上述のように、腎ガンの発現遺伝子マーカーはよく知られているが、転移を予測することができる診断マーカーおよび予後を予測するマーカーについてはわずかに知られているにすぎない。既存のマーカーは特異性および/または感受性に乏しいことや、生体試料からのその効率的な検出方法が確立していないことから一般に臨床上の利用は行われておらず、より特異性および感受性が高い腎ガンマーカーが切望されている。
もし有効な複数の腎ガンマーカーが発見されるならば、腎ガン治療および転移腎ガン治療に大きな進歩がもたらされることが予想される。特に転移腎ガン患者の多くは予後不良であるが、診断時に転移の有無を知ることによってより強力な治療を実施することが可能となり、予後が改善できると期待される。
本発明は、腎ガンの診断、腎ガン転移(または、予後)の診断、および腎ガンの治療に有用な疾患判定用組成物、キットまたはDNAチップを提供することを目的とする。
本発明はまた、上記組成物、キットまたはDNAチップを用いて腎ガンの存在または転移を検出、判定あるいは予測するための方法を提供することを目的とする。
マーカー探索の方法としては、腎ガン患者の予後を観察し、予後良の腎ガン患者由来の腎ガン細胞と予後不良の腎ガン患者由来の腎ガン細胞における遺伝子発現やタンパク質発現、または細胞の代謝産物などの量を何らかの手段によって比較する方法や、予後良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織または予後不良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織の体液中に含まれる遺伝子、タンパク質、代謝産物などの量を測定する方法が挙げられる。
DNAアレイを用いた発現遺伝子量解析は、近年、このようなマーカー探索の手法として特に汎用されている。DNAアレイには数百から数万種の遺伝子に対応した塩基配列を利用したプローブが固定されている。被検試料をDNAアレイに添加することによって試料中の遺伝子がプローブと結合し、この結合量を何らかの手段によって測定することにより、被検試料中の遺伝子量を知ることができる。DNAアレイ上に固定化するプローブに対応した遺伝子の選択は自由であり、また被検試料に予後良、および予後不良の患者由来の腎ガン細胞を用いて、試料中の発現遺伝子量を比較することによって腎ガン転移、および/または腎ガン患者予後予測マーカーとなりうる遺伝子群を推定することが可能である。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、予後良の腎ガン患者由来の腎ガン組織および予後不良の腎ガン患者由来の腎ガン組織の遺伝子発現をDNAアレイによって解析した。さらにDNAアレイによって測定された遺伝子発現量の、各患者群の手術後からの経時的な生存率変化に対する影響を指標として予後良の腎ガン患者由来の腎ガン組織および予後不良の腎ガン患者由来の腎ガン組織、および/または腎ガンの転移の有無を判別することができる遺伝子を選択し、本発明を完成させた。
発明の概要
本発明は、以下の特徴を有する。
(1) 下記のI群および/またはII群:
I群:
(a)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片、
(b)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(c)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片、
(d)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、および
(e)前記(a)〜(d)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、または15以上の連続した塩基を含むその断片、
からなるポリヌクレオチド、
II群:
(f)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号101〜110、112〜120、122〜147で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、それらの変異体、あるいはそれらの断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片あるいはその化学修飾誘導体、
(g)配列番号151、153、155〜160で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、それらの変異体、あるいはそれらの断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片あるいはその化学修飾誘導体、および
(h)配列番号161〜190で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、それらの変異体、あるいはそれらの断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片あるいはその化学修飾誘導体、
からなる抗体、その断片あるいはその化学修飾誘導体、
から選択される1または2以上のプローブを含んでなる、被験者における腎ガンの存在または転移をインビトロで検出、判定または予測するための組成物。
(2)前記I群およびII群(f)の各プローブによって腎ガンの存在または転移を検出、判定または予測することができる、(1)に記載の組成物。
(3)前記II群(g)、(h)の各プローブによって腎ガンの存在を検出、判定または予測することができる、(1)に記載の組成物。
(4)前記ポリヌクレオチドがDNAまたはRNAである、(1)に記載の組成物。
(5)前記I群における断片が、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドである、(1)に記載の組成物。
(6)前記I群における断片が、配列番号1〜10、12〜20、22〜47のいずれかで表される塩基配列において、それぞれ配列番号51〜60、62〜70、72〜97のいずれかで表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、(1)に記載の組成物。
(7)前記I群における断片が、配列番号51〜60、62〜70、72〜97のいずれかで表される塩基配列、またはこれらに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、(1)に記載の組成物。
(8)前記I群のプローブに加えて、配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはそれらのポリヌクレオチドの15以上の連続した塩基を含む断片から選択される1または2以上のポリヌクレオチドをプローブとしてさらに含む、(1)に記載の組成物。
(9)前記断片が、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドである、(8)に記載の組成物。
(10)前記断片が、配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列において、配列番号61、71、98〜100で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、(8)に記載の組成物。
(11)前記断片が、配列番号61、71、98〜100で表される塩基配列、またはこれに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、(8)に記載の組成物。
(12)前記II群(f)のプローブに加えて、配列番号111、121、148〜150で表されるポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片またはその化学修飾誘導体をさらに含む、(1)に記載の組成物。
(13)前記II群(g)のプローブに加えて、配列番号152、154、191で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片またはその化学修飾誘導体をさらに含む、(1)に記載の組成物。
(14)前記II群(h)のプローブに加えて、配列番号192〜197で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片またはその化学修飾誘導体をさらに含む、(1)に記載の組成物。
(15)前記ポリペプチドまたは変異体の断片が、少なくとも7個のアミノ酸からなるエピトープを含む、(1)、(12)、(13)または(14)に記載の組成物。
(16)前記抗体が、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、合成抗体、組換え抗体、多重特異性抗体または単鎖抗体である、請求項(1)、(12)、(13)または(14)に記載の組成物。
(17)前記I群またはII群(f)、(g)、(h)から選択される2以上のプローブを組み合わせて含む、(1)に記載の組成物。
(18)上記(1)に定義されるI群またはII群(f)、(g)、(h)から選択される1または2以上のプローブを含む、被験者における腎ガンの存在または転移をインビトロで検出、判定または予測するためのキット。
(19)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはそれらのポリヌクレオチドの15以上の連続した塩基を含む断片をプローブとしてさらに含む、(18)に記載のキット。
(20)前記プローブが、配列番号1〜10、11、12〜20、21、22〜47、48〜50のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはそれらの15以上の連続した塩基を含む断片である、(18)または(19)に記載のキット。
(21)前記I群における断片が、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドである、(18)〜(20)のいずれかに記載のキット。
(22)前記I群における断片が、配列番号1〜10、11、12〜20、21、22〜47、48〜50のいずれかで表される塩基配列において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド中にそれぞれ配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100のいずれかで表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、(18)〜(20)のいずれかに記載のキット。
(23)前記I群における断片が、配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100のいずれかで表される塩基配列、またはこれらに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、(18)〜(20)のいずれかに記載のキット。
(24)前記I群における断片が、配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチドである、(18)〜(20)のいずれかに記載のキット。
(25)配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100で表される塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上から全部を含む、(18)に記載のキット。
(26)前記II群(f)のプローブに加えて、配列番号111、121、148〜150で表されるポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片またはその化学修飾誘導体をさらに含む、(18)に記載のキット。
(27)前記II群(g)のプローブに加えて、配列番号152、154、191で表されるポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片またはその化学修飾誘導体をさらに含む、(18)に記載のキット。
(28)前記II群(h)のプローブに加えて、配列番号192〜197で表されるポリペプチド、その変異体またはその断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片またはその化学修飾誘導体をさらに含む、(18)に記載のキット。
(29)前記プローブが、単独でまたは組み合わせて異なる容器に包装されている、(18)に記載のキット。
(30)上記(1)に定義されるI群(a)〜(e)から選択される1または2以上のプローブを含む、被験者における腎ガンの存在または転移のいずれかをインビトロで検出、判定または予測するためのDNAチップ。
(31)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体および/またはその断片をさらに含む、(30)に記載のDNAチップ。
(32)配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100で表される塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上〜全部を含む、(30)に記載のDNAチップ。
(33)被験者由来の生体試料中の1または複数の腎ガン関連標的核酸の存在または存在量もしくは発現量を、上記(1)に定義されるI群および/またはII群(f)、(g)、(h)から選択されるプローブを用いてインビトロで測定することを含む、腎ガンの存在または転移をインビトロで検出、判定または予測する方法。
(34)前記測定をDNAチップを用いて行う、(33)に記載の方法。
(35)前記腎ガンの存在または転移の検出、判定または予測を、対照試料からの変化を指標にして決定する、(33)に記載の方法。
(36)前記測定を免疫学的方法によって行う、(33)に記載の方法。
(37)前記免疫学的方法による測定が、前記II群(f)、(g)または(h)の抗体、その断片、またはその化学修飾誘導体を用いて行われる、(36)に記載の方法。
(38)前記抗体、その断片、またはその化学修飾誘導体が標識されている、(37)に記載の方法。
(39)前記生体試料が腎由来の組織または細胞、血液、血漿、血清、あるいは尿である、(33)に記載の方法。
(40)被験者由来の生体試料中の1または複数の腎ガン関連標的核酸の存在または量もしくは発現量を、上記(1)に記載の組成物、上記(18)に記載のキット、または上記(30)に記載のDNAチップを用いてインビトロで測定することを含む、腎ガンの存在または転移をインビトロで検出、判定または予測する方法。
(41)上記(1)に定義されるI群から選択されるプローブ、あるいは、該プローブを含む、上記(1)に記載の組成物、上記(18)に記載のキット、または上記(30)に記載のDNAチップを用いて、被験者由来の腎ガン細胞生体試料における標的核酸の発現レベルを、予後不良の腎ガン患者母集団由来の腎ガン細胞における標的核酸の発現レベルおよび/または予後良の患者母集団由来の腎ガン細胞における標的核酸の発現レベルと比較することによって被験者の予後、ならびに/あるいは腎ガンの転移の有無をインビトロで予測する方法であって、該標的核酸が該組成物、キットまたはDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体またはその断片によって検出可能なものであり、かつ被験者由来の該標的核酸の発現レベルが、予後良の腎ガン患者母集団の発現レベルおよび/または予後不良の患者母集団の発現レベルから変化が認められる場合それぞれ、被験者の予後が悪いまたは被験者の予後が良いと決定する、ならびに/あるいは腎ガンの転移が有るまたは腎ガンの転移が無いと決定する、前記方法。
(42)DNAチップを用いる(41)に記載の方法。
(43)上記(1)に定義されるI群から選択されるプローブ、あるいは、該プローブを含む、上記(1)に記載の組成物、上記(18)に記載のキット、または上記(30)に記載のDNAチップを用いて、予後不良の患者由来の腎ガン細胞および/または予後良の患者由来の腎ガン細胞であることが既知である複数の生体試料中における標的核酸の発現レベルをインビトロで測定する第1の工程、前記第1の工程で得られた該標的核酸の発現レベルの測定値を教師とした判別式(サポートベクターマシーン)を作成する第2の工程、被験者の腎ガン由来の生体試料中における該標的核酸の発現レベルを第1の工程と同様にインビトロで測定する第3の工程、前記第2の工程で得られた判別式に第3の工程で得られた該標的核酸の発現レベルの測定値を代入し、該判別式から得られた結果に基づいて、被験者の予後を予測する、および/または被験者由来の腎ガンが、転移が有る患者由来の腎ガンである、または転移が無い患者由来の腎ガンであると決定する、第4の工程を含む、ここで、該標的核酸が該組成物、キットまたはDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体またはその断片によって検出可能なものである、(41)または(42)に記載の方法。
(44)上記(1)に定義されるI群および/またはII群から選択されるプローブ、あるいは、該プローブを含む、上記(1)に記載の組成物、上記(18)に記載のキット、または上記(30)に記載のDNAチップの、被験者由来の生体試料中の腎ガンの存在または転移をインビトロで検出、判定または予測するための使用。
定義
本明細書中で使用する用語は、以下の定義を有する。
本明細書において「プローブ」とは、腎ガンの存在または転移を検出、判定あるいは予測するための、腎関連マーカーである特定の遺伝子類またはそれらによってコードされるポリペプチド類と結合可能な核酸、抗体またはそれらの均等物を指す。
ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質などの略号による表示は、当技術分野における慣用の意味および表示に従うものとする。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、RNAおよびDNAのいずれも包含する核酸として用いられる。なお、上記DNAには、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAのいずれもが含まれる。また上記RNAには、totalRNA、mRNA、rRNA、および合成RNAのいずれもが含まれる。また、本明細書では、ポリヌクレオチドは核酸と互換的に使用される。
本明細書において「cDNA」とは、遺伝子の発現によって生じたRNAに相補的な配列のDNA鎖全長、およびその部分配列からなるDNA断片、を包含する。cDNAは、RNAを鋳型にして、ポリTプライマーを用いるRT−PCR(逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応)によって合成されうる。
本明細書において「遺伝子」とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成する正鎖(またはセンス鎖)または相補鎖(またはアンチセンス鎖)などの各1本鎖DNAを包含することを意図して用いられる。またその長さによって特に制限されるものではない。従って、本明細書において「遺伝子」は、特に言及しない限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNA、cDNAを含む1本鎖DNA(正鎖)、該正鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(相補鎖)、およびこれらの断片のいずれも含む。また該「遺伝子」は特定の塩基配列(または配列番号)で示される「遺伝子」だけではなく、これらによってコードされるタンパク質と生物学的機能が同等であるタンパク質、例えば同族体(すなわち、ホモログ)、スプライスバリアントなどの変異体、および誘導体をコードする「遺伝子」が包含される。かかる同族体、変異体または誘導体をコードする「遺伝子」としては、具体的には、後に記載したストリンジェントな条件下で、上記の配列番号1〜50で示されるいずれかの特定塩基配列の相補配列とハイブリダイズする塩基配列を有する「遺伝子」を挙げることができる。
例えばヒト由来のタンパク質の同族体(すなわち、ホモログ)またはそれをコードする遺伝子としては、当該タンパク質またはそれをコードするヒト遺伝子に対応する他生物種のタンパク質または遺伝子が例示でき、これらのタンパク質または遺伝子ホモログは、HomoloGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/homoloGene/)により同定することができる。具体的には特定のヒトアミノ酸または塩基配列をBLASTプログラム(Karlin,S.ら、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、 1993年、第90巻、p.5873―5877、 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)にかけて一致する(Scoreが最も高く、E−valueが0でかつIdentifyが100%を示す)配列の登録番号(accession number)を取得することができる。BLASTプログラムとしては、BLASTN(遺伝子)、BLASTX(タンパク質)などが知られている。例えば、遺伝子検索の場合、上記BLAST検索からの登録番号をUniGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/)に入力して得られたUniGeneClusterID(Hs.で示す番号)をHomoloGeneに入力する。結果として得られた他生物種遺伝子とヒト遺伝子との遺伝子ホモログの相関を示したリストから、特定の塩基配列で示されるヒト遺伝子に対応する遺伝子ホモログとして、他生物種の遺伝子を選抜することができる。またこの方法において、BLASTプログラムの代わりにFASTAプログラム(http://www.ddbj.nig.ac.jp/search/fasta−e.html)を用いてもよい。
なお、「遺伝子」は、機能領域の別を問うものではなく、例えば発現制御領域、コード領域、エキソンまたはイントロンを含むことができる。
本明細書において「転写産物」とは、遺伝子のDNA配列を鋳型にして合成されたメッセンジャーRNA(mRNA)のことをいう。RNAポリメラーゼが遺伝子の上流にあるプロモーターと呼ばれる部位に結合し、DNAの塩基配列に相補的になるように3'末端にリボヌクレオチドを結合させていく形でメッセンジャーRNAが合成される。このメッセンジャーRNAには遺伝子そのもののみならず、発現制御領域、コード領域、エキソンまたはイントロンをはじめとする転写開始点からポリA配列の末端にいたるまでの全配列が含まれる。
