることができる。第2フィルターとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサーを介してアース接地することでフィルターとして使用できる。
また、第1電源と第2電源は、必ずしも同時に用いる必要はなく、それぞれを単独で用いてもよい。その場合は、単周波の高周波電源を印加した場合と同様な効果が得られる。
大気圧プラズマ放電処理装置は、上述のように、対向電極の間で放電させ、該対向電極間に導入した少なくとも放電ガスと表面処理層形成性ガス(反応ガス)をプラズマ状態とし、該対向電極間に静置あるいは移送される基体を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、該基体の上に表面処理層を形成させるものである(例えば図1〜図7参照)。また、他の方式として、大気圧プラズマ放電処理装置は、上記同様の対向電極間で放電させ、該対向電極間に導入したガスを励起し、またはプラズマ状態とし、該対向電極外にジェット状に励起またはプラズマ状態のガスを吹き出し、該対向電極の近傍にある基体(静置していても移送されていてもよい)を晒すことによって該基体の上に表面処理層を形成させるジェット方式の装置がある(後記図8参照)。
その他の方式として、後述する図9に示すように、2対の対向電極211−221、212−222によって形成された放電空間にそれぞれ放電ガスGを導入して励起し、この励起された放電ガスG’と、表面処理層の原料を含有する表面処理層形成ガス(反応ガス)Mとを、放電空間外で、接触または混合させることにより、基体F上に表面処理層を形成させることもできる。なお213は絶縁層である。
プラズマ放電処理容器20はパイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器等の絶縁性材料が好ましく用いられるが、電極との絶縁ができれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレスのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。
また、放電プラズマ処理時の基体への影響を最小限に抑制するために、放電プラズマ処理時の基体の温度を常温(15〜25℃)〜300℃未満の温度に調整することが好ましく、さらに好ましくは常温〜200℃に調整することである。ただし、これらの条件は基体の物性、特にガラス転移温度に依存して温度の上限が決定されるため、この範囲の限りではない。上記の温度範囲に調整するため、必要に応じて電極、基体は冷却手段で冷却しながら放電プラズマ処理される。
本発明の実施の形態においては、上記のプラズマ処理が大気圧または大気圧近傍で行うことが好ましいが、真空や高圧下においてプラズマ処理を行ってもよい。なお、大気圧近傍とは、20〜110kPaの圧力を表すが、本発明に記載の効果を好ましく得るためには、93〜104kPaが好ましい。
また、大気圧プラズマ処理に使用する放電用の電極においては、電極の少なくとも基体Fと接する側の表面は、JIS B 0601で規定される表面粗さの最大値(Rmax)が10μm以下になるように調整されていることが好ましく、さらに、表面粗さの最大値が8μm以下であるのが好ましい。
なお、上述した図1及び図2に示すプラズマ放電処理装置Pは、基体Fがフィルムである場合に使用される装置であったが、例えば、フィルムよりも厚みのある基体、例えば、レンズ等であれば図7に示すようなプラズマ放電処理装置Pを使用する。図7は、プラズマ放電処理装置Pの他の例を示す概略図である。
このプラズマ放電処理装置Pは、高周波電源101に接続される電極については、平板型の電極103を用い、該電極103上に基体(例えば、レンズL)を載置する。
一方、低周波電源102に接続される電極として、電極103上に対向するように、角型棒状の電極104bを設けている。角型棒状の電極104aは、アースとして接地してある。この場合、混合ガスを電極104a,104bの上方より供給し、電極104a,104bの間から電極103にわたる範囲でプラズマ状態とする。
図8は本発明に有用な大気圧プラズマ放電装置の別の一例を示した概略図である。
プラズマ放電処理装置Pは、第1電極111と第2電極112から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極111からは第1電源121からの第1の周波数ω1の高周波電圧V1が印加され、また、第2電極112からは第2電源122からの第2の周波数ω2の高周波電圧V2が印加されるようになっている。第1電源121は第2電源122より高い高周波電圧(V1>V2)を印加できる能力を有しており、また、第1電源121の第1の周波数ω1は第2電源122の第2の周波数ω2より低い周波数を印加できるものである。
第1電極111と第1電源121との間には、第1電源121からの電流が第1電極111に向かって流れるように第1フィルター123が設置されており、第1電源121からの電流を通過しにくくし、第2電源122からの電流が通過しやすくするように設計されている。
また、第2電極112と第2電源122との間には、第2電源122からの電流が第2電極112に向かって流れるように第2フィルター124が設置されており、第2電源122からの電流を通過しにくくし、第1電源121からの電流を通過しやすくするように設計されている。
第1電極111と第2電極112との対向電極間(放電空間)113に、ガス供給手段からガスGを導入し、第1電極111と第2電極112から高周波電圧を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基体Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、基体Fの上に、処理位置114付近で表面処理層を形成させる。
図9は本発明に有用な大気圧プラズマ放電処理装置のさらに別の一例を示した概略図である。
