以下に本発明をさらに具体的に説明する
1.胃ガン腹腔内転移の標的核酸
本発明において、上記定義の胃ガン腹腔内転移診断用組成物及びキットを使用して胃ガン腹腔内転移の存在及び/又は不存在を判定するための胃ガン腹腔内転移のマーカーとしての標的核酸には、例えば、配列番号1〜59で表される塩基配列を含むヒト遺伝子(すなわち、DUSP6、ADSSL1、RBM35A、AKR1B10、FBI−AndersonHV2_1、PLS1、MDK、ZNF573、ENSG00000184209、HSD17B3、UNC119、SLC4A7、CENPN、PHGDHL1、MAP3K5、TATDN1、SFTPB、ATP5B、SUCLA2、ZFYVE1、TBC1D2B、KIF21B、C1orf107、PSMA2、CRTC2、KLF5、RERG、KIAA1826、CEP70、SLC44A3、ENSG00000178589、HIX0011100、NALP1、OR10H4、S100A16、ENSG00000198241、RIF1、ABHD12、GTF2IRD1、TPT1、RAB2B、NARG1L、ENSG00000197895、LETM1、ATP10B、MYO9A、ENSG00000170456、ENSG00000135174、MPP2、LTB4DH、SDC1、SPINK1、CEACAM6、CDX2、TFPI、MAD2L1、F3、TFRC、KRT8、CLDN4及びDDC)、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体が含まれる。ここで、遺伝子、同族体、転写産物、cDNA、変異体及び誘導体は、上記定義のとおりである。好ましい標的核酸は、配列番号1〜59で表される塩基配列を含むヒト遺伝子、それらの転写産物又はcDNA、より好ましくは該転写産物又はcDNAである。
本発明において胃ガン腹腔内転移の標的となる上記遺伝子はいずれも、手術時に腹腔内転移があった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞と比較して、手術時に腹腔内転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞において発現レベルが有意に増加又は低下しているものである(後述の実施例の表1参照)。
第1の標的核酸は、DUSP6遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにDUSP6遺伝子又はその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第2の標的核酸は、ADSSL1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにADSSL1遺伝子又はその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内のマーカーになりうるという報告は知られていない。
第3の標的核酸は、RBM35A遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにRBM35A遺伝子又はその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第4の標的核酸は、AKR1B10遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにAKR1B10遺伝子又はその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第5の標的核酸は、FBI−AndersonHV2_1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにFBI−AndersonHV2_1遺伝子又はその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第6の標的核酸は、PLS1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにPLS1遺伝子又はその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第7の標的核酸は、MDK遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにMDK遺伝子又はその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第8の標的核酸は、ZNF573遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにZNF573遺伝子又はその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第9の標的核酸は、ENSG00000184209遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000184209遺伝子又はその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第10の標的核酸は、HSD17B3遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにHSD17B3遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第11の標的核酸は、UNC119遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにUNC119遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第12の標的核酸は、SLC4A7遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにSLC4A7遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第13の標的核酸は、CENPN遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにCENPN遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第14の標的核酸は、PHGDHL1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにPHGDHL1遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第15の標的核酸は、MAP3K5遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにMAP3K5遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第16の標的核酸は、TATDN1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにTATDN1遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第17の標的核酸は、SFTPB遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにSFTPB遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第18の標的核酸は、ATP5B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにATP5B遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第19の標的核酸は、SUCLA2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにSUCLA2遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第20の標的核酸は、ZFYVE1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにZFYVE1遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第21の標的核酸は、TBC1D2B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにTBC1D2B遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第22の標的核酸は、KIF21B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにKIF21B遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第23の標的核酸は、C1orf107遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにC1orf107遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第24の標的核酸は、PSMA2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにPSMA2遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第25の標的核酸は、CRTC2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにCRTC2遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第26の標的核酸は、KLF5遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにKLF5遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第27の標的核酸は、RERG遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにRERG遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第28の標的核酸は、KIAA1826遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにKIAA1826遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第29の標的核酸は、CEP70遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにCEP70遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第30の標的核酸は、SLC44A3遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにSLC44A3遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第31の標的核酸は、ENSG00000178589遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000178589遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第32の標的核酸は、HIX0011100遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにHIX0011100遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第33の標的核酸は、NALP1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにNALP1遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第34の標的核酸は、OR10H4遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにOR10H4遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第35の標的核酸は、S100A16遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにS100A16遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