JPH10108689A - 遺伝子組み換え磁性細菌からのタンパク質結合磁気微粒子の分離方法 - Google Patents
遺伝子組み換え磁性細菌からのタンパク質結合磁気微粒子の分離方法Info
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- JPH10108689A JPH10108689A JP28007896A JP28007896A JPH10108689A JP H10108689 A JPH10108689 A JP H10108689A JP 28007896 A JP28007896 A JP 28007896A JP 28007896 A JP28007896 A JP 28007896A JP H10108689 A JPH10108689 A JP H10108689A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】磁気微粒子に結合して機能性タンパク質が発現
するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細菌の菌
体内に生成する磁気微粒子を、該タンパク質の活性を低
下させずに該磁性細菌から分離する方法の提供。 【解決手段】分離処理を7℃以下で行うか、又はプロテ
アーゼインヒビターの存在下で行う、磁気微粒子の分離
方法。
するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細菌の菌
体内に生成する磁気微粒子を、該タンパク質の活性を低
下させずに該磁性細菌から分離する方法の提供。 【解決手段】分離処理を7℃以下で行うか、又はプロテ
アーゼインヒビターの存在下で行う、磁気微粒子の分離
方法。
Description
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、磁気微粒子に結合して機
能性タンパク質が発現するように形質転換された遺伝子
組み換え磁性細菌の菌体内に生成する磁気微粒子を、該
タンパク質の活性を低下させずに該磁性細菌から分離す
る方法に関する。
能性タンパク質が発現するように形質転換された遺伝子
組み換え磁性細菌の菌体内に生成する磁気微粒子を、該
タンパク質の活性を低下させずに該磁性細菌から分離す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気微粒子に結合して機能性タンパク質
が発現するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細
菌は、特開平8−228782号により公知である。こ
のような磁性細菌の菌体内に生成する磁気微粒子を、該
タンパク質の活性を低下させずに該磁性細菌から分離す
る方法は、知られていない。
が発現するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細
菌は、特開平8−228782号により公知である。こ
のような磁性細菌の菌体内に生成する磁気微粒子を、該
タンパク質の活性を低下させずに該磁性細菌から分離す
る方法は、知られていない。
【0003】従来、磁気微粒子に特定のタンパク質等の
生理活性物質が結合したものを得るには、磁性細菌の菌
体から磁気微粒子を、特公平6−12994に示される
ように、まず磁性細菌より磁気微粒子をアルカリ処理で
分離し、その後、生理活性物質を固定化するためγ−ア
ミノプロピルトリエトキシシランやグルタルアルデヒド
で処理し、これに生理活性物質を化学的に固定化するこ
とが行われていた。
生理活性物質が結合したものを得るには、磁性細菌の菌
体から磁気微粒子を、特公平6−12994に示される
ように、まず磁性細菌より磁気微粒子をアルカリ処理で
分離し、その後、生理活性物質を固定化するためγ−ア
ミノプロピルトリエトキシシランやグルタルアルデヒド
で処理し、これに生理活性物質を化学的に固定化するこ
とが行われていた。
【0004】また、磁性細菌から磁気微粒子の分離方法
としては、37℃の高温下でのリゾチーム等の溶菌酵素
により磁気微粒子を分離する方法も知られている。
としては、37℃の高温下でのリゾチーム等の溶菌酵素
