JP5209925B2 - 樹脂粉粒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂粉粒体の製造方法、特にイソブチレン系ブロック共重合体からなる樹脂粉粒体の製造方法に関する。
樹脂粉粒体水溶液から樹脂粉粒体を分離・回収する方法としては、一般的に、各種濾過機や遠心脱水機を用いて大半の水分を除去したのち、流動乾燥機、気流乾燥機などの乾燥機を用いて水分を蒸発させる方法が多く採用されている。
樹脂がゴム状重合体の場合、得られる粉粒体が軟質かつ不定形であるが故に、上記のような従来の方法においては回収の際にしばしばブロッキングの問題が生じる。ブロッキングとは、粉粒体自身の軟化、粉粒体表面同士の相互作用、粉粒体同士の接触などの作用によって粉粒体が固結する現象である。粉粒体をフレコン(フレキシブル・コンテナ)などの包材に充填後、保管状態(荷重、充填量、保管温度、保管湿度)によっては、このようなブロッキングが生じる場合があり、ブロッキングが生じると、粉粒体が包材から取り出せないなどのトラブルが起こりうる。また、粉粒体取り扱い工程においてブロッキングが生じた場合、粉粒体の供給時における定量性の喪失、スクリーンの目詰まりや空気輸送できないなどのトラブルを招く。
上記樹脂として、イソブチレン系ブロック共重合体を使用する場合においても、同様に、製品のブロッキングに関する問題は解決すべき課題の1つである。すなわち、何らかの表面改質剤の添加なくして、イソブチレン系ブロック共重合体からなる樹脂粉粒体を回収すると、回収ホッパーでの閉塞あるいはフレコン内でのブロッキングが発生し、払い出しできないなどのトラブルが発生する場合があった。また、樹脂粉粒体スラリーを脱水、乾燥するまでに工程内で閉塞しトラブルが発生するという問題もあった。
一方で、添加剤の使用により十分な耐ブロッキング性を維持した場合でも、イソブチレン系ブロック共重合体製品の透明性を損なう恐れがあった。すなわち、粉粒体の耐ブロッキング性と、製品の透明性を共に改善する方法が求められている。
粉粒体の耐ブロッキング性の改善策として、添加剤の使用がもっとも一般的に行われている。例えば特許文献1では、架橋剤である1,3−ブチレングリコールジメタクリレートの存在下でメチルメタクリレートとスチレンの共重合をおこなうことにより合成成樹脂粉末(ゴム組成物)の耐ブロッキング性を改良している(実施例1)。ただし特許文献1の合成樹脂粉末は塩化ビニル系樹脂の添加剤であり、塩化ビニル系樹脂に少量配合することにより透明な塩化ビニル樹脂成形体(最終成形物)を得るものである。したがって特許文献1には、合成樹脂粉末自体の透明性に関する記載は全くない。また、この方法では、架橋剤を含まない重合系で製造した、メチルメタクリレート55重量%、スチレン45重量%からなる共重合体をブロッキング防止剤として使用しても、耐ブロッキング性はほとんど改善されないと示されている。さらに、この方法をイソブチレン系樹脂粉粒体に適応した場合、架橋剤を含むことになり、フィッシュアイ、強度低下の恐れがある。
また、特許文献2には、イソブチレン系樹脂のブロッキング防止剤としてポリスチレン乳化重合体溶液を使用した方法が開示されている。しかしながら、この方法では、耐ブロッキング性は改善されるものの、用途によっては、製品シートの透明性が市場の求められるレベルにないことがある。
このように、イソブチレン系ブロック共重合体からなる樹脂粉粒体における効果的な添加剤は未だ見出されておらず、耐ブロッキング性および透明性といった2つの重要な特性の改善を満足させることは困難である。
特開平7−3106号公報 WO2007/007837
本発明は、上記現状に鑑み、品質、特に透明性を損なうことなく、耐ブロッキング性に優れた樹脂粉粒体、特にイソブチレン系ブロック共重合体の樹脂粉粒体を安定的に製造できる方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体(a)を含有する溶液に水を添加し、加熱・撹拌することにより樹脂粉粒体を形成する工程と、
得られた樹脂粉粒体含有水性分散液に、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体(b)の粒子を含有する水性乳濁液を添加する工程と、
得られた混合物から樹脂粉粒体を回収する工程と
を含むことを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)が、アクリル系単量体50〜70重量%、芳香族ビニル系単量体30〜50重量%からなることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)が、アクリル系単量体の重合を開始した後に芳香族ビニル系単量体の重合を開始することにより得られたものであることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)中のアクリル系単量体に由来する部分の50重量%以上が、メチルメタクリレートに由来することを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、前記重合体(a)が、芳香族ビニル系単量体を主成分とするブロックを有することを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、前記重合体(a)が、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体と、イソブチレン単量体とから得られるイソブチレン系重合体であることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、前記重合体(a)が、
(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、
(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックと、