本明細書において「翻訳産物」とは、転写によって合成されたメッセンジャーRNAが、スプライシングなどの修飾を受ける/受けないにかかわらず、その情報を元に合成されたタンパク質を示す。メッセンジャーRNAの翻訳過程においては、まずリボソームとメッセンジャーRNAが結合し、次にメッセンジャーRNAの塩基配列に従ってアミノ酸がつながっていき、タンパク質が合成される。
本明細書において「プライマー」とは、遺伝子の発現によって生じたRNAまたはそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に認識し、増幅する、連続するポリヌクレオチドおよび/またはそれに相補的なポリヌクレオチドを包含する。
ここで相補的なポリヌクレオチド(相補鎖、逆鎖)とは、配列番号によって定義される塩基配列からなるポリヌクレオチドの全長配列、またはその部分配列、(ここでは便宜上、これを正鎖と呼ぶ)に対してA:T(U)、G:Cといった塩基対関係に基づいて、塩基的に相補的な関係にあるポリヌクレオチドを意味する。ただし、かかる相補鎖は、対象とする正鎖の塩基配列と完全に相補配列を形成する場合に限らず、対象とする正鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズできる程度の相補関係を有するものであってもよい。
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、プローブが他の配列に対するよりも、検出可能により大きな程度(例えばバックグラウンドよりも少なくとも2倍)で、その標的配列に対してハイブリダイズする条件をいう。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、ハイブリダイゼーションが行われる環境によって異なる。ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件のストリンジェンシーを制御することにより、プローブに対して100%相補的である標的配列が同定され得る。
本明細書において「変異体」とは、核酸の場合、多型性、突然変異、転写時の選択的スプライシングなどに起因した天然の変異体、同族体、あるいは遺伝暗号の縮重に基づく変異体、あるいは配列番号1〜50で表される塩基配列またはその部分配列において1以上、好ましくは1もしくは数個、の塩基の欠失、置換、付加または挿入を含む変異体、あるいは該塩基配列またはその部分配列と約80%以上、約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上、約97%以上、約98%以上、もしくは約99%以上の%同一性を示す変異体、あるいは該塩基配列またはその部分配列を含むポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドと上記定義のストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸を意味し、一方、タンパク質またはペプチドの場合、配列番号101〜197で表されるアミノ酸配列またはその部分配列において1以上、好ましくは1もしくは数個、のアミノ酸の欠失、置換、付加または挿入を含む変異体、あるいは該アミノ酸配列またはその部分配列と約80%以上、約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上、約97%以上、約98%以上、もしくは約99%以上の%同一性を示す変異体を意味する。
本明細書において「数個」とは、約10、9、8、7、6、5、4、3または2個以下の整数を意味する。
本明細書において「%同一性」は、上記のBLASTやFASTAによるタンパク質または遺伝子の検索システムを用いて、ギャップを導入して、決定することができる(Karlin,S.ら、1993年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第90巻、p.5873-5877;Altschul,S.F.ら、1990年、Journal of Molecular Biology、第215巻、p.403−410;Pearson,W.R.ら、1988年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第85巻、p.2444-2448)。
本明細書において「誘導体」とは、核酸の場合、蛍光団などによるラベル化誘導体、修飾ヌクレオチド(例えばハロゲン、メチルなどのアルキル、メトキシなどのアルコキシ、チオ、カルボキシメチルなどの基を含むヌクレオチドおよび塩基の再構成、二重結合の飽和、脱アミノ化、酸素分子の硫黄分子への置換などを受けたヌクレオチドなど)を含む誘導体など、一方、タンパク質(抗体を含む)の場合、酵素、蛍光団、放射性同位元素などのラベルによるラベル化誘導体、あるいはアセチル化、アシル化、アルキル化、リン酸化、硫酸化、グリコシル化などの化学修飾を含む誘導体を意味する。
本明細書において「診断(または検出または判定)用組成物」や「疾患判定用組成物」とは、腎ガン患者の予後を予測するため、および/または腎ガンの罹患の有無、罹患の程度、腎ガンの転移の有無、もしくは改善の有無や改善の程度の診断に、また腎ガンの予防、改善または治療に有用な候補物質をスクリーニングするために、直接または間接的に利用される組成物をいう。この組成物には腎ガンの罹患に関連して生体内、特に腎組織において発現が変動する遺伝子を特異的に認識し、また結合することのできるヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド、および該遺伝子の翻訳産物であるタンパク質を検出することができる抗体などが含まれる。これらのヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、上記性質に基づいて生体内、組織や細胞内などで発現した上記遺伝子を検出するためのプローブとして、また生体内で発現した上記遺伝子を増幅するためのプライマーとして有効に利用することができる。本明細書において使用される「組成物」は、本発明に関わる単一のプローブ、または2つ以上の異なるプローブの混合物、を含む組成物を意味し、該組成物は、固体(例えば凍結乾燥物など)、溶液(例えば水溶液、緩衝溶液など)を含む任意の形態をとることができる。また、該組成物は、必要に応じて、分析に影響を与えないという条件で、安定剤、防腐剤などの添加剤を含有することができる。
本明細書において検出・診断対象となる「生体試料」とは、腎ガンの発生にともない本発明の標的遺伝子が発現変化する、あるいは本発明の標的ポリペプチドの量が正常対照と比べて変化する、生体から採取された試料(または検体)をいう。生体試料には、例えば腎組織、その周辺のリンパ節、転移が疑われる他臓器などからの組織、それらの組織に由来する細胞、ならびに血液などの体液などが含まれる。
本明細書において「特異的に結合する」とは、抗体またはその断片が、本発明の標的ポリペプチド、その変異体またはその断片とのみ抗原-抗体複合体を形成し、他のペプチド性またはポリペプチド性物質とは該複合体を実質的に形成しないことを意味する。ここで、「実質的に」とは、程度は小さいが非特異的な複合体形成が起こり得ることを意味する。
本明細書において「エピトープ」とは、本発明の標的ポリペプチド、その変異体またはその断片において、抗原性または免疫原性を有する部分アミノ酸領域(抗原決定基)指す。エピトープは通常、少なくとも5アミノ酸、好ましくは少なくとも7アミノ酸、より好ましくは少なくとも10アミノ酸からなる。
本明細書において「予後」とはKaplan−Meier法(例えばBMJ(1998) 317:1572)でプロットした生存曲線で示される生存確率を表す。また「予後が良い」患者群とは、なんらかの臨床情報により腎ガン患者を分類し、それぞれについて生存曲線をKaplan−Meier法でプロットした上で、その差をなんらかの統計的手法によって検定し、有意な差(p<0.05)をもって生存率が高いとされた群を示す。同様に「予後が悪い」患者群とは、なんらかの臨床情報により腎ガン患者を分類し、それぞれについて生存曲線をKaplan−Meier法でプロットした上で、その差をなんらかの統計的手法によって検定し、有意な差(p<0.05)をもって生存率が低いとされた群を示す。癌の転移の有無は、患者の予後に影響を及ぼす要素の1つであるため、予後の予測は、一部には、癌の転移の予測と相関する。
本明細書で使用される「PABPN1遺伝子」または「PABPN1」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号1)で示されるPoly(A)−Binding Protein, Nuclear 1遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号1に記載のPABPN1遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000100836)やその他生物種ホモログなどが包含される。PABPN1遺伝子は、例えばBrais,B.ら、1998年、Nature genetics、第18巻、p.164―167に記載される方法によって得ることができる。PABPN1遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「PINK1遺伝子」または「PINK1」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号2)で示されるPTEN Induced Putative Kinase 1遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号2に記載のPINK1遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000180056)やその他生物種ホモログなどが包含される。PINK1遺伝子は、例えばUnoki,M.ら、2001年、Oncogene、第20巻、p.4457―4465に記載される方法によって得ることができる。PINK1遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「TFF2遺伝子」または「TFF2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号3)で示されるTrefoil Factor 2遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号3に記載のTFF2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000160181)やその他生物種ホモログなどが包含される。TFF2遺伝子は、例えばTomasetto,C.ら、1990年、EMBO Journal、第9巻、p.407−414に記載される方法によって得ることができる。TFF2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「EIF3S9遺伝子」または「EIF3S9」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号4)で示されるEukaryotic Translation Initiation Factor 3 Subunit 9遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号4に記載のEIF3S9遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000106263)やその他生物種ホモログなどが包含される。EIF3S9遺伝子は、例えばMethot,N.ら、1997年、Journal of Biological Chemistry、第272巻、p.1110−1116に記載される方法によって得ることができる。EIF3S9遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「MAX遺伝子」または「MAX」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号5)で示されるMAX Protein遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号5に記載のMAX遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000125952)やその他生物種ホモログなどが包含される。MAX遺伝子は、例えばWagner,A.ら、1992年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第89巻、p.3111−3115に記載される方法によって得ることができる。MAX遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「MLL4遺伝子」または「MLL4」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号6)で示されるTrithorax Homolog 2遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号6に記載のMLL4遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000105663)やその他生物種ホモログなどが包含される。MLL4遺伝子は、例えばNagase,T.ら、1997年、DNA Research、第4巻、p.141−150に記載される方法によって得ることができる。MLL4遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「CACNB2遺伝子」または「CACNB2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号7)で示されるDihydropyridine−Sensitive L−Type, Calcium Channel Beta−2 Subunit遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号7に記載のCACNB2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000165995)やその他生物種ホモログなどが包含される。CACNB2遺伝子は、例えばRosenfeld,M.ら、1993年、Annals of Neurology.、第33巻、p.113−120に記載される方法によって得ることができる。CACNB2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「ZMYND11遺伝子」または「ZMYND11」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号8)で示されるAdenovirus 5 E1A−Binding Protein遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号8に記載のZMYND11遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000015171)やその他生物種ホモログなどが包含される。ZMYND11遺伝子は、例えばHateboer,G.ら、1995年、EMBO Journal、第14巻、p.3159−3169に記載される方法によって得ることができる。ZMYND11遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「BAT2遺伝子」または「BAT2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号9)で示されるAdenovirus 5 E1A−Binding Protein遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号9に記載のBAT2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000111960)やその他生物種ホモログなどが包含される。BAT2遺伝子は、例えばBanerji,J.ら、1990年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第87巻、p.2374−2378に記載される方法によって得ることができる。BAT2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「NRBP遺伝子」または「NRBP」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号10)で示されるNuclear Receptor Binding Protein遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号10に記載のNRBP遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000115216)やその他生物種ホモログなどが包含される。NRBP遺伝子は、例えばHooper,J.D..ら、2000年、Genomics、第66巻、p.113−118に記載される方法によって得ることができる。NRBP遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「MCM3AP遺伝子」または「MCM3AP」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号11)で示される80 KDa MCM3−Associated Protein遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号11に記載のMCM3AP遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000160294)やその他生物種ホモログなどが包含される。MCM3AP遺伝子は、例えばTakei,Y.ら、1998年、Journal of Biological Chemistry、第273巻、p.22177−22180に記載される方法によって得ることができる。MCM3AP遺伝子の発現変動が腎ガンの指標となることは、特表2005−520536のなかで推定されているが、立証はされていない。
本明細書で使用される「COL4A1遺伝子」または「COL4A1」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号12)で示されるCollagen Alpha 1(IV) Chain遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号12に記載のCOL4A1遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000139825)やその他生物種ホモログなどが包含される。COL4A1遺伝子は、例えばSolomon,E.ら、1985年Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第82巻、p.3330−3334に記載される方法によって得ることができる。COL4A1遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「MKNK1遺伝子」または「MKNK1」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号13)で示されるMAP Kinase−Interacting Serine/Threonine Kinase 1遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号13に記載のMKNK1遺伝子(Ensembl Gene ID, . ENSG00000079277)やその他生物種ホモログなどが包含される。MKNK1遺伝子は、例えばFukunaga,R.ら、1997年、EMBO Journal、第16巻、p.1921−1933に記載される方法によって得ることができる。MKNK1遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「BBC3遺伝子」または「BBC3」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号14)で示されるBCL2 Binding Component 3遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号14に記載のBBC3遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000105327)やその他生物種ホモログなどが包含される。BBC3遺伝子は、例えばYu,J.ら、2001年、Molecular Cell、第7巻、p.673−682に記載される方法によって得ることができる。BBC3遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「FLJ10359遺伝子」または「FLJ10359」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号15)で示されるProtein BAP28;遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号15に記載のFLJ10359遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000119285)やその他生物種ホモログなどが包含される。
本明細書で使用される「DPT遺伝子」または「DPT」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号16)で示されるDermatopontin遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号16に記載のDPT遺伝子(Ensembl Gene ID, ENSG00000143196)やその他生物種ホモログなどが包含される。DPT遺伝子は、例えばSuperti−Fruga,A.ら、1993年、Genomics、第17巻、p.463−467に記載される方法によって得ることができる。DPT遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「C10orf76遺伝子」または「C10orf76」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号17)で示される遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号17に記載のC10orf76遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000120029)やその他生物種ホモログなどが包含される。