図9の大気圧プラズマ放電処理装置は、主には、第1電極211と第2電極221、第1電極212と第2電極222とがそれぞれ対向する様に配置されている対向電極、電圧印加手段である対向電極間に高周波電界を印加する高周波電源50の他に、図示していないが、放電ガスGを放電空間に、反応(表面処理層形成)ガスMを放電空間外に導入するガス供給手段、前記電極温度を制御する電極温度調整手段等から構成されている。
第1電極211と第2電極221、あるいは第1電極212と第2電極222とで挟まれ、かつ第1電極上の斜線で示した誘電体213を有する領域が放電空間である。この放電空間に、放電ガスGを導入して励起させる。また、第2電極221と22とで挟まれた領域では放電は起こらず、ここに表面処理層形成ガスMを導入する。次いで、対向電極が存在しない放電空間外の領域で、励起した放電ガスG′と、表面処理層形成ガスMとを接触させて間接励起ガスとして、この間接励起ガスに、基体F表面に晒して表面処理層を形成する。
ここでは、単周波の高周波電圧を印加するように図示されているが、前述のような方法を用いて2周波数の高周波電界を印加してもよい。
〈表面処理層の形成〉
使用するガスは、基体上に設けたい表面処理層の種類によって異なるが、基本的に、放電ガス(不活性ガス)と、表面処理層を形成するための表面処理剤を含む反応ガスの混合ガスである。反応ガスは、混合ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。0.1〜10体積%であることがより好ましいが、さらに好ましくは、0.1〜5体積%である。
上記不活性ガスとしては、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンや、窒素ガス等が挙げられるが、本発明に記載の効果を得るためには、ヘリウム、アルゴン、窒素ガスが好ましく用いられる。
また、混合ガス中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を0.01〜5体積%含有させることにより、反応を制御し、良質な表面処理層を形成することができる。
また、反応ガスの表面処理剤を放電空間である電極間に導入するには、常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。
有機薄膜トランジスタは、基体上に有機半導体チャネル(活性層、有機半導体層)で連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型(図10(a)〜(c))と、基体上に先ずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型(図10(d)〜(f))に大別される。本発明の有機薄膜トランジスタはこれらトップゲート型またボトムゲート型のいずれでもよいが、ボトムゲート型構造を有する有機薄膜トランジスタ、特に図10(f)のボトムゲート型構造を有する有機薄膜トランジスタが好ましい。
次いで、本発明を構成する有機薄膜トランジスタの構成要素について説明する。
〔有機半導体層〕
(有機半導体材料)
有機半導体層を構成する有機半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が適用可能である。
有機半導体材料は、溶解性、前記前処理剤により形成された薄膜との親和性からアルキル基を有することが好ましい。アルキル基については、炭素数が1〜40、好ましくは1〜20である。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、フタロシアニン、ポルフィリン等の化合物及びこれらの誘導体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体或いは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
さらに銅フタロシアニンや特開平11−251601に記載のフッ素置換銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N′−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N′−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミド等のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミド等のアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等が挙げられる。
これらのπ共役系材料のうちでも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
また、前記ポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、下記一般式(9)で表されるチオフェンオリゴマーが好ましい。
式中、Rは置換基を表す。
《一般式(9)で表されるチオフェンオリゴマー》
前記一般式(9)で表されるチオフェンオリゴマーについて説明する。
一般式(9)において、Rで表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。
これらの置換基は上記の置換基によってさらに置換されていても、複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
中でも好ましい置換基は、アルキル基であり、さらに好ましくは、炭素原子数が2〜20のアルキル基であり、特に好ましくは、炭素原子数6〜12のアルキル基である。
《チオフェンオリゴマーの末端基》
本発明に用いられるチオフェンオリゴマーの末端基について説明する。
本発明に用いられるチオフェンオリゴマーの末端基は、チエニル基をもたないことが好ましく、また、前記末端基として好ましい基としては、アリール基(例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)等が挙げられる。
《チオフェンオリゴマーの繰り返し単位の立体構造的特性》
