JPWO2007007837A1 - 樹脂粉粒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
樹脂粉粒体を含有する水性分散液から樹脂粉粒体を回収する工程を含む樹脂粉粒体の製造方法において、特に透明性に優れ、耐ブロッキング性に優れた樹脂粉粒体、特にイソブチレン系重合体、またとりわけイソブチレン系ブロック共重合体の樹脂粉粒体を安定的に製造できる方法を提供する。上記課題は、重合体を粉粒体化した後、この樹脂粉粒体含有水溶液に芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体粒子を含有する水性乳濁液を添加することにより解決することができる。更に好ましくは、水性乳濁液を添加した後、無機塩を添加する。
Description
本発明は、樹脂粉粒体の製造方法、特にイソブチレン系ブロック共重合体からなる樹脂粉粒体の製造方法に関する。
樹脂粉粒体水溶液から樹脂を粉粒体として分離・回収する方法としては、一般的に、各種濾過機や遠心脱水機を用いて大半の水分を除去したのち、流動乾燥機、気流乾燥機などの乾燥機を用いて水分を蒸発させる方法が多く採用されている。
樹脂がゴム状重合体の場合、得られる粉粒体が軟質かつ不定形であるが故に、上記のような従来の方法においては回収の際にしばしばブロッキングの問題が生じる。ブロッキングとは、粉粒体自身の軟化、粉粒体表面同士の相互作用、粉粒体同士の接触などの作用によって粉粒体が固結する現象である。粉粒体をフレコン(フレキシブル・コンテナ)などの包材に充填後、保管状態(荷重、充填量、保管温度、保管湿度)によっては、このようなブロッキングが生じる場合があり、ブロッキングが生じると、粉粒体が包材から取り出せないなどのトラブルが起こりうる。また、粉粒体取り扱い工程においてブロッキングが生じた場合、粉粒体の供給時における定量性の喪失、スクリーンの目詰まりや空気輸送できないなどのトラブルを招く。
これらのトラブルを解消するためには、粉粒体の耐ブロッキング性を改善する必要がある。粉粒体の耐ブロッキング性の改善策として、滑剤の添加がもっとも一般的に行われている。熱可塑性樹脂に対する耐ブロッキング性の改善方法としては、特許文献1に、エチレンビスアミド、ソルビタンモノステアレート等の滑剤添加による方法が開示されている。同じく熱可塑性樹脂に対する耐ブロッキング性の改善方法として、特許文献2や特許文献3に、硬質の乳化重合ポリマーを添加する方法も開示されている。また、水添スチレン系エラストマーに対する耐ブロッキング性の改善方法としては、特許文献4に粉状の鉱物や有機物を乾燥後に打粉する方法、特許文献5にポリプロピレン微粒子を粉打ちする方法が開示されている。
上記樹脂として、イソブチレン系ブロック共重合体を使用する場合においても同様に、製品のブロッキングに関する問題は解決すべき課題の一つである。すなわち、何ら滑剤等の表面改質剤の添加なくしてイソブチレン系ブロック共重合体からなる樹脂粉粒体を回収すると、回収ホッパーでの閉塞あるいはフレコン内でのブロッキングが発生し、払い出しできないなどのトラブルが発生する場合があった。また、粉粒体樹脂スラリーを脱水、乾燥するまでに工程内で閉塞トラブルが発生するという問題もあった。
一方で、滑剤添加法では、十分な耐ブロッキング性を維持しようとすると、イソブチレン系ブロック共重合体製品の透明性を損なうおそれがあった。また透明性を維持するためにシリカなどの超微粒子を滑剤として添加した場合は、効率的に樹脂表面に付着しないなど問題があった。このように未だ効果的な滑剤添加方法は確立されていない。
特開昭64−26644号公報
特開平4−300947号公報
特開平7−3106号公報
特開平10−330404号公報
特開2002−371136号公報
本発明は、上記現状に鑑み、品質、特に透明性を損なうことなく、耐ブロッキング性に優れた樹脂粉粒体、特にイソブチレン系ブロック共重合体の樹脂粉粒体を安定的に製造できる方法を提供することを目的とするものである。
すなわち本発明は、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体(a)を含有する溶液に水を添加し、加熱・撹拌することにより樹脂粉粒体を形成する工程と、
得られた樹脂粉粒体含有水性分散液に、芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)の粒子を含有する水性乳濁液を添加する工程と、
得られた混合物から樹脂粉粒体を回収する工程と
を含むことを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
得られた樹脂粉粒体含有水性分散液に、芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)の粒子を含有する水性乳濁液を添加する工程と、
得られた混合物から樹脂粉粒体を回収する工程と
を含むことを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましい実施態様としては、樹脂粉粒体を構成する上記重合体(a)100重量部に対して、芳香族ビニル系単量体を主成分とする上記重合体(b)の粒子の量が、固形分量で0.01〜5重量部であることを特徴とする上記製造方法が挙げられる。
好ましい実施態様としては、芳香族ビニル系単量体を主成分とする上記重合体(b)の粒子の平均粒子径が0.1〜0.3μmであることを特徴とする上記製造方法が挙げられる。
好ましい実施態様としては、上記水性乳濁液を添加した後、無機塩をさらに加える工程を含むことを特徴とする上記製造方法が挙げられる。
好ましい実施態様としては、添加される上記無機塩が硫酸ナトリウムであることを特徴とする上記製造方法が挙げられる。
