JPWO2006129796A1 - 磁性粒子保持担体、およびその調製方法 - Google Patents

磁性粒子保持担体、およびその調製方法 Download PDF

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Abstract

固相表面積が大きくまたは機能性タンパク質を任意にデザインできる等のナノサイズの磁性粒子の特性を損なうことなく、ナノサイズの磁性粒子の分散性の向上、および、ピペットチップ等の容器壁への非特異的吸着を抑制することによって、タンパク質等の生体物質の処理の自動化を可能とする磁性粒子保持担体、およびその調製方法を提供する。非磁性のマイクロサイズの粒子状担体と、該担体に結合した多数のナノサイズの磁性粒子とを有するように構成する。

Description

本発明は、磁性粒子保持担体、およびその調製方法に関するものである。
従来、DNA、タンパク質等の生体物質の解析、処理等において、マイクロタイタープレート等の他の固相担体と比べ、その体積に対する大きな固相表面積をもつ磁性または非磁性の粒子上に、前記生体物質を保持させて、目的の生体物質を含有する溶液中に混合、懸濁させ、高い反応性および遭遇性を利用して、目的生体物質の検出、分離、単離、抽出等の処理を行う処理技術があった。特に、磁性粒子は、外部磁場により容易かつ迅速に回収することで、遠心分離や濾過といった工程を除くことができる等、様々な利点を有する優れた固相担体である。これによって、反応の全工程の自動化や装置の小型化に活用することができ、試料の処理効率や検査の再現性の飛躍的な向上を図ることが可能である。このため、現在では、粒径、材質の異なる様々な磁性粒子が市販され、ゲノミクス分野では、DNAやmRNAの単離・精製、プロテオミクス分野では、タンパク質やペプチドの単離・精製、タンパク質間相互作用の解析、医療分野では薬剤ターゲッティング、病原性ウィルスの検出等幅広い分野で利用されている。また、磁性粒子を回収する磁石を備えた自動化システムが開発され、核酸抽出、ペプチド抽出、イムノアッセイといった部門では、工程の自動化が報告されている。
しかしながら、現在市販されている磁性粒子は、表面に構築されている機能性タンパク質としては、抗体、プロテインA、プロテインG、ストレプトアビディン等の限られたものである。任意の機能性タンパク質を構築するためには、マグネタイト等の磁性担体を内包したシリカゲルビーズを調製し、その小孔内に静電的に吸着させる等の煩雑な操作を行わなければならない場合があった。
また、その活性を保持するための工夫が必要であった。
今後、遺伝子の機能解析や医薬品のリード化合物の探索等さらに幅広い応用を目指す際には、様々な機能性タンパク質を、活性を損なうことなく構築することができる新しい磁性粒子の開発が望まれている。
一方、磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB-1株の生産する磁性細菌粒子は、磁気微粒子膜と称されるリン脂質を主成分とする有機膜で被覆されており、この膜には種々の膜タンパク質が存在する。AMB-1株の磁気微粒子膜上に存在する膜タンパク質としては、MagAタンパク質、MpsAタンパク質、Mms16タンパク質等が同定されている(特許文献1、4、5等)。また、本発明者等は、該磁性細菌粒子の脂質二重膜上のタンパク質をコードする遺伝子の5'末端、3'末端に目的のタンパク質遺伝子を融合することで、磁性細菌粒子上に様々なタンパク質を発現することが可能であることを報告してきた。これらのタンパク質としては、例えば、Luciferase (非特許文献1)、Acetate kinase, プロテインA(非特許文献2)、Estrogen receptor等の水溶性タンパク質だけでなく、Gタンパク共役型受容体(非特許文献3)といった膜貫通型タンパク質があり、多岐にわたる応用が期待される。
この磁性細菌の菌体内で産生される磁性細菌粒子またはその菌体自体は、磁石を用いることにより溶液から容易に分離することが可能であるため、タンパク質の製造、単離、または様々な物質の回収、探索、検出および定量に有用である。この点を利用して抗体を固定化した磁性細菌粒子を用いたインスリンや内分泌撹乱物質の自動免疫測定システムの構築もなされている。このシステムでは、ポリプロピレン製のピペットチップをノズルに装着し、該チップに対して磁石を接近または離間可能に設けた分注装置を用いて、磁性粒子懸濁液を吸引吐出することで試薬から粒子を分離し、そのまま次工程の試薬を吸引吐出することで再懸濁を可能にする方法を採用している。この方法では、磁性粒子の回収をチップ内壁で行うことができるため、磁性粒子を懸濁液から分離する際に生じる損失や誤差を小さくすることができる。
しかしながら、一般的にナノサイズの磁性粒子は液体中での磁気による制御が困難である。具体的には、粒子中の磁性体含有量が微量であることから、磁気による分離の際に作用する磁力が微小となるため、分離が迅速に行えない場合がある。
さらに、分離の際に磁性細菌粒子がチップ内壁に非特異的に吸着するために、再懸濁の効率が低下してしまう場合がある。
これは、ナノサイズの磁性粒子である磁性細菌粒子は表面積/体積比が大きいため試薬の吸引・吐出による再懸濁の影響を受けにくく、チップへの吸着力が強いためであると考えられる。この問題を解決するために、ピペットチップの壁面の疎水性を高めたり、溶媒に界面活性剤を加えるといった方法が試みられてきたが、安定した磁気分離率を得るための条件設定が非常に困難であった。
このように、この磁性細菌粒子等のサイズ、または磁力の強さ、磁性等の条件が定まっていることにより、磁場を用いて、またはフィルタ等を用いて磁性細菌粒子を用いたタンパク質等の調製物質の分離、抽出、再懸濁等を含む処理を行う場合に、自動化、効率性、取り扱い容易性、多様性、迅速性等について、その処理目的に応じては、必ずしも満足することができない場合がある。
特に、前述したように磁場を及ぼして磁性細菌粒子を凝集させて分離、抽出を行った後、磁場を除去しただけでは、その凝集を解除して、溶液に再び懸濁させることが困難であり、自動化、効率性等に支障がある場合がある。
そこで、本発明の第1の目的は、固相表面積が大きくまたは機能性タンパク質を任意にデザインできる等のナノサイズの磁性粒子の特性を損なうことなく、ナノサイズの磁性粒子の分散性の向上、および、ピペットチップ等の容器壁への非特異的吸着を抑制することによって、タンパク質等の生体物質の処理の自動化を可能とする磁性粒子保持担体、およびその調製方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、マイクロサイズの非磁性の担体に、磁性を付与させまたは固相表面積の増大を図ることによって、マイクロサイズの担体のもつ利点を生かしながら、処理をより一層扱いやすく、かつ処理を効率的で、かつ高精度に実行可能とする磁性粒子保持担体、およびその調製方法を提供することである。
本発明の第3の目的は、ナノサイズの前記磁性粒子を種々の担体に保持することによって、より一層多様性、汎用性のあるまたは複雑または種々の処理に適用可能とする磁性粒子保持担体、およびその調製方法を提供することである。
本発明の第4の目的は、タンパク質等の生体物質に関して、目的とする生体物質の高い回収率及び安定性のある処理を可能とする磁性粒子保持担体、およびその調製方法を提供することである。
特開平8−228782号公報 特開平10−108689号公報 特開平11−285387号公報 WO97/35964号公報 特開2002−176989 特開2004−261169号公報 特開2004−290039号公報 Nakamura, T., et al., J.Bicohem,, 118, 23-7 (1995) Tanaka, T., et al., Anal. Chem., 72, 3518-22 (2000) Yoshino, T., et al., Appl. Environ. Microbiol., 70, 2880-5 (2004)
本発明者らは、磁性細菌が産生する磁性細菌粒子等のナノサイズ(約1nmから数100nmのサイズ)の磁性粒子を、その処理目的に合致する種々のマイクロサイズ(約1μmから数100μmのサイズ)の粒子状担体に保持させることによって、ナノサイズの磁性粒子についての処理をより一層容易に自動化することを可能とした。
すなわち、第1の発明は、非磁性のマイクロサイズの粒子状担体と、該担体に保持された多数のナノサイズの磁性粒子とを有する磁性粒子保持担体である。ここで、「粒子状担体」とは、固体であって、液体に懸濁可能な性質、大きさ、質量をもつ。該担体はマイクロサイズの大きさ、例えば、約1μm〜数100μmのサイズをもつ。該サイズ、質量、材料等は、その処理目的に応じて定めることができる。
なお、担体の材料としては、例えば、金属、半導体、半金属、酸化金属等の金属化合物、セラミックス、ガラス、シリカのような無機物質、ゴム、ラテックス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル等の樹脂、セルロース、ナイロン等の繊維物質等の高分子物質、絹等の天然繊維等の天然物質のような有機物質がある。より具体的には、例えば、繊維物質を例にとると、「ポリアミド系高分子」からなる、絹等、ナイロン(3−ナイロン、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、7−ナイロン、12−ナイロン等)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)等の全芳香族ポリアミド、へテロ環含有芳香族ポリマー等である。
また、担体として、例えば、繊維状体、多孔質体、ゲル状体であっても良い。
「保持」とは、前記担体に磁性粒子を直接的または別種類の各種物質を介して間接的に結合して関係付けることをいう。保持の態様については、磁性粒子が有する受容体またはリガンドと担体が有するそのリガンドまたはその受容体と、例えば、ストレプトアビディンとビオチン、または、抗His抗体とHis等を結合させる場合、または、担体の有する官能基と磁性粒子が有する官能基との間を共有結合で直接結合する場合、または、水素結合、静電的結合で結合する場合等がある。