からなるブロック共重合体であることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、前記重合体(a)からなる樹脂粉粒体とアクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)との屈折率の差が0.1以内であることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)の平均粒子径が0.1〜0.3μmであることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、樹脂粉粒体を構成する前記重合体(a)100重量部に対して、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)の粒子の量が、固形分量で0.01〜5重量部であることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、前記水性乳濁液を添加した後、無機塩をさらに加える工程を含むことを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、添加される前記無機塩が硫酸ナトリウムであることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、(無機塩/前記水性分散液中の水)の比が20mmol/L以上となるように前記無機塩を加えることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
好ましくは、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)の粒子を含有する前記水性乳濁液を前記樹脂粉粒体含有水性分散液に添加した後、70℃以上180℃未満で混合物を加熱処理することを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法に関する。
本発明の製造方法によって、樹脂粉粒体の耐ブロッキング性および透明性といった2つの重要な特性を共に改善することができる。本発明の製造方法は、特にイソブチレン系ブロック共重合体の樹脂粉粒体の耐ブロッキング性および透明性を改善することができる点で有用である。
本発明にかかる樹脂粉粒体の製造方法は、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体(a)を含有する溶液に水を添加した後、加熱・撹拌することにより樹脂粉粒体を形成(粉粒体化)する工程を含む。重合体(a)として適用できる重合体は、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体である限り特に限定されるものではなく、本発明はカチオン重合やアニオン重合、ラジカル重合等各種重合方法により得られる重合体に対して適用することができる。
上記重合体(a)を構成する芳香族ビニル系単量体としては特に限定されず、例えば、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、コストの面から、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が特に好ましい。
重合体(a)としては、例えば、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとよばれているブロック共重合体やスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を挙げることができる。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレンブチレン共重合体−スチレン(S−EB−S)、スチレン−エチレンプロピレン共重合体−スチレン(S−EP−S)、スチレン−ブタジエン−スチレン(S−B−S)、スチレン−イソプレン−スチレン(S−I−S)、スチレン−イソブチレン−スチレン(S−IB−S)を挙げることができる。重合体(a)の具体例としては、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体とイソブチレン単量体を含有する単量体成分を重合させて得られるイソブチレン系重合体、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などが挙げられる。特に、その弾性の高さ故に従来の方法では耐ブロッキング性と透明性のバランスの良い粉粒体を得ることが困難なイソブチレン系ブロック共重合体に使用することができる。
例えば、上記イソブチレン系ブロック共重合体は、イソブチレンを含む重合体であれば特に限定はないが、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなるイソブチレン系共重合体が好ましい。具体的には、イソブチレンや、芳香族ビニル系単量体などの単量体を、ルイス酸触媒の存在下で開始剤と共にカチオン重合して得られるものが、強度、伸び等の品質の安定したイソブチレン系ブロック共重合体が生産できる点で好適である。
(A)のイソブチレンを主体として構成される重合体ブロックは、通常、イソブチレン単位を60重量%以上、通常、イソブチレン系特有のガスバリア性を維持する観点から、好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。また、(B)の芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックは、通常、芳香族ビニル系単量体単位を60重量%以上、スチレン系エラストマーとしての強度、伸び等の物性を維持する観点から、好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。