本発明に用いられるチオフェンオリゴマーは、構造中に、Head−to−Head構造を持たないことが好ましく、それに加えて、さらに好ましくは、前記構造中に、Head−to−Tail構造、または、Tail−to−Tail構造を有することが好ましい。
本発明に係るHead−to−Head構造、Head−to−Tail構造、Tail−to−Tail構造については、例えば、『π電子系有機固体』(1998年、学会出版センター発行、日本化学界編)27〜32頁、Adv.Mater.1998,10,No.2,93〜116頁等により参照できるが、ここで、具体的に各々の構造的特徴を下記に示す。
なお、ここにおいてRは前記一般式(9)におけるRと同義である。
以下、本発明に用いられるこれらチオフェンオリゴマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
これらのチオフェンオリゴマーの製造法は、本発明者等による特願2004−172317号(2004年6月10日出願)に記載されている。
また、本発明においては、有機半導体層に、例えば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基等の官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレン及びテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体等のように電子を受容するアクセプターとなる材料や、例えばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基等の官能基を有する材料、フェニレンジアミン等の置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾール及びその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体等のように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
これらの有機半導体層を形成する方法としては、公知の方法で形成することができ、例えば、真空蒸着、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、スパッター法、CVD(Chemical Vapor Deposition)、レーザー蒸着、電子ビーム蒸着、電着、スピンコート、ディップコート、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、及びLB法等、またスクリーン印刷、インクジェット印刷、ブレード塗布等の方法を挙げることができる。
この中で生産性の点で、有機半導体の溶液を用いて簡単かつ精密に薄膜が形成できる溶液プロセス法、例えば、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が好まれる。
なお、Advanced Material誌 1999年 第6号、p480〜483に記載のように、ペンタセン等前駆体が溶媒に可溶であるものは、塗布により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機半導体材料の薄膜を形成してもよい。
これら有機半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
(電極)
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソースまたはドレイン電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、公知の電極材料にて形成される。電極材料としては導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等)も好適に用いられる。
ソース電極またドレイン電極を形成する材料としては、上に挙げた中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましく、p型半導体の場合は特に、白金、金、銀、ITO、導電性ポリマー及び炭素が好ましい。
ソース電極またドレイン電極とする場合は、上記の導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、分散液等の流動性電極材料を用いて形成したもの、特に、導電性ポリマー、または白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が好ましい。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
金属微粒子を含有する流動性電極材料としては、例えば公知の導電性ペースト等を用いてもよいが、好ましくは、粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜10nmの金属微粒子を、必要に応じて分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した材料である。
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法や、コロイド法、共沈法等の、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853等に示されたコロイド法、特開2001−254185、同2001−53028、同2001−35255、同2000−124157、同2000−123634等に記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
ソース電極及びドレイン電極は、特にフォトリソグラフ法を用いて形成することが好ましく、この場合、有機半導体保護層に接して層の全面に光感応性樹脂の溶液を塗布し、光感応性樹脂層を形成する。
光感応性樹脂層としては、前記、保護層のパターニングに用いるポジ型、ネガ型の公知の感光性樹脂と同じものが使用できる。