「磁性粒子」とは、磁性をもつ粒子であって、その大きさはナノサイズであり、例えば、約1nmから数100nmである。該サイズ、質量、材料、構造(単一ドメイン、表面に種々の被覆物質で被覆等)、その性質(常磁性、超常磁性、強磁性等、フェリ磁性、磁力の大きさ)等は、その処理目的に応じて定めることができる。該材料としては、水酸化鉄、酸化鉄水和物、酸化鉄、混合酸化鉄、あるいは鉄、γ-Fe2O3, Fe3O4等からなる。磁性粒子は、例えば、磁性細菌によって菌体内に生産される磁性細菌粒子(BMPs;bacterial magnetic particles)として得られ、または、前記材料に種々の被覆物質で被覆することによって得られる。被覆物質としては、各種の官能基を生じさせる有機物質、イオンを生じさせるイオン性物質、磁場による凝集や沈澱を防ぐ表面安定化物質(脂肪族ジー、ポリカルボン酸およびこれらの置換生成物および誘導体等)、特異的結合物質(リガンド、受容体等)、薬利的活性物質等がある。
磁性細菌粒子(BMP)とは、磁性細菌の菌体内で産生される磁性を持つ粒子である。ここで、用いられる磁性細菌としては、例えば、Magnetospirillum 種の微生物(例えば、Magnetospirillum magneticum AMB-1 (FIRM BP-5458),MS-1 (IFO 15272, ATCC31632, DSM3856), SR-1(IFO 15272 DSM6361),およびDesulfovibrio 種の微生物(例えば、Desulfovibrio sp.RS-1 (FERM P-13283))等が挙げられる。
これら非磁性のマイクロサイズの粒子状担体と、該担体に保持した多数のナノサイズの磁性粒子とを有する磁性粒子保持担体の構成により、非磁性の担体に磁性を持たせる作用を有する。また非磁性体に多数のナノサイズの磁性粒子をマイクロサイズの粒子状担体に集積させ、粒子あたりに作用する磁力を増加させる作用を有する。同時に保持担体がマイクロビーズであり、かつ表面がナノビーズで覆われているので、表面積を増大する構成となり、粒子あたりの表面積/体積比を小さくする作用を有する。
第2の発明は、前記磁性粒子は、所定の機能性ペプチドまたはタンパク質を発現しまたは発現可能である第1の発明の磁性粒子保持担体である。
例えば、磁性粒子が磁性細菌粒子の場合には、被覆物質として該磁性細菌粒子の膜、すなわち、磁性細菌粒子の外表面を覆う脂質二重膜には、種々のタンパク質が同定されている。該磁性細菌粒子膜上にその一部または全部が結合して発現されるタンパク質であるアンカータンパク質として用いることができる。すると、該アンカータンパク質を含む融合タンパク質を膜にアンカリングをさせる役割をさせることができる。
前記機能性ペプチドまたはタンパク質を発現するには、例えば、プロモータの下流に機能性のペプチドまたはタンパク質をコードする構造遺伝子を連結して細菌に導入することにより行う。これによって磁性細菌の磁性細菌粒子において目的のペプチドまたはタンパク質を発現させることができる。
例えば、AMB-1株中でプロテインAのIgG結合ドメインであるZZドメインを発現させるには、プロモータとしては、例えば、磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB-1 のMms 16プロモータを、また、アンカータンパク質として、Mm13を用いる。また、ZZドメインをコードする遺伝子として、pEZZ18を用いる。
第3の発明は、前記担体は、表面にリガンドまたは受容体を有し、前記磁性粒子はその受容体またはそのリガンドを有し、該リガンドと該受容体との結合によって、前記磁性粒子を前記担体に保持した第1の発明または第2の発明の磁性粒子保持担体である。
ここで、「リガンド」とは、特定の受容体により結合される分子であって、例えば、核酸等の遺伝物質、タンパク質、糖、糖鎖、ペプチド等の生体物質を含む。例えば、磁性細菌の細胞膜受容体に対するアゴニストおよびアンタゴニスト、毒素(toxinおよびvenom)、ウイルスエピトープ、ホルモン、ホルモン受容体、ペプチド、酵素、酵素基質、レクチン、糖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、オリゴサッカライド、抗体等である。天然物質でも人工物質でも良い。「受容体」とは、前記リガンドに結合性を有するものであり、例えば、核酸等の遺伝物質、タンパク質、糖、糖鎖、ペプチド等の生体物質を含むものである。より具体的には、リガンドと受容体の組の例としては、例えば、各種の抗原と抗体、例えば、ビオチンとアビディン、ビオチンとストレプトアビディン、プロテインAと各種抗体等がある。各種抗体には、ウサギ由来抗ヤギIgG抗体、ヤギ由来抗マウスIgG抗体等がある。担体または磁性粒子にこれらのリガンドまたは受容体を導入するには、例えば、これらの担体または磁性粒子またはその表面もしくは膜等の被覆物質が有する官能基にこれらのリガンドまたは受容体を共有結合で結合させたり、または、これらの担体または磁性粒子またはその表面もしくは膜等の被覆物質に受容体またはリガンドを発現することによって行う。
第4の発明は、前記磁性粒子を共有結合、水素結合、または静電的結合によって前記担体に保持した第1の発明ないし第3の発明のいずれかの発明の磁性粒子保持担体である。
共有結合を前記担体と前記磁性粒子との間で行わしめるためには、例えば、前記担体または磁性粒子の表面に、例えば、前記ナイロン等の担体の材料または担体もしくは磁性粒子に被覆した被覆物質が有するペプチド結合を加水分解することで、生体物質の固定に用いる官能基を生成させる。この場合、生体物質と結合可能な官能基としては、カルボキシル基-COOH、アミノ基-NH2、チオール基等またはその誘導基による同種官能基同士または異種官能基同士によるものがある。
なお、共有結合を行う場合に、架橋剤として、例えば、EDC(二塩化エチレン)、または、Sulfo-LC-SPDP(Sulfosuccinimidyl-6-(3-[2-pyridyldithio]-propionamido)hexanoate)およびSulfo-SMCC(Sulfosuccinimidyl-4-(N-maleimidomethyl)cyclohexane-1-carboxylate)を用いた、化学結合法によるのが好ましい。また、水素結合を行わしめるには、水素原子より電気的に陰性な原子XとY(窒素、酸素、リン、硫黄、ハロゲン等)を有するような物質で前記担体を形成しまたは担体および磁性粒子の表面に被覆させて、水素原子を介して結合させる必要がある。また、静電的結合を行うには、陽イオンと陰イオンを有する物質(イオン結晶物質)で前記担体を形成しまたは担体および磁性粒子の各々を被覆する必要がある。
第5の発明は、前記磁性粒子が1または複数種類の標識物質を有する第1の発明ないし第4の発明のいずれかの発明の磁性粒子保持担体である。
ここで、「標識物質」とは、前記担体に保持されている磁性粒子が有する物質、例えばタンパク質の種類、性質、構造を識別可能とするための物質をいう。識別は、例えば、光学的に行う。標識物質として、光学的に測定可能なものとしては、例えば、Cy3、Cy5、FITC、ローダミン、IRD40等の蛍光物質、または、磁性粒子上に導入した抗体の活性の評価に用いるALP(Alkaline phosphatase)等の化学発光基質を用いる。
第6の発明は、前記標識物質はリガンドまたは受容体を有し、前記磁性粒子がその受容体またはリガンドを有し、該リガンドと該受容体との結合によって、前記標識物質を前記磁性粒子に導入した第5の発明の磁性粒子保持担体である。磁性粒子は、例えばその受容体またはリガンドをその表面またはその被覆物質に有する。
第7の発明は、前記標識物質を共有結合、水素結合または静電的結合によって前記磁性粒子に導入した第5の発明または第6の発明の磁性粒子保持担体である。
第8の発明は、前記受容体またはリガンドは前記磁性粒子において発現されている第5の発明または第6の発明の磁性粒子保持担体である。
第9の発明は、前記磁性粒子は磁性細菌より単離された第1の発明ないし第8の発明のいずれかの発明の磁性粒子保持担体である。この場合の磁性粒子は、磁性細菌粒子ということになる。
別の観点から、第10の発明は、マイクロサイズの非磁性の粒子状の担体に多数のナノサイズの磁性粒子を保持した磁性粒子保持担体を調製する方法であって、前記磁性粒子および/または前記担体に対する加工処理を行う加工処理工程と、多数の前記磁性粒子、および多数の担体を液中に懸濁させる懸濁工程とを有する磁性粒子保持担体調製方法である。
第11の発明は、前記加工処理工程は、該磁性粒子に特定の機能性ペプチドまたはタンパク質を発現する発現工程を有する第10の発明の磁性粒子保持担体調製方法である。
例えば、磁性粒子が磁性細菌粒子の場合には、前記発現工程は、磁性細菌粒子に対して、例えば、ZZドメイン発現プラスミドを導入して形質転換体を培養する培養工程を有する。
第12の発明は、前記加工処理工程は、前記担体にリガンドまたは受容体を導入する担体導入工程、および/または、前記磁性粒子にその受容体またはそのリガンドを導入する磁性粒子導入工程を有する第10の発明または第11の発明の磁性粒子保持担体調製方法である。
例えば、前記磁性粒子が磁性細菌粒子である場合には、前記加工処理工程において、該磁性粒子に導入される受容体またはリガンドは、例えば、前記ZZドメインであり、前記担体に導入されるリガンドまたは受容体は、ビオチンである。
第13の発明は、前記懸濁工程において、共有結合、水素結合または静電的結合を行わしめる第10の発明ないし第12の発明のいずれかの発明の磁性粒子保持担体調製方法である。例えば、共有結合を行わしめるためには、架橋剤を投入することが好ましい。
第14の発明は、前記加工処理工程において、前記磁性粒子に、標識物質を導入する工程を有する第10の発明ないし第13の発明のいずれかの発明の磁性粒子保持担体調製方法である。
第15の発明は、前記標識物質にリガンドまたは受容体を導入する工程、および/または、前記磁性粒子にその受容体またはそのリガンドを導入する工程を有する第14の発明の磁性粒子保持担体調製方法である。
第16の発明は、前記加工処理工程において、共有結合、水素結合または静電的結合を行わしめる第15の発明の磁性粒子保持担体調製方法である。
第17の発明は、前記加工処理工程において、前記受容体またはリガンドを前記磁性粒子において発現させる工程を有する第15の発明または第16の発明の磁性粒子保持担体調製方法である。
第18の発明は、磁性細菌から磁性粒子を単離する単離工程をさらに有する第10の発明ないし第17の発明のいずれかの発明の磁性粒子保持担体調製方法である。この場合の磁性粒子は磁性細菌粒子ということになる。
第1の発明または第10の発明によると、ナノサイズの磁性粒子を、マイクロサイズの非磁性の粒子状担体に保持させることによって、非磁性の担体に磁性を与えることができる。これによって、マイクロサイズの非磁性の担体の特性およびナノサイズの磁性粒子の特性を損なうことなく、磁性粒子同士の磁力による凝集を防止し、マイクロサイズの磁性を帯びた粒子として、該担体の分離、移送、再懸濁等の処理を、高精度、迅速かつ容易にまた自動化することを可能にした。