第36の標的核酸は、ENSG00000198241遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000198241遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第37の標的核酸は、RIF1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにRIF1遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第38の標的核酸は、ABHD12遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにABHD12遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第39の標的核酸は、GTF2IRD1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにGTF2IRD1遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第40の標的核酸は、TPT1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにTPT1遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第41の標的核酸は、RAB2B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにRAB2B遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第42の標的核酸は、NARG1L遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにNARG1L遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第43の標的核酸は、ENSG00000197895遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000197895遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第44の標的核酸は、LETM1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにLETM1遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第45の標的核酸は、ATP10B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにATP10B遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第46の標的核酸は、MYO9A遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにMYO9A遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第47の標的核酸は、ENSG00000170456遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000170456遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第48の標的核酸は、ENSG00000135174遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000135174遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第49の標的核酸は、MPP2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。MPP2遺伝子は胃ガン組織で発現が減少していることが、Neoplasia. 2004 Nov−Dec;6(6):744−50.に示されているが、これまでにMPP2遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第50の標的核酸は、LTB4DH遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにLTB4DH遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第51の標的核酸は、SDC1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。SDC1遺伝子は腸型胃ガン組織で発現が増加していることが、World J Gastroenterol. 2005 May 21;11(19):2975−80.に示されている。
第52の標的核酸は、SPINK1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。SPINK1遺伝子は胃ガン組織において発現が増加していることが、Am J Clin Pathol. 1990 Jan;93(1):8−13に示されている。
第53の標的核酸は、CEACAM6遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。CEACAM6遺伝子は胃ガン組織で発現が増加していることが、Int J Cancer. 1998 Mar 30;76(1):148−53.に示されている。
第54の標的核酸は、CDX2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。CDX2遺伝子は腸型胃ガン組織で発現が増加していることが、Int J Oncol. 2002 Oct;21(4):769−74に示されている。
第55の標的核酸は、TFPI遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。TFPI遺伝子は胃ガン組織で発現が増加していることが、Semin Thromb Hemost. 2003 Jun;29(3):291−300.に示されている。
第56の標的核酸は、MAD2L1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。MAD2L1遺伝子は胃ガンの肝転移組織で発現が増加していることが、Jpn J Cancer Res. 2001 Sep;92(9):952−8に示されている。
第57の標的核酸は、F3遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。F3遺伝子は胃ガン組織において発現が増加していることが、Vopr Onkol. 2005;51(5):571−4に示されている。
第58の標的核酸は、TFRC遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。TFRC遺伝子は胃ガン組織で発現が増加していることが、Hum Pathol. 2004 May;35(5):576−81.に示されている。
第59の標的核酸は、KRT8遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。KRT8遺伝子は胃ガン組織で発現が増加していることが、Hum Pathol. 2004 May;35(5):576−81.に示されている。
第60の標的核酸は、CLDN4遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。CLDN4遺伝子は胃ガン組織で発現が増加していることが、BMC Cancer. 2006 Jul 12;6:186に示されている。
第61の標的核酸は、DDC遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。DDC遺伝子は胃ガン患者の腹腔内洗浄液で発現が増加していることが、Gan To Kagaku Ryoho. 2004 Oct;31(11):1906−8に示されている。
2.胃ガン腹腔内転移の標的ポリペプチド
本発明において、上記定義の胃ガン腹腔内転移診断用組成物及びキットを使用して胃ガン腹腔内転移の有無を判定するための胃ガン腹腔内転移マーカーとしての標的ポリペプチドには、例えば、配列番号1〜59で表される塩基配列を含むヒト遺伝子(すなわち、DUSP6、ADSSL1、RBM35A、AKR1B10、FBI−AndersonHV2_1、PLS1、MDK、ZNF573、ENSG00000184209、HSD17B3、UNC119、SLC4A7、CENPN、PHGDHL1、MAP3K5、TATDN1、SFTPB、ATP5B、SUCLA2、ZFYVE1、TBC1D2B、KIF21B、C1orf107、PSMA2、CRTC2、KLF5、RERG、KIAA1826、CEP70、SLC44A3、ENSG00000178589、HIX0011100、NALP1、OR10H4、S100A16、ENSG00000198241、RIF1、ABHD12、GTF2IRD1、TPT1、RAB2B、NARG1L、ENSG00000197895、LETM1、ATP10B、MYO9A、ENSG00000170456、ENSG00000135174、MPP2、LTB4DH、SDC1、SPINK1、CEACAM6、CDX2、TFPI、MAD2L1、F3、TFRC、KRT8、CLDN4及びDDC)遺伝子によってコードされるポリペプチド、例えば、配列番号122〜179で表されるアミノ酸配列を含むヒトポリペプチド、それらの同族体、あるいはそれらの変異体又は誘導体が含まれる。ここで、ポリペプチド、同族体、変異体及び誘導体は、上記定義のとおりである。好ましい標的ポリペプチドは、配列番号122〜179で表されるアミノ酸配列を含むヒトポリペプチドである。
本発明において胃ガン腹腔内転移の標的となる上記ポリペプチドはいずれも、対応する遺伝子及びその転写産物の発現量と同様に、手術時に腹腔内転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞に比較して手術時に腹腔内転移があった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞において有意に増加/低下しているものであることによって特徴付けられる。
3.胃ガン腹腔内転移診断用組成物
3.1核酸
本発明において、胃ガン腹腔内転移の存在及び/又は不存在を判定するための、あるいは胃ガン腹腔内転移を診断するために使用可能な核酸組成物は、胃ガン腹腔内転移の標的核酸としての、ヒト由来のDUSP6、ADSSL1、RBM35A、AKR1B10、FBI−AndersonHV2_1、PLS1、MDK、ZNF573、ENSG00000184209、HSD17B3、UNC119、SLC4A7、CENPN、PHGDHL1、MAP3K5、TATDN1、SFTPB、ATP5B、SUCLA2、ZFYVE1、TBC1D2B、KIF21B、C1orf107、PSMA2、CRTC2、KLF5、RERG、KIAA1826、CEP70、SLC44A3、ENSG00000178589、HIX0011100、NALP1、OR10H4、S100A16、ENSG00000198241、RIF1、ABHD12、GTF2IRD1、TPT1、RAB2B、NARG1L、ENSG00000197895、LETM1、ATP10B、MYO9A、ENSG00000170456、ENSG00000135174、MPP2、LTB4DH、SDC1、SPINK1、CEACAM6、CDX2、TFPI、MAD2L1、F3、TFRC、KRT8、CLDN4及びDDC遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体の存在、発現レベル又は存在量を定性的及び/又は定量的に測定することを可能にする。
上記の標的核酸は、手術時に腹腔内転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞に比較して手術時に腹腔内転移があった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞において有意に増加又は低下する。それゆえ、本発明の組成物は、手術時に腹腔内転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞に比較して手術時に腹腔内転移があった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞について標的核酸の発現レベルを測定し、それらを比較するために有効に使用することができる。
