JP2009065969A - 胃ガン腹腔内転移判定用組成物及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】胃ガンの腹腔内転移診断に有用なポリヌクレオチドを提供する。
【解決手段】転移のない胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と比較して転移のある胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群において発現レベルの変化が認められるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片、具体的に、配列番号1〜48で表される塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、その変異体、又は15以上の連続した塩基を含むその断片、及びそれらのいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド又はその断片、からなる群から選択される1又は複数のポリヌクレオチドを含む胃ガン腹腔内診断用組成物、キット又はDNAチップ、或いは、該組成物、キット又はDNAチップを用いて胃ガン腹腔内を検出する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、胃ガンの腹腔内転移判定又は検出に有用な判定(診断)用組成物、該組成物を利用した胃ガン腹腔内転移検出又は判定方法、及び該組成物を利用した胃ガン腹腔内転移診断又は検出キットに関する。
胃は食道から続き十二指腸につながる管腔状の臓器で、肝臓の左側、横隔膜の下に位置し、腹腔内に存在する。胃は食道から送られた食物を数時間貯留し、胃液に含まれる消化酵素ペプシンによって蛋白質をペプトンと呼ばれる水溶性の物質に分解する働きをする。
2003年の胃ガンによる死亡者数は日本人の49,535人(男32,142人、女17,393人)で、男性では肺癌に次いで第2位、女性では大腸癌に次いで第2位であった(厚生労働省人口動態統計より)。胃ガンは年齢的には40歳から増え始め、50〜55歳でピークになる。またヘリコバクターピロリ菌感染、萎縮性胃炎、塩分・アルコールなどの胃の粘膜を刺激し傷つける飲食物の摂取、喫煙などの要因が発生に密接に関連する。
胃ガンの治療は進行度(日本胃ガン学会編 胃ガン取り扱い規約 1999年)や転移、全身状態を考慮して決定する。胃ガンの標準的な治療法は日本胃癌学会編「胃ガン治療ガイドライン」(2004年)に示されている。現在早期胃ガンの療法は内視鏡的粘膜切除術(EMR)または手術療法(縮小手術・標準的手術)であり、進行胃ガンでは手術療法(標準的手術・拡大手術・姑息手術)が一般的である。ただし手術療法は患者に大きな負担を与え、手術後のQOL低下への配慮も必要である。また根治療法、対症療法の両面から化学療法、温熱療法、放射線療法が行われる場合がある。化学療法では5−フルオロウラシル、メトトレキサート、シスプラチン、マイトマイシンCなどの抗がん剤が使用されてきたがCPT−11、TS−1、タキソテール、タキソールなどの新規の抗がん剤も開発されている。胃ガンの転移は、転移するルートによって主に、3通りある。リンパによる胃の周辺へのリンパ節転移、胃の静脈への浸潤による肝転移、胃壁への浸潤がすすみ腹腔内に胃ガン細胞が到達することによる腹膜転移である。リンパ節転移が進行した腹部大動脈周囲リンパ節転移や、肝転移、腹膜転移を現在の治療で完全に治癒することは困難である。
胃ガンは早期の段階では無症状で自覚症状による発見は難しいが、集団検診や人間ドッグなどで早期がんが発見されることが増えてきている。胃ガンが進行すると、食欲不振、吐き気、吐血、下血、貧血などの自覚症状が現れる。いずれも胃ガン特有の症状ではなく、胃炎、胃・十二指腸潰瘍などでも現れる症状なので、混同しがちである。
胃ガンは早期発見できれば治療成績の良いガンであるが、進行のスピードは速く、他臓器に転移した場合5年生存率は10%程度である。胃ガンの腹膜再発は最も重要な予後因子であるが、肉眼的に播種巣が形成されてからでは、いかなる治療も充分な効果をあげることはできない。しかし潜在的腹膜播種があることが診断できれば、抗癌剤や免疫製剤を腹腔内に投与でき、予後の改善および完治につながる。
胃ガン腹腔内転移は主に洗浄細胞診(細胞診)にて診断が確定される。腹腔内洗浄細胞は手術時に採取され、病理標本を作製した上で病理組織学的分類によって診断される。しかしながら、洗浄液中に含まれる胃ガン細胞が少数である場合には見落とされることもしばしばあり、簡便で精度の高い診断法の開発が求められている。
これまでに、被験者より採取された生検試料中の胃ガン細胞が転移性であるか否かを特異的に判断するための遺伝子を利用したマーカーとしては、RT−PCRによる単独あるいは少数の遺伝子発現を指標としたマーカーとしてはCK20やCEA(非特許文献1)、RegIV(非特許文献2)などが報告されており、またDNAチップによる網羅的発現遺伝子解析の結果が複数報告されている(例えば非特許文献3及び非特許文献4)。
しかしながら、これらによって感度、特異性に乏しく、補助的診断に使用するにとどまっている。
Clin Exp Metastasis. 2007;24(3):179−89 Gan To Kagaku Ryoho. 2004 Oct;31(11):1909−11 World J Gastroenterol. 2006 Nov 21;12(43):6949−54 Clin Cancer Res. 2005 Jan 1;11(1):79−86
しかしながら、上記の既存の指標は特異性及び/又は感受性に乏しいことや、生体試料からのその効率的な検出方法が確立していないことから一般に臨床上の利用は行われていない。また患者の予後を決定する大きな要因である、胃ガン腹腔内転移の有無を診断マーカーを用いて安定に検出することは、未だ困難である。そこで特異性及び感受性が高い胃ガン腹腔内転移のマーカーが切望されている。
本発明は、胃ガン腹腔内転移の診断及び治療に有用な疾患判定用組成物、該組成物を用いた胃ガン腹腔内転移の判定(又は検出)方法、及び該組成物を利用した胃ガン腹腔内転移の判定(又は検出又は診断)キットを提供することを目的とする。
マーカー探索の方法としては、胃ガン腹腔内洗浄液より得られた細胞のうち、手術時の細胞診で胃ガン細胞が検出された、あるいは腹腔内洗浄液中の細胞においてCEAが検出された患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞と、手術時の細胞診で胃ガン細胞が検出されず且つCEAが検出されなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞における遺伝子発現やタンパク質発現、又は細胞の代謝産物などの量を何らかの手段によって比較する方法や胃ガン腹腔内転移患者と非転移患者の腹腔内洗浄液中に含まれる遺伝子、タンパク質、代謝産物などの量を測定する方法が挙げられる。
DNAアレイを用いた発現遺伝子量解析は、近年、このようなマーカー探索の手法として特に汎用されている。DNAアレイには数百から数万種の遺伝子に対応した塩基配列を利用したプローブが固定されている。被検試料をDNAアレイに添加することによって試料中の遺伝子がプローブと結合し、この結合量を何らかの手段によって測定することにより、被検試料中の遺伝子量を知ることができる。DNAアレイ上に固定化するプローブに対応した遺伝子の選択は自由であり、また被検試料に手術時に腹腔内転移があった患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞と手術時に腹腔内転移がなかった患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞を用いて、試料中の発現遺伝子量を比較することによって胃ガン腹腔内転移マーカーとなりうる遺伝子群を推定することが可能である。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、手術時の細胞診で胃ガン細胞が検出された、あるいは腹腔内洗浄液中に含まれる細胞においてCEAが検出された患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞と、手術時の細胞診で胃ガン細胞が検出されず且つCEAが検出されなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞の遺伝子発現をDNAアレイによって解析し、胃ガン腹腔内転移の検出マーカーに使用可能な遺伝子を見出し、さらにそれらの遺伝子の発現量が、手術時に腹腔内転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞に比較して手術時に腹腔内転移があった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞において有意に増加/減少又は低減していることを見出し、本発明を完成させた。
1.発明の概要
本発明は、以下の特徴を有する。
本発明は第一の実施態様において、下記の(a)〜(e)に示すポリヌクレオチド、その変異体またはその断片からなる群から選択される1または2以上のポリヌクレオチドを含む、胃ガン腹腔内転移診断用組成物:
(a)配列番号1〜48で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片
(b)配列番号1〜48で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(c)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片
(d)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
(e)前記(a)〜(d)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、または15以上の連続した塩基を含むその断片。
また別の実施形態において、前記(a)〜(e)の前記断片が、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドである上記の組成物である。
また別の実施形態において、前記(a)〜(e)の前記断片が、配列番号1〜48のいずれかで表される塩基配列において、それぞれ配列番号60〜110のいずれかで表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、上記の組成物である。
また別の実施形態において、前記(a)〜(e)の前記断片が、配列番号60〜110のいずれかで表される塩基配列、またはこれらに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、上記の組成物である。
また別の実施形態において、本発明の組成物は、下記の(f)〜(j)に示すポリヌクレオチド、その変異体またはその断片からなる群から選択される1または2以上のポリヌクレオチドをさらに含む。
(f)配列番号49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片
(g)配列番号49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
(h)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片
(i)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
(j)前記(f)〜(i)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、または15以上の連続した塩基を含むその断片
また別の実施形態において、前記(f)〜(j)の前記断片が、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドである、上記の組成物である。
また別の実施形態において、前記(f)〜(j)の前記断片が、配列番号49〜59のいずれかで表される塩基配列において、それぞれ配列番号111〜121のいずれかで表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、上記の組成物である。
また別の実施形態において、前記(f)〜(j)の前記断片が、配列番号111〜121のいずれかで表される塩基配列、またはこれらに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、上記の組成物である。
本発明の第2の態様として、上記のいずれかに記載の(a)〜(e)に示すポリヌクレオチド、その変異体および/またはその断片の1または2以上を含む、胃ガン腹腔内転移診断用キットである。
また別の実施形態において、上記のいずれかに記載の(f)〜(j)に示すポリヌクレオチド、その変異体および/またはその断片の1または2以上をさらに含む、上記のキットである。
また別の実施形態において、前記ポリヌクレオチドが、配列番号1〜48、49〜59のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはそれらの15以上の連続した塩基を含む断片である、上記のキットである。
また別の実施形態において、前記断片が、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドである、上記のキットである。
また別の実施形態において、前記断片が、配列番号1〜48、49〜59のいずれかで表される塩基配列において、それぞれ配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、上記のキットである。
また別の実施形態において、前記断片が、配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列、またはこれらに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、上記のキットである。
また別の実施形態において、前記断片が、配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチドである、上記のキットである。
また別の実施形態において、配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上から全部を含む、上記のキットである。
また別の実施形態において、前記ポリヌクレオチドが、別個にまたは任意に組み合わせて異なる容器に包装されている、上記のいずれかに記載のキットである。
また別の実施形態において、上記のいずれかに記載の(a)〜(e)に示すポリヌクレオチド、その変異体および/またはその断片の1または2以上を含む、胃ガン腹腔内転移診断用DNAチップである。
本発明の第3の態様として、上記いずれかに記載の(f)〜(j)に示すポリヌクレオチド、その変異体および/またはその断片の1または2以上をさらに含む、上記のDNAチップである。
また別の実施形態において、配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上〜全部を含む、上記のDNAチップである。
本発明の第4の態様として、上記のいずれかに記載の組成物、上記のいずれかに記載のキット、上記のいずれかに記載のDNAチップ、またはそれらの組み合わせを用いて、被験者由来の生体試料における標的核酸の発現レベルを測定することによって、被験者由来の検体試料中に腹腔内転移を伴う胃ガン細胞が含まれるかどうかをin vitroで判定するための検査方法である。
また別の実施形態において、DNAチップを用いる上記の方法である。
また別の実施形態において、いずれかに記載の組成物、上記のいずれかに記載のキット、上記のいずれかに記載のDNAチップ、またはそれらの組み合わせを用いて、腹腔内転移を伴う又は腹腔内転移を伴わない胃ガン細胞を含む組織であることが既知の複数の生体試料中の標的核酸の発現量をin vitroで測定する第1の工程、前記第1の工程で得られた該標的核酸の発現量の測定値を教師とした判別式(サポートベクターマシーン)を作成する第2の工程、被験者の検体試料中の該標的核酸の発現量を第1の工程と同様にin vitroで測定する第3の工程、前記第2の工程で得られた判別式に第3の工程で得られた該標的核酸の発現量の測定値を代入し、該判別式から得られた結果に基づいて、検体試料中に転移を伴うガン細胞が含まれないこと及び/又は転移を伴わないガン細胞が含まれることを判定する第4の工程を含む、胃ガン腹腔内転移を判定するための検査方法である。
また別の実施形態において、上記のいずれかに記載の組成物、上記のいずれかに記載のキット、または上記のいずれかに記載のDNAチップの、胃ガン患者の腹腔内転移の有無をin vitroで予測するための検査への使用である。
また別の実施形態において、配列番号1〜59のいずれかで表される塩基配列によってコードされるポリペプチドに対する1または複数の抗体またはその断片を用いて、被検者の腹腔内洗浄液中の細胞中の該ポリペプチドのレベルをin vitroで測定することを含む、被検者の胃ガン腹腔内転移の有無をin vitroで予測するための検査方法である。
また別の実施形態において、配列番号49〜59のいずれかで表される塩基配列によってコードされるポリペプチドに対する1または複数の抗体またはその断片をさらに使用して、該ポリペプチドのレベルを測定する、上記の方法である。
また別の実施形態において、前記ポリペプチドが、配列番号122〜168、169〜179のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する、上記の方法である。
また別の実施形態において、前記ポリペプチドの発現レベルが、腹腔内に転移のない患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と比較して変化している場合、転移が有る患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群であると決定する、上記のいずれかに記載の方法である。
また別の実施形態において、前記ポリペプチドの発現レベルが、転移のある患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と比較して変化している場合、転移が無い患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群であると決定する、上記のいずれかに記載の方法である。
2.定義
本明細書中で使用する用語は、以下の定義を有する。
ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質などの略号による表示は、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(日米欧三極特許庁編)及び当技術分野における慣用に従うものとする。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、RNA及びDNAのいずれも包含する核酸として用いられる。なお、上記DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAのいずれもが含まれる。また上記RNAには、totalRNA、mRNA、aRNA、rRNA、及び合成RNAのいずれもが含まれる。また、本明細書では、ポリヌクレオチドは核酸と互換的に使用される。