また、マイクロサイズの担体の表面積の増大を図ることができて、処理の効率をより一層図ることができる。
処理目的に応じた各種担体を選択することによって、その処理に適した取り扱いを可能とし、処理の自動化、多様化、効率化、高精度化、迅速化、容易化を図ることができる。
第2の発明または第11の発明によると、磁性粒子に所定の機能性ペプチドまたはタンパク質を発現することによって、直接機能性ペプチドまたはタンパク質を担体に保持することができない場合でも、担体に磁性粒子を介してこれらの物質を保持させることができる。したがって、種々の多様な物質に対して、処理の自動化、効率化、高精度化、迅速化、容易化を図ることができる。
第3の発明または第12の発明によると、前記担体と磁性粒子との間を、リガンドと受容体との間の特異的結合を利用することによって強固な結合を達成することができる。
第4の発明または第13の発明によると、前記担体と磁性粒子との間を、共有結合等を利用して、強固な結合を達成することができる。特に、共有結合の場合、担体および磁性粒子が有する官能基を利用することによって強固にかつ容易に結合することができる。
第5の発明または第14の発明によると、標識物質を磁性粒子に保持させることにより、担体を単位にした標識化を容易に行うことができる。これによって、多様な応用、解析や検出に利用することができる。
第6の発明または第15の発明によると、標識物質をリガンドと受容体との結合を利用して担体に保持させているので、強固で確実に標識化を行うことができる。
第7の発明または第16の発明によると、標識物質を共有結合によって前記磁性粒子に結合させているので、担体ごとの標識化を容易に行うことができる。
第8の発明または第17の発明によると、受容体がタンパク質の場合に、前記磁性粒子に発現させることによって、前記担体と前記磁性粒子との間、または前記識別物質と前記磁性粒子との間の結合に用いているので、受容体はいわば前記磁性粒子と一体化し、前記担体と磁性粒子間または磁性粒子と標識物質との間に強固な結合を得ることができる。
第9の発明または第18の発明によると、機能性ペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を導入した磁性細菌から磁性細菌粒子を単離することにより、簡便、かつ、安価にペプチドまたはタンパク質を発現させた磁性粒子を調製でき、前記磁性粒子保持担体の多様化を図ることができる。
図1は、本発明の第1〜第4の実施の形態に係る磁性粒子保持担体11,21,31,41を模式的に示すものである。
図1(a)に示すように、第1の実施の形態に係る磁性粒子保持担体11は、非磁性であって、粒径が約1μmのマイクロサイズで、その表面が前記受容体としてのストレプトアビディン13によって被覆されているラテックスの粒子状担体12(例えば、Polysciences, Ink製のStreptavidin Coated Beads, 1μmYG)と、前記磁性粒子として、リガンドとしてのビオチン15およびアミノ基を有する物質によって被覆されているナノサイズの超磁性単一ドメイン粒子14と、前記アミノ基に導入された蛍光色素16(Cy3-NHS)とを有するものである。なお、超磁性単一ドメイン粒子については、例えば、国際公開WO96/03653またはWO97/35200にその開示がある。
また、図1(b)に示すように、第2の実施の形態に係る磁性粒子保持担体21は、非磁性であって、粒径が1μmのマイクロサイズで、その表面が官能基であるアミノ基23を有する物質で被覆されているラテックスの粒子状担体22(例えば、Polysciences, Ink製のStreptavidin Coated Beads, 1.00μm)と、前記磁性粒子としての官能基であるカルボキシル基27を有する物質によって被覆されているナノサイズの超磁性単一ドメイン粒子24と、前記カルボキシル基27に導入された蛍光色素(例えば、Cy3) 26とを有するものである。この粒子状担体22のアミノ基23と超磁性単一ドメイン粒子24のカルボキシル基27との間は架橋剤EDC(二塩化エチレン)28を用いた化学結合法によって結合されている。
図1(c)には、第3の実施の形態に係る磁性粒子保持担体31を示す。図1(a)と同一の符号は同一のものを示す。該磁性粒子保持担体31は、非磁性であって、粒径が5.0-5.9μmで、その表面が前記受容体としてのストレプトアビディン13によって被覆されているポリスチレンのマイクロサイズの粒子状担体32(Spherotech, Inc.のStreptavidin Polystyrene Particles)と、前記磁性粒子としての磁性細菌粒子(BMPs)33と、該磁性細菌粒子33に導入されたCy3 bisNHS ester(Amercham Biosciencsより購入)からなる蛍光色素36と、前記磁性細菌粒子33に導入されたSulfo-NHS-LC-LC-biotin からなるビオチン34とを有するものである。
ここで、前記磁性細菌粒子33にビオチン34および蛍光色素36を導入したものをビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37とする。
図1(d)には、第4の実施の形態に係る磁性粒子保持担体41を示す。ここで、図1(c)と同一の符号は、同一のものを示すので詳細な説明を省略する。該磁性粒子保持担体41は、表面がストレプトアビディン13によって被覆されているポリスチレンのマイクロサイズの粒子状担体32と、前記磁性粒子としての磁性細菌粒子33と、該磁性細菌粒子33に導入されたCy3 bisNHS esterからなる蛍光色素36と、Sulfo-NHS-LC-LC-biotin からなるビオチン34と、前記磁性細菌粒子33に導入されたRabbit由来抗Goat IgG抗体からなる抗体35とを有するものである。ここで、抗体35は、機能性タンパク質の1つであって、該抗体35を磁性細菌粒子33に導入することで、該抗体35と特異的に反応する抗原を有する所定物質を前記磁性粒子保持担体に保持することが可能となる。この抗体35と該抗原とは、受容体とリガンドとの関係にある。また、前記磁性細菌粒子33にビオチン34および蛍光色素36を導入し、さらに抗体35を固定したものを抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子39とする。
図1(e)には、第5の実施の形態に係る磁性粒子保持担体81を示す。ここで、図1(b)、図1(c)または図1(d)と同一の符号は、同一のものを示すので詳細な説明は省略する。該磁性粒子保持担体81は、非磁性であって、マイクロサイズでその表面が官能基であるアミノ基83で被覆されているポリスチレン製の粒子状担体(アミノ基提示ポリスチレンマイクロビーズ)82(Spherotech, Inc. のAP-60-10、直径6〜8μm)と、前記磁性粒子として、官能基であるアミノ基87を表面に有する磁性細菌粒子84と、該磁性細菌粒子84に導入された蛍光色素36(Cy3 bisNHS ester)とを有し、前記粒子状担体82と前記磁性細菌粒子84との間を架橋剤88(Sulfo-LC-SPDPおよびSulfo-SMCC)を用いた化学結合法により結合したものである。
続いて、第3の実施の形態に係る磁性粒子保持担体31の調製方法について説明する。
図2に示すように、磁性粒子保持担体31を調製するには、ステップS1で、磁性粒子としての磁性細菌粒子33を調製し、ステップS2で、該磁性細菌粒子33にビオチン34および蛍光色素36を導入し、ステップS3で、ストレプトアビディン13で標識化されたポリスチレンのマイクロサイズの粒子状担体32へ、ビオチン34および蛍光色素36を導入したビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37を結合することによって行う。
ステップS1において、磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB-1をMSGM(magnetic spirillum growth medium; Blakemore et al. J. Bacteriol 1979, 140:720-729) 4.5 lに植菌し、アルゴンガスを15分間バブリングすることにより微好気状態にした上で、室温にて約5日間、静置培養した。培養した菌体は8000 rpm、4℃で8 分間、遠心分離することにより集菌し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4) 45 mlに懸濁した後に、フレンチプレスを用いて2000 kg/cm2で破砕した。その後、菌体破砕液を入れた三角フラスコの底部にネオジウム-ボロン(Nd-B)磁石を取り付けて磁性細菌粒子33を磁気分離し、2-[4-Hydroxyethyl]-1-piperazinyl]ethanesulfonic acid(HEPES)緩衝液(10 mM、pH7.4)中で超音波洗浄機を用いて10回洗浄した。洗浄した磁性細菌粒子33はPBSに懸濁し、4℃で保存した。
また免疫測定を行うために、磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB-1に対し、ZZ ドメイン発現プラスミドpUM13ZZを導入した形質転換体を培養し、脂質二重膜上にプロテインA B-ドメインのイムノグロブリンG(IgG)結合部位であるZZ ドメインをディスプレイした磁性細菌粒子33(ZZ-BMPs)を調製した。
ZZ ドメイン発現プラスミドpUM13ZZは、AMB-1株中でプロテインAのIgG結合ドメインであるZZ ドメインを発現可能なベクターである。前記特許文献3に記載されているpMS-T1およびpUC18からなるpMC18(Ampr)をSspI で消化した。プロモータとして磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB-1のMms13遺伝子は、公知の配列情報に基づいて、AMB-1ゲノムからPCRにより取得した。また、ZZドメインをコードする遺伝子はpEZZ18(Amersham Biosciences製)から取得した。これらのPCR産物を上述のプラスミドに導入し、Mms16プロモータ 配列、およびその下流にMms13コーディング配列とZZドメインコーディング配列とをインフレームとなるように挿入して、Mms13-ZZドメイン発現プラスミドpUM13ZZを構築した。