上記ルイス酸触媒は、カチオン重合に使用できるものであれば特に限定されず、TiCl、BCl、BF、AlCl、SnCl等のハロゲン化金属を挙げることができるが、なかでも四塩化チタン(TiCl)がイソブチレン系ブロック共重合体の反応性とその触媒回収の容易さと回収触媒の安全性の観点から好ましい。
上記カチオン重合において用いられる重合溶媒としては特に限定されず、ハロゲン化炭化水素からなる溶媒、非ハロゲン系の溶媒又はこれらの混合物を用いることができる。イソブチレン系ブロック共重合体の溶解性の面から、炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒を使用することが好ましい。
上記炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素としては特に限定されず、塩化メチル、塩化メチレン、1−クロロブタン(塩化ブチル)、クロロベンゼンなどを挙げることができる。この中でも、イソブチレン系ブロック共重合体の溶解度、分解による無害化の容易さ、コスト等のバランスから、1−クロロブタンが好適である。
また、上記脂肪族及び/又は芳香族系炭化水素としては特に限定されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。なかでもメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン及びトルエンからなる群より選ばれる1種以上が特に好ましい。
なお、カチオン重合の際に用いる開始剤としては、下記式(I)で表される化合物を用いるのが好ましい。
(CRX) (I)
[式中、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基若しくはアシロキシ基を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の1価炭化水素基を表し、RとRは同一であっても異なっていてもよい。Rは多価芳香族炭化水素基又は多価脂肪族炭化水素基を表す。nは1〜6の自然数を示す。]
上記一般式(I)の化合物の具体例としては、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼン[C(C(CHCl)]が挙げられる[なお、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼンはジクミルクロライドとも呼ばれる]。
イソブチレン系ブロック共重合体の重合に際しては、更に必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。このような化合物として、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、又は、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下、例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−80℃〜−30℃である。
またイソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量にも特に制限はないが、流動性、加工性、物性等の面から、30000〜500000であることが好ましく、50000〜400000であることが特に好ましい。
単量体成分を所定の方法により重合させて得られたイソブチレン系ブロック共重合体(a)の溶液は、水またはアルカリ水と接触させることで触媒を失活させ、反応を停止させた後、引き続き水洗を行い、触媒残渣や金属イオンを抽出、除去して、精製ドープを得ることができる。
触媒の失活及び水洗時の液温度は特に制限されるものではないが、20℃〜100℃の範囲が好ましい。また、失活及び水洗に使用する水量は、特に限定されるものではないが、重合体溶液に対する水の体積比が1/10〜10の範囲が好ましい。
上述のような方法によって得られた、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体を含む重合体(a)の精製重合体溶液は、引き続き、粉粒体化工程(1)に供される(クラム化工程とも呼ばれる)。粉粒体化の際における重合体溶液中の重合体(a)の固形分(樹脂分)濃度は、必要に応じて重合に使用した溶媒を加えることにより、10〜60重量%として粉粒体化することが望ましい。10重量%未満では生産性を極端に低下させることになり、60重量%を超えると、粉粒体を生成させることが困難になる。重合体溶液濃度が低い場合には、フラッシュ蒸発、薄膜式蒸発、撹拌槽、濡れ壁式等の蒸発機を単独あるいは複数用いることにより所望の濃度に調整することができる。また、重合体溶液濃度が高い場合には、溶剤を希釈することにより所望の濃度に調整することができる。
このようにして得られた重合体(a)を含有する精製重合体溶液、すなわち触媒を失活、除去したイソブチレン系ブロック共重合体を含有する重合終了後の溶液に、水、及び必要に応じて界面活性剤を添加し、撹拌により液−液分散させながら、加熱により溶媒を除去することにより樹脂粉粒体を形成する工程(粉粒体化工程(1))により、樹脂粉粒体を含有する水性分散液を得ることができる。添加する水の量は、特に制限はないが、液−液分散のしやすさ等から、重合体(a)を含有する溶液に対し、0.5〜4倍の容積とするのが好ましい。
上記界面活性剤としては、その泡立ちの少なさから非イオン界面活性剤を使用することが好ましい。非イオン界面活性剤の具体例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸モノ(ジ又はトリ)ステアリンエステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチレン)脂肪アミン、脂肪酸とジエタノールとの縮合生成物、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。加える非イオン界面活性剤の量は、特に制限はないが、重合体(a)100重量%に対し0.05重量%から5重量%が好ましい。0.05重量%未満では界面活性剤としての特性が十分発揮できず、粒子が形成されない場合がある。また、5重量%を超えると重量体(a)の物性低下、粉粒体化の際の泡立ちの問題が顕著になる場合があるため好ましくない。