好ましい実施態様としては、(無機塩/上記水性分散液中の水)の比が20mmol/L以上となるように無機塩を添加することを特徴とする上記製造方法が挙げられる。
好ましい実施態様としては、芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)の粒子を含有する上記水性乳濁液を上記樹脂粉粒体含有水性分散液に添加した後、70℃以上180℃未満で混合物を加熱処理することを特徴とする上記製造方法が挙げられる。
好ましい実施態様としては、上記重合体(a)が、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体とイソブチレン単量体を含有する単量体成分を重合させて得られるイソブチレン系重合体であることを特徴とする上記製造方法が挙げられる。
さらに好ましい実施態様としては、上記イソブチレン系重合体が、
(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、
(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックと、
からなるブロック共重合体であることを特徴とする上記製造方法が挙げられる。
(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、
(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックと、
からなるブロック共重合体であることを特徴とする上記製造方法が挙げられる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明にかかる樹脂粉粒体の製造方法は、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体(a)を含有する溶液に水を添加した後、加熱・撹拌することにより樹脂粉粒体を形成(粉粒体化)する工程を含む。重合体(a)として適用できる重合体は、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体である限り特に限定されるものではなく、本発明はカチオン重合やアニオン重合、ラジカル重合等各種重合方法により得られる重合体に対して適用することができる。
本発明にかかる樹脂粉粒体の製造方法は、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体(a)を含有する溶液に水を添加した後、加熱・撹拌することにより樹脂粉粒体を形成(粉粒体化)する工程を含む。重合体(a)として適用できる重合体は、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体である限り特に限定されるものではなく、本発明はカチオン重合やアニオン重合、ラジカル重合等各種重合方法により得られる重合体に対して適用することができる。
上記重合体(a)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、特に限定されず、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、コストの面から、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が特に好ましい。
重合体(a)の具体例としては、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体とイソブチレン単量体を含有する単量体成分を重合させて得られるイソブチレン系重合体、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などが挙げられる。特にその粘弾性の高さ故に従来の方法では耐ブロッキング性と透明性のバランスのよい粉粒体を得ることが困難なイソブチレン系ブロック共重合体に使用することができる。
上記イソブチレン系重合体は、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、(B)上記芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体が好ましく、具体的には、イソブチレンと芳香族ビニル系単量体などの単量体をルイス酸触媒の存在下で開始剤と共にカチオン重合して得られるものが、強度、伸びなどといった品質の安定したイソブチレン系ブロック共重合体が生産できる点で好適である。
(A)のイソブチレンを主体として構成される重合体ブロックは、通常、イソブチレン単位を60重量%以上、イソブチレン系重合体特有のガスバリア性を維持する観点から好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。また、(B)の芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックは、通常、芳香族ビニル系単量体単位を60重量%以上、スチレン系エラストマーとしての強度、伸び等の物性を維持する観点から好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。
上記ルイス酸触媒は、カチオン重合に使用できるものであれば特に限定されず、TiCl4、BCl3、BF3、AlCl3、SnCl4等のハロゲン化金属を挙げることができるが、なかでも四塩化チタン(TiCl4)がイソブチレン系ブロック重合体の反応性とその触媒回収の容易さと回収触媒の安全性の観点から好ましい。