pUM13ZZには、磁性細菌粒子33の脂質二重膜に発現するMms13遺伝子のC末端側にこのZZドメインをコードするEZZ遺伝子が融合されており、Mms13とEZZの融合遺伝子はMms16遺伝子のプロモータによって制御される。組み換え体はアンピシリン耐性を有するため、培地として5.0μg/mlのアンピシリンを含むMSGMを用い、約7日間静地培養した。また、フレンチプレスによる菌体破砕の際、磁性細菌粒子33上にディスプレイされたZZドメインを保護するためにプロテアーゼ阻害剤を添加した。
次に、ステップS2において、磁性細菌粒子33にビオチン34と蛍光色素36を導入する。
炭酸緩衝溶液にそれぞれの濃度が0.35 mM、0.035 mMとなるようにビオチン34(Sulfo-NHS-LC-LC-biotin)、蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)を溶解させた混合溶液 1 mlに、磁性細菌粒子33について 1 mgを懸濁し、5分毎に超音波攪拌により分散状態を保たせながら、室温で1時間反応させた。その後、1 ml のPBSで3回洗浄して得た粒子をビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)とした。ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)は再度1 mlのPBSに懸濁し、4℃で保存した。
さらに、ステップS3において、マイクロサイズの粒子状担体32上に蛍光色素36およびビオチン34が導入されたビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37を結合させる。そのためにストレプトアビディンで標識化された粒子状担体32の懸濁液(3.0×106 beads/ml、500μl)に蛍光色素36およびビオチン34が導入されたビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37 (50μg/ml、100μl)を添加し、ピペッティングにより15分間分散状態を保つ操作を10回繰り返すことで粒子状担体32上へ前記ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37を構築して、磁性粒子保持担体31を調製した。
このようにして調製された磁性粒子保持担体31についての顕微鏡観察及びフローサイトメトリー解析を図3に示す。
該磁性粒子保持担体31を調製する過程で、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)の懸濁液を0、3、5、7、8、9、10回(結合工程回数)逐次添加した後の粒子を蛍光顕微鏡により観察した。さらにフローサイトメーターにより蛍光強度分布を解析し、縦軸に事象数、横軸に相対的蛍光強度を表したヒストグラムを得た。また、調製した磁性粒子保持担体31を蒸留水で3回洗浄した後に走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
ストレプトアビディンで標識化されたマイクロサイズの粒子状担体32にビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)を0、3、5、7、8、9、10回添加した時の粒子状担体32の蛍光顕微鏡観察像を図3(1)(a)に、フローサイトメーター(FACS)により解析した結果を図3(1)(b)に示す。フローサイトメーターの結果より、各添加回数のマイクロサイズの粒子状担体32が発する蛍光強度分布の推移を観察したところ、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)の懸濁液を添加する回数が増えるに従ってヒストグラムのピークが右にシフトし、ピークの幅も鋭くなっていること、また逐次添加8回目以降はピークの変動があまり観察されないことがわかった。蛍光強度のシフトは粒子状担体32上に構築されたビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)の量が増加していることを示し、ピークの鋭さは粒子状担体32間におけるビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)の量のばらつきを表していると考えられる。この結果から、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)を10回逐次添加することにより、粒子状担体32上に効率的にビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)を構築することができることが示された。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)による磁性粒子保持担体31の観察からビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)を逐次添加していないポリスチレンビーズである粒子状担体32と比較して、磁性粒子保持担体31では表面にビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)が構築されている様子が観察された。図3(2)(a)(b)には、各々1個の粒子状担体32を、さらに高倍率の観察像である15000倍に拡大した写真に基づく図を示すものであり、図3(2)(c)には、1個の粒子状担体32を、さらに一層高倍率の観察像である100000倍に拡大した写真に基づく図を示すものである。これらの図に示すように高倍率の観察像から、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)はマイクロサイズの粒子状担体32の表面の一部で大きな凝集塊を形成するのではなく、粒子状担体32の表面全体にわたって、チェーン状に連なって構築されていることがわかる。このことから、機能性タンパク質をディスプレイした磁性細菌粒子(BMPs)を構築した場合、高い活性が得られると期待できる。
次に、このようにして調製された磁性粒子保持担体31について、手動により容器内に磁場を及ぼす場合の磁気分離率を評価する。
図4に示すように、調製した磁性粒子保持担体31の懸濁液を遠心分離により5.0×107 beads/ml、30μlに調製した後、ステップS11において、該磁性粒子保持担体31を液体中に懸濁させた懸濁液51をPCRチューブ50に入れ、ステップS12において、前記チューブ50の上部壁面にNd-B磁石52を接触させ、5 分間磁気分離した後、ステップS13において上清を除去し、ステップS14において、新たに30μlのPBSを加えた。ステップS15においてヘマサイトメーターを用いて磁気分離前後のビーズ濃度を測定し、磁気分離率(磁気分離後のビーズ濃度[B]/磁気分離前のビーズ濃度[A]×100%)を算出した。また、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)を添加していない粒子状担体32に対しても同様の操作を行い、磁気分離率を比較した。
図5に、その磁気分離率の測定結果を示す。調製した磁性粒子保持担体31の磁気分離率は93.9 %であり、磁性ビーズであるDynabeads(Dynal(登録商標) Biotech、ストレプトアビディン標識超常磁性粒子、粒径2.7μm)と同等の結果を得た。このことから、フェリ磁性体である磁性細菌粒子(BMPs)33を逐次添加することで非磁性体であるポリスチレンビーズであるマイクロサイズの粒子状担体32に磁性を持たせ、懸濁液から磁気分離できることが示された。
続いて、図20に基づいて、第3の実施の形態に係る磁性粒子保持担体31についての安定性を以下に評価する。
5 mg の磁性細菌粒子(BMPs)33に対し、0.35 mM のビオチン34(Sulfo-NHS-LC-LC-biotin)、0.035 mM 蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)を含む炭酸緩衝液(pH8.5)をそれぞれ5 ml加え、5分毎に超音波攪拌により分散状態を保たせながら、室温で1時間反応させた。その後、5 ml のPBSで4回洗浄して得られた粒子をビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)とした。
ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37の懸濁液(50 μg/ml、8 ml)をストレプトアビジンで標識化された粒子状担体32(ポリスチレンビーズ)の懸濁液(3.0×106 beads/ml、4 ml)に添加し、ピペッティングにより分散状態を保ちながら15分間反応させる操作を10回繰り返して、磁性粒子保持担体31を調製した。
調製した磁性粒子保持担体31(1.0×106 粒子)を100 μlのPBS緩衝液(10 mM KH2PO4、 1.8 mM Na2HPO4、 140 mM NaCl、 2.7 mM KCl、 pH7.4)、HEPES緩衝液(10 mM、pH7.4)、Tris塩酸緩衝液(100 mM, pH7.0)に懸濁した場合(図20(a))、pHを2、4、6、8、10に調製したPBS緩衝液に懸濁した場合(図20(c))、10倍、100倍、100希釈したPBS緩衝液、および蒸留水に懸濁した場合(図20(b))。これらの懸濁液を室温で各々1時間、および、48時間放置した後に9100 Gで10分間遠心分離した。得られた沈殿画分PBS緩衝液に懸濁し、蛍光顕微鏡で観察した。
その結果、図20に示すように、磁性粒子保持担体31の蛍光像より、粒子状担体32上にビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)が集積化している様子が観察された。このことから、ビオチン−ストレプトアビジン反応で作製した磁性粒子保持担体31は広い範囲のpH、塩濃度、種々の緩衝液中で安定な複合体であることが示された。
次に、第4の実施の形態に係る磁性粒子保持担体41の調製方法について説明する。
最初に磁性細菌粒子33にビオチン34、蛍光色素36を導入したビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37に対する抗体35の導入の可能性について調べる。