撹拌による液−液分散、及び溶媒除去に用いられる装置としては撹拌機を備えた容器が好適に用いられる。撹拌翼の形状には特に制約はなく、スクリュー翼、プロペラ翼、アンカー翼、パドル翼、傾斜パドル翼、タービン翼、大型格子翼等の任意の翼を使用することができる。これらは、同一の撹拌槽を用いて液−液分散操作と溶媒除去操作を行うこともできるし、予め液−液分散操作を実施して分散液を形成させた後に引き続き溶媒除去を複数の撹拌槽を用いて行うこともできる。
工程(1)の溶媒蒸発時の液温度は、特に限定されないが、溶媒と水の共沸点以上であることが好ましい。ただし、その共沸点未満でも容器内を減圧下にすれば容易に溶媒を除去することができる。具体的には、70℃以上、130℃未満が好ましく、80℃以上、110℃未満がさらに好ましい。70℃未満であると、溶剤除去速度が低下し生産効率の面で好ましくない場合がある。また130℃以上であると非イオン界面活性剤の働きがなくなり安定した液−液分散系を形成できない場合がある。
加熱方法としては、特に限定されないが、工程(1)で用いる撹拌槽に外部ジャケットや内部コイルを取り付けて加熱する方法や蒸気を直接撹拌槽内部に投入する方法、電気ヒーターなどを撹拌槽に取り付ける方法、撹拌槽内の液を一部抜き出して熱交換器などで加温して循環させる方法などを用いることができる。具体例として、直接水蒸気を投入する場合、水蒸気の温度は、その処理のしやすさから110℃以上、非イオン界面活性剤の働きを維持するために130℃未満が好ましい。
工程(1)を経た後、得られた樹脂粉粒体を含有する水性分散液に、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体(b)の粒子を含有する水性乳濁液を添加する。
共重合体(b)におけるアクリル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、コストの面から、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート又はこれらの混合物が好ましく、特に好ましくはメチルメタクリレートである。
共重合体(b)における芳香族ビニル系単量体としては特に限定されず、例えば、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、コストの面から、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が好ましく、特に好ましくはスチレンである。
共重合体(b)中のアクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体との割合としては、アクリル系単量体が50〜70重量%、芳香族ビニル系単量体が30〜50重量%となることが、樹脂粉粒体の透明性の観点から好ましい。
アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体(b)は、アクリル系単量体の重合を開始した後に芳香族ビニル系単量体の重合を開始することにより得られたものであることが好ましい。芳香族ビニル系単量体の重合は、アクリル系単量体の全添加量の30重量%以上が重合した後に開始することがより好ましく、60重量%以上が重合した後に開始することがさらに好ましく、90重量%以上が重合した後に開始することが特に好ましい。
水性乳濁液を調整する方法は特に限定されないが、水性溶媒、重合開始剤、乳化剤等の存在下で、上記重合性単量体を乳化重合することにより得ることができる。得られた水性乳濁液はそのまま本発明の製造方法において用いることができる。
上記重合開始剤としては公知のラジカル重合開始剤などを使用でき、水溶性や油溶性の重合開始剤、熱分解型やレドックス型の重合開始剤などが使用される。例えば、通常の過硫酸塩などの無機開始剤、あるいは有機過酸化物、アゾ化合物などを単独で用いるか、上記化合物と亜硫酸塩、亜硫酸水素、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどを組み合わせ、レドックス系で用いても良い。重合開始剤として好ましい過硫酸塩としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられ、好ましい有機過酸化物としては、例えばt−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどが挙げられる。
また、上記乳化剤としては公知のものが使用され、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウムなど)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホコハク酸ジエステル塩などのアニオン系界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。好ましいアニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。さらに、重合開始剤として過硫酸カリウムなどを用いることでソープフリーによってアクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体(b)粒子を含有する水性乳濁液を作製しても良い。
共重合体(b)を重合する際の温度や時間などにも特に限定はなく、使用目的に応じて所望の比粘度、粒子径になるように適宜調整すれば良い。