本明細書で使用される「DIA1遺伝子」または「DIA1」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号18)で示されるNADH−Cytochrome B5 Reductase遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号18に記載のDIA1遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000100243)やその他生物種ホモログなどが包含される。DIA1遺伝子は、例えばDu,M.ら、1997年、Biochemical Biophysical Research Communication、第235巻、p.779−783に記載される方法によって得ることができる。DIA1遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「PBK遺伝子」または「PBK」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号19)で示されるT−LAK Cell−Originated Protein Kinase遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号19に記載のPBK遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000168078)やその他生物種ホモログなどが包含される。PBK遺伝子は、例えばGaudet,S.ら、2000年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第97巻、p.5167−5172に記載される方法によって得ることができる。PBK遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「PRKD2遺伝子」または「PRKD2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号20)で示されるProtein Kinase C, D2 Type遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号20に記載のPRKD2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000105287)やその他生物種ホモログなどが包含される。PRKD2遺伝子は、例えばSturany,S.ら、2001年、Journal of Biological Chemistry、第276巻、p.3310−3318に記載される方法によって得ることができる。PRKD2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「KRT19遺伝子」または「KRT19」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号21)で示されるKeratin,Type I Cytoskeletal 19遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号21に記載のKRT19遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000171345)やその他生物種ホモログなどが包含される。KRT19遺伝子は、例えばBader,B.ら、1986年、EMBO Journal、第5巻、p.1865−1875に記載される方法によって得ることができる。KRT19遺伝子の発現変動が腎ガンの指標となることは、特表2005−507997のなかで推定されているが、立証はされていない。
本明細書で使用される「FLJ23436遺伝子」または「FLJ23436」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号22)で示される遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号22に記載のFLJ23436遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000169957)やその他生物種ホモログなどが包含される。FLJ23436遺伝子は、例えばBeausoleil,S.A.ら、2004年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第101巻、p.12130−12135に記載される方法によって得ることができる。FLJ23436遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「NPHS2遺伝子」または「NPHS2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号23)で示されるPodocin遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号23に記載のNPHS2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000116218)やその他生物種ホモログなどが包含される。NPHS2遺伝子は、例えばKestila,M.ら、1998年、Molecular Cell、第1巻、p.575−582に記載される方法によって得ることができる。NPHS2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「C3orf14遺伝子」または「C3orf14」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号24)で示される遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードするHT021遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号24に記載のC3orf14遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000114405)やその他生物種ホモログなどが包含される。
本明細書で使用される「AGTR2遺伝子」または「AGTR2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号25)で示されるType−2 Angiotensin II Receptor遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号25に記載のAGTR2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000180772)やその他生物種ホモログなどが包含される。AGTR2遺伝子は、例えばKoike,G.ら、1994年、Biochemical Biophysical Research Communication、第203巻、p.1842−1850に記載される方法によって得ることができる。AGTR2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「HTR1F遺伝子」または「HTR1F」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号26)で示される5−Hydroxytryptamine 1F Receptor遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号26に記載のHTR1F遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000179097)やその他生物種ホモログなどが包含される。HTR1F遺伝子は、例えばLovenberg,T.W.ら、1993年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第90巻、p.2184−2188に記載される方法によって得ることができる。HTR1F遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「KIF3B遺伝子」または「KIF3B」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号27)で示されるKinesin−Like Protein KIF3B遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号27に記載のKIF3B遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000101350)やその他生物種ホモログなどが包含される。KIF3B遺伝子は、例えばNagase,T.ら、1997年、DNA Research、第4巻、p.141−150に記載される方法によって得ることができる。KIF3B遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「DCN遺伝子」または「DCN」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号28)で示されるDecorin遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号28に記載のDCN遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000011465)やその他生物種ホモログなどが包含される。DCN遺伝子は、例えばDanielson,K.G.ら、1993年、Genomics、第15巻、p.146−160に記載される方法によって得ることができる。DCN遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「STK22C遺伝子」または「STK22C」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号29)で示されるTestis−Specific Serine/Threonine Kinase 22C遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号29に記載のSTK22C遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000162526)やその他生物種ホモログなどが包含される。STK22C遺伝子は、例えばVisconti,P.E.ら、2001年、Genomics、第77巻、p.163−170に記載される方法によって得ることができる。STK22C遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「DKFZp566C0424遺伝子」または「DKFZp566C0424」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号30)で示されるPutative MAPK Activating Protein PM20遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号30に記載のDKFZp566C0424遺伝子(ENSG00000055070)やその他生物種ホモログなどが包含される。DKFZp566C0424遺伝子は、例えばVisconti,P.E.ら、2001年、Genomics、第77巻、p.163−170に記載される方法によって得ることができる。DKFZp566C0424遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「CNR1遺伝子」または「CNR1」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号31)で示されるCannabinoid Receptor 1遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードするCannabinoid Receptor 1遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号31に記載のCNR1遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000118432)やその他生物種ホモログなどが包含される。CNR1遺伝子は、例えばMatsuda,L.A.ら、1990年、Nature、第346巻、p.561−564に記載される方法によって得ることができる。CNR1遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「HOMER3遺伝子」または「HOMER3」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号32)で示されるHOMER,Neuronal Immediate Early Gene, 3遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号32に記載のHOMER3遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000051128)やその他生物種ホモログなどが包含される。HOMER3遺伝子は、例えばXiao,B.ら、2001年、Neuron、第21巻、p.707−716に記載される方法によって得ることができる。HOMER3遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「GPR2遺伝子」または「GPR2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号33)で示されるC−C Chemokine Receptor Type 10遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号33に記載のGPR2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000177032)やその他生物種ホモログなどが包含される。GPR2遺伝子は、例えばMarchese,A.ら、1994年、Genomics、第23巻、p.609−618に記載される方法によって得ることができる。GPR2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「FLJ12442遺伝子」または「FLJ12442」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号34)で示される遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号34に記載のFLJ12442遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000168268)やその他生物種ホモログなどが包含される。FLJ12442遺伝子は、例えばOta,T.ら、2004年、Nature Genetics、第36巻、p.40−45に記載される方法によって得ることができる。FLJ12442遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「XLKD1遺伝子」または「XLKD1」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号35)で示されるExtracellular Link Domain Containing 1遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号35に記載のXLKD1遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000133800)やその他生物種ホモログなどが包含される。XLKD1遺伝子は、例えばBanerji,S.ら、1999年、Journal of Cellular Biology、第144巻、p.1789−801に記載される方法によって得ることができる。XLKD1遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「CASKIN2遺伝子」または「CASKIN2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号36)で示されるCASK−Interacting Protein 2遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号36に記載のCASKIN2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000177303)やその他生物種ホモログなどが包含される。CASKIN2遺伝子は、例えばStrausberg,R.L.ら、2002年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第99巻、p.16899−16903に記載される方法によって得ることができる。CASKIN2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「COL5A2遺伝子」または「COL5A2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号37)で示されるCollagen Alpha 2(V) Chain遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号37に記載のCOL5A2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000179877)やその他生物種ホモログなどが包含される。COL5A2遺伝子は、例えばBurgeson,R.E.ら、2002年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第73巻、p.2579−2583に記載される方法によって得ることができる。COL5A2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「BRD3遺伝子」または「BRD3」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号38)で示されるBromodomain−Containing Protein 3遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号38に記載のBRD3遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000169925)やその他生物種ホモログなどが包含される。BRD3遺伝子は、例えばNomura,N.L.ら、1994年、DNA Research、第1巻、p.223−229に記載される方法によって得ることができる。BRD3遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「ATP6V0A4遺伝子」または「ATP6V0A4」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号39)で示されるATPase,H+ Transporting,Lysosomal V0 Subunit A ISOFORM 4遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号39に記載のATP6V0A4遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000105929)やその他生物種ホモログなどが包含される。ATP6V0A4遺伝子は、例えばSmith,A.N.ら、2000年、Nature Genetics、第26巻、p.71−75に記載される方法によって得ることができる。ATP6V0A4遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「PRODH2遺伝子」または「PRODH2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号40)で示されるNephrin遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号40に記載のPRODH2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000161270)やその他生物種ホモログなどが包含される。PRODH2遺伝子は、例えばChakravarti,A.ら、2002年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第99巻、p.4755−4756に記載される方法によって得ることができる。PRODH2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「EPHB2遺伝子」または「EPHB2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号41)で示されるEphrin Type−B Receptor 2遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号41に記載のEPHB2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000133216)やその他生物種ホモログなどが包含される。EPHB2遺伝子は、例えばChan,J.ら、1991年、Oncogene、第6巻、p.1057−1061に記載される方法によって得ることができる。