図6のステップS20に示すように、ZZドメイン38をディスプレイした磁性細菌粒子33'について、ステップS21において、ビオチン34(Sulfo-NHS-LC-LC-biotin):蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)の分子量比を10:1に固定した各濃度の混合溶液をZZドメイン38をディスプレイした磁性細菌粒子33'(ZZ-BMPs)に添加し、前述した磁性細菌粒子33にビオチン、蛍光色素(Cy3)を導入した方法と同様な操作で、磁性細菌粒子33'にビオチン、蛍光色素を導入したビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37'(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)を調製した。ステップS22において、このビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37'(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin) 50μgに対し、10μg/ml 抗体35(Rabbit由来抗Goat IgG抗体)の溶液50μlを添加し、5分毎に超音波洗浄機で攪拌しながら30分間反応させることで抗体35を固定化して、抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子39(Cy3, biotin-[ZZ-BMP]-Antibody)を調製した。その後、ステップS23において、PBS 50μlで3回洗浄し、抗原として8μg/mlの標識化抗原40( ALP標識Goat由来抗Mouse IgG抗体)の溶液 50μlを加えた。ステップS24において、このようにして、抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子39(Cy3, biotin-[ZZ-BMP]-Antibody)に、該標識化抗原40が結合したものの懸濁液50μlにルミホス530を50μl加え、ステップS25において、10分後の発光を測定し、結合した該標識化抗原40(ALP標識Goat由来抗Mouse IgG抗体)の量を計算した。
その発光強度を測定した結果を図7に示す。これより、ビオチン34(Sulfo-NHS-LC-LC-biotin)、蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)の混合溶液の濃度が高いほど結合する標識化抗原40の量が低下することがわかった。プロテインA B-ドメインの活性部位にはアスパラギン、グルタミン、リシンといった側鎖にアミノ基をもつアミノ酸が存在することが報告されている(Gouda et. al 1998、Fig.3-6)。これらのアミノ酸はプロテインAを模したアミノ酸配列をもつZZドメインにも存在し、プロテインAの場合と同様に、IgG Fc部位との結合に関与すると考えられる。ビオチン34(Sulfo-NHS-LC-LC-biotin)、蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)の混合溶液の濃度が高いほど結合する標識化抗原40の量が低下する原因として、これらのアミノ酸の側鎖アミノ基にビオチン34(Sulfo-NHS-LC-LC-biotin)、または蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)が結合し、ZZドメインと抗体との結合を立体的に阻害してしまい、磁性細菌粒子33(ZZ-BMPs)に結合する抗体35(Rabbit由来抗Goat IgG抗体)の量が減少するため、結合する標識化抗原40も減少することが考えられた。本実施例において採用されているビオチン34(Sulfo-NHS-LC-LC-biotin)、蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)の混合溶液の濃度は0.35 mM、0.035 mMであり、この場合、95%の抗原結合活性が保持されていることがわかった。このことから、ZZ ドメインの活性を損なうことなくビオチンやCy3を導入できることが示され、抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子39を用いて 磁性粒子保持担体41を調製し、生体物質全自動免疫測定システムを構築できることが示唆された。
続いて、このようにして明らかになったビオチン、蛍光色素を導入したビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)における抗体固定の可能性に基づいて、抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子39(Cy3, biotin-[ZZ-BMP]-Antibody)を用いた磁性粒子保持担体41を調製する。
磁性細菌粒子(ZZ-BMPs)を前述した磁性細菌粒子33と同様の方法でビオチン、Cy3標識したビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin) 0.5 mgに、10μg/ml の抗体35(Rabbit由来抗Goat IgG抗体)の溶液 0.5 mlを加え、室温で30分反応させることで抗体35を固定化した。この抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子39(Cy3, biotin-[ZZ-BMP]-Antibody)及び抗体非固定化のビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)の懸濁液をマイクロサイズの粒子状担体32(ストレプトアビディン標識マイクロビーズ)に前述した方法と同様に逐次添加して磁性粒子保持担体41を調製し、蛍光顕微鏡観察及びフローサイトメトリーによる蛍光強度分布の解析を行った。すなわち、得られた磁性粒子保持担体41の抗体35の活性を調べるため、種々の濃度で前記ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37に抗体35を固定化し、標識化抗原40を導入後の発光強度を測定した。その測定結果を図7に示す。この測定結果によると、ビオチン34(Sulfo-NHS-LC-LC-biotin)、蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)混合溶液の濃度が高いほど結合する標識化抗原40の量が低下することがわかった。プロテインA B-ドメインの活性部位にはアスパラギン、グルタミン、リシンといった側鎖にアミノ基をもつアミノ酸が存在することが報告されている(Gouda et. al 1998)。これらのアミノ酸はプロテインAを模したアミノ酸配列をもつZZ ドメインにも存在し、プロテインAの場合と同様に、IgG Fc部位との結合に関与すると考えられる。ビオチン34(Sulfo-NHS-LC-LC-biotin)、蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)の混合溶液の濃度が高いほど結合する標識化抗原40の量が低下する原因として、これらのアミノ酸の側鎖アミノ基にビオチン34(Sulfo-NHS-L C-LC-biotin)、または蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)が結合し、ZZドメインと抗体35との結合を立体的に阻害してしまい、磁性細菌粒子33(ZZ-BMPs)に結合する抗体35(Rabbit由来抗Goat IgG抗体)の量が減少するため、結合する標識化抗原40も減少することが考えられた。
その結果、ビオチン34(Sulfo-NHS-LC-LC-biotin)、蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)の混合溶液の濃度が0.35 mM、0.035 mMの場合、95%の抗原結合活性が保持されている。このことから、このような場合には、ZZドメインの活性を損なうことなくビオチンやCy3を導入できることが示され、抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子39を用いて磁性粒子保持担体41を調製し、生体物質全自動免疫測定システムを構築できることが示唆された。
図8には、抗体を固定化した磁性粒子保持担体41の顕微鏡観察及びフローサイトメトリーによる評価結果を示す。この例では、抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子39(Cy3, biotin-[ZZ-BMP]-Antibody)、および抗体非固定化のビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)の懸濁液をそれぞれ用いて調製した磁性粒子保持担体41(図8(a))、磁性粒子保持担体31(図8(b))および粒子状担体32(図8(c))を蛍光顕微鏡で観察したところ、いずれの場合にもそれらの形成が観察された。また、フローサイトメトリーによって蛍光強度ヒストグラムを作成したところ、ほぼ同じ相対強度のピークが得られたことが示されている。このことから、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)上に固定化した抗体35はストレプトアビディンで標識化されたマイクロサイズの粒子状担体32を用いた磁性粒子保持担体41調製において阻害にならないことが示された。
続いて、このようにして得られた抗体が固定化された磁性粒子保持担体41に固定化された抗体35の活性を調べる。
図9に示すように、ステップS31で、前記抗体35が固定化された磁性粒子保持担体41の懸濁液(1.0×108beads/ml,20μl)を用意し、ステップS32において、終濃度8, 4, 0.8, 0.4, 0.08, 0.04, 0.008, 0.004μg/mlとなるように調製した標識化抗原40(ALP標識Goat由来抗MouseIgG抗体)の溶液(20μl)を加え室温で30分間反応させる。ステップS33において、Nd-B磁石をチューブに5分間接触させてビーズを磁気回収し、PBS40μlで3回洗浄する。ステップS34において発光基質のルミホス530を50μlを添加する。ステップS35で、20分後の発光強度を測定した。