本明細書において「cDNA」とは、遺伝子の発現によって生じたRNAに相補的な配列のDNA鎖全長、及びその部分配列からなるDNA断片、を包含する。cDNAは、RNAを鋳型にして、ポリTプライマーを用いるRT−PCR(逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応)によって合成されうる。
本明細書において「遺伝子」とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成する正鎖(又はセンス鎖)又は相補鎖(又はアンチセンス鎖)などの各1本鎖DNAを包含することを意図して用いられる。またその長さによって特に制限されるものではない。
従って、本明細書において「遺伝子」は、特に言及しない限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNA、cDNAを含む1本鎖DNA(正鎖)、該正鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(相補鎖)、及びこれらの断片のいずれも含む。また該「遺伝子」は特定の塩基配列(又は配列番号)で示される「遺伝子」だけではなく、これらによってコードされるタンパク質と生物学的機能が同等であるタンパク質、例えば同族体(すなわち、ホモログ)、スプライスバリアントなどの変異体、及び誘導体をコードする「遺伝子」が包含される。かかる同族体、変異体又は誘導体をコードする「遺伝子」としては、具体的には、後に記載したストリンジェントな条件下で、上記の配列番号1〜59で示されるいずれかの特定塩基配列の相補配列とハイブリダイズする塩基配列を有する「遺伝子」を挙げることができる。
例えばヒト由来のタンパク質の同族体(すなわち、ホモログ)又はそれをコードする遺伝子としては、当該タンパク質又はそれをコードするヒト遺伝子に対応する他生物種のタンパク質又は遺伝子が例示でき、これらのタンパク質又は遺伝子ホモログは、HomoloGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/homoloGene/)により同定することができる。具体的には特定のヒトアミノ酸又は塩基配列をBLASTプログラム(Karlin,S.ら、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、 1993年、第90巻、p.5873―5877、 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)にかけて一致する(Scoreが最も高く、E−valueが0でかつIdentifyが100%を示す)配列の登録番号(accession number)を取得することができる。BLASTプログラムとしては、BLASTN(遺伝子)、BLASTX(タンパク質)などが知られている。例えば、遺伝子検索の場合、上記BLAST検索からの登録番号をUniGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/)に入力して得られたUniGeneClusterID(Hs.で示す番号)をHomoloGeneに入力する。結果として得られた他生物種遺伝子とヒト遺伝子との遺伝子ホモログの相関を示したリストから、特定の塩基配列で示されるヒト遺伝子に対応する遺伝子ホモログとして、他生物種の遺伝子を選抜することができる。またこの方法において、BLASTプログラムの代わりにFASTAプログラム(http://www.ddbj.nig.ac.jp/search/fasta−e.html)を用いてもよい。
なお、「遺伝子」は、機能領域の別を問うものではなく、例えば発現制御領域、コード領域、エキソン又はイントロンを含むことができる。
本明細書において「転写産物」とは、遺伝子のDNA配列を鋳型にして合成されたメッセンジャーRNA(mRNA)のことをいう。RNAポリメラーゼが遺伝子の上流にあるプロモーターと呼ばれる部位に結合し、DNAの塩基配列に相補的になるように3'末端にリボヌクレオチドを結合させていく形でmRNAが合成される。このmRNAには遺伝子そのもののみならず、発現制御領域、コード領域、エキソン又はイントロンをはじめとする転写開始点からポリA配列の末端にいたるまでの全配列が含まれる。
本明細書において「翻訳産物」とは、転写によって合成されたmRNAが、スプライシングなどの修飾を受ける/受けないにかかわらず、その情報を元に合成されたタンパク質を示す。mRNAの翻訳過程においては、まずリボソームとmRNAが結合し、次にmRNAの塩基配列に従ってアミノ酸がつながっていき、タンパク質が合成される。
本明細書において「プローブ」とは、遺伝子の発現によって生じたRNA又はそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に検出するために使用されるポリヌクレオチド及び/又はそれに相補的なポリヌクレオチドを包含する。
本明細書において「プライマー」とは、遺伝子の発現によって生じたRNA又はそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に認識し、増幅する、連続するポリヌクレオチド及び/又はそれに相補的なポリヌクレオチドを包含する。
ここで相補的なポリヌクレオチド(相補鎖、逆鎖)とは、配列番号によって定義される塩基配列からなるポリヌクレオチドの全長配列、又はその部分配列(ここでは便宜上、これを正鎖と呼ぶ)に対してA:T(U)、G:Cといった塩基対関係に基づいて、塩基的に相補的な関係にあるポリヌクレオチドを意味する。ただし、かかる相補鎖は、対象とする正鎖の塩基配列と完全に相補配列を形成する場合に限らず、対象とする正鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズできる程度の相補関係を有するものであってもよい。
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、プローブが他の配列に対するよりも、検出可能により大きな程度(例えばバックグラウンドよりも少なくとも2倍)で、その標的配列に対してハイブリダイズする条件をいう。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、ハイブリダイゼーションが行われる環境によって異なる。ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件のストリンジェンシーを制御することにより、プローブに対して100%相補的である標的配列が同定され得る。
本明細書において「変異体」とは、核酸の場合、多型性、突然変異、転写時の選択的スプライシングなどに起因した天然の変異体、あるいは遺伝暗号の縮重に基づく変異体、あるいは配列番号1〜59で表される塩基配列又はその部分配列において1以上、好ましくは1もしくは数個、の塩基の欠失、置換、付加又は挿入を含む変異体、あるいは該塩基配列又はその部分配列と約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上の%同一性を示す変異体、あるいは該塩基配列又はその部分配列を含むポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドと上記定義のストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸を意味し、一方、タンパク質又はペプチドの場合、配列番号122〜179で表されるアミノ酸配列又はその部分配列おいて1以上、好ましくは1もしくは数個、のアミノ酸の欠失、置換、付加又は挿入を含む変異体、あるいは該アミノ酸配列又はその部分配列と約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上の%同一性を示す変異体を意味する。
上記アミノ酸残基の置換には、保存的アミノ酸置換が含まれる。一般に天然のタンパク質を構成する20種類のアミノ酸は、低極性側鎖を有する中性アミノ酸(Gly, Ile, Val, Leu, Ala, Met, Pro)、親水性側鎖を有する中性アミノ酸(Asn, Gln, Thr, Ser, Tyr Cys)、酸性アミノ酸(Asp, Glu)、塩基性アミノ酸(Arg, Lys, His)、芳香族アミノ酸(Phe, Tyr, Trp, His)のように類似の性質を有するものにグループ分けすることができ、各グループ内のアミノ酸間での置換が、いわゆる保存的アミノ酸置換である。
本明細書において「数個」とは、約10、9、8、7、6、5、4、3又は2個の整数を意味する。
本明細書において「%同一性」は、上記のBLASTやFASTAによるタンパク質又は遺伝子の検索システムを用いて、ギャップを導入してか又はギャップを導入しないで、決定することができる(Karlin,S.ら、1993年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第90巻、p.5873-5877;Altschul,S.F.ら、1990年、Journal of Molecular Biology、第215巻、p.403−410;Pearson,W.R.ら、1988年、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、第85巻、p.2444-2448)。
本明細書中で使用する、アミノ酸配列(又は塩基配列)に関する「同一性」とは、比較すべき2つのアミノ酸配列(又は塩基配列)のアミノ酸残基(又は塩基)ができるだけ多く一致するように両アミノ酸配列(又は塩基配列)を整列させ、一致したアミノ酸残基数(又は一致した塩基数)を全アミノ酸残基数(又は全塩基数)で除したものを百分率(%)で表したものである。ギャップが挿入される場合、上記全アミノ酸残基数(又は全塩基数)は、1つのギャップを1つのアミノ酸残基(又は塩基)として数えた残基数(又は塩基数)となる。このようにして数えた全アミノ酸残基数(又は全塩基数)が、比較する2つの配列間で異なる場合には、同一性(%)は、長い方の配列の全アミノ酸残基数(又は全塩基数)で、一致したアミノ酸残基数(又は塩基数)を除して算出される。
本明細書において「誘導体」とは、核酸の場合、蛍光団、放射性同位元素などによるラベル化誘導体、修飾ヌクレオチド(例えばハロゲン、メチルなどのアルキル、メトキシなどのアルコキシ、チオ、カルボキシメチルなどの基を含むヌクレオチドおよび塩基の再構成、二重結合の飽和、脱アミノ化、酸素分子の硫黄分子への置換などを受けたヌクレオチドなど)を含む誘導体など、一方、タンパク質の場合、アセチル化、アシル化、アルキル化、リン酸化、硫酸化、グリコシル化などの化学修飾誘導体を意味する。
本明細書において「診断(又は検出又は検査又は判定)用組成物」とは、胃ガン腹腔内転移の有無や改善の程度を診断するために、また胃ガン腹腔内転移の予防、改善又は治療に有用な候補物質をスクリーニングするために、直接又は間接的に利用されるものをいう。これには胃ガン腹腔内転移に関連して生体内、特に腹腔内洗浄液中に含まれる細胞において発現が変動する遺伝子を特異的に認識し、また結合することのできるヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド、および該遺伝子の翻訳産物であるタンパク質を検出することができる抗体が包含される。これらのヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、上記性質に基づいて生体内、組織や細胞内などで発現した上記遺伝子を検出するためのプローブとして、また生体内で発現した上記遺伝子を増幅するためのプライマーとして有効に利用することができる。
本明細書において検出・診断対象となる「生体組織」は、胃ガン腹腔内転移にともない本発明の遺伝子が発現変化する細胞群を含む。具体的には、生体組織は、腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群、例えば胃ガン細胞、白血球、中皮細胞などを含むことができる。
本発明は、胃ガン腹腔内転移の診断及び治療に有用な疾患判定用組成物及び該組成物を用いた胃ガン腹腔内転移の判定(又は検出又は検査)方法を提供するものであり、これによって、胃ガン腹腔内転移に対して特異的かつ高予測率の、及び迅速でかつ簡便な、判定方法を提供するという格別の作用効果を有する。
以下に本発明をさらに具体的に説明する
1.胃ガン腹腔内転移の標的核酸
本発明において、上記定義の胃ガン腹腔内転移診断用組成物及びキットを使用して胃ガン腹腔内転移の存在及び/又は不存在を判定するための胃ガン腹腔内転移のマーカーとしての標的核酸には、例えば、配列番号1〜59で表される塩基配列を含むヒト遺伝子(すなわち、DUSP6、ADSSL1、RBM35A、AKR1B10、FBI−AndersonHV2_1、PLS1、MDK、ZNF573、ENSG00000184209、HSD17B3、UNC119、SLC4A7、CENPN、PHGDHL1、MAP3K5、TATDN1、SFTPB、ATP5B、SUCLA2、ZFYVE1、TBC1D2B、KIF21B、C1orf107、PSMA2、CRTC2、KLF5、RERG、KIAA1826、CEP70、SLC44A3、ENSG00000178589、HIX0011100、NALP1、OR10H4、S100A16、ENSG00000198241、RIF1、ABHD12、GTF2IRD1、TPT1、RAB2B、NARG1L、ENSG00000197895、LETM1、ATP10B、MYO9A、ENSG00000170456、ENSG00000135174、MPP2、LTB4DH、SDC1、SPINK1、CEACAM6、CDX2、TFPI、MAD2L1、F3、TFRC、KRT8、CLDN4及びDDC)、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体が含まれる。ここで、遺伝子、同族体、転写産物、cDNA、変異体及び誘導体は、上記定義のとおりである。好ましい標的核酸は、配列番号1〜59で表される塩基配列を含むヒト遺伝子、それらの転写産物又はcDNA、より好ましくは該転写産物又はcDNAである。
本発明において胃ガン腹腔内転移の標的となる上記遺伝子はいずれも、手術時に腹腔内転移があった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞と比較して、手術時に腹腔内転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞において発現レベルが有意に増加又は低下しているものである(後述の実施例の表1参照)。
第1の標的核酸は、DUSP6遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにDUSP6遺伝子又はその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第2の標的核酸は、ADSSL1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにADSSL1遺伝子又はその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内のマーカーになりうるという報告は知られていない。
第3の標的核酸は、RBM35A遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにRBM35A遺伝子又はその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第4の標的核酸は、AKR1B10遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにAKR1B10遺伝子又はその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第5の標的核酸は、FBI−AndersonHV2_1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにFBI−AndersonHV2_1遺伝子又はその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第6の標的核酸は、PLS1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにPLS1遺伝子又はその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第7の標的核酸は、MDK遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにMDK遺伝子又はその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第8の標的核酸は、ZNF573遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにZNF573遺伝子又はその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第9の標的核酸は、ENSG00000184209遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000184209遺伝子又はその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第10の標的核酸は、HSD17B3遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにHSD17B3遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第11の標的核酸は、UNC119遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにUNC119遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第12の標的核酸は、SLC4A7遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにSLC4A7遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第13の標的核酸は、CENPN遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにCENPN遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第14の標的核酸は、PHGDHL1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにPHGDHL1遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第15の標的核酸は、MAP3K5遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにMAP3K5遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第16の標的核酸は、TATDN1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにTATDN1遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第17の標的核酸は、SFTPB遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにSFTPB遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第18の標的核酸は、ATP5B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにATP5B遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第19の標的核酸は、SUCLA2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにSUCLA2遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第20の標的核酸は、ZFYVE1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにZFYVE1遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第21の標的核酸は、TBC1D2B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにTBC1D2B遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第22の標的核酸は、KIF21B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにKIF21B遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第23の標的核酸は、C1orf107遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにC1orf107遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第24の標的核酸は、PSMA2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにPSMA2遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第25の標的核酸は、CRTC2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにCRTC2遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第26の標的核酸は、KLF5遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにKLF5遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第27の標的核酸は、RERG遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにRERG遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第28の標的核酸は、KIAA1826遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにKIAA1826遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第29の標的核酸は、CEP70遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにCEP70遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第30の標的核酸は、SLC44A3遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにSLC44A3遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第31の標的核酸は、ENSG00000178589遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000178589遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第32の標的核酸は、HIX0011100遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにHIX0011100遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第33の標的核酸は、NALP1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにNALP1遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第34の標的核酸は、OR10H4遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにOR10H4遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第35の標的核酸は、S100A16遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにS100A16遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第36の標的核酸は、ENSG00000198241遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000198241遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第37の標的核酸は、RIF1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにRIF1遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第38の標的核酸は、ABHD12遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにABHD12遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第39の標的核酸は、GTF2IRD1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにGTF2IRD1遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第40の標的核酸は、TPT1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにTPT1遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第41の標的核酸は、RAB2B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにRAB2B遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第42の標的核酸は、NARG1L遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにNARG1L遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第43の標的核酸は、ENSG00000197895遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000197895遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第44の標的核酸は、LETM1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにLETM1遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第45の標的核酸は、ATP10B遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにATP10B遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第46の標的核酸は、MYO9A遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにMYO9A遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第47の標的核酸は、ENSG00000170456遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000170456遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第48の標的核酸は、ENSG00000135174遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにENSG00000135174遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第49の標的核酸は、MPP2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。MPP2遺伝子は胃ガン組織で発現が減少していることが、Neoplasia. 2004 Nov−Dec;6(6):744−50.に示されているが、これまでにMPP2遺伝子及びその転写産物の発現の減少が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第50の標的核酸は、LTB4DH遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。これまでにLTB4DH遺伝子及びその転写産物の発現の増加が胃ガン腹腔内転移マーカーになりうるという報告は知られていない。
第51の標的核酸は、SDC1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。SDC1遺伝子は腸型胃ガン組織で発現が増加していることが、World J Gastroenterol. 2005 May 21;11(19):2975−80.に示されている。
第52の標的核酸は、SPINK1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。SPINK1遺伝子は胃ガン組織において発現が増加していることが、Am J Clin Pathol. 1990 Jan;93(1):8−13に示されている。
第53の標的核酸は、CEACAM6遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。CEACAM6遺伝子は胃ガン組織で発現が増加していることが、Int J Cancer. 1998 Mar 30;76(1):148−53.に示されている。
第54の標的核酸は、CDX2遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。CDX2遺伝子は腸型胃ガン組織で発現が増加していることが、Int J Oncol. 2002 Oct;21(4):769−74に示されている。
第55の標的核酸は、TFPI遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。TFPI遺伝子は胃ガン組織で発現が増加していることが、Semin Thromb Hemost. 2003 Jun;29(3):291−300.に示されている。
第56の標的核酸は、MAD2L1遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。MAD2L1遺伝子は胃ガンの肝転移組織で発現が増加していることが、Jpn J Cancer Res. 2001 Sep;92(9):952−8に示されている。
第57の標的核酸は、F3遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。F3遺伝子は胃ガン組織において発現が増加していることが、Vopr Onkol. 2005;51(5):571−4に示されている。
第58の標的核酸は、TFRC遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。TFRC遺伝子は胃ガン組織で発現が増加していることが、Hum Pathol. 2004 May;35(5):576−81.に示されている。
第59の標的核酸は、KRT8遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。KRT8遺伝子は胃ガン組織で発現が増加していることが、Hum Pathol. 2004 May;35(5):576−81.に示されている。
第60の標的核酸は、CLDN4遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。CLDN4遺伝子は胃ガン組織で発現が増加していることが、BMC Cancer. 2006 Jul 12;6:186に示されている。
第61の標的核酸は、DDC遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体である。DDC遺伝子は胃ガン患者の腹腔内洗浄液で発現が増加していることが、Gan To Kagaku Ryoho. 2004 Oct;31(11):1906−8に示されている。
2.胃ガン腹腔内転移の標的ポリペプチド
本発明において、上記定義の胃ガン腹腔内転移診断用組成物及びキットを使用して胃ガン腹腔内転移の有無を判定するための胃ガン腹腔内転移マーカーとしての標的ポリペプチドには、例えば、配列番号1〜59で表される塩基配列を含むヒト遺伝子(すなわち、DUSP6、ADSSL1、RBM35A、AKR1B10、FBI−AndersonHV2_1、PLS1、MDK、ZNF573、ENSG00000184209、HSD17B3、UNC119、SLC4A7、CENPN、PHGDHL1、MAP3K5、TATDN1、SFTPB、ATP5B、SUCLA2、ZFYVE1、TBC1D2B、KIF21B、C1orf107、PSMA2、CRTC2、KLF5、RERG、KIAA1826、CEP70、SLC44A3、ENSG00000178589、HIX0011100、NALP1、OR10H4、S100A16、ENSG00000198241、RIF1、ABHD12、GTF2IRD1、TPT1、RAB2B、NARG1L、ENSG00000197895、LETM1、ATP10B、MYO9A、ENSG00000170456、ENSG00000135174、MPP2、LTB4DH、SDC1、SPINK1、CEACAM6、CDX2、TFPI、MAD2L1、F3、TFRC、KRT8、CLDN4及びDDC)遺伝子によってコードされるポリペプチド、例えば、配列番号122〜179で表されるアミノ酸配列を含むヒトポリペプチド、それらの同族体、あるいはそれらの変異体又は誘導体が含まれる。ここで、ポリペプチド、同族体、変異体及び誘導体は、上記定義のとおりである。好ましい標的ポリペプチドは、配列番号122〜179で表されるアミノ酸配列を含むヒトポリペプチドである。
本発明において胃ガン腹腔内転移の標的となる上記ポリペプチドはいずれも、対応する遺伝子及びその転写産物の発現量と同様に、手術時に腹腔内転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞に比較して手術時に腹腔内転移があった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞において有意に増加/低下しているものであることによって特徴付けられる。
3.胃ガン腹腔内転移診断用組成物
3.1核酸
本発明において、胃ガン腹腔内転移の存在及び/又は不存在を判定するための、あるいは胃ガン腹腔内転移を診断するために使用可能な核酸組成物は、胃ガン腹腔内転移の標的核酸としての、ヒト由来のDUSP6、ADSSL1、RBM35A、AKR1B10、FBI−AndersonHV2_1、PLS1、MDK、ZNF573、ENSG00000184209、HSD17B3、UNC119、SLC4A7、CENPN、PHGDHL1、MAP3K5、TATDN1、SFTPB、ATP5B、SUCLA2、ZFYVE1、TBC1D2B、KIF21B、C1orf107、PSMA2、CRTC2、KLF5、RERG、KIAA1826、CEP70、SLC44A3、ENSG00000178589、HIX0011100、NALP1、OR10H4、S100A16、ENSG00000198241、RIF1、ABHD12、GTF2IRD1、TPT1、RAB2B、NARG1L、ENSG00000197895、LETM1、ATP10B、MYO9A、ENSG00000170456、ENSG00000135174、MPP2、LTB4DH、SDC1、SPINK1、CEACAM6、CDX2、TFPI、MAD2L1、F3、TFRC、KRT8、CLDN4及びDDC遺伝子、それらの同族体、それらの転写産物又はcDNA、あるいはそれらの変異体又は誘導体の存在、発現レベル又は存在量を定性的及び/又は定量的に測定することを可能にする。
上記の標的核酸は、手術時に腹腔内転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞に比較して手術時に腹腔内転移があった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞において有意に増加又は低下する。それゆえ、本発明の組成物は、手術時に腹腔内転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞に比較して手術時に腹腔内転移があった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞について標的核酸の発現レベルを測定し、それらを比較するために有効に使用することができる。