フォトリソグラフ法では、この後にソース電極及びドレイン電極の材料として金属微粒子含有分散体または導電性ポリマーを用いてパターニングし、必要に応じて熱融着し作製する。
光感応性樹脂の塗布溶液を形成する溶媒、光感応性樹脂層を形成する方法等、前記保護膜のパターニングに述べたとおりである。
光感応性樹脂層を形成後、パターニング露光に用いる光源、光感応性樹脂層の現像に用いられる現像液についても同様である。また、電極形成には他の光感応性樹脂層であるアブレーション層をもちいてもよい。アブレーション層についても、前記、保護層のパターニングに用いるものと同様のものが挙げられる。
本発明の有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマCVD法である。
ゲート絶縁層が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいはそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸またはホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
ゲート絶縁層上に有機半導体を形成する場合、ゲート絶縁層表面に、任意の表面処理を施してもよい。シランカップリング剤、例えばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸等の自己組織化配向膜が好適に用いられる。
〔基体(基板ともいう)〕
基体を構成する基体材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素等のセラミック基体、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等半導体基体、紙、不織布等を用いることができるが、本発明において基体は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基体を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
また本発明の有機薄膜トランジスタ上には保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物または無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。これにより、有機薄膜トランジスタの耐久性が向上する。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。
実施例1
(有機薄膜トランジスタの作製)
ゲート電極としての比抵抗0.02Ω・cmのn型Siウェハーに、厚さ200nmの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした。熱酸化膜の表面を酸素プラズマ処理により洗浄した後、下記表面処理剤A、Bを表1に記載のモル比で混合し溶解したトルエン溶液(1質量%、55℃)に10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、乾燥して熱酸化膜の表面処理を行った。
A:オクチルトリクロロシラン
B:4−フェニルブチルトリクロロシラン
この表面処理を行ったSiウェハー上に、例示化合物〈9〉(有機半導体材料)を溶解したシクロヘキサン/トルエン溶液(0.2質量%、シクロヘキサン:トルエン=1:1質量比)を、アプリケーターを用いて塗布した。室温で乾燥した後、窒素ガス雰囲気下で50℃、30分間の熱処理を施し、有機半導体層を形成した。有機半導体層の膜厚は20nmであった。
さらに、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着してソース電極及びドレイン電極を形成した。次いで、窒素ガス雰囲気下で90℃、1分間加熱した後、室温まで冷却し、チャネル幅W=1mm、チャネル長L=30μmの有機薄膜トランジスタ11〜16を作製した。
(有機薄膜トランジスタの評価)
得られた有機薄膜トランジスタについて以下の評価を行った。評価の結果を表1に示す。
なお、評価結果は、10回の塗布試行のうち一様な有機半導体層が形成された回の平均値で示した。
〈接触角の測定〉
表面処理を行った熱酸化膜表面の水に対する接触角を接触角計(CA−DT・A型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定した。
〈塗布性〉
有機半導体材料溶液塗布時の塗布性を下記基準で評価した。
○:10回の塗布試行に対し、10回とも一様な有機半導体層が形成された
△:10回の塗布試行に対し、8回は一様な有機半導体層が形成された。
×:10回の塗布試行に対し、5回は有機半導体の溶液が弾いてしまい、有機半導体層が形成されない
〈キャリア移動度及びon/off比〉
I−V特性の飽和領域からキャリア移動度を求め、さらに、ドレインバイアス−50Vとし、ゲートバイアス−50V及び0Vにしたときのドレイン電流値の比率からon/off比を求めた。
なお、有機薄膜トランジスタ11は塗布性が悪く、キャリア移動度及びon/off比の平均的な評価に信頼性がなかった。
得られた有機薄膜トランジスタは、有機薄膜トランジスタ1を除き、pチャネルエンハンスメント型FETとして良好に動作した。
表1の結果から、基体の表面を1種類の表面処理剤を用いて処理した比較例の有機薄膜トランジスタ11、16は、塗布性とTFT特性の両立ができなかった。基体の表面を2種類の表面処理剤を用いて処理した本発明の有機薄膜トランジスタ12〜15は、塗布性、キャリア移動度及びon/offが良好であった。
実施例2
実施例1の有機薄膜トランジスタの作製において、表面処理剤A、Bを下記表面処理剤C、Dに変更し、他は同様にして有機薄膜トランジスタ21〜26を作製した。得られた有機薄膜トランジスタについて、実施例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。