水性乳濁液として添加される共重合体(b)の量は、樹脂粉粒体中の重合体(a)100重量%に対して固形分量(ポリマー量)で0.01重量%から5重量%であることが好ましい。0.01重量%未満では、ブロッキング防止剤としての効果が十分でない場合がある。また、5重量%を超えると、樹脂粉粒体の物性低下、特に引張強度などの機械物性低下が顕著になる場合があり好ましくない。
アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体(b)粒子の平均粒子径は、特に制限はないが、平均粒子径が0.1〜0.3μmのものであることが好ましい。粒子径が0.1μm未満の場合、乾燥後の樹脂の透明性は良好であるが、樹脂表面への共重合体(b)の付着が十分でないために耐ブロッキング性の改良効果が不十分となる場合がある。粒子径が0.3μmを超える場合、ブロッキング防止効率が低下するためにより多くの添加量が必要となり、そのために強度などの機械的物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
本発明において、上記平均粒子径は、例えばハネウェル社製「Microtrack UPA」等の一般的な動的光散乱式粒度分布計測装置を用いて体積平均径(MV[μm])として測定したものである。体積平均径(MV[μm])とは体積で重みづけされた平均径をいい、式(1)で一般的に定義される平均径である。
MV=Σ(V・d)/Σ(V) 式(1)
[(μm)]:粒子iの体積(i=1,2,・・・,N)
[μm]:粒子iの直径(i=1,2,・・・,N)
アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体(b)粒子の屈折率は、特に制限はないが、重合体(a)からなる樹脂粉粒体と上記共重合体(b)との屈折率の差が0.1以内であることが好ましい。屈折率の差が0.1以上になると、樹脂粉粒体を用いて作製した製品シートの透明性が、用途によっては市場の要求されるレベルに到達しない場合がある。
本発明において、上記屈折率は各モノマーの屈折率から式(2)で一般的に定義される加成則によって推算することにより求めた。
z=Σ(Ax+By)/Σ(A+B) 式(2)
z:樹脂の推定屈折率[−]、A:モノマーの割合[%]、B:モノマーの割合[%]、x:Aモノマーの屈折率[−]、y:Bモノマーの屈折率[−]
モノマーの屈折率はPOLYMER HANDBOOK THIRD EDITION Edited by J.BRANDRUP and E.H.IMMERGUTに記載されている値である。
さらには、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体(b)粒子を含有する水性乳濁液を樹脂粉粒体含有水溶液に添加した後、無機塩をさらに加えるのが、樹脂粉粒体含有水性分散液中の共重合体(b)を効率良く樹脂粉粒体表面に付着できる点で好ましい。加える無機塩としては、特に制限はないが、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化ニッケル、塩化アンチモン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化銅、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、塩化バリウム、塩化カルシウム、臭化カリウムなどの無機塩化物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸水素マグネシウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素カルシウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸ニッケル、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸チタン、硫酸ニッケルアンモニウム、硫酸マンガン、硫酸クロムナトリウム、硫酸水素スズ、硫酸銅、硫酸鉄、過硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどの亜硫酸塩または硫酸塩、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩、硝酸アンモニウム、硝酸ニッケル、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩などを挙げることができる。その中で、耐ブロッキング性の改善効果の観点から塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムが好ましく、なかでも硫酸ナトリウムが耐ブロッキング性の改善効果と装置への低腐食性、安全性の観点からより好ましい。
加えられる無機塩の量は、特に制限はないが、耐ブロッキング性の改善効果と装置への低腐食性、安全性の観点から樹脂粉粒体を含有する溶液中に、[無機塩(mmol)/水性分散液中の水(リットル(L))]の比が20mmol/L以上かつ水への飽和溶解度以下となるように添加することが好ましい。
上述の通り、水性乳濁液を添加後、得られた混合物から樹脂粉粒体を回収する。回収の際には、樹脂粉粒体を含有する水性分散液に、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体(b)の粒子を含有する水性乳濁液を添加した後、撹拌下、加熱処理を行っても良い(スチームストリッピング工程(2))。スチームストリッピング工程を経ることにより、残留する溶媒をさらに除去すると同時に、加えた共重合体(b)を効率的に樹脂粉粒体表面に付着させることができる。これにより、脱水後の樹脂粉粒体の耐ブロッキング性を改良することができ、回収ホッパーや配管等で閉塞させることなく、良好に払い出しを行うことが可能となる。また、脱水樹脂粉粒体を乾燥するまでに工程内で閉塞させることもなく、更に、得られる製品の品質の劣化を防止でき、特に透明性を損なうことなく安定的に製造できるようになる。なお、イソブチレン系ブロック共重合体の場合、共重合体(b)を効果的に樹脂粉粒体表面に付着させるため、処理時の加熱温度は、70℃以上、180℃未満とすることが好ましい。70℃未満であると、共重合体(b)が効率的に樹脂に付着せず、耐ブロッキング性の効果が十分でない場合がある。一方、180℃以上であると、樹脂同士の融着が顕著になり、粗粒の発生をきたす場合があるため好ましくない。