本発明で使用可能な組成物は、胃ガンが腹腔内転移した患者の生体組織において配列番号1〜48で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群及びその相補的ポリヌクレオチド群、該塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でそれぞれハイブリダイズするポリヌクレオチド群及びその相補的ポリヌクレオチド群、ならびにそれらのポリヌクレオチド群の塩基配列において15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド群から選ばれた1又は複数のポリヌクレオチドの組み合わせを含む。
具体的には、本発明の組成物は、以下の1又は複数のポリヌクレオチド又はその断片を含むことができる。
(1)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、又は15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(2)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(3)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、又は15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(4)配列番号1〜48で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(5)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、又は15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(6)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(7)配列番号1〜48で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、又は15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(8)配列番号1〜48で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、又は15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(9)配列番号49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(10)配列番号49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(11)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(12)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(13)配列番号49〜59で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(14)配列番号49〜59で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
上記(1)〜(14)のポリヌクレオチドの断片は、各ポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、連続する15〜配列の全塩基数、15〜5000塩基、15〜4500塩基、15〜4000塩基、15〜3500塩基、15〜3000塩基、15〜2500塩基、15〜2000塩基、15〜1500塩基、15〜1000塩基、15〜900塩基、15〜800塩基、15〜700塩基、15〜600塩基、15〜500塩基、15〜400塩基、15〜300塩基、15〜250塩基、15〜200塩基、15〜150塩基、15〜140塩基、15〜130塩基、15〜120塩基、15〜110塩基、15〜100塩基、15〜90塩基、15〜80塩基、15〜70塩基、15〜60塩基、15〜50塩基、15〜40塩基、15〜30塩基又は15〜25塩基;25〜配列の全塩基数、25〜1000塩基、25〜900塩基、25〜800塩基、25〜700塩基、25〜600塩基、25〜500塩基、25〜400塩基、25〜300塩基、25〜250塩基、25〜200塩基、25〜150塩基、25〜140塩基、25〜130塩基、25〜120塩基、25〜110塩基、25〜100塩基、25〜90塩基、25〜80塩基、25〜70塩基、25〜60塩基、25〜50塩基又は25〜40塩基;50〜配列の全塩基数、50〜1000塩基、50〜900塩基、50〜800塩基、50〜700塩基、50〜600塩基、50〜500塩基、50〜400塩基、50〜300塩基、50〜250塩基、50〜200塩基、50〜150塩基、50〜140塩基、50〜130塩基、50〜120塩基、50〜110塩基、50〜100塩基、50〜90塩基、50〜80塩基、50〜70塩基又は50〜60塩基;60〜配列の全塩基数、60〜1000塩基、60〜900塩基、60〜800塩基、60〜700塩基、60〜600塩基、60〜500塩基、60〜400塩基、60〜300塩基、60〜250塩基、60〜200塩基、60〜150塩基、60〜140塩基、60〜130塩基、60〜120塩基、60〜110塩基、60〜100塩基、60〜90塩基、60〜80塩基又は60〜70塩基などの範囲の塩基数を含むことができるが、これらに限定されないものとする。
本発明の実施形態により、配列番号1〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチドの断片はそれぞれ、配列番号60〜121で表される塩基配列又はその相補的配列、あるいはそれらの連続する15塩基以上の部分配列、を含むことが好ましい。
本発明の組成物には、例えば以下のポリヌクレオチドが包含される。
(1)配列番号1〜48で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(2)配列番号1〜48で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(3)配列番号49〜59で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(4)配列番号49〜59で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(5)配列番号1〜48で表される塩基配列において、それぞれ配列番号60〜110で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(6)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号60〜110で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(7)配列番号49〜59で表される塩基配列において、配列番号111〜121で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(8)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号111〜121で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
本発明で使用される上記ポリヌクレオチド類又はその断片類はいずれもDNAでもよいしRNAでもよい。
本発明の組成物としてのポリヌクレオチドは、DNA組換え技術、PCR法、DNA/RNA自動合成機による方法などの一般的な技術を用いて作製することができる。
DNA組換え技術及びPCR法は、例えばAusubelら, Current Protocols in Molecular Biology, John Willey & Sons, US (1993); Sambrookら, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, US (1989)などに記載される技術を使用することができる。
ヒト由来の、DUSP6、ADSSL1、RBM35A、AKR1B10、FBI−AndersonHV2_1、PLS1、MDK、ZNF573、ENSG00000184209、HSD17B3、UNC119、SLC4A7、CENPN、PHGDHL1、MAP3K5、TATDN1、SFTPB、ATP5B、SUCLA2、ZFYVE1、TBC1D2B、KIF21B、C1orf107、PSMA2、CRTC2、KLF5、RERG、KIAA1826、CEP70、SLC44A3、ENSG00000178589、HIX0011100、NALP1、OR10H4、S100A16、ENSG00000198241、RIF1、ABHD12、GTF2IRD1、TPT1、RAB2B、NARG1L、ENSG00000197895、LETM1、ATP10B、MYO9A、ENSG00000170456、ENSG00000135174、MPP2、LTB4DH、SDC1、SPINK1、CEACAM6、CDX2、TFPI、MAD2L1、F3、TFRC、KRT8、CLDN4及びDDC遺伝子は公知であり、前述のようにその取得方法も知られている。このため、これらの遺伝子をクローニングすることによって、本発明の組成物としてのポリヌクレオチドを作製することができる。
本発明の組成物を構成するポリヌクレオチドは、DNA自動合成装置を用いて化学的に合成することができる。この合成には一般にホスホアミダイト法が使用され、この方法によって約100塩基までの一本鎖DNAを自動合成することができる。DNA自動合成装置は、例えばPolygen社、ABI社、Applied BioSystems社などから市販されている。
あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、cDNAクローニング法によって作製することもできる。本発明において標的である上記遺伝子が発現される生体組織から抽出したtotal RNAをオリゴdTセルロースカラムで処理して得られるポリA(+)RNAからRT−PCR法によってcDNAライブラリーを作製し、このライブラリーからハイブリダイゼーションスクリーニング、発現スクリーニング、抗体スクリーニングなどのスクリーニングによって目的のcDNAクローンを得ることができる。必要に応じて、cDNAクローンをPCR法によって増幅することもできる。プローブ又はプライマーは、配列番号1〜20に示される塩基配列に基づいて15〜100塩基の連続する配列の中から選択し、合成しうる。cDNAクローニング技術は、例えばSambrook,J.& Russel,D. 著、Molecular Cloning, A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年1月15日発行、の 第1巻7.42〜7.45、第2巻8.9〜8.17に記載されている。
3.2胃ガン腹腔内転移診断用キット(抗体)
本発明はさらに、配列番号122〜168で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに対する1または複数の抗体、その断片、またはそれらの化学修飾誘導体を含む、胃ガン腹腔内転移予測用キットを提供する。
本発明のキットは、配列番号169〜179で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに対する抗体、その断片またはそれらの化学修飾誘導体をさらに含むことができる。
すなわち、本発明により、胃ガン腹腔内転移マーカーとしての、上記DUSP6、ADSSL1、RBM35A、AKR1B10、FBI−AndersonHV2_1、PLS1、MDK、ZNF573、ENSG00000184209、HSD17B3、UNC119、SLC4A7、CENPN、PHGDHL1、MAP3K5、TATDN1、SFTPB、ATP5B、SUCLA2、ZFYVE1、TBC1D2B、KIF21B、C1orf107、PSMA2、CRTC2、KLF5、RERG、KIAA1826、CEP70、SLC44A3、ENSG00000178589、HIX0011100、NALP1、OR10H4、S100A16、ENSG00000198241、RIF1、ABHD12、GTF2IRD1、TPT1、RAB2B、NARG1L、ENSG00000197895、LETM1、ATP10B、MYO9A、ENSG00000170456、ENSG00000135174、MPP2、LTB4DH、SDC1、SPINK1、CEACAM6、CDX2、TFPI、MAD2L1、F3、TFRC、KRT8、CLDN4及びDDC遺伝子によってコードされるポリペプチド、それらの同族体、あるいはそれらの変異体又は誘導体を検出するために、これらのポリペプチドに対する抗体を1又は複数組み合わせて用いることができる。