上記カチオン重合において用いられる重合溶媒としては特に限定されず、ハロゲン化炭化水素からなる溶媒、非ハロゲン系の溶媒又はこれらの混合物を用いることができる。好ましくは、炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒がイソブチレン系ブロック共重合体の溶解性の面から好ましい。
上記炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素としては特に限定されず、塩化メチル、塩化メチレン、1−クロロブタン、クロロベンゼンなどを挙げることができる。この中でも、イソブチレン系ブロック共重合体の溶解度、分解による無害化の容易さ、コスト等のバランスから、1−クロロブタンが好適である。
また、上記脂肪族及び/又は芳香族系炭化水素としては特に限定されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。なかでもメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン及びトルエンからなる群より選ばれる1種以上が特に好ましい。
なお、カチオン重合の際に用いる開始剤としては、下記式(I)で表される化合物を用いるのが好ましい。
(CR1R2X)nR3 (I)
[式中、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基若しくはアシロキシ基を表す。R1及びR2は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜6の1価炭化水素基を表し、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい。R3は一価若しくは二価以上の多価芳香族炭化水素基又は一価若しくは二価以上の多価脂肪族炭化水素基を表す。nは1〜6の自然数を示す。]
(CR1R2X)nR3 (I)
[式中、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基若しくはアシロキシ基を表す。R1及びR2は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜6の1価炭化水素基を表し、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい。R3は一価若しくは二価以上の多価芳香族炭化水素基又は一価若しくは二価以上の多価脂肪族炭化水素基を表す。nは1〜6の自然数を示す。]
上記一般式(I)の化合物の具体例としては、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼン[C6H4(C(CH3)2Cl)2]が挙げられる[なお、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼンはジクミルクロライドとも呼ばれる]。
イソブチレン系ブロック共重合体の重合に際しては、更に必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。このような化合物として、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、又は、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下、例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−80℃〜−30℃である。
またイソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量にも特に制限はないが、流動性、加工性、物性等の面から、30000〜500000であることが好ましく、50000〜400000であることが特に好ましい。
単量体成分を所定の方法により重合させて得られた重合体(a)の溶液は、水またはアルカリ水と接触させることで触媒を失活させて反応を停止させた後、引き続き水洗を行い、触媒残渣や金属イオンを抽出、除去する。これにより、精製ドープを得ることができる。
触媒の失活及び水洗時の液温度は特に限定するものではないが、20℃〜100℃の範囲が好ましい。また、失活及び水洗に使用する水の量は、特に限定されるものではないが、重合体溶液に対する水の体積比が1/10〜10の範囲が好ましい。
このようにして、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体(a)を含有する溶液を得ることができる。
次に本発明の樹脂粉粒体の製造方法について具体的に説明する。
上述のような方法によって得られた重合体(a)を含有する溶液は、まず粉粒体化工程(1)に供される(クラム化工程とも呼ばれる)。粉粒体化の際における重合体溶液中の重合体(a)の濃度は、必要に応じて重合に使用した溶媒を加えることにより、10〜60重量%とすることが望ましい。10%未満では生産性を極端に低下させることになり、60%を超えると、粉粒体を生成させることが困難になる。樹脂濃度が低い場合には、フラッシュ蒸発式、薄膜式蒸発式、撹拌槽式、濡れ壁式等の蒸発機を単独あるいは複数用いて溶媒を蒸発させることにより所望の濃度に調整することができる。また、樹脂濃度が高い場合には、溶剤で希釈することにより所望の濃度に調整することができる。
上述のような方法によって得られた重合体(a)を含有する溶液は、まず粉粒体化工程(1)に供される(クラム化工程とも呼ばれる)。粉粒体化の際における重合体溶液中の重合体(a)の濃度は、必要に応じて重合に使用した溶媒を加えることにより、10〜60重量%とすることが望ましい。10%未満では生産性を極端に低下させることになり、60%を超えると、粉粒体を生成させることが困難になる。樹脂濃度が低い場合には、フラッシュ蒸発式、薄膜式蒸発式、撹拌槽式、濡れ壁式等の蒸発機を単独あるいは複数用いて溶媒を蒸発させることにより所望の濃度に調整することができる。また、樹脂濃度が高い場合には、溶剤で希釈することにより所望の濃度に調整することができる。