スチームストリッピング工程(2)に用いる容器は蒸気を導入する配管が接続されていればよく、懸濁及び溶媒除去操作と同様に撹拌容器に蒸気を導入する方法が好適に使用される。また、スチームストリッピングの操作は、溶媒除去に引き続き同一の槽で蒸気を通気し実施することもできるし、別途ストリッピング槽を設けて引き続き実施することもできる。また、連続方式として、通気撹拌槽を1槽以上連結させる場合や、棚段方式で蒸気と樹脂スラリーを接触させることによりストリッピングを行うこともできる。
スチームストリッピング後の樹脂粉粒体を含む水溶液は、特に限定はされないが、以下説明する工程(3)により、脱水、乾燥することもできる。例えば、樹脂粉粒体を含む水溶液から樹脂粉粒体を回収するためには、各種濾過機、遠心分離機などを用いて脱水操作を行い樹脂粉粒体を回収することができる。本操作による脱水後の樹脂粉粒体の含水率は、特に制限されるものではないが、10〜50重量%とすることが、乾燥の際のエネルギー効率の点で有効である。
得られた含水樹脂粉粒体は、溝型撹拌乾燥機などの伝導伝熱式乾燥機あるいは流動乾燥機などの熱風受熱式乾燥機などを用いて乾燥することにより、製品粉粒体とすることができる。
さらに、特に限定はされないが、上述した脱水後の含水樹脂粉粒体、または乾燥後の製品粉粒体を脱揮機構を有する押出機を用いて樹脂ペレットとして製品化することができる。脱揮機構を有する押出機としては、ベント機構を有する単軸、二軸押出機を用いることができ、特に、二軸押出機が脱溶媒、脱モノマー効率の点から好適に使用される。押出機より排出される樹脂は、ストランドカット、水中カット、ホットカット方式等により最終製品とすることもできる。
本発明にかかる製造方法によれば、得られる樹脂粉粒体を品質劣化させることなく、特に透明性を損なうことなく、耐ブロッキング性を改善することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施例に示すブロック共重合体の各物性は以下に示す方法で測定した。
(分子量)
Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)。数平均分子量はポリスチレン換算で表記した。
(製品シートの透明性)
本発明の製造方法によって得られる樹脂粉粒体を用いて2mm厚プレスシートを作製し、日本電色工業株式会社製HazeMeter(濁度計)NDH2000によりシートのHaze値(濁度)と透明性を測定した。
(耐ブロッキング性)
得られた樹脂粉粒体の耐ブロッキング性については、樹脂粉粒体を内径5cmのシリンダーに40g充填して、ピストンにて0.03MPaの荷重をかけて60℃雰囲気下で15時間保管した後、室温にて3時間放置し、樹脂粉粒体のブロックを作成した。このブロックの破壊強度を求めるため、(株)レオテック製FUDOH RHEO METER(レオメーター)を用いて樹脂粉粒体ブロックを破壊するためにかかった荷重を測定し、以下に示す式(3)により樹脂粉粒体の付着力を求め、これを耐ブロッキング性の指標とした。
σ=2×P/π×d×h×10×0.098 式(3)
ここで、σ:付着力[kPa]、P:荷重[g]、d=5cm:ブロック内径、h:ブロック高さ[cm]である。
(粒子径)
アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体(b)粒子の粒子径は、ハネウェル社製「Microtrack UPA」等の一般的な動的光散乱式粒度分布測定装置を用いて体積平均径として測定した。
(屈折率)
重合体(a)からなる樹脂粉粒体の屈折率とアクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる共重合体(b)の屈折率は、各モノマーの屈折率から先に定義した式(2)で一般的に定義される加成則によって推算することにより求めた。
(製造例1)
撹拌機付き20L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで水分除去したもの)3.70kg、ヘキサン(モレキュラーシーブスで水分除去したもの)1.92kg、p−ジクミルクロライド2.90gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド2.18g、イソブチレン844gを添加した。さらに四塩化チタン85gを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2時間反応させた。次いで反応溶液にスチレン408gを添加し、さらに30分間反応を続け、イソブチレン系ブロック共重合体(a)溶液を得た。
得られた重合体(a)溶液を大量の水中へ注いで反応を停止させた。反応停止後、分液ロートで重合体溶液相と水相を分離した。同様の方法で重合体溶液相の水洗を2回行った後、水層が中性になっているのを確認してから重合体溶液相を払い出し、イソブチレン系ブロック共重合体(a)を含有する溶液を得た。
GPC分析を行ったところ、重合体(a)の数平均分子量が100,000、分子量分布が1.14であった。
(製造例2)