これらのポリペプチドは、DNA組換え技術によって得ることができる。例えば、上記のようにして得られたcDNAクローンを発現ベクターに組み込み、該ベクターによって形質転換又はトランスフェクションされた原核又は真核宿主細胞を培養することによって該細胞又は培養上清から得ることができる。ベクター及び発現系はNovagen社、宝酒造、第一化学薬品、Qiagen社、Stratagene社、Promega社、Roche Diagnositics社、Invitrogen社、Genetics Institute社、Amersham Bioscience社などから入手可能である。宿主細胞としては、細菌などの原核細胞(例えば大腸菌、枯草菌)、酵母(例えばサッカロマイセス・セレビシアエ)、昆虫細胞(例えばSf細胞)、哺乳動物細胞(例えばCOS、CHO、BHK、293)などを用いることができる。ベクターには、該ポリペプチドをコードするDNAの他に、調節エレメント、例えばプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位、複製開始点、ターミネーター、選択マーカーなどを含むことができる。またポリペプチドの精製を容易にするために標識ペプチドをポリペプチドのC末端またはN末端につけた融合ポリペプチドとしてもよい。代表的な標識ペプチドには、6〜10残基のヒスチジンリピート、FLAG、mycぺプチド、GFPポリペプチドなどが挙げられるが、標識ペプチドはこれらにかぎられるものではない。またDNA組換え技術については、Sambrook, J. & Russel, D.(上記)に記載されている。
標識ペプチドを付けずに本発明に係るポリペプチドを生産した場合には、その精製法として例えばイオン交換クロマトグラフィーによる方法を挙げることができる。またこれに加えて、ゲルろ過や疎水性クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィーなどを組み合わせる方法でもよい。一方、当該タンパクにヒスチジンリピート、FLAG、myc、GFPといった標識ペプチドを付けている場合には、一般に用いられるそれぞれの標識ペプチドに適したアフィニティークロマトグラフィーによる方法を挙げることができる。単離・精製が容易となるような発現ベクターを構築するとよい。特にポリペプチドと標識ペプチドとの融合ポリペプチドの形態で発現するように発現ベクターを構築し、遺伝子工学的に当該ポリペプチドを調製すれば、単離・精製も容易である。
このようにして得られたポリペプチドを認識する抗体は、抗体の抗原結合部位を介して、該ポリペプチドに特異的に結合し得る。具体的には、配列番号122〜179のアミノ酸配列を有するポリペプチド又はその断片、その変異体ポリペプチド又は融合ポリペプチドなどを、それぞれに免疫反応性である抗体を産生するための免疫原として使用することが可能である。
より具体的には、ポリペプチド、断片、変異体、融合ポリペプチドなどは、抗体形成を引き出す抗原決定基またはエピトープを含むが、これら抗原決定基またはエピトープは、直鎖でもよいし、より高次構造(断続的)でもよい。なお、該抗原決定基またはエピトープは、当該技術分野に知られるあらゆる方法によって同定できる。
本発明のポリペプチドによってあらゆる態様の抗体が誘導される。該ポリペプチドの全部若しくは一部又はエピトープが単離されていれば、慣用的技術を用いてポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のいずれも調製可能である。方法には例えば、Kennetら(監修),Monoclonal Antibodies,Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses,Ple num Press,New York,1980に挙げられた方法がある。
本発明の抗体としては、本発明の標的ポリペプチドまたはその断片と特異的に結合するものであれば特に限定されず、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でも使用することができるが、モノクローナル抗体を使用するのが好ましい。また、本発明の抗体のグロブリンタイプは、上記特徴を有するものである限り特に限定されるものではなく、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDのいずれでもよい。また、抗体のサブクラスも任意のものでよく制限されない。
<モノクローナル抗体の作製>
(1)免疫及び抗体産生細胞の採取
標的ポリペプチドからなる免疫原を、哺乳動物、例えばラット、マウス(例えば近交系マウスのBalb/c)、ウサギなどに投与する。免疫原の1回の投与量は、免疫動物の種類、投与経路などにより適宜決定されるものであるが、動物1匹当たり約50〜200μgとされる。免疫は主として皮下、腹腔内に免疫原を注入することにより行われる。また、免疫の間隔は特に限定されず、初回免疫後、数日から数週間間隔で、好ましくは1〜4週間間隔で、2〜10回、好ましくは3〜4回追加免疫を行う。初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価の測定をELISA(Enzyme−Linked Immuno Sorbent Assay)法などにより繰り返し行い、抗体価がプラトーに達したときは、免疫原を静脈内または腹腔内に注射し、最終免疫とする。そして、最終免疫の日から2〜5日後、好ましくは3日後に、抗体産生細胞を採取する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞または局所リンパ節細胞が好ましい。
(2)細胞融合
各標的ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を作製する。こうしたハイブリドーマは、慣用的技術によって産生し、そして同定することが可能である。こうしたハイブリドーマ細胞株を産生するための1つの方法は、動物を本発明のタンパク質で免疫し、免疫された動物から脾臓細胞を採取し、該脾臓細胞を骨髄腫細胞株に融合させ、それによりハイブリドーマ細胞を生成し、そして該酵素に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することを含む。抗体産生細胞と融合させる骨髄腫細胞株としては、マウスなどの動物の一般に入手可能な株化細胞を使用することができる。使用する細胞株としては、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンを含む)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。また株化細胞は、免疫動物と同種系の動物に由来するものが好ましい。骨髄腫細胞株の具体例としては、BALB/cマウス由来のヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRT)欠損細胞株であるP3X63−Ag.8株(ATCC TIB9)などが挙げられる。
次に、上記骨髄腫細胞株と抗体産生細胞とを細胞融合させる。細胞融合は、血清を含まないDMEM、RPMI−1640培地などの動物細胞培養用培地中で、抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを約1:1〜 20:1の割合で混合し、細胞融合促進剤の存在下にて融合反応を行う。細胞融合促進剤として、平均分子量1500〜4000ダルトンのポリエチレングリコール等を約10〜80%の濃度で使用することができる。また場合によっては、融合効率を高めるために、ジメチルスルホキシドなどの補助剤を併用してもよい。さらに、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを融合させることもできる。
(3)ハイブリドーマの選別及びクローニング
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。その方法として、細胞懸濁液を、例えばウシ胎児血清含有RPMI−1640培地などで適当に希釈後、マイクロタイタープレート上に200万個/ウエル程度まき、各ウエルに選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行う。培養温度は、20〜40℃ 、好ましくは約37℃である。ミエローマ細胞がHGPRT欠損株またはチミジンキナーゼ欠損株のものである場合には、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジンを含む選択培地(HAT培地)を用いることにより、抗体産生能を有する細胞と骨髄腫細胞株のハイブリドーマのみを選択的に培養し、増殖させることができる。その結果、選択培地で培養開始後、約14日前後から生育してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができる。
次に、増殖してきたハイブリドーマの培養上清中に、目的とする抗体が存在するか否かをスクリーニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、通常の方法に従えばよく、特に限定されない。例えば、ハイブリドーマとして生育したウエルに含まれる培養上清の一部を採取し、酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immuno Assay、及びELISA)、放射免疫測定法(RIA:Radio Immuno Assay)等によって行うことができる。融合細胞のクローニングは、限界希釈法等により行い、最終的にモノクローナル抗体産生細胞であるハイブリドーマを樹立する。本発明のハイブリドーマは、後述するように、RPMI−1640、DMEM等の基本培地中での培養において安定であり、標的ポリペプチドと特異的に反応するモノクローナル抗体を産生、分泌するものである。
(4)抗体の回収
モノクローナル抗体は、慣用的技術によって回収可能である。すなわち樹立したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法として、通常の細胞培養法または腹水形成法等を採用することができる。細胞培養法においては、ハイブリドーマを10% ウシ胎児血清含有RPMI−1640培地、MEM培地または無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培養条件(例えば37℃、5%CO2濃度)で2〜10日間培養し、その培養上清から抗体を取得する。腹水形成法の場合は、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを約1000万個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜2週間後に腹水または血清を採取する。
上記抗体の採取方法において、抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜に選択して、またはこれらを組み合わせることにより、精製されたモノクローナル抗体を得ることができる。
<ポリクローナル抗体の作製>
ポリクローナル抗体を作製する場合は、前記と同様にウサギ等の動物を免疫し、最終の免疫日から6〜60日後に、酵素免疫測定法(EIA及びELISA)、放射免疫測定法(RIA)等で抗体価を測定し、最大の抗体価を示した日に採血し、抗血清を得る。その後は、抗血清中のポリクローナル抗体の反応性をELISA法などで測定する。
<検出法>
本発明によれば、本発明の上記抗体を用いて、被検者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞及び腹腔内洗浄液中の該ポリペプチドのレベルをin vitroで測定することを含む、被験者の胃ガン腹腔内の転移の有無をin vitroで予測する方法が提供される。
免疫学的測定法として例えば、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法、免疫比濁法、ラテックス凝集反応、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応、粒子凝集反応またはウェスタンブロット法が挙げられる。
上記の方法において、標識を用いた免疫測定法により実施する場合には、本発明の抗体を固相化するか、または試料中の成分を固相化して、それらの免疫学的反応を行うことができる。