により磁気微粒子を分離する方法も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら公知の
方法を、磁気微粒子に結合して機能性タンパク質が発現
するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細菌の菌
体内から磁気微粒子を分離するのに使用することはでき
ない。
方法を、磁気微粒子に結合して機能性タンパク質が発現
するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細菌の菌
体内から磁気微粒子を分離するのに使用することはでき
ない。
【0006】即ち、アルカリ処理による方法では磁気微
粒子上に発現させたタンパク質が磁気微粒子を被覆する
膜と共に溶解される。また酵素による分離方法では磁気
微粒子上に発現したタンパク質の活性が低下する問題が
あった。
粒子上に発現させたタンパク質が磁気微粒子を被覆する
膜と共に溶解される。また酵素による分離方法では磁気
微粒子上に発現したタンパク質の活性が低下する問題が
あった。
【0007】また、超音波破砕やフレンチプレス等の物
理的破砕処理では破砕処理中および磁気微粒子の分離洗
浄処理中に、発現したタンパク質の活性が菌体内に内在
するプロテアーゼ等の溶菌酵素により低下する問題があ
った。
理的破砕処理では破砕処理中および磁気微粒子の分離洗
浄処理中に、発現したタンパク質の活性が菌体内に内在
するプロテアーゼ等の溶菌酵素により低下する問題があ
った。
【0008】そこで、本発明の課題は、これらの問題を
解決し、遺伝子組み換え磁性細菌から、磁気微粒子上に
発現したタンパク質の活性を低下させることなく、磁気
微粒子を分離する方法を提供することにある。
解決し、遺伝子組み換え磁性細菌から、磁気微粒子上に
発現したタンパク質の活性を低下させることなく、磁気
微粒子を分離する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような解
決手段として、第一に、磁気微粒子に結合して機能性タ
ンパク質が発現するように形質転換された遺伝子組み換
え磁性細菌の菌体内に生成する磁気微粒子を、該タンパ
ク質の活性を低下させずに該磁性細菌から分離する方法
であって、分離処理を7℃以下で行うことを特徴とする
磁気微粒子の分離方法を提供する。
決手段として、第一に、磁気微粒子に結合して機能性タ
ンパク質が発現するように形質転換された遺伝子組み換
え磁性細菌の菌体内に生成する磁気微粒子を、該タンパ
ク質の活性を低下させずに該磁性細菌から分離する方法
であって、分離処理を7℃以下で行うことを特徴とする
磁気微粒子の分離方法を提供する。
【0010】また、本発明は、同様の解決手段として、
第二に、磁気微粒子に結合して機能性タンパク質が発現
するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細菌の菌
体内に生成する磁気微粒子を、該タンパク質の活性を低
下させずに該磁性細菌から分離する方法であって、分離
処理をプロテアーゼインヒビター(タンパク質分解酵素
抑制剤)の存在下で行うことを特徴とする磁気微粒子の
分離方法を提供する。
第二に、磁気微粒子に結合して機能性タンパク質が発現
するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細菌の菌
体内に生成する磁気微粒子を、該タンパク質の活性を低
下させずに該磁性細菌から分離する方法であって、分離
処理をプロテアーゼインヒビター(タンパク質分解酵素
抑制剤)の存在下で行うことを特徴とする磁気微粒子の
分離方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】磁性細菌の菌体内からの磁気微粒
子の分離処理は、通常、菌体の破砕ないし溶菌の工程、
その後の菌体破砕物からの磁気微粒子の分離の工程を含
む。菌体の破砕や溶解の方法は限定されず通常行われる
方法、例えば『微生物学実験法』(微生物研究法懇談会
編、講談社発行)に記載のような、磨砕法、磨砕剤を用
いる機械的振とう法(磨砕剤と菌体とを機械的に振とう
して磨砕)、Hughesプレス、Frenchプレス、超音波処理
等を用いることができる。そのほか、好ましい溶解の方