本発明で使用可能な組成物は、胃ガンが腹腔内転移した患者の生体組織において配列番号1〜48で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群及びその相補的ポリヌクレオチド群、該塩基配列に相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でそれぞれハイブリダイズするポリヌクレオチド群及びその相補的ポリヌクレオチド群、ならびにそれらのポリヌクレオチド群の塩基配列において15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド群から選ばれた1又は複数のポリヌクレオチドの組み合わせを含む。
具体的には、本発明の組成物は、以下の1又は複数のポリヌクレオチド又はその断片を含むことができる。
(1)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、又は15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(2)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(3)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、又は15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(4)配列番号1〜48で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(5)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、又は15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(6)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(7)配列番号1〜48で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、又は15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(8)配列番号1〜48で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、又は15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(9)配列番号49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(10)配列番号49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(11)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(12)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(13)配列番号49〜59で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(14)配列番号49〜59で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
上記(1)〜(14)のポリヌクレオチドの断片は、各ポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば、連続する15〜配列の全塩基数、15〜5000塩基、15〜4500塩基、15〜4000塩基、15〜3500塩基、15〜3000塩基、15〜2500塩基、15〜2000塩基、15〜1500塩基、15〜1000塩基、15〜900塩基、15〜800塩基、15〜700塩基、15〜600塩基、15〜500塩基、15〜400塩基、15〜300塩基、15〜250塩基、15〜200塩基、15〜150塩基、15〜140塩基、15〜130塩基、15〜120塩基、15〜110塩基、15〜100塩基、15〜90塩基、15〜80塩基、15〜70塩基、15〜60塩基、15〜50塩基、15〜40塩基、15〜30塩基又は15〜25塩基;25〜配列の全塩基数、25〜1000塩基、25〜900塩基、25〜800塩基、25〜700塩基、25〜600塩基、25〜500塩基、25〜400塩基、25〜300塩基、25〜250塩基、25〜200塩基、25〜150塩基、25〜140塩基、25〜130塩基、25〜120塩基、25〜110塩基、25〜100塩基、25〜90塩基、25〜80塩基、25〜70塩基、25〜60塩基、25〜50塩基又は25〜40塩基;50〜配列の全塩基数、50〜1000塩基、50〜900塩基、50〜800塩基、50〜700塩基、50〜600塩基、50〜500塩基、50〜400塩基、50〜300塩基、50〜250塩基、50〜200塩基、50〜150塩基、50〜140塩基、50〜130塩基、50〜120塩基、50〜110塩基、50〜100塩基、50〜90塩基、50〜80塩基、50〜70塩基又は50〜60塩基;60〜配列の全塩基数、60〜1000塩基、60〜900塩基、60〜800塩基、60〜700塩基、60〜600塩基、60〜500塩基、60〜400塩基、60〜300塩基、60〜250塩基、60〜200塩基、60〜150塩基、60〜140塩基、60〜130塩基、60〜120塩基、60〜110塩基、60〜100塩基、60〜90塩基、60〜80塩基又は60〜70塩基などの範囲の塩基数を含むことができるが、これらに限定されないものとする。
本発明の実施形態により、配列番号1〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチドの断片はそれぞれ、配列番号60〜121で表される塩基配列又はその相補的配列、あるいはそれらの連続する15塩基以上の部分配列、を含むことが好ましい。
本発明の組成物には、例えば以下のポリヌクレオチドが包含される。
(1)配列番号1〜48で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(2)配列番号1〜48で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(3)配列番号49〜59で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(4)配列番号49〜59で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(5)配列番号1〜48で表される塩基配列において、それぞれ配列番号60〜110で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(6)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号60〜110で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(7)配列番号49〜59で表される塩基配列において、配列番号111〜121で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(8)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号111〜121で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
本発明で使用される上記ポリヌクレオチド類又はその断片類はいずれもDNAでもよいしRNAでもよい。
本発明の組成物としてのポリヌクレオチドは、DNA組換え技術、PCR法、DNA/RNA自動合成機による方法などの一般的な技術を用いて作製することができる。
DNA組換え技術及びPCR法は、例えばAusubelら, Current Protocols in Molecular Biology, John Willey & Sons, US (1993); Sambrookら, Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, US (1989)などに記載される技術を使用することができる。
ヒト由来の、DUSP6、ADSSL1、RBM35A、AKR1B10、FBI−AndersonHV2_1、PLS1、MDK、ZNF573、ENSG00000184209、HSD17B3、UNC119、SLC4A7、CENPN、PHGDHL1、MAP3K5、TATDN1、SFTPB、ATP5B、SUCLA2、ZFYVE1、TBC1D2B、KIF21B、C1orf107、PSMA2、CRTC2、KLF5、RERG、KIAA1826、CEP70、SLC44A3、ENSG00000178589、HIX0011100、NALP1、OR10H4、S100A16、ENSG00000198241、RIF1、ABHD12、GTF2IRD1、TPT1、RAB2B、NARG1L、ENSG00000197895、LETM1、ATP10B、MYO9A、ENSG00000170456、ENSG00000135174、MPP2、LTB4DH、SDC1、SPINK1、CEACAM6、CDX2、TFPI、MAD2L1、F3、TFRC、KRT8、CLDN4及びDDC遺伝子は公知であり、前述のようにその取得方法も知られている。このため、これらの遺伝子をクローニングすることによって、本発明の組成物としてのポリヌクレオチドを作製することができる。
本発明の組成物を構成するポリヌクレオチドは、DNA自動合成装置を用いて化学的に合成することができる。この合成には一般にホスホアミダイト法が使用され、この方法によって約100塩基までの一本鎖DNAを自動合成することができる。DNA自動合成装置は、例えばPolygen社、ABI社、Applied BioSystems社などから市販されている。
あるいは、本発明のポリヌクレオチドは、cDNAクローニング法によって作製することもできる。本発明において標的である上記遺伝子が発現される生体組織から抽出したtotal RNAをオリゴdTセルロースカラムで処理して得られるポリA(+)RNAからRT−PCR法によってcDNAライブラリーを作製し、このライブラリーからハイブリダイゼーションスクリーニング、発現スクリーニング、抗体スクリーニングなどのスクリーニングによって目的のcDNAクローンを得ることができる。必要に応じて、cDNAクローンをPCR法によって増幅することもできる。プローブ又はプライマーは、配列番号1〜20に示される塩基配列に基づいて15〜100塩基の連続する配列の中から選択し、合成しうる。cDNAクローニング技術は、例えばSambrook,J.& Russel,D. 著、Molecular Cloning, A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年1月15日発行、の 第1巻7.42〜7.45、第2巻8.9〜8.17に記載されている。
3.2胃ガン腹腔内転移診断用キット(抗体)
本発明はさらに、配列番号122〜168で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに対する1または複数の抗体、その断片、またはそれらの化学修飾誘導体を含む、胃ガン腹腔内転移予測用キットを提供する。
本発明のキットは、配列番号169〜179で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドに対する抗体、その断片またはそれらの化学修飾誘導体をさらに含むことができる。
すなわち、本発明により、胃ガン腹腔内転移マーカーとしての、上記DUSP6、ADSSL1、RBM35A、AKR1B10、FBI−AndersonHV2_1、PLS1、MDK、ZNF573、ENSG00000184209、HSD17B3、UNC119、SLC4A7、CENPN、PHGDHL1、MAP3K5、TATDN1、SFTPB、ATP5B、SUCLA2、ZFYVE1、TBC1D2B、KIF21B、C1orf107、PSMA2、CRTC2、KLF5、RERG、KIAA1826、CEP70、SLC44A3、ENSG00000178589、HIX0011100、NALP1、OR10H4、S100A16、ENSG00000198241、RIF1、ABHD12、GTF2IRD1、TPT1、RAB2B、NARG1L、ENSG00000197895、LETM1、ATP10B、MYO9A、ENSG00000170456、ENSG00000135174、MPP2、LTB4DH、SDC1、SPINK1、CEACAM6、CDX2、TFPI、MAD2L1、F3、TFRC、KRT8、CLDN4及びDDC遺伝子によってコードされるポリペプチド、それらの同族体、あるいはそれらの変異体又は誘導体を検出するために、これらのポリペプチドに対する抗体を1又は複数組み合わせて用いることができる。
これらのポリペプチドは、DNA組換え技術によって得ることができる。例えば、上記のようにして得られたcDNAクローンを発現ベクターに組み込み、該ベクターによって形質転換又はトランスフェクションされた原核又は真核宿主細胞を培養することによって該細胞又は培養上清から得ることができる。ベクター及び発現系はNovagen社、宝酒造、第一化学薬品、Qiagen社、Stratagene社、Promega社、Roche Diagnositics社、Invitrogen社、Genetics Institute社、Amersham Bioscience社などから入手可能である。宿主細胞としては、細菌などの原核細胞(例えば大腸菌、枯草菌)、酵母(例えばサッカロマイセス・セレビシアエ)、昆虫細胞(例えばSf細胞)、哺乳動物細胞(例えばCOS、CHO、BHK、293)などを用いることができる。ベクターには、該ポリペプチドをコードするDNAの他に、調節エレメント、例えばプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位、複製開始点、ターミネーター、選択マーカーなどを含むことができる。またポリペプチドの精製を容易にするために標識ペプチドをポリペプチドのC末端またはN末端につけた融合ポリペプチドとしてもよい。代表的な標識ペプチドには、6〜10残基のヒスチジンリピート、FLAG、mycぺプチド、GFPポリペプチドなどが挙げられるが、標識ペプチドはこれらにかぎられるものではない。またDNA組換え技術については、Sambrook, J. & Russel, D.(上記)に記載されている。
標識ペプチドを付けずに本発明に係るポリペプチドを生産した場合には、その精製法として例えばイオン交換クロマトグラフィーによる方法を挙げることができる。またこれに加えて、ゲルろ過や疎水性クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィーなどを組み合わせる方法でもよい。一方、当該タンパクにヒスチジンリピート、FLAG、myc、GFPといった標識ペプチドを付けている場合には、一般に用いられるそれぞれの標識ペプチドに適したアフィニティークロマトグラフィーによる方法を挙げることができる。単離・精製が容易となるような発現ベクターを構築するとよい。特にポリペプチドと標識ペプチドとの融合ポリペプチドの形態で発現するように発現ベクターを構築し、遺伝子工学的に当該ポリペプチドを調製すれば、単離・精製も容易である。
このようにして得られたポリペプチドを認識する抗体は、抗体の抗原結合部位を介して、該ポリペプチドに特異的に結合し得る。具体的には、配列番号122〜179のアミノ酸配列を有するポリペプチド又はその断片、その変異体ポリペプチド又は融合ポリペプチドなどを、それぞれに免疫反応性である抗体を産生するための免疫原として使用することが可能である。
より具体的には、ポリペプチド、断片、変異体、融合ポリペプチドなどは、抗体形成を引き出す抗原決定基またはエピトープを含むが、これら抗原決定基またはエピトープは、直鎖でもよいし、より高次構造(断続的)でもよい。なお、該抗原決定基またはエピトープは、当該技術分野に知られるあらゆる方法によって同定できる。
本発明のポリペプチドによってあらゆる態様の抗体が誘導される。該ポリペプチドの全部若しくは一部又はエピトープが単離されていれば、慣用的技術を用いてポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のいずれも調製可能である。方法には例えば、Kennetら(監修),Monoclonal Antibodies,Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses,Ple num Press,New York,1980に挙げられた方法がある。
本発明の抗体としては、本発明の標的ポリペプチドまたはその断片と特異的に結合するものであれば特に限定されず、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でも使用することができるが、モノクローナル抗体を使用するのが好ましい。また、本発明の抗体のグロブリンタイプは、上記特徴を有するものである限り特に限定されるものではなく、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDのいずれでもよい。また、抗体のサブクラスも任意のものでよく制限されない。
<モノクローナル抗体の作製>
(1)免疫及び抗体産生細胞の採取
標的ポリペプチドからなる免疫原を、哺乳動物、例えばラット、マウス(例えば近交系マウスのBalb/c)、ウサギなどに投与する。免疫原の1回の投与量は、免疫動物の種類、投与経路などにより適宜決定されるものであるが、動物1匹当たり約50〜200μgとされる。免疫は主として皮下、腹腔内に免疫原を注入することにより行われる。また、免疫の間隔は特に限定されず、初回免疫後、数日から数週間間隔で、好ましくは1〜4週間間隔で、2〜10回、好ましくは3〜4回追加免疫を行う。初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価の測定をELISA(Enzyme−Linked Immuno Sorbent Assay)法などにより繰り返し行い、抗体価がプラトーに達したときは、免疫原を静脈内または腹腔内に注射し、最終免疫とする。そして、最終免疫の日から2〜5日後、好ましくは3日後に、抗体産生細胞を採取する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞または局所リンパ節細胞が好ましい。
(2)細胞融合