固相担体としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ラテックス、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス、金属、セラミックスまたは磁性体等の材質よりなるビーズ、マイクロプレート、試験管、スティックまたは試験片等の形状の不溶性担体を用いることができる。
固相化は、固相担体と本発明の抗体または試料成分とを物理的吸着法、化学的結合法またはこれらの併用等の公知の方法に従って結合させることにより行うことができる。
さらにまた、本発明においては、本発明の抗体と、試料中の標的ポリペプチドとの反応を容易に検出するために、本発明の抗体を標識することにより該反応を直接検出するか、または標識二次抗体を用いることにより間接的に検出する。本発明の検出方法においては、感度の点で、後者の間接的検出( 例えばサンドイッチ法など) を利用することが好ましい。
標識物質としては、酵素免疫測定法の場合には、ペルオキシダーゼ(POD)、アルカリホスファターゼ、β − ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素酵素、アミーゼまたはビオチン− アビジン複合体等を、蛍光免疫測定法の場合には、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、置換ローダミンイソチオシアネート、ジクロロトリアジンイソチオシアネート、AlexaまたはAlexaFluoro等を、そして放射免疫測定法の場合にはトリチウム、ヨウ素125またはヨウ素131等を用いることができる。また、発光免疫測定法は、NADH−、FMNH2−、ルシフェラーゼ系、ルミノール−過酸化水素−POD系、アクリジニウムエステル系またはジオキセタン化合物系等を用いることができる。
標識物質と抗体との結合法は、酵素免疫測定法の場合にはグルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法または過ヨウ素酸法等の公知の方法を、放射免疫測定法の場合にはクロラミンT法、ボルトンハンター法等の公知の方法を用いることができる。測定の操作法は、公知の方法(Current protocols in Protein Sciences、1995年、John Wiley & Sons Inc.、Current protocols in Immunology、2001年、John Wiley & Sons Inc.)により行うことができる。例えば、本発明の抗体を直接標識する場合には、試料中の成分を固相化し、標識した本発明の抗体と接触させて、マーカーポリペプチドと本発明の抗体との複合体を形成させる。そして未結合の標識抗体を洗浄分離して、結合標識抗体量または未結合標識抗体量より試料中の標的ポリペプチドの量を測定することができる。
また、例えば標識二次抗体を用いる場合には、本発明の抗体と試料とを反応させ(一次反応)、さらに標識二次抗体を反応させる(二次反応)。一次反応と二次反応は逆の順序で行ってもよいし、同時に行ってもよいし、または時間をずらして行ってもよい。一次反応及び二次反応により、固相化した標的ポリペプチド−本発明の抗体−標識二次抗体の複合体、または固相化した本発明の抗体−標的ポリペプチド−標識二次抗体の複合体が形成する。そして未結合の標識二次抗体を洗浄分離して、結合標識二次抗体量または未結合標識二次抗体量より試料中の標的ポリペプチドの量を測定することができる。
具体的には、酵素免疫測定法の場合は標識酵素にその至適条件下で基質を反応させ、その反応生成物の量を光学的方法等により測定する。蛍光免疫測定法の場合には蛍光物質標識による蛍光強度を、放射免疫定法の場合には放射性物質標識による放射能量を測定する。発光免疫測定法の場合は発光反応系による発光量を測定する。
本発明の方法では、免疫比濁法、ラテックス凝集反応、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応または粒子凝集反応等の免疫複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、目視的に測る測定法により実施する場合には、溶媒としてリン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液またはグッド緩衝液等を用いることができ、更にポリエチレングリコール等の反応促進剤や非特異的反応抑制剤を反応系に含ませてもよい。
本発明のキットに含まれる抗体は、個別にまたは混合物の形態で存在しるし、あるいは固相担体に結合されていてもよいしまたは遊離の形態でもよい。さらに本発明のキットは、標識二次抗体、担体、洗浄バッファー、試料希釈液、酵素基質、反応停止液、精製された標準物質としてのマーカー(標的)ポリペプチド、使用説明書、等を含むことができる。
4.胃ガン腹腔内転移診断用キット(核酸)
本発明はまた、本発明の組成物に含まれるものと同じポリヌクレオチド、その変異体及び/又はその断片の1つ又は複数を含む胃ガン腹腔内診断(検出)用キットを提供する。
本発明のキットは、好ましくは、上記3.1に記載したポリヌクレオチド類から選択される1又は複数のポリヌクレオチド又はその断片を含む。
本発明のキットは、配列番号1〜48で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、その相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はそれらのポリヌクレオチドの断片を少なくとも1つ含むことができる。
本発明のキットは、さらに配列番号49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、その相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はそれらのポリヌクレオチドの断片を少なくとも1つ含むことができる。
本発明のキットに含むことができるポリヌクレオチド断片は、例えば下記の(1)〜(5)からなる群より選択される1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上のDNAである:
(1)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列又はその相補的配列において、15以上の連続した塩基を含むDNA。
(2)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列又はその相補的配列において、60以上の連続した塩基を含むDNA。
(3)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列又はその相補的配列において、それぞれ配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列又はその相補的配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むDNA。
(4)配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列からなるDNA。
(5)配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むDNA。
好ましい実施形態では、前記ポリヌクレオチドが、配列番号1〜48のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はそれらの15以上の連続した塩基を含む断片である。
別の好ましい実施形態では、本発明のキットは、上記のポリヌクレオチドに加えて、配列番号49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はそれらの15以上の連続した塩基を含む断片をさらに含むことができる。
好ましい実施形態では、前記断片は、15以上、好ましくは60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドであることができる。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号1〜48、49〜59のいずれかで表される塩基配列において、それぞれ配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド、又は該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
上記の組み合わせの具体例は、配列番号1および2の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜3の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜4の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜5の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜6の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜7の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜8の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜9の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜10の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はその断片、配列番号1〜11の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜12の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜13の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜14の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜15の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド及び/又はその断片、配列番号1〜16の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜17の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド及び/又はその断片、配列番号1〜18の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜19の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜20の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜21の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片配列番号1〜22の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜23の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜24の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜25の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜26の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜27の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜28の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜29の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜30の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜31の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜32の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜33の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜34の