法としては、菌体を凍結した後溶解する方法が挙げられ
る。凍結の好ましい温度は、−20℃以下、特に−30
〜−80℃であり、液体窒素による凍結も可能である。
溶解は菌体の温度が7℃以下、特に0から4℃の菌体の
温度での溶解が好ましい。凍結方法によれば、凍結した
菌体を溶解することで、菌体を溶菌させることができ
る。したがって、菌体破砕処理をより穏和な条件下で行
うことができ、磁気微粒子に結合した機能性タンパク質
の活性の低下を抑制することができる。また、凍結する
ことで磁気微粒子に結合した機能性タンパク質の活性を
低下させることなく、長期にわたり保存が可能となる等
の利点が得られる。菌体の破砕又は溶解の後に行う磁気
微粒子の破砕物等からの分離は磁気的に容易に行うこと
ができる。例えば、破砕又は溶解物が入っている容器内
に磁石を挿入したり、あるいは容器の外壁に磁石を接触
さることにより容易に集めることができる。
子の分離処理は、通常、菌体の破砕ないし溶菌の工程、
その後の菌体破砕物からの磁気微粒子の分離の工程を含
む。菌体の破砕や溶解の方法は限定されず通常行われる
方法、例えば『微生物学実験法』(微生物研究法懇談会
編、講談社発行)に記載のような、磨砕法、磨砕剤を用
いる機械的振とう法(磨砕剤と菌体とを機械的に振とう
して磨砕)、Hughesプレス、Frenchプレス、超音波処理
等を用いることができる。そのほか、好ましい溶解の方
法としては、菌体を凍結した後溶解する方法が挙げられ
る。凍結の好ましい温度は、−20℃以下、特に−30
〜−80℃であり、液体窒素による凍結も可能である。
溶解は菌体の温度が7℃以下、特に0から4℃の菌体の
温度での溶解が好ましい。凍結方法によれば、凍結した
菌体を溶解することで、菌体を溶菌させることができ
る。したがって、菌体破砕処理をより穏和な条件下で行
うことができ、磁気微粒子に結合した機能性タンパク質
の活性の低下を抑制することができる。また、凍結する
ことで磁気微粒子に結合した機能性タンパク質の活性を
低下させることなく、長期にわたり保存が可能となる等
の利点が得られる。菌体の破砕又は溶解の後に行う磁気
微粒子の破砕物等からの分離は磁気的に容易に行うこと
ができる。例えば、破砕又は溶解物が入っている容器内
に磁石を挿入したり、あるいは容器の外壁に磁石を接触
さることにより容易に集めることができる。
【0012】第一の方法では、これらの全工程を通して
被処理物を7℃以下、好ましくは4℃以下に保持する必
要がある。この分離処理の温度が7℃を超えるとタンパ
ク質分解酵素により機能性タンパク質の失活が無視でき
ない程大きくなる。
被処理物を7℃以下、好ましくは4℃以下に保持する必
要がある。この分離処理の温度が7℃を超えるとタンパ
ク質分解酵素により機能性タンパク質の失活が無視でき
ない程大きくなる。
【0013】第二の方法では、上記の分離処理をプロテ
アーゼインヒビターの存在下で行う。
アーゼインヒビターの存在下で行う。
【0014】用いることができるプロテアーゼインヒビ
ターは、特に限定されず、例えば、クロロトシルアミド
アミノヘプタン、フェニルメチルスルフォニルフルオラ
イド、p−トルエンスルフォニルアミド−フェニルクロ
ロメチルケトン、アミノ−p−トルエンスルフォニル−
アミノペンチルクロロメチルケトン、p−アミノベンズ
アミジン、フェナントロリン、ロイペプチン、キモスタ
チン、アンチパイン、ベブスタチン、E−64、ホスホ
ラミドン、アプロチニン等の化合物からなる物質を用い
ることが出来る。
ターは、特に限定されず、例えば、クロロトシルアミド
アミノヘプタン、フェニルメチルスルフォニルフルオラ
イド、p−トルエンスルフォニルアミド−フェニルクロ
ロメチルケトン、アミノ−p−トルエンスルフォニル−
アミノペンチルクロロメチルケトン、p−アミノベンズ
アミジン、フェナントロリン、ロイペプチン、キモスタ
チン、アンチパイン、ベブスタチン、E−64、ホスホ
ラミドン、アプロチニン等の化合物からなる物質を用い
ることが出来る。
【0015】プロテアーゼインヒビターの濃度は、その
種類にもよるが、例えば菌濃度1011cells/mlでは0.
01〜2μmol/mlの濃度となるように添加することが好
ましい。
種類にもよるが、例えば菌濃度1011cells/mlでは0.