EPHB2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「LYAR遺伝子」または「LYAR」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号42)で示されるHypothetical Protein FLJ20425遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号42に記載のLYAR遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000145220)やその他生物種ホモログなどが包含される。LYAR遺伝子は、例えばSu,L.ら、1993年、Genes Development、第7巻、p.735−748に記載される方法によって得ることができる。LYAR遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「COX6B遺伝子」または「COX6B」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号43)で示されるCytochrome C Oxidase Polypeptide VIB遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号43に記載のCOX6B遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000126267)やその他生物種ホモログなどが包含される。COX6B遺伝子は、例えばTaanman,J−W.ら、1989年、Nucleic Acids Research、第17巻、p.1766に記載される方法によって得ることができる。COX6B遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「PRH1遺伝子」または「PRH1」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号44)で示されるSalivary Acidic Proline−Rich Phosphoprotein 1/2遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号44に記載のPRH1遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000176621)やその他生物種ホモログなどが包含される。PRH1遺伝子は、例えばOppenheim,F.G.ら、1971年、Biochemistry、第10巻、p.4233−4238に記載される方法によって得ることができる。PRH1遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「LAPTM5遺伝子」または「LAPTM5」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号45)で示されるLysosomal−Associated Multitransmembrane Protein遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号45に記載のLAPTM5遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000162511)やその他生物種ホモログなどが包含される。LAPTM5遺伝子は、例えばAdra,C.N.ら、1996年、Genomics、第35巻、p.328−337に記載される方法によって得ることができる。LAPTM5遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていないが、腎ガンのマーカーとなりうることは推定されている(国際公開WO2005/24603)。
本明細書で使用される「RPS6KA4遺伝子」または「RPS6KA4」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号46)で示されるRibosomal Protein S6 Kinase, 90KDA, Polypeptide 4遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号46に記載のRPS6KA4遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000162302)やその他生物種ホモログなどが包含される。RPS6KA4遺伝子は、例えばPierrat,B.ら、1998年、Journal of Biological Chemistry、第273巻、p.29661−29671に記載される方法によって得ることができる。RPS6KA4遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「GCC2遺伝子」または「GCC2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号47)で示されるGRIP and Coiled―Coil Domain Containing 2遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号47に記載のGCC2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000144055)やその他生物種ホモログなどが包含される。GCC2遺伝子は、例えばEichmuller,S.ら、2001年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第98巻、p.629−634に記載される方法によって得ることができる。GCC2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることは知られていない。
本明細書で使用される「FGF2遺伝子」または「FGF2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号48)で示されるHeparin−Binding Growth Factor 2遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号48に記載のFGF2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000138685)やその他生物種ホモログなどが包含される。FGF2遺伝子は、例えばAbraham,J.ら、1986年、Science、第233巻、p.545−548に記載される方法によって得ることができる。FGF2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることはMiyake,H.ら、1996年、Cancer Research、第56巻、p.2440−2445に示されるように公知である。
本明細書で使用される「MMP14遺伝子」または「MMP14」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号49)で示されるMatrix Metalloproteinase−14遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号49に記載のMMP14遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000157227)やその他生物種ホモログなどが包含される。MMP14遺伝子は、例えばSato,H.ら、1994年、Nature、第370巻、p.61−65に記載される方法によって得ることができる。MMP14遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることはKitagawa,Y.ら、1999年、Journal of Urology、第162巻、p.905−909などに示されるように公知である。
本明細書で使用される「ERBB2遺伝子」または「ERBB2」という用語は、配列番号で指定しない限り、特定塩基配列(配列番号50)で示されるReceptor Protein−Tyrosine Kinase ERBB−2遺伝子(DNA)、その同族体、変異体および誘導体などをコードする遺伝子(DNA)を包含する。具体的には、配列番号50に記載のERBB2遺伝子(Ensembl Gene ID,ENSG00000141736)やその他生物種ホモログなどが包含される。ERBB2遺伝子は、例えばYang−Feng,T.L.ら、1985年、Citogenetic Cell Genetics、第40巻、p.784に記載される方法によって得ることができる。ERBB2遺伝子の発現変動が腎ガンの転移の指標となることはFreeman,M.R.ら、1989年、Cancer Research、第49巻、p.6221−6225に示されるように公知である。
本明細書中に記載されるその他の遺伝子またはポリペプチドについては、下記の詳細な説明のなかで適宜説明する。
発明の効果
本発明は、腎ガンの存在や腎ガンの転移の診断、検出、判定または予測、および腎ガンの治療に有用な疾患判定用組成物、並びに、該組成物を用いた腎ガンおよび腎ガン転移を診断、検出、判定または予測するための方法を提供するものであり、これによって、腎ガンの存在や腎ガンの転移に対して特異的かつ高予測率の、および迅速でかつ簡便な、検出、判定または予測方法を提供するという格別の作用効果を有する。
また、本発明の腎ガンマーカーのなかには、腎ガン患者の血液などの生体試料中にも見出されるものもあるが、それは健常人にはほとんどまたは全く見出されないため、単に上記マーカーの存在または量を指標にすることによって、例えば血液において、容易に腎ガンを検出することができるという作用効果をも有する。
本発明は、本発明の腎ガンを検出するプローブと腎ガンの転移を検出するプローブとを組み合わせることによって腎ガン患者の予後の管理のために有益な診断を行うことを可能にする。
以下に本発明をさらに具体的に説明する
1.腎ガン関連マーカー
1.1 腎ガン関連標的核酸
本発明の組成物、キットまたはDNAチップを使用して腎ガンの存在および転移を検出、判定または予測するための、腎ガン患者予後予測のための、ならびに腎ガン転移細胞の存在または不存在を判定するための、腎ガン転移関連マーカーとしての標的核酸には、例えば、配列番号1〜50で表される塩基配列を含むヒト遺伝子(すなわち、それぞれ、PABPN1、PINK1、TFF2、EIF3S9、MAX、MLL4、CACNB2、ZMYND11、BAT2、NRBP、MCM3AP、COL4A1、MKNK1、BBC3、FLJ10359、DPT、C10orf76、DIA1、PBK、PRKD2、KRT19、FLJ23436、NPHS2、C3orf14、AGTR2、HTR1F、KIF3B、DCN、STK22C、DKFZp566C0424、CNR1、HOMER3、GPR2、FLJ12442、XLKD1,CASKIN2、COL5A2、BRD3、ATP6V0A4、PRODH2、EPHB2、LYAR、COX6B、PRH1、LAPTM5、RPS6KA4、GCC2、FGF2、MMP14およびERBB2)、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体が含まれる。ここで、遺伝子、同族体、転写産物、cDNA、変異体および誘導体は、上記定義のとおりである。好ましい標的核酸は、配列番号1〜50で表される塩基配列を含むヒト遺伝子、それらの転写産物またはcDNA、より好ましくは該転写産物またはcDNAである。
本発明において腎ガン患者予後予測の標的および/または腎ガン転移予測の標的となる上記遺伝子はいずれも、予後良の患者由来の腎ガン組織に比べて予後不良の患者由来の腎ガン組織において該遺伝子の発現レベルが有意に変動(すなわち、増加または低下)しているものである。表1に、各遺伝子のEnsemble Gene IDおよびGenBank登録番号をまとめて示す。表示の遺伝子群は、予後良の患者由来の腎ガン組織を識別する遺伝子、予後不良の患者由来の腎ガン組織を識別する遺伝子からなる。
第1の標的核酸は、PABPN1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第2の標的核酸は、PINK1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第3の標的核酸は、TFF2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第4の標的核酸は、EIF3S9遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第5の標的核酸は、MAX遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第6の標的核酸は、MLL4遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第7の標的核酸は、CACNB2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第8の標的核酸は、ZMYND11遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第9の標的核酸は、BAT2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第10の標的核酸は、NRBP遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第11の標的核酸は、MCM3AP遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第12の標的核酸は、COL4A1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第13の標的核酸は、MKNK1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第14の標的核酸は、BBC3遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第15の標的核酸は、FLJ10359遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第16の標的核酸は、DPT遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第17の標的核酸は、C10orf76遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第18の標的核酸は、DIA1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第19の標的核酸は、PBK遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である
第20の標的核酸は、PRKD2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第21の標的核酸は、KRT19遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第22の標的核酸は、FLJ23436遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第23の標的核酸は、NPHS2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第24の標的核酸は、C3orf14遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第25の標的核酸は、AGTR2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第26の標的核酸は、HTR1F遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第27の標的核酸は、KIF3B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第28の標的核酸は、DCN遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第29の標的核酸は、STK22C遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第30の標的核酸は、DKFZp566C0424遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第31の標的核酸は、CNR1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第32の標的核酸は、HOMER3遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第33の標的核酸は、GPR2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第34の標的核酸は、FLJ12442遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第35の標的核酸は、XLKD1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第36の標的核酸は、CASKIN2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第37の標的核酸は、COL5A2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第38の標的核酸は、BRD3遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第39の標的核酸は、ATP6V0A4遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第40の標的核酸は、PRODH2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第41の標的核酸は、EPHB2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第42の標的核酸は、LYAR遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第43の標的核酸は、COX6B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第44の標的核酸は、PRH1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第45の標的核酸は、LAPTM5遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第46の標的核酸は、RPS6KA4遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である
第47の標的核酸は、GCC2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第48の標的核酸は、FGF2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第49の標的核酸は、MMP14遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
第50の標的核酸は、ERBB2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体である。
1.2 腎ガン関連標的ポリペプチド(1)
本発明の組成物またはキットを使用して腎ガンの存在および転移を検出、判定または予測するための、腎ガン患者予後予測のための、ならびに腎ガン転移細胞の存在または不存在を判定するための、腎ガン関連マーカーとしての標的ポリペプチドには、PABPN1、PINK1、TFF2、EIF3S9、MAX、MLL4、CACNB2、ZMYND11、BAT2、NRBP、MCM3AP、COL4A1、MKNK1、BBC3、FLJ10359、DPT、C10orf76、DIA1、PBK、PRKD2、KRT19、FLJ23436、NPHS2、C3orf14、AGTR2、HTR1F、KIF3B、DCN、STK22C、DKFZp566C0424、CNR1、HOMER3、GPR2、FLJ12442、XLKD1,CASKIN2、COL5A2、BRD3、ATP6V0A4、PRODH2、EPHB2、LYAR、COX6B、PRH1、LAPTM5、RPS6KA4、GCC2、FGF2、MMP14およびERBB2遺伝子によってコードされるポリペプチド、例えば、配列番号101〜150で表されるアミノ酸配列を含むヒトポリペプチド、それらの同族体、あるいはそれらの変異体または誘導体が含まれる。ここで、ポリペプチド、同族体、変異体および誘導体は、上記定義のとおりである。好ましい標的ポリペプチドは、配列番号101〜110、112〜120、122〜147で表されるアミノ酸配列を含むヒトポリペプチドである。
本発明において腎ガン転移予測および/または腎ガン患者予後予測の標的となる上記ポリペプチドはいずれも、対応する遺伝子およびその転写産物の発現量と同様に、予後良の腎ガン患者由来の腎ガン組織に比べて予後不良の腎ガン患者由来の腎ガン組織においてその発現量が有意に変化(すなわち、増加または低下)しているものであること、あるいは血液中の該ポリペプチドのレベルが、予後良の腎ガン患者に比べて予後不良の腎ガン患者において有意に変化(すなわち、増加または低下)することによって特徴付けられる。
1.3 腎ガン関連標的ポリペプチド(2)
本発明の組成物またはキットを使用して腎ガンをインビトロで検出するための腎ガンマーカーとしての別の腎ガン関連標的ポリペプチドは、配列番号151〜197、好ましくは配列番号151、153、155〜160、配列番号161〜190で表わされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片である。
本発明の配列番号151〜160、191、配列番号161〜190、192〜197のポリペプチドを、その遺伝子名およびタンパク質番号(GenBank登録名および登録番号)、ならびにそれらの特性とともに、それぞれ下記の表2、表3に示す。これらのポリペプチドは、腎ガン患者血漿中に特異的に検出され、健常者の血漿には検出されないか、または検出できるレベルになかった。