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜35の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜36の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜37の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜38の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜39の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜40の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜41の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜42の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜43の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜44の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜45の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜46の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜47の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜48の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜48の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜50の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜51の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜52の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜53の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜54の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜55の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜56の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜57の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜58の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜59の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片である。
別のより好ましい実施形態によれば、本発明のキットは、配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上〜全部を含むことができる。
本発明において、ポリヌクレオチドの断片のサイズは、各ポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば15塩基以上、20塩基以上、25塩基以上、30塩基以上、40塩基以上、50塩基以上などとすることができ、さらに例えば、連続する15〜配列の全塩基数、15〜5000塩基、15〜4500塩基、15〜4000塩基、15〜3500塩基、15〜3000塩基、15〜2500塩基、15〜2000塩基、15〜1500塩基、15〜1000塩基、15〜900塩基、15〜800塩基、15〜700塩基、15〜600塩基、15〜500塩基、15〜400塩基、15〜300塩基、15〜250塩基、15〜200塩基、15〜150塩基、15〜140塩基、15〜130塩基、15〜120塩基、15〜110塩基、15〜100塩基、15〜90塩基、15〜80塩基、15〜70塩基、15〜60塩基、15〜50塩基、15〜40塩基、15〜30塩基又は15〜25塩基;25〜配列の全塩基数、25〜1000塩基、25〜900塩基、25〜800塩基、25〜700塩基、25〜600塩基、25〜500塩基、25〜400塩基、25〜300塩基、25〜250塩基、25〜200塩基、25〜150塩基、25〜140塩基、25〜130塩基、25〜120塩基、25〜110塩基、25〜100塩基、25〜90塩基、25〜80塩基、25〜70塩基、25〜60塩基、25〜50塩基又は25〜40塩基;50〜配列の全塩基数、50〜1000塩基、50〜900塩基、50〜800塩基、50〜700塩基、50〜600塩基、50〜500塩基、50〜400塩基、50〜300塩基、50〜250塩基、50〜200塩基、50〜150塩基、50〜140塩基、50〜130塩基、50〜120塩基、50〜110塩基、50〜100塩基、50〜90塩基、50〜80塩基、50〜70塩基又は50〜60塩基;60〜配列の全塩基数、60〜1000塩基、60〜900塩基、60〜800塩基、60〜700塩基、60〜600塩基、60〜500塩基、60〜400塩基、60〜300塩基、60〜250塩基、60〜200塩基、60〜150塩基、60〜140塩基、60〜130塩基、60〜120塩基、60〜110塩基、60〜100塩基、60〜90塩基、60〜80塩基又は60〜70塩基などの範囲の塩基数である。
本発明のキットを構成する上記の組み合わせは、あくまでも例示であり、他の種々の可能な組み合わせのすべてが本発明に包含されるものとする。
本発明のキットには、上で説明した本発明におけるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片に加えて、胃ガン腹腔内転移の検出を可能とする既知の又は将来見出されるポリヌクレオチドも包含させることができる。
本発明のキットに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片は、個別に又は任意に組み合わせて異なる容器に包装される。
5.DNAチップ
本発明はさらに、本発明の組成物及び/又はキットに含まれるものと同じポリヌクレオチド(或いは、上記の3.1節の組成物及び/又は4節のキットに記載されたポリヌクレオチド)、変異体、断片及びそれらの組み合わせを含む胃ガン腹腔内転移診断用DNAチップを提供する。
DNAチップの基板としては、DNAを固相化できるものであれば特に制限はなく、スライドガラス、シリコン製チップ、ポリマー製チップ及びナイロンメンブレンなどを例示することができる。またこれらの基板にはポリLリジンコートやアミノ基、カルボキシル基などの官能基導入などの表面処理がされていてもよい。
また固相化法については一般に用いられる方法であれば特に制限はなく、スポッター又はアレイヤーと呼ばれる高密度分注機を用いてDNAをスポットする方法や、ノズルより微少な液滴を圧電素子などにより噴射する装置(インクジェット)を用いてDNAを基板に吹き付ける方法、又は基板上で順次ヌクレオチド合成を行う方法を例示することができる。高密度分注機を用いる場合には、例えば多数のウェルを持つプレートのおのおののウェルに異なった遺伝子溶液を入れておき、この溶液をピン(針)で取り上げて基板上に順番にスポットすることによる。インクジェット法では、ノズルより遺伝子を噴射し,基板上に高速度で遺伝子を整列配置することによる。基板上でのDNA合成は、基板上に結合した塩基を光によって脱離する官能基で保護し、マスクを用いることにより特定部位の塩基だけに光を当て、官能基を脱離させる。その後、塩基を反応液に加えて、基板上の塩基とカップリングさせる工程を繰り返すことによって行われる。
固相化されるポリヌクレオチドは、上記で説明した本発明の全てのポリヌクレオチドである。
例えば、そのようなポリヌクレオチドは、以下の1又は複数、好ましくは2以上、より好ましくは3以上のポリヌクレオチド又はその断片を含むことができる。
(1)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(2)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(3)配列番号1〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(4)配列番号1〜48で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(5)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(6)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(7)配列番号1〜48で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(8)配列番号1〜48で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(9)配列番号49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(10)配列番号49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(11)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(12)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(13)配列番号49〜59で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(14)配列番号49〜59で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(15)配列番号1〜48で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(16)配列番号1〜48で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(17)配列番号49〜59で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(18)配列番号49〜59で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(19)配列番号1〜48で表される塩基配列において、それぞれ配列番号60〜110で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(20)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号60〜110で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(21)配列番号49〜59で表される塩基配列において、それぞれ配列番号111〜121で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(22)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号94で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
好ましい実施形態によれば、本発明のDNAチップは、配列番号60〜121で表される塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上から全部を含むことができる。
本発明において、固相化されるポリヌクレオチドは、ゲノムDNA、cDNA、RNA、aRNA、合成DNA、合成RNAのいずれでもよいし、あるいは1本鎖でもよいし又は2本鎖でもよい。
標的遺伝子、RNA又はcDNAの発現レベルを検出、測定することができるDNAチップの例としては、Affymetrix社のGene Chip Human Genome U133 Plus 2.0 Array、Agilent社のWhole human genome oligo microarray、タカラバイオ社のIntelliGene(登録商標)HS Human Expression CHIPなどを挙げることができる。