各標的ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を作製する。こうしたハイブリドーマは、慣用的技術によって産生し、そして同定することが可能である。こうしたハイブリドーマ細胞株を産生するための1つの方法は、動物を本発明のタンパク質で免疫し、免疫された動物から脾臓細胞を採取し、該脾臓細胞を骨髄腫細胞株に融合させ、それによりハイブリドーマ細胞を生成し、そして該酵素に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することを含む。抗体産生細胞と融合させる骨髄腫細胞株としては、マウスなどの動物の一般に入手可能な株化細胞を使用することができる。使用する細胞株としては、薬剤選択性を有し、未融合の状態ではHAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジンを含む)で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。また株化細胞は、免疫動物と同種系の動物に由来するものが好ましい。骨髄腫細胞株の具体例としては、BALB/cマウス由来のヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRT)欠損細胞株であるP3X63−Ag.8株(ATCC TIB9)などが挙げられる。
次に、上記骨髄腫細胞株と抗体産生細胞とを細胞融合させる。細胞融合は、血清を含まないDMEM、RPMI−1640培地などの動物細胞培養用培地中で、抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを約1:1〜 20:1の割合で混合し、細胞融合促進剤の存在下にて融合反応を行う。細胞融合促進剤として、平均分子量1500〜4000ダルトンのポリエチレングリコール等を約10〜80%の濃度で使用することができる。また場合によっては、融合効率を高めるために、ジメチルスルホキシドなどの補助剤を併用してもよい。さらに、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを融合させることもできる。
(3)ハイブリドーマの選別及びクローニング
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。その方法として、細胞懸濁液を、例えばウシ胎児血清含有RPMI−1640培地などで適当に希釈後、マイクロタイタープレート上に200万個/ウエル程度まき、各ウエルに選択培地を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行う。培養温度は、20〜40℃ 、好ましくは約37℃である。ミエローマ細胞がHGPRT欠損株またはチミジンキナーゼ欠損株のものである場合には、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジンを含む選択培地(HAT培地)を用いることにより、抗体産生能を有する細胞と骨髄腫細胞株のハイブリドーマのみを選択的に培養し、増殖させることができる。その結果、選択培地で培養開始後、約14日前後から生育してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができる。
次に、増殖してきたハイブリドーマの培養上清中に、目的とする抗体が存在するか否かをスクリーニングする。ハイブリドーマのスクリーニングは、通常の方法に従えばよく、特に限定されない。例えば、ハイブリドーマとして生育したウエルに含まれる培養上清の一部を採取し、酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immuno Assay、及びELISA)、放射免疫測定法(RIA:Radio Immuno Assay)等によって行うことができる。融合細胞のクローニングは、限界希釈法等により行い、最終的にモノクローナル抗体産生細胞であるハイブリドーマを樹立する。本発明のハイブリドーマは、後述するように、RPMI−1640、DMEM等の基本培地中での培養において安定であり、標的ポリペプチドと特異的に反応するモノクローナル抗体を産生、分泌するものである。
(4)抗体の回収
モノクローナル抗体は、慣用的技術によって回収可能である。すなわち樹立したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法として、通常の細胞培養法または腹水形成法等を採用することができる。細胞培養法においては、ハイブリドーマを10% ウシ胎児血清含有RPMI−1640培地、MEM培地または無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培養条件(例えば37℃、5%CO濃度)で2〜10日間培養し、その培養上清から抗体を取得する。腹水形成法の場合は、ミエローマ細胞由来の哺乳動物と同種系動物の腹腔内にハイブリドーマを約1000万個投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜2週間後に腹水または血清を採取する。
上記抗体の採取方法において、抗体の精製が必要とされる場合は、硫安塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜に選択して、またはこれらを組み合わせることにより、精製されたモノクローナル抗体を得ることができる。
<ポリクローナル抗体の作製>
ポリクローナル抗体を作製する場合は、前記と同様にウサギ等の動物を免疫し、最終の免疫日から6〜60日後に、酵素免疫測定法(EIA及びELISA)、放射免疫測定法(RIA)等で抗体価を測定し、最大の抗体価を示した日に採血し、抗血清を得る。その後は、抗血清中のポリクローナル抗体の反応性をELISA法などで測定する。
<検出法>
本発明によれば、本発明の上記抗体を用いて、被検者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞及び腹腔内洗浄液中の該ポリペプチドのレベルをin vitroで測定することを含む、被験者の胃ガン腹腔内の転移の有無をin vitroで予測する方法が提供される。
免疫学的測定法として例えば、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法、免疫比濁法、ラテックス凝集反応、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応、粒子凝集反応またはウェスタンブロット法が挙げられる。
上記の方法において、標識を用いた免疫測定法により実施する場合には、本発明の抗体を固相化するか、または試料中の成分を固相化して、それらの免疫学的反応を行うことができる。
固相担体としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ラテックス、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス、金属、セラミックスまたは磁性体等の材質よりなるビーズ、マイクロプレート、試験管、スティックまたは試験片等の形状の不溶性担体を用いることができる。
固相化は、固相担体と本発明の抗体または試料成分とを物理的吸着法、化学的結合法またはこれらの併用等の公知の方法に従って結合させることにより行うことができる。
さらにまた、本発明においては、本発明の抗体と、試料中の標的ポリペプチドとの反応を容易に検出するために、本発明の抗体を標識することにより該反応を直接検出するか、または標識二次抗体を用いることにより間接的に検出する。本発明の検出方法においては、感度の点で、後者の間接的検出( 例えばサンドイッチ法など) を利用することが好ましい。
標識物質としては、酵素免疫測定法の場合には、ペルオキシダーゼ(POD)、アルカリホスファターゼ、β − ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素酵素、アミーゼまたはビオチン− アビジン複合体等を、蛍光免疫測定法の場合には、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、置換ローダミンイソチオシアネート、ジクロロトリアジンイソチオシアネート、AlexaまたはAlexaFluoro等を、そして放射免疫測定法の場合にはトリチウム、ヨウ素125またはヨウ素131等を用いることができる。また、発光免疫測定法は、NADH−、FMNH2−、ルシフェラーゼ系、ルミノール−過酸化水素−POD系、アクリジニウムエステル系またはジオキセタン化合物系等を用いることができる。
標識物質と抗体との結合法は、酵素免疫測定法の場合にはグルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法または過ヨウ素酸法等の公知の方法を、放射免疫測定法の場合にはクロラミンT法、ボルトンハンター法等の公知の方法を用いることができる。測定の操作法は、公知の方法(Current protocols in Protein Sciences、1995年、John Wiley & Sons Inc.、Current protocols in Immunology、2001年、John Wiley & Sons Inc.)により行うことができる。例えば、本発明の抗体を直接標識する場合には、試料中の成分を固相化し、標識した本発明の抗体と接触させて、マーカーポリペプチドと本発明の抗体との複合体を形成させる。そして未結合の標識抗体を洗浄分離して、結合標識抗体量または未結合標識抗体量より試料中の標的ポリペプチドの量を測定することができる。
また、例えば標識二次抗体を用いる場合には、本発明の抗体と試料とを反応させ(一次反応)、さらに標識二次抗体を反応させる(二次反応)。一次反応と二次反応は逆の順序で行ってもよいし、同時に行ってもよいし、または時間をずらして行ってもよい。一次反応及び二次反応により、固相化した標的ポリペプチド−本発明の抗体−標識二次抗体の複合体、または固相化した本発明の抗体−標的ポリペプチド−標識二次抗体の複合体が形成する。そして未結合の標識二次抗体を洗浄分離して、結合標識二次抗体量または未結合標識二次抗体量より試料中の標的ポリペプチドの量を測定することができる。
具体的には、酵素免疫測定法の場合は標識酵素にその至適条件下で基質を反応させ、その反応生成物の量を光学的方法等により測定する。蛍光免疫測定法の場合には蛍光物質標識による蛍光強度を、放射免疫定法の場合には放射性物質標識による放射能量を測定する。発光免疫測定法の場合は発光反応系による発光量を測定する。
本発明の方法では、免疫比濁法、ラテックス凝集反応、ラテックス比濁法、赤血球凝集反応または粒子凝集反応等の免疫複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、目視的に測る測定法により実施する場合には、溶媒としてリン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液またはグッド緩衝液等を用いることができ、更にポリエチレングリコール等の反応促進剤や非特異的反応抑制剤を反応系に含ませてもよい。
本発明のキットに含まれる抗体は、個別にまたは混合物の形態で存在しるし、あるいは固相担体に結合されていてもよいしまたは遊離の形態でもよい。さらに本発明のキットは、標識二次抗体、担体、洗浄バッファー、試料希釈液、酵素基質、反応停止液、精製された標準物質としてのマーカー(標的)ポリペプチド、使用説明書、等を含むことができる。
4.胃ガン腹腔内転移診断用キット(核酸)
本発明はまた、本発明の組成物に含まれるものと同じポリヌクレオチド、その変異体及び/又はその断片の1つ又は複数を含む胃ガン腹腔内診断(検出)用キットを提供する。
本発明のキットは、好ましくは、上記3.1に記載したポリヌクレオチド類から選択される1又は複数のポリヌクレオチド又はその断片を含む。
本発明のキットは、配列番号1〜48で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、その相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はそれらのポリヌクレオチドの断片を少なくとも1つ含むことができる。
本発明のキットは、さらに配列番号49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド、その相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はそれらのポリヌクレオチドの断片を少なくとも1つ含むことができる。
本発明のキットに含むことができるポリヌクレオチド断片は、例えば下記の(1)〜(5)からなる群より選択される1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上のDNAである:
(1)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列又はその相補的配列において、15以上の連続した塩基を含むDNA。
(2)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列又はその相補的配列において、60以上の連続した塩基を含むDNA。
(3)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列又はその相補的配列において、それぞれ配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列又はその相補的配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むDNA。
(4)配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列からなるDNA。
(5)配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むDNA。
好ましい実施形態では、前記ポリヌクレオチドが、配列番号1〜48のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はそれらの15以上の連続した塩基を含む断片である。
別の好ましい実施形態では、本発明のキットは、上記のポリヌクレオチドに加えて、配列番号49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はそれらの15以上の連続した塩基を含む断片をさらに含むことができる。
好ましい実施形態では、前記断片は、15以上、好ましくは60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドであることができる。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号1〜48、49〜59のいずれかで表される塩基配列において、それぞれ配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド、又は該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである。
別の好ましい実施形態では、前記断片が、配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチドである。
上記の組み合わせの具体例は、配列番号1および2の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜3の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜4の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜5の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜6の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜7の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜8の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜9の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜10の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、又はその断片、配列番号1〜11の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜12の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜13の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜14の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜15の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド及び/又はその断片、配列番号1〜16の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜17の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド及び/又はその断片、配列番号1〜18の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜19の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜20の塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、及び/又はその断片、配列番号1〜21の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片配列番号1〜22の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜23の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜24の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜25の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜26の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜27の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜28の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜29の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜30の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜31の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜32の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜33の