このようにして得られた重合体(a)を含有する溶液に、水、及び必要により界面活性剤を添加し、撹拌することにより液−液分散させながら、加熱して溶媒を除去することにより樹脂粉粒体を形成する工程(粉粒体化工程(1))により、樹脂粉粒体を含有する水性分散液を得ることができる。添加する水の量は、特に制限はないが、液−液分散のしやすさ等から、重合体(a)を含有する溶液に対し、0.5〜4倍の容積とするのが好ましい。
上記界面活性剤としては、その泡立ちの少なさから非イオン界面活性剤が好適に用いられる。非イオン界面活性剤の具体例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸モノ(ジ又はトリ)ステアリンエステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチレン)脂肪アミン、脂肪酸とジエタノールとの縮合生成物、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。加える界面活性剤の量は、特に限定されるものではないが、重合体(a)100重量部に対し0.05重量部から5重量部が好ましい。0.05重量部未満では界面活性剤としての特性が十分発揮できず、粒子が形成されない場合がある。また、5重量部を超えると重合体(a)の物性低下、粉粒体化の際の泡立ちの問題が顕著になる場合があるため好ましくない。
撹拌による液−液分散、及び溶媒除去に用いられる装置としては攪拌機を備えた容器が好適に用いられる。攪拌翼の形状には特に制約はなく、スクリュー翼、プロペラ翼、アンカー翼、パドル翼、傾斜パドル翼、タービン翼、大型格子翼等の任意の翼を使用することができる。これらは、同一の攪拌槽を用いて液−液分散操作と溶媒除去操作を行うこともできるし、予め液−液分散操作を実施して分散液を形成させた後に引き続き溶媒除去を複数の攪拌槽を用いて行うこともできる。
工程(1)の液温度は、特に限定されないが、溶媒と水の共沸点以上であることが好ましい。ただし、その共沸点未満でも容器内を減圧下にすれば容易に溶媒を除去することができる。具体的には、70℃以上、130℃未満が好ましく、80℃以上、110℃未満がさらに好ましい。70℃未満であると、溶剤除去速度が低下し生産効率の面で好ましくない場合がある。また130℃以上であると非イオン界面活性剤の働きがなくなり安定した液−液分散系を形成できない場合がある。
また、樹脂粉粒体は、重合体(a)を含有する溶液に直接水蒸気を接触させることにより得ることもできる。この場合、水蒸気の温度は、その処理のし易さから110℃以上、非イオン界面活性剤の働きを維持するために130℃未満が好ましい。
工程(1)を経た後、得られた樹脂粉粒体を含有する水性分散液に、芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)の粒子を含有する水性乳濁液を添加する。
重合体(b)としては、粒子径の制御が比較的容易であることからビニル系ポリマーが好ましい。上記ビニル系ポリマーを構成する重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル系単量体のうち少なくとも1種類が含まれていることが必要である。そのほかに、非芳香族ビニル系単量体として、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンなどのハロゲン化ビニル化合物が含まれていてもよい。これら非芳香族ビニル系単量体は2種以上を適宜併用してもよい。
本発明における重合体(b)粒子の主成分である芳香族ビニル系単量体としては、上述したスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられるが、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、コストの面から、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が特に好ましい。
重合体(b)中の芳香族ビニル系単量体の割合は、30重量%以上100重量%以下がそれを付着させる樹脂粉粒体の透明性を維持する観点で好ましく、50重量%以上100重量%以下が特に芳香族ビニル系単量体を含む樹脂粉粒体との親和性の観点からより好ましい。
水性乳濁液を調整する方法は特に限定されないが、水性溶媒、重合開始剤、乳化剤等の存在下で、上記重合性モノマーを乳化重合することにより得ることができる。得られた水性乳濁液はそのまま本発明の製造方法において用いることができる。
上記重合開始剤としては公知のラジカル重合開始剤などを使用でき、水溶性や油溶性の重合開始剤、熱分解型やレドックス型の重合開始剤などが使用される。たとえば通常の過硫酸塩などの無機開始剤、あるいは有機過酸化物、アゾ化合物などを単独で用いるか、上記化合物と亜硫酸塩、亜硫酸水素、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどを組み合わせ、レドックス系で用いてもよい。重合開始剤として好ましい過硫酸塩としてはたとえば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどがあげられ、好ましい有機過酸化物としては、たとえばt−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどがあげられる。