前記発光強度から結合した標識化抗原40の量を計算した結果を図10に示す。図10に示すように、加えた標識化抗原40の濃度に依存して、磁性粒子保持担体41上に固定化した抗体35と結合した標識化抗原40の量が増加していることが示されている。この結果より、磁性粒子保持担体41上に固定化した抗体35は抗原認識能を保持していることが示され、抗体35を固定化した磁性粒子保持担体41がイムノアッセイに利用できることが示された。
〔実験1〕本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体を用いた前立腺特異性抗原(prostate specific antigen;PSA)検出のための免疫測定法の構築を行う(手動)。
(1)磁性細菌粒子(BMPs)上への抗体固定化濃度の検討
図11のステップS41において、プロテイン AのIgG結合部位であるZZドメイン発現株から得たZZドメイン38をディスプレイした磁性細菌粒子33'(ZZ-BMPs)を蛍光色素36(Cy3)、ビオチン34(biotin)で標識したビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37'(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin )(20 μg)に、ステップS42において、種々の濃度のマウス由来抗ヒトPSA抗体60(IgG2a)の溶液(0-60 μg/ml、20 μl)を加え、室温で1時間撹拌してインキュベーションを行い前記抗体60を固定化した。この抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子61をPBSで3回洗浄した後に、ステップS43において、抗体として、アルカリフォスファターゼ(ALP)標識Goat由来抗マウス IgG抗体62(10 μg/ml、20 μl)を添加し、室温で30分撹拌してインキュベーションを行った。PBSで3回洗浄した後にルミホス530(3.3×10-4 mol/l、80 μl)を加え、種々の濃度の前記抗体60溶液を用いた前記抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子61について発光強度を測定した。
この結果、図12に示すように、抗体溶液を固定化する時、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37'(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)に添加する抗体濃度が高くなるに従い発光強度が増加した。このことから、高濃度の抗体溶液を用いることでビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37'(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)上の固定化抗体量を増加できることが示された。発光強度は40 μg/mlの抗体溶液を用いた時に飽和に達することから、今後ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37'(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)に抗体を固定化する時は40 μg/mlの抗体溶液を用いることとした。
(2)ALP標識抗体濃度の検討
図11に示すように、ステップS42において、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37'(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin) (1 mg)上にマウス由来抗ヒト PSA抗体60(40 μg/ml、1 ml)を加え、室温で1時間撹拌することで抗体を固定化して、抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子61を調製した。ステップS44において、この抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子61(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)懸濁液を粒径5 μmの粒子状担体32としてのストレプトアビディン標識ポリスチレンビーズに逐次添加して抗体固定化された磁性粒子保持担体63を調製した。ステップS45において、この抗体固定化された磁性粒子保持担体63(2.0×106 beads)にPSA(抗原)64(400 μg/ml、40 μl)を添加し、室温で30分間撹拌してインキュベーションを行って、PSAが結合した抗体固定化磁性粒子保持担体65が調製される。PBSで3回洗浄した後、ステップS46において、種々の濃度のALP標識マウス由来抗ヒトPSA抗体66の溶液(40 μl)を添加し室温で30分間撹拌してインキュベーションを行って、ALPで標識化されたPSA結合抗体固定化された磁性粒子保持担体67を調製した。PBSで3回洗浄した後にビーズ濃度を測定し、1.0×106個のビーズを50 μlのPBSに懸濁し、ルミホス530(3.3×10-4 mol/l、50 μl)を加え、発光強度を測定した。またコントロールとして、PSAを添加せずに同様の操作を行った。
なお、前記ALP標識マウス由来抗ヒトPSA抗体66は、図11の枠内に示すように、マウス由来抗ヒトPSA抗体(IgG1)60を、ステップS47において、還元剤を用いて、還元し、ステップS48においてSH反応性ALPと反応させることによって得られる。
この結果、図12に示すように、PSA存在下において添加するALP標識抗体濃度が高くなるに従い発光強度が増加し、20 μg/mlの抗体溶液を用いた時に飽和に達した。このことから、高濃度のALP標識抗体溶液を用いることで、抗原‐抗体反応を介してビーズに特異的に結合するALP標識抗体量は増加し、20 μg/mlの抗体溶液を用いた時に飽和に達することが考えられた。
一方、PSA非存在下において同様の操作を行ったところ、図13に示すように、ALP標識抗体濃度が高くなるに従い発光強度が直線的に増加した。このことから、高濃度のALP標識抗体溶液を用いると磁性粒子保持担体への非特異的吸着量も増加することがわかった。
そこで、PSA存在下での発光強度からPSA非存在下での発光強度を引いた値(特異的シグナル)をPSA非存在下での発光強度(非特異的シグナル)で割ったところ、10 μg/mlの抗体溶液を用いた時に最も高い値が得られた。特異的シグナル/非特異的シグナル比が大きいということは、非特異的シグナルを抑えつつも、高い特異的シグナルを得られるということであり、検出限界を低くできると考えられることから、今後ALP標識抗体を添加する際は10 μg/mlの抗体溶液を用いることとした。
(3)本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体を用いたサンドイッチイムノアッセイ
図11に示すように、ステップS44に示すマウス由来抗ヒトPSA抗体60を固定化した抗体固定化磁性粒子保持担体63 (2.0×106 beads)に、ステップS45において、種々の濃度のPSA溶液(40 μl)を添加して、PSAが結合した抗体固定化磁性粒子保持担体65を調製した。PBST(10 mM PBS, 0.05 % tween 20)で3回洗浄した後、ステップS46において、ALP標識マウス由来抗ヒトPSA抗体66の抗体溶液(10 μg/ml、40 μl)を添加して、ALP標識化PSA結合抗体固定化磁性粒子保持担体67を調製した。PBSTで3回洗浄した後にTris-HCl緩衝液(5 μl)に懸濁し、ルミホス530(3.3×10-4 mol/l、100 μl)を加え、発光強度を測定した。
すると、図14に示すように、発光強度を測定する段階で100 mM Tris-HCl緩衝液に懸濁するビーズ数(ALP標識化PSA結合抗体固定化磁性粒子保持担体67数)を1.0×105、2.0×105、4.0×105個としたところ、4.0×105個のビーズを用いた時に検量線に直線性が得られ、検量範囲は0.1−10 ng/mlと考えられた。健常な成人男性の血中PSA濃度は3 ng/ml未満であり、これよりも血中PSA濃度が高い時に前立腺癌などの疾患が疑われる。このことから、磁性粒子保持担体を用いたサンドイッチイムノアッセイが前立腺癌の診断に応用できることが示唆された。
以上説明したように、蛍光顕微鏡、走査型電子顕微鏡による観察、及びフローサイトメトリー解析により、ストレプトアビディンで標識化されたマイクロサイズの粒子状担体の懸濁液 (3.0×106 beads/ml) 500μlに対し、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子(Cy3-BMP-biotin)の懸濁液 (50μg/ml) 100μlを10回添加することで、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子をマイクロビーズ上に効率的に構築することが可能であることが示された。また、調製した磁性粒子保持担体を入れたチューブの上部壁面にNd-B磁石を接触させることで、93.9%の磁性粒子保持担体を懸濁液から磁気分離できることが示された。Sulfo-NHS-LC-LC-biotin、Cy3 bis NHS ester混合溶液0.35 mM、0.035 mMで標識したビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)上に抗体を固定化したところ、その活性が確認された。また、抗体を固定化した抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子(Cy3, biotin-[ZZ-BMP]-Antibody)を用いて磁性粒子保持担体を調製したところ、抗体を固定化していないビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子(Cy3-[ZZ-BMP]-biotin)を用いた時と同様の構築が確認され、磁性細菌粒子(BMPs)上に固定化した抗体は磁性粒子保持担体調製の阻害にならないことが示された。
そこで、本発明の前記実施の形態に係る磁性粒子保持担体が処理の自動化に適していることを、処理自動化装置として図15に示す磁性粒子保持担体処理装置(その一部を図示、全自動免疫測定装置SX-8PC、プレシジョン・システム・サイエンス株式会社製)を用いることで以下に示す。