撹拌機付き8L反応器に、純水3910.3gを仕込み、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム53.3g、メチルメタクリレートモノマー320gを加え、窒素を2.0L/minで通気し、昇温しながら30分間、100rpmで撹拌した。そして、液温が68℃に達したところで、過硫酸カリウム40gを添加し、窒素流量を0.2L/minに下げ、210rpmで撹拌し、重合を開始した。重合温度は70℃である。開始後、2時間かけてメチルメタクリレートモノマー640gをポンプにて連続的に注入し、注入後30分間後重合させた。この時、メチルメタクリレートモノマーの全添加量の約98%が重合により消費されていた。その後、さらに2時間かけてスチレンモノマー640gをポンプにて連続的に注入し、注入後、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム16g添加して、60分間撹拌し終了した。上述の方法により得られたメチルメタクリレートとスチレンからなる共重合体の粒子を含有する水性乳濁液を得た。
得られた共重合体(b)粒子の粒子径は、体積基準平均径で0.12μmであった。また、水性乳濁液の固形分濃度は27.3%であった。
(製造例3)
製造例2において、重合開始後、2.5時間かけてメチルメタクリレートモノマー800gをポンプにて連続的に注入し、注入後30分間後重合させた。この時、メチルメタクリレートモノマーの全添加量の約98%が重合により消費されていた。その後、1.5時間かけてスチレンモノマー480gをポンプにて連続的に注入した以外は製造例2と同様の方法である。得られた共重合体(b)粒子の粒子径は、体積基準平均径で0.12μmであった。また、水性乳濁液の固形分濃度は27.7%であった。
(製造例4)
製造例2において、重合開始後、1.5時間かけてメチルメタクリレートモノマー480gをポンプにて連続的に注入し、注入後30分間後重合させた。この時、メチルメタクリレートモノマーの全添加量の約98%が重合により消費されていた。その後、2.5時間かけてスチレンモノマー800gをポンプにて連続的に注入した以外は製造例2と同様の方法である。得られた共重合体(b)粒子の粒子径は、体積基準平均径で0.12μmであった。また、水性乳濁液の固形分濃度は27.4%であった。
(製造例5)
製造例2において、重合開始後、2時間かけてメチルメタクリレートモノマー320gとスチレンモノマー320gを予め混合させておいた混合溶液をポンプにて連続的に注入し、注入後30分間後重合させ、その後、2時間かけてメチルメタクリレートモノマー320gとスチレンモノマー320gを予め混合させておいた混合溶液をポンプにて連続的に注入した以外は製造例2と同様の方法である。得られた共重合体(b)粒子の粒子径は、体積基準平均径で0.12μmであった。また、水性乳濁液の固形分濃度は27.7%であった。
(製造例6)
撹拌機付き2L反応容器に、スチレンモノマー(苛性水溶液で重合禁主剤を抽出除去したもの)269g、苛性ソーダによりpH10に調製した蒸留水を903g、ドデシル硫酸ナトリウムを1.5g加え、窒素通気雰囲気下で70℃に加熱しながら60分間撹拌した。その後、過硫酸カリウムを0.75g添加して4時間反応させることによりポリスチレン粒子を含有する水性乳濁液を得た。得られたポリスチレン粒子の粒子径は、体積基準平均系で0.13μmであった。また、水性乳濁液の固形分濃度は27.3%であった。
(実施例1)
撹拌槽容積が50L、内径30cmの耐圧撹拌装置に、純水7.2Lおよび製造例1で得たイソブチレン系ブロック共重合体(a)を含有する重合溶液11.3Lを仕込み、非イオン界面活性剤(ポリエチレングリコールモノステアレート)を9.73g添加し密閉した。撹拌翼には翼径15cmの2段4枚傾斜パドルを用いて、600rpmで撹拌しながら撹拌槽下部より蒸気を投入し昇温した。
撹拌槽内温が99℃に到達したら、蒸気の投入を止め、内温が60℃以下になるのを待って撹拌を停止し、撹拌槽内に生成した樹脂スラリー(水性分散液)を回収した(工程(1))。回収した樹脂スラリー中の樹脂粉粒体は1〜5mmの粒径をもち、適度な粒径の粉粒体であった。
次に、撹拌槽容積が3L、内径12cmの耐圧撹拌装置に、回収した樹脂粉粒体200g、スラリー溶液(水溶液のみ)500g、製造例2で得たメチルメタクリレートとスチレンの共重合体(b)粒子を含有する水性乳濁液を4.39g(重合体(a)100重量%に対して固形分(共重合体(b)粒子)が1.2重量%相当となる量)、10%濃度の硫酸ナトリウム30g(重合体(a)100重量%に対して3重量%相当となる量)を添加し、密閉してスチームストリッピングを行った(工程(2))。ストリッピングは、雰囲気温度135℃を30分間維持しながら撹拌槽下部より蒸気を吹き込む方法によって行った。
得られた樹脂スラリーを遠心脱水し、樹脂粉粒体を得た。脱水後の樹脂粉粒体を、内径5cmのシリンダーに40g充填して、ピストンにて0.03MPaの荷重をかけて60℃雰囲気下で15時間保管した後、室温にて3時間放置し、樹脂粉粒体をレオメーターにより耐ブロッキング性を測定した。
さらに、脱水後の樹脂粉粒体を用いて2mm厚プレスシートを作製し、濁度計によりシートのHaze値(濁度)と透明性を測定した。
耐ブロッキング性、Haze値(濁度)と透明性の測定結果を表1に示す。
(実施例2)
工程(2)において、製造例3で得たメチルメタクリレートとスチレンの共重合体(b)粒子を含有する水性乳濁液を4.33g(重合体(a)100重量%に対して固形分(共重合体(b)粒子)が1.2重量%相当となる量)とした以外は実施例1と同様に実施した。耐ブロッキング性、Haze値(濁度)と透明性の測定結果を表1に示す。
(実施例3)
工程(2)において、製造例4で得たメチルメタクリレートとスチレンの共重合体(b)粒子を含有する水性乳濁液を4.39g(重合体(a)100重量%に対して固形分(共重合体(b)粒子)が1.2重量%相当となる量)とした以外は実施例1と同様に実施した。耐ブロッキング性、Haze値(濁度)と透明性の測定結果を表1に示す。
(実施例4)
工程(2)において、製造例5で得たメチルメタクリレートとスチレンの共重合体(b)粒子を含有する水性乳濁液を4.33g(重合体(a)100重量%に対して固形分(共重合体(b)粒子)が1.2重量%相当となる量)とした以外は実施例1と同様に実施した。耐ブロッキング性、Haze値(濁度)と透明性の測定結果を表1に示す。