本発明において腎ガン検出のための上記標的ポリペプチドはいずれも、腎ガン患者において、血液などの生体試料中の該ポリペプチドのレベルが、健常人と比べて腎ガンに罹患した被験者において有意にまたは格別に高いことによって特徴付けられる。
2.腎ガン診断用プローブ
本発明によれば、腎ガンの存在および/または転移を検出、判定または予測するための、あるいは被験者の術後の予後を予測するための、プローブは、下記のI群および/またはII群:
I群:
(a)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片、
(b)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(c)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片、
(d)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド、および
(e)前記(a)〜(d)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、または15以上の連続した塩基を含むその断片、
からなるポリヌクレオチド、
II群:
(f)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号101〜110、112〜120、122〜147で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、それらの変異体、あるいはそれらの断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片あるいはその化学修飾誘導体、
(g)配列番号151、153、155〜160で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、それらの変異体、あるいはそれらの断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片あるいはその化学修飾誘導体、および
(h)配列番号161〜190で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、それらの変異体、あるいはそれらの断片の少なくとも1つと特異的に結合する抗体、その断片あるいはその化学修飾誘導体、
からなる抗体、その断片あるいはその化学修飾誘導体、
から選択される。
上記のプローブは、いずれも上記1.1節から1.3節に記載された腎ガン関連マーカーのいずれかと結合可能なものであり、腎ガンの存在または転移を検出、判定または予測するために使用可能である。例えば、上記I群およびII群(f)の各プローブによって腎ガンの存在または転移を検出、判定または予測することができる。また、上記II群(g)、(h)の各プローブによって腎ガンの存在を検出、判定または予測することができる。
本発明において、核酸プローブはDNAまたはRNAを含み、一方、抗体プローブはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、それらの抗体断片、合成抗体、組換え抗体、多重特異的抗体、単鎖抗体などを含む。
本発明者らは、今回、上記I群および/またはII群に示したプローブが腎ガンの存在および/または転移の検出、判定または予測に使用できることを初めて見出した。
3.腎ガン診断用および/または腎ガン予後予測もしくは転移予測用組成物
3.1 核酸組成物
本発明の組成物またはキットを使用して腎ガンの存在および転移を検出、判定または予測するための、腎ガン患者予後予測のための、ならびに腎ガン転移細胞の存在または不存在を判定するための核酸組成物は、上記2節のI群に記載した1または2以上のプローブを含み、腎ガン予後予測用または腎ガン転移予測用標的核酸としての、ヒト由来の、PABPN1、PINK1、TFF2、EIF3S9、MAX、MLL4、CACNB2、ZMYND11、BAT2、NRBP、MCM3AP、COL4A1、MKNK1、BBC3、FLJ10359、DPT、C10orf76、DIA1、PBK、PRKD2、KRT19、FLJ23436、NPHS2、C3orf14、AGTR2、HTR1F、KIF3B、DCN、STK22C、DKFZp566C0424、CNR1、HOMER3、GPR2、FLJ12442、XLKD1,CASKIN2、COL5A2、BRD3、ATP6V0A4、PRODH2、EPHB2、LYAR、COX6B、PRH1、LAPTM5、RPS6KA4、GCC2、FGF2、MMP14およびERBB2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物またはcDNA、あるいはそれらの変異体または誘導体の存在、発現レベルまたは存在量を定性的および/または定量的に測定することを可能にする。
上記の標的核酸は、予後良の腎ガン患者由来の腎ガン組織に比べて予後不良の腎ガン患者由来の腎ガン組織においてその発現レベルが有意に変化(すなわち、増加または低下)する。それゆえ、本発明の組成物は、予後良の腎ガン患者由来の腎ガン組織と予後不良の腎ガン患者由来の腎ガン組織について標的核酸の発現レベルを測定し、それらを比較するために有効に使用することができる。
本発明で使用可能な組成物は、腎ガンに罹患した患者の生体組織において配列番号1〜50で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群およびその相補的ポリヌクレオチド群、該塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でそれぞれハイブリダイズするポリヌクレオチド群およびその相補的ポリヌクレオチド群、ならびにそれらのポリヌクレオチド群の塩基配列において15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド群から選ばれた1または複数のポリヌクレオチドの組み合わせを含む。
具体的には、本発明の組成物は、以下の1または複数のポリヌクレオチドまたはその断片を含むことができる。
(1)配列番号1〜50で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(2)配列番号1〜50で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(3)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(4)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(5)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(6)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(7)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(8)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(9)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(10)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(11)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(12)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(13)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(14)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
上記(1)〜(14)のポリヌクレオチドの断片は、各ポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、連続する15〜配列の全塩基数、15〜5000塩基、15〜4500塩基、15〜4000塩基、15〜3500塩基、15〜3000塩基、15〜2500塩基、15〜2000塩基、15〜1500塩基、15〜1000塩基、15〜900塩基、15〜800塩基、15〜700塩基、15〜600塩基、15〜500塩基、15〜400塩基、15〜300塩基、15〜250塩基、15〜200塩基、15〜150塩基、15〜140塩基、15〜130塩基、15〜120塩基、15〜110塩基、15〜100塩基、15〜90塩基、15〜80塩基、15〜70塩基、15〜60塩基、15〜50塩基、15〜40塩基、15〜30塩基または15〜25塩基;25〜配列の全塩基数、25〜1000塩基、25〜900塩基、25〜800塩基、25〜700塩基、25〜600塩基、25〜500塩基、25〜400塩基、25〜300塩基、25〜250塩基、25〜200塩基、25〜150塩基、25〜140塩基、25〜130塩基、25〜120塩基、25〜110塩基、25〜100塩基、25〜90塩基、25〜80塩基、25〜70塩基、25〜60塩基、25〜50塩基または25〜40塩基;50〜配列の全塩基数、50〜1000塩基、50〜900塩基、50〜800塩基、50〜700塩基、50〜600塩基、50〜500塩基、50〜400塩基、50〜300塩基、50〜250塩基、50〜200塩基、50〜150塩基、50〜140塩基、50〜130塩基、50〜120塩基、50〜110塩基、50〜100塩基、50〜90塩基、50〜80塩基、50〜70塩基または50〜60塩基;60〜配列の全塩基数、60〜1000塩基、60〜900塩基、60〜800塩基、60〜700塩基、60〜600塩基、60〜500塩基、60〜400塩基、60〜300塩基、60〜250塩基、60〜200塩基、60〜150塩基、60〜140塩基、60〜130塩基、60〜120塩基、60〜110塩基、60〜100塩基、60〜90塩基、60〜80塩基または60〜70塩基などの範囲の塩基数を含むことができるが、これらに限定されないものとする。
本発明の実施形態により、配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列を含むポリヌクレオチドの断片はそれぞれ、配列番号51〜60、62〜70、72〜97で表される塩基配列またはその相補的配列、あるいはそれらの連続する15塩基以上の部分配列、を含むことが好ましい。
本発明の組成物には、例えば以下のポリヌクレオチドが包含される。
(1)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(2)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(3)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(4)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(5)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列において、それぞれ配列番号51〜60、62〜70、72〜97で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(6)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号51〜60、62〜70、72〜97で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(7)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列において、それぞれ配列番号61、71、98〜100で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(8)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号61、71、98〜100で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
本発明で使用される上記ポリヌクレオチド類またはその断片類はいずれもDNAでもよいしRNAでもよい。
本発明の組成物を構成するポリヌクレオチドは、DNA組換え技術、PCR法、DNA/RNA自動合成機による方法などの一般的な技術を用いて作製することができる。
DNA組換え技術およびPCR法は、例えばAusubelら, Current Protocols in Molecular Biology, John Willey & Sons, US (1993); Sambrookら, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, US (1989)などに記載される技術を使用することができる。
ヒト由来の、PABPN1、PINK1、TFF2、EIF3S9、MAX、MLL4、CACNB2、ZMYND11、BAT2、NRBP、MCM3AP、COL4A1、MKNK1、BBC3、FLJ10359、DPT、C10orf76、DIA1、PBK、PRKD2、KRT19、FLJ23436、NPHS2、C3orf14、AGTR2、HTR1F、KIF3B、DCN、STK22C、DKFZp566C0424、CNR1、HOMER3、GPR2、FLJ12442、XLKD1,CASKIN2、COL5A2、BRD3、ATP6V0A4、PRODH2、EPHB2、LYAR、COX6B、PRH1、LAPTM5、RPS6KA4、GCC2、FGF2、MMP14およびERBB2は公知であり、その取得方法も知られている。このため、これらの遺伝子をクローニングすることによって、本発明の組成物としてのポリヌクレオチドを作製することができる。
本発明の組成物を構成するポリヌクレオチドは、DNA自動合成装置を用いて化学的に合成することができる。この合成には一般にホスホアミダイト法が使用され、この方法によって約100塩基までの一本鎖DNAを自動合成することができる。DNA自動合成装置は、例えばPolygen社、ABI社、Applied BioSystems社などから市販されている。
あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、cDNAクローニング法によって作製することもできる。本発明において標的である上記遺伝子が発現される腎組織などの生体組織から抽出したtotal RNAをオリゴdTセルロースカラムで処理して得られるポリA(+)RNAからRT−PCR法によってcDNAライブラリーを作製し、このライブラリーからハイブリダイゼーションスクリーニング、発現スクリーニング、抗体スクリーニングなどのスクリーニングによって目的のcDNAクローンを得ることができる。必要に応じて、cDNAクローンをPCR法によって増幅することもできる。プローブまたはプライマーは、配列番号1〜50に示される塩基配列に基づいて15〜100塩基の連続する配列の中から選択し、合成しうる。cDNAクローニング技術は、例えばSambrook,J.& Russel,D. 著、Molecular Cloning, A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年1月15日発行、の 第1巻7.42〜7.45、第2巻8.9〜8.17に記載されている。
3.2 抗体組成物
本発明の組成物は、腎ガン診断用プローブとして、上記2節のII群に記載される抗体、その断片または化学修飾誘導体を含むことができる。このような組成物は、腎ガンをもつ被験者における腎ガンの存在および/または転移をインビトロで検出、判定または予測するために有用である。ここで、転移の予測は、被験者の術後の予後の良、不良の予測に導くことができる。
(A)本発明の抗体組成物の第1の例は、上記II群(f)に記載される配列番号101〜110、112〜120、122〜147で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する1または複数の抗体、その断片、またはそれらの化学修飾誘導体を含む組成物である。
本発明の組成物には、配列番号111、121、148〜150で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、その変異体またはその断片に対する1または複数の抗体、その断片またはそれらの化学修飾誘導体をさらに含むことができる。これらの抗体の併用によって、予後予測のための精度を高めることができる。
すなわち、本発明により、腎ガン予後予測用または腎ガン転移マーカーとしての、PABPN1、PINK1、TFF2、EIF3S9、MAX、MLL4、CACNB2、ZMYND11、BAT2、NRBP、MCM3AP、COL4A1、MKNK1、BBC3、FLJ10359、DPT、C10orf76、DIA1、PBK、PRKD2、KRT19、FLJ23436、NPHS2、C3orf14、AGTR2、HTR1F、KIF3B、DCN、STK22C、DKFZp566C0424、CNR1、HOMER3、GPR2、FLJ12442、XLKD1,CASKIN2、COL5A2、BRD3、ATP6V0A4、PRODH2、EPHB2、LYAR、COX6B、PRH1、LAPTM5、RPS6KA4、GCC2、FGF2、MMP14およびERBB2遺伝子によってコードされるポリペプチド、それらの同族体、あるいはそれらの変異体または誘導体を検出するために、これらのポリペプチドに対する抗体を1または複数、好ましくは2以上、組み合わせて用いることができる。
(B)本発明の抗体組成物の第2の例は、上記II群(g)、(h)にそれぞれ記載される配列番号151〜160、191、配列番号161〜190、192〜197で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する1または複数の抗体、その断片、またはそれらの化学修飾誘導体を含む組成物である。
上記のポリペプチドは、表1、表2および表3に記載の遺伝子によってコードされている。各遺伝子の塩基配列は、NCBIホームページにアクセスすることよって、表に示される遺伝子名から容易に入手可能である。
これらのポリペプチドは、DNA組換え技術によって得ることができる。例えば、上記のようにして得られたcDNAクローンを発現ベクターに組み込み、該ベクターによって形質転換またはトランスフェクションされた原核または真核宿主細胞を培養することによって該細胞または培養上清から得ることができる。ベクターおよび発現系はNovagen社、宝酒造、第一化学薬品、Qiagen社、Stratagene社、Promega社、Roche Diagnositics社、Invitrogen社、Genetics Institute社、Amersham Bioscience社などから入手可能である。
宿主細胞としては、細菌などの原核細胞(例えば大腸菌、枯草菌)、酵母(例えばサッカロマイセス・セレビシアエ)、昆虫細胞(例えばSf細胞)、哺乳動物細胞(例えばCOS、CHO、BHK)などを用いることができる。
ベクターには、該ポリペプチドをコードするDNAの他に、調節エレメント、例えばプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位、複製開始点、ターミネーター、選択マーカーなどを含むことができる。またポリペプチドの精製を容易にするために標識ペプチドをポリペプチドのC末端またはN末端につけた融合ポリペプチドとしてもよい。代表的な標識ペプチドには、6〜10残基のヒスチジンリピート、FLAG、mycペプチト゛、GFPポリペプチドなどが挙げられるが、標識ペプチドはこれらにかぎられるものではない。またDNA組換え技術については、Sambrook, J.& Russel, D.(上記)に記載されている。
標識ペプチドを付けずに本発明に係るポリペプチドを生産した場合には、その精製法として例えば限外ろ過、塩析、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィーなどによる方法を挙げることができる。またこれに加えて、アフィニティークロマトグラフィー、HPLC、疎水性クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィーなどを組み合わせる方法でもよい。一方、当該タンパクにヒスチジンリピート、FLAG、myc、GFPといった標識ペプチドを付けている場合には、一般に用いられるそれぞれの標識ペプチドに適したアフィニティークロマトグラフィーによる方法を挙げることができる。単離・精製が容易となるような発現ベクターを構築するとよい。特にポリペプチドと標識ペプチドとの融合ポリペプチドの形態で発現するように発現ベクターを構築し、遺伝子工学的に当該ポリペプチドを調製すれば、単離・精製も容易である。
本発明における上記ポリペプチドの変異体は、上記定義のとおり、配列番号101〜197で表されるアミノ酸配列またはその部分配列おいて1以上、好ましくは1もしくは数個、のアミノ酸の欠失、置換、付加または挿入を含む変異体、あるいは該アミノ酸配列またはその部分配列と約80%以上、約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上の%同一性を示す変異体である。このような変異体には、例えば、ヒトと異なる哺乳動物種のホモログ、ヒトの多型性変異やスプライス変異に基づく変異体などの天然変異体が含まれる。
本発明における上記ポリペプチドまたは変異体の断片は、該ポリペプチドのアミノ酸配列の少なくとも5個、少なくとも7個、少なくとも10個、少なくとも15個、好ましくは少なくとも20個、少なくとも25個、より好ましくは少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個の連続するアミノ酸残基からなり、1個または複数のエピトープを保持する。このような断片は、本発明の抗体またはその断片と免疫特異的に結合することができるものである。上記ポリペプチドは、生体内に存在するプロテアーゼやぺプチダーゼなどの酵素によって切断され断片化されて存在することも予想される。
このようにして得られたポリペプチドを認識する抗体は、抗体の抗原結合部位を介して、該ポリペプチドに特異的に結合し得る。具体的には、配列番号101〜197のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその断片、その変異体ポリペプチドまたは融合ポリペプチドなどを、それぞれに免疫反応性である抗体を産生するための免疫原として使用することが可能である。