図15に示す磁性粒子保持担体処理装置は、前記磁性粒子保持担体、担体若しくは磁性粒子等の前記磁性粒子保持担体の構成物質、検体、または必要な試薬等を収容する複数の容器(またはウェル)71を有する容器群72と、1または2以上のノズルが設けられたノズルヘッド(図示せず)と、液体の入出口73および前記ノズルへの装着口74をもち、内部に液体を収容可能なチップ75と、前記チップ75の前記装着口74が先端に装着可能であって気体の吸引および吐出を可能にするノズル(図示せず)と、前記ノズルヘッドに設けられ前記チップ75内にチップ75の外部から磁場を及ぼしかつ除去することが可能であって前記チップ75に対して接離可能に設けた永久磁石76または帯磁かつ消磁可能な電磁石(図示せず)と、前記ノズルヘッドを前記容器群72に対して相対的に移動可能とする移動手段(図示せず)と、前記磁性粒子保持担体、またはその構成物質を所定の液体中に懸濁させた懸濁液を、処理目的、前記磁性粒子保持担体、それを構成する構成物質、試薬若しくは検体またはその懸濁液の性質に応じて、該懸濁液についての吸引若しくは吐出、およびチップ75内への磁場の有無を指示することで、前記磁性粒子保持担体、その構成物質、試薬、または検体等の移動、分離および再懸濁を制御する制御部(図示せず)とを有するものである。ここで、前記制御部による、前記吸引若しくは吐出の指示には、例えば、その吸引、吐出の流速または圧力の決定を含めることができる。
〔実験2〕前記磁性粒子保持担体処理装置での磁気分離操作における磁性粒子保持担体が安定性をもっていることを以下に示す。
前記ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)の懸濁液(50 μg/ml、2 ml)を、その表面が前記受容体としてのストレプトアビディン13によって被覆されているポリスチレンのマイクロサイズ、ここでは、例えば、直径5 μmの、粒子状担体32であるストレプトアビディン標識ポリスチレンビーズの懸濁液(3.0×106 beads/ml、10 ml)に添加し、ピペッティングにより分散状態を保ちながら15分間反応させる操作を10回繰り返して、前記第3の実施の形態に係る磁性粒子保持担体31を調製した。
次に、この磁性粒子保持担体31を用いて、磁気分離操作時における前記磁性粒子保持担体31上の前記ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)の安定性を評価した。
図15に示すように、ステップS51で、前記磁性粒子保持担体処理装置の、前記磁性粒子保持担体31の懸濁液を収容する前記ウェル(容器)群72の所定ウェル(容器)71aに、前記永久磁石76が外部に接離可能に設けられたチップ75を前記移動手段(図示せず)を用いて移動させる。ステップS52で、該チップ75を、前記移動手段によって、前記ウェル71aに挿入し、前記永久磁石76を接近させた状態で、前記懸濁液について吸引・吐出を繰り返すことで、前記磁性粒子保持担体31をその内壁に吸着させて前記磁性粒子保持担体31を分離する。次に、ステップS53において、前記チップ75を前記ウェル71aに隣接する所定溶液が収容されているウェル71bに移送する。ステップS54において、該ウェル71b内に、前記移動手段を用いて前記チップ75を挿入した状態で前記溶液の吸引吐出を繰り返す。これによって、前記ウェル71b内に、前記磁性粒子保持担体31を再懸濁する。ステップS55で、前記移動手段を用いて、前記チップ75を該ウェル71bから抜き出す。以上のステップS51からステップS55までの動作を1回乃至5回繰り返す。
このようにして得られた磁性粒子保持担体31と、以上の動作を行わなかった磁気分離前の磁性粒子保持担体31の蛍光強度をフローサイトメトリーで測定した。この時、磁気分離前の磁性粒子保持担体31は1.5×107個とし、各ウェルには150 μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を分注した。
図16は、前記磁性粒子保持担体31の前記磁性粒子保持担体処理装置を用いた磁気分離・再懸濁による影響、すなわち、磁性粒子保持担体31の安定性を表す7個の蛍光強度ヒストグラムを示す。各グラフは、横軸が蛍光強度を表し、縦軸は度数を表すものである。図16(a)は、ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)を保持する前の粒子状担体32としてのポリスチレンビーズを示す。図16(b)は、磁気分離を行う前、すなわち、ステップS51における磁性粒子保持担体31の蛍光強度ヒストグラムを示す。図16(c)は、ステップS51からステップS55の全工程を1回行った場合の磁性粒子保持担体31の蛍光強度ヒストグラムを示し、図16(c)、(d)、(e)、(f)、(g)は、順番に、前記全工程を1、2、3、4、5回行った場合の磁性粒子保持担体31の蛍光強度ヒストグラムを表す。すると、磁性粒子保持担体31の蛍光ヒストグラム図16(b)は、図16(a)のビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37を保持する前の粒子状担体32のヒストグラムよりも右にシフトしていることから、前記粒子状担体(ストレプトアビジン標識ポリスチレン)32上にビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37が保持されていることが確認できた。さらに、さらに、図16(b)に示す磁気分離前の磁性粒子保持担体31、及び1回乃至5回の磁気分離・再懸濁を経た磁性粒子保持担体31の蛍光強度のヒストグラム(図16(c)ないし図16(g))では、同じ蛍光強度にピークが観察された。この結果より、磁性粒子保持担体31上にアセンブリングしているビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子37(Cy3-BMP-biotin)の量は1回乃至5回の磁気分離を経ても磁気分離前とほぼ同じであることが示された。
〔実験3〕
次に、前記磁性粒子保持担体処理装置(全自動免疫測定装置SX-8PC)による磁性粒子保持担体の磁気分離効率の評価を行う。実験1と同様の操作で磁気分離・再懸濁(1回乃至5回繰り返して)を経て、前記次工程のウェル71bに運搬された磁性粒子保持担体31の濃度を測定した。この時、磁気分離前の磁性粒子保持担体31 は1.0×107 個とし、 磁性粒子保持担体31を懸濁する緩衝液として非イオン性界面活性剤であるアデカノール(ADK)を0.05 %含むPBS(200 μl)を用いた。磁気分離効率は以下の式で計算した。
磁気分離効率=(磁気分離後の磁性粒子保持担体濃度/磁気分離前の磁性粒子保持担体濃度)×100(%)
5回の磁気分離操作における磁気分離率を求めた結果、図17に示すように、平均95%以上の回収率が得られ、イムノアッセイなどの検出操作を行なう際に正確な測定を行うことができると期待できる。
続いて、第5の実施の形態に係る磁性粒子保持担体81の調製方法として、Sulfo-LC-SPDPおよびSulfo-SMCCの架橋剤88を用いた化学結合法による集積化について、図18に基づいて説明する。
Sulfo-LC-SPDPおよびSulfo-SMCCの架橋剤88を用いた、磁性細菌粒子(BMPs)84のアミノ基87が提示された粒子状担体82への結合による磁性粒子保持担体81の調製は以下のように行った。
1.0×107個のアミノ基83が提示された粒子状担体82(Spherotech, Inc. のAP-60-10、直径6〜8 μm)を20400 Gで10分間、遠心分離した。その後、100 μgの前記架橋剤成分88b(Sulfo-SMCC)を含む0.1 M トリス塩酸緩衝液(pH7.0)を加え室温で1時間反応させた。1 mlのPBSで3回洗浄して得られた粒子を架橋剤成分導入粒子状担体89とする。
一方、炭酸緩衝液(pH8.5)にそれぞれの濃度が10 mM、0.1 mMとなるように前記架橋剤成分88a(Sulfo- LC-SPDP)、蛍光色素36(Cy3 bis NHS ester)を溶解させた混合溶液 500 μlに、500 μg の磁性細菌粒子(BMPs)84を懸濁し、5分毎に超音波処理を加えることで分散状態を保たせながら、室温で1時間反応させた。その後、500 μl のPBSで3回洗浄して得た粒子に対し、20 mMジチオトレイトールを含むTris緩衝液(pH8.5)を2 ml添加し、室温で30分間反応させた。1 mlのPBSで3回洗浄して得た粒子を蛍光色素・架橋剤成分導入磁性細菌粒子90(Cy3-BMPs-Sulfo-LC-SPDP)とした。
前記蛍光色素・架橋剤成分導入磁性細菌粒子90(Cy3-BMPs-Sulfo-LC-SPDP)懸濁液(50 μg/ml、100 μl)を前記架橋剤成分導入粒子状担体89(Sulfo-SMCC-ポリスチレンビーズ)懸濁液(3.0×106 beads/ml、500 μl)に添加し、ピペッティングにより分散状態を保ちながら15分間反応させる操作を10回繰り返して、磁性粒子保持担体81を調製した。前記蛍光色素・架橋剤成分導入磁性細菌粒子90(Cy3-BMPs-Sulfo-LC-SPDP)の懸濁液を添加する前のビーズを遂次、蛍光顕微鏡を用いて観察した。
その結果、図19の各反応工程での顕微鏡観察像に示すように、粒子状担体82(ポリスチレンマイクロビーズ)上に蛍光色素・架橋剤成分導入磁性細菌粒子90(Cy3-BMPa-Sulfo-LC-SPDP)が集積化している様子が観察された。このことから、架橋剤88であるSulfo-LC-SPDPおよびSulfo-SMCCを用いた化学結合法により、磁性粒子保持担体81を作製できることが示された。
なお、以上用いた試薬および器具は以下の通りである。
架橋剤としてSulfosuccinimidyl-6'-(biotinamido)-6-hexanamido hexanote(Sulfo-NHS-LC-LC-Biotin)(PIERCEより購入)を用い、蛍光色素としてCy3 bis NHS ester(Amersham Biosciencesより購入)を用いた。マイクロビーズには、Spherotech,Inc.のStreptavidin Polystyrene Particles 5.0-5.9μmを利用した。免疫測定を行う際に利用した抗体として、Rabbit由来抗Goat IgG抗体をSIGMA-ALDRICHより、アルカリフォスファターゼ(ALP)標識Rabbit由来抗Goat IgG抗体をSANTA CRUZ BIOTECHNOLOGY,Inc.より、ALP標識Goat由来抗Mouse IgG抗体をベックマン・コールター株式会社より購入した。またALPの発光基質には和光純薬株株式会社のLumigen PPD,4-Methoxy-4(3-phosphatephenyl)spiro[1,2-dioxeteane-3,2'adamantane]disodium salt(ルミホス530:3.3×10-4M)を用いた。磁性細菌組み換え体の培養、破砕の際、SIGMA-ALDRICHのAmpicillin sodium salt及びProtease inhibitor cocktailを用いた。その他の試薬類は全て研究用の市販特級品またはそれに準じたものを用い、試薬等の調製は蒸留水及び蒸留水を日本ミリポア株式会社のMilliQ Labで処理した超純水を用いた。