また、上記乳化剤としては公知のものが使用され、たとえば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウムなど)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホコハク酸ジエステル塩などのアニオン系界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの非イオン系界面活性剤などがあげられる。さらに重合開始剤として過硫酸カリウムなどを用いることでソープフリーによって芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)粒子を含有する水性乳濁液を作製してもよい。
重合体(b)を重合する際の温度や時間などにも特に限定はなく、使用目的に応じて所望の比粘度、粒子径になるように適宜調整すればよい。
水性乳濁液として添加される重合体(b)の量は、樹脂粉粒体中の重合体(a)100重量部に対して固形分量(ポリマー量)で0.01重量部から5重量部であるのが好ましい。0.01重量部未満ではブロッキング防止剤としての効果が十分でない場合がある。また、5重量部を超えると重合体の物性低下、特に引張強度などの機械物性低下が顕著になる場合があり好ましくない。
芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)粒子の平均粒子径は、特に制限はないが、平均粒子径が0.1〜0.3μmのものであることが好ましい。粒子径が0.1μm未満の場合、乾燥後の樹脂の透明性は良好であるが、樹脂表面への重合体(b)の付着が十分でないために耐ブロッキング性の改良効果が不十分となる場合がある。粒子径が0.3μmを超える場合、ブロッキング防止効率が低下するためにより多くの添加量が必要となり、そのために強度などの機械的物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明において、上記平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて体積基準平均粒子径として測定した値である。なおレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置としては特に限定されないが、例えば(株)堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920等を用いることができる。
さらには、芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)粒子を含有する水性乳濁液を樹脂粉粒体含有水溶液に添加した後、無機塩をさらに加えるのが、樹脂粉粒体含有水性分散液中の重合体(b)を効率よく樹脂粉粒体表面に付着できる点で好ましい。加える無機塩としては、特に制限はないが、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化ニッケル、塩化アンチモン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化銅、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、塩化バリウム、塩化カルシウム、臭化カリウムなどの無機塩化物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸水素マグネシウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素カルシウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸チタン、硫酸ニッケルアンモニウム、硫酸マンガン、硫酸クロムナトリウム、硫酸水素スズ、硫酸銅、硫酸鉄、過硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどの亜硫酸塩または硫酸塩、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩、硝酸アンモニウム、硝酸ニッケル、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩などを挙げることができる。その中で、耐ブロッキング性の改善効果の観点から塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムが好ましく、なかでも硫酸ナトリウムが耐ブロッキング性の改善効果と装置への低腐食性、安全性の観点から好ましい。
加えられる無機塩の量は、特に制限はないが、耐ブロッキング性の改善効果と装置への低腐食性、安全性の観点から樹脂粉粒体を含有する液中に、[無機塩(mmol)/水性分散液中の水(リットル(L))の比が20mmol/L以上かつ水への飽和溶解度以下となるように添加することが好ましい。