C:ヘキシルトリクロロシラン
D:3−フェノキシプロピルトリクロロシラン
なお、有機薄膜トランジスタ21は塗布性が悪く、キャリア移動度及びon/off比の評価ができなかった。
表2の結果から、基体の表面を1種類の表面処理剤を用いて処理した比較例の有機薄膜トランジスタ21、26は、塗布性とTFT特性の両立ができなかった。基体の表面を2種類の表面処理剤を用いて処理した本発明の有機薄膜トランジスタ22〜25は、塗布性、キャリア移動度及びon/offが良好であった。
実施例3
(有機薄膜トランジスタの作製)
ゲート電極としての比抵抗0.02Ω・cmのn型Siウェハーに、厚さ200nmの熱酸化膜を形成してゲート絶縁層とした。
さらに、その上に下記表面処理剤E、Fを表3に記載のモル比で混合し溶解したトルエン溶液(1質量%、ヘリウムガスにてバブリング)を反応ガスの一部に用い、下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理(表面処理)した。
E:オクチルトリエトキシシラン
F:4−フェニルブチルトリエトキシシラン
〈使用ガス〉
不活性ガス:ヘリウム 98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス 1.50体積%
反応性ガス:表面処理剤E、Fのトルエン溶液の蒸気 0.25体積%
〈放電条件〉
放電出力:10W/cm2
ここでは、パール工業製高周波電源を用い、周波数13.56MHzで放電させた。
〈電極条件〉
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
この表面処理を行ったSiウェハー上に、例示化合物〈9〉(有機半導体材料)を溶解したシクロヘキサン/トルエン溶液(0.2質量%、シクロヘキサン:トルエン=1:1質量比)をアプリケーターを用いて塗布した。室温で乾燥した後、窒素ガス雰囲気下で50℃、30分間の熱処理を施し、有機半導体層を形成した。有機半導体層の膜厚は20nmであった。
さらに、この膜の表面にマスクを用いて金を蒸着してソース電極及びドレイン電極を形成した。次いで、窒素ガス雰囲気下で90℃、1分間加熱した後、室温まで冷却し、チャネル幅W=1mm、チャネル長L=30μmの有機薄膜トランジスタ31〜36を作製した。
得られた有機薄膜トランジスタについて、実施例1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
表3の結果から、基体の表面を1種類の表面処理剤を用いて処理した比較例の有機薄膜トランジスタ21、26はTFT特性が不十分であった。基体の表面を2種類の表面処理剤を用いて処理した本発明の有機薄膜トランジスタ32〜35は、キャリア移動度及びon/offが良好であった。

Claims (12)

  1. 基体およびその表面に有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタであって、該有機半導体層と基体の間の基体表面に2〜5種類の表面処理剤により形成された表面処理層を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記表面処理剤がシラン化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  3. 前記表面処理剤のうち少なくとも一種がアルキル基を有するシラン化合物であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記表面処理剤のうち少なくとも一種が芳香族基を有するシラン化合物であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  5. 前記表面処理剤のうち少なくとも一種がアルキル基を有するシラン化合物であり、かつ少なくとも一種が芳香族基を有するシラン化合物であることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記表面処理した基体の表面の水に対する接触角が50度以上であることを特徴とする請求の範囲第1項〜5項のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ用基体。
  7. 前記有機半導体層に含まれる有機半導体材料がアルキル基を有することを特徴とする請求の範囲第1項〜5項のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  8. ボトムゲート構造であることを特徴とする請求の範囲第1〜5、7項のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  9. 請求の範囲第1〜5、7、8項のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、前記表面処理剤の溶液を基体の表面に供給することで表面処理を行うことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
  10. 請求の範囲第1〜5、7、8項のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、前記表面処理剤を使用しプラズマCVD法により表面処理を行うことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
  11. 前記プラズマCVD法が大気圧プラズマCVD法であることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  12. 請求の範囲第9項〜11項のいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法により製造されることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
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