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜34の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜35の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜36の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜37の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜38の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜39の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜40の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜41の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜42の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜43の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜44の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜45の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜46の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜47の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜48の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜48の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜50の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜51の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜52の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜53の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜54の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜55の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜56の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜57の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜58の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片、配列番号1〜59の塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、および/またはその断片である。
別のより好ましい実施形態によれば、本発明のキットは、配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上〜全部を含むことができる。
本発明において、ポリヌクレオチドの断片のサイズは、各ポリヌクレオチドの塩基配列において、例えば15塩基以上、20塩基以上、25塩基以上、30塩基以上、40塩基以上、50塩基以上などとすることができ、さらに例えば、連続する15〜配列の全塩基数、15〜5000塩基、15〜4500塩基、15〜4000塩基、15〜3500塩基、15〜3000塩基、15〜2500塩基、15〜2000塩基、15〜1500塩基、15〜1000塩基、15〜900塩基、15〜800塩基、15〜700塩基、15〜600塩基、15〜500塩基、15〜400塩基、15〜300塩基、15〜250塩基、15〜200塩基、15〜150塩基、15〜140塩基、15〜130塩基、15〜120塩基、15〜110塩基、15〜100塩基、15〜90塩基、15〜80塩基、15〜70塩基、15〜60塩基、15〜50塩基、15〜40塩基、15〜30塩基又は15〜25塩基;25〜配列の全塩基数、25〜1000塩基、25〜900塩基、25〜800塩基、25〜700塩基、25〜600塩基、25〜500塩基、25〜400塩基、25〜300塩基、25〜250塩基、25〜200塩基、25〜150塩基、25〜140塩基、25〜130塩基、25〜120塩基、25〜110塩基、25〜100塩基、25〜90塩基、25〜80塩基、25〜70塩基、25〜60塩基、25〜50塩基又は25〜40塩基;50〜配列の全塩基数、50〜1000塩基、50〜900塩基、50〜800塩基、50〜700塩基、50〜600塩基、50〜500塩基、50〜400塩基、50〜300塩基、50〜250塩基、50〜200塩基、50〜150塩基、50〜140塩基、50〜130塩基、50〜120塩基、50〜110塩基、50〜100塩基、50〜90塩基、50〜80塩基、50〜70塩基又は50〜60塩基;60〜配列の全塩基数、60〜1000塩基、60〜900塩基、60〜800塩基、60〜700塩基、60〜600塩基、60〜500塩基、60〜400塩基、60〜300塩基、60〜250塩基、60〜200塩基、60〜150塩基、60〜140塩基、60〜130塩基、60〜120塩基、60〜110塩基、60〜100塩基、60〜90塩基、60〜80塩基又は60〜70塩基などの範囲の塩基数である。
本発明のキットを構成する上記の組み合わせは、あくまでも例示であり、他の種々の可能な組み合わせのすべてが本発明に包含されるものとする。
本発明のキットには、上で説明した本発明におけるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片に加えて、胃ガン腹腔内転移の検出を可能とする既知の又は将来見出されるポリヌクレオチドも包含させることができる。
本発明のキットに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片は、個別に又は任意に組み合わせて異なる容器に包装される。
5.DNAチップ
本発明はさらに、本発明の組成物及び/又はキットに含まれるものと同じポリヌクレオチド(或いは、上記の3.1節の組成物及び/又は4節のキットに記載されたポリヌクレオチド)、変異体、断片及びそれらの組み合わせを含む胃ガン腹腔内転移診断用DNAチップを提供する。
DNAチップの基板としては、DNAを固相化できるものであれば特に制限はなく、スライドガラス、シリコン製チップ、ポリマー製チップ及びナイロンメンブレンなどを例示することができる。またこれらの基板にはポリLリジンコートやアミノ基、カルボキシル基などの官能基導入などの表面処理がされていてもよい。
また固相化法については一般に用いられる方法であれば特に制限はなく、スポッター又はアレイヤーと呼ばれる高密度分注機を用いてDNAをスポットする方法や、ノズルより微少な液滴を圧電素子などにより噴射する装置(インクジェット)を用いてDNAを基板に吹き付ける方法、又は基板上で順次ヌクレオチド合成を行う方法を例示することができる。高密度分注機を用いる場合には、例えば多数のウェルを持つプレートのおのおののウェルに異なった遺伝子溶液を入れておき、この溶液をピン(針)で取り上げて基板上に順番にスポットすることによる。インクジェット法では、ノズルより遺伝子を噴射し,基板上に高速度で遺伝子を整列配置することによる。基板上でのDNA合成は、基板上に結合した塩基を光によって脱離する官能基で保護し、マスクを用いることにより特定部位の塩基だけに光を当て、官能基を脱離させる。その後、塩基を反応液に加えて、基板上の塩基とカップリングさせる工程を繰り返すことによって行われる。
固相化されるポリヌクレオチドは、上記で説明した本発明の全てのポリヌクレオチドである。
例えば、そのようなポリヌクレオチドは、以下の1又は複数、好ましくは2以上、より好ましくは3以上のポリヌクレオチド又はその断片を含むことができる。
(1)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(2)配列番号1〜48、49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(3)配列番号1〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(4)配列番号1〜48で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(5)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(6)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(7)配列番号1〜48で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(8)配列番号1〜48で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(9)配列番号49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(10)配列番号49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(11)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド群、それらの変異体、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(12)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド群。
(13)配列番号49〜59で表される塩基配列の各々と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(14)配列番号49〜59で表される塩基配列の各々からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド群、または15以上の連続した塩基を含むそれらの断片。
(15)配列番号1〜48で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(16)配列番号1〜48で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(17)配列番号49〜59で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、15以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(18)配列番号49〜59で表される塩基配列またはその相補的配列の各々において、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(19)配列番号1〜48で表される塩基配列において、それぞれ配列番号60〜110で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(20)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号60〜110で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(21)配列番号49〜59で表される塩基配列において、それぞれ配列番号111〜121で表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
(22)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な配列において、それぞれ配列番号94で表される塩基配列に相補的な配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド。
好ましい実施形態によれば、本発明のDNAチップは、配列番号60〜121で表される塩基配列又はその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上から全部を含むことができる。
本発明において、固相化されるポリヌクレオチドは、ゲノムDNA、cDNA、RNA、aRNA、合成DNA、合成RNAのいずれでもよいし、あるいは1本鎖でもよいし又は2本鎖でもよい。
標的遺伝子、RNA又はcDNAの発現レベルを検出、測定することができるDNAチップの例としては、Affymetrix社のGene Chip Human Genome U133 Plus 2.0 Array、Agilent社のWhole human genome oligo microarray、タカラバイオ社のIntelliGene(登録商標)HS Human Expression CHIPなどを挙げることができる。
DNAマイクロアレイの作製について、例えば予め調製したプローブを固相表面に固定化する方法を使用することができる。予め調製したポリヌクレオチドプローブを固相表面に固定化する方法では、官能基を導入したポリヌクレオチドを合成し、表面処理した固相担体表面にオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを点着し、共有結合させる(例えば、J.B.Lamtureら、Nucleic.Acids.Research、1994年、第22巻、p.2121−2125、Z.Guoら、Nucleic.Acids.Research、1994年、第22巻、p.5456−5465)。ポリヌクレオチドは、一般的には、表面処理した固相担体にスペーサ-やクロスリンカーを介して共有結合される。ガラス表面にポリアクリルアミドゲルの微小片を整列させ、そこに合成ポリヌクレオチドを共有結合させる方法も知られている(G.Yershovら、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、1996年、第94巻、p.4913)。また、シリカマイクロアレイ上に微小電極のアレイを作製し、電極上にはストレプトアビジンを含むアガロースの浸透層を設けて反応部位とし、この部位をプラスに荷電させることでビオチン化ポリヌクレオチドを固定し、部位の荷電を制御することで、高速で厳密なハイブリダイゼーションを可能にする方法も知られている(R.G.Sosnowskiら、Proceedings of the National Academic Sciences U.S.A.、1997年、第94巻、p.1119―1123)。
6.胃ガン腹腔内転移の検出法
本発明は、本発明の組成物、キット、DNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、被験者由来の検体試料中に胃ガン細胞が含まれるかどうかをin vitroで判定する方法であって、手術時に腹腔内節転移がなかった患者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中含まれる細胞に比較して、該検体試料中の細胞の標的核酸の発現量が増加又は低下している場合、該検体試料中に胃ガン細胞が存在すると判定することを含み、ここで、該標的核酸が該組成物、キット又はDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片によって検出可能なものである、方法を提供する。
本発明はまた、本発明の組成物、キット又はDNAチップの、被験者由来の検体試料中の胃ガン腹腔内転移のin vivo検出のための使用を提供する。
本発明の上記方法において、組成物、キット又はDNAチップは、上で説明したような、本発明のポリヌクレオチド、その変異体又はその断片を単一であるいはあらゆる可能な組み合わせで含むものが使用される。
本発明の胃ガン腹腔内転移の検出、判定、検査又は(遺伝子)診断において、本発明の組成物、キット又はDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片は、プライマーとして又はプローブとして用いることができる。プライマーとして用いる場合には、通常15〜50塩基、好ましくは15〜30塩基、より好ましくは18〜25塩基の塩基長を有するものが例示できる。また検出プローブとして用いる場合には、例えば15塩基〜全配列の塩基数、好ましくは25〜1000塩基、より好ましくは25〜100塩基の塩基長を有するものが例示できるが、この範囲に限定されない。
本発明の組成物又はキットに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片は、ノーザンブロット法、RT−PCR法、in situ ハイブリダイゼーション法などの、特定遺伝子を特異的に検出する公知の方法において、定法に従ってプライマー又はプローブとして利用することができる。測定対象試料としては、使用する検出方法の種類に応じて、被験者の例えば左横隔膜下やダグラス窩より採取した腹腔内洗浄液中に含まれる細胞を回収する。さらにそこから常法に従って調製したtotal RNAを用いてもよいし、さらに該RNAをもとにして調製される、cDNA、ポリA(+)RNAを含む各種のポリヌクレオチドを用いてもよい。
あるいは、生体組織における本発明の遺伝子、RNA、cDNAなどの核酸の発現量は、DNAチップ(DNAマクロアレイを含む)を用いて検出あるいは定量することができる。この場合、本発明の組成物又はキットはDNAアレイのプローブとして使用することができる(例えば、アフィメトリックス社のHuman Genome U133 Plus 2.0 Arrayでは25塩基の長さのポリヌクレオチドプローブが用いられる)。かかるDNAアレイを検体から採取したRNAをもとに調製される標識DNA又はRNAとハイブリダイズさせ、該ハイブリダイズによって形成された上記プローブと標識DNA又はRNAとの複合体を、該標識DNA又はRNAの標識を指標として検出することにより、検体中での本発明胃ガン腹腔内転移関連遺伝子の発現の有無又は発現レベル(発現量)を評価することができる。本発明の方法では、DNAチップを好ましく使用できるが、これは、ひとつの生体試料について同時に複数遺伝子の発現の有無又は発現レベルの評価が可能である。