より具体的には、ポリペプチド、断片、変異体、融合ポリペプチドなどは、抗体形成を引き出す抗原決定基またはエピトープを含むが、これら抗原決定基またはエピトープは、直鎖でもよいし、より高次構造(断続的)でもよい。なお、該抗原決定基またはエピトープは、当該技術分野に知られるあらゆるエピトープ解析法、例えばファージジスプレイ法、リバースイムノジェネティックス法などによって同定できる。
本発明のポリペプチドによってあらゆる態様の抗体が誘導される。該ポリペプチドの全部もしくは一部またはエピトープが単離されていれば、慣用的技術を用いてポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のいずれも調製可能である。そのための方法には例えば、Kennetら(監修),Monoclonal Antibodies,Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses,Ple num Press,New York,1980に挙げられた方法がある。
ポリクローナル抗体は、鳥類(例えば、ニワトリなど)、哺乳動物(例えば、ウサギ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ネズミなど)などの動物に本発明に係るポリペプチドを免疫することによって作製することができる。目的の抗体は、免疫された動物の血液から、硫安分画、イオン交換クロマとグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどの手法を適宜組み合わせて精製することができる。
モノクローナル抗体は、各ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を、慣用技術によってマウスにおいて産生することを含む手法によって得ることができる。こうしたハイブリドーマ細胞株を産生するための1つの方法は、動物を本発明の酵素ポリペプチドで免疫し、免疫された動物から脾臓細胞を採取し、該脾臓細胞を骨髄腫細胞株に融合させ、それによりハイブリドーマ細胞を生成し、そして該酵素に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することを含む。モノクローナル抗体は、慣用技術によって回収可能である。
本発明の抗体としては、本発明の標的ポリペプチドまたはその断片と特異的に結合するものであれば特に限定されず、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でも使用することができるが、モノクローナル抗体を使用するのが好ましい。別の抗体には、組換え抗体、合成酵素、多重特異的抗体(例えば二重特異的抗体)、単鎖抗体、抗体断片などが含まれる。そのような抗体の例は、Fab、F(ab’)2、scFv、Fv、dsFvなどである。また、本発明の抗体のグロブリンタイプは、上記特徴を有するものである限り特に限定されるものではなく、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDのいずれでもよい。
<モノクローナル抗体の作製>
(1)免疫および抗体産生細胞の採取
標的ポリペプチドからなる免疫原を、哺乳動物、例えばラット、マウス(例えば近交系マウスのBalb/c)、ウサギなどに投与する。免疫原の1回の投与量は、免疫動物の種類、投与経路などにより適宜決定されるものであるが、動物1匹当たり約50〜200μgでよい。免疫は主として皮下、腹腔内に免疫原を注入することにより行われる。また、免疫の間隔は特に限定されず、初回免疫後、数日から数週間間隔で、好ましくは1〜4週間間隔で、2〜10回、好ましくは3〜4回追加免疫を行う。初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価の測定をELISA(Enzyme−Linked Immuno Sorbent Assay)法などにより繰り返し行い、抗体価がプラトーに達したときは、免疫原を静脈内または腹腔内に注射し、最終免疫とする。そして、最終免疫の日から2〜5日後、好ましくは3日後に、抗体産生細胞を採取する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞または局所リンパ節細胞が好ましい。
(2)細胞融合
各標的ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を作製する。こうしたハイブリドーマは、慣用的技術によって産生し、そして同定することが可能である。こうしたハイブリドーマ細胞株を産生するための1つの方法は、動物を本発明のタンパク質で免疫し、免疫された動物から脾臓細胞を採取し、該脾臓細胞を骨髄腫細胞株に融合させ、それによりハイブリドーマ細胞を生成し、そして該酵素に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することを含む。抗体産生細胞と融合させる骨髄腫細胞株としては、マウスなどの動物の一般に入手可能な株化細胞を使用することができる。使用する細胞株としては、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミンを含む)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。また株化細胞は、免疫動物と同種系の動物に由来するものが好ましい。骨髄腫細胞株の具体例としては、BALB/cマウス由来のヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRT)欠損細胞株であるP3X63−Ag.8株(ATCC TIB9)などが挙げられる。
次に、上記骨髄腫細胞株と抗体産生細胞とを細胞融合させる。細胞融合は、血清を含まないDMEM、RPMI−1640培地などの動物細胞培養用培地中で、抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを約1:1〜 20:1の割合で混合し、細胞融合促進剤の存在下にて融合反応を行う。細胞融合促進剤として、平均分子量1500〜4000ダルトンのポリエチレングリコール等を約10〜80%の濃度で使用することができる。また場合によっては、融合効率を高めるために、ジメチルスルホキシドなどの補助剤を併用してもよい。さらに、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを融合させることもできる。
(3)ハイブリドーマの選別およびクローニング
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。その方法として、細胞懸濁液を、例えばウシ胎児血清含有RPMI−1640培地などで適当に希釈後、マイクロタイタープレート上に200万個/ウエル程度まき、各ウエルに選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行う。培養温度は、20〜40℃ 、好ましくは約37℃である。ミエローマ細胞がHGPRT欠損株またはチミジンキナーゼ欠損株のものである場合には、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジンを含む選択培地(HAT培地)を用いることにより、抗体産生能を有する細胞と骨髄腫細胞株のハイブリドーマのみを選択的に培養し、増殖させることができる。その結果、選択培地で培養開始後、約14日前後から生育してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができる。
次に、増殖してきたハイブリドーマの培養上清中に、目的とする抗体が存在するか否かをスクリーニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、通常の方法に従えばよく、特に限定されない。例えば、ハイブリドーマとして生育したウエルに含まれる培養上清の一部を採取し、酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immuno Assay、およびELISA)、放射免疫測定法(RIA:Radio Immuno Assay)等によって行うことができる。融合細胞のクローニングは、限界希釈法等により行い、最終的にモノクローナル抗体産生細胞であるハイブリドーマを樹立する。本発明のハイブリドーマは、後述するように、RPMI−1640、DMEM等の基本培地中での培養において安定であり、標的ポリペプチドと特異的に反応するモノクローナル抗体を産生、分泌するものである。
(4)抗体の回収
モノクローナル抗体は、慣用的技術によって回収可能である。すなわち樹立したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法として、通常の細胞培養法または腹水形成法等を採用することができる。細胞培養法においては、ハイブリドーマを10% ウシ胎児血清含有RPMI−1640培地、MEM培地または無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培養条件(例えば37℃、5%CO2濃度)で2〜10日間培養し、その培養上清から抗体を取得する。腹水形成法の場合は、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを約1000万個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜2週間後に腹水または血清を採取する。
上記抗体の採取方法において、抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜に選択して、またはこれらを組み合わせることにより、精製されたモノクローナル抗体を得ることができる。
<ポリクローナル抗体の作製>
ポリクローナル抗体を作製する場合は、前記と同様にウサギ等の動物を免疫し、最終の免疫日から6〜60日後に、酵素免疫測定法(EIAおよびELISA)、放射免疫測定法(RIA)等で抗体価を測定し、最大の抗体価を示した日に採血し、抗血清を得る。その後は、抗血清中のポリクローナル抗体の反応性をELISA法などで測定する。
<化学修飾誘導体>
本発明の抗体またはその断片は、化学修飾された誘導体であってもよい。例えば、酵素、蛍光団、放射性同位元素などのラベルによる標識化誘導体、あるいはアセチル化、アシル化、アルキル化、リン酸化、硫酸化、グリコシル化誘導体、などの化学修飾誘導体を挙げることができる。
標識物質としては、酵素免疫測定法の場合には、ペルオキシダーゼ(POD)、アルカリホスファターゼ、β − ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素酵素、アミラーゼまたはビオチン−アビジン複合体等の酵素を、蛍光免疫測定法の場合には、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、置換ローダミンイソチオシアネート、ジクロロトリアジンイソチオシアネート、AlexaまたはAlexaFluoro等の蛍光性物質もしくは蛍光団を、そして放射免疫測定法の場合にはトリチウム、ヨウ素(131I,125I,123I,121I)、リン(32P)、イオウ(35S)、金属類(例えば68Ga,67Ga,68Ge,54Mn,99Mo,99Tc,133Xeなど)等の放射性同位元素を用いることができる。また、発光免疫測定法は、NADH−、FMNH2−、ルシフェラーゼ系、ルミノール−過酸化水素−POD系、アクリジニウムエステル系またはジオキセタン化合物系等の発光性分子、発光物質、生物発光物質を用いることができる。
また、必要に応じて、アビジン−ビオチン系またはストレプトアビジン−ビオチン系を利用することも可能であり、この場合、本発明の抗体またはその断片に例えばビオチンを結合することもできる。標識物質と抗体との結合法は、酵素免疫測定法の場合にはグルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法または過ヨウ素酸法等の公知の方法を、放射免疫測定法の場合にはクロラミンT法、ボルトンハンター法等の公知の方法を用いることができる。
4.腎ガン診断用および/または腎ガン予後予測もしくは転移予測用キット
4.1 核酸キット
本発明はまた、上記2節のI群に記載されるポリヌクレオチド、その変異体および/またはその断片の1つまたは複数を含む腎ガンの存在または腎ガンの転移もしくは予後予測をインビトロで検出、判定または予測するためのキットを提供する。
本発明のキットには、以下に記載するようなI群からの核酸プローブを含有させることができる。これらのプローブの各々は単独でまたは組み合わせて適当な容器に収納されうる。
すなわち、本発明のキットは、配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、その相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはそれらのポリヌクレオチドの断片を少なくとも1つ含むことができる。
本発明のキットにはさらに、配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、その相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはそれらのポリヌクレオチドの断片を少なくとも1つ含むことができる。
本発明のキットに含むことができるポリヌクレオチド断片は、例えば下記の(1)〜(5)からなる群より選択される1以上のDNAである:
(1)配列番号1〜10、11、12〜20、21、22〜47、48〜50で表される塩基配列またはその相補的配列において、15以上の連続した塩基を含むDNA。
(2)配列番号1〜10、11、12〜20、21、22〜47、48〜50で表される塩基配列またはその相補的配列において、60以上の連続した塩基を含むDNA。
(3)配列番号1〜10、11、12〜20、21、22〜47、48〜50で表される塩基配列またはその相補的配列において、それぞれ配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100で表される塩基配列またはその相補的配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むDNA。
(4)配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100で表される塩基配列からなるDNA。
(5)配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むDNA。
好ましい実施形態では、前記ポリヌクレオチドが、配列番号1〜10、12〜20、22〜47のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはそれらの15以上の連続した塩基を含む断片である。
別の好ましい実施形態では、本発明のキットは、上記のポリヌクレオチドに加えて、配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはそれらの15以上の連続した塩基を含む断片をさらに含むことができる。
好ましい実施形態では、前記断片は、15以上、好ましくは60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドであることができる。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号1〜10、11、12〜20、21、22〜47、48〜50のいずれかで表される塩基配列において、それぞれ配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100のいずれかで表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100のいずれかで表される塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100のいずれかで表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
上記の組み合わせの具体例は、配列番号1および2の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜3の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜4の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜5の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜6の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜7の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜8の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜9の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜10の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはその断片、配列番号1〜11の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜12の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜13の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜14の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜15の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドおよび/またはその断片、配列番号1〜16の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜17の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドおよび/またはその断片、配列番号1〜18の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜19の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜20の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜21の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片配列番号1〜22の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜23の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜24の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜25の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜26の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜27の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜28の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜29の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜30の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜31の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜32の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜33の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜34の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜35の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜36の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜37の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜38の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜39の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜40の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜41の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜42の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜43の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜44の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜45の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜46の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜47の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜48の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜49の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜50の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片である。