上述の通り、水性乳濁液を添加後、得られた混合物から樹脂粉粒体を回収する。回収の際には、樹脂粉粒体を含有する水性分散液に芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)の粒子を含有する水性乳濁液を添加した後、撹拌下、加熱処理を行ってもよい(スチームストリッピング工程(2))。スチームストリッピング工程(2)を経ることにより、残留する溶媒をさらに除去すると同時に、加えた重合体(b)を効率的に樹脂粉粒体表面に付着させることができる。これにより、脱水後の粉粒体の耐ブロッキング性を改良することができ、回収ホッパーや配管等で閉塞させることなく、良好に払い出しを行うことが可能となる。また、脱水樹脂粉粒体を乾燥するまでに工程内で閉塞させることもなく、更に、得られる製品の品質の劣化を防止でき、特に透明性を損なうことなく安定的に製造できるようになる。なお、イソブチレン系ブロック共重合体の場合、重合体(b)を効果的に樹脂粉粒体表面に付着させるため、処理時の加熱温度は、70℃以上、180℃未満とするのが好ましい。70℃未満であると重合体(b)が効率的に樹脂に付着せず、耐ブロッキング性の効果が十分でない場合がある。一方180℃以上であると樹脂同士の融着が顕著になり、粗粒の発生をきたす場合があるため好ましくない。
スチームストリッピング工程(2)に用いる容器は蒸気を導入する配管が接続されていればよく、懸濁及び溶媒除去操作と同様に攪拌容器に蒸気を導入する方法が好適に使用される。また、スチームストリッピングの操作は、溶媒除去に引き続き同一の槽で蒸気を通気し実施することもできるし、別途ストリッピング槽を設けて引き続き実施することもできる。また、連続方式として、通気攪拌槽を1槽以上連結させる場合や、棚段方式で蒸気と樹脂スラリーを接触させることによりストリッピングを行うこともできる。
樹脂粉粒体を含む混合物から、溶媒を除去し、樹脂粉粒体を回収する。特に限定されないが、樹脂粉粒体を含む混合物は、以下説明する工程(工程(3))により脱水、乾燥される。例えば各種濾過機、遠心分離機などを用いて脱水操作を行い、樹脂粉粒体を含む混合物から樹脂粉粒体を回収することができる。本操作による脱水後の樹脂粉粒体の含水率は、特に限定されるものではないが、含水樹脂粉粒体全体の10〜50重量%とすることが、乾燥の際のエネルギー効率の点で有効である。
得られた含水樹脂粉粒体は、溝型撹拌乾燥機などの伝導伝熱式乾燥機あるいは流動乾燥機などの熱風受熱式乾燥機などを用いて乾燥することにより、製品粉粒体とすることができる。
本発明にかかる製造方法によれば、得られる樹脂粉粒体を品質劣化させることなく、特に透明性を損なうことなく、耐ブロッキング性を改善することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施例に示すブロック共重合体の各物性は以下に示す方法で測定した。
(分子量)
Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)を用いて重合体の数平均分子量を測定した。数平均分子量はポリスチレン換算で表記した。
Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)を用いて重合体の数平均分子量を測定した。数平均分子量はポリスチレン換算で表記した。
(透明性)
(1)製品シート透明性
本発明の製造方法によって得られる樹脂粉粒体を用いて2mm厚プレスシートを作製し、目視にてシートの透明度を確認した。
(2)排水透明性
本発明にかかる製造方法の工程(3)によって得られる脱水ろ液を、目開き106μmのふるいに通した後、内径20mmのガラス製サンプル管に充填し、目視にてその透明度を確認した。
(1)製品シート透明性
本発明の製造方法によって得られる樹脂粉粒体を用いて2mm厚プレスシートを作製し、目視にてシートの透明度を確認した。
(2)排水透明性
本発明にかかる製造方法の工程(3)によって得られる脱水ろ液を、目開き106μmのふるいに通した後、内径20mmのガラス製サンプル管に充填し、目視にてその透明度を確認した。
(耐ブロッキング性)
得られた樹脂粉粒体の耐ブロッキング性については、樹脂粉粒体を100℃の箱型乾燥機で2時間乾燥後、内径5cmのシリンダーに30g充填してピストンにて0.03MPaの荷重をかけて85℃雰囲気下2時間保管した後、樹脂粉粒体を手でほぐした時のほぐれ方で評価した。
得られた樹脂粉粒体の耐ブロッキング性については、樹脂粉粒体を100℃の箱型乾燥機で2時間乾燥後、内径5cmのシリンダーに30g充填してピストンにて0.03MPaの荷重をかけて85℃雰囲気下2時間保管した後、樹脂粉粒体を手でほぐした時のほぐれ方で評価した。
(粒子径)
芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)粒子の粒子径は(株)堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用いて体積基準平均粒子径として測定した。
芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)粒子の粒子径は(株)堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用いて体積基準平均粒子径として測定した。
(製造例1)
攪拌機付き20L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)3.70kg、ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)1.92kg、p−ジクミルクロライド2.90gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド2.18g、イソブチレン844gを添加した。さらに四塩化チタン85gを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2時間反応させた。次いで反応溶液にスチレン408gを添加し、さらに30分間反応を続け、重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液を大量の水中へ注いで反応を停止させた。反応停止後、分液ロートで重合体溶液相と水相を分離した。重合体溶液相に水を再度添加して水洗を2回行った後、水層が中性になっているのを確認してから重合体溶液相を払い出し、重合体(a)を含有する溶液を得た。