本発明の組成物、キット又はDNAチップは、胃ガン腹腔内転移の診断、判定、検査又は検出(転移の有無の診断)のために有用である。具体的には、該組成物、キット又はDNAチップを使用した胃ガン腹腔内転移の診断は、被験者の胃ガン細胞の存在する腹腔内洗浄液中に存在する細胞群と手術時に腹腔内転移が無かった被験者由来の胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞、または手術時に腹腔内転移が無かった被験者由来の同等の生体試料との比較を行い、該診断用組成物で検出される遺伝子の発現レベルの違いを判定することによって行うことができる。この場合、遺伝子発現レベルの違いには、発現の有無だけではなく、転移がある胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞と転移がない胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞の両者ともに発現がある場合でも、両者間の発現量を比較した時の差が検定上有意(p値 <0.05)である場合が含まれる。例えばSPINK1遺伝子は転移のある胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞で発現誘導又は減少を示すので、被験者の胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞では発現又は減少しており、該発現量と転移がない胃ガン腹腔内洗浄液中に存在する細胞の発現量と比べて検定を行った時に、その差が有意であれば、被験者について胃ガン腹腔内の転移が疑われる。
本発明の組成物、キット又はDNAチップを利用した転移がある胃ガン腹腔内転移の検出方法は、被験者の例えば左横隔膜下やダグラス窩より採取した腹腔内洗浄液中に含まれる細胞を回収し、そこに含まれる遺伝子を、本発明のポリヌクレオチド群から選ばれた単数又は複数のポリヌクレオチド、その変異体又はその断片を用いて検出し、その遺伝子発現量を測定することにより、胃ガン腹腔内の転移の有無又はその程度を診断することを含む。また本発明の胃ガン腹腔内転移の検出方法は、例えば胃ガン患者において、該疾患の改善のために治療薬を投与した場合における該疾患の改善の有無又はその程度を検出、判定又は診断することもできる。
本発明の方法は、例えば以下の(a)、(b)及び(c)の工程:
(a)被験者由来の検体試料を、本発明の組成物、キット又はDNAチップのポリヌクレオチドと接触させる工程、
(b)生体試料中の標的核酸の発現レベルを、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いて測定する工程、
(c)(b)の結果をもとに、該検体試料中の胃ガン(細胞)の存在又は不存在を判定する工程、
を含むことができる。
本発明方法で用いられる検体試料としては、被験者の例えば左横隔膜下やダグラス窩より採取した腹腔内洗浄液中に含まれる細胞から調製される試料を挙げることができる。具体的には該組織から調製されるRNA含有試料、或いはそれからさらに調製されるポリヌクレオチドを含む試料は、手術時に腹水あるいは左横隔膜下やダグラス窩を生理食塩水で洗浄した洗浄液から回収し、そこから常法に従って調製することができる。
ここで被験者とは、哺乳動物、例えば非限定的にヒト、サル、マウス、ラットなどを指し、好ましくはヒトである。
本発明の方法は、測定対象として用いる生体試料の種類に応じて工程を変更することができる。
測定対象物としてRNAを利用する場合、胃ガン(細胞)の検出は、例えば下記の工程(a)、(b)及び(c):
(a)被験者の生体試料から調製されたRNA又はそれから転写された相補的ポリヌクレオチド(cDNA)を、本発明の組成物、キット又はDNAチップのポリヌクレオチドと結合させる工程、
(b) 該ポリヌクレオチドに結合した生体試料由来のRNA又は該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドを、上記ポリヌクレオチドをプローブとして用いて測定する工程、
(c) 上記(b)の測定結果に基づいて、胃ガン(細胞)の存在又は不存在を判定する工程、
を含むことができる。
本発明によって胃ガン(細胞)を検出、判定又は診断するために、例えば種々のハイブリダイゼーション法を使用することができる。かようなハイブリダイゼーション法には、例えばノーザンブロット法、サザンブロット法、RT−PCR法、DNAチップ解析法、in situハイブリダイゼーション法、サザンハイブリダイゼーション法などを使用することができる。
ノーザンブロット法を利用する場合は、本発明の診断用組成物をプローブとして用いることによって、RNA中の各遺伝子発現の有無やその発現レベルを検出、測定することができる。具体的には、本発明の診断用組成物(相補鎖)を放射性同位元素(32P、33P、35Sなど)や蛍光物質(フルオレセイン、ローダミン、シアン(Cy)、それらの誘導体など)などで標識し、それを常法にしたがってナイロンメンブレンなどにトランスファーした被検者の生体試料由来のRNAとハイブリダイズさせたのち、形成された診断用組成物(DNA)とRNAとの二重鎖を診断用組成物の標識物(放射性同位元素又は蛍光物質)に由来するシグナルを放射線検出器(BAS-1800II、富士写真フィルム株式会社、などを例示できる)又は蛍光検出器(STORM860、Amersham Bioscience社、などを例示できる)で検出、測定する方法を例示することができる。
定量RT―PCR法を利用する場合には、本発明の上記診断用組成物をプライマーとして用いることによって、RNA中の遺伝子発現の有無やその発現レベルを検出、測定することができる。具体的には、被検者の生体試料由来のRNAから常法にしたがってcDNAを調製して、これを鋳型として標的の各遺伝子の領域が増幅できるように、本発明の診断用組成物から調製した1対のプライマー(上記cDNAに結合する正鎖と逆鎖からなる)をcDNAとハイブリダイズさせて常法によりPCR法を行い、得られた二本鎖DNAを検出する方法を例示することができる。なお、二本鎖DNAの検出法としては、上記PCRをあらかじめ放射性同位元素や蛍光物質で標識しておいたプライマーを用いて行う方法、PCR産物をアガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドなどで二本鎖DNAを染色して検出する方法、産生された二本鎖DNAを常法にしたがってナイロンメンブレンなどにトランスファーさせて標識した診断用組成物をプローブとしてこれとハイブリダイズさせて検出する方法をとることができる。
DNAアレイ解析を利用する場合は、本発明の上記診断用組成物をDNAプローブ(一本鎖又は二本鎖)として基板に貼り付けたDNAチップを用いる。遺伝子群を基板に固相化したものには、一般にDNAチップ及びDNAアレイという名称があり、DNAアレイにはDNAマクロアレイとDNAマイクロアレイが包含されるが、本明細書ではDNAチップといった場合、該DNAアレイを含むものとする。
ハイブリダイゼーション条件は、限定されないが、例えば30℃〜50℃で、3〜4×SSC、0.1〜0.5% SDS中で1〜24時間のハイブリダイゼーション、より好ましくは40℃〜45℃で、3.4×SSC、0.3%SDS中で1〜24時間のハイブリダイゼーション、そしてその後の洗浄を含む。洗浄条件としては、例えば、2×SSCと0.1%SDSを含む溶液、及び1×SSC溶液、0.2×SSC溶液による室温での連続した洗浄などの条件を挙げることができる。ここで、1×SSCは、150mM塩化ナトリウムおよび15mMクエン酸ナトリウムを含む水溶液(pH7.2)である。相補鎖はかかる条件で洗浄しても対象とする正鎖とハイブリダイズ状態を維持するものであることが望ましい。具体的にはこのような相補鎖として、対象の正鎖の塩基配列と完全に相補的な関係にある塩基配列からなる鎖、並びに該鎖と少なくとも80%の相同性を有する塩基配列からなる鎖を例示することができる。
本発明の組成物又はキットのポリヌクレオチド断片をプライマーとしてPCRを実施する際のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、例えば10mMTris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、1〜2mM MgClなどの組成のPCRバッファーを用い、当該プライマーの配列から計算されたTm+5〜10℃において15秒から1分程度処理することなどが挙げられる。かかるTmの計算方法としてTm=2×(アデニン残基数+チミン残基数)+4×(グアニン残基数+シトシン残基数)などが挙げられる。
これらのハイブリダイゼーションにおける「ストリンジェントな条件」の他の例については、例えばSambrook, J. & Russel, D. 著、Molecular Cloning, A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年1月15日発行、の 第1巻7.42〜7.45、第2巻8.9〜8.17などに記載されており、本発明において利用できる。
本発明はまた、本発明の組成物、キット、DNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、被験者由来の検体試料中の標的核酸又は遺伝子の発現量を測定し、転移のある胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞と転移のない胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞の遺伝子発現量を教師(訓練サンプル)としたサポートベクターマシーン(SVM)を判別式として、検体試料中に胃ガン細胞が含まれないこと及び/又は含まれることを判定するための検査方法を提供する。
すなわち、本発明はさらに、本発明の組成物、キット、DNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、転移がある患者由来の腹腔内洗浄液中の細胞又は転移がない患者由来の腹腔内洗浄液中の細胞であることが既知の複数の生体試料中の標的核酸の発現量をin vitroで測定する第1の工程、前記第1の工程で得られた該標的核酸の発現量の測定値を教師とした判別式(サポートベクターマシーン)を作成する第2の工程、被験者の腹腔内洗浄液由来の検体試料中の該標的核酸の発現量を第1の工程と同様にin vitroで測定する第3の工程、前記第2の工程で得られた判別式に第3の工程で得られた該標的核酸の発現量の測定値を代入し、該判別式から得られた結果に基づいて、検体試料中に胃ガン細胞が含まれないこと及び/又は転移がない胃ガン細胞が含まれることを判定する第4の工程を含む、ここで、該標的核酸が該組成物、キット又はDNAチップに含まれるポリヌクレオチド、その変異体又はその断片によって検出可能なものである、前記方法を提供する。
あるいは、本発明の方法は、例えば下記の工程(a)、(b)及び(c):
(a)転移がある患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞または転移がない患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞であることが既知の生体試料中の標的遺伝子の発現量を、本発明による診断(検出)用組成物、キット又はDNAチップを用いて測定する工程、
(b)(a)で測定された発現量の測定値を、下記の数1〜数5の式に代入して、SVMと呼ばれる判別式を作成する工程、
(c)被験者由来の検体試料中の該標的遺伝子の発現量を、本発明による診断(検出)用組成物、キット又はDNAチップを用いて測定し、(b)で作成した判別式にそれらを代入して、得られた結果に基づいて該検体試料中に胃ガン細胞が含まれるかどうかを判定する工程、
を含むことができる。
SVMとは2クラスの分類問題を解くためにつくられた1995年にAT&TのV.Vapnik(The Nature of Statistical Leaning Theory、Springer、1995年発行)によって統計的学習理論の枠組みで提案された学習機械である。SVMは線形の識別器であるが、後述するカーネルを組み合わせることによって非線形問題を扱うことができる。異なるクラスの訓練サンプルについて、それらを識別する多数の超平面のうち、その超平面と訓練サンプルとの最小距離が最大となる超平面を識別面とすることにより、新たに与えられるテストサンプルがどのクラスに属するかを最も正確に識別することができる。
SVMでは線形問題のみしか扱うことができないが、本質的に非線形な問題に対応するための方法として、特徴ベクトルを高次元へ非線形変換し、その空間で線形の識別を行う方法が知られている。こうすれば、元の空間で非線形モデルを用いているのと等価となる。しかし高次元への写像を行うと膨大な計算量が必要となり、汎化能力も減少する。SVMでは識別関数が入力パターンの内積のみに依存した形になっており、内積が計算できれば最適な識別関数を構成することが可能である。非線形に写像した空間での二つの要素の内積がそれぞれのもとの空間での入力のみで表現されるような式のことをカーネルと呼び、高次元に写像しながら、実際には写像された空間での特徴の計算を避けてカーネルの計算のみで最適な識別関数、すなわち判別式を構成することができる。
本発明の方法で使用可能な判別式の算出例を以下に示す。
SVMを決めるためには転移のある胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞または転移のない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞であることが既知の生体試料中の標的遺伝子の発現量を教師(訓練サンプル)として用意し、以下の手順によって識別関数の定数を決定することができる。
訓練サンプルxiは(+1、−1)でクラス分けされる、転移のある胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群、転移のない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群のいずれかに属しているとする。これらの訓練サンプルが超平面によって線形分離できるとき、識別関数は例えば次式となる。
Figure 2009065969
(ここで、wは重み係数、bはバイアス定数、xはサンプルの変数を表す。)
ただし、この関数には制約条件:
Figure 2009065969
(ここで、Tは内積、yはサンプルのクラス、ζはスラック変数を表す。)
があるため、Lagurangeの未定乗数法を用いることによりLagurange乗数αを用いた以下の最適化問題に帰着する。
Figure 2009065969
ここで、
Figure 2009065969
(ここで、Cは実験により決定される制限条件パラメーターを表す。)
この問題を解くと最終的に、
Figure 2009065969
が得られ、識別関数を一義的に得ることができる。この関数に新たに与えられる検体試料(胃ガン細胞を含むかどうか未知の組織の発現遺伝子量)についてのxを代入することによって、f(x)をクラス分け(すなわち、+1又は−1)することができ、検体試料がどちらのクラス(すなわち、転移がある胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群又は転移がない胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群)に属するかを識別する。
以上に示すように、未知試料のクラス分けを行うためのSVMによる判定式の作成には2群の教師(訓練サンプル)が必要となる。この訓練サンプルは例えば今回の発明の場合、「転移のある胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群から得られた発現遺伝子(遺伝子 x,x,..x,...x)」の各患者に対応したセット、および「転移のない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群から得られた発現遺伝子(遺伝子 x,x,..x,...x)」の各患者に対応したセット、の2群である。これらのセットについてそれぞれ測定される発現遺伝子数(n)は実験のデザインによって様々ではあるが、個々の遺伝子については、どのような実験においても2群間で大きく差がある場合と、比較的差が少ない、あるいは差がない場合が観察される。SVMによる判別式の精度を上げるためには、訓練サンプルとなる2群に、明確な差があることが条件となるため、遺伝子セットの中から2群間で発現量に差がある遺伝子のみを抽出して利用することが必要である。
このように、2群間で差がある遺伝子を抽出する方法としては、平均値の差を検出するパラメトリック解析であるt−検定、ノンパラメトリック解析であるMann―WhitneyのU検定などを利用できる
本発明の方法において、例えば、上に記載したような配列番号1〜48、49〜59に基づく1又は複数の上記ポリヌクレオチド、並びに/或いは、上に記載したような1〜48、49〜59に基づく1又は複数のポリヌクレオチド、からの任意の組み合わせを用いて、かつ上記の20種の標的遺伝子の発現量がすべて有意に転移がある胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と転移がない胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群間で異なり、転移がある患者由来の腹腔内洗浄液中の細胞において発現が増加又は減少していることを指標にして、これら61種の遺伝子について発現量を測定することにより、胃ガン腹腔内の転移を70%以上、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の確率で見分けることができる(図1)。
本発明はさらに、上記61種の遺伝子(例えば、配列番号1〜59に相当する)又はその断片(例えば、配列番号60〜121に相当する)によってコードされるポリペプチド、例えば配列番号122〜179で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、に対する1又は複数の抗体又はその断片を用いて、胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と転移がない胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群間での該ポリペプチドの発現量、或いは腹腔内洗浄液中の該ポリペプチドのレベル(又は存在量)、をin vitroで測定することを含む、胃ガン腹腔内転移の検出方法を提供する。
かかる抗体又は断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、合成抗体、組換え抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、単鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片などを含む。ポリクローナル抗体は、精製ポリペプチドを結合した親和性カラムに結合させることを含む、いわゆる吸収法によって、特異的抗体として調製することができる。