別のより好ましい実施形態によれば、本発明のキットは、配列番号51〜97、98〜100で表される塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上〜全部を含むことができる。
別の組み合わせの具体例は、配列番号1〜19、48の塩基配列またはその相補的配列を含む(または、からなる)ポリヌクレオドおよび/またはその断片である。
さらに別の組み合わせの具体例は、配列番号20〜47、49および50の塩基配列またはその相補的配列を含む(または、からなる)ポリヌクレオドおよび/またはその断片である。
本発明において、上記のポリヌクレオチドの断片のサイズは、各ポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、連続する15〜配列の全塩基数、15〜5000塩基、15〜4500塩基、15〜4000塩基、15〜3500塩基、15〜3000塩基、15〜2500塩基、15〜2000塩基、15〜1500塩基、15〜1000塩基、15〜900塩基、15〜800塩基、15〜700塩基、15〜600塩基、15〜500塩基、15〜400塩基、15〜300塩基、15〜250塩基、15〜200塩基、15〜150塩基、15〜140塩基、15〜130塩基、15〜120塩基、15〜110塩基、15〜100塩基、15〜90塩基、15〜80塩基、15〜70塩基、15〜60塩基、15〜50塩基、15〜40塩基、15〜30塩基または15〜25塩基;25〜配列の全塩基数、25〜1000塩基、25〜900塩基、25〜800塩基、25〜700塩基、25〜600塩基、25〜500塩基、25〜400塩基、25〜300塩基、25〜250塩基、25〜200塩基、25〜150塩基、25〜140塩基、25〜130塩基、25〜120塩基、25〜110塩基、25〜100塩基、25〜90塩基、25〜80塩基、25〜70塩基、25〜60塩基、25〜50塩基または25〜40塩基;50〜配列の全塩基数、50〜1000塩基、50〜900塩基、50〜800塩基、50〜700塩基、50〜600塩基、50〜500塩基、50〜400塩基、50〜300塩基、50〜250塩基、50〜200塩基、50〜150塩基、50〜140塩基、50〜130塩基、50〜120塩基、50〜110塩基、50〜100塩基、50〜90塩基、50〜80塩基、50〜70塩基または50〜60塩基;60〜配列の全塩基数、60〜1000塩基、60〜900塩基、60〜800塩基、60〜700塩基、60〜600塩基、60〜500塩基、60〜400塩基、60〜300塩基、60〜250塩基、60〜200塩基、60〜150塩基、60〜140塩基、60〜130塩基、60〜120塩基、60〜110塩基、60〜100塩基、60〜90塩基、60〜80塩基または60〜70塩基などの範囲の塩基数である。
本発明のキットを構成する上記の組み合わせは、あくまでも例示であり、他の種々の可能な組み合わせのすべてが本発明に包含されるものとする。
本発明のキットには、上で説明した本発明におけるポリヌクレオチド、その変異体またはその断片に加えて、腎ガンの検出または腎ガンの転移予測もしくは予後予測を可能とする既知のまたは将来見出されるポリヌクレオチドも包含させることができる。
4.2 抗体キット
本発明はまた、上記2節のII群に記載される抗体、その断片またはその化学修飾誘導体、上記3.2節に記載される抗体、その断片またはその化学修飾誘導体のうち1つまたは複数を含む腎ガンの存在または腎ガンの転移もしくは予後予測をインビトロで検出、判定または予測するためのキットを提供する。
本発明のキットには、以下に記載するようなII群(f)、(g)および(h)からの抗体、その断片またはその化学修飾誘導体プローブを含有させることができる。これらのプローブの各々は単独でまたは組み合わせて適当な容器に収納されうる。
プローブの組み合わせの例は以下のとおりである。
第1の例は、腎ガン予後予測用または腎ガン転移マーカーとしての、PABPN1、PINK1、TFF2、EIF3S9、MAX、MLL4、CACNB2、ZMYND11、BAT2、NRBP、MCM3AP、COL4A1、MKNK1、BBC3、FLJ10359、DPT、C10orf76、DIA1、PBK、PRKD2、KRT19、FLJ23436、NPHS2、C3orf14、AGTR2、HTR1F、KIF3B、DCN、STK22C、DKFZp566C0424、CNR1、HOMER3、GPR2、FLJ12442、XLKD1,CASKIN2、COL5A2、BRD3、ATP6V0A4、PRODH2、EPHB2、LYAR、COX6B、PRH1、LAPTM5、RPS6KA4、GCC2、FGF2、MMP14およびERBB2遺伝子によってコードされるポリペプチド、それらの同族体、あるいはそれらの変異体または誘導体を検出するために、これらのポリペプチド、その変異体またはその断片に対する抗体を1または複数、好ましくは2以上、組み合わせて含む。
具体的には、キットに含まれるプローブは、配列番号101〜110、112〜120、122〜147で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、それらの変異体、あるいはそれらの断片の少なくとも1つと特異的に結合する1または複数の抗体、その断片、またはそれらの化学修飾誘導体である。
このキットには、さらに配列番号111、121、148〜150で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する抗体、その断片またはそれらの化学修飾誘導体を含ませることができる。併用により、転移の予測または術後予後の予測のための精度を高めることができる。
第2の例は、腎ガンマーカーとしての、上記II群(g)、(h)それぞれに記載される配列番号151、153、155〜160、配列番号161〜190で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する1または複数の抗体、その断片、またはそれらの化学修飾誘導体である。
このキットには、さらに配列番号152、154、191、192〜197で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する抗体、その断片またはそれらの化学修飾誘導体を含ませることができる。併用により、腎ガン検出のための精度を高めることができる。
本発明のキットに含まれる抗体は、個別にまたは混合物の形態で存在し得るし、あるいは固相担体に結合されていてもよいしまたは遊離の形態でもよい。さらに本発明のキットは、標識二次抗体、担体、洗浄バッファー、試料希釈液、酵素基質、反応停止液、精製された標準物質としてのマーカー(標的)ポリペプチド、使用説明書、等を含むことができる。
5.DNAチップ
本発明はさらに、上記の3節および4節に記載されるような、本発明の組成物および/またはキットに含まれるものと同じたポリヌクレオチド、その変異体、その断片を単独でまたは組み合わせて、好ましくは組み合わせて、腎ガンの検出または腎ガンの予後予測もしくは転移予測のためのDNAチップを提供する。
DNAチップの基板としては、DNAを固相化できるものであれば特に制限はなく、スライドガラス、シリコン製チップ、ポリマー製チップおよびナイロンメンブレンなどを例示することができる。またこれらの基板にはポリLリジンコートやアミノ基、カルボキシル基などの官能基導入などの表面処理がされていてもよい。
また固相化法については一般に用いられる方法であれば特に制限はなく、スポッターまたはアレイヤーと呼ばれる高密度分注機を用いてDNAをスポットする方法や、ノズルより微少な液滴を圧電素子などにより噴射する装置(インクジェット)を用いてDNAを基板に吹き付ける方法、または基板上で順次ヌクレオチド合成を行う方法を例示することができる。高密度分注機を用いる場合には、例えば多数のウェルを持つプレートのおのおののウェルに異なった遺伝子溶液を入れておき、この溶液をピン(針)で取り上げて基板上に順番にスポットすることによる。インクジェット法では、ノズルより遺伝子を噴射し,基板上に高速度で遺伝子を整列配置することによる。基板上でのDNA合成は、基板上に結合した塩基を光によって脱離する官能基で保護し、マスクを用いることにより特定部位の塩基だけに光を当て、官能基を脱離させる。その後、塩基を反応液に加えて、基板上の塩基とカップリングさせる工程を繰り返すことによって行われる。
固相化されうるポリヌクレオチドは、上で説明した本発明の全てのポリヌクレオチドである。
例えば、そのようなポリヌクレオチドは、以下の1または複数のポリヌクレオチドまたはその断片を含むことができる。
(1)配列番号1〜50で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(2)配列番号1〜50で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(3)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(4)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(5)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(6)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(7)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(8)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(9)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(10)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(11)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(12)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(13)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(14)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(15)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(16)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(17)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(18)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(19)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列において、それぞれ配列番号51〜60、62〜70、72〜97で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(20)配列番号1〜10、12〜20、22〜47で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号51〜60、62〜70、72〜97で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(21)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列において、それぞれ配列番号61、71、98〜100で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(22)配列番号11、21、48〜50で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号61、71、98〜100で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
好ましい実施形態によれば、本発明のキットは、配列番号51〜60、61、62〜70、71、72〜97、98〜100で表される塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上から全部を含むことができる。
本発明において、固相化されるポリヌクレオチドは、ゲノムDNA、cDNA、RNA、合成DNA、合成RNAのいずれでもよいし、あるいは1本鎖でもよいしまたは2本鎖でもよい。
標的遺伝子、RNAまたはcDNAの発現レベルを検出、測定することができるDNAチップの例としては、Affymetrix社のGene Chip Human Genome U133 Plus 2.0 Array、Agilent社のWhole human genome oligo microarray、タカラバイオ社のIntelliGene(登録商標)HS Human Expression CHIP、凹凸構造を持つポリメチルメタクリレート製DNAチップ基板(特開2004−264289)などを挙げることができる。
DNAマイクロアレイの作製について、例えば予め調製したプローブを固相表面に固定化する方法を使用することができる。予め調製したポリヌクレオチドプローブを固相表面に固定化する方法では、官能基を導入したポリヌクレオチドを合成し、表面処理した固相担体表面にオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを点着し、共有結合させる(例えば、J.B.Lamtureら、Nucleic.Acids.Research、1994年、第22巻、p.2121−2125、Z.Guoら、Nucleic.Acids.Research、1994年、第22巻、p.5456−5465)。ポリヌクレオチドは、一般的には、表面処理した固相担体にスペーサ-やクロスリンカーを介して共有結合される。ガラス表面にポリアクリルアミドゲルの微小片を整列させ、そこに合成ポリヌクレオチドを共有結合させる方法も知られている(G.Yershovら、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、1996年、第94巻、p.4913)。また、シリカマイクロアレイ上に微小電極のアレイを作製し、電極上にはストレプトアビジンを含むアガロースの浸透層を設けて反応部位とし、この部位をプラスに荷電させることでビオチン化ポリクレオチドを固定し、部位の荷電を制御することで、高速で厳密なハイブリダイゼーションを可能にする方法も知られている(R.G.Sosnowskiら、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、1997年、第94巻、p.1119―1123)。
6.腎ガンの存在の検出・判定法および/または腎ガンの予後もしくは転移予測法
本発明は、本発明の組成物、キット、DNAチップ、またはそれらの組み合わせを用いて、被験者由来の腎ガン細胞生体試料における標的核酸の発現レベルを、予後不良の腎ガン患者母集団由来の腎ガン細胞における標的核酸の発現レベルおよび/または予後良の患者母集団由来の腎ガン細胞における標的核酸の発現レベルと比較することによって被験者の予後および/または腎ガンの転移の有無をインビトロで予測する方法であって、該標的核酸が該組成物、キットまたはDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体またはその断片によって検出可能なものであり、かつ被験者由来の該標的核酸の発現レベルが、予後良の腎ガン患者母集団の発現レベルおよび/または予後不良の患者母集団の発現レベルから変化が認められる場合それぞれ、被験者の予後が悪い、または被験者の予後が良いと決定する、ならびに/あるいは腎ガンの転移が有る、または腎ガンの転移が無いと決定する前記方法を提供する。
本発明はまた、本発明の組成物、キットまたはDNAチップの、被験者由来の検体試料中の転移が予想される腎ガン細胞のインビトロ検出のための使用を提供する。
本発明の上記方法において、組成物、キットまたはDNAチップは、上で説明したような、本発明のポリヌクレオチド、その変異体またはその断片を単独であるいはあらゆる可能な組み合わせで含むものが使用される。
本発明の腎ガン転移の予測、検出または(遺伝子)診断、および/または腎ガン患者予後予測において、本発明の組成物、キットまたはDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体またはその断片は、プライマーとしてまたは検出プローブ(探索子)として用いることができる。プライマーとして用いる場合には、通常15〜50塩基、好ましくは15〜30塩基、より好ましくは18〜25塩基の塩基長を有するものが例示できる。また検出プローブとして用いる場合には、例えば15塩基〜全配列の塩基数、好ましくは25〜1000塩基、より好ましくは25〜100塩基の塩基長を有するものが例示できるが、この範囲に限定されない。
本発明の組成物またはキットに含まれるポリヌクレオチド、その変異体またはその断片は、ノーザンブロット法、RT−PCR法、in situ ハイブリダイゼーション法、サザンハイブリダーゼーションなどの、特定遺伝子を特異的に検出する公知の方法において、定法に従ってプライマーまたはプローブとして利用することができる。測定対象試料としては、使用する検出方法の種類に応じて、被験者の腎組織または腎ガン細胞の存在が疑われる生体組織の一部または全部をバイオプシーなどで採取するか、もしくは手術によって摘出した生体組織から回収する。さらにそこから常法に従って調製したtotal RNAを用いてもよいし、さらに該RNAをもとにして調製される、cDNA、ポリA(+)RNAを含む各種のポリヌクレオチドを用いてもよい。
あるいは、生体組織における本発明の遺伝子、RNA、cDNAなどの核酸の発現量は、DNAチップ(DNAマクロアレイを含む)を用いて検出あるいは定量することができる。この場合、本発明の組成物またはキットはDNAアレイのプローブとして使用することができる(例えば、アフィメトリックス社のHuman Genome U133 Plus 2.0 Arrayでは25塩基の長さのポリヌクレオチドプローブが用いられる)。かかるDNAアレイを生体組織から採取したRNAをもとに調製される標識DNAまたはRNAとハイブリダイズさせ、該ハイブリダイズによって形成された上記プローブと標識DNAまたはRNAとの複合体を、該標識DNAまたはRNAの標識を指標として検出することにより、生体組織中での、本発明による腎ガン転移および/または腎ガン患者予後予測関連遺伝子の発現の有無、または発現レベル(発現量)を評価することができる。本発明の方法では、DNAチップを好ましく使用できるが、これは、ひとつの生体試料について同時に複数遺伝子の発現の有無または発現レベルの評価が可能である。
本発明の組成物、キットまたはDNAチップは、腎ガン患者予後予測および/または転移の予測、判定または検出(罹患の有無や罹患の程度の診断)のために有用である。具体的には、該組成物、キットまたはDNAチップを使用した腎ガン患者予後予測および/または転移予測は、被験者の腎ガン細胞の存在する生体組織について該診断用組成物で検出される遺伝子の発現レベルを測定することによって行うことができる。この場合、遺伝子発現レベルには、発現の有無だけではなく、予後良の患者由来の腎ガン細胞の存在する生体組織と予後不良の患者由来の腎ガン細胞の存在する生体組織の両者ともに発現がある場合でも、両者間の発現量を比較した時の差が検定上有意(p値 <0.05)である場合が含まれる。例えばPABPN1遺伝子は予後不良の患者由来の腎ガンで発現誘導/減少を示すので、予後不良の被験者の腎ガン組織では発現増加/減少しており、該発現量と正常組織の発現量と比べて検定を行った時に、その差が有意であれば、被験者について腎ガンの転移が疑われ、また予後不良と予測される。
本発明の組成物、キットまたはDNAチップを利用した腎ガン(細胞)の検出方法は、被験者の生体組織の一部または全部をバイオプシーなどで採取するか、もしくは手術によって摘出した生体組織から回収し、そこに含まれる遺伝子を、本発明のポリヌクレオチド群から選ばれた単数または複数のポリヌクレオチド、その変異体またはその断片を用いて検出し、その遺伝子発現量を測定することにより、腎ガンの転移の予測、転移の有無またはその程度を診断すること、および/または腎ガン患者の予後を予測することを含む。また本発明の腎ガン転移の予測方法は、例えば腎ガン患者において、該疾患の改善のために治療薬を投与した場合における該疾患の改善の有無またはその程度を検出、判定または診断することもできる。
本発明の方法は、例えば以下の(a)、(b)および(c)の工程:
(a)被験者由来の検体試料を、本発明の組成物、キットまたはDNAチップのポリヌクレオチドと接触させる工程、
(b)生体試料中の標的核酸の発現レベルを、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いて測定する工程、
(c)(b)の結果をもとに、腎ガン患者の予後を予測する工程、および/または、該検体試料中の転移が予想される腎ガン(細胞)の存在または不存在を判定する工程、
を含むことができる。
本発明方法で用いられる生体試料としては、被験者の生体組織、例えば腎組織およびその周辺組織、腎ガンの転移が疑われる組織など、から調製される試料を挙げることができる。具体的には該組織から調製されるRNA含有試料、あるいはそれからさらに調製されるポリヌクレオチドを含む試料は、被験者の生体組織の一部または全部をバイオプシーなどで採取するか、もしくは手術によって摘出した生体組織から回収し、そこから常法に従って調製することができる。
ここで被験者とは、哺乳動物、例えば非限定的にヒト、サル、マウス、ラットなどを指し、好ましくはヒトである。
本発明の方法は、測定対象として用いる生体試料の種類に応じて工程を変更することができる。
測定対象物としてRNAを利用する場合、腎ガン(細胞)の検出は、例えば下記の工程(a)、(b)および(c):
(a)被験者の生体試料から調製されたRNAまたはそれから転写された相補的ポリヌクレオチド(cDNA)を、本発明の組成物、キットまたはDNAチップのポリヌクレオチドと結合させる工程、
(b) 該ポリヌクレオチドに結合した生体試料由来のRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドを、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いて測定する工程、
(c) 上記(b)の測定結果に基づいて、予後不良の患者由来の腎ガン(細胞)の存在または不存在を判定する工程、