DNAマイクロアレイの作製について、例えば予め調製したプローブを固相表面に固定化する方法を使用することができる。予め調製したポリヌクレオチドプローブを固相表面に固定化する方法では、官能基を導入したポリヌクレオチドを合成し、表面処理した固相担体表面にオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを点着し、共有結合させる(例えば、J.B.Lamtureら、Nucleic.Acids.Research、1994年、第22巻、p.2121−2125、Z.Guoら、Nucleic.Acids.Research、1994年、第22巻、p.5456−5465)。ポリヌクレオチドは、一般的には、表面処理した固相担体にスペーサ-やクロスリンカーを介して共有結合される。ガラス表面にポリアクリルアミドゲルの微小片を整列させ、そこに合成ポリヌクレオチドを共有結合させる方法も知られている(G.Yershovら、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、1996年、第94巻、p.4913)。また、シリカマイクロアレイ上に微小電極のアレイを作製し、電極上にはストレプトアビジンを含むアガロースの浸透層を設けて反応部位とし、この部位をプラスに荷電させることでビオチン化ポリヌクレオチドを固定し、部位の荷電を制御することで、高速で厳密なハイブリダイゼーションを可能にする方法も知られている(R.G.Sosnowskiら、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、1997年、第94巻、p.1119―1123)。
6.胃ガン腹腔内転移の検出法
本発明は、本発明の組成物、キット、DNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、被験者由来の検体試料中に胃ガン細胞が含まれるかどうかをin vitroで判定する方法であって、手術時に腹腔内節転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中含まれる細胞に比較して、該検体試料中の細胞の標的核酸の発現量が増加又は低下している場合、該検体試料中に胃ガン細胞が存在すると判定することを含み、ここで、該標的核酸が該組成物、キット又はDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片によって検出可能なものである、方法を提供する。
本発明はまた、本発明の組成物、キット又はDNAチップの、被験者由来の検体試料中の胃ガン腹腔内転移のin vivo検出のための使用を提供する。
本発明の上記方法において、組成物、キット又はDNAチップは、上で説明したような、本発明のポリヌクレオチド、その変異体又はその断片を単一であるいはあらゆる可能な組み合わせで含むものが使用される。
本発明の胃ガン腹腔内転移の検出、判定、検査又は(遺伝子)診断において、本発明の組成物、キット又はDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片は、プライマーとして又はプローブとして用いることができる。プライマーとして用いる場合には、通常15〜50塩基、好ましくは15〜30塩基、より好ましくは18〜25塩基の塩基長を有するものが例示できる。また検出プローブとして用いる場合には、例えば15塩基〜全配列の塩基数、好ましくは25〜1000塩基、より好ましくは25〜100塩基の塩基長を有するものが例示できるが、この範囲に限定されない。
本発明の組成物又はキットに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片は、ノーザンブロット法、RT−PCR法、in situ ハイブリダイゼーション法などの、特定遺伝子を特異的に検出する公知の方法において、定法に従ってプライマー又はプローブとして利用することができる。測定対象試料としては、使用する検出方法の種類に応じて、被験者の例えば左横隔膜下やダグラス窩より採取した腹腔内洗浄液中に含まれる細胞を回収する。さらにそこから常法に従って調製したtotal RNAを用いてもよいし、さらに該RNAをもとにして調製される、cDNA、ポリA(+)RNAを含む各種のポリヌクレオチドを用いてもよい。
あるいは、生体組織における本発明の遺伝子、RNA、cDNAなどの核酸の発現量は、DNAチップ(DNAマクロアレイを含む)を用いて検出あるいは定量することができる。この場合、本発明の組成物又はキットはDNAアレイのプローブとして使用することができる(例えば、アフィメトリックス社のHuman Genome U133 Plus 2.0 Arrayでは25塩基の長さのポリヌクレオチドプローブが用いられる)。かかるDNAアレイを検体から採取したRNAをもとに調製される標識DNA又はRNAとハイブリダイズさせ、該ハイブリダイズによって形成された上記プローブと標識DNA又はRNAとの複合体を、該標識DNA又はRNAの標識を指標として検出することにより、検体中での本発明胃ガン腹腔内転移関連遺伝子の発現の有無又は発現レベル(発現量)を評価することができる。本発明の方法では、DNAチップを好ましく使用できるが、これは、ひとつの生体試料について同時に複数遺伝子の発現の有無又は発現レベルの評価が可能である。
本発明の組成物、キット又はDNAチップは、胃ガン腹腔内転移の診断、判定、検査又は検出(転移の有無の診断)のために有用である。具体的には、該組成物、キット又はDNAチップを使用した胃ガン腹腔内転移の診断は、被験者の胃ガン細胞の存在する腹腔内洗浄液中に存在する細胞群と手術時に腹腔内転移が無かった被験者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞、または手術時に腹腔内転移が無かった被験者由来の同等の生体試料との比較を行い、該診断用組成物で検出される遺伝子の発現レベルの違いを判定することによって行うことができる。この場合、遺伝子発現レベルの違いには、発現の有無だけではなく、転移がある胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞と転移がない胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞の両者ともに発現がある場合でも、両者間の発現量を比較した時の差が検定上有意(p値 <0.05)である場合が含まれる。例えばSPINK1遺伝子は転移のある胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞で発現誘導又は減少を示すので、被験者の胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞では発現又は減少しており、該発現量と転移がない胃ガン腹腔内洗浄液中に存在する細胞の発現量と比べて検定を行った時に、その差が有意であれば、被験者について胃ガン腹腔内の転移が疑われる。
本発明の組成物、キット又はDNAチップを利用した転移がある胃ガン腹腔内転移の検出方法は、被験者の例えば左横隔膜下やダグラス窩より採取した腹腔内洗浄液中に含まれる細胞を回収し、そこに含まれる遺伝子を、本発明のポリヌクレオチド群から選ばれた単数又は複数のポリヌクレオチド、その変異体又はその断片を用いて検出し、その遺伝子発現量を測定することにより、胃ガン腹腔内の転移の有無又はその程度を診断することを含む。また本発明の胃ガン腹腔内転移の検出方法は、例えば胃ガン患者において、該疾患の改善のために治療薬を投与した場合における該疾患の改善の有無又はその程度を検出、判定又は診断することもできる。
本発明の方法は、例えば以下の(a)、(b)及び(c)の工程:
(a)被験者由来の検体試料を、本発明の組成物、キット又はDNAチップのポリヌクレオチドと接触させる工程、
(b)生体試料中の標的核酸の発現レベルを、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いて測定する工程、
(c)(b)の結果をもとに、該検体試料中の胃ガン(細胞)の存在又は不存在を判定する工程、
を含むことができる。
本発明方法で用いられる検体試料としては、被験者の例えば左横隔膜下やダグラス窩より採取した腹腔内洗浄液中に含まれる細胞から調製される試料を挙げることができる。具体的には該組織から調製されるRNA含有試料、或いはそれからさらに調製されるポリヌクレオチドを含む試料は、手術時に腹水あるいは左横隔膜下やダグラス窩を生理食塩水で洗浄した洗浄液から回収し、そこから常法に従って調製することができる。
ここで被験者とは、哺乳動物、例えば非限定的にヒト、サル、マウス、ラットなどを指し、好ましくはヒトである。
本発明の方法は、測定対象として用いる生体試料の種類に応じて工程を変更することができる。
測定対象物としてRNAを利用する場合、胃ガン(細胞)の検出は、例えば下記の工程(a)、(b)及び(c):
(a)被験者の生体試料から調製されたRNA又はそれから転写された相補的ポリヌクレオチド(cDNA)を、本発明の組成物、キット又はDNAチップのポリヌクレオチドと結合させる工程、
(b) 該ポリヌクレオチドに結合した生体試料由来のRNA又は該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドを、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いて測定する工程、
(c) 上記(b)の測定結果に基づいて、胃ガン(細胞)の存在又は不存在を判定する工程、
を含むことができる。
本発明によって胃ガン(細胞)を検出、判定又は診断するために、例えば種々のハイブリダイゼーション法を使用することができる。かようなハイブリダイゼーション法には、例えばノーザンブロット法、サザンブロット法、RT−PCR法、DNAチップ解析法、in situハイブリダイゼーション法、サザンハイブリダイゼーション法などを使用することができる。
ノーザンブロット法を利用する場合は、本発明の診断用組成物をプローブとして用いることによって、RNA中の各遺伝子発現の有無やその発現レベルを検出、測定することができる。具体的には、本発明の診断用組成物(相補鎖)を放射性同位元素(32P、33P、35Sなど)や蛍光物質(フルオレセイン、ローダミン、シアン(Cy)、それらの誘導体など)などで標識し、それを常法にしたがってナイロンメンブレンなどにトランスファーした被検者の生体試料由来のRNAとハイブリダイズさせたのち、形成された診断用組成物(DNA)とRNAとの二重鎖を診断用組成物の標識物(放射性同位元素又は蛍光物質)に由来するシグナルを放射線検出器(BAS-1800II、富士写真フィルム株式会社、などを例示できる)又は蛍光検出器(STORM860、Amersham Bioscience社、などを例示できる)で検出、測定する方法を例示することができる。
定量RT―PCR法を利用する場合には、本発明の上記診断用組成物をプライマーとして用いることによって、RNA中の遺伝子発現の有無やその発現レベルを検出、測定することができる。具体的には、被検者の生体試料由来のRNAから常法にしたがってcDNAを調製して、これを鋳型として標的の各遺伝子の領域が増幅できるように、本発明の診断用組成物から調製した1対のプライマー(上記cDNAに結合する正鎖と逆鎖からなる)をcDNAとハイブリダイズさせて常法によりPCR法を行い、得られた二本鎖DNAを検出する方法を例示することができる。なお、二本鎖DNAの検出法としては、上記PCRをあらかじめ放射性同位元素や蛍光物質で標識しておいたプライマーを用いて行う方法、PCR産物をアガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドなどで二本鎖DNAを染色して検出する方法、産生された二本鎖DNAを常法にしたがってナイロンメンブレンなどにトランスファーさせて標識した診断用組成物をプローブとしてこれとハイブリダイズさせて検出する方法をとることができる。
DNAアレイ解析を利用する場合は、本発明の上記診断用組成物をDNAプローブ(一本鎖又は二本鎖)として基板に貼り付けたDNAチップを用いる。遺伝子群を基板に固相化したものには、一般にDNAチップ及びDNAアレイという名称があり、DNAアレイにはDNAマクロアレイとDNAマイクロアレイが包含されるが、本明細書ではDNAチップといった場合、該DNAアレイを含むものとする。
ハイブリダイゼーション条件は、限定されないが、例えば30℃〜50℃で、3〜4×SSC、0.1〜0.5% SDS中で1〜24時間のハイブリダイゼーション、より好ましくは40℃〜45℃で、3.4×SSC、0.3%SDS中で1〜24時間のハイブリダイゼーション、そしてその後の洗浄を含む。洗浄条件としては、例えば、2×SSCと0.1%SDSを含む溶液、及び1×SSC溶液、0.2×SSC溶液による室温での連続した洗浄などの条件を挙げることができる。ここで、1×SSCは、150mM塩化ナトリウムおよび15mMクエン酸ナトリウムを含む水溶液(pH7.2)である。相補鎖はかかる条件で洗浄しても対象とする正鎖とハイブリダイズ状態を維持するものであることが望ましい。具体的にはこのような相補鎖として、対象の正鎖の塩基配列と完全に相補的な関係にある塩基配列からなる鎖、並びに該鎖と少なくとも80%の相同性を有する塩基配列からなる鎖を例示することができる。