01〜2μmol/mlの濃度となるように添加することが好
ましい。
【0016】磁性細菌の種類は限定されず、例えばMagn
etospirillum種の微生物(例:菌株AMB-1(FERM BP-545
8), MS-1(IFO 15272, ATCC 31632, DSM 3856),MSR-1(IF
O 15272, DSM 6361) 、及びDesulfovibrio 種の微生物
(例:菌株RS-1( 微工研菌寄13283)) が挙げられる。
etospirillum種の微生物(例:菌株AMB-1(FERM BP-545
8), MS-1(IFO 15272, ATCC 31632, DSM 3856),MSR-1(IF
O 15272, DSM 6361) 、及びDesulfovibrio 種の微生物
(例:菌株RS-1( 微工研菌寄13283)) が挙げられる。
【0017】本発明の方法は、磁性細菌の菌体内で磁気
微粒子上に発現される機能性タンパク質の種類によらず
適用することができる。医療、発酵を利用する産業等の
目的に使用される場合に何らかの機能、例えば、生理活
性を有するタンパク質が用いられる。例えば、結合性を
有するタンパク質としては、抗体、抗原として作用する
タンパク質、リガンドとして作用する物質と結合するタ
ンパク質、プロテインA、その他の免疫関連タンパク
質、レクチン、アビジン等が挙げられる。光学的測定手
段で測定でき検定において標識として利用しうるタンパ
ク質として、グリーンフルオレセンスプロテイン等の蛍
光性タンパク質、蛍光色素結合タンパク質、ルシフェラ
ーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β
−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グ
ルコース−6−リン酸脱水素酵素などの生物発光もしく
は化学発光に関与する発光関連酵素等が挙げられる。補
酵素、加水分解酵素、酸化還元酵素、異性化酵素、転移
酵素、脱離酵素、制限酵素等の活性を別途測定する酵素
類が挙げられる。
微粒子上に発現される機能性タンパク質の種類によらず
適用することができる。医療、発酵を利用する産業等の
目的に使用される場合に何らかの機能、例えば、生理活
性を有するタンパク質が用いられる。例えば、結合性を
有するタンパク質としては、抗体、抗原として作用する
タンパク質、リガンドとして作用する物質と結合するタ
ンパク質、プロテインA、その他の免疫関連タンパク
質、レクチン、アビジン等が挙げられる。光学的測定手
段で測定でき検定において標識として利用しうるタンパ
ク質として、グリーンフルオレセンスプロテイン等の蛍
光性タンパク質、蛍光色素結合タンパク質、ルシフェラ
ーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β
−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グ
ルコース−6−リン酸脱水素酵素などの生物発光もしく
は化学発光に関与する発光関連酵素等が挙げられる。補
酵素、加水分解酵素、酸化還元酵素、異性化酵素、転移
酵素、脱離酵素、制限酵素等の活性を別途測定する酵素
類が挙げられる。
【0018】磁気微粒子に結合して機能性タンパク質が
発現するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細菌
は、一般に次のようにして得られる。磁性細菌がその菌
体内に生成する磁気微粒子はリン脂質を主成分とする有
機被膜で覆われているが、該有機被膜に結合して生成す
るタンパク質(膜タンパク質の一種)が存在する。この
種の膜結合性タンパク質、特にその膜結合部位、をコー
ドするDNA配列に、所望の機能性タンパク質をコード
するDNA配列を融合させ、得られた融合DNA配列を
磁性細菌内で発現させることにより、膜タンパク質と機
能性タンパク質との融合タンパク質が膜タンパク質の被
膜への結合部位において被膜に結合した状態で生成す
る。このようにして、機能性タンパク質が磁気微粒子に
(正確には、磁気微粒子を被覆する有機被膜に)膜結合
性タンパク質を介して結合した状態で得られる。
発現するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細菌
は、一般に次のようにして得られる。磁性細菌がその菌
体内に生成する磁気微粒子はリン脂質を主成分とする有
機被膜で覆われているが、該有機被膜に結合して生成す
るタンパク質(膜タンパク質の一種)が存在する。この
種の膜結合性タンパク質、特にその膜結合部位、をコー
ドするDNA配列に、所望の機能性タンパク質をコード
するDNA配列を融合させ、得られた融合DNA配列を
磁性細菌内で発現させることにより、膜タンパク質と機
能性タンパク質との融合タンパク質が膜タンパク質の被
膜への結合部位において被膜に結合した状態で生成す
る。このようにして、機能性タンパク質が磁気微粒子に