を含むことができる。
本発明によって転移の有る腎ガン(細胞)を検出、判定または診断するために、例えば種々のハイブリダイゼーション法を使用することができる。かようなハイブリダイゼーション法には、例えばノーザンブロット法、サザンブロット法、定量RT−PCR法、DNAチップ解析法、in situハイブリダイゼーション法、サザンハイブリダイゼーション法、などを使用することができる。
ノーザンブロット法を利用する場合は、本発明の診断用組成物をプローブとして用いることによって、RNA中の各遺伝子発現の有無やその発現レベルを検出、測定することができる。具体的には、本発明の診断用組成物(相補鎖)を放射性同位元素(32P、33P、35Sなど)や蛍光物質などで標識し、それを常法にしたがってナイロンメンブレンなどにトランスファーした被検者の生体組織由来のRNAとハイブリダイズさせたのち、形成された診断用組成物(DNA)とRNAとの二重鎖を診断用組成物の標識物(放射性同位元素または蛍光物質)に由来するシグナルを放射線検出器(BAS-1800II、富士写真フィルム株式会社、などを例示できる)または蛍光検出器(STORM860、Amersham Bioscience社、などを例示できる)で検出、測定する方法を例示することができる。
定量RT―PCR法を利用する場合には、本発明の上記診断用組成物をプライマーとして用いることによって、RNA中の遺伝子発現の有無やその発現レベルを検出、測定することができる。具体的には、被検者の生体組織由来のRNAから常法にしたがってcDNAを調製して、これを鋳型として標的の各遺伝子の領域が増幅できるように、本発明の診断用組成物から調製した1対のプライマー(上記cDNAに結合する正鎖と逆鎖からなる)をcDNAとハイブリダイズさせて常法によりPCR法を行い、得られた二本鎖DNAを検出する方法を例示することができる。なお、二本鎖DNAの検出法としては、上記PCRをあらかじめ放射性同位元素や蛍光物質で標識しておいたプライマーを用いて行う方法、PCR産物をアガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドなどで二本鎖DNAを染色して検出する方法、産生された二本鎖DNAを常法にしたがってナイロンメンブレンなどにトランスファーさせて標識した診断用組成物をプローブとしてこれとハイブリダイズさせて検出する方法をとることができる。
DNAアレイ解析を利用する場合は、本発明の上記診断用組成物をDNAプローブ(一本鎖または二本鎖)として基板に貼り付けたDNAチップを用いる。遺伝子群を基板に固相化したものには、一般にDNAチップおよびDNAアレイという名称があり、DNAアレイにはDNAマクロアレイとDNAマイクロアレイが包含されるが、本明細書ではDNAチップといった場合、該DNAアレイを含むものとする。
ハイブリダイゼーション条件は、限定されないが、例えば30℃〜50℃で、3〜4×SSC、0.1〜0.5% SDS中で1〜24時間のハイブリダイゼーション、より好ましくは40℃〜45℃で、3.4×SSC、0.3%SDS中で1〜24時間のハイブリダイゼーション、そしてその後の洗浄を含む。洗浄条件としては、例えば、2×SSCと0.1%SDSを含む溶液、および1×SSC溶液、0.2×SSC溶液による室温での連続した洗浄などの条件を挙げることができる。ここで、1×SSCは、150mM塩化ナトリウムおよび15mMクエン酸ナトリウムを含む水溶液(pH7.2)である。相補鎖はかかる条件で洗浄しても対象とする正鎖とハイブリダイズ状態を維持するものであることが望ましい。具体的にはこのような相補鎖として、対象の正鎖の塩基配列と完全に相補的な関係にある塩基配列からなる鎖、並びに該鎖と少なくとも80%の相同性を有する塩基配列からなる鎖を例示することができる。
本発明の組成物またはキットのポリヌクレオチド断片をプライマーとしてPCRを実施する際のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、例えば10mMTris−HCl(pH8.3)、50mMKCL、1〜2mM MgCl2などの組成のPCRバッファーを用い、当該プライマーの配列から計算されたTm−5〜10℃において15秒から1分程度処理することなどが挙げられる。かかるTmの計算方法としてTm=2×(アデニン残基数+チミン残基数)+4×(グアニン残基数+シトシン残基数)などが挙げられる。
これらのハイブリダイゼーションにおける「ストリンジェントな条件」の他の例については、例えばSambrook, J. & Russel, D. 著、Molecular Cloning, A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年1月15日発行、の 第1巻7.42〜7.45、第2巻8.9〜8.17などに記載されており、本発明において利用できる。
本発明はまた、上記I群および/またはII群の1または複数のプローブ、あるいは本発明の組成物、キット、DNAチップ、またはそれらの組み合わせを用いて、被験者由来の検体試料中の標的核酸または遺伝子の発現量を測定し、予後良の患者由来の腎ガン組織と予後不良の患者由来の腎ガン組織の遺伝子発現量を教師(訓練サンプル)としたサポートベクターマシーン(SVM)を判別式として、腎ガン患者の予後を予測する方法、ならびに/あるいは検体試料中に転移が予想される腎ガン細胞が含まれないことおよび/または含まれることを判定する方法を提供する。
本発明の実施形態により、本発明の方法は、本発明の組成物、キット、DNAチップ、またはそれらの組み合わせを用いて、予後良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織または、予後不良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織であることが既知の複数の生体試料中の標的核酸の発現量(発現レベルともいう)をインビトロで測定する第1の工程、前記第1の工程で得られた該標的核酸の発現量の測定値を教師とした判別式(サポートベクターマシーン)を作成する第2の工程、被験者の生体由来の検体試料中の該標的核酸の発現量を第1の工程と同様にインビトロで測定する第3の工程、前記第2の工程で得られた判別式に第3の工程で得られた該標的酢酸の発現量の測定値を代入し、該判別式から得られた結果に基づいて、腎ガン患者の予後を予測するおよび/または検体試料中に転移が予想される腎ガン細胞が含まれないこと、および/または転移が予想される腎ガン細胞が含まれることを判定する、第4の工程を含み、ここで、該標的核酸が該組成物、キットまたはDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体またはその断片によって検出可能なものである。
あるいは、本発明の方法は、例えば下記の工程(a)、(b)および(c):
(a)予後良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織または予後不良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織であることが既知の生体試料中の標的遺伝子の発現量を、本発明による診断(検出)用組成物、キットまたはDNAチップを用いて測定する工程、
(b)(a)で測定された発現量の測定値を、下記の数1〜数5の式に代入して、SVMと呼ばれる判別式を作成する工程、
(c)被験者由来の検体試料中の該標的遺伝子の発現量を、本発明による診断(検出)用組成物、キットまたはDNAチップを用いて測定し、(b)で作成した判別式にそれらを代入して、得られた結果に基づいて腎ガン患者の予後を予測する、および/または該検体試料中に転移がある腎ガン細胞が含まれるかどうか、を判定する工程、
を含むことができる。
SVMとは2クラスの分類問題を解くためにつくられた1995年にAT&TのV.Vapnik(The Nature of Statistical Leaning Theory、Springer、1995年発行)によって統計的学習理論の枠組みで提案された学習機械である。SVMは線形の識別器であるが、後述するカーネルを組み合わせることによって非線形問題を扱うことができる。異なるクラスの訓練サンプルについて、それらを識別する多数の超平面のうち、その超平面と訓練サンプルとの最小距離が最大となる超平面を識別面とすることにより、新たに与えられるテストサンプルがどのクラスに属するかを最も正確に識別することができる。
SVMでは線形問題のみしか扱うことができないが、本質的に非線形な問題に対応するための方法として、特徴ベクトルを高次元へ非線形変換し、その空間で線形の識別を行う方法が知られている。こうすれば、元の空間で非線形モデルを用いているのと等価となる。しかし高次元への写像を行うと膨大な計算量が必要となり、汎化能力も減少する。SVMでは識別関数が入力パターンの内積のみに依存した形になっており、内積が計算できれば最適な識別関数を構成することが可能である。非線形に写像した空間での二つの要素の内積がそれぞれのもとの空間での入力のみで表現されるような式のことをカーネルと呼び、高次元に写像しながら、実際には写像された空間での特徴の計算を避けてカーネルの計算のみで最適な識別関数、すなわち判別式を構成することができる(「統計科学のフロンティア6 パターン認識と学習の統計学」p. 107-138、麻生英樹、津田宏治、村田昇著、岩波書店、東京、日本国、2003年4月11日発行)。
本発明の方法で使用可能な判別式の算出例を以下に示す。
SVMを決めるためには予後良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織または予後不良の患者由来の腎ガン組織であることが既知の生体試料中の標的遺伝子の発現量を教師(訓練サンプル)として用意し、以下の手順によって識別関数の定数を決定することができる。
訓練サンプルx
iは(+、−)でクラス分けされる、予後良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織または予後不良の患者由来の腎ガン組織のいずれかに属しているとする。これらの訓練サンプルが超平面によって線形分離できるとき、識別関数は例えば次式となる。
(ここで、wは重み係数、bはバイアス定数、xはサンプルの変数を表す。)
ただし、この関数には制約条件:
(ここで、Tは内積、yはサンプルのクラス、ζはスラック変数を表す。)
があるため、Lagurangeの未定乗数法を用いることによりLagurange乗数αを用いた以下の最適化問題に帰着する。
(ここで、Cは実験により決定される制限条件パラメーターを表す。)
この問題を解くと最終的に、
が得られ、識別関数を一義的に得ることができる。この関数に新たに与えられる検体試料(転移がある腎ガン細胞を含むかどうか未知の組織の発現遺伝子量)についてのxを代入することによって、f(x)をクラス分け(すなわち、+または−)することができ、検体試料がどちらのクラス(すなわち、予後良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織群または予後不良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織群)に属するかを識別する。
以上に示すように、未知試料のクラス分けを行うためのSVMによる判定式の作成には2群の教師(訓練サンプル)が必要となる。この訓練サンプルは例えば今回の発明の場合、「予後良の患者由来の腎ガン患者由来の腎ガン組織から得られた発現遺伝子(遺伝子 x1,x2,..xi,...xn)」の各患者に対応したセット、および「予後不良の患者由来の腎ガン患者由来の腎ガン組織から得られた発現遺伝子(遺伝子 x1,x2,..xi,...xn)」の各患者に対応したセット、の2群である。これらのセットについてそれぞれ測定される発現遺伝子数(n)は実験のデザインによって様々ではあるが、個々の遺伝子については、どのような実験においても2群間で大きく差がある場合と、比較的差が少ない、あるいは差がない場合が観察される。SVMによる判別式の精度を上げるためには、訓練サンプルとなる2群に、明確な差があることが条件となるため、遺伝子セットの中から2群間で発現量に差がある遺伝子のみを抽出して利用することが必要である。
このように、2群間で差がある遺伝子を抽出する方法としては、平均値の差を検出するパラメトリック解析であるt−検定、ノンパラメトリック解析であるMann―WhitneyのU検定などを利用できる。または生存分析法を利用する方法として、Kaplan−Meier法による生存曲線のプロットをLog―rank検定やWilcoxon検定で解析する方法などがある。また生存曲線を回帰モデルとして取り扱い、Cox比例ハザードモデルで解析する方法は、ある変数が生存に関係しているかどうかを推測するために特に有用である。すなわちCox比例ハザードモデルは、あるカテゴリーで分割した患者群についてKaplan−Meier法によりプロットした複数の生存曲線に対して、様々な変数がどれだけよく回帰モデルを説明するかを示すものである。
また本発明の方法において、例えば、上に記載したような配列番号1〜10、12〜20、22〜47に基づく1または複数の上記ポリヌクレオチドおよび上に記載したような配列番号11、21、48〜50に基づく1または複数のポリヌクレオチドからの任意の組み合わせを用いて、かつ上記の50種の標的遺伝子の発現量がすべて有意に予後良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織と予後不良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織間で異なり、予後不良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織において発現が変動していることを指標にして、これら50種の遺伝子について発現量を測定することにより、腎ガン患者の予後予測、および/または腎ガンの転移の見分けを85%以上、89%以上、90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは94%以上の確率で行うことができる(図2)。
本発明はさらに、上記50種の遺伝子(すなわち、配列番号1〜50に相当する)またはその断片(例えば、配列番号51〜100に相当する)によってコードされるポリペプチド、例えば配列番号101〜150で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、に対する1または複数の抗体またはその断片を用いて、予後良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織と予後不良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織間での該ポリペプチドの発現量、あるいは血液中の該ポリペプチドのレベル(または存在量)、をインビトロで測定することを含む、腎ガンの予後を予測する、あるいは腎ガンの転移を検出、判定または予測する方法を提供する。
本発明はまた、上記のさらに47種のポリペプチド(すなわち、配列番号151〜160、191、配列番号161〜190、192〜197に相当する)またはその断片によってコードされるポリペプチドに対する1または複数、例えば2以上、3以上、5以上から全部、の抗体またはその断片を用いて、腎ガン組織と非ガン組織間での該ポリペプチドの発現量、あるいは血液中の該ポリペプチドのレベル(または存在量)、をインビトロで測定することを含む、腎ガンの検出、判定または予測する方法を提供する。
具体的には、上記の測定は、免疫学的方法によって行うことができる。
免疫学的測定法として例えば、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法、免疫比濁法、ラテックス凝集反応、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応、粒子凝集反応またはウェスタンブロット法が挙げられる。
上記の方法において、標識を用いた免疫測定法により実施する場合には、本発明の抗体を固相化するか、または試料中の成分を固相化して、それらの免疫学的反応を行うことができる。
固相担体としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ラテックス、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス、金属、セラミックスまたは磁性体等の材質よりなるビーズ、マイクロプレート、試験管、スティックまたは試験片(テストストリップ)等の形状の不溶性担体を用いることができる。
固相化は、固相担体と本発明の抗体または試料成分とを物理的吸着法、化学的結合法またはこれらの併用等の公知の方法に従って結合させることにより行うことができる。
さらにまた、本発明においては、本発明の抗体と、試料中の標的ポリペプチドとの反応を容易に検出するために、本発明の抗体を標識することにより該反応を直接検出するか、または標識二次抗体を用いることにより間接的に検出する。本発明の検出方法においては、感度の点で、後者の間接的検出( 例えばサンドイッチ法など) を利用することが好ましい。
標識物質としては、酵素免疫測定法の場合には、ペルオキシダーゼ(POD)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素酵素、アミラーゼまたはビオチン−アビジン複合体等を、蛍光免疫測定法の場合には、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、置換ローダミンイソチオシアネート、ジクロロトリアジンイソチオシアネート、AlexaまたはAlexaFluoro等の蛍光物質もしくは蛍光団を、そして放射免疫測定法の場合にはトリチウム、ヨウ素(131I,125I,123I,121I)、リン(32P,33P)、イオウ(35S)、金属類(例えば68Ga,67Ga,68Ge,54Mn,99Mo,99Tc,133Xeなど)等の放射性同位元素を用いることができる。また、発光免疫測定法は、NADH−、FMNH2−、ルシフェラーゼ系、ルミノール−過酸化水素−POD系、アクリジニウムエステル系またはジオキセタン化合物系等を用いることができる。
また、必要に応じて、アビジン−ビオチン系またはストレプトアビジン−ビオチン系を利用することも可能であり、この場合、本発明の抗体またはその断片に例えばビオチンを結合することもできる。
標識物質と抗体との結合法は、酵素免疫測定法の場合にはグルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法または過ヨウ素酸法等の公知の方法を、放射免疫測定法の場合にはクロラミンT法、ボルトンハンター法等の公知の方法を用いることができる。測定の操作法は、公知の方法(Current protocols in Protein Sciences、1995年、John Wiley & Sons Inc.、Current protocols in Immunology、2001年、John Wiley & Sons Inc.)により行うことができる。例えば、本発明の抗体を直接標識する場合には、試料中の成分を固相化し、標識した本発明の抗体と接触させて、マーカーポリペプチドと本発明の抗体との複合体を形成させる。そして未結合の標識抗体を洗浄分離して、結合標識抗体量または未結合標識抗体量より試料中の標的ポリペプチドの量を測定することができる。
また、例えば標識二次抗体を用いる場合には、本発明の抗体と試料とを反応させ(一次反応)、さらに標識二次抗体を反応させる(二次反応)。一次反応と二次反応は逆の順序で行ってもよいし、同時に行ってもよいし、または時間をずらして行ってもよい。一次反応および二次反応により、固相化した標的ポリペプチド−本発明の抗体−標識二次抗体の複合体、または固相化した本発明の抗体−標的ポリペプチド−標識二次抗体の複合体が形成する。そして未結合の標識二次抗体を洗浄分離して、結合標識二次抗体量または未結合標識二次抗体量より試料中の標的ポリペプチドの量を測定することができる。
具体的には、酵素免疫測定法の場合は標識酵素にその至適条件下で基質を反応させ、その反応生成物の量を光学的方法等により測定する。蛍光免疫測定法の場合には蛍光物質標識による蛍光強度を、放射免疫定法の場合には放射性物質標識による放射能量を測定する。発光免疫測定法の場合は発光反応系による発光量を測定する。
本発明の方法では、免疫比濁法、ラテックス凝集反応、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応または粒子凝集反応等の免疫複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、目視的に測る測定法により実施する場合には、溶媒としてリン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液またはグッド緩衝液等を用いることができ、更にポリエチレングリコール等の反応促進剤や非特異的反応抑制剤を反応系に含ませてもよい。
上記抗体または断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、合成抗体、組換え抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、単鎖抗体、Fab断片、F(ab’)2断片などを含む。ポリクローナル抗体は、精製ポリペプチドを結合した親和性カラムに結合させることを含む、いわゆる吸収法によって、特異的抗体として調製することができる。
測定は、慣用の酵素または蛍光団で標識した抗体または断片と、組織切片またはホモゲナイズした組織あるいは体液(例えば血液、血清、血漿、尿など)とを接触させる工程、抗原−抗体複合体を定性的にまたは定量的に測定する工程を含むことができる。検出は、例えば免疫電顕により標的ポリペプチドの存在とレベルを測定する方法、ELISAや蛍光抗体法などの慣用法によって標的ポリペプチドのレベルを測定する方法などによって行うことができ、これによって、腎ガンを検出することができるだけでなく、予後良の患者由来の腎ガン細胞を含む組織または予後不良の患者由来の腎ガン組織において標的ポリペプチドの発現量が減少している場合、あるいは血液中の該ポリペプチドのレベルが予後良の患者由来の腎ガンに罹患した被験者と比べて予後不良の患者由来の腎ガンに罹患した被験者において有意に変動している場合、予後不良、および/または腎ガンの転移があると決定することができる。言い換えれば、前記ポリペプチドの発現量またはレベルが、正常値と比較して有意に変化している場合、腎ガンであると診断する、あるいは、予後不良および/または転移のある腎ガンであると決定する。ここで、有意にとは、統計学的に有意であることを意味する。