測定は、慣用の酵素又は蛍光団で標識した抗体又は断片と、細胞又はホモゲナイズした細胞とを接触させる工程、抗原−抗体複合体を定性的に又は定量的に測定する工程を含むことができる。検出は、例えば免疫電顕により標的ポリペプチドの存在とレベルを測定する方法、ELISAや蛍光抗体法などの慣用法によって標的ポリペプチドのレベルを測定する方法などによって行い、胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と比べて転移がある胃ガン患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群において標的ポリペプチドの発現量が増加又は減少している場合、胃ガン腹腔内転移があると決定する。言い換えれば、前記ポリペプチドの発現量又はレベルが、転移のない患者由来の値と比較して有意に増加又は低下している場合、胃ガン腹腔内転移があると決定する。ここで、有意にとは、統計学的に有意(危険率p<0.05)であることを意味する。
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲は、この実施例によって制限されないものとする。
実施例1
1.被験者の臨床病理学的所見
インフォームドコンセントを得た48名の胃ガン患者から、胃ガン手術時に左横隔膜下及び/またはダグラス窩を生理食塩水役100mlで洗浄し、これを腹腔内洗浄液として回収した。洗浄液を遠心して細胞を得たうちの半分は通常のpapanicolaou染色による洗浄細胞診及び、CEAを指標とする定量的リアルタイムRT−PCR法を施行した。洗浄細胞診及びCEAを指標とした定量的リアルタイムRT−PCR法の結果より洗浄液中の胃ガン細胞の有無を判断し、臨床情報上の転移の有無とした。残り半分はただちに凍結し、液体窒素中で保存した。
2.totalRNA抽出とaRNAの調製
試料として胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞を、また対象として中皮細胞株OV−MIを用いた。おのおのの細胞から、RNeasy mini kit(QIAGEN社)を用いて、同社推奨のプロトコールによりtotalRNAを調製した。
上述の方法で得られたtotalRNA 500ngについて、AminoAllyl MessageAmp II aRNA Amplification kit(アンビオン社)を用いてメーカー推奨のプロトコールで逆転写及びaRNA合成を行った。得られたaRNA5μgを分取し、3D−Gene Human Immunity & Metabolic Syndrome 9kの推奨プロトコールに従って、胃ガンの腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群由来のaRNAをCy3−dUTP(GEヘルスケア社)に、中皮細胞株OV−MI由来のaRNAをCy5−dUTP(GEヘルスケア社)に標識を行った。
3.オリゴDNAマイクロアレイの作製
オリゴDNAマイクロアレイとしてはオペロンバイオテクノロジー社Human OparrayTMを用いて転移性の胃ガン細胞株から遺伝子の絞込みを行った。Human OparrayTMの操作については、同社の定める手順に基づいて実施した。Human OparrayTMを用いた解析の結果、転移性の胃ガン細胞株によって発現変動が起こっていた遺伝子956種、実験対照となりうる遺伝子160種、論文等で知られている遺伝子40種計1156種を抽出した。
抽出した1156種の遺伝子について、配列の重複をおこさないように配列特異性が高い部位の配列60〜70残基をそれぞれ選択して合成し、1296柱DNAチップ基板「3D―Gene」を作製した。
4.ハイブリダイゼーション
標識したaRNAをそれぞれ0.5μgずつ分取し、競合ハイブリダイズを行った。ハイブリダイズ及び洗浄方法は添付のプロトコールに従った。
5.遺伝子発現量の測定
上述の方法によりハイブリダイゼーションを行ったDNAチップをDNAアレイスキャナー(ScanArrayLite、パーキンエルマージャパン)を用いてスキャンし、画像を取得し、励起画像はGenePix Pro5.0(モルキュラーデバイス)によって蛍光強度を数値化した。統計学的処理はハイブリダイズ後の画像解析から得られたデータについて、全blank spotの上下5%を除いた蛍光値の平均値を算出し、全ての蛍光値から減算する。減算後の値が、blank spotの標準偏差の2倍以上の値を示すスポットのみを有効スポットとした。さらにそれぞれの中央値から補正を行った(ノーマライゼーション)。その結果、転移がある胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞における発現量が、転移がない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞よりも多い/少ない遺伝子を見出すことができた。これらの遺伝子を胃ガン腹腔内転移検出用遺伝子として利用することができると考えられる。
6.予測スコアリングシステム
28例の患者から得た検体を教師として、SVMを用いて判別式を作成した。なおカーネルは、linear kernelを用いた。また遺伝子は二群間(転移がある胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞と転移がない胃ガン腹腔内洗浄液中に含まれる細胞)でのStudent’s t検定のp値をもとに選別した。転移がある胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞と転移がない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞を、p値の小さい順に遺伝子を増やしていき、Leave one out cross validation法で判別式の確度を検討した。28試行の結果、各試行で21遺伝子を用いたときの判別確率が最も高く、のべ61遺伝子を使用した場合に76%の正答率を得た(表1:61遺伝子の遺伝子名、遺伝子IDおよびそれぞれについての転移がある胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞と転移がない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞での遺伝子転写産物の発現量比(転移ありの中央値/転移無しの中央値)と統計値)。
7.新規検体を用いた検証
新規な腹腔内洗浄液中細胞検体20例について、これらの遺伝子を用いた上述の判別式によって転移細胞の有無の予測を行った結果、100%の判別確率で転移がある胃ガン患者の腹腔内洗浄液中の細胞と転移がない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中の細胞を判別することができた。
Figure 2009065969
この一覧から、胃ガン腹腔内転移を識別するためのSVMによる判別式を作成したところ、プローブとして配列番号60〜121のポリヌクレオチドから21遺伝子を組み合わせて測定した遺伝子発現を検討することにより、胃ガン患者の腹腔内洗浄液中の細胞と転移がない胃ガン患者の腹腔内洗浄液中の細胞を判別することができた(図1)。
実施例2
1.被験者の臨床病理学的所見
インフォームドコンセントを得た胃ガン患者から、現在臨床現場で用いられている指標である、手術時の肉眼的腹膜転移所見陰性、腹腔内洗浄液の細胞診断陰性の両方を満たす転移陰性の患者を選択した。この患者群について2年間の予後を追跡し、腹膜再発した患者3名、腹膜再発しなかった患者3名について検証を行った。
2.検証結果
実施例1−3に記載の方法で作製した1296柱DNAチップ基板「3D―Gene」を使用して胃ガン腹腔内洗浄液中の細胞における胃ガン腹腔内転移検出用遺伝子の転写産物の発現量比を確認した。実験方法及び数値の補正手順は実施例1−2,4,5に記載の方法に従った。実施例1−6で構築した予測スコアリングシステムを用いて転移細胞の有無を予測したところ、手術2年後までに腹膜再発した患者3名中2名を「転移あり」、腹膜再発しなかった患者3名を「転移なし」という判別結果を示し、83%の判別確率で従来の診断法では検出されなかった腹腔内洗浄液中の胃ガン細胞の検出に成功した(図2)。
本発明により、特異性、感受性に優れた胃ガン腹腔内転移判定用組成物を提供することができるため、胃ガン腹腔内転移の検出のために非常に有用である。
表1に記載の遺伝子に対応する配列番号60〜121のポリヌクレオチドを組み合わせて用いた場合の胃ガン腹腔内転移診断結果を示す。縦軸には各検体を匿名化したIDで、横軸には各検体の判別平面からの距離を示す(転移なしを負に、転移ありを正として示す)。白丸(○)は臨床情報上、腹腔内転移のあった検体を、黒丸(●)は臨床情報上、腹腔内転移の無かった検体を示す。 表1に記載の遺伝子に対応する配列番号60〜121のポリヌクレオチドを組み合わせて用いた場合の、従来の診断法では手術時腹腔内転移陰性と判断された患者検体についての胃ガン腹腔内転移診断結果を示す。縦軸には各検体を匿名化したIDで、横軸には各検体の判別平面からの距離を示す(転移なしを負に、転移ありを正として示す)。白丸(○)は術後2年以内に腹膜再発のあった検体を、黒丸(●)は術後2年以内に腹膜再発の無かった検体を示す。

Claims (29)

  1. 下記の(a)〜(e)に示すポリヌクレオチド、その変異体またはその断片からなる群から選択される1または2以上のポリヌクレオチドを含む、胃ガン腹腔内転移診断用組成物:
    (a)配列番号1〜48で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片
    (b)配列番号1〜48で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (c)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片
    (d)配列番号1〜48で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (e)前記(a)〜(d)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、または15以上の連続した塩基を含むその断片。
  2. 前記断片が、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記断片が、配列番号1〜48のいずれかで表される塩基配列において、それぞれ配列番号60〜110のいずれかで表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記断片が、配列番号60〜110のいずれかで表される塩基配列、またはこれらに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、請求項2に記載の組成物。
  5. 下記の(f)〜(j)に示すポリヌクレオチド、その変異体またはその断片からなる群から選択される1または2以上のポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物:
    (f)配列番号49〜59で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片
    (g)配列番号49〜59で表される塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (h)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、その変異体、または15以上の連続した塩基を含むその断片
    (i)配列番号49〜59で表される塩基配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
    (j)前記(f)〜(i)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、または15以上の連続した塩基を含むその断片。
  6. 前記断片が、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドである、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記断片が、配列番号49〜59のいずれかで表される塩基配列において、それぞれ配列番号111〜121のいずれかで表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記断片が、配列番号111〜121のいずれかで表される塩基配列、またはこれらに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、請求項6に記載の組成物。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリヌクレオチド、その変異体および/またはその断片の1または2以上を含む、胃ガン腹腔内転移診断用キット。
  10. 請求項5〜8のいずれかに記載のポリヌクレオチド、その変異体および/またはその断片の1または2以上をさらに含む、請求項9に記載のキット。
  11. 前記ポリヌクレオチドが、配列番号1〜48、49〜59のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、それらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド、またはそれらの15以上の連続した塩基を含む断片である、請求項9または10に記載のキット。
  12. 前記断片が、60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチドである、請求項11に記載のキット。
  13. 前記断片が、配列番号1〜48、49〜59のいずれかで表される塩基配列において、それぞれ配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列を含み、かつ60以上の連続した塩基を含むポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの配列に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、請求項12に記載のキット。
  14. 前記断片が、配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列、またはこれらに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドである、請求項12に記載のキット。
  15. 前記断片が、配列番号60〜110、111〜121のいずれかで表される塩基配列からなるポリヌクレオチドである、請求項14に記載のキット。
  16. 配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上から全部を含む、請求項9に記載のキット。
  17. 前記ポリヌクレオチドが、別個にまたは任意に組み合わせて異なる容器に包装されている、請求項9〜16のいずれか1項に記載のキット。
  18. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリヌクレオチド、その変異体および/またはその断片の1または2以上を含む、胃ガン腹腔内転移診断用DNAチップ。
  19. 請求項5〜8のいずれかに記載のポリヌクレオチド、その変異体および/またはその断片の1または2以上をさらに含む、請求項18に記載のDNAチップ。
  20. 配列番号60〜110、111〜121で表される塩基配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドの2以上から全部を含む、請求項18または19に記載のDNAチップ。
  21. 請求項1〜8のいずれかに記載の組成物、請求項9〜17のいずれかに記載のキット、請求項18〜20のいずれかに記載のDNAチップ、またはそれらの組み合わせを用いて、被験者由来の生体試料における標的核酸の発現レベルを測定することによって、被験者由来の検体試料中に腹腔内転移を伴う胃ガン細胞が含まれるかどうかをin vitroで判定するための検査方法。
  22. DNAチップを用いる請求項21に記載の方法。
  23. 請求項1〜8のいずれかに記載の組成物、請求項9〜17のいずれかに記載のキット、請求項18〜20のいずれかに記載のDNAチップ、またはそれらの組み合わせを用いて、腹腔内転移を伴う又は腹腔内転移を伴わない胃ガン細胞を含む組織であることが既知の複数の生体試料中の標的核酸の発現量をin vitroで測定する第1の工程、前記第1の工程で得られた該標的核酸の発現量の測定値を教師とした判別式(サポートベクターマシーン)を作成する第2の工程、被験者の検体試料中の該標的核酸の発現量を第1の工程と同様にin vitroで測定する第3の工程、前記第2の工程で得られた判別式に第3の工程で得られた該標的核酸の発現量の測定値を代入し、該判別式から得られた結果に基づいて、検体試料中に転移を伴うガン細胞が含まれないこと及び/又は転移を伴わないガン細胞が含まれることを判定する第4の工程を含む、胃ガン腹腔内転移を判定するための検査方法。
  24. 請求項1〜8のいずれかに記載の組成物、請求項9〜17のいずれかに記載のキット、または請求項18〜20のいずれかに記載のDNAチップの、胃ガン患者の腹腔内転移の有無をin vitroで予測するための検査への使用。
  25. 配列番号1〜59のいずれかで表される塩基配列によってコードされるポリペプチドに対する1または複数の抗体またはその断片を用いて、被検者の腹腔内洗浄液中の細胞中の該ポリペプチドのレベルをin vitroで測定することを含む、被検者の胃ガン腹腔内転移の有無をin vitroで予測するための検査方法。
  26. 配列番号49〜59のいずれかで表される塩基配列によってコードされるポリペプチドに対する1または複数の抗体またはその断片をさらに使用して、該ポリペプチドのレベルを測定する、請求項25に記載の方法。
  27. 前記ポリペプチドが、配列番号122〜168、169〜179のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する、請求項25または26に記載の方法。
  28. 前記ポリペプチドの発現レベルが、腹腔内に転移のない患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と比較して変化している場合、転移が有る患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群であると決定する、請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記ポリペプチドの発現レベルが、転移のある患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群と比較して変化している場合、転移が無い患者由来の腹腔内洗浄液中に含まれる細胞群であると決定する、請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
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