(正確には、磁気微粒子を被覆する有機被膜に)膜結合
性タンパク質を介して結合した状態で得られる。
【0019】このような磁気微粒子に結合して機能性タ
ンパク質を発現するように形質転換された磁性細菌の具
体例としては、特開平8−228782号公報に記載の
ものが挙げられる。該公開公報には、磁性細菌菌株AM
B−1(FERM BP-5458)から見出された、特定のアミノ
酸配列を有する膜結合性のmagAタンパク質、これを
コードするmagA遺伝子、該遺伝子の少なくとの膜結
合部位を所要の有用タンパク質をコードする別のDNA
配列と融合させた融合遺伝子、ならびに該融合遺伝子で
形質転換した磁性細菌内で該融合遺伝子を発現させるこ
とにより前記有用タンパク質を含む融合タンパク質を磁
気微粒子に結合した状態で菌体内に生成させる技術が詳
細に説明されている。融合タンパク質としては、mag
Aタンパク質の一端に他の機能性タンパク質を融合させ
たもの、両端に同種又は異種の機能性タンパク質を融合
させたものが説明されている。
ンパク質を発現するように形質転換された磁性細菌の具
体例としては、特開平8−228782号公報に記載の
ものが挙げられる。該公開公報には、磁性細菌菌株AM
B−1(FERM BP-5458)から見出された、特定のアミノ
酸配列を有する膜結合性のmagAタンパク質、これを
コードするmagA遺伝子、該遺伝子の少なくとの膜結
合部位を所要の有用タンパク質をコードする別のDNA
配列と融合させた融合遺伝子、ならびに該融合遺伝子で
形質転換した磁性細菌内で該融合遺伝子を発現させるこ
とにより前記有用タンパク質を含む融合タンパク質を磁
気微粒子に結合した状態で菌体内に生成させる技術が詳
細に説明されている。融合タンパク質としては、mag
Aタンパク質の一端に他の機能性タンパク質を融合させ
たもの、両端に同種又は異種の機能性タンパク質を融合
させたものが説明されている。
【0020】
【実施例】実験例1 分離処理における、温度とタンパク質の失活との関係を
調べるために、次の実験を行った。
調べるために、次の実験を行った。
【0021】機能性タンパク質として蛍ルシフェラーゼ
を磁気微粒子に結合した状態で菌体内に生成する磁性細
菌として、特開平8−228782号公報の例1で調製
した、magAタンパク質をコードするmagA遺伝子
と蛍ルシフェラーゼ遺伝子(luc遺伝子、東洋イン
キ)とのmagA−luc融合遺伝子で形質転換した磁
性細菌を使用した。該形質転換磁性細菌は、図1に示す
制限酵素切断部位地図で示される組み換えプラスミドp
KMLを接合伝達により野生株AMB−1に導入して得
たものである。
を磁気微粒子に結合した状態で菌体内に生成する磁性細
菌として、特開平8−228782号公報の例1で調製
した、magAタンパク質をコードするmagA遺伝子
と蛍ルシフェラーゼ遺伝子(luc遺伝子、東洋イン
キ)とのmagA−luc融合遺伝子で形質転換した磁
性細菌を使用した。該形質転換磁性細菌は、図1に示す
制限酵素切断部位地図で示される組み換えプラスミドp
KMLを接合伝達により野生株AMB−1に導入して得
たものである。
【0022】該磁性細菌をMSGM培地で定常期まで培
養し、遠心分離により集菌した。集菌した菌体を蒸留水
で洗浄した後、1011cells/mlの濃度に調整し、−80
℃で凍結処理を行った。凍結菌体を溶解後、超音波破砕
機(トミー精工社製、商品名:UD201)を用いて菌
体破砕処理を行った。氷冷下、46W、duty50%
で1分の超音波印加後、1分間休止しする操作を繰り返
し、計5分間の超音波印加で破砕処理を行った。破砕処
理後、菌体破砕液を2℃、25℃又は37℃で0〜7時
間放置した後の菌体破砕液のルシフェラーゼの発光活性
をケミスミネッセンスアナライザー(東北電子製、商品
名:CLD−100)を用いて測定した。磁性細菌懸濁
液20μlにピッカジーンキット100μl(東洋イン
キ製)を添加して測定した。結果を図2に示す。
養し、遠心分離により集菌した。集菌した菌体を蒸留水
で洗浄した後、1011cells/mlの濃度に調整し、−80
℃で凍結処理を行った。凍結菌体を溶解後、超音波破砕
機(トミー精工社製、商品名:UD201)を用いて菌
体破砕処理を行った。氷冷下、46W、duty50%
で1分の超音波印加後、1分間休止しする操作を繰り返
し、計5分間の超音波印加で破砕処理を行った。破砕処
理後、菌体破砕液を2℃、25℃又は37℃で0〜7時
間放置した後の菌体破砕液のルシフェラーゼの発光活性
をケミスミネッセンスアナライザー(東北電子製、商品
名:CLD−100)を用いて測定した。磁性細菌懸濁
液20μlにピッカジーンキット100μl(東洋イン
キ製)を添加して測定した。結果を図2に示す。
【0023】25℃以上の温度では30分から1時間で
ルシフェラーゼの発光量が低下し、検出限界以下となっ
た。これに対し、2℃の低温下で放置した場合は発光量
の低下が抑制された。
ルシフェラーゼの発光量が低下し、検出限界以下となっ