磁性細菌の集菌及び磁性細菌粒子(BMPs)の洗浄には株式会社トミー精工の高速遠心機CX-210、有限会社大岳製作所のフレンチプレス5501M、株式会社柴田科学の超音波洗浄機SU-25を利用した。磁性細菌粒子(BMPs)やマイクロビーズ等の顕微鏡観察にはオリンパス株式会社のシステム生物顕微鏡BX51、及び株式会社日立ハイテクノロジーズの走査型電子顕微鏡S-2250Nを用いた。また、調製した磁性粒子保持担体の蛍光強度分布の解析にはベックマン・コールター株式会社の自動細胞解析分取装置(フローサイトメーター) EPICS ALTRAを使用した。発光強度測定にはアロカ株式会社のルミノメーター Lucy-2を利用した。磁性粒子保持担体の分離、濃縮には株式会社トミー精工の微量高速冷却遠心機MX-300及びTX-160を用いた。磁性粒子の自動磁気分離にはプレシジョン・システム・サイエンス株式会社の全自動免疫測定装置SX-8PCを用いた。
なお、以上の説明にあっては、官能基として、アミノ基、またはカルボキシル基、受容体として、ストレプトアビディン、リガンドとしてビオチン、蛍光色素としてCy3の場合についてのみ説明したが、これらの物質に限られるわけではなく、他の官能基、明細書に挙げた種々の受容体、リガンドおよび蛍光色素または標識物質を用いることが可能である。また、磁性粒子についても、磁性細菌粒子に限られる訳ではなく、磁性細菌によらずに、磁性体を種々の物質で被覆して形成した磁性粒子を用いることができる。また、マイクロサイズの非磁性の粒子状担体として、ラテックスやポリスチレンの場合のみを説明したが、この明細書に挙げた他の材料、例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体のアクリル樹脂等を用いることができることは当然である。また、上述の実施例では、磁性細菌粒子にZZドメインを発現した場合について説明したが、ZZドメインに限られず他の機能性タンパク質、例えば、プロテインA、プロテインG等を磁性細菌粒子に発現し得るとともに、これに種々の機能性タンパク質、例えば、抗体、抗原等を導入することができる。
本発明は、磁性粒子保持担体、およびその調製方法に関する。本発明は、種々の生体物質に関する検査または解析が要求される分野、例えば、工業分野、食品、農産、水産加工等の農水産業分野、製薬剤分野、衛生、保健、免疫、疾病、遺伝等の医療分野、化学もしくは生物学等の理学等の分野等、あらゆる分野に関係するものである。
本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体の調製方法を示す流れ図である。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体の蛍光顕微鏡による測定、フローサイトメトリーによる解析および走査型電子顕微鏡による測定結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体の磁気分離率測定方法を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体の磁気分離率の測定結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係るビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子への抗体の導入を示す流れ図である。 本発明の実施の形態に係る抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子の抗原結合量を示す図である。 本発明の実施の形態に係る抗体固定化磁性粒子保持担体の顕微鏡およびフローサイトメトリーによる評価結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係る抗体固定化磁性粒子保持担体の抗体の活性測定流れ図である。 本発明の実施の形態に係る抗体固定化磁性粒子保持担体の抗体の活性測定結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体を用いたPSA検出法の流れ図である。 本発明の実施の形態に係る磁性細菌粒子上への抗体固定化濃度を決定するための抗体固定化濃度―発光強度関係測定グラフである。 本発明の実施の形態に係る抗体固定化磁性粒子保持担体に異なる濃度のALP標識抗体溶液を添加した場合の発光強度の測定グラフである。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体を用いたサンドイッチイムノアッセイによるPSAの検出を行うための、PSAの濃度に対する発光強度の測定グラフを示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体を処理する処理装置および磁気分離・再懸濁処理を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体の安定性を示す蛍光強度ヒストグラムである。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体の磁気分離効率を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体の化学結合法を用いた調製方法を示す流れ図である。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体の化学結合法を用いた調製方法の各反応工程での顕微鏡観察像を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁性粒子保持担体の様々な分散媒に懸濁し、1および48時間放置した後の磁性粒子保持担体の顕微鏡観察像を示す図である。
符号の説明
11,21,31,41,63,65,67,81 磁性粒子保持担体
12,22,32,82 粒子状担体
14,24 超磁性単一ドメイン粒子(磁性粒子)
33,33’,84 磁性細菌粒子(磁性粒子)
37,37’ ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子
39,61 抗体固定化ビオチン・蛍光色素導入磁性細菌粒子
90 蛍光色素・架橋剤成分導入磁性細菌粒子

Claims (18)

  1. 非磁性のマイクロサイズの粒子状担体と、
    該担体に保持されたナノサイズの磁性粒子とを有する磁性粒子保持担体。
  2. 前記磁性粒子は、所定の機能性ペプチドまたはタンパク質を発現しまたは発現可能である請求の範囲第1項記載の磁性粒子保持担体。
  3. 前記担体は、表面にリガンドまたは受容体を有し、前記磁性粒子はその受容体またはそのリガンドを有し、該リガンドと該受容体との結合によって、前記磁性粒子を前記担体に保持した請求の範囲第1項または請求の範囲第2項に記載の磁性粒子保持担体。
  4. 前記磁性粒子を共有結合、水素結合、または静電的結合によって前記担体に保持した請求の範囲第1項ないし請求の範囲第3項のいずれかに記載の磁性粒子保持担体。
  5. 前記磁性粒子が1または複数種類の標識物質を有する請求の範囲第1項ないし請求の範囲第4項のいずれかに記載の磁性粒子保持担体。
  6. 前記標識物質はリガンドまたは受容体を有し、前記磁性粒子がその受容体またはリガンドを有し、該リガンドと該受容体との結合によって、前記標識物質を前記磁性粒子に導入した請求の範囲第5項に記載の磁性粒子保持担体。
  7. 前記標識物質を共有結合、水素結合、または静電的結合によって前記磁性粒子に導入した請求の範囲第5項または請求の範囲第6項に記載の磁性粒子保持担体。
  8. 前記受容体またはリガンドは前記磁性粒子において発現されている請求の範囲第5項または請求の範囲第6項に記載の磁性粒子保持担体。
  9. 前記磁性粒子は磁性細菌より単離された請求の範囲第1項ないし請求の範囲第8項のいずれかに記載の磁性粒子保持担体。
  10. マイクロサイズの非磁性の粒子状の担体に多数のナノサイズの磁性粒子を保持した磁性粒子保持担体を調製する方法であって、
    前記磁性粒子および/または前記担体に対する加工処理を行う加工処理工程と、
    多数の前記磁性粒子、および多数の担体を液中に懸濁させる懸濁工程とを有する磁性粒子保持担体調製方法。
  11. 前記加工処理工程は、該磁性粒子に特定の機能性ペプチドまたはタンパク質を発現する発現工程を有する請求の範囲第10項に記載の磁性粒子保持担体調製方法。
  12. 前記加工処理工程は、前記担体にリガンドまたは受容体を導入する担体導入工程、および/または、前記磁性粒子にその受容体またはそのリガンドを導入する磁性粒子導入工程を有する請求の範囲第10項または請求の範囲第11項に記載の磁性粒子保持担体調製方法。
  13. 前記懸濁工程において、共有結合、水素結合または静電的結合を行わしめる請求の範囲第10項ないし請求の範囲第12項のいずれかに記載の磁性粒子保持担体調製方法。
  14. 前記加工処理工程において、前記磁性粒子に、標識物質を導入する工程を有する請求の範囲第10項ないし請求の範囲第13項のいずれかに記載の磁性粒子保持担体調製方法。
  15. 前記標識物質にリガンドまたは受容体を導入する工程、および/または、前記磁性粒子にその受容体またはそのリガンドを導入する工程を有する請求の範囲第14項に記載の磁性粒子保持担体調製方法。
  16. 前記加工処理工程において、共有結合、水素結合または静電的結合を行わしめる請求の範囲第15項に記載の磁性粒子保持担体調製方法。
  17. 前記加工処理工程において、前記受容体またはリガンドを前記磁性粒子において発現させる工程を有する請求の範囲第15項または請求の範囲第16項に記載の磁性粒子保持担体調製方法。
  18. 磁性細菌から磁性粒子を単離する単離工程をさらに有する請求の範囲第10項ないし請求の範囲第17項のいずれかに記載の磁性粒子保持担体調製方法。
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