GPC分析を行ったところ、重合体(a)の数平均分子量は100,000、分子量分布は1.14であった。
攪拌機付き20L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)3.70kg、ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)1.92kg、p−ジクミルクロライド2.90gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド2.18g、イソブチレン844gを添加した。さらに四塩化チタン85gを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2時間反応させた。次いで反応溶液にスチレン408gを添加し、さらに30分間反応を続け、重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液を大量の水中へ注いで反応を停止させた。反応停止後、分液ロートで重合体溶液相と水相を分離した。重合体溶液相に水を再度添加して水洗を2回行った後、水層が中性になっているのを確認してから重合体溶液相を払い出し、重合体(a)を含有する溶液を得た。
GPC分析を行ったところ、重合体(a)の数平均分子量は100,000、分子量分布は1.14であった。
(製造例2)
攪拌機付き2L反応容器に、スチレンモノマー(苛性水溶液で重合禁止剤を抽出除去したもの)269g、苛性ソーダによりpH10に調製した蒸留水を903g、ドデシル硫酸ナトリウムを1.5g加え、窒素通気雰囲気下で70℃に加熱しながら60分間撹拌した。その後、過硫酸カリウムを0.75g添加して4時間反応させることによりポリスチレン粒子を含有する水性乳濁液を得た。
得られたポリスチレン粒子の粒子径は、体積基準平均粒子径で0.17μmであった。また水性乳濁液の固形分濃度は23%であった。
攪拌機付き2L反応容器に、スチレンモノマー(苛性水溶液で重合禁止剤を抽出除去したもの)269g、苛性ソーダによりpH10に調製した蒸留水を903g、ドデシル硫酸ナトリウムを1.5g加え、窒素通気雰囲気下で70℃に加熱しながら60分間撹拌した。その後、過硫酸カリウムを0.75g添加して4時間反応させることによりポリスチレン粒子を含有する水性乳濁液を得た。
得られたポリスチレン粒子の粒子径は、体積基準平均粒子径で0.17μmであった。また水性乳濁液の固形分濃度は23%であった。
(実施例1)
槽容積50リットル、内径30cmの耐圧攪拌装置に、純水12.5リットルおよび製造例1で得た重合体(a)の溶液12.5リットルを仕込み、界面活性剤(ポリエチレングリコールモノステアレート)を5.1g添加し、密閉した。撹拌翼には翼径15cmの2段4枚傾斜パドルを用いて、400rpmで攪拌しながらジャケットで昇温した。
槽容積50リットル、内径30cmの耐圧攪拌装置に、純水12.5リットルおよび製造例1で得た重合体(a)の溶液12.5リットルを仕込み、界面活性剤(ポリエチレングリコールモノステアレート)を5.1g添加し、密閉した。撹拌翼には翼径15cmの2段4枚傾斜パドルを用いて、400rpmで攪拌しながらジャケットで昇温した。
撹拌槽内温が90℃に到達した時点で溶媒ガスを耐圧攪拌装置に付設したコンデンサに導入し、逐次溶媒を回収した。発泡に注意しながら内圧を加減し、内圧が常圧まで低下し、かつ撹拌槽内温が95℃となった時点で加温および溶媒蒸発を停止した。内温が室温まで低下するのを待って攪拌を停止し、撹拌槽内に生成した樹脂スラリー(水性分散液)を回収した(工程(1))。回収した樹脂スラリー中の粉粒体は1〜2mmの粒径を持ち、適度な粒径の粒子であった。回収した樹脂スラリーを再度撹拌槽に戻し、製造例2で得たポリスチレン粒子含有水性乳濁液を14.8g(重合体(a)100重量部に対して固形分(ポリスチレン粒子)が0.2重量部相当となる量)添加し、密閉してスチームストリッピングを行った(工程(2))。ストリッピングは、雰囲気温度120℃を60分間維持しながら撹拌槽下部より蒸気を吹き込む方法によって行った。
得られた樹脂スラリーを遠心脱水し、箱型乾燥機で100℃雰囲気下2時間乾燥して樹脂粉粒体を得た。
得られた樹脂スラリーを遠心脱水し、箱型乾燥機で100℃雰囲気下2時間乾燥して樹脂粉粒体を得た。
表1に示すように、樹脂スラリーのろ液がわずかに白濁し、すべてのポリスチレン粒子が効率よく付着していないものの、得られた樹脂粉粒体は耐ブロッキング性が良好でなおかつ樹脂粉粒体を成形して得られる製品シートの透明性も良好であった。
(実施例2)
工程(2)において、ポリスチレン乳濁液を添加した後、無水硫酸ナトリウムを89g(樹脂スラリー中の水に対して約50mmol/L)添加した以外は実施例1と同様に実施した。
工程(2)において、ポリスチレン乳濁液を添加した後、無水硫酸ナトリウムを89g(樹脂スラリー中の水に対して約50mmol/L)添加した以外は実施例1と同様に実施した。
表1に示すように、得られた樹脂粉粒体は耐ブロッキング性が良好でなおかつ樹脂粉粒体を成形して得られる製品シートの透明性も良好であった。さらにこの場合、樹脂スラリーのろ液が無色透明となり効率よくポリスチレン乳濁液が付着している様子が確認された。
(比較例1)
工程(2)において、ポリスチレン乳濁液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。
表1に示すように、得られた樹脂粉粒体は耐ブロッキング性が悪く、樹脂同士が融着しており、手でほぐしても完全にはほぐれなかった。