た。これに対し、2℃の低温下で放置した場合は発光量
の低下が抑制された。
【0024】この実験により、タンパク質の失活を防止
するには磁気微粒子の分離処理は低温で行うことが必須
であることが示された。実験例2 タンパク質分解酵素抑制剤とタンパク質の失活との関係
を調べるために、実験を行った。実験例1で使用したの
と同じルシフェラーゼ遺伝子により菌株AMB−1を形
質転換した磁性細菌をMSGM培地で定常期まで培養
し、遠心分離により集菌した。集菌した菌体を蒸留水で
洗浄した後、1011cells/mlの濃度に調整し、−80℃
で凍結処理を行った。凍結菌体を溶解後、超音波破砕機
(UD201)を用いて菌体破砕処理を行った。氷冷
下、46W、duty50%で1分の超音波印加後、1
分間休止する操作を繰り返し、計5分間の超音波印加で
破砕処理を行った。破砕処理後、プロテアーゼインヒビ
ターであるクロロトシルアミドアミノヘプタン−HCl
を種々の濃度で添加し、25℃で0〜4時間放置した
後、ルシフェラーゼの発光活性をケミスミネッセンスア
ナライザー(CLD−100)を用いて、磁性細菌懸濁
液20μlにピッカジーンキット100μl(東洋イン
キ製)を添加して測定した。結果を図3に示す。
するには磁気微粒子の分離処理は低温で行うことが必須
であることが示された。実験例2 タンパク質分解酵素抑制剤とタンパク質の失活との関係
を調べるために、実験を行った。実験例1で使用したの
と同じルシフェラーゼ遺伝子により菌株AMB−1を形
質転換した磁性細菌をMSGM培地で定常期まで培養
し、遠心分離により集菌した。集菌した菌体を蒸留水で
洗浄した後、1011cells/mlの濃度に調整し、−80℃
で凍結処理を行った。凍結菌体を溶解後、超音波破砕機
(UD201)を用いて菌体破砕処理を行った。氷冷
下、46W、duty50%で1分の超音波印加後、1
分間休止する操作を繰り返し、計5分間の超音波印加で
破砕処理を行った。破砕処理後、プロテアーゼインヒビ
ターであるクロロトシルアミドアミノヘプタン−HCl
を種々の濃度で添加し、25℃で0〜4時間放置した
後、ルシフェラーゼの発光活性をケミスミネッセンスア
ナライザー(CLD−100)を用いて、磁性細菌懸濁
液20μlにピッカジーンキット100μl(東洋イン
キ製)を添加して測定した。結果を図3に示す。
【0025】上の結果から、菌体破砕液から磁気微粒子
を分離する処理はプロテアーゼインヒビターの存在下で
行うと、タンパク質分解抑制上極めて効果的であること
が示された。
を分離する処理はプロテアーゼインヒビターの存在下で
行うと、タンパク質分解抑制上極めて効果的であること
が示された。
【0026】特に、クロロトシルアミドアミノヘプタン
−HClの添加濃度が0.1から2μmol/mlで発
光量の低下が抑制されたのに対し、高い場合(10μg
/ml)には発光量が低下し、至適濃度がわかった。無
添加では2時間で約3桁発光量が低下した。
−HClの添加濃度が0.1から2μmol/mlで発
光量の低下が抑制されたのに対し、高い場合(10μg
/ml)には発光量が低下し、至適濃度がわかった。無
添加では2時間で約3桁発光量が低下した。
【0027】また、クロロトシルアミドアミノヘプタン
−HClの濃度を1μmol/ml含む場合とまったく
含まない場合について、処理温度を4℃又は25℃で測
定を行った以外は上と同様にして測定を行った。その結
果、図4に示す結果が得られた。
−HClの濃度を1μmol/ml含む場合とまったく
含まない場合について、処理温度を4℃又は25℃で測
定を行った以外は上と同様にして測定を行った。その結
果、図4に示す結果が得られた。
【0028】さらに、クロロトシルアミドアミノヘプタ
ン−HClの濃度を1μmol/mlとして、菌体濃度
を種々変えた測定を行った以外は上と同様にして測定を
行った。その結果、図5に示す結果が得られた。
ン−HClの濃度を1μmol/mlとして、菌体濃度
を種々変えた測定を行った以外は上と同様にして測定を
行った。その結果、図5に示す結果が得られた。
【0029】
【発明の効果】本発明の方法によれば、磁気微粒子に結
合して菌体内に生成する機能性タンパク質を失活させる
ことなく、菌体から磁気微粒子を効果的に分離すること
ができる。
合して菌体内に生成する機能性タンパク質を失活させる
ことなく、菌体から磁気微粒子を効果的に分離すること
ができる。
【図1】magA−luc融合遺伝子を有する組み換え
プラスミドpKMLの制限酵素切断部位地図である。
プラスミドpKMLの制限酵素切断部位地図である。
【図2】実験例1で得られた、分離処理における温度と
ルシフェラーゼ活性の関係を示す図である。
ルシフェラーゼ活性の関係を示す図である。
【図3】実験例2で得られた、分離処理における、プロ
テアーゼインヒビターであるクロロトシルアミドアミノ
ヘプタン−HCl濃度とルシフェラーゼ活性の関係を示
す図である。
テアーゼインヒビターであるクロロトシルアミドアミノ