(比較例1)
工程(2)において、ブロッキング防止剤等の添加剤を使用せず、回収した樹脂粉粒体200g、スラリー溶液(水溶液のみ)500gのみでスチームストリッピングを行ったこと以外は実施例1と同様に実施した。耐ブロッキング性、Haze値(濁度)と透明性の測定結果を表1に示す。
(比較例2)
工程(2)において、製造例6で得たポリスチレン粒子を含有する水性乳濁液を4.39g(重合体(a)100重量%に対して固形分(共重合体(b)粒子)が1.2重量%相当となる量)とした以外は実施例1と同様に実施した。耐ブロッキング性、Haze値(濁度)と透明性の測定結果を表1に示す。
Figure 0005209925
以下に表1の説明を示す。
MMAはメチルメタクリレート、Stはスチレンの略称である。耐ブロッキング性、Haze値(濁度)は値が小さいほど好ましい。透明性は値が大きいほど好ましい。さらに、モノマー組成の表現についてであるが、例えば、MMA(60%)、St(40%)とは共重合体作成における仕込みモノマー比のことを表しており、MMAが640g+320g=960g、Stが640gの場合960:640=60:40となるので、MMA(60%)、St(40%)と表現している。

Claims (13)

  1. 少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体成分を含む重合体(a)を含有する溶液に水を添加し、加熱・撹拌することにより樹脂粉粒体を形成する工程と、
    得られた樹脂粉粒体含有水性分散液に、アクリル系単量体50〜70重量%と芳香族ビニル系単量体30〜50重量%からなる共重合体(b)の粒子を含有する水性乳濁液を添加する工程と、
    得られた混合物から樹脂粉粒体を回収する工程と
    を含むことを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法。
  2. アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)が、アクリル系単量体の重合を開始した後に芳香族ビニル系単量体の重合を開始することにより得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  3. アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)中のアクリル系単量体に由来する部分の50重量%以上が、メチルメタクリレートに由来することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  4. 前記重合体(a)が、芳香族ビニル系単量体を主成分とするブロックを有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  5. 前記重合体(a)が、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体と、イソブチレン単量体とから得られるイソブチレン系重合体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  6. 前記重合体(a)が、
    (A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、
    (B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックと、
    からなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  7. 前記重合体(a)からなる樹脂粉粒体とアクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)との屈折率の差が0.1以内であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  8. アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)の平均粒子径が0.1〜0.3μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  9. 樹脂粉粒体を構成する前記重合体(a)100重量部に対して、アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)の粒子の量が、固形分量で0.01〜5重量部であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  10. 前記水性乳濁液を添加した後、無機塩をさらに加える工程を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  11. 添加される前記無機塩が硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項10に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  12. (無機塩/前記水性分散液中の水)の比が20mmol/L以上となるように前記無機塩を加えることを特徴とする請求項10または11に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
  13. アクリル系単量体と芳香族ビニル系単量体からなる前記共重合体(b)の粒子を含有する前記水性乳濁液を前記樹脂粉粒体含有水性分散液に添加した後、70℃以上180℃未満で混合物を加熱処理することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
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