工程(2)において、ポリスチレン乳濁液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。
表1に示すように、得られた樹脂粉粒体は耐ブロッキング性が悪く、樹脂同士が融着しており、手でほぐしても完全にはほぐれなかった。
(比較例2)
工程(2)において、タルク(富士タルク社製PKP−81)を3.4g(樹脂粉粒体100重量部に対して0.2重量部)添加した以外は実施例1と同様に実施した。
表1に示すように、得られた樹脂粉粒体を成形した製品シートの透明性は問題なかったが、耐ブロッキング性が悪く、手でほぐれるが、一部は粗粒化したままになった。
工程(2)において、タルク(富士タルク社製PKP−81)を3.4g(樹脂粉粒体100重量部に対して0.2重量部)添加した以外は実施例1と同様に実施した。
表1に示すように、得られた樹脂粉粒体を成形した製品シートの透明性は問題なかったが、耐ブロッキング性が悪く、手でほぐれるが、一部は粗粒化したままになった。
(比較例3)
工程(2)において、タルク(富士タルク社製PKP−81)を8.5g(樹脂に対して0.5重量部)添加した以外は実施例1と同様に実施した。
表1に示すように、得られた樹脂粉粒体は耐ブロッキング性が改良されたが、製品シートの透明性が悪化した。
工程(2)において、タルク(富士タルク社製PKP−81)を8.5g(樹脂に対して0.5重量部)添加した以外は実施例1と同様に実施した。
表1に示すように、得られた樹脂粉粒体は耐ブロッキング性が改良されたが、製品シートの透明性が悪化した。
以上のように、実施例1および2で得られた樹脂粉粒体では良好な耐ブロッキング性を示した。一方、比較例1〜3の樹脂粉粒体では、耐ブロッキング性は改良されなかったか、又は樹脂粉粒体から成形した製品シートの透明性に劣っていた。このように本願発明の方法によれば、樹脂の透明性を維持しつつ、樹脂粉粒体の耐ブロッキング性を改良することが可能であることがわかった。
本発明の製造方法によって得られる樹脂粉粒体は耐ブロッキング性に優れることから、ブロッキングによって生じるトラブル、例えば包材から取り出せないなどのトラブルや、粉粒体を取り扱う工程におけるホッパーでの閉塞等のトラブルが解消できる。このように本発明は取り扱い性に優れる樹脂粉粒体を提供することができる。
Claims (9)
- 少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体(a)を含有する溶液に水を添加し、加熱・撹拌することにより樹脂粉粒体を形成する工程と、
得られた樹脂粉粒体含有水性分散液に、芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)の粒子を含有する水性乳濁液を添加する工程と、
得られた混合物から樹脂粉粒体を回収する工程と
を含むことを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法。 - 樹脂粉粒体を構成する前記重合体(a)100重量部に対して、芳香族ビニル系単量体を主成分とする前記重合体(b)の粒子の量が、固形分量で0.01〜5重量部であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- 芳香族ビニル系単量体を主成分とする前記重合体(b)の粒子の平均粒子径が0.1〜0.3μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- 前記水性乳濁液を添加した後、無機塩をさらに加える工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- 添加される前記無機塩が硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項4に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- (無機塩/前記水性分散液中の水)の比が20mmol/L以上となるように前記無機塩を加えることを特徴とする請求項4または5に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- 芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体(b)の粒子を含有する前記水性乳濁液を前記樹脂粉粒体含有水性分散液に添加した後、70℃以上180℃未満で混合物を加熱処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- 前記重合体(a)が、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体とイソブチレン単量体を含有する単量体成分を重合させて得られるイソブチレン系重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- 前記イソブチレン系重合体が、
(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、
(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックと、
からなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項8に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
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