ヘプタン−HCl濃度とルシフェラーゼ活性の関係を示
す図である。
【図4】実験例2で得られた、分離処理における、プロ
テアーゼインヒビターであるクロロトシルアミドアミノ
ヘプタン−HCl濃度及び温度とルシフェラーゼ活性の
関係を示す図である。
テアーゼインヒビターであるクロロトシルアミドアミノ
ヘプタン−HCl濃度及び温度とルシフェラーゼ活性の
関係を示す図である。
【図5】実験例2で得られた、分離処理における、菌体
濃度とルシフェラーゼ活性の関係を示す図である。
濃度とルシフェラーゼ活性の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 進藤 美穂 秋田県由利郡仁賀保町平沢字画書面15 株 式会社ティーディーケイ秋田研究所内 (72)発明者 佐藤 りか 秋田県由利郡仁賀保町平沢字画書面15 株 式会社ティーディーケイ秋田研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 磁気微粒子に結合して機能性タンパク質
が発現するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細
菌の菌体内に生成する磁気微粒子を、該タンパク質の活
性を低下させずに該磁性細菌から分離する方法であっ
て、分離処理を7℃以下で行うことを特徴とする磁気微
粒子の分離方法。 - 【請求項2】 磁気微粒子に結合して機能性タンパク質
が発現するように形質転換された遺伝子組み換え磁性細
菌の菌体内に生成する磁気微粒子を、該タンパク質の活
性を低下させずに該磁性細菌から分離する方法であっ
て、分離処理をプロテアーゼインヒビターの存在下で行
うことを特徴とする磁気微粒子の分離方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28007896A JPH10108689A (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 遺伝子組み換え磁性細菌からのタンパク質結合磁気微粒子の分離方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28007896A JPH10108689A (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 遺伝子組み換え磁性細菌からのタンパク質結合磁気微粒子の分離方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10108689A true JPH10108689A (ja) | 1998-04-28 |
Family
ID=17620009
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28007896A Pending JPH10108689A (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 遺伝子組み換え磁性細菌からのタンパク質結合磁気微粒子の分離方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10108689A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006129796A1 (ja) * | 2005-06-03 | 2006-12-07 | Tokyo University Of Agriculture And Technology | 磁性粒子保持担体、およびその調製方法 |
CN103409354A (zh) * | 2013-08-27 | 2013-11-27 | 中国科学院武汉病毒研究所 | 一种趋磁螺菌及制备方法和应用 |
-
1996
- 1996-10-01 JP JP28007896A patent/JPH10108689A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006129796A1 (ja) * | 2005-06-03 | 2006-12-07 | Tokyo University Of Agriculture And Technology | 磁性粒子保持担体、およびその調製方法 |
JP5119398B2 (ja) * | 2005-06-03 | 2013-01-16 | 国立大学法人東京農工大学 | 磁性粒子保持担体、およびその調製方法 |
CN103409354A (zh) * | 2013-08-27 | 2013-11-27 | 中国科学院武汉病毒研究所 | 一种趋磁螺菌及制备方法和应用 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060117 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060529 |