本発明の組成物又はキットのポリヌクレオチド断片をプライマーとしてPCRを実施する際のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、例えば10mMTris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、1〜2mM MgCl2などの組成のPCRバッファーを用い、当該プライマーの配列から計算されたTm+5〜10℃において15秒から1分程度処理することなどが挙げられる。かかるTmの計算方法としてTm=2×(アデニン残基数+チミン残基数)+4×(グアニン残基数+シトシン残基数)などが挙げられる。
これらのハイブリダイゼーションにおける「ストリンジェントな条件」の他の例については、例えばSambrook, J. & Russel, D. 著、Molecular Cloning, A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年1月15日発行、の 第1巻7.42〜7.45、第2巻8.9〜8.17などに記載されており、本発明において利用できる。
本発明はまた、本発明の組成物、キット、DNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、被験者由来の検体試料中の標的核酸又は遺伝子の発現量を測定し、転移のある胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞と転移のない胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞の遺伝子発現量を教師(訓練サンプル)としたサポートベクターマシーン(SVM)を判別式として、検体試料中に胃ガン細胞が含まれないこと及び/又は含まれることを判定するための検査方法を提供する。
すなわち、本発明はさらに、本発明の組成物、キット、DNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、転移がある患者由来の腹腔内洗浄液中の細胞又は転移がない患者由来の腹腔内洗浄液中の細胞であることが既知の複数の生体試料中の標的核酸の発現量をin vitroで測定する第1の工程、前記第1の工程で得られた該標的核酸の発現量の測定値を教師とした判別式(サポートベクターマシーン)を作成する第2の工程、被験者の腹腔内洗浄液由来の検体試料中の該標的核酸の発現量を第1の工程と同様にin vitroで測定する第3の工程、前記第2の工程で得られた判別式に第3の工程で得られた該標的核酸の発現量の測定値を代入し、該判別式から得られた結果に基づいて、検体試料中に胃ガン細胞が含まれないこと及び/又は転移がない胃ガン細胞が含まれることを判定する第4の工程を含む、ここで、該標的核酸が該組成物、キット又はDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片によって検出可能なものである、前記方法を提供する。
あるいは、本発明の方法は、例えば下記の工程(a)、(b)及び(c):
(a)転移がある患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞または転移がない患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞であることが既知の生体試料中の標的遺伝子の発現量を、本発明による診断(検出)用組成物、キット又はDNAチップを用いて測定する工程、
(b)(a)で測定された発現量の測定値を、下記の数1〜数5の式に代入して、SVMと呼ばれる判別式を作成する工程、
(c)被験者由来の検体試料中の該標的遺伝子の発現量を、本発明による診断(検出)用組成物、キット又はDNAチップを用いて測定し、(b)で作成した判別式にそれらを代入して、得られた結果に基づいて該検体試料中に胃ガン細胞が含まれるかどうかを判定する工程、
を含むことができる。
SVMとは2クラスの分類問題を解くためにつくられた1995年にAT&TのV.Vapnik(The Nature of Statistical Leaning Theory、Springer、1995年発行)によって統計的学習理論の枠組みで提案された学習機械である。SVMは線形の識別器であるが、後述するカーネルを組み合わせることによって非線形問題を扱うことができる。異なるクラスの訓練サンプルについて、それらを識別する多数の超平面のうち、その超平面と訓練サンプルとの最小距離が最大となる超平面を識別面とすることにより、新たに与えられるテストサンプルがどのクラスに属するかを最も正確に識別することができる。
SVMでは線形問題のみしか扱うことができないが、本質的に非線形な問題に対応するための方法として、特徴ベクトルを高次元へ非線形変換し、その空間で線形の識別を行う方法が知られている。こうすれば、元の空間で非線形モデルを用いているのと等価となる。しかし高次元への写像を行うと膨大な計算量が必要となり、汎化能力も減少する。SVMでは識別関数が入力パターンの内積のみに依存した形になっており、内積が計算できれば最適な識別関数を構成することが可能である。非線形に写像した空間での二つの要素の内積がそれぞれのもとの空間での入力のみで表現されるような式のことをカーネルと呼び、高次元に写像しながら、実際には写像された空間での特徴の計算を避けてカーネルの計算のみで最適な識別関数、すなわち判別式を構成することができる。
本発明の方法で使用可能な判別式の算出例を以下に示す。
SVMを決めるためには転移のある胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞または転移のない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞であることが既知の生体試料中の標的遺伝子の発現量を教師(訓練サンプル)として用意し、以下の手順によって識別関数の定数を決定することができる。
訓練サンプルxiは(+1、−1)でクラス分けされる、転移のある胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群、転移のない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群のいずれかに属しているとする。これらの訓練サンプルが超平面によって線形分離できるとき、識別関数は例えば次式となる。
(ここで、wは重み係数、bはバイアス定数、xはサンプルの変数を表す。)
ただし、この関数には制約条件:
(ここで、Tは内積、yはサンプルのクラス、ζはスラック変数を表す。)
があるため、Lagurangeの未定乗数法を用いることによりLagurange乗数αを用いた以下の最適化問題に帰着する。
ここで、
(ここで、Cは実験により決定される制限条件パラメーターを表す。)
この問題を解くと最終的に、
が得られ、識別関数を一義的に得ることができる。この関数に新たに与えられる検体試料(胃ガン細胞を含むかどうか未知の組織の発現遺伝子量)についてのxを代入することによって、f(x)をクラス分け(すなわち、+1又は−1)することができ、検体試料がどちらのクラス(すなわち、転移がある胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群又は転移がない胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群)に属するかを識別する。
以上に示すように、未知試料のクラス分けを行うためのSVMによる判定式の作成には2群の教師(訓練サンプル)が必要となる。この訓練サンプルは例えば今回の発明の場合、「転移のある胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群から得られた発現遺伝子(遺伝子 x1,x2,..xi,...xn)」の各患者に対応したセット、および「転移のない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群から得られた発現遺伝子(遺伝子 x1,x2,..xi,...xn)」の各患者に対応したセット、の2群である。これらのセットについてそれぞれ測定される発現遺伝子数(n)は実験のデザインによって様々ではあるが、個々の遺伝子については、どのような実験においても2群間で大きく差がある場合と、比較的差が少ない、あるいは差がない場合が観察される。SVMによる判別式の精度を上げるためには、訓練サンプルとなる2群に、明確な差があることが条件となるため、遺伝子セットの中から2群間で発現量に差がある遺伝子のみを抽出して利用することが必要である。
このように、2群間で差がある遺伝子を抽出する方法としては、平均値の差を検出するパラメトリック解析であるt−検定、ノンパラメトリック解析であるMann―WhitneyのU検定などを利用できる
本発明の方法において、例えば、上に記載したような配列番号1〜48、49〜59に基づく1又は複数の上記ポリヌクレオチド、並びに/或いは、上に記載したような1〜48、49〜59に基づく1又は複数のポリヌクレオチド、からの任意の組み合わせを用いて、かつ上記の20種の標的遺伝子の発現量がすべて有意に転移がある胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と転移がない胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群間で異なり、転移がある患者由来の腹腔内洗浄液中の細胞において発現が増加又は減少していることを指標にして、これら61種の遺伝子について発現量を測定することにより、胃ガン腹腔内の転移を70%以上、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の確率で見分けることができる(図1)。
本発明はさらに、上記61種の遺伝子(例えば、配列番号1〜59に相当する)又はその断片(例えば、配列番号60〜121に相当する)によってコードされるポリペプチド、例えば配列番号122〜179で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、に対する1又は複数の抗体又はその断片を用いて、胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と転移がない胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群間での該ポリペプチドの発現量、或いは腹腔内洗浄液中の該ポリペプチドのレベル(又は存在量)、をin vitroで測定することを含む、胃ガン腹腔内転移の検出方法を提供する。
かかる抗体又は断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、合成抗体、組換え抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、単鎖抗体、Fab断片、F(ab’)2断片などを含む。ポリクローナル抗体は、精製ポリペプチドを結合した親和性カラムに結合させることを含む、いわゆる吸収法によって、特異的抗体として調製することができる。
測定は、慣用の酵素又は蛍光団で標識した抗体又は断片と、細胞又はホモゲナイズした細胞とを接触させる工程、抗原−抗体複合体を定性的に又は定量的に測定する工程を含むことができる。検出は、例えば免疫電顕により標的ポリペプチドの存在とレベルを測定する方法、ELISAや蛍光抗体法などの慣用法によって標的ポリペプチドのレベルを測定する方法などによって行い、胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と比べて転移がある胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群において標的ポリペプチドの発現量が増加又は減少している場合、胃ガン腹腔内転移があると決定する。言い換えれば、前記ポリペプチドの発現量又はレベルが、転移のない患者由来の値と比較して有意に増加又は低下している場合、胃ガン腹腔内転移があると決定する。ここで、有意にとは、統計学的に有意(危険率p<0.05)であることを意味する。
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲は、この実施例によって制限されないものとする。